(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020916
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102519
(22)【出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021123428
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】横井 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 康基
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB29
5F004BC06
5F004BD03
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA26
5F004DB03
5F004DB07
5F004DB30
5F004EA03
5F004FA08
(57)【要約】
【課題】本開示は、スループットを向上するプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】本開示に係るプラズマ処理方法は、プラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法である。当該プラズマ処理方法は、シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を準備する工程と、前記基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定する工程と、水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH
2Oを前記基板に供給する工程と、高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程と、前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と、水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給する工程と、高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程とを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を準備する工程と、
前記基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定する工程と、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給する工程と、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程と、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と、
水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給する工程と、
高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程と
を含む、プラズマ処理方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理装置は、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する基板支持器と、
前記プラズマ処理チャンバ内において、前記基板支持器に対向して設けられた上部電極と
を備え、
前記基板を準備する工程は、前記基板を前記基板支持器に配置する工程を含み、
前記炭素含有膜をエッチングする工程は、前記基板支持器又は前記上部電極に高周波を供給して、前記プラズマ処理チャンバ内において、前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程を含み、
前記シリコン含有膜をエッチングする工程は、前記基板支持器又は前記上部電極に高周波を供給して、前記プラズマ処理チャンバ内において、前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程を含む、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項3】
前記プラズマ処理装置は、
第1のプラズマ処理チャンバ及び第2のプラズマ処理チャンバと、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する第1の基板支持器と、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内において、前記第1の基板支持器に対向して設けられた第1の上部電極と、
前記第2のプラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する第2の基板支持器と、
前記第2のプラズマ処理チャンバ内において、前記第2の基板支持器に対向して設けられた第2の上部電極と
を備え、
前記基板を準備する工程は、前記基板を前記第1の基板支持器に配置する工程を含み、
前記炭素含有膜をエッチングする工程は、前記第1の基板支持器又は前記第1の上部電極に高周波を供給して、前記第1のプラズマ処理チャンバ内において、前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程を含み、
前記プラズマ処理方法は、前記第1の基板支持器から前記第2の基板支持器に前記基板を搬送する工程を更に含み、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程は、前記第2の基板支持器において前記基板の温度を前記第2の温度に設定する工程を含み、
前記シリコン含有膜をエッチングする工程は、前記第2の基板支持器又は前記第2の上部電極に高周波を供給して、前記第2のプラズマ処理チャンバ内において、前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程を含む、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理装置は、前記第1のプラズマ処理チャンバ及び前記第2のプラズマ処理チャンバに接続された搬送チャンバを備え、前記搬送チャンバの内部圧力は大気圧よりも低く、
前記基板を搬送する工程において、前記基板は、前記搬送室を介して、前記第1の基板支持器から前記第2の基板支持器に搬送される、請求項3に記載のプラズマ処理方法。
【請求項5】
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項6】
前記第2の温度は、前記第1の温度より高い、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記炭素含有膜は、アモルファスカーボン膜である、請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
プラズマ処理チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理チャンバ内に炭素含有ガスを供給する工程と、
高周波によって前記炭素含有ガスからプラズマを生成し、前記プラズマ処理チャンバの内壁の少なくとも一部に保護膜を形成する工程と、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を前記プラズマ処理チャンバ内に準備する工程と、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスを前記プラズマ処理チャンバ内に供給して、H2Oを前記基板に供給する工程と、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程と、
水素及びフッ素を含有するガスを含む第2の処理ガス、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含む第2の処理ガスを、前記プラズマ処理チャンバ内に準備された前記基板に供給する工程と、
高周波を供給して前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程と
を含む、プラズマ処理方法。
【請求項9】
前記基板の温度を第1の温度に設定する工程と、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と
を更に備え、
前記炭素含有膜をエッチングする工程において、前記炭素含有膜は、前記基板が前記第1の温度に設定された後にエッチングされ、
前記シリコン含有膜をエッチングする工程において、前記SiO膜は、前記基板が前記第2の温度に設定された後にエッチングされる、請求項8に記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記保護膜は、炭素含有膜である、請求項8に記載のプラズマ処理方法。
【請求項11】
前記プラズマ処理装置は、容量結合型のプラズマ処理装置である、請求項1から10のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
【請求項12】
少なくとも1つのプラズマ処理チャンバと、
前記少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内における基板の温度を設定する温度調整部と、
前記少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内にガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内においてガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
前記温度調整部、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するよう構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定し、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給し、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成して、前記炭素含有膜をエッチングし、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定し、
水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給し、
高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成して、前記シリコン含有膜をエッチングする制御を実行する、プラズマ処理装置。
【請求項13】
第1のプラズマ処理チャンバを有する第1のプラズマ処理装置及び第2のプラズマ処理チャンバを有する第2のプラズマ処理装置を備えるプラズマ処理システムであって、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内及び前記第2のプラズマ処理チャンバ内に配置された基板の温度を設定する温度調整部と、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内及び前記第2のプラズマ処理チャンバ内にガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記第1のプラズマ処理チャンバに結合された誘導結合型のプラズマ生成部と、
前記第2のプラズマ処理チャンバに結合された容量結合型のプラズマ生成部と、
前記温度調整部、前記ガス供給部、前記誘導結合型のプラズマ生成部及び前記容量結合型のプラズマ生成部を制御するよう構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を前記第1のプラズマ処理チャンバ内に配置し、
前記基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定し、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給し、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成して、前記炭素含有膜をエッチングし、
前記炭素含有膜がエッチングされた前記基板を前記第2のプラズマ処理チャンバ内に配置し、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定し、
水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給し、
高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成して、前記シリコン含有膜をエッチングする制御を実行する、プラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エッチングにおいてボーイングの発生を抑制する技術として、特許文献1に記載されたエッチング方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、スループットを向上するプラズマ処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、容量結合型のプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法が提供される。前記プラズマ処理方法は、シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を準備する工程と、前記基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定する工程と、水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給する工程と、高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程と、前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と、水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給する工程と、高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、スループットを向上するプラズマ処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置1を概略的に示す図である。
【
図2】高周波電力HF及び電気バイアスの一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】プラズマ処理装置1に含まれる基板支持器14の他の例の部分拡大図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSを概略的に示す図である。
【
図6】本処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】工程ST3の実行中における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
【
図8】工程ST3の終了した後における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
【
図9】工程ST4の実行中における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
【
図10】工程ST4が終了した後における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、プラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、シリコン含有膜及びシリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を準備する工程と、基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定する工程と、水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを基板に供給する工程と、高周波によって第1の処理ガスからプラズマを生成し、炭素含有膜をエッチングする工程と、基板の温度を第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と、水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを基板に供給する工程と、高周波によって第2の処理ガスからプラズマを生成し、シリコン含有膜をエッチングする工程とを含む。
【0010】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する基板支持器と、プラズマ処理チャンバ内において、基板支持器に対向して設けられた上部電極とを備え、基板を準備する工程は、基板を基板支持器に配置する工程を含み、炭素含有膜をエッチングする工程は、基板支持器又は上部電極に高周波を供給して、プラズマ処理チャンバ内において、第1の処理ガスからプラズマを生成し、炭素含有膜をエッチングする工程を含み、シリコン含有膜をエッチングする工程は、基板支持器又は上部電極に高周波を供給して、プラズマ処理チャンバ内において、第2の処理ガスからプラズマを生成し、シリコン含有膜をエッチングする工程を含む。
【0011】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、第1のプラズマ処理チャンバ及び第2のプラズマ処理チャンバと、第1のプラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する第1の基板支持器と、第1のプラズマ処理チャンバ内において、第1の基板支持器に対向して設けられた第1の上部電極と、第2のプラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する第2の基板支持器と、第2のプラズマ処理チャンバ内において、第2の基板支持器に対向して設けられた第2の上部電極とを備え、基板を準備する工程は、基板を第1の基板支持器に配置する工程を含み、炭素含有膜をエッチングする工程は、第1の基板支持器又は第1の上部電極に高周波を供給して、第1のプラズマ処理チャンバ内において、第1の処理ガスからプラズマを生成し、炭素含有膜をエッチングする工程を含み、プラズマ処理方法は、第1の基板支持器から第2の基板支持器に基板を搬送する工程を更に含み、基板の温度を第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程は、第2の基板支持器において基板の温度を第2の温度に設定する工程を含み、シリコン含有膜をエッチングする工程は、第2の基板支持器又は第2の上部電極に高周波を供給して、第2のプラズマ処理チャンバ内において、第2の処理ガスからプラズマを生成し、シリコン含有膜をエッチングする工程を含む。
【0012】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、第1のプラズマ処理チャンバ及び第2のプラズマ処理チャンバに接続された搬送チャンバを備え、搬送チャンバの内部圧力は大気圧よりも低く、基板を搬送する工程において、基板は、搬送室を介して、第1の基板支持器から第2の基板支持器に搬送される。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第2の温度は、第1の温度より低い。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第2の温度は、第1の温度より高い。
【0015】
一つの例示的実施形態において、炭素含有膜は、アモルファスカーボン膜である。
【0016】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、プラズマ処理チャンバ内に炭素含有ガスを供給する工程と、高周波によって炭素含有ガスからプラズマを生成し、プラズマ処理チャンバの内壁の少なくとも一部に保護膜を形成する工程と、シリコン含有膜及びシリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板をプラズマ処理チャンバ内に準備する工程と、水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスをプラズマ処理チャンバ内に供給して、H2Oを基板に供給する工程と、高周波によって第1の処理ガスからプラズマを生成し、炭素含有膜をエッチングする工程と、水素及びフッ素を含有するガスを含む第2の処理ガス、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含む第2の処理ガスを、プラズマ処理チャンバ内に準備された基板に供給する工程と、高周波を供給して第2の処理ガスからプラズマを生成し、シリコン含有膜をエッチングする工程とを含む。
【0017】
一つの例示的実施形態において、基板の温度を第1の温度に設定する工程と、基板の温度を第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程とを更に備え、炭素含有膜をエッチングする工程において、炭素含有膜は、基板が第1の温度に設定された後にエッチングされ、シリコン含有膜をエッチングする工程において、SiO膜は、基板が第2の温度に設定された後にエッチングされる。
【0018】
一つの例示的実施形態において、保護膜は、炭素含有膜である。
【0019】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、少なくとも1つのプラズマ処理チャンバと、少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内における基板の温度を設定する温度調整部と、少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内にガスを供給するように構成されたガス供給部と、少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内においてガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、温度調整部、ガス供給部及びプラズマ生成部を制御するよう構成された制御部とを備え、制御部は、シリコン含有膜及びシリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定し、水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを基板に供給し、高周波によって第1の処理ガスからプラズマを生成して、炭素含有膜をエッチングし、基板の温度を第1の温度と異なる第2の温度に設定し、水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを基板に供給し、高周波によって第2の処理ガスからプラズマを生成して、シリコン含有膜をエッチングする制御を実行する。
【0020】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
<プラズマ処理装置1の構成>
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置1を概略的に示す図である。プラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。本開示における、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法(以下「本処理方法」ともいう。)は、プラズマ処理装置1を用いて実行されてよい。
【0022】
図1に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10を備える。チャンバ10は、その中に内部空間10sを提供する。チャンバ10はチャンバ本体12を含む。チャンバ本体12は、略円筒形状を有する。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムから形成される。チャンバ本体12の内壁面上には、耐腐食性を有する膜が設けられている。耐腐食性を有する膜は、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0023】
チャンバ本体12の側壁には、通路12pが形成されている。基板Wは、通路12pを通して内部空間10sとチャンバ10の外部との間で搬送される。通路12pは、ゲートバルブ12gにより開閉される。ゲートバルブ12gは、チャンバ本体12の側壁に沿って設けられる。
【0024】
チャンバ本体12の底部上には、支持部13が設けられている。支持部13は、絶縁材料から形成される。支持部13は、略円筒形状を有する。支持部13は、内部空間10sの中で、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。支持部13は、基板支持器14を支持している。基板支持器14は、内部空間10sの中で基板Wを支持するように構成されている。
【0025】
基板支持器14は、下部電極18及び静電チャック20を有する。基板支持器14は、電極プレート16を更に有し得る。電極プレート16は、アルミニウムなどの導体から形成されており、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16上に設けられている。下部電極18は、アルミニウムなどの導体から形成されており、略円盤形状を有する。下部電極18は、電極プレート16に電気的に接続されている。
【0026】
静電チャック20は、下部電極18上に設けられている。基板Wは、静電チャック20の上面の上に載置される。静電チャック20は、本体及び電極を有する。静電チャック20の本体は、略円盤形状を有し、誘電体から形成される。静電チャック20の電極は、膜状の電極であり、静電チャック20の本体内に設けられている。静電チャック20の電極は、スイッチ20sを介して直流電源20pに接続されている。静電チャック20の電極に直流電源20pからの電圧が印加されると、静電チャック20と基板Wとの間に静電引力が発生する。基板Wは、その静電引力によって静電チャック20に引き付けられて、静電チャック20によって保持される。
【0027】
基板支持器14上には、エッジリング25が配置される。エッジリング25は、リング状の部材である。エッジリング25は、シリコン、炭化シリコン、又は石英などから形成され得る。基板Wは、静電チャック20上、且つ、エッジリング25によって囲まれた領域内に配置される。
【0028】
下部電極18の内部には、流路18fが設けられている。流路18fには、チャンバ10の外部に設けられているチラーユニットから配管22aを介して熱交換媒体(例えば冷媒)が供給される。流路18fに供給された熱交換媒体は、配管22bを介してチラーユニットに戻される。プラズマ処理装置1では、静電チャック20上に載置された基板Wの温度が、熱交換媒体と下部電極18との熱交換により、調整される。
【0029】
プラズマ処理装置1には、ガス供給ライン24が設けられている。ガス供給ライン24は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック20の上面と基板Wの裏面との間の間隙に供給する。
【0030】
プラズマ処理装置1は、上部電極30を更に備える。上部電極30は、基板支持器14の上方に設けられている。上部電極30は、部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。部材32は、絶縁性を有する9材料から形成される。上部電極30と部材32は、チャンバ本体12の上部開口を閉じている。
【0031】
上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34の下面は、内部空間10sの側の下面であり、内部空間10sを画成する。天板34は、発生するジュール熱の少ない低抵抗の導電体又は半導体から形成され得る。天板34は、天板34をその板厚方向に貫通する複数のガス吐出孔34aを有する。
【0032】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持する。支持体36は、アルミニウムなどの導電性材料から形成される。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。支持体36は、ガス拡散室36aから下方に延びる複数のガス孔36bを有する。複数のガス孔36bは、複数のガス吐出孔34aにそれぞれ連通している。支持体36には、ガス導入口36cが形成されている。ガス導入口36cは、ガス拡散室36aに接続している。ガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0033】
ガス供給管38には、流量制御器群41及びバルブ群42を介して、ガスソース群40が接続されている。流量制御器群41及びバルブ群42は、ガス供給部を構成している。ガス供給部は、ガスソース群40を更に含んでいてもよい。ガスソース群40は、複数のガスソースを含む。複数のガスソースは、本処理方法で用いられる処理ガスのソースを含む。流量制御器群41は、複数の流量制御器を含む。流量制御器群41の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。バルブ群42は、複数の開閉バルブを含む。ガスソース群40の複数のガスソースの各々は、流量制御器群41の対応の流量制御器及びバルブ群42の対応の開閉バルブを介して、ガス供給管38に接続されている。
【0034】
プラズマ処理装置1では、チャンバ本体12の内壁面及び支持部13の外周に沿って、シールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、チャンバ本体12に反応副生物が付着することを防止する。シールド46は、例えば、アルミニウムから形成された母材の表面に耐腐食性を有する膜を形成することにより構成される。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウムなどのセラミックから形成され得る。
【0035】
支持部13とチャンバ本体12の側壁との間には、バッフルプレート48が設けられている。バッフルプレート48は、例えば、アルミニウムから形成された部材の表面に耐腐食性を有する膜(酸化イットリウムなどの膜)を形成することにより構成される。バッフルプレート48には、複数の貫通孔が形成されている。バッフルプレート48の下方、且つ、チャンバ本体12の底部には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを含む。
【0036】
プラズマ処理装置1は、高周波電源62及びバイアス電源64を備えている。高周波電源62は、高周波電力HFを発生する電源である。高周波電力HFは、プラズマの生成に適した第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数である。高周波電源62は、整合器66及び電極プレート16を介して下部電極18に接続されている。整合器66は、高周波電源62の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスを高周波電源62の出力インピーダンスに整合させるための回路を有する。なお、高周波電源62は、整合器66を介して、上部電極30に接続されていてもよい。高周波電源62は、一例のプラズマ生成部を構成している。
【0037】
バイアス電源64は、電気バイアスを発生する電源である。バイアス電源64は、下部電極18に電気的に接続されている。電気バイアスは、第2の周波数を有する。第2の周波数は、第1の周波数よりも低い。第2の周波数は、例えば400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数である。電気バイアスは、高周波電力HFと共に用いられる場合には、基板Wにイオンを引き込むために基板支持器14に与えられる。一例では、電気バイアスは、下部電極18に与えられる。電気バイアスが下部電極18に与えられると、基板支持器14上に載置された基板Wの電位は、第2の周波数で規定される周期内で変動する。なお、電気バイアスは、静電チャック20内に設けられたバイアス電極(一例では、
図3のバイアス電極118)に与えられてもよい。
【0038】
一実施形態において、電気バイアスは、第2の周波数を有する高周波電力LFであってもよい。高周波電力LFは、高周波電力HFと共に用いられる場合には、基板Wにイオンを引き込むための高周波バイアス電力として用いられる。高周波電力LFを発生するように構成されたバイアス電源64は、整合器68及び電極プレート16を介して下部電極18に接続される。整合器68は、バイアス電源64の負荷側(下部電極18側)のインピーダンスをバイアス電源64の出力インピーダンスに整合させるための回路を有する。
【0039】
なお、高周波電力HFを用いずに、高周波電力LFを用いて、即ち、単一の高周波電力のみを用いてプラズマを生成してもよい。この場合には、高周波電力LFの周波数は、13.56MHzよりも大きな周波数、例えば40MHzであってもよい。また、この場合には、プラズマ処理装置1は、高周波電源62及び整合器66を備えなくてもよい。この場合には、バイアス電源64は一例のプラズマ生成部を構成する。
【0040】
別の実施形態において、電気バイアスは、パルス状の電圧(パルス電圧)であってもよい。この場合、バイアス電源は、直流電源であってよい。バイアス電源は、電源自体がパルス電圧を供給するように構成されていてよく、バイアス電源の下流側に電圧をパルス化するデバイスを備えるように構成されてもよい。一例では、パルス電圧は、基板Wに負の電位が生じるように下部電極18に与えられる。電気バイアスの各パルスに含まれる1つ以上のパルス電圧が示す波形は、矩形波であってもよく、三角波あってもよく、インパルスであってもよく、又はその他の波形を有していてもよい。
【0041】
パルス電圧の周期は、第2の周波数で規定される。パルス電圧の周期は、二つの期間を含む。二つの期間のうち一方の期間におけるパルス電圧は、負極性の電圧である。二つの期間のうち一方の期間における電圧のレベル(即ち、絶対値)は、二つの期間のうち他方の期間における電圧のレベル(即ち、絶対値)よりも高い。他方の期間における電圧は、負極性、正極性の何れであってもよい。他方の期間における負極性の電圧のレベルは、ゼロよりも大きくてもよく、ゼロであってもよい。この実施形態において、バイアス電源64は、ローパスフィルタ及び電極プレート16を介して下部電極18に接続される。なお、バイアス電源64は、下部電極18に代えて、静電チャック20内に設けられたバイアス電極(一例では、
図3のバイアス電極118)に接続されてもよい。
【0042】
一実施形態において、バイアス電源64は、電気バイアスの連続波を下部電極18に与えてもよい。即ち、バイアス電源64は、電気バイアスを連続的に下部電極18に与えてもよい。
【0043】
別の実施形態において、バイアス電源64は、電気バイアスのパルス波を下部電極18に与えてもよい。電気バイアスのパルス波は、周期的に下部電極18に与えられ得る。電気バイアスのパルス波の周期は、第3の周波数で規定される。第3の周波数は、第2の周波数よりも低い。第3の周波数は、例えば1Hz以上、200kHz以下である。他の例では、第3の周波数は、5Hz以上、100kHz以下であってもよい。
【0044】
電気バイアスのパルス波の周期は、二つの期間、即ちH期間及びL期間を含む。H期間における電気バイアスのレベル(即ち、電気バイアスのパルスのレベル)は、L期間における電気バイアスのレベルよりも高い。即ち、電気バイアスのレベルが増減されることにより、電気バイアスのパルス波が下部電極18に与えられてもよい。L期間における電気バイアスのレベルは、ゼロよりも大きくてもよい。或いは、L期間における電気バイアスのレベルは、ゼロであってもよい。即ち、電気バイアスのパルス波は、電気バイアスの下部電極18への供給と供給停止とを交互に切り替えることにより、下部電極18に与えられてもよい。ここで、電気バイアスが高周波電力LFである場合には、電気バイアスのレベルは、高周波電力LFの電力レベルである。電気バイアスが高周波電力LFである場合には、電気バイアスのパルスにおける高周波電力LFのレベルは、2kW以上であってもよい。電気バイアスが負極性の直流電圧のパルス波である場合には、電気バイアスのレベルは、負極性の直流電圧の絶対値の実効値である。電気バイアスのパルス波のデューティ比、即ち、電気バイアスのパルス波の周期においてH期間が占める割合は、例えば1%以上、80%以下である。別の例では、電気バイアスのパルス波のデューティ比は5%以上50%以下であってよい。或いは、電気バイアスのパルス波のデューティ比は、50%以上、99%以下であってもよい。なお、電気バイアスが供給される期間のうち、L期間が上述した第1の期間に、H期間が上述した第2の期間に相当する。また、L期間における電気バイアスのレベルが上述した0又は第1のレベルに、H期間における電気バイアスのレベルが上述した第2のレベルに相当する。
【0045】
一実施形態において、高周波電源62は、高周波電力HFの連続波を供給してもよい。即ち、高周波電源62は、高周波電力HFを連続的に供給してもよい。
【0046】
別の実施形態において、高周波電源62は、高周波電力HFのパルス波を供給してもよい。高周波電力HFのパルス波は、周期的に供給され得る。高周波電力HFのパルス波の周期は、第4の周波数で規定される。第4の周波数は、第2の周波数よりも低い。一実施形態において、第4の周波数は、第3の周波数と同じである。高周波電力HFのパルス波の周期は、二つの期間、即ちH期間及びL期間を含む。H期間における高周波電力HFの電力レベルは、二つの期間のうちL期間における高周波電力HFの電力レベルよりも高い。L期間における高周波電力HFの電力レベルは、ゼロよりも大きくてもよく、ゼロであってもよい。なお、高周波電力HFが供給される期間のうち、L期間が上述した第3の期間に、H期間が上述した第4の期間に相当する。また、L期間における高周波電力HFのレベルが上述した0又は第3のレベルに、H期間における電気バイアスのレベルが上述した第4のレベルに相当する。
【0047】
なお、高周波電力HFのパルス波の周期は、電気バイアスのパルス波の周期と同期していてもよい。高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間は、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間と同期していてもよい。或いは、高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間は、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間と同期していなくてもよい。高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間の時間長は、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間の時間長と同一であってもよく、異なっていてもよい。高周波電力HFのパルス波の周期におけるH期間の一部又は全部が、電気バイアスのパルス波の周期におけるH期間と重複してもよい。
【0048】
図2は、高周波電力HF及び電気バイアスの一例を示すタイミングチャートである。
図2は、高周波電力HF及び電気バイアスとしていずれもパルス波を用いる例である。
図2において、横軸は時間を示す。
図2において、縦軸は、高周波電力HF及び電気バイアスの電力レベルを示す。高周波電力HFの「L1」は、高周波電力HFが供給されていないか、又は、「H1」で示す電力レベルよりも低いことを示す。電気バイアスの「L2」は、電気バイアスが供給されていないか、又は、「H2」で示す電力レベルよりも低いことを示す。電気バイアスが負極性の直流電圧のパルス波である場合には、電気バイアスのレベルは、負極性の直流電圧の絶対値の実効値である。なお、
図2の高周波電力HF及び電気バイアスの電力レベルの大きさは、両者の相対的な関係を示すものではなく、任意に設定されてよい。
図2は、高周波電力HFのパルス波の周期が、電気バイアスのパルス波の周期と同期し、かつ、高周波電力HFのパルス波のH期間及びL期間の時間長と、電気バイアスのパルス波のH期間及びL期間の時間長が同一の例である。
【0049】
図1に戻って説明を続ける。プラズマ処理装置1は、電源70を更に備えている。電源70は、上部電極30に接続されている。一例において、電源70は、プラズマ処理中、上部電極30に直流電圧又は低周波電力を供給するように構成されてよい。例えば、電源70は、上部電極30に負極性の直流電圧を供給してもよく、低周波電力を周期的に供給してもよい。直流電圧又は低周波電力はパルス波として供給してもよく、連続波として供給してもよい。この実施形態では、内部空間10s内に存在する正イオンが上部電極30に引き込まれて衝突する。これにより、上部電極30から二次電子が放出される。放出された二次電子は、マスク膜MKを改質し、マスク膜MKのエッチング耐性を向上させる。また、二次電子は、プラズマ密度の向上に寄与する。また、二次電子の照射により、基板Wの帯電状態が中和されるため、エッチングにより形成された凹部内へのイオンの直進性が高められる。さらに、上部電極30がシリコン含有材料により構成されている場合には、正イオンの衝突により、二次電子とともにシリコンが放出される。放出されたシリコンは、プラズマ中の酸素と結合して酸化シリコン化合物としてマスク上に堆積して保護膜として機能する。以上より、上部電極30への直流電圧又は低周波電力の供給により、選択比の改善ばかりでなく、エッチングにより形成される凹部における形状異常の抑制、エッチングレートの改善等の効果が得られる。
【0050】
プラズマ処理装置1においてプラズマ処理が行われる場合には、ガスがガス供給部から内部空間10sに供給される。また、高周波電力HF及び/又は電気バイアスが供給されることにより、上部電極30と下部電極18との間で高周波電界が生成される。生成された高周波電界が内部空間10sの中のガスからプラズマを生成する。
【0051】
プラズマ処理装置1は、制御部80を更に備え得る。制御部80は、プロセッサ、メモリなどの記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御部80は、プラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部80では、入力装置を用いて、オペレータがプラズマ処理装置1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部80では、表示装置により、プラズマ処理装置1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、プラズマ処理装置1で各種処理を実行するために、プロセッサによって実行される。プロセッサは、制御プログラムを実行し、レシピデータに従ってプラズマ処理装置1の各部を制御する。一つの例示的実施形態において、制御部80の一部又は全てがプラズマ処理装置1の外部の装置の構成の一部として設けられてよい。
【0052】
図3は、プラズマ処理装置1に含まれる基板支持器14の他の例の部分拡大図である。基板支持器14は、電極プレート16、下部電極18及び静電チャック20を含む。静電チャック20の上面は、基板Wを支持するための中央領域である基板支持面111aと、エッジリング25を支持するための環状領域111bとを有する。環状領域111bは、基板支持面111aを囲んでいる。基板Wは、基板支持面111aに配置され、エッジリング25は、基板支持面111a上の基板Wを囲むように環状領域111b上に配置される。静電チャック20は、下部電極18上に配置される。静電チャック20の上面は、基板Wを支持する基板支持面を有する。
【0053】
静電チャック20は、その内部に、チャック電極120及びバイアス電極118を含む。チャック電極120は、基板支持面111aと下部電極18との間に設けられた電極120aを有する。電極120aは、基板支持面111aの形状に対応する平面状の電極であってよい。また、チャック電極120は、エッジリング25と下部電極18との間に設けられた電極120b及び120cを有してよい。電極120b及び120cは、リングアセンブリ112の形状に対応する環状の電極であってよい。電極120cは、電極120bの外側に設けられる。なお、電極120b及び120cは、双極型の静電チャックを構成してよい。また、電極120a、120b及び120cは、一体に構成されてもよい。直流電源20pは、電極120a、120b及び120cにそれぞれ異なる直流電圧を印加してよくするよう構成されてよく、また、同じ直流電圧を印加するよう構成されてよい。
【0054】
バイアス電極118は、電極120a(又は基板支持面111a)と下部電極18との間に設けられた電極118aを有する。電極118aは、基板支持面111a及び/又は電極120aの形状に対応する平面上の電極であってよい。また、バイアス電極118は、エッジリング25と下部電極18との間に設けられる電極118bを有してよい。また、図示は省略するが、基板支持器14は、静電チャック114、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持器14は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間及び/又はエッジリング25と環状領域111bとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでよい。
【0055】
<基板処理システムPSの構成>
図4は、一つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSを概略的に示す図である。本処理方法は、基板処理システムPSを用いて実行されてもよい。
【0056】
基板処理システムPSは、基板処理モジュールPM1~PM6(以下、総称して「基板処理モジュールPM」ともいう。)と、搬送モジュールTMと、ロードロックモジュールLLM1及びLLM2(以下、総称して「ロードロックモジュールLLM」ともいう。)と、ローダーモジュールLM、ロードポートLP1からLP3(以下、総称して「ロードポートLP」ともいう。)とを有する。制御部CTは、基板処理システムPSの各構成を制御して、基板Wに所定の処理を実行する。
【0057】
基板処理モジュールPMは、その内部において、基板Wに対して、エッチング処理、トリミング処理、成膜処理、アニール処理、ドーピング処理、リソグラフィ処理、クリーニング処理、アッシング処理等の処理を実行する。基板処理モジュールPMの一部は、測定モジュールであってよく、基板W上に形成された膜の膜厚や、基板W上に形成されたパターンの寸法等を測定してもよい。
図1に示すプラズマ処理装置1は、基板処理モジュールPMの一例である。
【0058】
搬送モジュールTMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、基板処理モジュールPM間又は基板処理モジュールPMとロードロックモジュールLLMとの間で、基板Wを搬送する。基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、搬送モジュールTMに隣接して配置されている。搬送モジュールTMと基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、開閉可能なゲートバルブ(一例では、
図1のゲートバルブ12g)によって空間的に隔離又は連結される。
【0059】
ロードロックモジュールLLM1及びLLM2は、搬送モジュールTMとローダーモジュールLMとの間に設けられている。ロードロックモジュールLLMは、その内部の圧力を、大気圧又は真空に切り替えることができる。ロードロックモジュールLLMは、大気圧であるローダーモジュールLMから真空である搬送モジュールTMへ基板Wを搬送し、また、真空である搬送モジュールTMから大気圧であるローダーモジュールLMへ搬送する。
【0060】
ローダーモジュールLMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、ロードロックモジュールLLMとロードボードLPとの間で基板Wを搬送する。ロードポートLP内の内部には、例えば25枚の基板Wが収納可能なFOUP(Front Opening Unified Pod)または空のFOUPが載置できる。ローダーモジュールLMは、ロードポートLP内のFOUPから基板Wを取り出して、ロードロックモジュールLLMに搬送する。また、ローダーモジュールLMは、ロードロックモジュールLLMから基板Wを取り出して、ロードボードLP内のFOUPに搬送する。
【0061】
制御部CTは、基板処理システムPSの各構成を制御して、基板Wに所定の処理を実行する。制御部CTは、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件等が設定されたレシピを格納しており、当該レシピに従って、基板Wに所定の処理を実行するように、基板処理システムPSの各構成を制御する。制御部CTは、
図1に示すプラズマ処理装置1の制御部80の一部又は全部の機能を兼ねてもよい。
【0062】
<基板Wの一例>
図5は、基板Wの断面構造の一例を示す図である。基板Wは、本処理方法が適用され得る基板の一例である。基板Wは、シリコン含有膜SF及び炭素含有膜CFを有する。基板Wは、下地膜UF及びマスク膜MKを有してよい。
図5に示すように、基板Wは、下地膜UF、シリコン含有膜SF、炭素含有膜CF及びマスク膜MKがこの順で積層されて形成されてよい。
【0063】
下地膜UFは、例えば、シリコンウェハやシリコンウェハ上に形成された有機膜、誘電体膜、金属膜、半導体膜等でよい。下地膜UFは、複数の膜が積層されて構成された積層膜であってよい。
【0064】
シリコン含有膜SFは、SiO含有膜であってよい。シリコン含有膜SFは、一例では、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に積層された多層膜である。シリコン含有膜SFは、シリコン酸化膜(SiOx膜)、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、Si-ARC膜であってよい。シリコン含有膜SFは、SiGe膜、多結晶シリコン膜を含んでよい。シリコン含有膜SFは、シリコン酸化膜と多結晶シリコン膜とが交互に積層されて構成された多層膜であってよい。
【0065】
炭素含有膜CFは、一例では、アモルファスカーボン膜である。炭素含有膜CFがアモルファスカーボン膜である場合、当該アモルファスカーボンは、水素を含んだアモルファスカーボンであってよい。炭素含有膜CFは、一例では、有機膜であってよい。
【0066】
下地膜UF、シリコン含有膜SF及び/又は炭素含有膜CFは、CVD法、スピンコート法等により形成されてよい。下地膜UF及び/又はシリコン含有膜SFは、平坦な膜であってよく、また、凹凸を有する膜であってもよい。
【0067】
マスク膜MKは、シリコン含有膜SF上に形成されている。マスク膜MKは、シリコン含有膜SF上において少なくとも1つの開口OPを規定する。開口OPは、シリコン含有膜SF上の空間であって、マスク膜MKの側壁に囲まれている。すなわち、
図5において、炭素含有膜CFの上面は、マスク膜MKによって覆われた領域と、開口OPの底部において露出した領域とを有する。
【0068】
開口OPは、基板Wの平面視(基板Wを
図5の上から下に向かう方向に見た場合)において、任意の形状を有してよい。当該形状は、例えば、円形状や線形状、円形状と線形状との組み合わせであってよい。マスク膜MKは、複数の側壁を有し、複数の側壁が複数の開口OPを規定してもよい。複数の開口OPは、それぞれ線形状を有し、一定の間隔で並んでライン&スペースのパターンを構成してもよい。また、複数の開口OPは、それぞれ穴形状を有し、アレイパターンを構成してもよい。
【0069】
マスク膜MKは、例えば、シリコン含有膜である。シリコン含有膜は、一例では、SiON膜であってよい。また、マスク膜MKは、有機膜や金属含有膜であってよい。有機膜は、例えば、スピンオンカーボン膜(SOC)、アモルファスカーボン膜、フォトレジスト膜でよい。金属含有膜は、例えば、タングステン、炭化タングステン、窒化チタンを含んでよい。マスク膜MKは、CVD法、スピンコート法等により形成されてよい。開口OPは、マスク膜MKをエッチングすることで形成されてよい。マスク膜MKは、リソグラフィによって形成されてもよい。
【0070】
<本処理方法の一例>
図6は、本処理方法の一例を示すフローチャートである。本処理方法は、チャンバの内壁をプリコートする工程(ST1)、基板を準備する工程(ST2)、炭素含有膜をエッチングする工程(ST3)、及びシリコン含有膜をエッチングする工程(ST4)を含む。以下では、
図1に示す制御部80又は
図4に示す制御部CTがプラズマ処理装置1の各部を制御して、
図5に示す基板Wに対して本処理方法を実行する場合を例に説明する。なお、本処理方法に含まれる各工程は、誘導結合型のプラズマ処理装置又は容量結合型のプラズマ処理装置で実行され得る。一例では、工程ST1~工程ST4が、容量結合型のプラズマ処理装置で実行され得る。また、一例では、工程ST1~工程ST3が誘導結合型のプラズマ処理装置で実行され、工程ST4が誘導結合型のプラズマ処理装置で実行され得る。誘導結合型のプラズマ処理装置では、アンテナが上部電極の一例である。
【0071】
(工程ST1:チャンバの内壁のプリコート)
工程ST1において、プラズマ処理装置1のチャンバ10の内壁の少なくとも一部に保護膜を形成する。保護膜は、炭素含有膜であってよい。まず、プラズマ処理装置1のガス供給部が、炭素含有ガスを含む処理ガスをチャンバ10の内部に供給する。炭素含有ガスは、一例では、前駆体として、CO、CO2、COS、及び炭化水素のうち一つ以上を含む。炭化水素は、CH4、C2H2、C3H6等である。そして、高周波電源62が、基板支持器14に含まれる電極又は上部電極30に高周波電力HFを供給する。これにより、上部電極30と基板支持器14との間に電界が生成され、内部空間10sの処理ガス(炭素含有ガスを含む。)からプラズマが生成される。これにより、炭素含有膜がチャンバ10の内壁の少なくとも一部に堆積されて、チャンバ10の内壁の少なくとも一部に保護膜が形成される。なお、工程ST3のエッチング処理における反応副生物が、当該保護膜の一部を形成してもよい。
【0072】
(工程ST2:基板の準備)
工程ST2において、チャンバ10の内部空間10s内に基板Wを準備する。内部空間10s内において、基板Wは、基板支持器14の上面(上部電極30と対向する面)に配置され、静電チャック20により基板支持器14に保持される。基板Wの各構成を形成するプロセスの少なくとも一部は、内部空間10s内で行われてよい。一例では、マスク膜MKをエッチングして開口OPを形成する工程は、炭素含有膜をエッチングする工程ST3(及びシリコン含有膜をエッチングする工程ST4)と同一のチャンバ内で実行されてよい。すなわち、開口OP及び後述する凹部RCは、同一のチャンバ内で連続して形成されてよい。当該チャンバは、容量結合型のプラズマ処理装置に含まれるチャンバであってよい。(a)工程ST2の一部である開口OPを形成する工程、(b)工程ST3及び(c)工程ST4が同一のチャンバ内で連続して実行される場合、マスク膜MKは、工程ST4において除去されてよい。また、基板Wの各構成の全部又は一部がプラズマ処理装置1の外部の装置又はチャンバ(
図4の基板処理システムPSの他の基板処理モジュールPMを含む。)で形成された後、基板Wがプラズマ処理装置1の内部空間10s内に搬入され、基板支持器14の上面に配置されてもよい。
【0073】
(工程ST3:炭素含有膜のエッチング)
工程ST3において、炭素含有膜CFがエッチングされる。工程ST3は、基板Wの温度を第1の温度に設定する工程(ST31)、第1の処理ガスを供給する工程(ST32)及びプラズマを生成する工程(ST33)を含む。
【0074】
工程ST31において、基板Wの温度を第1の温度に設定する。第1の温度は、0℃以下であってよい。また、第1の温度は、一例では、-30℃以下であってよい。なお、基板Wの温度を第1の温度に設定することは、基板Wの温度を直接測定して、基板Wの温度が第1の温度になるように、基板Wの温度を調整することに限られない。一例として、基板Wの温度を第1の温度に設定することは、基板Wが配置される基板支持器14の温度を第1の温度に設定することを含む。また、他の例として、基板Wの温度を第1の温度に設定することは、基板Wの温度が第1の温度になるように、基板支持器14の温度を第1の温度と異なる温度に設定することを含む。また、温度を「設定」することは、制御部80において当該温度が入力、選択又は記憶されることを含む。
【0075】
工程ST32において、ガス供給部がチャンバ10内に第1の処理ガスを供給する。本実施形態において、炭素含有膜CFはアモルファスカーボン膜であり、第1の処理ガスはH
2Oガスを含んでよい。また、第1の処理ガスは、Arガスを含んでよい。H
2Oガスがチャンバ10内に供給されると、H
2O分子が基板Wの表面に物理的に吸着される。H
2O分子が吸着される表面は、炭素含有膜CFの上面のうち、マスク膜MKの開口OPにおいて露出した部分を含む(
図5参照)。なお、当該アモルファスカーボン膜が所定の割合以上の水素原子を含む場合、第1の処理ガスは、H
2Oガスと共に、又は、H
2Oガスに替えて、酸素含有ガスを含んでよい。酸素含有ガスは、一例では、O
2ガスであってよい。なお、第1の処理ガスは、チャンバ10内でH
2Oガスを生成し得る複数のガスを含んでよい。一例では、当該複数のガスは、H
2ガス及びO
2ガスであり得る。
【0076】
工程ST33において、高周波電源62が下部電極18に高周波電力HFを供給して、チャンバ10内にプラズマが生成される。高周波電力HFは、プラズマの生成に適した第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数であってよい。また、高周波電力HFは、上部電極30又はバイアス電極118に供給されてよい。また、バイアス電源64が、バイアス電極118に電気バイアスを供給する。電気バイアスは、パルス波であってよい(
図2参照)。電気バイアスに含まれる各パルスは、高周波電力LF又はパルス電圧を含んで構成されてよい。また、電気バイアスは、下部電極18に供給されてもよい。
【0077】
第1の処理ガスがチャンバ10内に供給されて、かつ、チャンバ10内にプラズマが生成されると、炭素含有膜CFの上面に吸着されたH2O分子が、炭素含有膜CFに含まれるアモルファスカーボンと反応して、炭素含有膜CFがエッチングされる。
【0078】
図7は、工程ST3の実行中における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図7に示すように、マスク膜MKの開口OPを通って炭素含有膜CFの上面に吸着したH
2O分子が、炭素含有膜CFに含まれるアモルファスカーボンと反応して、炭素含有膜CFに凹部RCが形成される。凹部RCは、炭素含有膜CFの側壁と底面BTによって規定される。炭素含有膜CFに凹部RCが形成されると、H
2O分子が底面BTに物理的に吸着し、吸着した当該H
2O分子をエッチャントとして、炭素含有膜CFがさらにエッチングされる。すなわち、凹部RCの深さが深くなる。
【0079】
図8は、工程ST3の終了した後における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図8に示すように、工程ST3においてエッチングが実行され、凹部RCがシリコン含有膜SFに到達すると(すなわち、凹部RCにおいてシリコン含有膜SFの表面が露出すると)、工程ST3を終了する。なお、工程ST3において、シリコン含有膜SFの一部がエッチングされてもよい。すなわち、工程ST3において、シリコン含有膜SFの一部が、凹部RCの深さ方向にオーバーエッチングされてもよい。
【0080】
(工程ST4:シリコン含有膜のエッチング)
次に、工程ST4において、シリコン含有膜SFがエッチングされる。工程ST4は、基板Wの温度を第2の温度に設定する工程(ST41)、第2の処理ガスを供給する工程(ST42)及びプラズマを生成する工程(ST43)を含む。
【0081】
なお、工程ST4は、工程ST3が実行されたチャンバ10と同じチャンバにおいて実行されてよい。すなわち、プラズマ処理装置1のチャンバ10において工程ST3が実行された後、基板Wが同じチャンバ10の基板支持器14に配置されたまま、工程ST4が実行されてよい。また、工程ST4は、工程ST3が実行されたチャンバ10と異なるチャンバにおいて実行されてよい。一例では、プラズマ処理装置1のチャンバ10において工程ST3が実行された後、基板Wが当該チャンバ10と異なるチャンバに搬送されて、当該異なるチャンバの基板支持器に配置されて、工程ST4が実行されてよい。工程ST3が実行されたチャンバ10から当該異なるチャンバに基板Wが搬送される場合、基板Wの搬送経路は真空(一例では、大気圧よりも低い圧力)に保たれてよい。また、当該異なるチャンバは、基板処理システムPSに含まれる他の処理モジュールPMのチャンバであってよい。この場合、搬送モジュールTM(
図4参照)が、基板Wをプラズマ処理装置1から他の処理モジュールPMに搬送してよい。一例では、基板処理システムPSは、工程ST3を実行する処理モジュールPMと、工程ST4を実行する処理モジュールPMとを備えてよい。一例では、工程ST3を実行する処理モジュールPMが誘導結合型のプラズマ処理装置であり、工程ST4を実行する処理モジュールPMが容量結合型のプラズマ処理装置であり得る。
【0082】
工程ST41において、基板Wの温度を第2の温度に設定する。第2の温度は、第1の温度よりも低い温度であってよい。第2の温度が第1の温度よりも低い場合、第2の温度は、一例では、-50℃以下であってよい。また、第2の温度は、第1の温度よりも高い温度であってよい。一例では、後述するように、第2の処理ガスが吸着促進ガスを含む場合、第2の温度は20℃以下であってよい。
【0083】
工程ST42において、ガス供給部がチャンバ10内に第2の処理ガスを供給する。第2の処理ガスは、水素及びフッ素の双方を含有するガスを含んでよい。水素及びフッ素の双方を含有するガスは、一例では、フッ化水素(HF)ガスであってよい。水素及びフッ素の双方を含有するガスは、CxHyFz(x、y及びzは1以上の整数である。以下「ハイドロフルオロカーボン」ともいう。)を含み得る。
【0084】
ハイドロフルオロカーボンは、一例では、CH2F2、CHF3、又はCH3Fの少なくとも一つである。ハイドロフルオロカーボンは、二つ以上の炭素を含んでいてもよい。また、ハイドロフルオロカーボンは、三つの炭素、又は四つの炭素を含んでいてもよい。ハイドロフルオロカーボンは、例えば、C2HF5、C2H2F4、C2H3F3、C2H4F2、C3HF7、C3H2F2、C3H2F6、C3H2F4、C3H3F5、C4H5F5、C4H2F6、C5H2F10及びc-C5H3F7からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。一例では、炭素含有ガスは、C3H2F4及びC4H2F6からなる群から選択される少なくとも1種である。CxHyFzは、直鎖状であっても、環状であってもよい。
【0085】
第2の処理ガスは、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含んでもよい。水素含有ガスは、一例では、H2、NH3、H2O、H2O2又はハイドロカーボン(CH4、C3H6等)を含み得る。また、フッ素含有ガスは、一例では、NF3、SF6、WF6、XeF2又はCuFv(u及びvは1以上の整数である。以下「フルオロカーボン」ともいう。)を含み得る。フルオロカーボンは、一例では、CF4、C3F8、C4F6、又はC4F8の少なくとも一つである。
【0086】
第2の処理ガスは、一例では、炭素含有ガスを更に含んでよい。炭素含有ガスは、CaHb(a及びbは1以上の整数である。)、CcFd(c及びdは1以上の整数である。)及びCHeFf(e及びfは1以上の整数である。)からなる群から選択される少なくとも1種を含み得る。CaHbは、一例では、CH4又はC3H6等でよい。CcFdは、一例では、CF4、C3F8、C4F6又はC4F8等でよい。CHeFfは、一例では、CH2F2、CHF3又はCH3F等であってよい。
【0087】
第2の処理ガスがチャンバ10内に供給されると、第2の処理ガスに含まれるエッチャントが基板Wの表面に物理的に吸着される。当該エッチャントは、一例では、フッ化水素(HF)、水素原子及び/又はフッ素原子であってよい。エッチャントが吸着される表面は、シリコン含有膜SFの上面のうち、凹部RCにおいて露出した部分を含む(
図8参照)。
【0088】
なお、第2の処理ガスは、他のガスを更に含んでよい。当該他のガスは、一例では、シリコン含有膜SFの表面においてエッチャントの吸着を促進させるガス(以下「吸着促進ガス」ともいう。)であってよい。一例では、第2の温度が第1の温度よりも高い場合、第2の処理ガスは、吸着促進ガスを含んでよい。吸着促進ガスは、一例では、リン含有ガス又は窒素含有ガスであってよい。
【0089】
リン含有ガスは、リン含有分子を含むガスである。リン含有分子は、十酸化四リン(P4O10)、八酸化四リン(P4O8)、六酸化四リン(P4O6)等の酸化物であってもよい。十酸化四リンは、五酸化二リン(P2O5)と呼ばれることがある。リン含有分子は、三フッ化リン(PF3)、五フッ化リン(PF5)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、三臭化リン(PBr3)、五臭化リン(PBr5)、ヨウ化リン(PI3)のようなハロゲン化物(ハロゲン化リン)であってもよい。即ち、リンを含む分子は、フッ化リン等、ハロゲン元素としてフッ素を含んでもよい。或いは、リンを含む分子は、ハロゲン元素としてフッ素以外のハロゲン元素を含んでもよい。リン含有分子は、フッ化ホスホリル(POF3)、塩化ホスホリル(POCl3)、臭化ホスホリル(POBr3)のようなハロゲン化ホスホリルであってよい。リン含有分子は、ホスフィン(PH3)、リン化カルシウム(Ca3P2等)、リン酸(H3PO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、ヘキサフルオロリン酸(HPF6)等であってよい。リン含有分子は、フルオロホスフィン類(HgPFh)であってよい。ここで、gとhの和は、3又は5である。フルオロホスフィン類としては、HPF2、H2PF3が例示される。処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、上記のリン含有分子のうち一つ以上のリン含有分子を含み得る。例えば、処理ガスは、少なくとも一つのリン含有分子として、PF3、PCl3、PF5、PCl5、POCl3、PH3、PBr3、又はPBr5の少なくとも一つを含み得る。なお、処理ガスに含まれる各リン含有分子が液体又は固体である場合、各リン含有分子は、加熱等によって気化されてチャンバ10内に供給され得る。また、窒素含有ガスは、一例では、NH3、NF3又はN2からなる群から選択される少なくとも1種を含むガスでよい。また、窒素含有ガスは、チャンバ10又は基板Wの表面においてNH3が生成されるガスの組み合わせであってもよい。
【0090】
工程ST43において、高周波電源62が下部電極18に高周波電力HFを供給して、チャンバ10内にプラズマが生成される。高周波電力HFは、プラズマの生成に適した第1の周波数を有する。第1の周波数は、例えば27MHz~100MHzの範囲内の周波数であってよい。また、高周波電力HFは、上部電極30又はバイアス電極118に供給されてよい。また、バイアス電源64が、バイアス電極118に電気バイアスを供給する。電気バイアスは、パルス波であってよい(
図2参照)。電気バイアスに含まれる各パルスは、高周波電力LF又はパルス電圧を含んで構成されてよい。また、電気バイアスは、下部電極18に供給されてもよい。なお、工程ST43において供給される電気バイアスの電力のレベル(一例では、電気バイアスの電力の実効値又は直流電圧の絶対値の実効値)は、工程ST32において供給される電気バイアスの電力レベルよりも高くてよい。
【0091】
第2の処理ガスがチャンバ10内に供給されて、かつ、チャンバ10内にプラズマが生成されると、シリコン含有膜SFの上面に吸着されたエッチャントが、シリコン含有膜SFと反応して、シリコン含有膜SFがエッチングされる。
【0092】
図9は、工程ST4の実行中における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図9に示すように、開口OP及び凹部RCを通ってシリコン含有膜SFの上面に吸着したエッチャントが、シリコン含有膜SFと反応して、シリコン含有膜SFに凹部RCが更に形成される。凹部RCは、炭素含有膜CF及びシリコン含有膜SFの側壁と底面BTによって規定される。シリコン含有膜SFに凹部RCが形成されると、エッチャントが底面BTに物理的に吸着し、吸着した当該エッチャントによって、シリコン含有膜SFがさらにエッチングされる。すなわち、凹部RCの深さが深くなる。
【0093】
図10は、工程ST4の終了した後における基板Wの断面構造の一例を示す図である。
図10に示すように、工程ST4においてエッチングが実行され、凹部RCが下地膜UFに到達すると(すなわち、凹部RCにおいて下地膜UFの表面が露出すると)、工程ST4を終了する。なお、工程ST4において、下地膜UFの一部がエッチングされてもよい。すなわち、工程ST4において、下地膜UFの一部が、凹部RCの深さ方向にオーバーエッチングされてもよい。
【0094】
以下、本処理方法を評価するために行った実験について説明する。本開示は、以下の実験によって何ら限定されるものではない。
【0095】
(実験1)
実験1は、本処理方法の工程ST3(
図6参照)に関する実験である。実験1では、プラズマ処理装置1を用いて、以下の条件で、基板Wに形成されたアモルファスカーボン膜をエッチングした。アモルファスカーボン膜は、炭素含有膜の一例である。
処理ガス:H
2Oガス、Arガス
設定温度:-70℃~0℃
チャンバ圧力:25mTorr
高周波電力HF:60MHz/100W
高周波電力LF:3.2MHz/1000W
実験1では、基板支持器14の温度を変えてアモルファスカーボン膜をエッチングして、アモルファスカーボン膜のエッチング中において、チャンバ10の内部空間10sにおけるH
2O分子の吸着量とエッチングレートを測定した。
【0096】
図11は、実験1の測定結果を示すグラフである。
図11において、横軸は、基板支持器14の温度(℃)を示す。縦軸は、アモルファスカーボン膜のエッチングレートを示す。
図11に示すように、基板支持器14の温度が約-30℃から、アモルファスカーボン膜のエッチングレートが増加している。すなわち、基板支持器14の温度が約-30℃以下の温度で、H
2O分子が基板Wに物理的に吸着する量が増加し、従って、アモルファスカーボン膜のエッチングにおいてH
2O分子がエッチャントして消費される量が増加してエッチングレートが増加することがわかった。
【0097】
(実験2)
実験2は、本処理方法の工程ST4(
図6参照)に関する実験である。実験2では、プラズマ処理装置1を用いて、以下の条件で、基板Wに形成された、シリコン酸化膜をエッチングした。
処理ガス:HF(フッ化水素)ガス、Arガス、
設定温度:-70℃~0℃
チャンバ圧力:25mTorr
高周波電力HF:60MHz/100W
高周波電力LF:3MHz/1000W
実験2では、基板支持器14の温度を変えて、シリコン酸化膜をエッチングして、シリコン酸化膜のエッチングレートを測定した。
【0098】
図12は、実験2の測定結果を示すグラフである。
図12において、横軸は、基板支持器14の温度(℃)を示す。縦軸は、シリコン酸化膜のエッチングレートを示す。
図12に示すように、基板支持器14の温度が約-40℃から、シリコン酸化膜のエッチングレートが増加している。すなわち、基板支持器14の温度が約-40℃以下の温度で、HF(又は水素原子及びフッ素原子)が基板Wに物理的に吸着する量が増加し、従って、シリコン酸化膜のエッチングにおいてHF(又は水素原子及びフッ素原子)がエッチャントして消費される量が増加してエッチングレートが増加することがわかった。
【0099】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、炭素含有膜(一例では、アモルファスカーボン膜)のエッチング処理とシリコン含有膜(一例では、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜)のエッチング処理の双方において、エッチャントが分子として基板に物理的に吸着してエッチング処理が実行される。これにより、炭素含有膜のエッチング処理とシリコン含有膜のエッチング処理を、容量結合型のプラズマ処理装置における同一のチャンバで、連続して実行することができる。従って、本例示的実施形態によれば、エッチング処理のスループットを向上させることができる。
【0100】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、炭素含有膜のエッチング処理において、エッチャントであるH2O分子が基板に物理的に吸着される。これにより、高密度のプラズマを生成しなくとも、高いエッチング速度で炭素含有膜をエッチングすることができる。
【0101】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、所定のエッチング処理とフッ化水素等の腐食性ガスを用いたエッチング処理を同一のチャンバ内で連続して実行する場合において、当該所定のエッチング処理の前に、当該チャンバの内壁の少なくとも一部を保護膜でプリコートすることができる。これにより、フッ化水素等を用いたエッチング処理において、チャンバの内壁の腐食を抑制することができる。ひいては、チャンバの内壁の腐食によって発生する、チャンバ内の汚染を抑制することができる。
【0102】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。例えば、本処理方法の各工程は、容量結合型プラズマのプラズマ処理装置、誘導結合型プラズマ、マイクロ波プラズマ、ECRプラズマ等、任意のプラズマ源を用いたプラズマ処理装置を用いて実行してよい。また、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【0103】
また、本開示は、以下の実施形態を含み得る。
【0104】
(付記1)
プラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を準備する工程と、
前記基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定する工程と、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給する工程と、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程と、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と、
水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給する工程と、
高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程と
を含む、プラズマ処理方法。
【0105】
(付記2)
前記プラズマ処理装置は、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する基板支持器と、
前記プラズマ処理チャンバ内において、前記基板支持器に対向して設けられた上部電極と
を備え、
前記基板を準備する工程は、前記基板を前記基板支持器に配置する工程を含み、
前記炭素含有膜をエッチングする工程は、前記基板支持器又は前記上部電極に高周波を供給して、前記プラズマ処理チャンバ内において、前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程を含み、
前記シリコン含有膜をエッチングする工程は、前記基板支持器又は前記上部電極に高周波を供給して、前記プラズマ処理チャンバ内において、前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程を含む、付記1に記載のプラズマ処理方法。
【0106】
(付記3)
前記プラズマ処理装置は、
第1のプラズマ処理チャンバ及び第2のプラズマ処理チャンバと、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する第1の基板支持器と、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内において、前記第1の基板支持器に対向して設けられた第1の上部電極と、
前記第2のプラズマ処理チャンバ内に設けられており、基板を支持する第2の基板支持器と、
前記第2のプラズマ処理チャンバ内において、前記第2の基板支持器に対向して設けられた第2の上部電極と
を備え、
前記基板を準備する工程は、前記基板を前記第1の基板支持器に配置する工程を含み、
前記炭素含有膜をエッチングする工程は、前記第1の基板支持器又は前記第1の上部電極に高周波を供給して、前記第1のプラズマ処理チャンバ内において、前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程を含み、
前記プラズマ処理方法は、前記第1の基板支持器から前記第2の基板支持器に前記基板を搬送する工程を更に含み、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程は、前記第2の基板支持器において前記基板の温度を前記第2の温度に設定する工程を含み、
前記シリコン含有膜をエッチングする工程は、前記第2の基板支持器又は前記第2の上部電極に高周波を供給して、前記第2のプラズマ処理チャンバ内において、前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程を含む、付記1に記載のプラズマ処理方法。
【0107】
(付記4)
前記プラズマ処理装置は、前記第1のプラズマ処理チャンバ及び前記第2のプラズマ処理チャンバに接続された搬送チャンバを備え、前記搬送チャンバの内部圧力は大気圧よりも低く、
前記基板を搬送する工程において、前記基板は、前記搬送室を介して、前記第1の基板支持器から前記第2の基板支持器に搬送される、付記3に記載のプラズマ処理方法。
【0108】
(付記5)
前記第2の温度は、前記第1の温度より低い、付記1から4のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【0109】
(付記6)
前記第2の温度は、前記第1の温度より高い、付記1から4のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【0110】
(付記7)
前記炭素含有膜は、アモルファスカーボン膜である、付記1から6のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【0111】
(付記8)
プラズマ処理チャンバを有するプラズマ処理装置において実行されるプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理チャンバ内に炭素含有ガスを供給する工程と、
高周波によって前記炭素含有ガスからプラズマを生成し、前記プラズマ処理チャンバの内壁の少なくとも一部に保護膜を形成する工程と、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を前記プラズマ処理チャンバ内に準備する工程と、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスを前記プラズマ処理チャンバ内に供給して、H2Oを前記基板に供給する工程と、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成し、前記炭素含有膜をエッチングする工程と、
水素及びフッ素を含有するガスを含む第2の処理ガス、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスを含む第2の処理ガスを、前記プラズマ処理チャンバ内に準備された前記基板に供給する工程と、
高周波を供給して前記第2の処理ガスからプラズマを生成し、前記シリコン含有膜をエッチングする工程と
を含む、プラズマ処理方法。
【0112】
(付記9)
前記基板の温度を第1の温度に設定する工程と、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定する工程と
を更に備え、
前記炭素含有膜をエッチングする工程において、前記炭素含有膜は、前記基板が前記第1の温度に設定された後にエッチングされ、
前記シリコン含有膜をエッチングする工程において、前記SiO膜は、前記基板が前記第2の温度に設定された後にエッチングされる、付記8に記載のプラズマ処理方法。
【0113】
(付記10)
前記保護膜は、炭素含有膜である、付記8又は9に記載のプラズマ処理方法。
【0114】
(付記11)
前記プラズマ処理装置は、容量結合型のプラズマ処理装置である、付記1から10のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
【0115】
(付記12)
少なくとも1つのプラズマ処理チャンバと、
前記少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内における基板の温度を設定する温度調整部と、
前記少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内にガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記少なくとも1つのプラズマ処理チャンバ内においてガスからプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
前記温度調整部、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するよう構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定し、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給し、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成して、前記炭素含有膜をエッチングし、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定し、
水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給し、
高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成して、前記シリコン含有膜をエッチングする制御を実行する、プラズマ処理装置。
【0116】
(付記13)
第1のプラズマ処理チャンバを有する第1のプラズマ処理装置及び第2のプラズマ処理チャンバを有する第2のプラズマ処理装置を備えるプラズマ処理システムであって、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内及び前記第2のプラズマ処理チャンバ内に配置された基板の温度を設定する温度調整部と、
前記第1のプラズマ処理チャンバ内及び前記第2のプラズマ処理チャンバ内にガスを供給するように構成されたガス供給部と、
前記第1のプラズマ処理チャンバに結合された誘導結合型のプラズマ生成部と、
前記第2のプラズマ処理チャンバに結合された容量結合型のプラズマ生成部と、
前記温度調整部、前記ガス供給部、前記誘導結合型のプラズマ生成部及び前記容量結合型のプラズマ生成部を制御するよう構成された制御部と
を備え、
前記制御部は、
シリコン含有膜及び前記シリコン含有膜上に形成された炭素含有膜を含む基板を前記第1のプラズマ処理チャンバ内に配置し、
前記基板の温度を0℃以下である第1の温度に設定し、
水素原子及び酸素原子を含む第1の処理ガスによってH2Oを前記基板に供給し、
高周波によって前記第1の処理ガスからプラズマを生成して、前記炭素含有膜をエッチングし、
前記炭素含有膜がエッチングされた前記基板を前記第2のプラズマ処理チャンバ内に配置し、
前記基板の温度を前記第1の温度と異なる第2の温度に設定し、
水素及びフッ素を含有するガスを含むか、又は、水素含有ガス及びフッ素含有ガスの双方を含む、第2の処理ガスを前記基板に供給し、
高周波によって前記第2の処理ガスからプラズマを生成して、前記シリコン含有膜をエッチングする制御を実行する、プラズマ処理システム。
【符号の説明】
【0117】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、13…支持部、14…基板支持器、16…電極プレート、18…下部電極、20…静電チャック、24…ガス供給ライン、25…エッジリング、30…上部電極、38…ガス供給管、40…ガスソース群、41…流量制御器群50…排気装置、62…高周波電源、64…バイアス電源、80…制御部、114…静電チャック、118…バイアス電極、BT…底面、CF…炭素含有膜、CT…制御部、MK…マスク膜、PM…基板処理モジュール、RC…凹部、SF…シリコン含有膜、TM…搬送モジュール、UF…下地膜、W…基板