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  • 特開-発泡性洗浄剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021239
(43)【公開日】2023-02-10
(54)【発明の名称】発泡性洗浄剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20230202BHJP
   C11D 3/10 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230202BHJP
   C11D 3/16 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D3/10
C11D3/395
C11D3/16
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194442
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2018124430の分割
【原出願日】2018-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】窪田 優香
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、発泡量が多く、しかも低水温での発泡量の低下を抑制できる発泡性洗浄剤を提供することである。
【解決手段】(A)酸、(B)炭酸水素塩、並びに(C)界面活性剤を含み、且つ前記炭酸水素塩
において180μm未満の粒子が占める割合が50重量%以上であるものを使用した洗浄組成物を水溶性包材に収容し、これを水溶性包材に収容した状態のままで水に浸漬させると、発泡量が多く、更に低水温であっても発泡量の低下を抑制できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄組成物が水溶性包材に収容されてなり、
前記洗浄組成物が、(A)酸、(B)炭酸水素塩、及び(C)界面活性剤を含有し、
前記炭酸水素塩において180μm未満の粒子が占める割合が30重量%以上であり、且つ
トイレ便器の洗浄用である、発泡性洗浄剤。
【請求項2】
前記水溶性包材の素材が、ポリビニルアルコール製フィルムである、請求項1に記載の発泡性洗浄剤。
【請求項3】
洗浄組成物が水溶性包材に収容されてなり、
前記洗浄組成物が、(A)酸、(B)炭酸水素塩、及び(C)界面活性剤を含有し、
前記炭酸水素塩において180μm未満の粒子が占める割合が30重量%以上であり、且つ
前記水溶性包材の素材が、ポリビニルアルコール製フィルムである、発泡性洗浄剤。
【請求項4】
前記炭酸水素塩の内、45μm以上180μm未満の粒子が占める割合が50重量%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
【請求項5】
前記炭酸水素塩の内、106μm未満の粒子が占める割合が80重量%以上である、請求項1~4のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
【請求項6】
前炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムである、請求項1~5のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
【請求項7】
前記酸が有機酸である、請求項1~6のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
【請求項8】
前記洗浄組成物が、更に漂白剤を含む、請求項1~7のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の発泡性洗浄剤を、トイレ便器内で水に浸漬させる、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性洗浄剤に関する。より具体的には、本発明は、発泡量が多く、しかも低水温での発泡量の低下を抑制できる発泡性洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡剤を配合した粉末状発泡性洗浄剤は、界面活性剤による化学的洗浄力と発泡作用による物理的洗浄力との相互作用によって優れた洗浄作用を発揮できるため、トイレの便器、排水管、シンク、洗濯槽、トイレ、浴槽等の洗浄に広く使用されている。
【0003】
従来、粉末状発泡性洗浄剤について種々検討が行われており、様々な組成の粉末状発泡性洗浄剤が提案されている。例えば、特許文献1には、無機炭酸塩、水溶性固体酸、及び無機硫酸ナトリウム粒子を含有し、当該無機硫酸ナトリウム粒子のうち85質量%以上が目開き150μmの篩を通過可能な粒子であり、且つ当該無機炭酸塩と当該水溶性固体酸との含有比が、質量比で4:1~1:3の範囲である発泡型粉末洗浄剤組成物は、優れた発泡性及び保存安定性を有していることが報告されている。
【0004】
このような粉末状発泡性洗浄剤は、水に浸漬させることにより酸と炭酸化合物が反応して発泡し、物理的洗浄作用を発揮すると共に、界面活性剤による化学的洗浄作用も発揮するため、特段の擦り洗いを行う必要もなく、衛生的で利便性に優れており、消費者に広く受け入れられている。
【0005】
しかしながら、従来の粉末状発泡性洗浄剤では、水に浸漬させると、発泡中(溶解中)に一部が水面に浮上して泡の上に乗った状態になるため、十分な発泡量が得られないという欠点がある。
【0006】
また、トイレのフラッシュ水等は季節によって水温が変化するため、粉末状発泡性洗浄剤には、水温の変化によって洗浄力に差が生じないことが求められている。しかしながら、従来の粉末状発泡性洗浄剤では、浸漬させる水温が低い場合に発泡量が低下するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-377312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、発泡量が多く、しかも低水温での発泡量の低下を抑制できる発泡性洗浄剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、(A)酸、(B)炭酸水素塩、及び(C)界面活性剤を含み、且つ前記炭酸水素塩として180μm未満の粒子が占める割
合が30重量%以上であるものを使用した洗浄組成物を水溶性包材に収容し、これを水溶性包材に収容した状態のままで水に浸漬させると、発泡量が多く、更に低水温であっても発泡量の低下を抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 洗浄組成物が水溶性包材に収容されてなり、
前記洗浄組成物が、(A)酸、(B)炭酸水素塩、及び(C)界面活性剤を含有し、且つ
前記炭酸水素塩において180μm未満の粒子が占める割合が30重量%以上である、発泡性洗浄剤。
項2. 前記炭酸水素塩の内、45μm以上180μm未満の粒子が占める割合が50重量%以上である、項1に記載の発泡性洗浄剤。
項3. 前記炭酸水素塩の内、106μm未満の粒子が占める割合が80重量%以上である、項1又は2に記載の発泡性洗浄剤。
項4. 前記炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムである、項1~3のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
項5. 前記酸が有機酸である、項1~4のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
項6. 前記洗浄組成物が、更に漂白剤を含む、項1~5のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
項7. トイレ便器の洗浄用である、項1~6のいずれかに記載の発泡性洗浄剤。
項8. 項1~7のいずれかに記載の発泡性洗浄剤を、洗浄対象物内で水に浸漬させる、洗浄方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発泡性洗浄剤は、水に浸漬させると、発泡量が多く、発泡性が向上しているので、優れた洗浄効果を奏することができる。また、本発明の発泡性洗浄剤は、低温(5℃程度)の水に浸漬させても、発泡量が多く、発泡量の低下を抑制できるので、水温によって洗浄効果に差が生じ難く、一年を通して安定に洗浄効果を奏することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】試験例1において、発泡性洗浄剤(実施例1)及び洗浄組成物(比較例1)をトイレ便器に投入し、3分後及び5分後に泡立ち具合を観察した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の発泡性洗浄剤は、洗浄組成物が水溶性包材に収容されてなり、当該洗浄組成物が、(A)酸、(B)炭酸水素塩、及び(C)界面活性剤を含有し、且つ前記炭酸水素塩において180μm未満の粒子が占める割合が30重量%以上であることを特徴とする。以下、本発明の発泡性洗浄剤について詳述する。
【0014】
[粉末洗浄組成物]
本発明の発泡性洗浄剤は、洗浄組成物として、(A)酸、(B)特定の粒度分布を示す炭酸水素塩、及び(C)界面活性剤を含有する洗浄組成物を含む。以下、当該洗浄組成物について説明する。
【0015】
・(A)酸
本発明で使用される洗浄組成物は、水存在下で後述する(B)成分と反応して炭酸ガスを発生させる成分として、酸(「(A)成分」と表記することもある)を含有する。
【0016】
酸は、固体状又は液状のいずれの形態のものであってもよいが、好ましくは固体状が挙げられる。また、酸は、有機酸又は無機酸のいずれであってもよいが、好ましくは有機酸が挙げられる。
【0017】
酸として、具体的には、クエン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルコン酸、コハク酸、サリチル酸等の有機酸;リン酸、スルファミン酸、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。
【0018】
これらの酸の中でも、好ましくは固体状の有機酸、更に好ましくはクエン酸が挙げられる。
【0019】
これらの酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
洗浄組成物における(A)成分の含有量については、発泡量、後述する(B)成分の含有量、水溶性包装体に収容する洗浄組成物の量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、5~70重量%、好ましくは15~60重量%、更に好ましくは20~50重量%、特に好ましくは30~45重量%が挙げられる。
【0021】
・(B)炭酸水素塩
本発明で使用される洗浄組成物は、水存在下で前記(A)成分と反応して二酸化炭素を発生させる成分として、特定の粒度分布を示す炭酸水素塩(「(B)成分」と表記することもある)を含有する。
【0022】
炭酸水素塩は、水溶性であればよく、水存在下で前記(A)成分と反応して炭酸ガスを発生できる限り、その種類については、特に制限されないが、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0023】
これらの炭酸水素塩の中でも、発泡量を増大させつつ、低水温における発泡量の低下をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくは炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
【0024】
これらの炭酸水素塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本発明では、炭酸水素塩として、炭酸水素塩の粒子全体に対して180μm未満の粒子が30重量%以上占めているものを使用する。本発明では、このように特定の粒子径分布を有する炭酸水素塩を使用し、且つ洗浄組成物を水溶性包材に収容することによって、発泡量を増大させ、且つ低水温であっても発泡量の低下を抑制することが可能になる。発泡量をより増大させつつ、低水温での発泡量の低下をより一層効果的に抑制するという観点から、炭酸水素塩として、180μm未満の粒子の割合が30~100重量%、好ましくは50~100重量%、更に好ましくは70~100重量%、特に好ましくは80~100重量%が挙げられる。
【0026】
また、本発明で使用される炭酸水素塩の好適な一態様として、炭酸水素塩の粒子全体に対して、45μm以上180μm未満の粒子の割合が50重量%以上、好ましくは60~90重量%、更に好ましくは70~85重量%を占めていることが挙げられる。更に、本発明で使用される炭酸水素塩の好適な一態様として、炭酸水素塩の粒子全体に対して、63μm以上180μm未満の粒子の割合が40重量%以上、好ましくは50~90重量%、更に好ましくは55~85重量%、特に好ましくは70~85重量%を占めていることが挙げられる。また、本発明で使用される炭酸水素塩の好適な一態様として、炭酸水素塩の粒子全体に対して、75μm以上180μm未満の粒子の割合が20重量%以上、好ましくは30~90重量%、更に好ましくは35~85重量%を占めていることが挙げられる。このような粒度分布を有する炭酸水素塩を採用することによって、より一層効果的に、発泡量の増大、及び低水温での発泡量の低下抑制を図ることが可能になる。
【0027】
また、本発明で使用される炭酸水素塩の特に好適な一態様として、炭酸水素塩の粒子全体に対して、106μm未満の粒子の割合が80重量%以上、好ましくは85~99重量%、更に好ましくは90~98重量%を占めていることが挙げられる。このような粒度分布を有する炭酸水素塩を採用することによって、格段顕著に、発泡量の増大、及び低水温での発泡量の低下抑制を図ることが可能になる。
【0028】
本発明において、炭酸水素塩の粒度分布は、JIS0069:1992「化学製品のふるい分け試験方法」に規定されている「乾式ふるい分け試験方法」の「機械ふるい分け」の方法に準拠して求められる粒度分布である。具体的には、先ず、目開き500μm、250μm、180μm、150μm、106μm、75μm、63μm、及び45μmのふるいを準備し、目開きが小さいものが下段、目開きが大きいものを上段になるように受け皿の上に積み重ねる。次に、最上段のふるいに試料を装入してふたをする。その後、振動機にて振動を与え、ふるい分けを行う。ふるい分け終了後に、各段のふるい上及びふるい下の質量を測定することによって、前述する粒度分布が求められる。
【0029】
また、本発明で使用される炭酸水素塩の平均粒子径については、前記粒度分布を備えることを限度として特に制限されないが、例えば、200μm以下、好ましくは40~180μm、更に好ましくは50~150μmが挙げられる。
【0030】
また、本発明において、炭酸水素塩の平均粒子径は、JIS0069:1992「化学製品のふるい分け試験方法」に規定されている「乾式ふるい分け試験方法」の「機械ふるい分け」の方法に準拠して求められる粒度分布から算出される重量ベースの累積50%値である。具体的には、先ず、前記ふるい分け試験によって、各段の篩上及び篩下の質量を求め、下記算出式に従ってふるい残分(%)を算出し、更に当該ふるい残分(%)を用いて下記算出式に従って平均粒子径を算出することができる。
【数1】
【0031】
洗浄組成物における(B)成分の含有量については、発泡量、前記(A)成分の含有量、水溶性包装体に収容する洗浄組成物の量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、20~80重量%、好ましくは30~60重量%、更に好ましくは40~55重量%が挙げられる。
【0032】
また、洗浄組成物において、(A)成分と(B)の比率については、前記各含有量に応じた範囲内であればよく、特に制限されないが、例えば、(A)成分100重量部当たり、(B)成分が25~1600重量部、好ましくは60~300重量部、更に好ましくは80~200重量部が挙げられる。
【0033】
・(C)界面活性剤
本発明で使用される洗浄組成物は、界面活性作用による洗浄力を備えさせるために界面活性剤(「(C)成分」と表記することもある)を含有する。
【0034】
界面活性剤の種類については、洗浄剤の成分として使用可能なものであることを限度として特に制限されず、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれを使用してもよい。
【0035】
アニオン性界面活性剤としては、具体的には、平均炭素数10~20アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、平均炭素数10~20のアルケニルスルホン酸塩(αオレフィンスルホン酸)、平均炭素数10~20のアルキル基を有するアルキルスルホ酢酸塩、平均炭素数10~20のアルキル硫酸塩、平均炭素原子数10~20のアルカンスルホン酸塩等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
非イオン性界面活性剤としては、具体的には、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物及びポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型界面活性剤、並びにグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル及びアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型界面活性剤等が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
カチオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキル(C6~C20)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(C6~C20)ジメチルアンモニウム塩、及びアルキル(C6~C20)ジメチルベンジルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、アルキル(C6~C20)アミン塩、アルキル(C6~C20)アミンエチレンオキサイド付加物、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。これらのカチオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
両性界面活性剤としては、具体的には、平均炭素数10~16のアルキル基を有するアルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型界面活性剤、平均炭素数10~16のアルキル基を有するアルキルジメチルベタイン、ラウリルヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
前記各種の界面活性剤において、塩の形態としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、及び塩酸塩等の酸付加塩等が挙げられる。
【0040】
これらの界面活性剤の中でも、好ましくはアニオン性界面活性剤、更に好ましくはアルケニルスルホン酸塩(αオレフィンスルホン酸)、アルキルスルホ酢酸塩が挙げられる。
【0041】
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
洗浄組成物における(C)成分の含有量については、使用する界面活性剤の種類、洗浄対象物等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1~10重量%、好ましくは2~8重量%、更に好ましくは3~6重量%が挙げられる。
【0043】
・(D)漂白剤
本発明で使用される洗浄組成物には、前述する成分に加えて漂白剤(「(D)成分」と表記することもある)が含まれていてもよい。漂白剤を含むことにより、洗浄効果を更に向上させることができる。
【0044】
漂白剤の種類については、特に制限されないが、例えば、塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、還元系漂白剤等が挙げられる。
【0045】
塩素系漂白剤としては、例えば、ジクロロイソシアヌル酸塩、次亜塩素酸塩等が挙げられる。ジクロロイソシアヌル酸塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。次亜塩素酸塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
【0046】
酸素系漂白剤としては、例えば、過硫酸水素塩、過硫酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩、テトラアセチルエチレンジアミン等が挙げられる。過硫酸水素塩としては、具体的には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;バリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;これらの水和物等が挙げられる。なお、過硫酸水素塩は、硫酸水素塩や硫酸塩との複塩でもよい。過硫酸塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;これらの水和物等が挙げられる。過炭酸塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;これらの水和物等が挙げられる。過ホウ酸としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;これらの水和物等が挙げられる。
【0047】
還元系漂白剤としては、具体的には、二酸化チオ尿素、ハイドロサルファイト等が挙げられる。
【0048】
これらの漂白剤の中でも、好ましくは塩素系漂白剤、更に好ましくはジクロロイソシアヌル酸塩が挙げられる。
【0049】
これらの漂白剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0050】
洗浄組成物に(D)成分を含有させる場合、その含有量については、使用する漂白剤の種類、洗浄対象物等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、3~25重量%、好ましくは5~15重量%、更に好ましくは7~10重量%が挙げられる。
【0051】
・(E)発熱剤
本発明で使用される洗浄組成物には、前述する成分に加えて発熱剤(「(E)成分」と表記することもある)が含まれていてもよい。発熱剤を含むことにより、低水温での発泡量の低下をより一層効果的に抑制することが可能になる。
【0052】
発熱剤としては、水との接触によって発熱するものであればよいが、例えば、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウムの無機酸塩;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウムの無機酸塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウムの無機酸塩;塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛の無機酸塩;塩化第二鉄、硫酸第一鉄等の鉄の無機酸塩等が挙げられる。
【0053】
これらの発熱剤の中でも、好ましくはカルシウムの無機酸塩、マグネシウムの無機酸塩、更に好ましくは酸化カルシウム、硫酸マグネシウムが挙げられる。
【0054】
これらの発熱剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
洗浄組成物に(E)成分を含有させる場合、その含有量については、使用する発熱剤の種類、付与すべき発熱特性等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、3~25重量%、好ましくは5~15重量%、更に好ましくは7~10重量%が挙げられる。
【0056】
・(F)炭酸塩、炭酸水素塩と炭酸塩の複塩
本発明で使用される洗浄組成物は、前述する成分に加えて、炭酸塩、及び/又は炭酸水素塩と炭酸塩の複塩(「(F)成分」と表記することもある)が含まれていてもよい。炭酸塩、及び/又は炭酸水素塩と炭酸塩の複塩を含むことにより、発泡量の更なる増大を図ることができる。
【0057】
炭酸塩、及び炭酸水素塩と炭酸塩の複塩は、水溶性である限り、その種類については、特に制限されないが、例えば、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩が挙げられ、炭酸水素塩と炭酸塩の複塩としては、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0058】
炭酸塩、及び又は炭酸水素塩と炭酸塩の複塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0059】
洗浄組成物に(F)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、1~40重量%、好ましくは2~25重量%、更に好ましくは3~15重量%が挙げられる。
【0060】
・その他の成分
本発明で使用される洗浄組成物には、前述する成分に加えて、必要に応じて、他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、キレート剤、pH調整剤、酵素、着色料、香料、消臭剤、発泡安定化剤、保存剤、抗菌・殺菌剤、防腐剤、防錆剤、増量剤等が挙げられる。
【0061】
・形状・収容量
本発明で使用される洗浄組成物の形状については、特制限されず、粉末状、顆粒状等のいずれであってもよいが、粉末状であることが好ましい。
【0062】
本発明の発泡性洗浄剤において、水溶性包材1個当たりに収容される洗浄組成物の量については、特に制限されず、使用簡便性を踏まえて適宜設定すればよいが、水溶性包材1個当たりに収容される洗浄組成物の量は、1回の洗浄に必要な量に設定しておくことが望ましい。例えば、本発明の発泡性洗浄剤をトイレ便器の洗浄に使用する場合であれば、1回使用量として、水溶性包材1個当たりに10~200g程度、好ましくは20~180g程度、更に好ましくは50~150g程度、特に好ましくは80~150g程度の洗浄組成物を収容していればよい。
【0063】
[水溶性包装材]
本発明の発泡性洗浄剤において、前記洗浄組成物を収容する部材として水溶性包装材を含む。水溶性包装材としては、前記洗浄組成物を包むことができ、且つ水と接触すると溶解する素材で形成されていればよい。水溶性包装材の素材としては、例えば、水溶性フィルム、水溶性紙等が挙げられる。
【0064】
水溶性フィルムとは、水溶性ポリマーで形成されたフィルムである。水溶性フィルムの構成素材となる水溶性ポリマーとしては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース類;可溶性デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン類;ペクチン、カラギーナン、ローカストビーンカム、グアガム、アラビアガム、トラガントガム、キサンタンガム、アルギン酸ソーダ等の天然多糖類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のゲル化剤;ゼラチン、カゼインナトリウム等のタンパク質が挙げられる。水溶性フィルムにおいて、これらの水溶性ポリマーは、1種単独で含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0065】
水溶性紙は、水溶性の繊維を用いて抄紙された紙、又は非水溶性の繊維を用いて抄紙した後に水溶性に処理した紙である。水溶性の繊維を用いて抄紙された紙としては、例えば、前述する水溶性ポリマーの繊維を用いて抄紙した紙が挙げられる。また、非水溶性の繊維を用いて抄紙した後に水溶性に処理した紙としては、例えば、非水溶性のポリマーの繊維を用いて抄紙した後に、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニウム水等でアルカリ処理を行って、水可溶性にした紙が挙げられる。
【0066】
水溶性包装材の素材として、好ましくは水溶性ポリマーで形成されたフィルム、更に好ましくはポリビニルアルコールで形成されたフィルムが挙げられる。
【0067】
水溶性包装材の形状については、特に制限されず、袋状、箱状、カップ状等のいずれであってもよいが、好ましくは袋状が挙げられる。また、水溶性包装材の大きさについては、収容する前記洗浄組成物の量に応じて適宜設定すればよい。
【0068】
[製造方法]
本発明の発泡性洗浄剤は、前記水溶性包装材の開口部から前記洗浄組成物を充填することによって製造される。前記水溶性包装材の開口部から前記洗浄組成物を充填した後に、当該開口部は、ヒートシール、水溶性糊剤等によって封止されていることが望ましい。
【0069】
[洗浄対象・使用方法]
本発明の発泡性洗浄剤の洗浄対象物については、特に制限されないが、例えば、トイレ便器、排水管、シンク、洗濯槽、浴槽等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトイレ便器が挙げられる。
【0070】
本発明の発泡性洗浄剤は、前記洗浄組成物が前記水溶性包装材に収容された状態のまま、洗浄対象物内で水に浸漬させることにより使用される。本発明の本発明の発泡性洗浄剤を洗浄対象物内で水に浸漬させると、前記水溶性包装材が徐々に溶解し、それと共に前記洗浄組成物が水と接触して、前記(A)成分と(B)成分による発泡作用と、前記(C)成分による界面活性作用が発現し、洗浄対象物が洗浄される。トイレ便器のように洗浄対象物内に水が貯留されている場合であれば、そのまま本発明の発泡性洗浄剤を投入すればよい。また、洗浄対象物内に水が貯留されていない場合であれば、本発明の発泡性洗浄剤を投入する前又は後に、洗浄対象物内に流水して貯水すればよい。
【実施例0071】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0072】
なお、以下の実施例及び比較例で使用した炭酸水素塩の商品名及び入手元は以下の通りであり、ふるい分け試験法で測定した粒度分布及び平均粒子径は、表1に示す通りである。
・炭酸水素ナトリウムA:「重炭酸ナトリウム Mグレード」(株式会社トクヤマ)
・炭酸水素ナトリウムB:「重炭酸ナトリウム Pグレード」(株式会社トクヤマ)
・炭酸水素ナトリウムC:「重炭酸ナトリウム Eグレード」(株式会社トクヤマ)
【0073】
【表1】
【0074】
試験例1
表2に示す成分を混合し、粉末状の洗浄組成物を調製した。得られた洗浄組成物120gを、水溶性フィルム(ポリビニルアルコール製、商品名「ハイセロン」、日本合成化学工業株式会社)を縦10cm、横14cmの袋状に加工した水溶性包装材に収容した後に、ヒートシールして密封し、発泡性洗浄剤を製造した。
【0075】
水温が5℃に調整されたトイレ便器に、得られた発泡性洗浄剤1袋を投入し、経時的に泡立ち具合を観察した。また、比較のために、洗浄組成物120gを水溶性包装材に収容することなく、水温が5℃に調整されたトイレ便器に投入して、経時的に泡立ち具合を観察した。
【0076】
発泡性洗浄剤又は洗浄組成物を投入して3分後と10分後に泡立ち具合を観察した結果を図1に示す。この結果から、粉末状の洗浄組成物をそのまま投入するよりも、水溶性包装材に収容した状態で投入した方が、発泡量が格段に大きくなることが確認された。
【0077】
【表2】
【0078】
試験例2
表3及び4に示す成分を混合し、粉末状の洗浄組成物を調製した。得られた洗浄組成物10gを、水溶性フィルム(ポリビニルアルコール製、商品名「ハイセロン」、日本合成化学工業株式会社)を縦6.1cm、横4.1cmの袋状に加工した水溶性包装材に収容した後に、ヒートシールして密封し、発泡性洗浄剤を製造した。なお、比較例2では、水溶性包装材への収容は行わなかった。
【0079】
イオン交換水500mLを2Lのメスシリンダーに入れて、5℃又は25℃に温度調整した後に、各発泡性洗浄剤1袋、又は比較例2の洗浄組成物10gをメスシリンダー内に投入した。次いで、泡の発生状態を観察し、泡量が最大になった時点(投入から1~10分後)でメスシリンダーの目盛を読み取って最大発泡量(発生した泡量の最大値)を求めた。
【0080】
得られた結果を表3及び4に示す。実施例2と比較例2の対比から明らかなように、酸、炭酸水素ナトリウム、及び界面活性剤を含む洗浄組成物は、そのまま水に浸漬させるよりも、水溶性包材に収容した状態で浸漬させた方が、常温(25℃)及び低温(5℃)での泡量が大きくなり、低温(5℃)での泡量の低下も抑制できていた。更に、洗浄組成物を水溶性包材に収容した場合であっても、180μm未満の粒子径の割合が30%以上である炭酸水素ナトリウムA及びBを使用した方が、180μm未満の粒子径の割合が12%である炭酸水素ナトリウムCを使用した場合に比べて、25℃及び5℃での最大泡量が大きく、低温(5℃)での泡量の低下を抑制できていた。特に、180μm未満の粒子径の割合が100%である炭酸水素ナトリウムBを使用した場合には、常温(25℃)及び低温(5℃)での泡量が格顕著に大きくなり、低温(5℃)での泡量の低下幅も格段に小さくなっていた。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
図1