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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023023912
(43)【公開日】2023-02-16
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20230209BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20230209BHJP
【FI】
B60L15/20 S
B60L9/18 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129864
(22)【出願日】2021-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(72)【発明者】
【氏名】岡村 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博志
(72)【発明者】
【氏名】布施 空由
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松尾 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 亮太
(72)【発明者】
【氏名】古賀 亮佑
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA04
5H125CA02
5H125DD15
5H125EE08
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】機構特有のトルクの干渉を補償して制御構成の簡素化を図る。
【解決手段】左右輪5にトルク差を付与する差動機構3と、差動機構3に接続される二つの電動機2とを具備する車両1の制御装置10は、ドライバ操作に基づいて左右の車軸制御トルクをそれぞれ演算する演算部11と、演算部11で演算された左右の車軸制御トルクから、左右輪5の車輪速変化に起因して左右逆側に影響する干渉トルクを打ち消す非干渉化補償器12と、非干渉化補償器12により干渉が打ち消された左右の第二車軸制御トルクに基づいて各電動機2を制御する制御部13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右輪にトルク差を付与する差動機構と前記差動機構に接続される二つの電動機とを具備する車両の制御装置であって、
ドライバ操作に基づいて左右の車軸制御トルクをそれぞれ演算する演算部と、
前記演算部で演算された前記左右の車軸制御トルクから、前記左右輪の車輪速変化に起因して左右逆側に影響する干渉トルクを打ち消す非干渉化補償器と、
前記非干渉化補償器により干渉が打ち消された左右の第二車軸制御トルクに基づいて各々の前記電動機を制御する制御部と、を備えた
ことを特徴とする、車両の制御装置。
【請求項2】
前記非干渉化補償器は、前記左右輪に付与される前記トルク差によって生じる前記車輪速変化に起因した前記干渉トルクを打ち消す
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記車両の左右各々の車軸上流回転角加速度を用いたフィードバック制御を含むとともに前記ドライバ操作に基づく左右の車軸要求トルクどおりの軸トルクを実現する軸トルク制御により前記車軸制御トルクを演算する
ことを特徴とする、請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記軸トルク制御には、前記車軸上流回転角加速度から算出されるイナーシャトルクを前記第二車軸制御トルクから減じることで実際に発生している軸トルクである推定軸トルクを推定する軸トルクオブザーバが含まれ、
前記演算部は、前記フィードバック制御において前記車軸要求トルクと前記推定軸トルクとの偏差を用いる
ことを特徴とする、請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記非干渉化補償器は、前記車両の走行状態によって生じる前記車輪速変化に起因した前記干渉トルクを打ち消す
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記左右輪の車輪速を検出する車輪速センサのセンサ値、又は、各々の前記電動機の回転速度を検出する回転速度センサの二つのセンサ値に基づいて、前記車両の左右各々の車軸上流回転角加速度を演算し、
前記非干渉化補償器は、前記演算部で演算された前記車軸上流回転角加速度を用いて前記干渉トルクを演算し、当該干渉トルクの逆元を用いる
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記演算部は、前記左右輪の舵角及び車速に基づいて、前記車両の左右各々の車軸上流回転角加速度を演算し、
前記非干渉化補償器は、前記演算部で演算された前記車軸上流回転角加速度を用いて前記干渉トルクを演算し、当該干渉トルクの逆元を用いる
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の車両の制御装置。
【請求項8】
前記非干渉化補償器は、左右の車軸と、当該車軸よりも前記電動機から前記左右輪までの動力伝達経路の上流側に位置するプラントと、を含む対象プラントの動的要因を考慮して前記干渉トルクを打ち消す
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、左右輪にトルク差を付与する差動機構と、この差動機構に接続される二つの電動機とを具備する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、独立した二つの電動機を備えた電動車両において、各電動機と左右輪とを機械的に連結し、左右の電動機の出力トルクに差がある場合、そのトルク差を増幅して左右輪に伝達する差動機構(動力分配機構)が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。増幅機能を持つ差動機構を備えることで、大きなトルク差を左右輪に発生させることができるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4637136号
【特許文献2】特許第4907390号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、差動機構は、二つの電動機と左右輪とを機械的に連結する機構であることから、互いの回転(トルク)が干渉しうる。この干渉は、車両の振動を引き起こす可能性がある。例えば、車両の旋回状態に応じて、トルクの干渉による振動特性が変化する場合には、振動を抑制するための制御内容が複雑化してしまう。なお、このような課題は、差動機構が増幅機能を持っていない場合にも同様に生じうる。
【0005】
本件の車両の制御装置は、このような課題に鑑み案出されたもので、左右輪にトルク差を付与可能な差動機構と二つの電動機とを備えた車両において、機構特有のトルクの干渉を補償して制御構成の簡素化を図ることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)ここで開示する車両の制御装置は、左右輪にトルク差を付与する差動機構と前記差動機構に接続される二つの電動機とを具備する車両の制御装置であって、ドライバ操作に基づいて左右の車軸制御トルクをそれぞれ演算する演算部と、前記演算部で演算された前記左右の車軸制御トルクから、前記左右輪の車輪速変化に起因して左右逆側に影響する干渉トルクを打ち消す非干渉化補償器と、前記非干渉化補償器により干渉が打ち消された左右の第二車軸制御トルクに基づいて各々の前記電動機を制御する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
開示の車両の制御装置によれば、非干渉化補償器を実装することで、左右逆側から影響する干渉トルクが打ち消されるため、等価的に左右独立とみなして差動機構を扱うことができる。したがって、機構特有のトルクの干渉を制御で補償することができ、制振制御をはじめとしたさまざまな制御の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る制御装置が適用された車両の模式図である。
図2】一実施形態に係る車両に搭載される差動機構の構成例を説明するためのスケルトン図である。
図3図2に示す差動機構の速度線図である。
図4図1の制御装置の一例を示すブロック図である。
図5図4の制御装置が持つ非干渉化補償器で考慮される対象プラントのモデルを例示するブロック図である。
図6】変形例に係る非干渉化補償器を備えた制御装置の一例を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係る制御装置で実施されるフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態としての車両の制御装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。各実施形態の構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0010】
[1.車両構成]
図1は、本実施形態の制御装置10を備えた車両1の模式図である。車両1には、左右輪5(ここでは後輪)を駆動する二つのモータ2(電動機)が搭載される。以下の説明において、符号の末尾に付した「L」又は「R」のアルファベットは、当該符号にかかる要素の配設位置(車両1の左側又は右側にあること)を表す。例えば、5Lは左右輪5のうち車両の左側(Left)に位置する一方(すなわち左輪)を表し、5Rは右側(Right)に位置する他方(すなわち右輪)を表す。
【0011】
二つのモータ2は、車両1の前輪または後輪の少なくともいずれかを駆動する機能を持つものであり、四輪すべてを駆動する機能を持っていてもよい。以下、二つのモータ2のうち左側に配置される一方を左モータ2Lともいい、右側に配置される他方を右モータ2Rともいう。左モータ2L及び右モータ2Rは、互いに独立して作動し、互いに異なる大きさの駆動力を個別に出力しうる。なお、本実施形態の左モータ2L及び右モータ2Rは互いに定格出力が同一であって、「対」で設けられる。
【0012】
車両1は、左右輪5にトルク差を付与する動力分配機構3(差動機構)を備える。本実施形態の動力分配機構3は、二つのモータ2のトルク差を増幅してから左右輪5の各々にトルクを分配する機能を持つ。図2に示すように、動力分配機構3は、各モータ2の回転速度を減速する一対の減速機構3g(図2中の破線で囲んだギア列)を含む。減速機構3gは、モータ2から出力されるトルク(駆動力)を減速することでトルクを増大させる機構である。減速機構3gの減速比Gは、モータ2の出力特性や性能に応じて適宜設定される。本実施形態では、左右の減速機構3gの減速比Gが互いに同一である。なお、モータ2のトルク性能が十分に高い場合には、減速機構3gを省略してもよい。一対のモータ2は動力分配機構3に接続されており、モータ2の回転速度が減速されることでトルクが増幅されて左右輪5の各々に伝達(分配)される。
【0013】
図1及び図2に示すように、動力分配機構3は、ヨーコントロール機能(AYC機能)を持ったディファレンシャル機構であり、左輪5Lに連結される車軸4(左車軸4L)と右輪5Rに連結される車軸4(右車軸4R)との間に介装される。ヨーコントロール機能とは、左右輪5の駆動力(駆動トルク)の分担割合を積極的に制御することでヨーモーメントを調節し、車両1の姿勢を安定させる機能である。動力分配機構3の内部には、遊星歯車機構や差動歯車機構などが内蔵される。なお、一対のモータ2と動力分配機構3とを含む車両駆動装置は、DM-AYC(Dual-Motor Active Yaw Control)装置とも呼ばれる。
【0014】
ここで、図2を用いて、動力分配機構3の一例を説明する。図2に示す動力分配機構3は、減速比Gに設定された一対の減速機構3gと、所定の増幅率でトルク差を増幅する機能を持った遊星歯車機構とを有する。動力分配機構3は、車幅方向において、左右のモータ2L,2R間に配置されることが好ましい。
【0015】
遊星歯車機構は、サンギア3s1及びリングギア3rが入力要素であり、サンギア3s2及びキャリア3cが出力要素であるダブルピニオン遊星歯車である。サンギア3s1には左モータ2Lからのトルクが入力され、リングギア3rには右モータ2Rからのトルクが入力される。入力要素は後述する遊転ギア37と一体回転するよう設けられ、出力要素は出力軸33と一体回転するように設けられる。
【0016】
各減速機構3gは、いずれも平行に配置された三つの軸31,32,33に設けられた四つのギア34,35,36,37によって、各モータ2の回転速度を二段階で減速するよう構成される。以下、三つの軸を、各モータ2から左右輪5への動力伝達経路の上流側から順に、モータ軸31,カウンタ軸32,出力軸33と呼ぶ。これらの軸31~33は、動力分配機構3に二つずつ設けられる。左右に位置する二つのモータ軸31,二つのカウンタ軸32,二つの出力軸33は、それぞれが同様に(左右対称に)構成される。また、これらの軸31~33に設けられる減速機構3gも左右で同様に(左右対称に)構成される。
【0017】
モータ軸31は、左右のモータ2の各回転軸と同軸上に位置し、第一固定ギア34を有する。カウンタ軸32には、第一固定ギア34と噛合する第二固定ギア35と、第二固定ギア35よりも小径の第三固定ギア36とが設けられる。大径の第二固定ギア35が、小径の第三固定ギア36よりも車幅方向内側に配置される。出力軸33には、第三固定ギア36と噛合する遊転ギア37が設けられる。第一固定ギア34と第二固定ギア35とで、一段目の減速ギア列が構成され、第三固定ギア36と遊転ギア37とで、二段目の減速ギア列が構成される。なお、左側の遊転ギア37にはサンギア3s1が連結され、右側の遊転ギア37にはリングギア3rが連結される。
【0018】
減速機構3gの減速比Gは、モータ2から減速機構3gに伝達される回転角速度と、減速機構3gから動力分配機構3に伝達される回転角速度の比(あるいはギアの歯数の比)として表すことができる。また、図2中の符号b1,b2は、動力分配機構3に内蔵されるギアの構造によって定まる減速比(等価第二速度比)である。ここでは、左モータ2Lの駆動力が右輪5Rに伝達される経路の減速比を符号b1で表し、右モータ2Rの駆動力が左輪5Lに伝達される経路の減速比を符号b2で表す。
【0019】
図1に示すように、各モータ2L,2Rは、インバータ6(6L,6R)を介してバッテリ7に電気的に接続される。インバータ6は、バッテリ7側の直流回路の電力(直流電力)とモータ2側の交流回路の電力(交流電力)とを相互に変換する変換器(DC-ACインバータ)である。また、バッテリ7は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池であり、数百ボルトの高電圧直流電流を供給しうる二次電池である。モータ2の力行時には、直流電力がインバータ6で交流電力に変換されてモータ2に供給される。モータ2の発電時には、発電電力がインバータ6で直流電力に変換されてバッテリ7に充電される。
【0020】
制御装置10は、車両1に搭載される電子制御装置(ECU,Electronic Control Unit)の一つである。制御装置10には、例えばCPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサ(マイクロプロセッサ)やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory),不揮発メモリ等が実装される。プロセッサは、制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ群)等を内蔵する演算処理装置である。また、ROM,RAM及び不揮発メモリは、プログラムや作業中のデータが格納されるメモリ装置である。制御装置10で実施される判定や制御の内容は、ファームウェアやアプリケーションプログラムとしてメモリに記録,保存されており、プログラムの実行時にはプログラムの内容がメモリ空間内に展開されて、プロセッサによって実行される。
【0021】
制御装置10には、車両1の各種情報を取得するためのセンサが接続される。図1に示す例では、制御装置10には、アクセル開度センサ21,ブレーキセンサ22,舵角センサ23,車速センサ24,車輪速センサ25,モータ回転速度センサ26が接続される。制御装置10は、これらのセンサ21~26で検出された各種情報に基づいて各インバータ6を制御することで、各モータ2を制御する。
【0022】
アクセル開度センサ21はアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)やその踏み込み速度を検出するセンサである。ブレーキセンサ22は、ブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキペダルストローク)やその踏み込み速度を検出するセンサである。舵角センサ23は、左右輪5の舵角(実舵角またはステアリングの操舵角)を検出するセンサであり、車速センサ24は、車速(車体速)を検出するセンサである。
【0023】
車輪速センサ25(25L,25R)は、左輪5Lの車輪角速度ωL及び右輪5Rの車輪角速度ωRをそれぞれ検出するセンサであり、左輪5Lの近傍及び右輪5Rの近傍のそれぞれに個別に設けられる。モータ回転速度センサ26(26L,26R)は、左右のモータ2L,2Rの回転角速度ωLm,ωRmを検出するセンサ(例えばレゾルバ,ホールセンサ,エンコーダ)であり、左モータ2L及び右モータ2Rにそれぞれ個別に設けられる。
【0024】
ここで、上述した動力分配機構3のような二入力二出力機構では、各モータ2と左右輪5とが機械的に連結されているため、各モータ2から左右輪5への動力伝達経路上において左右逆側のトルクが干渉しうる。ここでいう左右逆側のトルク(以下「干渉トルク」という)とは、左右輪5の車輪速変化に起因して左右逆側に影響するトルクである。干渉トルクは、左右の車軸4L,4Rと、各車軸4よりも動力伝達経路の上流側に位置するプラント(モータ2,軸31~33,キャリア3cや種々のギア等)と、を含む対象プラントの動的要因(具体的には、慣性,粘性,剛性)や対象プラントに含まれる機器や部品の摩擦によって生じる。ここでは、対象プラントの慣性に着目し、具体例としての図2を挙げて、イナーシャトルクを打ち消すための構成について説明する。
【0025】
図2の動力分配機構3は、上述した通り遊星歯車機構を備えている。この動力分配機構3の入出力に関する速度線図を図3に示す。図中のb1,b2は上記の減速比(等価第二速度比)であり、TLm,TRmは各モータ2L,2Rに指示されるトルク(以下「モータ制御トルク」という)であり、TLds,TRdsは各車軸4L,4Rに伝達されるトルク(以下「車軸上流入力トルク」という)である。また、ωLm,ωRmはモータ回転角速度であり、ωLds,ωRdsは各車軸4L,4Rの回転角速度(車軸上流回転角速度)である。
図3から、トルクの関係式(式1)及び回転角速度の関係式(式2)が下記のように表現できる。
【0026】
【数1】
【0027】
また、モータ制御トルクTLm,TRmは、下記の式3のように、各モータ2のモータ駆動トルクTLDm,TRDmからモータイナーシャトルクTLIm,TRImを減じることで演算される。なお、モータイナーシャトルクTLIm,TRImは、下記の式4で表される。なお、Gは上記の減速比,Jmはモータイナーシャである。
【0028】
【数2】
【0029】
上記の式1~式4から、車軸4上のイナーシャを含む車軸上流入力トルクTLds,TRdsを計算すると、下記の式5となる。
【数3】
【0030】
上記式5の右辺第三項にあるように、左側の車軸上流入力トルクTLdsを表す式には右側の車軸回転角速度ωRmの微分値(すなわち車軸回転角加速度)が出現し、右側の車軸上流入力トルクTRdsを表す式には左側の車軸回転角速度ωLmの微分値(すなわち車軸回転角加速度)が出現する。このように、左右の車軸上流入力トルクTLds,TRdsには、左右逆側のイナーシャトルク(式5の右辺第三項)が干渉していることがわかる。
【0031】
このイナーシャトルクは、上記の干渉トルクの一つである。干渉トルクが存在することで、例えば、ドライバ要求を満たすトルクを車両1で実現することが難しくなったり、車両1に予期せぬ振動が発生したりするおそれがある。また、これに対処するための制御構成、すなわち、ドライバ要求を満たすトルクの実現や振動抑制のための制御構成が複雑化する可能性がある。そこで、本実施形態の制御装置10は、干渉トルクを制御で予め補償することで、等価的に左右独立とみなして動力分配機構3を扱うことを可能とし、制御構成の簡素化を図る。
【0032】
[2.制御構成]
図1に示すように、制御装置10は、演算部11,非干渉化補償器12及び制御部13を備える。これらの要素は、制御装置10の機能を便宜的に分類して示したものである。これらの要素は、独立したプログラムとして各々を記述することができるとともに、複数の要素を合体させた複合プログラムとして記述することもできる。各要素に相当するプログラムは、制御装置10のメモリや記憶装置に記憶され、プロセッサで実行される。
【0033】
演算部11は、ドライバ操作に基づいて左右の車軸制御トルクをそれぞれ演算する。非干渉化補償器12は、演算部11で演算された左右の車軸制御トルクから、上記の干渉トルクを打ち消す。そして、制御部13は、非干渉化補償器12により干渉が打ち消された左右の車軸制御トルク(以下「第二車軸制御トルク」という)に基づいて各モータ2を制御する。
【0034】
以下、各要素11~13について、図4図6を用いて詳述する。図4は制御装置10の一例を示すブロック図であり、図5は非干渉化補償器12で考慮される対象プラント40のモデルを例示するブロック図である。図6は、変形例に係る非干渉化補償器12′を備えた制御装置10′の一例を示すブロック図である。非干渉化補償器12,12′を含む制御装置10,10′の演算処理及び制御構成は、対象プラント40のモデルに基づき設計される。なお、図4の制御装置10と図6の制御装置10′とでは、非干渉化補償器12,12′以外の構成は同一のため、同一の構成については図4を参照して説明する。
【0035】
演算部11は、ドライバ操作として、例えば、アクセル開度センサ21,ブレーキセンサ22,舵角センサ23により検出された各種情報を用いる。本例の演算部11は、まず、図4中の左側の矢印で示す車軸要求トルクTL-ref,TR-refを演算し、次いで、車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refを演算する。前者の演算では、ドライバ操作に加えて車両1の車速が考慮されてもよい。演算部11は、例えば、総駆動トルクを演算し、左右輪5に付与するトルク差の目標値を求め、総駆動トルクと目標のトルク差とから左側の車軸要求トルクTL-refと右側の車軸要求トルクTR-refとを演算してもよい。なお、車軸要求トルクの算出手法は特に限られない。
【0036】
本例の演算部11は、車軸要求トルクTL-ref,TR-refを入力値とした軸トルク制御を実施することにより車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refを演算する。軸トルク制御は、ドライバ操作に基づく車軸要求トルクどおりの軸トルクを実現する制御であり、左右各々の車軸上流回転角加速度(ωLds,ωRdsの微分値)を用いたフィードバック制御を含む。図4に示すように、軸トルク制御には、左右それぞれに設けられた、一つのフィードフォワード制御(FF制御)と、一つのフィードバック制御(FB制御)と、軸トルクオブザーバとが含まれる。
【0037】
軸トルクオブザーバは、車軸上流回転角加速度から算出されるイナーシャトルクを第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refから減じることで実際に発生している軸トルク(推定軸トルク)を推定する推定器である。イナーシャトルクは、車軸上流回転角加速度に車軸上流モータ等価イナーシャを乗じることで算出される。なお、演算部11は、後述する三つの方法を用いて車軸上流回転角加速度を演算してよい。
【0038】
FF制御では、各車軸要求トルクTL-ref,TR-refが非干渉化補償器12,12′を考慮した値に変換される。FB制御では、左右それぞれにおいて、車軸要求トルクTL-ref,TR-refと推定軸トルクとの偏差に基づき、FF制御後の車軸制御トルクに加算するFB量が演算される。このように、本例の演算部11は、FB制御において車軸要求トルクTL-ref,TR-refと推定軸トルクとの偏差を用い、FF制御後の車軸制御トルクにFB量を加算することで車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refを演算する。なお、車軸制御トルクの演算手法はこれに限られず、例えば、軸トルク制御を省略して、ドライバ操作に基づく車軸要求トルクをそのまま車軸制御トルクとしてもよいし、ドライバ操作に基づく車軸要求トルクに何らかの係数を乗じたり何らかの数値を加減算したりすることで、車軸制御トルクを演算してもよい。
【0039】
非干渉化補償器12,12′は、左右逆側に影響する干渉トルクを打ち消す補償器である。図4に示す非干渉化補償器12は、左右輪5に付与されるトルク差によって生じる車輪速変化に起因した干渉トルクを打ち消す。また、図6に示す非干渉化補償器12′は、車両1の走行状態によって生じる車輪速変化に起因した干渉トルクを打ち消す補償器である。
【0040】
左右輪5にトルク差が付与されると、大きなトルクが付与された一方の車輪5が加速し、小さなトルクが付与された他方の車輪5が減速して、スムーズな旋回が可能となる。しかし、左右輪5の車輪速が変化する(一方が加速し、他方が減速する)と、車両1には、対象プラント40のイナーシャトルクの一部が、旋回を促進するトルク差を阻害する干渉トルクとして作用してしまう。図4の非干渉化補償器12は、左右輪5にトルク差が付与されたときに発生する干渉トルクを補償する。
【0041】
また、左右輪5にトルク差を付与していない場合(すなわち、トルクの制御を実施していない場合)であっても、旋回時には、旋回外輪が加速し、旋回内輪が減速する。しかし、この場合にも、左右輪5の車輪速が変化する(一方が加速し、他方が減速する)と、車両1には、対象プラント40のイナーシャトルクの一部が、旋回を阻害する干渉トルクとして作用してしまう。また、旋回時でなくても、例えば、一方の車輪5のみが滑りやすい路面に乗った場合や、片輪スリップをした場合なども、一方の車輪5のみが加速するため、左右輪5の車輪速が変化する。このように、車両1の走行状態によっても、左右輪5に車輪速変化が生じた場合には干渉トルクが発生する。図6の非干渉化補償器12′は、左右の車輪速差によって発生する干渉トルクを補償する。
【0042】
図4の非干渉化補償器12は、対象プラント40の動的要因を考慮して干渉トルクを打ち消すように設計される。対象プラント40は、上記の通り、左右の車軸4L,4Rと、各車軸4よりも動力伝達経路の上流側に位置するプラント(モータ2,軸31~33,キャリア3cや種々のギア等)と、を含む。対象プラント40では、図5のモデルに示すように、左右のモータ2の出力トルクTLM,TRMが車軸上流入力トルクTLds,TRdsへと変換されたのち、伝達関数Gp(s)により車軸捩れトルクTL,TRに変換されて、左右輪5に伝わる。
【0043】
伝達関数Gp(s)は、左右それぞれについて、車軸上流の運動方程式,車軸下流の運動方程式及び車軸捩れトルクの運動方程式を立て、それを解くことで導出される。伝達関数Gp(s)は、例えば下記の式6のように2×2の行列式で表現され、車軸捩れトルクTL,TRは、式7で表現される。式7から明らかなように、左側の車軸捩れトルクTLに右側の車軸上流入力トルクTRdsが影響し、右側の車軸捩れトルクTRに左側の車軸上流入力トルクTLdsが影響する。
【0044】
【数4】
【0045】
非干渉化補償器12は、上記の式7から左右逆側に影響する干渉トルク(ここでは、左右逆側の車軸上流入力トルクTRds,TLds)を打ち消すように、下記の式8の行列式で表現される。
【数5】
【0046】
非干渉化補償器12を実装することで、車軸捩れトルクTL,TRは、下記の式9で表される。式9から明らかなように、非干渉化補償器12によって車軸捩れトルクTL,TRから左右逆側に影響する干渉トルクが打ち消されている。
【数6】
【0047】
また、図6に示す非干渉化補償器12′も、対象プラント40の動的要因を考慮して干渉トルクを打ち消すように設計される。ただし、非干渉化補償器12′は、一つの第一補償器12Aと左右の第二補償器12Bとから構成される。第一補償器12Aは、図4の非干渉化補償器12と同様、例えば干渉トルクを打ち消す行列式として設計される。第二補償器12Bは、予め車輪速から干渉トルクを演算し、これを第一補償器12Aに出力する。これにより、左右の車輪速差によって発生する干渉トルクが補償される。
【0048】
左右の第二補償器12Bには、左右逆側の車軸上流回転角加速度が入力される。本変形例では、演算部11が車軸上流回転角加速度を演算する。演算方法としては、下記の三つの方法が挙げられ、いずれか一つを用いてもよいし、複数の方法を併用して平均値や中央値を採用してもよい。
第一の方法:左右の車輪速に基づき演算
第二の方法:左右のモータ2の回転速度に基づき演算
第三の方法:舵角及び車速に基づき演算
【0049】
演算部11は、第一の方法を用いる場合には、車輪速センサ25L,25Rで検出された左右の車輪角速度ωL,ωR(センサ値)を微分し、下記の式10に示すように、車輪角加速度を車軸上流回転角加速度として算出する。
【数7】
【0050】
演算部11は、第二の方法を用いる場合には、モータ回転速度センサ26L,26Rで検出された左右のモータ回転角速度ωLm,ωRm(センサ値)を微分し、モータ回転角加速度に基づき車軸上流回転角加速度を算出する。例えば、図2に示す動力分配機構3を備えた車両1の場合、演算部11は、下記の式11により車軸上流回転角加速度を算出する。
【0051】
【数8】
【0052】
演算部11は、第三の方法を用いる場合には、例えば舵角センサ23で検出された左右輪5の舵角(センサ値)、及び、車速センサ24で検出された車速(センサ値)に基づき車軸上流回転角加速度を算出する。あるいは、車速センサ24のセンサ値を用いる代わりに、左右の車輪速から車速を推定し、車速推定値を用いて車軸上流回転角加速度を算出してもよい。算出方法としては、例えば国際出願PCT/JP2021/013226に記載の第三の手法を採用可能である。
【0053】
非干渉化補償器12′の各第二補償器12Bは、演算部11で演算された左右逆側の車軸上流回転角加速度を用いて干渉トルクを演算し、第一補償器12Aに入力する。第一補償器12Aは、左右それぞれの干渉トルクの逆元を用いて、左右それぞれの車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refから干渉トルクを打ち消す。例えば、非干渉化補償器12′は、車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refに対し、干渉トルクと逆符号且つ同一の絶対値を持つ数値を加算したり、干渉トルクの逆数を乗じたりすることで、車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refに含まれる干渉トルクを打ち消し、第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refを制御部13に出力する。
【0054】
制御部13は、左側の第二車軸制御トルクT″L-refに基づき左モータ2Lを制御し、右側の第二車軸制御トルクT″R-refに基づき右モータ2Rを制御する。制御部13は、例えば、左右の第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refをそれぞれ、左右のモータ制御トルクTLm,TRmに変換し、各モータ2L,2Rを制御する。各第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refからは干渉トルクが打ち消されているため、等価的に左右独立とみなして動力分配機構3を扱うことが可能となり、制御構成を簡素化できる。
【0055】
[3.フローチャート]
図7は、上述した制御装置10で実施されるフローチャート例である。このフローチャートは、例えば車両1がReady ON状態になってからReady OFFになるまでの間や車両走行中(車速が0でないとき)など、所定条件下において所定の演算周期で繰り返し実行される。
【0056】
制御装置10は、まず各種センサ21~26で検出された車両情報を取得する(ステップS1)。次いで、演算部11において、左右の車軸要求トルクTL-ref,TR-refを算出し(ステップS2)、次いで、軸トルク制御を実施することで左右の車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refを求める(ステップS3)。次に、非干渉化補償器12,12′において、左右の車軸制御トルクから干渉トルクを打ち消すことで第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refを求める(ステップS4)。制御部13は、第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refからモータ制御トルクTLm,TRmを求め(ステップS5)、左右のモータ2L,2Rを制御し(ステップS6)、このフローチャートをリターンする。
【0057】
[4.作用,効果]
上述した制御装置10では、非干渉化補償器12,12′を実装することで、左右逆側から影響する干渉トルクが打ち消されるため、等価的に左右独立とみなして動力分配機構3を扱うことができる。このように、二つのモータ2L,2Rと左右輪5とを機械的に連結した動力分配機構3を備えた車両1において、機構特有のトルクの干渉を制御で補償することができるため、制振制御をはじめとしたさまざまな制御(例えばFF制御やFB制御)の構成を簡素化することができる。
【0058】
上記の動力分配機構3を備えることで、左右輪5にトルク差を付与することが可能であるが、トルク差が付与されると、旋回外輪の車輪速が加速し、旋回内輪の車輪速が減速することで車輪速変化が生じる。このように、左右輪5に付与されるトルク差によって生じる車輪速変化に起因して、干渉トルクが発生しても、図4に示す非干渉化補償器12を実装することで、干渉トルクを打ち消して、その影響をなくすことができる。このため、制御装置10内で実施されるFF制御やFB制御を、左右独立した機構とみなして制御可能となる仮想プラントを構築でき、制御構成を簡素化できる。
【0059】
上記の演算部11は、車軸上流回転角加速度を用いたFB制御を含む軸トルク制御を実施することで車軸制御トルクを演算するため、非干渉化補償器12,12′に入力される車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refの演算精度を高めることができる。
さらに、上記の演算部11は、軸トルクオブザーバにおいて第二車軸制御トルクT″L-ref,T″R-refを用いて実際に発生している推定軸トルクを推定し、FB制御において車軸要求トルクTL-ref,TR-refと推定軸トルクとの偏差を用いてFB制御を実施する。したがって、非干渉化補償器12,12′に入力される車軸制御トルクT′L-ref,T′R-refの演算精度をより高めることができる。
【0060】
また、図6に示す非干渉化補償器12′を実装することで、車両1の走行状態、例えば旋回時やスリップ時など、トルク差を付与したとき以外での車輪速変化に起因した干渉トルクも打ち消すことができる。これにより、非干渉化補償器12′の適用シーンを広げることができ、制御構成をより簡素化できる。
【0061】
上述した演算部11は三つの方法の何れかを用いて車軸上流回転角加速度を算出し、これを用いて干渉トルクを演算する。具体的には、第一の方法を用いる場合には、車輪速センサ25L,25Rで検出された左右の車輪角速度ωL,ωR(センサ値)を微分するだけでよいため、簡素な演算で車軸上流回転角加速度を算出できる。また、第二の方法を用いる場合には、二つのモータ回転速度センサ26L,26Rで検出された左右のモータ回転角速度ωLm,ωRm(センサ値)の双方に基づくため、精度よく車軸上流回転角加速度を算出することができ、高精度に干渉トルクを打ち消すことができる。
【0062】
また、車両1の旋回時には、第三の方法を用いて、舵角と車速とから車軸上流回転角加速度を求めることもできる。第一の方法又は第二の方法と第三の方法とを併用する場合には、複数の方法で演算した車軸上流回転角加速度の平均値や中央値を用いることで、より高精度に干渉トルクを打ち消すことができる。
なお、非干渉化補償器12,12′は、対象プラントの動的要因(慣性、粘性、剛性)を考慮して設計されるため、より高精度に干渉トルクを打ち消すことができる。
【0063】
[5.その他]
上述した制御装置10の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、上記の非干渉化補償器12,12′は、対象プラントの慣性に着目し、干渉トルクの一つであるイナーシャトルクを打ち消すように設計されているが、対象プラントの慣性のほか、剛性や粘性も考慮して、干渉トルクを打ち消す非干渉化補償器を設計してよい。また、非干渉化補償器は、車両1に搭載される二つの電動機及び差動装置の構成に基づいて設計すればよい。
【0064】
また、上述した車両1の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、動力分配機構3の構成は図2に示すものに限られず、様々な構成の遊星歯車機構や遊星歯車機構以外の機構を採用可能である。車両1は、二輪駆動(後輪駆動、前輪駆動)車両であってもよいし、四輪駆動車両であってもよい。四輪駆動車両であってもよい。四輪駆動車両である場合は、前後輪の少なくとも一方において、二つの電動機によって左右輪にトルク差を付与する差動機構が接続されていればよい。
【符号の説明】
【0065】
1 車両
2 モータ(電動機)
2L 左モータ
2R 右モータ
3 動力分配機構(差動機構)
5 左右輪,車輪
7 バッテリ
10 制御装置
11 演算部
12,12′ 非干渉化補償器
12A 第一補償器
12B 第二補償器
13 制御部
21 アクセル開度センサ
22 ブレーキセンサ
23 舵角センサ
24 車速センサ
25,25L,25R 車輪速センサ
26,26L,26R モータ回転速度センサ
40 対象プラント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7