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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025079
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】描画装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20230214BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230214BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20230214BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20230214BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C11/00
B41J2/165 207
B41J2/165 211
B41J2/165 301
B41J2/01 451
B41J2/01 301
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185623
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2018170426の分割
【原出願日】2018-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 一仁
(72)【発明者】
【氏名】太田 義治
(57)【要約】
【課題】描画装置の装置面積を小さくする技術を提供する。
【解決手段】実施形態に係る描画装置は、描画部と、第1メンテナンス部と、第2メンテナンス部とを備える。描画部は、搬送方向に沿って移動するワークに機能液を吐出してワークに描画を行う。第1メンテナンス部は、搬送方向に沿って描画部の下方に移動した状態で描画部の第1メンテナンスを行う。第2メンテナンス部は、搬送方向に沿って描画部の下方に移動した状態で描画部のヘッドに対する第2メンテナンスを行う。第1メンテナンス部、および、第2メンテナンス部は、メンテナンスを行わない待機位置において上下方向に積層された状態となる。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿って移動するワークに機能液を吐出して前記ワークに描画を行う描画部と、
前記搬送方向に沿って前記描画部の下方に移動した状態で前記描画部の第1メンテナンスを行う第1メンテナンス部と、
前記搬送方向に沿って前記描画部の下方に移動した状態で前記描画部のヘッドに対する第2メンテナンスを行う第2メンテナンス部と
を備え、
前記第1メンテナンス部、および、前記第2メンテナンス部は、メンテナンスを行わない待機位置において上下方向に積層された状態となる、描画装置。
【請求項2】
前記第1メンテナンスは、前記描画部の吐出状態の撮像を行うための前記機能液の吐出を含み、
前記第2メンテナンスは、前記描画部のヘッド内の前記機能液の吸引、および、前記機能液が吸引された前記ヘッドの払拭を含む、請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記第1メンテナンスは、前記描画部のヘッドから吐出される機能液の重量計測を含む、請求項2に記載の描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送される基板にインクジェット方式で塗布液の液滴を塗布することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-49805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、描画装置の装置面積を小さくする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による描画装置は、描画部と、第1メンテナンス部と、第2メンテナンス部とを備える。描画部は、搬送方向に沿って移動するワークに機能液を吐出してワークに描画を行う。第1メンテナンス部は、搬送方向に沿って描画部の下方に移動した状態で描画部の第1メンテナンスを行う。第2メンテナンス部は、搬送方向に沿って描画部の下方に移動した状態で描画部のヘッドに対する第2メンテナンスを行う。第1メンテナンス部、および、第2メンテナンス部は、メンテナンスを行わない待機位置において上下方向に積層された状態となる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、描画装置の装置面積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る描画システムの概略構成を示すブロック図である。
図2A図2Aは、実施形態に係る描画ユニットの概略構成を示す平面図である。
図2B図2Bは、実施形態に係る描画ユニットの概略構成を示す右側面図である。
図3図3は、実施形態に係るキャリッジの概略構成を示す平面図である。
図4図4は、実施形態に係る吸引部の概略構成を示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係る描画装置において、受け渡しエリアに基板が搬送された状態を示す概略図である。
図6図6は、実施形態に係る描画装置において、描画部の下方にロール紙を配置した状態を示す概略図である。
図7図7は、実施形態に係る描画装置において、撮像装置の下方にロール紙を配置した状態を示す概略図である。
図8図8は、実施形態に係る描画装置において、描画部の下方に第2メンテナンス部が配置された状態を示す概略図である。
図9図9は、実施形態に係る第2メンテナンス部のメンテナンス作業における吸引部、およびワイピング部の動きを説明する図である。
図10図10は、実施形態に係る第2メンテナンス部のメンテナンス作業処理を示すフローチャートである。
図11図11は、変形例に係る第2メンテナンス部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する描画装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により開示される描画装置が限定されるものではない。
【0009】
以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す。
【0010】
また、ここでは、Y軸正方向を前方とし、Y軸負方向を後方とする前後方向を規定し、X軸負方向を右方とし、X軸正方向を左方とする左右方向を規定する。また、Z軸正方向を上方とし、Z軸負方向を下方とする上下方向を規定する。Y軸方向、すなわち前後方向は、基板Sが搬送される搬送方向に一致する。
【0011】
<全体構成>
実施形態に係る描画システム1について図1を参照し説明する。図1は、実施形態に係る描画システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0012】
実施形態に係る描画システム1は、例えば、フラットパネルディスプレイを製造するラインに組み込まれる。描画システム1は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色からなるカラーフィルタの着色層を形成する3つの描画装置2を備える。
【0013】
描画装置2は、描画ユニット3と、制御装置4とを備える。描画ユニット3は、基板S(図2参照)に対して機能液である液滴(以下、「インク」と称する)を吐出し、基板Sに描画を行う。描画ユニット3の詳細については、後述する。なお、描画装置2は、一定の温度条件で基板Sに対してインクを吐出し、描画を行うように、温度管理された部屋や、チャンバー内に設けられる。
【0014】
描画装置2には、例えば、ロボットアームなどの搬送装置5によって基板Sが搬入される。また、描画が終了した基板Sは、搬送装置5によって描画装置2から搬出される。搬送装置5は、描画ユニット3よりも前方に配置される。
【0015】
制御装置4は、例えば、コンピュータであり、制御部(不図示)と記憶部(不図示)とを備える。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
【0016】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポート等を含むマイクロコンピュータや各種回路を含む。マイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、描画装置2や、搬送装置5の制御を実現する。
【0017】
なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されており、記憶媒体から制御装置4の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0018】
<描画ユニットの構成>
次に、実施形態に係る描画ユニット3について図2A、および図2Bを参照し説明する。図2Aは、実施形態に係る描画ユニット3の概略構成を示す平面図である。図2Bは、実施形態に係る描画ユニット3の概略構成を示す右側面図である。
【0019】
描画ユニット3は、搬送部10と、描画部11と、第1メンテナンス部12と、第2メンテナンス部13とを備える。
【0020】
搬送部10は、例えば、前後方向に延設されるレール(不図示)に沿って移動する。搬送部10は、基板Sを保持する保持機構(不図示)や、搬送装置5との間で基板Sの受け渡しを行う際に基板Sをリフトピンによって下方から支持して持ち上げるリフト機構(不図示)などを備える。
【0021】
搬送部10は、搬送装置5(図1参照)側、すなわち前方に設けられた受け渡しエリアAで基板Sを受け取り、基板Sを保持する。搬送部10は、基板Sを保持した状態で受け渡しエリアAから前後方向に沿って往復する。そして、搬送部10は、描画が終了した基板Sを受け渡しエリアAにおいて搬送装置5に受け渡す。なお、図2A、および図2Bでは、受け渡しエリアAにおける搬送部10、および基板Sが一点鎖線で示されている。
【0022】
描画部11は、搬送方向に沿って移動する基板S(ワークの一例)にインク(機能液の一例)を吐出して基板Sに描画を行う。すなわち、描画部11は、搬送部10によって前後方向に沿って往復する基板Sに対してインクを吐出し、基板Sに描画を行う。
【0023】
描画部11は、前後方向における位置が固定される。また、描画部11は、上下方向に移動可能である。具体的には、描画部11は、上下方向に沿って形成された支持部材20に取り付けられた支持枠21に支持され、駆動機構(不図示)によって上下方向に沿って移動する。描画部11は、基板Sに描画を行う描画位置と、描画位置よりも上方のメンテナンス位置との間を移動する。
【0024】
描画部11は、複数のキャリッジ22を備える。キャリッジ22は、左右方向に並んで設けられる。ここでは、一例として、3つのキャリッジ22を備える描画部11を用いて説明するが、キャリッジ22の数は、これに限られることはない。
【0025】
キャリッジ22は、図3に示すように、複数のヘッド23を備える。すなわち、描画部11は、複数のヘッド23をそれぞれ有し、左右方向(搬送方向に直交する水平方向の一例)に沿って配置される複数のキャリッジ22を備える。図3は、実施形態に係るキャリッジ22の概略構成を示す平面図である。
【0026】
ヘッド23は、下方に向けてインクを吐出する。ヘッド23は、左右方向に沿って2列設けられる。また、ヘッド23は、前後方向に沿って6列設けられる。なお、前後方向に隣接するヘッド23は、左右方向における位置をずらして設けられる。例えば、前後方向に隣接するヘッド23は、後方から前方となるにつれて右方(X軸負方向)に位置するように設けられる。
【0027】
ヘッド23は、左右方向において1列であってもよく、また、3列以上の複数列設けられてもよい。
【0028】
図2A、および図2Bに戻り、第1メンテナンス部12は、搬送部10よりも後方に設けられる。第1メンテナンス部12は、例えば、前後方向に延設されるレール(不図示)に沿って移動する。第1メンテナンス部12は、メンテナンス作業を行わない場合には、後端の待機位置にあり、メンテナンス作業を行う場合には、待機位置から前方に移動する。
【0029】
第1メンテナンス部12は、ロール紙30と、重量計測部31とを備える。第1メンテナンス部12は、描画部11によって基板Sに描画が行われた後に、描画部11の下方にロール紙30が位置するように待機位置から移動する。また、第1メンテナンス部12は、描画部11からインクが吐出されたロール紙30が、描画部11よりも前方に配置された撮像装置32の下方に位置するように移動する。撮像装置32は、ロール紙30に吐出されたインクの吐出状態を撮影する。
【0030】
なお、撮像装置32は、上下方向に移動可能である。具体的には、撮像装置32は、支持部材20に取り付けられた支持アーム33に支持され、駆動機構(不図示)によって上下方向に沿って移動する。
【0031】
重量計測部31は、予め設定された第1所定タイミング、例えば、1週間に1回のタイミングでヘッド23から吐出されるインクの重量計測を行う。なお、インクの重量計測は、作業者の操作に基づいて行うこともできる。
【0032】
第2メンテナンス部13は、搬送部10よりも後方に設けられる。第2メンテナンス部13は、例えば、前後方向に延設されるレール(不図示)に沿って移動する。第2メンテナンス部13は、メンテナンス作業を行わない場合には、後端の待機位置にあり、メンテナンス作業を行う場合には、待機位置から前方のメンテナンス位置に移動する。
【0033】
第2メンテナンス部13は、待機位置では、第1メンテナンス部12の上方に位置する。すなわち、第1メンテナンス部12、および第2メンテナンス部13が各待機位置にある場合には、第1メンテナンス部12、および第2メンテナンス部13は、上下方向に積層された状態となる。これにより、描画装置2は、前後方向の長さを短くすることができる。
【0034】
第2メンテナンス部13(メンテナンス部の一例)は、搬送方向に沿って描画部11の下方に移動した状態で描画部11のヘッド23をメンテナンスする。第2メンテナンス部13は、予め設定された第2所定タイミング、例えば、1日に数回、メンテナンス作業として定期フラッシング処理、吸引処理、およびワイピング処理を行う。
【0035】
定期フラッシング処理は、ヘッド23内に残ったインクを吐出させる処理である。吸引処理は、ヘッド23内に残ったインクを吸引し、インクを強制的に排出させる処理である。ワイピング処理は、インクが吸引されたヘッド23を払拭する処理である。
【0036】
なお、定期フラッシング処理、吸引処理、およびワイピング処理は、ヘッド23の交換時などにも行われる。また、定期フラッシング処理、吸引処理、およびワイピング処理は、作業者の操作に基づいて行うこともできる。
【0037】
第2メンテナンス部13は、複数の吸引部40と、ワイピング部41とを備える。
【0038】
吸引部40は、キャリッジ22に対応して設けられ、キャリッジ22の配置方向である左右方向に並んで設けられる。例えば、図2Aに示すように、キャリッジ22が3つ設けられた場合には、吸引部40は、3つ設けられる。
【0039】
吸引部40は、支持台43に対して前後方向に沿って移動可能である。吸引部40は、例えば、前後方向に延設されるレール(不図示)に沿って移動する。
【0040】
吸引部40は、図4に示すように、複数のキャップ42を備える。図4は、実施形態に係る吸引部40の概略構成を示す平面図である。
【0041】
キャップ42は、ヘッド23に対応して設けられ、上下方向でヘッド23に対峙可能となるように設けられる。例えば、キャップ42は、左右方向に沿って2列、および前後方向に沿って6列設けられる。また、前後方向に隣接するキャップ42は、左右方向における位置がずらして設けられる。
【0042】
キャップ42は、昇降機構(不図示)によって上下方向に移動し、ヘッド23に密着可能である。キャップ42は、ヘッド23から吐出されるインクを受ける。具体的には、キャップ42は、定期フラッシング処理時には、ヘッド23に密着せずにヘッド23から吐出されるインクを受ける。また、キャップ42は、吸引処理時には、ヘッド23に密着し、ヘッド23から吸引されるインクを受ける。
【0043】
なお、吸引処理時には、ヘッド23に密着したキャップ42内が吸引機構(不図示)によって負圧とされることで、ヘッド23内に残ったインクが吸引される。また、キャップ42は、定期フラッシング処理時に、ヘッド23と密着してインクを受けてもよい。
【0044】
複数の吸引部40は、複数のキャリッジ22に対応して左右方向(複数のキャリッジの配置方向の一例)に沿って配置され、ヘッド23からインク(機能液の一例)を吸引する。
【0045】
ワイピング部41は、吸引部40によってインク(機能液の一例)が吸引されたヘッド23を払拭する。ワイピング部41は、吸引部40よりも右方に配置される。ワイピング部41は、支持台43に対して左右方向に沿って移動可能である。ワイピング部41は、例えば、左右方向に延設されるレール(不図示)に沿って移動する。すなわち、ワイピング部41は、左右方向(配置方向の一例)に沿って移動可能であり、吸引部40によってインク(機能液の一例)が吸引されたヘッド23を払拭する。
【0046】
ワイピング部41は、複数のロール部44と、ワイピングシート45とを備える。ロール部44は、例えば、スポンジゴムであり、左右方向の両端に配置され、駆動機構(不図示)によって回転する。ワイピングシート45は、ロール部44に掛け渡され、ロール部44の回転に伴って回転し、インクを拭き取る払拭面が新しくなる。
【0047】
ワイピング部41は、払拭面が右方から左方に向けて移動するように、ロール部44を回転させる。ワイピング部41は、ワイピングシート45によってヘッド23の先端に付着したインクを拭き取り、ヘッド23を払拭する。
【0048】
<描画処理>
描画装置2は、図5に示すように、受け渡しエリアAによって搬送装置5から基板Sが受け渡されると、搬送部10によって基板Sを前後方向に往復させ、描画部11によってインクを基板Sに向けて吐出し、基板Sに描画を行う。図5は、実施形態に係る描画装置2において、受け渡しエリアAに基板Sが搬送された状態を示す概略図である。描画装置2は、描画が終了すると、搬送部10によって基板Sを受け渡しエリアAに搬送する。
【0049】
また、描画装置2は、図6に示すように、第1メンテナンス部12を待機位置から前方に移動させて、描画部11の下方にロール紙30に配置し、描画部11からロール紙30にインクを吐出する。図6は、実施形態に係る描画装置2において、描画部11の下方にロール紙30を配置した状態を示す概略図である。また、描画装置2は、第2メンテナンス部13において吸引部40を前方に移動させる。
【0050】
そして、描画装置2は、図7に示すように、第1メンテナンス部12を前方に移動させて、撮像装置32の下方にロール紙30を配置し、インクの吐出状態を撮像装置32によって撮影する。図7は、実施形態に係る描画装置2において、撮像装置32の下方にロール紙30を配置した状態を示す概略図である。
【0051】
描画装置2は、第2所定タイミングになった場合には、描画後の基板Sを受け渡しエリアAに搬送し、インクの吐出状態を撮影した後に、第2メンテナンス部13による定期フラッシング処理、吸引処理、およびワイピング処理を実行する。
【0052】
描画装置2は、図8に示すように、描画部11、および撮像装置32を上方に移動させる。そして、描画装置2は、第2メンテナンス部13を待機位置からメンテナンス位置に移動させて、描画部11のキャリッジ22の下方に第2メンテナンス部13の吸引部40を配置する。すなわち、第2メンテナンス部13(メンテナンス部の一例)は、上方に移動した描画部11の下方に移動する。図8は、実施形態に係る描画装置2において、描画部11の下方に第2メンテナンス部13が配置された状態を示す概略図である。
【0053】
具体的には、描画装置2は、キャリッジ22のヘッド23(図3参照)と、吸引部40のキャップ42(図4参照)とが対峙するように、第2メンテナンス部13を移動させる。
【0054】
ここで、第2メンテナンス部13のメンテナンス作業について図9を参照し説明する。図9は、実施形態に係る第2メンテナンス部13のメンテナンス作業における吸引部40、およびワイピング部41の動きを説明する図である。図9では、キャリッジ22が、二点鎖線で示されている。また、図9では、吸引処理が行われているキャリッジ22にハッチングを施している。
【0055】
また、ここでは、3つのキャリッジ22を区別するために、3つのキャリッジ22を右方側から順に、キャリッジ22A、キャリッジ22B、およびキャリッジ22Cと称する。また、同様に、3つの吸引部40を区別するために、3つの吸引部40を右方側から順に、吸引部40A、吸引部40B、および吸引部40Cと称する。
【0056】
描画装置2は、まず、キャリッジ22A~22Cの下方に吸引部40A~40Cをそれぞれ配置し、キャリッジ22A~22Cにおいて定期フラッシング処理を行い、キャリッジ22A~22Cの各ヘッド23(図3参照)からインクを吐出する。ヘッド23から吐出されたインクは、吸引部40A~40Cのキャップ42(図4参照)を介して回収される。回収されたインクは、廃液管(不図示)を通じて廃液される。
【0057】
描画装置2は、ワイピング部41に最も近い右方端の吸引部40Aによってキャリッジ22Aに吸引処理を行う。なお、描画装置2は、キャリッジ22B、およびキャリッジ22Cでは、定期フラッシング処理を継続する。
【0058】
描画装置2は、キャリッジ22Aにおける吸引処理が終了すると、吸引部40Aを退避位置に移動させる。具体的には、描画装置2は、吸引部40Aを後方に移動させる。
【0059】
また、描画装置2は、ワイピング部41を左方に移動させ、ワイピング部41をキャリッジ22Aの下方に配置し、キャリッジ22Aにワイピング処理を行う。ワイピング部41は、キャリッジ22Aのヘッド23の先端に付着したインクをワイピングシート45によって拭き取り、キャリッジ22Aのヘッド23を払拭する。
【0060】
例えば、ワイピング部41は、左方に移動した後にロール部44によってワイピングシート45を移動させることで、ヘッド23の先端に付着したインクを拭き取る。なお、ワイピング部41は、左方に移動しながら、ロール部44によってワイピングシート45を移動させて、ヘッド23の先端に付着したインクを拭き取ってもよい。
【0061】
また、描画装置2は、ワイピング部41によってキャリッジ22Aにワイピング処理を行いつつ、吸引部40Bにおいてキャリッジ22Bの吸引処理を行う。例えば、描画装置2は、キャリッジ22Aのヘッド23の払拭を行うと同時に、キャリッジ22Bのヘッド23の吸引を行う。なお、描画装置2は、キャリッジ22Cでは、定期フラッシング処理を継続する。
【0062】
描画装置2は、キャリッジ22Bにおける吸引処理が終了すると、吸引部40Bを退避位置に移動させる。
【0063】
また、描画装置2は、ワイピング部41を左方に移動させ、ワイピング部41をキャリッジ22Bの下方に配置し、キャリッジ22Bにワイピング処理を行う。ワイピング部41は、キャリッジ22Bのヘッド23の先端に付着したインクをワイピングシート45によって拭き取り、キャリッジ22Bのヘッド23を払拭する。なお、拭き取り方法は、キャリッジ22Aにおける拭き取り方法と同じである。
【0064】
また、描画装置2は、ワイピング部41によってキャリッジ22Bにワイピング処理を行いつつ、吸引部40Cにおいてキャリッジ22Cの吸引処理を行う。例えば、描画装置2は、キャリッジ22Bのヘッド23の払拭を行うと同時に、キャリッジ22Cのヘッド23の吸引を行う。
【0065】
さらに、描画装置2は、吸引部40Aを前方に移動させ、吸引部40Aをキャリッジ22Aの下方に配置し、キャリッジ22Aにおいて定期フラッシング処理を行う。描画装置2は、吸引処理が終了したキャリッジ22Aにおいて定期フラッシング処理を行うことで、キャリッジ22Aにおけるインクの吐出状態を維持する。
【0066】
描画装置2は、キャリッジ22Cにおける吸引処理が終了すると、吸引部40Cを退避位置に移動させる。
【0067】
また、描画装置2は、ワイピング部41を左方に移動させ、ワイピング部41をキャリッジ22Cの下方に配置し、キャリッジ22Cにワイピング処理を行う。ワイピング部41は、キャリッジ22Cのヘッド23の先端に付着したインクをワイピングシート45によって拭き取り、キャリッジ22Cのヘッド23を払拭する。なお、拭き取り方法は、キャリッジ22Aにおける拭き取り方法と同じである。
【0068】
また、描画装置2は、吸引部40Bを前方に移動させて、吸引部40Bをキャリッジ22Bの下方に配置する。描画装置2は、キャリッジ22A、およびキャリッジ22Bにおいて定期フラッシング処理を行う。
【0069】
描画装置2は、キャリッジ22Cのワイピング処理が終了すると、ワイピング部41を左方に移動させる。また、描画装置2は、吸引部40Cを前方に移動させ、吸引部40Cをキャリッジ22Cの下方に配置する。描画装置2は、キャリッジ22A~22Cにおいて定期フラッシング処理を行う。
【0070】
このように、吸引部40A~40Cは、左右方向(配置方向の一例)においてワイピング部41から近い順に吸引を行った後に、キャリッジ22A~22Cの下方から離間するように移動する。そして、ワイピング部41は、吸引が行われた順にキャリッジ22A~22Cのヘッド23を払拭する。
【0071】
これにより、描画装置2は、キャリッジ22A~22Cにおいて、吸引からワイピング部41による拭き取りまでの時間を均一にすることができる。そのため、描画装置2は、キャリッジ22A~22Cにおけるヘッド23の払拭状態に均一にすることができ、キャリッジ22A~22Cのヘッド23から吐出されるインクの吐出状態を均一にすることができ、描画精度を向上させることができる。
【0072】
また、描画装置2は、吸引処理が行われていないキャリッジ22A~23Cでは定期フラッシング処理を行うことで、キャリッジ22A~23Cのヘッド23の状態を維持することができる。
【0073】
なお、第2メンテナンス部13では、例えば、メンテナンス作業が終了し、第2メンテナンス部13が待機位置に移動した後に、吸引部40A~40Cが後方に移動し、ワイピング部41が右方に移動する。
【0074】
次に、実施形態に係る第2メンテナンス部13のメンテナンス作業について図10のフローチャートを参照し説明する。図10は、実施形態に係る第2メンテナンス部13のメンテナンス作業処理を示すフローチャートである。
【0075】
描画装置2は、第2メンテナンス部13を待機位置からメンテナンス位置に移動させる(S10)。
【0076】
描画装置2は、第2メンテナンス部13によってメンテナンス作業を行う(S11)。描画装置2は、キャリッジ22に対し、定期フラッシング処理、吸引処理、およびワイピング処理を行う。描画装置2は、左右方向においてワイピング部41から近い順にキャリッジ22に吸引処理、およびワイピング処理を行う。
【0077】
描画装置2は、吸引処理中、またはワイピング処理中ではないキャリッジ22に定期フラッシング処理を行う。
【0078】
描画装置2は、全てのキャリッジ22においてメンテナンス作業が終了するまで(S12:No)、メンテナンス作業を継続する(S11)。
【0079】
描画装置2は、全てのキャリッジ22においてメンテナンス作業が終了すると(S12:Yes)、第2メンテナンス部13をメンテナンス位置から待機位置に移動させ(S13)、今回の処理を終了する。
【0080】
<効果>
比較例に係る描画装置は、例えば、第2メンテナンス部を基板の搬送方向に対して直交する左右方向に配置し、第2メンテナンス部、またはキャリッジを左右方向に移動させてメンテナンス作業が行われる。すなわち、比較例に係る描画装置は、左右方向への移動スペースが必要となり、全体的な装置面積が大きくなる。
【0081】
描画装置2は、搬送方向に沿って移動する基板S(ワークの一例)にインク(機能液の一例)を吐出して基板Sに描画を行う描画部11と、搬送方向に沿って描画部11の下方に移動した状態で描画部11のヘッド23をメンテナンスする第2メンテナンス部13(メンテナンス部の一例)とを備える。
【0082】
換言すると、描画装置2は、描画方向として、搬送方向に沿って移動する基板S(ワークの一例)に描画部11からインク(機能液の一例)を吐出して基板Sに描画を行う工程と、搬送方向に沿って描画部11の下方に移動し、描画部11のヘッド23をメンテナンスする工程とを有する。
【0083】
これにより、描画装置2は、装置面積を小さくすることができる。描画装置2は、第2メンテナンス部13を搬送方向である前後方向に沿って移動させることで、左右方向における装置面積を小さくし、全体的な装置面積を小さくすることができる。
【0084】
また、描画部11は、複数のヘッド23をそれぞれ有し、左右方向(搬送方向に直交する水平方向の一例)に沿って配置される複数のキャリッジ22を備える。また、第2メンテナンス部13(メンテナンス部の一例)は、複数のキャリッジ22に対応して左右方向(複数のキャリッジ22の配置方向の一例)に沿って配置され、ヘッド23からインク(機能液の一例)を吸引する複数の吸引部40と、吸引部40によってインクが吸引されたヘッド23を払拭するワイピング部41とを備える。
【0085】
これにより、描画装置2は、第2メンテナンス部13を前後方向に移動させて、第2メンテナンス部13によってキャリッジ22における吸引処理などを行うことができる。そのため、描画装置2は、左右方向における装置面積を小さくし、全体的な装置面積を小さくすることができる。
【0086】
また、ワイピング部41は、左右方向(配置方向の一例)に沿って移動可能であり、吸引部40によってインク(機能液の一例)が吸引されたヘッド23を払拭する。
【0087】
これにより、描画装置2は、1つのワイピング部41で複数のキャリッジ22のヘッド23を払拭することができる。また、描画装置2は、で複数のキャリッジ22のヘッド23を払拭することで、コストを削減することができる。
【0088】
また、吸引部40は、左右方向(配置方向の一例)においてワイピング部41から近い順に吸引を行った後に、キャリッジ22の下方から離間するように移動する。ワイピング部41は、吸引が行われた順にキャリッジ22のヘッド23を払拭する。
【0089】
これにより、描画装置2は、キャリッジ22のヘッド23において吸引からワイピング部41におけるインクの拭き取りまでの時間を均一にすることができる。そのため、描画装置2は、キャリッジ22におけるヘッド23の払拭状態を均一にすることができ、キャリッジ22のヘッド23から吐出されるインクの吐出状態を均一にすることができる。従って、描画装置2は、基板Sに対してインクを均一に吐出することができ、描画精度を向上させることができる。
【0090】
また、描画部11は、上下方向に移動可能である。第2メンテナンス部13(メンテナンス部の一例)は、上方に移動した描画部11の下方に移動する。
【0091】
これにより、描画装置2は、第1メンテナンス部12と第2メンテナンス部13とを待機位置において上下方向に積層する場合に、第2メンテナンス部13を前後方向に移動させることで、第2メンテナンス部13によるメンテナンス作業を行うことができる。そのため、描画装置2は、描画装置2は、前後方向の長さを短くすることができる。
【0092】
<変形例>
変形例に係る描画装置2は、図11に示すように、第2メンテナンス部50として、複数の吸引部51と、複数のワイピング部52とを備えてもよい。図11は、変形例に係る第2メンテナンス部50の構成を示す平面図である。
【0093】
ワイピング部52は、吸引部51に対応して設けられ、左右方向に沿って配置される。吸引部51は、キャリッジ22(図2Aなど参照)に対応して設けられる。すなわち、変形例に係る描画装置2の第2メンテナンス部50(メンテナンス部の一例)は、複数のキャリッジ22に対応して左右方向(配置方向の一例)に沿って配置される複数のワイピング部52を備える。
【0094】
変形例に係る描画装置2は、吸引部51によって吸引処理を行った後に、第2メンテナンス部50を前方に移動させて、キャリッジ22の下方にワイピング部52を配置する。そして、変形例に係る描画装置2は、複数のキャリッジ22のヘッド23(図3参照)の払拭を同時に行う。
【0095】
これにより、変形例に係る描画装置2は、複数のキャリッジ22に対して同時に吸引処理、およびワイピング処理を行うことができ、メンテナンス作業時間を短くすることができる。
【0096】
また、変形例に係る描画装置2は、ワイピング部41に対して複数のワイピングシート45を備えてもよい。例えば、変形例に係る描画装置2は、2つのワイピングシート45を左右方向に並べて配置し、キャリッジ22において左右方向に並べて配置されたヘッド23を、各ワイピングシート45によって払拭してもよい。
【0097】
また、変形例に係る描画装置2は、第2メンテナンス部13を上下方向に移動可能であってもよい。変形例に係る描画装置2は、第2メンテナンス部13によってメンテナンス作業を行う場合に、第2メンテナンス部13を待機位置から前方の移動させた後に、下方に移動させる。そして、変形例に係る描画装置2は、第2メンテナンス部13を下方に移動させた後に、前方に移動させて、キャリッジ22の下方に第2メンテナンス部13を配置する。すなわち、変形例に係る描画装置2は、上下方向に移動可能であり、上方の待機位置から下方に移動した後に、描画部11の下方に移動する。
【0098】
これにより、変形例に係る描画装置2は、描画部11を上下方向に移動させずに、第2メンテナンス部13によってメンテナンスを行うことができる。すなわち、変形例に係る描画装置2は、描画部11を移動させる機構を設けずに、描画部11を支持部材20(図2A参照)に固定して基板Sに描画を行うことができる。そのため、変形例に係る描画装置2は、描画部11の位置がずれることを抑制し、描画精度を向上させることができる。
【0099】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 描画システム
2 描画装置
3 描画ユニット
11 描画部
13 第2メンテナンス部(メンテナンス部)
22 キャリッジ
23 ヘッド
40 吸引部
41 ワイピング部
44 ロール部
45 ワイピングシート
50 第2メンテナンス部(メンテナンス部)
51 吸引部
52 ワイピング部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11