(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020054
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20230202BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20230202BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20230202BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/50
H01L33/60
H01L21/52 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125207
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】三橋 信也
(72)【発明者】
【氏名】古川 拓宙
【テーマコード(参考)】
5F047
5F142
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047BA23
5F047BA33
5F047BA34
5F047BA51
5F047CA08
5F142AA82
5F142BA32
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE04
5F142CE06
5F142CE08
5F142CE22
5F142CE32
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG26
5F142CG32
5F142CG43
5F142DA12
5F142DA22
5F142DA35
5F142DB17
5F142DB18
5F142EA02
5F142EA34
5F142FA18
5F142FA21
5F142FA46
(57)【要約】
【課題】安価な発光装置の提供。
【解決手段】第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを含む半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2面に配置される電極と、を含む発光素子を有し、前記半導体積層体の側面が樹脂部材で覆われた発光装置の製造方法であって、支持体上にAステージ状態の樹脂層を配置する、樹脂層配置工程と、前記樹脂層の上面と、前記第1面とを対向させて、前記樹脂層の上に前記発光素子を載置する、発光素子載置工程と、前記樹脂層に前記半導体積層体の少なくとも一部が埋設され、前記樹脂層から前記第2面が露出するように、前記発光素子に荷重をかける、荷重印加工程と、前記荷重をかけずに、前記樹脂層を第1温度で加熱して、前記樹脂層の粘度を低下させる、第1加熱工程と、前記樹脂層を、前記第1温度よりも高い第2温度で加熱して、前記樹脂層から前記第2面が露出した状態で硬化することで前記樹脂部材を形成する、第2加熱工程と、を含む発光装置の製造方法。
【選択図】
図1H
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを含む半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2面に配置される電極と、を含む発光素子を有し、前記半導体積層体の側面が樹脂部材で覆われた発光装置の製造方法であって、
支持体上にAステージ状態の樹脂層を配置する、樹脂層配置工程と、
前記樹脂層の上面と、前記第1面とを対向させて、前記樹脂層の上に前記発光素子を載置する、発光素子載置工程と、
前記樹脂層に前記半導体積層体の少なくとも一部が埋設され、前記樹脂層から前記第2面が露出するように、前記発光素子に荷重をかける、荷重印加工程と、
前記荷重をかけずに、前記樹脂層を第1温度で加熱して、前記樹脂層の粘度を低下させる、第1加熱工程と、
前記樹脂層を、前記第1温度よりも高い第2温度で加熱して、前記樹脂層から前記第2面が露出した状態で硬化することで前記樹脂部材を形成する、第2加熱工程と、
を含む発光装置の製造方法。
【請求項2】
製造すべき発光装置に応じて、前記発光素子及び前記樹脂層を構成する樹脂を選択し、前記樹脂層配置工程における樹脂層のAステージ状態、前記荷重印加工程における発光素子の埋設量、前記第1加熱工程における第1温度、及び前記第2加熱工程における第2温度を設定する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
製造すべき発光装置に応じて、選択すべき発光素子と樹脂層を構成する樹脂、前記樹脂層配置工程における樹脂層のAステージ状態、前記荷重印加工程における発光素子の埋設量、前記第1加熱工程における第1温度、及び前記第2加熱工程における第2温度を記憶したデータベースを準備するデータベース準備工程をさらに含み、
前記データベースを参照することにより、前記荷重印加工程における発光素子の埋設量、前記第1加熱工程における第1温度、及び前記第2加熱工程における第2温度を設定する、
請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1加熱工程おいて、前記樹脂層の上面および前記半導体積層体の第2面の位置を調整する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記荷重印加工程において、前記樹脂層の上面と、前記第1面とを対向させて、前記樹脂層に、前記半導体積層体の一部が埋設されるように、前記発光素子に荷重をかけ、
前記第1加熱工程において、前記発光素子の自重によって、前記半導体積層体の前記第2面が前記樹脂層から露出するように前記発光素子を沈ませる、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1加熱工程において、前記荷重印加工程において生じた前記発光素子周囲の前記樹脂層の盛り上がりの高さが、前記発光素子の電極の高さよりも低くなるように、前記盛り上がりの高さを下げる、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂層は、蛍光体を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂層の厚みは、半導体積層体の厚みよりも大きい、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂層配置工程は、前記支持体上に硬化された第1光反射層を形成し、その上に前記樹脂層を形成する工程を含む、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂層を硬化して前記樹脂部材を形成した後、さらに、前記第2面及び前記電極の側面を覆う第2光反射層を形成する工程を備える、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記発光素子の半導体積層体は、基板と、前記基板上に配置された半導体層とを含み、
前記荷重印加工程において、前記発光素子は、少なくとも前記基板の側面の一部が覆われるように前記樹脂層に埋設される、
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記発光素子の半導体積層体は、基板と、前記基板上に配置された半導体層とを含み、
前記荷重印加工程において、前記発光素子は、前記基板の側面と、前記半導体層の側面の一部とが覆われるように前記樹脂層に埋設される、
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを含む半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2面に配置される電極と、を含む発光素子を有し、前記半導体積層体の側面が樹脂部材で覆われた発光装置の製造装置であって、
支持体上に配置されたAステージ状態の樹脂層の上面に、前記第1面を対向させて、前記発光素子を配置する、発光素子載置部と、
前記発光素子に荷重をかける、荷重印加部と、
前記樹脂層を加熱する加熱部と、
前記荷重印加部により前記発光素子にかける荷重を、前記樹脂層に前記半導体積層体の少なくとも一部が埋設され、前記樹脂層から前記第2面が露出するように制御し、前記荷重をかけずに、前記樹脂層を第1温度で加熱して前記樹脂層の粘度を低下させ、その後前記樹脂層を、前記第1温度よりも高い第2温度で加熱して前記樹脂層から前記第2面が露出した状態で硬化させるよう前記加熱部を制御する制御部と、
を含む、製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を含む発光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子を含む発光装置の用途が拡大するに伴い、安価な発光装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本開示に係る発光装置の製造方法は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面と前記第2面との間の側面とを含む半導体積層体と、前記半導体積層体の前記第2面に配置される電極と、を含む発光素子を有し、前記半導体積層体の側面が樹脂部材で覆われた発光装置の製造方法であって、支持体上にAステージ状態の樹脂層を配置する、樹脂層配置工程と、前記樹脂層の上面と、前記第1面とを対向させて、前記樹脂層の上に前記発光素子を載置する、発光素子載置工程と、前記樹脂層に前記半導体積層体の少なくとも一部が埋設され、前記樹脂層から前記第2面が露出するように、前記発光素子に荷重をかける、荷重印加工程と、前記荷重をかけずに、前記樹脂層を第1温度で加熱して、前記樹脂層の粘度を低下させる、第1加熱工程と、前記樹脂層を、前記第1温度よりも高い第2温度で加熱して、前記樹脂層から前記第2面が露出した状態で硬化することで前記樹脂部材を形成する、第2加熱工程とを含む。
【発明の効果】
【0006】
以上により、発光装置を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1B】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1C】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1D】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1E】実施形態1に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1F】実施形態1に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置100の一例を示す模式断面図である。
【
図1G】実施形態1の変形例3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1H】実施形態1の変形例3に係る発光装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
【
図1I】実施形態1の変形例4に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図1J】実施形態1の変形例5に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置の一例を示す模式断面図である。
【
図2A】荷重印加工程における発光装置の埋設状態を示す模式断面図である。
【
図2B】荷重印加工程における発光装置の埋設状態を示す模式断面図である。
【
図3A】実施形態2に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図3B】実施形態2に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図3C】実施形態2に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図3D】実施形態2に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図3E】実施形態2に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図3F】実施形態2の発光装置の製造方法により得られる発光装置200の一例を示す模式断面図である。
【
図4A】実施形態1の変形例に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図4B】実施形態1の変形例に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置の一例を示す模式断面図である。
【
図5A】実施形態1の別の変形例に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図5B】実施形態1の別の変形例に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置の一例を示す模式断面図である。
【
図6A】実施形態3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図6B】実施形態3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図6C】実施形態3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図6D1】実施形態3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図6D2】実施形態3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図6E】実施形態3に係る発光装置の製造工程の一例を示す模式断面図である。
【
図6F】実施形態3に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置300の一例を示す模式断面図である。
【
図6G】実施形態3に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置300の一例を示す、発光面側から平面視した模式平面図である。
【
図6H】実施形態3に係る発光装置の製造方法により得られる発光装置300の一例を示す、端子電極側から平面視した模式平面図である。
【
図7】実施形態4に係る平面光源の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する発光装置の製造方法は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合もある。
【0009】
<実施形態1>
本開示に係る実施形態1の発光装置の製造方法を、
図1A~
図1Fを用いて説明する。本開示に係る実施形態1の発光装置の製造方法は、(i)例えば発光面である第1面11と、第1面11の反対側の第2面12と、第1面11と第2面12との間の側面13とを含み、基板15と半導体層16とを備えた半導体積層体10と、半導体積層体10の第2面12に配置される第1電極21と第2電極22とを含む電極20と、を備えた発光素子1と、(ii)半導体積層体10の少なくとも側面13を覆う樹脂部材30と、を含む発光装置100の製造方法である。
【0010】
本開示に係る実施形態の発光装置の製造方法は、
(a)支持体35上にAステージ状態の樹脂層31を配置する樹脂層配置工程と、
(b)支持体35上に配置されたAステージ状態の樹脂層31の上面と発光素子1の第1面11とを対向させて、樹脂層31の上面上に発光素子1を載置する発光素子載置工程と、
(c)樹脂層31に半導体積層体10の少なくとも一部が埋設され、樹脂層31から第2面12が露出するように、発光素子1に荷重をかける荷重印加工程と、
(d)発光素子1に荷重をかけずに、樹脂層31を第1温度で加熱して、樹脂層31の粘度を低下させる第1加熱工程と、
(e)樹脂層31を、第1温度よりも高い第2温度で加熱して、樹脂層31から第2面12が露出した状態で硬化することで樹脂部材30を形成する第2加熱工程と、
を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0011】
(a)樹脂層配置工程
図1Aに示すように、支持体35上にAステージ状態の樹脂層31を配置する。例えば、予め準備したAステージ状態の樹脂シートを支持体35上に貼り付けることにより、Aステージ状態の樹脂層31を配置する。樹脂シートの貼り付けは、例えば、真空ラミネータを使用することができる。具体的には、所定の真空度に減圧して、ダイアフラムで押しつけて加圧する。本工程における樹脂層31の配置は、樹脂シートの貼り付けに限定されるものではなく、例えば、未硬化の状態にある樹脂を支持体35の上に塗布することにより、Aステージ状態の樹脂層31を配置してもよい。樹脂層31を配置する方法としては、例えば、ロールコーティング、スプレー、又は圧縮成形等を使用することができる。
【0012】
ここで、Aステージ状態とは、未硬化の状態をいう。未硬化の状態とは、硬化反応が進行する前の状態、即ち、硬化反応を進行させるための操作を行う前の状態をいう。硬化反応を進行させるための操作とは、加熱、光照射等が挙げられる。尚、硬化反応を進行させるための操作前に、硬化反応はわずかに進行し得るが、未硬化状態は、かかる状態も包含する。さらに、Aステージ状態は液体状ではなく、流動性を備えない状態である。例えば、シクロヘキサン等の溶剤を含む液体状の樹脂材料を支持体上に塗布し、その後、溶剤のほとんどを揮発させることで、支持体上において流動しない状態としたものをAステージ状態とする。
【0013】
樹脂層31を構成する樹脂としては、熱硬化性の樹脂、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はアクリル樹脂等を用いることができる。
【0014】
樹脂層31の厚さは、特に限定されず、発光素子1の半導体積層体10の厚さt(第1面11と第2面12間の距離)より厚くても、同じでも、薄くてもよい。樹脂層31の厚さは、好ましくは、発光素子1の半導体積層体10の厚さtよりも厚い。樹脂層31の厚さが、発光素子1の半導体積層体10の厚さtよりも薄い場合は、後述の第1加熱工程において、樹脂の側面13への濡れ上がりを利用することで発光素子1の半導体積層体10の側面13全体が樹脂層31で覆われるようにすることができる。
【0015】
(b)発光素子載置工程
図1Bに示すように、支持体35上に配置された樹脂層31のAステージ状態を維持したまま、樹脂層31の上面と発光素子1の第1面11とを対向させて発光素子1を樹脂層31の上面に載置する。発光素子1は、目的とする発光装置100の大きさに応じて、所定の間隔で離隔させて載置する。具体的には、発光素子1の半導体積層体10の側面13を覆う樹脂部材30の厚さを考慮して所定の間隔で、例えば、発光素子1を行列状に配置する。
【0016】
樹脂層31の上面に発光素子1を載置する方法としては、特に限定されず、発光素子1を1つずつ順に載置してもよいし、複数の発光素子1を一括して載置してもよい。例えば、複数の発光素子1を一括して載置する場合、上述した樹脂層31が配置された支持体とは別の、感光性の接着剤層を有する支持体(以下、第2支持体という)に、感光性の接着剤層を介して配置された複数の発光素子を準備する。上記第2支持体としては、典型的には、樹脂基材に紫外線硬化型の接着剤層を設けたUVシートが挙げられる。次に、第2支持体に紫外線を照射して、接着剤の粘着力を低下させる。これにより、接着剤層と発光素子1間の粘着力を、発光素子1と樹脂層31間の粘着力よりも小さくする。次に、第2支持体に配置された複数の発光素子1を一括して樹脂層31上に載置する。上記粘着力の差により、発光素子1は、第2支持体よりも樹脂層31に強く接着される。次に、第2支持体を複数の発光素子から剥離する。これにより、一括して樹脂層31の上面に発光素子1を移載することができる。尚、発光素子の第2支持体からの剥離は、任意のタイミングで行うことができ、例えば荷重印加工程、第1加熱工程、又は第2加熱工程の後に行ってもよい。
【0017】
発光素子1の半導体積層体10は、例えば、サファイア又は窒化ガリウム等の基板15と、基板15上に配置される半導体層16と、を含む。半導体層16は、n型半導体層及びp型半導体層と、これらに挟まれた発光層と、を含む。さらに発光素子1は、n型半導体層と電気的に接続された第1電極21と、p型半導体層に電気的に接続された第2電極22と、を含む。なお、半導体積層体10は、基板を備えていなくてもよい。また、発光層の構造としては、単一の活性層を持つ構造でもよいし、ひとまとまりの活性層群を持つ構造でもよい。例えば、半導体積層体10は、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造(SQW)、又は多重量子井戸構造(MQW)であってもよい。発光層は、可視光又は紫外光を発光可能である。発光層は、可視光として、青色から赤色までを発光可能である。このような発光層を含む半導体積層体10としては、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。半導体積層体10は、上述した発光が可能な発光層を少なくとも1つ含むことができる。例えば、半導体積層体10は、n型半導体層とp型半導体層との間に1つ以上の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とを順に含む構造が複数回繰り返された構造であってもよい。半導体積層体10が複数の発光層を含む場合、発光ピーク波長が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがあってもよい。発光ピーク波長の組み合わせとしては適宜選択することができる。例えば、半導体積層体10が2つの発光層を含む場合、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、又は緑色光と赤色光などの組み合わせで発光層を選択することができる。また、発光層は、発光ピーク波長が異なる複数の活性層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ複数の活性層を含んでいてもよい。
【0018】
(c)荷重印加工程
図1Cに示すように、プレート36を用いて、発光素子1に、下向き(図面下向き)の荷重をかけ、発光素子1の半導体積層体10の少なくとも一部を樹脂層31に押し込む。かかる工程により、樹脂層31から半導体積層体10の第2面12が露出した状態で、半導体積層体10の少なくとも一部は、樹脂層31に埋設される。尚、
図1Cにおいては第2面12上に電極20が存在するが、上記露出とは、樹脂層31から露出した状態、即ち樹脂層31に覆われていない状態であればよく、電極20には覆われていてもよい。かかる荷重印加工程において、発光素子1の一部を樹脂層31に押し込むことにより、発光素子1が位置決めされ、位置ずれを防止することができる。尚、
図2A及び
図2Bは発光装置の埋設状態を示す図であり、図示するように、発光素子1を樹脂層31に押し込むことにより、発光素子1の周囲に樹脂層31の盛り上がり部33が形成され得る。
【0019】
一の態様において、
図2Aに示すように、発光素子1は、樹脂層31に半導体積層体10の一部が埋設され、樹脂層31から第2面12が露出するように埋設される。換言すれば、発光素子1は、半導体積層体10の側面13の一部、及び、第2面12が樹脂層31から露出するように埋設される。本態様において、半導体積層体10が基板15と基板上に配置された半導体層16を含む場合、発光素子1の押し込み量は、少なくとも基板15の側面の一部が覆われるような量であり得、好ましくは、基板15の側面全体と半導体層16の側面の一部とが覆われるような量であり得る。押し込み量を基板15の側面全体と半導体層16の側面の一部とが覆われるような量とすることにより、発光素子1の位置ずれ、及び発光素子1の鉛直方向に対する傾きの発生がより抑制され、実装精度が向上する。
【0020】
別の態様において、
図2Bに示すように、発光素子1は、樹脂層31に半導体積層体10の全部が埋設され、樹脂層31から第2面12が露出するように埋設される。換言すれば、発光素子1は、半導体積層体10の側面13全体が樹脂層31に覆われ、第2面12は樹脂層31から露出するように埋設される。本態様において、上記押し込み量は、半導体積層体10の厚さよりも大きくてもよい。例えば、押し込み後の第2面12は、押し込み前の樹脂層31の上面よりも下方に位置してもよい。
【0021】
上記荷重の印加の方法は、発光素子1を樹脂層31に押し込むことができる方法であれば特に限定されない。例えば、プレス機、又は真空ラミネータ(例えばダイアフラム式ラミネータ)等を用いて、発光素子1に、下向きの荷重を印加することができる。
【0022】
上記荷重の方向は、例えば、樹脂層31の主面に垂直な方向から20°以内、好ましくは10°以内、より好ましくは5°以内であり、最も好ましくは樹脂層31の主面に垂直な方向である。また、複数の発光素子に対して、異なる向きに荷重を印加してもよい。例えば、ある発光素子に対しては、樹脂層31の主面に垂直な方向に荷重を印加し、その周囲の発光素子に対しては、上記垂直方向から数度傾いた方向に荷重を印加してもよい。
【0023】
荷重印加工程においてプレート36を用いることにより、複数の発光素子1に対し、同時に下向きの荷重をかけることができる。また、発光素子の鉛直方向に対する傾きの発生を抑制できる。尚、本工程において、プレート36は必須ではなく、用いなくてもよい。
【0024】
プレート36としては、押し込み時の荷重により変形しない程度の硬さを有するものが好ましい。プレート36を構成する材料としては、特に限定されず、樹脂、金属、又はガラスなどを用いることができるが、好ましくは剛性の高い金属、例えばステンレス鋼等が用いられる。また、樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は塩化ビニル等が挙げられる。
【0025】
プレート36は、上記第2支持体であってもよい。例えば、複数の発光素子1を、感光性の接着剤を介して第2支持体上に電極20を第2支持体側に向けて載置する。発光素子1が載置された第2支持体を、発光素子1の第1面11が樹脂層31の上面と対向するように樹脂層31上に載置し、第2支持体を介して発光素子1に荷重をかけてもよい。
【0026】
荷重量は、発光素子1を樹脂層31に押し込むことができる量であればよく、樹脂の種類によって適宜設定される。例えば、樹脂層31が、熱硬化性のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含む場合、荷重量は、100kN/m2~3000kN/m2、好ましくは1000kN/m2~1500kN/m2の範囲であり得る。
【0027】
発光素子1の押し込み量は、樹脂層31に半導体積層体10の少なくとも一部が埋設され、樹脂層31から第2面12が露出するような量であればよい。発光素子1の押し込み量は、好ましくは半導体積層体10の厚さtの50~115%、より好ましくは85~110%、より好ましくは90~100%であり得る。尚、上記押し込み量は、押し込み前の樹脂層31の上面の位置と、押し込み後の第1面11までの距離とする。
【0028】
(d)第1加熱工程
第1加熱工程においては、発光素子1に荷重をかけずに、樹脂層31を第1温度で加熱して、樹脂層31の粘度を低下させる。これにより、樹脂層31の上面および半導体積層体10の第2面12の位置を調整する。
図2Aに示すように、発光素子1の半導体積層体10の一部が埋設されている場合、発光素子1の自重によって、半導体積層体10の第2面12が樹脂層31の上面から露出するように、発光素子1を沈ませる。一方、
図2Bに示すように、発光素子1の半導体積層体10の全部が埋設されている場合、発光素子1が得る浮力によって、半導体積層体10の第2面12が樹脂層31の上面と一致するように、発光素子1を浮上させることもできる。
【0029】
また、樹脂層31の粘度を低下させることにより、上記荷重印加工程において生じた盛り上がり部33を小さくすることができる。第1加熱工程において、上記盛り上がり33の高さを、電極20の高さよりも低くすることが好ましく、盛り上がり部33を消失させることがより好ましい。また、半導体積層体10の第2面12と、樹脂層31の上面が面一になることが好ましい。
【0030】
第1加熱工程は、発光素子1に荷重をかけずに行われる。即ち、上記荷重印加工程において印加した荷重を解除した状態で、第1加熱工程は行われる。上記荷重印加工程でプレート36を用いる場合、かかるプレート36を配置した状態で第1加熱工程を行ってもよく、プレート36を取り除いて第1加熱工程を行ってもよい。尚、プレート36を配置した状態で第1加熱工程を行う場合、プレート36の重さによる荷重は、発光素子1に印加される荷重とは考えない。即ち、「発光素子1に荷重をかけず」とは、当該プレートを介して印加される荷重を解除した状態であればよい。
【0031】
樹脂層31を加熱する第1温度は、樹脂層31を構成する樹脂材料の粘度が低下し、
図1Dに示すように、樹脂層31から半導体積層体10の第2面12が露出しかつ半導体積層体10の側面13全体に樹脂層31の樹脂が接するように適宜設定される。
【0032】
例えば、第1温度は、樹脂層31を構成する樹脂材料の種類、並びに発光素子1の形状及び重さ等に応じて適宜設定される。例えば、熱硬化性のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含む樹脂層31では、第1温度は70℃~110℃の範囲の温度であり得る。加熱時間は、例えば10分以上とすることができる。
【0033】
また、第1温度は特定の温度で所定時間維持する必要は必ずしもなく、連続して上昇させるようにしてもよい。即ち、温度上昇を開始する温度から終了させる温度(例えば、第2温度)の範囲に、軟化した樹脂層に発光素子を沈ませることができる温度範囲を含んでいればよく、これにより目的とする沈降状態を達成することができる。例えば、後述の第2温度を150℃とした場合、60℃から150℃まで1時間かけて上昇させるのが好ましく、特に第1温度が含まれる70℃から110℃までは徐々に上昇させるのが好ましい。
【0034】
(e)第2加熱工程
図1Dに示すように、樹脂層31を、第1温度よりも高い第2温度で加熱して、樹脂層31から第2面12が露出した状態で硬化させる。これにより、樹脂層31はAステージ状態からCステージ状態になり、樹脂部材30が形成される。
【0035】
樹脂層31を硬化する第2温度は、樹脂層31を構成する樹脂材料の硬化温度に基づいて適宜設定される。例えば、熱硬化性のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を含む樹脂層31では、第2温度は150℃~200℃の範囲の温度である。加熱時間は、例えば1時間以上8時間以下とすることができる。
【0036】
第1加熱工程の第1温度から本工程における第2温度への上昇は、温度を第1温度から低い温度にすることなく連続して第2温度に上昇させるようにしてもよく、又は、第1温度から一旦温度を下げた、例えば室温(20±5℃)まで下げた後、第2温度に上昇させるようにしてもよく、製造工程の効率等を考慮して適宜設定することができる。
【0037】
(f)個片化工程
図1Eに示すように、樹脂層31を硬化させた後、隣接する発光素子1間で樹脂部材30を切断する。切断後、各発光素子1の側面13は、発光素子1が隣接する方向における所定の厚さの樹脂部材30で覆われる。
【0038】
次に、
図1Fに示すように、発光装置100から支持体35を除去する。
【0039】
尚、この個片化工程は、必要に応じて実施される。例えば、発光素子1を1つ含むように樹脂部材を切断することで、1つの発光素子を備える発光装置とすることができる。あるいは、複数の発光素子1を含むように樹脂部材30を切断することで、複数の発光素子1を備える発光装置とすることができる。発光素子1を複数備える場合は、複数の発光素子1が一列に並んで配置される線状の発光装置とすることができる。あるいは、複数の発光素子が行列状に配置される面状の発光装置とすることができる。
【0040】
上記各工程における条件は、製造すべき発光装置に応じて適宜選択される。例えば、上記発光素子及び樹脂層を構成する樹脂は、製造すべき発光装置に応じて適宜選択され、選択された発光素子及び樹脂層を構成する樹脂に応じて、樹脂層配置工程における樹脂層のAステージ状態、荷重印加工程における発光素子の埋設量、第1加熱工程における第1温度、及び第2加熱工程における第2温度等が設定される。
【0041】
例えば、第1温度は、樹脂層31を構成する樹脂の種類及び粘度、並びに発光素子1の形状及び重さに対して、樹脂層を加熱する温度を変化させたときの発光素子の沈降状態を記憶させたデータベースを参照して所望の沈降状態となる温度に設定する。プレート36を配置した状態で第1加熱工程を行う場合、発光素子1の重さには、各発光素子に加わるプレート36の重さを加えてもよい。ここで、発光素子1の沈降状態とは、発光素子間の樹脂層31の上面と発光素子の第2面12との位置関係等をいう。すなわち、参照するデータベースには、例えば、隣接して載置した発光素子間の樹脂層の上面が発光素子の第2面と実質的に同一平面上に位置するようになる温度、発光素子間の樹脂層の上面が発光素子の第2面を含む平面より下に位置するようになる温度、発光素子間の樹脂層の上面が発光素子の第2面を含む平面より上に位置するようになる温度、等が記憶されており、記憶された情報に基づき製造しようとする発光装置の最終形状を考慮して適宜選択される。
【0042】
従って、本開示の製造方法は、製造すべき発光装置の種類に対応させて、選択すべき前記発光素子と前記樹脂層を構成する樹脂、上記樹脂層配置工程における樹脂層のAステージ状態、上記荷重印加工程における発光素子の埋設量、上記第1加熱工程における第1温度、上記第2加熱工程における第2温度を記憶したデータベースを準備するデータベース準備工程、及び、上記データベースを参照することにより、上記荷重印加工程における発光素子の埋設量、上記第1加熱工程における第1温度、及び上記第2加熱工程における第2温度を設定する工程をさらに含み得る。
【0043】
以上の実施形態1の発光装置の製造方法によれば、樹脂層31に発光素子1を押し込み、次いで樹脂層31が硬化する温度である第2温度より低い第1温度で加熱して、樹脂層31の粘度を低下させて、半導体積層体10の第2面12が露出するように、発光素子1を樹脂層31に埋設している。これにより、位置ずれ及び鉛直方向に対する傾きの発生を抑制して、発光素子の半導体積層体の一つの面を除く表面が樹脂層によって覆われた発光装置を製造することができる。本開示の製造方法によれば、位置ずれ及び鉛直方向に対する傾きの発生を抑制されるので、製品の歩留まりが向上する。
【0044】
以上のようにして、例えば、それぞれ1つの発光素子1を含み発光素子1の側面13が所定の厚さの樹脂部材で覆われた発光装置を製造することができる。
【0045】
実施形態1の発光装置の製造方法は、以下のような種々の変形が可能であり、種々の発光装置を製造することができる。
【0046】
変形例1
変形例1の発光装置の製造方法は、発光素子1と発光素子1からの光を波長変換する蛍光体を含む樹脂部材30を含む発光装置の製造方法である。
【0047】
具体的には、実施形態1の変形例1に係る発光装置の製造方法では、樹脂層31として蛍光体の粒子を含む樹脂を用いる。蛍光体の粒子を含む樹脂層31に発光素子1を埋設することにより、第2面12を除いた半導体積層体の表面が波長変換部材で覆われた発光装置を製造することができる。
【0048】
尚、蛍光体等の粒子を含む樹脂層31は、樹脂に含有させる蛍光体の粒子の粒径、粒度分布、含有量等に応じて、比重及び/又は粘度が変化する。そのため、これらを考慮してAステージ状態、及び第1温度を適宜設定するようにすればよい。
【0049】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2又はAgInSe2)等を用いることができる。樹脂部材30に添加する蛍光体としては、1種類の蛍光体を用いてもよく、複数種類の蛍光体を用いてもよい。
【0050】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
M2[SipAlqMnrFs] (I)
【0051】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K2[Si0.946Al0.005Mn0.049F5.995]、K2[Si0.942Al0.008Mn0.050F5.992]、K2[Si0.939Al0.014Mn0.047F5.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0052】
変形例2
変形例2の発光装置の製造方法は、発光素子1と、発光素子1からの光を反射する光拡散剤を含む樹脂部材30と、を含む発光装置の製造方法である。
【0053】
具体的には、実施形態1の変形例2に係る発光装置の製造方法では、樹脂層31として、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化亜鉛等の光拡散剤の粒子を含む樹脂を用いる。光拡散剤の粒子を含む樹脂層31に発光素子1を埋設することにより、例えば、第2面12を除いた発光素子1の表面に光反射層が設けられた発光装置を製造することができる。
【0054】
以上の変形例2の製造方法により製造された発光装置は、例えば、電極が配置された第2面12側から光を出射する発光装置の製造に適用することができる。
【0055】
また、変形例2の製造方法において、発光素子1の第1面11上に配置された樹脂部材30を除去する、又は、発光素子1の第1面11が支持体35と接するように発光素子1を樹脂層31に埋設することにより、発光素子1の第1面11上に樹脂部材30が配置されない発光装置を製造することができる。このように製造された発光装置は、発光素子1の側面から出射される光を反射して、発光素子1の第1面11から出射するようにできる。
【0056】
尚、光拡散剤等の粒子を含む樹脂層31は、樹脂に含有させる光拡散剤の粒子の粒径、粒度分布、含有量等に応じて、比重及び/又は粘度が変化する。そのため、これらを考慮してAステージ状態、及び第1温度を適宜設定するようにすればよい。
【0057】
変形例3
変形例3の発光装置の製造方法は、発光素子1と、発光素子1の第1面11上方に設けられた光反射層25と、発光素子1の側面13を覆うように設けられた透光性の樹脂部材30を含む発光装置の製造方法である。
【0058】
具体的には、実施形態1の発光装置の製造方法において、
図1Gに示すように、支持体35の上面上に硬化された光反射層25を配置し、その光反射層25の上に樹脂層31を配置する。光反射層25は、あらかじめ硬化された状態のものを形成又は購入して準備し、支持体上に配置することができる。あるいは、光反射層25は、液状の光反射部材を支持体上に配置した後、加熱等により硬化することで準備することができる。
【0059】
次に、
図1Hに示すように、樹脂層31に発光素子1を埋設して硬化させ、光反射層25を発光素子1の第1面11の上方に残した状態で個片化する。
【0060】
これにより、発光素子1の第1面11の上方に出射される光を抑えて発光素子1の側面13から効率よく光を出射する、いわゆるバットウィング配光の発光装置を製造することができる。
【0061】
尚、この変形例3の製造方法では、樹脂層31に蛍光体を含有させて波長変換機能を有する樹脂部材30を用いてもよい。
【0062】
また、変形例3の発光装置の製造方法は、樹脂層31の厚さを変更したり、樹脂層31の粘度等を調整したりして、樹脂層31内における発光素子1の埋設位置を調整することにより、光反射層25と発光素子1の第1面11間の距離を変更することが可能である。これにより、バットウィング配光特性の異なる発光装置を製造することが可能になる。
【0063】
変形例4
変形例4の製造方法は、実施形態1又は変形例1~3に係る発光装置の製造方法において、樹脂部材30を形成した後に、
図1Iに示すように、さらに、第2面12及び電極20の側面を覆う光反射層24を配置する工程を備えている。光反射層24を配置する工程は、例えばロールコーティング、スプレー、又は圧縮成形等を用いて、
図1Iに示すように、光反射層24を、樹脂部材30の上面に配置する。このとき、光反射層24は、電極20の頂部面が露出するように、電極20の頂部面以外の上面及び側面を覆うように配置する。または、光反射層24は、電極20の全体を覆うように配置した後、光反射層24の上面から研削することにより、電極20の一部及び光反射層24の一部を除去し、光反射層24から電極20の表面を露出させてもよい。なお、光反射層24から露出された電極20の表面は、新たに電極20の頂部面となる。
【0064】
以上の変形例4の製造方法により製造された発光装置は、第2面12を覆う第2光反射層24を含むことにより、第2面12側に進む光を反射して第1面11から出射することができ、発光した光を効率よく出射することが可能になる。
【0065】
変形例5
変形例5の製造方法は、変形例3の製造方法において、変形例4の第2面12及び電極20の一部を覆う光反射層24を配置する工程をさらに備えている。
【0066】
以上の変形例5の製造方法により製造された発光装置100Aは、
図1Jに示すように、発光素子1の上方に設けられた光反射層25(第1光反射層)と、発光素子1の発光面及び側面を覆うように設けられた透光性の樹脂部材30と、発光素子1の電極21、22の頂部面が露出するように電極21、22を覆う第2光反射層24とを備えている。
【0067】
また、発光装置100Aにおいて、光反射層24、25は、例えば、光拡散剤として酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化亜鉛等を含有させた樹脂により形成することができる。このような樹脂の材料としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はアクリル樹脂等を用いることができる。また、光反射層24、25は、例えば白金、銀、ロジウム若しくはアルミニウム等の金属層、又は分布ブラッグ反射膜(Distributed Bragg Reflector:DBR)であってもよい。また、光反射層24、25は、無機部材であってもよい。
【0068】
また、発光素子1の側面から樹脂部材30の外側面までの距離d1は、発光素子1の上面から樹脂部材30の上面までの距離d2よりも長いことが好ましい。これにより、発光素子1の側面から出射された光が樹脂部材30の上面側よりも側面側に伝搬しやすくなり、発光装置100Aの側方から取り出される光の割合を増やすことができる。なお、発光素子1の側面から樹脂部材30の側面までの距離d1は、発光素子1の上面から樹脂部材30の上面までの距離d2の1.5倍以上2.5倍以下の距離であるのが好ましく、さらに好ましくは、距離d1は距離d2の1.9倍以上2.1倍以下の距離である。
【0069】
また、発光装置100Aは、その上方に、上述した蛍光体を含有するシート状の波長変換部材(以下、波長変換シートという)を配置することにより、白色光を得ることができる。例えば、青色の発光が可能な発光装置と、黄色の発光が可能な蛍光体を含有する波長変換シートと、を組み合わせて白色光を得ることができる。また他には、青色の発光が可能な発光装置と、赤色の発光が可能な蛍光体(以下、赤色蛍光体という)及び緑色の発光が可能な蛍光体(以下、緑色蛍光体という)を含有する波長変換シートとを組み合わせてもよい。また、青色の発光が可能な発光装置と、複数の波長変換シートとを組み合わせてもよい。複数の波長変換シートとしては、例えば、赤色蛍光体を含有する波長変換シートと、緑色蛍光体を含有する波長変換シートと、を選択することができる。また、青色の発光が可能な発光素子と、赤色蛍光体を含有する透光性部材とを有する発光装置と、緑色蛍光体を含有する波長変換シートとを組み合わせてもよい。
【0070】
波長変換シートに用いられる黄色の蛍光体としては、例えば、上述したイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体を用いるのが好ましい。また、波長変換シートに用いられる緑色の蛍光体としては、発光ピーク波長の半値幅の狭い、例えば、上述したペロブスカイト構造を有する蛍光体又は量子ドット蛍光体を用いるのが好ましい。また、波長変換シートに用いられる赤色の蛍光体としては、緑色の蛍光体同様に発光ピーク波長の半値幅の狭い、例えば、上述したKSF系蛍光体、KSAF系蛍光体又は量子ドット蛍光体を用いるのが好ましい。
【0071】
<実施形態2>
本開示に係る実施形態2の発光装置200の製造方法は、実施形態1の変形例1に係る製造方法により製造した樹脂部材30に蛍光体(以下、第1蛍光体という。)を含む発光装置100を発光素子として用いる。発光装置200において、発光装置100の樹脂部材30の上にさらに第1蛍光体とは異なる第2蛍光体を含む樹脂部材130が配置される。
【0072】
まず、実施形態1の変形例1に係る製造方法により、樹脂部材30に第1蛍光体を含む発光装置100を準備する。本実施形態2においては、発光装置100を発光素子として用いる。
【0073】
発光装置100の準備とは別に、実施形態1の(a)樹脂層配置工程と同様の工程を行う。具体的には、
図3Aに示すように、第2蛍光体を含んで未硬化の状態にある樹脂を、支持体35の上に配置し、Aステージ状態の樹脂層131を配置する。樹脂層131に含まれる樹脂は、実施形態1と同様のものを用いることができる。好ましくは実施形態1の樹脂層31を構成する樹脂と同様の樹脂を用いる。
【0074】
次に、実施形態1の(b)発光素子載置工程と同様の工程を行う。具体的には、支持体35上に配置された樹脂層131のAステージ状態を維持した状態で、
図3Bに示すように、樹脂層131の上面と発光装置100の発光面とを対向させて発光装置100を載置する。発光装置100は、製造後の発光装置200において、発光装置100の側面を覆う樹脂部材130の厚さを考慮して所定の間隔で、例えば、行列状に配置する。
【0075】
次に、実施形態1の(c)荷重印加工程と同様の工程を行う。具体的には、プレート36を用いて、発光装置100に、下向き(図面下向き)の荷重をかけ、発光装置100の一部を樹脂層131に押し込む。かかる工程により、
図3Cに示すように、発光装置100の一部は、樹脂層131に埋設される。
【0076】
次に、実施形態1の(d)第1加熱工程と同様にして、樹脂層131を第1温度で加熱して、樹脂層131の粘度を低下させて、樹脂層131の上面および発光装置100の電極形成面の位置を調整する。本実施形態においては、
図3Dに示すように、発光装置100の自重によって、樹脂層131から発光装置100の電極形成面が露出するように発光装置100を沈ませる。
【0077】
以下、実施形態1の(e)第2加熱工程と同様にして、樹脂層131を、第1温度よりも高い第2温度で加熱して硬化し、実施形態1の(f)個片化工程と同様にして、
図3Eに示すように、隣接する発光装置100間で、各発光装置100の側面を所定の厚さで覆う樹脂部材130が配置されるように切断する。
図3Fには、それぞれ支持体を除去した後の発光装置200の断面を示す。
【0078】
以上の実施形態2の発光装置の製造方法によれば、発光素子1と、発光素子1の第2面12を除いた表面を覆う樹脂部材30と、樹脂部材30を覆う第2の樹脂部材130とを含む発光装置200を、位置ずれ及び鉛直方向に対する傾きの発生を抑制して製造することができる。
【0079】
以上の実施形態1及び2の発光装置では、(d)第1加熱工程において、隣接する発光素子1間又は発光装置100間の樹脂層31又は131の表面が実質的に平坦になるように、発光素子1又は発光装置100を沈ませる例を示している。しかしながら、本開示に係る発光装置の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0080】
例えば、
図4Aに示すように、隣接する発光素子1間又は発光装置100間の樹脂層31又は131の表面が窪んだ曲面になるように、発光素子1又は発光装置100の位置を調整してもよい。
【0081】
このような状態になるように調製するには、樹脂層31又は131のAステージ状態での粘度、加熱する第1温度、発光素子1又は発光装置100の側面に対する樹脂層31又は131の濡れ性を適宜調整すればよい。
【0082】
尚、
図4Bには、
図4Aの状態から樹脂層31を硬化させて、切断し、支持体35を除去した後の発光装置の断面を示す。
【0083】
また、
図4Bに示す発光装置は、発光素子の第2面及び電極の側面を覆いさらに発光素子の第2面から連続して樹脂部材30の傾斜した表面を覆う光反射層(
図1Jに示す光反射層24に相当)を備えていてもよい。以上のように構成すると樹脂部材30を透光性を有する樹脂で構成した場合に、光反射層で覆われた樹脂部材30の傾斜した表面で光を反射して外部に取り出すことができる。かかる発光装置を製造するためには、
図4Aに示す個片化前の段階で発光素子の電極の頂部面以外の部分、及び樹脂部材30の窪んだ表面を覆う光反射層を配置して硬化させた後に個片化するようにすればよい。
【0084】
また、
図5Aに示すように、発光素子1又は発光装置100を、発光素子1の側面又は発光装置100の側面の途中まで樹脂層31又は131が覆うように沈ませるようにしてもよい。
【0085】
このような状態になるように沈ませるには、発光素子1又は発光装置100の重量、樹脂層31又は131の粘度、加熱する第1温度、発光素子1又は発光装置100の側面に対する樹脂層31又は131の濡れ性を適宜調整すればよい。
尚、
図5Bには、
図5Aの状態から樹脂層31を硬化させて、切断し、支持体35を除去した後の発光装置の断面を示す。
【0086】
<実施形態3>
本開示に係る実施形態3の発光装置300の製造方法は、実施形態1の変形例1に係る製造方法により製造した複数の発光装置100を発光素子として用いる。発光装置300において、発光装置100は、光拡散剤を含む樹脂部材230に埋設される。なお、発光装置100の樹脂部材30には、蛍光体を含む。
【0087】
上記発光装置100は、
図6Gに示すように行列状に配置され、
図6Fに示すように発光面111及び電極21,22の頂部面23が、それぞれ、樹脂部材230の第1面233及び第2面234から露出するように、樹脂部材230に埋設されている。
図6F及び
図6Hに示すように、樹脂部材230の第2面234上には、第1端子電極27及び第2端子電極28が配置されており、それぞれ、樹脂部材230から露出した第1電極21及び第2電極22に接続されている。樹脂部材230は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化亜鉛等の光拡散剤の粒子を含む。発光装置300において、発光装置100は独立駆動して発光できる。
【0088】
まず、実施形態1の変形例1に係る製造方法により、樹脂部材30に第1蛍光体を含む発光装置100を準備する。本実施形態3においては、発光装置100を発光素子として用いる。
【0089】
発光装置100の準備とは別に、実施形態1の(a)樹脂層配置工程と同様の工程を行う。具体的には、
図6Aに示すように、光拡散剤を含んで未硬化の状態にある樹脂を、支持体35の上に配置し、Aステージ状態の樹脂層231を配置する。樹脂層231に含まれる樹脂は、実施形態1と同様のものを用いることができる。好ましくは実施形態1の樹脂層31を構成する樹脂と同様の樹脂を用いる。
【0090】
次に、実施形態1の(b)発光素子載置工程と同様の工程を行う。具体的には、支持体35上に配置された樹脂層231のAステージ状態を維持した状態で、
図6Bに示すように、樹脂層231の上面と発光装置100の発光面とを対向させて発光装置100を載置する。発光装置100は、製造後の発光装置300において、発光装置100の側面を覆う樹脂部材230の厚さを考慮して所定の間隔で、行列状に配置する。
【0091】
次に、実施形態1の(c)荷重印加工程と同様の工程を行う。具体的には、プレート36を用いて、発光装置100に、下向き(図面下向き)の荷重をかけ、発光装置100の一部を樹脂層231に押し込む。かかる工程により、
図6Cに示すように、発光装置100の一部は、樹脂層231に埋設される。
【0092】
次に、実施形態1の(d)第1加熱工程と同様にして、
図6D1に示すように、樹脂層231を第1温度で加熱して、樹脂層231の粘度を低下させて、樹脂層231の第2面234および発光装置100の電極21,22の頂部面23が面一となるようにする。本実施形態においては、発光装置100の自重によって、樹脂層231の第1面233から発光装置100の電極21,22の頂部面23が露出するように発光装置100を沈ませる。第1加熱工程の後、プレート36を除去する。尚、プレート36の除去は、他の時点で行ってもよく、例えば発光素子載置工程の後、あるいは第2加熱工程の後に行ってもよい。
【0093】
次に、実施形態1の(e)第2加熱工程と同様にして、樹脂層231を、第1温度よりも高い第2温度で加熱して硬化して、樹脂部材230を形成する。
【0094】
次に、
図6Eに示すように、樹脂部材230の第2面234及び電極21,22の頂部面23上に、金属層26を形成する。金属層26は、別途製造した金属箔を貼り付けてもよく、あるいは、スパッタやめっき等で形成してもよい。
【0095】
次に、金属層26をパターニングし、
図6Fに示すように、第1端子電極27及び第2端子電極28を形成する。パターニングは、レーザー照射、又はエッチングなどで行うことができる。
【0096】
尚、
図6D1に示すように、発光装置100と樹脂層231の厚みが同じであり、第1加熱工程後には、発光装置100の発光面111及び電極21,22の頂部面23は、それぞれ、樹脂層231の第1面233及び第2面234から露出している。本実施形態3は、かかる態様に限定されず、例えば、
図6D2に示すように、樹脂層231の厚みを発光装置100の厚みよりも厚くして、発光装置100の発光面111が樹脂層231中に位置し、露出しないようにしてもよい。この場合、第2加熱工程後のいずれかのタイミングで、支持体35を除去し、樹脂部材230を削ることにより、発光装置100の発光面111を露出させる。
【0097】
<実施形態4>
本開示に係る実施形態4は、本開示の製造方法により製造された複数の光源が、例えば、行列状に配置された、面状光源に関する。
【0098】
以下、
図7を参照しながら具体的説明する。尚、以下の説明では、実施形態1の変形例5の製造方法で製造された発光装置100Aを光源として用いた例により説明する。ただし、実施形態4の面状光源はこれに限定されるものではなく、例えば、実施形態1で示した発光素子1を光源として用いてもよいし、実施形態2の製造方法で製造した発光装置を光源として用いることもできる。
【0099】
図7は、面状光源400における隣り合う任意の2つの導光部の模式断面図である。
【0100】
面状光源400は、支持部材49と、支持部材49上に配置された発光モジュール401と、を備える。支持部材49は、配線基板40と、配線基板40の電極が形成された一方の主面上に配置された電極保護部材41と、配線基板40の他方の主面上に配置された複合シート48と、を備える。複合シート48は、第1接着部材47と、光反射部材46と、第2接着部材45と、を備える。発光モジュール401は、光源としての発光装置100Aと、発光装置100Aを封止する封止部材51と、導光部52と、光反射部材53と、遮光部材54とを備える。
【0101】
導光部52の材料としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ若しくはシリコーン等の熱硬化性樹脂、又は、ガラスなどを用いることができる。
【0102】
導光部52の厚さは、例えば、200μm以上800μm以下が好ましい。導光部52は、その厚さ方向に、単層で構成されてもよいし、複数の層の積層体で構成されてもよい。導光部52が積層体で構成される場合、各層の間に透光性の接着部材を配置してもよい。積層体の各層は、異なる種類の主材を用いてもよい。接着部材の材料としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ若しくはシリコーン等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0103】
導光部52は、発光装置100Aが配置される孔部57を有する。孔部57は、導光部52の第1主面52Aから第2主面52Bまで貫通する貫通孔である。また、隣接する導光部52の間には、区画溝55が存在する。換言すれば、隣接する導光部52の側面は、区画溝55を規定する。区画溝55は、導光部52の厚さ方向において連通している。
【0104】
発光装置100Aは、導光部52の第2主面52B側に位置する。即ち、発光装置100Aの厚さ方向における中心と第2主面52Bとの間の距離は、発光装置100Aの厚さ方向における中心と第1主面52Aとの間の距離よりも短い。
【0105】
区画溝55の壁面には、光反射部材53が配置されている。換言すれば、導光部52の側面を覆うように、光反射部材53が配置されている。尚、
図7において、光反射部材53は、区画溝55の壁面上に層状に設けられているが、これに限定されず、区画溝55を埋めるように設けてもよい。
【0106】
光反射部材53としては、例えば、光拡散剤を含む樹脂部材を用いることができる。光拡散剤としては、例えば、TiO2の粒子が挙げられる。その他、光拡散剤として、Nb2O5、BaTiO3、Ta2O5、Zr2O3、ZnO、Y2O3、Al2O3、MgO又はBaSO4などの粒子が挙げられる。また、光反射部材53として、例えば、Al又はAgなどの金属部材を用いてもよい。
【0107】
発光モジュール401は、導光部52の第2主面52Bを、複合シート48の上面と対向させて、支持部材49上に配置されている。
【0108】
発光装置100Aは、導光部52の孔部57内における複合シート48上に配置されている。1つの導光部52、即ち区画溝55に囲まれる範囲の導光部52には、1つの発光装置100Aが配置されることに限らず、複数の発光装置100Aが配置されてもよい。
【0109】
孔部57において、発光装置100Aは、封止部材51により封止される。封止部材51は、孔部57を埋めるように配置される。
【0110】
封止部材51は、発光装置100Aが発する光に対する透光性を有し、例えば、導光部52の材料と同じ樹脂、又は導光部52の材料との屈折率差が小さい樹脂を用いることができる。
【0111】
封止部材51は、一の部材から構成されていてもよく、複数の部材から構成されていてもよい。例えば、封止部材51は、発光装置100Aの側面に配置された透光性部材と、発光装置100Aの第1面115上に配置された波長変換部材と、その上に配置された透光性部材とから構成されていてもよい。
【0112】
遮光部材54は、封止部材51上に配置されている。遮光部材54は、発光装置100Aが発する光に対する反射性および透光性を有する。遮光部材54は、透光性樹脂と、透光性樹脂中に含まれる光拡散剤等によって構成することができる。透光性樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂である。光拡散剤は、例えばTiO2、SiO2、Al2O3、ZnO又はガラス等の粒子が挙げられる。遮光部材54は、封止部材51の上面の全部又は一部を覆うように配置することができる。また、遮光部材54は、封止部材51の上面と、その周辺の導光部52の第1主面52Aの上にまで延伸させることができる。
【0113】
遮光部材54は、平面視において発光装置100Aと重なる位置に配置される。即ち、遮光部材54は、平面視において発光装置100Aを完全に覆うように配置される。遮光部材54は、平面視において発光装置100Aよりも大きくてもよい。
【0114】
遮光部材54は、発光装置100Aの真上方向へ出射された光の一部を反射させ、他の一部を透過させる。これにより、面状光源400の発光面(光出射面)である第1主面411において、発光装置100Aの直上領域の輝度が他の領域の輝度に比べて極端に高くなることを抑制できる。つまり、区画溝55で区画された1つの導光部52から出射される光の輝度ムラを軽減することができる。
【0115】
支持部材49は、電極保護部材41と、配線基板40と、複合シート48とを備える。複合シート48は、第1接着部材47と、光反射部材46と、第2接着部材45とを備える。支持部材49において、電極保護部材41、配線基板40、第1接着部材47、光反射部材46、及び第2接着部材45が順に配置されている。
【0116】
第1接着部材47は、配線基板40と光反射部材46との間に配置され、配線基板40と光反射部材46とを接着している。第2接着部材45は、光反射部材46と、発光モジュール401との間に配置され、光反射部材46と発光モジュール401とを接着している。発光装置100Aは、孔部57内において第2接着部材45上に配置されている。
【0117】
第2接着部材45は、発光装置100Aが発する光に対する透光性を有する。第1接着部材47および第2接着部材45としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又は環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
【0118】
光反射部材46は、発光モジュール401の下面の全面にわたって配置されている。
【0119】
光反射部材46は、発光装置100Aが発する光に対する反射性を有する。光反射部材46には、例えば、多数の気泡を含む樹脂部材や、光拡散剤を含む樹脂部材を用いることができる。樹脂部材の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂などである。光拡散剤としては、例えば、SiO2、CaF2、MgF2、TiO2、Nb2O5、BaTiO3、Ta2O5、Zr2O3、ZnO、Y2O2、Al2O3、MgO又はBaSO4などを用いることができる。
【0120】
配線基板40は、絶縁基材と、少なくとも1層の配線層を備える。配線基板40における第1接着部材47が配置された面の反対側の裏面には、配線層の一部である接続部62が配置されている。また、配線基板40の裏面は、電極保護部材41で覆われている。
【0121】
支持部材49において、発光装置100Aの下方に、導電部材61が配置されている。発光装置100Aの電極20の少なくとも一部は、導電部材61の上に配置され、導電部材61に接続している。
【0122】
導電部材61は、複合シート48及び配線基板40の絶縁基材を貫通し、さらにその貫通部から、配線基板40の裏面に配置された接続部62まで延在している。導電部材61は、導電性を有し、発光装置100Aの電極20と、接続部62とを電気的に接続している。導電部材61は、例えば、バインダー樹脂中に導電性のフィラーが分散された導電ペーストである。導電部材61は、フィラーとして、例えば、銅又は銀等の金属を含むことができる。フィラーは、粒子状又はフレーク状である。
【0123】
以上説明したように実施形態4の面状光源400において、導光部52内を導光され、導光部の第2主面52B側に向かった光は、光反射部材46によって、面状光源400の発光面である第1主面411側に反射され、第1主面411から取り出される光の輝度を向上させることができる。
【0124】
光反射部材46と導光部の第1主面52Aとの間の領域においては、光反射部材46と第1主面52Aとで全反射が繰り返されつつ、発光装置100Aからの光が区画溝55に向かって導光部52内を導光される。第1主面52Aに向かった光の一部は、第1主面52Aから導光部52の外部に取り出される。
【0125】
本開示は、上記発光装置を製造するための製造装置を提供する。具体的には、本開示は、第1面と、上記第1面の反対側の第2面と、上記第1面と上記第2面との間の側面とを含む半導体積層体と、上記半導体積層体の上記第2面に配置される電極と、を含む発光素子を有し、上記半導体積層体の側面が樹脂部材で覆われた発光装置の製造装置であって、
(a)支持体上に配置されたAステージ状態の樹脂層の上面に、上記第1面を対向させて、上記発光素子を配置する、発光素子載置部と、
(b)上記発光素子に荷重をかける、荷重印加部と、
(c)上記樹脂層を加熱する加熱部と、
(d)上記荷重印加部により上記発光素子にかける荷重を、上記樹脂層に上記半導体積層体の少なくとも一部が埋設され、上記樹脂層から上記第2面が露出するように制御し、上記荷重をかけずに、上記樹脂層を第1温度で加熱して上記樹脂層の粘度を低下させ、その後上記樹脂層を、上記第1温度よりも高い第2温度で加熱して上記樹脂層から上記第2面が露出した状態で硬化させるよう上記加熱部を制御する制御部と、
を含む、製造装置を提供する。
【0126】
上記発光素子載置部は、支持体上に配置されたAステージ状態の樹脂層上に、発光素子を載置する部であり、即ち、上記本開示の製造方法における発光素子載置工程を行う。上記発光素子載置部は、各種ハンドラー装置を含み得る。なお、上記支持体上に配置されたAステージ状態の樹脂層は、例えば、上記本開示の製造方法における樹脂層配置工程を行うことにより別途準備される。
【0127】
上記荷重印加部は、上記発光素子載置部において載置された発光素子に荷重をかける部であり、即ち、上記本開示の製造方法における荷重印加工程を行う。上記印加部は、発光素子にを印加できるものであれば限定されないが、例えば各種プレス機を含み得る。
【0128】
上記加熱部は、樹脂層を加熱する部であり、上記本開示の製造方法における第1加熱工程及び第2加熱工程を行う。上記加熱部は、温度を制御しながら樹脂層を加熱することができる。上記加熱部は、典型的には、各種ヒーター、又は温度センサー等を含み得る。
【0129】
上記制御部は、上記荷重印加部により上記発光素子にかける荷重を、上記樹脂層に上記半導体積層体の少なくとも一部が埋設され、上記樹脂層から上記第2面が露出するように制御する。また、上記制御部は、上記荷重をかけずに、上記樹脂層を第1温度で加熱して上記樹脂層の粘度を低下させ、その後上記樹脂層を、上記第1温度よりも高い第2温度で加熱して上記樹脂層から上記第2面が露出した状態で硬化させるように制御する。上記制御部は、好ましくは、製造すべき発光装置の種類に対応させて、選択すべき上記発光素子と上記樹脂層を構成する樹脂、上記樹脂層のAステージ状態、上記荷重印加工程における発光素子の埋設量、上記第1加熱工程における第1温度、及び上記第2加熱工程における第2温度を記憶したデータ格納部を含む。また、上記制御部は、好ましくは、上記データ格納部に格納されたデータを参照することにより、上記荷重印加工程における発光素子の埋設量、上記第1加熱工程における第1温度、及び上記第2加熱工程における第2温度を選択する、データ処理部を含む。また、上記制御部は、好ましくは、選択したデータを、上記発光素子載置部、荷重印加部、及び加熱部に送信する、データ送信部を含む。
【0130】
上記製造装置は、上記加熱部による加熱後に得られた、複数の発光装置を有する集合基板を、所定の数の発光装置を有する単位に切断する切断部を含み得る。切断部は、樹脂部材を切断できるものであれば限定されないが、例えば各種ダイサー、レーザー切断機等を含み得る。
【符号の説明】
【0131】
1…発光素子、10…半導体積層体、11…第1面、12…第2面、13…側面、
15…基板、16…半導体層、20…電極、21…第1電極、22…第2電極、
23…頂部面、24…光反射層(第2光反射層)、25…光反射層(第1光反射層)、
26…金属層、27…第1端子電極、28…第2端子電極、30…樹脂部材、
31…樹脂層、33…盛り上がり部、35…支持体、36…プレート、40…配線基板、
41…電極保護部材、45…第2接着部材、46…光反射部材、
47…第1接着部材、48…複合シート、49…支持部材、51…封止部材、
52…導光部、52A…第1主面、52B…第2主面、53…光反射部材、
54…遮光部材、55…区画溝、57…孔部、61…導電部材、
62…接続部、100…発光装置、100A…発光装置、111…発光面、
115…第1面、130…樹脂部材、131…樹脂層、200…発光装置、
230…樹脂部材、231…樹脂層、233…第1面、234…第2面、
300…発光装置、400…面状光源、401…発光モジュール、411…第1主面、