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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020984
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】その場生成プロセスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230202BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01L21/302 105Z
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022117289
(22)【出願日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】63/226,196
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルン・シャーマ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ギヴンス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
4K030BA05
4K030BA12
4K030BA13
4K030BA14
4K030BA17
4K030BA18
4K030BA20
4K030BA29
4K030BA36
4K030BA38
4K030BA40
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA44
4K030BA46
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA08
4K030EA03
4K030HA01
4K030LA15
5F004BB26
5F004BC03
5F004BD04
5F004CA02
5F004CA04
5F004DA24
5F004DA26
5F004DB12
5F004EA28
(57)【要約】
【課題】本開示は、エッチングプロセス用のハロゲン化水素のその場生成のための方法に関する。
【解決手段】本開示は、基材の表面層上の他の材料(複数可)からの材料の選択的エッチングのためのエッチングプロセスにおける使用のためのハロゲン化水素のその場生成方法、その場生成されたハロゲン化水素を利用するエッチングの方法、および開示されたプロセスを実行するシステムを対象とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセッシング装置におけるエッチング剤のその場生成のための方法であって、水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で、前駆体ハロゲン化物化合物から生成されるハロゲン化水素の形態で、前記半導体プロセッシング装置において前記エッチング剤をその場で生成することを含む、方法。
【請求項2】
前記前駆体ハロゲン化物化合物が、金属ハロゲン化物、非金属ハロゲン化物、半金属ハロゲン化物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体ハロゲン化物化合物が、式MXを含み、式中Xが1つ以上のハロゲン化物であり、かつMが金属、非金属、または半金属であり、かつa=1~8である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体ハロゲン化物化合物が、混合されたハロゲン化物化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体ハロゲン化物化合物が、オキシハロゲン化物化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化水素が、HF、HCl、HBr、HI、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される要素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記反応物質が、水素ガス、水素と酸素との両方を含む化合物、水素と酸素との両方を含むガス混合物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物質が、水、有機酸、過酸化水素(H)、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される水素と酸素との両方を含有する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記反応物質が、HガスとOガスとの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応物質が、酸素および水の混合物を含み、かつ存在する酸素および水の前記混合物が100 ppm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記反応物質が、水素ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
半導体プロセッシング装置内の基材からエッチング可能な材料をエッチングするための方法であって、
水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で、前駆体ハロゲン化物化合物からハロゲン化水素をその場で生成するステップと、
前記ハロゲン化水素を介して、前記半導体プロセッシング装置内の前記基材の表面層から前記エッチング可能な材料を選択的にエッチングするステップと、を含む、方法。
【請求項13】
前記基材が半導体基材を含み、かつ前記表面層が、前記エッチング可能な材料と、前記ハロゲン化水素によってエッチング可能ではないエッチング不可能な材料とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エッチング可能な材料が、金属窒化物、金属、酸化物、炭化物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される要素を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
選択的にエッチングするステップの前に、前記表面層を前記基材上に堆積するステップをさらに含み、前記表面層が少なくとも前記エッチング可能な材料および前記エッチング不可能な材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
生成するステップおよび選択的にエッチングするステップが同時に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
生成するステップが、選択的にエッチングするステップの場所から上流の場所で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ハロゲン化水素は、選択的に除去するステップがその中で行われる反応チャンバの上流に位置する別々の容器内で生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
生成するステップおよび選択的に除去するステップが、前記基材が存在する同じ場所で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
半導体プロセッシング装置であって、
水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で、前駆体ハロゲン化物化合物からハロゲン化水素がその中で生成される、ハロゲン化水素生成空間と、
その表面層上にエッチング可能な材料を含む基材を備える反応チャンバであって、前記ハロゲン化水素を介して前記表面層から前記エッチング可能な材料を選択的に除去するために前記ハロゲン化水素生成空間と流体連通している、反応チャンバとを備える、半導体プロセッシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電子デバイスを製造するために好適な方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示は、エッチングプロセス用のハロゲン化水素のその場生成のための方法、その場生成されたハロゲン化水素を利用するエッチング方法、および開示されるプロセスを実行するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子層堆積(ALD)などの蒸着プロセスは当技術分野で周知である。ALDプロセスは典型的に、気相反応物質の交互パルスおよび連続パルスを利用して、制御された高度にコンフォーマルな様態で材料の単層まで堆積する。ALDによって堆積された薄膜は、集積回路の形成などの幅広い用途で使用される。こうした用途では、材料の制御された除去(エッチング)も非常に望ましい。エッチングプロセスにおける1つの問題は、一般に使用されるエッチング剤が、保存、安全性、および搬送の問題をもたらすことである。例えば、ハロゲン化水素物質、例えばHClまたはHF、特にその無水またはピリジン形態は、ほとんどの容器に対して非常に腐食性であり、また搬送するのが危険である。それ故に、こうした物質を長期間現場に有することは、非常に危険である場合があり、また望ましくない場合がある。その結果、保存、安全性、および搬送の懸念を制限しながら、所望のエッチング剤物質を容易に提供する解決策に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
この発明の概要は、選択された概念を単純化した形態で導入する場合があり、これは以下でさらに詳細に記述される場合がある。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを必ずしも意図してはおらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0004】
本発明の態様は、基材表面からの材料(複数可)の選択された除去(エッチング)のために容易に使用可能なエッチング剤を形成することができるプロセスおよびシステムを開示することによって、当技術分野における欠陥を克服する場合がある。一態様では、エッチング剤を生成するプロセスは、エッチング剤がその場で提供されるようにエッチングプロセスの中へと組み込まれる。このようにして、エッチングプロセスのためのエッチング剤の搬送または長期間の保存は最小限のみが必要となるか、または不要である。他の態様では、エッチング剤を生成するためのプロセスは、その中にエッチング工程を有する堆積プロセスの中へと組み込まれ、これにより材料は、基材上に堆積されて層を形成し、次いで材料は、その場生成されたハロゲン化水素を利用して堆積された層から選択的にエッチングされる。
【0005】
本明細書で使用される場合、「その場」という用語は、本明細書に記述されるようなハロゲン化水素が、エッチングされる基材表面と同じ場所または同じシステム内で生成されることを意味すると理解される。これは、生成されたハロゲン化水素が、エッチングされる基材を収容する同じ容器(例えば、半導体プロセッシング装置の反応チャンバ)内で行われるか、または少なくとも、生成されたハロゲン化水素が、ハロゲン化水素の形成後にエッチングされる基材と流体接続され、かつ/または別の方法で直ちに接触されてもよいかのいずれかを意味する。このようにして、ハロゲン化水素エッチング剤の生成に伴い、例えば、弁の開放に伴い、ハロゲン化水素を基材表面に直ちに送達することができる。
【0006】
一態様では、半導体プロセッシング装置におけるエッチング剤のその場生成のための方法が開示され、方法は、半導体プロセッシング装置において、水素ガス、水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で前駆体ハロゲン化物化合物から生成された、ハロゲン化水素の形態のエッチング剤をその場で生成することを含む。
【0007】
別の態様では、半導体プロセッシング装置内の基材からエッチング可能な材料をエッチングする方法が開示され、方法は、水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で、前駆体ハロゲン化物化合物からハロゲン化水素をその場で生成することと、ハロゲン化水素を介して半導体プロセッシング装置内の基材の表面層からエッチング可能な材料を選択的にエッチングすることと、を含む。
【0008】
また別の態様では、ハロゲン化水素がその中で前駆体ハロゲン化物化合物から水素ガスおよび水素または酸素を含む反応物質の存在下で生成されるハロゲン化水素生成空間と、ハロゲン化水素を介して表面層からエッチング可能な材料を選択的に除去するために、ハロゲン化水素生成空間と流体連通する、その表面層上にエッチング可能な材料を含む基材を含む反応チャンバと、を備える半導体プロセッシング装置が開示される。
【0009】
本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、かつこの明細書の一部を構成する添付図面は、例示的な実施形態を図示し、また記述とともに本開示の原理を説明するのを助ける。図面では以下が示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の態様による、基材の表面層からエッチング可能な材料をエッチングするためのシステムの一実施形態を図示する。
図2図2は、本発明の別の態様による、基材の表面層からエッチング可能な材料をエッチングするためのシステムの一実施形態を図示する。
図3図3は、本発明のまた別の態様による、基材の表面層からエッチング可能な材料をエッチングするためのシステムの一実施形態を図示する。
図4図4は、本発明のまた別の態様による、基材の表面層からエッチング可能な材料をエッチングするためのシステムの一実施形態を図示する。
図5図5は、本発明のまた別の態様による、エッチングされる材料を含む材料を堆積するためのシステムの一実施形態を図示する。
【0011】
図内の要素は単純化および明瞭化のために図示されており、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の図示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に提供される方法、構造、デバイス、および装置の例示的な実施形態の記述は、単に例示的であり、また図示の目的のみを意図している。以下の記述は、本開示の範囲または特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態、または記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態を除外することを意図していない。例えば、様々な実施形態が例示的な実施形態として記載され、従属する特許請求の範囲に引用され得る。
【0013】
本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。別段の記載のない限り、例示的な実施形態またはその構成要素は、組み合わされてもよく、または互いから分離して適用されてもよい。
【0014】
本開示において、任意の二つの変数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、示された任意の範囲は端点を含みうる、または除外しうる。加えて、示された変数の任意の値は(それらが「約」を有して示されているか否かにかかわらず)、正確な値またはおおよその値を指し、また均等物を含み、かつ平均値、中央値、代表値、もしくは大多数、またはこれに類するものを指してもよい。
【0015】
一態様では、半導体プロセッシング装置用のエッチング剤のその場生成のための方法が開示される。方法は、半導体プロセッシング装置用のエッチング剤をその場で生成することを含み、エッチング剤は、水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で前駆体ハロゲン化物化合物から生成されるハロゲン化水素の形態である。
【0016】
一実施形態では、生成は、基材を収容する半導体プロセッシング装置の反応チャンバ内、または別の方法として半導体プロセッシング装置内の反応チャンバと連通する容器内で行われ、これにより、生成されたハロゲン化水素がその場で生成され、また基材の表面層からエッチング可能な材料を選択的にエッチングするために直ちに利用可能である。
【0017】
本明細書に記述されるような生成されたハロゲン化水素は、式、HXを含み、式中Xはハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。ある特定の実施形態では、ハロゲン化水素は、HBr、HCl、HF、HI、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるメンバーを含む。
【0018】
前駆体ハロゲン化物化合物は、水素または水素および酸素の存在下でハロゲン化水素を形成するために好適な任意の好適な化合物(複数可)を含んでもよい。一実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、金属、非金属ハロゲン化物化合物、半金属ハロゲン化物、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、金属、非金属、または半金属ハロゲン化物化合物は、式MXを含み、式中、X=1つ以上のハロゲン化物、式中、Mは金属、非金属、または半金属であり、また式中、a=1~8である。特定の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、金属ハロゲン化物を含む。金属ハロゲン化物の金属は、Al、Zr、またはこれに類するものなどの任意の好適な金属であってもよい。
【0019】
他の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、非金属ハロゲン化物化合物を含む。一実施形態では、非金属化合物は、式MXを含み、式中、Mは非金属であり、X=1つ以上のハロゲン化物であり、またa=1~8である。さらなる実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、半金属ハロゲン化物化合物を含む。一実施形態では、半金属ハロゲン化物化合物は、式MXを含み、式中、Mは半金属であり、X=1つ以上のハロゲン化物であり、またa=1~8である。上記の点から見て、ある特定の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、以下の化合物の群から選択される化合物を含む:
a. 非金属ハロゲン化物、SCl、SeCl、SCl、SeCl、SeF4/6、またはSeClなど、
b. 半金属ハロゲン化物、SiCl、SbCl、SbCl、またはBClなど、
c. 非金属または半金属のオキシハロゲン化物、SeOCl、SOCl、NOF、NOCl、NOF、またはSeOClなど、または
d. 混合ハロゲン化物、NClF、NFCl、NOF、NOCl、またはNOFなど。
【0020】
前駆体ハロゲン化物化合物が、式MXのオキシハロゲン化物化合物を含む時、式中Mは非金属であり、X=1つ以上のハロゲン化物であり、a=1~8であり、化合物の酸素構成成分は、Mの定義に含まれると理解されるが、M対Xの比を計算する上では考慮されない。加えて、前駆体ハロゲン化物化合物が、式MXによる混合ハロゲン化物を含む時、式中Mは非金属であり、X=1つ以上のハロゲン化物であり、またa=1~8であり、式中の2つ以上のハロゲン化物は、ともにXとして考慮されることが理解される。ある特定の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、SまたはSeなどの非金属を含む。他の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、SiまたはSbなどの半金属を含む。
【0021】
特定の実施形態では、ハロゲン化物前駆体化合物は、NbF、TiCl、SiCl、MoF、WF、TaF、AlCl、SbF、SF、SbF、SF、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるメンバーを含む。ある特定の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物が、半金属ハロゲン化物を含む時、半金属は、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。特定の実施形態では、半金属が使用され、また半金属はケイ素を含む。加えて、特定の実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物は、NbFまたはSiClのうちの少なくとも1つを、そしてある特定の実施形態では、NbFまたはSiClの各々を含む。
【0022】
例示の目的のみのために、ハロゲン化水素種の生成は、前駆体ハロゲン化物化合物がNbFおよび/またはSiClを、およびある特定の実施形態では、NbFまたはSiClの各々を含む時、以下の反応(複数可)に従って進む場合がある。
2NbF+5HO→NbOF+HF→Nb+10HF
SiCl+2HO→SiO+4HCl。
【0023】
ハロゲン化水素の生成は、水素または水素および酸素の両方を含む反応物質(本明細書では、そうでなければ単純に「反応物質」と称される)の存在下で行われる。一実施形態では、反応物質は、水素ガス、水素および酸素の両方を含む化合物、または水素および酸素水素ガスの両方を含むガス混合物を含む。それ故に、一実施形態では、ハロゲン化水素の生成は、水素ガスの存在下で行われる。他の実施形態では、水素および酸素の両方が、ハロゲン化物前駆体化合物からのハロゲン化水素種の生成のために利用される。
【0024】
ある特定の実施形態では、水素および酸素の少なくとも一部分は、水、O、オゾン(O)、過酸化水素(H)、有機酸、空気、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される一つ以上のメンバーから提供される。別の方法として、水素および酸素は、水素および酸素の両方を含有する任意の他の好適な種から提供されてもよい。
【0025】
一実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物との反応に必要な水素および酸素は、同じ化合物内に提供される。こうした実施形態では、水素および酸素は、水、過酸化水素、またはギ酸または酢酸などの有機酸の形態で提供されてもよい。特定の実施形態では、酸素/水素化合物は水であり、また水の存在下でのハロゲン化水素の生成は、酸素の非存在下でも行われる。ある特定の実施形態では、水素および酸素の両方を含む化合物は、水素および酸素のみを含む。
【0026】
他の実施形態では、水素および酸素は、ハロゲン化水素を生成するために、ハロゲン化物前駆体化合物との反応のためにガス混合物内に別個の種として提供される。一実施形態では、水素は、水素(H)ガスの形態で提供され、一方で酸素は、Oまたはオゾン(O)の形態で提供される。ある特定の実施形態では、ガス混合物は、HおよびOを含む。ある特定の実施形態では、ガス混合物は、水素および酸素ガスのみから成る。
【0027】
他の実施形態では、反応物質は、水とOとの混合物を含む。ある特定の実施形態では、反応物質は水を含む。他の実施形態では、酸素および水素の両方が、空気の形態で、前駆体ハロゲン化物化合物との反応のために提供される。
【0028】
前駆体ハロゲン化物化合物と反応物質との比は、対象とする反応(複数可)を進めることができる任意の好適な量であってもよい。ある特定の実施形態では、水素および酸素の両方が存在し、また水素および酸素の量は、100ppm以下、50ppm以下、20ppm以下の量で存在し、またある特定の実施形態では10ppm以下の量で存在する。ある特定の実施形態では、ハロゲン化水素の生成のために存在する水素および酸素の少なくとも一部分は、酸素および水の形態であり、また存在する水および酸素の総量は、100ppm以下、50ppm以下、20ppm以下、または10ppm以下である。HおよびOの混合物を含む実施形態では、混合物は、<5体積%、<10体積%、>60体積%、または>70体積%の量でHを含んでもよい。HおよびHOを含む実施形態では、混合物は、Hを、50体積%超、60体積%超、70体積%超、80体積%超、または99.5体積%未満の量で含んでもよい。
【0029】
ハロゲン化水素の生成は、所望の量のハロゲン化水素を提供するために、任意の好適な温度および圧力で行われてもよい。一実施形態では、温度は、0℃~500℃(0℃~200℃など)であってもよい。ある特定の実施形態では、温度は、20℃~100℃、または100℃~200℃であってもよい。ある特定の実施形態では、ハロゲン化水素の生成は、周囲温度または室温で行われる。例としてのみであるが、NbFおよびSiClは、それぞれHFおよびHClを生成するために、室温において水素および酸素と反応してもよい。
【0030】
一実施形態では、ハロゲン化水素の生成のための圧力は、0.01 Torr~300 Torr(0.01 Torr~1 Torrなど)であってもよい。ある特定の実施形態では、圧力は、1 Torr~10 Torr、10 Torr~100 Torr、100 Torr~300 Torr、または任意の他の好適な範囲の範囲内であってもよい。
【0031】
ある特定の実施形態では、温度および/または圧力は、例えば、ハロゲン化水素の反応速度を増加または減少するために、修正されてもよい(増加または減少されてもよい)。例として、NbFおよびSiClの各々に対して、温度が20℃から増加するにつれて、反応速度は増加し、またそれぞれHFおよびHClへの変換が増加する。ある特定の実施形態では、その代わりに圧力が、または圧力も、例えば、ハロゲン化水素の反応速度を増加または減少するために、修正されてもよい(増加または減少されてもよい)。
【0032】
特定の実施形態では、ハロゲン化水素の反応速度を増加させるために、例えば、温度は、少なくとも20℃の温度まで上昇し、かつ/または圧力は、少なくとも1 Torrまで増加する。ハロゲン化水素が本明細書に記載のエッチング剤として利用される時、前駆体ハロゲン化物化合物からのハロゲン化水素の生成は、ハロゲン化水素(エッチング剤)の所望の用量を提供するように好適に制御されてもよいことが理解される。
【0033】
上記に記載されるように、ハロゲン化水素種の生成のためのプロセスは、半導体プロセッシング装置内の材料のエッチングのためのハロゲン化水素のその場生成のために、半導体プロセッシング装置内で利用されてもよい。そのため、本発明の別の態様によると、水素または水素および酸素を含む反応物質の存在下で、前駆体ハロゲン化物からハロゲン化水素をその場で生成することと、ハロゲン化水素を介して基材の表面層からエッチング可能な材料を選択的にエッチングすることと、を含む、エッチング可能な材料を基材からエッチングするための方法が開示される。選択的にエッチングする工程は、典型的には、半導体プロセッシング装置の反応チャンバ内で実施される。
【0034】
半導体プロセッシング装置は、市販のユニットを含むその中の基材を堆積および/またはエッチングするために、当技術分野で知られている任意の好適な装置を備えてもよい。一実施形態では、半導体プロセッシング装置は、その中に基材を収容するための少なくとも1つの反応チャンバを備える反応器を備える。反応器は、例えば、2つ、3つ、6つ、または8つの反応チャンバを有してもよく、また反応器への所望の材料の入力のために必要な任意の好適な流体経路、弁などを備えてもよい。
【0035】
一部の実施形態では、反応器は、集積回路の形成のために様々な異なるプロセスが実行されるクラスタツールの一部であってもよい。一部の実施形態では、反応器はフロータイプの反応器である。一部の実施形態では、反応器はシャワーヘッドタイプの反応器であってもよい。他の実施形態では、反応器は、空間分割された反応器を備えてもよい。一部の実施形態では、反応器は、大量生産の能力を有する枚葉式原子層堆積反応器であってもよい。他の実施形態では、反応器は、多数の基材をその中に含むバッチ式反応器であってもよい。
【0036】
このプロセスでは、ハロゲン化水素の生成は上述のように行われる。ある特定の実施形態では、生成されたハロゲン化水素は、好適な容器内に保存されてもよく、次いで、反応チャンバ内に位置する基材の表面層から1つ以上のエッチング可能な材料の選択的エッチングのために、半導体プロセッシング装置の1つ以上の反応チャンバに送達されてもよい。他の実施形態では、ハロゲン化水素の生成は、反応チャンバ自体の中で行われてもよく、またある特定の実施形態では、ハロゲン化水素は、基材の表面上に形成されてもよい。
【0037】
ハロゲン化水素は、ハロゲン化水素によってエッチング可能な基材の表面層から、選択的に1つ以上の材料をエッチングし、一方でハロゲン化水素によってエッチングできない1つ以上の材料を残すことになり、ゆえに「選択的エッチング」という用語である。本明細書で使用される場合、基材という用語は、形成するために使用されてもよい、またはその上にデバイス、回路、もしくは材料層が形成されてもよい、任意の下地材料(複数可)を指してもよい。基材は、シリコン(例えば、単結晶シリコン)などのバルク材料を含むことができ、またバルク材料の上にある1つ以上の層を含むことができる。基材は、基材の層の少なくとも一部分の内部または上に形成された、凹部、線、トレンチ、またはフィンなどの上昇している部分の間の空間、およびこれに類するものを含むギャップなどの、様々なトポロジーをさらに含んでもよい。好適な基材材料としては、窒化物、酸化物、絶縁材料、誘電材料、導電性材料、金属(タングステン、ルテニウム、モリブデン、または銅など)、もしくは金属材料、結晶材料、エピタキシャル、ヘテロエピタキシャル、および/または単結晶材料が挙げられてもよい。ある特定の実施形態では、基材は、シリコンウエハなどの半導体基材を含む。
【0038】
基材は、表面層を有し、表面層は、ハロゲン化水素によってエッチングされてもよい少なくとも1つの材料(「エッチング可能な材料」)と、ハロゲン化水素によってエッチングされない少なくとも1つの材料(「エッチング不可能な材料」)とを含む、少なくとも1つの最も外側の面を指す。このようにして、その場生成されたハロゲン化水素は、表面層からエッチング可能な材料を選択的にエッチングしてもよい。ある特定の実施形態では、基材は半導体基材を含み、また層の表面層はエッチング可能な材料およびエッチング不可能な材料を含む。
【0039】
一実施形態では、エッチング可能な材料は、ハロゲン化水素によってエッチングされる場合がある任意の材料を含んでもよい。一実施形態では、エッチング可能な材料としては、TiN、TaN、もしくはMoNなどの金属窒化物、Mo、Nb、Ti、Ni、もしくはCoなどの金属、TiO、Ta2O、もしくはSiOなどの酸化物、またはTiC、TaC、もしくはMoCなどの金属炭化物のうちの1つ以上が挙げられる。特定の実施形態では、エッチング可能な材料としては、AlO、HfO、またはTiOが挙げられる。ある特定の実施形態では、エッチング可能な材料は、AlOを含み、ハロゲン化水素を介して、表面層内の少なくとも1つの他のエッチング不可能な材料から選択的にエッチングされてもよい。
【0040】
AlOは、Alを含む任意の化学量論のものであってもよいが、本発明はAlに限定されないことが理解される。他の実施形態では、AlOは、ドープされたALD成長AlOを含んでもよい。ドーパントは、H、Si、Hf、Ti、Zr、またはNbなどの好適な材料であってもよい。AlOはさらに、非晶質または結晶化されたものであってもよい。非晶質AlOは、結晶化されたAlOより速くエッチングされる傾向がある。一実施形態では、Al:Oの比、材料の厚さ、またはアニーリング条件は、ハロゲン化水素によるエッチング選択性にさらに寄与してもよい。エッチングはまた、ドーパントレベルに依存する可能性がある。例えば、同様のエッチング条件下で、5原子%未満TiドープされたAlOなどの軽くドープされたTi:AlOは、5原子%超など、重くドープされたTi:AlOよりゆっくりとエッチングする。異なるエッチング条件下で、5原子%未満TiドープされたAlOxなどの軽くドープされたTi:AlOは、5原子%超など、重くドープされたTi:AlOより速くエッチングする。
【0041】
基材の表面層のエッチング不可能な材料は、ハロゲン化水素によってエッチングされない任意の好適な材料を含んでもよい。例示的なエッチング不可能な材料としては、窒化物、酸化物、例えば、酸化ケイ素、またはこれに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。特定の実施形態では、エッチング不可能な材料は、TiN、W、SiN、Si、およびAlNから成る群から選択されるメンバーを含む。エッチング化学物質、および温度、エッチング持続時間、圧力、およびエッチング剤濃度などのエッチング条件は、1つの材料を別の材料に対して選択的にエッチングするように、特定の用途の必要性に従って選択されてもよい。それ故に、所与の材料は、一部の条件下ではエッチング可能な材料であってもよく、また他の条件下ではエッチング不可能な材料であってもよい。実施例として、ある特定のエッチング条件下では、Alは、350℃で開始する温度でエッチングされる、一方でSiOは、少なくとも430℃までエッチング不可能なままである。別の実施例は、TiNは、200℃で開始する温度を上回るとエッチングされ、一方でSiOおよびAlは、同様のエッチング条件下ではエッチング不可能なままである。窒化ケイ素もまた、このように同様のエッチング条件下では少なくとも350℃までエッチング不可能であり、一方でTINおよびAlはエッチングすることができる。
【0042】
基材は、所望の程度のエッチングをもたらすために効果的な任意の好適な持続時間の間、生成されたハロゲン化水素と接触してもよい。一実施形態では、持続時間は、0.5秒~60秒(0.5秒~5秒など)である。ある特定の実施形態では、生成されたハロゲン化水素は、好適なキャリアガスを介して反応チャンバの中へと導入される。ある特定の実施形態では、キャリアガスは窒素を含む。特定の実施形態では、選択的エッチング工程は、6.0以下の純度を有する窒素(N)を利用して行われ、またある特定の実施形態では、5.0以下の純度を有するハロゲン化水素のためのキャリアガスを利用して行われる。ある特定の実施形態では、6.0以下の純度を有する窒素ガスは、全部ではないとしても、所望の量のハロゲン化水素を生成するために必要な水素および酸素の一部分を提供してもよい。
【0043】
加えて、エッチングは、任意の好適な温度で行われてもよい。一実施形態では、エッチングは、20℃~1200℃(250℃~600℃または390℃~470℃など)の温度で行われる。加えて、エッチングは、所望の結果を達成するために任意の好適なエッチング速度で行われてもよい。一実施形態では、エッチングは、0.01から5Å/サイクルのエッチング速度で行われる。ある特定の実施形態では、エッチング速度は、0.01~0.1Å/サイクル、0.1~1Å/サイクル、または1Å/サイクル~5Å/サイクルである。ある特定の実施形態では、エッチング速度は、ハロゲン化水素の分圧に依存する。このようにして、エッチング速度は、例えば、ハロゲン化水素の分圧を増加させることによって制御されてもよい。
【0044】
ハロゲン化水素の濃度は、所望のエッチングを達成するために効果的な任意の好適な量であってもよい。一実施形態では、濃度は、ハロゲン化水素の分圧として測定され、またハロゲン化水素は、0.01~0.9 Pa(0.1~0.5 Paなど)の分圧で提供される。他の実施形態では、濃度は、ハロゲン化水素の質量流を交互にすることによって変化されてもよい。
【0045】
ある特定の実施形態では、生成工程および選択的エッチング工程は同時に行われる。例えば、一実施形態では、ハロゲン化水素は、半導体プロセッシング装置の反応チャンバ自体の中で形成されてもよく、こうしたハロゲン化水素は、選択的エッチング工程のために直ちに利用可能である。他の実施形態では、生成工程および選択的エッチング工程は非同時に実施されてもよい。
【0046】
いずれの場合でも(同時または非同時)、ハロゲン化水素を生成する工程は、反応チャンバの上流に位置する個別の容器内で生成されてもよく、選択的にエッチングする工程はその中で行われる。特定の実施形態では、ハロゲン化水素は、第1のハウジング、例えば、反応チャンバの上流に位置する反応器容器内で生成されてもよく、そしてその後、必要に応じて、エッチングのために反応チャンバに方向付けられてもよい。他の実施形態では、ハロゲン化水素の生成は、第1の反応器容器内で行われてもよく、生成されたハロゲン化水素は第2のハウジング内に保存され、そしてハロゲン化水素は、エッチングの必要に応じて、第2のハウジングから反応チャンバへと方向付けられる。一実施形態では、ハロゲン化水素は、依然として第1の反応器容器内で生成される一方で、エッチングのために反応チャンバへと送達される。
【0047】
一部の実施形態では、必要に応じて、基材の曝露された表面は、エッチング前に基材表面特性を修正するために前処理することができる。一部の実施形態では、別個の前処理工程は必要とされない。一部の実施形態では、基材は、所望の表面結果を提供するために前処理される。一部の実施形態では、基材はプラズマで前処理される。
【0048】
ある特定の実施形態では、エッチングは、約20~約1200℃、約50~約800℃、約75~約600℃、約300℃~約500℃、または約350℃~約450℃の範囲の温度で実施されてもよい。一部の実施形態では、温度は、約20、50、または100℃超であるが、約1000、800、600、または500℃未満である。一部の実施形態では、サイクルは、約450℃の温度で実行される。
【0049】
加えて、エッチングは、約0.001~約100 torrの圧力で行われてもよい。しかしながら、特定の状況を考慮すると、当業者によって圧力を決定することができるので、一部の事例では、圧力はこの範囲より高いまたはより低いであろう。一部の事例では、反応器は、等温(ホットウォールなど)または非等温(コールドウォールなど)条件のいずれかで動作することができる。ある特定の実施形態では、反応器はエッチング化学物質とは相互作用せず、また基材とも相互作用しない場合がある。一部の実施形態では、反応器はホットウォール、コールドウォール、そしてウォームウォールタイプの反応チャンバとすることさえもできる。
【0050】
別の態様によると、本明細書に開示されるハロゲン化水素およびエッチングプロセスは、堆積プロセスと統合されてもよく、これにより、生成されたハロゲン化水素は、堆積からもたらされた堆積された材料からエッチング可能な材料をエッチングするために利用されてもよい。限定されないが、堆積プロセスは、化学蒸着(CVD)、プラズマ強化CVD(PE)、物理蒸着(PVD)、原子層堆積(ALD)、またはプラズマ強化ALD(PEALD)プロセスであってもよい。一実施形態では、本明細書に開示されるようなハロゲン化水素のその場生成および/またはエッチングのためのプロセスは、基材上に材料を堆積させるプロセスの中へと組み込まれる。それ故に、ある特定の実施形態では、本明細書に記述されるような方法は、選択的エッチングの前に、表面層を基材上に堆積することをさらに含んでもよく、表面層は、少なくともエッチング可能な材料およびエッチング不可能な材料を含む。一実施形態では、堆積は、原子層堆積(ALD)プロセスによって行われる。
【0051】
本明細書で使用される場合、ALDプロセスは、複数の連続的な堆積サイクルなどの堆積サイクルが行われる蒸着プロセスを指す。ALDは、前駆体化学物質の、制御された、多くの場合は自己限定的な表面反応に基づく。気相反応は、前駆体を交互に、かつ逐次的に反応チャンバの中へと供給することによって回避される。一般的に、各サイクル中に、第1の前駆体は堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積された材料または他の材料を含んでもよい基材表面)へと化学吸着され、それによって追加の第1の前駆体と容易には反応しない材料のほぼ単層またはサブ単層を形成する。その後、一部の事例では、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料へと変換するのに使用するために、第2の前駆体または反応ガスはその後、反応チャンバの中へと導入されてもよい。
【0052】
気相反応物質は、例えば、反応物質パルス間に反応チャンバから過剰な反応物質および/または反応物質副産物を除去することによって、反応チャンバ内で互いに分離される。これは、排出工程を用いて、かつ/または不活性ガスパルスもしくはパージを用いて達成されてもよい。一部の実施形態では、基材は、パージガス、例えば不活性ガスと接触する。例えば、過剰な反応物質および反応副産物を除去するために、反応物質パルス間に、基材はパージガスと接触してもよい。
【0053】
ある特定の実施形態では、堆積プロセス、例えば、ALDプロセスは、ハロゲン化水素によってエッチング可能な材料である材料(エッチング可能な材料)だけでなく、ハロゲン化水素によってエッチング不可能な材料である材料(エッチング不可能な材料)も堆積させることになる。このようにして、エッチング可能な材料は、基材の表面層から選択的にエッチングされてもよい。選択的エッチング工程は、堆積が行われた後の任意の好適な時間枠において実施されてもよい。
【0054】
別の態様によると、選択的エッチングが、その代わりに反応容器またはチャンバの壁をクリーニングするために使用されてもよいことも企図される。例えば、ハロゲン化水素によってエッチング可能な材料(複数可)が、壁の表面上、例えば、望ましくない金属または金属酸化物上に収集される場合、生成されたハロゲン化水素は、壁からエッチング可能な材料(複数可)を低減または完全に除去するために利用されてもよい。このように、一実施形態では、基材は、反応チャンバの壁を備えてもよい。エッチングは、堆積プロセスにおいて任意の好適な時点で行われてもよい。
【0055】
基材表面から材料を除去するために、または基材表面を平坦化するために使用される化学機械研磨(CMP)などの半導体装置製造の一部のプロセッシング工程は、基材表面上に汚染材料を残す場合がある。別の実施例として、異なる材料の区域選択的な堆積は、基材の望ましくない表面上での標的材料の成長につながる場合がある。本開示による選択的エッチングは、例えばCuなどの金属、またはAlOなどの金属酸化物などの望ましくない材料を基材から除去するために使用されてもよい。
【0056】
別の態様によると、上述の方法を実行するための半導体プロセッシング装置が開示される。一実施形態では、装置は、ハロゲン化水素生成空間を備え、その中でハロゲン化水素が水素および酸素の存在下でハロゲン化物前駆体化合物から生成される。加えて、装置は、ハロゲン化水素を介して表面層からエッチング可能な材料を選択的に除去するために、ハロゲン化水素生成空間と流体連通するその表面層上にエッチング可能な材料を含む基材を備える反応チャンバをさらに含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン化水素生成空間」は、エッチングのために反応チャンバに送達されるハロゲン化水素の少なくとも大部分が生成される場所を一般的に指す。ある特定の実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、基材と同じ場所の中に位置してもよい。例えば、一実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、反応チャンバ自体の中に位置してもよい。他の実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、壁を有するハウジング内に位置してもよく、ハロゲン化水素生成空間は、反応チャンバとは別々であるが、反応チャンバと流体連通している。例えば、特定の実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、例えば、シールされた容器または生成チャンバなどの専用の容器内に位置してもよく、反応物質(複数可)のための入力および生成されたハロゲン化物前駆体化合物の反応チャンバへの送達のための出口を有する。他の実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、ハロゲン化水素の生成のための反応物質のうちの少なくとも1つの供給源内に位置してもよい。ある特定の実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、反応チャンバの上流に位置してもよいが、それと流体接続したままである。
【0058】
さらに、ある特定の実施形態では、装置は、前駆体ハロゲン化物化合物の供給源と、ハロゲン化水素生成空間と流体連通する反応物質(水素または水素および酸素構成成分)の供給源と、を備える。ある特定の実施形態では、ハロゲン化水素生成空間は、反応のために必要とされる構成要素のうちの1つの中に位置してもよい。例えば、ハロゲン化水素生成空間は、ハロゲン化物前駆体化合物の供給源とともに位置してもよい。こうした事例では、水素および酸素は、前駆体ハロゲン化物化合物の供給源の中へと導入されて、前駆体ハロゲン化物化合物の供給源内のハロゲン化水素の生成を可能にする。装置は、材料のハロゲン化水素生成空間への送達のために必要に応じて好適な流体ライン、弁、ポンプ、またはその他の構成要素をさらに含むことが理解される。
【0059】
一実施形態では、前駆体ハロゲン化物化合物の供給源は、第1の弁と流体連通しており、また反応物質は、第2の弁と流体連通しており、そして装置は、第1の弁および第2の弁に動作可能に接続されたコントローラをさらに備える。コントローラは、第1の弁および第2の弁を通して、前駆体ハロゲン化物化合物および反応物質をハロゲン化水素生成空間へと供給することを制御するように構成され、かつプログラムされる。コントローラは、プロセッサ、CPU、サーバー、メインフレーム、または1つの場所から別の場所への材料の流れを調整および制御する能力を有する他の好適なコントローラまたはデバイスであってもよい。
【0060】
ある特定の実施形態では、エッチング工程のために多数のハロゲン化水素が生成される。こうした事例では、第1のハロゲン化水素は、エッチングのために反応チャンバの中へと導入され、その後に、第1のハロゲン化水素とは異なる少なくとも第2のハロゲン化水素が続いてもよい。その結果、一実施形態では、装置は、二つの別個のハロゲン化水素の生成を実行するために、複数のハロゲン化水素生成空間、または本明細書に記述されるような任意の他の構成要素をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、複数のハロゲン化水素生成空間は、各々が特定のハロゲン化水素の生成に対して専用であるように、少なくとも第1の反応容器と、第1の反応容器とは別々の第2の反応容器とを備える。一部の実施形態では、複数のハロゲン化水素が、単一のハロゲン化水素生成空間で生成されてもよい。
【0061】
また上述したように、本明細書に記述されるハロゲン化水素のその場生成工程およびエッチング工程は、当技術分野で知られているように、堆積プロセス、例えば、ALDプロセスに組み込まれてもよい。このように、ある特定の実施形態では、装置は、堆積プロセスを実行するために必要な任意の構成要素をさらに含んでもよい。一実施形態では、例えば、装置は、少なくとも1つの他の金属または半金属材料とともに、エッチング可能な材料を含む堆積材料の1つ以上の供給源を備えてもよい。堆積材料の1つ以上の供給源は、基材上の堆積のため、および基材上に表面層を形成するために、エッチング可能な材料、および少なくとも1つの他の金属または半金属材料を供給するように配設される。
【0062】
加えて、ある特定の実施形態では、堆積材料の供給源(複数可)は、第3の弁と流体連通する。ハロゲン化水素の生成のための反応物質と同様に、コントローラは、第3の弁に動作可能に接続されてもよく、また堆積材料(複数可)の基材上の堆積のために第3の弁を通して反応チャンバに堆積材料(複数可)を供給することを制御するよう構成され、かつプログラムされてもよい。
【0063】
ある特定の実施形態では、少なくとも一時的にハロゲン化水素を含む任意のハウジングは、耐食性材料から形成されてもよく、または耐食性コーティングまたはこれに類するものを含んでもよい。一実施形態では、ハウジングは、石英材料または耐食性金属もしくは金属合金(例えば、ハステロイまたはモネルなど)から形成されてもよい。他の実施形態では、ハロゲン化水素を含むハウジングは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはテレフタレートコポリマー(PETG)、またはポリアミド系コポリマーなどのフッ素系膜でコーティングされてもよい。
【0064】
一部の実施形態では、装置は、2つ以上の反応チャンバを含んでもよい。一部の実施形態では、装置は、2つ以上の反応ステーション(マルチステーションチャンバ)を含む少なくとも1つの反応チャンバを備えてもよい。一部の実施形態では、エッチングおよび堆積は、異なるステーションおよび/またはチャンバで実施されてもよい。
【0065】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の態様による、ハロゲン化水素のその場生成を実行するための装置10を図示する。図1の実施形態では、ハロゲン化水素の生成は、反応チャンバ12の上流で行われる。反応チャンバ12は、エッチングされる表面層を有する基材14を収容する。示されるように、ハロゲン化水素の生成のための反応物質(例えば、水素もしくは酸素/水素反応物質(複数可)20のいずれか)、または前駆体ハロゲン化物化合物反応物質(複数可)22のいずれかをその中に収容してもよい第1の容器16がある。反応のための反応物質20、22のうちのもう一方を収容する第2の容器18が提供される。キャリアガス24、例えば6.0または5.0窒素は、その好適な供給源から第1の容器16へと流れて、所望の量の反応物質20を第1の容器16から第2の容器18へと搬送する。水素または水素および酸素20の存在下での前駆体ハロゲン化物化合物22からのハロゲン化水素28の生成は、第2の容器18内で行われ、それによってハロゲン化水素生成空間26を画定する。一旦形成されると、ハロゲン化水素28は、エッチング工程のために、キャリアガス24を介して反応チャンバ12へと方向付けられてもよい。
【0066】
示されるように、装置10は、装置10を通る材料の流れを制御するために、1つ以上の弁40(図1および図5)(例えば、ニードル弁、手動弁、空気圧弁、または他の弁)、ポンプ、またはこれに類するものを含んでもよい。コントローラ32が含まれてもよく、コントローラ32は、当業者によってよく理解されるであろうように、装置を通した構成成分の流れおよび送達を制御するために、装置の弁、ポンプ、および構成要素に動作可能に接続される。
【0067】
図2を参照すると、装置の別の実施形態が示され、ハロゲン化水素はその代わりに、容器、例えば、第2の容器18の中で生成される。しかしながら、この例では、示されるように、水素または酸素および水素含有構成成分などの第1の反応物質を収容する第1の容器16はない。この実施形態では、適切な純度、例えば、6.0以下の純度を有するキャリアガスは、反応が行われるために必要な酸素および水素を提供する。特に、キャリアガス24は、第2の容器18内での金属または半金属ハロゲン化物との反応のために第2の容器18へと方向付けられてハロゲン化水素28を形成し、次いで反応チャンバ12へと方向付けられる。
【0068】
別の実施形態では、図3に示すように、構成はまた、ハロゲン化水素28の生成がその中で行われる専用の反応容器34の追加を除いて、図1と類似の配設を有してもよい。この実施形態では、キャリアガス24は、前駆体ハロゲン化物化合物20または反応物質22(水素または水素および酸素)であってもよい反応物質20を、専用の反応容器34へと搬送する。加えて、同じまたは異なる供給源からのキャリアガス24は、次に反応物質22を専用の反応容器34へと方向付ける。
【0069】
さらに別の実施形態では、図4に示すように、ハロゲン化水素28の生成は、基材14が位置する同じ場所の中で、例えば、装置10の反応チャンバ12の中で、行われてもよいことが企図される。例えば、図4に示すように、第1の容器16からの前駆体ハロゲン化物化合物20、および第2の容器18からの反応物質22(例えば、水素または水素および酸素)は、反応チャンバ12へと方向付けられてもよく、そしてその後反応チャンバ12内で反応されてもよい。このようにして、生成されたハロゲン化水素、例えば、HFまたはHClは、基材14の表面層上で生成されてもよい。
【0070】
さらなる実施形態では、上述のように、本明細書に記述されるハロゲン化水素を生成するための方法、およびエッチングするための方法は、基材上に膜を堆積するための方法と併せて利用されてもよく、堆積は、少なくとも、ハロゲン化水素でエッチングされる材料(エッチング可能な材料)、および水素ハロゲン化水素によってエッチングされない材料を含む。堆積を達成するために、図5に示すように、装置10は、堆積のために1つ以上の前駆体の供給源をさらに含んでもよい。示される実施形態では、第1の前駆体の供給源36と第2の前駆体の供給源38が提供され、これは、反応チャンバ12内の基材14上の前駆体材料の堆積のために、第1の前駆体および第2の前駆体を反応チャンバ12へと送達してもよい。上記と同様に、1つ以上の弁40は、反応チャンバ12の中への第1の前駆体または第2の前駆体の流れの制御を可能にするように好適な流体経路上に提供されてもよい。加えて、前駆体供給源36、38は、パージガス42を制御するための弁40を有する標準的なALD配設の一部であってもよく、これにより、パージガス42は、反応への前駆体の導入/パルスに続いて、またはそうでなければ必要な時に、好適な供給源から反応チャンバ12の中へと導入されてもよい。水素の生成のための構成要素、例えば、第1の容器16、第2の容器18、およびこれに類するものは、図示の簡単のために図示されていないが、図5に示す構成要素との任意の配設で組み合わせ可能であると理解される。
【0071】
本明細書に記述される構成および/または取り組みは本質的に例示的であり、またこれらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるため、限定的な意味と考えられるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記述される具体的なルーチンまたは方法は、任意の数のプロセッシング方策のうちの1つ以上を表す場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示される順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または一部の事例では省略されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 装置
12 反応チャンバ
14 基材
16 第1の容器
18 第2の容器
20 反応物質
22 反応物質
24 キャリアガス
26 ハロゲン化水素生成空間
28 ハロゲン化水素
32 コントローラ
34 反応容器
36 第1の前駆体供給源
38 第2の前駆体の供給源
40 弁
42 パージガス
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】