(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025431
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230215BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
G03G21/00 388
G03G15/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130673
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌男
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA01
2H077AA35
2H077DA15
2H077DA32
2H077DA78
2H077GA04
2H077GA13
2H270KA04
2H270LA80
2H270LA87
2H270MF14
2H270MH01
2H270MH03
2H270NB03
2H270NB05
2H270NB06
2H270NB07
2H270NB10
2H270NC07
2H270NC13
2H270NC14
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】トナーカートリッジが装着された場合に、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄し、異常データが正常であると誤認識することを回避することにある。
【解決手段】画像形成装置1において、各トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップ90、92、94、96を備え、装置本体の電源が起動された場合に、装置本体に装着されている全てのトナーカートリッジのIDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御部70を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトナーカートリッジを装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置であって、
各前記トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップを備え、
前記装置本体の電源が起動された場合に、前記装置本体に装着されている全ての前記トナーカートリッジの前記IDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、
前記出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、
前記正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジ情報は、当該トナーカートリッジを特定するチップID、当該トナーカートリッジが未使用か否かを示す新品フラグ、前記装置本体を特定する本体ID、及び前記装置本体に装着されているそれぞれのトナーカートリッジに係わるトナー消費量、を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エンジン制御部は、全ての前記トナーカートリッジの前記IDチップに記憶されたカートリッジ情報を、前記トナーカートリッジのチップIDに対応させて記憶するルックアップテーブル(LUT)と、
前記ルックアップテーブルに記憶されたデータに基づいて、前記正規情報を判断する動作、前記正規情報を生成する動作、前記正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して前記正規情報に復帰させる動作を行う演算部と、
前記本体IDを少なくとも記憶するメモリ部と、
前記全てのトナーカートリッジの前記IDチップと前記演算部との間で情報の授受を行う通信部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記エンジン制御部は、前記ルックアップテーブルに記憶された前記カートリッジ情報の属性として新品フラグを検出した場合、
当該新品フラグを検出した新品トナーカートリッジのトナー色に係わるトナー消費量をゼロに設定すると共に、
前記新品フラグを検出しなかった全ての使用済みトナーカートリッジの前記IDチップに対して、前記新品トナーカートリッジのトナー色に係わるトナー消費量をゼロに書き換え、
前記新品トナーカートリッジのトナー色を除く他のトナー色について、トナー色ごとのトナー消費量のうち出現回数が最多の値を正規情報として判断し、
前記新品フラグを検出した新品トナーカートリッジのトナー色を除く他のトナー色について、他のトナー色に係わるトナー消費量を前記正規情報に書き換え、前記新品フラグを無効にするように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記エンジン制御部は、前記ルックアップテーブルに記憶された前記カートリッジ情報の属性として前記装置本体側に記憶されている本体IDと異なる異本体IDを検出した場合、
前記異本体IDを検出した異本体トナーカートリッジに係わる全トナー色のトナー消費量の値を保持すると共に、正規の本体IDを有する正規本体トナーカートリッジの前記異本体トナーカートリッジのトナー色に該当するトナー消費量の値を前記保持した値に書き換え、
前記保持した値に書き換えたトナー色を除く他のトナー色ごとに最も数の多いトナー消費量の値を前記正規情報として判断し、
前記異本体IDを検出した異本体トナーカートリッジのトナー色を除く他のトナー色のトナー消費量を前記正規情報に書き換えた後、前記異本体トナーカートリッジの本体IDを前記正規の本体IDに書き換えるように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記エンジン制御部は、前記ルックアップテーブルに記憶された前記カートリッジ情報の中から前記新品フラグ又は前記異本体IDを検出しなかった場合、
トナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値をそれぞれの正規情報として判断し、
全てのトナーカートリッジの全トナー色を前記正規情報に書き換えるように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記エンジン制御部は、前記ルックアップテーブルに記憶されたそれぞれのトナーカートリッジの前記カートリッジ情報の中から異常値を検出した場合、当該異常値が検出されたことを報知し、
当該異常値が検出されなくなった後に、全てのトナーカートリッジのトナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値を前記正規情報として判断し、
前記全てのトナーカートリッジの全トナー色を前記正規情報に書き換えるように制御することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
感光体ユニット、定着ユニット、及び中間転写ユニット備え、
前記IDチップは、前記感光体ユニットに係わる使用情報、前記定着ユニットに係わる使用情報、及び前記中間転写ユニットに係わる使用情報を記憶するように構成され、
前記エンジン制御部は、前記IDチップから読み取った前記感光体ユニットに係わる使用情報、前記定着ユニットに係わる使用情報、及び前記中間転写ユニットに係わる使用情報をカートリッジ・ユニット情報として前記ルックアップテーブルに記憶させ、前記演算部に、前記ルックアップテーブルに記憶されたデータに基づいて、前記正規情報を判断する動作、前記正規情報を生成する動作、前記正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して前記正規情報に復帰させる動作を行わせることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ルックアップテーブルに記憶された前記カートリッジ・ユニット情報は、当該トナーカートリッジ又は当該ユニットを特定するチップID、当該トナーカートリッジ又は当該ユニットが未使用か否かを示す新品フラグ、前記装置本体を特定する本体ID、及び前記装置本体に装着されているそれぞれのトナーカートリッジに係わるトナー消費量、及び前記感光体ユニット、前記定着ユニット、前記中間転写ユニットに係わる使用情報により構成されていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数のトナーカートリッジを装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置による画像形成方法であって、
各前記トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップを備え、
前記装置本体の電源が起動された場合に、前記装置本体に装着されている全ての前記トナーカートリッジの前記IDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、
前記出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、
前記正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御ステップを実行することを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
請求項10に記載された画像形成方法における各ステップをプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーMFP(画像形成装置)にあっては、各色のトナーカートリッジに係わる寿命を検知するために、印刷枚数を計数して、その積算値と画像の各色のドットの大きさ等からトナー消費量を演算して、寿命を検知するという技術が知られている。
このようなMFPにあっては、各色のトナーカートリッジに各色のトナー消費量を記憶する不揮発性メモリを搭載して、印刷動作の終了又は開始毎に、記憶されたトナー消費量を適正な値に書き換える技術が搭載されている。
【0003】
このような従来のMFPの一例として、特許文献1が知られている。
特許文献1には、トナーカートリッジに搭載された不揮発性メモリからデータを読み取ったときに、接続不良を検知した場合は、他のすべてのカートリッジの不揮発性メモリに所定のデータを書き込む技術が開示されている。
【0004】
詳しくは、特許文献1にあっては、各トナーカートリッジに搭載された不揮発性メモリから所定データを読み取ったときに、正常なデータを読み出せないトナーカートリッジが使用された場合、その状態が解消された後に、当該トナーカートリッジの不揮発性メモリに、他のトナーカートリッジに係わる所定のデータを書き込むように制御される。
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、新品のトナーカートリッジや他の装置本体で使用したトナーカートリッジをMFPに装着した場合に、必ずしも正確な情報を不揮発性メモリに保持できるとは限らないといった問題があった。
また、特許文献1にあっては、トナーカートリッジのコネクタ部に接続不良が発生した場合、他のカートリッジの最新の情報を無条件に書き込むので、必ずしもトナーカートリッジの寿命を正確に表しているとは言えないといった問題がある。
さらに、トナーカートリッジのコネクタ部に接続不良が発生した場合、装置本体に設けられた制御部で取得されるデータはハイレベルに化けるという現象が発生するため、トナー消費量が最大値になり、制御部は直ちにトナーが空状態(トナー切れ状態)になったことと誤認識するといった問題があった。
すなわち、従来、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄できず、異常データが正常であると誤認識するといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、トナーカートリッジが装着された場合に、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄し、異常データが正常であると誤認識することを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、複数のトナーカートリッジを装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置であって、各前記トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップを備え、前記装置本体の電源が起動された場合に、前記装置本体に装着されている全ての前記トナーカートリッジの前記IDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、前記出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、前記正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トナーカートリッジが装着された場合に、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄し、異常データが正常であると誤認識することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の機能ブロック図であり、(a)はエンジン制御部とプリンタ部との関係を表し、(b)はIDチップに記憶されたデータ内容を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の他の機能ブロック図であり、(a)はエンジン制御部とプリンタ部との関係を表し、(b)はIDチップに記憶されたデータ内容を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の本体側とトナーカートリッジ側を接続するコネクタ部の機構的な概略構成図であり、(a)はIDチップ側のコネクタを示す図であり、(b)は本体側のコネクタを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置のルックアップテーブルと各トナーカートリッジとのデータの対応関係を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の通常動作に係わるLUTの記憶内容の一例を示す図であり、縦軸がカートリッジ情報、横軸がトナーカートリッジ名を示す。(a)は全てのトナーカートリッジが新品である場合の読取データを示す図であり、(b)は新品トナーカートリッジを同じ本体に装着した後、フルカラーを10枚印刷した場合の読取データを示す図であり、(c)は新品トナーカートリッジを同じ本体に装着した後、モノクロを10枚印刷した場合の読取データを示す図であり、(d)はフルカラーを10枚印刷した後、モノクロを10枚印刷した場合の読取データを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の新品カートリッジが装着された場合のLUTの記憶内容の一例を示す図であり、(a)は全てのトナーカートリッジのカートリッジ情報を読み込んだLUTの状態を示す図であり、(b)はM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量をゼロに書き換えた図であり、(c)は正規情報を演算する範囲を示す図であり、(d)はYトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量を正規情報に書き換えた図であり、(e)は新品フラグと本体IDを書き換えた図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の異本体カートリッジが装着された場合のLUTの記憶内容の一例を示す図であり、(a)は全てのトナーカートリッジのカートリッジ情報を読み込んだLUTの状態を示す図であり、(b)はM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を書き換えた図であり、(c)は正規情報を演算する範囲を示す図であり、(d)はYトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量を正規情報に書き換えた図であり、(e)は本体IDを書き換えた図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置のカートリッジが異常時のルックアップテーブルの記憶内容の一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の基本操作フローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の通常動作フローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の新品カートリッジを装着した時の動作フローチャートである。
【
図13】本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の異本体カートリッジを装着した時の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、トナーカートリッジが装着された場合に、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄し、異常データが正常であると誤認識することを回避するために、以下の構成を有する。
【0011】
即ち、本発明の画像形成装置は、複数のトナーカートリッジを装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置であって、各トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップを備え、装置本体の電源が起動された場合に、装置本体に装着されている全てのトナーカートリッジのIDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御部を備えたことを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、トナーカートリッジが装着された場合に、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄し、異常データが正常であると誤認識することを回避することができる。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
<画像形成装置の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の概略構成図である。以下、同じ構成要件には同じ符号を付して説明する。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2内に給紙部10、搬送部20、プリンタ部40等が収納され、本体筐体2の上部に排紙トレイ3設けられている。また、画像形成装置1は、操作表示部を備えており、そこに各種操作キー及びディスプレイ等を備えている。
【0013】
給紙部10は、給紙トレイ11、給紙ローラ12及び分離パッド等を備えており、給紙トレイ11内には、複数枚の用紙(被記録媒体)Pが収納される。給紙部10は、給紙トレイ11内の用紙Pを給紙ローラ12と分離パッドで1枚ずつ分離して、搬送部20に搬送する。
【0014】
搬送部20は、順方向搬送路21、両面搬送路22、レジストローラ23、2次転写ローラ24、排紙ローラ25、両面ローラ26、レジストセンサ27、排紙センサ28、両面センサ29、定着部30及び複数の搬送ローラ等を備えている。搬送部20は、給紙部10から送り出されてきた用紙Pを、順方向搬送路21上をレジストローラ23へ搬送し、レジストローラ23へ搬送される用紙Pを、レジストセンサ27が検出する。
【0015】
また、画像形成装置1は、レジストローラ23で用紙Pの搬送を一時停止させた後、レジストセンサ27による用紙Pの検出結果とプリンタ部40でのトナー画像形成状況に基づいて、レジストローラ23の駆動を制御し、用紙Pをプリンタ部40によって形成されたトナー画像とのタイミングを調整して、2次転写ローラ24へ搬送する。
【0016】
搬送部20は、2次転写ローラ24によって、プリンタ部40で形成されたカラートナー画像をレジストローラ23から搬送されてきた用紙P上に転写させつつ、用紙Pを定着部30に搬送する。
【0017】
定着部30は、定着ローラ(定着手段)30aと加圧ローラ30bを備え、定着ローラ30aと加圧ローラ30bとの間に用紙Pを挟んで、この用紙Pを搬送しつつ加熱・加圧し、用紙P上のトナー画像を用紙Pに定着させる。定着部30は、定着の完了した用紙Pを排紙ローラ25に搬送する。
【0018】
搬送部20は、排紙ローラ25に搬送される用紙Pを排紙センサ28が検出し、この用紙Pが両面画像形成を行う場合であって片面への画像形成の完了した用紙Pであると、排紙ローラ25を適宜のタイミングに反転させて、両面搬送路22に送り込む。
【0019】
搬送部20は、用紙Pを両面搬送路22に送り込むと、両面ローラ26によって用紙Pの搬送を行い、この両面搬送路22上を搬送される用紙Pを両面センサ29が検出する。
【0020】
搬送部20は、両面搬送路22に送り込んだ用紙を両面搬送路22からレジストローラ23へ再度搬送し、上記同様に、用紙Pの裏面に画像形成して定着部30で定着させた後、排紙ローラ25によって排紙トレイ3上に排出する。
【0021】
プリンタ部40は、中間転写ユニット41、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色用のトナーカートリッジ42Y、42M、42C、42K、露光部43、キャリブレーション用センサ44、排トナーボックス45等を備えている。
【0022】
中間転写ユニット41は、中間転写ベルト51、2次転写駆動ローラ52、テンションローラ53及びYMCK各色用の転写ローラ54Y、54M、54C、54K等を備えている。
【0023】
中間転写ユニット41は、無端帯状でリング状に形成されている中間転写ベルト51が、略水平方向に張り渡された2次転写駆動ローラ52とテンションローラ53とに張り渡されている。2次転写駆動ローラ52は、中間転写ベルト51を挟んで2次転写ローラ24に当接する状態で配設されている。
【0024】
プリンタ部40は、中間転写ベルト51に沿ってYMCKの各トナーカートリッジ42Y、42M、42C、42Kが配設されている。各トナーカートリッジ42Y、42M、42C、42Kは、
図1において時計方向に回転駆動される感光体61Y、61M、61C、61Kを中心に、帯電ローラ62Y、62M、62C、62K、現像/トナー収納部63Y、63M、63C、63K及びクリーニング部64Y、64M、64C、64K等が配設された状態でカートリッジケース内に収納されている。
【0025】
各トナーカートリッジ42Y、42M、42C、42Kは、その感光体61Y、61M、61C、61Kが上記中間転写ベルト51を挟んで、各色用の転写ローラ54Y、54M、54C、54Kと対向して接触する状態で本体筐体2内に収納されて装着される。
【0026】
プリンタ部40は、各トナーカートリッジ42Y、42M、42C、42Kの感光体61Y、61M、61C、61Kと転写ローラ54Y、54M、54C、54Kとの間を中間転写ベルト51が搬送される。
【0027】
露光部43は、ポリゴンモータ、ポリゴンミラー、Fθレンズ、レーザダイオード及びミラー等を備えている。
【0028】
露光部43は、各色の画像データに基づいて変調した各色のトナーカートリッジ42Y、42M、42C、42K用の書込光をレーザダイオードからポリゴンモータにより回転駆動されるポリゴンミラーへ出射させる。
【0029】
露光部43は、この書込光を、ポリゴンミラーによって主走査方向に偏向させて、fθレンズやミラー等を経由させて、
図1に破線矢印で示すように、各トナーカートリッジ42Y、42M、42C、42Kの帯電ローラ62Y、62M、62C、62Kによって一様に帯電されている感光体61Y、61C、61M、61Kに照射し、各色の感光体61Y、61C、61M、61K上に静電潜像を形成する。
【0030】
プリンタ部40は、静電潜像の形成された感光体61Y、61C、61M、61Kを時計方向に回転させつつ、現像/トナー収納部63Y、63M、63C、63Kによって各色のトナー(記録剤)を感光体61Y、61M、61C、61K上に供給して静電潜像を現像する。
【0031】
プリンタ部40は、各色のトナー画像(記録剤像)の形成された感光体61Y、61M、61C、61Kに転写ローラ54Y、54M、54C、54Kによって中間転写ベルト51上に順次重ね合わせて転写し、カラーのトナー画像を形成する。
【0032】
プリンタ部40は、トナー画像の転写の完了した各感光体61Y、61M、61C、61Kをさらに回転させてクリーニング部64Y、64M、64C、64Kで残留トナーを除去した後、再度、帯電ローラ62Y、62M、62C、62Kで帯電させて、画像形成に供する。
【0033】
中間転写ベルト51は、2次転写駆動ローラ52によって反時計方向に回転駆動され、2次転写駆動ローラ52部分で、2次転写ローラ24との間にレジストローラ23から搬送されてきた用紙Pにトナー画像を転写する。
【0034】
なお、プリンタ部40は、ブラックのみの印刷の場合には、ブラック用の転写ローラ54K以外の転写ローラ54Y、54M、54Cについては、それぞれ感光体61Y、61M、61Cから離間した位置に退避させて画像形成する。
【0035】
また、プリンタ部40は、所定の色ずれ補正処理や濃度調整処理等のキャリブレーション処理を行うために、中間転写ベルト51上にパターン画像を形成し、このパターン画像をキャリブレーション用センサ44で検出する。
【0036】
キャリブレーション用センサ44は、例えば、反射型光センサが用いられており、トナーカートリッジ42Y、42M、42C、42Kによって中間転写ベルト51上に形成されたパターン画像の位置及び濃度を検出する。
【0037】
<画像形成装置の機能ブロック>
図2は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の機能ブロック図であり、(a)はエンジン制御部とプリンタ部との関係を表し、(b)はIDチップに記憶されたデータ内容を示す図である。
図2(a)はエンジン制御部とプリンタ部との関係を表し、MFP1は、エンジン制御部70、プリンタ部40、コネクタ部80を備えている。
エンジン制御部70は、CPU72、ルックアップテーブル(以下、LUTと記す)74、メモリ部76、通信部78を備えている。
【0038】
演算部(CPU)72は、ROMに予め記憶されるプログラムに従い、Yトナーカートリッジ82、Mトナーカートリッジ84、Cトナーカートリッジ86、Kトナーカートリッジ88に記憶されているIDチップ90、92、94、96のカートリッジ情報に基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行い、その結果を各IDチップ90、92、94、96に書き込む。
【0039】
LUT74は、RAM上に展開され、各トナーカートリッジと対応付けてIDチップ90、92、94、96のデータを記憶する。
メモリ部76は、不揮発性メモリにより構成され、装置本体を特定する本体ID76aが記憶されている。
【0040】
通信部78は、LUT74に記憶されたカートリッジ情報と、Yトナーカートリッジ82、Mトナーカートリッジ84、Cトナーカートリッジ86、Kトナーカートリッジ88のIDチップ90、92、94、96に記憶されたデータとの授受を行う。
【0041】
プリンタ部40は、Yトナーカートリッジ82、Mトナーカートリッジ84、Cトナーカートリッジ86、Kトナーカートリッジ88を備え、コネクタ部80によりエンジン制御部70と信号線により接続されている。
【0042】
Y、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88は、夫々IDチップ90、92、94、96とトナー収容部98、100、102、104を備えている。
【0043】
IDチップ90、92、94、96は、不揮発性メモリにより構成され、
図2(b)に示すように、それぞれのトナーカートリッジを特定するチップID、それぞれのトナーカートリッジが未使用か否かを示す新品フラグ、装置本体を特定する本体ID、及び自色を含む他の全てのトナーカートリッジのトナー消費量により構成されている。
【0044】
トナー収容部98、100、102、104は、夫々にY、M、C、Kのトナーを収容している。
【0045】
コネクタ部80は、各トナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップ90、92、94、96を駆動するための電源の供給と各種データを授受する。
【0046】
画像形成装置1は、複数のトナーカートリッジ82、84、86、88を装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置である。
各トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップ90、92、94、96を備える。
エンジン制御部70は、装置本体の電源が起動された場合に、装置本体に装着されている全てのトナーカートリッジのIDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御する。
【0047】
カートリッジ情報は、当該トナーカートリッジ82、84、86、88を特定するチップID、当該トナーカートリッジ82、84、86、88が未使用か否かを示す新品フラグ、装置本体を特定する本体ID、及び装置本体に装着されているそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88に係わるトナー消費量、を含む。
【0048】
エンジン制御部70は、全てのトナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップ90、92、94、96に記憶されたカートリッジ情報を、トナーカートリッジのチップIDに対応させて記憶するLUT74と、ルックアップテーブル74に記憶されたデータに基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、該正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行う演算部と、本体IDを少なくとも記憶するメモリ部76と、全てのトナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップ90、92、94、96と演算部72との情報の授受を行う通信部78と、を備える。
【0049】
エンジン制御部70は、それぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の属性として新品フラグを検出した場合、当該新品フラグを検出した新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色に係わるトナー消費量をゼロに設定すると共に、新品フラグを検出しなかった全ての使用済みトナーカートリッジ(M、C、K)のIDチップに対して、新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色に係わるトナー消費量をゼロに書き換え、新品トナーカートリッジのトナー色を除く他のトナー色(A×B領域)について、トナー色ごとのトナー消費量のうち出現回数が最多の値を正規情報として判断し、新品フラグを検出した新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色を除く他のトナー色について、他のトナー色(A×C領域)に係わるトナー消費量を正規情報に書き換え、新品フラグを無効にする。
【0050】
エンジン制御部70は、それぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の属性として装置本体側に記憶されている本体IDと異なる異本体IDを検出した場合、異本体IDを検出した異本体トナーカートリッジ(Y)に係わる全トナー色のトナー消費量の値を保持すると共に、正規の本体IDを有する正規本体トナーカートリッジ(M、C、K)の異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー色に該当するトナー消費量の値を保持した値に書き換え、保持した値に書き換えたトナー色(Y)を除く他のトナー色(D×E領域)ごとに最も数の多いトナー消費量の値を正規情報として判断し、異本体IDを検出した異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー色を除く他のトナー色(D×F領域)を正規情報に書き換えた後、異本体トナーカートリッジ(Y)の本体IDを正規の本体IDに書き換える。
【0051】
エンジン制御部70は、それぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の中から新品フラグ又は異本体IDを検出しなかった場合、トナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値をそれぞれの正規情報として判断し、全てのトナーカートリッジの全トナー色を正規情報に書き換える。
【0052】
エンジン制御部70は、ルックアップテーブルに記憶されたそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の中から異常値を検出した場合、当該異常値が検出されたことを報知し、当該異常値が検出されなくなった後に、全てのトナーカートリッジのトナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値を正規情報として判断し、正常トナーカートリッジの全トナー色を正規情報に書き換える。
【0053】
<画像形成装置の他の機能ブロック>
図3は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の他の機能ブロック図であり、
図3(a)はエンジン制御部とプリンタ部との関係を表し、
図3(b)はIDチップに記憶されたデータ内容を示す図である。
MFP1は、エンジン制御部70、プリンタ部40a、コネクタ部80a、80b、80c、80dを備えている。
エンジン制御部70、コネクタ部80a、80b、80c、80dは
図1と同様であるので説明を省略する。
【0054】
プリンタ部40aは、
図1に示すプリンタ部40に、感光体ユニット106、定着ユニット108、中間転写ユニット110を追加し、各IDチップ90a、92a、94a、96a、112、114、116に感光体ユニット使用情報、定着ユニット使用情報、及び中間転写ユニット使用情報を追加した点が異なる。
【0055】
感光体ユニット106、定着ユニット108、中間転写ユニット110には、夫々、感光体118、定着部120、中間転写部122を備えている。
【0056】
画像形成装置1は、さらに、感光体ユニット106、定着ユニット108、及び中間転写ユニット110備える。
IDチップは、感光体ユニットに係わる使用情報、定着ユニットに係わる使用情報、及び中間転写ユニット110に係わる使用情報を記憶する。
エンジン制御部70は、IDチップ90a、92a、94a、96a、112、114、116から読み取った感光体ユニット106に係わる使用情報、定着ユニット108に係わる使用情報、及び中間転写ユニット110に係わる使用情報をカートリッジ・ユニット情報としてルックアップテーブルに記憶させ、演算部に、ルックアップテーブルに記憶されたデータに基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行わせる。
【0057】
ルックアップテーブルに記憶されたカートリッジ・ユニット情報は、当該カートリッジ・ユニット82、84、86、88、106、108、110を特定するチップID、当該カートリッジ・ユニットが未使用か否かを示す新品フラグ、装置本体を特定する本体ID、及び装置本体に装着されているそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88に係わるトナー消費量、及び感光体ユニット106、定着ユニット108、中間転写ユニット110に係わる使用情報により構成されている。
【0058】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0059】
<コネクタ部の機構的な概略構成>
図4は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の本体側とトナーカートリッジ側を接続するコネクタ部の機構的な概略構成図であり、
図4(a)はIDチップ側のコネクタを示す図であり、
図4(b)は本体側のコネクタを示す図である。
図4(a)はIDチップ側のコネクタを示す図を表し、例えば、
図2に示すYトナーカートリッジ82の場合、小基板83がねじ81等によりYトナーカートリッジ82に固定されている。小基板83には、IDチップ90が裏面に実装され、4つのコネクタパターン80bと接続されている。各端子には、シリアルデータ、シリアルクロック、電源、GND等が接続される。
図4(b)は本体側のコネクタを示す図を表し、本体側の筐体85に実装される。コネクタは4つの端子80aがあり、エンジン制御部70と接続されている。Yトナーカートリッジ82を装着すると、小基板83の4つのコネクタパターン80bと4つの端子80aが接触するように配置されている。
【0060】
<LUTと各トナーカートリッジとのデータの対応関係>
図5は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置のLUTと各トナーカートリッジとのデータの対応関係を示す図である。
チップIDは、各トナーカートリッジを特定するためにそれぞれ異なるユニークなIDが割り当てられている。例えば、IDチップ90には「Y123」、IDチップ92には「M123」、IDチップ94には「C123」、IDチップ96には「K123」と記憶される。
【0061】
新品フラグは、全てのトナーカートリッジが使用済みであるため「0」となっている。又、本体IDは、同じ装置本体に装着されているため、同じ「R2012」が記憶されている。そして、各トナーカートリッジの色毎のトナー消費量は、Yトナー消費量が「120」、Mトナー消費量が「132」、Cトナー消費量が「162」、Kトナー消費量が「290」が記憶されている。
【0062】
エンジン制御部70は、LUT74に各トナーカートリッジと対応付けてIDチップ90、92、94、96のカートリッジ情報を読み取り、
図5に示すように記憶して、このカートリッジ情報に基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、該正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行い、印刷動作が終了すると、各IDチップのカートリッジ情報をLUT74の正規情報に書き換える。
【0063】
<画像形成装置の通常動作に係わるLUTの記憶内容>
図6は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の通常動作に係わるLUTの記憶内容の一例を示す図であり、縦軸がカートリッジ情報、横軸がトナーカートリッジ名を示す。
【0064】
図6(a)は全てのトナーカートリッジが新品である場合の読取データを示す図であり、
図6(b)は新品トナーカートリッジを同じ本体に装着した後、フルカラー画像を10枚印刷した場合の読取データを示す図であり、
図6(c)は新品トナーカートリッジを同じ本体に装着した後、モノクロ画像を10枚印刷した場合の読取データを示す図であり、
図6(d)はフルカラー画像を10枚印刷した後、モノクロ画像を10枚印刷した場合の読取データを示す図である。なお、説明を簡素化するために、印刷した枚数をトナー消費量として扱うこととする。
【0065】
図6(a)は、全てのトナーカートリッジが新品であり、YトナーカートリッジのチップIDを「Y123」、MトナーカートリッジのチップIDを「M123」、CトナーカートリッジのチップIDを「C123」、KトナーカートリッジのチップIDを「K123」とし、新品フラグは全てが新品なのでフラグは「1」が立つ。又、本体IDは同じ本体に装着されているので、全て「R2021」とする。又、夫々のトナーカートリッジのY、M、C、Kトナー消費量は全て新品なので消費量は「0」となる。
【0066】
図6(b)は、
図6(a)の状態から、フルカラー画像を10枚印刷した場合を示す。従って、全ての新品フラグが「1」から「0」に切り替わる。又、例えば印刷枚数10枚をトナー消費量とすると、各トナーカートリッジの各トナー消費量が全て「10」となる。
【0067】
図6(c)は、
図6(a)の状態から、モノクロ画像を10枚印刷した場合を示す。モノクロ画像の場合、プリンタ部40は、ブラック用の転写ローラ54K以外の転写ローラ54Y、54M、54Cについては、それぞれ感光体61Y、61M、61Cから離間した位置に退避させて画像形成するので、Kトナーカートリッジの新品フラグのみが「0」に切り替わり、Y、M、C、KトナーカートリッジのKトナー消費量のみが「10」となる。
【0068】
図6(d)は、
図6(b)の状態から、フルカラー画像を10枚印刷した後、モノクロ画像を10枚印刷した場合を示す。全てのトナーカートリッジの新品フラグは、既にフルカラー10を印刷しているので「0」に切り替わっており、Kトナー消費量のみが「10+5」となり、合計「15」となる。
【0069】
<新品カートリッジが装着された場合のLUTの記憶内容>
図7は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の新品カートリッジが装着された場合のLUTの記憶内容の一例を示す図であり、
図7(a)は全てのトナーカートリッジのカートリッジ情報を読み込んだLUTの状態を示す図であり、
図7(b)はM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を書き換えたことを示す図であり、
図7(c)は正規情報を演算する範囲を示す図であり、
図7(d)はYトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量を正規情報に書き換えたことを示す図であり、
図7(e)は新品フラグと本体IDを書き換えたことを示す図である。
【0070】
図7(a)は、全てのトナーカートリッジのカートリッジ情報を読み込んだLUTL74の状態を示す図であり、YトナーカートリッジにはチップIDを「Y123」と仮定し、新品フラグに「1」が立っているので新品カートリッジであることが分かる。その時、本体IDには何も記憶されていない。また、Y、M、C、Kトナー消費量は全て「0」が記憶されていると仮定する。
【0071】
更に他のM、C、KカートリッジのチップIDを夫々「M123」「C123」「K123」と仮定し、新品フラグに「0」が立っているので使用済みカートリッジであることが分かる。その時、本体IDには夫々「R2012」が記憶されている。また、Y、M、C、Kトナー消費量は「200」「188」「144」「155」が記憶されていると仮定する。
【0072】
図7(b)は、M、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量をゼロに書き換えたことを示す図であり、現在のM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量は「200」であるが、新品カートリッジを装着したことによりYトナー消費量を「0」に書き換える。
【0073】
図7(c)は正規情報を演算する範囲を示す図であり、例えば、A×B領域のトナー消費量に対して、Mトナー消費量は「0」「188」「188」「188」であり、「0」の出現回数が1回、「188」の出現回数が3回存在するので「188」を最多のトナー消費量、即ち正規情報とする。
【0074】
同様に、Cトナー消費量は「0」「144」「144」「144」であり、「0」の出現回数が1回、「144」の出現回数が3回存在するので「144」を正規情報とする。同様に、Kトナー消費量は「0」「155」「155」「155」であり、「0」の出現回数が1回、「155」の出現回数が3回存在するので「155」を正規情報とする。その結果、YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量の正規情報は「188」「144」「155」となる。
【0075】
図7(d)はYトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量を正規情報に書き換えたことを示す図であり、YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量(A×C領域)に記憶されている「0」のデータを
図7(c)で演算した正規情報「188」「144」「155」に書き換える。即ち、Yトナーカートリッジを装着した時点では、M、C、Kトナー消費量は全て「0」であったため、現状のトナー消費量を反映していないことになるため、現状のトナー消費量に書き換える。
【0076】
図7(e)は新品フラグと本体IDを書き換えたことを示す図であり、Yトナーカートリッジを装着した時点では、本体IDには何も記憶されていない。従って、Yトナーカートリッジのカートリッジ情報を設定した後は本体IDを特定する必要がある。そこで、M、C、Kトナーカートリッジの本体ID「R2021」と同じ本体IDを記憶する。これにより、新品のYトナーカートリッジを装着した状態で印刷動作を開始することが可能となる。その後、印刷動作が終了した時点で、LUT74に記憶した内容を各トナーカートリッジのIDチップに書き込む。
【0077】
<異本体カートリッジが装着された場合のLUTの記憶内容>
図8は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の異本体カートリッジが装着された場合のLUTの記憶内容の一例を示す図であり、
図8(a)は全てのトナーカートリッジのカートリッジ情報を読み込んだLUTの状態を示す図であり、
図8(b)はM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を書き換えたことを示す図であり、
図8(c)は正規情報を演算する範囲を示す図であり、
図8(d)はYトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量を正規情報に書き換えたことを示す図であり、
図8(e)は本体IDを書き換えたことを示す図である。
【0078】
図8(a)は、全てのトナーカートリッジのカートリッジ情報を読み込んだLUTL74の状態を示す図であり、Y、M、C、KトナーカートリッジのチップIDを夫々「Y123」「M123」「C123」「K123」と仮定し、新品フラグには全て「0」が立っているので使用済みカートリッジであることが分かる。その時、Yトナーカートリッジの本体IDには「R2018」と記憶されており、他のトナーカートリッジの本体ID「R2021」と異なっていると仮定し、以下、Yトナーカートリッジを異本体カートリッジと記す。
【0079】
その時、YトナーカートリッジのY、M、C、Kトナー消費量は「120」「132」「162」「290」が記憶され、また、M、C、KトナーカートリッジのY、M、C、Kトナー消費量は「200」「188」「144」「155」が記憶されていると仮定する。
【0080】
図8(b)は、M、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を「120」に書き換えたことを示す図であり、現在のM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量は「200」であるが、異本体カートリッジのYトナー消費量は「120」であるので、M、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を「120」に書き換える。即ち、異本体カートリッジを新たに装着したことにより、そのトナー消費量が「120」に変化したため、現在のトナー消費量を「200」のままにしておくと、実際よりトナー消費量が多いと見做されて正確なカートリッジ交換のタイミングを逸するため「120」に書き換える。
尚、本実施形態では、異本体カートリッジのYトナー消費量は「120」、M、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を「200」として説明したが、逆の場合も同様である。
【0081】
図8(c)は正規情報を演算する範囲を示す図であり、例えば、D×E領域のトナー消費量に対して、Mトナー消費量は「132」「188」「188」「188」であり、「132」の出現回数が1回、「188」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多の「188」をトナー消費量、即ち正規情報とする。
【0082】
同様に、Cトナー消費量は「162」「144」「144」「144」であり、「162」の出現回数が1回、「144」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多の「144」を正規情報とする。同様に、Kトナー消費量は「290」「155」「155」「155」であり、「290」の出現回数が1回、「155」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多の「155」を正規情報とする。その結果、YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量の正規情報は「188」「144」「155」となる。
【0083】
図8(d)はYトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量を正規情報に書き換えたことを示す図であり、YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量(D×F領域)に記憶されている「132」「162」「290」のデータを
図8(c)で演算した正規情報「188」「144」「155」に書き換える。即ち、Yトナーカートリッジを装着した時点では、M、C、Kトナー消費量は「132」「162」「290」であったため、現状のトナー消費量を反映していないことになるため、現状のトナー消費量に書き換える。
【0084】
図8(e)は新品フラグと本体IDを書き換えた図であり、Yトナーカートリッジを装着した時点では、本体IDは「R2018」が記憶されていた。従って、Yトナーカートリッジのカートリッジ情報を設定した後は本体IDを他のトナーカートリッジの本体IDと一致させる必要がある。そこで、M、C、Kトナーカートリッジの本体ID「R2021」と同じ本体IDを記憶する。これにより、使用済みのYトナーカートリッジを装着した状態で印刷動作を開始することが可能となる。その後、印刷動作が終了した時点で、LUT74に記憶した内容を各トナーカートリッジのIDチップに書き込む。
【0085】
<カートリッジが異常時のLUTの記憶内容>
図9は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置のカートリッジが異常時のLUTの記憶内容の一例を示す図である。
本発明では、例えば、Yトナーカートリッジがコネクタ部において接触不良等の異常が発生した場合、Yトナーカートリッジの全てのカートリッジ情報がエラーデータである「H’FF」となる。このような場合は、ユーザにその旨を報知して処置してもらうことが必要である。
【0086】
トナーカートリッジがコネクタ部において接触不良を発生すると、「H’FF」のデータが発生する場合がある。トナー消費量のデータが、通信異常でエラーデータである「H’FF」に化ける現象は、トナー消費量が最大であることを示すので、直ちにトナーエンドと誤認識してしまう。従って、このような場合は、このデータを除外して演算するために、再度トナーカートリッジを装置本体から抜き差し操作を行い、読み取りデータが正常に復帰するように試みる。
【0087】
<画像形成装置の基本操作フローチャート>
図10は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の基本操作を表すフローチャートである。
基本操作フロー100において、ステップS1では、操作者が装置本体の電源をONする。
【0088】
ステップS3では、エンジン制御部70は、トナーカートリッジからLUT74に読み込んだデータが正常か否かを判断する。信号が正常であれば(ステップS3でYES)、ステップS5に進み、信号が異常であれば(ステップS3でNO)ステップS9に進む。
【0089】
ステップS5では、エンジン制御部70は、LUT74に読み込んだデータの新品フラグが「1」となっているか否かを判断する。新品フラグを検出すると(ステップS5でYES)、
図12に示す新品カートリッジ装着フロー200に進み、新品フラグを検出しないと(ステップS5でNO)、ステップS7に進む。
【0090】
ステップS7では、エンジン制御部70は、LUT74に読み込んだデータの本体IDが異本体IDであるか否かを判断する。異本体IDであると検出すると(ステップS7でYES)、
図13に示す異本体カートリッジ装着フロー300に進み、異本体IDを検出しないと(ステップS7でNO)、
図11の通常動作フロー400に進む。
【0091】
一方、ステップS9では、エンジン制御部70は、トナーカートリッジが接触不良であることを報知する。ここで、ユーザが報知を検知して電源を一旦OFFして、接触不良のトナーカートリッジを脱着して基本操作フロー100を再開する。
【0092】
尚、この基本操作フロー100は、新品カートリッジ装着フロー200、異本体カートリッジ装着フロー300、及び通常動作フロー400との関連性を説明するものであり、詳細な説明は後述する。
【0093】
<画像形成装置の通常動作フローチャート>
図11は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の通常動作フローチャートである。
図2、
図7と併せて参照しながら説明する。
【0094】
通常動作フロー400において、ステップS11では、エンジン制御部70は、Y、M、C、Kのトナーカートリッジ82、84、86、88からカートリッジ情報をLUT74に読み込む。
【0095】
ステップS13では、エンジン制御部70は、Y、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88のA×B領域のトナー消費量の中から、色ごとに最も出現回数が多い値を正規情報として判断する(
図7(c)参照)。
例えば、A×B領域のトナー消費量に対して、Mトナー消費量は「0」「188」「188」「188」であり、「0」の出現回数が1回、「188」の出現回数が3回存在するので、「0」の出現回数よりも「188」の出現回数が多い。そこで、出現回数が最多になったトナー消費量を正規情報とする。
【0096】
同様に、Cトナー消費量は「0」「144」「144」「144」であり、「0」の出現回数が1回、「144」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多になった「144」を正規情報とする。同様に、Kトナー消費量は「0」「155」「155」「155」であり、「0」の出現回数が1回、「155」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多になった「155」を正規情報とする。その結果、YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量の正規情報は「188」「144」「155」となる。
【0097】
ステップS15では、エンジン制御部70は、YトナーカートリッジのA×C領域のトナー消費量を正規情報に書き換える(
図7(d)参照)。
YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量(A×C領域)に記憶されている「0」のデータを(c)で演算した正規情報「188」「144」「155」に書き換える。即ち、Yトナーカートリッジを装着した時点では、M、C、Kトナー消費量は全て「0」であったため、現状のトナー消費量を反映していないことになるため、現状のトナー消費量に書き換える。
【0098】
ステップS17では、エンジン制御部70は、LUT74のデータをY、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88に書き込む。これにより、全てのトナーカートリッジのデータが最新の内容に書き換えられる。
【0099】
<画像形成装置の新品カートリッジを装着した時の動作フローチャート>
図12は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の新品カートリッジを装着した時の動作フローチャートである。
図7と併せて参照しながら説明する。
【0100】
新品カートリッジ装着フロー200において、ステップS21では、エンジン制御部70は、Y、M、C、Kのトナーカートリッジ82、84、86、88からカートリッジ情報をLUT74に読み込む。読み込んだ結果が
図7(a)とすると、Yトナーカートリッジの新品フラグのみ「1」が立つ。このとき、Yトナーカートリッジの本体IDには何も記憶されていない。又、Yトナーカートリッジが新品なので、各トナーカートリッジのYトナー消費量が「0」となり、他のトナー消費量のトナー消費量が図の値であると仮定する。
【0101】
ステップS23では、エンジン制御部70は、新品フラグを検出したか否かを判断する。新品フラグを検出した場合(ステップS23でYES)、ステップS25に進み、新品フラグを検出しない場合(ステップS23でNO)、異本体カートリッジ装着フロー300に進む。
【0102】
ステップS25では、エンジン制御部70は、新品フラグを検出したYトナーカートリッジ82のYトナー消費量の値をゼロに設定すると共に、M、C、Kトナーカートリッジ84、86、88のYトナー消費量の値もゼロに設定する。
【0103】
ステップS27では、エンジン制御部70は、Y、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88のA×B領域のトナー消費量の中から、色ごとに最も数が多い値を正規情報として判断する(
図7(c)参照)。
例えば、A×B領域のトナー消費量に対して、Mトナー消費量は「0」「188」「188」「188」であり、「0」の出現回数が1回、「188」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多になった「188」をトナー消費量の正規情報とする。他の色のトナー消費量の正規情報も同様の方法で演算する。
【0104】
ステップS29では、エンジン制御部70は、YトナーカートリッジのA×C領域のトナー消費量を正規情報に書き換える(
図7(d)参照)。
YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量(A×C領域)に記憶されている「0」のデータを(c)で演算して得た正規情報「188」「144」「155」に書き換える。
【0105】
ステップS31では、エンジン制御部70は、Yトナーカートリッジ82の新品フラグを「0」にする。これにより全てのトナーカートリッジが使用済みとなる。
【0106】
ステップS33では、エンジン制御部70は、新品フラグを検出したYトナーカートリッジ82の本体IDに正規の本体ID「R2021」を書き込む。
【0107】
ステップS35では、エンジン制御部70は、LUT74のデータをY、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップに書き込む。
【0108】
<画像形成装置の異本体カートリッジを装着した時の動作フローチャート>
図13は、本発明の一実施形態に係わる画像形成装置の異本体カートリッジを装着した時の動作フローチャートである。
図8と併せて参照しながら説明する。
【0109】
異本体カートリッジ装着フロー300において、ステップS41では、エンジン制御部70は、Y、M、C、Kのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報をLUT74に読み込む。読み込んだ結果が
図8(a)とすると、Yトナーカートリッジの本体IDには「R2018」と記憶されており、他のトナーカートリッジの本体ID「R2021」と異なっている。
【0110】
ステップS43では、エンジン制御部70は、装置本体の本体IDとYトナーカートリッジのカートリッジ情報の本体IDとを比較する。
【0111】
ステップS45では、エンジン制御部70は、比較の結果、本体IDと一致したか否かを判断する。一致しなかった場合(ステップS45でNO)、ステップS47に進み、一致した場合(ステップS45でYES)、通常動作フロー400に進む。
【0112】
ステップS47では、エンジン制御部70は、現在のM、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量は「200」であるが、異本体カートリッジのYトナー消費量は「120」であるので、M、C、KトナーカートリッジのYトナー消費量を「120」に書き換える。
【0113】
ステップS49では、エンジン制御部70は、Y、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88のD×E領域のトナー消費量の中から、色ごとに出現回数が最多になった値を正規情報として判断する(
図8(c)参照)。
例えば、D×E領域のトナー消費量に対して、Mトナー消費量は「132」「188」「188」「188」であり、「132」の出現回数が1回、「188」の出現回数が3回存在するので、出現回数が最多になった「188」をトナー消費量の正規情報とする。他の色のトナー消費量の正規情報も同様の方法で演算する。
【0114】
ステップS51では、エンジン制御部70は、YトナーカートリッジのD×F領域のトナー消費量を正規情報に書き換える(
図8(d)参照)。
YトナーカートリッジのM、C、Kトナー消費量(D×F)に記憶されている「132」「162」「290」のデータを(c)で演算した正規情報「188」「144」「155」に書き換える。
【0115】
ステップS53では、エンジン制御部70は、Yトナーカートリッジ82の本体IDを「R2021」にする。これにより全てのトナーカートリッジの本体IDが一致したことになる。
【0116】
ステップS55では、エンジン制御部70は、LUT74のデータをY、M、C、Kトナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップに書き込む。
【0117】
<本発明の実施態様例の構成、作用、効果>
<第1態様>
本態様の画像形成装置1は、複数のトナーカートリッジ82、84、86、88を装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置であって、各トナーカートリッジは、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップ90、92、94、96を備え、装置本体の電源が起動された場合に、装置本体に装着されている全てのトナーカートリッジのIDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御部70を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、装置本体の電源が起動された場合に、装置本体に装着されている全てのトナーカートリッジのIDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御する。
これにより、トナーカートリッジが装着された場合に、トナーカートリッジに係わる異常データを破棄し、異常データが正常であると誤認識することを回避することができる。
この結果、装置本体の電源が起動された場合に、新品トナーカートリッジや異本体トナーカートリッジの装着、コネクタ部の接触不良などがあったときにも、上記の誤認識が回避でき、印刷ジョブに応じた印刷動作を開始することができる。
【0118】
<第2態様>
本態様のカートリッジ情報は、当該トナーカートリッジ82、84、86、88を特定するチップID、当該トナーカートリッジ82、84、86、88が未使用か否かを示す新品フラグ、装置本体を特定する本体ID、及び装置本体に装着されているそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88に係わるトナー消費量、を含むことを特徴とする。
本態様によれば、カートリッジ情報として、チップID、新品フラグ、本体ID、及びトナー消費量を含む。
これにより、各トナーカートリッジの属性を即座に、且つ正確に確認することができる。
【0119】
<第3態様>
本態様のエンジン制御部70は、全てのトナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップ90、92、94、96に記憶されたカートリッジ情報を、トナーカートリッジのチップIDに対応させて記憶するLUT74と、ルックアップテーブル74に記憶されたデータに基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、該正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行う演算部と、本体IDを少なくとも記憶するメモリ部76と、全てのトナーカートリッジ82、84、86、88のIDチップ90、92、94、96と演算部72との情報の授受を行う通信部78と、を備えたことを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、全てのトナーカートリッジのIDチップに記憶されたカートリッジ情報を、トナーカートリッジのチップIDに対応させて記憶するルックアップテーブル74に記憶されたデータに基づいて、正規情報の判断、生成、該正規情報の書き換え動作、及び異常値の検出制御を行い、検出制御の結果を通信部78を介してIDチップに送信して記憶する。
これにより、IDチップには常に最新のカートリッジ情報が記憶され、新品或いは他の装置本体で使用されたトナーカートリッジが装着された場合でも、正確なトナーカートリッジ寿命を判定することができる。
【0120】
<第4態様>
本態様のエンジン制御部70は、それぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の属性として新品フラグを検出した場合、当該新品フラグを検出した新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色に係わるトナー消費量をゼロに設定すると共に、新品フラグを検出しなかった全ての使用済みトナーカートリッジ(M、C、K)のIDチップに対して、新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色に係わるトナー消費量をゼロに書き換え、新品トナーカートリッジのトナー色を除く他のトナー色(A×B領域)について、トナー色ごとのトナー消費量のうち出現回数が最多の値を正規情報として判断し、新品フラグを検出した新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色を除く他のトナー色について、他のトナー色(A×C領域)に係わるトナー消費量を正規情報に書き換え、新品フラグを無効にすることを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、それぞれのカートリッジ情報の属性として新品フラグを検出した場合、この新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色に係わるトナー消費量をゼロに設定すると共に、新品トナーカートリッジのトナー色を除く他のトナー色について、トナー色ごとのトナー消費量のうち出現回数が最多の値を正規情報として判断し、新品トナーカートリッジ(Y)のトナー色を除く他のトナー色について、他のトナー色(A×C領域)に係わるトナー消費量を正規情報に書き換え、新品フラグを無効にする。
これにより、新品トナーカートリッジのトナー消費量を正確に保持すると共に、使用済みトナーカートリッジのトナー消費量を適正な値に保持することができるので、無駄なカートリッジ交換を低減することができる。
【0121】
<第5態様>
本態様のエンジン制御部70は、それぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の属性として装置本体側に記憶されている本体IDと異なる異本体IDを検出した場合、異本体IDを検出した異本体トナーカートリッジ(Y)に係わる全トナー色のトナー消費量の値を保持すると共に、正規の本体IDを有する正規本体トナーカートリッジ(M、C、K)の異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー色に該当するトナー消費量の値を保持した値に書き換え、保持した値に書き換えたトナー色(Y)を除く他のトナー色(D×E領域)ごとに最も数の多いトナー消費量の値を正規情報として判断し、異本体IDを検出した異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー色を除く他のトナー色(D×F領域)を正規情報に書き換えた後、異本体トナーカートリッジ(Y)の本体IDを正規の本体IDに書き換えることを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、それぞれのカートリッジ情報の属性として異本体IDを検出した場合、この異本体IDのトナーカートリッジ(Y)に係わる全トナー色のトナー消費量の値を保持すると共に、正規本体トナーカートリッジ(M、C、K)の異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー色に該当するトナー消費量の値を保持した値に書き換え、保持した値に書き換えたトナー色色(Y)を除く他のトナー色(D×E領域)ごとに最も数の多いトナー消費量の値を正規情報として判断し、異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー色を除く他のトナー色(D×F領域)を正規情報に書き換えた後、異本体トナーカートリッジ(Y)の本体IDを正規の本体IDに書き換える。
これにより、異本体トナーカートリッジ(Y)のトナー消費量を正確に保持すると共に、それを除く他のトナーカートリッジのトナー消費量を適正な値に保持することができるので、無駄なカートリッジ交換を低減することができる。
【0122】
<第6態様>
本態様のエンジン制御部70は、それぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の中から新品フラグ又は異本体IDを検出しなかった場合、トナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値をそれぞれの正規情報として判断し、全てのトナーカートリッジの全トナー色を正規情報に書き換えることを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、全てのカートリッジ情報の中から新品フラグ又は異本体IDを検出しなかった場合、トナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値をそれぞれの正規情報として判断し、全てのトナーカートリッジの全トナー色を正規情報に書き換える。
これにより、正常動作におけるトナー消費量を適正に判断することができ、無駄なカートリッジ交換を低減することができる。
【0123】
<第7態様>
本態様のエンジン制御部70は、ルックアップテーブルに記憶されたそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の中から異常値を検出した場合、当該異常値が検出されたことを報知し、当該異常値が検出されなくなった後に、全てのトナーカートリッジのトナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値を正規情報として判断し、正常トナーカートリッジの全トナー色を正規情報に書き換えることを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、ルックアップテーブルに記憶されたそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88のカートリッジ情報の中から異常値を検出した場合、当該異常値が検出されたことを報知し、当該異常値が検出されなくなった後に、全てのトナーカートリッジのトナー色ごとに最も出現回数の多いトナー消費量の値を正規情報として判断し、正常トナーカートリッジの全トナー色を正規情報に書き換える。
これにより、接触不良によるカートリッジ情報を正規情報に書き換えることができる。
【0124】
<第8態様>
本態様の画像形成装置は、感光体ユニット106、定着ユニット108、及び中間転写ユニット110備え、IDチップは、感光体ユニットに係わる使用情報、定着ユニットに係わる使用情報、及び中間転写ユニット110に係わる使用情報を記憶するように構成され、
エンジン制御部70は、IDチップ90a、92a、94a、96a、112、114、116から読み取った感光体ユニット106に係わる使用情報、定着ユニット108に係わる使用情報、及び中間転写ユニット110に係わる使用情報をカートリッジ・ユニット情報としてルックアップテーブルに記憶させ、演算部に、ルックアップテーブルに記憶されたデータに基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行わせることを特徴とする。
本態様によれば、エンジン制御部70は、IDチップ90a、92a、94a、96a、112、114、116から読み取った感光体ユニット106に係わる使用情報、定着ユニット108に係わる使用情報、及び中間転写ユニット110に係わる使用情報をカートリッジ・ユニット情報としてルックアップテーブルに記憶させ、演算部に、ルックアップテーブルに記憶されたデータに基づいて、正規情報を判断する動作、正規情報を生成する動作、正規情報の書き換え動作、及び異常値を検出して正規情報に復帰させる動作を行わせる。
これにより、IDチップには常に最新のカートリッジ情報が記憶され、新品或いは他の装置本体で使用されたトナーカートリッジが装着された場合でも、正確なトナーカートリッジ寿命を判定することができる。
【0125】
<第9態様>
本態様のルックアップテーブルに記憶されたカートリッジ・ユニット情報は、当該カートリッジ・ユニット82、84、86、88、106、108、110を特定するチップID、当該カートリッジ・ユニットが未使用か否かを示す新品フラグ、装置本体を特定する本体ID、及び装置本体に装着されているそれぞれのトナーカートリッジ82、84、86、88に係わるトナー消費量、及び感光体ユニット106、定着ユニット108、中間転写ユニット110に係わる使用情報により構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、カートリッジ情報として、チップID、新品フラグ、本体ID、トナー消費量、及び各ユニットの使用情報を記憶する。
これにより、各トナーカートリッジ及びユニットの属性を即座に、且つ正確に確認することができる。
【0126】
<第10態様>
本態様の画像形成方法は、複数のトナーカートリッジ82、84、86、88を装置本体に装着するカラー電子写真方式の画像形成装置による画像形成方法であって、各トナーカートリッジ82、84、86、88は、当該トナーカートリッジに係わるトナー消費量と、他のトナーカートリッジに係わるトナー消費量とを含むカートリッジ情報を記憶するIDチップ90、92、94、96を備え、装置本体の電源が起動された場合に、装置本体に装着されている全てのトナーカートリッジのIDチップから読み取ったそれぞれのカートリッジ情報に基づいて、トナー色ごとにトナー消費量の値に係わる出現回数をそれぞれ計数し、出現回数が最多になる値をトナー消費量の正規情報とし、正規情報を当該トナーカートリッジのトナー消費量として推定するように制御するエンジン制御ステップを実行することを特徴とする。
以上の動作により、新品或いは他の装置本体で使用されたトナーカートリッジが装着された場合に、可能な限り正確なトナーカートリッジ寿命を判定する画像形成方法を提供することができる。
【0127】
<第11態様>
本態様のプログラムは、第10態様に記載された画像形成方法における各ステップをプロセッサに実行させることを特徴とする。
本態様によれば、各ステップをプロセッサに実行させることができる。
これにより、新品或いは他の装置本体で使用されたトナーカートリッジが装着された場合に、正確なトナーカートリッジ寿命を判定することができる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0128】
1…MFP、40…プリンタ部、70…エンジン制御部、72…CPU、74…LUT、76…記憶部、76a…本体ID、17…HD、78…信号線、80…コネクタ部、82…Yトナーカートリッジ、84…Mトナーカートリッジ、86…Cトナーカートリッジ、88…Kトナーカートリッジ、90…IDチップ(Yトナーカートリッジ)、92…IDチップ(Mトナーカートリッジ)、94…IDチップ(Cトナーカートリッジ)、96…IDチップ(Kトナーカートリッジ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0129】