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特開2023-25194導電性ペースト組成物用フェノール化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025194
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】導電性ペースト組成物用フェノール化合物
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/23 20060101AFI20230214BHJP
   C07C 49/84 20060101ALI20230214BHJP
   C07C 255/54 20060101ALI20230214BHJP
   C07C 69/50 20060101ALI20230214BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20230214BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
C07C43/23 C CSP
C07C49/84 E
C07C255/54
C07C69/50
C07F7/08 G
C07F7/18 X
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194204
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2022509081の分割
【原出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2020193741
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸士
(72)【発明者】
【氏名】野中 汐里
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 修
(57)【要約】      (修正有)
【課題】繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れた導電性ペースト組成物用添加剤としてのフェノール化合物、該添加剤を含む導電性ペースト組成物、及び該導電性ペースト組成物を用いた導電配線を提供する。
【解決手段】例えば、下記式(9A)のうちいずれかで示されるものであることを特徴とする導電性ペースト組成物用フェノール化合物。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2A)~(15A)のうちいずれかで示されるものであることを特徴とする導電性ペースト組成物用フェノール化合物。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高導電性、かつ伸縮可能な導電配線を作製することができる導電性ペースト組成物と、該組成物に含まれるフェノール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スポーツまたはヘルスケア分野において、人体に装着して心拍数や呼吸数等のバイタルサイン取得を行うことを目的としたウェアラブルデバイスの開発研究が活発化してきている。このようなウェアラブルデバイスは、通常、体からの電気信号を検知するための生体電極、電気信号をセンサーに送るための配線、センサーとなる半導体チップと電池からなる。人体にデバイスを装着することを想定した場合、望まれる伸縮性能は、ヒトの運動状態で身に着ける衣服の伸びは膝、肘で最大となり、50%程度と言われている。配線自体に伸縮性がなくても、馬蹄が並んだ形の蛇腹の配線にするとか、皺が寄ったりしている基板にするとかで伸ばしても導電性を確保することが出来る。
【0003】
蛇腹形ではなく、真っ直ぐな配線で伸縮時にも導通をとることが出来れば、よりコンパクトな配線面積となるし、デザイン的にも美しいし、低コストになる。更には、高導電であればある程配線を細くしても導通を確保することが出来、目に見えないぐらいの極細の配線は、配線の存在を感じさせないためにデザインのフレキシビリティーさを生み、クールな印象がある。このため、高導電かつ伸縮性の導電性ペーストや導電性インクの開発が盛んに行われている。
【0004】
伸縮性の導電性ペーストとしては、例えば、金属粉末を硫黄原子またはニトリル基を含有するエラストマーバインダーに含有させ、導電体に屈曲性と伸縮性を持たせたものが提案されている(特許文献1)。
また、特許文献2では、導電粒子、フッ素ゴム、フッ素界面活性剤水溶液の配合量を最適化し、200%前後の伸縮時において、100S/cmを超える導電性を有する伸縮性導電体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6319085号
【特許文献2】国際公開第2015/119217号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記のような伸縮性の導電性組成物を使用した導電体であっても、繰り返し伸縮において導電性が急激に低下したり、場合によっては断線することがあり、伸縮を繰り返した場合であっても、導電性の安定性に優れた導電体を得ることができる導電性ペースト組成物が求められている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れた導電性ペースト組成物用添加剤としてのフェノール化合物、該添加剤を含む導電性ペースト組成物、及び該導電性ペースト組成物を用いた導電配線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、下記一般式(1A)で示されるものであるフェノール化合物を提供する。
【化1】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は水酸基を示す。Azは炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。R、Rは炭素数1~6の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又はフェニル基である。Xfはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよい直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよいアルコキシ基又は電子求引基を示す。Zは単結合又は酸素原子を示す。環ZZはそれぞれ独立に炭素数5~20の芳香族性の単環又は多環を示す。前記環ZZの炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。kaは0~2の整数を示す。kb及びkdは1又は2を示す。kc及びkeは0~2の整数を示す。)
【0009】
このようなフェノール化合物であれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れた導電性ペースト組成物用添加剤となる。
【0010】
また、本発明では、下記一般式(1B)で示されるものであるフェノール化合物が好ましい。
【化2】
(式中、Az’ は炭素数1~19の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。kaは0又は1を示す。kb、kc、kd、keは1又は2を示す。R、R、Rは前記と同じである。)
【0011】
このようなフェノール化合物であれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れた導電性ペースト組成物用添加剤としてより好適なものとなる。
【0012】
また、本発明では、(A)導電性フィラー、(B)フェノール化合物、(C)エラストマー樹脂及び(D)溶剤を含む導電性ペースト組成物であって、前記(B)成分のフェノール化合物が下記に記載のフェノール化合物である導電性ペースト組成物を提供する。
【化3】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は水酸基を示す。Azは炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。R、Rは炭素数1~6の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又はフェニル基である。Xfはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよい直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよいアルコキシ基又は電子求引基を示す。Zは単結合又は酸素原子を示す。環ZZはそれぞれ独立に炭素数5~20の芳香族性の単環又は多環を示す。前記環ZZの炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。kaは0~2の整数を示す。kb及びkdは1又は2を示す。kc及びkeは0~2の整数を示す。)
【化4】
(式中、Az’ は炭素数1~19の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。kaは0又は1を示す。kb、kc、kd、keは1又は2を示す。R、R、Rは前記と同じである。)
【0013】
このような導電性ペースト組成物であれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れる。
【0014】
この場合、前記(C)成分のエラストマー樹脂がポリウレタンである導電性ペースト組成物が好ましい。
【0015】
このようなものであれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性により優れる。
【0016】
また、本発明では、前記(C)成分のエラストマー樹脂が下記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むポリウレタンである導電性ペースト組成物が好ましい。
【化5】
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されていてもよい炭化水素基を示し、Rはフッ素原子、又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。nは1又は2の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0017】
このような導電性ペースト組成物であれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性にさらに優れる。
【0018】
さらに、前記(C)成分のエラストマー樹脂が下記一般式(2a)~(2c)で示される構造を含むポリウレタンである導電性ペースト組成物が好ましい。
【化6】
(式中、Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基であり、Aは単結合、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。Aは-O-、-NR-、又は-C(=O)O-を示し、Aは-O-、-NR-、-C(=O)O-または-NR-C(=O)-を示す。n、n、nは0~10の整数であり、nは0又は1の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0019】
このような導電性ペースト組成物であれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れた導電性ペースト組成物としてさらに一層好適なものとなる。
【0020】
また、本発明では、前記(A)成分の導電性フィラーが前記(A)成分と前記(C)成分の合計100質量部に対して70質量部を越える割合で含有されていることが好ましい。
【0021】
このような導電性ペースト組成物であれば、伸縮時に於ける導電性の変化がより少ない導電配線を形成することができる。
【0022】
また、本発明では、前記(A)成分の導電性フィラーが金、銀、塩化銀、白金、銅、錫、鉄、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、インジウム、はんだ、及び炭素又はこれらの複合体から選ばれるものである導電性ペースト組成物が好ましい。
【0023】
このような導電性ペースト組成物であれば、電気導電性を高めた導電配線を形成することができる。
【0024】
また、本発明では、前記(A)成分の導電性フィラーが平均粒径5nm~10μmの銀粉である導電性ペースト組成物が好ましい。
【0025】
このような導電性フィラーを導電性ペースト組成物に配合することが好適である。
【0026】
また、本発明では、上記(C)成分のエラストマーが上記(2a)~(2c)で示される構造を含むポリウレタンである、導電性ペースト組成物の製造方法であって、前記(C)成分のエラストマー樹脂を下記一般式(3a)~(3c)で示されるアルコールを鎖長延長剤として用い製造する導電性ペースト組成物の製造方法を提供する。
【化7】
(式中、R、A、n、n、nは前記と同じである。)
【0027】
このようなポリウレタンの製造方法であれば、上記ポリウレタンを容易に合成できる。
【0028】
また、本発明では、基材上に形成され導電性ペースト組成物の焼成物からなる導電配線を提供する。
【0029】
このような導電配線であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ないものとなる。
【0030】
また、本発明では、前記基材が伸縮性を有するものである導電配線が好ましい。
【0031】
このような基材が、本発明の導電配線に好適である。
【0032】
また、本発明では、前記基材が熱可塑性ポリウレタンである導電配線が好ましい。
【0033】
このような基材が、本発明の導電配線により好適である。
【0034】
また、本発明では、20%伸長時の抵抗変化が500%以下である導電配線が好ましい。
【0035】
このような導電配線であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない肌に貼り付ける部分に応じた導電配線とすることができる。
【0036】
また、本発明では、伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大抵抗値が、伸縮前の抵抗値の5000%以下である導電配線が好ましい。
【0037】
このような導電配線であれば、繰り返し伸縮における導電安定性に適したものとなる。
【0038】
また、本発明では、上記導電性ペースト組成物を用いて基材上に導電配線を形成する導電配線の製造方法であって、前記導電配線を形成する時の焼成温度が60~160℃である導電配線の製造方法を提供する。
【0039】
このような導電配線の製造方法であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない導電配線を確実に得ることができる。
【0040】
また、本発明では、上記導電性ペースト組成物の印刷によって基材上に導電配線を形成することもできる。
【0041】
このように、印刷によって配線パターンを形成することによって生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の導電性ペースト組成物であれば、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、電気信号を効率良くデバイスに伝えることができ(即ち、導電性に優れ)、印刷加工性に優れ、軽量であり、低コストで製造することができる導電配線を形成することができる。
また、繰り返し伸縮における導電安定性に優れることから、人間の体の動きによりひずみが生じるウェアラブルデバイスに適した導電配線を形成することができる。
さらに、本発明は上記導電性ペースト組成物に配合する添加剤として好適なフェノール化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上述のように、繰り返し伸縮における導電性の低下が少なく、かつ印刷加工性に優れた導電性ペースト組成物用添加剤としてのフェノール化合物、該添加剤を含む導電性ペースト組成物、及び該導電性ペースト組成物を用いた導電配線の開発が求められていた。
【0044】
本発明者は上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1A)で示されるフェノール化合物が極めて容易に得られること、更にこのフェノール化合物を添加剤として用いた導電性ペースト組成物が低抵抗かつ伸長時における導電性の低下が少なく、繰り返し伸縮における導電安定性に優れる導電配線を与えることを知見するに至った。
【0045】
即ち、本発明は、下記一般式(1A)で示されるものであるフェノール化合物である。
【化8】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は水酸基を示す。Azは炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。R、Rは炭素数1~6の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又はフェニル基である。Xfはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよい直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよいアルコキシ基又は電子求引基を示す。Zは単結合又は酸素原子を示す。環ZZはそれぞれ独立に炭素数5~20の芳香族性の単環又は多環を示す。前記環ZZの炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。kaは0~2の整数を示す。kb及びkdは1又は2を示す。kc及びkeは0~2の整数を示す。)
【0046】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明中、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれらの異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0047】
[フェノール化合物]
本発明のフェノール化合物は下記一般式(1A)で示され、導電性ペースト組成物向けの添加材として配合されるものである。
【化9】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は水酸基を示す。Azは炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。R、Rは炭素数1~6の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又はフェニル基である。Xfはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよい直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよいアルコキシ基又は電子求引基を示す。Zは単結合又は酸素原子を示す。環ZZはそれぞれ独立に炭素数5~20の芳香族性の単環又は多環を示す。前記環ZZの炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。kaは0~2の整数を示す。kb及びkdは1又は2を示す。kc及びkeは0~2の整数を示す。)
【0048】
Azの炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基としては、具体的には下記のものを例示できる。
【化10】
(式中、破線は結合手を示す。)
【0049】
【化11】
(式中、破線は結合手を示す。)
【0050】
【化12】
(式中、破線は結合手を示す。)
【0051】
Azの炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価のフッ素化炭化水素基としては、具体的には上記の炭化水素基中の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子に置換されたものを例示できる。
【0052】
、Rの炭素数1~6の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0053】
Xfの炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよい直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基等のアルキル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基等を挙げることができる。
【0054】
Xfの炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基等を挙げることができる。
【0055】
Xfの電子求引基の具体例としては、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、ホルミル基、スルホン酸エステル基、アミド基、-O-C(=O)-G-(Gは硫黄原子又はNHである)等を挙げることができる。
【0056】
Zは単結合又は酸素原子を示す。環ZZの炭素数5~20の芳香族性の単環又は多環として、具体的には下記のものを例示できる。下記のように環ZZはさらに置換基を有していてもよい。
【化13】
【0057】
本発明の導電性ペースト組成物に含まれる添加剤は上記一般式(1A)で示されるフェノール化合物である。上記一般式(1A)で示されるフェノール化合物としては、特に下記一般式(1B)で示されるフェノール化合物であることが好ましい。
【化14】
(式中、Az’ は炭素数1~19の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。kaは0又は1を示す。kb、kc、kd、keは1又は2を示す。R、R、Rは前記と同じである。)
【0058】
上記一般式(1A)および(1B)で示される化合物として、具体的には下記のものを例示できる。
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】
【0063】
【化20】
【0064】
【化21】
【0065】
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
【化24】
【0068】
【化25】
【0069】
【化26】
【0070】
【化27】
【0071】
上記一般式(1A)、(1B)で表されるフェノール化合物の合成法は特に限定されず、構造に応じて最適な方法を選択して合成することができるが、例えば、一般式(1B)中のkb、kcが1である一般式(1Ba)の場合は、下記反応式に示したステップi)~v)により合成できる。
【化28】
(式中、R、Az’、ka、kc及びkeは上記の通りである。Rpは酸不安定基を示す。XAはハロゲン原子を示す。)
【0072】
ステップi)は、ハロゲン化フェノール化合物(1Bb)を保護化することにより中間体ハロゲン化アリール化合物(1Bd)へ導く工程である。
【0073】
ステップi)の反応は公知の条件で容易に進行するが、例えば、Rpがt-ブチル基、t-アミル基、メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基等の3級アルキル基の場合は、無溶媒又はトルエン、ヘキサン等の溶媒中、ハロゲン化フェノール化合物(1Bb)及びイソブテン、イソアミレン等のRpに対応するオレフィンを用いて酸触媒の存在下、反応温度-20~50℃にて反応を行うのがよい。用いる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等の無機酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸類を挙げることができる。
【0074】
ステップii)は、フルオロベンゼン化合物(1Bc)の求核置換反応により中間体ハロゲン化アリール化合物(1Bd)へ導く工程である。
【0075】
ステップii)の反応は公知の条件で容易に進行するが、例えば、Rpがt-ブチル基、t-アミル基、メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基等の3級アルキル基の場合は、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン等の溶媒中、フルオロベンゼン化合物(1Bc)及びt-ブチルアルコール、t-アミルアルコール等のRpに対応するアルコール又はt-ブトキシカリウムなどの対応するアルコキシドを用いて塩基の存在下、反応温度10~80℃にて反応を行うのがよい。用いる塩基としては、例えば、ボラン、アルキルボラン、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどの金属水素化物、トリチルリチウム、トリチルナトリウム、トリチルカリウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロマイド等のアルキル金属化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシドを挙げることができる。
【0076】
ステップiii)は、ハロゲン化アリール化合物(1Bd)を酸化することにより中間体フェノール化合物(1Be)へ導く工程である。
【0077】
反応は公知の方法により容易に進行するが、例えば、以下の反応式の方法を例示できる。
【化28】
(式中、Rp、ke及びXAは上記の通りである。MAはLi、MgCl、MgBr、MgIを示す。Rは、炭素数1~6の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0078】
まず、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の溶媒中、ハロゲン化アリール化合物(1Bd)とLi又はMgとから有機金属試薬(1Bg)を調製する。続いて、ホウ酸エステル化合物(1J)との反応によりアリールボロン酸誘導体(1Bh)へ導き、最後に過酸化水素、過ギ酸、過酢酸、m-クロロ過安息香酸等の酸化剤を用い、中間体フェノール化合物(1Be)を得る。本工程は通常、精製工程を経ずにワンポットで反応を進行させることができる。
【0079】
ステップiv)は、中間体フェノール化合物(1Be)のエーテル化によりアリールエーテル化合物(1Bf)へ導く工程である。
【0080】
反応は公知の方法により容易に進行するが、例えば、以下の反応式の方法を例示できる。
【化30】
(式中、Rp、ka、ke及びAz’は上記の通りである。Tは、それぞれ独立に水酸基、ハロゲン原子、アルカンスルホニルオキシ基、又はアレーンスルホニルオキシ基を示す。)
【0081】
エーテル化の方法として、中間体フェノール化合物(1Be)と脱離基含有化合物(1Bi)とを塩基処理することによりエーテル化させる方法を例示できる。
【0082】
のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できる。また、Tのアルカンスルホニルオキシ基及びアレーンスルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ基を例示できる。
【0083】
用いられる塩基として、具体的にはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシドなどの金属アルコキシド類、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、4-ジメチルアミノピリジンなどの有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウムなどの無機水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの無機炭酸塩類、ボラン、アルキルボラン、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどの金属水素化物類、トリチルリチウム、トリチルナトリウム、トリチルカリウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロマイドなどのアルキル金属化合物類、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、カリウムジシクロヘキシルアミド、リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、リチウムイソプロピルシクロヘキシルアミド、ブロモマグネシウムジイソプロピルアミドなどの金属アミド類、を例示できる。使用する塩基の量は中間体フェノール化合物(1Be)1モルに対して0.9~10モル、特に1.0~5.0モルの使用が好ましい。
【0084】
溶媒として水、又はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル類、n-ヘキサン、n-ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等の非プロトン性極性溶媒類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素系有機溶媒類を反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。上記の塩基自身を溶媒として使用してもよい。
【0085】
反応温度、時間は試薬・条件により種々異なるが、例えば、Tが臭素原子、塩基として炭酸カリウムを用いて反応を行う場合、反応温度は室温~120℃、望ましくは30℃~90℃が迅速な反応完結ために好ましい。反応時間はガスクロマトグラフィー(GC)やシリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常1~60時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work-up)によりアリールエーテル化合物(1Bf)を得ることができ、必要があれば蒸留、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0086】
ステップv)は、アリールエーテル化合物(1Bf)の脱保護反応により本発明のフェノール化合物へ導く工程である。
【0087】
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2-ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒類;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。また、無溶媒で反応を行うこともできる。
【0088】
脱保護反応は、酸の存在下で行うことができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸類、三フッ化ホウ素、トリメチルシリルトリフラート、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化鉄、塩化亜鉛、塩化チタンなどのルイス酸類を用いることができる。また、酸の使用量は、アリールエーテル化合物(1Bf)1モルに対し0.001~5モル、特に0.01~0.5モルとすることが好ましい。0.001モル以上の使用であれば反応速度が遅くならず、反応時間の増加によるコスト面で不利にならず、5モル以下の使用であれば強酸性による副反応が起こらず、収率が低下する場合がない。また、酸性度を抑えるために塩基、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン、コリジン、N,N-ジメチルアニリンなどのアミン類を加えてもよい。
【0089】
上記脱保護反応は反応条件により適切な反応温度を選べるが、低温条件では反応が進行しない場合があるため、通常40~120℃が好ましい。また、反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常2時間~1日程度である。反応は、アリールエーテル化合物(1Bf)を溶媒で希釈した後、酸を加えて加熱撹拌することでできる。反応終了後、通常の水系後処理(aqueous work-up)によってもフェノール化合物(1Ba)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0090】
[導電性ペースト組成物]
本発明の導電性ペースト組成物は、(A)導電性フィラーと(B)フェノール化合物と(C)エラストマー樹脂と(D)溶剤とを含むものであって、前記(B)成分のフェノール化合物が下記一般式(1A)又は(1B)で示されるフェノール化合物であることを特徴とする。
【化31】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は水酸基を示す。Azは炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。R、Rは炭素数1~6の直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、又はフェニル基である。Xfはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよい直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基、炭素数1~10のフッ素原子で置換されてよいアルコキシ基又は電子求引基を示す。Zは単結合又は酸素原子を示す。環ZZはそれぞれ独立に炭素数5~20の芳香族性の単環又は多環を示す。前記環ZZの炭素原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。kaは0~2の整数を示す。kb及びkdは1又は2を示す。kc及びkeは0~2の整数を示す。)
【化32】
(式中、Az’ は炭素数1~19の直鎖状、分岐状もしくは環状の(ka+2)価の炭化水素基又はフッ素化炭化水素基を示し、前記(ka+2)価の炭化水素基を構成する-CH-が-O-、-C(=O)-又は-Si(R)-に置換されていてもよい。kaは0又は1を示す。kb、kc、kd、keは1又は2を示す。R、R、Rは前記と同じである。)
【0091】
以下、導電性ペースト組成物の各成分について説明する。
【0092】
<(A)成分>
本発明の導電性ペースト組成物に用いられる(A)成分の導電性フィラーとして、金、銀、塩化銀、白金、銅、錫、鉄、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、インジウム、はんだ、及び炭素又はこれらの複合体から選ばれるものであることが好ましい。例えば、金、銀、白金、銅、錫、鉄、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、インジウム、はんだ、及びこれらの銀メッキ粉等の金属粒子もしくは合金粒子、またはカーボンブラック、カーボンナノチューブ、塩化銀、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウムスズなどの粉末などが挙げられる。
【0093】
導電性の観点では金、銀、白金、価格の観点では銀、銅、錫、鉄、チタン、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、ステンレスが好ましく、総合的には銀(銀粉)が最も好ましい。
【0094】
前記(A)成分の導電性フィラーは、特に平均粒径5nm~10μmの銀粉であることが好ましい。
【0095】
平均粒径の測定方法は特に限定されないが、例えばレーザー回折式粒度分布装置を用いて測定することができる。
【0096】
導電性フィラーの粒子の形状としては、球状、粒状、角状、樹枝状、フレーク状、針状、不定形等が挙げられ、複数の種類のフィラーを組み合わせて用いることもできる。
【0097】
導電性フィラーの添加量は、(A)導電性フィラーと(C)エラストマー樹脂の合計100質量部に対して70質量部を越える範囲とすることが好ましく、より好ましくは80質量部以上90質量部以下である。
【0098】
<(B)成分>
本発明の導電性ペースト組成物には、上記フェノール化合物を(B)成分として配合する。
【0099】
フェノール化合物の添加量は、(A)導電性フィラーと(C)エラストマー樹脂と(B)フェノール化合物との合計100質量部に対して0.5質量部を越える範囲とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以上10質量部以下である。
【0100】
<(D)成分>
(D)成分の溶剤は本発明の導電性ペースト組成物の粘度を調整して印刷などにおける作業性を好適なものとする。後述のポリウレタンの重合に使用する有機溶剤と同じでも異なっていてもよい。
【0101】
本発明の導電性ペースト組成物に用いられる(D)成分の溶剤として具体的には、トルエン、キシレン、クメン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、スチレン、αメチルスチレン、ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、2-エチル-p-キシレン、2-プロピルトルエン、3-プロピルトルエン、4-プロピルトルエン、1,2,3,5-テトラメチルトルエン、1,2,4,5-テトラメチルトルエン、テトラヒドロナフタレン、4-フェニル-1-ブテン、tert-アミルベンゼン、アミルベンゼン、2-tert-ブチルトルエン、3-tert-ブチルトルエン、4-tert-ブチルトルエン、5-イソプロピル-m-キシレン、3-メチルエチルベンゼン、tert-ブチル-3-エチルベンゼン、4-tert-ブチル-o-キシレン、5-tert-ブチル-m-キシレン、tert-ブチル-p-キシレン、1,2-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジプロピルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、1,3,5-トリエチルベンゼン等の芳香族系炭化水素系溶剤、n-ヘプタン、イソヘプタン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、1,6-ヘプタジエン、5-メチル-1-ヘキシン、ノルボルナン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1-メチル-1,4-シクロヘキサジエン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、1-メチル-1-シクロヘキセン、3-メチル-1-シクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、4-メチル-1-シクロヘキセン、2-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-2-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、n-オクタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,3-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、3-エチル-2-メチルペンタン、3-エチル-3-メチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、イソプロピルシクロペンタン、2,2-ジメチル-3-ヘキセン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-2-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、2-エチル-1-ヘキセン、2-メチル-1-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、1,7-オクタジエン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチン、4-オクチン、n-ノナン、2,3-ジメチルヘプタン、2,4-ジメチルヘプタン、2,5-ジメチルヘプタン、3,3-ジメチルヘプタン、3,4-ジメチルヘプタン、3,5-ジメチルヘプタン、4-エチルヘプタン、2-メチルオクタン、3-メチルオクタン、4-メチルオクタン、2,2,4,4-テトラメチルペンタン、2,2,4-トリメチルヘキサン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,2-ジメチル-3-ヘプテン、2,3-ジメチル-3-ヘプテン、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-3-ヘプテン、3,5-ジメチル-3-ヘプテン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-エチル-2-メチルシクロヘキサン、1-エチル-3-メチルシクロヘキサン、1-エチル-4-メチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,1,3-トリメチルシクロヘキサン、1,1,4-トリメチルシクロヘキサン、1,2,3-トリメチルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサン、ヒドリンダン、1,8-ノナジエン、1-ノニン、2-ノニン、3-ノニン、4-ノニン、1-ノネン、2-ノネン、3-ノネン、4―ノネン、n-デカン、3,3-ジメチルオクタン、3,5-ジメチルオクタン、4,4-ジメチルオクタン、3-エチル-3-メチルヘプタン、2-メチルノナン、3-メチルノナン、4-メチルノナン、tert-ブチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、4-イソプロピル-1-メチルシクロヘキサン、ペンチルシクロペンタン、1,1,3,5-テトラメチルシクロヘキサン、シクロドデカン、1-デセン、2-デセン、3-デセン、4-デセン、5-デセン、1,9-デカジエン、デカヒドロナフタレン、1-デシン、2-デシン、3-デシン、4-デシン、5-デシン、1,5,9-デカトリエン、2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン、リモネン、ミルセン、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエン、α-フェランドレン、ピネン、テルピネン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,6-ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,4-デカジイン、1,5-デカジイン、1,9-デカジイン、2,8-デカジイン、4,6-デカジイン、n-ウンデカン、アミルシクロヘキサン、1-ウンデセン、1,10-ウンデカジエン、1-ウンデシン、3-ウンデシン、5-ウンデシン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ-4-エン、n-ドデカン、2-メチルウンデカン、3-メチルウンデカン、4-メチルウンデカン、5-メチルウンデカン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、1,3-ジメチルアダマンタン、1-エチルアダマンタン、1,5,9-シクロドデカトリエン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルn-ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン系溶剤、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-secブチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-アミルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、γ-ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、α-ターピネオール、α-ピネン、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート等のテルペン系溶剤などを挙げることができる。溶剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0102】
印刷時に溶剤が揮発しにくく、印刷に適した粘度を与えることから、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが特に好ましい。
【0103】
(D)溶剤の添加量は、(C)エラストマー100質量部に対して100~1,000質量部の範囲とすることが好ましい。
【0104】
<(C)成分>
本発明の導電性ペースト組成物に用いられる(C)成分のエラストマー樹脂として特に限定されないが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられ、より好ましくはポリウレタンである。
【0105】
エラストマー樹脂を配合することで本発明の導電性ペースト組成物から得られる焼成物の伸縮性能が十分発揮される。
【0106】
更に(C)成分のエラストマーとしては下記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むポリウレタンであることがより好ましい。
【化33】
(式中、Rは水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されていてもよい炭化水素基を示し、Rはフッ素原子、又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。nは1又は2の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0107】
上記一般式(1a)~(1c)で示される構造としては下記を例示できる。
【化34】
【0108】
【化35】
(式中Rは水素原子または炭素数1~3の1価炭化水素基である。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状の炭化水素基を示し、RとRは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~8の非芳香環を形成していても良い。破線部は結合手を示す。)
【0109】
上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むポリウレタンは、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法により、ポリイソシアネートと上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を有するポリオール、ポリアミン又はポリカルボン酸等を反応させることで得られ、好ましくはプレポリマー法が用いられる。
【0110】
プレポリマー法では、(a)ジイソシアネートと高分子量のポリオールをイソシアネート基過剰で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含む反応混合物を得る工程、(b)前記プレポリマーに低分子量のジオール、ジアミン又はジカルボン酸(鎖延長剤)を反応させることでプレポリマーを高分子量化させる工程によりポリウレタンを合成する。更に、反応基数3以上のポリイソシアネート、または反応基数3以上のポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸を加えることで架橋構造を有するポリウレタンを得ることもできる。
【0111】
また、上記(b)の重合をイソシアネート基過剰で行った後、イソシアネート基と反応し得る反応性基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)を有するキャップ剤を加えることで、ウレタン末端にキャップ剤由来の官能基を導入することもできる。
【0112】
上記(a)及び(b)の反応において、高分子量ポリオール、鎖延長剤、キャップ剤の少なくとも一つの全量又は一部を上記一般式(1a)~(1c)で示される構造に置換することでポリウレタンに導入することができる。
【0113】
また、上記一般式(1a)~(1c)で示される構造がイソシアネートと反応し得る場合は上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を適切な保護基で保護した状態でポリウレタン化を行い、その後脱保護することで上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含有するポリウレタンを合成することもできる。
【0114】
また、本発明の導電性ペースト組成物は、前記(C)成分のエラストマー樹脂が下記一般式(2a)~(2c)で示される構造を含むポリウレタンであることがより一層好ましい。
【化36】
(式中、Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基であり、Aは単結合、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。Aは-O-、-NR-、又は-C(=O)O-を示し、Aは-O-、-NR-、-C(=O)O-または-NR-C(=O)-を示す。n、n、nは0~10の整数であり、nは0又は1の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0115】
[ポリイソシアネート]
ポリウレタンの構成成分であるポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアナトメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-ω、ω’-ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアナトプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2,6-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン等の脂肪族および脂環族ポリイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート又は2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、オルトキシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、更にこれらのウレタン変性体として多量体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。
【0116】
上記ポリイソシアネートは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0117】
[高分子量ポリオール]
ポリウレタンの構成成分である高分子量ポリオールとして、イソシアネート基と反応し得るヒドロキシル基を2つ以上有し、数平均分子量500~5,000のポリオールを用いることができる。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、末端水酸基化ポリオレフィン、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
【0118】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチエングリコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、及びそれらの共重合体等が例示される。
【0119】
ポリオキシプロピレングリコール類及びポリオキシエチレングリコール類は低分子量ポリオールやポリアミン、アミノアルコール類を開始剤としたアルキレンオキサイドの付加重合体であり、低分子量ポリオールとしてはエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、ダイマー酸ジオール、1,2-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、ヒドロキノンジ(2-ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールA、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、α-メチルグルコシド、ジグリセリン等の4価アルコールまたはソルビトール、ショ糖等の多価アルコールが挙げられる。低分子量アミノアルコールとしてはものエタノールアミン、ジメタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられ、低分子量ポリアミンとしてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4-メチレンビス-о-クロロアニリン等が挙げられる。開始剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0120】
更に、上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含む低分子量ポリオールを用いることで、上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含有するポリエーテルポリオールを得ることもできる。なお、上記一般式(1a)~(1c)で示される構造を保護した状態で重合を行い、その後脱保護して合成することもできる。
【0121】
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、単独または2種類以上を併用することができる。2種類以上を併用したポリアルキレンポリオールとしてはブロック型、ランダム型のいずれの構造体を用いても良い。
【0122】
ポリオキシテトラメチレングリコールはテトラヒドロフラン(THF)のカチオン重合によって得られる開環重合物であり、結晶性のポリテトラメチレングリコールや、THFに3-メチルテトラヒドロフラン等のアルキル置換テトラヒドロフランや、上述した2価アルコールを共重合させた非晶性ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0123】
ポリエステルポリオールとしては、上述の低分子量ポリオールと多価カルボン酸、オリゴマー酸との重合縮合体、又は低分子量ポリオールを開始剤としたラクトンまたはラクチドの開環重合体が例示される。
【0124】
多価カルボン酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,1-ジメチル-1,3-ジカルボキシプロパン、3-メチル-3-エチルグルタル酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、α-ハイドロムコン酸、β-ハイドロムコン酸、フタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ヘット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸が挙げられ、それらの誘導体、酸無水物、酸ハライドなどを用いることもできる。
【0125】
ラクトンとしてはβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等が挙げられ、ラクチドとしてはL-ラクチド、D-ラクチドが挙げられる。
【0126】
ポリエステルポリオールの構成成分である低分子量ポリオール、多価カルボン酸、オリゴマー酸、ラクトン、又はラクチドはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0127】
更に、ポリエステルポリオールの低分子量ポリオールの一部を上述の低分子量ポリアミンや、アミノアルコールに代えて得られるポリエステル-アミドポリオールを使用することもできる。
【0128】
ポリカーボネートポリオールとしては、上述のポリオールとカーボネート化合物との重縮合体が例示される。
【0129】
カーボネート化合物としてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等が挙げられる。
【0130】
ポリカーボネートポリオールの構成成分である低分子量ポリオール又はカーボネート化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0131】
アクリルポリオールとしては、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとビニルモノマーを共重合することで得られる共重合体が例示される。
【0132】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルアクリレート、2,2-ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。上述の(メタ)アクリレートは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0133】
ビニルモノマーとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、3-(2-イソシアネート-2-プロピル)-α-メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むモノマー、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロメチルトリフルオロエチレンなどのフッ素を含むビニルモノマー、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシリコーンモノマー等が挙げられる。上述のモノマーは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0134】
末端水酸基化ポリオレフィンとしては、1種又は2種以上のオレフィン重合体の末端を水酸基化した化合物が挙げられる。オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、酢酸ビニルが例示され、更に上記構造の一部がフッ素、塩素、臭素などのハロゲンで置換されていても良い。
【0135】
シリコーンポリオールとしては、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を重合したビニル基含有シリコーン化合物、および分子中に少なくとも1個の末端水酸基を有する、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジフェニルシロキサン等のポリシロキサンが挙げられる。
【0136】
植物油系ポリオールとしては、ヒマシ油、ヤシ油などのヒドロキシル基含有植物油等、ヒマシ油脂肪酸とポリオールとの反応により得られるエステル変性ヒマシ油ポリオール、脱水ヒマシ油、部分脱水ヒマシ油、水添ヒマシ油等が挙げられる。
【0137】
高分子量ポリオールの数平均分子量は500以上、5,000以下の範囲が好ましく、1,000以上、3,000以下であることがより好ましく、1,000以上2,000以下が更に好ましい。
【0138】
高分子量ポリオールの数平均分子量が下限以上であることにより、ポリウレタン中のウレタン基濃度の過度な上昇とそれに伴う硬度上昇、伸縮性低下等の性能低下を抑制することができる。また、数平均分子量が上限以下であることにより、ウレタン基濃度の過度な低下を抑制し、ウレタン結合に由来する強度の低下を防ぎ、適度な強度と伸縮性を両立することができる。
【0139】
高分子量ポリオールは二官能性ポリオール又は三官能性ポリオールであることが好ましく、より好ましくは二官能性ポリオールである。
【0140】
[鎖延長剤]
鎖延長剤としてはエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、ダイマー酸ジオール、1,2-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、ヒドロキノンジ(2-ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールA、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の2価アルコール、エタノールアミン、ジメタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4-メチレンビス-о-クロロアニリン等のアミン類等が用いられる。
【0141】
更に、鎖長延長剤として下記一般式(3a)~(3c)に記載のポリオールを用い、ポリウレタンの側鎖に導入することができる。鎖長延長剤は一般式(3a)~(3c)に記載のポリオールを単独で用いても良いし、前述の鎖延長剤と組み合わせて用いても良い。
【化37】
(式中、R、A、n、n、nは前記と同じである。)
【0142】
上記Aの炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基の具体的には下記の例が挙げられる。
【化38】
【0143】
更に上記Aの-CH-のいずれかが-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C-または-NR-C(=O)-に置換されたものを例示できる(Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である)。
【0144】
上記一般式(3a)~(3c)で示される鎖長延長剤としては下記を例示できるがこれに限定されない。
【化39】
(式中、R、R、R、Rは前記と同じである。)
【0145】
【化40】
(式中、R、R、Rは前記と同じである。)
【0146】
【化41】
(式中、Rは前記と同じである。)
【0147】
前記一般式(3a)~(3c)で示される構造を有する鎖延長剤はウレタンの構成成分の総量に対して5~50質量%用いることが好ましく、より好ましくは20~40質量%である。
【0148】
[架橋剤]
架橋剤としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、α-メチルグルコシド、ジグリセリン等の多価アルコールが用いられる。
【0149】
架橋剤の添加量としては、ウレタンの構成成分の総量に対して0~5質量%の範囲内であることが好ましく、0~3質量%であることがより好ましい。
【0150】
架橋剤の添加量が上限以下であれば過度に強度が上昇せず、柔軟性、伸縮性が損なわれることがないため、本発明の導電性ペースト組成物への使用に適する。
【0151】
[有機溶剤]
ポリウレタンはバルク重合または、溶液重合によって合成される。溶液重合に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、スチレン、αメチルスチレン、ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、2-エチル-p-キシレン、2-プロピルトルエン、3-プロピルトルエン、4-プロピルトルエン、1,2,3,5-テトラメチルトルエン、1,2,4,5-テトラメチルトルエン、テトラヒドロナフタレン、4-フェニル-1-ブテン、tert-アミルベンゼン、アミルベンゼン、2-tert-ブチルトルエン、3-tert-ブチルトルエン、4-tert-ブチルトルエン、5-イソプロピル-m-キシレン、3-メチルエチルベンゼン、tert-ブチル-3-エチルベンゼン、4-tert-ブチル-o-キシレン、5-tert-ブチル-m-キシレン、tert-ブチル-p-キシレン、1,2-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジプロピルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、1,3,5-トリエチルベンゼン等の芳香族系炭化水素系溶剤、n-ヘプタン、イソヘプタン、n-ヘキサン、オクタン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、1,6-ヘプタジエン、5-メチル-1-ヘキシン、ノルボルナン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1-メチル-1,4-シクロヘキサジエン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1-メチル-1-シクロヘキセン、3-メチル-1-シクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、4-メチル-1-シクロヘキセン、2-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-2-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、n-オクタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,3-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、3-エチル-2-メチルペンタン、3-エチル-3-メチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、イソプロピルシクロペンタン、2,2-ジメチル-3-ヘキセン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-2-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、2-エチル-1-ヘキセン、2-メチル-1-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、1,7-オクタジエン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチン、4-オクチン、n-ノナン、2,3-ジメチルヘプタン、2,4-ジメチルヘプタン、2,5-ジメチルヘプタン、3,3-ジメチルヘプタン、3,4-ジメチルヘプタン、3,5-ジメチルヘプタン、4-エチルヘプタン、2-メチルオクタン、3-メチルオクタン、4-メチルオクタン、2,2,4,4-テトラメチルペンタン、2,2,4-トリメチルヘキサン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,2-ジメチル-3-ヘプテン、2,3-ジメチル-3-ヘプテン、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-3-ヘプテン、3,5-ジメチル-3-ヘプテン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-エチル-2-メチルシクロヘキサン、1-エチル-3-メチルシクロヘキサン、1-エチル-4-メチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,1,3-トリメチルシクロヘキサン、1,1,4-トリメチルシクロヘキサン、1,2,3-トリメチルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサン、ヒドリンダン、1,8-ノナジエン、1-ノニン、2-ノニン、3-ノニン、4-ノニン、1-ノネン、2-ノネン、3-ノネン、4―ノネン、n-デカン、3,3-ジメチルオクタン、3,5-ジメチルオクタン、4,4-ジメチルオクタン、3-エチル-3-メチルヘプタン、2-メチルノナン、3-メチルノナン、4-メチルノナン、tert-ブチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、4-イソプロピル-1-メチルシクロヘキサン、ペンチルシクロペンタン、1,1,3,5-テトラメチルシクロヘキサン、シクロドデカン、1-デセン、2-デセン、3-デセン、4-デセン、5-デセン、1,9-デカジエン、デカヒドロナフタレン、1-デシン、2-デシン、3-デシン、4-デシン、5-デシン、1,5,9-デカトリエン、2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン、リモネン、ミルセン、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエン、α-フェランドレン、ピネン、テルピネン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,6-ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,4-デカジイン、1,5-デカジイン、1,9-デカジイン、2,8-デカジイン、4,6-デカジイン、n-ウンデカン、アミルシクロヘキサン、1-ウンデセン、1,10-ウンデカジエン、1-ウンデシン、3-ウンデシン、5-ウンデシン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ-4-エン、n-ドデカン、2-メチルウンデカン、3-メチルウンデカン、4-メチルウンデカン、5-メチルウンデカン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、1,3-ジメチルアダマンタン、1-エチルアダマンタン、1,5,9-シクロドデカトリエン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルn-ペンチルケトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-secブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、アミルエーテル、イソアミルエーテル、ジ-tert-アミルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル、アニソール、ジヒドロターピニルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸―tert-ブチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸tert-ブチル、3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート等のエステル系溶剤、γ-ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロゲン系溶剤、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン溶剤などを挙げることができる。
【0152】
なお、有機溶剤の添加量は、ポリウレタン構成成分(ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、鎖延長剤、架橋剤)の総量100質量部に対して20質量部以上、500質量以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは25質量部以上、100質量部以下である。
【0153】
有機溶剤は重合反応後に減圧留去又は晶析等により除去しても良いし、除去せずにポリウレタン溶液のまま導電性ペースト組成物へ適用しても良い。
【0154】
[触媒]
ポリウレタン合成においてはウレタン結合生成反応を促進するために、必要に応じて触媒を添加することが好ましい。
【0155】
ウレタン化触媒としては公知の触媒から適宜選択して用いることができ、アミン系触媒、アンモニウム塩系触媒、カリウム塩系触媒、有機金属触媒等が挙げられる。
【0156】
アミン系触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0157】
アンモニウム塩系触媒としては、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウム等の4級アンモニウム塩や、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7又は1,5-ジアザヒシクロ(4,3,0)-ノネン-5と、オクチル酸、オレイン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、フェノール酸、オルソフタル酸、酢酸、マレイン酸又はホウ酸からなるアンモニウム塩等が挙げられる。
【0158】
カリウム塩系触媒としては、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等が挙げられる。
【0159】
有機金属触媒としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫(2-エチルヘキサン酸スズ)、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、オクテン酸銅などの有機銅化合物、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
【0160】
本発明の(C)成分のエラストマーとして用いられるポリウレタンは一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むことから塩基性の触媒の活性を阻害する可能性があるため、有機金属触媒を用いることが好ましく、より好ましくは有機ビスマス化合物が挙げられる。
【0161】
これらのウレタン化触媒は、単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ウレタン化触媒の使用量はポリウレタン構成成分の総量100質量部に対して0質量部以上、5質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1質量部以上、2質量部以下の範囲で用いられることがより好ましい。
【0162】
[キャップ剤]
本態様にかかるポリウレタンは、イソシアネート基過剰で重合を行った後に末端キャップ剤を添加することでポリウレタン末端にキャップ剤由来の官能基を導入することができる。
例えば、ポリウレタン末端のキャップ剤として下記のヒドロキシ(メタ)アクリレートを使用することでウレタンアクリレートを合成することができる。
【化42】
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基を示す。Rは前記と同じである。)
【0163】
ウレタンアクリレートは必要に応じて反応性モノマーと重合開始剤と共に熱又は紫外線、可視光、レーザー光、電子線、X線、γ線、プラズマ、マイクロウェーブなどの活性エネルギー線を照射することにより、重合・硬化させて硬化物とすることができる。
【0164】
前記反応性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステルフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート化合物、又は、これらのエチレンオキシ変性品やプロピレンオキシ変性品、ラクトン変性品が使用できる。これらは単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0165】
前記重合開始剤として、例えば、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン-n-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、チオキサントン、p-イソプロピル-α-ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノンなどが挙げられるが、好ましくは1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドが使用される。これらは単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0166】
また、一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むキャップ剤を使用することでポリウレタン末端に一般式(1a)~(1c)で示される構造を導入することもできる。例えば、上記一般式(1a)~(1c)で示される構造とイソシアネートと反応する水酸基またはアミノ基を含有する下記の化合物が挙げられる。
【化43】
(式中、Raは前述の一般式(3a)~(3c)で示される構造を示す。m1、m2は0~20の整数である。Rは前記と同じである。)
【0167】
ポリウレタン合成時の反応温度は反応基質の種類によって適宜変更されるが、通常は30~200℃が好ましく、40~120℃がより好ましい。
【0168】
ポリウレタンの重量平均分子量は10,000~500,000が好ましく、15,000~200,000がより好ましい。更に好ましくは20,000~150,000である。
【0169】
本態様にかかるポリウレタンは、さらに必要に応じて、添加剤として、酸化防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
【0170】
[導電配線]
また、本発明では、上記導電性ペースト組成物を用いて基材上に形成された導電配線を提供する。また、本発明では、上記導電性ペースト組成物を用いて伸縮性基材上に形成された伸縮性導電配線を提供する。
以下、本発明の伸縮性導電配線について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0171】
伸縮性導電配線を形成する基材としては、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、PTFE、PFA等が挙げられる。基材は伸縮性を有することが好ましく、伸縮性を有するシートやフィルムがより好ましく、さらに好ましくは伸縮性のポリウレタン基材、特に好ましくは熱可塑性ポリウレタン基材である。シートの表面は平坦でも良いが、凹凸がついていても良い。凹凸がついていると、基材に対して垂直方向に蛇腹構造の伸縮配線を形成することが出来、伸縮時の導電性の変化を抑えることが可能である。また不織布や伸縮性の繊維からなる布を用いることも可能である。
【0172】
伸縮性を有する基材は、最大1000%の伸縮性を有することが好ましい。人間の動きに対する肌の伸長度は、胸などの骨の上は10%、腹部などは20%、関節部では50%と言われており、肌に貼り付ける部分に応じて導電配線に求められる伸縮性が異なる。
【0173】
伸縮性基材上に本発明の導電性ペースト組成物による導電配線を形成する。伸縮性基材上に導電配線を塗布する方法は、特に限定されないが、例えばディップコート、スプレーコート、スピンコート、ロールコート、フローコート、ドクターコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の方法が好適である。特に印刷によって配線パターンを形成することによって生産性を向上させることが出来、配線幅含めて自由なデザインが可能になる。
【0174】
導電配線の膜厚は10nm~1000μmの範囲が好ましく用いられる。より好ましくは5~50μmである。
【0175】
伸縮基材上に導電性ペースト組成物を印刷によって塗布し、その後焼成する。焼成温度は60~160℃が好ましく、より好ましくは120℃~150℃の範囲、時間は1秒から10時間が好ましく、より好ましくは10分~5時間である。焼成はホットプレートやオーブン中で行うことが出来るが、フラッシュアニーリングによって上記温度よりも高温で短時間に行うことも出来、赤外光の照射による焼成を行うことも可能である。
【0176】
伸縮性導電配線を基材上に形成し、伸縮性導電配線の両端間の電気抵抗を測定することによって導電性の評価が可能である。基材を伸長する前と伸長している間の電気抵抗の変化が小さい程、伸長した基材を収縮させて元に戻したときの導電性の劣化が小さい程優れた伸縮性導電配線と言える。また、繰り返し伸縮を行った場合に配線の破断が起こらずに、電気抵抗の変化が小さい方が好ましい。
【0177】
また、本発明の導電配線は、20%伸長時の電気抵抗が伸長前の電気抵抗の500%以下であることが好ましく、下限値については特に限定されず、低い方が好ましいが例えば150%以上とすることができる。伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗が、伸縮前の電気抵抗の5000%以下であることが好ましく、下限値については特に限定されず、低い方が好ましいが例えば300%以上とすることができる。上記電気抵抗は、後述の測定方法で求めることができる。
【0178】
更に、導電配線を覆うためのカバー膜を設けることも出来る。カバー膜を設けることによって、耐水性や機械的強度を向上させることが出来る。基材と導電配線の両方が伸縮性を有しているため、カバー膜も伸縮性を有している必要がある。カバー膜の材質は基材と同じくポリウレタン、ウレタンアクリレート、ポリエステル、シリコーン、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、PTFE、PFAなどから選択できる。カバー膜の膜厚は10nm~1mmの範囲が好ましく用いられる。
【0179】
本発明の導電性ペースト組成物は例えば上記(A)成分の導電性フィラーが銀粉の場合、(C)成分のエラストマー樹脂中の上記一般式(1a)~(1c)で示される官能基と銀粉末の酸化被膜により銀塩が形成され、その銀塩が熱等により還元されることで銀ナノ粒子を生成しているものと推測される。さらに、上記(B)成分のフェノール化合物も弱酸性を有しており、銀粉末の酸化被膜と銀塩を形成し、上記と同様に還元により銀ナノ粒子を生成しているものと推測される。その上、上記(B)成分のフェノール化合物が上記一般式(1A)、(1B)のフェノール化合物の場合は、芳香環上にフッ素原子を有しており、このフッ素原子と銀塩とで求核置換反応が進行し、その過程でフッ化銀が副生する。これが熱等で還元され、銀ナノ粒子を生成しているものと推測される。
【0180】
本発明の導電性ペースト組成物を用いて形成された導電配線は、配線の焼成過程で上記のように3つのルートで銀ナノ粒子の生成が推測され、この生成した銀ナノ粒子が、銀粉体間の絶縁性ポリマー中に分散されることで高い導電性を示す。また、配線を伸長し銀粉体間の距離が広がった際も、銀粉体間に分散する銀ナノ粒子により導電経路が切断されにくくなるため、断線が起きにくく、導電性の変化が小さくなる。
【実施例0181】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記式中、Meはメチル基を示し、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算値として測定したものである。GPCの測定条件は、以下の通りである。
カラム:TSKgel G4000HXL、TSKgel G3000HXL、TSKgel G2000HXL2本
移動相:テトラヒドロフラン
カラムオーブン温度:40℃
サンプル濃度:0.20質量%
サンプル注入量:100μL
流量:1mL/min
【0182】
[実施例1]
本発明のフェノール化合物を以下に示す方法で合成した。
[実施例1-1]フェノール1の合成
【化44】
【0183】
[実施例1-1-1]ブロモベンゼン1の合成
窒素雰囲気下、ブロモフェノール1(76.4g)、イソアミレン(112.2g)のトルエン(10g)溶液へ、メタンスルホン酸(4.8g)を-20~-10℃にて加えた。そのままの温度にて3時間撹拌した後、トリエチルアミン(10.1g)、続いて25質量%苛性ソーダ水(32.0g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work-up)を行った。減圧蒸留によりブロモベンゼン1(84.6g、収率81%)を得た。
沸点:67℃/10Pa。
【0184】
[実施例1-1-2]中間体フェノール1の合成
窒素雰囲気下、ブロモベンゼン1(52.2g)、マグネシウム(5.1g)及びテトラヒドロフラン140mLを用いて予め調製したGrignard試薬を、内温-5℃以下にて、ホウ酸トリメチル(22.9g)、テトラヒドロフラン(310mL)の溶液に滴下した。反応温度5℃にて3時間撹拌を続けた。その後内温30℃以下にて、酢酸(18.0g)及び35%過酸化水素(25.3g)を加えた。室温にて3時間撹拌を続け、通常の後処理方法を行い、トルエン/n-ヘキサン混合溶剤より再結晶を行い、中間体フェノール1(29.7g、収率75%)を得た。
IR(D-ATR):ν=3233、3071、2941、2929、2853、1622、1601、1512、1480、1465、1447、1378、1334、1311、1205、1196、1158、1111、1097、975、966、870、816cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.52(1H、s)、6.88(1H、t)、6.55(1H、dd)、6.46(1H、dd)、1.62(2H、q)、1.14(6H、s)、0.93(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-126.6(1F、s)ppm。
【0185】
[実施例1-1-3]保護フェノール1の合成
窒素雰囲気下、中間体フェノール1(13.9g)、炭酸カリウム(10.6g)、ヨウ化ナトリウム(100mg)、ジメチルホルムアルデヒド(50g)のスラリー溶液へ、エーテル化剤1(20.9g)を60~80℃にて加えた。そのままの温度にて6時間撹拌した後、水(100g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work-up)を行い、保護フェノール1(24.5g、収率95%)を得た。
【0186】
[実施例1-1-4]フェノール1の合成
上記で得られた保護フェノール1(7.3g)、p-トルエンスルホン酸1水和物(0.1g)、トルエン(20mL)の溶液を内温70~90℃にて4時間加熱撹拌を続けた。その後内温30℃以下にて水15gを加え反応を停止した。通常の後処理方法を行い、トルエン/n-ヘキサン混合溶剤より再結晶を行い、フェノール1(5.0g、収率84%)を得た。
IR(D-ATR):ν=3402、2953、2942、2920、2870、2854、1607、1516、1479、1471、1460、1398、1313、1275、1255、1205、1158、1111、1028、840、788cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.18(1H、s)、6.82(1H、t)、6.72(1H、dd)、6.54(1H、dd)、3.82(2H、t)、1.62(2H、m)、1.14-1.38(18H、m)、0.83(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-133.7(1F、t)ppm。
【0187】
[実施例1-2]フェノール2の合成
【化45】
【0188】
[実施例1-2-1]ブロモベンゼン2の合成
窒素雰囲気下、t-ブトキシカリウム(63.9g)をTHF(360g)に溶解した溶液へ、フルオロベンゼン1(100g)を0~10℃で滴下した。そのままの温度にて10時間撹拌した後、水(150g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work-up)を行った。減圧蒸留によりブロモベンゼン2(98.6g、収率77%)を得た。
沸点:97-100℃/700Pa。
【0189】
[実施例1-2-2]中間体フェノール2の合成
ブロモベンゼン1をブロモベンゼン2に変更した以外は、[実施例1-1-2]と同様な方法で中間体フェノール2を得た(収率77%)。
【0190】
[実施例1-2-3]保護フェノール2の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール2に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール2を得た(収率92%)。
【0191】
[実施例1-2-4]フェノール2の合成
保護フェノール1を保護フェノール2に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール2を得た(収率80%)。
【0192】
[実施例1-3]フェノール3の合成
【化46】
【0193】
[実施例1-3-1]ブロモベンゼン3の合成
中間体フェノール1をブロモフェノール1に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法でブロモベンゼン3を得た(収率94%)。
【0194】
[実施例1-3-2]フェノール3の合成
ブロモベンゼン1をブロモベンゼン3に変更した以外は、[実施例1-1-2]と同様な方法でフェノール3を得た(収率74%)。
IR(D-ATR):ν=3404、2957、2918、2872、2850、1599、1523、1482、1470、1455、1400、1376、1305、1288、1239、1219、1153、1115、1026、964、851、811、800cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.31(1H、s)、6.90(1H、t)、6.55(1H、dd)、6.47(1H、dd)、3.86(2H、t)、1.63(2H、m)、1.16-1.39(18H、m)、0.83(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-132.4(1F、t)ppm。
【0195】
[実施例1-4]フェノール4の合成
【化47】
【0196】
[実施例1-4-1]ブロモベンゼン4の合成
フルオロベンゼン1をフルオロベンゼン2に変更した以外は、[実施例1-2-1]と同様な方法でブロモベンゼン4を得た(収率94%)。
沸点:82-84℃/300Pa。
【0197】
[実施例1-4-2]中間体フェノール3の合成
ブロモベンゼン1をブロモベンゼン4に変更した以外は、[実施例1-1-2]と同様な方法で中間体フェノール3を得た(収率62%)。
【0198】
[実施例1-4-3]保護フェノール3の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール3に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール3を得た(収率88%)。
【0199】
[実施例1-4-4]フェノール4の合成
保護フェノール1を保護フェノール3に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール4を得た(収率72%)。
IR(D-ATR):ν=3423、2954、2942、2920、2853、1639、1616、1531、1478、1472、1379、1400、1379、1244、1214、1152、1054、1032、1020、828、822、809、789cm-1
H-NMR(主要異性体のみ、600MHz in DMSO-d6):δ=10.32(1H、s)、6.38(1H、m)、6.27(1H、m)、3.82(2H、t)、1.63(2H、m)、1.16-1.40(18H、m)、0.82(3H、t)ppm。
19F-NMR(主要異性体のみ、565MHz in DMSO-d6):δ=-137.4(1F、m)、-171.7(1F、m)ppm。
【0200】
[実施例1-5]フェノール5の合成
【化48】
【0201】
[実施例1-5-1]ブロモベンゼン5の合成
フルオロベンゼン1をフルオロベンゼン3に変更した以外は、[実施例1-2-1]と同様な方法でブロモベンゼン5を得た(収率77%)。
沸点:99-100℃/1KPa。
【0202】
[実施例1-5-2]中間体フェノール4の合成
ブロモベンゼン1をブロモベンゼン5に変更した以外は、[実施例1-1-2]と同様な方法で中間体フェノール4を得た(収率68%)。
【0203】
[実施例1-5-3]保護フェノール4の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール4に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール4を得た(収率90%)。
【0204】
[実施例1-5-4]フェノール5の合成
保護フェノール1を保護フェノール4に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール5を得た(収率81%)。
IR(D-ATR):ν=3591、3446、2926、2855、1605、1507、1468、1391、1254、1204、1172、1026、983、912、836、792cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=10.06(1H、s)、7.08(1H、d)、6.49(1H、d)、6.34(1H、dd)、3.86(2H、t)、1.64(2H、m)、1.15-1.38(18H、m)、0.83(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-57.5(3F、t)ppm。
【0205】
[実施例1-6]フェノール6の合成
【化49】
【0206】
[実施例1-6-1]ブロモベンゼン6の合成
ブロモフェノール1をブロモフェノール2に変更した以外は、[実施例1-1-1]と同様な方法でブロモベンゼン6を得た(収率77%)。
沸点:66℃/6Pa。
【0207】
[実施例1-6-2]中間体フェノール5の合成
ブロモベンゼン1をブロモベンゼン6に変更した以外は、[実施例1-1-2]と同様な方法で中間体フェノール5を得た(収率62%)。
【0208】
[実施例1-6-3]保護フェノール5の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール5に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール5を得た(収率91%)。
【0209】
[実施例1-6-4]フェノール6の合成
保護フェノール1を保護フェノール5に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール6を得た(収率76%)。
IR(D-ATR):ν=3290、2956、2918、2873、2849、1615、1526、1502、1470、1420、1398、1284、1265、1216、1180、1089、1062、1053、1042、1030、1016、975、945、802cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.74(1H、s)、6.70(2H、dt)、3.91(2H、t)、1.64(2H、m)、1.32-1.39(2H、m)、1.16-1.32(16H、m)、0.82(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-158.1~-157.9(1F、m)、-159.3~-159.1(1F、m)ppm。
【0210】
[実施例1-7]フェノール7の合成
【化50】
【0211】
[実施例1-7-1]フェノール7の合成
窒素雰囲気下、ジヒドロキシベンゼン1(55.9g)、炭酸カリウム(41.5g)、ヨウ化ナトリウム(100mg)、ジメチルホルムアルデヒド(300g)のスラリー溶液へ、エーテル化剤2(19.3g)を60~80℃にて加えた。そのままの温度にて3時間撹拌した後、水(400g)を滴下して反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work-up)を行った。酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶剤より再結晶を行い、フェノール7(15.4g、収率52%)を得た。
【0212】
[実施例1-8]フェノール8の合成
【化51】
【0213】
[実施例1-8-1]フェノール8の合成
ジヒドロキシベンゼン1をジヒドロキシベンゼン2に、エーテル化剤2をエーテル化剤1に変更した以外は、[実施例1-7-1]と同様な方法でフェノール8を得た(収率43%)。
【0214】
[実施例1-9]フェノール9の合成
【化52】
【0215】
[実施例1-9-1]フェノール9の合成
ジヒドロキシベンゼン1をジヒドロキシベンゼン3に、エーテル化剤2をエーテル化剤1に変更した以外は、[実施例1-7-1]と同様な方法でフェノール9を得た(収率40%)。
【0216】
[実施例1-10]フェノール10の合成
【化53】
【0217】
[実施例1-10-1]保護フェノール6の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤3に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール6を得た(収率83%)。
【0218】
[実施例1-10-2]フェノール10の合成
保護フェノール1を保護フェノール6に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール10を得た(収率92%)。
IR(D-ATR):ν=3483、3189、2919、2852、1605、1521、1477、1468、1449、1395、1313、1275、1263、1243、1205、1163、1113、1046、1032、1008、955、864、840、799、788cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.18(1H、s)、6.82(1H、t)、6.74(1H、dd)、6.54(1H、dd)、4.29(1H、s)、3.83(2H、t)、3.36(2H、t)、1.63(2H、m)、1.16-1.44(16H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-133.7(1F、t)ppm。
【0219】
[実施例1-11]フェノール11の合成
【化54】
【0220】
[実施例1-11-1]保護フェノール7の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール5に、エーテル化剤1をエーテル化剤3に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール7を得た(収率82%)。
【0221】
[実施例1-11-2]フェノール11の合成
保護フェノール1を保護フェノール7に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール11を得た(収率92%)。
IR(D-ATR):ν=3494、3215、2932、2918、2849、1613、1526、1503、1480、1470、1434、1400、1287、1264、1212、1183、1091、1077、1054、1020、1004、967、942、804cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.75(1H、s)、6.70(2H、dt)、4.28(1H、t)、3.92(2H、t)、3.35(2H、m)、1.65(2H、m)、1.32-1.42(4H、m)、1.20-1.32(12H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-158.1~-157.9(1F、m)、-159.3~-159.1(1F、m)ppm。
【0222】
[実施例1-12]フェノール12の合成
【化55】
【0223】
[実施例1-12-1]ブロモベンゼン7の合成
ブロモフェノール1をブロモフェノール3に変更した以外は、[実施例1-1-1]と同様な方法でブロモベンゼン7を得た(収率72%)。
沸点:53℃/15Pa。
【0224】
[実施例1-12-2]中間体フェノール6の合成
ブロモベンゼン1をブロモベンゼン7に変更した以外は、[実施例1-1-2]と同様な方法で中間体フェノール6を得た(収率64%)。
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.99(1H、s)、6.44(2H、m)、1.62(2H、m)、1.15(6H、s)、0.94(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-122.9(2F、d)ppm。
【0225】
[実施例1-12-3]保護フェノール8の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール6に、エーテル化剤1をエーテル化剤3に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール8を得た(収率89%)。
【0226】
[実施例1-12-4]フェノール12の合成
保護フェノール1を保護フェノール8に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール12を得た(収率73%)。
IR(D-ATR):ν=3532、3101、2922、2853、2801、1649、1613、1530、1468、1457、1426、1397、1268、1254、1239、1200、1156、1046、1036、1018、855、817、804cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.38(1H、s)、6.63(2H、m)、4.30(1H、s)、3.85(2H、t)、3.36(2H、t)、1.63(2H、m)、1.32-1.42(4H、m)、1.20-1.32(12H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-131.0(1F、d)ppm。
【0227】
[実施例1-13]フェノール13の合成
【化56】
【0228】
[実施例1-13-1]フェノール13の合成
ジヒドロキシベンゼン1をヒドロキノンに、エーテル化剤2をエーテル化剤4に変更した以外は、[実施例1-7-1]と同様な方法でフェノール13を得た(収率59%)。
【0229】
[実施例1-14]フェノール14の合成
【化57】
【0230】
[実施例1-14-1]保護フェノール9の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤4に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール9を得た(収率94%)。
【0231】
[実施例1-14-2]フェノール14の合成
保護フェノール1を保護フェノール9に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール14を得た(収率90%)。
IR(D-ATR):ν=3380、2944、2869、1642、1606、1516、1477、1446、1394、1368、1317、1263、1242、1195、1162、1109、1023、969、956、867、838、796cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.19(2H、s)、6.82(2H、t)、6.75(2H、dd)、6.55(2H、dd)、3.85(4H、t)、1.66(4H、quin)、1.42(4H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-133.6(2F、t)ppm。
【0232】
[実施例1-15]フェノール15の合成
【化58】
【0233】
[実施例1-15-1]保護フェノール10の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤5に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール10を得た(収率92%)。
【0234】
[実施例1-15-2]フェノール15の合成
保護フェノール1を保護フェノール10に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール15を得た(収率87%)。
IR(D-ATR):ν=3385、2941、2923、2856、1608、1514、1479、1468、1455、1288、1276、1253、1203、1156、1110、1042、1022、988、956、842、818、802、787、748cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.18(2H、s)、6.82(2H、t)、6.74(2H、dd)、6.55(2H、dd)、3.83(4H、t)、1.66(4H、quin)、1.20-1.41(12H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-133.7(2F、t)ppm。
【0235】
[実施例1-16]フェノール16の合成
【化59】
【0236】
[実施例1-16-1]保護フェノール11の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール2に、エーテル化剤1をエーテル化剤5に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール11を得た(収率89%)。
【0237】
[実施例1-16-2]フェノール16の合成
保護フェノール1を保護フェノール11に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール16を得た(収率85%)。
IR(D-ATR):ν=3562、3537、3417、2941、2921、2884、2868、2854、1706、1623、1615、1531、1516、1477、1466、1445、1396、1350、1299、1256、1229、1184、1161、1112、1045、1021、983、931、854、838、786、772、757cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.76(2H、s)、6.97(2H、t)、6.46(2H、dd)、6.27(2H、dd)、3.82(4H、t)、1.64(4H、quin)、1.21-1.40(12H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-146.6~-146.5(2F、m)ppm。
【0238】
[実施例1-17]フェノール17の合成
【化60】
【0239】
[実施例1-17-1]保護フェノール12の合成
中間体フェノール1を中間体フェノール6に、エーテル化剤1をエーテル化剤5に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール12を得た(収率88%)。
【0240】
[実施例1-17-2]フェノール17の合成
保護フェノール1を保護フェノール12に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール17を得た(収率84%)。
IR(D-ATR):ν=3401、2942、2923、2856、1648、1616、1528、1479、1469、1459、1378、1247、1202、1148、1045、1023、1017、823、802cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.38(2H、s)、6.64(4H、m)、3.85(4H、t)、3.36(2H、t)、1.64(4H、m)、1.32-1.42(4H、m)、1.18-1.40(12H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-131.0(4F、d)ppm。
【0241】
[実施例1-18]フェノール18の合成
【化61】
【0242】
[実施例1-18-1]保護フェノール13の合成
窒素雰囲気下、ブロモベンゼン1(67.9g)、マグネシウム(6.6g)及びテトラヒドロフラン260mLを用いて予め調製したGrignard試薬を、内温40~60℃にて、エーテル化剤5(30.0g)、塩化第二銅(0.80g)、テトラヒドロフラン(150mL)のスラリー溶液に滴下した。そのままの反応温度にて20時間撹拌を続けた。その後内温30℃以下にて、飽和塩化アンモニウム水溶液(18.0g)を加え、反応を停止した。通常の後処理方法を行い、保護フェノール13(72.7g、収率72%)を得た。
【0243】
[実施例1-18-2]フェノール18の合成
保護フェノール1を保護フェノール13に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール18を得た(収率77%)。
IR(D-ATR):ν=3406、2923、2852、1628、1602、1516、1470、1460、1448、1355、1326、1284、1245、1227、1200、1143、1117、1101、1052、937、864、825、790、744cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.46(2H、s)、6.91(2H、dd)、6.81(2H、t)、6.75(2H、dd)、2.43(4H、t)、1.48(4H、m)、1.21(12H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-136.8(2F、t)ppm。
【0244】
[実施例1-19]フェノール19の合成
【化62】
【0245】
[実施例1-19-1]保護フェノール14の合成
窒素雰囲気下、ブロモベンゼン1(17.0g)、マグネシウム(1.7g)及びテトラヒドロフラン40mLを用いて予め調製したGrignard試薬に、内温30℃以下にて、ケトン1(10.2g)、テトラヒドロフラン(50mL)の溶液を滴下した。そのままの反応温度にて3時間撹拌を続けた。その後内温30℃以下にて、飽和塩化アンモニウム水溶液(40.0g)を加え、反応を停止した。通常の後処理方法を行い、保護フェノール14(22.4g、収率94%)を得た。
【0246】
[実施例1-19-2]フェノール19の合成
保護フェノール1を保護フェノール14に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール19を得た(収率95%)。
IR(D-ATR):ν=3415、2956、2924、2854、1620、1594、1514、1494、1443、1429、1361、1280、1220、1177、1102、1073、1029、962、874、820、780、763、701cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.84(1H、s)、7.38(1H、t)、7.18~7.34(2H、m)、7.12(2H、dd)、6.79~6.98(2H、m)、6.73(1H、t)、6.11(1H、t)、2.04(1H、q)、1.95(1H、q)、1.31~1.41(2H、m)、1.11~1.28(6H、m)、0.80(3H、t)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-136.7~136.6(1F、m)ppm。
【0247】
[実施例1-20]フェノール20の合成
【化63】
【0248】
[実施例1-20-1]保護フェノール15の合成
窒素雰囲気下、中間体フェノール1(10.0g)、トリエチルアミン(6.5g)、アセトニトリル(30g)の溶液に、内温20~40℃にて、酸クロ1(5.8g)、アセトニトリル(10g)の溶液を滴下した。そのままの反応温度にて3時間撹拌を続けた。その後内温30℃以下にて、水(40g)を加え、反応を停止した。通常の後処理方法を行い、保護フェノール15(14.2g、収率96%)を得た。
【0249】
[実施例1-20-2]フェノール20の合成
保護フェノール1を保護フェノール15に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール20を得た(収率87%)。
IR(D-ATR):ν=3390、3075、2934、2857、1743、1609、1518、1467、1448、1408、1381、1363、1297、1265、1214、1190、1149、1105、964、923、863、822、795cm-1
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.81(1H、s)、6.96(2H、dt)、6.91(2H、t)、6.72(2H、m)、2.47(4H、t)、1.58(4H、m)、1.27(8H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-134.0(1F、t)ppm。
【0250】
[実施例1-21]フェノール21の合成
【化64】
(式中、Msはメシル基を示す。)
【0251】
[実施例1-21-1]保護フェノール16の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤6に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール16を得た(収率85%)。
【0252】
[実施例1-21-2]フェノール21の合成
保護フェノール1を保護フェノール16に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール21を得た(収率81%)。
H-NMR(600MHz in DMSO-d6):δ=9.22(2H、s)、6.83(2H、dd)、6.78(2H、dd)、6.57(2H、ddd)、3.95~3.98(4H、m)、3.65~3.70(4H、m)、3.50~3.56(8H、m)ppm。
19F-NMR(565MHz in DMSO-d6):δ=-136.8(2F、t)ppm。
【0253】
[実施例1-22]フェノール22の合成
【化65】
(式中、Msはメシル基を示す。)
【0254】
[実施例1-22-1]保護フェノール17の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤7に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール17を得た(収率67%)。
【0255】
[実施例1-22-2]フェノール22の合成
保護フェノール1を保護フェノール17に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール22を得た(収率90%)。
【0256】
[実施例1-23]フェノール23の合成
【化66】
【0257】
[実施例1-23-1]エーテル化剤8の合成
窒素雰囲気下、シラン1(30.7g)、マグネシウム(6.7g)及びテトラヒドロフラン120mLを用いて予め調製したGrignard試薬を、内温10~30℃にて、ジブロモ体1(75.0g)、ヨウ化第一銅(0.52g)、亜リン酸トリエチル(0.96g)、テトラヒドロフラン(100mL)の溶液に滴下した。そのままの反応温度にて20時間撹拌を続けた。その後内温30℃以下にて、飽和塩化アンモニウム水溶液(200g)を加え、反応を停止した。通常の後処理方法を行い、エーテル化剤8(43.3g、収率62%)を得た。
沸点:72℃/20Pa。
【0258】
[実施例1-23-2]保護フェノール18の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤8に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール18を得た(収率85%)。
【0259】
[実施例1-23-3]フェノール23の合成
保護フェノール1を保護フェノール18に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール23を得た(収率93%)。
H-NMR(500MHz in DMSO-d6):δ=9.18(1H、s)、6.81(1H、t)、6.72(1H、dd)、6.53(1H、dd)、3.82(2H、t)、1.63(2H、m)、1.19-1.40(12H、m)、0.44(2H、m)、-0.06(9H、s)ppm。
19F-NMR(470MHz in DMSO-d6):δ=-133.7(1F、t)ppm。
【0260】
[実施例1-24]フェノール24の合成
【化67】
【0261】
[実施例1-24-1]エーテル化剤9の合成
ジブロモ体1をジブロモ体2に変更した以外は、[実施例1-23-1]と同様な方法でエーテル化剤9を得た(収率66%)。
【0262】
[実施例1-24-2]保護フェノール19の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤9に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール19を得た(収率86%)。
【0263】
[実施例1-24-3]フェノール24の合成
保護フェノール1を保護フェノール19に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法でフェノール24を得た(収率91%)。
【0264】
[実施例1-25]フェノール25の合成
【化68】
【0265】
[実施例1-25-1]保護フェノール20の合成
エーテル化剤1をエーテル化剤10に変更した以外は、[実施例1-1-3]と同様な方法で保護フェノール20を得た(収率84%)。
【0266】
[実施例1-25-2]中間体フェノール7の合成
保護フェノール1を保護フェノール20に変更した以外は、[実施例1-1-4]と同様な方法で中間体フェノール7を得た(収率89%)。
【0267】
[実施例1-25-3]フェノール25の合成
窒素雰囲気下、シラン2(21.8g)、トルエン(20g)の溶液を、内温30~60℃にて、中間体フェノール7(16.5g)、CAT-PL-50N(0.2mg)、トルエン(60g)の溶液に滴下した。そのままの反応温度にて3時間撹拌を続けた。反応液に活性炭(2g)、シリカゲル(2g)を加え、0.5時間撹拌後、ろ過し活性炭、シリカゲルをろ別した。ろ液を濃縮後、減圧蒸留によりフェノール25(21.4g、収率56%)を得た。
沸点:107℃/15Pa。
【0268】
[実施例1-26]フェノール26の合成
【化69】
【0269】
[実施例1-26-1]フェノール26の合成
シラン2をシラン3に変更した以外は、[実施例1-25-3]と同様な方法でフェノール26を得た(収率52%)。
【0270】
以下に、実施例1-1~1-26で合成したフェノール1~26を示す。
【化70】
【0271】
[合成例]
本発明の導電性ペースト組成物に用いるポリウレタンを以下に示す方法で合成した。
原料
<高分子量ポリオール>
・ニッポラン4010(東ソー社製)ポリエステルポリオール、数平均分子量2000
・ニッポラン4009(東ソー社製)ポリエステルポリオール、数平均分子量1000
・クラレポリオールP-2010(クラレ社製)ポリエステルポリオール、数平均分子量2000
・クラレポリオールC-2090(クラレ社製)ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2000
・プラクセル210(ダイセル社製)ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量1000
【0272】
<鎖延長剤>
【化71】
【0273】
<ポリイソシアネート>
・TDI:2,4-トリレンジイソシアネート又は2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体混合物
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
【0274】
<触媒>
・XK-640(KING INDUSTRIES社製)
【0275】
[合成例1]PU1の合成
窒素気流下、プラネタリーミキサーの反応容器にTDI47.7gとXK-640(KING INDUSTRIES社製)0.05gを計量し60℃に加温した。80質量%ニッポラン4009のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下BCAと表す)溶液114.9gを加え、30分攪拌し、プレポリマーを調製した。プレポリマー溶液をBCA50.7gで希釈した後、90℃に昇温し、50質量%鎖延長剤(6)のBCA溶液を120.7g滴下し、反応温度を90℃に保ったまま9時間熟成し、PU1のBCA溶液を得た。
PU1:
Mw=119,220、Mw/Mn=4.22
【0276】
ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、鎖延長剤の種類、配合比と触媒の使用量を表1に記載の通りに変更した以外は上記[合成例1]と同様の手順によりPU2~14を合成(合成例2~14)した。
【表1】
【0277】
[実施例2-1~49、比較例1-1~13]
導電性ペースト組成物の調製
導電性ペースト組成物を調製するためのポリマーとして表1に記載のPU1~14、及び以下の樹脂を用いた。
・フッ素ゴム(ダイキン製、G801)
・ポリエステル(ユニチカ製、UE-9200)
・アクリルゴム(日本ゼオン製、Nipol(登録商標) 1042)
【0278】
添加剤のフェノール化合物としては、上記実施例1に記載のフェノール1~26、比較例用の添加剤として以下の比較添加剤1~4を用いた。
【化72】
【0279】
導電性フィラーは、下記の銀粉A~E、銅粉A~Bを用意した。
・銀粉A:平均粒径(DL50)は2.1μm
・銀粉B:平均粒径(DL50)は5.3μm
・銀粉C:平均粒径(DL50)は1.2μm
・銀粉D:平均粒径(DL50)は0.67μm
・銀粉E:平均粒径(DL50)は1.72μm
・銅粉A:平均粒径(DL50)は5.5μm
・銅粉B:平均粒径(DL50)は1.3μm
平均粒径の測定はレーザー回析粒度分布装置を用いて粒度分布を測定し、その積算値50%の粒径を平均粒径として求めた。
【0280】
表2、3に記載の組成でポリマー、導電性フィラー、溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)及び添加剤を攪拌混合し導電性ペースト組成物(CI-1~CI-62)を調製した。
【0281】
【表2】
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
【0282】
【表3】
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
【0283】
[実施例3-1~50、比較例2-1~13]
伸縮性導電配線の評価
<評価サンプルの作製>
マイクロテック(株)社製スクリーン印刷機MT-320TVCを用い、ポリウレタンフィルム上に導電性ペースト組成物を塗布した後、熱風乾燥器で熱処理することで線幅3mm、長さ100mm、膜厚15μmの導電配線を形成した。
【0284】
<非伸長状態の初期電気抵抗の測定>
ポリウレタンフィルム上に形成された伸縮性導電配線の両端の電気抵抗を4端子抵抗測定法で測定した。電気抵抗の測定は、ナショナルインスツルメンツ株式会社製PXIe-4136SMU抵抗測定装置により行った。
・電気抵抗(Ω)R=V/I(V:電圧、I:電流)
初期電気抵抗の測定結果を表4、5に示す。
【0285】
<20%伸長時の最大電気抵抗の測定>
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムを撓みのない非伸長状態(0%)から20%伸長した状態で固定し、4端子抵抗測定法にて電気抵抗を測定した。
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムは、株式会社島津製作所製精密万能試験機AG-Xplus HSを使用し、伸縮性導電配線(長方形)の長手方向に100mm/minの速度で伸長させた。
・20%伸長時の電気抵抗変化=[20%伸長時の電気抵抗(Ω)]÷[初期電気抵抗(Ω)]×100
20%伸長時の電気抵抗変化を表4、5に示す。
【0286】
<300%伸長時の最大電気抵抗の測定>
伸縮導電配線が形成されたポリウレタンフィルムを0%の非伸長状態から300%伸長した状態で固定し電気抵抗を測定した。
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムは、株式会社島津製作所製精密万能試験機AG-Xplus HSを使用し、伸縮性導電配線(長方形)の長手方向に100mm/minの速度で伸長させた。
・300%伸長時の電気抵抗変化=[300%伸長時の電気抵抗(Ω)]÷[初期電気抵抗(Ω)]×100
300%伸長時の電気抵抗変化を表4、5に示す。
【0287】
<0~20%繰り返し伸縮における最大抵抗値の測定>
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムに対して撓みのない非伸長状態(0%)から20%の伸縮を1000往復繰り返し、導電配線の電気抵抗経時変化を測定した。
繰り返し伸縮試験は、株式会社島津製作所製精密万能試験機AG-Xplus HSを使用し、伸縮性導電配線(長方形)の長手方向にポリウレタンフィルムを引張速度100mm/minで伸縮させることにより行った。
また、電気抵抗の測定は、引っ張り試験機(上記精密万能試験機AG-Xplus HS)のサンプル固定冶具の内側に電極を設置し、ナショナルインスツルメンツ株式会社製PXIe-4136SMU抵抗測定装置を用い、4端子抵抗測定法により行った。
・伸長率0~20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗値変化=[繰り返し伸縮試験における最大電気抵抗(Ω)]÷[初期電気抵抗(Ω)]×100
伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗変化を表4、5に示す。
【0288】
【表4】
- :未測定
【0289】
【表5】
- :未測定
【0290】
表4、5に示されるように本発明のフェノール化合物を添加した導電性ペースト組成物を用いた場合、配線伸長による電気抵抗の上昇が小さく、繰り返し伸縮における導電安定性に優れた配線が得られることが分かる(実施例3-1~50)。一方、フェノールを含まない比較例2-1~7、12、13、その他の添加剤を含む比較例2-8~11では配線の伸長や繰り返し伸縮により電気抵抗が大きく上昇したり、断線した。また、比較例2-4~11では300%伸長時に断線した。
【0291】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。