(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021905
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置および回収方法、偏光板用の保護フィルムの製造装置および製造方法、偏光板の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20230207BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20230207BHJP
B26D 1/24 20060101ALI20230207BHJP
B02C 18/00 20060101ALI20230207BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20230207BHJP
【FI】
B29B17/04
B26D7/18 E
B26D1/24 C
B02C18/00 106Z
B29C48/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022056700
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390013745
【氏名又は名称】株式会社ホーライ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100221512
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 誠司
(72)【発明者】
【氏名】西本 侑真
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山脇 利宏
【テーマコード(参考)】
3C021
4D065
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
3C021FC01
4D065DD30
4D065EB14
4D065EB20
4D065ED04
4D065ED14
4D065EE04
4F207AA01
4F207AA12
4F207AA21
4F207AA24
4F207AA28
4F207AG01
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK64
4F207KL84
4F207KW21
4F207KW23
4F207KW45
4F401AA02
4F401AA08
4F401AA17
4F401AA22
4F401AA23
4F401AC20
4F401AD07
4F401CA13
4F401CA14
4F401CA80
4F401CA82
4F401CB18
4F401CB24
4F401CB33
(57)【要約】
【課題】人手を要さずに保護フィルムの端部を回収でき、また、保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる保護フィルムの端部の回収装置を提供する。
【解決手段】偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置は、偏光板用の保護フィルムを搬送する搬送ローラと、前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断部と、前記切断部により切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸い込む吸込管と、前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管に吸込空気を発生させる吸引機と、前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕機とを備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板用の保護フィルムを搬送する搬送ローラと、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断部と、
前記切断部により切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸い込む吸込管と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管に吸込空気を発生させる吸引機と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕機と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置。
【請求項2】
前記吸込管の内面は、凹凸形状を有する、請求項1に記載の偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置。
【請求項3】
前記吸込管の前記吸込口の長円形の扁平率は、0.62~0.92である、請求項1または2に記載の偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置。
【請求項4】
前記吸込管は、前記吸込管の流路断面積が前記吸込口から下流側に向かって小さくなるように漏斗状に形成された部分を含む、請求項1から3の何れか一つに記載の偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置。
【請求項5】
前記吸込口の中心軸と前記長円形の長軸に沿った縦断面において、前記吸込管の内面は、前記吸込口の中心軸に対して10°~45°に傾斜するテーパ面を含む、請求項4に記載の偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置。
【請求項6】
原料からシート状の偏光板用の保護フィルムを作製する作製装置と、
前記作製装置により作製された前記保護フィルムから端部を切断して回収する、請求項1から5の何れか一つに記載の偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置と、
前記回収装置により端部が回収された前記保護フィルムを製品として巻き取る巻取装置と
を備える、偏光板用の保護フィルムの製造装置。
【請求項7】
偏光板用の保護フィルムを搬送する搬送工程と、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸込管から吸い込む吸込工程と、
前記吸込工程で前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕工程と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている、偏光板用の保護フィルムの端部の回収方法。
【請求項8】
原料からシート状の偏光板用の保護フィルムを作製する作製工程と、
請求項7に記載の回収方法により前記保護フィルムの端部を回収する回収工程と、
前記回収工程で端部が回収された前記保護フィルムを製品として巻き取る巻取工程と
を備える、偏光板用の保護フィルムの製造方法。
【請求項9】
保護フィルムおよび偏光フィルムを含む偏光板の製造装置であって、
原料からシート状の前記保護フィルムを作製する作製装置と、
前記保護フィルムの端部を回収する回収装置と、
前記回収装置で端部が回収された前記保護フィルムを巻き取る巻取装置と、
前記巻取装置で巻き取られた前記保護フィルムを送り出す送出装置と、
前記偏光フィルムを供給する供給装置と、
前記送出装置で送り出された前記保護フィルムと前記供給装置で供給された前記偏光フィルムとを粘接着剤層を介して貼合する貼合装置と
を備え、
前記回収装置は、
前記保護フィルムを搬送する搬送ローラと、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断部と、
前記切断部により切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸い込む吸込管と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管に吸込空気を発生させる吸引機と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕機と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている、偏光板の製造装置。
【請求項10】
保護フィルムおよび偏光フィルムを含む偏光板の製造方法であって、
原料からシート状の前記保護フィルムを作製する作製工程と、
前記保護フィルムの端部を回収する回収工程と、
前記回収工程で端部が回収された前記保護フィルムを巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程で巻き取られた前記保護フィルムを送り出す送出工程と、
前記偏光フィルムを供給する供給工程と、
前記送出工程で送り出された前記保護フィルムと前記供給工程で供給された前記偏光フィルムとを粘接着剤層を介して貼合する貼合工程と
を備え、
前記回収工程は、
前記保護フィルムを搬送する搬送工程と、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸込管から吸い込む吸込工程と、
前記吸込工程で前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕工程と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている、偏光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置および回収方法、偏光板用の保護フィルムの製造装置および製造方法、偏光板の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2012-131208号公報(特許文献1)に示されるように、偏光板用保護フィルムなどの光学フィルムの製造において、光学フィルムの製品幅に合わせて光学フィルムの端部が切断されていた。そして、この切断された光学フィルムの端部(以下、切断端部という。)を巻取ローラにより巻き取る方法が多く用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のような方法では、切断端部は、巻取ローラにより所定量だけ巻き取られた後に、作業者により回収されることが多い。この場合、作業者は、切断端部を所定量ごとに回収する必要があり、手間を要していた。また、切断端部を巻取ローラにより巻き取っている際に、切断端部が巻取ローラの張力により破断するおそれがあり、作業者は、再度、切断端部を巻取ローラに巻き付ける必要があり、手間を要していた。
【0005】
さらに、巻取ローラに巻き取られた切断端部の回収の都度、巻取ローラによる切断端部の巻取作業を一時的に停止しなければならず、切断端部の回収を保護フィルムの製造ラインに組み込むことは、保護フィルムの製造ライン全体を停止する必要があり、困難であった。
【0006】
そこで、本開示は、人手を要さずに保護フィルムの端部を回収でき、また、保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる保護フィルムの端部の回収装置および回収方法と、製品としての保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができる保護フィルムの製造装置および製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置は、
偏光板用の保護フィルムを搬送する搬送ローラと、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断部と、
前記切断部により切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸い込む吸込管と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管に吸込空気を発生させる吸引機と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕機と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている。
【0008】
ここで、この明細書では、長円形の長軸が切断端部の幅方向と平行になるとは、完全に平行である場合に限らず、実質的に平行である場合も含み、例えば、長円形の長軸と切断端部の幅方向との交差角度が30°以下である場合、長円形の長軸と切断端部の幅方向とは平行であるとする。
【0009】
前記態様によれば、吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、吸込管は、長円形の長軸が切断端部の幅方向と平行になるように、配置されているので、吸込管から切断端部を吸い込む際、吸込管の吸込口において吸込空気の流れに淀みがなく、吸込管の吸込口において吸込空気の風速が均一となる。これにより、切断端部を吸込管内に円滑に吸い込むことができる。
【0010】
この結果、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、人手を要さずに保護フィルムの端部を回収できる。また、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、保護フィルムの端部の回収作業を停止する必要がなく、保護フィルムの端部の回収を保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる。
【0011】
好ましくは、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置では、前記吸込管の内面は、凹凸形状を有する。
【0012】
前記実施形態によれば、吸込管の内面は、凹凸形状を有するので、切断端部が吸込管の内面に貼り付くことを防止でき、切断端部を吸込管内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0013】
好ましくは、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置では、前記吸込管の前記吸込口の長円形の扁平率は、0.62~0.92である。
【0014】
前記実施形態によれば、吸込管の吸込口を保護フィルムの端部の吸い込みに対してより適した形状とでき、切断端部を吸込管内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0015】
好ましくは、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置では、前記吸込管は、前記吸込管の流路断面積が前記吸込口から下流側に向かって小さくなるように漏斗状に形成された部分を含む。
【0016】
前記実施形態によれば、吸込管は漏斗状に形成された部分を含むので、吸込空気の風速が吸込管の下流側に向かって大きくなり、切断端部を吸込管内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0017】
好ましくは、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置では、前記吸込口の中心軸と前記長円形の長軸に沿った縦断面において、前記吸込管の内面は、前記吸込口の中心軸に対して10°~45°に傾斜するテーパ面を含む。
【0018】
前記実施形態によれば、縦断面において、吸込管の内面はテーパ面を含むので、吸込管の下流側に向かって吸込空気の風速を適度に増加でき、切断端部を吸込管内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0019】
また、本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの製造装置は、
原料からシート状の偏光板用の保護フィルムを作製する作製装置と、
前記作製装置により作製された前記保護フィルムから端部を切断して回収する前記保護フィルムの端部の回収装置と、
前記回収装置により端部が回収された前記保護フィルムを製品として巻き取る巻取装置と
を備える。
【0020】
前記態様によれば、製品としての保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができる。
【0021】
また、本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの端部の回収方法は、
偏光板用の保護フィルムを搬送する搬送工程と、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸込管から吸い込む吸込工程と、
前記吸込工程で前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕工程と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている。
【0022】
前記態様によれば、吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、吸込管は、長円形の長軸が切断端部の幅方向と平行になるように、配置されているので、吸込管から切断端部を吸い込む際、吸込管の吸込口において吸込空気の流れに淀みがなく、吸込管の吸込口において吸込空気の風速が均一となる。これにより、切断端部を吸込管内に円滑に吸い込むことができる。
【0023】
この結果、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、人手を要さずに保護フィルムの端部を回収できる。また、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、保護フィルムの端部の回収作業を停止する必要がなく、保護フィルムの端部の回収を保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる。
【0024】
また、本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの製造方法は、
原料からシート状の偏光板用の保護フィルムを作製する作製工程と、
前記回収方法により前記保護フィルムの端部を回収する回収工程と、
前記回収工程で端部が回収された前記保護フィルムを製品として巻き取る巻取工程と
を備える。
【0025】
前記態様によれば、製品としての保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができる。
【0026】
また、本開示の一態様である偏光板の製造装置は、
保護フィルムおよび偏光フィルムを含む偏光板の製造装置であって、
原料からシート状の前記保護フィルムを作製する作製装置と、
前記保護フィルムの端部を回収する回収装置と、
前記回収装置で端部が回収された前記保護フィルムを巻き取る巻取装置と、
前記巻取装置で巻き取られた前記保護フィルムを送り出す送出装置と、
前記偏光フィルムを供給する供給装置と、
前記送出装置で送り出された前記保護フィルムと前記供給装置で供給された前記偏光フィルムとを粘接着剤層を介して貼合する貼合装置と
を備え、
前記回収装置は、
前記保護フィルムを搬送する搬送ローラと、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断部と、
前記切断部により切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸い込む吸込管と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管に吸込空気を発生させる吸引機と、
前記吸込管の下流側に接続され、前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕機と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている。
【0027】
前記態様によれば、偏光板を容易かつ短時間で製造することができる。
【0028】
また、本開示の一態様である偏光板の製造装置は、
保護フィルムおよび偏光フィルムを含む偏光板の製造方法であって、
原料からシート状の前記保護フィルムを作製する作製工程と、
前記保護フィルムの端部を回収する回収工程と、
前記回収工程で端部が回収された前記保護フィルムを巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程で巻き取られた前記保護フィルムを送り出す送出工程と、
前記偏光フィルムを供給する供給工程と、
前記送出工程で送り出された前記保護フィルムと前記供給工程で供給された前記偏光フィルムとを粘接着剤層を介して貼合する貼合工程と
を備え、
前記回収工程は、
前記保護フィルムを搬送する搬送工程と、
前記保護フィルムの搬送方向に沿って前記保護フィルムの幅方向の端部を切断する切断工程と、
前記切断工程で切断された前記保護フィルムの端部である切断端部を吸込管から吸い込む吸込工程と、
前記吸込工程で前記吸込管から吸い込まれた前記切断端部を粉砕する粉砕工程と
を備え、
前記吸込管の吸込口の内周端縁の形状は、長円形であり、
前記吸込管は、前記長円形の長軸が前記切断端部の幅方向と平行になるように、配置されている。
【0029】
前記態様によれば、偏光板を容易かつ短時間で製造することができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置および回収方法によれば、人手を要さずに保護フィルムの端部を回収でき、また、保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる。
【0031】
本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの製造装置および製造方法によれば、製品としての保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができる。
【0032】
本開示の一態様である偏光板の製造装置および製造方法によれば、偏光板を容易かつ短時間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】偏光板用の保護フィルムの製造装置および偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置の実施形態を示す概略図である。
【
図2】偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置の実施形態を示す概略平面図である。
【
図5】偏光板の製造装置の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の一態様である偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置および回収方法、偏光板用の保護フィルムの製造装置および製造方法、偏光板の製造装置および製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0035】
<実施形態>
[概要構成]
図1は、偏光板用の保護フィルムの製造装置および偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置の実施形態を示す概略図である。
図2は、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置の実施形態を示す概略平面図である。この明細書において、下方とは、鉛直方向(重力方向)の下方向をいい、上方とは、鉛直方向(重力方向)の上方向をいう。
【0036】
図1と
図2に示すように、偏光板用の保護フィルムの製造装置1は、作製装置2と、偏光板用の保護フィルムの端部の回収装置(以下、回収装置3という。)と、巻取装置4とを備える。
【0037】
作製装置2は、原料からシート状の保護フィルム(以下、シート状保護フィルム10という。)を作製する。回収装置3は、作製装置2により作製されたシート状保護フィルム10から端部を切断して回収する。巻取装置4は、回収装置3により端部を回収された保護フィルム(以下、保護フィルム本体12という。)を製品として巻き取る。
【0038】
ここで、シート状保護フィルム10は、端部切断加工前の保護フィルムである。保護フィルム本体12は、端部切断後の保護フィルムであって、以降、製品として扱われる。
【0039】
回収装置3は、搬送ローラ21,22と、切断部31と、吸込管50と、吸引機61と、粉砕機62とを備える。
【0040】
搬送ローラ21,22は、シート状保護フィルム10を搬送方向Aに沿って搬送する。
切断部31は、シート状保護フィルム10の搬送方向Aに沿ってシート状保護フィルム10の幅方向Bの端部10aを切断する。幅方向Bとは、シート状保護フィルム10の長手方向(搬送方向A)に直交する方向である。
【0041】
吸込管50は、切断部31により切断されたシート状保護フィルム10の端部10aである切断端部11を吸い込む。切断端部11は、耳材とも呼ばれ、保護フィルムの製品幅に合わせて切断された不要材である。
【0042】
吸引機61は、吸込管50の下流側に接続され、吸込管50に吸込空気を発生させる。下流側とは、吸込方向(吸込空気の流れる方向)の下流側をいう。
【0043】
粉砕機62は、吸込管50の下流側に接続され、吸込管50から吸い込まれた切断端部11を粉砕する。切断端部11は、粉砕後に回収される。
【0044】
図2に示すように、吸込管50の吸込口51の内周端縁51aの形状は、長円形である。ここで、長円形とは、長辺が直線で短辺が曲線である形状をいい、具体的に述べると、2つの等しい長さの平行線と2つの円弧からなる。
【0045】
吸込管50は、長円形の長軸Lが切断端部11の幅方向Bと平行になるように、配置されている。つまり、長円形の長軸Lは、吸込管50の吸込口51に進入している切断端部11の幅方向Bと平行になる。
【0046】
ここで、長円形の長軸Lが切断端部11の幅方向Bと平行になるとは、完全に平行である場合に限らず、実質的に平行である場合も含む。例えば、長円形の長軸Lと切断端部11の幅方向Bとの交差角度が30°以下である場合、長円形の長軸Lと切断端部11の幅方向Bとは平行であるとする。
【0047】
この実施形態では、
図2の平面方向(上方向)からみて、切断端部11の搬送方向とシート状保護フィルム10(保護フィルム本体12)の搬送方向Aとは、平行であるため、切断端部11の幅方向Bとシート状保護フィルム10の幅方向Bとは、平行である。
図2では、便宜上、切断端部11を保護フィルム本体12から離間して描いているが、切断端部11と保護フィルム本体12は、平面方向からみて、重なっていてもよい。なお、切断端部11の幅方向はシート状保護フィルム10の幅方向Bと平行でなくてもよい。
【0048】
前記回収装置3によれば、吸込管50の吸込口51の内周端縁51aの形状は、長円形であり、吸込管50は、長円形の長軸Lが切断端部11の幅方向Bと平行になるように、配置されているので、吸込管50から切断端部11を吸い込む際、吸込管50の吸込口51において吸込空気の流れに淀みがなく、吸込管50の吸込口51において吸込空気の風速が均一となる。これにより、切断端部11を吸込管50内に円滑に吸い込むことができる。
【0049】
この結果、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、人手を要さずに保護フィルムの端部を回収できる。また、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、保護フィルムの端部の回収作業を停止する必要がなく、保護フィルムの端部の回収を保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる。
【0050】
前記保護フィルムの製造装置1によれば、上記回収装置3を保護フィルムの製造装置1に組み込まれているので、製品としての保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができる。
【0051】
(保護フィルム)
保護フィルムは、偏光板に用いられる保護フィルムである。保護フィルムと偏光フィルムとを粘接着剤層を介して貼合して偏光板を形成する。保護フィルムとしては、たとえば、シクロオレフィン系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系樹脂、ポリプロピレンのようなオレフィン系樹脂などの単層樹脂フィルムを挙げることができる。さらに、前記単層樹脂フィルムに、位相差樹脂フィルムとしての機能、輝度向上樹脂フィルムとしての機能、反射樹脂フィルムとしての機能、半透過反射樹脂フィルムとしての機能、拡散樹脂フィルムとしての機能、光学補償樹脂フィルムとしての機能など、光学的機能を持たせることができる。また前記単層樹脂フィルムの表面に位相差樹脂フィルム、輝度向上樹脂フィルム、反射樹脂フィルム、半透過反射樹脂フィルム、拡散樹脂フィルム、光学補償樹脂フィルムなどの光学機能性樹脂フィルムを積層させた積層樹脂フィルムあってもよい。本発明で用いられる保護フィルムの厚みは、たとえば、5~500μmであって、好ましくは10~300μmである。
【0052】
(作製装置2)
作製装置2は、単層もしくは積層の保護フィルムを作製する装置であれば特に限定されない。たとえば、溶融押出法や溶剤キャスト法等で保護フィルムを作製する装置、複数枚の保護フィルムを一対の貼合ロールで貼合し積層保護フィルムを作製する装置、保護フィルムを延伸して延伸保護フィルムを作製する装置、リワインダー装置等であってもよい。
【0053】
(巻取装置4)
巻取装置4は、巻取ローラ40を有する。巻取ローラ40は、保護フィルム本体12を巻き付けてロール状に巻き取る。ロール状に巻き取られた保護フィルム本体12は、以降、製品として回収される。
【0054】
(搬送ローラ21,22)
第1搬送ローラ21は、第2搬送ローラ22よりも、搬送方向Aの上流側に配置されている。第1搬送ローラ21は、上ローラ21aと下ローラ21bとを有する。上ローラ21aと下ローラ21bは、互いに接触してシート状保護フィルム10を挟持しつつ、図示しないモータにより回転してシート状保護フィルム10を搬送方向Aに搬送する。
【0055】
第2搬送ローラ22は、第1搬送ローラ21と同様に、上ローラ22aと下ローラ22bとを有する。上ローラ22aと下ローラ22bは、保護フィルム本体12を挟持しつつ搬送方向Aに搬送する。
【0056】
なお、シート状保護フィルム10を搬送方向Aに搬送できれば、第1搬送ローラ21または第2搬送ローラ22の何れか一方を有していてもよい。
【0057】
(切断部31)
切断部31は、シート状保護フィルム10の搬送方向Aにおいて、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22の間に配置されている。切断部31は、平面方向からみて、シート状保護フィルム10の幅方向Bの端縁よりも内側に配置されている。つまり、切断部31は、シート状保護フィルム10の端部10aに対向する位置に配置されている。
【0058】
切断部31は、上刃ローラ31aと下刃ローラ31bとを有する。上刃ローラ31aと下刃ローラ31bは、互いに接触してシート状保護フィルム10の端部10aを挟持しつつ、図示しないモータにより回転してシート状保護フィルム10の端部10aを搬送方向Aに沿って切断する。切断部31は、保護フィルムを切断する設備であれば特に限定されず、たとえば、レザー刃、超音波カッター、レーザーカッター等であってもよい。
【0059】
切断部31は、シート状保護フィルム10の両方の端部10aのそれぞれに対向して配置され両方の端部10aのそれぞれを切断しているが、何れか一方の端部10aにのみ配置され一方の端部10aのみを切断するようにしてもよい。また、切断部31は、シート状保護フィルム10の幅方向Bに沿って移動可能に設置され、保護フィルムの製品幅に合わせて位置を調整できるようにしてもよい。
【0060】
(粉砕機62)
粉砕機62は、連結管70を介して、吸込管50に接続されている。吸込管50から吸い込まれた切断端部11は、連結管70を介して、粉砕機62に到達し、粉砕機62により粉砕される。粉砕された切断端部11は、粉砕品として、粉砕機62の下流側に接続された図示しない回収容器に回収される。
【0061】
粉砕機62は、1つであるが、複数の粉砕機を直列に接続してもよく、切断端部11をより細かく粉砕することができる。
【0062】
(吸引機61)
吸引機61は、粉砕機61に接続され、吸込管50から連結管70を介して粉砕機62に向かって吸込空気を発生させる。吸引機61は、例えば、ファンとファンを回転するモータとから構成される。吸引機61は、粉砕機62に接続されるが、吸込管50に吸込空気を発生させることができれば、如何なる場所に接続してもよい。
【0063】
(吸込管50)
吸込管50は、切断部31により切断された切断端部11が搬送される方向の下流側に配置されている。具体的に述べると、切断部31により切断された切断端部11は、支持ローラ25に支持され、支持ローラ25の下方に搬送される。吸込管50は、支持ローラ25の下方に配置され、吸込管50の吸込口51は、支持ローラ25から垂れ下がる切断端部11を受ける。吸込管50の吸込口51は、上方に開口し、吸込管50の吐出口52は、下方に開口する。吸込管50の吐出口52は、連結管70に接続される。
【0064】
図3Aは、吸込管50の平面図である。
図3Bは、
図3AのX-X断面図であり、つまり、吸込口51の中心軸Mと内周端縁51aの長円形の長軸Lに沿った縦断面である。
【0065】
図3Aと
図3Bに示すように、吸込管50は、上方の漏斗部55と下方の円筒部56とを有する。漏斗部55は、吸込口51を含み、円筒部56は、吐出口52を含む。
【0066】
吸込管50の吸込口51の内周端縁51aの形状は、長円形であり、吸込管50は、長円形の長軸Lが切断端部11の幅方向Bと平行になるように、配置されている。これにより、吸込管50から切断端部11を吸い込む際、吸込管50の吸込口51において吸込空気の流れに淀みがなく、吸込管50の吸込口51において吸込空気の風速が均一となる。したがって、切断端部11を吸込管50内に円滑に吸い込むことができる。
【0067】
具体的に述べると、内周端縁51aの長円形の短軸Sの寸法(短径)を切断端部11の幅寸法よりも小さくでき、吸込口51の開口面積が大きくなり過ぎず、吸込空気の風速の低下を抑制できる。また、内周端縁51aの長円形の長辺と吸込口51に進入する切断端部11との間の距離を均一にでき、切断端部11に対する吸込空気の風速が均一となる。
【0068】
要するに、吸引機61の風量を上げなくても、吸込口51の内周端縁51aの形状を長円形とすることで、吸込口51における吸込空気の風速を確保することができる。特に、クリーンルームにおいて切断端部11を吸込管50に吸い込む際に好適となる。つまり、吸引機61の風量を上げることでクリーンルーム内が負圧になることを回避することができる。
【0069】
これに対して、吸込口51の内周端縁51aの形状が、切断端部11の幅寸法よりも大きな直径を有する円形であると、吸込口51の開口面積が大きくなって吸込空気の風速が低下する。また、吸込口51の内周端縁51aの形状が円形であると、吸込口51の内周端縁51aと吸込口51に進入する切断端部11との間の距離が場所によって不均一になり、切断端部11に対する吸込空気の風速が不均一となる。
【0070】
図3Aに示すように、吸込口51の内周端縁51aの長円形の扁平率は、好ましくは、0.62~0.92である。長円形の扁平率fは、(a-b)/aで表される。aは、長円形の長軸Lの寸法(長径)であり、bは、長円形の短軸Sの寸法(短径)である。aは切断端部11の幅寸法よりも長ければ特に限定されないが、一例としては100~1,000mmであって、切断端部11の幅寸法よりも長い方が好ましい。
【0071】
上記構成によれば、吸込管50の吸込口51を切断端部11の吸い込みに対してより適した形状とでき、切断端部11を吸込管50内に対してより円滑に吸い込むことができる。具体的に述べると、切断端部11の幅寸法は、例えば、50mm~600mmであり、このような寸法の切断端部11を有効に吸い込むことができる。
【0072】
図3Aと
図3Bに示すように、吸込管50の漏斗部55は、その流路断面積が吸込口51から下流側に向かって小さくなるように漏斗状に形成されている。このように、吸込管50は漏斗状に形成された漏斗部55を含むので、吸込空気の風速が吸込管50の下流側に向かって大きくなり、切断端部11を吸込管50内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0073】
吸込管50の円筒部56は、その流路断面積が上流側から吐出口52に向かって同じになるように円筒形状に形成されている。円筒部56(吐出口52)は、その中心軸が漏斗部55の中心軸(吸込口51の中心軸M)と一致するように、漏斗部55に接続されている。円筒部56(吐出口52)の内径は、内周端縁51aの長円形の短径よりも大きく、内周端縁51aの長円形の長径よりも小さい。これにより、円筒部56の流路断面積を吸込口51の流路断面積よりも小さくして、円筒部56内の風速を吸込口51の風速よりも大きくできる。
【0074】
吸込口51における風速は、5~20m/sの範囲内であってよく、配円筒部56内における風速は、20~35m/sの範囲内であってよい。風速が前記範囲内であると切断端部11のバタつきや引っ掛かり等を防止することができる。
【0075】
図3Bに示す縦断面において、吸込管50の内面53は、テーパ面53aと円筒面53bとを含む。テーパ面53aは、漏斗部55の内面に相当し、円筒面53bは、円筒部56の内面に相当する。
【0076】
テーパ面53aは、吸込口51の中心軸Mに対して傾斜する。テーパ面53aの中心軸Mに対する傾斜角度θは、10°~45°であってよく、好ましくは、20°~30°である。これにより、吸込管50の下流側に向かって吸込空気の風速を適度に増加でき、切断端部11を吸込管50内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0077】
円筒面53bは、吸込口51の中心軸Mに沿っている。これにより、切断端部11が円筒面53bに引っ掛かることを低減して、切断端部11を下流に向かって円滑に吸い込むことができる。
【0078】
図4は、吸込管50の内面53の拡大図を示す。
図4に示すように、吸込管50の内面53は、好ましくは、凹凸形状を有する。これによれば、切断端部11が吸込管50の内面53に貼り付くことを防止でき、切断端部11を吸込管50内に対してより円滑に吸い込むことができる。
【0079】
具体的に述べると、吸込管50の内面53は、複数の凸部54を含み、複数の凸部54により凹凸形状を構成する。この場合、切断端部11は、凸部54の頂点に接触することとなり、内面53に対する切断端部11の接触面積を小さくできる。この結果、内面53に対する切断端部11の摩擦抵抗が小さくなり、内面53に対する切断端部11の滑りが滑らかとなり、また、内面53に対する切断端部11の静電気が発生し難くなって、切断端部11の内面53への貼り付きを防止できる。このような観点から、吸込管50は、ステンレスから構成されことが好ましい。
【0080】
なお、吸込管50の内面53の凹凸形状は、複数の凸部54でなく、複数の凹部により構成してもよく、または、複数の凸部および凹部により構成してもよい。
【0081】
なお、本開示の製造装置は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、吸込管は、漏斗状に形成された漏斗部を含むが、吸込管は、漏斗部を含まなくてもよく、吸込口の内周端縁の形状が長円形であれば、吸込管は、断面長円形の筒状に形成されていてもよい。
【0082】
[回収方法]
次に、
図1と
図2を用いて保護フィルムの端部の回収方法の一実施形態について説明する。
【0083】
まず、シート状保護フィルム10を搬送する(搬送工程という)。そして、搬送工程により搬送されたシート状保護フィルム10の搬送方向Aに沿ってシート状保護フィルム10の幅方向Bの端部10aを切断する(切断工程という)。その後、切断工程で切断されたシート状保護フィルム10の端部10aである切断端部11を吸込管50から吸い込む(吸込工程という)。そして、吸込工程で吸込管50から吸い込まれた切断端部11を粉砕機62により粉砕する(粉砕工程という)。
【0084】
吸込工程において、吸込管50の吸込口51の内周端縁51aの形状は、長円形である。また、吸込管50は、長円形の長軸Lが切断端部11の幅方向Bと平行になるように、配置されている。
【0085】
前記回収方法によれば、吸込管50の吸込口51の内周端縁51aの形状は、長円形であり、吸込管50は、長円形の長軸Lが切断端部11の幅方向Bと平行になるように、配置されているので、吸込管50から切断端部11を吸い込む際、吸込管50の吸込口51において吸込空気の流れに淀みがなく、吸込管50の吸込口51において吸込空気の風速が均一となる。これにより、切断端部11を吸込管50内に円滑に吸い込むことができる。
【0086】
この結果、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、人手を要さずに保護フィルムの端部を回収できる。また、保護フィルムの端部を連続的に回収することができるので、保護フィルムの端部の回収作業を停止する必要がなく、保護フィルムの端部の回収を保護フィルムの製造ラインにも組み込むことができる。
【0087】
なお、本開示の回収方法は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、本開示の回収方法は、
図1と
図2の回収装置3により実現されることに限らず、他の異なる装置により実現されてもよい。
【0088】
[保護フィルムの製造方法]
次に、
図1と
図2を用いて保護フィルムの製造方法の一実施形態について説明する。
【0089】
まず、溶融押出法により原料からシート状保護フィルム10を作製する(作製工程という)。そして、上述の回収方法により、作製工程で作製されたシート状保護フィルム10の端部を切断して回収する(回収工程という)。その後、回収工程で端部が回収された保護フィルム本体12を製品として巻き取る(巻取工程という)。
【0090】
前記製造方法によれば、上述の回収方法を保護フィルムの製造方法に組み込むことができ、製品としての保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができる。
【0091】
なお、本開示の製造方法は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、本開示の製造方法は、
図1と
図2の製造装置1により実現されることに限らず、他の異なる装置により実現されてもよい。
【0092】
[偏光板の製造装置]
図5は、偏光板の製造装置の実施形態を示す概略図である。
図5に示すように、偏光板の製造装置9は、保護フィルム15と偏光フィルム16を含む偏光板17を製造する。具体的に述べると、偏光板の製造装置9は、作製装置2と回収装置3と巻取装置4と送出装置5と供給装置6と貼合装置7とを備える。作製装置2、回収装置3および巻取装置4は、上述の偏光板用の保護フィルムの製造装置1において説明しているため、説明を省略する。
【0093】
送出装置5は、巻取装置4で巻き取られた保護フィルム15を送り出す。送出装置5は、例えば、ローラから構成される。供給装置6は、偏光フィルム16を供給する。供給装置6は、例えば、ローラから構成される。
【0094】
貼合装置7は、送出装置5で送り出された保護フィルム15と供給装置6で供給された偏光フィルム16とを粘接着剤層を介して貼合する。貼合装置7は、例えば、対向する2つのローラから構成される。保護フィルム15と偏光フィルム16は貼合されて、偏光板17が製造される。偏光板17は、巻取装置8で巻き取られる。
【0095】
上記偏光板の製造装置9によれば、上記回収装置3を備えるので、回収装置3を保護フィルムの製造装置1に組み込むことができ、保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができ、この結果、偏光板17を容易かつ短時間で製造することができる。
【0096】
[偏光板の製造方法]
次に、
図5を用いて偏光板の製造方法の実施形態について説明する。
【0097】
偏光板の製造方法は、作製工程と回収工程と巻取工程と送出工程と供給工程と貼合工程とを備える。作製工程、回収工程および巻取工程は、上述の偏光板用の保護フィルムの製造方法において説明しているため、説明を省略する。
【0098】
送出工程は、巻取工程で巻き取られた保護フィルム15を送り出す。供給工程は、偏光フィルム16を供給する。貼合工程は、送出工程で送り出された保護フィルム15と供給工程で供給された偏光フィルム16とを粘接着剤層を介して貼合する。これにより、偏光板17を製造する。
【0099】
上記偏光板の製造方法によれば、上記回収工程を備えるので、回収工程を保護フィルムの製造方法に組み込むことができ、保護フィルムを容易かつ短時間で製造することができ、この結果、偏光板17を容易かつ短時間で製造することができる。
【0100】
<実施例>
次に、実施例について説明する。具体的に述べると、
図3Aと
図3Bに示すように、吸込口51の内周端縁51aの長円形の扁平率、および、吸込管50の内面53のテーパ面53aの傾斜角度θと、吸込空気の風速との関係について説明する。
【0101】
長円形の長径は、700mmであり、長円形の短径は、130mmであり、長円形の扁平率は、0.81である。テーパ面53aの傾斜角度θは、28°である。円筒部56(吐出口52)の内径は、236mmである。
【0102】
このとき、吸込口51における風速(実測値)は、10~15m/sの範囲内であった。また、配円筒部56内における風速(実測値)は、25~30m/sの範囲内であった。
【0103】
したがって、吸込口51において吸込空気の風速を確保でき、吸込口51から切断端部11を円滑に吸い込むことができる。また、円筒部56内において風速を増加でき、吸込口51から吸い込んだ切断端部11を吸込管50の下流側に確実に導くことができる。
【符号の説明】
【0104】
1 保護フィルムの製造装置
2 作製装置
3 保護フィルムの端部の回収装置
4 巻取装置
5 送出装置
6 供給装置
7 貼合装置
8 巻取装置
9 偏光板の製造装置
10 シート状保護フィルム
10a 端部
11 切断端部
12 保護フィルム本体
15 保護フィルム
16 偏光フィルム
17 偏光板
21,22 第1、第2搬送ローラ
31 切断部
50 吸込管
51 吸込口
51a 内周端縁
52 吐出口
53 内面
53a テーパ面
53b 円筒面
54 凸部
61 吸引機
62 粉砕機
70 連結管
A 搬送方向
B 幅方向
L 長軸
S 短軸
M 中心軸
θ 傾斜角度