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特開2023-20888クロマティックレンジセンサーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020888
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】クロマティックレンジセンサーシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
G01B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086728
(22)【出願日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】17/389,013
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン ラマン
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA02
2F065AA06
2F065FF04
2F065FF10
2F065GG07
2F065GG23
2F065GG24
2F065JJ26
2F065LL02
2F065LL04
2F065LL21
2F065LL30
2F065LL67
2F065QQ23
2F065QQ24
2F065QQ29
2F065SS02
(57)【要約】
【課題】ガイド光として使用可能な、測定スポットを含むワーク表面の合焦画像を提供できるクロマティックレンジセンサー(CRS)システムを提供する。
【解決手段】CRSシステムは、軸上色分散を付与する色分散レンズ配置、及び、ワーク表面からの反射光を受光して測定部分及び画像化部分に分割するように配置された反射光分割構成(例えばビームスプリッター)を有する光学ペンを含む。光学ペンは狭帯域スペクトルフィルター及びカメラを含む。該CRSシステムは、光学ペンからワーク表面までの距離を測定し、かつ、該距離が、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されたワーク表面が合焦するような合焦距離と、一致するように調整するように設けられる処理部を含んでいる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象のワーク表面の合焦画像を提供可能なクロマティックレンジセンサー(CRS)システムであって、前記合焦画像は、前記ワーク表面上に形成される測定スポットを含み、該CRSシステムは、
(a)光学ペンと、
ここで該光学ペンは、
筐体と、
測定光路に沿って光を出力し、該測定光路に沿って反射光を受光するように設けられたファイバーアパーチャーを含む入出力光ファイバーと、
該クロマティック共焦点レンジセンサー光学ペンの測定軸を定義するための光軸を持った色分散レンズ配置と、ここで該色分散レンズ配置は、
前記測定光路に含められ、
光を受光し、前記ワーク表面に向けて軸上色分散を示す合焦光を出力するように設けられ、該軸上色分散によって、異なる波長光が、前記ワーク表面の近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結び、及び、
前記ワーク表面からの反射光を受光し、少なくとも該反射光の一部を前記測定光路に沿って前記ファイバーアパーチャー近傍の点に合焦させるように設けられ、
前記色分散レンズ配置からの前記反射光を受光し、該反射光を測定部分と画像化部分とに分割するための反射光分割構成と、
前記反射光のうちの前記画像化部分の少なくとも一部をフィルターにかけるために配置された狭帯域スペクトルフィルターと、
カメラ画像を生成するために前記反射光のうちの前記狭帯域スペクトルフィルターを透過した前記画像化部分の少なくとも一部を受光するように設けられる画像検出器を備えるカメラ部と、を含み、
(b)前記光学ペンに入力するための多波長第1光を発生するように設けられる第1光源と、
(c)該CRS波長検出器の測定軸に沿った各々のピクセル位置に配置されている複数のピクセルを備え、前記反射光のうちの前記測定部分の少なくとも一部を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供するように設けられるCRS波長検出器と、
(d)前記光学ペンから前記ワーク表面までの距離を測定するために前記出力スペクトルプロファイルデータを処理するように設けられ、前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離が、前記狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化された前記ワーク表面が合焦するような合焦距離と一致するように、調整を実行するように設けられる処理部と、を備え、
ここで、前記調整後に前記狭帯域スペクトルフィルターを透過しない光は非合焦光を含むことを特徴とするCRSシステム。
【請求項2】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記処理部による前記調整後、対応するカメラ画像は、合焦状態の前記ワーク表面上の前記測定スポットを備え、
該測定スポットは、前記ファイバーアパーチャーから出力されて前記ワーク表面を反射する前記第1光源からの第1光からなる前記反射光のうちの前記画像化部分の一部によって形成されることを特徴とするCRSシステム。
【請求項3】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、更に、
前記色分散レンズ配置に入力される第2光を発生する第2光源を備え、
前記画像化部分は、前記ワーク表面を反射した前記第2光の前記反射光を含むことを特徴とするCRSシステム。
【請求項4】
請求項3記載のCRSシステムにおいて、
前記第2光源は、発光ダイオード(LED)を備えることを特徴とするCRSシステム。
【請求項5】
請求項3記載のCRSシステムにおいて、
前記狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅は、前記第2光源のスペクトル帯域幅の範囲内であることを特徴とするCRSシステム。
【請求項6】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記狭帯域スペクトルフィルターは、10ナノメートル未満のスペクトル帯域幅を有することを特徴とするCRSシステム。
【請求項7】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記狭帯域スペクトルフィルターは、5ナノメートル未満のスペクトル帯域幅を有することを特徴とするCRSシステム。
【請求項8】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅が、前記ファイバーアパーチャーを介して前記入出力光ファイバーに戻るように結合された前記反射光のスペクトル帯域幅の2倍以下になるように、該狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅を、前記入出力光ファイバーに戻るように結合された前記反射光のスペクトル帯域幅と同様にしていることを特徴とするCRSシステム。
【請求項9】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記狭帯域スペクトルフィルターは、前記CRSシステムのCRS測定レンジの中央部と一致する中心波長を有することを特徴とするCRSシステム。
【請求項10】
請求項1記載のCRSシステムは、更に、前記カメラ画像を表示するスクリーン部を備えることを特徴とするCRSシステム。
【請求項11】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記処理部は、前記反射光のうちの前記測定部分に基づいて前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離を測定する測定モードと、前記反射光のうちの前記画像化部分に基づいて前記ワーク表面の前記カメラ画像を生成するガイド光モードと、を含む複数のモードで動作するように構成され、
前記カメラ画像は、前記ガイド光として利用されるように設けられる測定スポットを含んでいることを特徴とするCRSシステム。
【請求項12】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記処理部によって実行される前記調整は、前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離を前記合焦距離と一致させることを備えることを特徴とするCRSシステム。
【請求項13】
請求項12記載のCRSシステムにおいて、
前記調整は、前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離を調整するために移動制御装置を利用することを備えることを特徴とするCRSシステム。
【請求項14】
請求項13記載のCRSシステムにおいて、
前記移動制御装置は、前記光学ペンと結合しているマシンビジョン検査システムの一部であることを備えることを特徴とするCRSシステム。
【請求項15】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記反射光分割構成はビームスプリッターを備えることを特徴とするCRSシステム。
【請求項16】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記測定部分と前記画像化部分の比率は、少なくとも5対1であることを特徴とするCRSシステム。
【請求項17】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記反射光のうちの前記測定部分の少なくとも一部と、前記反射光のうちの前記画像化部分の少なくとも一部とは、互いに平行に伝搬することを特徴とするCRSシステム。
【請求項18】
請求項1記載のCRSシステムにおいて、
前記反射光のうちの前記測定部分および前記画像化部分は、前記反射光分割構成による分割後、2つの異なる光軸に沿って伸びることを特徴とするCRSシステム。
【請求項19】
測定スポットを含む測定対象のワーク表面の合焦画像を提供するクロマティックレンジセンサー(CRS)システムの動作方法であって、
該CRSシステムは、
(a)光学ペンと、
ここで該光学ペンは、
筐体と、
測定光路に沿って光を出力し、該測定光路に沿って反射光を受光するように設けられたファイバーアパーチャーを含む入出力光ファイバーと、
該クロマティック共焦点レンジセンサー光学ペンの測定軸を定義するための光軸を持った色分散レンズ配置と、ここで該レンズ配置は、
前記測定光路に含められ、
光を受光し、前記ワーク表面に向けて軸上色分散を示す合焦光を出力するように設けられ、該軸上色分散によって、異なる波長光が、前記ワーク表面の近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結び、及び、
前記ワーク表面からの反射光を受光し、少なくとも該反射光の一部を前記測定光路に沿って前記ファイバーアパーチャー近傍の点に合焦させるように設けられ、
前記色分散レンズ配置からの前記反射光を受光し、該反射光を測定部分と画像化部分とに分割するように配置された反射光分割構成と、
前記反射光のうちの前記画像化部分の少なくとも一部をフィルターにかけるために配置された狭帯域スペクトルフィルターと、
カメラ画像を生成するために前記反射光のうちの前記狭帯域スペクトルフィルターを透過した前記画像化部分の少なくとも一部を受光するように設けられる画像検出器を備えるカメラ部と、を含み、
(b)前記光学ペンに入力するための多波長第1光を発生するように設けられる第1光源と、
(c)該CRS波長検出器の測定軸に沿った各々のピクセル位置に配置されている複数のピクセルを備え、前記反射光のうちの前記測定部分の少なくとも一部を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供するように設けられているCRS波長検出器と、を含み、
該動作方法は、
前記出力スペクトルプロファイルデータに基づいて前記光学ペンから前記ワーク表面までの距離を測定するために前記CRSシステムを動作させるステップと、
前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離が、前記狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化された前記ワーク表面が合焦するような合焦距離と、一致するように調整を実行するステップと、
前記測定スポットを含む前記ワーク表面のカメラ画像を表示するステップと、
を備えることを特徴とするCRSシステムの動作方法。
【請求項20】
請求項19記載のCRSシステムの動作方法は、更に、
前記色分散レンズ配置に入力される第2光で前記ワーク表面を照射するステップを備え、
前記第2光は、前記狭帯域スペクトルフィルターの前記スペクトル帯域幅の範囲内である波長光を含み、前記画像化部分は、前記ワーク表面の画像化のために利用される前記第2光の反射光を含むことを特徴とするCRSシステムの動作方法。
【請求項21】
請求項20記載のCRSシステムの動作方法において、
前記画像化部分は、更に、前記測定スポットを画像化するための前記第1光の反射光を含み、
前記カメラ画像は、前記ワーク表面の画像、及び、前記ワーク表面上の前記測定スポットの画像を含むことを特徴とするCRSシステムの動作方法。
【請求項22】
請求項19記載のCRSシステムの動作方法において、
前記狭帯域スペクトルフィルターは、前記CRSシステムのCRS測定レンジの中央部と一致する中心波長を有することを特徴とするCRSシステムの動作方法。
【請求項23】
請求項19記載のCRSシステムの動作方法は、更に、
移動制御装置を含んでいるマシンビジョン検査システムに前記CRSシステムを結合するステップと、
前記マシンビジョン検査システムの一部として前記CRSシステムを動作させるステップと、を備え、
前記調整は、前記マシンビジョン検査システムの前記移動制御装置を利用して、前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離を、前記狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化された前記ワーク表面が合焦するような前記合焦距離と、一致させることを備えることを特徴とするCRSシステムの動作方法。
【請求項24】
測定対象のワーク表面の合焦画像を提供可能なクロマティックレンジセンサー(CRS)システムであって、前記合焦画像は、前記ワーク表面上に形成される測定スポットを含み、該CRSシステムは、
(a)光学ペンと、
ここで該光学ペンは、
筐体と、
測定光路に沿って光を出力し、該測定光路に沿って反射光を受光するように設けられたファイバーアパーチャーを含む入出力光ファイバーと、
該クロマティック共焦点レンジセンサー光学ペンの測定軸を定義するための光軸を持った色分散レンズ配置と、ここで該色分散レンズ配置は、
前記測定光路に含められ、
光を受光し、前記ワーク表面に向けて軸上色分散を示す合焦光を出力するように設けられ、該軸上色分散によって、異なる波長光が、前記ワーク表面の近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結び、及び、
前記ワーク表面からの反射光を受光し、少なくとも該反射光の一部を前記測定光路に沿って前記ファイバーアパーチャー近傍の点に合焦させるように設けられ、
前記色分散レンズ配置からの前記反射光を受光して、該反射光を測定部分と画像化部分とに分割するように配置された反射光分割構成と、
前記反射光のうちの前記画像化部分の少なくとも一部をフィルターにかけるために配置された狭帯域スペクトルフィルターと、
カメラ画像を生成するために前記反射光のうちの前記狭帯域スペクトルフィルターを透過した前記画像化部分の少なくとも一部を受光するように設けられる画像検出器を備えるカメラ部と、を含み、
(b)前記光学ペンに入力するための多波長第1光を発生するように設けられる第1光源と、
(c)該CRS波長検出器の測定軸に沿った各々のピクセル位置に配置されている複数のピクセルを備え、前記反射光のうちの前記測定部分の少なくとも一部を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供するように設けられるCRS波長検出器と、
(d)1以上の処理器と、
(e)前記1以上の処理器に接続され、該1以上の処理器による実行によって、該1以上の処理器が少なくとも、
前記出力スペクトルプロファイルデータに基づいて前記光学ペンから前記ワーク表面までの距離を測定するために前記CRSシステムを動作させる処理と、
前記光学ペンから前記ワーク表面までの前記距離が、前記狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化された前記ワーク表面が合焦するような合焦距離と、一致するように調整する処理と、
前記測定スポットを含む前記ワーク表面の前記カメラ画像を表示する処理をするように構成されたプログラム命令を記憶している記憶部と、
を備えることを特徴とするCRSシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精密測定機器に関し、特に、被測定ワーク表面及びその上に形成される測定スポットの合焦画像を提供可能なクロマティックレンジセンサー、及び、これらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
光学距離センサー(例えば、高さ、距離などのセンサー)にクロマティック共焦点技術を利用することが知られている。米国特許第7,876,456号公報に記載されているように、軸上色収差(ここでは、軸上又は長軸方向の色分散とも呼ぶ)を有する光学要素は、広帯域の光源光を合焦し、軸方向の焦点距離を波長によって変化させることに使われる。すなわち、一つの波長光だけが表面上で正確に合焦し、合焦要素に対するその表面高さ又は表面までの距離によって、どの波長光が最も良く合焦するかが決まる。表面の反射光は、ピンホール又は光ファイバー端部といった小さな検出アパーチャーで再び合焦する。表面を反射し、光学系を通って入出力ファイバーへ逆戻りする光のうち、表面で良く合焦した波長光だけが、そのアパーチャーでも良く合焦する。他の波長光は、どれもアパーチャーでの合焦が不完全であって、そのため、ファイバーへパワーをほとんどカップリングしない。従って、ファイバーを通って戻る光の信号レベルは、表面高さ又は表面までの距離に応じた波長で最大になる。分光器型の検出器は、波長毎の信号レベルを測定して表面高さを決定する。
【0003】
あるメーカーでは、上述のように動作し、産業用に適した実用的で小型のクロマティックレンジセンサー(CRS)システムを、クロマティックポイントセンサー(CPS)又はクロマティックラインセンサー等と称している。このようなシステムに使用される小型の色分散光学アセンブリは、「光学ペン」又は「ペン」と称されている。光学ペンは、光ファイバーによってクロマティックレンジセンサーの電装部に接続される。電装部は第1光源を含み、この光源は、光をファイバーに伝送して光学ペンから出力させる。電装部は、また、戻り光を検出して解析する分光器を備える。戻り光は、波長分散強度プロファイルを形成し、分光器の検出器アレイによって受光される。波長分散強度プロファイルに応じたピクセルデータを解析して、(例えば、強度プロファイルのピーク又は重心によって示される)「主波長位置座標」を決定する。また、得られた(例えば、ピーク及び/又は重心の)ピクセル座標からルックアップテーブルを用いて、表面までの距離が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,876,456号公報
【特許文献2】米国特許第7,454,053号公報
【特許文献3】米国特許第8,085,295号公報
【特許文献4】米国特許第7,324,682号公報
【特許文献5】米国特許出願公開2005/0031191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のCRSシステムには、該CRSシステムがワーク表面の正しい位置(すなわち、正しい位置までの距離)を測定するために、該CRSシステムに対してワーク表面が適切に配置されているかを、ユーザーが簡単に確認できるような手段が欠けていた。具体的には、CRSのレンズ構成は、異なる波長光を異なる距離で合焦させるというCRS測定動作には適しているが、まさにその理由により、画像化動作にはあまり適さない。すなわち、撮像カメラに戻ってくる様々な波長の光はそれぞれ異なった距離で合焦するので、焦点が合うのは様々な波長の内の1つの波長だけで殆どがぼやけ、不鮮明な画像が形成されてしまう。
【0006】
本発明の様々な態様の目的は、画像上に形成される測定スポットを含んでいるワーク表面の合焦画像を提供可能なCRSシステムを構成することである。このようなCRSシステムは、測定スポットの合焦画像を、CRSシステムの光学ペンに対するワーク表面の適切な配置状態を示す「ガイド光」として、ユーザーが視認できるようにして、このガイド光によって、該CRSシステムがワーク表面の正しい位置を測定していることのより直接的な保証をユーザーに与えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、測定対象のワーク表面の合焦画像を提供可能なクロマティックレンジセンサー(CRS)システムが提供される。合焦画像は、ワーク表面上に形成される測定スポットを含む。該CRSシステムは、(a)光学ペン、(b)第1光源、(c)CRS波長検出器、及び(d)処理部を含んでいる。
【0008】
光学ペンは、筐体と、測定光路に沿って光を出力し、該測定光路に沿って反射光を受光するように設けられたファイバーアパーチャーを含む入出力光ファイバーと、クロマティック共焦点レンジセンサー光学ペンの測定軸を定義するための光軸を持った色分散レンズ配置と、を含む。該色分散レンズ配置は、測定光路に含められ、光を受光し、ワーク表面に向けて軸上色分散を示す合焦光を出力するように設けられる。この軸上色分散によって、異なる波長光が、ワーク表面の近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結ぶ。また、該色分散レンズ配置は、ワーク表面からの反射光を受光し、少なくとも反射光の一部を測定光路に沿ってファイバーアパーチャー近傍の点に合焦させるように設けられている。
【0009】
光学ペンは、更に、上記の色分散レンズ配置からの反射光を受光して、該反射光を測定部分と画像化部分とに分割するように配置された反射光分割構成を含む。光学ペンは、また、反射光のうちの画像化部分の少なくとも一部をフィルターにかけるために配置された狭帯域スペクトルフィルターと、カメラ画像を生成するために反射光のうちの狭帯域スペクトルフィルターを透過した画像化部分の少なくとも一部を受光するように設けられる画像検出器を備えるカメラ部と、を含んでいる。
【0010】
第1光源は、光学ペンに入力するための多波長第1光を発生するように設けられる。
【0011】
CRS波長検出器は、該CRS波長検出器の測定軸に沿った各々のピクセル位置に配置されている複数のピクセルを備え、反射光のうちの測定部分の少なくとも一部を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供するように設けられている。
【0012】
処理部は、光学ペンからワーク表面までの距離を測定するために出力スペクトルプロファイルデータを処理するように設けられ、また、光学ペンからワーク表面までの距離が、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されたワーク表面が合焦するような合焦距離と一致するように、調整と実行するように設けられている。ここで、調整後に、狭帯域スペクトルフィルターを透過しない光は、非合焦光を含んでいる。
【0013】
本発明の一態様では、請求項1のCRSシステムにおいて処理部による調整の後、対応するカメラ画像は、合焦状態のワーク表面上の測定スポットを含んでいる。該測定スポットは、ファイバーアパーチャーから出力されてワーク表面を反射する第1光源からの第1光からなる反射光のうちの画像化部分の一部によって形成されている。
【0014】
本発明の他の態様では、CRSシステムは、更に、色分散レンズ配置に入力される第2光を発生する第2光源を含む。ここでの画像化部分は、ワーク表面を反射した第2光の反射光を含む。例えば、第2光源は、発光ダイオード(LED)を含んでいてもよい。例えば、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅は、第2光源のスペクトル帯域幅の範囲内である。
【0015】
本発明の他の態様では、狭帯域スペクトルフィルターは、10ナノメートル未満のスペクトル帯域幅を有する。
【0016】
本発明の他の態様では、狭帯域スペクトルフィルターは、5ナノメートル未満のスペクトル帯域幅を有する。
【0017】
本発明の他の態様では、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅が、ファイバーアパーチャーを介して入出力光ファイバーに戻るように結合された反射光のスペクトル帯域幅の2倍以下になるように、該狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅を、入出力光ファイバーに戻るように結合された反射光のスペクトル帯域幅と同様にしている。
【0018】
本発明の他の態様では、狭帯域スペクトルフィルターは、CRSシステムのCRS測定レンジの中央部と一致する中心波長を有する。
【0019】
本発明の他の態様では、CRSシステムは、更に、カメラ画像を表示するスクリーン部を備える。
【0020】
本発明の他の態様では、処理部は、反射光のうちの測定部分に基づいて光学ペンからワーク表面までの距離を測定する測定モードと、反射光のうちの画像化部分に基づいてワーク表面のカメラ画像を生成するガイド光モードと、を含む複数のモードで動作するように構成され、該カメラ画像は、ガイド光として利用されるように設けられる測定スポットを含んでいる。
【0021】
本発明の他の態様では、処理部によって実行される調整は、光学ペンからワーク表面までの距離を合焦距離と一致させることを備えている。例えば、この調整は、光学ペンからワーク表面までの距離を調整するために移動制御装置を利用することを備えている。この移動制御装置は、例えば、光学ペンと結合しているマシンビジョン検査システムの一部であってもよい。
【0022】
本発明の他の態様では、反射光分割構成は、ビームスプリッターを備えている。
【0023】
本発明の他の態様では、測定部分と画像化部分の比率は、少なくとも5対1である。
【0024】
本発明の他の態様では、反射光のうちの測定部分の少なくとも一部と、反射光のうちの画像化部分の少なくとも一部とは、互いに平行に伝搬する。
【0025】
本発明の他の態様では、反射光のうちの測定部分および画像化部分は、反射光分割構成による分割後、2つの異なる光軸に沿って伸びる。
【0026】
本発明の他の態様では、測定スポットを含む測定対象のワーク表面の合焦画像を提供するクロマティックレンジセンサー(CRS)システムの動作方法が提供される。該CRSシステムは、(a)光学ペン、(b)光学ペンに入力される多波長第1光を発生するように設けられる第1光源、及び、(c)CRS波長検出器を含んでいる。
【0027】
光学ペンは、筐体と、測定光路に沿って光を出力し、該測定光路に沿って反射光を受光するように設けられたファイバーアパーチャーを含む入出力光ファイバーと、クロマティック共焦点レンジセンサー光学ペンの測定軸を定義するための光軸を持った色分散レンズ配置と、を含む。該色分散レンズ配置は、測定光路に含められ、光を受光し、ワーク表面に向けて軸上色分散を示す合焦光を出力するように設けられる。これによって異なる波長光が、ワーク表面の近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結ぶ。また、該色分散レンズ配置は、ワーク表面からの反射光を受光し、少なくとも反射光の一部を測定光路に沿ってファイバーアパーチャー近傍の点に合焦させるように設けられている。
【0028】
光学ペンは、また、上記の色分散レンズ配置からの反射光を受光し、該反射光を測定部分と画像化部分とに分割するように配置された反射光分割構成を含む。光学ペンは、更に、反射光のうちの画像化部分の少なくとも一部をフィルターにかけるために配置された狭帯域スペクトルフィルターと、カメラ画像を生成するために反射光のうちの狭帯域スペクトルフィルターを透過した画像化部分の少なくとも一部を受光するように設けられる画像検出器を備えるカメラ部と、を含んでいる。
【0029】
CRS波長検出器は、該CRS波長検出器の測定軸に沿った各々のピクセル位置に配置されている複数のピクセルを含み、反射光のうちの測定部分の少なくとも一部を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供するように設けられている。
【0030】
該動作方法は、以下のステップを含む。すなわち、
出力スペクトルプロファイルデータに基づいて光学ペンからワーク表面までの距離を測定するためにCRSシステムを動作させるステップと、
光学ペンからワーク表面までの距離が、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されたワーク表面が合焦するような合焦距離と、一致するように調整を実行するステップと、
測定スポットを含むワーク表面のカメラ画像を表示するステップと、を含む。
【0031】
本発明の他の態様では、該動作方法は、更に、色分散レンズ配置に入力される第2光でワーク表面を照射するステップを含む。ここで、第2光は、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅の範囲内である波長光を含む。ここで、画像化部分は、ワーク表面の画像化のために利用される第2光の反射光を含む。画像化部分は、更に、例えば、測定スポットを画像化するための第1光の反射光を含んでいてもよく、これによって、カメラ画像に、ワーク表面の画像、及び、ワーク表面上の測定スポットの画像が含まれる。
【0032】
本発明の一態様では、狭帯域スペクトルフィルターは、CRSシステムのCRS測定レンジの中央部と一致する中心波長を有する。
【0033】
本発明の一態様では、該方法は、更に以下のステップを含む。すなわち、
移動制御装置を含んでいるマシンビジョン検査システムにCRSシステムを結合するステップと、
マシンビジョン検査システムの一部としてCRSシステムを動作させるステップと、を含む。
ここで、調整は、マシンビジョン検査システムの移動制御装置を利用して、光学ペンからワーク表面までの距離を、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されたワーク表面が合焦するような合焦距離と、一致させることを備えている。
【0034】
本発明の他の態様では、被測定ワーク表面の合焦画像を提供可能なクロマティックレンジセンサー(CRS)システムが提供される。合焦画像は、ワーク表面上に形成される測定スポットを含む。該CRSシステムは、(a)光学ペン、(b)第1光源、(c)CRS波長検出器、(d)1以上の処理器、及び、(e)記憶部を含んでいる。
【0035】
光学ペンは、筐体と、測定光路に沿って光を出力し、該測定光路に沿って反射光を受光するように設けられたファイバーアパーチャーを含む入出力光ファイバーと、クロマティック共焦点レンジセンサー光学ペンの測定軸を定義するための光軸を持った色分散レンズ配置と、を含む。該色分散レンズ配置は、測定光路に含められ、光を受光し、ワーク表面に向けて軸上色分散を示す合焦光を出力するように設けられる。これによって、異なる波長光が、ワーク表面の近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結ぶ。また、該色分散レンズ配置は、ワーク表面からの反射光を受光し、少なくとも反射光の一部を測定光路に沿ってファイバーアパーチャー近傍の点に合焦させるように設けられる。
【0036】
光学ペンは、更に、上記の色分散レンズ配置からの反射光を受光して、該反射光を測定部分と画像化部分とに分割するように配置された反射光分割構成を含む。光学ペンは、また、反射光のうちの画像化部分の少なくとも一部をフィルターにかけるために配置された狭帯域スペクトルフィルターと、カメラ画像を生成するために反射光のうちの狭帯域スペクトルフィルターを透過した画像化部分の少なくとも一部を受光するように設けられる画像検出器を備えるカメラ部と、を含んでいる。
【0037】
第1光源は、光学ペンに入力するための多波長第1光を発生するように設けられる。
【0038】
CRS波長検出器は、該CRS波長検出器の測定軸に沿った各々のピクセル位置に配置されている複数のピクセルを含み、反射光のうちの測定部分の少なくとも一部を受光し、出力スペクトルプロファイルデータを提供するように設けられている。
【0039】
記憶部は、1以上の処理器に接続され、該1以上の処理器による実行によって、該1以上の処理器が少なくとも以下の処理をするように構成されたプログラム命令を記憶している。すなわち、
出力スペクトルプロファイルデータに基づいて光学ペンからワーク表面までの距離を測定するためにCRSシステムを動作させる処理と、
光学ペンからワーク表面までの距離が、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されたワーク表面が合焦するような合焦距離と、一致するように調整する処理と、
測定スポットを含むワーク表面のカメラ画像を表示する処理と、である。
【0040】
本発明の様々な実施形態によると、CRSシステムの測定能力に画像化能力が統合され、これによって、ワーク表面上の測定スポットのガイド光としての画像化がサポートされ、この画像化は、CRSシステムを使った測定動作の改善を自然かつロバストに実現(容易な設定および配置を実現)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、代表的なCRSシステムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、CRSシステムからの強度プロファイルの線図であり、被測定ワーク表面からの反射波長光によって生じる波長ピークを示し、そのピークのピクセル位置は、ワーク表面までの測定距離と一致している。
図3図3は、ワーク表面を赤色光、青色光および緑色光のそれぞれの合焦位置に合わせた結果得られる3つのピークのスペクトルプロファイルと、それぞれの位置で撮像されたワーク表面上の測定スポットMSを含む3つの画像と、を示す。
図4図4は、表面に形成された測定スポットを含む被測定ワーク表面の合焦画像を提供するのに用いられるCRSシステムを備えたマシンビジョン検査システムの代表的な一実施形態を示す図である。
図5図5は、表面に形成された測定スポットを含む被測定ワーク表面の合焦画像を提供するためのCRSシステムの動作方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、クロマティックレンジセンサー(CRS)システム100の代表的な一実施形態を示すブロック図であり、このCRSシステム100は、光学ペン120、電装部160、及びユーザーインタフェース171を含む。本実施形態の電装部160は、信号処理器166、記憶部168、及び、光源・検出器サブシステム161を備え、この光源・検出器サブシステム161は、波長検出器162と広帯域第1光源164を含む。図1に示されるCRSシステム100は、一度に一箇所の測定点を測定するクロマティックポイントセンサー(CPS)システムであるが、他の実施例では他のセンサーシステム(例えばクロマティックラインセンサー等)を利用できることが理解されるであろう。様々な実施形態において、波長検出器162は、分光器の検出器アレイ163を含む。検出器アレイ163は、波長検出器162の測定軸上に配置された複数のピクセルによって構成され得る。各ピクセルは各波長信号を受けて、出力スペクトルプロファイルデータを提供する。
【0043】
電装部160は、入出力光ファイバー112を含む光路を通じて光学ペン120に結合される。入出力光ファイバー112は、ファイバーアパーチャー112aを含み、これを通して、光学ペン120の光軸OAと一致している測定光路MOPに沿って、第1光を出力し、また、ファイバーアパーチャー112aを通して、測定光路MOP/光軸OAに沿って、反射光を受光する。信号処理器166によって制御される第1光源164は、入出力光ファイバー112を介して光学ペン120に多波長光を入力するために接続されている。
【0044】
光学ペン120は、筐体130、入出力光ファイバー112、光学系150、反射光分割構成107、狭帯域スペクトルフィルター108、及び、カメラ109を含む。光学系150は、CRS光学ペン120のための測定軸を定義する光軸OAを持った色分散レンズ配置150Lを備える。レンズ配置150Lは、光を受光し、ワーク170のワーク表面170sに向けて軸上色分散を示す合焦光121を出力するように設けられる。これによって異なる波長光が、ワーク表面170sの近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結ぶ。レンズ配置150Lは、ワーク表面からの反射光122を受光し、少なくとも反射光の一部を測定光路MOPに沿ってファイバーアパーチャー112a近傍の点に合焦させる。
【0045】
図1は、X-Y-Z直交座標軸を基本フレームとして含んでいる。Z方向は、図示の例では、測定光路MOPである光学ペン120の光軸OAに平行である。様々な実施形態において、CRSシステム100は、以下に詳述するように、光学ペン120からワーク表面170sまでの距離が、カメラ109によって画像化されたときにワーク表面が合焦するような合焦距離と一致するように、自動的に調整する能力を持っている。
一実施例では、調整機構175aを含んでいる移動ステージ175上にワーク170を配置することによって、その調整を実行してもよい。調整機構175aとは、ガイドベアリングに沿ってアクチュエーターを駆動させることができる制御可能モーターなどであり、(光学軸OAと一致している)Z軸に沿って移動ステージ175を移動させる能力をもつ。
更に図4に示すように、ワーク170’(ワーク170と類似)を、CRSシステム100’と一緒に使用されるマシンビジョン検査システムの移動ステージ472に載置してもよく、光学ペン120をZ軸方向に移動させるための適切なモーション機構を調整の一部として設けてもよい。これによって、ワーク表面170s’(ワーク表面170sと類似)が、カメラによって画像化される該ワーク表面が合焦するような高さ(光学ペン120からの距離)になる。
【0046】
反射光分割構成107は、色分散レンズ配置150Lからの反射光122を受光するために、また、反射光122を測定部分122aと画像化部分122bに分割するために配置されている。
様々な実施形態では、反射光分割構成107はビームスプリッターである。一般に、反射光分割構成107は、また、ワーク表面170sからの反射光122のうちの幾らかを、画像化光として使用される画像化部分122bとして分割し、そして、残りの光によって、距離測定光として使用される測定部分122aが構成される。
反射光分割構成107は、反射光122のうちの画像化部分122bを狭帯域スペクトルフィルター108およびカメラ109に向け、反射光122のうちの測定部分122aをファイバーアパーチャー112aに向ける。
様々な実施形態では、反射光の測定部分122aと画像化部分122bの比率は、少なくとも5対1であり、例えば9対1でもよい。比率が9対1である場合、90/10ビームスプリッターを使用して、反射光分割構成107を形成してもよい。これによって、測定部分122aは反射光122の約90%で構成され、画像化部分122bは反射光122の約10%で構成される。
【0047】
狭帯域スペクトルフィルター108(光学バンドパスフィルター又はナローバンドパスフィルターとも呼ばれる。)は、反射光のうちの画像化部分122bをフィルタリングするために配置されている。これによって、反射光の画像化部分122bの内から定義された狭帯域だけがカメラ109へ渡される。
様々な実施形態では、測定スポットMSを含むワーク表面170sの最適な画像化のために、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅が定義/選択されている。このような画像は、操作者がワーク表面をCRSシステム100に対して適切に配置できるようにアシストするためのガイド光として使用され得る。
この従来分野で知られているように、様々な実施形態では、スペクトル帯域幅を、半値全幅(FWHM)の決定に対応させてもよく、又は、これによって定義してもよい。(例えば、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅を、その狭帯域スペクトルフィルターのFWHMの決定に対応させてもよく、又は、これによって定義してもよい。)
様々な実施形態では、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅は、10ナノメートル未満でもよく、又は、5ナノメートル未満でもよい(例えば、約2ナノメートルのスペクトル帯域幅)。
【0048】
一般に、レンズ配置150Lによって軸上色分散を有しているとしても、そのフィルターを透過した狭帯域幅の波長光は、カメラ部109によって画像化された際も、まだ、その殆どが共に合焦状態になっている。
対照的に、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅の範囲外(そのために主に狭帯域スペクトルフィルター108によって遮蔽/フィルタリングされ得る)の波長光は、(例えば、ワーク表面170sの画像化のために)カメラによって画像化される際/画像化されるならば、非合焦状態である光/非合焦状態になるであろう光と、一致している。
より具体的には、様々な実施例においては、(例えば、光学ペンからワーク表面までの距離が、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されるワーク表面が合焦状態になるような合焦距離と、一致する場合に)その非合焦光が遮蔽/フィルタリングされるように、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅が決定/選択/利用されるようにしてもよい。
【0049】
後で詳細を述べるように、様々な実施例では、第1光源164からの第1光がファイバーアパーチャー112aから出力されてワーク表面170sを反射し、その反射光のうちの画像化部分122bの一部によって測定スポットMSが形成される。
様々な実施例において、カメラ画像中に形成される測定スポットMSが比較的小さな状態を保つように、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅が設けられていることが望ましい(例えば、スペクトル帯域幅の範囲内であり、それによって狭帯域スペクトルフィルター108を透過するような波長光によって画像化されるとよい)。
例えば、比較的小さな測定スポットMSは(例えば、ガイド光として利用することで)、光学ペン120によって測定されたワーク表面170s上の正確な位置を決定するユーザーをアシストできる。(このことは、例えば、測定されるワーク表面上の余り正確ではない位置を表示するような大きな測定スポットMSとは対照的である。)
例えば、高反射性ワークとは対照的な拡散性ワークの場合や、イメージング開口数の異なる構成の場合に、上記の考察が、利用する狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅の選択における支配的要因になり得る。
場合によっては、測定のためにファイバーアパーチャー112aを介して入出力光ファイバー112に戻るように結合された反射光のスペクトル帯域幅と同様の(例えば、殆ど同じ)スペクトル帯域幅を有するように、狭帯域スペクトルフィルター108を選択することが望ましい(例えば、狭帯域スペクトルフィルターの帯域幅が、そのファイバーに戻るように結合されたスペクトル帯域幅の2倍以下になるようにする)。
幾つかの例では、もし、測定のためにファイバーアパーチャー112aを介して入出力光ファイバー112に戻るように結合された反射光が約3nm又は約1nmのスペクトル帯域幅を持つような光学ペンを利用するならば、3nm、2nm又は1nmのように概ね同様の/一致しているスペクトル帯域幅を持った狭帯域スペクトルフィルター108を選択するとよい。
【0050】
狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅と一致する光がワーク表面170sで合焦するように、該ワーク表面170sからのCRSシステム100の光学ペン120の距離を調整することによって、測定スポットMSを含むワーク表面の画像を、焦点が比較的合っている状態で取得することができる。
様々な実施例において、光学ペン120とワーク表面170s間の距離を機械的に調整することの代わりとして、色分散レンズ配置150Lの合焦特性を変化させることによって光学的に調整することもできる。これによって、光学ペン120からの物理的距離は同じままであるが、狭帯域スペクトルフィルター108を透過する該スペクトル帯域幅の範囲内の光によって画像化されるワーク表面170sが合焦状態になる。
更なる代替手段として、狭帯域スペクトルフィルター108の内部フィルター波長を変更して、Z軸上の現在のワーク表面170s位置で合焦するような波長(域)に合わせることで、この調整を実行してもよい。
【0051】
様々な実施形態において、CRSシステム100のロバスト性のために、システムのCRS測定レンジの中央で、被測定ワーク表面の画像が取得されるようにしてもよい。言い換えると、狭帯域スペクトルフィルター108は、CRSシステムのCRS測定レンジの中央と概ね一致する中心波長を有してもよい。
様々な実施形態において、その中心波長は、概ね495nmから570nmまでのレンジの範囲内である(場合によっては緑色に一致させる)。この中心波長は、一例のCRS測定レンジの概ね中央であり、幾つかの実施例において、CRS測定レンジは、青色(例えば、ワークが光学ペン120に近づくと合焦状態になる)から赤色(例えば、ワークが光学ペン120から離れると合焦状態になる)までに渡っている。
本明細書に開示するように、標準的なCRS測定レンジ内の光(例えば、CRS測定レンジの中央付近または中央の光)を利用するような狭帯域設定を使用することで、測定スポットのガイド光としての画像化を、一層自然かつロバストに実行(例えば、容易な設定および配置の実行)することができるようになった。
【0052】
カメラ109は、画像検出器を備え、反射光のうちの狭帯域スペクトルフィルター108を透過した画像化部分122bを受光するように設けられ、これによって、ワーク表面170s上に形成された光学ペン120の測定スポットMSを含むワーク表面170sのカメラ画像を生成するように設けられている。
測定スポットMSを含むワーク表面170sの画像は、ユーザーインタフェース171に含められたスクリーン等に、後述の図3に示された画像(例えば画像330b参照)のように表示されるようにしてもよい。
【0053】
図1に示す例では、発光ダイオード(LED)のような第2光源111、50/50ビームスプリッターのような第2ビームスプリッター114、リフレクター115、及び、レンズ116が、反射光のうちの画像化部分122bの伝搬路(例えば、画像化光路の一部として)を形成するために設けられている。
図示の例では、測定部分122aの少なくとも一部と、画像化部分122bの少なくとも一部は、互いに平行に伝搬する。これによって、通常は細長い光学ペン120の筐体130の内部がコンパクトな配置になる。
これは、反射光のうちの画像化部分122bに関する構成の一例であり、本開示は、この特定の例に限定されるものではない。
例えば、画像化部分122b及び測定部分122aの伝搬路の少なくとも一部を交換してもよい。例えば、光学ペン120の図示された光軸OA上(例えば、図1の現在の例でファイバーアパーチャー112aが設けられているところ)にカメラ109を配置し、及び、図1の現在の例で画像化部分122bの伝搬路として説明されている伝搬路PP1上にファイバーアパーチャー112aを配置する、というような方法で交換してもよい。他の例のように、リフレクター115を省略してもよく、この場合、画像化部分122bは、通常は光学ペン120の光軸OAに直交している伝搬路PP2を進み、該伝搬路PP2上に配置されているカメラ109に向かう。
反射光のうちの測定部分122a及び画像化部分122bのための特定の伝搬路は、求められている光学ペン120の適用および構成のそれぞれに従って、様々な方法で構成され得る。一般に、様々な実施形態において、反射光のうちの測定部分122a及び画像化部分122bは、反射光分割構成107で分割された後、2つの異なる光軸に沿って伸びていく。
【0054】
電装部160は、画像化電装部169と結合し、又は、画像化電装部169を含んでいる。画像化電装部169は、第1信号線113aを経由してカメラ109からのデータを受信し、及び、第1信号線113aを経由してカメラ部109へ制御信号を提供するように設けられる。カメラ109からのデータを、ユーザーインタフェース171に含まれるディスプレイ(例えばモニター等)に表示してもよい。画像化電装部169は、第2信号線113bを経由して、第2光源111の動作を制御するための制御データを伝送する。
第2光源111からの第2光は、第2ビームスプリッター114を通過し、レンズ116を通って合焦され、リフレクター115を反射し、そして、反射光分割構成107によって光学系150の色分散レンズ配置150Lを通過するように導光されて、ワーク表面170sを照射する。
上述したように、色分散レンズ配置150Lの標準的な動作特性によって、第2光源111からの第2光のうちの異なる波長光が、ワーク表面170sの近傍の異なる距離でそれぞれの焦点を結ぶ。
その結果、もし、第2光についてのそれぞれ対応した全ての反射光が画像形成に利用されるとすれば、そのような画像は焦点が合っていない。後で詳述するが、狭帯域スペクトルフィルター108の利用が、焦点の合ったワークの合焦画像の生成を可能にする。
第2光源111からの第2光がワーク表面170sを反射した後、第2光の反射光として、反射光122の少なくとも一部に含められる。より具体的には、反射光122は、測定部分122a及び画像化部分122bと同様、それぞれ第1光の反射光と第2光の反射光の両方を備えている。
【0055】
上述の通り、第1光の反射光は、第1光源164からの光が、入出力光ファイバー112からファイバーアパーチャー112aを通って照射され、また、ワーク表面170sを反射することによって生じた光である。
これに対応する測定部分122aに含まれる第1光の反射光(対応光)は、ファイバーアパーチャー112aを通って戻って受光されて、測定機能に使用される。
また、これに対応する画像化部分122bに含まれている第1光の反射光(対応光)は、狭帯域スペクトルフィルター108でフィルタリングされて、カメラ109で受光される。(例えば、これによって、画像中の測定スポットMSが形成され、そのスポットは、ファイバーアパーチャー112aから発せられる第1光に相当するものとして、点光源の画像化と比較されることになる。)
【0056】
比較すると、上述の通り、第2光の反射光は、第2光源111からの光によって生じた光である。様々な実施例において、これに対応する測定部分122aに含まれる第2光の反射光も(どの対応光も)、測定機能には使用されない。(なぜなら、測定機能が実行される時に、第2光源111はスイッチが切られるからである。これは、検出器アレイ163から出力されたピクセルデータに基づく出力スペクトルプロファイルデータを測定するための光を供給する場合に、2つの光源111,164からの光の互いのクロストークに起因する測定誤差を避けるためであり、このような測定機能は、第2光源111のスイッチが入っている場合には実行しないからである。)
このように様々な実施例において、測定機能の実行中は、第1光源164を起源とする第1光がファイバーアパーチャー112aを介して供給されるので、測定部分122aは、第1光の反射光だけを含んでいる。
【0057】
対応する画像化部分122bに含まれる第2光の反射光(対応光)は、狭帯域スペクトルフィルター108によってフィルタリングされて、(例えば、図3に示すようなワーク表面170sの画像を形成するために、)カメラ109に受光される。
ファイバーアパーチャー112aから発せられる第1光とは対照的に、第2光源111からの第2光は、ワーク表面の比較的広い領域を照明する。
従って、画像化部分122bの一部として、第1光の反射光は、ワーク表面上の測定スポットMSの画像形成に利用されるが、第2光の反射光は、ワーク表面の画像形成に利用される。
第1光源164は、画像形成のため(例えば、測定スポットMSを形成するため)に、第2光源111と同時にスイッチが入るようにしてもよい。または、第2光源111とは異なるタイミングでスイッチが入ってもよい。場合によっては、カメラ109の1回の調整/フレーミングで、1画像(例えばシングル画像)に含められるようにする。
その結果得られる1画像は、ワーク表面の照明部分(例えば、第2光源111の第2光に基づく)と、測定スポットMS(例えば、第1光源164の第1光に基づく)との両方を含む。一例を後で図3を用いて詳述する。
この結果が、測定スポットMS(例えばガイド光として使用される)を含んだワーク表面170sの画像となり、ワーク表面170s上の所望の位置を測定するために、ワーク表面170s及び/又はCRSシステム100を互いに適切な関係で配置するように、ユーザーをアシストすることができる。
【0058】
幾つかの実施形態において、第1光源164は、測定光とも呼ばれる第1光を含み、測定光源とも呼ばれる。ここで、測定光の反射光のうちの測定部分は、測定機能に利用される。一方、測定光の反射光のうちの画像化部分は、測定スポットMSの画像化に利用される。第2光源111は、画像化光とも呼ばれる第2光を含み、画像化光源とも呼ばれる。ここで、画像化光の反射光のうちの画像化部分は、上記の動作に従って、ワーク表面の画像化機能に利用される。
【0059】
様々な実施形態において、第2光源111の波長範囲は、一般に、狭帯域スペクトルフィルター108を透過するスペクトル帯域幅の波長光と一致するような波長光を含むように選択され、これによって、表面上に形成される測定スポットMSを含むワーク表面170sの画像を形成することができる。
例えば、狭帯域スペクトルフィルター108が、概ね495nmから570nmまでの範囲から選択された中心波長の波長光を透過させるようなスペクトル帯域幅(場合によっては、531nmに中心波長を持ち、530nmから532nmまでの帯域を有し、緑色に一致するような狭帯域スペクトルフィルター108)で構成されている場合、その中心波長を、上述したCRSシステム100のCRS測定レンジの中央に近くして、ワーク表面170sへの照明光を提供するために第2光源111として緑色LEDを用いてもよい。
【0060】
様々な実施形態において、第2光源111は、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅の少なくとも2倍、5倍又は10倍のスペクトル帯域幅(例えば波長範囲)を有する光を発するようにしてもよい。
例えば、もし、狭帯域スペクトルフィルター108が、2nmのスペクトル帯域幅(例えば、531nmに中心波長を持ち、530nmから532nmまで)を持っていれば、第2光源111は、少なくとも4nm、10nm又は20nmのスペクトル帯域幅(例えば、少なくとも520nmから540nmまで)を持つようにしてもよい。このようにして、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅および/又は中心波長が、第2光源111のスペクトル帯域幅の中央の近くになる。
このような構成は、第2光源111の波長範囲がドリフト(例えば温度等のため)するような実施において有利に作用する。なぜなら、第2光源111の広帯域幅が、たとえドリフトが起きても発光が依然として狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅の範囲内にある波長光を含む、ようにすることを保証するのに役立つ。
様々な実施例において、第2光源111が非干渉性の光源(例えば、スペックルの影響を回避できるもの等)であることも望ましい。このような非干渉性の光源は、(或る同等の干渉性の光源と比較すれば、)本来、比較的大きなスペクトル帯域幅を備えている場合がある。
もう一つの考察によると、第2光源111のスペクトル帯域幅は、(例えば、消費電力軽減化などのために)何らかの制限がなされていてもよい。例えば、幾つかの実施例で、第2光源111のスペクトル帯域幅を100nm未満又は50nm未満にしてもよい。
【0061】
様々な実施形態において、第2光源111は、(画像化部分とは反対に)測定動作の少なくとも特定の期間にスイッチを切るとよい。測定動作中は、CRSシステム100がワーク表面170sまでの距離の測定に使用されるので、2つの光源111,164からの光の互いのクロストークに起因する測定誤差を避けるためである。
実施例においては、CRS電装部の理由で、測定動作に何度かの非測定期間を設ける場合があり、幾つかの実施形態において、第2光源111は、非測定期間中にスイッチが入るようにしてもよい。例えば、カメラ109の1回のカメラフレーミング中に1回又は複数回、第2光源111のスイッチを入れてもよい。これにより、CRSシステム100の距離の測定動作を妨害しないで、各フレームにおける画像化動作のための照明を提供することができる。
【0062】
様々な実施形態において、第1光源164により供給される第1光は、画像化動作の少なくとも一部の期間中にオンされて、その第1光源164からの第1光が、ガイド光として使用されるその画像に測定スポットMSを形成するために利用されてもよい。
このように1つのアプローチとしては、画像化動作だけ第2光源111を「オン」して、CRS測定動作中は第2光源111を「オフ」するのに対して、CRS測定動作中および画像化動作中の両方で、第1光源164を「オン」することである。
【0063】
測定動作(例えばワーク表面170sまでの距離の測定)のため、光学ペン120は、CRS電装部160に接続され、ワーク表面170sに対して移動可能に設けられている。ファイバーアパーチャー112aを通って入出力光ファイバー112から出射される光は、光学部150によって合焦する。この光学系150は、異なる波長光が光軸OA上の異なる位置でそれぞれの焦点を結ぶような軸上色分散を付与するレンズ配置150Lを備え、CRSシステム用として知られている。
入力光は、ワーク表面170sの近傍で合焦し、そのワーク表面170sの反射光は、再び光学系150によってファイバーアパーチャー112a上に合焦する(すなわち、反射光のうちの測定部分122aは、ファイバーアパーチャー112aに向けられる)。
測定部分122aについては、軸上色分散によって、一つの波長光のみが測定距離“Z1”と合致する焦点距離を有する。測定距離“Z1”は、光学ペン120に対して固定された基準位置RPからワーク表面170sの位置(例えばZ軸高さ)までの距離である。
ワーク表面170sで一番焦点が合う波長光は、ファイバーアパーチャー112aで一番焦点が合う波長光でもある。従って、主に、一番焦点が合う波長光が、ファイバーアパーチャー112aを通って、入出力光ファイバー112のコアを進む。入出力光ファイバー112は、ワーク表面170sの位置までの測定距離Z1に一致する主強度を示す波長を決定するために、出力スペクトルプロファイルデータの提供用の波長検出器162へ信号光を送る。
【0064】
波長検出器162は、検出器アレイ163から、波長依存性の光強度を、検出器アレイ163の測定軸上のピクセルアレイ全体に分布された出力スペクトルプロファイル(ピクセルデータ)として受光する。また、波長検出器162は、検出器アレイ163から出力されたピクセルデータに基づいて、これに対応した出力スペクトルプロファイルデータを提供するように動作する(後で図2を用いて詳述する)。
【0065】
図2は、CRSシステム100からの波長分散強度プロファイルの線図200であり、ワーク表面170sに合焦して反射する波長光を表わす測定プロファイル信号MS(p)のサブセットによって生じる有効波長ピーク202を示している。また、図2は、CRSシステム100の全測定範囲に測定表面が存在しない場合での、検出器アレイ163のピクセルに関するシステムノイズ(バイアス)プロファイルMVbiasを示す。信号レベル閾値MVThresholdは、最も高い信号のピクセルを示すピークピクセル座標(PPC)を有する波長ピーク202(測定プロファイル信号MS)を分離するために設けられる。
ここで、「波長」測定軸上の1024ピクセルの各々を表わしている全ての「V」値は、正規化電圧である。「正規化電圧」では、1.0の値を検出器アレイ163の飽和電圧に割り当てている。
図示したように、信号レベル閾値MVThresholdは、波長ピーク202を形成する測定プロファイル信号MS(p)の距離指示サブセットの下限を定めている。
各測定プロファイル信号MS(p)は、検出器アレイ163の各ピクセルpに関連付けられた信号レベルを有する。
公知の手法に従って、プロファイルデータのサブピクセル分解能の距離指示座標(DIC)204が、信号処理器166によって算出可能になっている。ここで、DIC(サブピクセルオーダー)は、表面上に形成される測定スポットMSを含むワーク表面170sの位置までの測定距離Z1(ミクロンオーダー)を表わし、記憶部168の校正部に保存された距離校正ルックアップテーブル等を用いて算出される。
様々な実施形態において、閾値MVThresholdを超える値を持った波長ピーク202を形成している測定プロファイル信号MS(p)の距離指示サブセットに基づいて、(例えば、波長ピーク202に含まれている強度プロファイルデータの重心計算、又は他の計算法/処理法に従って、)DIC204をサブピクセル分解能で決定してもよい。
【0066】
図3は、ワーク表面170sを緑色光、青色光および赤色光のそれぞれの合焦位置に合わせた結果得られる3つのピークのスペクトルプロファイル330a-334aと、ワーク表面上に形成された測定スポットMSを含むワーク表面についてのそれぞれ対応する3つの画像と、を示す。
各ピークのスペクトルプロファイルを表すピクセル番号に一致するように表示された測定軸(MA)は、図2の対応するピクセル番号を持った測定軸と同様であると見なせる。
図3に示すように、緑ピーク330aは、ワーク表面170sの波長分散(色分散)強度プロファイルの中で緑色光相当の波長光が最も合焦する光になるような場所(光学ペン120の基準位置RPからの距離)にワーク表面170sが配置された状態で、測定されたピークを表す。
青ピーク332aは、ワーク表面170sの波長分散強度プロファイルの中で青色光相当の波長光が最も合焦する光になるような場所にワーク表面170sが配置された状態で、測定されたピークを表す。
赤ピーク334aは、ワーク表面170sの波長分散強度プロファイルの中で赤色光相当の波長光が最も合焦する光になるような場所にワーク表面170sが配置された状態で、測定されたピークである。
【0067】
測定軸MA(ピクセルオーダー)上での緑ピーク330a、青ピーク332a及び赤ピーク334aの異なる位置は、それぞれ異なる波長光の主強度が、光学ペン120の基準位置RPからワーク表面170sまでのそれぞれ異なる測定距離に一致していることを示している。
典型的な実施形態では、青ピーク332aを生成するワーク表面170sは、光学ペン120の最も近くに配置され、次が、緑ピーク330aを生成するワーク表面170sであり、最後に、赤ピーク334aを生成するワーク表面170sが、光学ペン120から最も遠くに配置される。
【0068】
狭帯域スペクトルフィルター108は、反射光122の画像化部分122bのうちの限定された狭帯域の光のみをカメラ109へ透過するように設けられているので、ワーク表面170sは、限定された狭帯域の範囲内の光によって画像化されたワーク表面170sが合焦するような合焦距離にあることが望ましい。
これにより、カメラ109は、測定スポットMSを含むワーク表面170sの合焦画像を取得できるようになる。
例えば、狭帯域スペクトルフィルター108が特定の狭帯域の緑色波長光を透過するように設けられる場合、その特定の緑色波長光は、狭帯域スペクトルフィルター108を透過するが、青色光相当および赤色光相当の波長光は、まず遮蔽される。
従って、図3の緑ピーク330aを生成するために、ワーク表面170sを緑色光の合焦距離に配置した場合、その(主に)合焦した緑色光は、狭帯域スペクトルフィルター108を透過して、ワーク表面の緑色合焦画像330bを生成する。図3の例では、緑色合焦画像330bは、ワーク表面上に複数の鮮明な明暗の縦線と、これと同様に1つの鮮明な測定スポットMSとを含んでいる。
【0069】
一方、ワーク表面170sを青色光の合焦距離(光学ペン120近く)又は赤色光の合焦距離(光学ペン120から遠く)に配置した場合、合焦した青色光または合焦した赤色光は、ワーク表面を反射して、主に(例えば緑色の)狭帯域スペクトルフィルター108で遮蔽され、また、合焦しない緑色波長光だけが、主に透過して、複数のぼやけた明暗の縦線と1つのぼやけた測定スポットMSとを含んだワーク表面のぼやけた画像332b,334bを生成する。
ぼやけた画像332b,334bは、狭帯域スペクトルフィルター108を透過してカメラ部109に到達した緑色光(すなわち、合焦しない緑色波長光で構成される)によって形成されることに注意する。
繰り返すと、合焦した青色光または合焦した赤色光は遮蔽されるので、画像332b,334bはぼやける。また、狭帯域スペクトルフィルター108を透過する非合焦の緑色光だけが、画像332b,334bの形成に使用される。
上記のように、この実施例では、第2光源111により供給される第2光は、緑色の波長光(又は狭帯域スペクトルフィルター108に応じた他の波長光)を含む。これに対して、第1光源164は、光学ペンの測定レンジ内のどの距離においてもワーク表面170sまでの距離Zを測定できるようにするために(上記の特許文献を参考)、標準的なCRS動作の一部を担う広帯域光源(例えば、青色光、緑色光および赤色光などを供給する)である。
【0070】
測定スポットMSを含むワーク表面170sの画像が、よく合焦して、ワーク表面170sをCRSシステム100に対して適切に配置できるようにユーザーをアシストするガイド光として役立つことを確実にするため、様々な実施形態によれば、狭帯域スペクトルフィルター108に一致する狭帯域光によって画像化されたワーク表面170sが合焦するように、CRSシステム100を使って調整(例えば、自動合焦機能を実行して、ワーク表面170sを合焦距離に配置すること)を実行してもよい。
【0071】
この点においてCRSシステム100は、測定動作の目的、及び、ワーク表面上の特定の所望表面の点/位置を測定する目的で、測定モード及びガイド光モードを含む複数のモードで動作可能に設けられるとよい。ここで、測定モードでは、光学ペン120からワーク表面170sまでの距離が測定される。また、ガイド光モードでは、ワーク表面170s及び/又は光学ペン120を相対的に(例えばX軸方向およびY軸方向に)適切に配置できるようにユーザーをアシストするガイド光として、測定スポットMSが使用される。
ガイド光モードでは、ワーク表面170sまでの距離が測定され、調整が行われ(例えば、上述の狭帯域スペクトルフィルター108に応じた合焦距離と一致するようにその距離を調整する)、及び、測定スポットMSを含むワーク表面170sの合焦画像がカメラ109によって取得され、(例えば、ユーザーインタフェース171に)表示される。ユーザーインタフェース171は、キーボード、タッチセンサー、マウス等の適切な手段によって、CRSシステム100動作用のユーザー入力を受け取れるように構成されてもよい。
例えば、ユーザーインタフェース171は、CRSシステム100の複数の動作モードの1つを選択するために、ユーザーが操作可能な1又は複数の動作モード選択手段(例えばユーザー選択ボタン)を含んでいてもよい。
【0072】
様々な実施形態では、測定モード及びガイド光モードにおいて、CRSシステム100が時分割で動作することに対応して、ユーザーは測定モードとガイド光モードの両方を選択してもよい。これにより、ユーザーは、測定動作のためにワーク表面170s及び/又は光学ペン120を相対的に(例えばX軸方向およびY軸方向に)確実に適切に配置するために、そのガイド光を断続的に使用しながら、幾つかの測定動作を実行することができる。
例えば、上述のようにその測定動作に幾つかの非測定期間がある場合は、その非測定期間に(ガイド光モードの)画像化動作を実行してもよく、これによって、測定スポットMSを含むワーク表面170sのガイド光としての画像化を提供できる。
様々な実施形態において、ユーザーインタフェース部171は、画像化/ガイド光モード(図3参照)中の測定スポットMSを含むワーク表面170sの画像情報、又は、測定モード中のCRSシステム100によって測定されたワーク表面170sまでの距離情報など、複数の動作モードのいずれかの動作に関連する情報を、スクリーンに表示するように設けられてもよい。
【0073】
後で図4に関して詳述するように、幾つかの実施形態では、CRSシステム100は、マシンビジョン検査システム(MVIS)(又は「ビジョンシステム」)のような測定装置に結合され、又は、組み込まれていてもよい。特に、そのような測定装置(例えばビジョンシステム)は、CRSシステム100を用いて、光学ペン120及び/又はワーク表面170sを相対的に配置する自動合焦機能を実行するのに使用されてもよく、上述のように、ワーク表面を、狭帯域スペクトルフィルター108を透過する狭帯域の範囲内の光によって画像化されたワーク表面が合焦するような合焦距離にすることができる。
【0074】
図4は、マシンビジョン検査システム(MVIS)401の形式の測定装置400の代表的な実施例を示すブロック図であり、ワーク測定の際、CRSシステム100’と組み合わせて使用される。ここに開示の様々な図面において、同様の接尾文字を持っている符号(例えば、符号1XXと1XX’)は、一般に類似の構成とする。これは、構成1XX’の動作が一般に、類似する構成1XXに関する先の説明からの類推に基づき、その分野の従来技術の1つによって限定的に理解されるからである。
【0075】
よく知られているように、マシンビジョン検査システム(「ビジョンシステム」)は、被検査物の正確な座標測定値を得て、被検査物の他の様々な特性を検査するのに利用され得る。そのようなシステムは、コンピュータ及びユーザーインタフェース460と、カメラ(不図示)と、光学画像化システム434と、移動可能な高精度ステージ472とを備え、カメラは、検査するワークの特徴をスキャンすることができる。
光学画像化システム434のような光学システムを持つマシンビジョン検査システムは、米国特許第7,454,053号と第8,085,295号公報に記載されている。マシンビジョン検査システム及び制御システムの様々な側面が、米国特許第7,324,682号公報(‘682号特許)、及び、米国特許出願公開2005/0031191号公報(‘119号公報)に、より詳細に説明されている。
‘682号特許及び‘191号公開により詳細に説明されている通り、マシンビジョン検査システム(MVIS)401は、ビジョンシステム制御装置410を含んでもよい。ビジョンシステム制御装置410は、取得・保存されたワーク検査画像を呼び出し、そのようなワーク検査画像中のワークの特徴を検査及び解析し、及び、検査結果を保存する及び/又は出力するために使用可能である。
【0076】
図4に示すように、対物レンズ470を含んでいる光学画像化システム434は、光軸OAを有し、ステージ472上のワークの表面を拡大して撮像する。光学画像化システム434は、Z軸ガイドベアリング434aに沿った移動によって画像の焦点を合わせるようにしてもよく、様々な実施例では、モーション機構434b(例えば、Z軸に沿って光学画像化システム434を移動させるアクチュエーターを駆動する制御可能モーター)によって移動する。様々な実施例では、モーション機構434bは、ビジョンシステム制御装置410内の移動制御装置420によって制御される。
様々な実施例では、ワークは、ガイドベアリング472aのX軸及びY軸に沿って移動可能なワークステージ472上において、光学画像化システム434の視野(FOV)内に配置される。ワークステージ472は、モーション機構472b(例えば、X軸及びY軸に沿ってワークステージ472を移動させるアクチュエーターを駆動する制御可能モーター)によって移動するようにしてもよい。様々な実施例では、モーション機構472bは移動制御装置420によって制御される。
【0077】
マシンビジョン検査システム(MVIS)401は、適切な取付手段(不図示)で、(光学画像化システム434を形成している)MVIS401のタレットに装着又は結合されたプローブシステム436を含んでいてもよい。プローブシステム436は、CRSシステム100’の光学ペン120’を保持し易く設けられ、上述した様々な測定・画像化機能と組み合わせて使用されるようになっている。
光学ペン120’は、図1の光学ペン120に類似又は同一の構成(例えば、狭帯域スペクトルフィルター、カメラ、第2光源などと同様、標準的な光学ペン構成)を含んでいるものと理解されよう。光学ペン120’は、プローブヘッド・アセンブリー439に機構的に結合されていてもよく、また、光ファイバー112’及び信号線113’(例えば、光ファイバー112、信号線113a,113bに類似)を含むバスが、光学ペン120’をCRSシステム100’の光学ペン電装部160’に接続されていてもよい。
図示の実施形態では、光学ペン電装部160’は、ビジョンシステム制御装置410の一部であり、画像化電装部(例えば、図1の画像化電装部169に類似するもの)を含んでいてもよい。MVIS401は、米国イリノイ州オーロラ所在のミツトヨアメリカ社(MAC)から入手可能なビジョンシステムの「クイックビジョン」(登録商標) QV Apexシリーズで利用可能なものに匹敵する関連の制御ソフトウェア、を含んでいてもよい。
【0078】
この構成では、標準的な座標測定装置の技術を、標準的なマシンビジョン技術と組み合わせて利用し、その移動制御装置420をプローブシステム436の制御に利用して、測定ビーム196’を有する光学ペン120’をワーク170’の表面170s’に関して自動的に配置してもよい。
これに追加または代わりに、マシンビジョン検査システム401を、ワークステージ472とワーク170’、及び/又は、光学画像化システム434の移動のために利用して、測定及び画像化機能(例えば、本書及び特許文献などに記載されたもの)を実行してもよい。特に、CRSシステム100’は、上記した全ての構成及び能力(例えば、図1から図3に関するもの)、つまり、測定スポットMS(例えば、測定ビーム196’により形成されるもの)を含んだワーク表面170s’の合焦画像を提供するための構成及び能力を含んでいてもよい。
【0079】
図4に示すように、プローブシステム436は、Z軸ガイドベアリング436aに沿って移動可能であり、また、モーション機構436b(例えば、Z軸に沿ってプローブシステム436を移動させるアクチュエーターを駆動する制御可能モーター)によって、この移動が実行される。
様々な実施例では、モーション機構436bは移動制御装置420によって制御される。
様々な実施例では、プローブシステム436は、光学画像化システム434(例えば、最適な取付手段による光学画像化システム434を含んでいるタレット)に結合され、これにより、Z軸ガイドベアリング434a及び/又は436aの一方又は両方が含まれ、及び/又は、利用されるようになって、モーション機構434b,436bの一方又は両方によって制御される光学画像化システム434及びプローブシステム436のZ軸モーションが可能になる。
幾つかの実施例では、MVIS401のタレット、及び、CRSシステム100’の光学ペン120’は、Z軸方向に並んで該Z軸方向に移動する。
様々な実施例では、光学画像化システム434及び光学ペン120’のZ測定レンジは、互いに及びMVIS401のZ軸コントローラー座標に対して、校正され又は参照される。
光学ペン120’及び光学画像化システム434の座標調整(例えば、機構的な動作の調整)をサポートするため、光学ペン電装部160’及びビジョンシステム制御装置410が、データ及び制御信号を公知方法に従って取り交わすように構成されてもよい。
【0080】
図4は、代表的な制御回路及び/又はルーチンを示すブロックを説明している。これらのブロックは、コンピュータ及びユーザーインタフェース460と、ビジョンシステム制御装置410とを含む。このビジョンシステム制御装置410は、光学ペン電装部160’と通信するためのホストシステムとして動作し、また、移動制御装置420及びプローブヘッド制御装置430を含んでいる。
図4の実施形態では、コネクション492を介してプローブシステム436に接続されている電源及び制御バス415によって、全てのブロックが相互に、又、マシンビジョン検査システム401の様々な構成と接続されている。
光学ペン電装部160’は、光学ペン120’を使用して測定を実行し、制御信号及びデータ信号をコンピュータ及びユーザーインタフェース460及び/又はビジョンシステム制御装置410と取り交わしてもよい。
光学ペン120’の狭帯域スペクトルフィルターを透過する狭帯域の範囲内の第2光によって画像化されたワーク表面170s’が合焦するような距離と一致するように(例えば、その画像で、測定スポットMSとともにワーク170’の表面170s’が合焦するように)、光学ペン120’とワーク表面170s’間の距離を調整するために、MVIS401の移動制御装置420を利用して、モーション機構(例えばモーション機構436b)を制御してもよい。
上記のように、様々な実施例では、(例えば、移動制御装置420で制御されるモーション機構472bによる移動のように、ガイドベアリング472a上のX軸及びY軸に沿ったワークステージ472の移動によって、)ワーク170’が光学ペン120’に関してX軸及びY軸方向に位置調整される。
【0081】
上記のように、様々な実施例では、光学ペン120’に含まれているような狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅が、測定スポットMSを含むワーク表面170s’の最適な画像化のために、定義/選択される。このような画像は、操作者がワーク表面170s’をCRSシステム100’の光学ペン120’に対して適切に配置(例えば、X軸及びY軸方向の位置調整)できるようにアシストするためのガイド光として使用され得る。
一般に、光学ペン120’のレンズ配置によって軸上色分散を有しているとしても、狭帯域スペクトルフィルターを透過した狭帯域幅の波長光は、光学ペン120’のカメラによって画像化された際も、まだ、その殆どが共に合焦状態になっている。
対照的に、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅の範囲外の波長光は(、そのために主に狭帯域スペクトルフィルターによって遮蔽/フィルタリングされ得て)、(例えば、ワーク表面170s’の画像化のために)カメラによって画像化される際/画像化されるとすれば、非合焦状態である光/非合焦状態になるであろう光と、一致している。
より具体的には、様々な実施例においては、(例えば、光学ペンからワーク表面までの距離が、狭帯域スペクトルフィルターの透過光によって画像化されるワーク表面170s’が合焦状態になるような合焦距離と、一致する場合)その非合焦光が遮蔽/フィルタリングされるように、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅が決定/選択/利用される。
上記のように、様々な実施例では、狭帯域スペクトルフィルターのスペクトル帯域幅は、CRSシステムのCRS測定レンジの中央と概ね一致する中心波長を有している(例えば、その中心波長がCRS測定レンジの中央の10パーセントの範囲内にある)。
本明細書に開示するように、標準的なCRS測定レンジ内の光(例えば、CRS測定レンジの中央付近または中央の光)を利用するような狭帯域設定を使用することで、測定スポットのガイド光として画像化が、一層自然かつロバストに実行される(例えば、容易な設定および配置の実現)ようになった。
【0082】
クロマティックレンジセンサーシステムの光学ペン120/120’を利用して、測定点の経路に沿ってワーク表面上をスキャンするような一実施例において、画像取得の処理(すなわち、測定スポットがワーク上のどこにあるかを説明するための処理)が、その測定経路に沿った異なる選択位置で実行される。
これには、各測定点において、狭帯域スペクトルフィルターを透過した波長光が合焦するような距離と一致する正しい高さになるように、ワーク表面上の測定点毎に区別して光学ペンをZ軸方向に配置することが要求される。
例えば、一実施例では、測定経路の開始及び終了時に、測定スポットがワーク上に正しく配置されていることを確認するために、測定経路の開始点と終了点の測定スポットを示す2つの画像を取得する。
必要ならば、測定経路に沿った様々な点のために、幾つかの追加画像を取得してもよい。
その測定経路に沿った測定値の取得の前後に、そのような画像化を実行してもよい。つまり、これらの表面上の点を画像化するために各点を区別してワークに対する光学ペンを配置すること、及び、画像を取得することを、その経路に沿って表面上の点を測定する測定処理の前後に実行してもよい。
これに代えて、画像化処理を、その経路に沿った表面上の点の測定処理の一部として、又は、その測定処理中に、実行してもよい。
【0083】
測定スポットMSを含むワーク表面の合焦画像をそれぞれ取得するため、ワーク上の測定点が、狭帯域スペクトルフィルターに一致する(すなわちこれを透過する)波長光が合焦する距離と一致するような光学ペンからの正しいZ距離になるように、光学ペンのZ位置を調整することが必要になる場合がある。
例えば、上記のように経路の開始位置で第1画像を取得した後、その測定経路に沿った点で測定値を取得するために、ワーク表面に対するペンの位置を(例えば、図4のステージ472の移動によって、)X軸及びY軸方向に移動させる間も、光学ペンを同じZ位置に(例えば、その機械座標系の範囲内での同じZ位置で、又は、第1画像が合焦した位置に)維持する場合がある。
もし、例えばワークが比較的平らで、また、(例えば緑色の)狭帯域スペクトルフィルター108が光学ペンのレンジの概ね中央である場合、測定経路に沿った全ての測定点が、このZ高さに配置された光学ペンの測定レンジRの範囲内であるならば、上記のアプローチが効果的に作用する。上記の場合、比較的平らなワーク表面で、X方向およびY方向への移動に伴うZ位置が、そのZ高さから上下に僅かに変化したとしても、どの測定点も、依然として光学ペンの測定範囲Rにあるだろう。
【0084】
一方、経路上の幾つかの測定点が、そのZ位置での光学ペンの測定レンジRの範囲よりも高い又は低い場合は、これらの測定点が測定レンジの範囲内になるように、光学ペンのZ位置の調整が必要になる場合がある。
また、測定経路の終了位置において、最終/終了時の測定点がどんなZ高さであっても、ワーク表面の合焦画像を取得する処理が実行されるようにしてもよい。この処理には、ワーク上の測定経路に沿った最終の測定点が光学ペンからの正しいZ距離になるように、Z距離(例えば、光学ペンのZ軸方向の移動)を、狭帯域スペクトルフィルター108に一致する波長光で合焦するような距離と一致するように調整する処理が含まれる。
【0085】
画像化処理を実行するどの表面の点も、その表面の点に追加の測定処理を実行することが不要になる場合がある。
より具体的には、様々な実施例では、(例えば、ここに記載されているように)画像化処理自体が、(狭帯域スペクトルフィルター108およびカメラ109に関して、)ワーク表面を合焦距離まで持っていくために、光学ペンからワークまでの距離をどの程度調整するかを決定するための測定処理の実行を含んでいる場合がある。
より具体的には、様々な実施例において、自動合焦機能を含む画像化処理は、本開示に従って、
(1)光学ペンと表面の点間の初期の距離の測定値を決定すること、及び、
(2)ワーク表面の画像が合焦するように、該距離を、狭帯域スペクトルフィルターの波長光と一致するような合焦距離に(例えば、光学ペンをZ方向に移動することにより)調整すること、を含む場合がある。よって、画像化処理の一部として、
ステップ(1)は、ワーク表面の点までの初期の距離を測定し、
ステップ(2)は、合焦画像を取得するために初期の距離に実行される調整量を決定し、これにより、(調整後の)ワーク表面の点までの現在の距離が、判明し、又は、ステップ(1)及び(2)の結果に基づいて算出される。
任意のステップ(3)は、ワーク表面の点までの現在の距離について、別の測定値を取得する(例えば、図4のZ軸モーション機構436bのような、測定装置の移動機構の正確さを確認するため)。
【0086】
図5は、表面に形成された測定スポットMSを含む被測定ワーク表面の合焦画像を提供するためのCRSシステムの動作方法500を示すフロー図である。CRSシステムは、上述の実施形態に従って構成されている。ステップ502は、CRS出力スペクトルプロファイルデータに基づく、光学ペン120からワーク表面170sまでの距離を測定するために、CRSシステム100を動作させることを含む。ステップ504は、光学ペン120からワーク表面170sまでの距離が、狭帯域スペクトルフィルター108を透過する該狭帯域の範囲内の光によって画像化されたワーク表面170sが合焦するような合焦距離と、一致するように調整することを含む。
様々な実施例では、図1に示すCRSシステム100の移動ステージ175及び調整機構175a、図4に示すようなZ軸モーション機構436b及びZ軸ガイドベアリング436a、等を使用して、ワーク表面170sの位置を光学ペン120に対してZ軸に沿って変化させることで、この調整を実行してもよい。また、色分散レンズ配置150Lの合焦特性を変化させることで、光学的に調整してもよい。これによって、光学ペン120からの物理的距離を同じにしたまま、狭帯域スペクトルフィルター108を透過する該狭帯域の範囲内の光によって画像化されるワーク表面170sが、合焦状態になる。更なる代替手段として、狭帯域スペクトルフィルター108の内部フィルター波長を変更して、Z軸上の現在のワーク表面170s位置で合焦するような波長(域)に合わせることで、この調整を実行してもよい。
【0087】
ステップ506は、狭帯域スペクトルフィルターを透過してカメラ109に取得された光を含む、反射光122のうちの画像化部分122bに基づく、ワーク表面170s上の光学ペン120の測定スポットMSの画像(すなわち、ワーク表面上に形成される測定スポットMSを含んだワーク表面170sの画像)を表示することを含む。
様々な実施例では、ワーク表面170sが合焦している状態で表示される画像は、測定スポットMSにてワーク特徴点を2μm以上の分解能で表示される。
様々な実施例において、ワーク表面170sをCRSシステム100に対して適切に位置決めする目的では、2μmの分解能は十分である。
上述の通り、このような構成に関して、測定スポットMSを含むワーク表面170sの最適な画像化のために、狭帯域スペクトルフィルター108のスペクトル帯域幅が定義/選択されるようにしてもよく、このような画像は、操作者がワーク表面170sをCRSシステム100に対して(例えば、X軸及びY軸方向へ)適切に配置できるようにアシストするためのガイド光として使用され得る。
【0088】
一般に、本明細書で概説した様々なブロックは、従来技術で同様の動作に使用されたものと類似または同一の構成および動作を使用して構成され得る。様々な実施形態において、本明細書で概説されるブロックの動作は、汎用プロセッサー等を使用して実行され得ること、また、様々な実施形態において、様々なブロックに関連する回路および/またはルーチンが併合され得る、または区別され得ないことが理解されよう。
【0089】
本発明の好ましい実施形態を図示および説明してきたが、これらの図示および説明された構成および動作シーケンスについての多数の変形例があることは、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。例えば、クロマティックポイントセンサー(光学ペン)を含んでいるCRSシステムが本明細書に示されているが、クロマティックラインセンサーを含むCRSシステムは、本明細書に開示されるシステムおよび方法に従って動作するように構成され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】