(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020895
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】生体計測装置、脈波センサ、血圧計、診断システム、診断方法、プログラム、及び会議支援システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20230202BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230202BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20230202BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230202BHJP
A61B 5/021 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
A61B5/11 200
A61B5/1455
A61B5/00 102A
A61B5/021
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089891
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021126082
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】石井 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幾雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暢
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AC26
4C017BC11
4C017FF08
4C017FF15
4C038KK01
4C038KL05
4C038KY01
4C038VA04
4C038VB01
4C038VB31
4C117XB01
4C117XB04
4C117XB09
4C117XC11
4C117XD03
4C117XD11
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4C117XE37
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ34
4C117XJ45
4C117XJ52
4C117XQ18
(57)【要約】
【課題】脈波等の検出精度を向上させる。
【解決手段】生体計測装置が、被検体に光を照射する光照射部と、被検体内で反射した光を検出する光検出部と、光検出部で検出された光に基づいて、被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、光照射部と光検出部とが設けられた第1面と、光照射部と制御部との間及び光検出部と制御部との間を接続する配線と、を有する、可撓性を有する基板と、第1面に設けられ、光照射部と光検出部との間に、光照射部及び光検出部より、第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、遮光部を被検体に密接するための粘着部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に光を照射する光照射部と、
前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、
前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する、可撓性を有する基板と、
前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、
前記被検体に密接するための粘着部と、
を備える生体計測装置。
【請求項2】
前記遮光部は、前記第1面上に、前記光検出部を囲むように成形されている、
請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項3】
前記遮光部は、前記被検体と密接する端面が、前記粘着部として形成されている、
請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項4】
前記光検出部と前記遮光部との間に設けられ、前記被検体と密接する側の端面が光を反射可能に形成されている部材を、
さらに備える請求項1に記載の生体計測装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の生体計測装置を備える、
脈波センサ。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の生体計測装置を備える、
血圧計。
【請求項7】
前記光検出部は、前記被検体の動脈走行方向に沿った異なる位置で検出するよう、複数備え、
前記光照射部は、前記光検出部の各々に対して、前記遮光部を挟んで設けられている、 請求項6に記載の血圧計。
【請求項8】
加速度センサをさらに備える、
請求項6に記載の血圧計。
【請求項9】
人物の鎖骨下動脈近傍に設定可能なサイズで成形されている、
請求項6に記載の血圧計。
【請求項10】
被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内を伝播した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する、可撓性を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、前記遮光部を前記被検体に密接させるための粘着部と、外部装置と無線通信を行う無線通信部と、を備える生体計測装置から、前記被検体の脈波に基づいた情報を、第1の通信装置に送信する第1の送信部と、
前記第1の通信装置から、公衆ネットワークを介して、第2の通信装置に、前記被検体の脈波に関する情報を送信する第2の送信部と、
前記第2の通信装置が受信した、前記被検体の脈波に関する情報を、表示装置に表示する表示部と、
前記被検体の脈波に関する情報に基づいた通知を、前記第1の通信装置に送信する第3の送信部と、
を備える診断システム。
【請求項11】
生体計測装置と、第1通信装置と、第2通信装置と、を備える診断システムであって、
前記生体計測装置は、被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報として、前記被検体の酸素飽和度を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、を備え、
前記第1通信装置は、前記生体計測装置から取得した前記酸素飽和度が、所定の閾値より低い場合に、無線通信部を用いて、前記酸素飽和度に関する情報を、前記第2通信装置に送信し、
前記第2通信装置は、受信した前記酸素飽和度に関する情報を、表示部に表示する、
診断システム。
【請求項12】
第1通信装置と、第2通信装置と、第3通信装置と、第4通信装置と、を備える診断システムであって、
前記第1通信装置は、被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、自装置を識別する識別情報を記憶する記憶部と、を備える生体計測装置の前記識別情報と、被検者を示すユーザ識別情報と、を対応付けて登録する旨を、前記第2通信装置に送信し、
前記第3通信装置は、前記生体計測装置によって算出された前記被検体の脈波に関する情報を、前記生体計測装置の前記識別情報と共に、前記第2通信装置に送信し、
前記第2通信装置は、受信した前記被検体の脈波に関する情報と、当該情報と共に送信された前記識別情報と対応付けられた前記ユーザ識別情報と、を前記第4通信装置に送信し、
前記第4通信装置は、受信した前記ユーザ識別情報で示される前記被検者の情報として、受信した前記被検体の脈波に関する情報を表示する、
診断システム。
【請求項13】
被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、を備える生体計測装置によって取得された前記被検体の脈波に関する情報に基づいて、前記被検体の血圧を時系列で表示する工程を、
コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
情報処理装置が、被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、を備える生体計測装置によって取得された、時系列に従った前記被検体の血圧の変化を受信するステップと、
情報処理装置が、前記生体計測装置によって取得された、時系列に従って前記被検体で生じたイベントを示したイベント情報を受信するステップと
情報処理装置が、前記イベント情報で示された前記イベントを基準として、前記時系列に従った前記血圧の変化を抽出する抽出ステップと、
情報処理装置が、前記イベントを基準として抽出された前記血圧の変化に対して、前記被検体の特性を表した分類ごとに予め定められた前記血圧の変化を表した変化モデルとマッチングを行うことで、取得した前記血圧の変化の分類を特定する特定ステップと、
情報処理装置が、前記特定ステップによって特定された前記分類を出力するステップと、
を有する診断方法。
【請求項15】
被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、を備える生体計測装置によって取得された、時系列に従った前記被検体の血圧の変化を、前記被検体毎に取得するステップと、
前記時系列に従って、前記被検体毎に会話していたタイミングを示した会話イベント情報を、受信するステップと
前記被検体ごとに、前記会話イベント情報で示されている、他の被検体と会話しているタイミングで生じた血圧の変化に基づくスコアを算出する算出ステップと、
前記被検体ごとに算出されたスコアを出力する出力ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、を備える生体計測装置を、会議に参加している参加者の各々が装着している場合に、前記参加者の各々に設けられた前記生体計測装置から、前記参加者の脈波に関する情報を取得する取得部と、
前記会議に参加している複数の前記参加者のうち、2人の前記参加者の組み合わせ毎に、前記会議の間の脈波の変動の相関関係を示した相関情報を算出する相関算出部と、
2人の前記参加者の組み合わせ毎に算出された前記相関情報に基づいて、前記参加者毎に、当該参加者の前記会議における評価を示した評価情報を算出する評価算出部と、
前記評価算出部によって算出された前記参加者毎の前記評価情報を出力する出力部と、
を備える会議支援システム。
【請求項17】
被検体に光を照射する光照射部と、前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、を備える生体計測装置を、所定のプロジェクトの会議に参加している参加者の各々が装着している場合に、前記参加者の各々に設けられた前記生体計測装置から、前記参加者の脈波に関する情報を取得する取得部と、
前記会議に参加している前記参加者から前記会議の間に取得された脈波の変動に基づいて、前記会議毎に、前記プロジェクトの評価を示した評価情報を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により前記会議毎の算出された前記評価情報の累積情報と、過去プロジェクトで会議毎に算出された前記評価情報の累積情報と、を比較した結果に基づいて、前記プロジェクトを評価するプロジェクト評価情報を生成する生成部と、
前記プロジェクト評価情報を出力する出力部と、
を備える会議支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体計測装置、脈波センサ、血圧計、診断システム、診断方法、プログラム、及び会議支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体(生体)に光を照射し、被検体内で反射した光を検出することで、被検体の脈波などを計測する技術が提案されている。
【0003】
従来用いられていた技術(例えば、特許文献1)では、光照射素子と、光検出素子との間には光を遮るものがない場合が多く、光照射素子から照射された光が光検出素子に直接入射する場合があった。直接入射する光は、検出体から反射した光と比べて強い場合が多く、検出体から反射した光による脈波の検出の精度を劣化させる原因となっていた。
【0004】
そこで、特許文献2には、光照射素子と光検出素子との間に遮蔽部を設ける技術が提案されている。遮蔽物を設けることで、光照射素子から照射された光が光検出素子に直接入射することを抑制できるので、脈波の検出精度の劣化を抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2は、アルミ基材などを利用した構成となっている。このような特許文献2に記載された技術は、例えば時計のような装置と考えられ、バンド等で被検体(生体)に繰り返し装着可能としていると考えられる。このような特許文献2に記載された技術は、体動等による被検体の表面の変動に伴って変形することは難しい。
【0006】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑み、被検体の脈波や血圧などの生体情報の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、生体計測装置が、被検体に光を照射する光照射部と、被検体内で反射した光を検出する光検出部と、光検出部で検出された光に基づいて、被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、光照射部と光検出部とが設けられた第1面と、光照射部と制御部との間及び光検出部と制御部との間を接続する配線と、を有する、可撓性を有する基板と、第1面に設けられ、光照射部と光検出部との間に、光照射部及び光検出部より、第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、被検体に密接するための粘着部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、可撓性を有する基板上において、光照射部と光検出部との間に遮光部を設けたので、脈波等の生体情報の検出精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るシール型脈波センサのブロック構成を示した図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を示した断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を、被検体に密接される面側から示した正面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るシール型脈波センサの光伝搬経路の一例を表した図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るシール型脈波センサの光伝搬経路の一例を表した図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る制御装置で実行される構成を示したブロック図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を示した断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を、被検体に密接される面側から示した正面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るシール型脈波センサの光伝搬経路の一例を表した図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るシール型脈波センサの光伝搬経路の一例を表した図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るシール型脈波センサの光伝搬経路の一例を表した図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係るシール型脈波センサを被検体の上腕部に貼り付けた例を示した図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係るシール型脈波センサを被検体の鎖骨部周辺に貼り付けた例を示した図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係るシール型脈波センサに含まれる制御装置で実行される構成を示したブロック図である。
【
図15】
図15は、第5実施形態に係るシール型脈波センサを上腕部に貼り付けた場合の概念図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係るシール型脈波センサを足に貼り付けた場合の概念図である。
【
図17】
図17は、第6実施形態に係る複数のシール型脈波センサを上腕に貼り付けた場合の概念図である。
【
図18】
図18は、第7実施形態に係るシール型脈波センサ及び心電図用電極を足裏に貼り付けた場合の概念図である。
【
図19】
図19は、第7実施形態に係るシール型脈波センサに含まれる制御装置で実行される構成を示したブロック図である。
【
図20】
図20は、第8実施形態に係る診断サービスの手順を例示した図である。
【
図21】
図21は、第8実施形態に係る診断サービスで利用される診断システムを例示した図である。
【
図22】
図22は、第8実施形態に係る診断システムで行われる処理を示したシーケンス図である。
【
図23】
図23は、第9実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を示した断面図である。
【
図24】
図24は、第9実施形態に係る診断サービスで利用される診断システムを例示した図である。
【
図25】
図25は、第10実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を示した断面図である。
【
図26】
図26は、第10実施形態に係るシール型脈波センサのブロック構成を示した図である。
【
図27】
図27は、第10実施形態に係るシール型脈波センサにより計測された血圧の時系列情報を示した図である。
【
図28】
図28は、第10実施形態に係る血圧の時系列情報に対するパターンマッチングによる分類結果を例示した図である。
【
図29】
図29は、第11実施形態に係るシール型脈波センサの光学系を示した断面図である。
【
図30】
図30は、第11実施形態に係るシール型脈波センサを被検者の頭部の耳の後ろに貼り付けた例を示した図である。
【
図31】
図31は、第11実施形態に係るシール型脈波センサを被検者の左こめかみに貼り付けた例を示した図である。
【
図32】
図32は、第11実施形態に係るシール型脈波センサを被検者の眉間に貼り付けた例を示した図である。
【
図33】
図33は、被検者の血圧の変化を計測した結果及び被検者に生じたイベントの例を示した図である。
【
図34】
図34は、第11実施形態に係るクラウドサーバにおいて被検者が会話したイベントのみを抽出した例を示した図である。
【
図36】
図36は、第11実施形態に係る診断システムで行われる処理を示したフローチャートである。
【
図37】
図37は、第12実施形態に係る診断サービスで利用される診断システムを例示した図である。
【
図38】
図38は、第12実施形態に係る診断システムで行われる処理を示したフローチャートである。
【
図39】
図39は、第12実施形態に係る診断システムが有するアラーム機能に関する処理を示したフローチャートである。
【
図40】
図40は、第13実施形態に係るプロジェクト支援システムの構成例を示した図である。
【
図41】
図41は、第13実施形態に係るプロジェクト支援システムで行われる処理を示したシーケンス図である。
【
図42】
図42は、第13実施形態に係る参加者評価サーバにおける参加者毎の評価値の算出手法を示したフローチャートである。
【
図43】
図43は、参加者2人の会議中における、所定の計測部位の血圧の変化を時系列で示した図である。
【
図44】
図44は、第13実施形態に係る参加者評価サーバの相関算出部による参加者2人間の相関係数の算出手法を説明する図である。
【
図45】
図45は、第13実施形態に係る参加者評価サーバの相関算出部によって算出された測定部位毎の、参加者2人間の相関係数をマトリクス状に示した図である。
【
図46】
図46は、第13実施形態に係る参加者評価サーバの評価値算出部が表示する、参加者毎の評価値を表した画面例を示した図である。
【
図47】
図47は、第13実施形態に係るプロジェクト評価サーバにおけるプロジェクトの評価値の算出手法を示したフローチャートである。
【
図48】
図48は、第13実施形態に係るプロジェクト評価サーバの算出部により算出された会議(定例会議)毎の評価値を示した図である。
【
図49】
図49は、第13実施形態に係るプロジェクト評価サーバが記憶する、過去のプロジェクトの評価値をマトリクス状に示した図である。
【
図50】
図50は、第13実施形態に係るプロジェクト評価サーバにより出力される改善アドバイスの画面例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る脈波センサ、血圧計、及び診断システムの実施形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るシール型脈波センサのブロック構成を示した図である。
図1に示されるように、シール型脈波センサ100は、フレキシブルプリント基板101上に様々な構成が搭載される。本実施形態に係るフレキシブルプリント基板101には、電池111と、制御装置112と、4個のLED113_1~113_4と、PD114と、を搭載する。
【0012】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、被検体(例えば人物)の脈波を計測するために用いられる。本実施形態に係るシール型脈波センサ100は(図示しない)粘着層を有している。そして、被検体となる人物は、シール型脈波センサ100を(図示しない)剥離紙から剥がして、脈波を図る部位に貼り付ける。
【0013】
シール型脈波センサ100のサイズは、上記の構成が搭載できれば、どのようなサイズでもよいが、例えば、縦3cm、横5cmの長方形の形状が考えられる。なお、シール型脈波センサ100のサイズは、当該形状に制限するものではなく、貼り付ける箇所に応じて適切なサイズ、及び形状としてもよい。
【0014】
シール型脈波センサ100は、脈波の計測が終了した後に廃棄可能(いわゆる使い捨て)とする。つまり、被検体となる人物は、シール型脈波センサ100を部位に貼り付けて、所定時間を計測した後、シール型脈波センサ100を剥がして、廃棄することを可能としている。
【0015】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、複数回利用を考慮する必要がなく、脈波を1回計測するために十分な耐久性を有していればよい。このため、シール型脈波センサ100は、薄いフィルム状で構成される。
【0016】
フレキシブルプリント基板(FPC)101は、プリント基板の一種であり、制御装置112とLED113_1~113_4との間の接続するフレキシブルケーブル(配線の一例)、及び制御装置112とPD114との間の接続するフレキシブルケーブル(配線の一例)を含んでいる。
【0017】
フレキシブルプリント基板(FPC)101は、被検体の体動等による、被検体の表面の変動に応じて変形可能な可撓性を有する基板であって、変形した際にも電気的な特性を維持できる。
【0018】
電池111は、脈波を計測している間、制御装置112、LED113_1~113_4、及びPD114等に対して電力を供給する電源であって、例えば、ボタン電池などが考えられる。本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、例えば被検体の一日の脈波を計測することが考えられる。この場合、本実施形態に係る電池111は、制御装置112、LED113_1~113_4、及びPD114等に電力を一日以上供給できればよい。
【0019】
また、シール型脈波センサ100は使い捨て可能であるため、電池111は充電式である必要がない。このため、シール型脈波センサ100は、充電用の外部端子などがなく、生活防水などの樹脂による封止構成が可能となる。
【0020】
制御装置112は、無線通信部115と記憶部116とを備え、シール型脈波センサ100の全体を制御する。例えば、制御装置112は、4個のLED113_1~113_4の各々に対して発光させる制御を行う。
【0021】
無線通信部115は、外部装置との間で無線通信を行うための構成である。本実施形態に係る無線通信部115の無線通信の手法としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、やBluetooth(登録商標)等の無線通信方式を用いることが考えられる。なお、無線通信部115が通信を行う外部装置は、被検体が所有する通信装置等が考えられる。
【0022】
記憶部116は、制御装置112で実行されるプログラムを格納する他に、PD114から送信された検出結果を示した検出情報を格納するために用いられる。記憶部116は、不揮発性の読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0023】
4個のLED(Light Emitting Diode)113_1~113_4は、制御装置112からの制御に従って、波長520nm近傍及び光度100cd近傍の光を被検体に照射する。なお、LED113_1~113_4が照射する光の波長及び光度は、一例として示したものであって、上述した光の波長及び光度に限定するものではなく、被検体の脈波等が計測可能な波長及び光度であればよい。本実施形態では、光照射部の一例として、LEDを用いた例について説明するが、LEDに制限するものではなく、光を照射可能な構成であればよい。
【0024】
PD114(光検出部の一例)は、被検体内で反射(伝播)した光を検出する。本実施形態に係るPD114は、プリアンプ、A/Dコンバーター、記憶部などの制御用のICが同一基板に作りこんだものを用いる。これは、フォトダイオードとアンプの間に配線が存在すると、当該配線で生じたノイズによって脈波の検出精度が低下する可能性があるためである。そこで、本実施形態では、制御用のICを含めてPD114と称する。
【0025】
本実施形態に係るPD114は、検出結果を示した検出値を、デジタル信号として、制御装置112に送信する。送信手法はどのような手法を用いてもよいが、例えば、I2C等の規格に基づいて送信することが考えられる。
【0026】
制御装置112は、電池111から供給された電力によって、4個のLED113_1~113_4の各々を時分割で周期的に発光させる制御を行うことで、LEDドライバとしても機能する。
【0027】
LED113_1~113_4の各々から出射した光は、検出体の測定部位に入射するとともに、測定部位の内部で反射および散乱を繰返した後、シール型脈波センサ100側に出射する。そして、PD114が、射出された光を計測し、検出結果を示す信号を制御装置112に出力する。
【0028】
ところで、被検体の動脈の血液内には酸化ヘモグロビンが存在し、酸化ヘモグロビンには入射光を吸収する特性がある。そこで、本実施形態に係る制御装置112は、PD114が検出した光に基づいて、心臓の脈動に伴って変化する血流量(血管の容量変化)を時系列に計測することで脈波信号を計測する。
【0029】
上述したようにPD114は、被検体内で反射した光を検出する必要があるため、本実施形態においては、PD114と、LED113_1~113_4と、の間に、遮光層121を設けている。
【0030】
遮光層121は、LED113_1~113_4から照射された光が直接PD114に入射するのを抑止するために、光を遮るように形成された遮蔽部材であって、例えば、黒のカーボンを混合したシリコン樹脂などが考えられる。次にシール型脈波センサ100の光学系について説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係るシール型脈波センサ100の光学系を示した断面図である。
図3は、本実施形態に係るシール型脈波センサ100の光学系を、被検体に密接される面側から示した正面図である。
【0032】
図2に示されるように、シール型脈波センサ100のフレキシブルプリント基板101の被検体に密接する側(Z軸負方向側)の第1面101Aと、被検体に密接する側と反対側(Z軸正方向側)の第2面101Bと、の各々に機器が配置されている。
【0033】
第2面101Bは、被検体に密接する側と反対側(Z軸正方向側)の面であって、電池111と制御装置112とが設けられている。また、電池111と制御装置112とによる凹凸を平坦化させるためにシリコン樹脂層211が設けられている。
【0034】
さらに、シリコン樹脂層211の外側には、カバー層212が設けられている。カバー層212は、シール型脈波センサ100内部に光が入射することを抑制する、可撓性を有する部材である。カバー層212としては、例えば、アルミ蒸着フィルムなどが考えられる。
【0035】
第1面101Aは、被検体に密接する側(Z軸負方向側)の面とする。第1面101Aには、PD114を中心に、他の構成が配置されている。
【0036】
図2、
図3に示されるように、PD114に接するように、PD用アタッチメント201が配置されている。そして、PD用アタッチメント201の外側には遮光層121が配置されている。そして、遮光層121の外側には、LED103_1、103_2、103_3、103_4が配置されている。
【0037】
図3に示される例では、LED103_1~103_4の各々は、PD114から10mmの等距離だけ離れるように配置した。なお、LED103_1~103_4と、PD114と、の間の距離は、一例として示したもので、被検体の測定部位等に応じて異ならせてもよい。
【0038】
さらに、LED103_1、103_2の外側には、アタッチメント202が配置されている。
【0039】
PD用アタッチメント201、及びアタッチメント202は、第1面101AにPD114、及びLED103_1、103_2を配置したことによって生じた凹凸を平坦化されるために設けられている。PD用アタッチメント201、及びアタッチメント202は、可撓性を有する部材であればよく、例えばシリコン樹脂を用いることが考えられる。シリコン樹脂は、一般的に用いられている白濁した素材を適用することが考えられる。これにより、光の吸収を可能な限り抑制できる。
【0040】
さらに、PD用アタッチメント201の両面の各々は、ミラー機能を有するよう加工されている。加工手法は、例えば、アルミの蒸着膜を成膜することが考えられる。アルミの成膜は、蒸着に限らず、メッキなど低コストの製法で構わない。
【0041】
本実施形態では、PD用アタッチメント201がミラー機能を有する(光を反射可能である)ことで、PD用アタッチメント201に到達した光を、吸収せずに、再び被検体側に反射させることができる。被検体に入射した光は、被検体内で再び反射する。つまり、PD114に入射するまでの被検体への入射とPD用アタッチメント201による反射とを繰り返す。換言すれば、PD114に到達する光の量を増加させることができる。これにより、PD114が検出する光の量を増加できるので、脈波の測定の精度を向上させることができる。
【0042】
本実施形態に係るPD用アタッチメント201がミラー機能を有することで、PD114に入射する光量を増加させることで、PD114の電気的な増幅器(アンプ)の設定を小さくすることができる。これにより、PD114の信号の検出で生じるノイズを低減できる。
【0043】
なお、本実施形態に係るPD用アタッチメント201のミラー機能は、一例として示したものであって、PD用アタッチメントにミラー機能を有していなくともよい。
【0044】
また、第1面101Aに配置されたPD114、LED103_1、103_2、PD用アタッチメント201、及びアタッチメント202を覆うように、被検体側に粘着層203が設けられている。
【0045】
粘着層203は、シール型脈波センサ100を被検体に密接させるための部材とする。粘着層の材料は、アクリル系の接着剤が考えられる。接着機能は肌に密接することから、肌を傷めない機能も必要である。粘着層203としては、一般的な絆創膏のように、通気性が良く、肌に刺激少ない素材を選択する。粘着層の厚さは、10um程度あれば機能として発現するが、表面の凹凸などにも対応するために、100um程度の厚みとする。
【0046】
粘着層203は、LED103_1、103_2から照射された光を透明な部材とする。なお、粘着層203は、透明な部材に制限するものではなく、白濁した部材であってもよいが、光の吸収係数はできるだけ小さい方が好ましい。これにより、本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、PD114に入射する光量が低減することを抑制し、脈波の検出精度を向上させることができる。
【0047】
遮光層121は、第1面101Aに設けられ、PD114と、LED113_1~113_4との間に、PD114及びLED113_1~113_4より、第1面101Aの垂直方向(Z軸方向)に突出するように設けられている。具体的には、遮光層121のZ軸方向の長さは、PD114及びLED113_1~113_4のZ軸方向の長さに、粘着層203の厚みを加算した長さと略同一とする。これにより、LED113_1~113_4から照射された光が、被検体を介さずに、粘着層203を介してPD114に入射するのを抑制できる。
【0048】
また、遮光層121は、LED113_1~113_4から入射した光がPD114に届かない程度に、X軸方向及びY軸方向の幅を有している。例えば、遮光層121の幅LWを2mm~3mmとすることが考えられる。
【0049】
図4は、本実施形態に係るシール型脈波センサ100の光伝搬経路の一例を表した図である。
図4に示される例では、被検者の皮膚(測定部位P1)がシール型脈波センサ100を張り付けたときから、体動等によって形状に変化が生じずに、シール型脈波センサ100が、皮膚(測定部位P1)に密接している場合を示している。
【0050】
図4に示されるように、シール型脈波センサ100が密接している場合、遮光層121が上述した構成を備えていることから、LED113_1からPD114に直接光が伝搬されるのを抑制できる。
【0051】
従って、LED113_1から照射された光は経路401によって被検者の測定部位P1に入射する。入射した光は、被検者の測定部位P1内で反射する。そして、PD114は、被検者の測定部位P内で反射した後に経路402を辿った光を受光する。
【0052】
図5は、本実施形態に係るシール型脈波センサ100の光伝搬経路の一例を表した図である。
図5に示される例は、被検者の皮膚(測定部位P2)が、シール型脈波センサ100を張り付けたときから、体動等によって形状に変化が生じた場合を示している。
【0053】
上述したように、シール型脈波センサ100のフレキシブルプリント基板101、PD用アタッチメント201、アタッチメント202、粘着層203が、可撓性を有している。また、シール型脈波センサ100の粘着層203は、遮光層121を除いた全面に貼り付けられている。このため、
図5に示されるように、形状変化した被検者の皮膚(測定部位P2)の体動に追従するように、シール型脈波センサ100の形状が変化する。
【0054】
図5は、被検者の皮膚(測定部位P2)が、矢印501側に移動した例とする。このような場合、可撓性を有していない従来の脈波センサでは、皮膚と脈波センサとの間に空隙が生じていた。そして、当該空隙を介してLEDからPDに直接光が入射する状況が生じていた。
【0055】
これに対して、本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、遮光層121と被検者の皮膚(測定部位P2)との間に空隙を生じさせないように、被検者の皮膚(測定部位P2)に追従するように、矢印502側に凸形状に変化させている。これにより、LED113_1からPD114に直接光が伝搬されるのを抑制できる。
【0056】
従って、LED113_1から照射された光は経路511によって被検者の測定部位P2に入射する。入射した光は、被検者の測定部位P2内で反射する。そして、PD114は、被検者の測定部位P2内で反射した後に経路512を辿った光を受光する。
【0057】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100が上述した構成を備えていることで、LED113_1から照射された光が被検者の測定部位で反射した後、当該反射した光をPD114が受光できる。そして、制御装置112は、受光した光に基づいて、脈波の計測を行う。
【0058】
図6は、制御装置112で実行される構成を示したブロック図である。
図6に示されるように、制御装置112は、無線通信部115と、記憶部116と、制御部602と、を備えている。
【0059】
記憶部116は、制御部602で実行されるプログラム等を記憶している。制御部602は、記憶部116に記憶されたプログラム等を実行することで、様々な構成を実現する。
【0060】
制御部602は、記憶部116に記憶されたプログラムを実行することで、LEDドライバ611と、波形前処理部612と、波形後処理部613と、脈波算出部614と、を備える。
【0061】
LEDドライバ611は、LED113_1~113_4を制御するためのドライバである。LEDドライバ611は、4個のLED113_1~113_4の各々を時分割で周期的に発光させる制御を行う。
【0062】
LEDドライバ611は、LED113_1~113_4の発光タイミングとして、1kHz程度のタイミングで発光、非発光を繰り返す。
【0063】
そして、PD114のアンプには、当該繰り返しに同期されたタイミングで、検出値差分をとる方法、いわゆるロックインアンプの方式を採用している。
【0064】
波形前処理部612は、LEDドライバ611を用いてLED113_1~113_4を制御する信号の生成、及び生成された信号に対する前処理を行う。前処理としては、例えば、ノイズ除去等のフィルタリングや平滑化などを行う。
【0065】
波形後処理部613は、PD114から入力された検出情報に対して後処理を行った後、検出情報を記憶部116に格納する。後処理としては、例えば、ノイズ除去等のフィルタリングや平滑化などを行う。
【0066】
脈波算出部614は、記憶部116に記憶された検出情報に基づいて、脈動に伴って変化する、被検者の血管の容量を検出することで脈波(脈波に関する情報の一例)を算出する。
【0067】
なお、本実施形態は、シール型脈波センサ100で脈波を算出する例について説明するが、シール型脈波センサ100に接続された外部装置側で脈波を算出してもよい。この場合、シール型脈波センサ100側で、外部装置で脈波の算出に必要な特徴量(脈波に関する情報の一例)を抽出し、当該特徴量を外部装置(例えば被検者の携帯端末)に送信してもよい。この場合、外部装置には、当該特徴量から、被検体の脈波などの生体情報を算出するプログラムが格納されている。
【0068】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、上述した構成を備えることで、LED113_1~113_4から直接PD114に光が入射することを抑制できるので、脈波の測定精度を向上させることができる。
【0069】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、フレキシブルプリント基板101等が可撓性を有しているため、粘着層203を介して光学系(例えば、PD114、及びLED103_1~103_4)が皮膚と常に密接できる。これにより、シール型脈波センサ100は、皮膚と空気の界面で生じる変動要因の影響を抑制できる。したがって、シール型脈波センサ100は、脈波の検出精度を向上させることができる。
【0070】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100が検出する光は、被検者の体内を伝搬してきた光のみであるため、外部の環境の影響を抑制できるので、検出した光の微小な変化を検出できる。これによって、シール型脈波センサ100が検出する光は、脈波の波形を高精度に検出することが可能となる。
【0071】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100では、24時間など長い時間継続的に計測をすることが想定されている。シール型脈波センサ100では、PD114を囲むように遮光層121が配置されている。遮光層121は、フレキシブルプリント基板101よりも厚く、かつ弾性係数が高い。さらには、遮光層121は、被検体の形状に沿うことが可能な程度の弾性を有している。本実施形態に係るシール型脈波センサ100は、被検体の体動などで窪みができた場合あっても、遮光層121が皮膚に当接した状態を維持できる。これにより、体動が生じた場合であっても、脈波の計測精度を維持できる。
【0072】
本実施形態に係るシール型脈波センサ100では、LED113_1~113_4と、PD114と、の間に遮光層121を備えると共に、被検体に接触する側の面を同一辺面とした。また、遮光層121以外の領域には、粘着層203が設けられている。このため、ので、シール型脈波センサ100では、被検体の皮膚から剥がれることを抑制できる。
【0073】
また、本実施形態に係るシール型脈波センサ100では、上述した構成で備えているので、使い捨てにすることも可能である。つまり、シール型脈波センサ100では、耐久性が低いが、非常に柔らかな素材を採用できる。これにより、シール型脈波センサ100では、被検体の形状に沿うことができるので、被検者に不快感を与えるのを抑制できる。
【0074】
また、シール型脈波センサ100では、粘着層203も1度しか利用しないことを前提として、被検体の皮膚細胞やゴミなどが粘着面付着してもよいような、強い粘着力を有する部材を用いることができる。
【0075】
(第2実施形態)
第1実施形態では、光の吸収係数はできるだけ小さい粘着層203を用いた例について説明した。しかしながら粘着層が遮光性を有していてもよい。そこで、第2実施形態では、遮光層が、粘着層としても機能する例について説明する。
【0076】
図7は、本実施形態に係るシール型脈波センサ700の光学系を示した断面図である。
図8は、本実施形態に係るシール型脈波センサ700の光学系を、被検体に密接される面側から示した正面図である。なお、第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を割り当て、説明を省略する。
【0077】
第1面101Aは、PD114を中心に他の構成が配置されている。
【0078】
図7、
図8に示されるように、PD114の周辺には、遮光層701が配置されている。そして、遮光層701の4か所の空隙が設けられており、当該4か所の空隙には、LED103_1、103_2、103_3、103_4が配置されている。
【0079】
遮光層701は、LED113_1~113_4から照射された光が直接PD114に入射するのを抑止するために、光を遮るように形成された遮蔽部材であって、例えば、黒のカーボンを混合したシリコン樹脂などが考えられる。さらに、遮光層701は、被検体と密接する端面が、粘着部として形成されている。本実施形態では、
図8の遮光層701全面が、粘着部として機能する。これにより、シール型脈波センサ700は、被検体に貼り付けることができる。
【0080】
なお、本実施形態では、遮光層701の被検体と密接する端面が粘着部として形成された場合について説明するが、遮光層701の端面に粘着層を設けてもよい。この場合、粘着層には、黒のカーボン等を混合して、光を遮るように形成することで、遮光性機能を付与している。つまり、粘着層も遮光層として機能する。
【0081】
図9は、本実施形態に係るシール型脈波センサ700の光伝搬経路の一例を表した図である。
図9に示される例では、被検者の皮膚(測定部位P3)がシール型脈波センサ700を張り付けたときから、体動等によって形状に変化が生じずに、シール型脈波センサ700が、皮膚(測定部位P3)に密接している場合を示している。
【0082】
図9に示されるように、シール型脈波センサ100が密接している場合、遮光層701の各々が、皮膚(測定部位P3)に密接することで、LED113_1の表面に空隙901が存在し、PD114の表面にも空隙902が存在する。
図9に示されるように、遮光層701が皮膚に密接しているので、LED113_1からPD114には、直接光が到達しないような構成となっている。
【0083】
従って、LED113_1から照射された光は経路911によって被検者の測定部位P3に入射する。入射した光は、被検者の測定部位P3内で反射する。そして、PD114は、被検者の測定部位P3内で反射した後に経路912を辿った光を受光する。
【0084】
図10は、本実施形態に係るシール型脈波センサ700の光伝搬経路の一例を表した図である。
図10に示される例は、被検者の皮膚(測定部位P4)が、シール型脈波センサ700を張り付けたときから、体動等によって形状に変化が生じた場合を示している。
【0085】
上述したように、シール型脈波センサ700のフレキシブルプリント基板101、遮光層701が、可撓性を有している。また、シール型脈波センサ700の遮光層701は、PD114、LED113_1~113_4を除いた全面に貼り付けられている。このため、
図10に示されるように、形状変化した被検者の皮膚(測定部位P4)に追従するように、シール型脈波センサ700の形状が変化する。なお、LED113_1の表面の空隙1101、PD114の表面の空隙1102は、
図9の場合とほぼ同様とする。
【0086】
本実施形態に係るシール型脈波センサ700は、遮光層701と被検者の皮膚(測定部位P4)との間に空隙を生じさせないように、被検者の皮膚(測定部位P4)に追従するように形状を変化させている。これにより、LED113_1からPD114に直接光が伝搬されるのを抑制できる。
【0087】
従って、LED113_1から照射された光は経路1011によって被検者の測定部位P4に入射する。入射した光は、被検者の測定部位P4内で反射する。そして、PD114は、被検者の測定部位P4内で反射した後に経路1011を辿った光を受光する。
【0088】
図11は、本実施形態に係るシール型脈波センサ700の光伝搬経路の一例を表した図である。
図11に示される例は、被検者の凹面形状となっている皮膚(測定部位P5)に、シール型脈波センサ700を張り付けた場合を示している。被検者の凹面形状となっている箇所としては、例えば、鎖骨近傍が考えられる。
【0089】
上述したように、シール型脈波センサ700のフレキシブルプリント基板101、遮光層701が、可撓性を有している。また、シール型脈波センサ700の遮光層701は、PD114、LED113_1~113_4を除いた全面に貼り付けられている。このため、
図11に示されるように、被検者の皮膚(測定部位P5)が凹面形状であっても、当該形状に沿うようにシール型脈波センサ700を張り付けることができる。なお、LED113_1の表面の空隙1101、PD114の表面の空隙1102は、
図9の場合とほぼ同様とする。
【0090】
本実施形態に係るシール型脈波センサ700は、遮光層701と被検者の皮膚(測定部位P5)との間に空隙を生じさせないように、被検者の皮膚(測定部位P4)に追従するように形状を変化させている。これにより、LED113_1からPD114に直接光が伝搬されるのを抑制できる。
【0091】
従って、LED113_1から照射された光は経路1111によって被検者の測定部位P5に入射する。入射した光は、被検者の測定部位P5内で反射する。そして、PD114は、被検者の測定部位P5内で反射した後に経路1111を辿った光を受光する。
【0092】
本実施形態では、上述した構成を備えることで、第1実施形態と同様の効果を得る他に、遮光部も被検者の皮膚に密接する。したがって、シール型脈波センサ700は、測定部位が凹面形状等であっても、当該形状に密接することで、精度の高い脈波の計測が可能となる。
【0093】
(第3実施形態)
上述した実施形態では、シール型脈波センサにおいて脈波を計測する場合について説明した。しかしながら、脈波のみを計測する手法に制限するものではない。そこで、第3実施形態では、脈波に基づいて血圧を計測する場合について説明する。
【0094】
第3実施形態に係るシール型脈波センサは、第1実施形態又は第2実施形態に係るシール型脈波センサと同様の形状及び光学系を有しているものとして、説明を省略する。第3実施形態に係るシール型脈波センサが、第1実施形態又は第2実施形態に係るシール型脈波センサと異なる点は、制御装置内で実行されるプログラムとする。
【0095】
ところで、近年、腕時計型の生体計測装置が利用されることが多い。当該生体計測装置でも血圧推定の機能が存在する。当該生体計測装置では、脈波伝搬時間法を利用した血圧推定が用いられることが多い。当該生体計測装置は手首に装着するため、心臓との相対的な高さ関係が安定しない。したがって、当該生体計測装置では、心臓の高さ関係が安定しないため、血圧計測の誤差が生じやすい。当該誤差を抑止するために、例えば、生体計測装置が装着された計測部位である腕を胸の前の高さまで上げて計測する等の計測手法が用いられることが多い。
【0096】
これに対して、本実施形態に係るシール型脈波センサは、被検体の測定部位に貼り付ける手法である。このため、本実施形態に係るシール型脈波センサで血圧の計測を行うために、心臓と略同じ高さに貼り付けることが容易である。そこで、第3実施形態に係るシール型脈波センサの貼り付け位置の例について説明する。
【0097】
図12は、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200を被検体の上腕部に貼り付けた例を示した図である。
図12に示されるように、シール型脈波センサ1200は、被検体の上腕部P6に貼り付けられる。上腕と心臓部の高さが概ね同じ高さであるため、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200は、被検者の行動を制約することなく、推定誤差の小さい血圧計測が可能となる。換言すれば、シール型脈波センサ1200は、血圧計として機能する。
【0098】
さらに、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200において、血圧計測を行う際の張り付け位置は、上腕部に制限するものでなく、他の部位でもよい。
【0099】
図13は、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200を被検体の鎖骨部周辺に貼り付けた例を示した図である。
図13に示されるように、シール型脈波センサ1200は、被検体の鎖骨部周辺P7に貼り付けられる。このようにシール型脈波センサ1200は、被検体(人物)の鎖骨下動脈近傍に設定可能なサイズ(例えば、3cm×5cm)で成形されている。
【0100】
鎖骨部周辺と心臓部の高さが概ね同じ高さであるため、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200は、被検者の行動を制約することなく、推定誤差の小さい血圧計測が可能となる。
【0101】
ところで、鎖骨の上部には、鎖骨下動脈がある。鎖骨下大動脈は、肋骨の下にある心臓から出た動脈が、肋骨よりも皮膚表面に出てくる位置である。このため、動脈の脈波が、きれいに出現する。さらに、足腰や上腕の動きなどの影響も少なく体動の影響を受けにくい。そのため、鎖骨表面にシール型脈波センサ1200を貼り付けることで、ノイズが少ない脈波が検出され、血圧推定精度が向上する。
【0102】
本実施形態に係るシール型脈波センサ1200は、可撓性を有していることから、鎖骨部周辺のような被検体の部位が凹面形状であっても、当該形状に沿わせるように貼り付けることができる。鎖骨部周辺は、体動も少ないため、ノイズの小さい精度のよい信号を検知できるため、精度のよい脈波、及び血圧推定が可能となる。
【0103】
次に、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200の血圧等を計測するための構成について説明する。
【0104】
図14は、本実施形態に係るシール型脈波センサ1200に含まれる制御装置1400で実行される構成を示したブロック図である。本実施形態に係るシール型脈波センサ1200は、上述した実施形態に係る制御装置112の代わりに、制御装置1400を備えた例とする。他の構成は、上述した実施形態と同様として説明を省略する。また、上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0105】
制御装置1400は、上述した実施形態に係る制御装置112と比べて、制御部602と処理が異なる制御部1401を有している点で異なる。
【0106】
制御部1401は、制御部602と比べて、特徴量抽出部1411と、伝搬時間算出部1412と、血圧変換部1413と、個人差補正部1414と、が追加されている。
【0107】
特徴量抽出部1411は、脈波から血圧を推定するための特徴量を抽出する。脈波には、PW(Percussion Wave)、及びTW(Tidal Wave)のピークが存在する。PWは、心臓から拍動されたその波のピークを示している。またTWは、脚の末梢血管部から反射されたピークを示している。さらには、大動脈弁の閉まる時に発生するディップ(ND)など、脈波には特徴的な凹凸が存在する。そこで、特徴量抽出部1411は、PWやTWのピークや、ディップなどの特徴的な凹凸を特徴量として抽出する。
【0108】
伝搬時間算出部1412は、特徴量抽出部1411により抽出された脈波の特徴量から、脈波伝搬時間を算出する。脈波伝搬時間は、脈圧波形が動脈樹の長さを伝搬するのに要する時間である。
【0109】
血圧変換部1413は、算出された脈波伝搬時間から、血圧に変換する。脈波伝搬時間と血圧との間には相関関係がある。そこで、本実施形態に係る血圧変換部1413は、脈波伝搬時間から血圧に変換する。
【0110】
血圧の変換手法としては、どのような手法を用いてもよいが、例えば、『鈴木 里実, 小栗 宏次;電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌)2010年130巻2号 p.261-266 「高齢者の心血管特性を考慮したクラス分類による光電脈波信号を用いたカフレス血圧推定」』で示された手法が考えられる。
【0111】
個人差補正部1414は、血圧変換部1413によって変換された血圧に対して個人差による補正を行う。補正の手法としては、どのような手法を用いてもよく、例えば、個人を示したパラメータ(例えば、年齢、伸長、体重など)に基づいて学習させたAI学習モデルを用いた補正を行うことが考えられる。
【0112】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態では、個人差による補正を行う場合について説明した。しかしながら、血圧の計測では、個人差の補正のみに制限するものではなく、他の要因による補正を行ってもよい。そこで、本変形例に係るシール型脈波センサは、加速度センサが内蔵されている例とする。
【0113】
本変形例に係るシール型脈波センサに含まれる加速度センサは、計測結果を制御装置1400に送信する。そして、制御装置1400は、加速度センサの計測結果に基づいて、シール型脈波センサの位置と、心臓と、相対的な位置関係を算出し、当該位置関係に基づいて血圧を補正する。なお、相対的な位置関係に基づいた血圧の補正手法は、周知の手法を問わず、どのような手法を用いてもよい。
【0114】
シール型脈波センサと心臓との相対的な位置関係が変化すると血圧計測の誤差が生じると考えられる。これに対して、本変形例に係る制御装置1400は、加速度センサに基づいて、相対的な位置関係を算出し、当該位置関係に基づいて血圧の補正を行うことで、血圧の推定精度を向上させることができる。
【0115】
なお、本変形例は、加速度センサを用いる手法に制限するものではなく、例えば、重力方向との角度ずれを検出する水準器センサなどの他のセンサで、シール型脈波センサが貼り付けられた腕等の相対的な位置を算出してもよい。また、加速度センサとしては、スマートフォンで大量生産され低コスト化されているMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の加速度センサを用いることが考えられる。
【0116】
また、シール型脈波センサと心臓との相対的な位置関係に関する初期設定等を、シール型脈波センサと通信可能な携帯端末を介して、被検者が設定してもよい。
【0117】
設定手法としては、例えば、腕を垂直におろした状態を初期状態として設定するように、携帯端末を介してシール型脈波センサに指示するなどが考えられる。
【0118】
腕等の相対的な位置を算出手法について説明する。例えば、シール型脈波センサは、加速度センサからの受信した加速度を、当該加速度センサの3軸の各々について積算する。そして、シール型脈波センサは、3軸の各々の積算値から、3軸の各々の移動距離に換算することで、加速度センサが貼り付けられた部位、例えば腕がどの程度移動しているかを算出する。
【0119】
つまり、本変形例は、被検者の上腕部などは様々な角度に移動可能であるが、3軸の加速度センサを用いている。これにより、腕の上げる、下げるという動作と、歩行、起立などの動作と、を区別することが可能である。したがって、本変形例に係るシール型脈波センサの制御装置は、加速度センサからの信号に基づいて、腕の上げ下げを検出し、心臓との高さの差異を検出して、補正することができる。
【0120】
(第4実施形態)
上述した実施形態にかかるシール型脈波センサにおいては、PD114の周囲の4方向にLEDを配置する例について説明した。しかしながら、このような配置例に制限するものではない。そこで、第4実施形態においては、PD114とLED113とが1対1の関係の場合とする。本実施形態に係るシール型脈波センサにおいては、PD114とLED113ユニットとを結ぶ線分が、被検体の動脈走行方向に対し、垂直となるように、貼り付ける。
【0121】
ところで、一般的な脈波計測では、例えば、酸素飽和度や脈波数といった情報を提供することが主な目的である。それに対し、脈波センサから血圧を推定する際には、1msecオーダーの非常に高精度な脈波の波形計測が求められる。脈波の特徴的なピークの相対位置が10msecも誤差が生じると、血圧推定には±10mmHg以上の誤差が生じる。このように、脈波センサを用いた血圧計には高精度の脈波波形計測が求められる。
【0122】
脈波は動脈に沿って伝搬していく。走行方向に対し、平行にPD(検出素子)と、LED(光照射素子)とを配列すると、光伝搬経路も平行となり、心臓に近い位置と、遠い位置とを含むことなる。心臓に近い部分と遠い部分とでは、伝搬してくる脈波の時間は、伝搬速度分ずれが生じる。ずれは、動脈の長さ10mmに対し、脈波伝搬時間1msec程度であるが、当該ずれが生じた場合に、高精度の脈波時間計測には、数mmHg程度の血圧推定誤差になる。
【0123】
そこで、本実施形態に係るシール型脈波センサでは、伝搬経路が動脈の走行方向に対し、PD(検出素子)114とLED(光照射素子)113とを垂直なるよう配列している。つまりは、光伝搬経路と、動脈の走行方向と、が垂直となるので、PD(検出素子)114とLED(光照射素子)113とは、心臓に対して略同距離になりとなるので、誤差を抑制できる。
【0124】
実施形態にかかるシール型脈波センサは、例えば、上腕に貼り付けることが考えられる。シール型脈波センサは、上述した実施形態と同様に、粘着層によって1日以上(例えば、2日~3日でもよい)固着できる。シール型脈波センサの貼り付け位置は、上腕も内側の方が、動脈の走行位置が近く、かつ、筋肉によるアーチファクトが小さいため適している。
【0125】
(第5実施形態)
上述した実施形態に係るシール型脈波センサでは、PDが1個で脈波又は血圧を計測する手法について説明した。しかしながら、PDを複数用いて、計測を行ってもよい。そこで第4実施形態では、PDを複数用いた場合について説明する。
【0126】
図15は、本実施形態に係る(血圧計としても機能する)シール型脈波センサ1500を上腕部に貼り付けた場合の概念図である。
図15に示されるシール型脈波センサ1500には、PDとLEDとを組み合わせたPD―LEDユニット1501、1502を2個設けている。
【0127】
PD―LEDユニット1501は、PD1511と、LED1512との組み合わせであって、LED1512から出力された光をPD1511が検知する。本実施形態も、上述した実施形態と同様にPD1511とLED1512との間には、(図示しない)遮光層が設けられている。
【0128】
PD―LEDユニット1502は、PD1521と、LED1522との組み合わせであって、LED1522から出力された光をPD1521が検知する。本実施形態も、上述した実施形態と同様にPD1521とLED1522との間には、(図示しない)遮光層が設けられている。
【0129】
本実施形態に係るシール型脈波センサ1500は、第4実施形態と同様に、PD―LEDユニット1501、1502の各々のPDとLEDとを結ぶ線分が、被検体P8の動脈走行方向に対し、垂直となるように、各構成が配置されている。
【0130】
さらに本実施形態では、PD―LEDユニット1501と、PD―LEDユニット1502と、の間の距離L1は、予め定められている。距離L1は、実施態様に応じた距離でよく、例えば10cmなどが考えられる。
【0131】
制御装置1503は、PD―LEDユニット1501、1502からの信号に基づいて、脈波、及び血圧を計測する。
【0132】
その際に、本実施形態に係る制御装置1503は、複数のPD1511、1521を用いて脈波等を計測する。制御装置1503は、複数のPD1511、1521の間の距離L1に相当する時間(脈波伝搬時間に遅れ)に対応する位相ずれが生じた同一脈波を、PD1511、1521から検出している。
【0133】
つまり、制御装置1503は、PD1511、1521の各々から算出された脈波の特徴量、及び定量化した位相ずれを考慮して、脈波伝搬時間を算出する。本実施形態では、複数のPD1511、1521の計測結果、及びPD1511、1521の間の距離を考慮することで、より精度の高い脈波伝搬時間の算出を実現できる。
【0134】
さらに、制御装置1503は、算出された脈波伝搬時間に基づいて、血圧へ変換する。これにより、精度の高い血圧計測を実現できる。
【0135】
なお、本実施形態は、シール型脈波センサ1500を張り付けるのを上腕部に制限するものではない。
【0136】
図16は、本実施形態に係るシール型脈波センサ1500を足に貼り付けた場合の概念図である。
図16に示されるように、動脈走行方向に沿うように貼り付け可能であれば、どの部位に貼り付けてもよい。
【0137】
(第6実施形態)
第5実施形態に係るシール型脈波センサ1500のように、1枚に、複数のPD―LEDユニットを1枚にまとめる態様に制限するものではない。そこで、第6実施形態では、2枚のシール型脈波センサを用いて計測を行う場合について説明する。
【0138】
図17は、本実施形態に係る複数のシール型脈波センサ1701、1702を上腕に貼り付けた場合の概念図である。
図17は、複数のシール型脈波センサ1701、1702を、動脈走行方向に沿うように貼り付ける例とする。また、複数のシール型脈波センサ1701、1702の距離L1も、第5実施形態と同様に予め設定された距離とする。
【0139】
つまり、本実施形態では、2枚のシール型脈波センサ1701、1702をそれぞれ上腕の上方部と下方部に貼り付けた。2枚のシール型脈波センサ1701、1702の間の距離は設定されているため、2枚のシール型脈波センサ1701、1702の間の位相ずれに基づいて、より精度の高い脈波伝搬時間の算出できる。
【0140】
シール型脈波センサ1702は、LED1721と、PD1722と、通信装置1723と、を備えている。LED1721から出力された光をPD1722が検知する。本実施形態も、上述した実施形態と同様にLED1721とPD1722との間には、(図示しない)遮光層が設けられている。そして、通信装置1723は、PD1722の検知結果を、制御装置1713に送信する。
【0141】
シール型脈波センサ1701は、LED1711と、PD1712と、制御装置1713と、を備えている。LED1711から出力された光をPD1712が検知する。本実施形態も、上述した実施形態と同様にPD1712とLED1711との間には、(図示しない)遮光層が設けられている。そして、制御装置1713は、通信装置1723から受信した検知結果、及びPD1712の検知結果に基づいて、血圧計測を行う。血圧の計測手法は、第5実施形態と同様として説明を省略する。
【0142】
(第7実施形態)
上述した実施形態では、脈波に基づいて血圧を計測する手法について説明した。しかしながら、血圧を計測する際に脈波のみを用いる手法に制限するものではない。そこで、第7実施形態では、脈波と心電図とを用いて、血圧を計測する場合について説明する。
【0143】
図18は、本実施形態に係るシール型脈波センサ1800、及び心電図用電極1851、1852を足裏に貼り付けた場合の概念図である。
図18は、右足P9Rの裏側に心電図用電極(-)1851を張り付け、左足P9Lの裏側に心電図用電極(+)1852を張り付けた例とする。心電図用電極(-)1851と、心電図用電極(+)1852と、は配線1853で接続されている。さらに、心電図用電極(+)1852は、シール型脈波センサ1800と信号を送信可能に接続されている。
【0144】
シール型脈波センサ1800は、PD1811と、LED1812と、制御装置1813と、を備えている。PD1811がLED1812から出力された光を検知する。本実施形態も、上述した実施形態と同様にPD1811とLED1812との間には、(図示しない)遮光層が設けられている。
【0145】
そして、シール型脈波センサ1800の制御装置1813は、心電図用電極(-)1851、及び心電図用電極(+)1852の検出結果を受信する。そして、制御装置1813は、心電図用電極(-)1851及び心電図用電極(+)から受信した検知結果、及びPD811の検知結果に基づいて、血圧計測を行う。このように、シール型脈波センサ1800は、脈波及び心電図を用いた血圧計としても機能する。
【0146】
ところで、一般的な心電図とは、心臓の筋肉収縮に伴って発生する電気信号を検出する手法である。心電図の電極は、プラス電極とマイナス電極との電位差で検出する。一般的には、心臓に対して左右に電極を付けることで電位を検出できる。
【0147】
そこで、本実施形態では、例えば、右足と左足にそれぞれ、電極を設置する。当該設置では、電流の経路として、心臓をまたぐこととなり、精度のよい心電図(心電波形)を検出できる。
【0148】
さらに、血圧計測精度を向上させるためには、脈波伝搬時間を精度よく検出する必要がある。脈波伝搬時間は、心臓の拍動で生じた脈波が、伝搬してきた時間である。そこで、本実施形態では、心臓の拍動を検出する心電図と、脈波と、を組み合わせて、脈波伝搬時間を算出する。
【0149】
また、シール型脈波センサ1800の貼り付け場所としては、例えば、足のかかとなどが考えられる。足(例えば、かかと)部分は、末梢神経が集中しているので、脈波の計測精度を向上させることできる。
【0150】
例えば、集中治療室等の被検者では、他のセンサが設置されていないなど、足へのアクセスがしやすい。このような被検者は、あまり立ち上がらないため、足裏などのシール型脈波センサ1800を設置できる。このような、寝ていることが多い被検者では、医療従事者がアクセス容易な場所なので、計測が容易である。これにより、24時間継続的に、容易に血圧を計測することが可能となる。
【0151】
図19は、本実施形態に係る制御装置1813で実行される構成を示したブロック図である。本実施形態は、上述した実施形態に係る制御装置1400の代わりに、制御装置1813を備えた例とする。他の構成は、上述した実施形態と同様として説明を省略する。また、上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0152】
制御装置1813は、上述した実施形態に係る制御装置1400と比べて、制御部1401と処理が異なる制御部1901を有している点で異なる。
【0153】
制御部1901は、制御部1401と比べて、心電図ピーク検出部1911が追加され、伝搬時間算出部1912の処理が変更されている。
【0154】
心電図ピーク検出部1911は、心電図用電極(-)1851、及び心電図用電極(+)1852の検出結果である、右足、左足の電位差から、心電図を計測する。さらに、心電図ピーク検出部1911は、心電図から、心臓の拍動であるRピークを検出する。
【0155】
伝搬時間算出部1412は、特徴量抽出部1411により抽出された脈波の特徴量と、心電図ピーク検出部1911が検出したRピークと、に基づいて、脈波伝搬時間を算出する。具体的には、伝搬時間算出部1412は、Rピークと、脈波の立ち上がりの位置と、の間の時間遅れを計測することで、脈波伝搬時間を算出する。以降の処理は、上述した実施形態と同様として説明を省略する。
【0156】
本実施形態では、心電図と組わせて血圧などの生体情報を計測することで、体動のノイズなどの影響を低減した上で、高精度の血圧推定を実現できる。
【0157】
(第8実施形態)
上述した実施形態は、シール型脈波センサの適用例について説明した。これに対して、本実施形態では、シール型脈波センサを用いた診断サービスについて説明する。なお、シール型脈波センサは、上述したように血圧計としても機能する。このため、換言すれば、血圧計を用いた診断サービスとも称することができる。
【0158】
従来、24時間連続計測を行う際には、カフ式の血圧計を看護師の方の手によって、設置を行うため、看護師の在宅への訪問もしくは通院が必要であった。また、24時間連続計測をし、再度、通院をして医師が計測結果を見ないと、計測による診断ができなかった。計測中にカフが外れたり、計測不良が生じた場合には、途中で修正することが難しかった。
【0159】
そこで、本実施形態に係る診断サービスでは、以下に示す手順で行うことで、より簡素な長時間計測を実現している。
【0160】
図20は、本実施形態に係る診断サービスの手順を例示した図である。
図20に示されるように診断受診者(被検者)は、携帯端末2011を備えている。クラウドシステム2012は、診断サービスの情報を管理する。健康診断機関には、クラウドシステム2012の情報を表示するための情報処理装置2013が設けられている。次に具体的な手順について説明する。
【0161】
健康診断機関が、シール型脈波センサを含む血圧検査キットを、検診受診者に事前送付する(S2001)。
【0162】
検診受診者は、送付された(血圧計としても機能する)シール型脈波センサを診断対象となる部位に張り付けて、24時間装着(計測)する(S2002)。その際に、検診受診者は、シール型脈波センサと、携帯端末2011とを通信可能に設定する。
【0163】
シール型脈波センサ(第1の送信部の一例)が、血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果(被検体の脈波に基づいた情報の一例)を、携帯端末2011(第1の通信装置の一例)に送信する(S2003:第1の送信工程の例)。そして、携帯端末2011(第2の送信部の一例)は、血圧に関する情報の計測結果を示した計測データ(血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果を含む)を、公衆ネットワークを介して、クラウドシステム2012(第2の通信装置の一例)に送信する(S2004:第2の送信工程の一例)。
【0164】
クラウドシステム2012は、血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果を示した計測データを管理する。クラウドシステム2012は、受信した計測データに基づいて、シール型脈波センサの誤動作の確認と、シール型脈波センサの誤検出の確認と、を随時行うともに、受信した計測データに基づいて、検診受診者の血圧値を推定する。当該推定は、様々なパラメータを考慮しているので、シール型脈波センサの推定結果と比べて、高精度の推定を可能としている。
【0165】
クラウドシステム2012は、推定した血圧値に関する情報を、健康診断機関の情報処理装置2013に送信する(S2005)。健康診断機関の情報処理装置2013(表示部の一例)は推定した血圧値に関する情報を表示し、医師が、推定した血圧値に関する情報に基づいて、検診受診者の診断、例えば、高血圧症の診断を行う(S2006:表示工程の一例)。
【0166】
情報処理装置2013が(第3の送信部の一例)、医師からの操作によって、検診受診者の携帯端末2011に、高血圧等の診断結果を送信する(S2007:第3の送信工程の一例)。
【0167】
検診受診者は、携帯端末2011に、高血圧等の診断結果を確認する(S2008)。その後、検診受診者は、シール型脈波センサを含む血圧検査キットを破棄する(S2009)。
【0168】
図21は、本実施形態に係る診断サービスで利用される診断システムを例示した図である。
図21に示されるように携帯端末2011と、クラウドシステム2012と、シール型脈波センサ2014と、を少なくても有している。
【0169】
シール型脈波センサ2014は、LED2111と、PD2112と、制御装置2113と、電池2114と、を備えている。シール型脈波センサ2014は、電池2114から供給される電力で駆動し、PD2112が、LED2111から射出された光のうち、検診受診者の部位で反射した光を検出する。なお、本実施形態に係るシール型脈波センサ2014も、上述した実施形態と同様に遮光層を有している。そして、制御装置2113の制御部2015は、PD2112の検出結果から血圧等を計測し、計測結果やPD2112の検出結果等を、無線通信部115を用いて、携帯端末2011に送信する。血圧の推定手法は、上述した実施形態と同様として説明を省略する。
【0170】
携帯端末2011は、インターフェース2121と、制御部2122と、記憶部2123と、表示部2124と、無線通信部2125と、を備える。制御部2122には、以下の処理を行うプログラムが実行されている。
【0171】
無線通信部2125は、シール型脈波センサ2014から受信した検出結果等を、記憶部2123に記憶すると共に、当該検出結果等を、クラウドシステム2012に送信する。
【0172】
さらに、携帯端末2011は、インターフェース2121が検診受診者から受け付けた操作に従って、表示部2124が、検出結果に基づいた血圧推定の結果を表示する。
【0173】
図22は、本実施形態に係る診断システムで行われる処理を示したシーケンス図である。
【0174】
シール型脈波センサ2014は、検診受診者の部位に貼り付けられた後、タイマースタートを開始する(S2201)。
【0175】
シール型脈波センサ2014のPD2112は、検出開始する(S2202)。PD2112の検出間隔は、例えば、1kHzとする。
【0176】
シール型脈波センサ2014のLED2111は、検出開始する(S2203)。LED2111の発光間隔は、例えば、100Hzとする。
【0177】
脈波算出部614は、PD2112の検出結果である検出情報に基づいて、脈波(脈波に関する情報の一例)を算出する(S2204)。
【0178】
特徴量抽出部1411は、脈波から血圧を推定するための特徴量(例えば、PW、及びTWのピーク等)を抽出する(S2205)。
【0179】
伝搬時間算出部1412は、脈波の特徴量から、脈波伝搬時間を算出する(S2206)。
【0180】
血圧変換部1413は、算出された脈波伝搬時間から、血圧を推定する(S2207)。その際に、個人差等に基づいて補正してもよい。
【0181】
無線通信部115は、脈波に基づいた血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果(被検体の脈波に基づいた情報の一例)を、携帯端末2011(第1の通信装置の一例)に送信する(S2208)。
【0182】
携帯端末2011の無線通信部2125は、血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果を受信する(S2011)。
【0183】
携帯端末2011の制御部2122は、受信した血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果を、記憶部2123に格納すると共に、ユーザからの操作に応じて血圧の推定結果を表示部2124に表示する(S2112)。
【0184】
携帯端末2011の無線通信部2125が、公衆ネットワークを介して、血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果をクラウドシステム2012(第2の通信装置の一例)に送信する(S2213)。
【0185】
クラウドシステム2012は、携帯端末2011から、血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果を受信する(S2221)。
【0186】
クラウドシステム2012は、血圧の推定結果、及びPD2112の検出結果を示した情報を蓄積する(S2222)。
【0187】
クラウドシステム2012は、蓄積した情報に基づいて血圧を推定する(S2223)。クラウドシステム2012には、様々なパラメータが格納されているため、シール型脈波センサ2014と比べて、精度の高い血圧推定を実現できる。
【0188】
本実施形態に係る診断システムでは、上述した構成を備えていることで、検診受診者の通院や、医療従事者の在宅訪問がなくとも、簡便に医師の診断結果を得られる。
【0189】
本実施形態に係る診断システムにおいては、シール型脈波センサ2014からリアルタイムに送信された情報に基づいて、クラウドシステム2012が正常に動作しているか否かの判断を行うことができる。さらに、医療従事者などの第三者が、計測結果を確認できるので、誤動作による血圧推定誤差を抑制できる。
【0190】
近年のIoTが進む中で、汎用半導体のコスト低下化が進行している。このため、シール型脈波センサも1回だけの利用で使い捨てした場合であっても、低いコストで実現できる。使い捨てにすることで、例えば、粘着層の再利用の考慮が不要となったり、充電不要な簡素な防水パッケージで実現したり、送り返す郵送の手間を削減したり、衛生面の考慮を低減できるなど、様々な利点が生じる。
【0191】
シール型脈波センサでは、検出された脈波の波形から、血圧を推定し、その血圧値の変化を、クラウドシステム2012等に記録できる。例えば、昼と夜における血圧変動が重要な情報であるが、本実施形態においては、上述した構成によって、当該情報をクラウドシステム2012に蓄積できる。さらに、医療従事者が当該情報を確認できる。これによって、高血圧症の仮面高血圧症や、白衣高血圧症などのサブタイプの判断が容易になる。さらに、検診受診者は、当該判断結果を受け取ることが容易となる。
【0192】
(第9実施形態)
シール型脈波センサの構成は、上述した実施形態に制限するものではなく、様々な態様が考えられる。そこで第9実施形態では、シール型脈波センサの別態様を示すと共に、当該シール型脈波センサを用いた処理について説明する。
【0193】
図23は、本実施形態に係るシール型脈波センサ2300の光学系を示した断面図である。なお、上述したシール型脈波センサ100と同様の構成については同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0194】
本実施形態に係るシール型脈波センサ2300は、シール型脈波センサ100と比べて、第1電極2301と、第2電極2302と、をさらに備えている。また、シール型脈波センサ2300は、被検者に設置される前には、保護シート2303が、粘着層203に張り付いている。
【0195】
保護シート2303は、例えば、カーボンブラックを所定の比率以上含むように製造されている。これにより、保護シート2303は伝導性を有している。
【0196】
つまり、保護シート2303の有無に応じて、第1電極2301及び第2電極2302の間の電気伝導が変化する。第1電極2301及び第2電極2302間の電気伝導の変化を示す信号は、制御装置112に出力される。これにより、制御装置112は、保護シート2303がはがされたことを認識できる。はがされたことを確認した場合、制御装置112は、被検者に関する生体情報の計測を開始できる。
【0197】
また、制御装置112の記憶部116には、シール型脈波センサ2300を識別するためのセンサIDを記憶してもよい。当該センサIDは、使い捨ての識別情報であってもよい。
【0198】
本実施形態に係るシール型脈波センサ2300は、例えば、本実施形態に係る診断システムは、高血圧症の仮面高血圧症や、白衣高血圧症などのサブタイプの判断をするときに用いられる。
【0199】
例えば、シール型脈波センサ2300は、上述した実施形態と同様に、使い捨ての計測装置であってもよい。このため、シール型脈波センサ2300は、被検者の家に配送されてもよい。これにより、シール型脈波センサ2300は、被検者の自宅にて容易に計測を実現できる。そのうえで、本実施形態に係る診断システムによって、シール型脈波センサ2300の計測結果に基づいて、医療機関の判断を得ることができる。
【0200】
本実施形態に係る診断サービスにおいては、被検者毎の診断を行うことができる。
図24は、本実施形態に係る診断サービスで利用される診断システムを例示した図である。本実施形態に係る診断システムでは、上述した使い捨てのシール型脈波センサ2300毎にユニークに割り振られた(使い捨ての)センサIDを用いる。
【0201】
図24に示されるように、診断システムは、生産機関と、医療機関と、被検者と、クラウドサーバ2401と、で構成されている。
【0202】
本実施形態に係る生産機関は、センサIDが付与された、シール型脈波センサ2300を生産する。センサIDは、例えば、シール型脈波センサ2300の制御装置112内の記憶部116に登録されている。
【0203】
また、生産機関は、シール型脈波センサ2300の製造時に、パッケージにセンサIDを印字する。そして、生産機関は、パッケージに、シール型脈波センサ2300を格納する。本実施形態では、一つのパッケージに一つのシール型脈波センサ2300を格納する。なお、パッケージに印字されたセンサIDは、格納されたシール型脈波センサ2300を識別するセンサIDとする。そして、生産機関は、パッケージに格納されたシール型脈波センサ2300を、医療機関に送付する。
【0204】
医療機関は、被検者の診断を行うための機関であって、医療関係者と共に医療関係者が使用する端末2402を含んでいる。
【0205】
医療機関は、生産機関から送付されたシール型脈波センサ2300を、診断対象の被検者に送付する。本実施形態では、医療機関が、シール型脈波センサ2300を被検者に送付する例について説明するが、被検者への送付手法を制限するものではなく、例えば、生産機関が直接被検者に送付してもよいし、薬剤師などの他の機関を介して被検者に送付してもよい。
【0206】
被検者は、通信端末2411を所持している。通信端末2411は、上述した携帯端末2011と同様の構成を備えている。通信端末2411は、(図示しない)公衆ネットワークに接続された様々な通信装置(例えば、クラウドサーバ2401)と通信できる。
【0207】
クラウドサーバ2401は、シール型脈波センサ2300を用いた診断に必要となる被検者の情報を管理する。本実施形態では、クラウドサーバ2401は、一つ又は複数の通信装置(情報処理装置を含む)端末で構成されており、様々なサービスを提供できる。
【0208】
被検者は、医療機関からシール型脈波センサ2300と共に提供されたアドレスに、通信端末2411を用いてアクセスする。これにより、通信端末2411は、計測を行うためのアプリケーションのダウンロード及びインストールを行う。その後、通信端末2411は、アプリケーションを実行することで、被検者の属性を入力するための入力画面を表示する。
【0209】
通信端末2411は、当該入力画面を介して、パッケージに記載されているセンサID、及び被検者を識別する情報(例えば被検者ID)の入力を受け付ける。通信端末2411は、入力を受け付けたセンサID及び被検者IDを、クラウドサーバ2401に送信する。
【0210】
これにより、クラウドサーバ2401は、センサID及び被検者IDを対応付けて登録する。表1は、クラウドサーバ2401に登録されたセンサIDと被検者IDとの対応関係を例示している。
【0211】
【0212】
さらに、通信端末2411は、当該入力画面を介して、被検者の属性の入力を受け付けてもよい。入力を受け付ける属性としては、例えば、被検者の氏名、被検者の住所、被検者が利用している通信端末(例えばスマートフォン)の電話番号(通信端末の識別情報の一例)が含まれる。なお、属性は、これらの情報に制限するものではなく、例えば、パスワード、年齢、性別、体重、基礎疾患有無、基礎疾患の内容、体調状況、体温、などの様々な情報を含んでもよい。そして、通信端末2411は、センサID、被検者ID、及び属性を対応付けてクラウドサーバ2401に送信する。これにより、クラウドサーバ2401は、被検者IDと被検者の属性とを対応付けて管理できる。
【0213】
本実施形態では、上述した入力に対応する処理を行うことで、被検者のシール型脈波センサ2300を用いた計測の準備が行われる。被検者の計測としては、例えば、血圧の24時間計測等とする。
【0214】
また、医療機関は、被検者に関する情報(データセット)を、被検者IDと共に、クラウドサーバ2401に送信してもよい。これにより、クラウドサーバ2401は、被検者IDと対応付けて、被検者に関する情報を管理できる。被検者に関する情報(データセット)としては、例えば、医療機関で有している人間ドックなどの他の計測データが含まれる。これにより、詳細な診断を実現できる。
【0215】
被検者は、インストールしたアプリケーションのガイダンスに従って、シール型脈波センサ2300を、上腕部や鎖骨部などに設置する。
【0216】
この際に、被検者は、シール型脈波センサ2300から保護シート2303を剥がす。シール型脈波センサ2300の制御装置112は、第1電極2301及び第2電極2302間の電気伝導の変化を示す信号から、保護シート2303が剥がれたことを認識できる。そして、制御装置112は、計測するための制御を開始する。
【0217】
通信端末2411とシール型脈波センサ2300との間は、無線通信によって接続されている。これにより、通信端末2411のアプリケーションは、入力を受け付けたセンサIDと、とシール型脈波センサ2300から送信された情報に含まれるセンサIDとが一致することを確認する。そして、通信端末2411のアプリケーションは、確認結果を、クラウドサーバ2401に送信する。これにより、クラウドサーバ2401は、対応付けした情報が適切であるか否かを認識できる。
【0218】
その後、シール型脈波センサ2300は、計測を開始した後、計測結果を示した情報(以下、計測情報と称す)を、通信端末2411に送信する。そして、通信端末2411は、センサIDと共に計測情報を、クラウドサーバ2401に送信する。クラウドサーバ2401は、センサIDと共に受信した計測情報を、当該センサIDに対応する被検者IDと紐づけて蓄積していく。
【0219】
そして、医療機関の端末2402は、クラウドサーバ2401から計測情報、及び被験者の情報を取得し、表示する。医療機関の端末2402は、医師からの被検者の診断結果の入力を受け付ける。その後、医療機関の端末2402は、診断結果を、被検者の通信端末2411に送信する。診断する際に用いる計測情報としては、例えば、被検者の24時間の血圧の変化があるが、診断対象を血圧に制限するものではなく、他の情報であってもよい。
【0220】
なお、本実施形態では、通信端末2411が、センサID及び被検者IDを送信する例について説明したが、センサID及び被検者IDの送付を通信端末2411に制限するものではない。例えば、医療機関の端末2402が、シール型脈波センサ2300のセンサIDと、シール型脈波センサ2300の送付先の被検者の情報(被検者IDを含む)を、クラウドサーバ2401に送信してもよい。
【0221】
なお、クラウドサーバ2401が、シール型脈波センサ2300のセンサIDを管理することで、再度同じセンサIDを交付することが可能である。使い捨てのシール型脈波センサで無数にIDが必要になるが、IDの再利用のため、IDが欠乏することはない。
【0222】
<モデル化による補正>
本実施形態では、医療機関は、クラウドサーバ2401から受信した計測情報(例えば24時間の血圧の変化)を参照して、被検者の診断を行う手法に制限するものではない。
【0223】
つまり、本実施形態に係るクラウドサーバ2401は、医療機関の端末2402に送信する前に、診断が容易になるように、計測情報を補正してもよい。本実施形態においては、クラウドサーバ2401は、例えば表2に示す被検者の情報を記憶している。表2に示される被検者の情報は、被検者ID(例えば被検者ID:A000001)と対応付けて記憶されている。クラウドサーバ2401が、表2に示される被検者の情報(例えば、年齢、性別、体重、身長、血液検査値(コレステロール値、)、血糖値、基礎疾患(選択制))を蓄積するために、例えば、通信端末2411が入力画面で当該情報の入力を受け付けてもよい。なお、補正に用いる被検者の情報は、被検者に入力された情報に制限するものではなく、例えば、被検者の同意を得るなどした上で、同じ又は他の医療機関で実施した血液検査の結果等を用いてもよい。
【0224】
【0225】
そして、クラウドサーバ2401は、被検者の情報から被検者の特徴量を抽出し、抽出した特徴量に基づいて、被検者をモデル化する。その後、クラウドサーバ2401は被検者のモデルに基づいて、計測情報を補正する。そして、クラウドサーバ2401は、補正後の計測情報を、医療機関の端末2402に送信する。当該処理によって、医療機関は、年齢や体形など様々な要因を考慮した診断ができるので、高精度な診断を実現できる。
【0226】
(第10実施形態)
上述した実施形態では、血圧等の被検者の計測結果に基づいて、判断を行う例について説明した。しかしながら、被検者について診断を行う際に、被検者が実際に行っているイベントを考慮して診断する方が好ましい。そこで、第10の実施形態に係る診断システムでは、被検者が行っているイベントを入力する場合について説明する。
【0227】
図25は、本実施形態に係るシール型脈波センサ2500の光学系を示した断面図である。
図26は、本実施形態に係るシール型脈波センサのブロック構成を示した図である。なお、上述したシール型脈波センサ2300と同様の構成については同一の符号を割り当て、説明を省略する。
【0228】
本実施形態に係る制御装置112は、プログラムを実行するための構成としてMPU112Aを備えていてもよい。当該MPU112Aが記憶部116に記憶されているプログラムを実行することで被検者の計測を行うことができる。
【0229】
図26に示されるように、LED113は、780nmの波長を出力するLEDと、850nmの波長を出力するLEDと、を含んでもよい。シール型脈波センサ2500が、2種類の波長を出力可能とすることで、ヘモグロビンの酸素飽和度を算出することが可能となる。
【0230】
図25に示されるように、本実施形態に係るシール型脈波センサ2500は、シール型脈波センサ2300と比べて、加速度センサ2501と、マイク2502と、第1熱電対2503と、第2熱電対2504と、をさらに備えている。
【0231】
加速度センサ2501が、被検者の加速度を検出し、検出結果を、制御装置112に出力する。マイク2502は、被検者の周囲(被検者との会話等を含む)の音を検出し、検出結果を、制御装置112に出力する。
【0232】
制御装置112は、第1熱電対2503及び第2熱電対2504から入力される信号に基づいて、被検者の体温及び被検者の周辺の気温(又は室温)を検出する。なお、本実施形態では、被検者の体温及び被検者の周辺の気温(又は室温)を検出する例について説明するが、被検者の体温及び被検者の周辺の気温(又は室温)のうちいずれか一つ以上を検出としてもよい。
【0233】
<イベント検出機能>
制御装置112は、加速度センサ2501、マイク2502、及び、第1熱電対2503且つ第2熱電対2504から、被検者がどのような状態(以下、イベント情報)にあるかを判断する。イベント情報は、例えば、下記の表3に示す項目が考えられる。
【0234】
【0235】
このように、制御装置112は、上述したセンサの検出結果に基づいて、被検体が、起床、就寝、トイレ、入浴、立っている状態、座っている状態、投薬中、食事中、飲酒中、又は運動中であるかを示したイベント番号(イベント情報の一例)を取得する。表3は、イベント番号の一例を示したものであって他のイベントが含まれてもよい。イベント番号は、血圧に影響を与える項目をカテゴリとして分けた情報が好ましい。
【0236】
そして、制御装置112は、取得したイベント番号を、取得した時刻と対応付けて、通信端末2411に送信する。
【0237】
通信端末2411は、イベント番号を、血圧と対応付けて時系列として表示できる。そして、被検者は、通信端末2411に表示されたイベント番号を参照して、実際の行動と一致しているか否かを確認できる。一致していないと判断した場合、被検者は、通信端末2411に対してイベント番号の修正する操作を行ってもよい。
【0238】
通信端末2411は、計測した時刻と共にイベント番号及び計測情報(血圧含む)を、センサIDと対応付けてクラウドサーバ2401に送信する。
【0239】
クラウドサーバ2401は、計測情報を時系列順に受信する。計測情報には血圧を特定するための情報が含まれている。換言すれば、クラウドサーバ2401は、シール型脈波センサ2500によって取得された、時系列順に従った被検者の血圧に示した血圧の変化(例えば波形)を受信する。
【0240】
クラウドサーバ2401は、計測情報と共に、時系列順に被検者に生じたイベントを示したイベント番号を受信している。
【0241】
そして、クラウドサーバ2401は、受信した時系列順の情報(計測情報、及びイベント番号)を、被検者IDと対応付けて蓄積する。
【0242】
なお、イベント情報の取得は、シール型脈波センサ2500の制御装置112が行う手法に制限するものではない。例えば、被検者の通信端末2411が、シール型脈波センサ2500から入力された情報に基づいてイベント番号(イベント情報の例)を特定してもよい。イベント番号の取得は、どのような手法を用いてもよく、例えば、イベントとセンサの検出結果とでAI学習した学習モデルを用いて行ってもよい。
【0243】
<イベント入力>
本実施形態においては、シール型脈波センサ2500がイベント番号(イベント情報の一例)を取得する例に制限するものではない。例えば、被検者の通信端末2411が、イベント入力機能を有していてもよい。
【0244】
通信端末2411は、例えば、被検者が実行しているイベント情報の入力を受け付けることができる。入力可能なイベント番号としては、例えば、薬の服用、食事、トイレ、入浴など、医師の診断において価値があるものが含まれる。例えば、通信端末2411は、アプリケーションの表示画面から、イベント番号の選択を受け付けることができる。通信端末2411は、イベント番号の入力を受け付けた際に、タイムスタンプが押され、血圧を含むバイタルの計測情報と対応付けて、クラウドサーバ2401に送信する。
【0245】
これにより、クラウドサーバ2401は、時系列順に計測情報及びイベント情報を受信し、蓄積できる。医療機関は、クラウドサーバ2401に蓄積された情報から、薬効などを評価できる。
【0246】
選択可能なイベント情報としては、例えば、薬の服用、食事(パン、ごはん、1膳、2膳、1切れ、2切れ、……)、飲酒(種類、量)、トイレ、睡眠、運動(ランニング、サイクリング、)を含んでもよい。さらに、通信端末2411は、食事の内容、検温時体温、体調、又は気分などの医師に伝えたい細かな情報を、音声又はテキスト等によって入力可能にしてもよい。
【0247】
クラウドサーバ2401は、蓄積された情報に基づいて、時系列順に従って、被検者の血圧変化(計測情報の変化)と、被検者の計測中に生じた時系列順のイベントと、を重ね合わせて表したグラフを生成する。そして、クラウドサーバ2401は、血圧変化と時系列順のイベントとを重ね合わせたグラフを、医療機関の端末に送信する。
【0248】
医療機関の端末2402は、血圧変化とイベントとを重ね合わせて表したグラフを表示する。なお、時系列順に、被検者の血圧変化と、イベントと、を重ね合わせたグラフは、クラウドサーバ2401が生成する手法に制限するものではなく、医療機関の端末2402側で生成してもよい。例えば、医療機関の端末2402は、プログラムを実行するための構成としてMPUを備え、当該MPUが(図示しない)記憶部に記憶されているプログラムを実行することで、グラフを生成したり、診断に必要な情報を表示したりする。
【0249】
これにより、例えば、医療機関の端末2402は、シール型脈波センサ2500から取得された計測情報に基づいて、被検者の血圧を時系列で表示できる。
【0250】
医療機関の端末2402に表示されたグラフには、例えば、血圧の急上昇と、入浴のタイミングと、一致している場合には、医療機関に所属する医療関係者は、当該血圧の急上昇が問題視することもないと診断する可能性がある。このように、イベントと対応付けて計測情報を表示することで、グラフに表示されるノイズ成分を目視で取り除いて、診断精度が向上させることができる。
【0251】
<診断>
次に、医療機関における表示について説明する。医療機関の端末は、クラウドサーバ2401上に蓄積された、シール型脈波センサ2500により計測された血圧の時系列情報(血圧波形)を表示できる。
図27は、本実施形態に係るシール型脈波センサにより計測された血圧の時系列情報を示した図である。
図27では時系列による血圧の変化を示す波形データ2701が示されている。さらに、
図27で示される例では、血圧波形に起床を及び睡眠開始を示したイベント情報が重ね合わされている。つまり、
図27で示される時系列情報では、イベント情報が登録された時刻t1、t2とを示してる。時刻t1は、睡眠開始した時刻であって、時刻t2は、起床した時刻である。時刻t1~時刻t2が、睡眠時間である。
【0252】
医療機関の端末2402は、イベント情報(睡眠、起床を示すアイコン等)と、連続血圧の時系列情報(波形データ2701)と、を重ねて表示することで、睡眠中の血圧を認識できる。したがって、医療関係者は、睡眠中の血圧が、昼間の血圧と比べて、高いか低いかを判断することが容易になる。このように、本実施形態は、医療関係者による、24時間血圧の診断の精度を向上させることができる。
【0253】
さらには、本実施形態に係る診断システムは、パターンマッチングを行う機能を有している。
【0254】
本実施形態に係るクラウドサーバ2401は、睡眠時間において、被検者の睡眠の特性を表した分類ごとに、予め定められた血圧波形(血圧の時系列変化)を表した波形モデル(変化モデルの一例)を(図示しない)記憶部に記憶しておく。
【0255】
そして、クラウドサーバ2401は、取得した計測情報に基づいた血圧の時系列の変化を抽出する。そして、クラウドサーバ2401は、血圧の時系列変化に対して、イベント情報で示されたイベント(例えば、睡眠開始、起床)を重ね合わせ、イベントを基準とした睡眠中の血圧の時系列変化を抽出する。
【0256】
そして、クラウドサーバ2401は、当該睡眠中として抽出された血圧の時系列変化と、血圧の時系列の変化モデルと、の間でパターンマッチングを行うことで、被検者の分類を特定する。クラウドサーバ2401で特定された被検者の分類は、医療機関の端末2402に出力される。これにより、医療機関の端末2402は、クラウドサーバ2401にパターンマッチングの結果を表示できる。
【0257】
図28は、本実施形態に係る血圧の時系列情報に対するパターンマッチングによる分類結果を例示した図である。
図28に示されるパターンマッチングは、医療機関の端末2402で行ってもよい。また、パターンマッチングの結果は、医療機関の端末2402に表示してもよい。
【0258】
図28に示されるパターンマッチングでは、血圧の時系列の変化モデルを4種類記憶している。例えば、クラウドサーバ2401は、Riser型の変化モデルS1と、Non-dipper型の変化モデルS2と、Dipper型の変化モデルS3と、Extreme-dipper型の変化モデルS4と、を記憶している。なお、4種類の変化モデルは一例として示したものであって、他の変化モデルを含んでもよい。
【0259】
そして、クラウドサーバ2401による、被検者の血圧の時系列の変化(波形データ2701)と、4種類の変化モデルと、の間の整合率を算出する。算出された整合率は、表4に示される。
【0260】
【0261】
一般的には、睡眠時は、血圧値が若干低くなる状態が健康な状態であるが、少し上昇する変化パターン(Riser型)、又は大きく低下するパターン(Extreme-dipper型)などが健康上の問題となる可能性がある。表4に示される整合率は、クラウドサーバ2401が算出するが、医療機関の端末2402などの他の端末で算出してもよい。整合率の算出手法は任意の手法を用いてよく、例えば、典型波形との相関係数を用いた算出でもよい。
【0262】
また、パターンマッチングは睡眠中の血圧の時系列の変化に制限するものではない。例えば、早朝高血圧となる場合には、起床とのタイミングをパターン化して、パターンマッチングを行ってもよい。なお、パターンマッチングを行う際には、トイレや早朝の散歩や運動が血圧変動が、整合率の算出に影響を与える可能性がある。そこで、クラウドサーバ2401は、パターンマッチング及び整合率を算出する際に、被検者の血圧の時系列の変化から、上述したイベント情報に基づいてパターンマッチングに影響を与えるイベント情報と同時刻に生じた血圧変動を、取り除いてもよい。
【0263】
(第11実施形態)
上述した実施液体では血圧の計測の手法について説明した。しかしながら、上述したシステムは、血圧の計測以外に用いてもよい。そこで、第11実施形態においては、例えば、被検者のストレスに関する状態を計測してもよい。例えば、複数の被検者が、上述したシール型脈波センサを装着して同時に計測を行っている状態で、会議等を行うことで、ストレスを与えているストレッサーを客観的に抽出し、是正を促すなどの介入も可能となる。
【0264】
<計測手法>
ストレス等の計測方法は、先に記した24時間の血圧の計測と同様に、被検者に24時間脈波センサを貼り付けることで実現する。ストレス等の計測においては、上述した実施形態の血圧の計測と異なる点について説明する。異なる点としては、脳血流の計測、被検者のモデル化、イベント入力機能、及び、話者特定機能である。
【0265】
本実施形態に係る診断システムにおいては、被検者が通常の生活を行いながら、計測を行うことを基本とする。これは、本実施形態に係る診断システムが、職場高血圧などと呼ばれる疾病の一つで外部刺激による心理的影響で、血圧が変動する疾病をデータとして捉えることを目的にしているためである。本実施形態に係る診断システムでは、医療以外の診断を行うために、クラウドサーバ2401の診断結果を、職場に設置された通信端末に送信してもよい。
【0266】
本実施形態に係る診断システムは、被検者が心理的な影響を受けて、自律神経が変容して、血圧を変動させる要素を用いて判断する。本実施形態に係る診断システムでは、被検者に対する高血圧症の投薬を最適化することを可能にすると共に、被検者の血圧が上昇した際に、血圧を上昇したことを被験者等に通知して、被検者に血圧が上昇したことを意識させることで、血圧の制御に介入することを可能としている。
【0267】
<脳血流計測>
本実施形態においては、上腕部にシール型脈波センサ2500を設置すると同時に、頭部にもう一つ別なシール型脈波センサを装着する。
【0268】
図29は、本実施形態に係るシール型脈波センサ2900の光学系を示した断面図である。なお、上述したシール型脈波センサ2500と同様の構成については同一の符号を割り当て、説明を省略する。本実施形態に係るシール型脈波センサ2900は、被検者の頭部は頭蓋骨の内部にある脳血流を計測することを目的としている。
【0269】
シール型脈波センサ2900では、LED113の代わりに、面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)2902、2903を備えている。面発光レーザ2902、2903は、短パルスのレーザ光を出力する。さらに、シール型脈波センサ2900は、検出器としてSPAD(Single Photon Avalanche Diode)2901を備えている。なお、シール型脈波センサ2900は、面発光レーザ2902、2903と共にLED113を備える構成でもよい。
【0270】
面発光レーザ2902、2903からSPAD2901まで距離を、例えば、30mmとする。当該構成によって、面発光レーザ2902、2903からSPAD2901に皮膚から戻ってくる光をできるだけ少なくし、頭蓋骨内部の脳表面に発生する脳血流の検出を容易にする。そこで、面発光レーザ2902、2903とSPAD2901との間には遮光層2911、121が設けられている。
【0271】
本実施形態に係る面発光レーザ2902、2903としては、"ガンマスイッチ"と称される光閉じ込め係数を低く抑えるために、例えば、酸化狭窄層を薄く形成したものを利用している。具体的には、面発光レーザ2902、2903は、低屈折領域が酸化狭窄により形成されており、且つ酸化されていない高屈折領域の厚さは35nm以下であって、低屈折領域と高屈折領域との境界の先端部から3μmの位置における前記低屈折領域の厚さが、高屈折領域の厚さの2倍以下であるという特徴を有する。面発光レーザ2902、2903は、当該特徴を有することで、サブナノsecの短パルスの発光を安定させることができる。面発光レーザ2902、2903が発光する光の波長は、780nmや805nmなど水分の光吸収が少なくヘモグロビンに吸収がある波長を選択する。さらには、面発光レーザ2902、2903が発光する光の波長として、水分の光吸収が少ない940nm、又はSPAD2901の検出感度が高い870nmを、選択してもよい。
【0272】
SPAD2901は、単光子検出素子であるセンサを有する受光部である。SPAD2901は、受光する光電変換素子を有する(図示しない)光電変換部と、光電変換素子で受光された光量に応じたパルス信号を生成する(図示しない)パルス生成部と、そのパルス信号をカウントする(図示しない)ビットカウンタ部と、を備えている。ビットカウンタ部は、各光電変換部に分散されて設けられている。各光電変換部の受光領域の開口率を大きくすることで、SPAD2901の感度が高くして、脳の内部を拡散してきた微小光を検出できる。
【0273】
本実施形態に係るシール型脈波センサ2900を被検者の頭部の3か所に貼り付ける。
【0274】
図30は、本実施形態に係るシール型脈波センサ2900を被検者の頭部の耳の後ろ(第1の貼り付け位置P10)に貼り付けた例を示した図である。
図30に示されるように、被検者の頭部の耳の後ろ、具体的には、側頭葉を測定可能な部位に、シール型脈波センサ2900の貼り付ける。
図30に示される第1の貼り付け位置P10に貼り付けることで、職場環境でも違和感を生じさせることを抑制できる。
【0275】
図30に示される側頭葉は、会議などで最も注意を向ける「言語」に関わる部位となる。この部位が賦活している場合には、会議に集中していると考えられる。
【0276】
図31は、本実施形態に係るシール型脈波センサ2900を被検者の左こめかみ(第2の貼り付け位置P11)に貼り付けた例を示した図である。第2の貼り付け位置P11である左こめかみは、背外側前頭前野((dorsolateral prefrontal cortex:DLPFC)に関わり、うつ病又はやる気などとの相関が高い脳機能を有する部位である。このため、診断システムが、当該第2の貼り付け位置P11に貼り付けたシール型脈波センサ2900からの測定情報に基づいて、被検者のうつ病又はやる気を判断する際に、有力である(例えば、小澤幸世、開一夫、"ワーキングメモリ課題およびタッピング課題による不快情動の制御 -NIRSによる脳神経学的検討"、日本認知科学会大会発表論文集(CD-ROM) (日本認知科学会大会プログラム・抄録集(CD-ROM))、2014年、第31巻、P1-4)。診断システムが、被検者の当該部位が賦活していると判断した場合、被検者が、ストレスとなる課題に対して、過去の記憶を元に、解決策を自身の中に思い浮かべるべく活動していると推測できる。つまりは、診断システムは、被検者が会議の議題についてコミットしており、議題に関わる課題について、集中して検討を進めていると判断してよい。
【0277】
図32は、本実施形態に係るシール型脈波センサ2900を被検者の眉間(第3の貼り付け位置P11)に貼り付けた例を示した図である。第3の貼り付け位置P12である眉間は、前頭葉全体、特に、OFC(Orbitofrontal Cortex:眼窩前頭皮質)やDMPFC(Dorsomedial prefrontal Cortex:背内側前頭前野)を反映している部位である。このため、診断システムは、当該第3の貼り付け位置P12に貼り付けたシール型脈波センサ2900からの測定情報に基づいて、被検者の社会的認知の度合いなどを判断できる。例えば、社会的認知度が高まっている時間帯は、チームワークを重んじるような感情が高まっていると判断できる。診断システムは、当該第3の貼り付け位置P12に貼り付けたシール型脈波センサ2900からの測定情報は、被検者の自律神経を反映する脈拍、及び血圧とともに、被検者の感情など、被検者の状態を理解する際に有益である。
【0278】
本実施形態に係る診断システムでは、シール型脈波センサ2900の貼り付け位置を例示したものであって、当該貼り付け位置に制限するものではない。また、本実施形態では、シール型脈波センサ2900を3個貼り付ける例について説明するが、貼り付けるシール型脈波センサ2900の数を制限するものではなく、2個以下、又は4個以上であってもよい。
【0279】
<イベント検出>
本実施形態に係るシール型脈波センサ2900は、マイク2502を備えている。マイク2502は、例えば、MEMS技術により数mmのパッケージとして構成してもよい。このような非常に小さく構成されたマイク2502を、フレキシブルプリント基板101上に実装する。マイク2502が収集した音声は、記憶部116に格納されてもよいし、無線通信部115を介して通信端末2411又はクラウドサーバ2401に格納してもよい。これにより、被検者の状態(例えば血圧)が急に変化した場合に、どのようなことが起きていたかを確認することが容易になる。
【0280】
クラウドサーバ2401は、複数の被検者の各々が備えるシール型脈波センサ2900から、通信端末2411を介して、マイク2502が収集した音声データを蓄積し、蓄積された音声データを分析する。当該分析では、例えば、音声データに含まれる音声の話者が、複数の被検者のうちいずれであるかを判断する。音声と被検者とを対応付ける手法は、周知の手法を問わず、任意の手法を用いてよい。例えば、予め被検者毎に登録された音声データとの類似判定を行って話者を特定してもよい。
【0281】
本実施形態においては、受信した計測情報及びシール型脈波センサ2900の各種情報に基づいて、クラウドサーバ2401が、会話に関するイベント番号を特定する例とする。しかしながら、本実施形態は、イベント番号の特定手法を、クラウドサーバ2401が特定する手法に制限するものではなく、通信端末2411を介して被験者等から入力されてもよい。
【0282】
そして、クラウドサーバ2401は、被検者に対応する音声、及び被検者の計測情報に基づいて、当該被検者のイベント番号を特定する。特定されるイベント番号の一部は、表5に示される。表5に示されるように、会議と判断される場合でも、発話の量に応じて、会議A(発言多い)、会議B(発言少ない)、会議C(発言なし)のうち、被検者に対応するイベント番号を特定してもよい。その他、クラウドサーバ2401は、事務処理など仕事の内容についても対応するイベント番号を特定する。
【0283】
【0284】
図33は、被検者の血圧の変化を計測した結果及び被検者に生じたイベントの例を示した図である。
図33に示される例では、クラウドサーバ2401が、被検者の24時間の血圧の変動3301と共に、音声データ及び計測結果に基づいて被検者に生じたイベントに対応するイベント番号(表3、表5参照)を特定している。
【0285】
図34は、本実施形態に係るクラウドサーバ2401において被検者が会話したイベントのみを抽出した例を示した図である。
図34に示される例では、クラウドサーバ2401が、会話したイベントを特定、抽出するために、会話以外のイベントで生じた血圧変動を補正したうえで、グラフ化している。これにより、複数の話者の各々における相対比較が容易になっている。
【0286】
そして、職場に設けられた通信端末が、クラウドサーバ2401の判断結果を示した画面を表示する。当該画面では、イベントと、
図34に示される血圧の変動と共に、血圧変動幅を換算したスコアを表してもよい。例えば、当該画面では、平均血圧からの上昇率を示したスコアを表示してもよい。例えば、平均血圧(圧縮血圧)が120mmHgの方が、会話によって125mmHgへ上昇した場合には、上昇率は約4%となるので、スコアは0.04となる。当該スコアの算出はクラウドサーバ2401で行う。
【0287】
つまり、クラウドサーバ2401は、シール型脈波センサ2500、2900によって取得された計測情報から、時系列に従った被検者(被検体)の血圧に示した血圧波形を、被検者毎に複数取得する。さらに、クラウドサーバ2401は、計測情報と共に取得した音声データから、被検者毎に、他の人と会話していたタイミングを示したイベント番号(会話イベント情報の例)を取得している。
【0288】
そして、クラウドサーバ2401は、
図34に示されたユーザ(例えば、被検者)毎に、イベント番号(会話イベント情報の例)で示されている、他のユーザ(例えば他の被検者)と会話しているタイミングで生じた血圧の変化に基づくスコアを算出している。表6は、
図34に示されるユーザ毎に算出したスコアを例示している。
【0289】
【0290】
本実施形態においては、会話時の血圧の変動を計測する際に、会話は1対1で行う例とする。また、会話の前及び会話中は、被検者が安静であることが好ましいが、被検者及び会話の状態を制限するものではなく、任意の状態でよい。
【0291】
スコアを算出することで、どの被検者との会話が血圧上昇に影響するかを客観的に任意機できる。本実施形態では同様の手法を用いることで、会議又は面談などのイベントに対するストレス度合いを比較検証できる。
【0292】
本実施形態では複数の被検者の各々が、シール型脈波センサ2500、2900を装着する。例えば一人の上司と、当該上司の部下数人と、が同時に装着してもよい。この場合当該上司と、複数の部下の各々と、1対1で個人面談を行ってもよい。そして、本実施形態では、面談者各々の血圧変動をスコアとして算出する。算出結果を表7に示す。
【0293】
【0294】
表7に示される例では、職場に設けられた端末が、表7に示される算出結果を表示できる。複数の部下毎に会話時のスコアを比較できるので、上司は、誰がストレスを感じ易いかを把握できる。これにより、上司は、部下毎に適したタスクを受け渡すことができる。また、部下は、他の同僚と平均比較をして、ストレスを与えている、又はストレスを受けていることを客観的に認識できる。そして、部下は、上司の行動変容も促し、職場環境のウィルビーイング指標の向上を実現できる。
【0295】
【0296】
また、本実施形態に係る診断システムでは、上司部下の関係ではなく、フラット関係であっても、会話時のスコアなど、職場環境で生じているストレスの数値化が可能である。このため、例えば、職場で働いている被検者5名全てが、同じシール型脈波センサ2500、2900を装着する。そして、診断システムでは、5人全てについて24時間計測する。計測中に、被検者は、通常の業務を行いながら、適当にそれぞれ会話をさせる。診断システムでは、会話の際の血圧変動を取得する。これにより、表6に示される話者ごとのスコアが、被験者毎に生成される。そして、クラウドサーバ2401が、5名の被検者のスコアに基づいて、5人のうち、他の被検者にストレスを与えている人を定量化できる。例えば、面談者毎に算出されたスコアを加算して平均した後、最もスコアが大きい面談者が、ストレスを与えている人と特定できる。表8は、被検者毎に算出されたスコアを示している。表8に示される例では、ユーザBのスコアが最も高いので、ストレスを与えている人と特定できる。
【0297】
【0298】
<補正>
上述したスコアは、被検者の血圧上昇率を数値化した値である。しかしながら、血圧上昇率が、ストレス度合いと完全な一致とならない場合もある。そこで、本実施形態に係るクラウドサーバ2401は、被検者の脳血流の計測結果も参考して、スコアを補正してもよい。補正手法としてはどのような手法を用いてもよい。
【0299】
例えば、こめかみに位置するDLPFCでは、ストレスを感じると、それを抑制するように働くことが知られている。このため、クラウドサーバ2401は、被検者がストレスを感じていると判断される場合に、こめかみ付近の脳血流が増加している場合は、ストレスによる抑制が働いているとみなして、ストレスを考慮したスコアの補正を行う。例えば、クラウドサーバ2401は、算出されたスコアを、0.9で割るなどの補正を行う。
【0300】
他の例としては、眉間などの前頭前野において、脳血流が増大している場合には、集中力が向上しており、血圧が上昇している可能性が高い。そのため、クラウドサーバ2401は、当該血圧の上昇について、面談者の効果のみではない可能性が高いとみなして、算出されたスコアに0.9倍を乗算して補正を行う。
【0301】
スコアの補正方法は、上述した手法に制限するものではなく、例えば、機械学習などを採用してもよい。また、面談者が会社の地位が高いなどの場合は必然的に相手がストレスを感じることが多い。そのような場合、クラウドサーバ2401は、予め入力されているモデルに従って補正を行ってもよい。例えば、クラウドサーバ2401は、予め入力されている人事情報による性格モデルに従って補正を行ってもよい。そこで次にモデルに従った補正について説明する。
【0302】
<モデル化による補正>
クラウドサーバ2401は、職場に設けられた通信端末から、補正を行うための上司及び被検者のモデルとして、会社での役職、社会的な地位を示す情報の入力を受け付ける。また、クラウドサーバ2401は、上司及び被検者の業務内容を、データベースに記憶させてもよい。そして、クラウドサーバ2401は、職場に設けられた通信端末を介して、データベースに記憶された業務内容の一覧から、被検者から選択を受け付けてもよい。
【0303】
本実施形態に係る診断システムでは、選択肢から選ぶ形態によって、被検者及び上司のプロファイリング及びモデル化が容易になる。モデルの生成のために、会社の役職、業務内容、同僚の構成、など様々情報が入力される。そして、クラウドサーバ2401は、入力された情報から、被検者のモデル化を行う。本実施形態では、生体的なモデル(以下、生体モデル)と、社会的なモデル(以下、社会モデル)と、を生成する。なお、本実施形態に係る診断システムでは、モデル化を上述したモデルに制限するものではなく、性格的なモデル(性格モデル)を生成してもよい。
【0304】
<生体モデル>
生体モデルでは、被検者の生体的なパラメータとして、例えば、年齢、性別、体重、身長、血液検査値(コレステロール値)、尿酸値、及び基礎疾患(選択制)の各々の数値化している。
【0305】
<社会モデル>
社会モデルでは、被検者及び上司の社会的なパラメータとして、会社情報、職種、役職、テーマメンバの人数、関りのある人、音声情報、及び人事情報の各々を適切に加工してモデル化している。社会モデルでは、ジョブ型として規定されているジョブを利用してもよい。
【0306】
<性格モデル>
性格モデルには、被検者及び上司の性格的なパラメータとして、アンケート調査をベースにした主観を中心にした情報を参照して生成する。
図35は、被検者の性格モデルを例示した図である。
図35では、被検者の性格モデル3502と、平均的な性格モデル3501と、を示している。
図35に示される例では、性格を示すパラメータとして、革新性、活動性、情動性、協調性、感受性、積極性、社交性、環境順応性を示しているが、性格を示すパラメータとして他のパラメータを用いてもよい。本実施形態に係る診断システムでは、
図35で示される平均値との対比によって、被検者及び上司の性格を分類してもよい。
【0307】
そして、クラウドサーバ2401は、上司の該当するモデル(例えば社会モデル、又は性格モデル)に応じて、上司と会話した被検者のスコアを補正する。このため、上司の社会モデル、及び用紙の性格モデルに応じた補正値、又は補正式を、クラウドサーバ2401が保持する。さらには、クラウドサーバ2401は、被検者のモデル(例えば、生体モデル、社会モデル、及び性格モデル)によって算出されたスコアを補正する。このため、被検者の生体モデル、社会モデル、及び用紙の性格モデルに応じた補正値、又は補正式を、クラウドサーバ2401が保持する。なお、具体的な補正値、及び補正式は、実施態様に応じて定められるものとして説明を省略する。
【0308】
なお、スコアの算出、スコアの補正、及び性格の分類は、クラウドサーバ2401が行う例についてしたが、クラウドサーバ2401が行う手法に制限するものではない。例えば、職場に設けられた通信端末が、スコアの算出、及びスコアの補正を行ってもよい。
【0309】
<介入>
本実施形態では、職場環境において、ストレスを含む被検者の健康状態を計測する例について説明している。職場環境においては、ストレス等によって体調が変化することもあり得る。その場合に、本実施形態に係る診断システムでは、被検者に対して体調の変化に対して注意喚起を行ってもよい。例えば、職場高血圧症などは、本人の意識で、それを是正することが可能である。そこで、本実施形態に係る診断システムでは、シール型脈波センサ2500、2900で被検者のストレス又は血圧の変化を検知し、検知したタイミングで、それを改善する行動変容を被検者に促す。
【0310】
図36は、本実施形態に係る診断システムで行われる処理を示したフローチャートである。
図36で示される診断システムにおいては被検者に行動変容を促すための処理を示している。
図36で示される例では、既に被検者にシール型脈波センサ2500、2900が設置されている状態とする。
【0311】
まず、通信端末2411が、シール型脈波センサ2500、2900から被検者の計測情報を取得する(S3601)。そして、通信端末2411は、取得した計測情報をクラウドサーバ2401に送信する(S3602)。
【0312】
そして、クラウドサーバ2401は、通信端末2411から被検者の計測情報を受信する(S3611)。そして、クラウドサーバ2401は、受信した被検者の計測情報を、クラウドサーバ2401が有する記憶装置に蓄積する(S3612)。
【0313】
そして、クラウドサーバ2401は、蓄積された被検者の計測情報から、血圧が所定の閾値以上変化したか否かを判定する(S3613)。所定の閾値以上変化していないと判定した場合(S3613:NO)、被検者の計測が終了した(計測を開始してから24時間を経過した)か否かを判定する(S3614)。クラウドサーバ2401は、計測が終了してないと判定した場合(S3614:NO)、再びS3611から処理を行う。
【0314】
一方、クラウドサーバ2401は、計測が終了したと判定した場合(S3614:YES)、S3620の処理に移る。
【0315】
S3613において、クラウドサーバ2401は、蓄積された被検者の計測情報から、血圧が所定の閾値以上変化したと判定した場合(S3613:YES)、通信端末2411に対して、深呼吸する旨のメッセージを送信する(S3615)。
【0316】
そして、通信端末2411は、深呼吸する旨のメッセージを受信したか否かを判定する(S3603)。受信していないと判定した場合(S3603:NO)、S3607の処理に移る。
【0317】
一方、通信端末2411は、深呼吸する旨のメッセージを受信したと判定した場合(S3603:YES)、深呼吸する旨のメッセージを出力する(S3604)。メッセージの出力手法は、被検者が認識可能な態様であればよく、例えば、通信端末2411の画面に表示してもよいし、音声として出力してもよい。
【0318】
その後、通信端末2411は、シール型脈波センサ2500、2900から被検者の計測情報を取得し(S3605)、取得した計測情報をクラウドサーバ2401に送信する(S3606)。
【0319】
クラウドサーバ2401は、通信端末2411から被検者の計測情報を受信し(S3616)、受信した被検者の計測情報を、クラウドサーバ2401が有する記憶装置に蓄積する(S3617)。
【0320】
そして、クラウドサーバ2401は、蓄積された被検者の計測情報から、メッセージの効果が生じたか否かを判定する(S3618)。効果が生じなかったと判定した場合(S3618:NO)、再びS3615から処理を行う。
【0321】
一方、クラウドサーバ2401は、蓄積された被検者の計測情報から、メッセージの効果が生じたと判定した場合(S3618:YES)、被検者の計測が終了した(計測を開始してから24時間を経過した)か否かを判定する(S3619)。クラウドサーバ2401は、計測が終了してないと判定した場合(S3619:NO)、再びS3611から処理を行う。
【0322】
一方、クラウドサーバ2401は、計測が終了したと判定した場合(S3619:YES)、S3620の処理に移る。
【0323】
そして、クラウドサーバ2401は、計測が終了した後、蓄積された計測情報を、医療機関の端末2402に送信して処理を終了する(S3620)。クラウドサーバ2401は、計測情報を送信する際に、計測情報に対して上述した補正等を行う。
【0324】
そして、医療機関の端末2402は、クラウドサーバ2401から、計測情報を受信する(S3641)。医療機関の端末2402は、受信した計測情報を表示する(S3642)。
【0325】
そして、医療機関の端末2402は、医療関係者から、被検者に対する診断結果の入力を受け付ける(S3643)。
【0326】
そして、医療機関の端末2402は、診断結果を、通信端末2411に送信する(S3644)。
【0327】
S3607において、通信端末2411は、被検者の計測が終了した(計測を開始してから24時間を経過した)か否かを判定する(S3607)。通信端末2411は、計測が終了してないと判定した場合(S3607:NO)、再びS3601から処理を行う。
【0328】
一方、通信端末2411は、被検者の計測が終了した(計測を開始してから24時間を経過した)と判定した場合(S3607:YES)、医療機関の端末2402から、診断結果を受信する(S3608)。
【0329】
そして、通信端末2411は、受信した診断結果を表示する(S3609)。
【0330】
本実施形態においては、上述した処理を行うことで、被検者の血圧が変化した場合に深呼吸を促すことで、被検者の体調を改善できる。また、このような血圧の変化を医療機関の医療関係者が把握することで、計測終了後に被検者に対してより適切な対応を促すことができる。
【0331】
(第12実施形態)
上述した実施形態では、医療機関が被検者にシール型脈波センサを送信する例について説明した。しかしながら、シール型脈波センサの送付元を医療機関に制限するものではない。そこで、第12実施形態では、薬剤師が、シール型脈波センサを被検者に送付する例について説明する。
【0332】
本実施形態では、シール型脈波センサ2500の計測情報から、ヘモグロビンの酸素飽和度を測定できる。これにより在宅医療に関わるサービスを実現できる。
【0333】
本実施形態に係るシール型脈波センサ2500は、
図26に示すように、LED113として、780nmの波長を出力するLEDと、850nmの波長を出力するLEDと、を備えている。シール型脈波センサ2500が、780nmの波長を出力するLEDと、850nmの波長を出力するLEDと、の発光タイミングを異ならせることで、診断システムは、それぞれの波長の生体の光吸収係数を検出できる。
【0334】
ところで、850nm、及び780nmの2種類の波長は、ヘモグロビンの酸化還元反応におけるスペクトルの相違を顕著に表す波長であることはよく知られている。そこで、本実施形態に係る診断システムでは、当該既知である酸化還元反応の吸収係数を逆算することで、2種類の波長の吸収係数から、被検者のヘモグロビンの酸素飽和度を検出できる。
【0335】
ところで、例えば、被検者が、covid-19のように、非常に感染力の強いウイルス性の疾患を有する可能がある場合、被検者に接触した人が感染する可能性があるため、オンライン診断や自宅療養が望まれている。この場合、被検者の具体的な計測を行うために、オンライン診断によって医師の判断で、シール型脈波センサ2500が、酸素飽和度計として用いられてもよい。
【0336】
つまり、疾患を有する可能性がある被検者を入院させることで、医療関係者(例えば、医師又は看護士)が、被検者の状況把握、又は被検者に対する高度な医療を施すことができる。しかしながら、高度なウイルス防護策が必要なため、多大なコストを要する。このため、オンライン診断及び自宅療養において、詳細な現状把握が可能な状況を作り出すことが望まれる。そこで、本実施形態に係る診断システムでは、シール型脈波センサ2500を用いる。これにより、被検者の体温、脈拍数、脈拍波形、血圧、及び呼吸数のうち少なくとも一つ以上のバイタル量を、24時間継続的にモニタできる。さらには、クラウドサーバ2401が、被検者のバイタル量を医療機関の端末2402に送信することで、医療機関に所属する医師は、当該バイタル量によって、被検者の状態を適切に判断できる。
【0337】
特に、covid-19の場合、ヘモグロビン酸素飽和度は、被検者の肺炎の進行を的確に判断できる指標として重視されている。本実施形態に係る診断システムが、被検者のヘモグロビン酸素飽和度を24時間モニタリングする。これにより、医療機関の医療関係者は、クラウドサーバ2401から送信されるバイタル量から、被検者の肺の状況を適切に判断できる。また、医療関係者が、被検者が危険な状態と判断した場合、被検者が適切な判断ができなくとも、被検者が入院などへの行動変容を起こすことが可能となる。これによって、本実施形態に係る診断システムでは、被検者の在宅療養の危険性を低下させて、安全な自宅療養を実現できる。
【0338】
本実施形態に係る診断システムは、在宅医療に限らず、例えば、老人ホームなどの医師、看護師が常駐していない施設なども安全な療養を行う際に効果を有する。本実施形態に係るシール型脈波センサ2500は、使い捨てであるために、血圧計の使いまわしによるウイルス感染が問題なく、ウイルス感染を防ぐための洗浄行為による危険性、コストが低減できる。また、シール型脈波センサ2500によって検出された測定情報がクラウドサーバ2401に蓄積されて、医療機関の端末2402において診断を行う。このように本実施形態では、センサや診断装置を医療機関等に返却する必要がないため、送付する手間を抑制すると共に、利用の際における故障によるリスクを低減できる。
【0339】
図37は、本実施形態に係る診断サービスで利用される診断システムを例示した図である。本実施形態に係る診断システムでは、上述した使い捨てのシール型脈波センサ2500毎にユニークに割り振られた(使い捨ての)センサIDを用いる。
【0340】
図37に示されるように、診断システムは、生産機関と、薬剤師と、医療機関と、被検者と、クラウドサーバ2401と、で構成されている。
【0341】
<シール型脈波センサの製造>
本実施形態に係る生産機関は、センサIDが付与された、シール型脈波センサ2500を生産する。具体的には、生産機関は、シール型脈波センサ2500のフレキシブルプリント基板101に形成されている外部への(図示しない)接続端子を利用して、制御装置112の記憶部116にプログラムを書き込む際に、当該シール型脈波センサ2500をユニークに識別するセンサIDを書き込む。
【0342】
また、生産機関は、シール型脈波センサ2500の製造時に、パッケージにセンサIDを印字する。そして、生産機関は、パッケージに、シール型脈波センサ2500を格納する。パッケージのセンサIDは、薬剤師などの在庫管理する方からも読み取ることができるような位置に印字されている。
【0343】
そして、生産機関は、パッケージに格納されたシール型脈波センサ2500を、薬剤師に送付する。
【0344】
医療機関に所属している医者は、被検者とオンライン診断を行う。そして、医者は、オンライン診断に従って検査が必要と判断した場合、シール型脈波センサ2500を送付する被検者の情報を含んだ処方箋を、薬剤師に送る。本実施形態のようなオンライン診断の場合、医療機関の端末2402は、処方箋を電子情報として、薬剤師(薬局)の端末2403に送信してもよい。
【0345】
<薬局の在庫管理)>
薬剤師は、医療機関からの処方箋に従って、被検者に薬剤の提供等を行う。また、薬剤師は、処方箋に従って、シール型脈波センサ2500を被検者に送付するための処理を行う。
【0346】
薬剤師が受け取る処方箋には、被検者の情報が含まれている。被検者の情報としては、被検者ID、被検者の住所が含まれている。さらには、医療機関または医師のIDが記載されてもよい。そこで端末2403は、本実施形態に係る診断システム上の検索画面から、医療機関又は医師のIDを検索キーとして、本処方箋の入力画面を表示できる。その処方箋の入力画面では、シール型脈波センサ2500のセンサIDを入力できる。これにより、被検者IDと、シール型脈波センサ2500のセンサIDと、を対応付けることができる。
【0347】
薬局は、生産機関から送付されたシール型脈波センサ2500の在庫管理を行う。在庫管理は、通常、薬剤師などの有資格者が担当するが、在庫管理の担当者を制限するものではない。本実施形態では、処方箋薬局の薬剤師が、被検者に送付するための作業を行う場合について説明するが、セルフメディケーションのようにコンビニエンスストアやドラッグストアのような販売店がシール型脈波センサ2500の販売を行ってもよい。
【0348】
例えば、通信端末(通信装置の一例)は、薬剤師など有資格者からの操作に従って、送付先の被検者を示した被検者IDと、当該被検者に送付するシール型脈波センサ2500のセンサIDと、を対応付けて登録する旨を、クラウドサーバ2401に送信する。医師の処方箋にシール型脈波センサ2500の発注指示があった場合に、クラウドサーバ2401は、被検者の被検者IDと、当該被検者に送付するシール型脈波センサ2500のセンサIDと、を対応付けて登録できる。これにより、薬の処方と同様に、確実に、安全な形でセンサIDの登録を、薬剤師の責任において実行できる。したがって、安全性の高い、確実な診断につなげることができる。
【0349】
本実施形態では、薬剤師が電子情報の取り扱いが容易になるように、薬剤師が利用する端末2403に、医療機関からの処方箋の受信、及び被検者ID且つシール型脈波センサ2500のセンサIDの入力を、同時に可能とするアプリケーションがインストールされていることが好ましい。
【0350】
その後、薬剤師は、通信端末から、送付先の被検者を示した被検者IDと、当該被検者に送付するシール型脈波センサ2500のパッケージに印字されているセンサIDを取り除く。これにより、センサIDを他人が転用することを抑制できる。
【0351】
そして、薬剤師は、配達人を介して、センサIDを取り除いた後のシール型脈波センサ2500を被検者に送付する。
【0352】
<配達人>
オンライン診断は、患者がウイルスを感染させることなく、薬を入手できるという利点を有する。本実施形態では、オンライン診断と同様の配達システムを用いて、シール型脈波センサ2500を送付する。当該配達システムにおいても、ウイルス感染や被検者の負担を低減するために、配達人が介在することが望まれる。配達人は、薬剤師の指示によって配達を実行する。
【0353】
配達指示は、薬剤師の端末2403から行ってもよい。また、配達人は、例えば、地域医療センターの職員、保健所の職員、薬剤師、又は保健婦などの地域に配置された有資格者であることが望まれる。有資格者が配送することで、責任をもって、シール型脈波センサ2500を配達し、可能であれば、被検者がシール型脈波センサ2500を装着する際の補助が可能となる。特に、介護が必要な老人、又は体調を崩している被験者には、当該対応が望まれる。
【0354】
<被検者の対応>
被検者は、予め通信端末2411に、シール型脈波センサ2500の計測を行うためのアプリケーションのダウンロード及びインストールをしておく。その後、通信端末2411は、上述した実施形態と同様に、被検者の属性を入力するための入力画面を表示してもよい。
【0355】
被検者は、薬剤師から、シール型脈波センサ2500を受け取る。被検者は、ウイルスの感染防止策を講じた配達人によって、シール型脈波センサ2500を受け取る際に、手渡されたことを示した確認情報を、通信端末2411で起動しているアプリケーションに入力する。これによって、医師、薬剤師等が、シール型脈波センサ2500が受け渡されたことを確認できる。
【0356】
被検者は、シール型脈波センサ2500から、保護シート2303を剥がす。保護シート2303には、第1電極2301及び第2電極2302が接触している。このため、被検者が保護シート2303を剥がすことで、第1電極2301及び第2電極2302の間が絶縁状態になる。これにより、シール型脈波センサ2500の制御装置112は、保護シート2303が剥がれたことを検知できる。したがって、制御装置112は、計測を開始するための準備を開始する。つまり、本実施形態に係るシール型脈波センサ2500は、保護シート2303が剥がれるまでは、スリープ状態を維持することで、電池111の消耗を低減できる。これにより、シール型脈波センサ2500は、計測開始までの電池消費を低減すると共に、電池容量を少なく小型化できる。さらに、シール型脈波センサ2500の電池111を小型化したことで、装着時の快適性を向上させることができる。
【0357】
そして、被検者は、通信端末2411にインストールされたアプリケーションを起動させる。そして、通信端末2411と、シール型脈波センサ2500との間で無線通信を確立する。無線通信としては任意の規格を用いればよく、例えばBluetooth(登録商標)を用いてもよい。通信が確立した際に、アプリケーションは、その旨を表示してもよい。これにより、被検者は通信が確立したことを認識できる。
【0358】
通信端末2411のアプリケーションは、シール型脈波センサ2500の記憶部116に記憶されているセンサIDを読み取る。アプリケーションは、既に入力されている被検者IDと、シール型脈波センサ2500のセンサIDと、を対応付ける。通信端末2411は、当該対応関係に整合性があるか否かをクラウドサーバ2401に要求する。そして、クラウドサーバ2401は、既に登録されている対応関係と一致しているか否かを判断し、判断結果を通信端末2411に送信する。そして、通信端末2411は、判断結果を表示する。
【0359】
通信端末2411のアプリケーションは、シール型脈波センサ2500の貼り付け位置などのガイダンスを表示する。例えば、被検者は、当該ガイダンスに従って、シール型脈波センサ2500を、上腕部や鎖骨部などに設置する。これにより、被検者の貼り付け位置が正しくなるので、精度の良い計測が可能となる。
【0360】
例えば、被検者は、当該ガイダンスに従って、上腕などの位置にシール型脈波センサ2500を貼り付ける。シール型脈波センサ2500は、第1電極2301及び第2電極2302によって、皮膚の抵抗値を検出し、被検者の皮膚に貼られたことを認識できる。
【0361】
シール型脈波センサ2500は、当該認識に従って、LED113の発光、PD114の読みとりなどを開始する。シール型脈波センサ2500は、被検者の生体の計測を開始し、適切な脈拍を検出し始めた場合、通信端末2411を介して、クラウドサーバ2401に計測情報を送信する。これにより、医師、薬剤師、又は配達人が、確実に計測が開始されたことを確認できる。この計測の開始が確認ができない場合、医師、薬剤師、又は配達人から、確認アラームを出してもよい。これにより、被検者の通信端末2411のアプリケーションが、アラーム音を出力すると共に、計測を促すための表示を行う。また、設置位置が適切でない等の理由によって、被検者の脈波が適切に検出されない際、通信端末2411のアプリケーションが、アラーム音を出力してもよい。また、その際には、通信端末2411が、医療機関の端末2402、又は薬剤師の端末等にアラーム情報を送信してもよい。必要であれば、通信端末2411が、テレビ会議システムと連携して、画面を介して、シール型脈波センサ2500の貼り付けガイダンスを行ってもよい。このように、通信端末2411のアプリケーションが、適切なタイミングで、適切な指示を出力することで、正確な計測が可能となる。
【0362】
<被験者の端末上のアプリケーション>
被検者の通信端末2411のアプリケーションは、通信端末2411とクラウドサーバ2401との間で情報の送受信するための機能、及びシール型脈波センサ2500を制御するための機能等を含んでいる。
【0363】
アプリケーションを初めて起動した際に、アプリケーションは、被検者の情報の入力を受け付ける。具体的には、アプリケーションは、医療機関から送信された被検者IDの入力を受け付ける。さらには、アプリケーションは、被検者の名前、今回受診した医療機関の名称、被検者の住所、利用している通信端末2411(例えば、スマートフォン)の電話番号の入力を受け付けてもよい。さらには、アプリケーションは、パスワード、年齢、性別、体重、基礎疾患の有無、基礎疾患の内容、体調状況、体温、などの様々な情報の入力を受け付けてもよい。例えば、被検者の住所は、現在被検者が療養している位置が分かることが重要である。そのため、ホテル療養などのような外出先などを考慮して、GPSからの情報を元にアプリケーション側で処理してもよい。また、オプトインにより、通信端末2411の機種情報を収集する方法を採用してもよい。
【0364】
通信端末2411とシール型脈波センサ2500との間は、無線通信によって接続される。
【0365】
その後、シール型脈波センサ2500は、計測を開始した後、計測結果を示した情報(以下、計測情報と称す)を、通信端末2411に送信する。
【0366】
通信端末2411(通信装置の一例)は、シール型脈波センサ2500によって算出された被検体の脈波に関する情報を含む計測情報を、シール型脈波センサ2500のセンサIDと共に、クラウドサーバ2401に送信する。クラウドサーバ2401は、センサIDと共に受信した計測情報を、当該センサIDに対応する被検者IDと紐づけて蓄積していく。
【0367】
クラウドサーバ2401は、受信した計測情報(被検体の脈波に関する情報)と、(計測情報と共に送信されたセンサIDと対応付けられた)被検者IDと、を医療機関の端末2402に送信する。
【0368】
そして、医療機関の端末2402は、クラウドサーバ2401から計測情報、及び被験者の情報を受信して、受信した被検者IDで示される被検者の情報として、受信した計測情報に基づいた表示を行う。医療機関の医師は、端末に表示された計測情報に基づいて、被検者の診断を行う。その後、医療機関の端末2402は、診断結果を、被検者の通信端末2411に送信する。診断する際に用いる計測情報は、上述した実施形態と同様として、説明を省略する。
【0369】
<医療機関の端末>
医療機関の端末2402には、診断システムを実現するためのアプリケーションがインストールされている。当該端末2402では、クラウドサーバ2401から、計測情報を受信した場合に、アラーム音と共に、当該計測情報を表示して、医師に対して診断を促す。
【0370】
さらに、医療機関の端末2402は、インストールされているアプリケーションの機能によって、被検者によるシール型脈波センサ2500の装着完了の通知、及びシール型脈波センサ250からの計測情報の送信開始の通知等を受信してもよい。また、医療機関の端末2402が、被検者に関する生体情報を含むデータセットを、クラウドサーバ2401に送信することで、当該生体情報に基づいた計測情報の補正が可能となる。
【0371】
医療機関の端末2402は、クラウドサーバ2401から、分析結果を含む計測情報を受信できる。この場合、医師は、分析結果を考慮した判断によって、被検者について診断を行うことができる。
【0372】
図37で示される例では、薬剤師が処方箋に基づいて、センサIDと被検者IDと、をクラウドサーバ2401に登録する。これにより、被検者が登録処理を行わずとも、シール型脈波センサ2500から送信される計測情報を被検者IDと紐づけることができる。
【0373】
また、薬剤師は、センサIDを取り除いて、シール型脈波センサ2500を被検者に送付している。これにより、薬剤師のみが、センサIDを知りえるので、センサIDを用いた改ざん等を抑制して、安全性を向上させることができる。また、一般の薬剤と同様に医師による処方間違いのチェックも同時に可能となる。
【0374】
<計測>
図38は、本実施形態に係る診断システムで行われる処理を示したフローチャートである。
図38に示されるように、まずは、被検者の通信端末2411と、医療機関の端末2402と、の間でオンラインによる遠隔診断が行われる(S3801、S3811)。遠隔診断では、撮像装置を利用するテレビ会議であってもよいし、音声のみであってもよい。
【0375】
医療機関の端末2402を利用している医師は、遠隔診断によって、被験者が、covid-19等の疑いがあるか否かを判断する。
図38に示されるフローチャートにおいては遠隔診断として、covid-19等の疑いがあるか否かを遠隔診断する例を示すが、それ以外のウイルス性の疾患を遠隔診断する場合に適用してもよい。さらには、本実施形態に係る遠隔診断を、ウイルス性の疾患の場合に制限するものではなく、心機能などに基礎疾患を有する患者、又は遠方に住んでいる患者等の診断に適応してもよい。
【0376】
そして、医師等が、被検者のバイタルの連続24時間計測が必要と判断した場合に、医療機関の端末2402を介して、薬剤師の端末に、計測を行う被検者の住所、及び被検者の被検者IDを含む処方箋を送信する(S3812)。
【0377】
そして、薬剤師の端末2403は、シール型脈波センサ2500の送付先となる被検者の住所と、送付先の被検者を示す被検者IDと、を含む処方箋を受信する(S3821)。なお、薬剤は、既に生産機関から、シール型脈波センサ2500を受け取っている。
【0378】
そして、薬剤師の端末2403は、薬剤師の操作に従って、被検者の被検者IDと、当該被検者に送付するシール型脈波センサ2500のセンサIDと、を対応付けて、クラウドサーバ2401に送信する(S3822)。
【0379】
医療機関の端末2402は、医師等の操作に従って、被検者の通信端末2411に対して被検者IDを送付する(S3813)。その後、医療機関の端末2402は、医師等の操作に従って、被検者の被検者IDと、当該被検者の生体データ(例えば過去の診察結果)を含むデータセットと、を、クラウドサーバ2401に送信する(S3814)。
【0380】
クラウドサーバ2401は、薬剤師の端末2403から、被検者の被検者IDと、センサIDと、を受信する。(S3831)。さらに、クラウドサーバ2401は、医療機関の端末2402から、被検者の被検者IDと、データセットと、を受信する(S3832)。
【0381】
クラウドサーバ2401は、被検者の被検者IDと、センサIDと、データセットと、を対応付けて登録する(S3833)。
【0382】
薬剤師は、クラウドサーバ2401に情報を送信した後、シール型脈波センサ2500のパッケージに印字されているセンサIDを取り除く(S3823)。その後、薬剤師は、シール型脈波センサ2500を、被検者に送付する(S3824)。
【0383】
被検者の通信端末2411は、遠隔診断の後、被検者IDを受信する(S3802)。その後、通信端末2411は、被検者の操作に従って、24時間計測を行うためのアプリケーションをダウンロード及びインストールを行う(S3803)。アプリケーションをダウンロードするために、医師等から、アプリケーションをダウンロードするためのサイトのアドレスが指示される。当該指示は、メールなどの送付手段を用いてもよい。そして、被検者は、当該アドレスに、通信端末2411を用いてアクセスする。これにより、アプリケーションをダウンロードできる。
【0384】
被検者の通信端末2411は、インストールしたアプリケーションに対する被検者IDの入力を受け付ける(S3804)。
【0385】
その後、被検者は、薬剤師から、シール型脈波センサ2500を受け取る(S3805)。その後、被検者は、シール型脈波センサ2500から、保護シート2303を剥がす。これにより、シール型脈波センサ2500と、通信端末2411と、の間で通信が確立する。そして、通信端末2411は、シール型脈波センサ2500からセンサIDを受信する。
【0386】
そして、被検者の通信端末2411は、クラウドサーバ2401との間で被検者IDとセンサIDとの間で整合の確認を行う(S3806、S3834)。
図38で示されるフローチャートは、整合が取れている場合とする。そして、シール型脈波センサ2500による計測が開始される。
【0387】
被検者の通信端末2411は、シール型脈波センサ2500から計測情報を取得する(S3807)。その後、通信端末2411は、取得した計測情報を、クラウドサーバ2401に送信する(S3808)。S3807~S3808の処理は、24時間繰り返して行われる。
【0388】
そして、クラウドサーバ2401は、24時間、通信端末2411から計測情報を受信する(S3835)。受信した計測情報は、記憶部に蓄積される。
【0389】
その後、クラウドサーバ2401は、蓄積された計測情報に対してマッチング等の分析を行う(S3836)。具体的には、クラウドサーバ2401は、入力された被検者のデータセットに基づいて、被検者のモデル化を行い、当該モデルに従って、蓄積された計測情報を補正してもよい。さらに、クラウドサーバ2401は、計測情報による時系列の変化と、時系列の変化モデルと、の間でパターンマッチングを行ってもよい。また、クラウドサーバ2401は、パターンマッチングによって、被検者に該当する分類を特定してもよい。なお、時系列の変化モデルは、予め記憶されているモデルであって、被検者の特性を分類するためのモデルである。また、本実施形態では、被検者の特性として、被検者の疾患等を分類した、時系列の変化モデルを用意してもよい。
【0390】
そして、クラウドサーバ2401は、分析した情報を含めた計測情報を、医療機関の端末2402に送信する(S3837)。
【0391】
医療機関の端末2402は、クラウドサーバ2401から、分析した情報を含めた計測情報を、受信する(S3815)。医療機関の端末2402は、受信した計測情報等を表示する。これにより、医師等は、被検者の診断を行うことができる。
【0392】
そして、医療機関の端末2402は、医師等から診断結果の入力を受け付ける(S3816)。
【0393】
その後、医療機関の端末2402が、医師等から診断結果を、通信端末2411に送信する(S3817)。
【0394】
そして、被検者の通信端末2411は、医療機関の端末2402から、診断結果を受信する(S3809)。これにより、被検者は、診断結果を参照して、自分が有する疾患を認識できる。
【0395】
図38に示される遠隔診断では、通信端末によるオンライン診断を想定しているが、電話等で音声による診断であってもよいし、既存のクラウドサービスを用いたオンライン診断を用いてもよい。既存のクラウドサービスを用いたオンライン診断を用いた場合に、当該オンライン診断のサービスが、アプリケーションのダウンロード機能を有してもよい。
【0396】
本実施形態に係る診断システムにおいては、医師に対するアラーム機能が設けられている。例えば、当該機能を備えていることで、被検者の容体が悪化した場合に、医師がすぐに対応できる。
【0397】
図39は、本実施形態に係る診断システムが有するアラーム機能に関する処理を示したフローチャートである。
【0398】
被検者においては、装着されたシール型脈波センサ2500によって計測が開始される(S3901)。そして、被検者の通信端末2411が、シール型脈波センサ2500から取得した計測情報を、クラウドサーバ2401に送信開始する(S3902)。
【0399】
被検者の計測が開始された場合に、上述したように、被検者の脈波形、酸素飽和度、脈拍数、及び血圧値などの計測情報が、クラウドサーバ2401に送信される。脈波形などの波形データはデータ量が大きいので、例えば、1分間に10秒間の波形データのみ送信する等の間引きされた状態で送信が行われてもよい。それ以外の計測情報は、例えば1秒間に1回など、被検者の状態の動的変化を認識可能な頻度で送信される。
【0400】
これに伴い、クラウドサーバ2401(通信装置の一例)は、被検者の通信端末2411から、計測情報の受信を開始する(S3911)。これに伴い、クラウドサーバ2401は、経過時間の計測を開始する。
【0401】
クラウドサーバ2401は、経過時間が、所定時間を超えたか否かを判定する(S3912)。経過時間が、所定時間を超えていないと判定した場合(S3912:NO)、クラウドサーバ2401は、計測情報に含まれる酸素飽和度が閾値より低いか否かを判定する(S3913)。なお、所定時間は、24時間でもよいし、医師によって定められた検査時間等でもよい。
【0402】
本実施形態においては、医師等が、アラーム機能を動作させるための設定を行う必要がある。例えば、医師は、計測を開始する前に行われたオンライン診断等から、被検者の状態に対応したアラーム機能の設定を行う。例えば、医師は、アラーム機能を起動させるための酸素飽和度の閾値を設定する。具体的には、被検者の初期状態の酸素飽和度が98%の場合に、医師は、酸素飽和度が95%を切った段階で、端末がアラーム音を動作させるように設定する。
【0403】
酸素飽和度は、個人差もあるので、医師の判断に従って設定することで、より適切なタイミングでアラーム機能の動作させることができる。また、例えば、被検者が心臓に基礎疾患がある場合などは、一般的な肺炎を起こした酸素飽和度が低下と比べて、優先的に、入院や酸素吸引などの処置を行うことが望まれる。
【0404】
クラウドサーバ2401は、計測情報に含まれる酸素飽和度が閾値以上と判定した場合(S3913:NO)、再びS3912から処理を行う。
【0405】
一方、クラウドサーバ2401は、計測情報に含まれる酸素飽和度が閾値より低いと判定した場合(S3913:YES)、クラウドサーバ2401は、医療機関の端末2402に低下通知を送信する(S3914)。本実施形態に係る低下通知は、被検体の酸素飽和度が低くなったことを示す情報(被検体の酸素飽和度に関する情報の一例)とする。
【0406】
医療機関の端末2402(通信装置の一例)は、低下通知を受信した場合(S3921)、アラーム機能を動作させる(S3922)。医療機関の端末2402は、アラーム機能として、例えば、受信した低下通知を、当該端末の(図示しない)表示装置に表示すると共に、警告音を出力する。これにより、医療関係者は、被検者の酸素飽和度が低下したことを認識できる。
【0407】
そして、医療機関に所属している医者が、医療機関の端末2402から、被検者の通信端末2411を介して、被検者に対する遠隔診断を行う(S3923、S3903)。これにより被検者に対して必要な処置が行われるものとして、被検者の通信端末2411は、シール型脈波センサ2500からの被検者の計測情報の送信を終了する(S3904)。
【0408】
一方、S3912において、クラウドサーバ2401は、経過時間が所定時間(例えば24時間)を超えたと判定した場合(S3912:Yes)、終了通知を、被検者の通信端末2411に通知する(S3915)。
【0409】
被検者の通信端末2411は、当該通知に従って、シール型脈波センサ2500からの被検者の計測情報の送信を終了する(S3904)。
【0410】
本実施形態においては、医師を含む医療関係者が、例えば当番制等で、当該端末を常備等を行うことで、24時間体制で被検者を見守ることができる。また、当該端末では、アラーム機能があるので、医療関係者が仮眠又は在宅勤務等であっても、被検者の容態を確認できる。そして、被検者の酸素飽和度が低下した旨のアラームが当該送信された場合に、当該端末から、被験者の通信端末と1411で接続して、被検者から直接容体を確認できる。
【0411】
本実施形態に係るクラウドサーバ2401では、シール型脈波センサ2500による計測が完了したことを認識できる。そこで、クラウドサーバ2401は、計測が完了したシール型脈波センサ2500のセンサIDを、生産機関に通知する。これにより、生産機関は、これから生産するシール型脈波センサ2500に対して、通知されたセンサIDを付与できる。つまり、本実施形態においては、センサIDをリサイクルできるので、センサIDの桁数に制限がある場合でも、シール型脈波センサ2500に付与するセンサIDが枯渇することを抑制できる。
【0412】
(第13実施形態)
上述した実施形態では診断システムの場合を主に説明した。しかしながら、被検者の状態の検知は診断以外にも有用である。そこで、第13の実施形態ではプロジェクト支援システム(会議支援システムの一例)の場合について説明する。
【0413】
図40は、本実施形態に係るプロジェクト支援システムの構成例を示した図である。
図40に示されるように、プロジェクト支援システム(以下、プロジェクトの会議を支援する会議支援システムとも称する)は、プロジェクト管理装置4001と、参加者評価サーバ4002と、プロジェクト評価サーバ4003と、を備えている。
【0414】
さらに、会議に参加するユーザA~ユーザF(被検者)の各々は、第1通信端末4011~第6通信端末4016を備えている。
【0415】
そして、プロジェクト管理装置4001と、参加者評価サーバ4002と、プロジェクト評価サーバ4003と、第1通信端末4011~第6通信端末4016と、の間は公衆ネットワーク4050によって接続されている。
【0416】
本実施形態に係るユーザA~ユーザFは、シール型脈波センサ2500、2900が上述した4か所に装着されている。ユーザA~ユーザFは、会議に参加する参加者となる。本実施形態においては会議に参加する人は、ユーザA~ユーザFである。換言すれば、会議に参加する全ての人は、シール型脈波センサ2500、2900を装着している。つまり、本実施形態では参加者は4か所の部位で測定が行われる。
【0417】
具体的な例としては、3個のシール型脈波センサ2900が、会議参加者の側頭葉、DLPFC、DMPFCの3か所の部位について計測を行う(例えば、
図29~
図31参照)。さらに、シール型脈波センサ2500は、会議参加者の上腕の部位について計測を行う。
【0418】
そして、第1通信端末4011~第6通信端末4016は、シール型脈波センサ2500、2900によって検出された計測情報を、参加者評価サーバ4002等に送信できる。
【0419】
参加者評価サーバ4002は、受信制御部4021と、相関算出部4022と、評価値算出部4023と、送信制御部4024と、入力処理部4025と、記憶部4026と、を備え、プロジェクトの会議に参加した参加者(例えば、ユーザA~ユーザF)毎に計測された計測情報に基づいて、参加者毎の評価を行う。
【0420】
受信制御部4021は、外部の通信装置からの情報を受信する。例えば、受信制御部4021(取得部の一例)は、今回のプロジェクトの会議に参加している参加者の各々がシール型脈波センサ2500、2900を装着している場合に、参加者の各々に設けられたシール型脈波センサ2500、2900から取得された参加者の計測情報(脈波に関する情報)を受信する。
【0421】
相関算出部4022は、会議に参加している複数の参加者のうち、2人の参加者の組み合わせ毎に、会議の間の血圧変化の相関関係を示した相関係数を算出する。
【0422】
評価値算出部4023は、2人の参加者の組み合わせ毎に算出された相関係数に基づいて、参加者毎に、当該参加者の会議における評価を示した評価値を算出し、出力する。
【0423】
送信制御部4024は、外部の通信装置に情報を送信する。入力処理部4025は、入力インターフェースを介して情報の入力を受け付ける。
【0424】
記憶部4026は、読み書き可能な不揮発性の記憶媒体とする。記憶部4026は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)で構成されてもよい。
【0425】
プロジェクト評価サーバ4003は、受信制御部4041と、算出部4042と、生成部4043と、送信制御部4044と、入力処理部4045と、記憶部4046と、を備え、プロジェクトの会議に参加した参加者毎の評価に基づいて、プロジェクトの評価を行う。具体的には、プロジェクト評価サーバ4003は、全ての参加者のコミットレベルを基準に、プロジェクトを評価する。
【0426】
受信制御部4041は、外部の通信装置からの情報を受信する。
【0427】
算出部4042は、会議の間に取得された参加者の血圧の変化(脈波の変動の一例)に基づいて算出された、参加者の評価値から、会議毎に、プロジェクトの評価を示した評価値(評価情報の一例)を算出する。
【0428】
生成部4043は、今回の会議と過去の会議とを比較したり、会議毎の算出された評価値の累積値と、過去プロジェクトで会議毎に算出された評価値の累積値と、を比較したりすることで、今回のプロジェクトを評価するプロジェクト評価情報を示した改善アドバイスを生成し、出力する。
【0429】
送信制御部4044は、外部の通信装置に情報を送信する。入力処理部4045は、入力インターフェースを介して情報の入力を受け付ける。
【0430】
記憶部4046は、読み書き可能な不揮発性の記憶媒体とする。記憶部4046は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)で構成されてもよい。
【0431】
プロジェクト管理装置4001は、受信制御部4031と、送信制御部4032と、保存制御部4033と、記憶部4034と、を備え、参加者毎の評価、及びプロジェクトの評価を管理する。
【0432】
受信制御部4031は、外部の通信装置からの情報を受信する。送信制御部4032は、外部の通信装置に情報を送信する。保存制御部4033は、プロジェクトに関する情報を、記憶部4034に記憶する。
【0433】
記憶部4034は、読み書き可能な不揮発性の記憶媒体とする。記憶部4034は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)で構成されてもよい。
【0434】
本実施形態に係る会議支援システムにおいては、参加者毎の評価、及びプロジェクトの評価によって、適切な会議の参加者を選定することが可能である。さらには、会議支援システムにおいては、適切な会議の参加者の設定によって、プロジェクトを成功に導く確率を向上させることができる。
【0435】
図41は、本実施形態に係るプロジェクト支援システム(会議支援システムとも称する)で行われる処理を示したシーケンス図である。
【0436】
第1通信端末4011、第2通信端末4012、及び第3通信端末4013の各々は、装着されている会議参加者(例えば、ユーザA~ユーザC)に装着されているシール型脈波センサ2500、2900によって検出された計測情報を取得する(S4101、S4111、S4121)。計測情報の取得は、会議4171の間に行われる。なお、計測情報の取得は、第1通信端末4011、第2通信端末4012、及び第3通信端末4013に制限するものではなく、会議に参加している参加者全ての通信端末で行われる。
【0437】
そして、第1通信端末4011、第2通信端末4012、及び第3通信端末4013の各々は、会議が終了した後に、計測結果が示された計測情報を、参加者評価サーバ4002に送信する(S4102、S4112、S4122)。
【0438】
そして、参加者評価サーバ4002の受信制御部4021が、ユーザ毎の通信端末(例えば、第1通信端末4011、第2通信端末4012、及び第3通信端末4013)の計測結果を示した測定情報を受信する(S4131)受信制御部4021は、受信した測定情報を記憶部4026に保存する。
【0439】
そして、参加者評価サーバ4002の相関算出部4022及び評価値算出部4023が、保存されている測定情報に基づいて、会議に参加している参加者毎の評価値を算出する(S4132)。評価値の算出に必要な情報は、(図示しない)入力インターフェース等から入力を受け付けてもよい。相関算出部4022及び評価値算出部4023は、算出した参加者毎の評価値を記憶部4026に記憶してもよい。なお、具体的な評価値の算出方法は後述する。
【0440】
その後、参加者評価サーバ4002の送信制御部4024が、参加者毎の評価値を、プロジェクト管理装置4001に送信する(S4133)。
【0441】
そして、プロジェクト管理装置4001の受信制御部4031が、参加者毎の評価値を受信する(S4141)。そして、受信制御部4031は、受信した参加者毎の評価値を、記憶部4034に記憶する。
【0442】
その後、プロジェクト管理装置4001の送信制御部4032が、参加者毎の評価値を、プロジェクト評価サーバ4003に送信する(S4142)。
【0443】
プロジェクト評価サーバ4003の受信制御部4041が、参加者毎の評価値を受信する(S4151)。
【0444】
プロジェクト評価サーバ4003の算出部4042が、参加者毎の評価値に基づいて、プロジェクトの評価値を算出する(S4152)。なお、プロジェクトの評価値の具体的な算出手法については後述する。算出部4042が算出したプロジェクトの評価値は、記憶部4046に記憶されてもよい。
【0445】
そして、プロジェクト評価サーバ4003の送信制御部4044が、プロジェクトの評価値を、プロジェクト管理装置4001に送信する(S4153)。
【0446】
プロジェクト管理装置4001の受信制御部4031は、プロジェクトの評価値を受信する(S4143)。
【0447】
そして、プロジェクト管理装置4001の保存制御部4033は、プロジェクトの評価値、及び参加者毎の評価値を、プロジェクト名と対応付けて記憶部4034に記憶する(S4144)。
【0448】
さらに、プロジェクト管理装置4001の送信制御部4032は、参加者の通信端末4011~4013に評価値を表示するよう指示する(S4045)。
【0449】
これにより、第1通信端末4011、第2通信端末4012、及び第3通信端末4013の各々は、プロジェクトの評価値、及び参加者毎の評価値を表示する(S4103、S4113、S4123)。
【0450】
次に、S4132に示された参加者評価サーバ4002における参加者毎の評価値の算出手法を説明する。
図42は、参加者評価サーバ4002における参加者毎の評価値の算出手法を示したフローチャートである。当該フローチャートでは、(
図41のS4131に示されるように)、既に参加者毎の計測情報を受信している。
【0451】
まず、入力処理部4025は、プロジェクトに参加している参加者の人数を入力処理する(S4201)。
【0452】
次に、入力処理部4025は、プロジェクトに参加している参加者毎に当該参加者を識別する情報(例えば、参加者の名前)を入力処理する(S4202)。
【0453】
さらに、入力処理部4025は、プロジェクトに参加している参加者について計測対象である部位の情報(例えば部位の名称)を入力処理する(S4203)。
【0454】
そして、入力処理部4025は、計測情報毎に、参加者及び計測対象の部位を対応付ける処理を行う(S4204)。
【0455】
相関算出部4022が、会議に参加している複数の参加者のうち、任意の2人の参加者の組み合わせ毎に、任意の部位における、会議中の血圧の変化(脈波の変動の一例)の相関係数(相関情報の一例)を算出する(S4205)。
【0456】
図43は、参加者2人(ユーザA及びユーザB)の会議中における、所定の計測部位の血圧の変化を時系列で示した図である。
図43の線4301がユーザAの血圧の変化であって、線4302がユーザBの血圧の変化とする。
【0457】
図43で示される例では、約一時間の会議において、矢印で示すように参加者が発言したタイミングをプロットする。そして、参加者が発言したタイミングで血圧が変動していることを認識できる。そして、他の参加者の発言に対する、当該参加者の感じ方に基づいて血圧の変動に影響が生じる。つまり他の参加者の発言に対する影響度合いに応じて、血圧の変動量が大きくなったり、小さくなったりする。2人の参加者の血圧の変動が近似している場合には、当該2人の参加者は、他の参加者の発言について同じ様な反応をしていると判定できる。つまり、相関算出部4022が、血圧値の変動が近似しているか否かによって、2人の参加者の間の相関関係を表した係数(以下、相関係数と称する)を算出する。
【0458】
つまり、本実施形態においては、2人の参加者発言に伴う血圧の変動の相関性がある場合に、会議について同じような感情を抱いているとみなして、会議に対する感情の相関関係を推定している。近年、被検者の精神を可視化するために、脳活動の相関関係を評価関数として用いられている傾向にある(川島隆太,「コミュニケーションの質を測定可能に"共感する脳"でブレークスルーを起こす」,「日経エレクトロニクス」,株式会社 日経BP,2013年1月21日,p.35-37)。脳血流と血圧とは、自律神経系で高い相関を有すると考えられる。このため、本実施形態においては、血圧の変動の相関関係から、2人の参加者の間の会議に対する感情の相関関係を導出する。
【0459】
図44は、相関算出部4022による参加者2人間の相関係数の算出手法を説明する図である。
図44に示される例では、会議中において30秒ごとに、ユーザAの血圧とユーザBの血圧とをプロットしている。
図23はユーザAの血圧を縦軸、ユーザBの血圧を横軸にプロットしている。例えば60分の会議においては、ユーザAとユーザBの血圧の組み合わせが、計120点プロットされる。
【0460】
図44において比例するように血圧の組み合わせがプロットされた場合(換言すれば、ユーザAの血圧が上がった際にユーザBの血圧が上がり、ユーザAの血圧が下がった際にユーザBの血圧が下がった場合)に、相関関係が高いことを示している。本実施形態に係る相関算出部4022は、当該プロットによって、2人の参加者の間の相関係数を算出する。相関係数の算出手法は、任意の手法でよく、例えば、ピアソンの積率相関係数の算出手法を用いてよい。
【0461】
図42に戻り、相関算出部4022が、任意の部位について、参加者2人の全ての組み合わせ相関係数を算出したか否かを判定する(S4206)。参加者2人の全ての組み合わせについて相関係数を算出していない場合(S4206:NO)、S4205に戻り、相関算出部4022が、算出していない参加者2人の組み合わせについて相関係数を算出する。
【0462】
これにより、任意の部位について参加者2人の組み合わせについて相関係数が算出される。表9は、任意の部位(例えば左こめかみ)における参加者2人の組み合わせ毎の相関関係を示している。
【0463】
【0464】
一方、任意の部位について参加者2人の全ての組み合わせの相関係数を算出したと判定した場合(S4206:YES)、相関算出部4022は、全ての部位について相関係数を算出したか否かを判定する(S4207)。全ての部位について相関係数を算出していないと判定した場合(S4207:NO)、S4205に戻り、相関算出部4022が、算出していない部位について、参加者2人の間の相関係数を算出する。
【0465】
一方、相関算出部4022は、全ての部位について相関係数を算出したと判定した場合(S4207:YES)、部位ごとに算出された相関関係を統合して、全ての参加者2人の組み合わせについて、参加者2人間の相関関係を算出する(S4208)。
【0466】
図45は、相関算出部4022によって算出された測定部位ごとの、2人の間の相関係数をマトリクス状に示した図である。
図45に示されるマトリクス状の評価結果は、シール型脈波センサ2500、2900が貼り付けられた計測部位(例えば、会議参加者の側頭葉(耳の後ろ)、DLPFC(左こめかみ)、DMPFC(眉間)、及び上腕)ごとに、相関関係が算出されたことを示している。頭部はそれぞれに機能によって、その評価指標が異なる。このため、評価指標を考慮して、参加者2人の間の相関係数を算出してもよい。例えば、相関算出部4022は、社会的認知、チームワークが必要な課題についての参加者の評価値を算出する場合には、頭部DMPFCから算出された相関係数に、所定の係数を乗算した後、その会議に対するコミットメントの量を評価してもよい。このように相関算出部4022は、上記頭部のような補正を行った後、参加者2人の間の全ての計測部位の相関係数を加算して、平均化することで、参加者2人の間の相関係数を算出する。
【0467】
その後、評価値算出部4023が、2人の参加者の組み合わせ毎に算出された相関係数に基づいて、参加者毎に、当該参加者の平均値を、当該参加者の会議における評価を示した評価情報として算出する(S4209)。
【0468】
評価値算出部4023(出力部の一例)は、算出した参加者毎の評価値を、(図示しない)表示装置に表示する(S4210)。
【0469】
図46は、評価値算出部4023が表示する、参加者毎の評価値を表した画面例を示した図である。
図46で示された画面では、参加者毎の評価値を表した表4601と、推奨メンバの表示欄4602と、を含んでいる。また、表4601には、参加者毎の相関係数を平均化した評価値が表されている。表示欄4602には、参加者毎の評価値の高い順に、次の会議の推奨するメンバを表示している。つまり、評価値が低い参加者は、当該会議のコミットメントが低いと判断し、評価値が高い参加者は当該会議のコミットメントが高いと判断できる。そこで、評価値算出部4023が、コミットメントが高い順に推奨メンバを表示することで、次の会議をより有意義なものとして、プロジェクトを成功に導く確率を向上させることができる。
【0470】
そして、評価値算出部4023は、算出した参加者毎の評価値を、記憶部4026に記憶する(S4211)。
【0471】
本実施形態では、上述した処理手順によって、会議に参加している参加者毎に、当該参加者の会議に対する評価値を算出できる。会議の主催者は、次に会議を行う際に、当該評価値を参考することで、次の会議をより有意義することができる。つまり、次の会議では、相関関係の高い参加者になるように、参加者を変更することで、当該会議の目的に対する感情等を共有できる。これにより会議をより有意義にすることができる。
【0472】
次に、S4152に示されたプロジェクト評価サーバ4003におけるプロジェクトの評価値の算出手法を説明する。
図47は、プロジェクト評価サーバ4003におけるプロジェクトの評価値の算出手法を示したフローチャートである。当該フローチャートでは、(
図41のS4152に示されるように)、既に会議における参加者毎の評価値を受信している。
【0473】
まず、入力処理部4045が、当該プロジェクトにおける参加者の数を取得する(S4701)。参加者の数は、プロジェクト管理装置4001から取得してもよいし、入力インターフェースを介して入力を受け付けてもよい。
【0474】
さらに、入力処理部4045が、当該プロジェクトにおける参加者毎に、当該参加者を識別する情報(例えば参加者の名称)を取得する(S4702)。参加者を識別する情報は、例えばプロジェクト管理装置4001から取得してもよいし、入力インターフェースを介して入力を受け付けてもよい。これにより、改善アドバイスを出力する際に、参加者を識別する情報(参加者の名称)を表示できる。
【0475】
その後、算出部4042は、
図41のS4152において受信した参加者毎の評価値の平均を算出して、当該会議の評価値を算出する(S4703)。プロジェクト評価サーバ4003の記憶部4046は、算出部4042に算出された会議との評価値を全て記憶している。会議の評価値は、参加者毎の評価値の平均値とする。つまり、参加者の評価値が高いということは、当該参加者の会議に対するコミットメントが高いことを示しているので、会議に参加した参加者の評価値の平均が高いということは、当該会議が有意義だったと推測できる。
【0476】
図48は、算出部4042により算出された会議(定例会議)毎の評価値を示した図である。このように会議毎の評価値を保持することで、会議の評価について比較検討を行うことができる。
【0477】
図47に戻り、算出部4042は、今回のプロジェクトにおける現時点での評価値結果を生成する(S4704)。表10は、算出部4042により生成された評価結果を例示している。表10に示される例では、現在の総合評価に、今回算出された会議の評価値が示されている。
【0478】
【0479】
生成部4043は、今回の会議と、同じプロジェクトの過去の会議の評価値と、を比較する(S4705)。生成部4043は、
図48に示されるような過去の会議の評価値と比較することで、評価値が増加しているか否かを認識できる。
【0480】
さらに、生成部4043は、今回のプロジェクトの会議の評価値の累積値と、過去のプロジェクトの評価値の累積値と、を比較する(S4706)。
図49は、本実施形態に係るプロジェクト評価サーバ4003が記憶する、過去のプロジェクトの評価値をマトリクス状に示した図である。
図49に示されるように過去のプロジェクトの会議毎の情報によって、参加者の絞り込みによってどのように評価値が変化したのかを認識できる。
【0481】
つまり、過去のプロジェクトの会議毎の評価値の変化を参考にすることで、参加者の変化によって評価値がどのように変化するのか否かが推測できる。また、過去のプロジェクトには、外部評価者、又はプロジェクトリーダが当該プロジェクトが評価した後の評価が入力されている。つまり、当該プロジェクトが成功したか否か等を示した情報が含まれている。このため、過去のプロジェクトと比較することで、現在のプロジェクトが適切に進められているか否かを推測できる。さらには、成功したプロジェクトと失敗したプロジェクトとの間における、当該参加者の変化及び評価値の変化の違いを考慮して、参加者の絞り込みを行ってもよい。これにより当該プロジェクトが成功する確率を向上させることができる。
【0482】
このように、生成部4043は、今回の会議と近い状況の過去のプロジェクトを参考にすることで、どのような参加者の絞り込みを行った場合に評価値が上昇したのかを認識できる。例えば、生成部4043は、現在の評価値に近い評価値を有する過去のプロジェクトを抽出する。そして、抽出した過去のプロジェクトのうち、成功したプロジェクトの参加者変更に基づいて、今回のプロジェクトの参加者変更(例えば成功したプロジェクトと次回以降の参加者の数を一致させるような参加者変更、又は成功したプロジェクトと次回以降の評価値に追従するような参加者変更)を特定する。そして、生成部4043は、特定された参加者変更を提示するような改善アドバイスを生成する。
【0483】
そして、生成部4043は、過去の会議及び過去のプロジェクトに基づいた改善アドバイスを生成し、生成された改善アドバイス(プロジェクト評価情報の一例)を出力する(S4707)。
【0484】
図50は、プロジェクト評価サーバ4003により出力される改善アドバイスの画面例を示した図である。
図50には、今回のプロジェクトの会議毎の評価を示す表5001と、今回の定例会議の参加者毎の評価を示した表5002と、改善アドバイスのメッセージ欄5003と、が表示されている。メッセージ欄5003に示されるように、過去のプロジェクトの会議の評価値と比べて、今回の会議の評価値が低い場合には、参加者のメンバの人数の削減を強く促すためのアドバイスが表示される。
【0485】
図47に戻り、入力処理部4045が、参加者の変更を受け付けたか否かを判定する(S4708)。参加者の変更を受け付けたと判定した場合(S4708:YES)、次の会議の参加者毎の評価値を受信した場合、S4701から処理を行う。
【0486】
一方、入力処理部4045が、参加者の変更を受け付けてないと判定した場合(S4708:NO)、今回のプロジェクトが終了したか否かを判定する(S4709)。
【0487】
入力処理部4045が、今回のプロジェクトが終了していないと判定した場合(S4709:NO)、次の会議の参加者毎の評価値を受信した場合、S4703から処理を行う。
【0488】
入力処理部4045が、今回のプロジェクトが終了したと判定した場合(S4709:NO)、今回のプロジェクトの結果を分析し、記憶部4046に記録する(S4710)。その際に、入力処理部4045は、外部から今回のプロジェクトの評価を入力処理し、記憶部4046に記録してもよい。
【0489】
本実施形態においては、上述した処理を行うことでプロジェクトの会議の評価する際に、当該会議に参加している参加者全ての計測情報から、当該会議の評価値を導出している。このため、会議について適切な評価を行うことができる。さらには、参加者毎の評価値に基づいて次の会議の参加者の変更等を行うことで、会議をより有意義することができるので、プロジェクトが成功する確率を向上させることができる。
【0490】
本実施形態に係る会議においては、プロジェクト内で当該プロジェクトが有する課題を解決するためのサブプロジェクトを立ち上げてもよい。この場合に、プロジェクト管理装置4001は、サブプロジェクトを当該プロジェクトに属する情報として管理してもよい。さらにプロジェクト評価サーバ4003は、サブプロジェクトで行われる会議の評価値を、プロジェクトで行われる評価値と別に管理してもよい。
【0491】
本実施形態では、プロジェクト管理装置4001は、新たなサブプロジェクトに関する情報を管理する。その際、プロジェクト管理装置4001は、当該サブプロジェクトに関する議題項目を設定してもよい。
【0492】
そして当該サブプロジェクトのメンバの選択は任意の手法でよい。例えば、プロジェクト評価サーバ4003は、メッセージ欄5003に示された改善アドバイスで推奨された参加者を、サブプロジェクトのメンバとして選択してもよい。本実施形態では、メンバの選択手法をこのような手法に制限するものではない。例えば、プロジェクト評価サーバ4003は、改善アドバイスにおいて推奨された参加者をメンバの候補者としたうえで、会議中に参加者から抽出された感情の変化に基づいたスコア、又は会議内で生じたアクション(例えば発言)のスコア等を考慮して、メンバの選択してもよい。
【0493】
本実施形態においては、上述した処理を行うことで、プロジェクトの会議をより有意義になるように参加者等を変更できる。これによりプロジェクトが成功する確率を向上させることができる。
【0494】
上述した実施形態においては、使い捨ての脈波センサ、及び使い捨ての血圧計について説明した。しかしながら、上述した実施形態は、使い捨ての脈波センサ、及び使い捨ての血圧計に制限するものではなく、被検者(検診受診者)を計測する生体計測装置であれば適応できる。
【0495】
(変形例)
上述した実施形態で示したシステム(例えば、診断システム又は会議システム)においては、被検者又は会議の参加者が、使い捨てであるシール型脈波センサを張り付ける例について説明した。しかしながら上述した実施形態は、被検者又は会議の参加者が装着する生体計測装置の一例を示したものであって、上述した生体計測装置を装着する手法に制限するものではない。特に会議の参加者が生体計測装置を装着する場合、会議を行う毎にシール型脈波センサを張り付けるのではなく、ウェアラブルデバイスを装着する形式であってもよい。ウェアラブルデバイスの形状は、任意の形状でよく、例えば、会議参加者が上腕に装着可能なバンド型でもよいし、会議参加者が頭にかぶることが可能なキャップ型でもよい。
【0496】
以上、本発明を実施するための幾つかの形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0497】
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1>
被検体に光を照射する光照射部と、
前記被検体内で反射した光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出された光に基づいて、前記被検体の脈波に関する情報を算出する制御部と、
前記光照射部と前記光検出部とが設けられた第1面と、前記光照射部と前記制御部との間及び前記光検出部と前記制御部との間を接続する配線と、を有する、可撓性を有する基板と、
前記第1面に設けられ、前記光照射部と前記光検出部との間に、前記光照射部及び前記光検出部より、前記第1面の垂直方向に突出して設けられた遮光部と、
前記被検体に密接するための粘着部と、
を備える生体計測装置。
<2>
前記遮光部は、前記第1面上に、前記光検出部を囲むように成形されている、
<1>に記載の生体計測装置。
<3>
前記遮光部は、前記被検体と密接する端面が、前記粘着部として形成されている、
<1>又は<2>に記載の生体計測装置。
<4>
前記光検出部と前記遮光部との間に設けられ、前記被検体と密接する側の端面が光を反射可能に形成されている部材を、
さらに備える<1>乃至<3>のいずれか一つに記載の生体計測装置。
<5>
<1>乃至<4>のいずれか一つに記載の生体計測装置を備える、
脈波センサ。
<6>
<1>乃至<4>のいずれか一つに記載の生体計測装置を備える、
血圧計。
<7>
前記光検出部は、前記被検体の動脈走行方向に沿った異なる位置で検出するよう、複数備え、
前記光照射部は、前記光検出部の各々に対して、前記遮光部を挟んで設けられている、 <6>に記載の血圧計。
<8>
加速度センサをさらに備える、
<6>又は<7>に記載の血圧計。
<9>
人物の鎖骨下動脈近傍に設定可能なサイズで成形されている、
<6>乃至<8>のいずれか一つに記載の血圧計。
【0498】
<14>
情報処理装置が、被検体が装着可能な生体計測装置によって取得された、時系列に従った前記被検体の血圧の変化を受信するステップと、
情報処理装置が、前記生体計測装置によって取得された、時系列に従って前記被検体で生じたイベントを示したイベント情報を受信するステップと
情報処理装置が、前記イベント情報で示された前記イベントを基準として、前記時系列に従った前記血圧の変化を抽出する抽出ステップと、
情報処理装置が、前記イベントを基準として抽出された前記血圧の変化に対して、前記被検体の特性を表した分類ごとに予め定められた前記血圧の変化を表した変化モデルとマッチングを行うことで、取得した前記血圧の変化の分類を特定する特定ステップと、
情報処理装置が、前記特定ステップによって特定された前記分類を出力するステップと、
を有する診断方法。
(効果)
情報処理装置が、ウェアラブルセンサなどの被検体が装着可能な生体計測装置によって得られるバイタルデータ(脈波、血圧、ヘモグロビン酸素飽和度、脳部位DLPFC部分脳血流値、脳部位DMPFC部分の脳血流値など)と、ウェアラブルセンサに内蔵する加速度センサ、温度、又はマイクなどから得られた情報に基づいて、特定されたイベントを示したイベント情報を記憶し、イベント情報で示されるイベントをバイタル値とともに表示することで、医師は、バイタル値の急な変動などの要因を判断できる。例えば、情報処理装置が、就寝タイミング、投薬、早朝のトイレなどを記録し、血圧の変化に重ねて表示することで、医師は、早朝高血圧など関わる情報などの診断対象と異なる血圧の変化を除いたうえで、診断できるので診断精度が向上する。さらには、譲歩処理装置が、変化モデルによるパターンマッチングを行うことで、高血圧症のサブタイプを算出することが可能となる。これにより、医師の診断を補助することができる。
<15>
装着可能な生体計測装置によって取得された、時系列に従った被検体の血圧の変化を、前記被検体毎に取得するステップと、
前記時系列に従って、前記被検体毎に会話していたタイミングを示した会話イベント情報を、受信するステップと
前記被検体ごとに、前記会話イベント情報で示されている、他の被検体と会話しているタイミングで生じた血圧の変化に基づくスコアを算出する算出ステップと、
前記被検体ごとに算出されたスコアを出力する出力ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(効果)
プログラムを実行した情報処理装置は、ウェアラブルセンサなどの装着可能な生体計測装置によって得られるバイタルデータ(脈波、血圧、ヘモグロビン酸素飽和度、脳部位DLPFC部分脳血流値、脳部位DMPFC部分の脳血流値など)と、当該生体計測装置に内蔵するマイクから得られた会話イベント情報と、に基づいてスコアを分析をする。具体的には、バイタル値を計測すると共に、イベントの会話の相手を類推し、バイタル値と相手とを対応付けて記録する。これにより、だれと会話した際に、どのようなバイタル値になるかを客観的なデータとして記録できる。当該データ蓄積することで、職場高血圧と言われている方の血圧上昇の要因について知見を得ることができる。要因を知ることで、職場高血圧の改善につながる。
複数の被験者が生体計測装置を装着し、同時に計測される。情報処理装置は、計測されたバイタル値を、平均値に対する変動率等として数値化することで、個体差を補正する。これにより複数の被験者との比較ができるような規格化が可能となる。マイクの音声はAI処理などにより、誰が誰と会話しているかなどを分類することができる。これによって、誰と会話している時に最もバイタル値を上昇させるかを特定できる。これを複数人で実施することで、血圧上昇などのストレスを受けやすい人、相手にストレスを与える人などが定量化して順位付けできる。情報処理装置が、このようなスコアを算出することで、被検体間のストレスに関する感覚を可視化でき、集団としてのストレスレベルを低減する効果がある。
<16>
装着可能な生体計測装置を、会議に参加している参加者の各々が装着している場合に、前記参加者の各々に設けられた前記生体計測装置から、前記参加者の脈波に関する情報を取得する取得部と、
前記会議に参加している複数の前記参加者のうち、2人の前記参加者の組み合わせ毎に、前記会議の間の脈波の変動の相関関係を示した相関情報を算出する相関算出部と、
2人の前記参加者の組み合わせ毎に算出された前記相関情報に基づいて、前記参加者毎に、当該参加者の前記会議における評価を示した評価情報を算出する評価算出部と、
前記評価算出部によって算出された前記参加者毎の前記評価情報を出力する出力部と、
を備える会議支援システム。
(効果)
生体計測装置を型脈波計を会議に参加するすべての人が装着することで、参加全員の会議へのコミット度合いを、参加者の脈波に関する情報に基づいて評価できる。会議の主催者などが参考にすることで、次の会議体の参加者を厳選するなどして、適切な会議を運営することが可能となる。
<17>
装着可能な生体計測装置を、所定のプロジェクトの会議に参加している参加者の各々が装着している場合に、前記参加者の各々に設けられた前記生体計測装置から、前記参加者の脈波に関する情報を取得する取得部と、
前記会議に参加している前記参加者から前記会議の間に取得された脈波の変動に基づいて、前記会議毎に、前記プロジェクトの評価を示した評価情報を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部により前記会議毎の算出された前記評価情報の累積情報と、過去プロジェクトで会議毎に算出された前記評価情報の累積情報と、を比較した結果に基づいて、前記プロジェクトを評価するプロジェクト評価情報を生成する生成部と、
前記プロジェクト評価情報を出力する出力部と、
を備える会議支援システム。
(効果)
生体計測装置を会議に参加する全ての人が装着することで、プロジェクトに参加する全ての評価をできる。これによりプロジェクトを成功に導ける確率を上昇させることができる。
【符号の説明】
【0499】
100、700、1200、1500、1701、1702、1800、2300、2500、2900 シール型脈波センサ
101 フレキシブルプリント基板
111 電池
112、1400、1503、1713、1813 制御装置
113_1~113_4、1512、1522、1721、1711、1812 LED
114、1511、1521、1722、1712、1811 PD
115 無線通信部
116 記憶部
121、701 遮光層
201 PD用アタッチメント
202 アタッチメント
203 粘着層
211 シリコン樹脂層
212 カバー層
602、1401、1901 制御部
611 LEDドライバ
612 波形前処理部
613 波形後処理部
614 脈波算出部
1411 特徴量抽出部
1412、1912 伝搬時間算出部
1413 血圧変換部
1414 個人差補正部
1501、1502 PD―LEDユニット
1723 通信装置
1851、1852 心電図用電極
1911 心電図ピーク検出部
2401 クラウドサーバ
2411、4011~4016 通信端末
4001 プロジェクト管理装置
4031 受信制御部
4032 送信制御部
4033 保存制御部
4034 記憶部
4002 参加者評価サーバ
4021 受信制御部
4022 相関算出部
4023 評価値算出部
4024 送信制御部
4025 入力処理部
4026 記憶部
4003 プロジェクト評価サーバ
4041 受信制御部
4042 算出部
4043 生成部
4044 送信制御部
4045 入力処理部
4046 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0500】
【特許文献1】特表2018―518323号公報
【特許文献2】特開2018―061675号公報