(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025675
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106154
(22)【出願日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2021130647
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB28
5F004CA06
(57)【要約】
【課題】エッジリングに供給される電気バイアスエネルギーの周期内において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくする技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置では、第1の電気バイアスエネルギー及び第2の電気バイアスエネルギーがそれぞれ、基板及びエッジリングに供給される。第1の高周波電力及び第2の高周波電力がそれぞれ、基板及びエッジリングを介してプラズマに結合される。第2の電気バイアスエネルギーの周期は、第2の電気バイアスエネルギーの電圧がその周期内での平均値に対して正側のレベルを有する期間を含む。当該期間において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、第1の高周波電力のパワーレベル又は第2の高周波電力のパワーレベルが設定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられており、基板及びエッジリングを支持するように構成された基板支持部と、
前記基板を介して該基板の上方でプラズマに結合する第1の高周波電力及び前記エッジリングを介して前記エッジリングの上方でプラズマに結合する第2の高周波電力を発生するように構成された少なくとも一つの高周波電源と、
前記基板に供給される第1の電気バイアスエネルギー及び前記エッジリングに供給される第2の電気バイアスエネルギーを発生するように構成された少なくとも一つのバイアス電源と、
を備え、
前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期で繰り返す波形を有し、
前記周期は、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が該周期内における該電圧の平均値に対して正側のレベルを有する第1の期間と、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が前記平均値に対して負側のレベルを有する第2の期間と、を含み、
前記第1の期間において、前記基板上のシースの上端位置と前記エッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、前記第1の高周波電力のパワーレベル又は前記第2の高周波電力のパワーレベルが設定される、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第2の電気バイアスエネルギーのレベルは、前記エッジリングの厚さの減少に応じて増加するように設定される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記エッジリングの厚さが所定値よりも大きい場合に前記第1の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも大きい場合に前記第2の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記エッジリングの厚さが所定値よりも大きい場合に前記第1の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも大きい場合に前記第2の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記エッジリングの厚さが所定値よりも小さい場合に前記第1の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも小さい場合に前記第2の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記エッジリングの厚さが所定値よりも小さい場合に前記第1の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも小さい場合に前記第2の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの高周波電源として、前記第1の高周波電力を発生するように構成された第1の高周波電源及び前記第2の高周波電力を発生するように構成された第2の高周波電源を備える、請求項1~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの高周波電源として、単一の高周波電源を備え、
前記単一の高周波電源によって発生される高周波電力の前記第1の高周波電力と前記第2の高周波電力への分配比率を調整するように構成された調整器を更に備える、
請求項1~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つのバイアス電源として、前記第1の電気バイアスエネルギーを発生するように構成された第1のバイアス電源及び前記第2の電気バイアスエネルギーを発生するように構成された第2のバイアス電源を備える、請求項1~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つのバイアス電源として、単一のバイアス電源を備え、
前記単一の高周波電源によって発生される電気バイアスエネルギーの前記第1の電気バイアスエネルギーと前記第2の電気バイアスエネルギーへの分配比率を調整するように構成された調整器を更に備える、請求項1~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々は、高周波バイアス電力であるか、前記バイアス周波数の逆数の時間長を有する時間間隔で周期的に発生される電圧のパルスである、請求項1~10の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
プラズマ処理装置のチャンバ内において基板支持部上に基板を載置する工程であり、該基板支持部上にはエッジリングが搭載されている、該工程と、
前記基板を介して該基板の上方でプラズマに結合する第1の高周波電力及び前記エッジリングを介して前記エッジリングの上方でプラズマに結合する第2の高周波電力を供給する工程と、
前記基板に第1の電気バイアスエネルギーを、前記エッジリングに第2の電気バイアスエネルギーを供給する工程と、
を含み、
前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期で繰り返す波形を有し、
前記周期は、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が該周期内における該電圧の平均値に対して正側のレベルを有する第1の期間と、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が前記平均値に対して負側のレベルを有する第2の期間と、を含み、
前記第1の期間において、前記基板上のシースの上端位置と前記エッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、前記第1の高周波電力のパワーレベル又は前記第2の高周波電力のパワーレベルが設定される、
プラズマ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板に対するプラズマ処理において用いられている。プラズマ処理装置は、チャンバ及び基板支持部を備える。基板支持部は、チャンバ内に設けられている。基板支持部は、基板及びエッジリング(又はフォーカスリング)を支持する。エッジリングの厚さは、プラズマ処理によって減少する。下記の特許文献1は、エッジリングの厚さが小さくなっている場合にエッジリングに負の直流電圧を印加するように構成されたプラズマ処理装置を開示している。負の直流電圧が印加されると、エッジリング上のシースが厚くなり、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との差が解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッジリングに供給される電気バイアスエネルギーの周期内において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、少なくとも一つの高周波電源、及び少なくとも一つのバイアス電源を備える。基板支持部は、チャンバ内に設けられており、基板及びエッジリングを支持するように構成されている。少なくとも一つの高周波電源は、基板を介して基板の上方でプラズマに結合する第1の高周波電力及びエッジリングを介してエッジリングの上方でプラズマに結合する第2の高周波電力を発生するように構成されている。少なくとも一つのバイアス電源は、基板に供給される第1の電気バイアスエネルギー及びエッジリングに供給される第2の電気バイアスエネルギーを発生するように構成されている。第1の電気バイアスエネルギー及び第2の電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間長を有するバイアス周期で繰り返す波形を有する。バイアス周期は、第1の期間及び第2の期間を含む。第1の期間では、第1の電気バイアスエネルギー及び第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧は、バイアス周期内における該電圧の平均値に対して正側のレベルを有する。第2の期間では、第1の電気バイアスエネルギー及び第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧は、当該平均値に対して負側のレベルを有する。第1の期間において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、第1の高周波電力のパワーレベル又は第2の高周波電力のパワーレベルが設定される。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、エッジリングに供給される電気バイアスエネルギーの周期内において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置に関連するタイミングチャートである。
【
図5】
図5の(a)は、エッジリングの厚さが所定値よりも大きい場合のシースの上端位置を示す図であり、
図5の(b)は、エッジリングの厚さが所定値よりも小さい場合のシースの上端位置を示す図である。
【
図6】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図7】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図8】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図9】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図10】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図11】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図12】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図13】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図14】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図15】更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【
図16】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1及び
図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
【0010】
一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも一つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも一つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも一つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0011】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも一つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。
【0012】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0013】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合プラズマ処理装置の構成例について説明する。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも一つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0014】
基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に設けられている。基板支持部11は、その上に載置される基板W及びエッジリングERを支持するように構成されている。エッジリングERは、リング形状を有しており、シリコン、炭化ケイ素、石英のような材料から形成されている。基板Wは、基板支持部11上且つエッジリングERによって囲まれた領域の中に配置される。また、図示は省略するが、基板支持部11は、基板W及びエッジリングERのうち少なくとも一つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面との間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0015】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも一つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも一つのガス供給口13a、少なくとも一つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0016】
ガス供給部20は、一つ以上のガスソース21及び少なくとも一つ以上の流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、一つ以上の処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、一つ以上の処理ガスの流量を変調又はパルス化する一つ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0017】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
以下、
図2に加えて
図3を参照する。
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。基板支持部11は、第1の基台111a、第2の基台111b、及び静電チャック113を有している。第1の基台111a及び第2の基台111bは、アルミニウムのような導体から形成されている。第1の基台111aは、略円盤形状を有する。第2の基台111bは、略環形状を有している。第2の基台111bは、第1の基台111aを囲むように、第1の基台111aの径方向外側で周方向に延在している。第1の基台111aと第2の基台111bとの間には、誘電体領域111cが介在していてもよい。
【0019】
静電チャック113は、第1の基台111a及び第2の基台111bの上に設けられている。基板支持部11は、静電チャック113の中央部及び第1の基台111aから構成された第1の領域11R1を含んでいる。基板Wは、第1の領域11R1上且つ静電チャック113上に載置される。基板支持部11は、静電チャック113の周縁部及び第2の基台111bから構成された第2の領域11R2を含んでいる。エッジリングERは、第2の領域11R2上且つ静電チャック113上に載置される。
【0020】
静電チャック113は、誘電体部113dを有している。誘電体部113dは、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムのような誘電体から形成されている。誘電体部113dは、略円盤形状を有している。第1の領域11R1は、誘電体部113dの中央部分を含む。第2の領域11R2は、誘電体部113dの周縁部分を含む。
【0021】
静電チャック113は、チャック電極113aを更に有している。チャック電極113aは、導体から形成された膜であり、第1の領域11R1内で誘電体部113dの中に設けられている。チャック電極113aには、直流電源50pがスイッチ50sを介して電気的に接続されている。直流電源50pからの直流電圧がチャック電極113aに印加されると、基板Wと静電チャック113との間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは静電チャック113に引き付けられ、静電チャック113によって保持される。
【0022】
静電チャック113は、チャック電極113b及び113cを更に有していてもよい。チャック電極113b及び113cの各々は、導体から形成された膜である。チャック電極113b及び113cは、環形状を有していてもよい。チャック電極113b及び113cは、第2の領域11R2内で誘電体部113dの中に設けられている。チャック電極113bには、直流電源51pがスイッチ51sを介して電気的に接続されている。チャック電極113cには、直流電源52pがスイッチ52sを介して電気的に接続されている。直流電源51pからの直流電圧がチャック電極113bに印加され、直流電源52pからの直流電圧がチャック電極113cに印加されると、エッジリングERと静電チャック113との間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、エッジリングERは静電チャック113に引き付けられ、静電チャック113によって保持される。
【0023】
プラズマ処理装置1は、高周波電源31(第1の高周波電源)、高周波電源32(第2の高周波電源)、バイアス電源41(第1のバイアス電源)、及びバイアス電源42(第2のバイアス電源)を備えている。
【0024】
高周波電源31は、チャンバ10内でプラズマを生成するために高周波電力RF1(第1の高周波電力)を発生するように構成されている。高周波電力RF1は、例えば、13MHz以上、150MHz以下の周波数を有する。高周波電力RF1は、基板支持部11及び基板Wを介して基板W上でプラズマに結合するように基板支持部11に供給される。
図3の実施形態では、高周波電源31は、整合器31mを介して第1の基台111aに電気的に接続されている。整合器31mは、整合回路を含んでいる。整合器31mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器31mの整合回路は、後述する制御部30によって制御される。整合器31mの整合回路のインピーダンスは、高周波電源31の負荷側のインピーダンスを高周波電源31の出力インピーダンスに整合させるように調整される。
【0025】
高周波電源32は、チャンバ10内でプラズマを生成するために高周波電力RF2(第2の高周波電力)を発生するように構成されている。高周波電力RF2は、高周波電力RF1と同じく、例えば、13MHz以上、150MHz以下の周波数を有する。高周波電力RF2は、基板支持部11及びエッジリングERを介してエッジリングER上でプラズマに結合するように基板支持部11に供給される。
図3の実施形態では、高周波電源32は、整合器32mを介して第2の基台111bに電気的に接続されている。整合器32mは、整合回路を含んでいる。整合器32mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器32mの整合回路は、制御部30によって制御される。整合器32mの整合回路のインピーダンスは、高周波電源32の負荷側のインピーダンスを高周波電源32の出力インピーダンスに整合させるように調整される。
【0026】
バイアス電源41は、電気バイアスエネルギーBE1(第1の電気バイアスエネルギー)を発生するように構成されている。電気バイアスエネルギーBE1は、基板支持部11を介して基板Wに供給される。電気バイアスエネルギーBE1は、プラズマから基板Wに供給されるイオンのエネルギーを調整するために、基板Wに供給される。
図3の実施形態では、バイアス電源41は、第1の基台111aに電気的に接続されている。
【0027】
バイアス電源42は、電気バイアスエネルギーBE2(第2の電気バイアスエネルギー)を発生するように構成されている。電気バイアスエネルギーBE2は、基板支持部11を介してエッジリングERに供給される。電気バイアスエネルギーBE2は、プラズマからエッジリングERに供給されるイオンのエネルギーを調整するために、エッジリングERに供給される。
図3の実施形態では、バイアス電源42は、第2の基台111bに電気的に接続されている。
【0028】
以下、
図2及び
図3と共に、
図4を参照する。
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置に関連するタイミングチャートである。
図4には、電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE1の各々の波形(電圧波形)が示されている。また、
図4には、電気バイアスエネルギーBE1のレベルL
BE1及び電気バイアスエネルギーBE2のレベルL
BE2が示されている。また、
図4には、高周波電力RF1のパワーレベルP
RF1及び高周波電力RF2のパワーレベルP
RF2が示されている。
【0029】
電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE2の各々は、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期CY(波形周期)で繰り返す波形を有する。バイアス周波数は、例えば100kHz以上、13.56MHz以下の周波数である。
【0030】
一実施形態において、電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE2の各々は、バイアス周波数を有する高周波電力、即ち高周波バイアス電力LFであってもよい。高周波バイアス電力LFは、周期CY(波形周期)、即ちバイアス周期において正弦波状の波形を有する。周期CYは、バイアス周波数の逆数の時間長を有する。
【0031】
電気バイアスエネルギーBE1が高周波バイアス電力LFである場合には、バイアス電源41は、整合器41mを介して第1の基台111aに接続される。整合器41mは、整合回路を含んでいる。整合器41mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器41mの整合回路は、制御部30によって制御される。整合器41mの整合回路のインピーダンスは、バイアス電源41の負荷側のインピーダンスをバイアス電源41の出力インピーダンスに整合させるように調整される。
【0032】
電気バイアスエネルギーBE2が高周波バイアス電力LFである場合には、バイアス電源42は、整合器42mを介して第2の基台111bに接続される。整合器42mは、整合回路を含んでいる。整合器42mの整合回路は、可変インピーダンスを有する。整合器42mの整合回路は、制御部30によって制御される。整合器42mの整合回路のインピーダンスは、バイアス電源42の負荷側のインピーダンスをバイアス電源42の出力インピーダンスに整合させるように調整される。
【0033】
別の実施形態において、電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE2の各々は、バイアス周波数の逆数である時間長を有する時間間隔(即ち、周期CY又は波形周期)で周期的に発生される電圧のパルスPVであってもよい。電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE2として用いられる電圧のパルスPVは、負の電圧のパルス又は負の直流電圧のパルスであってもよい。電圧のパルスPVは、三角波、矩形波といった任意の波形を有していてもよい。電気バイアスエネルギーBE1として電圧のパルスが用いられる場合には、整合器41mの代わりに、フィルタが、高周波電力を遮断するよう、バイアス電源41に接続されていてもよい。また、電気バイアスエネルギーBE2として電圧のパルスが用いられる場合には、整合器42mの代わりに、フィルタが、高周波電力を遮断するよう、バイアス電源42に接続されていてもよい。
【0034】
周期CY(波形周期)は、第1の期間T1及び第2の期間T2を含む。第1の期間T1では、電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE2の各々の電圧は、周期CY内における当該電圧の平均値に対して正側のレベルを有する。第2の期間T2では、電気バイアスエネルギーBE1及び電気バイアスエネルギーBE2の各々の電圧は、当該平均値に対して負側のレベルを有する。
【0035】
高周波電源31は、高周波電力RF1の負荷からの反射を抑制するために、周期CY内で高周波電力RF1の周波数を変化させてもよい。このため、周期CYは、複数の位相期間に分割される。周期CY内の複数の位相期間それぞれの高周波電力RF1の周波数は、予め準備された周波数の時系列を用いて設定される。周波数の時系列は、制御部30から高周波電源31に指定され得る。
【0036】
また、高周波電源32は、高周波電力RF2の負荷からの反射を抑制するために、周期CY内で高周波電力RF2の周波数を変化させてもよい。周期CY内の複数の位相期間それぞれの高周波電力RF2の周波数は、予め準備された周波数の時系列を用いて設定される。周波数の時系列は、制御部30から高周波電源32に指定され得る。
【0037】
制御部30は、高周波電源31、高周波電源32、バイアス電源41、及びバイアス電源42を制御するように構成されている。制御部30は、CPUといったプロセッサから構成され得る。なお、制御部2が、制御部30を兼ねていてもよい。
【0038】
以下、
図2~
図4と共に、
図5の(a)及び
図5の(b)を参照する。
図5の(a)は、エッジリングの厚さが所定値よりも大きい場合のシースの上端位置を示す図であり、
図5の(b)は、エッジリングの厚さが所定値よりも小さい場合のシースの上端位置を示す図である。
【0039】
図5の(a)及び
図5の(b)に示すように、第1の期間T1においてはシースの厚さは小さく、第1の期間T1におけるシースの上端SH
T1の位置は低い。一方、第2の期間T2においてはシースの厚さは大きく、第2の期間T2におけるシースの上端SH
T2の位置は高い。なお、シースの上端の位置(即ち、シースの上端位置)は、シースとプラズマの界面の高さ方向の位置である。
【0040】
エッジリングERの厚さTHERが所定値THPである場合、例えばエッジリングERの上面の高さ方向の位置と基板Wの上面の高さ方向の位置が等しい場合には、エッジリングER上のシースの上端位置は、基板W上のシースの上端位置と等しい。以下、この場合の電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2を基準レベルLREF2という。また、この場合の高周波電力RF1のパワーレベルPRF1を基準パワーレベルPREF1という。また、この場合の高周波電力RF2のパワーレベルPRF2を基準パワーレベルPREF2という。
【0041】
エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも大きく、レベルL
BE2が基準レベルL
REF2であると、エッジリングER上のシースの上端位置は、
図5の(a)において破線で示すように基板W上のシースの上端位置よりも高くなる。一方、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも小さく、レベルL
BE2が基準レベルL
REF2であると、エッジリングER上のシースの上端位置は、
図5の(b)において破線で示すように基板W上のシースの上端位置よりも低くなる。
【0042】
プラズマ処理装置1では、周期CY内において基板W上でのシースの上端位置とエッジリングER上でのシースの上端位置との差を低減するために、電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2が調整される。また、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1及び/又は高周波電力RF2のパワーレベルPRF2が調整される。電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2、並びに、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1及び高周波電力RF2のパワーレベルPRF2は、制御部30によって制御され得る。
【0043】
第2の期間T2においては、基板W上のシースの厚さ及びエッジリングER上のシースの厚さは、主に電気バイアスエネルギーBE1のレベルLBE1及び電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2で決定される。第2の期間T2において、基板W上でのシースの上端位置とエッジリングER上でのシースの上端位置との差を低減するために、電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2は、エッジリングERの厚さTHERの減少に応じて増加するように設定される。電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2は、制御部30からバイアス電源42に指定され得る。
【0044】
具体的には、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも大きい場合には、
図4に示すように、レベルL
BE2が基準レベルL
REF2よりも低いレベルに設定される。これにより、
図5の(a)において実線で示すように、基板W上のシースの上端SH
T2の位置とエッジリングER上のシースの上端SH
T2の位置の差が低減される。なお、エッジリングERの厚さTH
ERは、センサにより光学的に又は電気的に取得されてもよい。或いは、エッジリングERの厚さTH
ERは、エッジリングERがプラズマに晒された時間の長さから推定されてもよい。
【0045】
一方、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも小さい場合には、
図4に示すように、レベルL
BE2が基準レベルL
REF2よりも高いレベルに設定される。これにより、
図5の(b)において実線で示すように、基板W上のシースの上端SH
T2の位置とエッジリングER上のシースの上端SH
T2の位置の差が低減される。
【0046】
なお、電気バイアスエネルギーBE1のレベルLBE1が高いほど、基板Wの負バイアス電位の絶対値が大きくなり、基板W上でのシースの厚さが大きくなる。また、電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2が高いほど、エッジリングERの負バイアス電位の絶対値が大きくなり、エッジリングER上でのシースの厚さが大きくなる。電気バイアスエネルギーBE1が高周波バイアス電力LFであれば、レベルLBE1は電気バイアスエネルギーBE1のパワーレベルである。電気バイアスエネルギーBE2が高周波バイアス電力LFであれば、レベルLBE2は電気バイアスエネルギーBE2のパワーレベルである。電気バイアスエネルギーBE1が電圧のパルスPVであれば、レベルLBE1は電圧のパルスPVの電圧レベルの負方向への増加につれて高くなる。また、電気バイアスエネルギーBE2が電圧のパルスPVであれば、レベルLBE2は電圧のパルスPVの電圧レベルの負方向への増加につれて高くなる。
【0047】
第1の期間T1においては、基板W上のシースの厚さ及びエッジリングER上のシースの厚さは、主に高周波電力RF1のパワーレベルPRF1及び高周波電力RF2のパワーレベルPRF2で決定される。プラズマ処理装置1では、第1の期間T1において基板W上のシースの上端位置とエッジリングER上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、第1の期間T1におけるパワーレベルPRF1又はパワーレベルPRF2が設定される。パワーレベルPRF1及びパワーレベルPRF2はそれぞれ、制御部30から高周波電源31及び高周波電源32に指定される。
【0048】
プラズマ処理装置1では、周期CY内においてパワーレベルPRF1及びパワーレベルPRF2を調整するために、高周波電源31、高周波電源32、バイアス電源41、及びバイアス電源42は、同期信号を用いて互いに同期されている。同期信号は、高周波電源31、高周波電源32、バイアス電源41、及びバイアス電源42のうち一つから、他の電源に送信されてもよい。或いは、同期信号は、制御部30から高周波電源31、高周波電源32、バイアス電源41、及びバイアス電源42に送信されてもよい。同期信号は、電圧センサ41vによって測定される電気バイアスエネルギーBE1の電圧又は電圧センサ42vによって測定される電気バイアスエネルギーBE2の電圧から、制御部30によって生成されてもよい。
【0049】
また、第1の期間T1及び第2の期間T2は、電圧センサ41vによって測定される電気バイアスエネルギーBE1の電圧又は電圧センサ42vによって測定される電気バイアスエネルギーBE2の電圧から制御部30によって特定されてもよい。或いは、第1の期間T1及び第2の期間T2の各々は、予め定められた時間長を有する周期CY内の期間として設定されていてもよい。
【0050】
以下、周期CYにおけるパワーレベルPRF1及びパワーレベルPRF2の調整に関する第1~第4の例について説明する。
【0051】
[第1の例]
【0052】
第1の例においては、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも大きい場合に第1の期間T1におけるパワーレベルP
RF2が、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF2よりも低いパワーレベルに設定される。これにより、
図5の(a)において実線で示すように、基板W上のシースの上端SH
T1の位置とエッジリングER上のシースの上端SH
T1の位置の差が低減される。また、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも大きい場合に第2の期間T2におけるパワーレベルP
RF2は、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF2よりも高いパワーレベルに設定されてもよい。これにより、第1の期間T1において減少されたパワーレベルP
RF2が第2の期間T2において補われて、周期CYにおける平均的なプラズマの密度が一定の密度に維持される。
【0053】
[第2の例]
【0054】
第2の例においては、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも大きい場合に第1の期間T1におけるパワーレベルP
RF1が、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF1よりも高いパワーレベルに設定される。これにより、基板W上のシースの上端SH
T1の位置とエッジリングER上のシースの上端SH
T1の位置の差が低減される。また、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも大きい場合に第2の期間T2におけるパワーレベルP
RF1は、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF1よりも低いパワーレベルに設定されてもよい。これにより、周期CYにおける平均的なパワーレベルP
RF1が一定のパワーレベルに維持され、周期CYにおける平均的なプラズマの密度が一定の密度に維持される。
【0055】
[第3の例]
【0056】
第3の例においては、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも小さい場合に第1の期間T1におけるパワーレベルP
RF2が、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF2よりも高いパワーレベルに設定される。これにより、
図5の(b)において実線で示すように、基板W上のシースの上端SH
T1の位置とエッジリングER上のシースの上端SH
T1の位置の差が低減される。また、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも小さい場合に第2の期間T2におけるパワーレベルP
RF2は、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF2よりも低いパワーレベルに設定されてもよい。これにより、周期CYにおける平均的なパワーレベルP
RF2が一定のパワーレベルに維持され、周期CYにおける平均的なプラズマの密度が一定の密度に維持される。
【0057】
[第4の例]
【0058】
第4の例おいては、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも小さい場合に第1の期間T1におけるパワーレベルP
RF1は、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF1よりも低いパワーレベルに設定される。これにより、基板W上のシースの上端SH
T1の位置とエッジリングER上のシースの上端SH
T1の位置の差が低減される。また、エッジリングERの厚さTH
ERが所定値TH
Pよりも小さい場合に第2の期間T2におけるパワーレベルP
RF1は、
図4に示すように、基準パワーレベルP
REF1よりも高いパワーレベルに設定されてもよい。これにより、第1の期間T1において減少されたパワーレベルP
RF1が第2の期間T2において補われて、周期CYにおける平均的なプラズマの密度が、一定の密度に維持される。
【0059】
以上説明したプラズマ処理装置1では、第2の電気バイアスエネルギーのレベルを調整することにより、周期CY内の第2の期間において基板W上のシースの上端位置とエッジリングER上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能である。また、第1の期間T1において、基板W上のシースの上端位置とエッジリングER上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1又は高周波電力RF2のパワーレベルPRF2が設定される。したがって、第1の期間T1において、基板W上のシースの上端位置とエッジリングER上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能である。故に、プラズマ処理装置1によれば、エッジリングERに供給される電気バイアスエネルギーBE2の周期CY内において、基板W上のシースの上端位置とエッジリングER上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能となる。
【0060】
以下、
図6~
図14を参照して、幾つかの別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置について説明する。
図6は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図6に示すプラズマ処理装置1Bのプラズマ処理装置1に対する相違点について説明する。
【0061】
プラズマ処理装置1Bは、第1の基台111a及び第2の基台111bに代えて、基台111を有している。基台111は、略円盤形状を有しており、アルミニウムのような導体から形成されている。静電チャック113は、基台111上に設けられている。プラズマ処理装置1Bでは、高周波電源31及びバイアス電源41は、基台111に電気的に接続されている。高周波電源32及びバイアス電源42は、エッジリングERに電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Bの他の構成は、プラズマ処理装置1の対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Bの各部の動作は、プラズマ処理装置1の対応の部分の動作と同一である。
【0062】
図7は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図7に示すプラズマ処理装置1Cのプラズマ処理装置1Bに対する相違点について説明する。
【0063】
プラズマ処理装置1Cは、基台111を囲むように設けられた絶縁部115を含んでいる。絶縁部115は、石英のような絶縁体から形成されている。エッジリングERの周縁部分は、絶縁部115上に載置されている。絶縁部115の中には、電極117が設けられている。電極117は、周方向に延在していてもよく、環形状を有していてもよい。電極117は、エッジリングERの周縁部の下方に配置されている。プラズマ処理装置1Cでは、高周波電源32及びバイアス電源42は、電極117に電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Cの他の構成は、プラズマ処理装置1Bの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Cの各部の動作は、プラズマ処理装置1Bの対応の部分の動作と同一である。
【0064】
図8は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図8に示すプラズマ処理装置1Dのプラズマ処理装置1Bに対する相違点について説明する。
【0065】
プラズマ処理装置1Dでは、電極113hが、第2の領域11R2内で静電チャック113の誘電体部113dの中に設けられている。電極113hは、導体から形成された膜である。電極113hは、周方向に延在していてもよく、環形状を有していてもよい。電極113hは、チャック電極113b及び113cの各々と誘電体部113dの下面との間に設けられていてもよい。プラズマ処理装置1Dでは、高周波電源32及びバイアス電源42は、電極113hに電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Dの他の構成は、プラズマ処理装置1Bの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Dの各部の動作は、プラズマ処理装置1Bの対応の部分の動作と同一である。
【0066】
図9は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図9に示すプラズマ処理装置1Eのプラズマ処理装置1Dに対する相違点について説明する。
【0067】
プラズマ処理装置1Eでは、電極113gが、第1の領域11R1内で静電チャック113の誘電体部113dの中に設けられている。電極113gは、導体から形成された膜である。電極113gは、円形状を有していてもよい。電極113gは、チャック電極113aと誘電体部113dの下面との間に設けられていてもよい。プラズマ処理装置1Eでは、高周波電源31及びバイアス電源41は、電極113gに電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Eの他の構成は、プラズマ処理装置1Dの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Eの各部の動作は、プラズマ処理装置1Dの対応の部分の動作と同一である。なお、プラズマ処理装置1Eにおいて、基台111は、導体、誘電体、半導体の何れから形成されていてもよい。
【0068】
図10は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図10に示すプラズマ処理装置1Fのプラズマ処理装置1Eに対する相違点について説明する。
【0069】
プラズマ処理装置1Fでは、電極113nが、第2の領域11R2内で静電チャック113の誘電体部113dの中に設けられている。電極113nは、導体から形成された膜である。電極113nは、周方向に延在していてもよく、環形状を有していてもよい。電極113nは、電極113hと誘電体部113dの下面との間に設けられていてもよい。プラズマ処理装置1Fでは、高周波電源32は、電極113nに電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Fの他の構成は、プラズマ処理装置1Eの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Fの各部の動作は、プラズマ処理装置1Eの対応の部分の動作と同一である。
【0070】
図11は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図11に示すプラズマ処理装置1Gのプラズマ処理装置1Fに対する相違点について説明する。
【0071】
プラズマ処理装置1Gでは、電極113mが、第1の領域11R1内で静電チャック113の誘電体部113dの中に設けられている。電極113mは、導体から形成された膜である。電極113mは、円形状を有していてもよい。電極113mは、電極113gと誘電体部113dの下面との間に設けられていてもよい。プラズマ処理装置1Gでは、高周波電源31は、電極113mに電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Gの他の構成は、プラズマ処理装置1Fの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Gの各部の動作は、プラズマ処理装置1Fの対応の部分の動作と同一である。なお、プラズマ処理装置1Gにおいて、基台111は、導体、誘電体、半導体の何れから形成されていてもよい。
【0072】
図12は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図12に示すプラズマ処理装置1Hのプラズマ処理装置1Eに対する相違点について説明する。
【0073】
プラズマ処理装置1Hは、電極113hを有していない。高周波電源32及びバイアス電源42は、基台111に電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Hでは、周期CYにおけるパワーレベルPRF1及びパワーレベルPRF2の調整に関する上述の第2の例及び第4の例が用いられる。プラズマ処理装置1Hの他の構成は、プラズマ処理装置1Eの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Hの各部の他の動作は、プラズマ処理装置1Eの対応の部分の動作と同一である。
【0074】
図13は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図13に示すプラズマ処理装置1Jのプラズマ処理装置1Gに対する相違点について説明する。
【0075】
プラズマ処理装置1Jは、電極113nを有していない。高周波電源32は、基台111に電気的に接続されている。プラズマ処理装置1Jでは、周期CYにおけるパワーレベルPRF1及びパワーレベルPRF2の調整に関する上述の第2の例及び第4の例が用いられる。プラズマ処理装置1Jの他の構成は、プラズマ処理装置1Gの対応の構成と同一である。また、プラズマ処理装置1Jの各部の他の動作は、プラズマ処理装置1Gの対応の部分の動作と同一である。
【0076】
図14は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図14に示すプラズマ処理装置1Kのプラズマ処理装置1に対する相違点について説明する。
【0077】
プラズマ処理装置1Kは、高周波電源32及びバイアス電源42を備えていない。プラズマ処理装置1Kでは、単一の高周波電源31によって発生される高周波電力が分岐されて高周波電力RF1と高周波電力RF2が生成される。高周波電力RF1は、第1の基台111aに供給され、高周波電力RF2は、第2の基台111bに供給される。
【0078】
単一の高周波電源31によって発生される高周波電力の高周波電力RF1と高周波電力RF2への分配比率は、調整器31aによって調整される。プラズマ処理装置1Kでは、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1及び高周波電力RF2のパワーレベルPRF2は、調整器31aによる分配比率の調整により設定される。なお、プラズマ処理装置1B~1Kにおいても、単一の高周波電源31によって発生される高周波電力が分岐されて高周波電力RF1と高周波電力RF2が生成されてもよい。
【0079】
図14に示すように、調整器31aは、高周波電源31を第1の基台111aに接続する電気的パス上のノードと第2の基台111bとの間で接続されていてもよい。調整器31aは、可変インピーダンスを有する回路を含んでいてもよい。この回路は、固定容量コンデンサとスイッチング素子を各々が含む複数の直列回路の並列接続から構成されていてもよい。或いは、調整器31aは、高周波電源31から第2の基台111bに向けて供給される高周波電力を減衰させるように構成された減衰器であってもよい。なお、調整器31aは、上記ノードと第1の基台111aとの間に接続されていてもよい。
【0080】
また、プラズマ処理装置1Kでは、単一のバイアス電源41によって発生された電気バイアスエネルギーが分岐されて電気バイアスエネルギーBE1と電気バイアスエネルギーBE2が生成される。電気バイアスエネルギーBE1は、第1の基台111aに供給され、電気バイアスエネルギーBE2は、第2の基台111bに供給される。
【0081】
単一のバイアス電源41によって発生される電気バイアスエネルギーの電気バイアスエネルギーBE1と電気バイアスエネルギーBE2への分配比率は、調整器41aによって調整される。プラズマ処理装置1Kでは、電気バイアスエネルギーBE1のレベルLBE1及び電気バイアスエネルギーBE1のレベルLBE2は、調整器41aによる分配比率の調整により設定される。なお、プラズマ処理装置1B~1Kにおいても、単一のバイアス電源41によって発生される電気バイアスエネルギーが分岐されて電気バイアスエネルギーBE1と電気バイアスエネルギーBE2が生成されてもよい。
【0082】
図14に示すように、調整器41aは、バイアス電源41を第1の基台111aに接続する電気的パス上のノードと第2の基台111bとの間で接続されていてもよい。調整器41aは、可変インピーダンスを有する回路を含んでいてもよい。この回路は、固定容量コンデンサとスイッチング素子を各々が含む複数の直列回路の並列接続から構成されていてもよい。或いは、調整器41aは、バイアス電源41から第2の基台111bに向けて供給される電気バイアスエネルギーを減衰させるように構成された減衰器であってもよい。なお、調整器41aは、上記ノードと第1の基台111aとの間に接続されていてもよい。
【0083】
図15は、更に別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。以下、
図15に示すプラズマ処理装置1Lのプラズマ処理装置1に対する相違点について説明する。
【0084】
プラズマ処理装置1Lにおいて、静電チャック113は、その中央部と周縁部との間に領域113eを含んでいる。領域113eは、静電チャック113の中央部と周縁部を電気的に分離し得る。領域113eは、絶縁体から形成されていてもよい。或いは、領域113eは、静電チャック113の中央部の誘電体部113dの材料及び静電チャック113の周縁部の誘電体部113dの材料とは異なる誘電体から形成されていてもよい。領域113eは、溶射により形成されてもよい。或いは、領域113eは、空間であってもよい。また、プラズマ処理装置1Lにおいて、静電チャック113の中央部と周縁部は、互いに異なる誘電体から形成されていてもよい。なお、上述した種々の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の各々においても、静電チャック113は、その中央部と周縁部との間に領域113eを含んでいてもよい。
【0085】
以下、
図16を参照して、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法について説明する。
図16は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理方法の流れ図である。
図16に示すプラズマ処理方法(以下、「方法MT」という)は、上述した種々の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を用いて行われ得る。
【0086】
図16に示すように、方法MTは、工程STaで開始する。工程STaでは、基板支持部11上に基板が載置される。次いで、方法MTでは、工程STbと工程STcが並行して行われる。工程STbと工程STcが行われている期間においては、ガス供給部20からチャンバ10内にガスが供給される。また、工程STbと工程STcが行われている期間においては、チャンバ10内の圧力が、指定された圧力に排気システム40によって減圧される。
【0087】
工程STbでは、チャンバ10内のガスからプラズマを生成するために、高周波電力RF1及び高周波電力RF2が供給される。工程STcでは、電気バイアスエネルギーBE1が基板Wに供給され、電気バイアスエネルギーBE2がエッジリングERに供給される。方法MTでは、第1の期間T1において、基板W上のシースの上端位置とエッジリングER上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1又は高周波電力RF2のパワーレベルPRF2が設定される。
【0088】
また、周期CY内において基板W上でのシースの上端位置とエッジリングER上でのシースの上端位置との差を低減するために、電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2も調整され得る。また、第2の期間T2においても、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1及び/又は高周波電力RF2のパワーレベルPRF2が調整され得る。電気バイアスエネルギーBE2のレベルLBE2が調整、並びに、高周波電力RF1のパワーレベルPRF1及び/又は高周波電力RF2のパワーレベルPRF2の調整については、プラズマ処理装置1に関する上述の説明を参照されたい。
【0089】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0090】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E16]に記載する。
【0091】
[E1]
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられており、基板及びエッジリングを支持するように構成された基板支持部と、
前記基板を介して該基板の上方でプラズマに結合する第1の高周波電力及び前記エッジリングを介して前記エッジリングの上方でプラズマに結合する第2の高周波電力を発生するように構成された少なくとも一つの高周波電源と、
前記基板に供給される第1の電気バイアスエネルギー及び前記エッジリングに供給される第2の電気バイアスエネルギーを発生するように構成された少なくとも一つのバイアス電源と、
を備え、
前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期で繰り返す波形を有し、
前記周期は、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が該周期内における該電圧の平均値に対して正側のレベルを有する第1の期間と、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が前記平均値に対して負側のレベルを有する第2の期間と、を含み、
前記第1の期間において、前記基板上のシースの上端位置と前記エッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、前記第1の高周波電力のパワーレベル又は前記第2の高周波電力のパワーレベルが設定される、
プラズマ処理装置。
【0092】
第2の期間においては、基板上のシースの厚さ及びエッジリング上のシースの厚さは、主に第1の電気バイアスエネルギーのレベル及び第2の電気バイアスエネルギーのレベルで決定される。第2の期間においては、第2の電気バイアスエネルギーのレベルを調整することにより、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能である。一方、基板上のシースの厚さ及びエッジリング上のシースの厚さは、第1の期間においては主に第1の高周波電力のパワーレベル及び第2の高周波電力のパワーレベルで決定される。[E1]の実施形態では、第1の期間において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、第1の高周波電力のパワーレベル又は第2の高周波電力のパワーレベルが設定される。したがって、第1の期間において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能である。故に、[E1]の実施形態によれば、エッジリングに供給される電気バイアスエネルギーの周期内において、基板上のシースの上端位置とエッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくすることが可能となる。
【0093】
[E2]
前記第2の電気バイアスエネルギーのレベルは、前記エッジリングの厚さの減少に応じて増加するように設定される、[E1]に記載のプラズマ処理装置。
【0094】
[E3]
前記エッジリングの厚さが所定値よりも大きい場合に前記第1の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0095】
[E4]
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも大きい場合に前記第2の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、[E3]に記載のプラズマ処理装置。
【0096】
[E5]
前記エッジリングの厚さが所定値よりも大きい場合に前記第1の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0097】
[E6]
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも大きい場合に前記第2の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、[E5]に記載のプラズマ処理装置。
【0098】
[E7]
前記エッジリングの厚さが所定値よりも小さい場合に前記第1の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0099】
[E8]
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも小さい場合に前記第2の期間において供給される前記第2の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第2の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、[E7]に記載のプラズマ処理装置。
【0100】
[E9]
前記エッジリングの厚さが所定値よりも小さい場合に前記第1の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第1の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも低いパワーレベルに設定される、[E2]に記載のプラズマ処理装置。
【0101】
[E10]
前記エッジリングの厚さが前記所定値よりも小さい場合に前記第2の期間において供給される前記第1の高周波電力のパワーレベルが、前記エッジリングの厚さが前記所定値である場合に前記第2の期間において設定されるべき前記第1の高周波電力の基準パワーレベルよりも高いパワーレベルに設定される、[E9]に記載のプラズマ処理装置。
【0102】
[E11]
前記少なくとも一つの高周波電源として、前記第1の高周波電力を発生するように構成された第1の高周波電源及び前記第2の高周波電力を発生するように構成された第2の高周波電源を備える、[E1]~[E10]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0103】
[E12]
前記少なくとも一つの高周波電源として、単一の高周波電源を備え、
前記単一の高周波電源によって発生される高周波電力の前記第1の高周波電力と前記第2の高周波電力への分配比率を調整するように構成された調整器を更に備える、
[E1]~[E10]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0104】
[E13]
前記少なくとも一つのバイアス電源として、前記第1の電気バイアスエネルギーを発生するように構成された第1のバイアス電源及び前記第2の電気バイアスエネルギーを発生するように構成された第2のバイアス電源を備える、[E1]~[E12]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0105】
[E14]
前記少なくとも一つのバイアス電源として、単一のバイアス電源を備え、
前記単一の高周波電源によって発生される電気バイアスエネルギーの前記第1の電気バイアスエネルギーと前記第2の電気バイアスエネルギーへの分配比率を調整するように構成された調整器を更に備える、[E1]~[E12]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0106】
[E15]
前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々は、高周波バイアス電力であるか、前記バイアス周波数の逆数の時間長を有する時間間隔で周期的に発生される電圧のパルスである、[E1]~[E14]の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【0107】
[E16]
プラズマ処理装置のチャンバ内において基板支持部上に基板を載置する工程であり、該基板支持部上にはエッジリングが搭載されている、該工程と、
前記基板を介して該基板の上方でプラズマに結合する第1の高周波電力及び前記エッジリングを介して前記エッジリングの上方でプラズマに結合する第2の高周波電力を供給する工程と、
前記基板に第1の電気バイアスエネルギーを、前記エッジリングに第2の電気バイアスエネルギーを供給する工程と、
を含み、
前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期で繰り返す波形を有し、
前記周期は、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が該周期内における該電圧の平均値に対して正側のレベルを有する第1の期間と、前記第1の電気バイアスエネルギー及び前記第2の電気バイアスエネルギーの各々の電圧が前記平均値に対して負側のレベルを有する第2の期間と、を含み、
前記第1の期間において、前記基板上のシースの上端位置と前記エッジリング上のシースの上端位置との間の差を小さくするように、前記第1の高周波電力のパワーレベル又は前記第2の高周波電力のパワーレベルが設定される、
プラズマ処理方法。
【0108】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0109】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、11…基板支持部、31,32…高周波電源、41,42…バイアス電源、W…基板、ER…エッジリング。