(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025036
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】がんの処置のためのアベルマブの投与レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230214BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00 ZNA
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022181075
(22)【出願日】2022-11-11
(62)【分割の表示】P 2019518485の分割
【原出願日】2017-10-05
(31)【優先権主張番号】62/405,188
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/565,728
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510069249
【氏名又は名称】ファイザー・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース,グレン イアン
(72)【発明者】
【氏名】ベロ,カーロ レオネル
(72)【発明者】
【氏名】ブラー,サトジト シング
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオナン
(72)【発明者】
【氏名】ジラール,パスカル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】がんの処置のためのアベルマブの投与レジメンを提供する。
【解決手段】本発明は、がんの処置のためのアベルマブの改良された投与レジメンに関する。一実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、5~10mg/KgQ1Wの投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含む、方法に関する。この実施形態の一態様では、投与レジメンは、5mg/kg Q1W、6mg/kg Q1W、7mg/kg Q1W、8mg/kg Q1W、9mg/kg Q1Wまたは10mg/kg Q1Wである。より好ましくは、投与レジメンは、5mg/kg Q1W、8mg/kg Q1Wまたは10mg/kg Q1Wである。さらにより好ましくは、投与レジメンは、10mg/kg Q1Wである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のがんを処置する方法であって、5~10mg/kg Q1Wの投与レジメンに従
って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記投与レジメンが、5mg/kg Q1Wである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与レジメンが、10mg/kg Q1Wである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記投与レジメンが、8mg/kg Q1Wである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記がんが、NSCLCである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記がんが、MCCである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
患者のがんを処置する方法であって、11~20mg/kg Q2Wの投与レジメンに
従って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項9】
前記投与レジメンが、15mg/kg Q2Wである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記投与レジメンが、20mg/kg Q2Wである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記投与レジメンが、17mg/kg Q2Wである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項8から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記がんが、NSCLCである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記がんが、MCCである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
患者のがんを処置する方法であって、15~30mg/kg Q3Wの投与レジメンに
従って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記投与レジメンが、15mg/kg Q3Wである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記投与レジメンが、20mg/kg Q3Wである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記投与レジメンが、25mg/kg Q3Wである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記投与レジメンが、30mg/kg Q3Wである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項15から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記がんが、NSCLCである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記がんが、MCCである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
患者のがんを処置する方法であって、Xmg/kg Q1Wをn週間、続いてYmg/
kg Q2Wの投与レジメンに従って、アベルマブを前記患者に投与することを含み、X
が、5~20であり、Yが、10~20であり、nが、6、12または18である、方法
。
【請求項24】
Xが、5~20であり、Yが、10であり、nが、6または12である、請求項23に
記載の方法。
【請求項25】
Xが、10であり、Yが、10であり、nが、12である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
Xが、10であり、Yが、10であり、nが、6である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
Xが、15であり、Yが、10であり、nが、12である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
Xが、5であり、Yが、10であり、nが、12である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
Xが、8であり、Yが、10であり、nが、12である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項23から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記がんが、NSCLCである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記がんが、MCCである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
患者のがんを処置する方法であって、400~800mg固定用量Q1Wの投与レジメ
ンに従って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項34】
前記投与レジメンが、400mg固定用量Q1Wである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記投与レジメンが、800mg固定用量Q1Wである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記投与レジメンが、600mg固定用量Q1Wである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項33から37のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記がんが、NSCLCである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記がんが、MCCである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
患者のがんを処置する方法であって、880~1600mg固定用量Q2Wの投与レジ
メンに従って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項41】
前記投与レジメンが、1200mg固定用量Q2Wである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記投与レジメンが、1600mg固定用量Q2Wである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項40から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記がんが、NSCLCである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記がんが、MCCである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
患者のがんを処置する方法であって、1200~2400mg固定用量Q3Wの投与レ
ジメンに従って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項47】
前記投与レジメンが、1200mg固定用量Q3Wである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記がんが、NSCLCである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記がんが、MCCである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
患者のがんを処置する方法であって、400~1600mg Q1Wをn週間、続いて
800~1600mg Q2Wの投与レジメンに従って、アベルマブを前記患者に投与す
ることを含み、nが、6、12または18である、方法。
【請求項52】
前記投与レジメンが、800mg Q1Wをn週間、続いて800mg Q2Wであり
、nが、6または12である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
nが、12である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
nが、6である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記投与レジメンが、1200mg Q1Wをn週間、続いて800mg Q2Wであ
り、nが、12である、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記投与レジメンが、400mg Q1Wをn週間、続いて800mg Q2Wであり
、nが、12である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記投与レジメンが、640mg Q1Wをn週間、続いて800mg Q2Wであり
、nが、12である、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項51から57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記がんが、NSCLCである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記がんが、MCCである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
患者のがんを処置する方法であって、400~800mg固定用量 Q2Wの投与レジ
メンに従って、アベルマブを前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項62】
前記投与レジメンが、800mg固定用量 Q2Wである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記がんが、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃
がんからなる群から選択される、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが、NSCLCである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記がんが、MCCである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
PD-L1発現の腫瘍比率スコアが、1%以上、5%以上、10%以上、20%以上、
30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、95%以
上、または95%以上である、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
PD-L1発現の腫瘍比率スコア(TPS)が、50%以上である、請求項66に記載
の方法。
【請求項68】
患者のがんを処置する方法であって、800mg Q1Wを12週間、続いて800m
g Q2W、10mg/kg Q1Wを12週間、続いて10mg/kg Q2Wおよび
1200mg Q3Wからなる群から選択される投与レジメンに従って、アベルマブを前
記患者に投与することを含み、PD-L1発現の腫瘍比率スコアが、5%以上、20%以
上、50%以上または80%以上である、方法。
【請求項69】
PD-L1発現の腫瘍比率スコアが、50%以上であり、がんが、非小細胞肺がんであ
る、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの処置のためのアベルマブの投与レジメンに関する。特に、本発明は、
がんの処置のためのアベルマブの改良された投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0002】
プログラム死1(PD-1)受容体ならびにPD-1リガンド1および2(それぞれ、
PD-L1およびPD-L2)は、免疫調節において不可欠な役割を果たす。活性化T2
5細胞で発現したPD-1は、間質細胞、腫瘍細胞、またはその両方によって発現された
PD-L1(B7-H1としても知られる)およびPD-L2によって活性化され、T細
胞死および局所性免疫抑制を開始し(Dong et al., Nat Med 1999; 5:1365-69; Freeman
et al. J Exp Med 2000; 192:1027-34)、腫瘍発生および成長に対する免疫寛容環境を潜
在的に提供する。逆に、この相互作用の阻害は、非臨床動物モデルにおいて、局所T30
細胞応答を増強させ、抗腫瘍活性を媒介することができる(Iwai Y, et al.Proc Natl Ac
ad Sci USA 2002; 99:12293-97)。
【0003】
アベルマブは、PD-L1を特異的に標的とし、遮断するIgG1アイソタイプの完全
ヒトmAbである。アベルマブは、抗PD-L1モノクローナル抗体MSB001071
8Cに対する国際一般名称(International Nonproprietary Name)(INN)であり、
A09-246-2と称される国際公開第2013079174号パンフレットの全長重
鎖および軽鎖配列によって記載されている。その重鎖のC末端のリシンのグリコシル化お
よび切断は、国際公開第2017097407号パンフレットに記載されている。アベル
マブは、メルケル細胞癌(MCC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、尿路上皮癌(UC
)、腎細胞癌(RCC)および10mg/kg Q2Wの投与レジメンのいくつかの他の
がん状態の処置のために臨床開発されてきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、がんの処置のためのアベルマブの投与レジメンに関する。より詳細には、
本発明は、患者のがんを処置する方法であって、臨床試験で使用される10mg/kg
Q2Wの現行の投与レジメンよりも、Ctroughまたは他の適切なPKパラメータで
測定した場合、患者におけるアベルマブのより高い平均曝露をもたらす投与レジメンを患
者に投与することを含む、方法に関する。
【0005】
一実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、5~10mg/Kg
Q1Wの投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含む、方法に関する。こ
の実施形態の一態様では、投与レジメンは、5mg/kg Q1W、6mg/kg Q1
W、7mg/kg Q1W、8mg/kg Q1W、9mg/kg Q1Wまたは10m
g/kg Q1Wである。より好ましくは、投与レジメンは、5mg/kg Q1W、8
mg/kg Q1Wまたは10mg/kg Q1Wである。さらにより好ましくは、投与
レジメンは、10mg/kg Q1Wである。この実施形態の別の態様では、この実施形
態の任意の他の態様と組み合わせて、がんは、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、
卵巣がん、頭頸部がん、胃がん、中皮腫、尿路上皮癌、乳がん、胃の腺癌および胸腺腫か
らなる群から選択される。好ましくは、がんは、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん
、卵巣がん、頭頸部がんおよび胃がんである。より好ましくは、がんは、MSCLCまた
はMCCである。別の実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、1
1~20mg/kg Q2Wの投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含む
、方法に関する。この実施形態の一態様では、投与レジメンは、11、12、13、14
、15、16、17、18、19または20mg/kg Q2Wである。好ましくは、投
与レジメンは、13、15、17または20mg/kg Q2Wである。より好ましくは
、投与レジメンは、15または20mg/kg Q2Wである。さらにより好ましくは、
投与レジメンは、20mg/kg Q2Wである。この実施形態の別の態様では、この実
施形態の任意の他の態様と組み合わせて、がんは、MCC、NSCLC、RCC、膀胱が
ん、卵巣がん、頭頸部がん、胃がん、中皮腫、尿路上皮癌、乳がん、胃の腺癌および胸腺
腫からなる群から選択される。好ましくは、がんは、MCC、NSCLC、RCC、膀胱
がん、卵巣がん、頭頸部がんまたは胃がんである。より好ましくは、がんは、MSCLC
またはMCCである。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、15~30mg/
kg Q3Wの投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含む、方法に関する
。この実施形態の一態様では、投与レジメンは、15、16、17、18、19、20、
21、22、23、24、25、26、27、28、29または30mg/kg Q3W
である。好ましくは、投与レジメンは、15、20、25または30mg/kg Q3W
である。より好ましくは、投与レジメンは、15、20または25mg/kg Q3Wで
ある。さらにより好ましくは、投与レジメンは、20mg/kg Q3Wである。この実
施形態の別の態様では、この実施形態の任意の他の態様と組み合わせて、がんは、MCC
、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がん、胃がん、中皮腫、尿路上皮癌
、乳がん、胃の腺癌および胸腺腫からなる群から選択される。好ましくは、がんは、MC
C、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんまたは胃がんである。より好
ましくは、がんは、MSCLCまたはMCCである。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、Xmg/kg Q
1Wをn週間、続いてYmg/kg Q2Wの投与レジメンで、アベルマブを患者に投与
することを含み、Xが、5~20、Yが、10~20、nが、6、12または18である
、方法に関する。この実施形態の一態様では、nは、12である。実施形態の別の態様で
は、nは、6である。実施形態の別の態様では、この実施形態の任意の他の態様と組み合
わせて、Xは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、19
、18、19または20である。好ましくは、Xは、5、10、15または20である。
より好ましくは、Xは、5、10、または15である。さらにより好ましくは、Xは、1
0である。実施形態の別の態様では、この実施形態の任意の他の態様と組み合わせて、Y
は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
好ましくは、Yは、10、15または20である。より好ましくは、Yは、10である。
この実施形態の別の態様では、この実施形態の任意の他の態様と組み合わせて、がんは、
MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がん、胃がん、中皮腫、尿路
上皮癌、乳がん、胃の腺癌および胸腺腫からなる群から選択される。好ましくは、がんは
、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がんまたは胃がんである。
より好ましくは、がんは、MSCLCまたはMCCである。
【0008】
一部の実施形態では、上述のmg/kg用量に代えて、固定用量(flat dose)を使用
することができる。mg/kg用量と固定用量の間の相関は、例えば、以下のようになさ
れ得る:5mg/kgは、約500mg固定用量であり;10mg/kgは、約800m
gであり;11mg/mgは、約900mgであり;15mg/kgは、約1240mg
固定用量であり;20mgは、約1600mg固定用量であり、30mg/kgは、約2
400mg固定用量である。したがって、本発明の別の実施形態では、アベルマブのmg
/kgの投与レジメンに基づく前述の実施形態は、本明細書に記載の対応する固定投与レ
ジメンと置き換えることができる。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、アベルマブの固定
投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含む、方法に関する。実施形態の一
態様では、固定投与レジメンは、400~800mg固定用量Q1Wである。好ましくは
、固定投与レジメンは、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg
、650mg、700mg、750mgまたは800mg固定用量Q1Wである。好まし
くは、固定投与レジメンは、800mg固定用量Q1Wである。この実施形態の別の態様
では、固定投与レジメンは、880~1600mg固定用量Q2Wである。好ましくは、
固定投与レジメンは、880mg、900mg、950mg、1000mg、1050m
g、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、135
0mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mgまたは1600mg
固定用量Q2Wである。より好ましくは、固定投与レジメンは、1200mgまたは16
00mg固定用量Q2Wである。この実施形態の別の態様では、固定投与レジメンは、1
200~2400mg固定用量Q3W、好ましくは、1200mg Q3Wである。好ま
しくは、固定投与レジメンは、1200mg、1250mg、1300mg、1350m
g、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、165
0mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1
950mg、2000mg、2050mg、2100mg、2150mg、2200mg
、2250mg、2300mg、2350mgまたは2400mg固定用量Q3Wである
。より好ましくは、投与レジメンは、1200mg固定用量Q3Wである。実施形態の別
の態様では、固定投与レジメンは、400~1600mg Q1Wをn週間、続いて80
0~1600mg Q2Wであり、nは、6、12または18である。好ましくは、固定
投与レジメンは、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、65
0mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、
850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000
mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、13
00mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mgま
たは1600mg Q1Wをn週間、続いて800mg、850mg、900mg、95
0mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1
250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg
、1550mgまたは1600mg Q2Wである。より好ましくは、投与レジメンは、
800mg固定用量Q1Wをn週間、続いて800mg固定用量Q2Wである。さらによ
り好ましくは、nは、12である。この実施形態の別の態様では、固定投与レジメンは、
400~800mg固定用量Q2Wである。好ましくは、固定投与レジメンは、400m
g、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、75
0mgまたは800mg固定用量Q2Wである。より好ましくは、固定投与レジメンは、
800mg固定用量Q2Wである。この実施形態の別の態様では、矛盾しないこの実施形
態の任意の他の態様と組み合わせて、がんは、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、
卵巣がん、頭頸部がん、胃がん、中皮腫、尿路上皮癌、乳がん、胃の腺癌および胸腺腫か
らなる群から選択される。好ましくは、がんは、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん
、卵巣がん、頭頸部がんまたは胃がんである。より好ましくは、がんは、NSCLCまた
はMCCである。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、がんを処置する方法であって、先行する実施形態のいず
れかに記載の投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含み、患者が、1%以
上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%
以上、70%以上、80%以上、95%以上、または95%以上のPD-L1発現のTP
Sを有する、方法を対象とする。好ましくは、PD-L1発現のTPSは、20%以上で
ある。より好ましくは、PD-L1発現のTPSは、50%以上である。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、患者のがんを処置する方法であって、800mg Q1
Wを12週間、続いて800mg Q2W、10mg/kg Q1Wを12週間、続いて
10mg/kg Q2Wおよび1200mg Q3Wからなる群から選択される投与レジ
メンで、アベルマブを患者に投与することを含み、PD-L1発現の腫瘍比率スコア(tu
mor proportion score)が、5%以上、20%以上、50%以上または80%以上である
、方法を対象とする。好ましくは、PD-L1発現の腫瘍比率スコアは、20%以上であ
る。より好ましくは、PD-L1発現のTPSは、50%以上である。この実施形態の一
態様では、がんは、NSCLC、尿路上皮がん、RCC、卵巣がん、頭頸部がんまたは胃
がんから選択される。より好ましくは、がんは、NSCLCである。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、がんを処置する方法であって、先行する実施形態のいず
れかに記載の投与レジメンで、アベルマブを患者に投与することを含み、第2の抗がん処
置の少なくとも1つを、患者に投与することをさらに含む、方法を対象とする。この実施
形態の態様では、方法は、第2の抗がん処置の1つまたは2つを投与することをさらに含
む。好ましくは、第2の抗がん処置は、VEGFRアンタゴニスト、抗4-1BB抗体、
抗OX-40抗体、抗MCSF抗体、薬物ペイロードが抗新生物剤である抗PTK-7抗
体をベースとする抗体薬物コンジュゲート(ADC)、IDO1アンタゴニスト、ALK
アンタゴニスト、抗がんワクチン、放射線療法および関連する腫瘍型のがんの治療処置の
標準からなる群から選択される。好ましくは、VEGFRアンタゴニストは、アキシチニ
ブであり、抗4-1BB抗体は、PF0582566であり、抗OX-40抗体は、PF
4518600であり、抗MCSF抗体は、PF-0360324であり、ALKアンタ
ゴニストは、クリゾチニブまたはロルラチニブ(PF-06463922)であり、抗P
TK7抗体をベースとするADCは、PF-06647020である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】MCCの第III相試験における88名の患者についてのC
trough値のORR曲線を示すグラフである。
【
図2】NSCLC患者のファーストラインの第III相における156名の患者についてのC
trough値のORR曲線を示すグラフである。
【
図3】NSCLC患者のセカンドラインの第I相における184名の患者についてのC
trough値のORR曲線を示すグラフである。
【
図4A】集団全体に関する(
図4A)PK SSモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg固定Q2Wの投与後のAUC
0~336h(μgh/mL)の分布を示す密度プロットを示すグラフである。
【
図4B】重量の四分位で分割した(
図4B)PK SSモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg固定Q2Wの投与後のAUC
0~336h(μgh/mL)の分布を示す密度プロットを示すグラフである。
【
図5A】集団全体に関する(
図5A)PK SSモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの投与後のAUC
0~336h(μgh/mL)を示す箱ひげ図を示すグラフである。
【
図5B】重量の四分位で分割した(
図5B)PK SSモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの投与後のAUC
0~336h(μgh/mL)を示す箱ひげ図を示すグラフである。
【
図6】10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの用量について、PK CYCLEモデルに基づいて転移性MCC(mMCC)に関してシミュレートした研究における最良全奏効(BOR)の平均確率の密度プロットを示すグラフである。
【
図7】10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wについて、UCに関してシミュレートした研究におけるBORの平均確率の箱ひげ図を示すグラフである。
【
図8A】PK CYCLEモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの用量の後の免疫関連有害事象(irAE)を経験する確率を示す、密度プロット(
図8A)を示すグラフである。
【
図8B】PK CYCLEモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの用量の後の免疫関連有害事象(irAE)を経験する確率を示す、箱ひげ図(
図8B)を示すグラフである。
【
図9A】PK SSモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの用量の後のirAEを経験する確率を示す、密度プロット(
図9A)を示すグラフである。
【
図9B】PK SSモデルを使用して、10mg/kg Q2Wおよび800mg Q2Wの用量の後のirAEを経験する確率を示す、箱ひげ図(
図9B)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用する場合、「曲線下面積」(AUC)、Ctrough、Cmax、「
最良全奏効」(BOR)、「全奏効率」(ORR)、Q1W、Q2W、Q3Wなどの用語
は、それらが当業者によって通常知られている意味を有する。
【0015】
本明細書で使用する場合、「抗がん処置」という用語は、任意の関連する腫瘍型のがん
の治療処置の任意の標準、またはがんの処置に対して効果を有するかもしくは潜在的に有
する現状技術、もしくは関連する腫瘍型において文書化されたがんの治療処置の標準以外
の任意の単一の医薬品、2種もしくはそれより多い単一の医薬品の任意の固定用量の組合
せの投与を指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、「がんの治療処置の標準」という用語は、NCCN Guidelines
Version 1 2017で示唆される任意の特定の腫瘍型の任意の非外科的処置を指す。明確化の
ために、がんの治療処置のこのような標準は、放射線、あるいは単一の医薬品、2種もし
くはそれより多い単一の医薬品の固定用量の組合せまたは2種もしくはそれより多い単一
の医薬品の組合せの投与であってよいが、但し、がんの治療処置の標準は、いずれのPD
-1またはPD-L1アンタゴニストも未だ含有していないことを条件とする。
【0017】
本明細書で使用する場合、「単一の医薬品」という用語は、組成物中に唯一の活性医薬
成分として単一の物質を含む任意の組成物を意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「腫瘍比率スコア」または「TPS」という用語は、本明細
書で使用する場合、試料の免疫組織化学試験における部分的または完全膜染色を示す生存
腫瘍細胞の百分率を指す。本明細書で使用する「PD-L1発現の腫瘍比率スコア」は、
試料のPD-L1発現の免疫組織化学試験における部分的または完全膜染色を示す生存腫
瘍細胞の百分率を指す。例示的な試料としては、限定されないが、生物学的試料、組織試
料、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト組織試料およびホルマリン固定パラ
フィン包埋(FFPE)ヒト腫瘍組織試料が挙げられる。例示的なPD-L1発現の免疫
組織化学試験としては、限定されないが、PD-L1 IHC 22C3 PharmD
x(FDAに承認された、Daco)、Ventana PD-L1 SP263アッセ
イ、およびPCT/EP2017/073712に記載された試験が挙げられる。
【0019】
「投与」および「処置」は、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官、または生体液
に適用される場合、外因性の医薬品、治療剤、診断剤、または組成物の動物、ヒト、対象
、細胞、組織、器官、または生体液への接触を指す。細胞の処置は、試薬の細胞への接触
、および試薬の細胞と接触している体液への接触を包含する。「投与」および「処置」は
、試薬、診断、結合化合物によるか、または別の細胞による、in vitroおよびe
x vivoでの、例えば、細胞の処置も意味する。「対象」という用語は、任意の生物
、好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、イヌ、ネコ、お
よびウサギ)および最も好ましくはヒトを含む。「処置」は、臨床現場で使用される場合
、有益なまたは所望の臨床結果を得ることを意図する。この発明の目的では、有益なまた
は所望の臨床結果として、これらに限定されないが、以下の1つまたは複数が挙げられる
:新生物もしくはがん細胞の増殖を低減すること(または新生物もしくはがん細胞を破壊
すること)、新生物細胞の転移を阻害すること、腫瘍サイズを縮小または減少させること
、疾患(例えば、がん)の寛解、疾患(例えば、がん)から生じる症状を減少させること
、疾患(例えば、がん)に罹患している者の生活の質を増加させること、疾患(例えば、
がん)を処置するために必要とされる他の薬物療法の用量を減少させること、疾患(例え
ば、がん)の進行を遅らせること、疾患(例えば、がん)を治癒させること、および/ま
たは疾患(例えば、がん)を有する患者の生存を延長させること。
【0020】
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する、少なくとも1つの抗原認識部
位を介して、標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特
異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書で使用する場合、この
用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その抗原結
合断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)および
ドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ科の抗体を含む)、ならびに抗体を含む融合タ
ンパク質、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された立体
配置も包含する。抗体は、任意のクラスの抗体、例えば、IgG、IgA、またはIgM
(またはそのサブクラス)を含み、抗体は、任意の特定のクラスのものである必要はない
。抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列によって、免疫グロブリンを、異なるクラスに割
り当てることができる。5つの主要なクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE
、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、
例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2にさらに分
割することができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞ
れ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。異なるクラスの
免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。
【0021】
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、本明細書で使用する場
合、所与の抗原(例えば、PD-L1)に特異的に結合する能力を保持するインタクトな
抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片に
よって実施することができる。抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含された結合断
片の例として、Fab;Fab’;F(ab’)2;VHおよびCH1ドメインからなる
Fd断片;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;単一ドメイン
抗体(dAb)断片(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989)、および単離された相
補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0022】
標的(例えば、PD-L1タンパク質)に「優先的に結合する」または「特異的に結合
する」(本明細書で互換的に使用される)抗体、抗体コンジュゲート、またはポリペプチ
ドは、当技術分野において十分に理解される用語であり、このような特異的または優先的
結合を決定する方法も、当技術分野で周知である。分子は、それが、代わりの細胞または
物質と反応または会合するよりも、より高い頻度で、より素早く、より長い期間および/
またはより高い親和性で、特定の細胞または物質と反応または会合する場合に、「特異的
に結合すること」または「優先的に結合すること」を示すと考えられる。抗体は、それが
、他の物質に結合するよりも、より高い親和性、結合力で、より素早く、および/または
より長い期間結合する場合に、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」
。例えば、PD-L1エピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、それが、他
のPD-L1エピトープまたは非PD-L1エピトープに結合するよりも、より高い親和
性、結合力で、より素早く、および/またはより長い期間このエピトープに結合する抗体
である。この定義を読むことによって、例えば、第1の標的に特異的にまたは優先的に結
合する抗体(または部分またはエピトープ)は、第2の標的に特異的にまたは優先的に結
合してもよく、または結合しなくてもよいことも理解される。このように、「特異的に結
合すること」または「優先的に結合すること」は、排他的に結合することを(含むことは
できるが)必ずしも必要とするものではない。一般的に、結合することへの言及は、必ず
しもそうではないが、優先的に結合することを意味する。
【0023】
抗体の「可変領域」は、抗体の軽鎖の可変領域または抗体の重鎖の可変領域を、単独で
または組み合わせて指す。当技術分野で公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域はそれ
ぞれ、超可変領域としても公知の3つの相補性決定領域(CDR)によって接続した4つ
のフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖のCDRは、FRによって非常に近接して
一緒にされ、他の鎖からのCDRとともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CD
Rを決定するための少なくとも2つの技術が存在する:(1)異種間の配列変異性に基づ
くアプローチ(すなわち、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Inte
rest, (5th ed., 1991, National Institutes of Health, Bethesda MD));および(2
)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-lazikani et al., 1997, J.
Molec. Biol. 273:927-948)。本明細書で使用する場合、CDRは、いずれかのアプロ
ーチによってまたは両方のアプローチの組合せによって定義されたCDRを指し得る。
【0024】
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatおよびCho
thiaの両方の集積、AbM、接触、ならびに/もしくは立体構造による定義、または
当技術分野において周知の任意のCDR決定方法に従って同定される、可変領域内のアミ
ノ酸残基である。抗体CDRは、Kabatらによって最初に定義された超可変領域とし
て同定することができる。例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Imm
unological Interest, 5th ed., Public Health Service, NIH, Washington D.C.を参照
のこと。CDRの位置は、Chothiaらによって最初に記載された構造的ループ構造
としても同定することができる。例えば、Chothia et al., Nature 342:877-883, 1989を
参照のこと。CDR同定のための他のアプローチには「AbM定義」が含まれ、これは、
KabatとChothiaの間の折衷であり、Oxford MolecularのA
bM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標))、または、Ma
cCallum et al., J. Mol. Biol., 262:732-745, 1996に記載される、観察された抗原接触
に基づくCDRの「接触定義」を使用して誘導される。本明細書でCDRの「立体構造に
よる定義」と称される別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合へのエンタルピー
寄与をもたらす残基として同定することができる。例えば、Makabe et al., Journal of
Biological Chemistry, 283:1156-1166, 2008を参照のこと。さらに他のCDR境界の定
義は、上記のアプローチの1つに厳密に従わなくてもよいが、それでもなお、特定の残基
もしくは残基群またはさらにCDR全体が抗原結合に顕著に影響を及ぼさないという予測
または実験的所見に照らして、短くまたは長くなり得るものの、KabatのCDRの少
なくとも一部と重複することとなる。本明細書で使用する場合、CDRは、アプローチの
組合せを含む、当技術分野で公知の任意のアプローチによって定義されたCDRを指し得
る。本明細書で使用する方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されたCD
Rを利用することができる。2つ以上のCDRを含有する任意の所与の実施形態では、C
DRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、および/または立体構造に
よる定義のいずれかに従って定義され得る。
【0025】
「単離した抗体」および「単離した抗体断片」は、精製の状態を指し、このような文脈
では、指定された分子が、他の生体分子、例えば、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、
または他の材料、例えば、細胞のデブリおよび増殖培地を実質的に含まないことを意味す
る。一般的に、「単離した」という用語は、このような材料が、本明細書に記載の結合化
合物の実験的または治療上の使用を実質的に妨げる量で存在しない限り、完全に存在しな
いこと、または水、緩衝液、もしくは塩が存在しないことを指すことを意図するものでは
ない。
【0026】
「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」は、本明細書で使用する場
合、実質的に均質な抗体の集団を指し、すなわち、集団を含む抗体分子は、僅かな量で存
在し得る天然に存在する可能性のある変異以外は、アミノ酸配列において同一である。対
照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープに対し
て特異的であることが多いそれらの可変ドメイン、特にそれらのCDR内に異なるアミノ
酸配列を有する多数の異なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な
抗体の集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の製造を要求す
るものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗
体は、Kohler et al. (1975) Nature 256: 495により最初に記載されたハイブリドーマ法
により作製することができ、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,5
67号を参照のこと)により作製することができる。「モノクローナル抗体」は、例えば
、Clackson et al. (1991) Nature 352: 624-628およびMarks et al. (1991) J. Mol. Bi
ol. 222: 581-597に記載の技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離すること
もできる。Presta (2005) J. Allergy Clin. Immunol. 116:731も参照のこと。
【0027】
「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種(例えば、ヒト)に由
来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配
列と同一であるかまたは相同であるが、鎖(複数可)の残りが、別の種(例えば、マウス
)に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応す
る配列と同一であるかまたは相同である抗体、ならびに所望の生物学的活性を示す限り、
このような抗体の断片を指す。
【0028】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。ヒト抗体
は、マウスで、マウス細胞で、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマで産生される
場合、マウスの炭水化物鎖を含有してもよい。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗
体」は、それぞれ、マウスまたはラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
【0029】
「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えば、マウス)抗体およびヒト抗体由来の配列を含有す
る抗体の形態を指す。このような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列
を含有する。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応する
超可変ループのすべてまたは実質的にすべておよびFR領域のすべてまたは実質的にすべ
てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には、2つの可変ド
メインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択で、免疫グロブリン定常領
域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものを含む。接頭語「
hum」、「hu」または「h」は、ヒト化抗体を親のげっ歯類抗体と区別するのに必要
である場合に、抗体クローンの名称に付加される。げっ歯類抗体のヒト化形態は、一般的
に、親のげっ歯類抗体の同一のCDR配列を含むが、ある特定のアミノ酸置換が、親和性
を増加させるか、ヒト化抗体の安定性を増加させるか、または他の理由で含まれ得る。
【0030】
アベルマブは、2013年の初めに第1相臨床試験に入り、それ以降、MCC、NSC
LC、RCC、胃がん、卵巣がんおよび膀胱がんなどのいくつかの異なる腫瘍型において
第3相試験に進んだ。これらの試験の投与レジメンは、10mg/kg Q2Wであった
。現行の10mg/kg Q2Wの投与レジメンよりも良好な全奏効率を達成することが
できるアベルマブに関する改良された投与レジメンが本明細書で提供される。
【0031】
以下の表1は、本発明の処置方法、医薬および使用において使用するための抗PD-1
抗体であるアベルマブの配列を提供する。アベルマブについては、その開示が参照により
全体として本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2013/079174号パ
ンフレットに記載されている。
【0032】
【0033】
【実施例0034】
実施例1~3に関する一般的方法:母集団薬物動態(PK)モデルを使用して、MCC
およびNSCLCを有する患者について、個々の薬物動態パラメータを使用して、個々の
曝露メトリックを評価した。奏効に関する曝露メトリックの影響(Ctrough)は、
ロジスティック回帰分析によって調査し、曝露と全奏効率(ORR)の間の関係のモデル
に適用した。各実施例に対する図では、各縦棒上の黒丸は実測データの要約統計量を表し
、四分位に分割される。各四分位に対するX軸は、四分位のそれぞれにおける患者の平均
Ctroughを表し、Y軸は、個々の四分位に対する奏効確率を表し、これは、95%
信頼区間に対応している。細い曲線は、ロジスティック回帰分析モデルの適合度を表し、
すべての実測データについては、回帰についての95%予測区間(陰影付赤色エリア)に
沿っている。
【0035】
[実施例1]
MCCの第3相試験における88名の患者のC
troughとORRの相関。
88名の患者が、10mg/kg Q2Wの1時間にわたるIV注入のアベルマブ投与
によるMCCの第3相試験に参加した。患者のC
trough値に基づいて、患者を各四
分位に22名の患者を有する4つの四分位に分割した。各患者のC
trough値を、既
存のモデルおよび試験中の様々な時点において各患者について試験したアベルマブの実際
の血清濃度に基づいて計算した。
図1に示すように、患者の4つの四分位を図中の4つの
縦棒で表した。各四分位のC
trough値は、四分位の平均C
trough値で表す。
各縦棒上の黒丸は、群の全奏効率の確率を表す。
【0036】
C
troughとORRの間の正の相関を観察した(
図1)。上位の第4四分位の患者
は、約60%のORRの確率を有する(
図1)。およそ44~50ug/mLの平均C
t
rough値は、50~60%のORRの確率と相関する(
図1)。
【0037】
[実施例2]
NSCLCのファーストラインの第3相試験における156名の患者のC
troughと
ORRの相関。
156名の患者が、10mg/kg Q2Wの1時間にわたるIV注入のアベルマブ投
与によるNSCLCのファーストラインの第3相試験に参加した。患者のC
trough
値に基づいて、患者を各四分位に39名の患者を有する4つの四分位に分割した。各患者
のC
trough数を、既存のモデルおよび試験中の様々な時点において各患者について
試験したアベルマブの実際の血清濃度に基づいて計算した。
図2に示すように、患者の4
つの四分位を図中の4つの縦棒で表した。各四分位のC
trough値は、四分位の平均
C
trough値で表す。各縦棒上の黒丸は、群の全奏効率の確率を表す。
【0038】
C
troughとORRの間の正の相関を観察した(
図2)。上位の第4四分位の患者
は、約35%のORRの確率を有する(
図2)。およそ44~54ug/mLの平均C
t
roughは、35~50%のORRの確率と相関する(
図2)。
【0039】
[実施例3]
NSCLCのセカンドラインの第1b相試験における184名の患者のC
troughと
ORRの相関。
184名の患者が、10mg/kg Q2Wの1時間にわたるIV注入のアベルマブ投
与によるNSCLCのセカンドラインの第1b相試験に参加した。患者のC
trough
値に基づいて、患者を各四分位に46名の患者を有する4つの四分位に分割した。各患者
のC
trough数を、既存のモデルおよび試験中の様々な時点において各患者について
試験したアベルマブの実際の血清濃度に基づいて計算した。
図3に示すように、患者の4
つの四分位を図中の4つの縦棒で表した。各四分位のC
trough値は、四分位の平均
C
trough値で表す。各縦棒上の黒丸は、群の全奏効率の確率を表す。
【0040】
C
troughとORRの間の正の相関を観察した。上位の第4四分位の患者は、約3
1%のORRの確率を有する(
図3)。およそ60~85ug/mLの平均C
troug
hは、35~50%のORRの確率と相関する(
図3)。
【0041】
PD-L1発現の腫瘍比率スコア(TPS)を臨床試験中に採取した腫瘍組織について
試験した。PD-L1発現のTPSをCtroughおよび奏効率と一緒に分析した。高
曝露と腫瘍細胞でのPD-L1発現の増加の両方を有する患者のサブセット間で、驚くべ
きORRが観察された。184名の患者中、142名の患者がCtrough曝露につい
て評価され、71名の患者が上位半分(上の2つの四分位)であった。上位半分(上の2
つの四分位)のCtrough曝露の患者について、TPS PD-L1発現のカットオ
フ値が≧1%、≧5%、≧50%、および≧80%について、それぞれ、25.4%、2
5.6%、33.3%、および42.9%のORRが得られた(表2)。
【0042】
【0043】
平均CtroughとORRの確率の間に一貫した正の相関が観察された(実施例1~
3)。一般的に、第4四分位で生じる(実施例1~3)、各実施例におけるORRの最良
の確率を考慮すると、CtroughとORRの相関は、第4四分位を超える合理的範囲
内で継続することが期待される。これらのデータは、種々の腫瘍型で、44~85ug/
mLの平均Ctroughが、ORRの確率50%と相関することを示す。
【0044】
[実施例4]
種々のアベルマブ投与レジメンのCtroughのシミュレーション。
表3は、いくつかのアベルマブに関する投与レジメンを提供する。以前の研究に基づい
て、アベルマブについて得られた母集団PKモデルを使用して、MCC、SCCLCおよ
び固形腫瘍型において選択した投与レジメンのCtroughをシミュレートした。
【0045】
【0046】
一般的方法:アベルマブ投与レジメンの薬物動態シミュレーションをNONMEMバー
ジョン7.3ソフトウェア(ICON Development Solutions、
Hanover、MD)を使用して実施した。線形排除を用いる2つのコンパートメント
IVモデルを母集団PKモデルとして使用した。このモデルは、これまでにアベルマブ臨
床試験に参加した7百名を超える患者由来の3千を超えるPK実測値に基づく。上記表3
に記載の投与レジメンのシミュレーションを行うために、母集団PKモデルに含まれる投
与事象、投与量、1時間の注入速度、および共変数を用いてデータセットを作成した。定
常状態でのCtrough濃度を、所与の投与量について、最初の3回の用量を除き、次
いで、残りの投与事象からの平均Ctroughを計算することによって算出した。用量
スケジュールを負荷するために、レジメンの負荷部分および負荷期間後の継続投与につい
てCtroughを算出した。
【0047】
上記シミュレーションの結果を以下の表4~6に示す。
【0048】
【0049】
【0050】
表4の投与レジメン番号1~2、4~5、8~16、および5~10mg/kg Q1
W、11~20mg/kg Q2W、20~30mg/kg Q3W、5~20mg/k
g Q1Wを6~12週間、続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジメン内の
範囲は、現行の10mg/kg Q2Wの投与レジメンよりも高いCtroughの予測
中央値をもたらす(表4)。実施例1から、50ug/mLを超える平均Ctrough
をもたらす投与レジメンは、MCCにおいて、より高確率のORRと相関する。アベルマ
ブ投与レジメン1~2、10および11~16に対する表4に示すデータは、これらのレ
ジメンが、MCCに対するORRのより高い予測確率を有利にもたらし得ることを示す。
【0051】
【0052】
【0053】
表5の投与レジメン番号1~2、4~5、10、11~16、および5~10mg/k
g Q1W、11~20mg/kg Q2W、5~20mg/kg Q1Wを6~12週
間、続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジメン内の範囲は、現行の10mg
/kg Q2Wの投与レジメンよりも高いCtroughの予測中央値をもたらす(表5
)。上記実施例1~3は、平均Ctroughが、ORRの確率と正の相関を有すること
を実証する。実施例2および3では、44ug/mLから85ug/mLの平均Ctro
ughは、約35%から約50%のORRの確率に相当し、実施例2および3のORRの
第4四分位の確率は、それぞれ、35%および31%であった。表5からのデータは、レ
ジメン番号1~2、5および11~16が、約44ug/mLまたはそれを超える予測平
均Ctroughをもたらし、したがって、NSCLC患者において、より良好なORR
の確率を有利にもたらし得ることを実証する。他の有利な投与レジメンとして、例えば、
レジメン番号2、12~13および15~16、ならびに10mg~20mg/kg Q
1Wを6または12週間、続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジメン内の範
囲が挙げられ、それらのすべては、約85ug/mLまたはそれを超えるCtrough
の中央値に相当する。NSCLCに対する他の有利なレジメンは、44ug/mL~85
ug/mlの間の平均Ctroughを提供するもの、すなわち、表5の投与レジメン番
号1、2、5、11、12、14、15、および5~10mg/kg Q1W、5~10
mg/kg Q1Wを6~12週間、続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジ
メン内の範囲である。
【0054】
【0055】
【0056】
表6のアベルマブ投与レジメン番号1~2、4~5、11~16、および5~10mg
/kg Q1W、11~20mg/kg Q2W、5~20mg/kg Q1Wを6~1
2週間、続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジメン内の範囲は、現行の10
mg/kg Q2Wの投与レジメンよりも高いCtroughの予測中央値をもたらし、
より良好なORRの確率を有利にもたらし得る(実施例1~3を参照のこと)。実施例1
~3から、44~85ug/mLの平均Ctroughは、それぞれ、約50%のORR
に相当する。したがって、44ug/mLを超える平均Ctroughをもたらす投与レ
ジメンは固形腫瘍を有する患者において、より高いORRの確率を有利にもたらし得る。
このように、表6に示す投与レジメン1~2、5および11~16、または5~10mg
/kg Q1W、5~20mg/kg Q1Wを6または12週間、続いて10mg/k
g Q2Wなどのこれらの範囲は、固形腫瘍型の処置に対して有利である。固形腫瘍を処
置するための他の有利な投与レジメンとして、アベルマブ投与レジメン番号2、12~1
3および15~16、ならびに10mg~20mg/kg Q1Wを6または12週間、
続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジメン内の範囲が挙げられ、それらのす
べては、約85ug/mLまたはそれを超えるCtroughの中央値に相当する。他の
有利なアベルマブ投与レジメンとして、表6に示す投与レジメン番号1~2、5、11~
12および14~15、ならびに、例えば、5~10mg/kg Q1W、5~10mg
/kg Q1Wを6または12週間、続いて10mg/kg Q2Wなどのこれらのレジ
メン内の範囲が挙げられ、それらのすべては、固形腫瘍において、約44ug/mL~約
85ug/mLの間のCtroughの中央値に相当する。本明細書で提供されるアベル
マブ投与レジメンによる処置に対して適切な例示的な固形腫瘍型として、限定されないが
、MCC、NSCLC、RCC、膀胱がん、卵巣がん、頭頸部がん、胃がん、中皮腫、尿
路上皮癌、乳がん、胃の腺癌および胸腺腫が挙げられる。
【0057】
[実施例5]
10mg/kg Q2Wの投与と比較した800mg Q2Wの投与に対する安全性およ
び有効性のモデリング。
アベルマブの臨床プロファイルを、種々の固形腫瘍を有する成人対象において、進行中
の第I、II、およびIII相試験における1800名を超える対象のデータから評価し
た。臨床薬理学の結果は、2016年6月9日(研究EMR100070-001および
EMR100070-003)および2015年11月20日(研究EMR100070
-002)のもののように利用可能なPK情報を有する3つの研究に由来して、1827
名の対象から得られる。
【0058】
曝露メトリック。
上述のこれらの1800名を超える対象の臨床薬理学の結果に基づき、それぞれ、PK
CYCLEモデルおよびPK SSモデルを使用して、10000名および4000名
のシミュレートした対象が得られ、10mg/kg Q2Wの投与と800mg Q2W
の投与の両方について、AUC、C
troughおよびC
maxのアベルマブ曝露メトリ
ックを見積もった。PK CYCLEモデルはアベルマブの初回用量からのPKデータを
使用して得られたPKモデルを表し、PK SSモデルはアベルマブの繰り返し投与後の
PKデータを使用して得られたPKモデルを表す。次いで、このように見積もられた曝露
メトリックを、以下の曝露-有効性の相関および曝露-安全性の相関のシミュレーション
において使用した。このように見積もられたアベルマブのAUC
0~336の分布プロッ
トを
図4A、
図4B、
図5Aおよび
図5Bに示す。
図4Aおよび
図4Bに示したプロット
は、AUC
0~336のシミュレート値が、2つの投与レジメン間の密接な対応を有する
ことを示す。
図5Aおよび
図5Bのグラフは、アベルマブのAUC
0~336の全変動が
、800mg Q2Wのレジメンで、10mg/kg Q2Wのレジメンよりも低いこと
を示す。
【0059】
曝露-有効性の相関および曝露-安全性の相関。
mMCCを有するn=88の観察した対象に関する曝露-最良全奏効(BOR)の関係
を説明するために、一変量のロジスティック回帰分析モデルを開発した。ロジスティック
回帰分析モデルを開発するために使用した曝露値は、PK CYCLEおよびPK SS
モデルからシミュレートした。400セットのパラメータの概算を曝露-BORロジステ
ィック回帰分析モデルの不確定な分布からサンプリングした。これらの400のパラメー
タセットのそれぞれについて、2500名の対象を、PK CYCLEおよびPK SS
モデルに基づいてシミュレートしたn=10000の対象のmMCC集団からサンプリン
グした。次いで、奏効の平均予測確率(n=2500のシミュレートした対象にわたって
)を400セットのロジスティックモデルパラメータの概算のそれぞれから得た。
【0060】
UCを有するn=153の観察した対象に関して、同一の手順をUCの適応症に対して
続けた。
【0061】
結果を、
図6および
図7に示すグラフにまとめる。
図6のグラフは、mMCCを有する
個々のシミュレートした患者のBORの確率が、10mg/kg Q2Wと800mg
Q2Wの投与レジメンの間で大きな重複を有し、10mg/kg Q2Wおよび800m
g Q2Wの投与レジメンで類似していることを示す。
図7のグラフは、BORの平均確
率が、800mg Q2Wの投与に対してより低い変動性を有するUCについて、10m
g/kg Q2Wと800mg Q2Wの投与レジメンの間で非常に類似していることを
示す。
【0062】
曝露-安全性の相関を、安全性の変数である、任意のグレードの免疫関連AE(irA
E)および注入関連反応(IRR)を同様に使用してモデル化した。結果を
図8A、
図8
B、
図9Aおよび
図9Bに示す。
図8Aおよび
図8Bに示したグラフは、2つの投与レジ
メン間で、非常に類似したirAEの経験確率を示す。
図9Aおよび
図9Bに示したグラ
フは、800mg Q2Wの投与レジメンが10mg/kg Q2Wの投与と比較して低
い変動性を有する傾向があることを示す。