(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002295
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】基板処理装置及び液交換方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
H01L21/304 642Z
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648F
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103455
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】永松 辰也
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157BB04
5F157BB06
5F157BC03
5F157BC53
5F157BE12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE44
5F157CC11
5F157CC41
5F157CD32
5F157CD33
5F157CD34
5F157CE32
5F157CE33
5F157CE36
5F157CE83
5F157CE84
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB46
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】処理液の交換に要する時間を短縮できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、薬液と置換液とを第1混合比で含む処理液で基板に液処理を施す処理槽と、前記処理槽内から取り出した前記処理液を前記処理槽内に戻す循環流路と、前記処理槽内及び前記循環流路内の少なくともいずれかに、前記薬液と前記置換液を個別に供給する液供給部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記処理槽内及び前記循環流路内を前記置換液で洗浄した後に、前記第1混合比よりも前記薬液に対する前記置換液の割合が低い第2混合比で、前記薬液と前記置換液とを供給するように前記液供給部を制御するよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液と置換液とを第1混合比で含む処理液で基板に液処理を施す処理槽と、
前記処理槽内から取り出した前記処理液を前記処理槽内に戻す循環流路と、
前記処理槽内及び前記循環流路内の少なくともいずれかに、前記薬液と前記置換液を個別に供給する液供給部と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記処理槽内及び前記循環流路内を前記置換液で洗浄した後に、前記第1混合比よりも前記薬液に対する前記置換液の割合が低い第2混合比で、前記薬液と前記置換液とを供給するように前記液供給部を制御するよう構成される、
基板処理装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記処理槽内及び前記循環流路内を前記置換液で洗浄した後に、前記処理槽内及び前記循環流路内に残る前記置換液の残液量に応じて、前記第2混合比を設定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理槽内及び前記循環流路内から排出される前記置換液の排液量を検出する排液量センサを備え、
前記制御装置は、前記排液量センサが検出した前記排液量に基づいて前記残液量を算出するよう構成される、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記置換液の前記残液量は、予め入力された値である、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記処理槽内及び前記循環流路内を前記置換液で洗浄した後に、前記第2混合比に相当する流量比で、前記薬液と前記置換液とを同時に供給するように前記液供給部を制御するよう構成される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理槽内の前記処理液の薬液濃度を検出する処理液濃度センサを備え、
前記制御装置は、前記処理液濃度センサが検出した前記処理液の薬液濃度が設定された濃度範囲から外れている場合、前記処理液の薬液濃度が前記濃度範囲内に収まるように前記薬液及び前記置換液の少なくともいずれかを供給するように前記液供給部を制御するよう構成される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理槽内の前記処理液の温度を調整する温調器と、
前記処理槽内の前記処理液の温度を検出する温度センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記温度センサが検出した前記処理液の温度が設定された温度範囲から外れている場合、前記処理液の温度が前記温度範囲内に収まるように前記温調器を制御するよう構成される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理槽内の前記処理液を排出する液排出部と、
前記処理槽内の前記処理液の液面高さを検出する液面センサと、
を備え、
前記制御装置は、前記液面センサの検出値が閾値を超えた場合に前記処理槽内の前記処理液を排出するように前記液排出部を制御するよう構成される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記液排出部は、前記処理槽内から排出される前記処理液を貯留する排液タンクを含み、
前記排液タンク内の前記処理液の薬液濃度を検出する排液濃度センサを備え、
前記制御装置は、前記排液濃度センサの検出値に基づいて前記液供給部を制御するよう構成される、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御装置は、
前記処理槽内及び前記循環流路内の前記処理液を前記置換液で置換することと、
前記処理槽内及び前記循環流路内から前記置換液を排出することと、
前記置換液が排出された後に前記第1混合比よりも前記薬液に対する前記置換液の割合が低い第2混合比で、前記薬液と前記置換液とを供給することと、
を実施するように前記液供給部及び前記液排出部を制御するよう構成される、
請求項8又は9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記液供給部は、前記薬液を供給する薬液供給部と、前記置換液を供給する置換液供給部とを含み、
前記薬液供給部及び前記置換液供給部は、それぞれ液体用流量コントローラ(LFC)を含む、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記処理液は、SC1、SC2又はDHFであり、
前記置換液は、脱イオン水(DIW)である、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記処理槽は、複数枚の基板に一括で液処理を施す槽である、
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
循環流路により循環される処理槽に貯留された処理液を交換する液交換方法であって、
前記処理液は薬液と置換液とを第1混合比で含み、
前記処理槽内及び前記循環流路内を前記置換液で洗浄した後に、前記第1混合比よりも前記薬液に対する前記置換液の割合が低い第2混合比で、前記薬液と前記置換液とを供給することを含む、
液交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び液交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液処理槽に供給する薬液の供給流量と供給時間から各薬液の総投入量を算出し、算出した各薬液の総投入量から混合比を求めて薬液濃度を算出する浸漬式洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理液の交換に要する時間を短縮できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、薬液と置換液とを第1混合比で含む処理液で基板に液処理を施す処理槽と、前記処理槽内から取り出した前記処理液を前記処理槽内に戻す循環流路と、前記処理槽内及び前記循環流路内の少なくともいずれかに、前記薬液と前記置換液を個別に供給する液供給部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記処理槽内及び前記循環流路内を前記置換液で洗浄した後に、前記第1混合比よりも前記薬液に対する前記置換液の割合が低い第2混合比で、前記薬液と前記置換液とを供給するように前記液供給部を制御するよう構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理液の交換に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の基板処理装置の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、調整パラメータの算出方法の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、液交換処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、制御装置の機能構成の別の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、調整パラメータの算出方法の別の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、液交換処理の別の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、制御装置の機能構成の更に別の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、調整パラメータの算出方法の更に別の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、液交換処理の更に別の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、処理液の温度及びH
2O
2濃度を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔液交換時の処理液の薬液濃度〕
薬液と脱イオン水(DIW)とを第1混合比で含む処理液を貯留する処理槽に複数枚の基板を一括で浸漬し、該処理液により複数枚の基板に液処理を施すバッチ式の基板処理装置では、処理槽に接続された循環流路により処理槽内の処理液が循環される。該基板処理装置では、処理槽内に貯留された処理液が定期的に交換される(以下「液交換処理」という。)。液交換処理は、第1液交換処理と、第2液交換処理とを含む。なお、液交換処理後、処理槽内に貯留している処理液に基板が浸漬される。
【0010】
第1液交換処理は、処理槽内に貯留された古い(現在使用中の)処理液を同じ仕様(種類、濃度等)の新しい処理液に交換する処理である。第1液交換処理は、例えば通常の運用時に行われる。第1液交換処理では、まず、処理槽内に貯留された古い処理液を排出し、次いで同じ仕様の新しい処理液を処理槽内に供給し、次いで処理槽内に供給された新しい処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する。第1液交換処理では、処理槽内に新しい処理液を供給する前の処理槽内及び循環流路内には薬液成分を含む液が残液として残っている。そのため、処理槽内に新しい処理液を供給した直後に処理槽内の処理液の薬液濃度がほとんど低下しない。その結果、短時間で処理液の薬液濃度が設定濃度に到達する。
【0011】
第2液交換処理は、処理槽内に貯留された古い処理液が排出され、DIW洗浄されることで処理槽内に貯留されたDIWを新しい処理液に交換する処理である。DIW洗浄については後述する。第2液交換処理は、例えば定期メンテナンス時、第1液交換処理の実施回数が設定回数に到達した場合に行われる。第2液交換処理では、まず、処理槽内からDIWを排出し、次いで古い処理液と同じ仕様の新しい処理液を処理槽内に供給し、次いで処理槽内に供給された新しい処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する。第2液交換処理では、処理槽内に新しい処理液を供給する前の処理槽内及び循環流路内には薬液成分をほとんど含まない液(DIW)が残液として残っている。そのため、残液の量を考慮せずに古い処理液と同じ薬液濃度で新しい処理液を処理槽内に供給すると、新しい処理液を供給した直後に処理槽内の処理液の薬液濃度が残液により希釈され、処理槽内の処理液の薬液濃度が低下する。その結果、処理槽内に新しい処理液を供給してから処理液の薬液濃度が設定濃度に到達するまでの時間が長くなる。特に、処理槽及び循環流路の容量が大きくなると、処理槽内及び循環流路内に残る残液の量が多くなるため、処理液の薬液濃度が設定濃度に到達するまでの時間がより長くなる。
【0012】
一例として、SC1(NH4OH/H2O2/H2O)を処理液として貯留する処理槽において、第2液交換処理を行った場合の処理槽内の処理液の温度及び処理槽内の処理液のH2O2濃度を測定した結果について説明する。
【0013】
図12は、第2液交換処理でNH
4OHとH
2O
2とH
2Oを第1混合比で供給した際の処理液の温度及びH
2O
2濃度を測定した結果を示す図である。
図12中、横軸は時間を示し、第1(左側)の縦軸は処理槽内の処理液の温度を示し、第2(右側)の縦軸は処理槽内の処理液のH
2O
2濃度を示す。
【0014】
図12において、時刻t1は、処理槽内からのDIWの排出を開始した時刻を示す。時刻t2は、処理槽内に新しい処理液(NH
4OHとH
2O
2とH
2O)を供給開始した時刻を示す。時刻t3は、処理槽内への新しい処理液の供給を開始した直後の時刻であり、処理槽内に供給された新しい処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する循環温調を開始した時刻を示す。時刻t4は、処理槽内の処理液の温度が設定温度に到達した時刻を示す。時刻t5は、処理槽内の処理液の薬液濃度が設定濃度に到達した時刻を示す。なお、DIW洗浄は時刻t1までに完了させた。
【0015】
図12に示されるように、処理槽内からのDIWの排出を開始した時点(時刻t1)では、H
2O
2濃度は略ゼロである。これは、時刻t1までにDIW洗浄が行われ、処理槽内のSC1がDIWに置き換えられているためであると考えられる。
【0016】
次いで、処理槽内からのDIWの排出を開始した時点(時刻t1)から処理槽内への新しい処理液の供給を開始する時点(時刻t2)までの期間では、H2O2濃度は略ゼロからほとんど変化していない。これは、処理槽内からDIWが排出されるが、処理槽内及び循環流路内にはDIWが残液として残っているためであると考えられる。
【0017】
次いで、処理槽内への新しい処理液の供給を開始した直後の時点(時刻t3)では、H2O2濃度が高くなっているが、設定濃度よりも低い。これは、処理槽内及び循環流路内に薬液成分(NH4OH及びH2O2)をほとんど含まない液(DIW)が残液として残っているためであると考えられる。
【0018】
次いで、処理槽内の処理液の温度が設定温度に到達した時点(時刻t4)では、H2O2濃度が設定温度に到達しておらず、時刻t4から時間が経過した後の時点(時刻t5)においてH2O2濃度が設定温度に到達している。これは、処理槽内への新しい処理液の供給を開始した直後の時点(時刻t3)においてH2O2濃度の設定濃度からのずれ量が大きいためであると考えられる。
【0019】
このように第2液交換処理では、処理槽内に新しい処理液を供給してから該処理液のH2O2濃度が設定濃度に到達するまでの時間が、処理槽内に新しい処理液を供給してから該処理液の温度が設定温度に到達するまでの時間よりも長い。また、処理液のNH4OH濃度についても、H2O2濃度と同様である。その結果、液交換処理に要する時間が長くなり、基板処理装置の生産性が低下する。
【0020】
そこで本発明者らは、鋭意検討した結果、処理槽内及び循環流路内に残る置換液の残液量に応じて定められる薬液と置換液との流量比で処理槽内に薬液及び置換液を供給することで、処理液の交換に要する時間を短縮できることを見出した。以下、詳細に説明する。
【0021】
〔基板処理装置〕
図1及び
図2を参照し、実施形態の基板処理装置1の一例について説明する。基板処理装置1は、処理モジュール2、制御装置9等を備える。
【0022】
処理モジュール2は、複数枚(例えば25枚~100枚)の基板Wを一括で処理するバッチ式のモジュールである。基板Wは、例えば直径が300mmの円板状の半導体ウエハである。処理モジュール2は、処理槽210、液供給部220、液排出部230、液循環部240、保持具250、昇降機構260等を有する。
【0023】
処理槽210は、基板Wに液処理を施す処理液を貯留する。液処理は、例えば基板Wの一部を除去する除去処理を含む。処理液は、例えばSC1である。処理槽210は、内槽211、外槽212等を含む。
【0024】
内槽211は、上方が開放された箱型の槽である。複数枚の基板Wは、保持具250で保持された状態で、内槽211内に貯留された処理液に浸漬される。
【0025】
外槽212は、内槽211内からオーバーフローした処理液を回収する。外槽212には、液面センサS1及び温度センサS2が設けられている。液面センサS1は、予め設定された高さ位置に配置されている。液面センサS1は、外槽212内の処理液の液面高さを検出し、検出値を制御装置9に送信する。温度センサS2は、外槽212内の処理液の温度を検出し、検出値を制御装置9に送信する。なお、温度センサS2は、内槽211、循環流路241、温調器244等に設けられていてもよい。循環流路241及び温調器244については後述する。
【0026】
液供給部220は、処理槽210内に処理液を供給する。液供給部220は、NH4OH供給部221、H2O2供給部222、DIW供給部223等を含む。
【0027】
NH4OH供給部221は、NH4OH供給源221a、NH4OH供給流路221b、開閉弁221c、流量制御器221d等を含む。NH4OH供給流路221bは、NH4OH供給源221aと処理槽210とを接続し、NH4OH供給源221aから処理槽210内にNH4OHを供給する。開閉弁221cは、NH4OH供給流路221bに介設され、NH4OH供給流路221bを開閉する。流量制御器221dは、NH4OH供給流路221bに介設され、NH4OH供給流路221bを流れるNH4OHの流量を制御する。流量制御器221dは、例えば液体用流量コントローラ(LFC:Liquid Flow Controller)である。係るNH4OH供給部221は、制御装置9からの指令に基づいて開閉弁221c及び流量制御器221dが制御され、所定の流量のNH4OHを内槽211内及び外槽212内に供給する。なお、NH4OHは薬液の一例であり、NH4OH供給部221は薬液供給部の一例である。
【0028】
H2O2供給部222は、H2O2供給源222a、H2O2供給流路222b、開閉弁222c、流量制御器222d等を含む。H2O2供給流路222bは、H2O2供給源222aと処理槽210とを接続し、H2O2供給源222aから処理槽210内にH2O2を供給する。開閉弁222cは、H2O2供給流路222bに介設され、H2O2供給流路222bを開閉する。流量制御器222dは、H2O2供給流路222bに介設され、H2O2供給流路222bを流れるH2O2の流量を制御する。流量制御器222dは、例えばLFCである。係るH2O2供給部222は、制御装置9からの指令に基づいて開閉弁222c及び流量制御器222dが制御され、所定の流量のH2O2を内槽211内及び外槽212内に供給する。なお、H2O2は薬液の一例であり、H2O2供給部222は薬液供給部の一例である。
【0029】
DIW供給部223は、DIW供給源223a、DIW供給流路223b、開閉弁223c、流量制御器223d等を含む。DIW供給流路223bは、DIW供給源223aと処理槽210とを接続し、DIW供給源223aから処理槽210内にDIWを供給する。開閉弁223cは、DIW供給流路223bに介設され、DIW供給流路223bを開閉する。流量制御器223dは、DIW供給流路223bに介設され、DIW供給流路223bを流れるDIWの流量を制御する。流量制御器223dは、例えばLFCである。係るDIW供給部223は、制御装置9からの指令に基づいて開閉弁223c及び流量制御器223dが制御され、所定の流量のDIWを内槽211内及び外槽212内に供給する。なお、DIWは置換液の一例であり、DIW供給部223は置換液供給部の一例である。また、置換液は、槽洗浄液、フラッシング液、調整液とも称される。
【0030】
液排出部230は、処理槽210内に貯留された処理液を外部に排出する。液排出部230は、排液タンク231、処理槽排液流路232、開閉弁233、循環部排液流路234、開閉弁235等を含む。
【0031】
排液タンク231は、処理槽210内及び循環流路241内から排出される処理液を一時的に貯留し、貯留した処理液を外部に排出する。排液タンク231には、排液量センサS3が取り付けられている。排液量センサS3は、処理槽210内及び循環流路241内から排出される処理液の量を検出し、検出値を制御装置9に送信する。例えば、排液量センサS3は、排液タンク231内の残液量を排液開始前と排液終了後とで検出し、両者の差分を排液量とする。排液タンク231には、開閉弁236を介して濃度センサS4が接続されている。開閉弁236が開かれると、排液タンク231内から濃度センサS4に処理液が流れ込む。濃度センサS4は、排液タンク231内から流れ込む処理液の薬液濃度を検出し、検出値を制御装置9に送信する。このように濃度センサS4は、排液タンク231内の処理液の薬液濃度を検出する排液濃度センサとして機能する。
【0032】
処理槽排液流路232は、内槽211の底壁と排液タンク231とを接続する。処理槽排液流路232は、内槽211の底部から排液タンク231内に処理液を排出する。
【0033】
開閉弁233は、処理槽排液流路232に介設され、処理槽排液流路232を開閉する。開閉弁233が開かれると、内槽211内から排液タンク231内に処理液が排出される。
【0034】
循環部排液流路234は、後述する循環流路241と排液タンク231とを接続する。循環部排液流路234は、循環流路241内から排液タンク231内に処理液を排出する。
【0035】
開閉弁235は、循環部排液流路234に介設され、循環部排液流路234を開閉する。開閉弁235が開かれると、循環流路241内から排液タンク231内に処理液が排出される。
【0036】
液循環部240は、処理槽210内の処理液を循環させる。液循環部240は、循環流路241、フィルタ242、循環ポンプ243、温調器244、水平管245等を含む。
【0037】
循環流路241は、外槽212内から処理液を取り出し、内槽211内に送る。循環流路241の途中には、外槽212の側から順にフィルタ242、循環ポンプ243、温調器244及び水平管245が介設されている。ただし、フィルタ242、循環ポンプ243及び温調器244の順番は図示の例に限定されず、適宜入れ替えてもよい。また、循環流路241には、開閉弁246を介して濃度センサS4が接続されている。開閉弁246が開かれると、外槽212内から循環流路241を介して濃度センサS4に処理液が流れ込む。濃度センサS4は、循環流路241内から流れ込む処理液の薬液濃度を検出し、検出値を制御装置9に送信する。このように濃度センサS4は、処理槽210内の処理液の薬液濃度を検出する処理液濃度センサとして機能する。
【0038】
フィルタ242は、処理液に含まれるパーティクルを捕集する。循環ポンプ243は、処理液を圧送する。温調器244は、ヒータ等であり、処理液の温度を調節する。
【0039】
水平管245は、処理液を内槽211内に供給する。水平管245は、Y軸方向に延びており、X軸方向に間隔をおいて複数本設けられる。複数本の水平管245は、その長手方向に間隔をおいて複数の吐出口245aを有する。複数の吐出口245aは、それぞれ真上に向けて処理液を吐出する。これにより、カーテン状の上昇流を内槽211内に形成できる。なお、水平管245は、複数の吐出口245aの流量を独立に制御できるように構成されてもよい。また、水平管245は、液体と気体の混合流体を吐出してもよい。気体としては、N2ガス等が用いられる。
【0040】
保持具250は、複数枚の基板Wを保持する。保持具250は、互いに平行な複数本のアーム251を含む。各アーム251は、
図2に示されるように、水平管245に対して平行に(つまりY軸方向に)配置され、複数枚の基板Wのそれぞれを鉛直に保持する。
【0041】
昇降機構260は、保持具250を昇降させる。例えば、昇降機構260は、基板Wを処理液に浸漬する位置と、基板Wを搬入出する位置との間で、保持具250を昇降させる。
【0042】
制御装置9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置9は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、基板処理装置1の動作を制御する。
【0043】
〔制御装置〕
図3及び
図4を参照し、基板処理装置1が備える制御装置9の機能構成の一例について説明する。
図3に示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。後述する
図6及び
図9において同様である。
【0044】
制御装置9は、残液量算出部901、パラメータ生成部902、動作制御部903、格納部904等を含む。
【0045】
残液量算出部901は、格納部904に格納された処理槽210の総容量と、排液量センサS3が検出した処理槽210からの処理液の排液量とに基づいて、処理槽210内及び循環流路241内の残液量を算出する。処理槽210の総容量は、例えば基板Wに液処理を施す際に処理槽210内に貯留される処理液の量である。処理槽210の総容量は、例えばユーザ等により予め入力され、格納部904に格納される。
【0046】
例えば、
図4(a)に示されるように、総容量が100Lであり、排液量が90Lである場合、残液量算出部901は総容量(100L)から排液量(90L)を減算することで、処理槽210内及び循環流路241内の残液量(10L)を算出する。このように残液量算出部901は排液量センサS3の検出値に基づいて残液量を算出するので、液交換処理ごとの正確な残液量を算出できる。
【0047】
パラメータ生成部902は、格納部904に格納された通常パラメータと、残液量算出部901が算出した残液量とに基づいて、調整パラメータを生成する。通常パラメータは、基板Wに液処理を施す際に処理槽210に貯留される処理液におけるNH4OHとH2O2とDIWとの混合比(以下「第1混合比」という。)を定めるパラメータである。第1混合比は、例えば体積比である。ただし、第1混合比は、質量比であってもよい。通常パラメータは、例えば第1液交換処理を行う場合に用いられる。調整パラメータは、第1混合比よりも薬液(NH4OH及びH2O2)に対する置換液(DIW)の割合が低い第2混合比を定めるパラメータである。第2混合比は、残液量算出部901が算出した残液量が多いほど、薬液に対する置換液の割合が低くなる。調整パラメータは、例えば第2液交換処理を行う場合に用いられる。また、パラメータ生成部902は、通常パラメータ及び残液量に加えて、濃度センサS4が検出した排液タンク231内の処理液の薬液濃度を用いて調整パラメータを生成してもよい。
【0048】
例えば、
図4(b)に示されるように、通常パラメータで定められるDIWの体積が80Lである場合、パラメータ生成部902はDIWの体積(80L)から残液量(10L)を減算することで、調整後のDIWの体積(70L)を算出する。また、パラメータ生成部902は、通常パラメータで定められるNH
4OHの体積(4L)及びH
2O
2の体積(16L)と、算出した調整後のDIWの体積(70L)とに基づいて、NH
4OHとH
2O
2とDIWとの流量比を算出する。これにより、
図4(c)に示されるように、NH
4OHとH
2O
2とDIWとの流量比(NH
4OH:H
2O
2:DIW=1:4:17.5)を定める調整パラメータが生成される。
【0049】
動作制御部903は、格納部904に格納された通常パラメータ又はパラメータ生成部902が算出した調整パラメータに基づいて、処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給するように液供給部220を制御する。
【0050】
例えば、動作制御部903は、ユーザ等が選択したパラメータ(通常パラメータ又は調整パラメータ)で定められた流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを同時に供給するように液供給部220を制御する。なお、NH4OH、H2O2及びDIWは、同時に供給しなくてもよい。
【0051】
例えば、動作制御部903は、第1液交換処理を実施する場合、格納部904に格納された通常パラメータで定められた流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給するように液供給部220を制御する。第1液交換処理では、処理槽210内に新しい処理液を供給する前の処理槽210内及び循環流路241内には薬液成分(NH4OH及びH2O2)を含む液が残液として残っている。そのため、通常パラメータで定められる流量比で処理槽210内に新しい処理液を供給した直後に処理槽210内の処理液の薬液濃度がほとんど低下しない。その結果、短時間で処理液の薬液濃度が設定濃度に到達する。
【0052】
例えば、動作制御部903は、第2液交換処理を実施する場合、パラメータ生成部902が生成した調整パラメータで定められた流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給するように液供給部220を制御する。第2液交換処理では、処理槽210内に新しい処理液を供給する前の処理槽210内及び循環流路241内には薬液成分(NH4OH及びH2O2)をほとんど含まない液(DIW)が残液として残っている。そのため、通常パラメータで定められる流量比で処理槽210内に新しい処理液を供給すると、新しい処理液を供給した直後に処理槽210内の処理液が残液により希釈され、処理槽210内の処理液の薬液濃度が低下する。一方、調整パラメータでは残液量に応じてDIWの供給流量を減じた流量比が定められているので、調整パラメータで定められる流量比で処理槽210内に新しい処理液を供給した直後に処理槽210内の処理液の薬液濃度がほとんど低下しない。その結果、短時間で処理液の薬液濃度が設定濃度に到達する。
【0053】
また、動作制御部903は、液面センサS1、温度センサS2及び濃度センサS4の検出値に基づいて、処理槽210内に処理液を供給し、処理槽210内に貯留された処理液を外部に排出するように液供給部220及び液排出部230を制御する。
【0054】
例えば、動作制御部903は、濃度センサS4が検出した処理槽210内の処理液の薬液濃度が設定された濃度範囲から外れている場合、処理液の薬液濃度が該濃度範囲内に収まるように処理槽210内に処理液を供給するように液供給部220を制御する。具体的には、動作制御部903は、濃度センサS4が検出した処理槽210内の処理液の薬液濃度が設定された濃度範囲より低い場合、処理槽210内に薬液を供給するようにNH4OH供給部221及び/又はH2O2供給部222を制御する。一方、動作制御部903は、濃度センサS4が検出した処理槽210内の処理液の薬液濃度が設定された濃度範囲より高い場合、処理槽210内にDIWを供給するようにDIW供給部223を制御する。また、例えば、動作制御部903は、濃度センサS4が検出した排液タンク231内の処理液の薬液濃度を用いて、処理槽210内に処理液を供給するように液供給部220を制御してもよい。
【0055】
例えば、動作制御部903は、液面センサS1が検出した外槽212内の処理液の液面高さが閾値を超えた場合、開閉弁233及び開閉弁235を開く。これにより、処理槽210内の処理液が処理槽排液流路232を介して排液タンク231に排出され、循環流路241内の処理液が循環部排液流路234を介して排液タンク231に排出されるので、外槽212内の処理液の液面高さが低くなる。
【0056】
例えば、動作制御部903は、温度センサS2が検出した処理液の温度が設定された温度範囲から外れている場合、処理液の温度が該温度範囲内に収まるように温調器244を制御する。
【0057】
格納部904は、各種の情報を格納する。各種の情報は、処理槽210の総容量、通常パラメータ等を含む。
【0058】
〔液交換方法〕
図5を参照し、実施形態の液交換方法の一例として、制御装置9が処理モジュール2の各部を制御することで、処理槽210内及び循環流路241内の処理液を交換する液交換処理について説明する。
図5に示される液交換処理は、ユーザ等により液交換処理を実施する操作がなされた場合に実施される。
【0059】
ステップST11において、制御装置9は、ユーザ等により濃度比調整を実行する選択がなされたか否かを判定する。ステップST11において、濃度比調整を実行する選択がなされたと判定した場合、制御装置9は処理をステップST12へ進める。一方、ステップST11において、濃度比調整を実行する選択がなされていないと判定した場合、制御装置9は処理をステップST16へ進める。例えば、ユーザ等は、液交換処理を実施する時点において、処理槽210内の液が、液交換処理で処理槽210内に供給する新しい処理液と異なる場合に、濃度比調整を実行する選択を行う。このような場合としては、例えばDIW洗浄が行われることで処理槽210内がDIWで満たされている場合が挙げられる。一方、ユーザ等は、処理槽210内の液が、液交換処理で処理槽210内に供給する新しい処理液と同じ場合、濃度比調整を実行しない選択を行う。なお、DIW洗浄の詳細については後述する。
【0060】
ステップST12において、制御装置9は、処理槽210内に貯留された処理液を排液タンク231に排出するように液排出部230を制御する。例えば、制御装置9は、開閉弁233及び開閉弁235を開く。これにより、処理槽210内の処理液が処理槽排液流路232を介して排液タンク231に排出され、循環流路241内の処理液が循環部排液流路234を介して排液タンク231に排出される。このとき、循環流路241内(フィルタ242内、循環ポンプ243内を含む)には排液しきれない処理液が残液として残る場合がある。特に、処理槽210の容量が大きくなると、処理槽210内及び循環流路241内に残る残液の量が多くなる。処理槽210内及び循環流路241内から排液タンク231への排液が完了した後、制御装置9は開閉弁233及び開閉弁235を閉じる。また、ステップST12において、排液量センサS3は、排液タンク231内の残液量を、処理槽210からの排液開始前と排液終了後とで検出し、両者の差分を処理槽210からの排液量とする。なお、ステップST12では、処理槽210内及び循環流路241内から排液タンク231に処理液を排出する際、循環ポンプ243を作動させてもよく、循環ポンプ243を作動させなくてもよい。
【0061】
ステップST13において、制御装置9は、ステップST12において排液量センサS3が検出した排液量を取得する。
【0062】
ステップST14において、制御装置9は、格納部904に格納された処理槽210の総容量と、ステップST13で取得した排液量とに基づいて、処理槽210内及び循環流路241内の残液量を算出する。
【0063】
ステップST15において、制御装置9は、格納部904に格納された通常パラメータと、ステップST14で残液量算出部901が算出した残液量とに基づいて、調整パラメータを生成する。
【0064】
ステップST16において、制御装置9は、格納部904に格納された通常パラメータを取得する。
【0065】
ステップST17において、制御装置9は、処理槽210内に貯留された処理液を排液タンク231に排出するように液排出部230を制御する。例えば、制御装置9は、ステップST12と同じ方法で、処理槽210内に貯留された処理液を排液タンク231に排出させる。
【0066】
ステップST18において、制御装置9は、ステップST15で算出した調整パラメータ又はステップST16で取得した通常パラメータに基づいて、処理槽210内に新しい処理液を供給するように液供給部220を制御する。例えば、制御装置9は、第1液交換処理を実施する場合、格納部904に格納された通常パラメータで定められた流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給するように液供給部220を制御する。例えば、制御装置9は、通常パラメータ又は調整パラメータで定められる流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給するように液供給部220を制御する。このとき、調整パラメータは残液量に応じてDIWの供給流量を減じた流量比が定められている。そのため、調整パラメータで定められる流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給した直後に処理槽210内のNH4OH及びH2O2の濃度がほとんど低下しない。
【0067】
ステップST19において、制御装置9は、液供給部220、液排出部230及び液循環部240を制御して、処理槽210内の処理液を循環させながら処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する。例えば、制御装置9は、濃度センサS4が検出した処理液の薬液濃度が設定された濃度範囲内に収まるように、処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWの少なくともいずれかを供給するように液供給部220を制御する。例えば、制御装置9は、液面センサS1が検出した外槽212内の処理液の液面高さが閾値を超えた場合に開閉弁235を開く。これにより、外槽212内の処理液が循環流路241及び循環部排液流路234を介して排液タンク231に排出され、外槽212内の処理液の液面高さが低くなる。例えば、制御装置9は、温度センサS2が検出した処理液の温度が設定された温度範囲内に収まるように温調器244を制御する。例えば、制御装置9は、濃度センサS4が検出する排液タンク231内の処理液の薬液濃度に基づいて処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWの少なくともいずれかを供給するように液供給部220を制御する。そして、制御装置9は、処理槽210内の処理液の薬液濃度及び温度が設定濃度及び設定温度に到達した後、処理を終了させる。
【0068】
以上に説明したように、実施形態によれば、処理槽210内の残液量に応じて定められる薬液と置換液との流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給する。これにより、処理槽210内に新しい処理液(NH4OH、H2O2及びDIW)を供給した直後に処理槽210内のNH4OH及びH2O2の濃度がほとんど低下しない。そのため、処理槽210内の処理液を循環させながら処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する際に要する時間が短くなる。その結果、処理液の交換に要する時間を短縮できる。
【0069】
〔DIW洗浄〕
次に、基板処理装置1で実施されるDIW洗浄の一例について説明する。ただし、DIW洗浄は、以下で説明する形態に限定されるものではない。なお、DIW洗浄は、DIWフラッシングとも称される。
【0070】
まず、制御装置9は、開閉弁221c~223cを閉じた状態で、開閉弁233及び開閉弁235を開く(ステップST101)。これにより、内槽211内の処理液が処理槽排液流路232を介して排液タンク231に排出され、外槽212内の処理液が循環流路241及び循環部排液流路234を介して排液タンク231に排出される。
【0071】
次いで、制御装置9は、開閉弁233及び開閉弁235を閉じた後、開閉弁223cを開き、流量制御器223dを制御して、処理槽210内にDIWを供給する(ステップST102)。これにより、処理槽210内に所定量のDIWが貯留される。
【0072】
次いで、制御装置9は、処理槽210内へのDIWの供給を継続しながら、循環ポンプ243を作動させる(ステップST103)。これにより、処理槽210内のDIWが循環流路241を流れ、循環流路241及び該循環流路241に介設された機器(フィルタ242、循環ポンプ243、温調器244等)がDIWにより洗浄される。
【0073】
次いで、制御装置9は、開閉弁233及び開閉弁235を開く(ステップST104)。これにより、処理槽210内及び循環流路241内のDIWが排液タンク231に排出される。
【0074】
次いで、制御装置9は、処理槽210内へのDIWの供給を継続しながら、開閉弁233及び開閉弁235を閉じる(ステップST105)。これにより、処理槽210内及び循環流路241内がDIWで満たされる。処理槽210内及び循環流路241内が所定量のDIWで満たされた後、制御装置9は開閉弁223cを閉じる。これにより、処理槽210内へのDIWの供給が停止される。
【0075】
以上により、DIW洗浄が終了する。なお、DIW洗浄では、ステップST104及びステップST105を繰り返し行ってもよい。
【0076】
〔第1の変形例〕
図6及び
図7を参照し、第1の変形例に係る制御装置9Aの機能構成の一例について説明する。
【0077】
制御装置9Aは、パラメータ生成部902A、動作制御部903A、格納部904A等を含む。
【0078】
パラメータ生成部902Aは、格納部904Aに格納された、処理槽210内及び循環流路241内の残液量及び通常パラメータに基づいて、調整パラメータを生成する。また、パラメータ生成部902Aは、残液量及び通常パラメータに加えて、濃度センサS4が検出した排液タンク231内の処理液の薬液濃度を用いて調整パラメータを生成してもよい。例えば、残液量が10L(
図7(a))であり通常パラメータで定められるDIWの体積が80L(
図7(b))である場合、パラメータ生成部902AはDIWの体積(80L)から残液量(10L)を減算することで調整後のDIWの体積(70L)を算出する。また、パラメータ生成部902Aは、通常パラメータで定められるNH
4OHの体積(4L)及びH
2O
2の体積(16L)と、算出した調整後のDIWの体積(70L)とに基づいて、NH
4OHとH
2O
2とDIWとの流量比を算出する。これにより、
図7(c)に示されるように、NH
4OHとH
2O
2とDIWとの流量比(NH
4OH:H
2O
2:DIW=1:4:17.5)を定める調整パラメータが生成される。
【0079】
動作制御部903Aは、前述した動作制御部903と同じ構成であってよい。
【0080】
格納部904Aは、各種の情報を格納する。各種の情報は、処理槽210内及び循環流路241内の残液量、通常パラメータ等を含む。処理槽210内及び循環流路241内の残液量は、例えばユーザ等により予め入力され、格納部904Aに格納される。
【0081】
図8を参照し、実施形態の液交換方法の別の一例として、制御装置9Aが処理モジュール2の各部を制御することで、処理槽210内及び循環流路241内の処理液を交換する液交換処理について説明する。
図8に示される液交換処理は、ユーザ等により液交換処理を実施する操作がなされた場合に実施される。
【0082】
ステップST21において、制御装置9Aは、ユーザ等により濃度比調整を実行する選択がなされたか否かを判定する。ステップST21は、ステップST11と同じである。
【0083】
ステップST22において、制御装置9Aは、格納部904Aに格納された、処理槽210内及び循環流路241内の残液量及び通常パラメータに基づいて、調整パラメータを生成する。
【0084】
ステップST23において、制御装置9Aは、格納部904Aに格納された通常パラメータを取得する。
【0085】
ステップST24において、制御装置9Aは、処理槽210内に貯留された処理液を排液タンク231に排出するように液排出部230を制御する。ステップST24は、ステップST12と同じである。
【0086】
ステップST25において、制御装置9Aは、ステップST22で算出した調整パラメータ又はステップST23で取得した通常パラメータに基づいて、処理槽210内に新しい処理液を供給するように液供給部220を制御する。ステップST25は、ステップST18と同じである。
【0087】
ステップST26において、制御装置9Aは、液供給部220、液排出部230及び液循環部240を制御して、処理槽210内の処理液を循環させながら処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する。ステップST26は、ステップST19と同じである。
【0088】
以上に説明したように、第1の変形例によれば、処理槽210内の残液量に応じて定められる薬液と置換液との流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給する。これにより、処理槽210内に新しい処理液(NH4OH、H2O2及びDIW)を供給した直後に処理槽210内のNH4OH及びH2O2の濃度がほとんど低下しない。そのため、処理槽210内の処理液を循環させながら処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する際に要する時間が短くなる。その結果、処理液の交換に要する時間を短縮できる。
【0089】
また、第1の変形例によれば、予め格納部904Aに残液量が格納されており、格納部904Aに格納された残液量及び通常パラメータに基づいて調整パラメータを生成するので、簡便な方法である。例えば、第1の変形例は残液量の変動が少ない場合に有用である。
【0090】
〔第2の変形例〕
図9及び
図10を参照し、第2の変形例に係る制御装置9Bの機能構成の一例について説明する。
【0091】
制御装置9Bは、動作制御部903B、格納部904B等を含む。
【0092】
動作制御部903Bは、格納部904Bに格納された通常パラメータ又は調整パラメータに基づいて、処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給するように液供給部220を制御する。
【0093】
格納部904Bは、各種の情報を格納する。各種の情報は、通常パラメータ、調整パラメータ等を含む。調整パラメータは、例えば液交換処理を開始する前に、ユーザ等により処理槽210内及び循環流路241内の残液量に応じて生成され、予め格納部904Bに格納される。
図10(a)に示される通常パラメータでは、NH
4OH:H
2O
2:DIW=1:4:18が定められている。
図10(b)に示される調整パラメータでは、NH
4OH:H
2O
2:DIW=1:4:17.5)を定められている。
【0094】
図11を参照し、実施形態の液交換方法の別の一例として、制御装置9Bが処理モジュール2の各部を制御することで、処理槽210内及び循環流路241内の処理液を交換する液交換処理について説明する。
図11に示される液交換処理は、ユーザ等により液交換処理を実施する操作がなされた場合に実施される。
【0095】
ステップST31において、制御装置9Bは、ユーザ等により濃度比調整を実行する選択がなされたか否かを判定する。ステップST31は、ステップST11と同じである。
【0096】
ステップST32において、制御装置9Bは、格納部904Bに格納された調整パラメータを取得する。
【0097】
ステップST33において、制御装置9Bは、格納部904Bに格納された通常パラメータを取得する。
【0098】
ステップST34において、制御装置9Bは、処理槽210内に貯留された処理液を排液タンク231に排出するように液排出部230を制御する。ステップST34は、ステップST12と同じである。
【0099】
ステップST35において、制御装置9Bは、ステップST32で取得した調整パラメータ又はステップST33で取得した通常パラメータに基づいて、処理槽210内に新しい処理液を供給するように液供給部220を制御する。ステップST35は、ステップST18と同じである。
【0100】
ステップST36において、制御装置9Bは、液供給部220、液排出部230及び液循環部240を制御して、処理槽210内の処理液を循環させながら処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する。ステップST36は、ステップST19と同じである。
【0101】
以上に説明したように、第2の変形例によれば、処理槽210内の残液量に応じて定められる薬液と置換液との流量比で処理槽210内にNH4OH、H2O2及びDIWを供給する。これにより、処理槽210内に新しい処理液(NH4OH、H2O2及びDIW)を供給した直後に処理槽210内のNH4OH及びH2O2の濃度がほとんど低下しない。そのため、処理槽210内の処理液を循環させながら処理液の薬液濃度及び温度を設定濃度及び設定温度に調整する際に要する時間が短くなる。その結果、処理液の交換に要する時間を短縮できる。
【0102】
また、第2の変形例によれば、調整パラメータが予め格納部904Bに格納されており、動作制御部903Bが格納部904Bに格納された通常パラメータ又は調整パラメータに基づいて、処理槽210に新しい処理液を供給するように液供給部220を制御する。そのため、簡便な方法である。例えば、第2の変形例は残液量の変動が少ない場合に有用である。
【0103】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0104】
上記の実施形態では、薬液供給部及び置換液供給部が処理槽210に接続される場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、薬液供給部が処理槽210に接続され、置換液供給部が循環流路241に接続されていてもよい。また、例えば薬液供給部が循環流路241に接続され、置換液供給部が処理槽210に接続されていてもよい。
【0105】
上記の実施形態では、濃度センサS4が排液タンク231内の処理液の薬液濃度及び処理槽210内の処理液の薬液濃度を検出する場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、2つの濃度センサを設け、一方の濃度センサが排液タンク231内の処理液の薬液濃度を検出し、他方の濃度センサが処理槽210内の処理液の薬液濃度を検出するようにしてもよい。
【0106】
上記の実施形態では、処理モジュールで使用される処理液がSC1である場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。該処理液は、薬液(第1成分)と置換液(第2成分)とを混合して生成される混合液であればよく、例えばSC2(HCl/H2O2/H2O)、DHF(HF/H2O)であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 基板処理装置
2 処理モジュール
210 処理槽
220 液供給部
241 循環流路
9 制御装置
W 基板