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特開2023-22345植物病害防除組成物及び植物病害防除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023022345
(43)【公開日】2023-02-15
(54)【発明の名称】植物病害防除組成物及び植物病害防除方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 37/36 20060101AFI20230208BHJP
   A01N 47/02 20060101ALI20230208BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20230208BHJP
   A01N 47/24 20060101ALI20230208BHJP
   A01N 43/713 20060101ALI20230208BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20230208BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20230208BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230208BHJP
   A01C 1/06 20060101ALI20230208BHJP
【FI】
A01N37/36
A01N47/02
A01N43/40 101E
A01N47/24 G
A01N43/713
A01N43/56 C
A01N43/56 D
A01N43/653 C
A01P3/00
A01C1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020015190
(22)【出願日】2020-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】飛田 英克
(72)【発明者】
【氏名】野倉 吉彦
(72)【発明者】
【氏名】中野 孝明
【テーマコード(参考)】
2B051
4H011
【Fターム(参考)】
2B051AB01
2B051AB03
2B051AB07
2B051BA09
2B051BB01
2B051BB14
2B051CA01
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB06
4H011BC03
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA13
4H011DE15
4H011DH02
4H011DH14
(57)【要約】
【課題】植物病害に対する優れた防除効力を有する組成物及び植物病害防除方法を提供す
ること。
【解決手段】式(I)〔式中、各記号は明細書中に記載の定義を表す。〕で示される化合物と、ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤の群、ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤の群、及びステロール生合成阻害剤の群からなる群より選ばれる1種以上の化合物とを含有する植物病害防除組成物は、植物病害に対して優れた防除効果を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される化合物と、群(B)より選ばれる1種以上の化合物とを含有する植物病害防除組成物。
式(I):
【化1】
〔式中、
は、C1-C3アルキル基を表し、
及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルキル基、又は1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルコキシ基を表すか、あるいは、
及びRが互いに結合して、-CHCHCH-、又は-CHCHCHCH-を形成してもよい。〕
群(B):
下記亜群(B-1)、(B-2)、及び(B-3)からなる群。
亜群(B-1):ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤
ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、及びフロリルピコキサミドからなる群。
亜群(B-2):ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤
フルキサピロキサド、ベンゾビンジフルピル、フルインダピル、ピジフルメトフェン、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、及び式(3)で示される化合物からなる群。
【化2】
亜群(B-3):ステロール生合成阻害剤
メフェントリフルコナゾール。
【請求項2】
式(I)で示される化合物が、式(I)において、Rが水素原子であり、Rが1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルキル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルコキシ基、又はハロゲン原子である化合物である、請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項3】
式(I)で示される化合物が、式(I)において、Rが水素原子であり、Rが1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルキル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルコキシ基、又はハロゲン原子である化合物である、請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項4】
式(I)で示される化合物が、
(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[4-クロロフェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[3-クロロフェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;又は(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミドである、請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項5】
群(B)において、
亜群(B-1)が、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、及びフロリルピコキサミドからなる群であり、
亜群(B-2)が、ピジフルメトフェン、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、及び式(3)で示される化合物からなる群であり、
【化3】
亜群(B-3)が、メフェントリフルコナゾールである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
【請求項6】
式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100の範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
【請求項7】
式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.1~1:10の範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物の有効量を、植物又は植物を栽培する土壌に処理する工程を含む植物病害防除方法。
【請求項9】
植物病害を防除するための、請求項1~7のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除組成物及び植物病害防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害防除組成物の有効成分として、多くの化合物が知られている。(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】The Pesticide Manual-18th Edition(BCPC刊);ISBN 978-1-9998966-1-4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物病害に対する優れた防除効力を有する組成物及び植物病害防除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、植物病害に対する優れた防除効力を有する組成物及び植物病害防除方法を見出すべく検討の結果、下記式(I)で示される化合物と、群(B)より選ばれる1種以上の化合物とを含有する組成物が、植物病害に対して優れた防除効力を有することを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕 下記式(I)で示される化合物と、群(B)より選ばれる1種以上の化合物とを含有する植物病害防除組成物。
式(I):
【化1】
〔式中、
は、C1-C3アルキル基を表し、
及びRは、同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルキル基、又は1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルコキシ基を表すか、あるいは、
及びRが互いに結合して、-CHCHCH-、又は-CHCHCHCH-を形成してもよい。〕
群(B):
下記亜群(B-1)、(B-2)、及び(B-3)からなる群。
亜群(B-1):ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤
ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、及びフロリルピコキサミドからなる群。
亜群(B-2):ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤
フルキサピロキサド、ベンゾビンジフルピル、フルインダピル、ピジフルメトフェン、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、及び式(3)で示される化合物からなる群。
【化2】
亜群(B-3):ステロール生合成阻害剤
メフェントリフルコナゾール。
[2] 式(I)で示される化合物が、式(I)において、Rが水素原子であり、Rが1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルキル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルコキシ基、又はハロゲン原子である化合物である、[1]に記載の植物病害防除組成物。
[3] 式(I)で示される化合物が、式(I)において、Rが水素原子であり、Rが1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルキル基、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-C3アルコキシ基、又はハロゲン原子である化合物である、[1]に記載の植物病害防除組成物。
[4] 式(I)で示される化合物が、
(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[4-クロロフェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[3-クロロフェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミド;又は(2E)-2-(2-{[({(1E)-1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン}アミノ)オキシ]メチル}フェニル)-2-(メトキシイミノ)-N-メチルアセトアミドである、
[1]に記載の植物病害防除組成物。
[5] 群(B)において、
亜群(B-1)が、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、及びフロリルピコキサミドからなる群であり、
亜群(B-2)が、ピジフルメトフェン、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、及び式(3)で示される化合物からなる群であり、
【化3】
亜群(B-3)が、メフェントリフルコナゾールである、
[1]~[4]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
[6] 式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100の範囲である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
[7] 式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.1~1:10の範囲である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物の有効量を、植物又は植物を栽培する土壌に処理する工程を含む植物病害防除方法。
[9] 植物病害を防除するための、有効量の[1]~[7]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物の使用。
[10] 群(B)が、亜群(B-1)である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
[11] 亜群(B-1)が、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、及びフロリルピコキサミドからなる群である、[10]に記載の植物病害防除組成物。
[12] 式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100、又は1:0.1~1:10の範囲である、[10]又は[11]に記載の植物病害防除組成物。
[13] 群(B)が、亜群(B-2)である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
[14] 亜群(B-2)が、ピジフルメトフェン、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、及び下記式(3)で示される化合物からなる群である、[13]に記載の植物病害防除組成物。
【化4】
[15] 式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100、又は1:0.1~1:10の範囲である、[13]又は[14]に記載の植物病害防除組成物。
[16] 群(B)が、亜群(B-3)である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の植物病害防除組成物。
[17] 式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100、又は1:0.1~1:10の範囲である、[16]に記載の植物病害防除組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の植物病害防除組成物は、植物病害を防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の植物病害防除組成物(以下、本発明組成物と記す)は、前記式(I)で示される化合物(以下、本化合物Aと記す)と、群(B)より選ばれる1種以上の化合物(以下、本化合物Bと記す)とを含有する。
【0008】
まず、本発明における置換基について説明する。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。
置換基が2以上のハロゲン原子を有している場合、それらのハロゲン原子は各々同一でも異なっていてもよい。
本明細書における「CX-CY」との表記は、炭素原子数がX乃至Yであることを意味する。例えば「C1-C3」との表記は、炭素原子数が1乃至3であることを意味する。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
【0009】
式(I)において、「R及びRが互いに結合して、-CHCHCH-、又は-CHCHCHCH-を形成してもよい」化合物としては、以下の式(II)で示される化合物、及び式(III)で示される化合物が挙げられる。
式(II):
【化5】
〔式中、記号は前記と同じ意味を表す。〕
で示される化合物。
式(III):
【化6】
〔式中、記号は前記と同じ意味を表す。〕
で示される化合物。
【0010】
本化合物Aは、一つ以上の立体異性体が存在する場合がある。立体異性体としては、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何異性体などが挙げられる。本化合物Aには各立体異性体及び任意の比率の立体異性体混合物が含まれる。
【0011】
本化合物Aの態様としては、以下の化合物が挙げられる。
【0012】
〔態様1〕本化合物Aにおいて、Rがメチル基、又はエチル基である化合物。
〔態様2〕本化合物Aにおいて、Rがメチル基である化合物。
〔態様3〕態様2において、R及びRが同一又は相異なり、水素原子、ハロゲン原子、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメチル基、又は1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいメトキシ基である化合物。
〔態様4〕態様2において、R及びRが同一又は相異なり、水素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基である化合物。
〔態様5〕態様2において、Rが水素原子であり、Rが塩素原子、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基である化合物。
〔態様6〕態様2において、Rが水素原子であり、Rが塩素原子、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基である化合物。
〔態様7〕式(II):
【化7】
において、Rがメチル基又はエチル基である化合物。
〔態様8〕態様7において、Rがメチル基である化合物。
〔態様9〕式(III):
【化8】
において、Rがメチル基又はエチル基である化合物。
〔態様10〕態様9において、Rがメチル基である化合物。
【0013】
本発明組成物の態様としては、以下の組成物が挙げられる。
【0014】
〔態様11〕上記[2]に記載の式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100の範囲である組成物。
〔態様12〕上記[3]に記載の式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100の範囲である組成物。
〔態様13〕上記[4]に記載の式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.01~1:100の範囲である組成物。
〔態様14〕上記[2]に記載の式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.1~1:10の範囲である組成物。
〔態様15〕上記[3]に記載の式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.1~1:10の範囲である組成物。
〔態様16〕上記[4]に記載の式(I)で示される化合物と群(B)より選ばれる1種以上の化合物との重量比が、1:0.1~1:10の範囲である組成物。
【0015】
次に、本化合物Aの製造法について説明する。
【0016】
本化合物Aは、欧州特許第0585751号、国際公開第1990/07493号等に記載の方法に準じて製造することができる。また、以下の製造法により製造することもできる。
【0017】
製造法A
本化合物Aは、式(M1)で示される化合物(以下、化合物(M1)と記す)と式(M2)で示される化合物(以下、化合物(M2)と記す)とを塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【化9】
〔式中、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の脱離基を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。〕
反応は、通常溶媒中で行われる。反応に用いられる溶媒としては、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル等のエーテル類;N、N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す)等のアミド類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す)等のスルホキシド類;アセトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;水及びこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
反応に用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水素化ナトリウムが挙げられる。
反応には化合物(M1)1モルに対して、化合物(M2)が通常1~10モルの割合、塩基が通常1~10モルの割合で用いられる。
反応温度は通常0~150℃の範囲である。反応時間は通常0.1~24時間の範囲である。
反応は、必要に応じてヨウ化ナトリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム等を加えて行ってもよく、これらの化合物は通常、化合物(M1)1モルに対して、0.001~1.2モルの割合で用いられる。
反応終了後は、反応混合物を有機溶媒で抽出し、有機層を乾燥、濃縮する等の後処理操作を行うことにより、本化合物Aを単離することができる。
化合物(M1)及び化合物(M2)は、公知であるか、公知の方法に準じて製造することができる。
【0018】
次に、本化合物Bについて説明する。
【0019】
本化合物Bとしては、以下の亜群(B-1)、亜群(B-2)、及び亜群(B-3)より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
亜群(B-1):ミトコンドリア電子伝達系複合体III阻害剤
ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、及びフロリルピコキサミドからなる群。
亜群(B-2):ミトコンドリア電子伝達系複合体II阻害剤
フルキサピロキサド、ベンゾビンジフルピル、フルインダピル、ピジフルメトフェン、3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、下記式(1)で示される化合物、下記式(2)で示される化合物、及び下記式(3)で示される化合物からなる群。
【化10】
亜群(B-3):ステロール生合成阻害剤
メフェントリフルコナゾール。
【0020】
本発明に用いられるピコキシストロビン、ピラクロストロビン、メチルテトラプロール、フェンピコキサミド、フロリルピコキサミド、フルキサピロキサド、ベンゾビンジフルピル、フルインダピル、ピジフルメトフェン、3-(difluoromethyl)-N-(2,3-dihydro-1,1,3-trimethyl-1H-inden-4-yl)-1-methyl-1H-pyrazole-4-carboxamide及びメフェントリフルコナゾールはいずれも公知の化合物であり、例えば「The Pesticide Manual 18th Edition(BCPC刊)ISBN 978-1-9998966-1-4」の904、974、789、466、498、558、97、515、969、652、728ページに記載されている。これらの化合物は、市販の製剤から得るか、公知の方法により製造することにより得られる。
【0021】
本発明に用いられる式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物及び式(3)で示される化合物は、いずれも公知の化合物であり、例えば、国際公開第2014/095675号に記載された化合物であり、当該公報に記載の方法で製造することができる。
【0022】
本発明組成物における、本化合物Aと本化合物Bとの重量比は、通常、1:0.01~1:100、好ましくは1:0.1~1:10である。
【0023】
本発明の植物病害防除組成物は、本化合物Aと本化合物Bとを単に混合したものでもよいが、本発明組成物は、通常、本化合物Aと本化合物B及び固体担体、液体担体、オイル、及び/又は界面活性剤等と混合し、必要に応じてその他の製剤用補助剤を添加して、乳剤、油剤、粉剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、マイクロカプセル剤等に製剤化して用いられる。これらの製剤には本化合物Aと本化合物Bの合計量は、通常0.1~100重量%、好ましくは0.2~90重量%、より好ましくは1~80重量%の範囲である。
【0024】
固体担体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、酸性白土等)、乾式シリカ、湿式シリカ、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物等、並びに合成樹脂(ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン-6、ナイロン-11、ナイロン-66等のナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-プロピレン共重合体等)が挙げられる。
【0025】
液体担体としては、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノキシエタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等)、アミド類(DMF、N,N-ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド類(DMSO等)、炭酸プロピレン及び植物油(大豆油、綿実油等)が挙げられる。
【0026】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、及びアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。具体的には、Nimbus(登録商標)、Assist(登録商標)、Aureo(登録商標)、Iharol(登録商標)、Silwet L-77(登録商標)、BreakThru(登録商標)、SundanceII(登録商標)、Induce(登録商標)、Penetrator(登録商標)、AgriDex(登録商標)、Lutensol A8(登録商標)、NP-7(登録商標)、Triton(登録商標)、Nufilm(登録商標)、Emulgator NP7(登録商標)、Emulad(登録商標)、TRITON X 45(登録商標)、AGRAL 90(登録商標)、AGROTIN(登録商標)、ARPON(登録商標)、EnSpray N(登録商標)、及びBANOLE(登録商標)等が挙げられる。
【0027】
その他の製剤用補助剤としては、固着剤、分散剤、着色剤及び安定剤等、具体的には例えばカゼイン、ゼラチン、糖類(でんぷん、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸等)、リグニン誘導体、ベントナイト、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)、酸性リン酸イソプロピル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、BHA(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノールと3-tert-ブチル-4-メトキシフェノールとの混合物)が挙げられる。
【0028】
本発明組成物はまた、本化合物Aと本化合物Bを各々前記した方法により製剤化した上で、必要に応じて水で希釈してそれぞれの製剤またはそれらの希釈液を混合することにより調製することもできる。
【0029】
本発明組成物は、さらに他の1種以上の殺菌剤及び/または殺虫剤を含有していてもよい。
【0030】
本発明組成物は、菌(fungi)、卵菌(Oomycete)、ネコブカビ(Phytomyxea) 、細菌(bacteria)等の植物病原性微生物が引き起こす植物病害を防除することが出来る。真菌(fungi)としては、例えば、子嚢菌門(Ascomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、Blasocladiomycota、Chytridiomycota、Mucoromycota及びOlpidiomycotaが挙げられる。具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。括弧内は、各病害を引き起こす植物病原性微生物の学名を示す。
【0031】
イネの病害:いもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、黄化萎縮病(Sclerophthora macrospora)、にせいもち病及び穂枯病(Epicoccum nigrum)、苗立枯病(Trichoderma viride、Rhizopus oryzae);
コムギの病害:うどんこ病(Blumeria graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、Fusarium avenaceum、Fusarium culmorum、Microdochium nivale)、黄さび病(Puccinia striiformis)、黒さび病(Puccinia graminis)、赤さび病(Puccinia recondita)、紅色雪腐病(Microdochium nivale、 Microdochium majus)、雪腐小粒菌核病(Typhula incarnata、Typhula ishikariensis)、裸黒穂病(Ustilago tritici)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries、 Tilletia controversa)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Stagonospora nodorum)、黄斑病(Pyrenophora tritici-repentis)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani)、立枯病(Gaeumannomyces graminis)、いもち病(Pyricularia graminis-tritici);
オオムギの病害:うどんこ病(Blumeria graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum、Fusarium avenaceum、Fusarium culmorum、Microdochium nivale)、黄さび病(Puccinia striiformis)、黒さび病(Puccinia graminis)、小さび病(Puccinia hordei)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、網斑病(Pyrenophora teres)、斑点病(Cochliobolus sativus)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、ラムラリアリーフスポット病(Ramularia collo-cygni)、リゾクトニア属菌による苗立枯れ病(Rhizoctonia solani);
トウモロコシの病害:さび病(Puccinia sorghi)、南方さび病(Puccinia polysora)、すす紋病(Setosphaeria turcica)、熱帯性さび病(Physopella zeae)、ごま葉枯病(Cochliobolus heterostrophus)、炭疽病(Colletotrichum graminicola)、グレーリーフスポット病(Cercospora zeae-maydis)、褐斑病(Kabatiella zeae)、ファエオスファエリアリーフスポット病(Phaeosphaeria maydis)、Diplodia病(Stenocarpella maydis、Stenocarpella macrospora)、ストークロット病(Fusarium graminearum、Fusarium verticilioides、Colletotrichum graminicola)、黒穂病(Ustilago maydis)、フイソデルマ病(Physoderma maydis);
ワタの病害:炭疽病(Colletotrichum gossypii)、白かび病(Ramularia areola)、黒斑病(Alternaria macrospora、Alternaria gossypii)、Black root rot病 (Thielaviopsis basicola);
コーヒーの病害:さび病(Hemileia vastatrix)、リーフスポット病(Cercospora coffeicola);
ナタネの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、黒斑病(Alternaria brassicae)、根朽病(Phoma lingam)、light leaf spot病(Pyrenopeziza brassicae);
サトウキビの病害:さび病 (Puccinia melanocephela、Puccinia kuehnii)、黒穂病 (Ustilago scitaminea);
ヒマワリの病害:さび病 (Puccinia helianthi)、べと病(Plasmopara halstedii);
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、緑かび病(Penicillium digitatum)、青かび病(Penicillium italicum)、疫病 (Phytophthora parasitica、Phytophthora citrophthora)、こうじかび病(Aspergillus niger);
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternata apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭疽病(Glomerella cingulata、Colletotrichum acutatum)、褐斑病(Diplocarpon mali)、輪紋病(Botryosphaeria berengeriana)、疫病 (Phytophtora cactorum)、赤星病(Gymnosporangium juniperi-virginianae、Gymnosporangium yamadae);
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola、Venturia pirina)、黒斑病(Alternaria alternata Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、ホモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、縮葉病(Taphrina deformans);
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata、Colletotrichum acutatum)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola);
カキの病害:炭疽病(Gloeosporium kaki、Colletotrichum acutatum)、落葉病(Cercospora kaki、Mycosphaerella nawae);
ウリ類の病害:炭疽病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Didymella bryoniae)、褐斑病(Corynespora cassiicola)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora capsici)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、すすかび病(Pseudocercospora fuligena)、疫病(Phytophthora infestans)、うどんこ病(Leveillula taurica);
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica)、白さび病(Albugo candida);
ネギの病害:さび病(Puccinia allii);
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、褐色輪紋病(Corynespora cassiicola)、炭疽病(Colletotrichum glycines、Colletotrichum truncatum)、葉腐病(Rhizoctonia solani)、褐紋病(Septoria glycines)、斑点病(Cercospora sojina)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、うどんこ病(Microsphaera diffusa)、茎疫病 (Phytophthora sojae)、べと病(Peronospora manshurica)、突然死病(Fusarium virguliforme)、黒根腐病(Calonectria ilicicola)、Diaporthe/Phomopsis complex(Diaporthe longicolla);
インゲンの病害:菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、さび病(Uromyces appendiculatus)、角斑病(Phaeoisariopsis griseola)、炭疽病(Colletotrichum lindemuthianum)、根腐病(Fusarium solani);
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、黒根腐病(Calonectria ilicicola);
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi)、根腐病(Fusarium solani);
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、緋色腐敗病 (Phytophthora erythroseptica)、粉状そうか病 (Spongospora subterranea f. sp. subterranea)、半身萎凋病(Verticillium albo-atrum、Verticillium dahliae、Verticillium nigrescens)、乾腐病(Fusarium solani)、がん腫病(Synchytrium endobioticum);
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli);
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭疽病(Colletotrichum theae-sinensis);
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、炭疽病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae);
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)、さび病(Uromyces betae);
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キクの病害:褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana);
タマネギの病害:白斑葉枯病(Botrytis cinerea、Botrytis byssoidea、Botrytis squamosa)、灰色腐敗病(Botrytis allii)、小菌核性腐敗病(Botrytis squamosa);
種々の作物の病害:灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、苗立枯病(Pythium aphanidermatum、Pythium irregulare、Pythium ultimum);
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola);
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homoeocarpa)、ブラウンパッチ病、ラージパッチ病(Rhizoctonia solani)、赤焼病(Pythium aphanidermatum);
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis、Mycosphaerella musicola);
レンズマメの病害:Ascochyta病(Ascochyta lentis);
ヒヨコマメの病害:Ascochyta病(Ascochyta rabiei);
ピーマンの病害:炭疽病(Colletotrichum scovillei);
マンゴーの病害:炭疽病(Colletotrichum acutatum);
果樹の病害:白紋羽病(Rosellinia necatrix)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa);
収穫後のリンゴ、ナシ等の果実の病害:ムコールロット病(Mucor piriformis);
Aspergillus属、Penicillium属、Fusarium属、Gibberella属、Tricoderma属、Thielaviopsis属、Rhizopus属、Mucor属、Corticium属、Phoma属、Rhizoctonia属、Diplodia属等によって引き起こされる種子病害又は生育初期の病害;
ウイルス病:Olpidium brassicaeによって媒介されるレタスのビッグベイン病、Polymyxa属(例えば、Polymyxa betae及びPolymyxa graminis)によって媒介される各種作物のウイルス病;
細菌(bacteria)が引き起こす病害:イネの苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、キュウリの斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. Lachrymans)、ナスの青枯病(Ralstonia solanacearum)、カンキツのかいよう病(Xanthomonas citri)、ハクサイの軟腐病(Erwinia carotovora)、ジャガイモのそうか病(Streptomyces scabiei)、トウモロコシのGoss's wilt病(Clavibacter michiganensis)、ブドウ、オリーブ、モモ等のピアス病(Xylella fastidiosa)、リンゴ、モモ、サクランボ等のバラ科植物の根頭がんしゅ病(Agrobacterium tumefaciens)。
【0032】
上記の植物病原性微生物について、種内の変異は特に限定されない。すなわち、特定の殺菌剤に対して感受性が低下(抵抗性を示す、とも言う)したものも含まれる。感受性の低下は、標的部位に突然変異を有するもの(作用点変異)であってもよいし、作用点変異でない要因によっていてもよい(非作用点変異)。作用点変異については、タンパク質のアミノ酸配列に対応する核酸配列部分(open reading frame)の変異により、標的部位であるタンパク質にアミノ酸置換が生じたもの、及びプロモーター領域におけるサプレッサー配列の欠失、あるいはエンハンサー配列の増幅、遺伝子のコピー数の増加等の変異により、標的部位のタンパク質が過剰発現しているものが含まれる。非作用点変異としては、例えば、ABCトランスポーター、MFSトランスポーター等による、細胞内に流入した殺菌剤を細胞外へ排出する排出機能の亢進が挙げられる。また、殺菌剤の代謝による解毒化も挙げられる。
【0033】
上記の特定の殺菌剤としては、例えば、核酸合成阻害剤(例えば、フェニルアミド系殺菌剤、アシルアミノ酸系殺菌剤、DNA トポイソメラーゼ タイプII系殺菌剤)、有糸分裂及び細胞分裂阻害剤(例えば、MBC殺菌剤、N-フェニルカーバメート殺菌剤)、呼吸阻害剤(例えば、QoI殺菌剤、QiI殺菌剤、SDHI殺菌剤)、アミノ酸合成及びタンパク質合成の阻害剤(例えば、アニリノピリミジン系殺菌剤)、シグナル伝達阻害剤(例えば、フェニルピロール殺菌剤、ジカルボキシイミド殺菌剤)、脂質合成及び細胞膜合成の阻害剤(例えば、ホスホロチオレート系殺菌剤、ジチオラン殺菌剤、芳香族炭化水素系殺菌剤、複素芳香族系殺菌剤、カーバメート系殺菌剤)、ステロール生合成阻害剤(例えば、トリアゾール系等のDMI殺菌剤、ヒドロキシアニリド系殺菌剤、アミノピラゾリノン系殺菌剤)、細胞壁合成阻害剤(例えば、ポリオキシン系殺菌剤、カルボン酸アミド系殺菌剤)、メラニン合成阻害剤(例えば、MBI-R殺菌剤、MBI-D殺菌剤、MBI-P殺菌剤)、並びにその他の殺菌剤(例えば、シアノアセトアミドオキシム系殺菌剤、フェニルアセトアミド系殺菌剤)が挙げられる。
【0034】
標的部位のアミノ酸置換としては、例えば以下のものが挙げられる。
チトクロームb:G143A、F129L、G137R、I147V、L275F、Y279C、Y279S、M295L、L299F、A126T、Y132C、C133Y、G137V、G137A、G137S、M139V、T145F、T145R、T145S、T145C、T145L、T145Y、T148M、T148V、T148L、T148I、T148T、N256Y、N256K、N256I、E272D、E272G、E272Q、W273L、W273F、Y274S、Y274F、L275S、L275T又はL295F;
Cyp51タンパク質にA311G、A379G、A381G、A410T、A61V、D107V、D134G、D282E、D411N、E297K、F120L、F219S、F449S、F489L、F495I、G138C/R/S、G312A、G412A、G432S、G434C、G448S、G460D/Δ、G462A、G464S、G484S、G510C、G54E/K/R/V/W、G54W、H147Y、H303Y、H399P、I145F、I330T、I381V/Δ、I471T、I475T、K142R、K143E、K147Q、K175N、K197N、L50S、L98H、M145L、M220K/I/T/V、M288L、N125I、N178S、N22D、N284H、N513K、P216L、P384S、P394L、Q141H、Q88H、R467K、S188N、S208T、S297T、S405F、S508T、S509T、S524T、S52T、S79T、T289A、T440A、T454P、T469S、V101F、V136A/C/G、V490L、Y121F、Y131F/H、Y132F/H/N、Y134F、Y134F、Y136F、Y137F、Y140F/H、Y145F、Y431C、Y459C/D/N/S/P/Δ、Y461D、Y461D/H/S、Y463D/H/N、Y491H又はY68N;
β-チューブリン:H6L/Y、Y50C/N/S、Q134K、A165V、E198A/D/G/K/L/Q/V、F200Y、M257L、F200Y、F167Y、Q73R又はL240F;
SdhB:H277R/Y、P225H/F/L/T、N230I、H272L/R/V/Y、H278Y/R、H249L/N/Y、H273Y、N225I/T、T268I/A、I269V、H242R、H257L又はT253I;
SdhC:H134R、P80H/L、A85V、S73P、T90I、I86F、N88S、H154Y/R、K49E、R64K、N75S、G79R、S135R、N87S、H153R、H146R、I29V、N33T、N34T、T79I/N、W80S、A84V、N86K/S/A、G90R、R151T/S、H152R、I161S、G169D又はH151R;
SdhD:H133R、H132R、S89P、G109V、D124E/N、H134R、G138V、D145G、I50F、M114V又はD129E;
OS-1(Shk1) :E753K、G420D、I365N/R/S、V368F、Q369H/P、N373S、T447S、F267L、L290S、T765R、Q777R、T489I、E599K又はG736Y;
ERG27:S9G、F26S、P57A、T63I、G170R、V192I、L195F、N196T、A210G、I232M、P238S/Δ、P250S、P269L、P298Δ、V309M、A314V、S336C、V365A、E368D、N369D、E375K、A378T、L400F/S、Y408S、F412I/S/V/C、A461S又はR496T。
【0035】
また、Cyp51遺伝子が過剰発現することで、殺菌剤に対して感受性が低下した植物病原性微生物とその宿主植物として、以下のものが挙げられる。コムギのSeptoria tritici(参考文献:Pest Management Science. 2012. 68(7).1034-1040)、オオムギのRhynchosporium secalis(参考文献:Molecular Bilogy and Evolution. 2014. 31(7).1793-1802)ダイズのPhakopsora pachyrhizi(参考文献:Pest Management Science. 2014. 70(3).378-388)、リンゴのVenturia inaequalis(参考文献:Phytopathology. 2016. 106(6).562-571)、カンキツのPenicillium digitatum(参考文献:Applied and Environmental Microbiology. 2000. 66(8).3421-3426)。
【0036】
本発明組成物が防除することが出来る植物病原性微生物は、上記のアミノ酸置換を複数有していてもよい。この場合、複数のアミノ酸置換は同一のタンパク質でも、異なったタンパク質でもよい。また、非作用点変異及び作用点変異を複数有していてもよい。例えば、チトクロームbにG143A、F129L及びG137Rのアミノ酸置換を引き起こす植物病原性微生物;チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有し、且つCyp51にA311Gのアミノ酸置換を有する植物病原性微生物;チトクロームbにG143A及びF129Lのアミノ酸置換を有し、且つCyp51にA311Gのアミノ酸置換を有する植物病原性微生物;チトクロームbにG143A及びF129Lのアミノ酸置換を有し、且つβ-チューブリンにH6L/Yのアミノ酸置換を有し、さらにCyp51遺伝子が過剰発現している植物病原性微生物。
【0037】
作用点変異を有する植物病原性微生物としては、例えば、以下が挙げられる。
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するAlternaria alternata;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するAlternaria arborescens;
チトクロームbにF129Lのアミノ酸置換を有するAlternaria solani;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するAlternaria tomato;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するGlomerella graminicola;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するCorynespora cassiicola;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するCercospora beticola;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するCercospora sojina;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するCladsporium carpophilum;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するColletotrichum graminicola;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するGlomerella cingulata;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するBlumeria graminis f. sp. hordei;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するBlumeria graminis f. sp. tritici;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するParastagonospora nodorum;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するMonographella nivalis;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するMicrodochium majus、nivale;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するMycosphaerella fijiensis;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するDidymella rabiei;
チトクロームbにF129Lのアミノ酸置換を有するPhakopsora pachyrhizi;
チトクロームbにF129L又はG143Aのアミノ酸置換を有するPlasmopara viticola;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するPleospora allii;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するPodosphaera fusca;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するPodosphaera xanthii;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するPseudoperonospora cubensis;
チトクロームbにF129L又はG143Aのアミノ酸置換を有するMagnaporthe oryzae;
チトクロームbにF129Lのアミノ酸置換を有するPyrenophora teres;
チトクロームbにF129L、G137R又はG143Aのアミノ酸置換を有するPyrenophora tritici-repentis;
チトクロームbにF129Lのアミノ酸置換を有するPythium aphanidermatum;
チトクロームbにF129L又はG143Aのアミノ酸置換を有するThanatephorus cucumeris;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するRamularia collo-cygni;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するRhynchosporium secalis;
チトクロームbにF129Lのアミノ酸置換を有するRhizoctonia solani;
チトクロームbにF129L、G137R又はG143Aのアミノ酸置換を有するZymoseptoria tritici;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するErysiphe necator;
チトクロームbにG143Aのアミノ酸置換を有するVenturia inaequalis;
チトクロームbにI147Vのアミノ酸置換を有するSaccharomyces cerevisiae;
チトクロームbにL275Fのアミノ酸置換を有するSaccharomyces cerevisiae;
チトクロームbにY279Cのアミノ酸置換を有するSaccharomyces cerevisiae;
チトクロームbにY279Sのアミノ酸置換を有するSaccharomyces cerevisiae;
チトクロームbにM295Lのアミノ酸置換を有するSaccharomyces cerevisiae;
チトクロームbにL299Fのアミノ酸置換を有するPuccinia horiana;
チトクロームbにL299Fのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにA126T のアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにY132Cのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにC133Yのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにG137Vのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにG137Aのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにG137Sのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにM139Vのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT145Fのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT145Rのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT145Sのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT145Cのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT145Lのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT145Yのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT148Mのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT148Vのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT148Lのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT148Iのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにT148Tのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにN256Yのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにN256Kのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにN256Iのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにE272Dのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにE272Gのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにE272Qのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにW273Lのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにW273Fのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにY274Sのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにY274Fのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにL275Sのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにL275Tのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
チトクロームbにL295Fのアミノ酸置換を有する真菌(fungi)及び卵菌(Oomycota);
Cyp51にY136Fのアミノ酸置換を有するAjellomyces capsulatus;
Cyp51にY132N、K197N、D282E、M288L、T469S、H399P、D411N又はT454Pのアミノ酸置換を有するAspergillus flavus;
Cyp51にN22D、S52T、G54E/K/R/V/W、Y68N、Q88H、L98H、V101F、Y121F、N125I、G138C/R/S、Q141H、H147Y、P216L、F219S、M220K/I/T/V、T289A、S297T、P394L、Y431C、G432S、G434C、T440A、G448S、Y491H又はF495Iのアミノ酸置換を有するAspergillus fumigatus;
Cyp51にG54Wのアミノ酸置換を有するAspergillus parasiticus;
Cyp51にA61V、Y132F/H、K143E、S405F、F449S、G464S、R467K又はI471Tのアミノ酸置換を有するCandida albicans;
Cyp51にE297K、I330T又はP384Sのアミノ酸置換を有するCercospora beticola;
Cyp51にY136F、K147Q又はS509Tのアミノ酸置換を有するBlumeria graminis f. sp. hordei;
Cyp51にS79T、Y136F、又はK175Nのアミノ酸置換を有するBlumeria graminis f. sp. tritici;
Cyp51にY145F又はG484Sのアミノ酸置換を有するFilobasidiella neoformans;
Cyp51にY136Fのアミノ酸置換を有するMonilinia fructicola、
Cyp51にY136F、A313G、A381G、Y461D、G462A又はY463D/H/Nのアミノ酸置換を有するMycosphaerella fijiensis;
Cyp51にF120L、Y131F/H、K142R、I145F又はI475Tのアミノ酸置換を有するPhakopsora pachyrhizi;
Cyp51にY134Fのアミノ酸置換を有するPuccinia triticina;
Cyp51にF489Lのアミノ酸置換を有するPyrenophora teres;
Cyp51にS508Tのアミノ酸置換を有するPyrenopeziza brassicae;
Cyp51にY140F/Hのアミノ酸置換を有するSaccharomyces cerevisiae;
Cyp51にL50S、D107V、D134G、V136A/C/G、Y137F、M145L、N178S、S188N、S208T、N284H、H303Y、A311G、G312A、A379G、I381V/Δ、A410T、G412A、Y459C/D/N/S/P/Δ、G460D/Δ、Y461D/H/S、V490L、G510C、N513K又はS524Tのアミノ酸置換を有するZymoseptoria tritici;
Cyp51にY136Fのアミノ酸置換を有するErysiphe necator;
β-チューブリンにH6L/Y、Y50N/S、Q134K、A165V、E198D/K/Q、F200Y又はM257Lのアミノ酸置換を有するEmericella nidulans;
β-チューブリンにE198A/G/K/V又はF200Yのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana;
β-チューブリンにF167Yのアミノ酸置換を有するCochliobolus heterostrophus;
β-チューブリンにF167Y又はE198Aのアミノ酸置換を有するCercospora beticola;
β-チューブリンにY50N、E198V又はF200Yのアミノ酸置換を有するGibberella fujikuroi;
β-チューブリンにY50C、Q73R、F167Y、E198K/L/Q又はF200Yのアミノ酸置換を有するGibberella zeae;
β-チューブリンにE198A/Qのアミノ酸置換を有するHelminthosporium solani;
β-チューブリンにY50Cのアミノ酸置換を有するHypomyces odoratus;
β-チューブリンにH6Yのアミノ酸置換を有するParastagonospora nodorum;
β-チューブリンにH6Y又はE198A/Kのアミノ酸置換を有するMonilinia fructicola;
β-チューブリンにL240Fのアミノ酸置換を有するMonilinia laxa;
β-チューブリンにE198Aのアミノ酸置換を有するMicrodochium majus、nivale;
β-チューブリンにE198Aのアミノ酸置換を有するMycosphaerella fijiensis;
β-チューブリンにF167Y又はE198Gのアミノ酸置換を有するNeurospora crassa;
β-チューブリンにE198A/K又はF200Yのアミノ酸置換を有するPenicillium aurantiogriseum;
β-チューブリンにF167Y又はE198A/K/Vのアミノ酸置換を有するPenicillium expansum;
β-チューブリンにE198K又はF200Yのアミノ酸置換を有するPenicillium italicum;
β-チューブリンにL240Fのアミノ酸置換を有するPyrenopeziza brassicae;
β-チューブリンにE198G/K又はF200Yのアミノ酸置換を有するRhynchosporium secalis;
β-チューブリンにE198A/Kのアミノ酸置換を有するSclerotinia homoeocarpa;
β-チューブリンにE198Aのアミノ酸置換を有するSclerotinia sclerotiorum;
β-チューブリンにE198A/Gのアミノ酸置換を有するZymoseptoria tritici;
β-チューブリンにE198A/K、F200Y又はL240Fのアミノ酸置換を有するVenturia inaequalis;
SdhBにH277R/Yのアミノ酸置換を有するAlternaria alternata;
SdhBにH277R/Yのアミノ酸置換を有するAlternaria solani、
SdhBにP225H/F/L/T、N230I又はH272L/R/V/Yのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana;
SdhBにH278Y/Rのアミノ酸置換を有するCorynespora cassiicola;
SdhBにH277R/Yのアミノ酸置換を有するStagonosporopsis cucurbitacearum;
SdhBにH249L/N/Yのアミノ酸置換を有するEurotium oryzae;
SdhBにH277Yのアミノ酸置換を有するPyrenophora teres;
SdhBにH273Yのアミノ酸置換を有するSclerotinia sclerotiorum;
SdhBにN225I/T、H273Y、T268I/A又はI269Vのアミノ酸置換を有するZymoseptoria tritici;
SdhBにH242Rのアミノ酸置換を有するErysiphe necator;
SdhBにH257Lのアミノ酸置換を有するUstilago maydis;
SdhBにT253Iのアミノ酸置換を有するVenturia inaequalis;
SdhCにH134Rのアミノ酸置換を有するAlternaria alternata;
SdhCにP80H/L又はA85Vのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana;
SdhCにS73Pのアミノ酸置換を有するCorynespora cassiicola;
SdhCにT90Iのアミノ酸置換を有するEurotium oryzae;
SdhCにI86F、N88S又はH154Y/Rのアミノ酸置換を有するPhakopsora pachyrhizi;
SdhCにK49E、R64K、N75S、G79R、H134R又はS135Rのアミノ酸置換を有するPyrenophora teres;
SdhCにN87S、H146R又はH153Rのアミノ酸置換を有するRamularia collo-cygni;
SdhCにH146Rのアミノ酸置換を有するSclerotinia sclerotiorum;
SdhCにI29V、N33T、N34T、T79I/N、W80S、A84V、N86K/S/A、G90R、R151T/S、H152R又はI161Sのアミノ酸置換を有するZymoseptoria tritici;
SdhCにG169Dのアミノ酸置換を有するErysiphe necator;
SdhCにH151Rのアミノ酸置換を有するVenturia inaequalis;
SdhDにH133Rのアミノ酸置換を有するAlternaria alternata;
SdhDにH133Rのアミノ酸置換を有するAlternaria solani;
SdhDにH132Rのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana;
SdhDにS89P又はG109Vのアミノ酸置換を有するCorynespora cassiicola;
SdhDにD124Eのアミノ酸置換を有するEurotium oryzae;
SdhDにD124E/N、H134R、G138V又はD145Gのアミノ酸置換を有するPyrenophora teres;
SdhDにH132Rのアミノ酸置換を有するSclerotinia sclerotiorum;
SdhDにI50F、M114V又はD129Eのアミノ酸置換を有するZymoseptoria tritici;
CesA3にQ1077K又はV1109L/Mのアミノ酸置換を有するPhytophthora capsici;
CesA3にV1109Lのアミノ酸置換を有するPhytophthora drechsleri;
CesA3にG1105A/V又はV1109Lのアミノ酸置換を有するPhytophthora infestans;
CesA3にG1105S/Vのアミノ酸置換を有するPlasmopara viticola;
CesA3にG1105V/Wのアミノ酸置換を有するPseudoperonospora cubensis;
OS-1(Shk1)にE753Kのアミノ酸置換を有するAlternaria brassicicola;
OS-1(Shk1)にG420Dのアミノ酸置換を有するAlternaria longipes;
OS-1(Shk1)にI365N/R/S、V368F、Q369H/P、N373S又はT447Sのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana;
OS-1(Shk1)にF267L、L290S、T765R又はQ777Rのアミノ酸置換を有するPleospora allii;
OS-1(Shk1)にT489I、E599 K又はG736Yのアミノ酸置換を有するSclerotinia sclerotiorum;
ERG27にS9G、F26S、P57A、T63I、G170R、V192I、L195F、N196T、A210G、I232M、P238S/Δ、P250S、P269L、P298Δ、V309M、A314V、S336C、V365A、E368D、N369D、E375K、A378T、L400F/S、Y408S、F412I/S/V/C、A461S又はR496Tのアミノ酸置換を有するBotryotinia fuckeliana。
【0038】
Zymoseptoria triticiは、Septoria triticiと同じ種を意味する。
【0039】
本発明組成物を使用できる植物としては、例えば次の植物が挙げられる。
【0040】
農作物;トウモロコシ(馬歯種、硬粒種、軟粒種、爆裂種、糯種、甘味種)、イネ(長粒種、短粒種、中粒種、ジャポニカ種、熱帯ジャポニカ種、インディカ種、ジャワニカ種、水稲、陸稲、浮稲、直播、移植、糯米)、コムギ(パンコムギ(硬質、軟質、中質、赤コムギ、白コムギ)、マカロニコムギ、スペルトコムギ、クラブコムギ、それぞれの秋播き型、春播き型)、オオムギ(二条オオムギ(=ビールムギ)、六条オオムギ、ハダカムギ、もち麦、それぞれの秋播き型、春播き型)、ライムギ(秋播き型、春播き型)、ライコムギ(秋播き型、春播き型)、エンバク(秋播き型、春播き型)、ソルガム、ワタ(アップランド種、ピマ種)、ダイズ(無限伸育型、有限伸育型、半有限伸育型)、ラッカセイ(ピーナッツ)、サイトウ(インゲンマメ)、ライマメ、アズキ、ササゲ、リョクトウ、ウラドマメ、ベニバナインゲン、タケアズキ、モスビーン、テパリービーン、ソラマメ、エンドウ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ルーピン、キマメ、アルファルファ、ソバ、テンサイ、ナタネ、カノーラ(秋播き型、春播き型)、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ベルペッパー、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス等)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル、ラベンダー等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
その他;茶、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)、花卉、観葉植物、シバ類、牧草類。
【0041】
前記した植物の品種は、一般的に栽培される品種であれば特に限定はない。
【0042】
前記した植物とは、自然交配で作出しうる植物、突然変異により発生しうる植物、F1ハイブリッド植物、トランスジェニック植物(遺伝子組換え植物とも言う)であってもよい。これらの植物は、一般に、除草剤に対する耐性、有害生物に対する毒性物質の蓄積(害虫抵抗性とも言う)、病害に対する感染抑制(病害抵抗性とも言う)、収量ポテンシャルの増加、生物的及び非生物的ストレス因子に対する抵抗性の向上、生産物の品質改変(例えば、成分の含有量増減、組成の変化、保存性または加工性の向上)等の特性を有する。
【0043】
本発明の植物病害防除方法(以下、本発明防除方法と記す)は、本化合物Aと本化合物Bとの有効量を植物または植物を栽培する土壌に処理することにより行われる。
かかる植物には、植物全体及び、植物の特定の部分が含まれる。植物の特定の部分とは、例えば、茎葉、花、穂、果実、樹幹、枝、樹冠、種子、球根及び苗が挙げられる。
なお、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根、茎断片及び担根体を意味する。本発明防除方法において、本化合物Aの処理量と本化合物Bの処理量との比は、重量比で、通常、1:0.01~1:100、好ましくは1:0.1~1:10である。
【0044】
本発明防除方法において、本化合物Aと本化合物Bとは同時期に別々に植物または植物を栽培する土壌に処理されてもよいが、通常は処理時の簡便性の観点から、本発明組成物として処理される。
【0045】
本発明防除方法において、本化合物Aと本化合物Bとを処理する方法としては、例えば、茎葉処理、土壌処理、根部処理及び種子処理が挙げられる。
【0046】
かかる茎葉処理としては、例えば、茎葉散布及び樹幹散布により、栽培されている植物の表面に処理する方法が挙げられる。
かかる根部処理としては、例えば、本化合物Aと本化合物Bとを含有する薬液に植物の全体または根部を浸漬する方法、ならびに、本化合物A、本化合物B及び固体担体を含有する固体製剤を植物の根部に付着させる方法が挙げられる。
かかる土壌処理としては、例えば、土壌散布、土壌混和及び土壌への薬液潅注が挙げられる。
【0047】
かかる種子処理としては、例えば、植物病害から保護しようとする植物の種子への本発明組成物の処理が挙げられる。具体的には、懸濁液状の本発明組成物を霧状にして種子表面に吹きつける吹きつけ処理、水和剤、乳剤またはフロアブル剤に製剤化された本発明組成物を必要に応じ少量の水を加えて、種子に塗布する塗沫処理、溶液状の本発明組成物に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理及びペレットコート処理が挙げられる。また、上記の吹きつけ処理及び塗沫処理と同様の方法で、植物の球根へ本発明組成物を処理することができる。
【0048】
本発明防除方法における本化合物Aと本化合物Bとの処理量は、処理する植物の種類、防除対象である植物病害の種類や発生頻度、製剤形態、処理時期、処理方法、処理場所、気象条件等によっても異なるが、植物の茎葉に処理する場合または植物を栽培する土壌に処理する場合は、本化合物Aと本化合物Bとの合計量で、1000mあたり、通常1~500g、好ましくは2~200g、より好ましくは10~100gである。また種子への処理における本化合物Aと本化合物Bとの処理量は、本化合物Aと本化合物Bとの合計量で、種子1kgあたり、通常0.001~10g、好ましくは0.01~1gである。
乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常水で希釈して散布することにより処理する。この場合、本化合物Aと本化合物Bとの濃度は、本化合物Aと本化合物Bとの合計での濃度で、通常0.0005~2重量%、好ましくは0.005~1重量%である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
【実施例0049】
以下、本化合物Aの製造例及び例、本発明組成物の製剤例、及び試験例等によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
まず、本化合物Aの製造例を示す。
【0050】
本明細書中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Prはプロピル基を表す。
【0051】
本化合物Aの例を以下に示す。
【0052】
式(I):
【化11】
で示される化合物において、R、R、及びRが〔表1〕から〔表3〕に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
式(II):
【化12】
で示される化合物において、Rが〔表4〕に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
【0057】
【表4】
【0058】
式(III):
【化13】
で示される化合物において、Rが〔表5〕に記載のいずれかの組み合わせである化合物。
【0059】
【表5】
【0060】
本発明組成物の具体的な例を以下に記す。なお、本化合物Sは、本化合物A1~本化合物A68を表す。
【0061】
組成物群MX1:本化合物Sのいずれか1種とピコキシストロビンとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX2:本化合物Sのいずれか1種とピコキシストロビンとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX3:本化合物Sのいずれか1種とピコキシストロビンとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX4:本化合物Sのいずれか1種とピラクロストロビンとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX5:本化合物Sのいずれか1種とピラクロストロビンとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX6:本化合物Sのいずれか1種とピラクロストロビンとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX7:本化合物Sのいずれか1種とメチルテトラプロールとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX8:本化合物Sのいずれか1種とメチルテトラプロールとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX9:本化合物Sのいずれか1種とメチルテトラプロールとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX10:本化合物Sのいずれか1種とフェンピコキサミドとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX11:本化合物Sのいずれか1種とフェンピコキサミドとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX12:本化合物Sのいずれか1種とフェンピコキサミドとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX13:本化合物Sのいずれか1種とフロリルピコキサミドとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX14:本化合物Sのいずれか1種とフロリルピコキサミドとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX15:本化合物Sのいずれか1種とフロリルピコキサミドとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX16:本化合物Sのいずれか1種とフルキサピロキサドとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX17:本化合物Sのいずれか1種とフルキサピロキサドとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX18:本化合物Sのいずれか1種とフルキサピロキサドを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX19:本化合物Sのいずれか1種とベンゾビンジフルピルとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX20:本化合物Sのいずれか1種とベンゾビンジフルピルとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX21:本化合物Sのいずれか1種とベンゾビンジフルピルを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX22:本化合物Sのいずれか1種とフルインダピルとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX23:本化合物Sのいずれか1種とフルインダピルとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX24:本化合物Sのいずれか1種とフルインダピルとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX25:本化合物Sのいずれか1種とピジフルメトフェンとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX26:本化合物Sのいずれか1種とピジフルメトフェンとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX27:本化合物Sのいずれか1種とピジフルメトフェンとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX28:本化合物Sのいずれか1種と3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドとを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX29:本化合物Sのいずれか1種と3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドとを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX30:本化合物Sのいずれか1種と3-(ジフルオロメチル)-N-(2,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-1H-インデン-4-イル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドとを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX31:本化合物Sのいずれか1種と式(1)で示される化合物とを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX32:本化合物Sのいずれか1種と式(1)で示される化合物とを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX33:本化合物Sのいずれか1種と式(1)で示される化合物とを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX34:本化合物Sのいずれか1種と式(2)で示される化合物とを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX35:本化合物Sのいずれか1種と式(2)で示される化合物とを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX36:本化合物Sのいずれか1種と式(2)で示される化合物とを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX37:本化合物Sのいずれか1種と式(3)で示される化合物とを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX38:本化合物Sのいずれか1種と式(3)で示される化合物とを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX39:本化合物Sのいずれか1種と式(3)で示される化合物とを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX40:本化合物Sのいずれか1種とメフェントリフルコナゾール
とを0.1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX41:本化合物Sのいずれか1種とメフェントリフルコナゾール
とを1:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
組成物群MX42:本化合物Sのいずれか1種とメフェントリフルコナゾール
とを10:1の割合で含有する植物病害防除組成物;
【0062】
次に、製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。組成物MXは、組成物群MX1乃至組成物群MX42に記載の組成物を表す。
【0063】
製剤例1
組成物MXのいずれか1つの組成物50部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸マグネシウム2部及び湿式シリカ45部をよく粉砕混合することにより、製剤を得る。
【0064】
製剤例2
組成物MXのいずれか1つの組成物20部とソルビタントリオレエート1.5部とを、ポリビニルアルコール2部を含む水溶液28.5部と混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中に、キサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケ-ト0.1部を含む水溶液40部を加え、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し、製剤を得る。
【0065】
製剤例3
組成物MXのいずれか1つの組成物2部、カオリンクレー88部及びタルク10部をよく粉砕混合することにより、製剤を得る。
【0066】
製剤例4
組成物MXのいずれか1つの組成物5部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部及びキシレン75部をよく混合することにより、製剤を得る。
【0067】
製剤例5
組成物MXのいずれか1つの組成物2部、湿式シリカ1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部及びカオリンクレー65部をよく粉砕混合した後、水を加えてよく練り合せ、造粒乾燥することにより、製剤を得る。
【0068】
製剤例6
ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩及び湿式シリカの混合物(重量比1:1)35部と、組成物MXのいずれか1つの組成物20部と、水45部とを十分に混合し、製剤を得る。
【0069】
次に、本発明組成物が植物病害の防除に有用であることを試験例で示す。
【0070】
試験例1 ダイズさび病(Phakopsora pachyrhizi)に対する防除試験
ダイズ(品種:黒千石)の本葉を直径1cmに切り抜きリーフディスクを作製した。24ウェルマイクロプレートに寒天培地(寒天濃度1.2%)を1mLずつ分注した後、各ウェルの上に、当該リーフディスクを1枚ずつ置いた。1μLのソルポール(登録商標)1200KX、DMSO 4.5μL及びキシレン5μLの混合物に、本化合物Sから選ばれる1つを所定濃度含有するDMSO溶液20μL及び本化合物Bを所定濃度含有するDMSO溶液20μLを加えて混合した。得られた混合物をイオン交換水で希釈して、供試化合物を所定濃度含有する薬液を調製した。この薬液を、リーフディスク1枚につき10μL散布した。1日後に、ダイズさび病菌(Phakopsora pachyrhizi)の胞子の水懸濁液(1.0×10/mL)を、リーフディスク上に噴霧接種した。接種後、人工気象器内(6時間点灯、18時間消灯、温度23℃、湿度60%)に置いた。1日後、リーフディスクの表面の水滴が無くなるまで風乾させ、再び人工気象器内に12日間置いた(これを処理区とした)。その後、ダイズさび病の病斑面積を調査した。
処理区の発病面積率及び無処理区の発病面積率から、以下の「式4」により防除効果を算出した。
「式4」
防除効果=100×(X-Y)/X
X:無処理区の発病面積率
Y:処理区の発病面積率
ここで無処理区とは、本化合物S及び本化合物Bを使用しないこと以外は処理区と同じ操作をする区を意味する。
その結果を、表6~表12に示す。
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
【表9】
【0075】
【表10】
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】
試験例2 コムギ葉枯病菌(Septoria tritici)に対する防除試験
本化合物Sから選ばれる1種、及び本化合物BをそれぞれDMSOに所定濃度で希釈した混合物をタイタープレート(96ウェル)に1μL分注したのち、あらかじめコムギ葉枯病菌の分生胞子を接種したジャガイモ煎汁液体培地(PDB培地)を150μL分注した。このプレートを4日間、18℃で培養してコムギ葉枯病菌を増殖させたのち、タイタープレートの各ウェルの550nmの吸光度にて、コムギ葉枯病菌の生育度を測定した(これを処理区とした)。その生育度をもとに、「式5」を用い防除効果を算出した。
「式5」
防除効果=100×(X-Y)/X
X:無処理区の菌の生育度
Y:処理区の菌の生育度
ここで無処理区とは、本化合物S及び本化合物Bを使用しないこと以外は処理区と同じ操作をする区を意味する。
その結果を、表13~表19に示す。
【0079】
【表13】
【0080】
【表14】
【0081】
【表15】
【0082】
【表16】
【0083】
【表17】
【0084】
【表18】
【0085】
【表19】
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の植物病害防除組成物により、植物病害を防除することができる。