(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002494
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】化合物、これを含む組成物、これを含む反射防止フィルムおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
C07D 207/335 20060101AFI20221227BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20221227BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20221227BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20221227BHJP
C07F 15/06 20060101ALI20221227BHJP
C07F 15/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
C07D207/335
G02B5/22
G02B1/111
G02B5/20
C07F15/06 CSP
C07F15/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100125
(22)【出願日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0081130
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 圭 汎
(72)【発明者】
【氏名】金 圭 泳
(72)【発明者】
【氏名】申 因 燮
(72)【発明者】
【氏名】柳 銀 善
【テーマコード(参考)】
2H148
2K009
4H050
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148AA07
2H148AA11
2H148AA18
2H148AA24
2H148AA25
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA19
2H148CA24
2H148CA25
2K009AA02
2K009AA15
2K009BB24
2K009CC09
2K009CC24
2K009CC26
2K009DD02
2K009DD05
2K009DD06
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB92
4H050WB14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光源の青色の長波長領域の光と緑色の短波長領域の光とを吸収することができる化合物を提供する。
【解決手段】具体的には、例えば下記[化学式1-1-1]で表される化合物、これを含む組成物、これを含む反射防止フィルムおよび該反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供する:
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1中、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R
3~R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり、
R
7~R
14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基であり、
Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数である。
【請求項2】
前記化学式1中のR1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン基で置換された炭素数1~20のアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1で表される化合物である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
前記化学式1-1中、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R
3~R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり、
R
7~R
14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基であり、
Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdである。
【請求項4】
前記化学式1中のR3~R6は、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化学式1中のR3~R6は、それぞれ独立して、ハロゲン基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式1中のR7~R14は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
下記化学式1-1-1~化学式1-1-3で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の化合物。
【化3】
【請求項8】
400nm~520nmで吸収波長を示し、前記吸収波長中の480nm~520nmで最大吸収波長を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
染料である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物を含む組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物を含む反射防止フィルム。
【請求項12】
前記反射防止フィルムは、粘着層および前記粘着層上に形成された反射防止層を含み、
前記化合物は、前記粘着層に含まれる、請求項11に記載の反射防止フィルム。
【請求項13】
前記反射防止フィルムは、粘着層、染料含有層および前記染料含有層上に形成された反射防止層を含み、
前記化合物は、前記染料含有層に含まれる、請求項11に記載の反射防止フィルム。
【請求項14】
請求項11に記載の反射防止フィルムを含むディスプレイ装置。
【請求項15】
量子ドット含有層をさらに含む、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
光源、カラーフィルター、および基材をさらに含む、請求項15に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記ディスプレイ装置は、
前記光源上に前記量子ドット含有層が位置し、
前記量子ドット含有層上に前記カラーフィルターが位置し、
前記カラーフィルター上に前記基材が位置し、
前記基材上に前記反射防止フィルムが位置する、請求項16に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記光源は、白色光源または青色光源である、請求項16に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記基材は、ガラス基材を含む、請求項16に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、これを含む組成物、これを含む反射防止フィルム、および該反射防止フィルムを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の液晶ディスプレイ(LCD)では、白色光源から出る光が各画素のRGBカラーフィルターを透過して各色の部分画素を成すようになり、これを組み合せることによってRGB範囲の色を出すことができる。
【0003】
近年、各部分画素の色を発光する量子ドットや有機-無機燐光体のような発光体を使用する新規ディスプレイが開発されており、これら青色、緑色、および赤色の発光体を励起させる方法としては、UV光源を使用する方式と青色光源を使用する方式などが提起されている。
【0004】
UV光源を使用する場合には、青色、緑色、および赤色の発光体で各色を生成して具現するが、青色光源を使用する場合には、緑色、赤色は発光体で各色を生成し、青色画素は光源をそのまま透過させるようになる。
【0005】
最近、商品化されたり開発進行中である量子ドット含有ディスプレイ材料素材の場合、青色光源または白色光源を通じた緑色量子ドットおよび赤色量子ドットの発光を利用している。量子ドット含有ディスプレイ装置は、量子ドット材料を利用して色再現率および輝度を向上させようとするもので、多様な方式の光源を利用した量子ドット発光を利用するパネルに対する開発が続いている。また、パネル構成のうち量子ドット素材の適用位置により視野角改善も可能である。次世代の量子ドットディスプレイ装置は、量子ドットの発光効率を増進させるために、光源の強さを高めようとする方向または青色領域が拡張された光源開発の方向に開発が進められている。
【0006】
量子ドットディスプレイ装置は、量子ドット材料に到達するようになる光源のスペクトルが量子ドットの効率に非常に密接な影響を与え、現在、光源の種類によりその特性が異なるため、各光源別の量子ドットの効率改善のために新たな接近方式を導入するために多方面での努力が続いている。
【0007】
一方、発光体を使用した新規ディスプレイの場合、外光による反射率を低減したり、散乱反射によるパネル色感を調整する必要がある。これを解決するために、パネルを構成する光学部材内に染料を使用しようとする試みがあったが、発光体において量子ドットを使用する場合、外光による反射率低下やパネル色感調整が難しいという問題があった。
【0008】
そこで、新規ディスプレイの場合、輝度損失の改善または色補正の機能を追加した反射防止フィルムが導入されており、最近は、反射防止フィルムの低反射特性を極大化するために、特定波長の光を吸収できる染料としてシアニン系染料やアゾ系染料を追加的に適用しようとする試みが続いている。
【0009】
しかし、シアニン系染料やアゾ系染料は、短波長領域の光吸収は可能であるが、耐光信頼性が低下するという問題があり、反射防止フィルムに適用するには困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許第2019-0126106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、光源の青色の長波長領域の光と緑色の短波長領域の光とを吸収することができる化合物を提供することある。
【0012】
本発明の他の目的は、上記化合物を含む組成物を提供することにある。
【0013】
また、本発明のさらに他の目的は、上記化合物を含む反射防止フィルムを提供することにある。
【0014】
また、本発明のさらに他の目的は、上記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0016】
【0017】
上記化学式1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R3~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)、またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり、
R7~R14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20アリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基であり、
Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数である。
【0018】
上記化学式1中のR1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン基で置換された炭素数1~20のアルキル基であり得る。
【0019】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1で表される化合物であることが好ましい。
【0020】
【0021】
上記化学式1-1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R3~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり、
R7~R14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基であり、
Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdである。
【0022】
上記化学式1中のR3~R6は、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり得る。
【0023】
上記化学式1中、R3~R6は、それぞれ独立して、ハロゲン基であり得る。
【0024】
上記化学式1中、R7~R14は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり得る。
【0025】
上記化合物は、下記化学式1-1-1~化学式1-1-3で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり得る。
【0026】
【0027】
上記化合物は、400nm~520nmで吸収波長を示し、当該吸収波長中の480nm~520nmで最大吸収波長を有することができる。
【0028】
上記化合物は、染料であり得る。
【0029】
本発明の他の一実施形態は、上記化学式1で表される化合物を含む組成物を提供する。
【0030】
本発明のさらに他の一実施形態は、上記化学式1で表される化合物を含む反射防止フィルムを提供する。
【0031】
上記反射防止フィルムは、粘着層および当該粘着層上に形成された反射防止層を含み、上記化学式1で表される化合物は、粘着層に含まれ得る。
【0032】
上記反射防止フィルムは、粘着層、染料含有層、および当該染料含有層上に形成された反射防止層を含み、上記化学式1で表される化合物は、染料含有層に含まれ得る。
【0033】
本発明のまた他の一実施形態は、上記反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供する。
【0034】
上記ディスプレイ装置は、量子ドット含有層をさらに含むことができる。
【0035】
上記ディスプレイ装置は、光源、カラーフィルターおよび基材をさらに含むことができる。
【0036】
上記ディスプレイ装置は、該光源上に該量子ドット含有層が位置し、該量子ドット含有層上に該カラーフィルターが位置し、該カラーフィルター上に該基材が位置し、該基材上に該反射防止フィルムが位置することができる。
【0037】
上記光源は、白色光源または青色光源であり得る。
【0038】
上記基材は、ガラス基材を含むことができる。
【0039】
その他の本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、光源の青色の長波長領域の光と緑色の短波長領域の光とを吸収することができる化合物が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一実施形態による反射防止フィルムを示す断面模式図である。
【
図2】本発明の他の一実施形態による反射防止フィルムを示す断面模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を示す断面模式図である。
【
図4】本発明の他の一実施形態によるディスプレイ装置を示す断面模式図である。
【
図5】合成例1、比較合成例2および比較合成例3による化合物の波長による吸光度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみにより定義される。
【0043】
本明細書で特別な言及がない限り、「アルキル基」とは、炭素数1~20のアルキル基を意味し、「アルケニル基」とは、炭素数2~20のアルケニル基を意味し、「シクロアルケニル基」とは、炭素数3~20のシクロアルケニル基を意味し、「ヘテロシクロアルケニル基」とは、炭素数3~20のヘテロシクロアルケニル基を意味し、「アリール基」とは、炭素数6~20のアリール基を意味し、「アリールアルキル基」とは、炭素数7~20のアリールアルキル基を意味し、「アルキレン基」とは、炭素数1~20のアルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、炭素数6~20のアリーレン基を意味し、「アルキルアリーレン基」とは、炭素数7~20のアルキルアリーレン基を意味し、「ヘテロアリーレン基」とは、炭素数3~20のヘテロアリーレン基を意味し、「アルコキシレン基」とは、炭素数1~20のアルコキシレン基を意味する。
【0044】
本明細書で特別な言及がない限り、「置換」とは、少なくとも1つの水素原子が、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数3~20のシクロアルケニル基、炭素数3~20のシクロアルキニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルケニル基、炭素数2~20のヘテロシクロアルキニル基、炭素数3~20のヘテロアリール基、またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたことを意味する。
【0045】
また、本明細書で特別な言及がない限り、「ヘテロ」とは、化学式内に窒素原子(N)、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、およびリン原子(P)のうちの少なくとも1つのヘテロ原子が少なくとも1つ含まれていることを意味する。
【0046】
また、本明細書で特別な言及がない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方が可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方が可能であることを意味する。
【0047】
本明細書で特別な言及がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0048】
本明細書内の化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0049】
本明細書で数値範囲の記載において、「X~Y」は「X以上Y以下」(X≦、≦Y)を意味する。
【0050】
本明細書で数値範囲でない記載で、「X~Y」は「XからYまで」を意味する。
【0051】
本明細書において化合物(染料)の「最大吸収波長(λmax)」は、シクロヘキサノン(Cyclohexanone)中の10ppm濃度の化合物(染料)溶液に対して吸光度を測定した際、最大吸光度が示される波長を意味する。最大吸光度は、当業者に知られた方法により測定され得る。
【0052】
本明細書において「耐光信頼性」は、ディスプレイ装置に対して、Xenon Test Chamber(Q-SUN)で[光源ランプ:Xenonランプ、照射強さ:0.35W/cm2、照射温度:63℃、照射時間:500時間、照射方向:反射防止フィルム側で照射]の条件で照射する前と照射した後の染料の最大吸収波長で光透過率を測定した後、光透過率の変化量で評価したものである。
【0053】
また、本明細書で特別な言及がない限り、「*」は、同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【0055】
【0056】
上記化学式1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R3~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり、
R7~R14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基であり、
Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdであり、
n1およびn2は、それぞれ独立して、1~5の整数である。
【0057】
従来、特定の化合物を利用してネオンカラーを吸収させて、光源の特定波長領域を遮断してディスプレイ装置の色純度を改善しようとする試みはあったが、量子ドット含有ディスプレイ装置の場合、散乱体の使用によりその目的が相異している。量子ドット含有ディスプレイ装置は、散乱体による外光反射を改善するために、反射率を低減する試みを行い、これは装置のBlack視感の改善に役立つ。反射率を低減し、パネルのRGB色純度低下を最小化するために、混合色(Violet/Cyan/Neon/Near-IR)の吸収が可能な染料を使用した反射防止フィルムが効果的である。特に、吸収波長領域が480nm~520nmであるシアンカラーと、吸収波長領域が530nm~670nmであるネオンカラーとの外光吸収が反射率低減に効果的である。ただし、シアンカラーとネオンカラーとのみを吸収する染料のみを使用する場合、ディスプレイ装置の黒色視感(Neutral Black)の具現が難しいため、吸収波長領域が350nm~450nmであるバイオレットカラーと、吸収波長領域が605nm~790nmである近赤外色を吸収する染料とを混合して使用して、反射防止フィルムとディスプレイ装置の色補正が可能である。混合色(バイオレット/シアン/ネオン/近赤外)の吸収が可能な染料の使用で反射率は低減し、黒色視感の改善が可能であり、色再現率を向上させることができる。また、上記化学式1で表される化合物は、従来の特定波長領域を吸収する化合物(染料)の短所の1つである耐光信頼性の改善が可能である。つまり、上記化学式1で表される化合物を反射防止フィルムに適用した際、フィルムの耐光信頼性の確保が可能である。特に、量子ドット発光体を使用するディスプレイ装置において、特定の化合物を使用して混合色の吸収を図ることによって色再現率などを改善させようとする試みは現在まで知られていない。例えば、シアンカラーの場合、吸収波長領域が480nm~520nmであり、ネオンカラーの場合、吸収波長領域が530nm~670nmであり、近赤外色の場合、吸収波長領域が605nm~790nmであるが、上記化学式1で表される化合物は、400nm~520nmで吸収波長を示し、当該吸収波長中の480nm~520nm、具体的に490nm~520nm、より具体的に490nm~515nmで最大吸収波長を有することができる。よって、上記化学式1で表される化合物を染料として含む反射防止フィルムおよびディスプレイ装置の場合、青色の輝度低下を最小化しながら、耐光信頼性の確保が容易になり得る。
【0058】
後述するように、ディスプレイ装置に適用される光源のスペクトルを考慮する時、光源の青色の長波長領域と緑色の短波長領域(約480nm~520nm)とを効果的に吸収してこそ、パネルの色再現率の向上を効果的に図ることができる。例えば、反射防止フィルムに適用される化合物の最大吸収波長が500nmより短いか、520nmより長く、同時に半値幅が100nm超、具体的に50nm超で広い場合、青色の長波長領域および緑色の短波長領域を効果的に吸収することができないため、パネルの色再現率の向上効果を図り難い。したがって、反射防止フィルムに適用される化合物の最大吸収波長が480nm~520nm、具体的に490nm~520nmの間にあるほど、青色の長波長領域および緑色の短波長領域を効果的に吸収することができる。上記化学式1で表される化合物は、その構造的な特異性により、480nm~520nm、より具体的に490nm~515nmで最大吸収波長を有し、したがって、青色の長波長領域および緑色の短波長領域を効果的に吸収して、耐光信頼性の確保およびパネルの色再現率を効果的に向上させることができる。
【0059】
上記化学式1中、Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdであり、例えばCuなどの金属は含まれない。上記化学式1中、MがCuである場合、半値幅が広くなり、分光整合性の調節が難しいため、好ましくない。
【0060】
上記化学式1中、R1およびR2は、それぞれ独立して、ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)で置換された炭素数1~20のアルキル基であり得る。例えば、R1およびR2は、それぞれ独立して、フルオロ基で置換された炭素数1~20のアルキル基、例えばトリフルオロメチル基などであり得る。上記化学式1中、R1およびR2が、フルオロ基のような電子求引基(electron withdrawing group;EWG)で置換されたアルキル基である場合、分光整合性の調節に容易である。
【0061】
例えば、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1で表される化合物であり得るが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0062】
【0063】
上記化学式1-1中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
R3~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり、
R7~R14は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロシクロアルキル基であり、
Mは、Zn、Ag、Ti、Pt、Co、Fe、Ni、またはPdである。
【0064】
上記化学式1中のR1およびR2の種類を限定することによって、化合物の分光整合性の調節を容易にすることができ、究極的にディスプレイ製品の光の透過を調節して色純度の向上が可能である。
【0065】
例えば、上記化学式1中、R3~R6は、それぞれ独立して、ハロゲン基、シアノ基、エステル基(*-C(=O)OR’、ここでR’は、置換または非置換の炭素数1~15のアルキル基である)またはアミド基(*-C(=O)NR’’R’’’、ここでR’’およびR’’’は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~15のアルキル基である)であり得る。
【0066】
上記化学式1中、R3~R6が上記のような置換基以外の他の置換基である場合には、優れた溶解度および耐光信頼性を確保することが難しい。特に、量子ドットを適用したディスプレイの場合、上記化学式1で表される化合物が含まれている反射防止フィルムが適用されてこそ、優れた溶解度および耐光信頼性の確保が可能であり、従来のLCDで優れた耐光性を示す反射防止フィルム用化合物であるとしても、これを量子ドットを適用したディスプレイにそのまま適用する場合、耐光性の低下が発生するようになって好ましくない。
【0067】
例えば、上記化学式1中、R3~R6は、それぞれ独立して、ハロゲン基であり得る。R3~R6の全てがハロゲン基である場合、R3~R6のうちの少なくとも1つがハロゲン基でない場合より最大吸収波長が少し長波長側に移動し、半値幅は少し広くなるが、耐光信頼性自体が大きく向上し得る。
【0068】
例えば、上記化学式1中、R7~R14は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり得る。
【0069】
例えば、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1-1~化学式1-1-3で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり得るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0070】
【0071】
上記化学式1で表される化合物は、400nm~520nmで吸収波長を示し、吸収波長中の480nm~520nm、具体的には490nm~520nm、より具体的には490nm~515nmで最大吸収波長を有することができる。前述したように、上記化学式1で表される化合物が上記範囲の最大吸収波長を有する場合、青色の長波長領域および緑色の短波長領域を効果的に吸収して、耐光信頼性およびパネルの色再現率を効果的に向上させることができる。
【0072】
例えば、上記化学式1で表される化合物は、染料であり得る。
【0073】
本発明に係る化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。
【0074】
本発明の他の一実施形態は、上記化合物を含む組成物を提供する。
【0075】
また、本発明の他の一実施形態は、上記化合物を含む反射防止フィルムを提供する。
【0076】
当該反射防止フィルムは、上記化学式1で表される化合物を、固形分基準で0.01質量%~0.5質量%の含有量で含むことができる。上記化学式1で表される化合物が上記の含有量の範囲で含まれていれば、反射防止フィルムが適用されたディスプレイ装置のパネル色感を調整して、黒色視感(Neutral Black)の改善に効果的である。
【0077】
反射防止フィルムは、粘着層および該粘着層上に形成された反射防止層を含み、上記化学式1で表される化合物は、粘着層に含まれ得る。
【0078】
また、反射防止フィルムは、粘着層、染料含有層、および当該染料含有層上に形成された反射防止層を含む形態であってもよく、上記化学式1で表される化合物は、染料含有層に含まれることもできる。
【0079】
つまり、反射防止フィルムの積層構造において、上記化学式1で表される化合物は、粘着層内に含まれることもでき、別途の染料含有層に含まれることもできる(
図1および
図2参照)。
【0080】
反射防止層は、低屈折層のみからなるか、または低屈折層を含むことができる。
【0081】
低屈折層は、後述する基材および/または後述する高屈折層との屈折率差により反射防止フィルムの反射率を低減することができる。
【0082】
低屈折層は、硬化型バインダー樹脂、フッ素原子含有モノマーおよび平均粒子径5nm~300nmの粒子(例えば、中空シリカなど)を含有しており、低屈折層の厚さは0.01μm~0.15μmであり得る。低屈折層の屈折率は、1.20~1.40であり得る。
【0083】
低屈折層の一面、つまり、低屈折層の上部面には機能性コーティング層がさらに形成されることによって、反射防止フィルムに追加的な機能を提供することができる。該機能性コーティング層は、耐指紋性層、帯電防止層、ハードコート層、アンチグレア層、バリア層などを含むことができるが、これらに制限されない。
【0084】
反射防止層は、高屈折層をさらに含むことができる。
【0085】
該高屈折層は、後述する基材と低屈折層との間に形成されて、基材と上記低屈折層との間の屈折率を有することによって、反射防止層の反射率を低減することことができる。高屈折層は、基材および低屈折層と、それぞれ直接的に形成されている。ここで、「直接的に形成」とは、層と層との間に任意の他の層がなく、接していることを意味する。
【0086】
該高屈折層は、厚さが0.05μm~20μmであり、屈折率が1.45~2であり、JIS-K7361(2000)に規定されるヘイズ値が基材のヘイズ値と異なっていないか、または基材のヘイズ値との差が10%以下であることが透明性に優れ、反射防止性に優れている。
【0087】
該ハードコート層は、反射防止層の硬度を高めることによって、反射防止層をディスプレイ装置の最外層に使用しても、スクラッチなどの発生がないようにすることができる。ハードコート層は、必ずしも備えられるべきものではない。高屈折層または低屈折層で目標とする硬度を確保することができれば、ハードコート層は省略することができる。
【0088】
ハードコート層は、基材と高屈折層との間、または基材と低屈折層との間に形成され得る。
【0089】
ハードコート層は、平均粒子径が1nm~30nmであり、粒度分布の範囲が平均粒子径±5nm以下の範囲にある金属酸化物粒子が、硬化したバインダー中に均一に混合されてなる硬化層であり得る。ハードコート層は、厚さが1μm~15μmであり得、ハードコート層の屈折率は1.54以上であり得る。
【0090】
反射防止層は、厚さが50μm~500μm、例えば50μm~300μm、例えば50μm~150μmであり得る。反射防止層が上記範囲の厚さを有する場合、ディスプレイ装置に容易に適用される。
【0091】
粘着層は、反射防止層の下部面に形成されて、ディスプレイなどの光学部材をパネルなどに粘着させることができる。粘着層は、上述したように、上記化学式1で表される化合物(染料)を含むことができる。
【0092】
粘着層は、ガラス転移温度が-70℃~0℃、例えば-65℃~-20℃であり得る。粘着層のガラス転移温度が上記範囲内である場合、パネルに対する接着力に優れている。
【0093】
粘着層は、熱硬化性粘着層または光硬化性粘着層であり得る。好ましくは、粘着層は、熱硬化性粘着層であることによって、上記化学式1で表される化合物(染料)の吸収波長による紫外線の影響を考慮する必要がないため、粘着層の製造を容易にすることができる。「熱硬化性粘着層」は、40℃~100℃の所定の熱処理を通じて硬化する粘着層だけでなく、室温(例えば20℃~30℃)で硬化する粘着層も含むことができる。
【0094】
粘着層は、粘着樹脂および硬化剤を含む粘着層用組成物で形成され得る。
【0095】
粘着樹脂は、粘着層のガラス転移温度を確保することができれば、特に種類は制限されない。例えば、粘着樹脂は、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などであることができるが、好ましくは(メタ)アクリル系粘着樹脂である。
【0096】
粘着樹脂は、ガラス転移温度が-70℃~0℃、好ましくは-65℃~-20℃になることができる。粘着樹脂のガラス転移温度が上記範囲内である場合、パネルに対する接着力に優れている。
【0097】
粘着樹脂は、重量平均分子量が500,000g/mol~2,000,000g/mol、例えば800,000g/mol~1,500,000g/molであり得る。粘着樹脂の重量平均分子量が上記の範囲内である場合、パネルに対する接着力に優れている。
【0098】
粘着樹脂は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体;水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体;ならびに芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体、脂環族を有する(メタ)アクリル系単量体、およびヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうちの少なくとも1種;を含むの混合物の共重合体が好ましく、より好ましくは、これら単量体のランダム共重合体を含むことができる。
【0099】
アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、非置換の炭素数1~10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。具体的には、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含むことができるが、これらに制限されない。これらは単量体は、1種単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物中の全質量に対して60質量%~99.99質量%、例えば60質量%~90質量%、例えば80質量%~99.9質量%での含有量で含まれ得る。
【0100】
水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、1つ以上の水酸基を有する炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、1つ以上の水酸基を有する炭素数3~20のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体、および1つ以上の水酸基を有する炭素数6~20の芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体のうちの1種以上を含むことができる。具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、1つ以上の水酸基を有する炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体が好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、および1-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含むことができる。これらは単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物の全質量に対して、0.01質量%~20質量%、例えば0.1質量%~10質量%の含有量で含まれ得る。
【0101】
芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、炭素数6~20のアリール基または炭素数7~20のアリールアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。具体的には、芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどを含むことができるが、これらに制限されない。芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物の全質量に対して、0質量%~50質量%、0質量%超50質量%以下、例えば0質量%~20質量%、0質量%超20質量%以下で含まれ得る。
【0102】
本明細書において、単量体中に脂環族基とアルキル基とが混在する場合、脂環族基を有する(メタ)アクリル単量体に分類した。
【0103】
脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、炭素数5~20の単環または多環の脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしてシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびジシクロペンテニル(メタ)アクリレートのうちの1つ以上を含むことができる。脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物の全質量に対して0質量%~50質量%、例えば、0質量%超50質量%以下、1質量%~30質量%、1質量%~20質量%の含有量で含まれ得る。
【0104】
ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子のうちの1つ以上を含有する炭素数4~9のヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。具体的に、ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、(メタ)アクリロイルモルフォリンを含むことができるが、これに制限されない。ヘテロ脂環族基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体混合物の全質量に対して0質量%~50質量%、0質量%超50質量%以下、例えば0質量%~10質量%、例えば0質量%超10質量%以下で含まれ得る。
【0105】
粘着樹脂は、アルキル基を有する(メタ)アクリル系単量体 70質量%~99.99質量%、例えば90質量%~99.5質量%、水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体 0.01質量%~30質量%、例えば0.5質量%~10質量%を含む単量体混合物の(メタ)アクリル系共重合体を含むことができる。粘着樹脂を構成するそれぞれの単量体の含有量が、上記範囲内である場合、粘着力確保が容易になり得る。
【0106】
硬化剤は、イソシアネート系硬化剤を含むことができる。硬化剤は、粘着樹脂100質量部に対して0.01質量部~20質量部、例えば0.01質量部~10質量部、例えば0.1質量部~4質量部で含まれ得る。硬化剤の含有量が上記範囲内である場合、組成物を架橋させて粘着層を形成し、過剰量使用による透明性低下および信頼性不良などを防止することができる。
【0107】
上記組成物は、シランカップリング剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、帯電防止剤、再加工剤、硬化触媒などの通常の添加剤をさらに含むことができる。シランカップリング剤は、粘着樹脂100質量部に対して0.01質量部~20質量部、例えば0.01質量部~10質量部、例えば0.1質量部~4質量部の含有量で含まれ得る。シランカップリング剤の含有量が上記範囲内である場合、粘着力調節と信頼性不良の現象などを防止することができる。
【0108】
粘着層用組成物は、無溶剤型であるか、通常の有機溶媒をさらに含むことによってコーティング性を高めることができる。
【0109】
粘着層は、厚さが1μm~50μm、例えば5μm~25μmになることができる。粘着層が上記範囲の厚さを有する場合、ディスプレイ装置に容易に使用することができる。
【0110】
当該粘着層用組成物の塗布方法は、特に制限されず、例えば、バーコーティング、スピンコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティングなど従来公知の方法が適宜採用される。
【0111】
また、他の一実施形態によれば、反射防止フィルムを含むディスプレイ装置を提供する。例えば、反射防止フィルムおよび量子ドット含有層を含むディスプレイ装置を提供することができる。
【0112】
例えば、ディスプレイ装置は、光源、カラーフィルター、および基材をさらに含むことができる。
【0113】
例えば、ディスプレイ装置は、光源上に量子ドット含有層が位置し、量子ドット含有層上にカラーフィルターが位置し、カラーフィルター上に基材が位置し、基材上に反射防止フィルムが位置する積層構造を有することができる(
図3および
図4参照)。
【0114】
例えば、光源は、青色光源であり得る。
【0115】
例えば、基材は、ガラス基材であり得る。
【0116】
一般的に、光源が短波長に移動したり拡張される場合、吸光度が高くなり、蛍光が増加すると知られており、このような理由で量子ドットの蛍光効率を上げるために、光源を短波長に移動または拡張する方法を利用する。しかし、青色光源を使用する場合、色再現率低下の原因になり得、特に青色OLED光源の場合、移動などに困難がある。
【0117】
しかし、本発明に係るディスプレイ装置は、上記化学式1で表される化合物を利用して青色領域の光源を増大させ、これによって、量子ドット吸収が可能な波長の光が強くなるため、最終的に量子ドットの発光効率が高くなる効果を期待することができる。なお、青色光源の短波長領域の光を吸収(Cutting)することによってパネルの色再現率の改善を図ることができ、パネルに適用される光源の変更が不要であり、ディスプレイ装置に含まれる量子ドットの使用量を減少させることができるため、価格競争力の側面でも有利である。
【0118】
なお、本発明によるディスプレイ装置は、上記化学式1で表される化合物を含有する反射防止フィルムの位置を、ガラス基材上に特定することによって、上記化学式1で表される化合物を含有する反射防止フィルムを含むことによる量子ドットの効率増大を極大化することができる。
【0119】
量子ドット含有層を構成する構成成分は、量子ドット以外にバインダー樹脂、反応性不飽和化合物、光重合開始剤、拡散剤、およびその他添加剤などをさらに含むことができ、これについては後述する。
【0120】
量子ドットは、350nm~550nmの波長領域中の400nm~500nmで最大蛍光発光波長(fluorescence λmax)を有することができる。
【0121】
量子ドットは、20nm~100nm、例えば20nm~50nmの半値幅(Full width at half maximum;FWHM)を有することができる。量子ドットが上記範囲の半値幅を有する場合、色純度が高いため、カラーフィルター内の色材として使用する際、色再現率が高まる効果がある。
【0122】
量子ドットは、それぞれ独立して、無機物、または有機物と無機物とのハイブリッド(混成物)であり得る。
【0123】
量子ドットは、それぞれ独立して、コアおよびコアを囲むシェルで構成され得、コアおよびシェルは、それぞれ独立して、II-IV族、III-V族などからなるコア、コア/シェル、コア/第1シェル/第2シェル、合金、合金/シェルなどの構造を有することができるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
例えば、コアは、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、InAsおよびこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。コアを囲むシェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、HgSe、およびこれらの合金からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0125】
最近、全世界的に環境に対する関心が大きく増加し、有毒性物質に対する規制が強化されているため、カドミウム系コアを有する発光物質の代わりに、量子効率(quantum yield)は多少低いが、環境にやさしい非カドミウム系発光素材(InP/ZnS)を使用することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0126】
量子ドットの構造は特に限定されないが、コア/シェル構造の量子ドットの場合、シェルを含む全体の量子ドットのそれぞれの大きさ(平均粒子径)は、1nm~15nm、例えば5nm~15nmであり得る。
【0127】
例えば、量子ドットは、赤色量子ドット、緑色量子ドットまたはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、量子ドットは、緑色量子ドットおよび赤色量子ドットを全て含むことができる。この際、緑色量子ドットは、赤色量子ドットより多い含有量で含まれ得る。赤色量子ドットは、10nm~15nmの平均粒子径を有することができる。緑色量子ドットは、5nm~8nmの平均粒子径を有することができる。
【0128】
一方、量子ドットの分散安定性のために、分散剤が共に使用されることもできる。分散剤は、量子ドットのような光変換物質が、硬化性組成物内で均一に分散されるように助け、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、または陽イオン性分散剤の全てを使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル類、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でもまたは2種以上を混合しても使用することができる。分散剤は、量子ドットのような光変換物質の固形分に対して0.1質量%~100質量%、例えば10質量%~20質量%の含有量で使用され得る。
【0129】
量子ドットは、量子ドット含有層を構成する成分100質量部に対して1質量部~40質量部、例えば1質量部~10質量部の含有量で含まれ得る。量子ドットの含有量が上記範囲内である場合、光変換率に優れ、パターン特性と現像特性とを阻害しないため、優れた加工性を有することができる。
【0130】
バインダー樹脂は、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0131】
アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、1つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂であり得る。
【0132】
第1エチレン性不飽和単量体は、1つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0133】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダー樹脂の総質量に対して5質量%~50質量%、例えば10質量%~40質量%の含有量で含まれ得る。
【0134】
第2エチレン性不飽和単量体の例としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0135】
アクリル系樹脂の具体的な例としては、ポリベンジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アクリル系樹脂は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0136】
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、1,000g/mol~15,000g/molであり得る。アクリル系樹脂の重量平均分子量が上記範囲内である場合、基板との密着性に優れ、物理的、化学的物性に優れ、粘度が適切である。
【0137】
エポキシ樹脂は、熱により重合され得るモノマーまたはオリゴマーであり、炭素-炭素不飽和結合および炭素-炭素環状結合を有する化合物などを含むことができる。
【0138】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、および脂肪族ポリグリシジルエーテルなどがさらに含まれ得る。
【0139】
このようなエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER(登録商標、以下同じ)YX4000、YX4000H、YL6121H、YL6640、YL6677;日本化薬株式会社製のEOCN-102、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020、EOCN-1025、EOCN-1027、および三菱ケミカル株式会社製のjER 180S75;ビスフェノールA型エポキシ樹脂には三菱ケミカル株式会社製のjER 1001,1002、1003、1004、1007、1009、1010および828;ビスフェノールF型エポキシ樹脂には三菱ケミカル株式会社製のjER 807および834;フェノールノボラック型エポキシ樹脂には三菱ケミカル株式会社製のjER 152、154、157H65、および日本化薬株式会社製のEPPN201,202;その他の環状脂肪族エポキシ樹脂にはCIBA-GEIGY A.G社製のCY175、CY177およびCY179、U.C.C社製のERL-4234、ERL-4299、ERL-4221およびERL-4206、昭和電工株式会社製のショーダイン509、CIBA-GEIGY A.G社製のアラルダイト(登録商標、以下同じ)CY-182、CY-192およびCY-184、DIC株式会社製のエピクロン(登録商標、以下同じ)200および400、三菱ケミカル株式会社製のjER 871、872およびEP1032H60、セルラニズコーティング株式会社製のED-5661およびED-5662;脂肪族ポリグリシジルエーテルには三菱ケミカル株式会社製のjER 190Pおよび191P、共栄社化学株式会社製のエポライト100MF、日油株式会社製のエピオール(登録商標、以下同じ)TMPなどが挙げられる。
【0140】
バインダー樹脂は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して1質量部~40質量部、例えば、5質量部~20質量部の含有量で含まれ得る。バインダー樹脂の含有量が上記範囲内である場合、優れた感度、現像性、解像度およびパターンの直進性を得ることができる。
【0141】
反応性不飽和化合物は、従来の光硬化性組成物および熱硬化性組成物に一般的に使用されるモノマーまたはオリゴマーを、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0142】
反応性不飽和化合物は、アクリレート系化合物であり得る。例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、および1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートから選択される少なくとも1種を使用することができる。
【0143】
反応性不飽和化合物は、より優れた現像性を付与するために、酸無水物で処理して使用することもできる。
【0144】
反応性不飽和化合物は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して1質量部~10質量部、例えば1質量部~5質量部の含有量で含まれ得る。反応性不飽和化合物の含有量が上記範囲内である場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起きて信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐光性、耐薬品性、解像度および密着性にも優れている。
【0145】
光重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などを使用することができる。
【0146】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0147】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0148】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0149】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0150】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0151】
オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0152】
光重合開始剤は、上記の化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0153】
光重合開始剤は、光を吸収して励起した状態になった後、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用することもできる。
【0154】
光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0155】
光重合開始剤は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して0.1質量部~10質量部、例えば0.1質量部~5質量部で含まれ得る。光重合開始剤の含有量が上記範囲内である場合、露光時に感度と現像性とのバランスに優れ、残膜なしに解像度が優れたパターンを得ることができる。
【0156】
量子ドット含有層は、拡散剤をさらに含むことができる。
【0157】
例えば、拡散剤は、硫酸バリウム(BaSO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、二酸化チタン(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0158】
拡散剤は、量子ドットに吸収されていない光を反射させ、反射された光を量子ドットが再び吸収することができるようにする。つまり、拡散剤は、量子ドットに吸収される光の量を増加させることで、硬化性組成物の光変換効率を増加させることができる。
【0159】
拡散剤は、平均粒子径(D50)が150nm~250nmであり得、具体的には180nm~230nmであり得る。拡散剤の平均粒子径が上記範囲内である場合、より優れた光拡散効果を有することができ、光変換効率を増加させることができる。
【0160】
拡散剤は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して固形分を基準として0.1質量%~20質量%、例えば0.1質量%~5質量%の含有量で含まれ得る。拡散剤が量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して0.1質量%未満で含まれる場合、拡散剤の使用による光変換効率の向上効果を期待することが難しく、20質量%を超えて含まれる場合、パターン特性が低下する虞がある。
【0161】
量子ドットの安定性および分散性向上のために、量子ドット含有層はチオール系添加剤をさらに含むことができる。
【0162】
チオール系添加剤は、量子ドットのシェル表面に置換されて、溶媒に対する量子ドットの分散安定性を向上させることで、量子ドットを安定化させることができる。
【0163】
チオール系添加剤は、末端に2個~10個、例えば2個~4個のチオール基(-SH)を有することができる。
【0164】
例えば、チオール系添加剤は、末端に下記化学式2で表される官能基を少なくとも2個含むことができる。
【0165】
【0166】
上記化学式2中、
L7およびL8は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
【0167】
例えば、チオール系添加剤は、下記化学式3で表される化合物であり得る。
【0168】
【0169】
上記化学式3中、
L7およびL8は、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基、または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、
u1およびu2は、それぞれ独立して、0または1の整数である。
【0170】
例えば、上記化学式2および化学式3中、L7およびL8は、それぞれ独立して、単結合または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であり得る。
【0171】
チオール系添加剤の具体的な例としては、下記化学式2aで表されるペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(pentaerythritol tetrakis(3-mercaptopropionate))、下記化学式2bで表されるトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(trimethylolpropane tris(3-mercaptopropionate))、下記化学式2cで表されるペンタエリトリトールテトラキス(メルカプトアセテート)Pentaerythritol tetrakis(mercaptoacetate)、下記化学式2dで表されるトリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)(trimethylolpropane tris(2-mercaptoacetate))、下記化学式2eで表されるグリコールジ-3-メルカプトプロピオネート(Glycol di-3-mercaptopropionate)およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0172】
【0173】
チオール系添加剤は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して0.1質量部~10質量部、例えば0.1質量部~5質量部の含有量で含まれ得る。チオール系添加剤の含有量が上記範囲内である場合、量子ドットなどの光変換物質の安定性を向上させることができ、添加剤が有するチオール基が樹脂または単量体の(メタ)アクリロイル基と反応して共有結合を形成することによって、量子ドットなどの光変換物質の耐熱性向上の効果も有することができる。
【0174】
量子ドット含有層は、ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせを含む重合抑制剤をさらに含むことができる。量子ドット含有層は、ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせをさらに含むことによって、量子ドットなどを含む組成物をコーティングした後、露光する間に常温での架橋を防止することができる。
【0175】
例えば、ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせの例としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,5-ビス(1,1-ジメチルブチル)ハイドロキノン、2,5-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)ハイドロキノン、カテコール、t-ブチルカテコール、4-メトキシフェノール、ピロガロール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-ナフトール、トリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミネート-O,O’)アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O’)aluminium)、またはこれらの組み合わせを含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0176】
ハイドロキノン系化合物、カテコール系化合物またはこれらの組み合わせは、分散液の形態で使用され得、分散液形態の重合抑制剤は、量子ドットおよび蛍光染料含有層または量子ドット含有層(蛍光染料は含有せず)の構成成分100質量部に対して0.001質量部~1質量部、例えば0.01質量部~0.1質量部の含有量で含まれ得る。安定剤の含有量が上記範囲内である場合、常温での経時の問題を解決すると同時に、感度低下および表面剥離現象を防止することができる。
【0177】
量子ドット含有層は、チオール系添加剤、重合抑制剤以外にマロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;シラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0178】
例えば、量子ドット含有層は、基板との密着性などを改善するためにビニル基、カルボキシル基、メタクリロイルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。
【0179】
シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0180】
シラン系カップリング剤は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して0.01質量部~10質量部の含有量で含まれ得る。シラン系カップリング剤の含有量が上記範囲内である場合、密着性、保管性などに優れている。
【0181】
また、量子ドット含有層は、必要に応じてコーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0182】
フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社製のBM-1000、BM-1100など;DIC株式会社製のメガファック(登録商標、以下同じ)F142D、同F172、同F173、同F183など;3M社製のフルオラド(登録商標、以下同じ)FC-135、同FC-170C、同FC-430、同FC-431など;AGCセイミケミカル株式会社製のサーフロン(登録商標、以下同じ)S-112、同S-113、同S-131、同S-141、同S-145など;デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製のSH-28PA、同-190、同-193、SZ-6032、SF-8428など;DIC株式会社製のF-482、F-484、F-478、F-554など;の名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0183】
フッ素系界面活性剤は、量子ドット含有層の構成成分100質量部に対して0.001質量部~5質量部の含有量で使用され得る。フッ素系界面活性剤の含有量が上記範囲内である場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性に優れている。
【0184】
また、量子ドット含有層は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量さらに添加されてもよい。
【0185】
量子ドット含有層の製造方法は、特に制限されないが、例えば、前述した構成成分などを含む硬化性組成物を基板上にインクジェット方法で塗布してパターンを形成する工程(S1);および上記パターンを硬化する工程(S2)を含む製造方法が挙げられる。
【0186】
(S1)パターンを形成する工程
硬化性組成物は、インクジェット方式で0.5~10μmの厚さに基板上に塗布することが好ましい。インクジェットは、単一のカラーのみを噴射して必要な色の数により繰り返し噴射することによってパターンを形成することができ、工程を減らすために必要な色の数を同時に噴射する方式でパターンを形成することもできる。
【0187】
(S2)硬化する工程
上記で得られたパターンを硬化して硬化樹脂膜を得ることができる。硬化する方法としては熱硬化工程が好ましい。熱硬化工程は、約100℃以上の温度で約3分間加熱して硬化性組成物に含まれる溶媒を先に除去した後、次いで、160℃~300℃の温度で加熱して硬化する工程であり得、より好ましくは180℃~250℃の温度で約30分間加熱して硬化する工程であり得る。
【0188】
また、量子ドット含有層は、インクジェット方式以外の方法で製造することもできる。この場合の製造方法は、前述した構成成分などを含む硬化性組成物を所定の前処理をした基板上に、バーコーティング、スピンコーティング、ローラーコーティング、スプレーコーティングなどの適当な方法を使用することで、例えば、0.5μm~10μmの厚さに塗布し、カラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される活性エネルギー線としては、紫外線(UV)、電子線またはX線を使用することができ、例えば、波長190nm~450nm、具体的には波長200nm~400nmの領域のUVを照射することができる。照射する工程において、フォトレジストマスクをさらに使用して照射を実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、光が照射された組成物層を現像液で処理する。この際、組成物層で非露光の部分が溶解することによって、カラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色の数により繰り返すことによって、所望するパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。また現像により得られた画像パターンを再び加熱したり、活性エネルギー線照射などにより硬化すれば耐クラック性、耐溶剤性などを向上させることができる。
【0189】
硬化性組成物は、溶媒をさらに含むことができる。
【0190】
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸アルキルエステル類;メチルヒドロキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、ブチルヒドロキシアセテートなどのヒドロキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシメチルアセテート、メトキシエチルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシメチルアセテート、エトキシエチルアセテートなどの酢酸アルコキシアルキルエステル類;メチル3-ヒドロキシプロピオネート、エチル3-ヒドロキシプロピオネートなどの3-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネートなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、プロピル2-ヒドロキシプロピオネートなどの2-ヒドロキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-メトキシプロピオネート、エチル2-エトキシプロピオネート、メチル2-エトキシプロピオネートなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;メチル2-メトキシ-2-メチルプロピオネート、エチル2-エトキシ-2-メチルプロピオネートなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシエチルプロピオネート、2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート、ヒドロキシエチルアセテート、メチル2-ヒドロキシ3-メチルブタノエートなどのエステル類;またはピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類の化合物があり、またN-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フェニルセロソルブアセテート、ジメチルアジフェートなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0191】
例えば、溶媒は、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレンジグリコールメチルエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;エタノールなどのアルコール類、またはこれらの組み合わせを使用することが好ましい。
【0192】
例えば、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンジグリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルアセトアミド、2-ブトキシエタノール、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメチルアジペートまたはこれらの組み合わせを含む溶媒であり得る。
【0193】
溶媒は、硬化性組成物の総量に対して残部量で含まれ得る。
【実施例0194】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施形態に過ぎず、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
【0195】
(合成例)
下記合成例で得られた化合物を、メチルエチルケトン(MEK)溶媒で10ppmの濃度に希釈した後、UV/VIS分光光度計(Perkinelmer、Lamda25)を用いて最大吸収波長を測定した。また、ビア(Beer)の法則により吸光係数を計算した。また、最大吸収波長での吸収が半分になる領域である半値幅(nm)を測定した。
【0196】
合成例1:化学式1-1-1で表される化合物の合成
【0197】
【0198】
250L丸底フラスコに、2,4-ジメチルピロール(2,4-Dimethylpyrrole)6g(63.1mmol)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンズアルデヒド(3,5-bis(trifluoromethyl)-benzaldehyde)1.9g(7.88mmol)、およびジクロロメタン(DCM)40mlを入れて常温で30分間攪拌した。トリフルオロ酢酸(Trifluoroacetic Acid)0.1mlを滴下した後、16時間常温で攪拌した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)4.4g(7.88mmol)をトルエン50mlに溶かした溶液を滴下した後、4時間追加攪拌した。溶媒を除去した後、酢酸エチル/ヘキサン/TEA(20%/80%/0.2%)混合溶液を使用してカラムクロマトグラフィーを利用して精製後に乾燥した(収率66%、2g)。
【0199】
【0200】
1Lフラスコに、上記合成例1-1で得られた化合物 2g(4.83mmol)を入れ、クロロホルム240ml中で攪拌した。Co(OAc)2 0.43g(2.41mmol)をメタノール(MeOH)200mlに溶かし溶液を得た後、このCo(OAc)2/MeOH溶液を入れて共に攪拌した。さらに、トリエチルアミン(TEA) 40mlを入れ、常温で4時間攪拌して反応させた。反応物の溶媒をエバポレーション(Evaporation)した後、メタノールを入れて再結晶した。やや赤い(Redish)粉末をろ過して乾燥することによって、下記化学式1-1-1で表される化合物を合成した(収率50%、1.1g)。
【0201】
【0202】
合成例2:化学式1-1-2で表される化合物の合成
Co(OAc)2の代わりにPd(OAc)2を使用したことを除き、合成例1と同様にして、下記化学式1-1-2で表される化合物を合成した。
【0203】
【0204】
合成例3:化学式1-1-3で表される化合物の合成
【0205】
【0206】
窒素雰囲気下で、上記化学式1-1-1で表される化合物 1g(1.08mmol)をメチレンクロライド20mlに溶かした。N-ブロモスクシンイミド(N-Bromosuccinimide、NBS)0.81g(4.52mmol)を投入後、常温で4時間反応させた。蒸留後、カラムを通じて分離し、下記化学式1-1-3で表される化合物を得た。
【0207】
【0208】
比較合成例1:化学式C-1で表される化合物の合成
【0209】
【0210】
3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンズアルデヒド(3,5-bis(trifluoromethyl)-benzaldehyde)の代わりにベンズアルデヒド(benzaldehyde)を使用したことを除き、合成例1-1と同様にして、中間体を合成した(上記比較合成例1-1参照)。
【0211】
【0212】
比較合成例1-1で合成された中間体 2.5g(5.9mmol)と、トルエン(Toluene)1000mlと、トリエチルアミン 2.5ml(17.8mmol)とを順次に投入した後攪拌した。BF3・Et2O 3.7ml(29.7mmol)を投入して100℃で4時間攪拌した。溶媒を除去した後、メチレンクロライド/ヘキサン/TEA(79.9体積%/19.9体積%/0.2体積%)混合溶液を使用してカラムクロマトグラフィーを利用して精製後に乾燥した。
【0213】
乾燥された合成物 2.2g(4.7mmol)とメチレンクロライド(Methylene Chloride)100mlとを投入して攪拌した。アルミニウムクロライド1.6g(11.8mmol)を追加的に投入して5分間攪拌した。ここに、カテコール 2.1g(18.8mmol)をアセトニトリル10mlに溶解した溶液を投入して常温で30分間攪拌した後、水洗し、溶媒を除去した後、メタノールを投入して攪拌した。析出した固体をろ過した後、乾燥して、下記化学式C-1で表される化合物を得た(収率50%、1.2g)(上記比較合成例1-2参照)。
【0214】
【0215】
比較合成例2:化学式C-2で表される化合物の合成
2,4-ジメチルピロール(2,4-Dimethylpyrrole)の代わりにピロール(Pyrrole)を使用したことを除き、合成例1と同様にして、下記化学式C-2で表される化合物を合成した。
【0216】
【0217】
比較合成例3:化学式C-3で表される化合物の合成
Co(OAc)2の代わりにCu(OAc)2を使用したことを除き、合成例1と同様にして、下記化学式C-3で表される化合物を合成した。
【0218】
【0219】
(評価1:分光整合性)
合成例1~合成例3および比較合成例1~比較合成例3による化合物の最大吸収波長および半値幅を下記表1に示した。下記表1から、合成例1~合成例3および比較合成例1による化合物は、比較合成例2および比較合成例3による化合物とは異なり、490nm~515nmの間で最大吸収波長を有し、同時に50nm以下の半値幅を有することで、分光整合性の調節が容易であることが分かる。
【0220】
【0221】
(反射防止フィルムの製造)
(実施例1)
窒素ガスが還流され、温度調節が容易なように冷却装置が設けられた1Lの反応器に、n-ブチルアクリレート 99質量部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート 1質量部を含む単量体混合物 100質量部、ならびに酢酸エチル 150質量部を投入して、攪拌しながら窒素ガスを1時間投入して反応器内の酸素を窒素に置換させた後、反応器の温度を70℃に維持した。開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル 0.06質量部を投入して8時間反応させて、(メタ)アクリル系共重合体含有溶液を製造した。(メタ)アクリル系共重合体は、Tgが-46℃、重量平均分子量は1,100,000g/molであった。酢酸エチルを添加して、19.4質量%の(メタ)アクリル系共重合体溶液を製造した。(メタ)アクリル系共重合体100質量部の固形分を基準に、XDI系イソシアネート系架橋剤(TD-75、固形分75質量%、綜研化学株式会社)0.193質量部、シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社製)0.154質量部、および上記合成例1で得られた化学式1-1-1で表される化合物 0.06質量部をそれぞれ混合した。その後、メチルエチルケトン 25質量部を投入して粘着層用組成物を製造した。
【0222】
反射防止層(PETフィルム上部面にハードコート層、高屈折層、低屈折層が順次に積層された反射防止層、反射率:0.2%、大日本印刷株式会社)の基材フィルムであるPETフィルムの下部面に、バーコーターを用いて粘着層用組成物を直接塗布し、90℃オーブンで4分間乾燥させて、厚さ20μmの反射防止フィルムを製造した。
【0223】
(実施例2)
合成例1の化学式1-1-1で表される化合物の代わりに、合成例2の化学式1-1-2で表される化合物を使用したことを除き、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを製造した。
【0224】
(実施例3)
合成例1の化学式1-1-1で表される化合物の代わりに、合成例3の化学式1-1-3で表される化合物を使用したことを除き、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを製造した。
【0225】
(比較例1)
合成例1の化学式1-1-1で表される化合物の代わりに、比較合成例1の化学式C-1で表される化合物を使用したことを除き、実施例1と同様にして、反射防止フィルムを製造した。
【0226】
(評価2:耐光信頼性)
量子ドットが適用されたパネル用フィルムの耐光信頼性の改善を確認するために、光学部材(一方の面に量子ドット含有層が位置したガラスの他方の面に、反射防止フィルムを合紙して製造)を製造した後、光学部材に対してXenon Test Chamber(Q-SUN)を用いて、[光源ランプ:Xenonランプ、照射強さ:0.35W/cm2、照射温度:63℃、照射時間:500時間、照射方向:反射防止フィルム側で照射]の条件で照射する前と照射した後の波長550nmで光透過率を測定した後、光透過率の変化量で耐光信頼性を評価して、その結果を下記表2に示した。光透過率変化量(ΔT%)は、照射前の光透過率と照射後の光透過率との差の絶対値である。
【0227】
【0228】
(耐光信頼性の評価基準)
○:光透過率変化量(ΔT%)が5%以下
×:光透過率変化量(ΔT%)が5%超。
【0229】
上記表1および表2から、実施例1~実施例3の場合、比較例1~比較例3よりも耐光信頼性が改善された結果を確認することができる。特に、比較例1に使用された化合物である比較合成例1による化合物は、化合物自体の分光整合性の調節は容易であるが、これを反射防止フィルムに適用した場合、化学式1で表される化合物を反射防止フィルムに適用した場合と比較して、耐光信頼性が大きく低下することを確認することができる。つまり、本発明による化合物が適用された反射防止フィルムおよび量子ドット含有ディスプレイ装置は、青色の長波長領域および緑色の短波長領域を効果的に吸収することによって、量子ドットを適用したパネルの色再現率を向上することが可能であることを確認できる。より具体的には、従来のLCDパネルの場合、耐光性テストのための一定条件で一定時間経過後、最大吸収波長での色素残留率を測定して耐光性を確認したが、耐光性テストのための一定条件で一定時間が経過すれば最大吸収波長自体が変化するため、色素残留率が耐光性を担保するバロメーターにならないという意見が多く、これを考慮して、本願では照射前後の特定波長での光透過率変化量を通じて耐光信頼性を確認した。
【0230】
本発明は、上記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造可能であり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに、他の具体的な形態に実施可能であることを理解できるはずである。したがって、上記した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的なものでないと理解しなければならない。