(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000203
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】俯瞰映像提示システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221222BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H04N7/18 J
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100894
(22)【出願日】2021-06-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第38回日本ロボット学会学術講演会予稿集(RSJ2020),pp.1-4,October,2020. 発行日 令和 2年10月 8日 第38回日本ロボット学会学術講演会 オンライン開催 開催日 令和 2年10月10日
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 拓史
(72)【発明者】
【氏名】山下 淳
(72)【発明者】
【氏名】菅沢 佑太
(72)【発明者】
【氏名】筑紫 彰太
(72)【発明者】
【氏名】小松 廉
(72)【発明者】
【氏名】ルイ笠原 純ユネス
(72)【発明者】
【氏名】サーサク・パトハック
(72)【発明者】
【氏名】谷島 諒丞
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 峻資
(72)【発明者】
【氏名】永谷 圭司
(72)【発明者】
【氏名】淺間 一
【テーマコード(参考)】
2D003
5C054
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA06
2D003FA02
5C054CA04
5C054CC02
5C054FD02
5C054FD03
5C054FE17
5C054GB02
5C054HA29
(57)【要約】
【課題】オペレータが周辺の画像をより適切に把握することができる俯瞰映像を表示できること。
【解決手段】遠隔操作可能な移動装置と、移動装置に設置され、周囲を広角に撮影する複数台のカメラと、移動装置の周囲の対象物を検出する検出装置と、移動装置とデータ通信可能である情報処理装置と、を備え、情報処理装置は、カメラにより取得される映像を、移動装置を俯瞰する仮想的な俯瞰視点から視た映像に視点変換することにより俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成部と、対象物の3D画像データを記憶する記憶部と、検出装置の検出結果から対象物の位置と姿勢を特定し、記憶部の3D画像データを用いて対象物に合わせた位置及び姿勢の3D画像を作成する3D画像作成部と、俯瞰映像に3D画像を重畳した画像を作成する合成部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作可能な移動装置と、
前記移動装置に設置され、周囲を広角に撮影する複数台のカメラと、
前記移動装置の周囲の対象物を検出する検出装置と、
前記移動装置とデータ通信可能である情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記カメラにより取得される映像を、前記移動装置を俯瞰する仮想的な俯瞰視点から視た映像に視点変換することにより俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成部と、
対象物の3D画像データを記憶する記憶部と、
前記検出装置の検出結果から対象物の位置と姿勢を特定し、前記記憶部の3D画像データを用いて前記対象物の位置及び姿勢に合わせた3D画像を作成する3D画像作成部と、
前記俯瞰映像に前記3D画像を重畳した画像を作成する合成部と、を備える俯瞰映像提示システム。
【請求項2】
前記検出装置は、前記移動装置に設置され、前記移動体の周囲の物体との相対関係を検出するセンサを含む請求項1に記載の俯瞰映像提示システム。
【請求項3】
前記検出装置は、前記対象物と通信し、前記対象物の位置情報及び姿勢情報を取得する請求項1に記載の俯瞰映像提示システム。
【請求項4】
前記移動装置は、4台の前記カメラを備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の俯瞰映像提示システム。
【請求項5】
前記3D画像作成部は、前記移動装置の3次元画像を作成し、
前記合成部は、前記移動装置の3次元画像を前記俯瞰画像に重畳する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の俯瞰映像提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、俯瞰映像提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害現場の復旧作業における遠隔操作可能な移動装置(以下、適宜「遠隔移動装置」と記載する)の利用に伴って、復旧作業の作業効率の向上を目的とした遠隔移動装置の映像提示技術の開発が盛んに行なわれている。例えば、特許文献1に記載の俯瞰映像提示システムは、遠隔移動装置に広角レンズを備えた複数台のカメラを搭載し、複数台のカメラから取得した映像を処理することによって、遠隔移動装置を上空の第三者視点から俯瞰したような映像を疑似的に提示することができる。また、特許文献1に記載の俯瞰映像提示システムは、対象の空間にマーカを配置、マーカとの距離とに基づいて、俯瞰映像に対して補正処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の俯瞰映像提示システムは、マーカの検出結果に基づいて俯瞰映像を補正することで、俯瞰映像の奥行方向の位置を補正できるため、より見やすい俯瞰映像とすることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の俯瞰映像を用いても、基準となる位置、例えば操作対象となる遠隔移動装置の近傍に別の物体、例えば障害物、遠隔移動装置で作業する対象物がある場合、別の物体の位置を正確に把握することが難しく、遠隔移動装置のオペレータに正確に伝えられない場合がある。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、オペレータが周辺の画像をより適切に把握することができる俯瞰映像を表示できる俯瞰映像提示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様の俯瞰映像提示システムは、周囲を広角に撮影する複数台のカメラ、周囲の対象物を検出する検出装置と、を含み、遠隔操作可能な移動装置と、前記移動装置とデータ通信可能である情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記カメラにより取得される映像を、前記移動装置を俯瞰する仮想的な俯瞰視点から視た映像に視点変換することにより俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成部と、対象物の3D画像データを記憶する記憶部と、前記検出装置の検出結果から対象物の位置と姿勢を特定し、前記記憶部の3D画像データを用いて前記対象物の位置及び姿勢に合わせた3D画像を作成する3D画像作成部と、前記俯瞰映像に前記3D画像を重畳した画像を作成する合成部と、を備える。
【0008】
俯瞰映像提示システムの望ましい態様として、前記検出装置は、前記移動装置に設置され、前記移動体の周囲の物体との相対関係を検出するセンサを含む。
【0009】
俯瞰映像提示システムの望ましい態様として、前記検出装置は、前記対象物と通信し、前記対象物の位置情報及び姿勢情報を取得する。
【0010】
俯瞰映像提示システムの望ましい態様として、前記移動装置は、4台の前記カメラを備える。
【0011】
俯瞰映像提示システムの望ましい態様として、前記3D画像作成部は、前記移動装置の3次元画像を作成し、前記合成部は、前記移動装置の3次元画像を前記俯瞰画像に重畳する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、オペレータが周辺の画像をより適切に把握することができる俯瞰映像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る俯瞰映像提示システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る俯瞰映像提示システムの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、俯瞰映像提示システムの処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、俯瞰映像提示システムの3D画像の作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、俯瞰映像の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る各座標系の概念を示す図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係る俯瞰映像提示システムの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る俯瞰映像提示システムについて実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態における構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。以下の実施形態では、本発明に係る俯瞰映像提示システムの実施形態の1つを例示する上で、必要となる構成要素を説明し、その他の構成要素を省略する。
【0015】
[システムの構成]
図1は、実施形態に係る俯瞰映像提示システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る俯瞰映像提示システム10は、遠隔操作可能な移動装置(遠隔移動装置)14を制御、監視するための俯瞰映像を提示する。俯瞰映像提示システム10は、移動装置14とデータ通信可能な情報処理装置12と、移動装置14とデータ通信可能な遠隔操作装置13と、移動装置14と、距離センサ18と、カメラユニット20と、を含む。また、本実施形態の俯瞰映像提示システム10は、移動装置14の近傍にダンプ8が配置される。情報処理装置12と、遠隔操作装置13と、移動装置14と、距離センサ18と、カメラユニット20とは、相互にデータ通信可能な状態で通信ネットワークに接続され、データの送受信が可能となる。通信ネットワークは、公衆通信回線及び専用通信回線等を含んで構築されてよい。なお、距離センサ18と、カメラユニット20とは、移動装置14の通信部と接続し、移動装置14の通信部を介して、他の機器とデータの送受信を行ってもよい。
【0016】
移動装置14は、本実施形態では油圧ショベルである。距離センサ18と、カメラユニット20は、移動装置14に設置される。移動装置14は、遠隔操作装置13で遠隔操作可能な機器である。
【0017】
距離センサ(検出装置)18は、移動装置14が作業する方向(バケットが設置されている方向)、例えば進行方向に設けられる。距離センサ18は、移動装置14が作業する方向にある物体との距離、物体の姿勢を検出する。距離センサ18は、移動装置14の作業する方向にある対象物を検出し、対象物の各部との距離(奥行方向の深度情報)を取得する。距離センサ18は、例えば赤外線センサ(検出光となる赤外光を照射し、その反射を検出して対象物との距離を検出するセンサ)、LiDAR等を用いることができる。距離センサ18は、対象物を複数の異なる方向から同時に撮影することにより、奥行方向の情報も記録するステレオカメラとしてもよい。距離センサ18は、少なくとも奥行方向の情報を含む深度画像を撮影できればよい。距離センサ18は、例えば、RGB-Dセンサでもよい。RGB-Dセンサは、深度画像に加えてRGB画像を取得するセンサである。RGB-Dセンサは、深度画像を撮影する二眼の赤外線カメラと、RGB画像を撮影する一眼のRGBカメラと、を含む。距離センサ18の水平方向の視野角は、例えば、88.2度以上94.2度以下である。垂直方向の視野角は、例えば、62.5度以上68.5度以下である。距離センサ18は、物体の表面の位置を示す3次元点の集合体である3次元点群の情報を3次元情報として取得できる。距離センサ18により取得される3次元点群を構成する各3次元点は、物体の表面の位置を示す3次元座標値で表される。3次元座標値は、任意の原点における、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各軸に対応する座標値で構成される。
【0018】
カメラユニット20は、4つのカメラ22、24、26、28を有する。カメラ22、24、26、28は、移動装置14の周囲(周辺環境)を所定の撮影範囲よりも広角に撮影する。カメラ22、24、26、28は、例えば、180度前後の広い画角を持った魚眼レンズを備える。カメラ22、24、26、28は、本実施形態において、移動装置14の作業方向の前後左右に設けられる。4つのカメラ22、24、26、28の配置位置は特に限定されず、移動装置14の周囲の全域を撮影できればよい。移動装置14にカメラ22、24、26、28を設置する場合、例えば、「小松 廉,藤井 浩光,山下 淳,淺間一:カメラ配置設計による故障時に備えたロボット遠隔操作のための俯瞰映像提示システムの開発,精密工学学会誌,81,12(2015)1206」に提案される配置に基づいて設置することができる。
【0019】
遠隔操作装置13は、移動装置14を遠隔で操作する。遠隔操作装置13は、情報処理装置12と一体の装置としてもよい。遠隔操作装置13は、移動装置14と通信を行い、移動装置14の移動や作業機構(アーム、ブーム、バケット)の稼働を制御する。遠隔操作装置13の遠隔操作の方法は、特に限定されず、例えば、移動装置14の運転席と同様の機構を設け、入力された操作を検出しても、キーボード、マウス等で入力された操作を検出してもよい。
【0020】
次に、
図2を用いて情報処理装置12を詳細に説明する。情報処理装置12は、移動装置14から受信する映像データ及び距離センサ18の情報を用いて、移動装置14の周囲にある物体の位置を提示する俯瞰映像を生成する。情報処理装置12は、画像取得部40と、周辺情報取得部42と、入力部44と、表示部46と、演算部48と、記憶部50と、を備える。また、情報処理装置12は、各部と通信する通信機能も備える。
【0021】
画像取得部40は、カメラユニット20の各カメラ22、24、26、28と、通信し、カメラ22、24、26、28が取得した画像データを取得する。画像取得部40は、取得した画像データを演算部48に送る。周辺情報取得部42は、距離センサ18と通信し、距離センサ18で取得した移動装置14の周囲の情報を取得する。周辺情報取得部42は、距離センサ18で取得したデータを演算部48に送る。入力部44は、情報処置装置14を操作するオペレータが操作を入力する。入力部44は、キーボート、マウス、タッチパネル等である。
【0022】
表示部46は、遠隔操作装置13、情報処置装置14を操作するオペレータに各種情報を表示する。表示部46は、後述する演算部48により生成された俯瞰映像を表示できる。表示部46は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等の表示デバイスを含んでよい。表示部46は、タッチスクリーンなどの入力デバイスを含んでよい。
【0023】
演算部48は、記憶部50に記憶されているプログラム及びデータに基づいて、移動装置14に関する各種処理を実行する。特に、本実施形態において、演算部48は、移動装置14の周囲にある物体の位置を提示する俯瞰映像を生成する処理を実行する。演算部48は、CPU(Central Processing Unit)マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、システムLSI(Large Scale Integration)などのプロセッサを含んで実装されてよい。演算部48は、記憶部50に記憶されているプログラムを読み出してRAMなどのワーキングメモリに展開し、ワーキングメモリに展開されたプログラムに含まれる命令をCPUなどのプロセッサに実行させる。これにより、演算部48は、各機能に基づいた各処理を実行できる。演算部48は、俯瞰映像作成部52と、対象物抽出部54と、3D画像作成部56と、合成部58と、を有する。演算部48の各部については後述する。
【0024】
記憶部50は、演算部48により実行される各種処理を実現するためのプログラム及びデータを記憶する。記憶部50が記憶するプログラムにより提供される機能は、移動装置14の周囲にある物体の位置を提示する俯瞰映像を生成する機能を含む。記憶部50が記憶するデータは、移動装置14から受信する映像データ及び3次元情報を含む。記憶部50は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVDにより実装されてよい。
【0025】
記憶部50は、画像作成プログラム62と、対象物データ64と、3D画像データ66と、を含む。画像作成プログラム62は、演算部48で実行されることで、俯瞰映像作成部52と、対象物抽出部54と、3D画像作成部56と、合成部58の各部の機能を実現する。対象物データ64は、移動装置14の周囲にあると想定される各種物体の情報である。対象物データ64は、ダンプ8の情報を含む。ダンプ8の情報としては、ダンプ8を特定するために必要な情報、例えば、形状、色、大きさの情報である。なお、対象物データ64は、ダンプ8以外の移動装置14の周囲にあると想定される物体、例えば、作業機械、障害物、建築物、物品の情報を含んでもよい。3D画像データ66は、対象物データ64に記憶される対象物の3次元形状のデータである。つまり、3D画像データ66は、ダンプ8の3次元形状(立体形状)のデータを含む。
【0026】
次に、演算部48の各部の機能を説明する。俯瞰映像作成部52は、移動装置14から受信する映像データ、すなわちカメラ22、24、26、28により取得される映像(カメラ映像)を、移動装置14を俯瞰する仮想的な俯瞰視点から視た映像に視点変換することにより第1俯瞰映像を生成する。俯瞰映像作成部52は、移動装置14のカメラ22、24、26、28により撮影された全ての物体がロボット座標系におけるある平面上に存在するという仮定の下、カメラ映像をその平面上に透視投影した後、視点変換処理を行うことにより、俯瞰映像を生成する。俯瞰映像は、例えば、半球の表面(半球の面と地面)に画像が貼り付けられた映像である。俯瞰映像作成部52は、「佐藤高亮,藤井浩光,Alessandro Moro,山下淳,淺間一:複数の魚眼カメラとLRFを用いた重畳型全方位俯瞰映像提示手法の構築,第13回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会講演論文集(2012)」に提案される従来手法を用いることによって、俯瞰映像を生成できる。俯瞰映像作成部52は、特開2020-161865号公報のように、俯瞰映像を作成する領域内にマークを配置し、カメラユニット20でマークを含む画像を取得し、マークの検出位置に基づいて補正処理を行った俯瞰映像を作成してもよい。
【0027】
対象物抽出部54は、距離センサ18の検出結果に基づいて、俯瞰映像で形成される空間内に含まれる対象物を抽出する。具体的には、対象物抽出部54は、移動装置14の近傍にある物体を抽出する。対象物抽出部54は、抽出した物体と、対象物データ64とを照合し、抽出した物体が登録されている対象物であるかを判定する。対象物抽出部54は、抽出した物体が登録されている場合、物体を対象物として抽出する。対象物抽出部54は、対象物の位置と姿勢も特定する。
【0028】
3D画像作成部56は、対象物抽出部54で抽出した対象物の3D画像を、3D画像データ66から読み出し、対象物抽出部54で抽出した対象物の位置、姿勢に対応する加工を行う。
【0029】
合成部58は、俯瞰映像作成部52で作成した俯瞰映像に、3D画像作成部56で作成板3D画像を重畳し、俯瞰映像の内側に3D画像の対象物が配置された映像を作成する。
【0030】
次に、
図3から
図6を用いて、俯瞰映像提示システム10の処理について説明する。
図3は、俯瞰映像提示システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図4は、俯瞰映像提示システムの3D画像の作成処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、俯瞰映像の一例を示す模式図である。
図6は、実施形態に係る各座標系の概念を示す図である。
図3及び
図4に示す処理は、各部から情報を取得した情報処理装置12で処理を実行することで、実現できる。情報処理装置12は、
図3の処理を繰り返し実行し、俯瞰画像を更新することで、表示する画像が周囲の状況、移動装置14の移動に応じて変化する俯瞰映像を作成する。
【0031】
図3に示すように、情報処理装置12は、画像取得部40で、カメラ22、24、26、28から画像を取得する(ステップS12)。次に、情報処理装置12は、俯瞰映像作成部52で、俯瞰映像を作成する(ステップS14)。具体的には、複数のカメラ22、24、26、28で取得した画像を合成して、半球体と底面とを含む壁面に画像を貼り付けた俯瞰映像を作成する。
【0032】
情報処理装置12は、対象物があるかを判定する(ステップS16)。情報処理装置12は、対象物抽出部54で、俯瞰映像に重畳する対象物があるかを判定する。
【0033】
図4を用いて、対象物があるかの判定処理について説明する。情報処理装置12は、
図3の処理と
図4の処理を並行して実行しても、
図3のステップS16の判定処理として
図4の処理を実行してもよい。
【0034】
情報処理装置12は、俯瞰映像に対象物が含まれるかを判定する(ステップS32)。情報処理装置12は、例えば、カメラユニット20の画像を解析して、対象物が含まれるかを判定する。情報処理装置12は、距離センサ18で検出した結果に基づいて、周囲に対象物があるかを判定してもよい。なお、ステップS32の判定は、俯瞰映像に対象物が含まれているかの判定であり、俯瞰映像に含まれていれば、移動装置14から所定距離離れている対象物も検出される。
【0035】
情報処理装置12は、対象物がない(ステップS32でNo)と判定した場合、オペレータに対象物がないことを通知し(ステップS34)、ステップS32に戻る。通知方法としては、表示部46にメッセージで通知する方法が例示されるが、これに限定されない。情報処理装置12は、対象物がない通知に代えて、対象物に近づくように指示する通知を出力してもよい。
【0036】
情報処理装置12は、対象物がある(ステップS32でYes)と判定した場合、対象物の種別を検出する(ステップS36)。情報処理装置12は、対象物抽出54で検出した対象物を解析し、対象物データ64と比較して、検出した対象物が対象物データ64のとの対象物と一致するかを判定し、対象物を特定する。
【0037】
情報処理装置12は、特定した対象物の3D画像データを取得する(ステップS38)。情報処理装置12は、対象物抽出部54で、3D画像データから対象物の立体形状のデータを取得する。
【0038】
次に、情報処理装置12は、距離センサ18のデータを取得する(ステップS40)。情報処理装置12は、周辺情報取得部42が距離センサ18から取得したデータを取得する。
【0039】
次に、情報処理装置12は、対象物の位置、姿勢を特定可能か判定する(ステップS42)。情報処置装置14は、対象物抽出部54で距離センサ18のデータから、対象物に対応する位置の情報を蓄積し、対象物の形状が特定できるかを判定する。具体的に対象物抽出部54は、対象物の領域の点群(距離センサ18の各位置での検出結果)を解析し、対象物の形状が特定できる数の点を検出できているかを判定する。
【0040】
情報処理装置12は、対象物の位置、姿勢を特定できない(ステップS42でNo)と判定した場合、オペレータに移動装置の移動を指示する(ステップS44)。例えば、対象物に近づくように指示する。
【0041】
情報処理装置12は、対象物の位置、姿勢を特定可能である(ステップS42でYes)と判定した場合、対象物の3D画像データの姿勢、合成位置を決定する(ステップS46)。つまり、対象物抽出部54は、距離センサ18の検出結果に基づいて、対象物の位置、姿勢を特定し、特定した姿勢、位置を、俯瞰映像中の対象部の3D画像データの姿勢、合成位置として決定する。
【0042】
図3に戻り、情報処理装置12の処理を説明する。情報処理装置12は、対象物がない(ステップS16でNo)を判定した場合、対象物の3D画像をせず、本処理を終了する。この場合、情報処理装置12は、表示部46に対象物の3D画像が含まれない俯瞰映像を表示させる。
【0043】
情報処理装置12は、対象物がある(ステップS16でYes)を判定した場合、対象物の3D画像を作成する(ステップS18)。具体的に、情報処置装置14は、3D画像作成部56で、3D画像データ66から対象物の3D画像を読み出し、対象物抽出部54で抽出した姿勢、位置に対応する画像に加工する。
【0044】
情報処理装置12は、3D画像を作成した後、俯瞰映像に3D画像を重畳する(ステップS20)。これにより、表示部46に対象物の3D画像が含まれる俯瞰映像を表示させる。
【0045】
情報処理装置12は、
図5及び
図6に示すように、俯瞰映像100を表示させる。俯瞰映像100は、視点を任意の位置に変更でき、俯瞰映像100内のどの位置からも表示が可能な映像である。俯瞰映像100は、半球と底面の壁面画像101と、壁面画像101に囲まれた空間内に配置された3D画像104、106を含む。壁面画像101は、俯瞰映像作成部52で作成した画像であり、3D画像104、106は、3D画像作成部56で作成した画像である。3D画像104は、移動装置14の立体画像である。3D画像106は、ダンプ8の立体画像である。3D画像104、106は、3D画像データ66から抽出した立体画像である。3D画像104は、壁面画像101の中心に配置される。3D画像106は、対象物抽出部54で取得した位置、姿勢に基づいて表示される。3D画像104,106は、全方位の立体形状の情報を備えており、視点の位置に応じて、画像上での3D画像104、106の見え方が変化する。
【0046】
ここで、カメラユニット20の画像に基づいて作成される壁面画像(俯瞰映像)と、距離センサ18の結果に基づいて位置、姿勢を特定する3D画像との相対位置について説明する。俯瞰映像提示システム10は、俯瞰映像座標系120と、測域センサ座標系122と、ダンプトラック座標系124と、を設定している。俯瞰映像座標系120は、カメラユニット20の検出結果に対応する壁面画像101の空間内に設定される座標系である、俯瞰映像座標系120は、移動装置14とカメラユニット20との位置情報を含む。測域センサ座標系122は、距離センサ18で検出した結果に対応付けられる座標系であり、移動装置14に対する距離センサ18の位置情報も備える。ダンプトラック座標系124は、ダンプ8の基準位置に基づいて設定される座標系である。
【0047】
測域センサ座標系122においては、移動装置14に設置されている距離センサ18とカメラユニット20との相対位置が既知である。情報処理装置12は、距離センサ18とカメラユニット20の相対位置の情報に基づいて、測域センサ座標系122の位置情報を俯瞰映像座標系120の位置情報に変換する。また、ダンプ8は、距離センサ18によって位置が検出されることで、測域センサ座標系122におけるダンプ8の位置が特定される。測域センサ座標系122におけるダンプ8の位置の情報に基づいて、ダンプトラック座標系124を測域センサ座標系122の位置情報に変換し、さらに、俯瞰映像座標系120と測域センサ座標系122との関係に基づいて、俯瞰映像座標系120の位置情報に変換する。これにより、情報処理装置12は、俯瞰映像座標系120におけるダンプ8の位置が特定され、俯瞰映像100に立体形状の3D画像106を表示させることができる。
【0048】
以上で説明したように、俯瞰映像提示システム10は、遠隔操作可能な移動装置14と、移動装置14に設置され、周囲を広角に撮影する複数台のカメラ22、24、26、28と、移動装置14の周囲の対象物を検出する距離センサ(検出装置18と、移動装置14とデータ通信可能である情報処理装置12と、を備える。また、情報処理装置12は、カメラ22、24、26、28により取得される映像を、移動装置を俯瞰する仮想的な俯瞰視点から視た映像に視点変換することにより俯瞰映像を生成する俯瞰映像生成部52と、対象物の3D画像データを記憶する記憶部50と、距離センサの検出結果から対象物の位置と姿勢を特定し、記憶部50の3D画像データを対象物の位置及び姿勢の3D画像を作成する3D画像作成部56と、俯瞰映像(壁面画像)に3D画像を重畳した画像を作成する合成部58と、を備える。
【0049】
これにより、俯瞰映像提示システム10は、俯瞰映像内に対象物の3D画像を表示させることができる。また、俯瞰映像内に対象物となるダンプ8の3D画像106を表示させることで、俯瞰映像で移動装置14と対象物となるダンプ8との相対位置を適切に把握できる映像とすることができる。また、俯瞰映像提示システム10は、予め準備した3D画像データ66に基づいて容易に立体形状を作成することができる。さらに、俯瞰映像の視点を変化させ、移動装置14から見えない向きの画像を表示させた場合も、決定した視点からの対象物の形状を把握することができる。つまり、距離センサ18、カメラユニット20から見えない向きの対象物の形状も3D画像データ66で再現できるため、任意の視点からの俯瞰映像に対象物の立体形状を表示させることができる。
【0050】
また、上記実施形態の俯瞰映像提示システム10では、移動装置14の位置に対応する3D画像106を表示させることで、操作対象の自機と対象物との相対関係をより正確に把握することができる。なお、移動装置14の3D画像104は、3D画像データに形状のデータを記憶させ読み出すことで表示できる。また、移動装置14の制御情報や、カメラユニット20の映像に基づいて、移動装置14の姿勢を特定し、姿勢に基づいて3D画像104の形状を補正して、実際の姿勢に対応する3D画像104としてもよい。
【0051】
また、上記実施形態の俯瞰映像提示システム10では、対象物がダンプ8の1台である場合として説明したが、対象物はダンプに限定されない。対象物データには、3D画像データに記憶させた種々の物体を対象とすることができる。また、俯瞰映像に表示させる対象物も1つに限定さない。距離センサ18(検出装置)で複数の対象物を検出し、俯瞰映像の複数の位置に複数の対象物の3D画像を表示させてもよい。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。例えば、検出装置は、2つ以上設けられてもよい。また、本実施形態において、カメラ22、24、26、28は、魚眼レンズを備える魚眼カメラであるが、ステレオカメラを用いてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、対象物の位置、姿勢を特定する検出装置として距離センサ18を用いたが、これに限定されない。
【0054】
図7は、他の実施形態に係る俯瞰映像提示システムの機能構成を模式的に示すブロック図である。
図7に示す俯瞰映像提示システム10aのうち、俯瞰映像提示システム10同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。俯瞰映像提示システム10aは、情報処理装置12aと、移動装置14と、カメラユニット20と、を有する。俯瞰映像提示システム10aは、検出装置として、通信部272と、GNSSセンサ274と、姿勢検出部276と、通信部282と、GNSSセンサ284と、姿勢検出部286と、を含む。通信部272と、GNSSセンサ274と、姿勢検出部276とは、移動装置14に設置される。通信部282と、GNSSセンサ284と、姿勢検出部286と、は、ダンプ8に設置される。なお、GNSSセンサ274、284は、それぞれ2台のGNSSセンサで構成されている。例えば、移動装置14に設置される2台のGNSSセンサは、移動装置14における指定された位置に設置されるため移動装置14の位置情報、姿勢情報を取得することができる。
【0055】
通信部272は、周辺情報取得部42と通信を行う。通信部272は、公衆通信網を用いて通信する。なお、通信部272は、情報処理装置12aと移動装置14とが所定距離内にある場合、近距離無線通信を用いて通信してもよい。GNSSセンサ274は、人工衛星(測位衛星)を利用した全世界測位システム(Global Navigation Satellite System)で地球上での移動装置14の位置を検出する。姿勢検出部276は、移動装置14の姿勢を検出する。姿勢検出部276は、移動装置14の動作情報、制御情報を取得して、移動装置14の姿勢を検出しても、カメラ、センサ等を用いて移動装置14の外形形状を検出して移動装置14の姿勢を検出してもよい。
【0056】
通信部282は、周辺情報取得部42と通信を行う。通信部282は、公衆通信網を用いて通信する。なお、通信部282は、情報処理装置12aとダンプ8とが所定距離内にある場合、近距離無線通信を用いて通信してもよい。GNSSセンサ284は、人工衛星(測位衛星)を利用した全世界測位システム(Global Navigation Satellite System)で地球上でのダンプ8の位置を検出する。姿勢検出部286は、ダンプ8の姿勢を検出する。姿勢検出部286は、移動装置14の動作情報、制御情報を取得して、移動装置14の姿勢を検出しても、カメラ、センサ等を用いてダンプ8の外形形状を検出して移動装置14の姿勢を検出してもよい。
【0057】
情報処理装置12aは、周辺情報取得部42で、移動装置14のGNSSシステム上での位置情報と、姿勢情報、ダンプ8のGNSSシステム上での位置情報と、姿勢情報を取得する。情報処理装置12aは、GNSSシステムでの移動装置14とダンプ8との位置情報(座標情報)を取得することで、移動装置14とダンプ8との相対位置を検出し、検出した結果を俯瞰映像座標系に変換することで、俯瞰映像上でのダンプ8の位置を決定することができる。また、情報処理装置12aは、姿勢の情報に基づいて、ダンプ8の向き、外形形状を特定することができ、3D画像を補正することができる。
【0058】
俯瞰映像提示システム10aは、検出装置として、GNSSシステム等の地球上の座標を検出する方法を用いても、俯瞰映像上に対象物の3D画像を表示させることができる。また、検出装置は、移動装置14と対象物の相対位置が検出できればよく、移動装置14と対象物の通信で相対位置を検出できる方法を用いてもよい。
【0059】
俯瞰映像提示システム10aは、俯瞰映像の表示範囲内にある対象物の有無を検出した結果を用いて、対象物と通信を行うかを判定してもよい。つまり、表示する領域内にある対象物と選択的に通信を行い、相対位置を検出する様にしてもよい。これにより、移動装置14の俯瞰映像の表示範囲内に侵入する対象物の候補が多数ある場合でも、処理の負荷が増加することを抑制できる。
【符号の説明】
【0060】
8 ダンプ
10、10a 俯瞰映像提示システム
12、12a 情報処理装置
13 遠隔操作装置
14 移動装置
18 距離センサ(検出装置)
20 カメラユニット
22、24、26、28 カメラ
40 画像取得部
42 周辺情報取得部
44 入力部
46 表示部
48 演算部
50 記憶部
52 俯瞰映像作成部
54 対象物抽出部
56 3D画像作成部
58 合成部
62 映像作成プログラム
64 対象物データ
66 3D画像データ
272、282 通信部
286、284 GNSSセンサ
276、286 姿勢検出部