(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002466
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】プラズマ処理方法、プラズマ処理装置及びプラズマ処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221227BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221227BHJP
C23C 16/30 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/31 C
C23C16/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092564
(22)【出願日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2021103419
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】米澤 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 翔
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
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5F004AA09
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5F045HA13
(57)【要約】
【課題】開口の寸法を制御可能なプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】本開示に係るプラズマ処理方法は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)第1の部分及び第2の部分を少なくとも含む第1の膜とを有する基板を準備する準備工程であって、前記第1の部分は前記フォトレジスト膜の上面に形成された部分であり、前記第2の部分は前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された部分であり、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、準備工程と、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)第1の部分及び第2の部分を少なくとも含む第1の膜とを有する基板を準備する準備工程であって、前記第1の部分は前記フォトレジスト膜の上面に形成された部分であり、前記第2の部分は前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された部分であり、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、準備工程と、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程と
を含むプラズマ処理方法。
【請求項2】
前記準備工程は、前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に第2の膜を形成する工程を含む、請求項1記載のプラズマ処理方法。
【請求項3】
前記準備工程は、
前記被エッチング膜と、前記フォトレジスト膜とを有する基板を準備する工程と、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部をトリミングする工程と、
トリミングされた前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成する工程と、
を含む、
請求項1に記載のプラズマ処理方法。
【請求項4】
前記トリミング工程の後に、前記フォトレジスト膜、前記第1の膜及び前記第2の膜をマスクとして、前記被エッチング膜をエッチングするエッチング工程をさらに含む、請求項2記載のプラズマ処理方法。
【請求項5】
前記フォトレジスト膜の前記側面は、凹んだ部分及び前記側面から前記開口に張り出した部分の少なくとも一方を有する、請求項1記載のプラズマ処理方法。
【請求項6】
前記張り出した部分は、前記フォトレジスト膜の前記側面から前記被エッチング膜の前記上面に亘って存する、請求項5記載のプラズマ処理方法。
【請求項7】
前記第1の膜は有機膜であり、前記第2の膜は無機膜である、請求項2記載のプラズマ処理方法。
【請求項8】
前記フォトレジスト膜は、Sn含有膜である、請求項1から7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【請求項9】
前記無機膜は、金属含有膜またはSi含有膜である、請求項7記載のプラズマ処理方法。
【請求項10】
前記金属含有膜は、Sn含有膜である請求項9記載のプラズマ処理方法。
【請求項11】
前記金属含有膜は、W含有膜、Ti含有膜またはAl含有膜である、請求項9記載のプラズマ処理方法。
【請求項12】
前記無機膜は、ホウ素、リン又は硫黄を含む非金属無機膜である、請求項7記載のプラズマ処理方法。
【請求項13】
前記トリミング工程は、所定の処理ガスから生成されたプラズマを用いて実行され、
前記生成されたプラズマに対する前記第1の膜のエッチングレートは、前記生成されたプラズマに対する前記第2の膜のエッチングレートよりも大きい、請求項1から7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【請求項14】
前記所定の処理ガスは、酸素含有ガス及びハロゲン含有ガスを含む、請求項13記載のプラズマ処理方法。
【請求項15】
前記第1の膜及び前記第2の膜は、プラズマCVDにより形成される、請求項2、4及び7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【請求項16】
前記第1の膜は、炭素含有ガスを含むガスから生成されたプラズマを用いて形成され、
前記第2の膜は、Si含有ガスを含むガスから生成されたプラズマを用いて形成される、
請求項15記載のプラズマ処理方法。
【請求項17】
前記炭素含有ガスは、CxHy(x、yは1以上の整数),CtHuFv(t、vは1以上の整数、uは0以上の整数)、CO、またはCO2である、請求項16記載のプラズマ処理方法。
【請求項18】
前記第1の膜の前記第1の部分の膜厚は、前記フォトレジスト膜の膜厚及び前記第2の膜の膜厚より厚い、請求項2、4及び7から12のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【請求項19】
前記エッチング工程は、前記被エッチング膜及び前記第2の膜をエッチングする、請求項4記載のプラズマ処理方法。
【請求項20】
前記被エッチング膜はSi含有膜であり、前記第2の膜はSi含有膜である、請求項19記載のプラズマ処理方法。
【請求項21】
前記トリミング工程及び前記エッチング工程は、同一のチャンバ内で実行される、請求項4、19又は20記載のプラズマ処理方法。
【請求項22】
前記トリミング工程は、
前記トリミング工程においてエッチングされた前記側面によって前記被エッチング膜上に規定される開口の寸法を測定する工程と、
前記測定された寸法に基づいて、前記トリミング工程においてエッチングされた前記側面上に第3の膜を形成する工程と、
前記第3の膜の一部をエッチングする工程と
をさらに含む、請求項1から21のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【請求項23】
前記第3の膜は、有機膜を含む、請求項22記載のプラズマ処理方法。
【請求項24】
前記第3の膜は、前記有機膜及び前記有機膜上に形成された無機膜を含む積層膜である、請求項23記載のプラズマ処理方法。
【請求項25】
前記トリミング工程は、前記開口の寸法を測定する工程、前記第3の膜を形成する工程及び前記第3の膜の一部をエッチングする工程を繰り返す工程を含む、請求項22から24のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【請求項26】
プラズマ処理チャンバ、前記プラズマ処理チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、
前記制御部は、
(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及び前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜と、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に形成された第2の膜とを有する基板を配置し、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングする、制御を実行する、
プラズマ処理装置。
【請求項27】
第1のチャンバを有する第1のプラズマ処理装置及び第2のチャンバを有する第2のプラズマ処理装置を備えたプラズマ処理システムであって、
前記第1のプラズマ処理装置は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを有する基板を前記第1のチャンバ内に配置し、前記第1のチャンバ内において、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及び前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜を形成し、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に第2の膜を形成するように構成されており、
前記第2のプラズマ処理装置は、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするように構成されている、プラズマ処理システム。
【請求項28】
(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを準備する工程と、
前記開口の寸法に対する前記フォトレジスト膜の膜厚の比率を求める工程と、
前記比率が1以上2未満である場合に前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成する工程と、
前記比率が1未満である場合に、前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成し、また、前記第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程と
を含み、
前記第1の膜は、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分と前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分とを少なくとも含み、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚く
前記第2の膜は、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に形成された、
プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理方法、プラズマ処理装置及びプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パターンの制御性を改善する技術として、特許文献1に記載された基板を処理する方法および装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、開口の寸法を制御可能なプラズマ処理方法、プラズマ処理装置及びプラズマ処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)第1の部分及び第2の部分を少なくとも含む第1の膜とを有する基板を準備する準備工程であって、前記第1の部分は前記フォトレジスト膜の上面に形成された部分であり、前記第2の部分は前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された部分であり、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、準備工程と、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程とを含む。
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバ、前記プラズマ処理チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、前記制御部は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及び前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜と、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に形成された第2の膜とを有する基板を配置し、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングする、制御を実行する。
【0007】
本開示の一つの例示的実施形態において、プラズマ処理システムが提供される。プラズマ処理システムは、第1のチャンバを有する第1のプラズマ処理装置及び第2のチャンバを有する第2のプラズマ処理装置を備えたプラズマ処理システムであって、前記第1のプラズマ処理装置は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを有する基板を前記第1のチャンバ内に配置し、前記第1のチャンバ内において、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及び前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜を形成し、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に第2の膜を形成するように構成されており、前記第2のプラズマ処理装置は、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするように構成されている。
【0008】
本開示の一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを準備する工程と、前記開口の寸法に対する前記フォトレジスト膜の膜厚の比率を求める工程と、前記比率が1以上2未満である場合に前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成する工程と、前記比率が1未満である場合に、前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成し、また、前記第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程とを含み、前記第1の膜は、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分と前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分とを少なくとも含み、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚く前記第2の膜は、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に形成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、開口の寸法を制御可能なプラズマ処理方法、プラズマ処理装置及びプラズマ処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置1を概略的に示す図である。
【
図2】1つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSを概略的に示す図である。
【
図3】本処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5A】基板Wの断面構造の一例を、本処理方法のフローに沿って模式的に示した図である。
【
図5B】基板Wの断面構造の一例を、本処理方法のフローに沿って模式的に示した図である。
【
図5C】基板Wの断面構造の一例を、本処理方法のフローに沿って模式的に示した図である。
【
図5D】基板Wの断面構造の一例を、本処理方法のフローに沿って模式的に示した図である。
【
図5E】基板Wの断面構造の一例を、本処理方法のフローに沿って模式的に示した図である。
【
図6】本処理方法の変形例を示すフローチャートである。
【
図7】本処理方法の変形例を示すフローチャートである。
【
図8】本処理方法の変形例を示すフローチャートである。
【
図9】本処理方法の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0012】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)被エッチング膜と、(b)被エッチング膜の上面に形成されており、被エッチング膜の上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)第1の部分及び第2の部分を少なくとも含む第1の膜とを有する基板を準備する準備工程であって、前記第1の部分はフォトレジスト膜の上面に形成された部分であり、前記第2の部分はフォトレジスト膜の側面に形成された部分であり、第1の部分は第2の部分より膜厚が厚い、準備工程と、フォトレジスト膜の側面の少なくとも一部、及び、第1の膜の第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程とを含む。
【0013】
一つの例示的実施形態において、準備工程は、第1の膜のうち少なくとも第1の部分上に第2の膜を形成する工程を含む。
【0014】
一つの例示的実施形態において、トリミング工程の後に、フォトレジスト膜、第1の膜及び第2の膜をマスクとして、被エッチング膜をエッチングするエッチング工程をさらに含む。
【0015】
一つの例示的実施形態において、フォトレジスト膜の側面は、凹んだ部分及び側面から開口に張り出した部分の少なくとも一方を有する。
【0016】
一つの例示的実施形態において、張り出した部分は、フォトレジスト膜の側面から被エッチング膜の上面に亘って存する。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1の膜は有機膜であり、第2の膜は無機膜である。
【0018】
一つの例示的実施形態において、フォトレジスト膜は、Sn含有膜である。
【0019】
一つの例示的実施形態において、無機膜は、金属含有膜またはSi含有膜である。
【0020】
一つの例示的実施形態において、金属含有膜は、Sn含有膜である。
【0021】
一つの例示的実施形態において、金属含有膜は、W含有膜、Ti含有膜またはAl含有膜である。
【0022】
一つの例示的実施形態において、無機膜は、ホウ素、リン又は硫黄を含む非金属無機膜である。
【0023】
一つの例示的実施形態において、トリミング工程は、所定の処理ガスから生成されたプラズマを用いて実行され、生成されたプラズマに対する第1の膜のエッチングレートは、生成されたプラズマに対する第2の膜のエッチングレートよりも大きい。
【0024】
一つの例示的実施形態において、所定の処理ガスは、酸素含有ガス及びハロゲン含有ガスを含む。
【0025】
一つの例示的実施形態において、第1の膜及び第2の膜は、プラズマCVDにより形成される。
【0026】
一つの例示的実施形態において、第1の膜は、炭素含有ガスを含むガスから生成されたプラズマを用いて形成され、第2の膜は、Si含有ガスを含むガスから生成されたプラズマを用いて形成される。
【0027】
一つの例示的実施形態において、炭素含有ガスは、CxHy(x、yは1以上の整数),CtHuFv(t、vは1以上の整数、uは0以上の整数)、CO、またはCO2である。
【0028】
一つの例示的実施形態において、第1の膜の第1の部分の膜厚は、フォトレジスト膜の膜厚及び第2の膜の膜厚より厚い。
【0029】
一つの例示的実施形態において、エッチング工程は、被エッチング膜及び第2の膜をエッチングする。
【0030】
一つの例示的実施形態において、被エッチング膜はSi含有膜であり、第2の膜はSi含有膜である。
【0031】
一つの例示的実施形態において、トリミング工程及びエッチング工程は、同一のチャンバ内で実行される。
【0032】
一つの例示的実施形態において、トリミング工程は、トリミング工程においてエッチングされた側面によって被エッチング膜上に規定される開口の寸法を測定する工程と、測定された寸法に基づいて、トリミング工程においてエッチングされた側面上に第3の膜を形成する工程と、第3の膜の一部をエッチングする工程とをさらに含む。
【0033】
一つの例示的実施形態において、第3の膜は、有機膜を含む。
【0034】
一つの例示的実施形態において、第3の膜は、有機膜及び有機膜上に形成された無機膜を含む積層膜である。
【0035】
一つの例示的実施形態において、トリミング工程は、開口の寸法を測定する工程、第3の膜を形成する工程及び第3の膜の一部をエッチングする工程を繰り返す工程を含む。
【0036】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマ処理チャンバ、プラズマ処理チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、制御部は、(a)被エッチング膜と、(b)被エッチング膜の上面に形成されており、被エッチング膜の上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及びフォトレジスト膜の側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、第1の部分は第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜と、(d)第1の膜のうち少なくとも第1の部分上に形成された第2の膜とを有する基板を配置し、フォトレジスト膜の側面の少なくとも一部、及び、第1の膜の第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングする、制御を実行する。
【0037】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理システムが提供される。プラズマ処理システムは、第1のチャンバを有する第1のプラズマ処理装置及び第2のチャンバを有する第2のプラズマ処理装置を備えたプラズマ処理システムであって、第1のプラズマ処理装置は、(a)被エッチング膜と、(b)被エッチング膜の上面に形成されており、被エッチング膜の上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを有する基板を第1のチャンバ内に配置し、第1のチャンバ内において、(c)フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及びフォトレジスト膜の側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、第1の部分は第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜を形成し、(d)第1の膜のうち少なくとも第1の部分上に第2の膜を形成するように構成されており、第2のプラズマ処理装置は、フォトレジスト膜の側面の少なくとも一部、及び、第1の膜の第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするように構成されている。
【0038】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理方法が提供される。プラズマ処理方法は、(a)被エッチング膜と、(b)被エッチング膜の上面に形成されており、被エッチング膜の上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを準備する工程と、開口の寸法に対するフォトレジスト膜の膜厚の比率を求める工程と、比率が1以上2未満である場合にフォトレジスト膜上に第1の膜を形成する工程と、比率が1未満である場合に、フォトレジスト膜上に第1の膜を形成し、また、第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、フォトレジスト膜の側面の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程とを含み、第1の膜は、(c)フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分とフォトレジスト膜の側面に形成された第2の部分とを少なくとも含み、第1の部分は第2の部分より膜厚が厚く、第2の膜は、(d)第1の膜のうち少なくとも第1の部分上に形成される。
【0039】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0040】
<プラズマ処理装置1の構成>
図1は、1つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置1を概略的に示す図である。1つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法(以下「本処理方法」という)は、プラズマ処理装置1を用いて実行されてよい。
【0041】
プラズマ処理装置1は、誘導結合型プラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11、ガス導入部及びアンテナ14を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。アンテナ14は、プラズマ処理チャンバ10上又はその上方(すなわち誘電体窓101上又はその上方)に配置される。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101、プラズマ処理チャンバ10の側壁102及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0042】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0043】
ガス導入部は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。一実施形態において、ガス導入部は、中央ガス注入部(CGI:Center Gas Injector)13を含む。中央ガス注入部13は、基板支持部11の上方に配置され、誘電体窓101に形成された中央開口部に取り付けられる。中央ガス注入部13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス流路13b、及び少なくとも1つのガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス流路13bを通過してガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。なお、ガス導入部は、中央ガス注入部13に加えて又はその代わりに、側壁102に形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0044】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してガス導入部13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0045】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及びアンテナ14に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオンを基板Wに引き込むことができる。
【0046】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してアンテナ14に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、アンテナ14に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0047】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、バイアスDC生成部32aを含む。一実施形態において、バイアスDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、バイアスDC信号を生成するように構成される。生成されたバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、バイアスDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。種々の実施形態において、バイアスDC信号は、パルス化されてもよい。なお、バイアスDC生成部32aは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0048】
アンテナ14は、1又は複数のコイルを含む。一実施形態において、アンテナ14は、同軸上に配置された外側コイル及び内側コイルを含んでもよい。この場合、RF電源31は、外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、外側コイル及び内側コイルのうちいずれか一方に接続されてもよい。前者の場合、同一のRF生成部が外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、別個のRF生成部が外側コイル及び内側コイルに別々に接続されてもよい。
【0049】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0050】
制御部50は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部50は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部50の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部50は、例えばコンピュータ50aを含んでもよい。コンピュータ50aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)50a1、記憶部50a2、及び通信インターフェース50a3を含んでもよい。処理部50a1は、記憶部50a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部50a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース50a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0051】
<基板処理システムPSの構成>
図2は、1つの例示的実施形態に係る基板処理システムPSを概略的に示す図である。本処理方法は、基板処理システムPSを用いて実行されてもよい。
【0052】
基板処理システムPSは、基板処理室PM1~PM6(以下、総称して「基板処理モジュールPM」ともいう。)と、搬送モジュールTMと、ロードロックモジュールLLM1及びLLM2(以下、総称して「ロードロックモジュールLLM」ともいう。)と、ローダーモジュールLM、ロードポートLP1からLP3(以下、総称して「ロードポートLP」ともいう。)とを有する。制御部CTは、基板処理システムPSの各構成を制御して、基板Wに所定の処理を実行する。
【0053】
基板処理モジュールPMは、その内部において、基板Wに対して、エッチング処理、トリミング処理、成膜処理、アニール処理、ドーピング処理、リソグラフィ処理、クリーニング処理、アッシング処理等の処理を実行する。基板処理モジュールPMの一部は、測定モジュールであってよく、基板W上に形成された膜の膜厚や、基板W上に形成されたパターンの寸法等を例えば光学的手法を用いて測定してもよい。
図1に示すプラズマ処理装置1は、基板処理モジュールPMの一例である。
【0054】
搬送モジュールTMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、基板処理モジュールPM間又は基板処理モジュールPMとロードロックモジュールLLMとの間で、基板Wを搬送する。基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、搬送モジュールTMに隣接して配置されている。搬送モジュールTMと基板処理モジュールPM及びロードロックモジュールLLMは、開閉可能なゲートバルブによって空間的に隔離又は連結される。
【0055】
ロードロックモジュールLLM1及びLLM2は、搬送モジュールTMとローダーモジュールLMとの間に設けられている。ロードロックモジュールLLMは、その内部の圧力を、大気圧又は真空に切り替えることができる。ロードロックモジュールLLMは、大気圧であるローダーモジュールLMから真空である搬送モジュールTMへ基板Wを搬送し、また、真空である搬送モジュールTMから大気圧であるローダーモジュールLMへ搬送する。
【0056】
ローダーモジュールLMは、基板Wを搬送する搬送装置を有し、ロードロックモジュールLLMとロードボードLPとの間で基板Wを搬送する。ロードポートLP内の内部には、例えば25枚の基板Wが収納可能なFOUP(Front Opening Unified Pod)または空のFOUPが載置できる。ローダーモジュールLMは、ロードポートLP内のFOUPから基板Wを取り出して、ロードロックモジュールLLMに搬送する。また、ローダーモジュールLMは、ロードロックモジュールLLMから基板Wを取り出して、ロードボードLP内のFOUPに搬送する。
【0057】
制御部CTは、基板処理システムPSの各構成を制御して、基板Wに所定の処理を実行する。制御部CTは、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件等が設定されたレシピを格納しており、当該レシピに従って、基板Wに所定の処理を実行するように、基板処理システムPSの各構成を制御する。制御部CTは、
図1に示すプラズマ処理装置1の制御部50の一部又は全部の機能を兼ねてもよい。
【0058】
<本処理方法の一例>
図3は、本処理方法の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、本処理方法は、基板を準備する工程(準備工程:工程ST1)と、フォトレジスト膜をトリミングする工程(トリミング工程:工程ST2)と、被エッチング膜をエッチングする工程(エッチング工程:工程ST3)とを含む。なお、各工程は、基板処理システムPS内における任意の基板処理モジュールPMで実行されてよい。また、複数の工程が、1つの基板処理モジュールPM内で連続して実行されてよい。また、工程ST1ではパターニングしたレジストが形成された基板が提供されてもよい。すなわち、工程ST11及びST12が基板処理システムPS内の1以上の基板処理モジュールPMで実行された後に、工程ST13及びST14が当該1以上の基板処理モジュールとは異なる他の基板処理モジュールPMで実行されてよい。また、工程ST11及び/又はST12は、基板処理システムPSの外部で実行されてよい。
【0059】
図4A及び
図4Bは、基板Wの一例を示す図である。
図4Aは、基板Wの上面図である。また、
図4Bは、基板WのAA’断面図である。
図4A及び
図4Bは、後述する準備工程の一部における基板Wを示している。基板Wは、下地膜UF、被エッチング膜EF及びフォトレジスト膜PRが積層された構造を有する。フォトレジスト膜PRには、所定のパターンが形成されている。
図4Aに示すように、本例のフォトレジスト膜PRは、基板Wの平面視(基板Wを
図4Bの上から下に向かう方向に見た場合)において複数の開口OPが一定の間隔で繰り返し配列されたパターンを有する。
【0060】
図5は、基板Wの断面構造の一例を、本処理方法のフローに沿って模式的に示した図である。
図5Aが工程ST11及び工程ST12、
図5Bが工程ST13、
図5Cが工程ST14、
図5Dが工程ST2、
図5Eが工程ST3でそれぞれ処理された後の基板Wの断面構造を示す。
【0061】
以下、各図を参照しつつ、
図3に示す本処理方法の一例を説明する。各工程における処理は、基板処理システムPSの基板処理モジュールPM(
図2参照)において実行されてよい。各工程におけるエッチング処理は、
図1に示すプラズマ処理装置1において実行されてよい。本処理方法の1つ工程における処理が基板処理モジュールPMの1つのモジュールで実行され、本処理方法の他の工程における処理が基板処理モジュールPMの他のモジュールで実行されてよい。本処理方法の複数の工程における処理が、基板処理モジュールPMの1つのモジュールにおいて連続して実行されてよい。
【0062】
工程ST1において、基板Wを準備する。工程ST1は、被エッチング膜EFを形成する工程(工程ST11)、フォトレジスト膜PRを形成する工程(工程ST12)、第1の膜TD1を形成する工程(工程ST13)、及び、第2の膜を形成する工程(工程ST14)を有する。
【0063】
工程ST11において、下地膜UF上に、被エッチング膜EFが形成される(
図5A)。下地膜UFは、例えば、シリコンウェハ上に形成された(シリコンウェハの表面に形成される場合及びシリコンウェハ上に形成された他の膜の上に形成される場合の双方を含む。)スピンオンカーボン膜(SOC)、アモルファスカーボン膜等の有機膜である。被エッチング膜EFは、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、SiARC、SiON等の誘電膜である。下地膜UF及び/又は被エッチング膜EFは、CVD法、ALD法、スピンコート法等により形成されてよい。下地膜UF及び/又は被エッチング膜EFは、平坦な膜であってよく、また、凹凸を有する膜であってもよい。
【0064】
工程ST12において、被エッチング膜EF上に、フォトレジスト膜PRが形成される(
図5A参照)。面TS、上面TSから連続する側面SS、及び、被エッチング膜EFと接する下面を有する。また、フォトレジスト膜PRは、少なくとも1つの開口OPを有する。開口OPは、フォトレジスト膜PRの側面SSによって規定される。開口OPは、側面SSに囲まれた、被エッチング膜EF上の空間である。すなわち、
図5Aにおいて、被エッチング膜EFの上面は、フォトレジスト膜PRフォトレジスト膜PRは、上によって覆われた部分と、開口OPの底面BSにおいて露出した部分とを有する。
【0065】
フォトレジスト膜PRの側面SSは、当該側面SSから開口OPに張り出した部分SCを有する。部分SCは、例えば、フォトレジスト膜PRの側面SSから被エッチング膜EFの上面の少なくとも一部に延びる、当該側面SSから張り出した部分である。部分SCは、例えば、開口OPの底面BSの周囲又は周辺に存在する、フォトレジスト膜PRのスカムであってよい。当該スカムは、例えば、フォトレジスト膜PRに開口OPを形成するプロセス(例えば現像プロセス)において除去しきれなかったレジストの残りである。また、部分SCは、側面SSのうち底面BSから離れた領域において、側面SS上から開口OPに向かって突出した突部であってよい。当該突部は、側面SSにおいてその周囲又は周辺よりも開口OPに張り出した部分である。当該突部は、フォトレジスト膜PRのスカムであってよい。なお、側面SSは、凹みや亀裂(ラインパターン等のパターンの途切れを含む)等を有してよい。
【0066】
開口OPは、基板Wの平面視(基板Wを
図5Aの上から下に向かう方向に見た場合)において、任意の形状を有してよい。当該形状は、例えば、円、楕円、矩形、線やこれらの1種類以上を組み合わせた形状であってよい。フォトレジスト膜PRは、複数の開口OPを有してもよい。複数の開口OPは、
図4Aに示すように、それぞれ穴形状を有し、一定の間隔で配列されたアレイパターンを構成してもよい。また、複数の開口OPは、それぞれ線形状を有し、一定の間隔で並んでライン&スペースのパターンを構成してもよい。
【0067】
フォトレジスト膜PR、被エッチング膜EF及び下地膜UFのうちの2以上の積層膜が、多層レジストとして機能してもよい。例えば、基板Wが下地膜UFの下に他の膜をさらに有し、フォトレジスト膜PR、被エッチング膜EF及び下地膜UFの積層膜を多層レジストとして、当該他の膜をエッチングしてよい。多層レジスト膜は、例えば、有機膜やその他の誘電膜、無機膜を含んでよい。有機膜は、例えば、スピンオンカーボン膜(SOC)、アモルファスカーボンである。誘電膜は、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、SiARC、SiONである。フォトレジスト膜PRは、金属含有膜MFは、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、チタン(Ti)及びジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含有する膜であってよく、一例ではSn含有膜であってよい。フォトレジスト膜PRは、CVD法、MLD法又はALD法などの気相堆積法により形成されてもよく、スピンコート法等の液相堆積法により形成されてもよい。開口OPは、フォトレジスト膜PRにおいてリソグラフィで形成されてよく、また、フォトレジスト膜PRをエッチングして形成されてよい。一例では、まず、被エッチング膜EF上に、スズ等の金属を含有するフォトレジスト膜を形成する。そして、露光マスクを用いて、当該フォトレジスト膜に選択的に光(例えば、EUVエキシマレーザ等)を照射して、当該フォトレジスト膜に露光マスクに応じた形状のパターンを露光する。露光前に、フォトレジスト膜から溶媒を除去する露光前ベークを行ってもよく、露光後に、フォトレジスト膜を硬化させる露光後ベークを行ってもよい。そして、露光後のフォトレジスト膜を現像する。現像は、熱やプラズマ等を利用するドライ現像で行ってもよく、現像液を利用するウェット現像で行ってもよい。例えば、プラズマを利用して現像する場合、露光後のレジスト膜をフッ化水素などのハロゲン化合物を含むガスから生成したプラズマに暴露することによって行ってよい。以上により、開口OPを有するフォトレジスト膜PRが形成されてよい。
【0068】
工程ST13において、第1の膜TD1が形成される(
図5B参照)。第1の膜TD1は、フォトレジスト膜PRの上面TS上に形成された部分、及び、フォトレジスト膜PRの側面SS上に形成された部分を少なくとも有するように形成される。また、第1の膜TD1は、開口OPの底面BSに露出した被エッチング膜EF上にも形成されてよい。第1の膜TD1のうち、上面TS上に形成された部分の膜厚は、側面SS上に形成された部分の膜厚及び底面BS上に形成された部分の膜厚よりも厚くてよい。また、第1の膜TD1のうち、側面SS上に形成された部分の表面は、フォトレジスト膜PRの側面SSよりも表面粗さ(凹凸の数や大きさを含む)が少なくてよい。
【0069】
また、第1の膜TD1のうち、フォトレジスト膜PRの上面TS上に形成された部分は、基板Wの平面視において、上面TSから開口OPに張り出すように形成されてよい。当該部分は、例えば、基板Wの平面視において、部分SCの一部又は全部と重なるように形成される。また、当該部分の表面は、曲面であってよく、また、平面であってよい。
【0070】
第1の膜TD1は、例えば、有機膜である。第1の膜TD1は、例えば、炭化水素(CxHy)系のガスを含む処理ガスから生成したプラズマを用いたPECVDにより形成される(x及びyは正の数)。当該処理ガスは、CtHuFv系を含むガスであってもよい(t及びvは正の数。uは0以上の数)。一例として、処理ガスは、CH3FやC4F6を含むガスであってよい。また、処理ガスは、N2等の不活性ガスを更に含んでもよい。第1の膜TD1は、成膜条件を調整することにより、上面TSにおける膜厚が、側面SS及び底面BSにおける膜厚よりも厚くなるように形成される。なお、第1の膜TD1は、例えばSi含有膜等の無機膜であってもよい。
【0071】
工程ST14において、第2の膜TD2が形成される(
図5C参照)。第2の膜TD2は、少なくとも、第1の膜TD1のうち上面TS上に形成された部分の上に形成される。第2の膜TD2は、第1の膜TD1のうち上面TS上に形成された部分の上に選択的に形成されてよい。また、第2の膜TD2は、第1の膜TD1のうち側面SS及び底面BS上に形成された部分の上に、さらに形成されてもよい。当該部分の表面は、曲面であってよく、また、平面であってよい。
【0072】
第2の膜TD2は、例えば、Si含有膜等の無機膜である。第2の膜TD2は、Siを含むガスから生成したプラズマを用いたPECVDにより形成される。第2の膜TD2は、成膜条件を調整することにより、第1の膜TD1のうち上面TS上に形成された部分の上に選択的に形成される。また、第2の膜TD2は、一例として、ホウ素、リン、または硫黄等を含む非金属無機膜、又は、スズ、タングステン、チタン、またはアルミニウム等を含む金属膜であってもよい。
【0073】
工程ST2において、フォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする(
図5D参照)。部分SCのトリミングは、1つ以上の処理ガスから生成したプラズマを用いて、第1の膜TD1の一部、第2の膜TD2の一部、及び、フォトレジスト膜PRの部分SCを異方性エッチングすることにより行われてよい。また、第1の膜TD1の一部及び第2の膜TD2の一部は、異方性エッチングされるとともに、等方的にエッチングされてもよい。当該1つ以上の処理ガスは、当該プラズマに対するフォトレジスト膜PR及び/又は第1の膜TD1のエッチングレートが、当該プラズマに対する第2の膜TD2のエッチングレートよりも大きくなるような1つ以上のガスである。例えば、第1の膜TD1が有機膜であり、第2の膜TD2がSi含有膜である場合、当該1つ以上のガスは、酸素含有ガス及びハロゲン含有ガスを含んでよい。
【0074】
なお、工程ST2において、フォトレジスト膜PRをトリミングした後に、少なくともフォトレジスト膜PRの側壁SS上に、所定の膜をさらに形成してもよい。そして、側壁SS上に当該所定の膜が形成されたフォトレジスト膜PRをさらにトリミングしてもよい。これにより、第1の膜TD1及び/又は第2の膜TD2の厚さが不足した場合であっても、フォトレジスト膜PRを適切にトリミングすることができる。一例では、工程ST2においてフォトレジスト膜PRをトリミングした後に、フォトレジスト膜PRに形成された開口OPの寸法(径)を測定し、測定された寸法に基づいて、少なくともフォトレジスト膜PRの側壁SS上に、所定の膜を形成してよい。当該所定の膜は、開口OPを規定する、第1の膜TD1の側壁及び/又は第2の膜TD2の側壁にも形成されてよい。また、当該所定の膜は、第2の膜TD2の上面にも形成されてよい。当該所定の膜は、第1の膜TD1と同じ材料又は第2の膜TD2と同じ材料から形成されてよい。また、当該所定の膜は、第1の膜TD1と同じ材料で形成された膜と第2の膜TD2と同じ材料から形成された膜との積層膜であってよい。当該所定の膜の膜厚は、フォトレジスト膜PRに形成された開口OPの寸法(径)に基づいて設定されてよい。
【0075】
なお、開口OPの寸法は、光学的な測定装置で測定されてよい。当該測定装置は、
図2に示す基板処理モジュールPMの1つであってよい。一例として、本処理方法が複数の基板W(例えば25枚。)を1つの単位(以下「ロット」ともいう。)として処理する場合、ロットに含まれる基板ごとに開口OPの寸法が測定されてよい。また、1つのロットに含まれる特定の基板について、開口OPの寸法を測定し、当該測定値を、当該特定の基板及び当該1つのロットに含まれる他の基板における開口の寸法としてよい。1つのロットに含まれる複数の基板のうち、測定対象となる基板は、当該ロットで(a)最初に本処理方法が実行される基板、(b)最後に本処理方法が実行される基板、又は、(c)最初と最後以外に本処理方法が実行される基板のいずれであってもよい。
【0076】
工程ST3において、被エッチング膜EFをエッチングする(
図5E参照)。被エッチング膜EFは、フォトレジスト膜PR、第1の膜TD1及び第2の膜TD2をマスクとして、異方性エッチングされる。すなわち、被エッチング膜EFは、開口OPの底面BSにおいて露出した部分から、開口OPの深さ方向に異方性エッチングされる。
【0077】
被エッチング膜EFは、第1の膜TD1及びフォトレジスト膜PRに対して、被エッチング膜EFを選択的にエッチングする方法でエッチングされてよい。被エッチング膜EFがシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、SiON等のSi含有膜である場合、被エッチング膜EFのエッチングで用いられる処理ガスは、フルオロカーボンガス及び/又はハイドロフルオロカーボンガスであってよい。
【0078】
次に、本処理方法の実施例と参考例について説明する。本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0079】
<実施例>
実施例における基板Wは、SOC膜(下地膜UF)、SiON膜(被エッチング膜EF)及びフォトレジスト膜(フォトレジスト膜PR)の積層構造の上に、有機膜(第1の膜TD1)及びSi含有膜(第2の膜TD2)がこの順に積層された構造を有する(
図5C参照)。フォトレジスト膜の開口パターンは、参考例と同様に、
図4Aに示すホールパターンである。
【0080】
実施例では、CH4及びArの混合ガスを用いたPECVDで有機膜(第1の膜TD1)を形成した。また、SiCl4、H2及びArの混合ガスを用いたPECVDでSi含有膜(第2の膜TD2)を形成した。そして、有機膜及びSi含有膜の形成後に、O2、HBr及びArの混合ガスを用いたプラズマエッチングで、有機膜の一部、Si含有膜の一部及びフォトレジスト膜の一部をエッチングした。そして、有機膜、Si含有及びフォトレジスト膜をマスクとして、SiON膜をエッチングした。なお、CHF系ガス、NF3、N2及びArの混合ガスから生成されたプラズマによってSiON膜をエッチングした。
【0081】
<参考例>
参考例における基板Wは、実施例と同じく、SOC膜(下地膜UF)、SiON膜(被エッチング膜EF)、及び、フォトレジスト膜(フォトレジスト膜PR)がこの順に積層された構造を有する(
図5A参照)。フォトレジスト膜の開口パターンは、
図4Aに示すホールパターンである。参考例では、フォトレジスト膜に開口パターンを形成した後、当該フォトレジスト膜をマスクとして、SiON膜をエッチングした。なお、CHF系ガス、NF
3、N
2及びArの混合ガスから生成されたプラズマによってSiON膜をエッチングした。
【0082】
実施例及び参考例における開口OPのCD(Critical Dimension:寸法)及びLCDU(Local Critical Dimension Uniformity:CDの3σ)の測定結果を表1に示す。なお、表1において、「フォトレジスト膜」は、フォトレジスト膜に形成された開口の測定結果である。また、「SiON膜」は、SiON膜に形成された開口の測定結果である。また、CDは平均値である。
【表1】
【0083】
表1に示すとおり、実施例における測定結果は、参考例における測定結果よりも良好なものであった。すなわち、まず、実施例におけるSiON膜の開口のLCDUは、参考例におけるSiON膜の開口のLCDUよりも大幅に改善された。つまり、実施例では、SiON膜の開口のCDの均一性を大幅に改善することができた。また、実施例では、SiON膜のCDがフォトレジスト膜のCDに近いものとなった。なお、参考例のSiON膜のCDはフォトレジスト膜のCDよりもかなり小さい値となっているが、SiON膜のLCDUをCDで乗じた値についても同様に、実施例では参考例よりも大幅な改善が見られた。
【0084】
本処理方法では、フォトレジスト膜PR上に第1の膜TD1を形成し、第1の膜TD1上にさらに第2の膜TD2を形成する。そのため、フォトレジスト膜PRの開口を規定する側面SSに存在する部分SCを選択的に除去又は低減できる。また、フォトレジスト膜PRの開口を規定する側面SSに凹みや亀裂(ラインパターン等のパターンの途切れを含む)等が存在しても、フォトレジスト膜PR上に第1の膜TD1を形成することにより、当該凹み等を補填又は低減できる。これにより、フォトレジスト膜PRの開口OPを規定する側面SSの表面粗さを低減させることができるので、当該開口OPの寸法又は形状を適切に制御できる。そして、本処理方法では、かかるフォトレジスト膜PR(並びに/又は第1の膜TD1及び/若しくは第2の膜TD2)をマスクとして被エッチング膜EFをエッチングするので、被エッチング膜EFに形成される開口の寸法又は形状を適切に制御することができる。
【0085】
また、本処理方法では、フォトレジスト膜PR上に第1の膜TD1及び第2の膜TD2を選択的に形成する。すなわち、本処理方法において、第1の膜TD1及び第2の膜TD2は、フォトレジスト膜PRの上面TS上に形成された部分の膜厚が、側面SSに形成された部分の膜厚よりも厚くなるように形成される。これにより、フォトレジスト膜PRの膜厚が薄い場合であっても、被エッチング膜EFとエッチングマスク(フォトレジスト膜PR並びに第1の膜TD1及び第2の膜TD2)との間で十分な選択比をもって、被エッチング膜EFをエッチングすることができる。
【0086】
<本処理方法の変形例1>
図6は、本処理方法の変形例を示すフローチャートである。本例では、準備工程ST1がフォトレジスト膜PRの膜厚を判断する工程ST121をさらに有する点で、
図3に示す例と異なる。すなわち、本例では、工程ST12において形成されたフォトレジスト膜PRの膜厚に基づいて、準備工程ST1における残りの工程が異なる。
【0087】
工程ST12においてフォトレジスト膜PRが形成された後、工程ST121において、当該フォトレジスト膜PRに形成された開口OPの寸法(一例として、開口OPの径)及び当該フォトレジスト膜PRの厚さを測定する。そして、開口OPの寸法に対するフォトレジスト膜PRの膜厚の比率(以下、「アスペクト比」ともいう。)を算出する。アスペクト比が2以上である場合、工程ST13及びST14をスキップして、準備工程ST1を終了する。そして、工程ST2においてフォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする。当該トリミングは、例えば、フォトレジスト膜PRを異方性エッチングすることにより行われる。第1の厚さは、被エッチング膜EFの厚さや材料、被エッチング膜EFのエッチングに用いられる処理ガスの種類等に基づいて、任意に定められてよい。
【0088】
アスペクト比が1以上2未満である場合、
図3と同様に、工程ST13において、フォトレジスト膜PR上に第1の膜TD1が形成される。そして、工程14をスキップして、準備工程ST1を終了する。そして、工程ST2においてフォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする。第2の厚さは、第1の膜TD1の厚さや材料、被エッチング膜EFの厚さや材料、被エッチング膜EFのエッチングに用いられる処理ガスの種類等に基づいて、任意に定められてよい。
【0089】
アスペクト比が1未満である場合、
図3と同じく工程ST13及びST14を実行して準備工程ST1を終了する。そして、
図3と同じく、工程ST2においてフォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする。
【0090】
なお、工程ST121において、開口OPの寸法及びフォトレジスト膜PRの膜厚は、光学的な測定装置で測定されてよい。当該測定装置は、
図2に示す基板処理モジュールPMの1つであってよい。一例として、本処理方法が複数の基板W(例えば25枚。)を1つの単位(以下「ロット」ともいう。)として処理する場合、ロットに含まれる基板ごとに開口OPの寸法及び/又はフォトレジスト膜PRの膜厚が測定されてよい。また、工程ST121において、1つのロットに含まれる特定の基板について、開口OPの寸法及び/又はフォトレジスト膜PRの膜厚を測定し、当該測定値から算出されたアスペクト比を、当該特定の基板及び当該1つのロットに含まれる他の基板のアスペクト比としてよい。1つのロットに含まれる複数の基板のうち、測定対象となる基板は、当該ロットにおいて(a)最初に本処理方法が実行される基板、(b)最後に本処理方法が実行される基板、又は、(c)最初と最後以外に本処理方法が実行される基板のいずれであってもよい。
【0091】
本例によれば、フォトレジスト膜の膜厚に基づいて、当該フォトレジスト膜をトリミングするための準備工程を適切に選択することができる。
【0092】
<本処理方法の変形例2>
図7~
図9は、本処理方法の変形例を示すフローチャートである。これらの例では、工程ST2のほかに、工程ST12と工程ST13との間及び工程ST13と工程ST14との間の少なくとも一方において、フォトレジスト膜PRの側面の少なくとも一部をトリミングする工程(ST1-a、ST1-b)を含む点で、
図3に示す例と異なる。より具体的には、
図7に示す例では、工程ST12と工程ST13との間に、1つ以上の処理ガスから生成したプラズマを用いて、フォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする工程(ST1-a)を含む。
図8に示す例では、工程ST13と工程ST14との間に、1つ以上の処理ガスから生成したプラズマを用いて、第1の膜TD1の一部(例えば第1の膜TDの第2の部分少なくとも一部)、及びフォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする工程(ST1-b)を含む。
図9に示す例では、工程ST12と工程ST13との間に、1つ以上の処理ガスから生成したプラズマを用いて、フォトレジスト膜PRの部分SCをトリミングする工程(ST1-a)、及び、工程ST13と工程ST14との間に、1つ以上の処理ガスから生成したプラズマを用いて、第1の膜TD1の一部(例えば第1の膜TDの第2の部分少なくとも一部)をトリミングする工程(ST1-b)を含む。なお、
図9の例では、工程ST1-aにおいて、フォトレジスト膜PRの部分SCの一部をトリミングし、工程ST1-bにおいて、第1の膜TDの一部と、フォトレジスト膜PRの残り部分とをトリミングしてもよい。
【0093】
本例によれば、フォトレジスト膜PRの開口を規定する側面SSに存在する部分SCを、より高精度に、選択的に除去又は低減できる。
【0094】
以上の各実施形態は、説明の目的で説明されており、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、本処理方法は、誘導結合型プラズマのプラズマ処理装置1以外にも、容量結合型やマイクロ波プラズマ等、任意のプラズマ源を用いたプラズマ処理装置を用いて実行できる。
【0095】
また、本開示は、以下の実施形態を含む。
【0096】
(付記1)
(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)第1の部分及び第2の部分を少なくとも含む第1の膜とを有する基板を準備する準備工程であって、前記第1の部分は前記フォトレジスト膜の上面に形成された部分であり、前記第2の部分は前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された部分であり、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、準備工程と、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程と
を含むプラズマ処理方法。
【0097】
(付記2)
前記準備工程は、前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に第2の膜を形成する工程を含む、付記1記載のプラズマ処理方法。
【0098】
(付記3)
前記準備工程は、
前記被エッチング膜と、
前記フォトレジスト膜とを有する基板を準備する工程と、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部をトリミングする工程と、
トリミングされた前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成する工程と、
を含む、
付記1又は2記載のプラズマ処理方法。
【0099】
(付記4)
前記トリミング工程の後に、前記フォトレジスト膜、前記第1の膜及び前記第2の膜をマスクとして、前記被エッチング膜をエッチングするエッチング工程をさらに含む、付記2又は3記載のプラズマ処理方法。
【0100】
(付記5)
前記フォトレジスト膜の前記側面は、凹んだ部分及び前記側面から前記開口に張り出した部分の少なくとも一方を有する、付記1から4のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0101】
(付記6)
前記張り出した部分は、前記フォトレジスト膜の前記側面から前記被エッチング膜の前記上面に亘って存する、付記5記載のプラズマ処理方法。
【0102】
(付記7)
前記第1の膜は有機膜であり、前記第2の膜は無機膜である、付記2記載のプラズマ処理方法。
【0103】
(付記8)
前記フォトレジスト膜は、Sn含有膜である、付記1から7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0104】
(付記9)
前記無機膜は、金属含有膜またはSi含有膜である、付記7記載のプラズマ処理方法。
【0105】
(付記10)
前記金属含有膜は、Sn含有膜である付記9記載のプラズマ処理方法。
【0106】
(付記11)
前記金属含有膜は、W含有膜、Ti含有膜またはAl含有膜である、付記9記載のプラズマ処理方法。
【0107】
(付記12)
前記無機膜は、ホウ素、リン又は硫黄を含む非金属無機膜である、付記7記載のプラズマ処理方法。
【0108】
(付記13)
前記トリミング工程は、所定の処理ガスから生成されたプラズマを用いて実行され、
前記生成されたプラズマに対する前記第1の膜のエッチングレートは、前記生成されたプラズマに対する前記第2の膜のエッチングレートよりも大きい、付記1から7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0109】
(付記14)
前記所定の処理ガスは、酸素含有ガス及びハロゲン含有ガスを含む、付記13記載のプラズマ処理方法。
【0110】
(付記15)
前記第1の膜及び前記第2の膜は、プラズマCVDにより形成される、付記2、4及び7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0111】
(付記16)
前記第1の膜は、炭素含有ガスを含むガスから生成されたプラズマを用いて形成され、
前記第2の膜は、Si含有ガスを含むガスから生成されたプラズマを用いて形成される、
付記15記載のプラズマ処理方法。
【0112】
(付記17)
前記炭素含有ガスは、CxHy(x、yは1以上の整数),CtHuFv(t、vは1以上の整数、uは0以上の整数)、CO、またはCO2である、付記16記載のプラズマ処理方法。
【0113】
(付記18)
前記第1の膜の前記第1の部分の膜厚は、前記フォトレジスト膜の膜厚及び前記第2の膜の膜厚より厚い、付記2、4及び7から12のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0114】
(付記19)
前記エッチング工程は、前記被エッチング膜及び前記第2の膜をエッチングする、付記4記載のプラズマ処理方法。
【0115】
(付記20)
前記被エッチング膜はSi含有膜であり、前記第2の膜はSi含有膜である、付記19記載のプラズマ処理方法。
【0116】
(付記21)
前記トリミング工程及び前記エッチング工程は、同一のチャンバ内で実行される、付記4、19又は20記載のプラズマ処理方法。
【0117】
(付記22)
前記トリミング工程は、
前記トリミング工程においてエッチングされた前記側面によって前記被エッチング膜上に規定される開口の寸法を測定する工程と、
前記測定された寸法に基づいて、前記トリミング工程においてエッチングされた前記側面上に第3の膜を形成する工程と、
前記第3の膜の一部をエッチングする工程と
をさらに含む、付記1から21のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0118】
(付記23)
前記第3の膜は、有機膜を含む、付記22記載のプラズマ処理方法。
【0119】
(付記24)
前記第3の膜は、前記有機膜及び前記有機膜上に形成された無機膜を含む積層膜である、付記23記載のプラズマ処理方法。
【0120】
(付記25)
前記トリミング工程は、前記開口の寸法を測定する工程、前記第3の膜を形成する工程及び前記第3の膜の一部をエッチングする工程を繰り返す工程を含む、付記22から24のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
【0121】
(付記26)
プラズマ処理チャンバ、前記プラズマ処理チャンバに処理ガスを供給するガス供給部、前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成させるための電力を供給する電源、及び、制御部を備え、
前記制御部は、
(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜と、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及び前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜と、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に形成された第2の膜とを有する基板を配置し、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングする、制御を実行する、
プラズマ処理装置。
【0122】
(付記27)
第1のチャンバを有する第1のプラズマ処理装置及び第2のチャンバを有する第2のプラズマ処理装置を備えたプラズマ処理システムであって、
前記第1のプラズマ処理装置は、(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを有する基板を前記第1のチャンバ内に配置し、前記第1のチャンバ内において、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分及び前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分を少なくとも含む第1の膜であって、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚い、第1の膜を形成し、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に第2の膜を形成するように構成されており、
前記第2のプラズマ処理装置は、前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部、及び、前記第1の膜の前記第2の部分の少なくとも一部を少なくともエッチングするように構成されている、プラズマ処理システム。
【0123】
(付記28)
(a)被エッチング膜と、(b)前記被エッチング膜の上面に形成されており、前記被エッチング膜の前記上面に少なくとも1つの開口を規定する側面を有するフォトレジスト膜とを準備する工程と、
前記開口の寸法に対する前記フォトレジスト膜の膜厚の比率を求める工程と、
前記比率が1以上2未満である場合に前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成する工程と、
前記比率が1未満である場合に、前記フォトレジスト膜上に第1の膜を形成し、また、前記第1の膜上に第2の膜を形成する工程と、
前記フォトレジスト膜の前記側面の少なくとも一部を少なくともエッチングするトリミング工程と
を含み、
前記第1の膜は、(c)前記フォトレジスト膜の上面に形成された第1の部分と前記フォトレジスト膜の前記側面に形成された第2の部分とを少なくとも含み、前記第1の部分は前記第2の部分より膜厚が厚く
前記第2の膜は、(d)前記第1の膜のうち少なくとも前記第1の部分上に形成された、
プラズマ処理方法。
【符号の説明】
【0124】
1…プラズマ処理装置、10…プラズマ処理チャンバ、11…基板支持部、12…プラズマ生成部、13…中央ガス注入部、13…ガス導入部、14…アンテナ、20…ガス供給部、22…流量制御器、30…電源、31…RF電源、32…DC電源、40…排気システム、50…制御部、101…誘電体窓、102…側壁、111…本体部、112…リングアセンブリ、BS…底面、CT…制御部、EF…被エッチング膜、SC…部分、OP…開口、PR…フォトレジスト膜、SS…側面、TD1…第1の膜、TD2…第2の膜、TS…上面、UF…下地膜、W…基板