(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002140
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】果実酒の製造方法および果汁の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20221227BHJP
C12G 1/02 20060101ALI20221227BHJP
C12G 3/024 20190101ALI20221227BHJP
A23L 2/02 20060101ALN20221227BHJP
A23L 2/00 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23L19/00 Z
C12G1/02
C12G3/024
A23L2/02 A
A23L2/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103178
(22)【出願日】2021-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】598060981
【氏名又は名称】エースシステム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(71)【出願人】
【識別番号】512224729
【氏名又は名称】地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐古 圭弘
(72)【発明者】
【氏名】竹中 重雄
(72)【発明者】
【氏名】下野 雄太
【テーマコード(参考)】
4B016
4B115
4B117
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LG01
4B016LP02
4B016LP05
4B016LP13
4B115BA02
4B117LC02
4B117LG05
4B117LP01
4B117LP14
(57)【要約】
【課題】バラエティ豊かな果実酒を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る果実酒の製造方法は、(i)果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程と、(ii)過熱水蒸気処理工程を経た果実および/または当該果実を搾汁して得られる果汁を発酵させる発酵工程と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程と、
上記過熱水蒸気処理工程を経た果実を搾汁する搾汁工程と、
を含む、果汁の製造方法。
【請求項2】
果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程と、
上記過熱水蒸気処理工程を経た果実および/または当該果実を搾汁して得られる果汁を発酵させる発酵工程と、
を含む、果実酒の製造方法。
【請求項3】
上記過熱水蒸気の温度は、100℃超140℃以下である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記過熱水蒸気処理工程によって青葉臭成分の少なくとも一部が上記果実から除去される、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
上記発酵工程の開始時点における仕込み液中の亜硫酸濃度は、30mg/L以下である、請求項2~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
上記発酵工程において、ワイン酵母以外のアルコール発酵微生物を仕込み液に添加する、請求項2~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
上記果実は、ブドウまたはイチゴである、請求項2~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実酒の製造方法および果汁の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果実酒の風味や香味を改良するために、様々な果実酒の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、さらにバラエティ豊かな果実酒を提供するという観点において、従来技術には改善の余地が残されていた。本発明の一態様は、バラエティ豊かな果実酒を製造する方法を提供することを目的とする。併せて、本発明の他の態様は、バラエティ豊かな果実酒の製造などに利用できる果汁の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明には、下記の構成が含まれている。
<1>
果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程と、
上記過熱水蒸気処理工程を経た果実を搾汁する搾汁工程と、
を含む、果汁の製造方法。
<2>
果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程と、
上記過熱水蒸気処理工程を経た果実および/または当該果実を搾汁して得られる果汁を発酵させる発酵工程と、
を含む、果実酒の製造方法。
<3>
上記過熱水蒸気の温度は、100℃超140℃以下である、<2>に記載の製造方法。
<4>
上記過熱水蒸気処理工程によって青葉臭成分の少なくとも一部が上記果実から除去される、<2>または<3>に記載の製造方法。
<5>
上記発酵工程の開始時点における仕込み液の亜硫酸濃度は、30mg/Lppm以下である、<2>~<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6>
上記発酵工程において、ワイン酵母以外のアルコール発酵微生物を仕込み液に添加する、<2>~<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7>
上記果実は、ブドウまたはイチゴである、<2>~<6>のいずれかに記載の製造方法
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、バラエティ豊かな果実酒を製造する方法が提供される。本発明の他の態様によれば、バラエティ豊かな果実酒の製造などに利用できる果汁の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】過熱水蒸気処理工程により、果汁の色調が変化することを表す図である。左パネルはブドウ果汁の吸光スペクトルの変化を表しており、右パネルはイチゴ果汁の吸光スペクトルの変化を表している。
【
図2】過熱水蒸気処理工程により、果汁の香気が変化することを表す図である。ブドウ果汁に含まれている香気成分のガスクロマトグラムを表している。
【
図3】過熱水蒸気処理工程により、果汁の香気が変化することを表す図である。ブドウ果汁に含まれている香気成分の量の変化を表している。
【
図4】過熱水蒸気処理工程により、果汁の食味が変化することを表す図である。イチゴ果汁を官能評価した結果を表している。
【
図5】本発明の一実施形態に係る製造方法により、果実酒(ブドウ酒)の色調が変化することを表す図である。過熱水蒸気処理工程の時間および使用する酵母の種類によって、果実酒の色調が変化したことを表している。
【
図6】本発明の一実施形態に係る製造方法により、果実酒(ブドウ酒)の色調が変化することを表す図である。左パネルは過熱水蒸気処理工程の時間による吸光スペクトルの変化を表しており、右パネルは酵母の種類による吸光スペクトルの変化を表している。
【
図7】本発明の一実施形態に係る製造方法により、果実酒(ブドウ酒)の食味が変化することを表す図である。左上パネルは、過熱水蒸気処理工程の時間による食味の変化を味覚センサにより評価したレーダーチャートである。右上パネルは、過熱水蒸気処理工程の時間による食味の変化を官能評価したレーダーチャートである。左下パネルは、酵母の種類による食味の変化を味覚センサにより評価したレーダーチャートである。右下パネルは、酵母の種類による食味の変化を官能評価したレーダーチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係る製造方法により、果実酒(イチゴ酒)の色調が変化することを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の一例について詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されない。
【0009】
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0010】
本明細書において「果実酒」とは、果実および/または果汁を醗酵させて得られる全てのアルコール飲料を意味する。それゆえ、本明細書において「果実酒」と称されるアルコール飲料は、日本国の酒税法上の「果実酒」に分類されるとは限らない。本明細書における果実酒は、日本国の酒税法上の果実酒(ワイン(発泡性ワインも含む)、シードルなど)、甘味果実酒、ブランデー、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、雑酒が含まれうる。
【0011】
〔1.過熱水蒸気処理工程〕
本発明の一態様に係る製造方法は、果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程を含む。過熱水蒸気処理工程を含むことにより、〔5.〕節に例示する様々な効果が製造される果実酒に付与される。
【0012】
過熱水蒸気処理工程に供される果実の種類は、特に限定されない。果実の具体例としては、ブドウ、リンゴ、ナシ、モモ、スモモ、ウメ、サクランボ、アンズ、イチゴ、ザクロ、クロスグリ、ビワ、マルメロ、ライチ、キウイフルーツ、ミカンが挙げられる。また、これらの果実の種々の品種を適宜選択して、果実酒の原料とすることができる。一実施形態において、果実はブドウである。一実施形態において、果実はイチゴである。
【0013】
過熱水蒸気処理工程に供される果実の状態は、特に限定されない。一実施形態においては、果実の全体が過熱水蒸気処理工程に供される。一実施形態においては、果実の一部を除去したものが過熱水蒸気処理工程に供される。この実施形態においては、例えば、果皮および/または種子を除去する。一実施形態においては、果実を破砕したものが過熱水蒸気処理工程に供される。
【0014】
本明細書において「過熱水蒸気」とは、100℃の飽和水蒸気を、定圧下にて、100℃超の高温にさらに過熱した水蒸気を意味する。過熱水蒸気の温度の下限は、100℃超が好ましく、105℃以上がより好ましく、110℃以上がさらに好ましい。過熱水蒸気の温度の上限は、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。過熱水蒸気の温度が100℃超ならば、果実に含まれる成分の組成比を変化させることにより、果実酒の香気、色調および/または食味を変化させることができる。過熱水蒸気の温度が140℃以下ならば、果実の乾燥および/または焦げ付きを防止できる。
【0015】
本明細書において「過熱水蒸気の温度」とは、過熱水蒸気発生源における温度を意味する。果実に到達する際の過熱水蒸気の温度は、過熱水蒸気発生源における温度と実質的に同じであってもよいが、5~10℃程度低くてもよい。ただし、果実に到達する水蒸気の温度が100℃超になるように適宜設定することが好ましい。
【0016】
果実を過熱水蒸気に接触させる時間は、過熱水蒸気の温度、果実の種類および大きさなどに応じて、適宜設定できる。接触時間の下限は、1分間以上が好ましく、3分間以上がより好ましい。接触時間の上限は、30分間以下が好ましく、20分以下がより好ましい。
【0017】
果実を均一に加熱するためには、噴出口から噴出された過熱水蒸気流を、果実に直接当てない方が好ましい。その代わりに、ある程度の容積の空間に過熱水蒸気を充満させ、当該空間内に果実を配置することが好ましい。例えば、過熱水蒸気を充満させたチャンバ内に、果実を配置することが好ましい。
【0018】
一実施形態においては、過熱水蒸気処理工程によって、果実の青葉臭成分の少なくとも一部が果実から除去される。このことにより、完成する果実酒から青臭さを除くことができる。本明細書において「青葉臭成分」とは、青臭さを感じさせる香気成分を意味する。青葉臭成分の例としては、1-ヘキサノール、n-ヘキセノール、(2E)-ヘキセノール、(3Z)-ヘキセノール(青葉アルコール)、(3E)-ヘキセノール、ヘキサナール、n-ヘキセナール、(2E)-ヘキセナール(青葉アルデヒド)、(3Z)-ヘキセナール、(3E)-ヘキセナールが挙げられる。1種類以上の果実の青葉臭成分の量は、過熱水蒸気処理工程によって、無処理コントロールの80%以下に低減されることが好ましく、70%以下に低減されることがより好ましく、60%以下に低減されることがさらに好ましい。
【0019】
上述した過熱水蒸気処理工程は、公知の装置により実施できる。このような装置の例としては、日本国特許第6,397,448号に記載された蒸煮装置が挙げられる。市販の装置としては、ベジタブルスチームクッカー、マルチスチームクッカー(いずれもエースシステム株式会社製)が好適に用いられる。
【0020】
上述の装置は、処理室および搬送装置を備えている。処理室は、果実と過熱水蒸気とを接触させるためのチャンバである。搬送装置は、処理室を通過するように配置されており、果実を搬送する。搬送装置により搬送される果実は、処理室を通過する間に過熱水蒸気と接触し、過熱水蒸気処理工程が実施される。このような設計であるため、上述の装置は、搬送路の長さおよび搬送速度を変化させることにより、果実と過熱水蒸気との接触時間を調節することができる。
【0021】
また、上述の装置は、処理室の上方に配置されている蒸気室と、下方に配置されている蒸気供給室とを備えている。過熱水蒸気発生装置から供給される過熱水蒸気は、まず蒸気供給室に流入し、その後に蒸気室へと移動する。そのため、果実に対して均一に過熱水蒸気を接触させることができる。
【0022】
さらに、上述の装置を使用すると、過熱水蒸気処理工程の終わった果実は、搬送装置によって処理室の外に搬出される。そのため、過熱水蒸気に接触することにより果実から抽出された青葉臭成分は、果実から分離される。その結果、果実から抽出された青葉臭成分が、後続の発酵工程に混入することを防止できる。
【0023】
〔2.発酵工程〕
本発明の一態様に係る製造方法は、過熱水蒸気処理工程を経た果実および/または当該果実を搾汁して得られる果汁を発酵させる発酵工程を含む。本明細書における発酵とは、アルコール発酵を意味する。
【0024】
一実施形態において、発酵工程に供される仕込み液には、果実のみが含まれており、当該果実の搾汁により得られた果汁は含まれていない。一実施形態において、仕込み液には、果実と、当該果実の搾汁により得られた果汁との両方が含まれている。一実施形態において、仕込み液には、果実が含まれておらず、当該果実の搾汁により得られた果汁のみが含まれている。ここで言う果実とは、果実の全体であってもよいし、果実の一部(果皮、種子など)を除去したものであってもよいし、果実を破砕したものであってもよい。また、ここで言う果汁には、濃縮果汁も含まれる。
【0025】
発酵過程に供される仕込み液には、果実および/または果汁以外の成分を配合してもよい。例えば、アルコール発酵の基質となる糖分を添加してもよい。また、仕込み液には、果実酒の製造に一般的に使用される添加物を添加してもよい。
【0026】
本発明の一実施形態に係る製造方法は、過熱水蒸気処理工程により果実が殺菌されるため、ワインなどの果実酒の製造において一般的に使用される亜硫酸の添加が必須ではない。亜硫酸は、ワインなどの果実酒の酸化防止および微生物汚染の防止のために添加される。果実酒に添加される亜硫酸の添加量は、食品衛生法によって定められており、その上限値は350mg/L以下である。この上限値を超えなければ亜硫酸は無害であるとされているが、昨今の健康志向により、一部の消費者においては、亜硫酸無添加の果実酒が好まれる傾向にある。
【0027】
本発明の一実施形態において、発酵工程の開始時点の仕込み液中における亜硫酸の上限は、30mg/L以下が好ましく、25mg/L以下がより好ましく、20mg/L以下がさらに好ましく、15mg/L以下がより一層好ましく、10mg/L以下が特に好ましい。発酵工程の開始時点の仕込み液中における亜硫酸の濃度の下限は、0mg/L以上であってもよいが、3mg/L以上または5mg/L以上であってもよい。一実施形態において、発酵工程では、原料以外に由来する添加物としての亜硫酸を仕込み液に添加しない。なお、原料またはアルコール発酵微生物由来の亜硫酸が発生するため、添加物としての亜硫酸を添加していなくとも、発酵工程の完了時の醸造液には10~30mg/L程度の亜硫酸が含まれている場合がある。亜硫酸の濃度は、公知の方法により測定することができる。亜硫酸濃度の測定方法としては、ランキン法やリッパー法が例示されるが、ランキン法は国税庁所定法であるためより好ましい方法であるといえる。なお、ランキン法であってもリッパー法であっても、亜硫酸濃度の測定結果に大差はない。
【0028】
従来、ワインなどの果実酒の製造においては、仕込み液に亜硫酸を添加しているため、ワイン酵母のように亜硫酸耐性の高い酵母を使用しなければならなかった。しかし上述の通り、本発明の一実施形態に係る製造方法では、亜硫酸濃度が低い条件にて発酵工程を実施できる。そのため、必ずしも亜硫酸耐性が高いとは限らない、ワイン酵母以外のアルコール発酵微生物を用いて果実酒を製造できる。このようなアルコール発酵微生物の例としては、天然に存在する天然酵母、焼酎酵母、清酒酵母、ビール酵母、パン酵母、非サッカロミセス酵母、ザイモモナス属細菌(Zymomonas mobilisなど)が挙げられる。このような微生物を使用することにより、通常の果実酒とは異なった色調、香気および/または食味を有する果実酒を製造できる。もちろん、ワイン酵母を用いて発酵工程を実施してもよいし、ワイン酵母とその他のアルコール発酵微生物とを組合せて発酵工程を実施してもよい。
【0029】
発酵工程に用いる酵母の例としては、公益財団法人日本醸造協会から入手可能な「きょうかい酵母」が挙げられる。焼酎酵母の具体例としては、きょうかい酵母S-2号(日本醸造協会)、焼酎1号(株式会社秋田今野商店)が挙げられる。清酒酵母の具体例としては、きょうかい酵母901号(日本醸造協会)、No.1号(株式会社秋田今野商店)が挙げられる。ワイン酵母の具体例としては、ブドウ酒用1号(日本醸造協会)、SENSY(LALLEMAND)が挙げられる。ビール酵母の具体例としては、ビール9号(株式会社秋田今野商店)、ピルスナーラガーイーストWLP800(WHITE LABS)が挙げられる。パン酵母の具体例としては、パン1号菌(株式会社秋田今野商店)、LT-3(オリエンタル酵母工業株式会社)が挙げられる。非サッカロミセス属酵母の例としては、BIODIVA(Torulaspora delbrueckii菌、LALLEMAND)、FLAVIA(Metschnikowia pulcherrima菌、LALLEMAND)が挙げられる。
【0030】
〔3.その他の工程〕
本発明の一実施形態に係る製造方法は、過熱水蒸気処理工程および発酵工程以外の工程を含んでもよい。このような工程の例としては、発酵停止工程(亜硫酸の添加、酵母の濾過、加熱処理など)、貯蔵工程、清澄化工程(滓引、濾過など)、瓶詰工程が挙げられる。ブランデーなどの蒸留酒を製造する場合は、蒸留工程をさらに含んでもよい。甘味果実酒などの混成酒を製造する場合は、他成分との混合工程をさらに含んでもよい。
【0031】
〔4.果汁の製造方法〕
本発明の他の態様は、果汁の製造方法である。この製造方法は、果実を過熱水蒸気で処理する過熱水蒸気処理工程と、過熱水蒸気処理工程を経た果実を搾汁する搾汁工程と、を含む。過熱水蒸気処理工程については、〔1〕節で説明した通りである。搾汁工程は、従来公知の手段により実行できる。
【0032】
本発明の一態様に係る果汁の製造方法により得られる果汁の使用方法は、特に限定されない。そのまま飲用としてもよいし、他の食品の材料として用いてもよいし、食品以外に利用してもよい。この果汁を発酵させて果実酒とすると、バラエティ豊かな果実酒が得られるため、好ましい。
【0033】
〔5.本発明の効果の例〕
本発明の一実施形態に係る製造方法によれば、以下に例示する効果のうち、少なくとも一つを奏しうる。ただし、本発明の効果は明細書全体を通して理解されるのであって、以下の例示に限定されない。それゆえ、本発明の一実施形態に係る製造方法は、以下に例示する効果を必ずしも奏さなければならない訳ではない。
【0034】
(1)果実酒の香気の変化
本発明の一実施形態に係る製造方法では、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、果実に含まれている香気成分の組成を変化させることができる。例えば、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、青葉臭成分の含有量を下げることができる。そのため、得られる果実酒の青臭さを低減できる。
【0035】
また、本発明の一実施形態に係る製造方法では、ワイン酵母以外のアルコール発酵微生物(清酒酵母、焼酎酵母など)を発酵工程において使用できる。そのため、発酵により生じる香気を果実酒に付与できる。そのため、ワイン酵母とは異なる香りがする果実酒が製造できる可能性がある。例えば、清酒酵母(特に吟醸酵母)を使用すれば、日本酒の香り(吟醸香)がする果実酒を製造できる。
【0036】
(2)果実酒の色調の変化
本発明の一実施形態に係る製造方法では、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、果実および/または果汁の色調を変化させることができる。例えば、過熱水蒸気処理工程を経たブドウ果実は、果皮の色が果汁に移行する。そのため、白ワインの製造方法(ブドウ果実を搾汁した果汁のみを発酵工程に供する)によって、赤ワインやロゼワインのような色調のワインを製造できる。
【0037】
また、本発明の一実施形態に係る製造方法では、ワイン酵母以外のアルコール発酵微生物(清酒酵母、焼酎酵母など)を発酵工程において使用できる。そのため、使用する酵母を適切に選択すれば、通常とは異なる色調を果実酒に付与できる。
【0038】
(3)果実酒の食味の変化
本発明の一実施形態に係る製造方法では、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、果実に含まれている食味成分の組成を変化させることができる。また、本発明の一実施形態に係る製造方法では、ワイン酵母以外のアルコール発酵微生物(清酒酵母、焼酎酵母など)を発酵工程において使用できる。そのため、得られる果実酒の食味を変化させることができる。
【0039】
また、本発明の一実施形態に係る製造方法によれば、果実酒におけるポリフェノール含有量を増加させることもできる。そのため、果実酒の食味を変化させるとともに、健康増進効果も見込める。
【0040】
(4)亜硫酸添加量の低減
本発明の一実施形態に係る製造方法では、過熱水蒸気処理工程により果実が殺菌されるため、発酵工程における亜硫酸の添加量を低減できる。そのため、亜硫酸含有量の低減された果実酒を製造できる。また、亜硫酸耐性の低いアルコール発酵微生物を用いて発酵工程を実施できる。
【0041】
上記各項目で記載した内容は、他の項目においても適宜援用できる。本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。したがって、異なる実施形態にそれぞれ開示されている技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0042】
本明細書中に記載された学術文献および特許文献のすべてが、本明細書中において参考文献として援用される。
【0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
【実施例0044】
〔製造例:ワインの製造〕
下記手順に従い、ワインを製造した。
1.ブドウ果実を金属製トレイに入れ、ベジタブルスチームクッカー(エースシステム株式会社製)を用いて過熱水蒸気と接触させた。この際、噴出口から処理室下部の蒸気供給室へと過熱水蒸気を流入させ、次いで、処理室上部の蒸気室へと過熱水蒸気を移動させた。ブドウ果実は、蒸気室にて過熱水蒸気と接触させた。過熱水蒸気発生源における過熱水蒸気の温度は120℃であり、処理室内上部の温度は100℃とした。
2.過熱水蒸気処理工程の完了したブドウ果実を、急速冷却した。
3.小型水圧搾汁機(MISURINA、Enotecnica PILLAN製)により、搾汁率60%でブドウ果実を搾汁し、ブドウ果汁を得た。ここまで工程において、殺菌剤および酸化防止剤としての亜硫酸は添加しなかった。一方、過熱水蒸気処理工程を施していない無処理コントロールの果実は、破砕後すぐにピロ亜硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を添加し、その後に搾汁した。ピロ亜硫酸カリウムの添加量は、果実重量に対して亜硫酸換算で50ppmであった(この添加量はワイン製造における通常の量であり、仕込み液中の亜硫酸濃度は30mg/Lを超えていると推定される)。
4.果汁全体の3%に相当する果汁を分取し、乾燥酵母を添加した。酵母の添加量は、6mg/mLとした。調製した果汁を20℃にて一晩静置し、酵母を順化させた。
5.工程4で分取しなかった残余の果汁を、4℃にて一晩静置し、上澄みを回収した(デブルバージュ)。
6.工程4および工程5で得られた果汁を混合し、18℃にて発酵を開始させた。
7.比重の変化がなくなり酵母が沈澱し始めたことをもって、発酵の終了を判断した。ピロ亜硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を添加して、発酵を停止させた。
8.清澄化処理のため、4℃にて滓引した。その後さらに、マルチラボフィルター(日本濾水機工業株式会社製)で濾過した。濾材には、セラポアフィルターA250L-Rグレード(日本濾水機工業株式会社製)を使用した。
【0045】
〔実施例1:果汁の色調変化〕
過熱水蒸気処理工程を経ることによる果汁の色調変化を検討した。
【0046】
[実施例1-1:ブドウ果汁]
製造例の工程1~3に従って、5分間または10分間過熱水蒸気処理工程を施したブドウ果汁のサンプルを得た。分光光度計により、波長:300~800nm領域におけるサンプルの吸光スペクトルを得た。結果を
図1の左パネルに示す。
【0047】
[実施例1-2:イチゴ果汁]
製造例の工程1~3に準じた手順により、5分間または10分間過熱水蒸気処理工程を施したイチゴ果汁のサンプルを得た。分光光度計により、波長:300~800nm領域におけるサンプルの吸光スペクトルを得た。結果を
図1の右パネルに示す。
【0048】
[実施例1-1、1-2の結果]
図1から分かるように、過熱水蒸気処理工程を施すことによって、果汁の吸光スペクトルが変化していることが分かる。ブドウ果汁は無色透明から淡紅色に変化し、イチゴ果汁は淡紅色から深紅色に変化した。このように色調の変化した果汁を醸造することにより、色調が通常とは異なる果実酒が得られる(実施例5をも参照)。
【0049】
〔実施例2:果汁の香気変化〕
過熱水蒸気処理工程を経ることによる果汁の香気変化を検討した。製造例の工程1~3に従って、5分間または10分間過熱水蒸気処理工程を施したブドウ果汁のサンプルを得た。サンプルに含まれる香気成分の含有量を定量した(定量した成分は、下記表1を参照)。具体的には、内部標準(IS)として50μLのシクロヘキサノール(115.2μg/mL)をHS捕集瓶(容量:20mL)に注入した後、各サンプルを1mLずつ加えて密封し、ガスクロマトグラフ測定した。測定条件は下記の通りである。
・測定使用機器:Agilent Technologies 7890A GC SystemおよびJEOL JMS Q1050 GC/MS
・カラム:DB-WAX 0.25 mm×60m×0.25μm
・昇温条件:40℃にて5分間保持→5℃/分で200℃まで昇温→15℃/分で250℃まで昇温→250℃にて20分間保持
・キャリアガス:ヘリウム
・カラム流速:2.1mL/分
・HS捕集条件:サンプル加熱時間:10分、加熱温度:70℃
【0050】
【0051】
[実施例2の結果]
図2にクロマトグラムを示す。同図から分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、ブドウ果汁の香気成分の組成が変化していた。変化量を表すグラフ化を
図3に示す。より詳細な定量値を表2に示す。これらから分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、青葉臭物質含有量が大幅に低下していた。このような果汁を原料とすることにより、香気が通常とは異なる(青臭さが低減された)果実酒が得られることが予想される。
【0052】
【0053】
〔実施例3:果汁の食味変化〕
過熱水蒸気処理工程を経ることによる果汁の食味の変化を、パネラーによる官能評価に供した。
【0054】
製造例の工程1~3に準じた手順により、5分間または10分間過熱水蒸気処理工程を施したイチゴ果汁のサンプルを得た。官能評価について一定の技量を有する8名のパネラー(男4名、女4名;平均年齢48.5歳)に、イチゴ果汁を無作為に試飲させ、以下の項目を回答させた。
・香り:1~5(弱~強)の5段階評価
・色:1~5(弱~強)の5段階評価
・甘さ:1~5(弱~強)の5段階評価
・酸味:1~5(弱~強)の5段階評価
・飲みやすさ:1~5(悪~良)の5段階評価
【0055】
[実施例3の結果]
結果を
図3に示す。また、各評価項目の詳細な評価点を表3に示す。これらから分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、イチゴ果汁の食味に明らかな変化が生じた。このような果汁を原料とすることにより、食味が通常とは異なる果実酒が得られることが予想される(実施例6をも参照)。
【0056】
【0057】
〔実施例4:果汁の成分変化〕
製造例の工程1~3に従って、5分間または10分間過熱水蒸気処理工程を施したブドウ果汁のサンプルを得た。このサンプルについて、Brix、比重、転化糖分、pH、滴定酸度(酒石酸換算値)、酵母資化性窒素(YAN)を測定した。具体的な測定方法は、以下の通りである。
●Brix分析
ポケット糖度計(PAL-1、株式会社アタゴ製)を用いた。
●比重
国税庁所定分析法に従って測定した。
●転化糖分
比重の値から算出した。
●滴定酸度およびpH
ワイン分析用総酸度/pH測定器(HI84502、Hanna Instruments製)を用いた。
●酵母資化性窒素(YAN)
ワイン分析用ホルモール窒素/pH測定器(HI84533、Hanna Instruments製)を用いた。
【0058】
[実施例4の結果]
結果を表4に示す。表4から分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ても、果汁の成分には影響が及ばないことが分かった。このことは、次工程の発酵工程を適切に進行させるために、好適に作用すると考えられる。
【0059】
【0060】
〔実施例5:果実酒の色調変化〕
製造例に従って、以下の果実酒を製造した。ワイン酵母としては、SENSY(LALLEMAND)を使用した。清酒酵母としては、きょうかい酵母901号(公益財団法人日本醸造協会)を使用した。焼酎酵母としては、きょうかい酵母S-2号(公益財団法人日本醸造協会)を使用した。製造した果実酒の色調を、実施例1と同様の方法で測定した。
・5分間の加熱処理工程を施し、ワイン酵母で発酵させた果実酒
・10分間の加熱処理工程を施し、ワイン酵母で発酵させた果実酒
・10分間の加熱処理工程を施し、清酒酵母で発酵させた果実酒
・10分間の加熱処理工程を施し、焼酎酵母で発酵させた果実酒
【0061】
[実施例5の結果]
図5、6に結果を示す。
図5は、それぞれの果実酒の写真である。同図から分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、同じワイン酵母を使用していても、得られる果実酒の色調が明らかに変化していた(赤みを帯びた色調になっている)。また、亜硫酸耐性の低い清酒酵母または焼酎酵母を用いても果実酒を製造することができ、得られた果実酒の色調は、ワイン酵母を用いた果実酒とはさらに異なっていた(赤みが濃くなっている)。この色調の変化は、
図6に示す吸光スペクトルによっても支持される。
【0062】
〔実施例6:果実酒の食味変化〕
実施例5で分析した4種類の果実酒を、味覚センサによる分析およびパネラーによる官能評価に供した。
【0063】
[実施例6-1:味覚センサによる分析]
味認識装置(TS-5000Z、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用い、メーカーの推奨する使用方法に従って分析した。それぞれの果実酒の原液をサンプルとし、コントロールサンプルとしてはビストロ白(メルシャン株式会社製)を用いた。使用したセンサは、通常の食品分析で使用する5種類のセンサであった(AAE、CT0、CA0、C00、AE1)。測定中は、室温を20℃に調整することにより、試料温度を一定に保った。
【0064】
[実施例6-2:パネルによる官能試験]
官能評価について一定の技量を有する8名のパネラー(男4名、女4名;平均年齢48.5歳)に果実酒を無作為に試飲させ、以下の項目を回答させた。
・香り:1~5(弱~強)の5段階評価
・辛さ:1~5(弱~強)の5段階評価
・酸味:1~5(弱~強)の5段階評価
・アルコール感:1~5(弱~強)の5段階評価
・飲みやすさ:1~5(悪~良)の5段階評価
【0065】
[実施例6-1、6-2の結果]
結果を
図7に示す。また、各評価項目の詳細な評価点を表5に示す。これらから分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、同じワイン酵母を用いた場合であっても、得られる果実酒の食味に明らかな変化が生じた。また、清酒酵母または焼酎酵母を用いても果実酒を製造することができ、酵母の種類を変更することによっても、得られる果実酒の食味に変化が生じた。官能評価においては、過熱水蒸気処理工程を経た果実酒に対して良好な結果が得られた。
【0066】
【0067】
〔実施例7:果実酒の成分変化〕
実施例5で分析した4種類の果実酒について、アルコール度数、pH、滴定酸度(酒石酸換算値)、有機酸組成(クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸)および総ポリフェノール含有量を測定した。具体的な測定方法は、以下の通りである。
●アルコール度数
国税庁所定分析法に従って測定した。
●滴定酸度およびpH
ワイン分析用総酸度/pH測定器(HI84502、Hanna Instruments製)を用いた。
●有機酸組成分析
高速液体クロマトグラフィー(有機酸分析システム、株式会社島津製作所製)を用いて、以下の条件で分析した。
・カラム:Shim-pack SCR-102H(300mmL.×8.0mmi.d.)2本直列接続
・ガードカラム:ガードカラムSCR-102H(50mmL.×6.0mmi.d.)
・カラム温度:40℃
・移動相:5mmol/L p-トルエンスルホン酸水溶液
・流速:0.8mL/分
・検出器:電気伝導度検出
・検出器温度:43℃
●総ポリフェノール含有量
フォーリン・チオカルト法により測定した。果実酒を蒸留水で10倍稀釈した後、吸光度計で波長765nmの吸光度を測定した。没食子酸相当量として総ポリフェノール含有量を表した。
【0068】
[実施例7の結果]
結果を表6に示す。表6から分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ることにより、同じワイン酵母を用いた場合には、総ポリフェノール含有量が大きく向上した。また、清酒酵母または焼酎酵母に酵母の種類を変更すると、過熱水蒸気処理工程に起因する総ポリフェノール含有量の向上に加えて、滴定酸度も向上した。ポリフェノールは、抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があり、動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立つとされている。したがって、実施例7の結果からは、過熱水蒸気処理を実施することにより、栄養価が高い果実酒が得られる可能性が示唆された。
【0069】
【0070】
〔実施例8〕
イチゴを原料とする果実酒を製造し、過熱水蒸気処理工程を経ることによる果汁および果実酒の成分の変化と、果実酒の色調の変化を確認した。イチゴを原料とする果実酒の製造方法は、下記の通りである。
1.製造例と同様にイチゴ果実を過熱水蒸気処理した後、急速冷却した。
2.手搾りにより、搾汁率50%でイチゴ果実を搾汁し、イチゴ果汁を得た。果汁には、殺菌剤および酸化防止剤として、亜硫酸として50ppm相当量の亜硫酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬製)を添加した。
3.果汁全体の3%に相当する果汁を分取し、乾燥酵母を添加した。酵母の添加量は、6mg/mLとした。調製した果汁を20℃にて一晩静置し、酵母を順化させた。
4.分取しなかった残余の果汁を、4℃にて一晩静置し、上澄みを回収した(デブルバージュ)。
5.酵母を順化させた果汁とデブルバージュした果汁とを混合し、18℃にて発酵を開始させた。
6.比重の変化がなくなり酵母が沈澱し始めたことをもって、発酵の終了を判断した。ピロ亜硫酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を添加して、発酵を停止させた。
7.清澄化処理のため、4℃にて滓引した。
【0071】
工程2で得られたイチゴ果汁サンプルについて、Brix、比重、転化糖分、pH、滴定酸度(酒石酸換算値)、酵母資化性窒素(YAN)を測定した。測定方法は、実施例4と同様である。また、工程6で得られたイチゴ酒サンプルについて、アルコール度数、pH、滴定酸度(酒石酸換算値)を測定した。測定方法は、実施例7と同様である。
【0072】
[実施例8の結果]
イチゴ果汁サンプルの分析結果を表7に示す。イチゴ酒サンプルの分析結果を表8に示す。また、イチゴ酒サンプルの外観を
図8に示す。
【0073】
表7から分かるように、過熱水蒸気処理工程を経ても、果汁の成分には影響が及ばないことが分かった。このことは、次工程の発酵工程を適切に進行させるために、好適に作用すると考えられる。また、表8から分かるように、過熱水蒸気工程を経ることにより、果実酒の滴定酸度が向上した。このことは、果実酒の食味を変化させると考えられる。さらに、
図8から分かるように、過熱水蒸気工程を含む製造方法で得られた果実酒は、赤みの濃い色調に変化していた。
【0074】
【0075】