(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021263
(43)【公開日】2023-02-10
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20230202BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01N35/04 A
G01N35/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198362
(22)【出願日】2022-12-13
(62)【分割の表示】P 2021049406の分割
【原出願日】2018-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2017048206
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安居 晃啓
(72)【発明者】
【氏名】牧野 彰久
(72)【発明者】
【氏名】圷 正志
(72)【発明者】
【氏名】三島 弘之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶弘
(57)【要約】
【課題】
装置の規模に因ることなく十分な反応過程データを取得し得ると共に装置構成の自由度を確保し得る自動分析装置の提供。
【解決手段】
自動分析装置100は、反応容器2を複数格納する反応ディスク1と測定部4、反応ディスク1において隣接する2つの反応容器2に対応する領域に配置され、測定後の反応容器2を洗浄する洗浄機構3を備える。自動分析装置100は、反応ディスク1に格納され
る反応容器2の数をN、B(B>2)サイクル後に反応ディスク1がC(C>1)回転±1個の反応容器分移動し、1サイクルで移動する反応容器2の数をA(N>A>N/B+1)としたとき、NとAは互いに素であり、BとCは互いに素であり、A×B=N×C±1の関係が成立するように、1サイクルで反応容器2が周方向にA個分移動するよう反応ディスク1を駆動制御するとともに、当該隣接する2つの反応容器2を洗浄する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注された試料と試薬を収容し得る反応容器を、円周状に所定の間隔にて相互に離間するよう複数格納する反応ディスクと、
前記反応容器に所定量の試料を分注する試料分注機構と、
前記反応容器に所定量の試薬を分注する試薬分注機構と、
反応容器内の試料と試薬の混合物の反応過程及び/又は反応後の反応液を測定する測定部と、
前記反応ディスクにおいて隣接する2つの反応容器に対応する領域に配置され、測定後の反応容器を洗浄する洗浄機構と、
前記反応ディスクに格納される反応容器の数をN、B(B>2)サイクル後に前記反応ディスクがC(C>1)回転±1個の反応容器分移動し、1サイクルで移動する反応容器の数をA(N>A>N/B+1)としたとき、NとAは互いに素であり、BとCは互いに素であり、A×B=N×C±1の関係が成立するように、1サイクルで反応容器が周方向にA個分移動するよう前記反応ディスクを駆動制御するとともに、当該隣接する2つの反応容器を洗浄するように前記洗浄機構を制御するコントローラと、を備え、
前記反応ディスクをB分割した場合に、分割された各々のブロックに隣接する反応容器セットが存在するよう、前記反応ディスクが回転制御されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記分割された各々のブロック内で、前記反応ディスクの回転方向に沿って、1サイクル目の反応容器の1つ前の位置にBサイクル後の反応容器が位置することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置において、
前記反応容器に分注された試料と試薬を攪拌する撹拌機構を備え、
前記分割された各々のブロック内に、少なくとも前記試薬分注機構と前記撹拌機構とは、異なるブロックに配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の自動分析装置において、
前記各々のブロック内で、前記反応ディスクの回転方向に沿って、任意のサイクル目の反応容器の1つ前の位置にBサイクル後の反応容器が位置する箇所のうち、いずれかのブロック内に洗浄機構が配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置において、
前記反応容器に分注された試料と試薬を攪拌する攪拌機構を備え、
前記反応ディスクにおける前記試料分注機構による試料分注位置を基準として、前記反応ディスクが1サイクルで反応容器を周方向にA個分移動させる位置に、前記攪拌機構が配置されることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置において、
前記コントローラは、
前記反応ディスクにおける前記試料分注機構による試料分注位置に対応する一の反応容器を基準として、前記反応ディスクが周方向にBサイクル移動するごとに、前記反応ディスクにおける前記一の反応容器の位置が、当該移動方向に沿って時計回りまたは反時計回りに一つずつ移動するように、前記反応ディスクを駆動制御することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の生体試料を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液、尿等の生体試料に含まれる特定成分の定量あるいは定性分析を行う自動分析装置は、分析結果の再現性、処理速度の高さ等から現在の診断には欠かせないものとなっている。
自動分析装置の測定方法は、試料中の分析対象成分と反応し、反応液の色が変わるような試薬を用いる分析法(比色分析)と、対象成分と直接あるいは間接的に特異的に結合する物質に標識体を付加した試薬を用い、標識体をカウントする分析法(免疫分析)に大別される。
【0003】
一般的に比色分析を行う自動分析装置では回転可能なディスク上に環状に配置された複数の反応容器の回転と停止を繰り返し、血液、尿等の生体試料と試薬の反応を連続的かつサイクリックに分析されるように構成されている。
自動分析装置におけるサイクルタイムの定義としては、一般的に一つの反応容器に測定用の試料を分注してから次の反応容器に試料を分注するまでの時間を指す。
【0004】
例えば、特許文献1には、自動分析装置を構成する回転テーブルに円周状に配置された複数の反応検出管の数をN、1分析サイクルで移動する反応検出管の数をMとしたとき、N±1=A×M(Aは2以上の整数)、また、NとMの間に1以外の共通因数が無く、かつM<N/2とし、反応検出管の移動を繰り返し行って全ての反応検出管を順次使用して分析を行うものが開示されている。具体的には、N=15、A=4、M=4としたとき、4分析サイクルで回転テーブルは1周+1本の反応検出管分移動することになる。このように複数サイクルを経て回転テーブルが1周±1本の反応検出管分移動することで、その間に反応検出管への試料分注を複数回可能とすることで、回転テーブルの回転速度を上げることなく、単位時間に分析可能な試料の数を向上させることができる。それでいて結果的には反応容器は複数サイクル経過後にもともとの位置から回転テーブル1周+1本の反応検出管分移動することになるので、N=15、A=4、M=4、4分析サイクルで回転テーブルは1周+1本の反応検出管分移動する例では、4分析サイクル×反応検出管15本=60分析サイクル後に、任意の反応検出管は測定、洗浄終了後に試料吐出(分注)位置に戻ることになる。すなわち、光検出器で反応検出管を測定可能な間隔が4分析サイクルに1回のみと、必要な反応液の吸光度の変化の過程が得られない可能性があるものの、第一試薬分注を試料分注から1分析サイクル移動後に実施、また、第一試薬分注位置に隣接する位置、すなわち、第一試薬分注から4分析サイクル後の反応検出管に試薬を分注可能とすることで、第一試薬分注位置とこれに関わる機構を試料分注位置から離し、反応検出管を1サイクル内で停止させる時間を短縮可能である。また、反応検出管の洗浄位置についても回転テーブルを1周±1本の反応検出管分移動するのに必要な分析サイクル分、反応液の測定が終了し洗浄可能な時間となった反応検出管が分散かつ隣接して現れることになるため、洗浄機構の配置自由度を確保することが可能となる。
【0005】
また、特許文献2には、第1試薬注入位置と第2注入位置とを互いに隣接するよう設定すると共に、試料と試薬の混合液である反応液を攪拌する第1攪拌位置と第2攪拌位置とを互いに隣接するよう設定し、攪拌装置が第1攪拌位置と第2攪拌位置との間で移動可能に設けられた自動分析装置が開示されている。また、総数が221個の反応容器に対して、1分析サイクルで112個の反応容器分移動することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-164763号公報
【特許文献2】特開平10-62429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1に記載される自動分析装置の構成では、1分析サイクルで移動する反応検出管の数をM<N/2、すなわち、半数未満としている。一般的に反応検出管は回転テーブルに等間隔に相互に離間し配置されることから、回転テーブルの1分析サイクルおける移動距離も1/2回転未満となり、処理能力の向上に有利となる。よって、単位時間当たりの処理能力が1000テスト/h以上の大型の自動分析装置に対してこの方法が用いられている。但し、この方法では、1分析サイクルにおける回転テーブルの移動距離を1/2回転以上とできないため、光検出器における試料と試薬の混合液である反応液の吸光度測定は最大でもおよそ2分析サイクル毎にしか実施することができない。仮に、単位時間当たりの処理能力が400テスト/hの小型の自動分析装置にこの方法を適用することを想定すると、1時間当たり、400の試料測定を行うということは、1サイクルが9秒であることを意味する。ある反応検出管に試料と試薬を添加してから測定結果が得られるまでの時間を10分とすると、1分析サイクルで回転テーブルの移動は1/2回転未満にとどまるため、10分間の光検出器における試料と試薬の反応測定は33回未満と極端に測定数が低減し、1分析サイクル当たりの回転テーブルの移動が1/2回転よりも更に少なくなれば、必要な反応過程データを取得できない虞がある。
【0008】
また、特許文献2に記載される自動分析装置の構成では、試薬ピペットと攪拌機構の集約を可能となるものの、反応容器221個に対して1分析サイクルで112個の反応容器分回転テーブルが移動することから、2分析サイクル後に回転テーブルは1回転+3個の反応容器分移動した位置で停止する。このように、反応容器が1周した際に±3個の反応容器分ずれることから、反応容器の洗浄位置についても、反応液の測定が終了し洗浄可能となった反応容器が隣接することなく回転テーブル上に分散して現れることになる。そのため、洗浄機構による一連の洗浄作業を実施するために回転テーブル上の広いエリアを洗浄エリアとして占有する必要があり、自動分析装置の設計自由度を損なう虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、装置の規模に因ることなく十分な反応過程データを取得し得ると共に装置構成の自由度を確保し得る自動分析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る自動分析装置は、分注された試料と試薬を収容し得る反応容器を、円周状に所定の間隔にて相互に離間するよう複数格納する反応ディスクと、前記反応容器に所定量の試料を分注する試料分注機構と、前記反応容器に所定量の試薬を分注する試薬分注機構と、反応容器内の試料と試薬の混合物の反応過程及び/又は反応後の反応液を測定する測定部と、前記反応ディスクにおいて隣接する2つの反応容器に対応する領域に配置され、測定後の反応容器を洗浄する洗浄機構と、前記反応ディスクに格納される反応容器の数をN、B(B>2)サイクル後に前記反応ディスクがC(C>1)回転±1個の反応容器分移動し、1サイクルで移動する反応容器の数をA(N>A>N/B+1)としたとき、NとAは互いに素であり、BとCは互いに素であり、A×B=N×C±1の関係が成立するように、1サイクルで反応容器が周方向にA個分移動するよう前記反応ディスクを駆動制御するとともに、当該隣接する2つの反応容器を洗浄するように前記洗浄機構を制御するコントローラと、を備え、前記反応ディスクをB分割した場合に、分割された各々のブロックに隣接した反応容器セットが存在するよう、前記反応ディスクが回転制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置の規模に因ることなく十分な反応過程データを取得し得ると共に装置構成の自由度を確保し得る自動分析装置を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動分析装置の全体概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る実施例1の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
【
図3】実施例1の自動分析装置を構成するコントローラの機能ブロック図である。
【
図4】実施例1の自動分析装置における分析工程を示す図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係る実施例2の自動分析装置を構成するコントローラの機能ブロック図である。
【
図6】実施例2の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
【
図7】実施例2の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
【
図8】本発明の他の実施例に係る実施例3の自動分析装置を構成するコントローラの機能ブロック図である。
【
図9】実施例3の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
【
図10】実施例3の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
【
図11】実施例3の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「試料」とは、入院或いは通院患者の血液又は尿等及び、健康診断等における被検者の血液又は尿等の生体試料の双方を含む。
図1に、本発明の一実施形態に係る自動分析装置の全体概略構成図を示す。
図1に示すように自動分析装置100は、主として、試料を収容する複数の試料容器15を搭載するラック16、ラック16を所望の位置へ搬送する試料搬送機構17、反応容器2を周方向に沿って(円周状に)所定の間隔にて相互に離間するよう複数格納する反応ディスク1、種々の試薬を収容する試薬ボトル10を周方向に沿って(円周状に)複数格納する試薬ディスク9、試料容器15内の試料を反応容器2へ所定量分注する試料分注機構11、試薬ボトル10内の試薬を反応容器2へ所定量分注する試薬分注機構7、分注された試料と試薬を反応容器2内で攪拌し混合する攪拌機構5、反応容器2内の試料と試薬の混合物の反応過程及び反応後の反応液を測定する測定部4、測定が終了した後に反応容器2を洗浄する洗浄機構3、及びこれらの動作を制御するコントローラ21より構成される。
【0014】
また、反応ディスク1と試薬ディスク9との間に設置される試薬分注機構7は、試薬ノズル7aを備え、試薬ノズル7aには試薬用ポンプ18aが接続している。ここで、試薬用ポンプ18aとして、例えば、シリンジポンプ等が用いられる。反応ディスク1と試料搬送機構17との間に設置され円弧状に回転及び上下動可能な試料分注機構11は、試料分注ノズル11aを備えている。試料ノズル11aには試料用ポンプ18cが接続されており、試料ノズル11aは試料分注機構11の回転軸を中心に円弧を描きながら移動して試料容器15或いは反応容器2から試料を吸引し、反応ディスク1上の他の反応容器2へ試料を吐出し、試料分注を行う。ここで、試料用ポンプ18cとして、例えば、シリンジポンプ等が用いられる。
【0015】
測定部4は、反応ディスク1の内側に配される光源(図示せず)と、反応容器2を挟むよう光源に対向して配される分光光度計を備え、光源(図示せず)から発せられた照射光が反応容器2内の試料と試薬の混合液である反応液を透過する透過光を検出し、吸光度を測定する。なお、測定部4は、分光光度計による吸光度の測定に限られるものではなく、例えば、分光光度計に代えて、透過光及び散乱光を検出する検出器を用いても良い。
攪拌機構5は、例えば、先端に設けられた攪拌翼或いはへら状の棒(図示せず)を備え、攪拌翼或いはへら状の棒(図示せず)を反応容器2内の試料と試薬との混合液である反応液に浸潤させて回転することにより攪拌する。
【0016】
洗浄機構3には、洗浄用ポンプ20及び真空ポンプ22が接続されている。また、反応ディスク1と試薬ディスク9の間には、試薬分注機構7の試薬ノズル7aを洗浄するための洗浄槽13が設置されている。反応ディスク1と試料搬送機構17との間には、試料分注機構11の試料ノズル11aを洗浄するための洗浄槽30、反応ディスク1と攪拌機構5の間には、攪拌機構5の攪拌翼或いはへら状の棒(図示せず)を洗浄するための洗浄槽32が設置されており、コンタミ防止が図られている。
【0017】
反応ディスク1は、図示しない、例えば、ステッピングモータ又はパルスモータにより回転駆動される。詳細後述するコントローラ21は、反応ディスク1に格納される反応容器2の総数をN、B(B>2)サイクル後に反応ディスク1がC(C>1)回転±1個の反応容器分移動し、1サイクルで移動する反応容器2の数をA(N>A>N/B+1)としたとき、A×B=N×C±1の関係が成り立つよう、1サイクルで反応容器2がA個移動するよう、換言すれば、毎サイクルのピッチ数がAとなるよう、ステッピングモータ又はパルスモータ(図示せず)に制御信号(制御指令)を出力し、反応ディスク1を回転駆動する。なお、反応容器2の総数Nと1サイクルで移動する反応容器2の数Aは互いに素であり、BとCは互いに素となる。
【0018】
以下では、
図1に示すように、自動分析装置が試料を収容する複数の試料容器15を搭載するラック16及びラック16を所望の位置へ搬送する試料搬送機構17を備える場合を一例として説明するがこれに限られるものではない。例えば、試料ディスクに周方向に沿って(円周状に)複数の試料容器15を格納する構成としても良く、また、同心円状に内周側及び外周側に周方向に沿って複数の試料容器15を格納する試料ディスクを有する構成としても良い。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例0019】
図2は、本発明の一実施例に係る実施例1の自動分析装置を構成する反応ディスク内に格納される複数の反応容器の配置を説明する図である。
図2においては、上述の
図1に示したコントローラ21の表記を省略している。
図2の上図に示すように、本実施例の自動分析装置100は、反応ディスク1に周方向に沿って(円周状に)所定の間隔にて相互に離間するよう28個の反応容器2-1~2-28が格納されている。反応ディスク1は、矢印にて示すように、1サイクルで時計回りに反応容器2で17個分の回転と停止を繰り返し、5サイクルで反応容器2が17×5=85個分、すなわち、反応容器2の総数28個×3周+反応容器2を1個分=85個と、5サイクル後に反応ディスク1は3回転+反応容器2が1個分移動した位置で停止する。なお、本明細書では、反応ディスク1に格納される特定の反応容器を示す場合、反応容器2-1~2-28のうちの何れかを示し、任意の反応容器或いは反応容器を総称する場合、反応容器2と称する。また、1サイクルとは、1つの反応容器2に試料容器15から測定用の試料を試料分注機11が分注してから反応ディスク1が回転及び停止し、次の反応容器2に試料を分注するまでの時間と定義する。従って、
図2の上図に示す例では、試料分注機11により試料容器15から反応容器2へ試料が分注されるポジションが試料吐出位置41であることから、5サイクル後の時点で、反応容器2-1、反応容器2-12、反応容器2-23、反応容器2-6、及び反応容器2-17に試料容器15から測定用の試料が試料分注機11により分注された状態となる。上記の動作を繰り返すことで反応容器は28サイクルで同一の位置に戻ることになる。反応容器2の総数28個と、1サイクルで移動する反応容器2の数17個は互いに素であり、反応容器2が元の位置から±1ずれるまでのサイクル数5とこの時までに反応ディスク1が回転する周回数(回転数)3も互いに素である。すなわち、上述の反応ディスク1に格納される反応容器2の総数Nが28個、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)が17個、B(B>2)サイクル後(5サイクル後)にC(C>1)回転(3回転)±1個の反応容器分移動し、上述のA×B=N×C±1の関係を満たし、NとAは互いに素であり、BとCは互いに素となる。
【0020】
図2の上図において反応ディスク1の外周側にカッコ内に示した数、すなわち、[1]~[28]は、試料分注機構11による試料吐出位置41において試料分注が行われた反応容器2-1をサイクル[1]の反応容器とした際に、サイクル[1]~[28]において反応容器2-1がどの位置に停止しているかを示す数字である。試料吸引位置42は前処理済み試料を試料分注機構11により反応容器2から吸引する位置であり、試薬分注機構7による第1試薬吐出位置43、試薬分注機構7による第2試薬吐出位置44、第1試薬吐出後の反応容器2内の試料と第1試薬との混合液である反応液を攪拌機構5により攪拌を行う第1攪拌位置45、第2試薬吐出後の反応容器2内の試料と第1試薬と第2試薬との混合液である反応液を攪拌機構5により攪拌を行う第2撹拌位置46、反応液の吸光度測定を行う測定部4としての分光光度計による吸光度測定位置47がそれぞれ配置されている。また、
図2の下図は、
図2の上図の反応ディスク1の概略を表したものであり、試料分注(吐出)位置を1とした場合の反応容器位置番号を1とし、[1]は、試料分注(吐出)位置を1とした場合の反応経過サイクルを示しており、1サイクル目であることを表している。
【0021】
図2の上図及び
図2の下図に示すように、反応容器2-1に着目した場合、1サイクル目(サイクル[1])で、試料分注機構11により試料容器15から所定量の試料が反応容器2-1に分注される。次に、2サイクル目(サイクル[2])で、既に所定量の試料が分注された反応容器2-1に、試薬分注機構7により所定量の第1試薬が分注される。3サイクル目(サイクル[3])で、試料と第1試薬の混合液である反応液を収容する反応容器2-1が第1撹拌位置45に移動する間に、反応容器2-1は吸光度測定位置47を通過する。このとき測定部4としての分光光度計により吸光度測定位置47の吸光度が測定される。第1撹拌位置45にて、攪拌機構5により反応容器2-1内の試料と第1試薬の混合液である反応液が攪拌混合され、続いて、反応容器2-1は4サイクル目(サイクル[4])へ移動する。このとき、反応容器2-1は吸光度測定位置47を通過する際に、測定部4としての分光光度計により吸光度測定位置47の吸光度が測定される。6サイクル目(サイクル[6])では、反応容器2-1は試料吸引位置42まで移動し停止する。この間においても測定部4としての分光光度計により吸光度測定位置47の吸光度が測定される。以降、28サイクル目(サイクル[28])まで、反応容器2-1は順次移動し、28サイクル目にて洗浄機構3により反応容器2-1は洗浄され、その後、反応容器2-1は再び試料吐出位置41である1サイクル目(サイクル[1])まで移動する。
【0022】
図3は、自動分析装置100を構成するコントローラ21の機能ブロック図であり、
図4は、自動分析装置100における分析工程を示す図である。
図4では、横軸にサイクル[1]~[28]を取り、各サイクルで実施される分析工程を示している。
先ず、
図3に示すように、コントローラ21は、入力部211、入力I/F212、計測値取得部213、試料分注機構制御部214、試薬分注機構制御部215、記憶部216、試料搬送機構制御部217、反応ディスク回転制御部218、攪拌機構制御部219、洗浄機構制御部220、分析項目濃度演算部221、出力部222、及び出力I/F223を備え、これらは、内部バス224を介して相互に接続されている。計測値取得部213、試料分注機構制御部214、試薬分注機構制御部215、試料搬送機構制御部217、反応ディスク回転制御部218、攪拌機構制御部219、洗浄機構制御部220、及び分析項目濃度演算部221は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、各種プログラムを格納するROM、演算過程のデータを一時的に格納するRAM、外部記憶装置などの記憶装置にて実現されると共に、CPUなどのプロセッサがROMに格納された各種プログラムを読み出し実行し、実行結果である演算結果をRAM又は外部記憶装置に格納する。なお、本実施例では、説明の便宜上、計測値取得部213、試料分注機構制御部214、試薬分注機構制御部215、試料搬送機構制御部217、反応ディスク回転制御部218、攪拌機構制御部219、洗浄機構制御部220、及び分析項目濃度演算部221を、それぞれ異なる機能ブックにて示すが、これらのうち、任意の組み合わせの制御部としての機能ブロックとし、当該制御部が各機能を実現する複数のプログラムを実行するよう構成しても良い。
【0023】
入力部211は、例えば、ポインティングデバイス、キーボード、タブレット等により構成される。試料の種別、分析項目、分析項目に応じた試料及び試薬の分注量(液量)、上述の1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)又はサイクルB(B>2)等のパラメータは、予め図示しない上位制御器にて設定され、記憶部216の所定の記憶領域に格納されている。なお、これら記憶部216に格納されるパラメータをユーザー(検査技師)により、入力部211を介して変更することもできる。この場合、入力部211が上述のパラメータの変更を受け付けると、入力I/F212及び内部バス224を介して、記憶部216の所定の記憶領域に変更後のパラメータを格納する。また、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)又はサイクルB(B>2)については、内部バス224を介して、反応ディスク回転制御部218へ転送する。
【0024】
反応ディスク回転制御部218は、内部バス224を介して転送される1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)又はサイクルB(B>2)と、既知の反応ディスク1に格納される反応容器2の総数Nに基づき、A×B=N×C±1の関係を満たし、NとAは互いに素であり、BとCは互いに素となる、C及びA又はBを求める。ここでは、
図2に示したように、反応ディスク1に格納される反応容器2の総数Nを28個、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)が17個、サイクル数B(B>2)が5サイクル、回転数C(C>1)が3回転として求められる。反応ディスク回転制御部218は、これら求めた1サイクルで移動する反応容器2の数A及びサイクル数B並びに回転数Cを記憶部216に格納する。また、反応ディスク回転制御部218は、求めた1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)である17個、すなわち、ピッチ数17に対応する制御信号(制御指令)を、反応ディスク1を回転駆動するステッピングモータ又はパルスモータへ出力I/F223を介してサイクル毎に出力する。
【0025】
計測値取得部213は、測定部4としての分光光度計により測定された吸光度の計測値を取得し、AD変換及び/又は平滑化(ノイズ除去)等の処理を施し、内部バス224を介して記憶部216の所定の記憶領域に格納する。
記憶部216は、上述の試料の種別、分析項目、分析項目に応じた試料及び試薬の分注量(液量)、反応ディスク回転制御部218により求められた1サイクルで移動する反応容器2の数A及びサイクル数B並びに回転数C、計測値取得部213によるAD変換及び/又は平滑化(ノイズ除去)等の処理後の吸光度の測定値に加え、予め設定された吸光度と分析項目の濃度値との関係を示す検量線を格納している。
【0026】
試料搬送機構制御部217は、出力I/F223を介して試料搬送機構17へ制御信号(制御指令)を出力し、試料を収容する複数の試料容器15を搭載するラック16を試料分注機構11による吸引が可能な位置(所望の位置)へ搬送させる。
試料分注機構制御部214は、記憶部216へアクセスし、試料の種別、分析項目、及び分析項目に応じた試料の分注量(液量)を読み出し、当該試料の分注量(液量)に対応するシリンジポンプのストローク量を、試料分注機構11に接続される試料用ポンプ18cに出力I/F223を介して制御信号(制御指令)として出力する。また、試料分注機構制御部214は、試料分注機構11を構成する試料ノズル11aを試料容器15へ円弧を描くよう動作させ所定量の試料を吸引させた後、反応容器2へ円弧を描くよう動作させ試料を吐出するよう制御する。
【0027】
試薬分注機構制御部215は、記憶部216へアクセスし、分析項目に応じた第1試薬及び第2試薬の分注量(液量)を読み出し、当該第1試薬及び第2試薬の分注量(液量)に対応するシリンジポンプのストローク量を、試薬分注機構7に接続される試薬用ポンプ18aに出力I/F223を介して制御信号(制御指令)として出力する。また、試薬分注機構制御部215は、試薬分注機構7を構成する試薬ノズル7aを試薬ボトル10へ円弧を描くよう動作させ所定量の第1試薬又は第2試薬を吸引させた後、第1試薬吐出位置43に位置する反応容器2へ円弧を描くよう動作させ第1試薬を吐出するよう制御すると共に、第2試薬吐出位置44に位置する反応容器2へ第2試薬を吐出するよう制御する。
【0028】
攪拌機構制御部219は、第1撹拌位置45又は第2撹拌位置46に位置する反応容器2の試料と第1試薬の混合液である反応液又は、試料と第1試薬及び第2試薬の混合液である反応液を所定の攪拌強度にて攪拌するよう、出力I/F223を介して攪拌機構5へ制御信号(制御指令)を出力する。
【0029】
分析項目濃度演算部221は、記憶部216へアクセスし、吸光度の計測値及び検量線に基づき試料の分析項目の濃度値を求め、求めた試料の分析項目の濃度値を表示装置或はプリンタにて構成される出力部222へ出力する。
洗浄機構制御部220は、出力I/F223を介して洗浄機構3に接続される洗浄用ポンプ20及び真空ポンプ22へ駆動指令を制御信号として出力し、計測終了後の反応液を収容する反応容器2内の反応液を真空ポンプ22により吸い出すと共に、洗浄用ポンプ20により当該反応容器2を洗浄する。
【0030】
次に、各サイクルにて実施される分析工程について説明する。
図4に示すように1サイクル目(サイクル[1])において試料分注機構11により試料吐出位置41に停止の反応容器2、例えば
図2における反応容器2-1に、コントローラ21を構成する試料分注機構制御部214(
図3)からの試料の種別、分析項目、及び分析項目に応じた試料の分注量(液量)が分注される。反応ディスク1は試料分注終了後、コントローラ21を構成する反応ディスク回転制御部218(
図3)からの制御信号(制御指令)に基づき時計回りに反応容器2の17個分移動し、第1試薬吐出位置43に停止する。サイクル[2](2サイクル目)において、試薬分注機構7は、試薬ディスク9に格納された試薬ボトル10より、コントローラ21を構成する試薬分注機構制御部215(
図3)からの分析項目に応じた第1試薬の分注量(液量)を吸引する。そして、試薬分注機構7は、第1試薬吐出位置43に位置する反応容器2-1に第1試薬を吐出する。試薬吐出後、反応ディスク1は、反応ディスク回転制御部218(
図3)からの制御信号(制御指令)に基づき時計回りに反応容器2の17個分移動し、第1試薬撹拌位置45に停止する。なお、この際に反応容器2-1は測定部4としての分光光度計が設置された吸光度測定位置47を通過し、試料と第1試薬の混合液である反応液の吸光度が測定され、吸光度の測定値はコントローラ21を構成する記憶部216の所定の記憶領域に格納される。その後のサイクルにおいても吸光度測定位置47を反応容器2-1が通過するたびに試料と第1試薬の混合液である反応液の吸光度の測定値がコントローラ21の記憶部216に格納される。
【0031】
サイクル[3](3サイクル目)において、第1撹拌位置45に停止する反応容器2-1内に収容される試料と第1試薬を、コントローラ21を構成する攪拌機構制御部219からの所定の攪拌強度に基づき攪拌し、攪拌後反応ディスク1は、反応ディスク回転制御部218(
図3)からの制御信号(制御指令)に基づき時計回りに反応容器2の17個分移動する。反応ディスク1は回転と停止を繰り返し、サイクル[6](6サイクル目)で反応容器2-1は試料吐出位置41に隣接する試料吸引位置42に停止する。分析項目が、例えばヘモグロビンA1c測定のように、測定前に血球の前処理等が必要な分析項目の場合には、試料吸引位置42から試料分注機構11が前処理済みの試料を吸引し、隣接する試料吐出位置41に停止の反応容器2-28に前処理済みの試料を吐出し、この前処理済み試料の分析を行うことが可能となる。前処理を必要としない試料で第2試薬の添加が必要となる分析項目では、サイクル[12](12サイクル目)において、反応容器2-1は第2試薬吐出位置44に停止する。試薬分注機構7が試薬ディスク9に格納された試薬ボトル10より、試薬分注機構制御部215からの第2試薬の分注量(液量)を吸引し、第2試薬吐出位置44に位置する反応容器2-1に第2試薬を吐出する。第2試薬吐出後、サイクル[13](13サイクル目)において、反応ディスク1は反応ディスク回転制御部218(
図3)からの制御信号(制御指令)に基づき時計回りに反応容器2の17個分移動し、第2攪拌位置46に停止する。撹拌機構5は、第2攪拌位置46に位置する反応容器2-1に収容される試料と第1試薬及び第2試薬を、攪拌機構制御部219からの所定の攪拌強度に基づき攪拌し、攪拌後反応ディスク1は、反応ディスク回転制御部218(
図3)からの制御信号(制御指令)に基づき時計回りに反応容器2の17個分移動する。分析はサイクル[18](18サイクル目)にて終了し、サイクル[19](19サイクル目)以降は、測定部4としての分光光度計による測定は行われず、自動分析装置100は反応容器2-1の洗浄が可能となる。
【0032】
図2の上図に示すように、反応ディスク1における例えば反応容器2-1の分布をみると、サイクル[1]~[5](1サイクル目から5サイクル目)の反応容器2-1の停止位置を基準にB分割、本実施例ではサイクル数Bが5であることから5分割され、それぞれ、サイクル[1]~[5](1サイクル目から5サイクル目)の反応容器2-1からBサイクル(本実施例では5サイクル)飛びで反応容器2が時計方向に隣接して並んでいることが分かる。例えば、
図2の上図に示すように、反応ディスク1の回転方向(時計方向)において、反応容器2-1が位置するサイクル[1](1サイクル目)よりも、1つ前の位置に5サイクル後の反応容器2-1が位置するサイクル[6]が隣接し、更にサイクル[6]において反応容器2-1が位置する1つ前の位置に、更に5サイクル後のサイクル[11]が隣接して並んでいる。同様に、反応ディスク1の回転方向(時計方向)において、反応容器2-1が位置するサイクル[3](1サイクル目)よりも、1つ前の位置に5サイクル後の反応容器2-1が位置するサイクル[8]が隣接し、更にサイクル[8]において反応容器2-1が位置する1つ前の位置に、更に5サイクル後のサイクル[13]が隣接して並んでいる。これは、反応容器2-1に限らず、反応容器2-2~2-28についても同様である。
また、
図2の下図に示すように、サイクル[19](19サイクル目)以降の洗浄可能な反応容器(図中黒丸で示す)についても、5分割されたブロックの中に分かれて配置されることが分かる。具体的には、洗浄機構3による反応容器2の洗浄に2サイクル必要である場合を想定すると、
図2の下図に示すように、第1ブロック中の相互に隣接するサイクル[21]及びサイクル[26]、第3ブロック中の相互に隣接するサイクル[23]及びサイクル[28]、第5ブロック中のサイクル[20]及びサイクル[25]、第2ブロック中の相互に隣接するサイクル[22]及びサイクル[27]、第4ブロック中の相互に隣接するサイクル[19]及びサイクル[24]の中から、レイアウトし易い位置に洗浄機構3を配置することが可能となる。すなわち、洗浄機構3による洗浄可能な相互に隣接する5サイクル飛びの2サイクルの反応容器の位置がB個所(5個所)にほぼ均等分散して現れることになるので、洗浄機構3の設置位置としてB個所(5個所)選択肢を得ることができるので、最適なレイアウト検討をする上で非常に有利となる。
なお、本実施例では
図2の上図及び
図4に示すように、反応容器2-1が23サイクル目で位置するサイクル[23]及び、反応容器2-1が28サイクル目で位置するサイクル[28]の位置に洗浄機構3を配置し、反応容器2-1の洗浄を行う場合を示している。
【0033】
上述の通り、本実施例の自動分析装置100を用いれば、自動分析装置の装置規模に応じて1分析サイクル(1サイクル)での反応ディスク1の回転角度、すなわち、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)を、反応ディスク1に格納される反応容器2の総数をN、B(B>2)サイクル後に反応ディスク1がC(C>1)回転±1個の反応容器分移動し、A×B=N×C±1の関係を満たし、反応容器2の総数Nと1サイクルで移動する反応容器2の数Aが互いに素であり、BとCは互いに素となる、1サイクルで移動する反応容器2の数Aを自由に設定することが可能となる。本実施例では、上述のA×B=N×C±1の関係を満たし、NとAが互いに素、BとCが互いに素となる組み合わせとして、N=28、A=17、B=5、及びC=3の一組のみ示したが、これに限られるものではない。例えば、N=128、A=77、B=5、C=3とした場合、A×B=385であり、N×C+1=385となり、A×B=N×C±1の関係を満す。また、N=128、A=51、B=5、C=2とした場合、A×B=255であり、N×C-1=255となり、A×B=N×C±1の関係を満す。更には、N=28、A=11、B=5、C=2とした場合、A×B=55であり、N×C-1=55となり、A×B=N×C±1の関係を満す。また、N=55、A=41、B=4、C=3でとした場合、A×B=164であり、N×C-1=164となり、A×B=N×C±1の関係を満す。このように、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)を、反応ディスク1に格納される反応容器2の総数をN、B(B>2)サイクル後に反応ディスク1がC(C>1)回転±1個の反応容器分移動し、A×B=N×C±1の関係を満たし、反応容器2の総数Nと1サイクルで移動する反応容器2の数Aが互いに素であり、BとCは互いに素となる組み合わせは無数にある。また、上述のように、ある反応容器には必ず±Bサイクルの反応容器が隣接することになる。これにより、分析終了後の反応容器についてもBサイクル毎の反応容器が隣接して現れ、この洗浄可能な連続した反応容器の列が反応ディスク上のB個所にほぼ均等分散して現れることになるので、洗浄機構の設置位置としてB個所選択肢を得ることができるので、最適なレイアウト検討をする上で非常に有利となる。
【0034】
図2及び
図4に示す例では小型の自動分析装置向けにユニットを供用する観点から試薬分注機構7及び攪拌機構5をそれぞれ一台設置する構成としたが、この場合、反応ディスク1が停止中に試薬分注機構7は第1試薬及び第2試薬の両方をそれぞれ第1試薬吐出位置43、及び、第2試薬吐出位置44に停止する反応容器2に吐出しなければならない。攪拌機構5についても同様に、反応ディスク1が停止中に第1撹拌位置45、及び、第2攪拌位置46に停止の反応容器2に収容される反応液を攪拌しなければならない。従って、処理能力を向上させるためには、複数の試薬分注機構及び攪拌機構を用いて、反応ディスク1が停止している時間を短縮することが有効である。試料分注機構11についても例えば、比較的粘性が高く、試料吸引に時間を要する全血等の試料と通常の血清等の試料の違いで試料分注機構を分け高処理能力に対応することも可能である。
【0035】
前処理が必要な試料を別の反応容器に再分注する点においても、従来の例えば1サイクルで反応ディスクが1回転±1個の反応容器分移動する方法では、1サイクル毎に試料吐出位置41から前処理を行った試料が1個の反応容器ずつ遠ざかっていくため、試薬と試料が混合し、前処理が安定するまでの時間を確保するためには、1台の試料分注機構11により試料吐出位置41及びと試料吸引位置42にアクセスすることが困難となる。
【0036】
これに対し、本実施例の自動分析装置100によれば、試料吐出位置41からBサイクル毎に他の反応容器2が連続して並ぶことから、前処理済み試料を適切なタイミングで試料吐出位置41の近傍の反応容器2より吸引するのに適している。これは、従来の特許文献1に開示される、複数の反応検出管の数をN、1分析サイクルで移動する反応検出管の数をMとしたとき、N±1=A×M(Aは2以上の整数)、また、NとMの間に1以外の共通因数が無く、かつM<N/2とし、反応検出管の移動を繰り返し行う方法でも実現施可能であるものの、1分析サイクル当たりの反応ディスクの回転は1/2未満となり、反応容器内の反応液を測定部4としての分光光度計による測定可能な時間間隔が長くなり、分析性能を損ねる。これに対し本実施例の自動分析装置100によれば、1サイクル当たりの反応ディスク1の回転角度を自由に設定できることから、1回転と1サイクルでの反応ディスク1の回転角度、すなわち、測定部4としての分光光度計による測定可能時間間隔を長くすることなく、前処理済み試料を採取する試料吸引位置42を試料吐出位置41の近傍に配置することが可能となる。
【0037】
以上の通り本実施例によれば、装置の規模に因ることなく十分な反応過程データを取得し得ると共に装置構成の自由度を確保し得る自動分析装置を提供することが可能となる。
また、本実施例によれば、分析終了後の反応容器についてもBサイクル毎の反応容器が隣接して現れ、この洗浄可能な連続した反応容器の列が反応ディスク上のB個所にほぼ均等分散して現れることになるので、洗浄機構の設置位置としてB個所選択肢を得ることができるので、最適なレイアウト検討をする上で非常に有利となる。
【0038】
更にまた、本実施例によれば、1サイクル当たりの反応ディスク1の回転角度を自由に設定できることから、1回転と1サイクルでの反応ディスク1の回転角度、すなわち、測定部4としての分光光度計による測定可能時間間隔を長くすることなく、前処理済み試料を採取する試料吸引位置42を試料吐出位置41の近傍に配置することが可能となる。
入力部211は、例えば、ポインティングデバイス、キーボード、タブレット等により構成される。試料の種別、分析項目、分析項目に応じた試料及び試薬の分注量(液量)、上述の1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)又はサイクルB(B>2)等のパラメータは、予め図示しない上位制御器にて設定され、記憶部216の所定の記憶領域に格納されている。なお、これら記憶部216に格納されるパラメータをユーザー(検査技師)により、入力部211を介して変更することもできる。この場合、入力部211が上述のパラメータの変更を受け付けると、入力I/F212及び内部バス224を介して、記憶部216の所定の記憶領域に変更後のパラメータを格納する。また、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)又はサイクルB(B>2)については、内部バス224を介して、反応ディスク回転制御部218aへ転送する。
反応ディスク回転制御部218aは、内部バス224を介して転送される1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)又はサイクルB(B>2)と、既知の反応ディスク1に格納される反応容器2の総数Nに基づき、A×B=N×C±1の関係を満たし、NとAは互いに素であり、BとCは互いに素となる、C及びA又はBを求める。ここでは、実施例1と同様に、一例として、反応ディスク1に格納される反応容器2の総数Nを28個、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)が17個、サイクル数B(B>2)が5サイクル、回転数C(C>1)が3回転として求められる。また、反応ディスク回転制御部218aは、1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)=A1+A2として、1サイクルで移動する反応容器2の数Aを2分割する。以下では、A1=9、A2=8とした場合を例に説明する。反応ディスク回転制御部218aは、これら求めた1サイクルで移動する反応容器2の数A(A=A1+A2)及びサイクル数B並びに回転数Cを記憶部216に格納する。また、反応ディスク回転制御部218aは、求めた1サイクルで移動する反応容器2の数A(N>A>N/B+1)である17個を2分割した9個及び8個、すなわち、ピッチ数9に対応する制御信号(制御指令)を、反応ディスク1を回転駆動するステッピングモータ又はパルスモータへ出力I/F223を介して出力し、その後、ピッチ数8に対応する制御信号(制御指令)を、反応ディスク1を回転駆動するステッピングモータ又はパルスモータへ出力I/F223を介して出力する。
計測値取得部213は、測定部4としての分光光度計により測定された吸光度の計測値を取得し、AD変換及び/又は平滑化(ノイズ除去)等の処理を施し、内部バス224を介して記憶部216の所定の記憶領域に格納する。
記憶部216は、上述の試料の種別、分析項目、分析項目に応じた試料及び試薬の分注量(液量)、反応ディスク回転制御部218aにより求められた1サイクルで移動する反応容器2の数A(A=A1+A2)及びサイクル数B並びに回転数C、計測値取得部213によるAD変換及び/又は平滑化(ノイズ除去)等の処理後の吸光度の測定値に加え、予め設定された吸光度と分析項目の濃度値との関係を示す検量線を格納している。
試料搬送機構制御部217は、出力I/F223を介して試料搬送機構17へ制御信号(制御指令)を出力し、試料を収容する複数の試料容器15を搭載するラック16を試料分注機構11による吸引が可能な位置(所望の位置)へ搬送させる。
試料分注機構制御部214は、記憶部216へアクセスし、試料の種別、分析項目、及び分析項目に応じた試料の分注量(液量)を読み出し、当該試料の分注量(液量)に対応するシリンジポンプのストローク量を、試料分注機構11に接続される試料用ポンプ18cに出力I/F223を介して制御信号(制御指令)として出力する。また、試料分注機構制御部214は、試料分注機構11を構成する試料ノズル11aを試料容器15へ円弧を描くよう動作させ所定量の試料を吸引させた後、反応容器2へ円弧を描くよう動作させ試料を吐出するよう制御する。
試薬分注機構制御部215は、記憶部216へアクセスし、分析項目に応じた第1試薬及び第2試薬の分注量(液量)を読み出し、当該第1試薬及び第2試薬の分注量(液量)に対応するシリンジポンプのストローク量を、試薬分注機構7に接続される試薬用ポンプ18aに出力I/F223を介して制御信号(制御指令)として出力する。また、試薬分注機構制御部215は、試薬分注機構7を構成する試薬ノズル7aを試薬ボトル10へ円弧を描くよう動作させ所定量の第1試薬又は第2試薬を吸引させた後、第1試薬吐出位置53に位置する反応容器2へ円弧を描くよう動作させ第1試薬を吐出するよう制御すると共に、第2試薬吐出位置54に位置する反応容器2へ第2試薬を吐出するよう制御する。
攪拌機構制御部219は、第1撹拌位置55又は第2撹拌位置56に位置する反応容器2の試料と第1試薬の混合液である反応液又は、試料と第1試薬及び第2試薬の混合液である反応液を所定の攪拌強度にて攪拌するよう、出力I/F223を介して攪拌機構5へ制御信号(制御指令)を出力する。
分析項目濃度演算部221は、記憶部216へアクセスし、吸光度の計測値及び検量線に基づき試料の分析項目の濃度値を求め、求めた試料の分析項目の濃度値を表示装置或はプリンタにて構成される出力部222へ出力する。
洗浄機構制御部220は、出力I/F223を介して洗浄機構3に接続される洗浄用ポンプ20及び真空ポンプ22へ駆動指令を制御信号として出力し、計測終了後の反応液を収容する反応容器2内の反応液を真空ポンプ22により吸い出すと共に、洗浄用ポンプ20により当該反応容器2を洗浄する。
以上の通り本実施例によれば、実施例1の効果に加え、1サイクルにおいて2回に分けて反応ディスク1の回転と停止を行うことで、複数種類の試料の吸引、試薬の吐出、試薬の攪拌、洗浄を実施することが可能となる。