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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023019841
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230202BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20230202BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20230202BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 501
B41J2/175 503
B41J2/01 401
B41J2/175 501
C09D11/30
B41M5/00 120
B41M5/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021124877
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EC14
2C056EC15
2C056EC38
2C056FA13
2C056FC01
2C056FD20
2C056HA44
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA08
2H186FA01
2H186FA07
2H186FA08
2H186FA12
2H186FB04
2H186FB15
2H186FB34
2H186FB36
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB48
2H186FB55
2H186FB56
2H186FB58
4J039AD21
4J039BC20
4J039BE01
4J039EA06
4J039EA41
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】 活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを液体吐出ヘッドから吐出する液体吐出装置において、インクの吐出をしばらく行わなかった場合、インクの吐出性が低下する課題がある。
【解決手段】 活性エネルギー線を照射されることで硬化する第1及び第2のインクと、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドへの液体の供給を制御する供給制御手段と、を有する液体吐出装置であって、第1及び第2のインクは同色であり、第1のインクの硬化性は、第2のインクの硬化性より低く、印刷開始時における液体吐出ヘッドは、第1のインクが充填されており、印刷終了時における液体吐出ヘッドは、第1のインクが充填されており、供給制御手段は、印刷開始後に液体吐出ヘッドへの第2のインクの供給を開始させ、更に、第2のインクの供給を開始させた後であって且つ印刷終了前に液体吐出ヘッドへの第1のインクの供給を開始させる液体吐出装置。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線を照射されることで硬化する第1のインク及び第2のインクと、
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドへの前記液体の供給を制御する供給制御手段と、を有する液体吐出装置であって、
前記第1のインク及び前記第2のインクは同色であり、
前記第1のインクの硬化性は、前記第2のインクの硬化性より低く、
印刷開始時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクが充填されており、
印刷終了時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクが充填されており、
前記供給制御手段は、印刷開始後に前記液体吐出ヘッドへの前記第2のインクの供給を開始させ、更に、前記第2のインクの供給を開始させた後であって且つ印刷終了前に前記液体吐出ヘッドへの前記第1のインクの供給を開始させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1のインクの硬化に要する積算光量は、前記第2のインクの硬化に要する積算光量に対して3倍以上である請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
液体吐出装置は、更に、前記活性エネルギー線を照射する照射手段と、前記照射手段による前記活性エネルギー線の照射光量を制御する光量制御手段と、を有し、
前記光量制御手段は、前記供給制御手段による前記液体吐出ヘッドへの前記第2のインクの供給開始に伴って前記照射光量を減少させ、且つ、前記供給制御手段による前記液体吐出ヘッドへの前記第1のインクの供給開始に伴って前記照射光量を増加させる請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1のインク及び前記第2のインクは、ホワイトインク又はクリアインク以外であり、
前記第1のインクは重合禁止剤を含み、前記第2のインクは重合禁止剤を実質的に含まない請求項1から3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1のインクの質量に対する前記第1のインクに含まれる重合開始剤の質量の割合は、前記第2のインクの質量に対する前記第2のインクに含まれる重合開始剤の質量の割合に対して20%以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを複数有する第1のインクセット及び第2のインクセットと、
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドへの前記液体の供給を制御する供給制御手段と、を有する液体吐出装置であって、
前記第1のインクセット及び前記第2のインクセットは、それぞれ対応する同色のインクを少なくとも1つずつ有し、
前記第1のインクセット及び前記第2のインクセットにおける、それぞれ対応する同色のインク同士を比較したときに、前記第1のインクセットのインクの硬化性は、前記第2のインクセットのインクの硬化性より低く、
印刷開始時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクセットのインクが充填されており、
印刷終了時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクセットのインクが充填されており、
前記供給制御手段は、印刷開始後に前記液体吐出ヘッドに対し、前記液体吐出ヘッドに充填されている前記第1のインクセットのインクと同色の前記第2のインクセットのインクの供給を開始させ、更に、前記第2のインクセットのインクの供給を開始させた後であって且つ印刷終了前に前記液体吐出ヘッドに対し、前記液体吐出ヘッドに充填されている前記第2のインクセットのインクと同色の前記第1のインクセットのインクの供給を開始させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
活性エネルギー線を照射されることで硬化する第1のインク及び第2のインクと、
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を有する液体吐出装置であって、
前記第1のインク及び前記第2のインクは同色であり、
前記第1のインクの硬化性は、前記第2のインクの硬化性より低く、
印刷開始時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクが充填されており、
印刷終了時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクが充填されており、
印刷開始後に前記液体吐出ヘッドへの前記第2のインクの供給が開始され、更に、前記第2のインクの供給が開始させた後であって且つ印刷終了前に前記液体吐出ヘッドへの前記第1のインクの供給が開始されることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性エネルギー線硬化型のインクを用いたインクジェット記録方式が注目されている。この方式では、インクジェットヘッドに充填されたインクがノズルから吐出され、その後、インクが紫外線を照射されることで硬化物を形成することが一般的である。
【0003】
活性エネルギー線硬化型のインクを用いたインクジェット記録方式としては、例えば、特許文献1において、幅広い種類のインク受容体上に一貫した画像品質でインクジェットインクを印刷できることを目的として、a)同じ色及び色濃度を持つが異なる組成を持つ二つ以上の顔料カラーインクジェットインクをインクジェットプリンターに対して準備する工程、b)前記二つ以上の顔料カラーインクジェットインクを制御された量で混合する工程、及びc)前記二つ以上の顔料カラーインクジェットインクの混合物をインクジェットプリンターでインク受容体上に印刷する工程、を順に含むインクジェット印刷法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを液体吐出ヘッドから吐出する液体吐出装置において、装置の休止等でインクの吐出をしばらく行わなかった場合、インクの吐出性が低下する課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、活性エネルギー線を照射されることで硬化する第1のインク及び第2のインクと、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドへの前記液体の供給を制御する供給制御手段と、を有する液体吐出装置であって、前記第1のインク及び前記第2のインクは同色であり、前記第1のインクの硬化性は、前記第2のインクの硬化性より低く、印刷開始時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクが充填されており、印刷終了時における前記液体吐出ヘッドは、前記第1のインクが充填されており、前記供給制御手段は、印刷開始後に前記液体吐出ヘッドへの前記第2のインクの供給を開始させ、更に、前記第2のインクの供給を開始させた後であって且つ印刷終了前に前記液体吐出ヘッドへの前記第1のインクの供給を開始させることを特徴とする液体吐出装置に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを液体吐出ヘッドからしばらく吐出しなかった場合であっても、インクの吐出性の低下が抑制される液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、供給制御手段の構成の一例を示す概略図である。
図3図3は、第2の実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略図である。
図4図4は、第1の実施形態におけるインク供給の制御の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、横軸を時間、縦軸を液体吐出ヘッドに充填されているインクの量(充填量)としたタイムチャートの一例である。
図6図6は、横軸を時間、縦軸を照射手段における照射光量及び記録媒体の搬送速度としたタイムチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<<液体吐出装置>>
以下、本発明の液体吐出装置に係る実施形態について説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る液体吐出装置は、活性エネルギー線を照射されることで硬化する第1のインク及び第2のインクと、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドへの液体の供給を制御する供給制御手段と、を有する。また、必要に応じて、その他手段又は構成を有してもよい。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略図である。本実施形態の液体吐出装置は、送出部1から巻取部6の間に設けられた搬送経路に沿って記録媒体2を搬送する。搬送ローラー3は記録媒体2と接触して記録媒体2を搬送する。液体吐出ヘッドの一例である吐出部4は記録媒体2に液体の一例である活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを吐出する。
【0011】
吐出部吐出部4には、それぞれ、任意の活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを充填することができ、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、クリアインク、及びホワイトインクなどから適宜選択することができる。なお、図1に示す例において吐出部4は、インクジェットヘッドである。インクジェットヘッドとしては、ラインヘッド方式であってもよいし、シリアルヘッド方式であってもよいが、ラインヘッド方式であることが好ましい。図1に示す例では、ラインヘッド方式としている。
【0012】
インクが吐出された記録媒体2は吐出部4の下を通過後、活性エネルギー線を照射する照射手段の一例である照射部5により活性エネルギー線を照射される。活性エネルギー線は、インクにおける硬化(重合反応)を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、及びX線等が挙げられるが、紫外線であることが好ましい。紫外線を照射する照射手段としては、例えば、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)などが挙げられる。
【0013】
照射部5により照射される光量は、光量制御手段50により制御される。光量制御手段50としては、例えばCPUが挙げられる。
【0014】
液体吐出装置はインクステーション10を有し、インクステーション10は第1のインクを収容している収容部11及び第2のインクを収容している収容部12を有する。
【0015】
収容部11に収容されている第1のインク及び収容部12に収容されている第2のインクは、流路を介してサブタンク20に供給され、サブタンク20から吐出部4に供給される。また、液体吐出装置は電磁弁9を有し、電磁弁9により、第1のインクと第2のインクのどちらをサブタンク20に供給するか切り替えられる。
【0016】
電磁弁9の配置箇所としては、適宜選択することができるが、図1に図示されるように、サブタンク20の直前(インクがサブタンクに入る前)であることが好ましい。サブタンク20の直前に電磁弁9を設置することで、弁の切り替えによる圧力変動を抑えることができる。
【0017】
電磁弁9による弁の切り替え(言い換えると、サブタンク20に供給される第1のインクと第2のインクの切り替え)は、供給制御手段90により制御される。供給制御手段90としては、例えばCPUが挙げられる。
なお、供給制御手段について図2を用いて詳細に説明する。図2は、供給制御手段の構成の一例を示す概略図である。図2に示す通り、供給制御手段90は、印刷ジョブの進行の状態及び印刷ジョブの有無を判断するジョブ判断部91と、ジョブ判断部91の判断結果に基づいて電磁弁における弁の切り替えに関する情報を電磁弁ドライバ93に送信することで電磁弁9における弁の切り替えを制御する電磁弁制御部92を有する。
【0018】
収容部11及び収容部12にそれぞれ収容される第1のインク及び第2のインクは同色であり、第1のインクの硬化性は第2のインクの硬化性より低い。
第1のインク及び第2のインクが同色である場合としては、第1のインク及び第2のインクの色が社会通念上同じ色であると認識されれば足り、所定の測定装置で測色した場合において完全に同一の色であると判断される場合に限られない。例えば、第1のインク及び第2のインクが共にマゼンタインクとして販売又は流通等されている場合、第1のインク及び第2のインクは同色であると判断される。
インクの硬化性を比較する方法としては、特に限定されないが、一例として、同一の印刷条件で形成されたインクの硬化物の表面における物理的特性を試験する方法が挙げられる。インクの硬化物の表面における物理的特性を試験する方法としては、例えば、表面を綿棒などで擦り、表面に形成される傷の有無、ベタつきの有無などを確認する方法が挙げられる。また、別の一例としては、同一の印刷条件で形成されたインクの硬化物における重合度を測定する方法が挙げられる。インクの硬化物における重合度を測定する方法としては、特に限定されないが、例えば、赤外分光法により測定する方法などが挙げられる。具体的には、=CH面外変角振動に対応する820~800cm-1のピーク値、=CH面内変角振動に対応する1430~1400cm-1のピーク値、又はC=Cに対応する1640~1620cm-1のピーク値などを読み取り、未硬化時(未照射時)の数値と比較することで算出する。
【0019】
上記の通り、第1のインクの硬化性は第2のインクの硬化性より低いが、より具体的には、インクの硬化に要する積算光量は、前記第2のインクの硬化に要する積算光量に対して3倍以上であることが好ましい。なお、本開示において、インクの硬化に要する積算光量は次のようにして求める。まず、インクに対して、所定の照度の活性エネルギー線を照射することで、硬化物の表面を綿棒で擦った際に、表面に傷が形成されず且つベタつきも無い状態まで硬化させる。次に、当該状態に至るまでに照射されていた活性エネルギー線の照度(mW/cm)及び照射時間(秒)を乗ずることで積算光量(mJ/cm)を算出する。なお、照度は照度計により測定する。
【0020】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る液体吐出装置は、活性エネルギー線を照射されることで硬化するインクを複数有する第1のインクセット及び第2のインクセットと、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドへの前記液体の供給を制御する供給制御手段と、を有する。また、必要に応じて、その他手段又は構成を有してもよい。なお、第1の実施形態と同様の手段又は構成については、その説明を省略する。
【0021】
図3は、第2の実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略図である。本実施形態の液体吐出装置は、インクステーション10a及びインクステーション10bを有する。インクステーション10aは、第1のインクセットを構成するインクを収容している収容部11a及び第2のインクセットを構成するインクを収容している収容部12aを有する。インクステーション10bは、第1のインクセットを構成するインクを収容している収容部11b及び第2のインクセットを構成するインクを収容している収容部12bを有する。
【0022】
収容部11aに収容されている第1のインクセットを構成するインク及び収容部12aに収容されている第2のインクセットを構成するインクは、流路を介してサブタンク20aに供給され、サブタンク20aから吐出部4aに供給される。また、液体吐出装置は電磁弁9aを有し、電磁弁9aにより、第1のインクセットを構成するインクと第2のインクセットを構成するインクのどちらをサブタンク20aに供給するか切り替えられる。
【0023】
収容部11bに収容されている第1のインクセットを構成するインク及び収容部12bに収容されている第2のインクセットを構成するインクは、流路を介してサブタンク20bに供給され、サブタンク20bから吐出部4bに供給される。また、液体吐出装置は電磁弁9bを有し、電磁弁9bにより、第1のインクセットを構成するインクと第2のインクセットを構成するインクのどちらをサブタンク20bに供給するか切り替えられる。
【0024】
第1のインクセット及び前記第2のインクセットは、それぞれ対応する同色のインクを少なくとも1つずつ有する。具体的には、第1のインクセットを構成するインク及び第2のインクセットを構成するインクの組み合わせとして、同色であるインクの組み合わせが1セット以上ある場合を表す。より具体的には、例えば、第1のインクセットがマゼンタインク、シアンインク、イエローインク、及びブラックインクを有する場合、第2のインクセットは第1のインクセットに対応する同色のインクであるマゼンタインク、シアンインク、イエローインク、及びブラックインクを有することができる。
第1のインクセットを構成するインク及び第2のインクセットを構成するインクが同色である場合としては、第1のインクセットを構成するインク及び第2のインクセットを構成するインクの色が社会通念上同じ色であると認識されれば足り、所定の測定装置で測色した場合において完全に同一の色であると判断される場合に限られない。例えば、第1のインクセットを構成するインク及び第2のインクセットを構成するインクが共にマゼンタインクとして販売又は流通等されている場合、第1のインクセットを構成するインク及び第2のインクセットを構成するインクは同色であると判断される。
【0025】
同一の吐出部にインクを供給する複数の収容部に収容されているインクは同色である。具体的には、吐出部4aにインクを供給する収容部11aに収容されている第1のインクセットを構成するインク及び収容部12aに収容されている第2のインクセットを構成するインクは同色である。同様に、吐出部4bにインクを供給する収容部11bに収容されている第1のインクセットを構成するインク及び収容部12bに収容されている第2のインクセットを構成するインクは同色である。
【0026】
第1のインクセット及び第2のインクセットにおける、それぞれ対応する同色のインク同士を比較したときに、第1のインクセットのインクの硬化性は、第2のインクセットのインクの硬化性より低い。具体的には、収容部11aに収容されている第1のインクセットを構成するインクの硬化性は、収容部12aに収容されている第2のインクセットを構成するインクの硬化性より低い。同様に、収容部11bに収容されている第1のインクセットを構成するインクの硬化性は、収容部12bに収容されている第2のインクセットを構成するインクの硬化性より低い。
インクセットを構成するインクの硬化性硬化性を比較する方法としては、第一の実施形態において説明した手法と同様の手法を用いることができる。
【0027】
<制御例>
次に、本発明の液体吐出装置における制御の一例について説明する。
まず、図1に示す実施形態(第1の実施形態)についてインク供給の制御例を説明する。本実施形態は第1のインクと第2のインクを有する例である。第1のインクと第2のインクは同色であり、第1のインクの硬化性は第2のインクの硬化性よりも低い。
【0028】
まず、図4を用いて制御の一例を説明する。図4は、第1の実施形態におけるインク供給の制御の一例を示すフローチャートである。
本実施形態において、印刷開始前から印刷開始時における液体吐出装置の液体吐出ヘッドには第1のインクが充填されている。このような液体吐出装置において印刷ジョブが受信されると印刷が開始される(S1)。次に、印刷開始後において(好ましくは、印刷開始に伴って)、液体吐出装置における供給制御手段は、液体吐出ヘッドへの第2のインクの供給を開始させ、これに伴って液体吐出ヘッドへの第1のインクの供給を抑制又は停止させる(S2)。次に、供給制御手段におけるジョブ判断部が、印刷ジョブの進行の状態を判断し、印刷終了前ではないと判断した場合(S3のNoの場合)は第2のインクの供給を継続する。一方で、印刷終了前であると判断した場合(S3のYesの場合)は、供給制御手段におけるジョブ判断部が、次の印刷ジョブの有無を判断し、次の印刷ジョブがあると判断した場合(S4のNoの場合)は第2のインクの供給を継続する。一方で、次の印刷ジョブがないと判断した場合(S4のYesの場合)は、液体吐出装置における供給制御手段は、液体吐出ヘッドへの第1のインクの供給を開始させ、これに伴って液体吐出ヘッドへの第2のインクの供給を抑制又は停止させる(S5)。その後、印刷が終了し、これにより、印刷終了時から印刷終了後における液体吐出ヘッドには再び第1のインクが充填されている。
【0029】
上記について、図5を用いて更に説明する。図5は、横軸を時間、縦軸を液体吐出ヘッドに充填されているインクの量(充填量)としたタイムチャートの一例である。図5中、第1のインクの充填量を実線で示しており、第2のインクの充填量を破線で示している。
【0030】
図5の(a)~(e)は以下の通りである。
(a)印刷の指示を受けて印刷を開始する時点(「印刷開始時」とも称する)
(b)液体吐出ヘッド内に第2のインクが最大量充填された時点(「入替完了時(1)」とも称する)
(c)印刷終了に向けて第1のインクの供給を開始する時点(「印刷終了前」とも称する)
(d)液体吐出ヘッド内に第1のインクが最大量充填された時点(「入替完了時(2)」とも称する)
(e)印刷が終了した時点(「印刷終了時」とも称する)
なお、(a)より前を「印刷開始前」と称し、(a)~(e)の間を「印刷中」と称し、(e)より後を「印刷終了後」と称する。また、(a)~(b)の間を「印刷初期」と称し、(b)~(c)の間を「印刷中期」と称し、(c)~(d)の間を「印刷後期」と称し、(d)~(e)の間を「印刷終期」と称する。
【0031】
図5に示すように、印刷開始前((a)より前)は液体吐出ヘッドに第1のインクを充填している。一方、印刷開始前において、第2のインクは液体吐出ヘッドに充填されていない又は充填されていても微量である。上述のように、第1のインクの硬化性は第2のインクの硬化性よりも低くなっており、すなわち、第1のインクは第2のインクよりも硬化しにくい。これにより、印刷開始前の装置休止時において、外光等によりノズル内又はノズル近傍でインクが硬化することを抑制することができ、結果として、インクを液体吐出ヘッドからしばらく吐出しなかった場合であっても、インクの吐出性の低下が抑制される液体吐出装置を提供することができる。
【0032】
次いで、印刷開始後の印刷初期((a)~(b)の間)では、印刷開始に伴って液体吐出ヘッドに第2のインクの供給が開始される。第2のインクを供給する方法としては、上述のように、例えば、電磁弁9を切り替えて、インクステーション10の収容部12から第2のインクを供給する方法が挙げられる。これにより、図5に示すように、液体吐出ヘッド内では第2のインクの充填量が増加し、印刷中におけるインクの硬化性が向上し、生産性が向上する。
なお、印刷開始前における液体吐出ヘッドには第1のインクが充填されているが、印刷開始に伴って第1のインクが液体吐出ヘッドから吐出され、液体吐出ヘッドにおける第1のインクの充填量が減少する。
【0033】
このように、印刷開始後の印刷初期((a)~(b)の間)では、液体吐出ヘッド内の第1のインクの充填量が減少し、第2のインクの充填量が増加する。そして、(b)液体吐出ヘッド内に第2のインクが最大量充填された時点(入替完了時(1))となる。なお、印刷初期((a)~(b)の間)では主に第1のインクが吐出され、印刷中期((b)~(c)の間)では主に第2のインクが吐出されるが、第1のインクと第2のインクは同色であるため画像品質上の問題は生じにくい。
【0034】
次いで、印刷後期((c)~(d)の間)では、印刷終了に向けて、液体吐出ヘッドへの第1のインクの供給が開始される。第1のインクを供給する方法としては、上述のように、例えば、電磁弁9を切り替えて、インクステーション10の収容部11から第1のインクを供給する方法が挙げられる。これにより、図5に示すように、液体吐出ヘッド内では第1のインクの充填量が増加する。
なお、印刷終了前(C)のタイミングとしては、適宜選択することができる。例えば、印刷するチャートから使用するインク量が把握できるため、サブタンク内及び液体吐出ヘッド内における第1のインクの充填量を最大にできるタイミングが挙げられる。
【0035】
このように、印刷後期((c)~(d)の間)では、液体吐出ヘッド内の第2のインクの充填量が減少し、第1のインクの充填量が増加する。そして、(d)液体吐出ヘッド内に第1のインクが最大量充填された時点(入替完了時(2))となる。入替完了時(2)は、(e)印刷終了時より前であることが好ましい。これにより、装置休止時(印刷終了後)に液体吐出ヘッドのノズル内に第1のインクが充填された状態にすることができ、外光等によりノズル内又はノズル近傍でインクが硬化することを抑制することができ、結果として、インクを液体吐出ヘッドからしばらく吐出しなかった場合であっても、インクの吐出性の低下が抑制される液体吐出装置を提供することができる。ただし、液体吐出ヘッド内に第1のインクが最大量充填される前に印刷を終了してもよい。この場合、第1のインクを供給しつつ、画像形成に寄与しない吐出を行い、液体吐出ヘッド内が第1のインクが充填された状態にすることが好ましい。
なお、装置休止時において、外光等によりノズル内又はノズル近傍でインクが硬化することを抑制する本発明以外の方法としては、例えば、液体吐出ヘッド内にインクの代わりに洗浄液又は純水等を充填する方法が挙げられる。しかし、このような方法では、インク、洗浄液、水等の消費が生じ、更に、印刷開始までのダウンタイムが増加するため、本発明の方法がより優れる。
【0036】
次いで、印刷終期((d)~(e)の間)を経て、印刷が終了する((e)印刷終了時)。印刷終了時において、第2のインクは液体吐出ヘッドに充填されていない又は充填されていても微量である。なお、印刷後期((c)~(d)の間)では主に第2のインクが吐出され、印刷終期((d)~(e)の間)では主に第1のインクが吐出されるが、第1のインクと第2のインクは同色であるため画像品質上の問題は生じにくい。
【0037】
なお、本実施形態では、(b)液体吐出ヘッド内に第2のインクが最大量充填された時点に至る前に、(c)印刷終了に向けて第1のインクの供給を開始してもよい。
また、(b)の液体吐出ヘッド内に第2のインクが最大量充填された時点では、液体吐出ヘッド内が完全に第2のインクで充填されている場合に限られず、少量の第1のインクが充填されていてもよい。同様に、(d)の液体吐出ヘッド内に第1のインクが最大量充填された時点では、液体吐出ヘッド内が完全に第1のインクで充填されている場合に限られず、少量の第2のインクが充填されていてもよい。
また、図5で示されるタイムチャートにおける「液体吐出ヘッド中のインク充填量」は、液体吐出ヘッドへのインクの供給速度と液体吐出ヘッド内のインク容量により求めることができる。液体吐出ヘッド内のインク容量は、液体吐出ヘッド内のインク流路と液室の大きさ等により求めることができる。
【0038】
また、図3に示す実施形態(第2の実施形態)についても、図5に示すタイムチャートと同様にすることができる。本実施形態において、図5のタイムチャートにおける液体吐出ヘッド中のインク充填量は、インクセットの各インクについての充填量となる。例えば、図3のように2つの液体吐出ヘッドを有する場合、各液体吐出ヘッドについてそれぞれタイムチャートで示したような制御が行われる。
【0039】
次に、図1に示す実施形態(第1の実施形態)について照射手段による活性エネルギー線の照射光量の制御例を説明する。
第1の実施形態において、光量制御手段は、第1のインクを使用して印刷するときの照射光量を第2のインクを使用して印刷するときの照射光量よりも高くなるよう制御することが好ましい。
【0040】
上記について、図6を用いて説明する。図6は、横軸を時間、縦軸を照射手段における照射光量及び記録媒体の搬送速度としたタイムチャートの一例である。図6中、照射光量を実線で示しており、搬送速度を破線で示している。また、図6中の(a)~(e)は、図5中の(a)~(e)に対応する。
【0041】
本実施例のタイムチャートにおいて、(a)~(b)の間における初期は、硬化性が低い第1のインクが主に吐出されているため、照射光量が高い状態となるようにする。その後、液体吐出ヘッドへの第2のインクの供給開始に伴って(吐出されるインクが第1のインクから硬化性が高い第2のインクに置き換わっていくのに伴って)照射光量を徐々に減少させる。
【0042】
次いで、(b)~(c)の間においては、硬化性が高い第2のインクが主に吐出されているため、照射光量が低い状態を維持する。これにより、照射手段における消費エネルギーを低減することができる。
【0043】
次いで、(c)~(d)の間における初期は、硬化性が高い第2のインクが主に吐出されているため、照射光量が低い状態となるようにする。その後、液体吐出ヘッドへの第1のインクの供給開始に伴って(吐出されるインクが第2のインクから硬化性が低い第1のインクに置き換わっていくのに伴って)照射光量を徐々に増加させる。
【0044】
次いで、(d)~(e)の間においては、硬化性が低い第1のインクが主に吐出されているため、照射光量が高い状態を維持する。
【0045】
なお、本実施例のタイムチャートにおいて、搬送速度は一定である。
【0046】
また、図3に示す実施形態(第2の実施形態)についても、図6に示すタイムチャートと同様にすることができる。例えば、図3のように2つの照射手段を有する場合、各照射手段についてそれぞれタイムチャートで示したような制御が行われる。
【0047】
<インク>
第1の実施形態で用いる第1のインク及び第2のインクと、第2の実施形態で用いる第1のインクセットを構成するインク及び第2のインクセットを構成するインクと、について説明する。これらを区別せずに説明する場合、以降の説明では単にインクと称する。また、第1のインク及び第1のインクセットを構成するインクを区別せずに説明する場合、以降の説明では硬化性の低いインクと称し、第2のインク及び第2のインクセットを構成するインクを区別せずに説明する場合、以降の説明では硬化性の高いインクと称する。
【0048】
インクは、活性エネルギー線を照射されることで硬化する液体組成物であり、重合性化合物及び重合開始剤を含み、必要に応じて、重合禁止剤、顔料、分散剤、及びその他成分を含む。
【0049】
-重合性化合物-
重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性不飽和モノマー化合物、重合性オリゴマーなどが挙げられる。
【0050】
--重合性不飽和モノマー化合物--
重合性不飽和モノマー化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一官能の重合性不飽和モノマー化合物、二官能の重合性不飽和モノマー化合物、三官能の重合性不飽和モノマー化合物、四官能以上の重合性不飽和モノマー化合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
一官能の重合性不飽和モノマー化合物としては、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルグリコールモノアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチルアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
二官能の重合性不飽和モノマー化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0053】
三官能の重合性不飽和モノマー化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0054】
四官能以上の重合性不飽和モノマー化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0055】
重合性不飽和モノマー化合物としては、一官能の重合性不飽和モノマー化合物よりも多官能の重合性不飽和モノマー化合物の方が硬化速度を速めることができるが、インクの粘度が高くなる場合や、体積収縮が大きくなる場合がある。そのため、できるだけ低粘度にできる重合性不飽和モノマー化合物を使用することが好ましい。
【0056】
重合性不飽和モノマー化合物の硬化物における体積収縮率としては、15体積%以下が好ましく、8体積%以下がより好ましい。
【0057】
重合性不飽和モノマー化合物における皮膚刺激性(P.I.I.)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0以下が好ましい。皮膚刺激性が、1.0以下であると、皮膚への刺激を少なくでき、安全性を向上できる。
【0058】
重合性不飽和モノマー化合物の色相としては、ガードナーグレイスケールが2以下であることが好ましく、無色透明がより好ましい。ガードナーグレイスケールが2以下であると、画像部の色彩が変わることを防止できる。なお、ガードナーグレイスケールとしては、JIS-0071-2(化学製品の色試験方法-ガードナー色数試験方法)に準じて測定することができる。
【0059】
重合性不飽和モノマー化合物の含有量としては、インクの質量に対して、50質量%以上90質量%以下が好ましく、65質量%以上85質量%以下がより好ましい。
【0060】
--重合性オリゴマー--
重合性オリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を1個以上有することが好ましい。なお、オリゴマーとは、モノマー構造単位の繰り返し数が2以上20以下の重合体を意味する。重合性オリゴマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリスチレン換算で、1,000以上30,000以下が好ましく、5,000以上20,000以下がより好ましい。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0061】
重合性オリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリルオリゴマー(例えば、芳香族ウレタンアクリルオリゴマー、脂肪族ウレタンアクリルオリゴマー等)、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、その他の特殊オリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、不飽和炭素-炭素結合が2個以上5個以下のオリゴマーが好ましく、不飽和炭素-炭素結合が2個のオリゴマーがより好ましい。不飽和炭素-炭素結合の数が、2個以上5個以下であると、良好な硬化性を得ることができる。
【0062】
重合性オリゴマーとしては、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、日本合成化学工業株式会社製のUV-2000B、UV-2750B、UV-3000B、UV-3010B、UV-3200B、UV-3300B、UV-3700B、UV-6640B、UV-8630B、UV-7000B、UV-7610B、UV-1700B、UV-7630B、UV-6300B、UV-6640B、UV-7550B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7610B、UV-7630B、UV-7640B、UV-7650B、UT-5449、UT-5454;サートマー社製のCN902、CN902J75、CN929、CN940、CN944、CN944B85、CN959、CN961E75、CN961H81、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN963E80、CN963J85、CN964、CN965、CN965A80、CN966、CN966A80、CN966B85、CN966H90、CN966J75、CN968、CN969、CN970、CN970A60、CN970E60、CN971、CN971A80、CN971J75、CN972、CN973、CN973A80、CN973H85、CN973J75、CN975、CN977、CN977C70、CN978、CN980、CN981、CN981A75、CN981B88、CN982、CN982A75、CN982B88、CN982E75、CN983、CN984、CN985、CN985B88、CN986、CN989、CN991、CN992、CN994、CN996、CN997、CN999、CN9001、CN9002、CN9004、CN9005、CN9006、CN9007、CN9008、CN9009、CN9010、CN9011、CN9013、CN9018、CN9019、CN9024、CN9025、CN9026、CN9028、CN9029、CN9030、CN9060、CN9165、CN9167、CN9178、CN9290、CN9782、CN9783、CN9788、CN9893;ダイセル・サイテック株式会社製のEBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、KRM8200、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、KRM7735、KRM8296、KRM8452、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL9270、EBECRYL8311、EBECRYL8701などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、市販品ではなく、合成により得た合成品を使用することもでき、合成品及び市販品を併用することもできる。
【0063】
重合性オリゴマーにおける皮膚刺激性(P.I.I.)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0以下が好ましい。皮膚刺激性が、1.0以下であると、皮膚への刺激を少なくでき、安全性を向上できる。
【0064】
重合性オリゴマーの色相としては、ガードナーグレイスケールが2以下であることが好ましく、無色透明がより好ましい。ガードナーグレイスケールが2以下であると、画像部の色彩が変わることを防止できる。なお、ガードナーグレイスケールとしては、JIS-0071-2(化学製品の色試験方法-ガードナー色数試験方法)に準じて測定することができる。
【0065】
重合性オリゴマーの含有量としては、インクの質量に対して、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。含有量が、10質量%以下であると、得られる硬化物の硬度を高くできる。
【0066】
-重合開始剤-
重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
【0067】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV-LEDランプなど硬化のための露光ランプの波長特性に合わせて選択することが好ましく、薄膜時に酸素阻害を受けにくい点から、チオ化合物が好ましく、チオキサントン化合物(チオキサントン系重合開始剤)がより好ましい。
【0068】
重合開始剤としては、市販品を使用することもでき、市販品としては、例えば、BASF社製のイルガキュア819、イルガキュア369、イルガキュア907、DarocurITX、ルシリンTPO、Stauffer Chemical社製のVicure 10、30などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0069】
チオキサントン系重合開始剤としては、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、Speedcure DETX(2,4-ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2-イソプロピルチオキサントン)(以上、Lambson社製);KAYACURE DETX-S(2,4-ジエチルチオキサントン)(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
【0070】
また、重合開始剤としては、(i)活性エネルギー線の吸収効率が高い、(ii)重合性不飽和モノマー化合物への溶解性が高い、(iii)臭気、黄変、及び毒性が低い、(iv)暗反応を起こさない、などの特性を有するものが好ましい。
【0071】
上記の硬化性の低いインクに含まれる重合開始剤の質量の、硬化性の低いインクの質量に対する割合(質量%)は、上記の硬化性の高いインクに含まれる重合開始剤の質量の、硬化性の高いインクの質量に対する割合(質量%)に対して50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましく、20%以下であることが特に好ましい。これにより、インク間において硬化性の差を設けることができる。
【0072】
具体的には、硬化性の低いインクを用いる場合、重合開始剤の含有量としては、インクの質量に対して、0.5質量%以上10.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下がより好ましい。
また、硬化性の高いインクを用いる場合、重合開始剤の含有量としては、インクの質量に対して、3.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上21.0質量%以下がより好ましい。
【0073】
なお、重合開始剤に加え、重合促進剤を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、p-ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸-2-ジメチルアミノエチル、p-ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル等のアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0074】
-重合禁止剤-
重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、ジ-t-ブチルハイドロキノン、メトキノン、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、p-ベンゾキノン、ジ-t-ブチルジフェニルアミン、9,10-ジ-n-ブトキシシアントラセン、4,4’-〔1,10-ジオキソ-1,10-デカンジイルビス(オキシ)〕ビス〔2,2,6,6-テトラメチル〕-1-ピペリジニルオキシ、p-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールなどが挙げられる。
【0075】
重合禁止剤の含有量としては、重合開始剤全量に対して、0.005質量%以上3.0質量%以下が好ましい。含有量が、0.005質量%以上であると、保存安定性を向上でき、高温環境下で粘度の上昇を抑制でき、3.0質量%以下であると、硬化性を向上できる。
【0076】
なお、硬化性の低いインクでは重合禁止剤を含み、硬化性の高いインクでは重合禁止剤を実質的に含まないことが好ましい。これにより、インク間において硬化性の差を設けることができる。インクが重合禁止剤を実質的に含まないとは、インクの製造時における材料として積極的に重合禁止剤を用いていないこと又はインクにおける重合禁止剤の含有量が公知かつ技術常識の手法を用いた場合において検出限界以下であることを表す。
【0077】
-顔料-
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料などを用いることができる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。但し、クリアインクを用いる場合は顔料等の色材を含まない。
【0078】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
【0079】
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
【0080】
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50~250nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インクにおける吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
【0081】
-分散剤-
インクが顔料を含む場合、顔料分散性を良好にするために、分散剤が用いられてもよい。
【0082】
分散剤としては、高分子分散剤が好ましく、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル系ポリマー及びコポリマーが好ましく、顔料への吸着性の点から、5mgKOH/g以上の酸価であり、かつ10mgKOH/g以上のアミン価であるアクリルブロック共重合体がより好ましい。
【0083】
市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズ、日本ルーブルリゾール株式会社(アベシア社、ノベオン社)のソルスパーズシリーズ(商品名:ソルスパース 32000(酸価:15.5mgKOH/g、アミン価:31.2mgKOH/g)、商品名:ソルスパース39000(酸価:33mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g)等)、ビックケミージャパン株式会社製のDISPERBYKシリーズ((商品名:DISPERBYK-168、酸価:0mgKOH/g、アミン価:11mgKOH/g)、(商品名:DISPERBYK-167、酸価:0mgKOH/g、アミン価:13mgKOH/g)等)、BYKJETシリーズ、楠本化成株式会社製のディスパロンシリーズなどが挙げられる。
【0084】
-その他成分-
その他の成分としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の、有機溶剤、スリップ剤(界面活性剤)、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤などが挙げられる。
【0085】
--界面活性剤--
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の含有量としては、インクの質量に対して、0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1質量%以下がより好ましい。含有量が、0.1質量%以上であると、ぬれ性を向上でき、3質量%以下であると、硬化性を向上できる。
【0086】
--有機溶剤--
インクは、有機溶剤を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶剤を含まない(例えば、VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)ことにより、硬化膜中に揮発性の有機溶剤の残留が無くなり、印刷現場の安全性が得られ、環境汚染防止を図ることが可能となる。なお、「有機溶剤」とは、一般的に揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれているものを意味し、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどが挙げられ、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶剤を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、その含有量が、0.1質量%未満であることが好ましい。
【0087】
-インクの物性-
インクの25℃における静的表面張力は、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、28mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。静的表面張力は、静的表面張力計(協和界面科学株式会社製、CBVP-Z型)を使用し、25℃で測定できる。静的表面張力は、例えば、リコープリンティングシステムズ株式会社製GEN4など、市販のインクジェット吐出ヘッドの仕様を想定したものである。
【0088】
-インクの製造方法-
インクの製造方法としては、顔料、分散剤及び重合性化合物をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどのメディアを用いた分散機に投入し、分散、混練して顔料分散液を調製し、これに、さらに重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合することにより得ることができる。また、ディスパー、ホモジナイザー等のメディアレス分散装置を用いてもよい。
【実施例0089】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0090】
<顔料分散液の調整例>
-シアン顔料分散液の調製-
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)39.5質量部、高分子顔料分散剤(「DISPERBYK-168」、BYK社製)1.5質量部、及びシアン顔料(「LIONOL BLUE FG-7330」、トーヨーカラー株式会社製)9.0質量部を添加し、撹拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、シアン顔料分散液を調製した。得られたシアン顔料分散液中のシアン顔料の固形分濃度は18質量%であった。
【0091】
-マゼンタ顔料分散液の調製-
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)42.2質量部、高分子顔料分散剤(「DISPERBYK-168」、BYK社製)1.8質量部、及びマゼンタ顔料(「Cinquasia Pink K4410」、BASF社製)6.0質量部を添加し、撹拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、マゼンタ顔料分散液を調製した。得られたマゼンタ顔料分散液中のマゼンタ顔料の固形分濃度は12質量%であった。
【0092】
-イエロー顔料分散液の調製-
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)42.5質量部、高分子顔料分散剤(「DISPERBYK-168」、BYK社製)2.8質量部、及びイエロー顔料(「PigmentYellow155」、クラリアント社製)6.0質量部を添加し、撹拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、イエロー顔料分散液を調製した。得られたイエロー顔料分散液中のイエロー顔料の固形分濃度は12質量%であった。
【0093】
-ブラック顔料分散液の調製-
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)37.5質量部、高分子顔料分散剤(「ソルスパーズ39000」、ルーブリゾール社製)3.5質量部、ブラック顔料(「MA11」、三菱化学株式会社製)9.0質量部を添加し、撹拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、ブラック顔料分散液を調製した。得られたブラック顔料分散液中のブラック顔料の固形分濃度は18質量%であった。
【0094】
-ホワイト顔料分散液の調製-
フェノキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)29.0質量部、高分子顔料分散剤(「ソルスパーズ24000GR」、ルーブリゾール社製)0.6質量部、高分子顔料分散剤(「アジスパーPB881」、味の素ファインテック株式会社製)0.4質量部、酸化チタン(「チタニックスJR-301」、テイカ社製、シリカ存在量3質量%、アルミナ存在量1質量%)20.0部を添加し、撹拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで2時間撹拌処理し、ホワイト顔料分散液を調製した。得られたホワイト顔料分散液中のホワイト顔料の固形分濃度は40質量%であった。
【0095】
<インク及びインクセットの作製例>
下記表1~4に示す処方の材料を用い、常法により各インクを作製した。また、下記表1~4に示す複数のインクを組み合わせることでインクセットを作製した。
なお、下記表1~4に示す各種処方の数値の単位は「質量%」である。また、下記表1~4に示す顔料分散液の含有量は全量としての表示であり固形分量としての表示ではない。
【0096】
また、下記表1に示す各材料の詳細は以下の通りである。
【0097】
-重合性化合物-
・CN963J85(ウレタンアクリレートオリゴマー、サートマー社製)
・ACMO(アクリロイルモルホリン、興人株式会社製)
・IBXA(イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・PEA(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
・CTFA(環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製)
【0098】
-重合禁止剤-
・MEHQ(p-メトキシフェノール、東京化成社製)
【0099】
-重合開始剤-
・819(DAIDO UV-CURE 819、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、大同化成工業株式会社製)
・APO(DAIDO UV-CURE APO、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、大同化成工業株式会社製)
・DETX(2,4-ジエチルチオキサントン、大同化成工業株式会社製)
【0100】
<印刷の実行>
(インク実施例1-1~5-6、インク比較例1-1~1-6)
(インクセット実施例1~5、インクセット比較例1)
インクジェット印刷装置(RICOH Pro TF6250、株式会社リコー製)を改造し、図1に示すような、インクジェットヘッドに対して同色の第1のインク及び第2のインクが供給されるようにした。また、第1のインクを収容している収容部及び第2のインクを収容している収容部と、インクジェットヘッドと、を接続するインクの供給経路に電磁弁を設け、インクジェットヘッドに対する第1のインク及び第2のインクの供給を切替できるようにした。また、この電磁弁により、インクジェットヘッド中における第1のインク及び第2のインクの充填量が図5に示すタイムチャートのようになるようにインクジェット印刷装置を改造した。
次に、インクジェット印刷装置に対し、下記表1~4に示す組み合わせとなるように第1のインク及び第2のインクを充填し、照射光量が図6に示すタイムチャートのようになるように印刷を行った。被印刷物としては、ポリカーボネート基材(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ユーピロン100FE2000マスキング、厚み100μm)を使用し、この被印刷物上に厚み約12μmのベタ画像を印刷し、当該印刷を1000枚分行った。
なお、実施例における第1のインクの硬化性は第2のインクの硬化性より低く、比較例における第1のインクの硬化性は第2のインクの硬化性より高かった。具体的には、各インクの硬化に要する積算光量は、下記表1~4に示す通りであった。
【0101】
[堅牢性]
1枚目の印刷画像(インクジェットヘッドに第1のインクが充填されており、これが吐出されて形成された画像)と、500枚目の印刷画像(インクジェットヘッドに第2のインクが充填されており、これが吐出されて形成された画像)と、を取得し、これらの画像表面を綿棒で擦って表面の状態を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:表面に傷がつかない
B:表面に傷はつかないが、僅かにべとつきがある
C:表面に僅かに傷がつき、べとつきがある
D:表面に傷がつき、画像の一部が転写される
【0102】
[印刷中期の吐出安定性]
800枚目の印刷が完了した後(インクジェットヘッドに第2のインクが充填されているとき)、ノズル欠け測定用チャートを印刷し、吐出乱れ及び不吐出の状態を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:吐出乱れ又は不吐出は全くみられない
B:1ノズル以下の吐出乱れ又は不吐出がある
C:2ノズル以上29ノズル以下の吐出乱れ又は不吐出がある
D:30ノズル以上の吐出乱れ又は不吐出がある
【0103】
[休止後の吐出安定性]
100枚目の印刷が完了した後(インクジェットヘッドに第1のインクが充填されているとき)、インクジェット印刷装置を48時間休止状態にし、その後、ノズル欠け測定用チャートを印刷し、吐出乱れ及び不吐出の状態を下記評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A+:吐出乱れ又は不吐出は全くみられない
A:1ノズル以上3ノズル以下の吐出乱れ又は不吐出がある
B:4ノズル以上10ノズル以下の吐出乱れ又は不吐出がある
C:11ノズル以上99ノズル以下の吐出乱れ又は不吐出がある
D:100ノズル以上の吐出乱れ又は不吐出がある
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【符号の説明】
【0108】
1 送出部
2 記録媒体
3 搬送ローラー
4 吐出部
4a 吐出部
4b 吐出部
5 照射部
6 巻取部
9 電磁弁
9a 電磁弁
9b 電磁弁
10 インクステーション
10a インクステーション
10b インクステーション
11 第1のインクを収容している収容部
11a 第1のインクセットを構成するインクを収容している収容部
11b 第1のインクセットを構成するインクを収容している収容部
12 第2のインクを収容している収容部
12a 第2のインクセットを構成するインクを収容している収容部
12b 第2のインクセットを構成するインクを収容している収容部
20 サブタンク
20a サブタンク
20b サブタンク
50 光量制御手段
90 供給制御手段
91 ジョブ判断部
92 電磁弁制御部
93 電磁弁ドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特表2010-521330号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6