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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002108
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】マーカ
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103137
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】薮下 翔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
(72)【発明者】
【氏名】西井 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】名和田 一理
(72)【発明者】
【氏名】栗原 一真
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 遼平
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065BB05
2F065BB27
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF41
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065MM07
2F065MM08
2F065PP04
2F065PP05
2F065QQ13
2F065QQ25
(57)【要約】
【課題】高い精度でマーカの位置を認識できるマーカを提供する。
【解決手段】マーカ1の位置認識部3は、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚情報の光の強度を変化させる。このような光の強度の変化は、観察角度θとの対応関係を予め把握しておくことで、微小な観察角度θの変化を示すパラメータとして用いることができる。また、光の強度の変化を把握して観察角度θを演算する方法は、視覚情報中のパターンの位置関係を把握して観察角度を演算する方法(例えば後述の図8の方法)などに比して、精度ずれが発生する工程を低減することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測する方向に応じて観察位置にて観測される視覚情報が変化する位置認識部を有するマーカであって、
前記位置認識部は、前記観察位置からの前記位置認識部に対する観察角度に応じて、前記観察位置にて観察可能な前記視覚情報の光の強度を変化させる、マーカ。
【請求項2】
前記位置認識部は、
配列された複数のレンズ部と、
前記レンズ部の裏面側に形成され、前記視覚情報を形成する認識部と、を有する、請求項1に記載のマーカ。
【請求項3】
前記認識部は、一つあたりの前記レンズ部に対して、互いに離間して複数形成される、請求項2に記載のマーカ。
【請求項4】
前記認識部は、前記観察角度に応じて、前記観察位置にて観察可能な光の強度を変化させる形状を有する、請求項2又は3に記載のマーカ。
【請求項5】
前記位置認識部は、前記レンズ部及び前記認識部の裏面側に設けられた再帰反射部材を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載のマーカ。
【請求項6】
前記位置認識部は、前記視覚情報として、互いに離間した複数の視覚領域を表示可能であり、
前記観察位置からの前記位置認識部に対する観察角度に応じて、前記視覚領域の個数を変化させると共に、何れかの前記視覚領域の光の強度を変化させる、請求項1~5の何れか一項に記載のマーカ。
【請求項7】
観測する方向に応じて観察位置にて観測される視覚情報が変化する位置認識部を有するマーカであって、
前記位置認識部は、
前記視覚情報として、所定の表示態様で示される視覚領域を表示可能であり、
前記観察位置からの前記位置認識部に対する観察角度に応じて、前記観察位置にて観察可能な前記視覚領域の形状、及び個数の少なくとも一方を変化させる、マーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるようなマーカが知られている。このマーカは、物体の位置及び姿勢等を認識するために当該物体に取り付けられる。カメラでマーカを撮影することで、画像におけるマーカの見え方などに基づいて、カメラとマーカとの相対的な位置関係を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-85771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のようなマーカは、カメラとマーカとの相対的な位置関係を示すために、観察位置から所定の視覚情報が得られるように構成される。そして、画像中での視覚情報のパターンなどの位置関係に基づいて、カメラとマーカとの位置関係を演算するが、位置関係の把握を行う場合に精度ずれが発生する可能性がある。この場合、マーカの位置の認識の精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、高い精度でマーカの位置を認識できるマーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るマーカは、観測する方向に応じて観察位置にて観測される視覚情報が変化する位置認識部を有するマーカであって、位置認識部は、観察位置からの位置認識部に対する観察角度に応じて、観察位置にて観察可能な視覚情報の光の強度を変化させる。
【0007】
マーカの位置認識部は、観察位置からの位置認識部に対する観察角度に応じて、観察位置にて観察可能な視覚情報の光の強度を変化させる。このような光の強度の変化は、観察角度との対応関係を予め把握しておくことで、微小な観察角度の変化を示すパラメータとして用いることができる。また、光の強度の変化を把握して観察角度を演算する方法は、視覚情報中のパターンの位置関係を把握して観察角度を演算する方法などに比して、精度ずれが発生する工程を低減することができる。以上より、高い精度でマーカの位置を認識することが可能となる。
【0008】
位置認識部は、配列された複数のレンズ部と、レンズ部の裏面側に形成され、視覚情報を形成する認識部と、を有してよい。この場合、位置認識部として好適な構成とすることができる。
【0009】
認識部は、一つあたりのレンズ部に対して、互いに離間して複数形成されてよい。このような位置認識部は、一つあたりのレンズ部に対して一つの認識部が形成されるような位置認識部に比して、視覚情報から得られる情報量を増やすことができる。
【0010】
認識部は、観察角度に応じて、観察位置にて観察可能な光の強度を変化させる形状を有してよい。この場合、認識部の形状を調整するだけで、容易に光の強度を変化させることが可能となる。
【0011】
位置認識部は、レンズ部及び認識部の裏面側に設けられた再帰反射部材を有してよい。この場合、視覚情報の中で、認識部に対応する箇所を再帰反射によって強く光らせることができる。従って、太陽光や暗所などの外乱因子の影響を低減した状態で、光の強度の変化を把握することが可能となる。
【0012】
位置認識部は、視覚情報として、互いに離間した複数の視覚領域を表示可能であり、観察位置からの位置認識部に対する観察角度に応じて、視覚領域の個数を変化させると共に、何れかの視覚領域の光の強度を変化させてよい。視覚領域の個数を把握することは、視覚領域の光の強度の変化を把握することに比べ、容易に行うことができる。従って、視覚領域の個数に基づいておおよその観察角度を把握し、視覚領域の光の強度の変化に基づいて微小な観察角度を把握することが可能となる。
【0013】
本発明の一態様に係るマーカは、観測する方向に応じて観察位置にて観測される視覚情報が変化する位置認識部を有するマーカであって、位置認識部は、視覚情報として、所定の表示態様で示される視覚領域を表示可能であり、観察位置からの位置認識部に対する観察角度に応じて、観察位置にて観察可能な視覚領域の形状、及び個数の少なくとも一方を変化させてよい。
【0014】
マーカの位置認識部は、観察位置からの位置認識部に対する観察角度に応じて、観察位置にて観察可能な視覚領域の形状、及び個数の少なくとも一方を変化させる。このような視覚領域の形状及び個数の変化は、観察角度との対応関係を予め把握しておくことで、観察角度の変化を示す指標として用いることができる。また、視覚領域の形状及び個数の変化を把握して観察角度を演算する方法は、視覚情報中のパターンの位置関係を把握して観察角度を演算する方法などに比して、精度ずれが発生する工程を低減することができる。以上より、高い精度でマーカの位置を認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高い精度でマーカの位置を認識できるマーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係るマーカの使用態様を示す図である。
図2】本実施形態に係るマーカを示す斜視図である。
図3図3(a)は、位置認識部の平面図であり、図3(b)は、位置認識部の断面構造を示す図である。
図4】認識部の一例を示す図である。
図5】観察角度と視覚情報との関係を示す図である。
図6】観察角度と視覚情報との関係を示す図である。
図7】比較例に係る位置認識部を示す図である。
図8】比較例に係るマーカを示す斜視図である。
図9】変形例に係るマーカの位置認識部を示す図である。
図10】変形例に係るマーカの位置認識部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るマーカ1の使用態様を示す図である。図1は、フォークリフト100が荷役対象物101を荷役するために当該荷役対象物101に近づくときの様子を示している。荷役対象物101には、マーカ1が取り付けられている。フォークリフト100は、カメラ102と演算装置103とを備えている。カメラ102は、荷役対象物101を撮影する。なお、カメラ102は、観察範囲に対して光を照射することができるライトを有する。演算装置103は、カメラ102で撮影した画像のうち、マーカ1の画像に基づいて、フォークリフト100とマーカ1との位置関係を演算する。これにより、演算装置103は、フォークリフト100と荷役対象物101との位置関係を演算する。
【0019】
なお、マーカ1は、フォークリフト100の位置合わせ以外の用途に用いられてもよい。例えば、図1において、フォークリフト100の代わりに、協働ロボットアームが採用さいれてもよい。この場合、図1は、協動ロボットアームが位置合せ基準マーカ(「101」に対応)を基準に位置合わせするために、当該基準マーカに近づくときの様子を示すものとなる。基準マーカには、マーカ1が取り付けられる。協動ロボットアームは、フォークリフト100と同趣旨のカメラ102及び演算装置103を備えている。この場合、演算装置103は、カメラ102で撮影した画像のうち、マーカ1の画像に基づいて、協動ロボットアームとマーカ1との位置関係を演算する。これにより、演算装置103は、協動ロボットアームと基準マーカとの位置関係を演算する。これにより、Automatic Guided Vehicle(AGV)型自動搬送車に設置されたロボットアームの停止位置によって動作基準座標点が変化するが、基準マーカとロボットアームの位置情報変位をオフセットすることで、位置関係が分かり、複雑な制御システム動作が実現できる。
【0020】
図2(a)は、本実施形態に係るマーカ1を示す斜視図である。図2(b)は、本実施形態に係るマーカ1を示す展開斜視図である。図2に示すように、マーカ1は、略矩形の形状を有する板状部材である。マーカ1は、表面にマーク部2と、位置認識部3と、を備える。なお、マーク部2及び位置認識部3の配置や形状等は一例に過ぎず、適宜変更可能である。また、マーカ1は、本体部10と、再帰反射部材11と、を積層させることによって構成される。なお、以降の説明においては、マーカ1が荷役対象物101に取り付けられたときの状態を基準として、「左右方向D1」、「上下方向D2」、「厚さ方向D3」という語を用いて説明を行う。ただし、マーカ1が荷役対象物101に対してどのように取り付けられるかは特に限定されない。
【0021】
本体部10は、射出成形などによって形成される板状の成形部品である。本体部10の樹脂材料は熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。本体部10は、位置認識部3と、矩形板状のベース部12と、を有する。位置認識部3及びベース部12は、一度の成形プロセスによって一体的に形成される。そのため、位置認識部3及びベース部12は、一つの成形部品として構成される。ベース部12は、位置認識部3が配置される上側領域12Aと、マーク部2が配置される下側領域12Bと、を有する。再帰反射部材11は、本体部10のベース部12の裏面に積層される板状の部品であり、表面が再帰反射面として構成されている。再帰反射部材11は、再帰反射面に光が入射した場合に、当該光が入射してきた位置へ向けて光を反射する原理を用いた反射部材である。
【0022】
マーク部2は、本体部10のベース部12の下側領域12Bに形成される。マーク部2は、所定の図柄などを表示する部分である。これらの図柄は、荷役対象物101のID番号などと紐付けられることによって、識別情報として機能する。例えば、カメラ102がマーク部2の所定の図柄を検出すると、演算装置103は当該図柄に紐付けられたID番号を検索することで、荷役対象物101を特定することができる(図1参照)。マーク部2は、例えば、本体部10に図柄が印刷されたシートを貼り付けることによって形成される。マーク部2の図柄は、所定の色で示されてもよく、再帰反射部材で示されてもよい。
【0023】
位置認識部3は、観測する方向に応じて観測される視覚情報が変化する部分である。すなわち、マーカ1とカメラ102との位置関係に応じて、カメラ102で撮影した画像内で位置認識部3から取得できる視覚情報が変化する。位置認識部3で得られる認識情報の詳細については後述する。位置認識部3は、本体部10のベース部12の上側領域12Aに形成される。ここで、本実施形態に係るマーカ1は、位置認識部3A,3Bを有する。位置認識部3Aは上側領域12Aの下側の領域に配置され、位置認識部3Bは上側領域12Aの上側の領域に配置される。下側の位置認識部3Aは、マーカ1とカメラ102との左右方向D1の相対的な角度を取得できる視覚情報を示すことができる。また、他方の位置認識部3Bは、マーカ1とカメラ102との上下方向D2の相対的な角度を取得できる視覚情報を示すことができる。これにより、カメラ102が各位置認識部3A,3Bの画像を検出すると、演算装置103は、各位置認識部3から取得できる視覚情報に基づいて、カメラ102とマーカ1との間の左右方向D1及び上下方向D2における相対的な角度を演算し、マーカ1とフォークリフト100との位置関係を認識する。なお、ベース部12の上側領域12Aには、位置認識部3A,3Bの周囲に、観察位置とマーカ1との距離を認識するための漆黒線15が転写されている。
【0024】
図3(a)は、マーカ1とカメラ102との左右方向D1の相対的な角度を取得するための位置認識部3Aの平面図である。図3(b)は、マーカ1とカメラ102との左右方向D1の相対的な角度を取得するための位置認識部3Aの断面構造を示す。なお、マーカ1とカメラ102の上下方向D2の相対的な角度を取得するための位置認識部3Bは、方向が異なること以外、位置認識部3Aと同様な構成を有する。
【0025】
図3(b)に示すように、位置認識部3Aは、レンズ層20と、パターン転写層21と、を備える。レンズ層20及びパターン転写層21は、本体部10の成形部品として一体的に形成される。パターン転写層21の裏面に再帰反射部材11が設けられる。レンズ層20は、複数のレンズ部22が配列された層である。パターン転写層21は、視覚情報を形成するための認識部30のパターンが転写された層である。このような構成により、位置認識部3Aは、配列された複数のレンズ部22と、レンズ部22の裏面側に形成され、視覚情報を形成する認識部30を有する。なお、以降の説明においては、カメラ102の光軸とマーカ1の厚さ方向D3とがなす左右方向D1における角度を、観察位置からの位置認識部3Aに対する観察角度θとする。また、マーカ1の表面に対してカメラ102の光軸が垂直な状態を「観察角度θ=0°」であるものとする。
【0026】
ここで、認識部30以外の領域のパターン(一般部31)は、対象とする光源の波長以上の間隔で配置され、アスペクト比1以上の深さを持つ凹凸構造が形成されている。具体的には、波長400nm~700nmの可視域の場合には、700nm以上の間隔が設けられた凹凸構造体が形成されており、深さは、700nm以上のアスペクト比1以上の構造体が形成されている。さらに最良の形態は、構造体の間隔は10μm以上から100μm程度の間隔を持ち、深さ10μm以上から100μm程度のアスペクト比1以上の構造体が望ましい。このように、波長より10倍以上の構造体を用いた場合には、光による散乱効果を有効的に利用できるため、認識部30のパターンコントラストの向上が可能である。
【0027】
また、パターン転写層21に形成される凹凸構造は、周期的な凹凸構造やランダムな凹凸構造でも機能させる事が可能であり、矩形形状の構造体によって機能させる事ができる。さらに、パターン転写層21の表面から見て、先端が細くなった砲弾形状を持つ凹凸構造にすることによって、表面反射を低減させることが可能であり、さらに良好な光散乱効果を得て、よりコントラストの高い認識部30のパターンを得る事ができる。
【0028】
一つあたりのレンズ部22は、上下方向D2から見て表面側に湾曲面を有し、同一断面形状にて上下方向D2に延びるように構成される。このような複数のレンズ部22が左右方向D1に配列されることで、レンズ層20が構成される。なお、位置認識部3Bでは、左右方向D1に延びる複数のレンズ部22が、上下方向D2に配列されている。レンズ部22は、いわゆるレンチキュラーレンズと称されるレンズによって構成される。ある観察位置から視線AXを向けて位置認識部3Aを見た場合、レンズ部22の湾曲面の影響により、パターン転写層21の集光位置CPにて集光される。従って、観察位置では、パターン転写層21の集光位置CPの像が、一つあたりのレンズ部22の左右方向D1の全体にわたって視認される。集光位置CPは、観察角度θが変動することによって、左右方向D1に移動する。
【0029】
なお、レンズ部22の形状は特に限定されない。例えば、レンズの湾曲面の曲率は適宜変更してよい。レンズ部22の数(1個以上あればよい)やスパンも特に限定されない。また、レンズ部22は、樹脂成形によって形成されてもよいが、加工によって形成されてもよい。レンズ部22は、本体部10とは別体で構成されてもよい。
【0030】
なお、レンズ部22の形状は特に限定されないが、レンズ部22の焦点位置は、認識部30のパターンを高解像度で分解するため、パターン転写層21の表面に位置している。
【0031】
図3(a)に示すように、パターン転写層21には、視覚情報を形成する複数の認識部30が形成されている。図3及び他の図においては、グレースケールが付された部分が認識部30に該当する。なお、図3(a)では、パターン転写層21の様子が、実際に視覚情報として観察位置から見える見え方とは異なる状態で示されている。図3(a)では、光がレンズ部22にて集光されることなく、そのまま透過したと仮定した場合(全てのレンズ部22のレンズの湾曲面を平面にしたと仮定した場合)の見え方にて、パターン転写層21の様子が示されている。
【0032】
本実施形態において、パターン転写層21のうち、認識部30の部分は再帰反射部材11による反射が可能な状態となっており、認識部30以外の部分(以降、一般部31と称する)は再帰反射部材11による反射が防止された状態となっている。例えば、本体部10を成形するときに、認識部30を滑らかな平面として成形し、一般部31を粗面として成形する。認識部30に対応する部分の金型の成形面を滑らかな面とし、一般部31に対応する部分の金型の成形面を粗面とすればよい。そのため、視覚情報としては、認識部30に対応する部分は再帰反射部材11の反射によって光って見える。視覚情報としては、一般部31に対応する部分は再帰反射部材11による反射が行われないため、暗く見える。
【0033】
複数の認識部30の形状及び配置について説明する。パターン転写層21には、上下方向D2において、認識部30が直線状に並べられた認識領域ER1,ER2,ER3,ER4…と、認識部30が設けられていない空白領域が交互に形成されている。なお、図3(a)では、最も下側に認識領域ER1が形成され、下から順に認識領域ER2,ER3,ER4…が形成される。認識領域ER1では、一定の太さで左右方向D1に直線状に延びる一つの認識部30が形成されている。
【0034】
認識領域ER2,ER3,ER4…では、複数の認識部30が、位置認識部3Aの中心位置CL1を基準として、左右対称な形状を有し、且つ左右対称に配置される。具体的に、中心位置CL1の右側の領域では、認識領域ER2,ER3,ER4…の認識部30は、各レンズ部22の中心位置CL2から左側へ向かって延びる。一つあたりの認識部30の左右方向D1の長さは、認識領域ER2,ER3,ER4…の順で徐々に短くなる。最長の長さを有する認識領域ER2の認識部30の左端部は、左側で隣り合う他のレンズ部22の中心位置CL2に達する位置まで延びる。認識領域ER3の認識部30の左端部は、左側で隣り合う他のレンズ部22の中心位置CL2から僅かに右側へ離間した位置まで延びる。これにより、一つの認識部30の左端部と、左側で隣り合う他の認識部30の右端部(レンズ部22の中心位置CL2)との間には隙間が形成される。このような隙間の大きさは、認識領域ER2,ER3,ER4…の順で徐々に大きくなる。中心位置CL1の左側の領域では、認識領域ER2,ER3,ER4…の認識部30は、右側の領域における認識領域ER2,ER3,ER4…の認識部30と左右対称な構成を有する。
【0035】
ここで、一つあたりのレンズ部に対する認識部の個数について説明する。例えば、図7に示す比較例に係るマーカの位置認識部150では、一つのレンズ部122に対して、上下方向D2に直線状に延びる一本の認識部130が形成されている(図7(a)参照)。この場合、観察角度によって認識部130に集光位置が一致したレンズ部122については、視覚情報においてレンズ部122全体に認識部130の像が表示される(図7(b)参照)。このような比較例は、一つあたりのレンズ部122に対して、一つの認識部130が形成された構成となる。これに対し、本実施形態に係るマーカ1では、各レンズ部22に対して、上下方向D2に互いに間隔をあけた状態で認識領域ER1,ER2,ER3,ER4…の位置に認識部30が形成されている。従って、一つあたりのレンズ部22に対して、互いに離間した複数の認識部30が形成される。
【0036】
次に、図4(a)を参照して、一つあたりの認識部30の形状について説明する。なお、図4では中心位置CL1より右側(図3参照)の認識部30が示されているが、左側の認識部30も左右対称となる点以外は、同様の形状を有する。図4(a)に示すように、認識部30は、本体部32と、調整部33と、を有する。本体部32は、一定の幅にて左右方向D1に延びる部分である。調整部33は、本体部32の左側(中心位置CL1側)の端部に設けられ、左側に延びるに従って幅が狭くなる部分である。本実施形態では、調整部33は左側へ向かうに従って先細りとなるように三角形状に形成されている。集光位置CPが、認識部30よりも左側の一般部31である場合(集光位置CP1)、図6(a)の認識領域ER3,ER4の右側の領域に示すように、線が見えないような視覚情報が示される。集光位置CPが、認識部30の本体部32である場合(集光位置CP3)、図6(d)の認識領域ER1,ER2,ER3の右側の領域に示すように、本体部32に対応する幅(基準幅と称する)の線が見えるような視覚情報が示される。集光位置CPが、認識部30の調整部33である場合(集光位置CP2)、図6(a)の認識領域ER2の右側の領域、及び図6(d)の認識領域ER3の右側の領域に示すように、基準幅に比して細い線が見えるような視覚情報が示される。図6(a)(d)では、便宜上、認識部30の像によって形成される線が黒い線で示されているが、実際は再帰反射した光によって線となる。従って、視覚情報のうち、基準幅の太い線で示された箇所は強い光で示され、細い線で示された箇所は弱い光で示される。調整部33に対して集光位置CPが左側で重なるほど視覚情報での線は細くなり、光の強度が低下する。調整部33に対して集光位置CPが右側で重なるほど視覚情報での線は太くなり、光の強度が増加する。なお、視覚情報において、集光位置CPと認識部30との重なりによって所定の形状(ここでは線)として視認される領域を視覚領域40と称する場合がある。
【0037】
このように、観察角度θによって集光位置CPが調整部33となった場合、視覚情報では該当箇所が弱い光で示される。認識部30は、観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な光の強度を変化させる形状として、調整部33を有する。
【0038】
調整部33を用いて、観察位置にて観察可能な光の強度を変化させるためには、調整部33は、光はレンズ部22を通過し、パターン転写層21で焦点を結び、その焦点の大きさより、調整部33の大きさが小さくなるパターン構造体を用いることで、光の強度を変化させる事ができる。また、光が焦点された時の焦点光の強度分布は、レンズ形状によってガウシャン分布や正規分布を持つため、調整部33の形状は、集光される強度分布に応じて、湾曲形状などパターン形状を変化させる事によって、測定位置に応じて線形に強度変化を持たせることができる。
【0039】
なお、調整部33の形状は、図4(a)に示すものに限定されない。例えば、図4(b)に示すように湾曲形状を有する調整部33が採用されてもよい。また、図4(c)に示すように、台形状を有する調整部33が採用されてもよい。
【0040】
次に、図5及び図6を参照して、観察角度θと視覚情報の関係について説明する。なお、図5及び図6は、図3(a)のうちの「A1」で示す箇所の拡大図である。図5(b)は、視線AXが位置認識部3Aと垂直となる状態(観察角度θ=0°)を示す。このとき、図5(c)に示すように、各位置における集光位置CPは、認識領域ER1でのみ認識部30と重なり、他の認識領域ER2,ER3,ER4…では重ならない。この場合、図5(a)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1に対応する箇所でのみ、基準幅の線が表示される。
【0041】
図5(e)は、視線AXが位置認識部3Aに対して右側へ傾斜する状態(観察角度θが右側へ正)を示す。このとき、図5(f)に示すように、右側の領域における集光位置CPは、認識領域ER1,ER2,ER3,ER4…の全ての認識部30の本体部32と重なる。この場合、図5(d)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1,ER2,ER3,ER4…の全てに対応する箇所にて、基準幅の線が表示される。図5(f)に示すように、左側の領域における集光位置CPは、認識領域ER1の認識部30の本体部32と重なり、認識領域ER2の認識部30の調整部33と重なり、他の認識領域ER3,ER4…では重ならない。この場合、図5(d)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1に対応する箇所にて基準幅の線が表示され、認識領域ER2に対応する箇所にて細い線が表示され、他の認識領域ER3,ER4…では線が表示されない。更に、図5(h)は、視線AXが位置認識部3Aに対して更に右側へ傾斜する状態(観察角度θが右側へ正)を示す。このとき、図5(i)に示すように、左側の領域における集光位置CPは、認識領域ER1,ER2の認識部30の本体部32と重なり、認識領域ER3の認識部30の調整部33と重なり、他の認識領域ER4…では重ならない。この場合、図5(g)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1,ER2に対応する箇所にて基準幅の線が表示され、認識領域ER3に対応する箇所にて細い線が表示され、他の認識領域ER4…では線が表示されない。
【0042】
図6(b)は、視線AXが位置認識部3Aに対して左側へ傾斜する状態(観察角度θが左側へ正)を示す。このとき、図6(c)に示すように、左側の領域における集光位置CPは、認識領域ER1,ER2,ER3,ER4…の全ての認識部30の本体部32と重なる。この場合、図6(a)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1,ER2,ER3,ER4…の全てに対応する箇所にて、基準幅の線が表示される。図6(c)に示すように、右側の領域における集光位置CPは、認識領域ER1の認識部30の本体部32と重なり、認識領域ER2の認識部30の調整部33と重なり、他の認識領域ER3,ER4…では重ならない。この場合、図6(a)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1に対応する箇所にて基準幅の線が表示され、認識領域ER2に対応する箇所にて細い線が表示され、他の認識領域ER3,ER4…では線が表示されない。更に、図6(e)は、視線AXが位置認識部3Aに対して更に左側へ傾斜する状態(観察角度θが左側へ正)を示す。このとき、図6(f)に示すように、右側の領域における集光位置CPは、認識領域ER1,ER2,ER3の認識部30の本体部32と重なり、認識領域ER4の認識部30の調整部33と重なり、それより上側の他の認識領域では重ならない。この場合、図6(d)に示すように、視覚情報では、認識領域ER1,ER2,ER3に対応する箇所にて基準幅の線が表示され、認識領域ER4に対応する箇所にて細い線が表示され、それより上側の他の認識領域では線が表示されない。
【0043】
以上のように、位置認識部3Aは、左側の領域と右側の領域のどちらに全ての線が表示されているかによって、視線AXがどちら側に傾いているかを示すことができる。また、位置認識部3Aは、観察位置からの位置認識部3Aに対する観察角度θに応じて、視覚領域40としての線の本数を変化させることができる。従って、視覚情報において、基準幅の線の本数をカウントすることによって、観察角度θのおおよその値を把握することが可能となる。また、位置認識部3Aは、観察位置からの位置認識部3Aに対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚情報の光の強度を変化させる。すなわち、基準幅よりも細い線の光の強度に基づいて、観察角度θの詳細な値を把握することが可能となる。なお、線の本数と観察角度θとの関係、及び細い線の光の強度と観察角度θとの関係については、予め計測すると共に、データベース化して演算装置103に記憶させておけばよい。
【0044】
次に、本発明の実施形態に係るマーカ1の作用・効果について説明する。
【0045】
マーカ1は、観測する方向に応じて観察位置にて観測される視覚情報が変化する位置認識部を有するマーカ1であって、位置認識部3は、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚情報の光の強度を変化させる。
【0046】
マーカ1の位置認識部3は、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚情報の光の強度を変化させる。このような光の強度の変化は、観察角度θとの対応関係を予め把握しておくことで、微小な観察角度θの変化を示すパラメータとして用いることができる。また、光の強度の変化を把握して観察角度θを演算する方法は、視覚情報中のパターンの位置関係を把握して観察角度を演算する方法(例えば後述の図8の方法)などに比して、精度ずれが発生する工程を低減することができる。以上より、高い精度でマーカ1の位置を認識することが可能となる。
【0047】
まず、本実施形態のマーカ1との比較のため、図8に示すような比較例に係るマーカ111について説明する。比較例に係るマーカ111は、本体部110の四隅の参照点104と、参照点104間の位置認識部113(図7も参照)と、本体部110の中央のマーク部112と、を有する。このようなマーカ111を用いて観察角度θを演算する方法について説明する。まず、演算装置は、画像中から参照点の位置を把握する。この工程では、参照点の位置を把握するために、精度ずれ(例えば、0.25mm)が生じる。次に、演算装置は、画像中から、位置認識部113の視覚領域140の位置を把握する。この工程では、視覚領域140の位置を把握するために、精度ずれ(例えば、0.25mm)が生じる。次に、演算装置は、参照点104と視覚領域140との距離を計測する。この工程では、両者の距離L1の計測のために、精度ずれ(例えば、0.25mm)が生じる。次に、演算装置は、計測した距離情報を観察角度θに置き換えることで、観察角度θを算出する。このように、比較例に係るマーカ111を用いる場合、三つの工程において精度ずれが生じてしまう。
【0048】
これに対し、本実施形態のマーカ1を用いて観察角度θを検出する方法について説明する。まず、演算装置103は、カメラ102から位置認識部3Aの視覚情報の画像を取得する。ここでは、図5(g)に示す視覚情報が得られたものとする。まず、演算装置103は、右側の線が全部見えているため、観察角度θは右側に正になっていると判断する。また、演算装置103は、左側の基準幅の線が二本であることから、データベースと照らし合わせて少なくとも観察角度θが2°以上であると判断する。この工程では、演算装置103が線の数をカウントする演算を行うだけであるため、精度ずれが発生しない。次に、演算装置103は、見えている線の最上部(認識領域ER3の線)の光強度と、一つ下の線(又は、基準幅の線)の光強度との差を演算する。この工程では、光の強度を把握する仮定で僅かな精度ずれ(例えば、10-9mm)が生じる余地がある。演算装置103は、得られた光強度差をデータベースと照らし合わせることで、観察角度θの情報に変換する。この工程では、演算装置103が光強度差を角度情報に変換する演算が行われるだけであるので、精度ずれが発生しない。光強度差から得られた角度が1.75°であった場合、演算装置103は、本数から得られた観察角度θと足し合わせることで、「2°+1.75°=3.75°」と演算することで、観察角度θを算出する。このように、マーカ1を用いた場合、図8の比較例に比して、工程の中で精度ずれが生じる回数が少なく、且つ、生じる精度ずれも小さい。従って、本実施形態のマーカ1を用いることで、高い精度でマーカ1の位置を認識することができる。
【0049】
位置認識部3は、配列された複数のレンズ部22と、レンズ部22の裏面側に形成され、視覚情報を形成する認識部30と、を有してよい。この場合、位置認識部3として好適な構成とすることができる。
【0050】
認識部30は、一つあたりのレンズ部22に対して、互いに離間した複数の認識部30が形成されてよい。このような位置認識部3は、一つあたりのレンズ部22に対して一つの認識部30が形成されるような位置認識部3に比して、視覚情報から得られる情報量を増やすことができる。
【0051】
認識部30は、観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な光の強度を変化させる形状を有してよい。この場合、認識部30の形状を調整するだけで、容易に光の強度を変化させることが可能となる。
【0052】
位置認識部3は、レンズ部22及び認識部30の裏面側に設けられた再帰反射部材11と、を有してよい。この場合、視覚情報の中で、認識部30に対応する箇所を再帰反射によって強く光らせることができる。従って、太陽光や暗所などの外乱因子の影響を低減した状態で、光の強度の変化を把握することが可能となる。
【0053】
位置認識部3は、視覚情報として、互いに離間した複数の視覚領域を表示可能であり、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度に応じて、視覚領域40の個数を変化させると共に、何れかの視覚領域40の光の強度を変化させてよい。視覚領域40の個数を把握することは、視覚領域40の光の強度の変化を把握することに比べ、容易に行うことができる。従って、視覚領域40の個数に基づいておおよその観察角度θを把握し、視覚領域40の光の強度の変化に基づいて微小な観察角度θを把握することが可能となる。
【0054】
マーカ1は、観測する方向に応じて観察位置にて観測される視覚情報が変化する位置認識部3を有するマーカ1であって、位置認識部3は、視覚情報として、所定の表示態様で示される視覚領域40を表示可能であり、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚領域40の形状、及び個数の少なくとも一方を変化させてよい。
【0055】
マーカ1の位置認識部3は、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚領域40の個数(線の本数)を変化させる。このような視覚領域40の個数の変化は、観察角度θとの対応関係を予め把握しておくことで、観察角度θの変化を示す指標として用いることができる。また、視覚領域40の個数の変化を把握して観察角度θを演算する方法は、視覚情報中のパターンの位置関係を把握して観察角度を演算する方法(例えば、図8の方法)などに比して、精度ずれが発生する工程を低減することができる。以上より、高い精度でマーカの位置を認識することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係るマーカ1では、本体部10が、位置認識部3を含んで一体成形されている。また、認識部30も成形によって一体的に形成することができる。従って、成形部品にそのまま位置認識機能を付与することができるため、位置合わせなどを不要とすることができ、部品点数を低減できると共に、精密な位置合わせなどを不要とすることができる。
【0057】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0058】
例えば、マーカ1の位置認識部3は、観察位置からの位置認識部3に対する観察角度θに応じて、観察位置にて観察可能な視覚領域40の形状を変化させてよい。例えば、図9に示すような位置認識部3Aを採用してもよい。図9(a)は認識部30のパターンを示し、図9(b)は「観察角度θ=0°」における視覚領域40の形状パターンを示している。このように、認識部30の配置を複雑にすることにより、観察角度θによって、視覚領域40の形状パターンが変化する。
【0059】
また、図10に示すように、観察角度θに応じて、視覚領域40の形状によって数字を示すように構成してもよい。このように、視覚領域40によって数字のように所定の意味を示すような形状を作る場合、人間の目でも観察角度θを容易に把握することが可能となる。なお、図10(a)(d)(g)の「A、B、C」と、図10(c)(f)(i)の「A、B」は、認識部30と視覚領域40との位置関係を示している。図10(c)(f)(i)は、図10(a)(d)(g)のうちの「A1」で示す箇所の形状パターンを示している。
【0060】
以上のように、視覚領域40の形状の変化は、観察角度θとの対応関係を予め把握しておくことで、観察角度θの変化を示す指標として用いることができる。また、視覚領域40の形状の変化を把握して観察角度θを演算する方法は、視覚情報中のパターンの位置関係を把握して観察角度を演算する方法(例えば、図8の方法)などに比して、精度ずれが発生する工程を低減することができる。以上より、高い精度でマーカの位置を認識することが可能となる。
【0061】
上述の実施形態では、再帰反射部材11のシートが採用されているが、再帰反射構造が本体部10の裏面に形成されてもよい。
【0062】
また、再帰反射部材11は、反射する部材であれば同様の効果が期待できる。
【0063】
また、位置認識部3Aの裏側の再帰反射部材11が省略されてもよい。この場合、成形時には認識部30に粗面が形成され、一般部31に平面が形成されてよい。あるいは、認識部30がペイントなどによって形成されてもよい。この場合、視覚情報中では、認識部30の色に対応する線が視覚領域40として表示される。集光位置CPが認識部30の調整部33と重なった場合、当該位置における太さの線が表示される。例えば、認識部30が黒く、一般部31が白い場合、細い線は、基準幅の線に比べて、画像中における光の強度が高い箇所と見なすことができる。このように、位置認識部3Aは、観察角度に応じて、光の強度を変化させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1・・・マーカ、3,3A,3B・・・位置認識部、11…再帰反射部材、22…レンズ部、30…認識部、40…視覚領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10