(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026469
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】基板処理装置及び塗布モジュールのパラメータの調整方法並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20230216BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20230216BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
H01L21/30 577
H01L21/30 564C
G03F7/30 502
H01L21/66 J
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199132
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2021171851の分割
【原出願日】2017-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091513
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】清冨 晶子
(57)【要約】
【課題】塗布モジュールのパラメータを自動で調整することにより、パラメータの調整作業を容易にする技術を提供すること。
【解決手段】調整用の半導体ウエハを塗布モジュールにて処理した後、半導体ウエハ搬送機構により撮像モジュールに搬送して、当該半導体ウエハの周縁を撮像する。そして、この撮像結果に基づいて、塗布膜の外縁から半導体ウエハのべベル部の内縁までのカット面の乱れ度合いを求めて許容値か否かを判定し、許容値でなければ、求めた乱れ度合いと、予め作成した乱れ度合い及び塗布膜除去前の塗布膜の乾燥時間の関係を示す参考データに基づいて、前記乾燥時間を再設定している。このように塗布モジュールのパラメータである回転数を自動で調整しているので、パラメータの調整を容易に行うことができる。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハに塗布膜を形成する基板処理装置において、
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布し、続いて半導体ウエハを回転させることにより液膜を乾燥させて塗布膜を形成し、その後半導体ウエハを回転させながら、周縁部の膜除去用のノズルにより、半導体ウエハの表面よりも高い位置から半導体ウエハのべベル部よりも内側位置の表面に除去液を吐出して前記周縁部の塗布膜を除去する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの表面を撮像し、撮像結果に基づいて、半導体ウエハのべベル部の内縁から、当該内縁よりも内側に位置する塗布膜の外縁までの距離を半導体ウエハの周方向の複数の点において検出し、検出された検出値から標準偏差を、前記べベル部の内縁から前記塗布膜の外縁までのカット面の乱れ度合いとして求め、求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めたカット面の乱れ度合と、予め作成した前記カット面の乱れ度合及び周縁部の塗布膜を除去する前に塗布膜を乾燥させるために行う塗布膜の乾燥時間の関係を示す参考データと、に基づいて塗布膜の乾燥時における乾燥時間を再設定し、再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布及び周縁部の塗布膜の除去を行い、その後同様にして前記カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した前記乾燥時間を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する制御部と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布から、前記カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定する動作を一連の動作と呼ぶとすると、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、前記塗布膜の乾燥時における乾燥時間の再設定は、前記参考データを用いる代わりに、実データを用い、
前記実データは、第1回目の一連の動作時における前記乾燥時間及び前記カット面の乱れ度合と、第2回目の一連の動作時における前記乾燥時間及び前記カット面の乱れ度合と、から求めた、前記カット面の乱れ度合及び前記乾燥時間の関係を示すデータであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記塗布モジュールは、半導体ウエハに対して塗布液の塗布後に更に裏面洗浄ノズルから洗浄液を吐出して、半導体ウエハを回転させながら裏面を洗浄するように構成され、
前記制御部は、前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの外端面及び裏面を撮像し、この撮像結果に基づいて、前記カット面の乱れ度合の判定動作に加えて、半導体ウエハの裏面の塗布液による汚れ度合を求め、求めた汚れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めた汚れ度合と、予め作成した前記汚れ度合及び半導体ウエハの裏面の洗浄時間の関係を示す参考データと、に基づいて半導体ウエハの裏面の洗浄時間を再設定し、再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布、前記周縁部の塗布膜の除去及び裏面の洗浄を行い、その後同様にして前記汚れ度合が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した半導体ウエハの裏面の洗浄時間を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布から、前記汚れ度合が許容値か否かを判定する動作を一連の動作と呼ぶとすると、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、前記洗浄時間の再設定は、前記参考データを用いる代わりに、実データを用い、
前記実データは、第1回目の一連の動作時における前記洗浄時間及び前記汚れ度合と、第2回目の一連の動作時における前記洗浄時間及び前記汚れ度合と、から求めた、前記洗浄時間及び前記汚れ度合の関係を示すデータであることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、n(予め設定した3以上の自然数)回目の一連の動作が終了して、前記撮像結果に基づいて求めた値が許容値から外れていた時には、以後の作業を停止することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
一の塗布モジュールにて使用される前記参考データは、当該一の塗布モジュールにて塗布する塗布膜と同じ種別の塗布膜について既に他の塗布モジュールにて得られた実データが用いられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記乾燥時間を再設定した場合、前記制御部は、塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの塗布膜を除去してから、再度塗布モジュールにて処理を行うように制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
半導体ウエハに対して加熱処理を行う加熱モジュールを更に含み、
前記調整用の半導体ウエハは、前記塗布モジュールにて処理された後、前記撮像モジュールへと搬送されて撮像され、
前記製品の半導体ウエハは、塗布モジュールにて処理された後、前記加熱モジュールに搬送されて処理されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布し、続いて半導体ウエハを回転させることにより液膜を乾燥させて塗布膜を形成し、その後半導体ウエハを回転させながら、周縁部の膜除去用のノズルにより、半導体ウエハの表面よりも高い位置から半導体ウエハのべベル部よりも内側位置の表面に除去液を吐出して前記周縁部の塗布膜を除去する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、を備えた、半導体ウエハに塗布膜を形成するための基板処理装置における前記塗布モジュールの処理時のパラメータを調整する方法において、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの表面を撮像する工程と、
撮像結果に基づいて、半導体ウエハのべベル部の内縁から、当該内縁よりも内側に位置する塗布膜の外縁までの距離を半導体ウエハの周方向の複数の点において検出し、検出された検出値から標準偏差を、前記べベル部の内縁から前記塗布膜の外縁までのカット面の乱れ度合いとして求め、求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めたカット面の乱れ度合と、予め作成した前記カット面の乱れ度合及び周縁部の塗布膜を除去する前に塗布膜を乾燥させるために行う塗布膜の乾燥時間の関係を示す参考データと、に基づいて塗布膜の乾燥時における乾燥時間を再設定する工程と、
再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布及び周縁部の塗布膜の除去を行い、その後同様にして前記カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した前記乾燥時間を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する工程と、を含むことを特徴とする塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項10】
塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布から、前記カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定する動作を一連の動作と呼ぶとすると、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、前記塗布膜の乾燥時における乾燥時間の再設定は、前記参考データを用いる代わりに、実データを用い、
前記実データは、第1回目の一連の動作時における前記乾燥時間及び前記カット面の乱れ度合と、第2回目の一連の動作時における前記乾燥時間及び前記カット面の乱れ度合と、から求めた、前記カット面の乱れ度合及び前記乾燥時間の関係を示すデータであることを特徴とする請求項9記載の塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項11】
前記塗布モジュールは、半導体ウエハに対して塗布液の塗布後に更に裏面洗浄ノズルから洗浄液を吐出して、半導体ウエハを回転させながら裏面を洗浄するように構成され、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの外端面及び裏面の撮像結果に基づいて、前記カット面の乱れ度合の判定動作に加えて、半導体ウエハの裏面の塗布液による汚れ度合を求め、求めた汚れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めた汚れ度合と、予め作成した前記汚れ度合及び半導体ウエハの裏面の洗浄時間の関係を示す参考データと、に基づいて半導体ウエハの裏面の洗浄時間を再設定する工程と、
再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布、前記周縁部の塗布膜の除去及び裏面の洗浄を行い、その後同様にして前記汚れ度合が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した半導体ウエハの裏面の洗浄時間を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する工程と、を含むことを特徴とする請求項9または10記載の塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項12】
塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布から、前記汚れ度合が許容値か否かを判定する動作を一連の動作と呼ぶとすると、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、前記洗浄時間の再設定は、前記参考データを用いる代わりに、実データを用い、
前記実データは、第1回目の一連の動作時における前記洗浄時間及び前記汚れ度合と、第2回目の一連の動作時における前記洗浄時間及び前記汚れ度合と、から求めた、前記洗浄時間及び前記汚れ度合の関係を示すデータであることを特徴とする請求項11記載の塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項13】
一の塗布モジュールにて使用される前記参考データは、当該一の塗布モジュールにて塗布する塗布膜と同じ種別の塗布膜について既に他の塗布モジュールにて得られた実データが用いられることを特徴とする請求項9ないし12のいずれか一項に記載の塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項14】
前記乾燥時間を再設定した場合、塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの塗布膜を除去してから、再度塗布モジュールにて処理を行うことを特徴とする請求項9ないし13のいずれか一項に記載の塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項15】
前記基板処理装置は、半導体ウエハに対して加熱処理を行う加熱モジュールを更に含み、
前記調整用の半導体ウエハは、前記塗布モジュールにて処理された後、前記撮像モジュールへと搬送されて撮像され、
前記製品の半導体ウエハは、塗布モジュールにて処理された後、前記加熱モジュールに搬送されて処理されることを特徴とする請求項9ないし14のいずれか一項に記載の塗布モジュールのパラメータの調整方法。
【請求項16】
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、を備えた、半導体ウエハに塗布膜を形成するための基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項9ないし15のいずれか一項に記載の、前記塗布モジュールの処理時のパラメータを調整する方法を実行するためのステップ群を備えていることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布モジュールにおいて、半導体ウエハに塗布膜を形成し、次いで半導体ウエハのべベル部の塗布膜又は周縁部の塗布膜を除去液により除去するにあたり、塗布モジュールのパラメータを調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)に塗布膜パターンを形成するフォトリソグラフィ工程で行われる処理の一つに、ウエハ表面に塗布膜を形成する処理がある。この処理を行う塗布モジュールでは、例えばスピンチャックに載置されて回転するウエハの中央部に、塗布液を供給して塗布膜が形成される。こうしてウエハ表面に塗布膜が形成されると、塗布モジュールにおいて、塗布膜周縁部の不要な膜をリング状に除去する塗布膜端部の除去や、ウエハの裏面の洗浄が行われる場合がある。塗布膜端部の除去は、スピンチャックにより回転するウエハの周縁部に、局所的にノズルから塗布膜の溶剤を吐出して行われ、裏面洗浄は、スピンチャックにより回転するウエハの裏面側に洗浄ノズルから洗浄液を吐出して行われる。
【0003】
このような塗布モジュールにおいて、新規の塗布液や洗浄液を用いる場合等には、実際に製品の半導体ウエハに処理を行う前に、塗布膜端部の除去や裏面洗浄に影響を与えるパラメータについて、予め調整作業が行われる。従来では、塗布モジュールにおいて調整用のウエハに対して所定の処理を行った後、このウエハを例えば顕微鏡等の検査装置に持ち運び、この検査装置にてウエハ表面や裏面を観察して塗布膜端部のカット状態や洗浄状態を把握し、これに基づいてパラメータの値を変更する。そして、変更されたパラメータを用いて再び塗布モジュールにて所定の処理を行い、その後検査装置にて検査してパラメータ調整を行うというように試行錯誤的に調整を行っていた。従って、パラメータの調整には多大な時間と手間がかかる上、オペレータの経験値も作用するため、煩雑な作業であった。
【0004】
特許文献1には、膜厚分布を基板の位置と膜厚との関係を示す第1の次数及び第2の次数の関数に近似し、これら関数に基づいて、塗布膜の膜厚を調整するためのパラメータを変更することにより、パラメータを適正な範囲内に設定する技術が記載されている。しかしながら、この技術には、塗布膜端部のカット状態やウエハ裏面の洗浄状態に影響を与えるパラメータについては考慮されていないので、本発明の課題を解決することはできない。
【0005】
特許文献2には、塗布膜形成後に塗布膜の周縁部に溶剤を供給して不要な膜を除去するにあたり、基板の端面を撮像して形状データを取得することにより、基板の反り量を把握し、この反り量に基づいて溶剤の供給位置を決定する技術が記載されている。しかしながら、この技術は塗布膜端部のカット状態やウエハ裏面の洗浄状態を把握してパラメータを調整するものではないので、本発明の課題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-147246号公報
【特許文献2】特開2017-150849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗布モジュールにおいて、半導体ウエハに塗布膜を形成し、次いで半導体ウエハのべベル部の塗布膜または周縁部の塗布膜を除去するにあたり、塗布モジュールのパラメータを自動で調整することにより、パラメータの調整を容易に行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
参考例の発明(第1の実施形態に対応する)は、半導体ウエハに塗布膜を形成する基板処理装置において、
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布し、続いて半導体ウエハを回転させながら、べベル部の膜除去用のノズルから半導体ウエハのべベル部に除去液を吐出してべベル部の塗布膜を除去する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの外端面及び裏面を撮像し、撮像結果に基づいて半導体ウエハのべベル部の内縁に対する塗布膜の外縁の高さ寸法を求め、求めた高さ寸法が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めた高さ寸法と、予め作成した前記高さ寸法及び半導体ウエハの回転数の関係を示す参考データと、に基づいて半導体ウエハの回転数を再設定し、再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布及びべベル部の塗布膜の除去を行い、その後同様にして前記高さ寸法が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した半導体ウエハの回転数を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明(第2の実施形態に対応する)は、半導体ウエハに塗布膜を形成する基板処理装置において、
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布し、続いて半導体ウエハを回転させることにより液膜を乾燥させて塗布膜を形成し、その後半導体ウエハを回転させながら、周縁部の膜除去用のノズルにより、半導体ウエハの表面よりも高い位置から半導体ウエハのべベル部よりも内側位置の表面に除去液を吐出して前記周縁部の塗布膜を除去する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの表面を撮像し、撮像結果に基づいて、半導体ウエハのべベル部の内縁から、当該内縁よりも内側に位置する塗布膜の外縁までの距離を半導体ウエハの周方向の複数の点において検出し、検出された検出値から標準偏差を、前記べベル部の内縁から前記塗布膜の外縁までのカット面の乱れ度合いとして求め、求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めたカット面の乱れ度合と、予め作成した前記カット面の乱れ度合及び周縁部の塗布膜を除去する前に塗布膜を乾燥させるために行う塗布膜の乾燥時間の関係を示す参考データと、に基づいて塗布膜の乾燥時における乾燥時間を再設定し、再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布及び周縁部の塗布膜の除去を行い、その後同様にして前記カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した前記乾燥時間を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
参考例の塗布モジュールのパラメータの調整方法は、
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布し、続いて半導体ウエハを回転させながら、べベル部の膜除去用のノズルから半導体ウエハのべベル部に除去液を吐出してべベル部の塗布膜を除去する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、を備えた、半導体ウエハに塗布膜を形成するための基板処理装置における前記塗布モジュールの処理時のパラメータを調整する方法において、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの外端面及び裏面を撮像する工程と、
撮像結果に基づいて半導体ウエハのべベル部の内縁に対する塗布膜の外縁の高さ寸法を求め、求めた高さ寸法が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めた高さ寸法と、予め作成した前記高さ寸法及び半導体ウエハの回転数の関係を示す参考データと、に基づいて半導体ウエハの回転数を再設定する工程と、
再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布及びべベル部の塗布膜の除去を行い、その後同様にして前記高さ寸法が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した半導体ウエハの回転数を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の塗布モジュールのパラメータの調整方法は、
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布し、続いて半導体ウエハを回転させることにより液膜を乾燥させて塗布膜を形成し、その後半導体ウエハを回転させながら、周縁部の膜除去用のノズルにより、半導体ウエハの表面よりも高い位置から半導体ウエハのべベル部よりも内側位置の表面に除去液を吐出して前記周縁部の塗布膜を除去する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、を備えた、半導体ウエハに塗布膜を形成するための基板処理装置における前記塗布モジュールの処理時のパラメータを調整する方法において、
前記塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハの表面を撮像する工程と、
撮像結果に基づいて、半導体ウエハのべベル部の内縁から、当該内縁よりも内側に位置する塗布膜の外縁までの距離を半導体ウエハの周方向の複数の点において検出し、検出された検出値から標準偏差を、前記べベル部の内縁から前記塗布膜の外縁までのカット面の乱れ度合いとして求め、求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めたカット面の乱れ度合と、予め作成した前記カット面の乱れ度合及び周縁部の塗布膜を除去する前に塗布膜を乾燥させるために行う塗布膜の乾燥時間の関係を示す参考データと、に基づいて塗布膜の乾燥時における乾燥時間を再設定する工程と、
再度塗布モジュールにて調整用の半導体ウエハに対して塗布液の塗布及び周縁部の塗布膜の除去を行い、その後同様にして前記カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値であれば再設定した前記乾燥時間を製品の半導体ウエハの処理時のパラメータとして記憶部に記憶する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の記憶媒体は、
複数枚の半導体ウエハを搬送する搬送容器が搬入出される搬入出ブロックと、
前記搬入出ブロックに搬送された搬送容器から取り出された半導体ウエハに対して塗布液を塗布する塗布モジュールと、
半導体ウエハを撮像するための撮像部を備えた撮像モジュールと、
前記塗布モジュール及び撮像モジュールの間で半導体ウエハを搬送する半導体ウエハ搬送機構と、を備えた、半導体ウエハに塗布膜を形成するための基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、前記塗布モジュールの処理時のパラメータを調整する方法を実行するためのステップ群を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
参考例の発明によれば、基板処理装置に塗布モジュール及び撮像モジュールを設け、調整用の半導体ウエハを塗布モジュールにて処理した後、半導体ウエハ搬送機構により撮像モジュールに搬送して、当該半導体ウエハの外端面及び裏面を撮像する。そして、この撮像結果に基づいて、半導体ウエハのべベル部の内縁に対する塗布膜の外縁の高さ寸法を求めて許容値か否かを判定し、許容値でなければ、求めた高さ寸法と、予め作成した高さ寸法及び半導体ウエハの回転数を関係を示す参考データに基づいて、前記回転数を再設定している。このように塗布モジュールのパラメータである回転数を自動で調整しているので、パラメータの調整を容易に行うことができる。
【0014】
本発明は、塗布モジュールにて処理された調整用の半導体ウエハを半導体ウエハ搬送機構により撮像モジュールに搬送し、この調整用の半導体ウエハの表面の撮像結果に基づいて、塗布膜の外縁から半導体ウエハのべベル部の内縁までのカット面の乱れ度合を求めている。そして、求めた乱れ度合が許容値か否かを判定し、許容値でなければ、求めた乱れ度合と、予め作成した乱れ度合及び周縁部の塗布膜を除去するために塗布膜を乾燥させるときの乾燥時間の関係を示す参考データに基づいて、前記乾燥時間を再設定している。こうして、塗布モジュールの処理時のパラメータである前記乾燥時間を自動で調整しているので、パラメータの調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の基板処理装置の一実施形態の主要部を示す構成図である。
【
図3】べベル洗浄ノズルを示す部分縦断側面図である。
【
図4】第1の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図5】第1の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図6】第1の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図7】第1の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図9】撮像モジュールの作用を模式的に示す構成図である。
【
図10】撮像モジュールの作用を模式的に示す構成図である。
【
図11】基板処理装置の制御部を示す構成図である。
【
図12】ウエハのべベル部を示す部分縦断側面図である。
【
図14】第1の実施形態の塗布モジュールの作用を説明するフローチャートである。
【
図15】カット高さ及び回転数の関係を示す参考データと実データとを示す特性図である。
【
図16】汚れ度合及び洗浄時間の関係を示す参考データと実データとを示す特性図である。
【
図17】カット高さを説明するためのウエハのべベル部を示す部分縦断側面図である。
【
図18】第2の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図19】第2の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図20】第2の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図21】第2の実施形態の塗布モジュールの作用を説明する工程図である。
【
図22】第2の実施形態の塗布モジュールの作用を説明するフローチャートである。
【
図23】カット面の乱れ度合及び乾燥時間の関係を示す参考データと実データとを示す特性図である。
【
図24】基板処理装置をなす塗布、現像装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の基板処理装置を構成する塗布、現像装置1の概略構成を示している。塗布、現像装置1は、複数枚のウエハWを収納して搬送する搬送容器Cが搬入出される搬入出ブロックS1と、処理ブロックS2と、を備えている。処理ブロックS2の内部には、ウエハWに対して塗布液を塗布する塗布モジュール2と、ウエハWを撮像する撮像モジュール3と、が設けられている。半導体ウエハ搬送機構をなす搬送機構11により、搬送容器Cと、塗布モジュール2と、撮像モジュール3との間でウエハの搬送が行われる。
【0017】
パラメータ調整用のウエハWは、搬送容器Cから取り出されて塗布モジュール2に搬送され、ここで塗布液の塗布、べベル部の塗布膜の除去及び裏面洗浄が行われる。次いで、ウエハWは撮像モジュール3に搬送され、その外端面及び裏面が撮像される。そして、この撮像結果に基づいて、制御部100にて、塗布モジュール2のパラメータである、べベル部の塗布膜除去時における回転数(リンス回転数)と、裏面洗浄時の洗浄時間が自動で調整される。以降、べベル部の塗布膜の除去処理をべベル洗浄処理として説明する。
【0018】
続いて、塗布モジュール2の一実施形態について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。図中21はウエハWを保持して回転させる基板保持部をなすスピンチャックである。スピンチャック21は、ウエハWの裏面中央部を吸着してウエハWを水平に保持すると共に、シャフト212を介して駆動機構211により鉛直軸に沿って例えば平面視時計回りに回転自在及び昇降自在に構成されている。
【0019】
スピンチャック21に保持されたウエハWの周囲にはカップ22が設けられており、カップ22の下方側は、排気管221を介して排気されると共に、排液管222が接続されている。また、スピンチャック21の下方側にはシャフト212を囲むように円形板213が設けられており、この円形板213の周囲には断面形状が山型のリング状の山型部214が形成されている。この山型部214の頂部には、カップ22内を流れるミストのウエハ裏面側への流入を抑えるための突片部215が設けられている。
【0020】
塗布モジュール2は、塗布液を吐出する塗布液ノズル24と、塗布液の溶媒である溶剤を吐出する溶剤ノズル25と、を備えている。塗布液ノズル24は、開閉バルブV1を備えた流路241を介して塗布液供給機構242に接続されている。溶剤ノズル25は、ウエハWへの塗布液を吐出する前に行う前処理に用いられるノズルであり、開閉バルブV2を備えた流路251を介して溶剤供給機構252に接続されている。これら塗布液ノズル24及び溶剤ノズル25は、図示しない移動機構によりウエハWの中心部上とカップ22の外側の退避位置との間で移動自在に構成されている。
【0021】
さらに、塗布モジュール2は、周縁部の膜除去用のノズルである除去液ノズル26と、べベル部の膜除去用のべベル洗浄ノズル27と、裏面洗浄ノズル28と、を備えている。除去液ノズル26は、スピンチャック21に保持されたウエハWのべベル部よりも内側位置の表面に、除去液がウエハWの回転方向の下流側に向かうように、除去液を吐出するものである。除去液ノズル26は例えば直管状に形成され、その先端が除去液の吐出口として開口している。この除去液ノズル26は、図示しない移動機構により、例えばウエハ周縁部に除去液を吐出する処理位置と、カップ22の外側の退避位置との間で移動自在に構成されている
【0022】
また、べベル洗浄ノズル27は、スピンチャック21に保持されたウエハWの裏面側からべベル部に向かって除去液を吐出するものである。このべベル洗浄ノズル27は、基台271に沿って移動自在に構成されており、基台271は、例えば山型部214に形成された図示しない切り欠き部に設けられている。また、
図3に示すように、傾斜面部272を備え、傾斜面部272が伸び出すことにより、その先端側が突片部273として形成されている。このようにべベル洗浄ノズル27は、山型部214の一部として機能し、突片部273が山型部214の突片部215の一部として機能するように構成されている。
【0023】
べベル洗浄ノズル27の内部には、除去液の供給路270が形成され、その先端の吐出口274から斜め上方側に向けて除去液を供給するように構成されている。例えばウエハWに向けて除去液を吐出したときに、べベル部W0に除去液が到達するように、具体的には除去液のウエハW上の着地点がウエハWの外縁から例えば0mm~4.5mm内側になるように設定されている。
【0024】
裏面洗浄ノズル28は、スピンチャック11に保持されたウエハWのべベル部W0よりも内側位置の裏面に洗浄液を吐出するものである。例えばウエハWに向けて洗浄液を吐出したときに、当該洗浄液のウエハW上の着地点がウエハWの外縁から例えば70mmよりも内側になるように構成されている。べベル洗浄ノズル27及び裏面洗浄ノズル28は、例えば塗布モジュール2に2個ずつ、例えば円形板18において直径方向に対向する位置に夫々設けられている(
図5、
図6参照)。
【0025】
この例における除去液及び洗浄液はいずれも塗布膜の溶剤であり、除去液ノズル26は開閉バルブV3を備えた流路261を介して例えば溶剤供給機構252に接続され、べベル洗浄ノズル27は、開閉バルブV4を備えた流路275を介して例えば溶剤供給機構252に接続されている。さらに、裏面洗浄ノズル28は、開閉バルブV5を備えた流路281を介して例えば溶剤供給機構252に接続されている。
【0026】
この塗布モジュール2において実施される処理の一例について、
図4~
図7を参照して説明する。先ず、搬送機構11によりウエハWをスピンチャック21上に搬送して載置し、溶剤ノズル25からウエハWの中心部上に溶剤を吐出する一方、ウエハWを回転し、遠心力によって溶剤をウエハWの表面全体に塗布する。次いで、ウエハWを回転させた状態で塗布液ノズル24からウエハWの中心部上に塗布液例えばレジスト液を吐出し、遠心力によって塗布液をウエハWの表面全体に塗布する。その後、所定時間ウエハWを回転させて液膜を乾燥させ、塗布膜10を形成する(
図4)。
【0027】
次いで、べベル洗浄及び裏面洗浄を実行する。この例では、
図5、
図6に示すように、ウエハWを回転させた状態で、例えばべベル洗浄ノズル27及び裏面洗浄ノズル28から同時に除去液及び洗浄液をウエハWに向けて吐出する。これによりべベル洗浄ノズル27から吐出された除去液(溶剤)は、ウエハWの遠心力によりウエハWの外方側に向かい、べベル部W0を通ってウエハ表面側に回り込む。除去液が供給された領域では、塗布膜が除去液により軟化され溶解し、遠心力によりウエハWの外方に向けて押し出されて除去される。このとき、ウエハWの回転数(リンス回転数)が大きい程、除去液がウエハ表面側に回り込みにくくなる。除去液が表面側に回り込み過ぎると、所望の領域よりも内側まで塗布膜が除去されてしまい、除去液の回り込み量が少な過ぎると、べベル部W0に塗布膜が残存してしまう。
【0028】
この実施形態では、後述するように、リンス回転数の調整をカット高さを求めることにより行う。カット高さHとは、後述する
図12に示すように、ウエハWのべベル部W0の内縁に対する塗布膜の外縁の高さ寸法である。
図12に示すように、ウエハの外縁(ベベル部W0の外縁)と塗布膜の外縁との横方向の距離をカット幅Wとすると、リンス回転数が大きい程、除去液がウエハ表面側に回り込みにくくなるため、ウエハの端部の塗布膜のカット幅Wが小さくなり、カット高さHが大きくなる。このように、カット高さとカット幅には相関関係がある。
【0029】
図6に戻って説明を続けると、裏面洗浄ノズル28から吐出された洗浄液(溶剤)により、ウエハWの裏面側に付着した塗布液による汚れが除去されると共に、溶解した塗布膜が裏面側に回り込んで付着することが抑制される。この裏面洗浄では、洗浄時間が長い程、ウエハ裏面の塗布液による汚れ度合(以下「汚れ度合」という)である膜残渣が少なくなる。こうして、べベル洗浄及び裏面洗浄が行われた後、
図7に示すように、べベル洗浄ノズル27からの除去液の吐出及び裏面洗浄ノズル28からの洗浄液の吐出を夫々停止する。次いで、ウエハWを回転させて、ウエハW上の除去液及び洗浄液を振り切り乾燥して、塗布モジュール2における処理を終了する。
【0030】
続いて、撮像モジュール3について、
図8~
図10を参照して説明する。
図8は撮像モジュール3の主要部を示す概略斜視図であり、
図9及び
図10は、撮像モジュール3の作用を説明するために主要部を模式的に示すものである。撮像モジュール3は、ウエハWの外端面及び裏面を撮像するものであり、ウエハWを水平に保持すると共に、回転機構311により鉛直軸まわりに回転自在に設けられた保持台31を備えている。回転機構311は、例えば保持台31の回転位置を検出するためのエンコーダを備えており、後述する周縁撮像部4と、裏面撮像部5によるウエハWの各面の撮像位置と、回転位置との対応付けを行うことができるように構成されている。
【0031】
周縁撮像部4は、例えばウエハ表面の周縁領域Wa及びウエハWの外端面Wb(べベル部W0)を同時に撮像するものである。周縁撮像部4は、
図8及び
図9に示すように、撮像手段であるカメラ41と、照明部42と、ミラー部材43と、を備え、カメラ41と、照明部42とは互いに対向するように設けられている。カメラ41は、レンズ411と、例えばCCDイメージセンサよりなる撮像素子412と、を備えている。
【0032】
照明部42は、保持台31に保持されたウエハWの上方に配置された光源421と、ハーフミラー422と、焦点調節レンズ423と、を備えている。ハーフミラー422は、例えば矩形状に構成され、水平方向において、略45度傾いた状態で配置されている。焦点調節レンズ423は、レンズ411との合成焦点距離を変化させる機能を備えるものである。
【0033】
周縁撮像部4はミラー部材43を備えており、このミラー部材43は、ハーフミラー422の下方に配置され、保持台31に保持されたウエハWの外端面wbとウエハ裏面の周縁領域とに対向するように設けられている。ミラー部材43におけるウエハWの外端面wb等と対向する部位は、保持台31に保持されたウエハWの外端面Wbから離れる側に向けて窪んだ湾曲面として構成され、当該湾曲面は例えば鏡面加工が施された反射面431として構成されている。
【0034】
照明部42においては、光源421から出射された光は、ハーフミラー422を通過して下方に向けて照射され、このハーフミラー422を通過した拡散光は、ミラー部材43の反射面431で反射する。拡散光が反射面431で反射した反射光は、主としてウエハWの外端面Wbとウエハ表面の周縁領域Waとに照射される。ウエハ表面の周縁領域Waから反射した反射光は、
図9中一点鎖線にて示すように、ハーフミラー422で再び反射して、焦点調整レンズ423は通過せずに、カメラ41のレンズ411を通過して、撮像素子412に入射する。一方、ウエハWの外端面Wcから反射した反射光は、
図9中点線にて示すように、ミラー部材43の反射面431とハーフミラー422とで順次反射して、焦点調節レンズ423とレンズ411とを順次通過し、撮像素子412に入射する。
【0035】
このように、カメラ41の撮像素子412には、ウエハ表面の周縁領域Waからの光と、ウエハWの外端面Wbからの光との双方が入力されるので、カメラ41は、ウエハ表面の周縁領域WaとウエハWの外端面Wbとの双方を撮像できる。カメラ41によって、撮像された撮像画像のデータは、例えば制御部100に送信される。
【0036】
裏面撮像部5は、
図8及び
図10に示すように、レンズ511と、例えばCCDイメージセンサよりなる撮像素子512と、を備えた撮像手段をなすカメラ51と、照明部52と、を備え、カメラ51と照明部52とは、互に対向するように設けられている。照明部52は、保持台31に保持されたウエハWの下方に配置され、光源521とハーフミラー522と、を備えている。ハーフミラー522は、例えば矩形状に構成され、水平方向において、略45度傾いた状態で配置されている。ハーフミラー522の下方に位置する光源521から出射された光は、ハーフミラー522を全体的に通過して上方に向けて照射される。ハーフミラー522を通過した光は、ウエハWの裏面にて反射した後、ハーフミラー522で再び反射して、カメラ51のレンズ511を通過し、撮像素子512に入射する。こうして、撮像されたウエハWの裏面の撮像画像のデータは、例えば制御部100に送信される。
【0037】
この撮像モジュール3では、制御部100の制御信号に基づいて、ウエハWが載置された保持台31が回転機構311によって回転し、この状態で周縁撮像部4及び裏面撮像部5において、夫々光源421、521をONにさせつつ、カメラ41、51による撮像を行う。こうして、ウエハWの周縁全周に亘って、ウエハ表面の周縁領域Waと、ウエハWの外端面Wbと、ウエハWの裏面Wcと、が撮像される。ウエハWが1回転して、カメラ41、51による撮像が完了すると、カメラ41、51による撮像画像のデータは後述する制御部100に送信される。
【0038】
塗布、現像装置1は制御部100を備えている。この制御部100は、例えば
図11に示すように、CPU101と、記憶部102と、コンピュータからなるプログラム格納部103と、画像解析部104と、入力部105と、表示部106と、を有している。このプログラム格納部103には、後述する塗布膜の形成処理及びパラメータ調整を行うことができるように命令(ステップ群)が組まれたプログラムが格納されている。そして、このプログラムによって制御部100から塗布、現像装置1の各部に制御信号が出力されることで、塗布、現像装置1の各部の動作が制御される。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクまたはメモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0039】
記憶部102には、塗布、現像装置1にて実施される処理についての種々のレシピが格納され、パラメータ調整に関しては、例えば撮像モジュール3にて撮像された撮像結果や、塗布モジュール2で実施されるレシピ、後述する参考データや実データ等が格納される。画像解析部104は、撮像モジュール3にて撮像された撮像結果(画像データ)に基づいて、カット高さ及びウエハ裏面の汚れ度合を求める機能を備えている。撮像結果からカット高さを求める手法については後述する。入力部105は、例えばパラメータ調整時に、カット高さの目標値等の入力や、複数の塗布モジュール2を備える場合には、調整する塗布モジュール2の選択、塗布モジュール2にて実施するレシピ等の選択を行う機能、表示部106は、例えばパラメータ調整の結果等を表示する機能を夫々備えている。
【0040】
プログラム格納部103に格納される各種のプログラムには、パラメータ調整用プログラムも含まれている。パラメータ調整用プログラムは、ウエハWの撮像結果に基づいて求めたカット高さが許容値か否かを判定して、許容値でなければ、求めたカット高さと、カット高さの参考データに基づいてべベル洗浄の回転数(リンス回転数)を再設定する機能を備えている。カット高さの参考データとは、予め作成した、カット高さ及びリンス回転数の関係を示すデータであり、例えば今処理をしているレジストとは異なるレジストを用いて、あるいは今用いている洗浄液とは異なる洗浄液を用いて過去に取得したデータである。
【0041】
また、再設定したリンス回転数を用いて、再度塗布モジュール2にて調整用のウエハに対して塗布液の塗布及びべベル洗浄を行い、その後同様にして、撮像結果から求めたカット高さが許容値か否かを判定し、許容値であれば、再設定したリンス回転数を製品の半導体ウエハ(以下「製品ウエハ」という)の処理時のパラメータ(以下「処理用パラメータ」という)として記憶部102に記憶する機能を備えている。
【0042】
さらに、この例のパラメータ調整プログラムは、カット高さの判定動作に加えて、ウエハWの撮像結果に基づいて求めた汚れ度合が許容値か否かを判定して、許容値でなければ、求めた汚れ度合と、汚れ度合の参考データに基づいて洗浄時間を再設定する機能を備えている。汚れ度合の参考データとは、予め作成した、汚れ度合及びウエハ裏面の洗浄時間(以下「洗浄時間」という)の関係を示すデータであり、例えば今処理をしているレジストとは異なるレジストを用いて、あるいは今用いている洗浄液とは異なる洗浄液を用いて過去に取得したデータである。
【0043】
また、再設定した洗浄時間で塗布モジュール2にて、調整用のウエハWに対して塗布液の塗布、べベル洗浄及び裏面洗浄を行い、その後同様にして、撮像結果から求めた汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、再設定した洗浄時間を処理用パラメータとして記憶部102に記憶する機能を備えている。
【0044】
さらに、パラメータ調整プログラムは、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、リンス回転数の再設定は参考データの代わりに実データを用いるように構成されている。ここで、一連の動作とは、塗布モジュール2にて調整用のウエハWに対して塗布液の塗布、べベル洗浄を行なってから、カット高さを求めて、このカット高さが許容値か否かを判定する動作である。また、実データとは、第1回目の一連の動作時におけるカット高さ及びリンス回転数と、第2回目の一連の動作時におけるカット高さ及びリンス回転数と、から求めたカット高さ及びリンス回転数の関係を示すデータである。
【0045】
さらに、パラメータ調整プログラムは、洗浄時間の再設定において、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して第3回目の一連の動作を行うときには、洗浄時間の再設定は参考データの代わりに実データを用いるように構成されている。実データとは、第1回目の一連の動作時における汚れ度合及び洗浄時間と、第2回目の一連の動作時における汚れ度合及び洗浄時間と、から求めた汚れ度合及び洗浄時間の関係を示すデータである。また、一連の動作とは、塗布モジュール2にて調整用のウエハWに対して、塗布液の塗布、裏面洗浄を行い、汚れ度合を求めて、この汚れ度合が許容値か否かを判定する動作である。
【0046】
さらにまた、パラメータ調整プログラムは、n(予め設定した3以上の自然数)回目の一連の動作が終了して、撮像結果に基づいて求めた値(カット高さ及び汚れ度合)が許容値から外れた時には、以後の作業を停止するように構成されている。
【0047】
画像解析部104にて、撮像結果からカット高さを求める手法の一例について、
図12及び
図13を例にして説明する。
図12は、ウエハWのべベル部W0の縦断側面図、
図13は撮像モジュール3の周縁撮像部4にて撮像された、ウエハ表面の周縁領域Waの画像データを模式的に示すものである。
図12中、H1はベベル部W0の内縁の高さ位置、H2はべベル部W0の外縁の高さ位置、Nはノッチ部である。また、H3は塗布膜10の外縁の高さ位置(塗布膜10が形成された領域とべベル部W0との境界の高さ位置)である。
【0048】
図13では、例えば領域S1は塗布膜が形成された領域、領域S2は塗布膜が形成されていない領域(ウエハの表面)、領域S3はウエハのノッチ部など検査対象が存在しない領域を夫々示し、これら領域S1~S3は互にコントラストが異なる領域として示している。
図12及び
図13中、W1はべベル部とウエハ表面との境界位置、W2はカット位置、W3はウエハ外端位置である。コントラストの違いにより、画像データから前記位置W1、W2が検出される。カット高さHは、既述のように、べベル部W0の内縁に対する塗布膜の外縁の高さ寸法であり、(W1-W2)の絶対値と相関があるため、この(W1-W2)より算出される。画像解析部104では、例えば画像データから、ウエハWの周方向の360個所の位置のカット高さHのデータを取得し、その平均値をカット高さHとして求めている。
【0049】
さらに、画像解析部104では、撮像モジュール3の周縁撮像部4及び裏面撮像部5にて撮像された、ウエハの外端面及び裏面の画像データにおいても、例えばコントラストの違いにより、膜残渣が付着した領域が把握され、これに基づいてウエハW裏面の塗布液による汚れ度合が求められる。なお、
図13に示す例は発明の理解のために挙げたものであり、ウエハWの裏面側に塗布膜が回り込んでいる状態は裏面の画像データから把握される。従って、実際には、撮像モジュール3の周縁撮像部4及び裏面撮像部5にて撮像された、ウエハの外端面及び裏面の撮像結果に基づいて、カット高さH及び汚れ度合が求められる。従って、ウエハの裏面の汚れ度合には、ウエハの裏面及びべベル部の汚れ度合(欠陥数)も含まれる。
【0050】
続いて、塗布、現像装置1にて行われる、塗布モジュール2におけるパラメータの自動調整について説明する。このパラメータの自動調整は、塗布、現像装置1の立ち上げ時やメンテナンス時、塗布モジュール2において、塗布液や溶剤の種類を変更する場合、新規の塗布液、溶剤や洗浄液を用いる場合などに実施される。ここでは、新規の塗布液を用いる場合を例にして、
図14~
図17を参照して説明する。
【0051】
先ず、入力部105において、調整を行う塗布モジュール2、カット高さの目標値を入力し、記憶部102に格納されている基準レシピを選択する。基準レシピとしては、例えば自動パラメータ調整を行うときに使用される標準のレシピを用意してもよいし、類似の塗布液を用いたレシピでもよい。基準レシピには、例えば
図15に示すように、べベル洗浄における、カット高さ及びリンス回転数の関係を示す参考データR1が格納されており、カット高さの目標値例えば120μmと設定すると、基準レシピにおけるリンス回転数が例えば800rpmと設定される。また、例えば
図16に示すように、基準レシピには、ウエハ裏面の塗布液による汚れ度合及び裏面の洗浄時間の関係を示す参考データR2が格納されており、汚れ度合が許容値L1になる洗浄時間T1が設定されている。
【0052】
そして、パラメータ調整用のウエハWを収納した搬送容器CからウエハWを取り出し、塗布モジュール2に搬送して、既述のように塗布膜を形成し、設定されたリンス回転数800rpmと洗浄時間T1により、べベル洗浄及び裏面洗浄を実施する。次いで、ウエハWを撮像モジュール3に搬送し、既述のように、ウエハWの外端面及び裏面の画像データを取得する(ステップS1)。撮像後のウエハWは、搬送機構11により例えば元の搬送容器Cに戻される。
【0053】
続いて、制御部100において、画像データに基づいて、カット高さ及び汚れ度合を求め(ステップ2)、カット高さが許容値か否かを判定する(ステップS3)。許容値とは、目的とするカット高さに対して例えば±10%以内である。なお、この数値は発明の理解のために挙げたものであり、実機の一例を示すものではない。この例では、
図17(a)に示すように、画像データから求めたカット高さを60μmとする。従って、ステップS4に進み、リンス回転数を再設定する。この再設定は、参考データR1に基づいて行い、ここではカット高さを大きくしたいので、参考データR1に基づき、リンス回転数を例えば900rpmに再設定する。一方、仮にカット高さが許容値であると判定されると、ステップS5、ステップS13に進み、ステップS13では、このときのリンス回転数を製品ウエハWの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶し、リンス回転数のパラメータ調整作業を終了する。
【0054】
ステップS5では、汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、ステップS13に進み、このときの洗浄時間を処理用パラメータとして記憶部102に記憶し、洗浄時間のパラメータ調整作業を終了する。一方、汚れ度合が許容値を越えていれば、ステップS6に進み、洗浄時間を再設定し、ステップS7に進む。この再設定は、参考データR2に基づいて行い、汚れ度合が許容値となるように、洗浄時間を長くするように再設定する。ここでは、汚れ度合が許容値を越えており、洗浄時間を再設定する例にて説明する。
【0055】
ステップS7では、再度パラメータ調整用の他のウエハWを塗布モジュール2に搬送し、塗布膜の形成、リンス回転数及び洗浄時間を再設定したレシピにて、べベル洗浄及び裏面洗浄を実行する。次いで、撮像モジュール3にて既述の画像データを取得し、カット高さ及び汚れ度合を求める。撮像後のウエハWは、搬送機構11により例えば元の搬送容器10に戻される。
【0056】
そして、ステップS8に進み、カット高さが許容値か否かを判定する。この例では、
図17(b)に示すように、求めたカット高さHを90μmとする。従って、ステップS9に進み、べベル洗浄回数が設定回数を越えたか否か、つまり一連の動作が設定回数であるn回を超えたか否かを判定する。設定回数を越えていれば、つまりn回目の一連の動作が終了してカット高さが許容値から外れていて時には、ステップS14に進み、パラメータ調整不可として、例えば表示部106にその旨を表示し、調整作業を終了する。以降は、例えばオペレータが手動でパラメータ調整を行う。
【0057】
ステップS9において、設定回数を越えていなければ、ステップS10に進み、リンス回転数を再設定する。この再設定は、
図15に示す実データA1に基づいて行う。
図15中D1は、第1回目の一連の動作時におけるカット高さ(60μm)及びリンス回転数(800rpm)のデータであり、D2は第2回目の一連の動作時におけるカット高さ(90μm)及びリンス回転数(900rpm)のデータである。これらD1、D2から、カット高さ及びリンス回転数の関係を示す実データA1を求め、第3回目の一連の動作をするときには、この実データA1に基づいて、カット高さが120μmとなる回転数、この例では1000rpmを再設定して、ステップS11に進む。一方、仮にステップS8にて第2回目の一連の動作時において求めたカット高さが許容値であると判定されると、ステップS11、ステップS13に進む。ステップS13では、そのときのリンス回転数を処理用パラメータとして記憶し、リンス回転数のパラメータ調整作業を終了する。
【0058】
ステップS11では、汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、ステップS13に進み、このときのリンス時間を処理用パラメータとして記憶し、洗浄時間のパラメータ調整作業を終了する。一方、汚れ度合が許容値を越えていれば、ステップS12において、洗浄時間を再設定する。この再設定は、第1回目の一連の動作時における汚れ度合及び洗浄時間と、第2回目の一連の動作時における汚れ度合及び洗浄時間と、から求めた、汚れ度合及び洗浄時間の関係を示す実データA2(
図16参照)に基づいて行う。
【0059】
続いて、再度パラメータ調整用の他のウエハWを塗布モジュール2に搬送し、塗布膜の形成を行い、リンス回転数及び洗浄時間を再設定したレシピにて、べベル洗浄及び裏面洗浄を実行する。次いで、ウエハWの撮像結果からカット高さ及び汚れ度合を求める(ステップS7)。こうして撮像結果に基づいて求めた値は、第3回目の一連の動作時におけるカット高さ及び汚れ度合のデータとなる。
【0060】
そして、ステップS8に進み、カット高さが許容値か否かを判定する。この例では、
図17(c)に示すように、求めたカット高さを120μmとする。従って、許容値であるのでステップS11及びステップS13に進み、ステップS13にて、再設定したリンス回転数を処理用パラメータとして記憶し、リンス回転数のパラメータ調整作業を終了する。仮にカット高さが許容値を越えていれば、ステップS9に進み、べベル洗浄回数が設定回数を越えたか否かを判定し、設定回数を越えていなければ、ステップS10においてリンス回転数を再設定する。この再設定は、第1回目の一連の動作時に取得されたデータ(カット高さ及びリンス回転数)、第2回目の一連の動作時に取得されたデータ、第3回目の一連の動作時に取得されたデータに基づいて、カット高さ及びリンス回転数の関係を示す実データを求め、これに基づいて行う。こうして、リンス回転数を変更して、ステップS11に進む。
【0061】
ステップS11では、汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、ステップS13に進み、汚れ度合に関するパラメータである裏面洗浄時間のパラメータ調整を終了する。一方、汚れ度合が許容値を越えていれば、ステップS12において、洗浄時間を再設定する。この再設定は、第1回目の一連の動作時に取得されたデータ(汚れ度合及び洗浄時間)、第2回目の一連の動作時に取得されたデータ、第3回目の一連の動作時に取得されたデータに基づいて、汚れ度合及び洗浄時間の関係を示す実データを求め、これに基づいて行う。以上において、実データは
図15、
図16に示す近似曲線でもよいし、近似関係式であってもよい。
【0062】
こうして、べベル洗浄回数が設定回数を越えない間は、カット高さが許容値を越えていれば、リンス回転数を再設定し、再度塗布膜の形成、べベル洗浄を行った後、カット高さを求めて許容値か否かを判定する作業を繰り返す。また、べベル洗浄回数が設定回数を越えない間は、汚れ度合が許容値を越えていれば、洗浄時間を再設定し、再度塗布膜の形成、洗浄処理を行った後、汚れ度合を求めて許容値か否かを判定する作業を繰り返す。
【0063】
こうして、パラメータ調整作業を終了すると、例えば当該塗布モジュール2において、処理時のパラメータとして記憶部102に記憶されたパラメータを用いて複数枚のウエハWについて連続処理を行なう。そして、処理後のウエハWを撮像してカット高さ及び汚れ度合を求めて許容値か否かを判定し、パラメータの正当性を確認するようにしてもよい。このときカット高さ及び汚れ度合に不度合を生じた場合には、更にパラメータの自動調整を行うようにしてもよいし、手動でパラメータの微調整を行うようにしてもよい。
【0064】
上述の実施形態によれば、調整用のウエハに対して塗布モジュール2にて塗布液の塗布、次いでべベル洗浄を行い、次いで、ウエハの外端面及び裏面を撮像し、この撮像結果に基づいて求めたカット高さが許容値でなければ、参考データに基づいてリンス回転数を再設定する。そして、再び塗布モジュール2において、調整用のウエハWに塗布液の塗布、べベル洗浄を行い、ウエハを撮像して求めたカット高さが許容値か否かを判定し、許容値であれば、再設定したリンス回転数を製品のウエハWの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶している。これにより、カット高さを決定するリンス回転数の設定を自動で行うことができるので、このため、オペレータが手動でリンス回転数の調整を行う場合に比べて、パラメータ調整に要する手間及び時間が大幅に削減され、パラメータ調整作業が容易となる。
【0065】
また、カット高さの判定動作に加えて、ウエハの外端面及び裏面の撮像結果に基づいて求めた汚れ度合が許容値でなければ、参考データに基づいて洗浄時間を再設定する。そして、再び塗布モジュール2において、調整用のウエハWに塗布液の塗布、べベル洗浄を行い、ウエハを撮像して求めた汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、再設定した洗浄時間を製品のウエハWの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶している。これにより、汚れ度合を決定する洗浄時間の設定を自動で行うことができるので、このため、オペレータが手動で調整を行う場合に比べて、パラメータ調整作業が容易となる。
【0066】
また、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、リンス回転数または洗浄時間の再設定は参考データの代わりに実データを用いて行われるので、再設定されるパラメータの精度が高くなる。このため、パラメータ調整に要する時間が短縮され、よりパラメータ調整作業が容易となる。
【0067】
このように、搬送容器Cから塗布モジュール2へのウエハWの搬送、塗布モジュール2から撮像モジュール3へのウエハWの搬送を搬送手段11により自動的に行い、パラメータの再設定を参考データまたは実データに基づいて自動的に行っているので、効率的にパラメータの調整作業を行うことができる。また、オペレータを介さずに調整作業を行うことができ、オペレータの経験値に左右されないので、調整作業の精度が高くなる。さらに、撮像モジュール3において、周縁撮像部4及び裏面撮像部5にて、同時にウエハWの外端面及び裏面を撮像することができるので、この点からも調整作業に要する時間を短縮できる。さらにまた、べベル処理の繰り返し回数を予め設定し、この繰り返し回数を越えてカット高さ又は汚れ度合が許容値から外れるときには、調整作業を終了している。これにより、自動調整が困難な場合であっても、調整作業が自動的に終了するので、適切なタイミングでその後の対応を取ることができる。
【0068】
以上において、塗布、現像装置1に、塗布モジュールが複数個設けられている場合において、一の塗布モジュールにてパラメータ調整を行う場合に使用される参考データは、当該一の塗布モジュールにて塗布する塗布膜と同じ種別の塗布膜について、既に他の塗布モジュールにて得られた実データを用いるようにしてもよい。塗布、現像装置1において、複数の塗布モジュールが設けられている場合には、パラメータの自動調整により、塗布モジュールに個体差であっても、処理状態が揃うため、有効である。
【0069】
(第1の実施形態の変形例)
この実施形態では、べベル部の塗布膜の除去に伴うカット高さに関するパラメータの調整のみを行うようにしてもよい。つまり、塗布モジュールにて処理された調整用のウエハについて、撮像モジュールにてウエハの外端面及び裏面を撮像し、撮像結果に基づいてカット高さのみを求め、求めたカット高さが許容値か否かを判定して、許容値でなければ参考データに基づいてリンス回転数を再設定する。そして、再度塗布モジュールにて塗布液の塗布、再設定されたリンス回転数でべベル洗浄を行ない、その後同様にしてカット高さが許容値か否かを判定して、許容値であれば、再設定したリンス回転数を製品ウエハの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶するよう制御部100を構成してもよい。
【0070】
例えば予め入力部105において、調整を行うパラメータとして、「リンス回転数及び洗浄時間」、「リンス回転数」の一方を選択できるように構成し、選択されたパラメータについて既述の調整作業をするようにしてもよい。また、「リンス回転数」のみを調整する場合には、塗布モジュールにおいて、調整用のウエハWに対して、塗布液の塗布とべベル洗浄のみを行うようにしてもよい。上述の実施形態では、ベベル洗浄及び裏面洗浄を同時に行ったが、ベベル洗浄ノズル27から除去液を吐出してベベル洗浄を行った後、ベベル洗浄ノズル27からの除去液の吐出を停止し、次いで、洗浄ノズル28から洗浄液を吐出して裏面洗浄を行ってもよい。この場合においても、ウエハWの外端面及び裏面を撮像してカット高さと汚れ度合を求め、カット高さに基づくリンス回転数の調整、汚れ度合に基づく洗浄時間の調整が行われる。
【0071】
(第2の実施形態)
この実施形態は、除去液ノズル26を用いて周縁部の塗布膜を除去するEBR処理を行う例である。この実施形態における塗布モジュール2にて行われる処理について、
図18~
図21を参照して簡単に説明する。スピンチャック21上に載置されたウエハWに塗布液を塗布し、その後、所定時間ウエハWを回転させて液膜を乾燥させ、塗布膜を形成するまでは、第1の実施形態と同様である(
図18)。
【0072】
次いで、
図19に示すように、ウエハWを回転させながら、除去液ノズル26から、ウエハWのべベル部W0よりも内側位置の表面に除去液を吐出して、EBR処理を行う。除去液ノズル26からは、ウエハWの回転方向の下流側に向かうようにかつ除去液の吐出軌跡の延長線が塗布膜の周縁部の外側に向かうように除去液が吐出される。ウエハWの回転の遠心力により、除去液の液流はウエハWの外方側に向けて押し出されるように速やかに流れていく。これにより、除去液の供給領域では、塗布膜が除去液により軟化され溶解し、溶解された塗布膜の成分を含む除去液は、遠心力によりウエハWの外方に向けて押し出されて除去される。このとき、除去液ノズル26からウエハWへの除去液の吐出位置によって、ウエハの端部の塗布膜のカット幅が変化する。また、EBR処理を行う前の乾燥時間により、カット面の乱れ度合が変化する。
【0073】
カット面の乱れ度合とは、塗布膜の外縁からべベル部の内縁までのカット面の乱れ度合である。例えば塗布膜の外縁からべベル部の内縁まで距離を、ウエハの周方向の360点において検出し、この検出値から3シグマを求め、この3シグマの値を用いて、カット面の乱れ度合を評価している。このカット面の乱れ度合は、例えば撮像モジュール3の周縁撮像部4にて、ウエハ表面の周縁領域Waを撮像し、この撮像結果に基づいて求められる。カット面の乱れ度合は、EBR処理を行う前の塗布膜の乾燥処理の乾燥時間に依存し、乾燥時間を長くすると、塗布膜が乾燥して、溶剤に溶けにくくなり、カット面の乱れ度合が緩和される。
【0074】
次いで、
図20に示すように、ウエハWを回転させた状態で、裏面洗浄ノズル28から洗浄液をウエハW裏面に向けて吐出し、ウエハ裏面の洗浄を行う。この裏面洗浄では、第1の実施形態と同様に、洗浄時間が長い程、汚れ度合が小さくなる。こうして、EBR処理と、裏面洗浄が行われた後、
図21に示すように、裏面洗浄ノズル28からの洗浄液の吐出を停止し、次いで、ウエハWを回転させて、ウエハW上の除去液及び洗浄液を振り切り乾燥する。
【0075】
この実施形態の制御部100は、画像解析部104において、ウエハ表面の撮像結果からカット面の乱れ度合を求め、既述のようにウエハ外端面及び裏面の撮像結果から汚れ度合を求めるように構成されている。さらに、この例のパラメータ調整用プログラムは、第1の実施形態においてカット高さに基づいてリンス回転数を調整する機能の代わりに、カット面の乱れ度合に基づいてEBR処理前の乾燥時間を調整する機能を備えている。カット面の乱れ度合の判定動作に加えて、ウエハWの撮像結果から汚れ度合を求め、これに基づいて洗浄時間を調整する機能など、その他の機能については第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0076】
乾燥時間の調整に関して、制御部100のパラメータ調整プログラムは、ウエハWの撮像結果に基づいて求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して許容値でなければ、求めた乱れ度合と、カット面の乱れ度合の参考データに基づいて、EBR処理前の乾燥時間を再設定する機能を備えている。参考データとは、予め作成した、カット面の乱れ度合及び乾燥時間の関係を示すデータである。また、再設定した乾燥時間を用いて塗布モジュール2にて、調整用のウエハWに対して塗布液の塗布、乾燥及びEBR処理を行い、その後同様にして撮像結果から求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定する機能を備えている。そして、許容値であれば、再設定した乾燥時間を製品ウエハの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶する機能を備えている。
【0077】
また、パラメータ調整プログラムは、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して第3回目の一連の動作を行うときには、乾燥時間の再設定は参考データの代わりに実データを用いるように構成されている。実データとは、第1回目の一連の動作時におけるカット面の乱れ度合及び乾燥時間と、第2回目の一連の動作時におけるカット面の乱れ度合及び乾燥時間と、から求めたカット面の乱れ度合及び乾燥時間の関係を示すデータである。
【0078】
この実施形態におけるパラメータの自動調整について、第1の実施形態と異なる点を中心に、
図22及び
図23を参照して簡単に説明する。先ず、入力部105において、調整を行う塗布モジュール2、記憶部102に格納されている基準レシピを選択する。基準レシピには、例えば
図23に示すカット面の乱れ度合と乾燥時間との関係を示す参考データR3と、汚れ度合及び裏面の洗浄時間の関係を示す参考データR2(
図16参照)が格納されている。基準レシピの選択により、例えばカット面の乱れ度合の許容値L2と乾燥時間T2、汚れ度合の許容値L1と洗浄時間T1が設定される。
【0079】
そして、塗布モジュール2にて、パラメータ調整用のウエハWに対して、既述のように、塗布液の塗布、設定された乾燥時間T2で乾燥、EBR処理及び設定された洗浄時間で裏面洗浄を実施する。次いで、ウエハWは、撮像モジュール3にて撮像され、ウエハWの周縁領域Wa、べベル部W0及び裏面領域Wbの画像データを取得する(ステップS21)。
【0080】
続いて、画像データに基づいて、カット幅、カット面の乱れ度合及び汚れ度合を求め(ステップS22)、カット幅に基づいて、除去液ノズル26からの除去液の吐出位置(塗布膜における除去液の着地位置)を調整する(ステップS23)。そして、カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定し(ステップS24)。許容値であれば、ステップS26、ステップS34に進み、ステップS34では、このときの乾燥時間T2を製品ウエハの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶し、乾燥時間のパラメータ調整作業を終了する。
【0081】
許容値を越えていれば、ステップS25に進み、参考データR3に基づいて乾燥時間が長くなるように再設定し、ステップS26に進む。ステップS26では、汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、ステップS34に進み、このときの洗浄時間T1を製品ウエハの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶し、洗浄時間のパラメータ調整作業を終了する。一方、汚れ度合が許容値を越えていれば、参考データR2に基づいて洗浄時間が長くなるように再設定する(ステップS27)。
【0082】
次いで、例えばパラメータ調整用の他のウエハWに対して塗布モジュール2にて、塗布液の塗布、再設定された乾燥時間で乾燥処理、EBR処理、再設定された洗浄時間で裏面洗浄を行い、撮像モジュール3にてウエハWを撮像して、画像データを取得し、カット面の乱れ度合及び汚れ度合を求める(ステップS28)。
【0083】
そして、ステップS29にて、カット面の乱れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、ステップS32、ステップS34に進み、ステップS34では、このときの乾燥時間を処理用パラメータとして記憶し、乾燥時間の調整作業を終了する。カット面の乱れ度合が許容値を越えていれば、ステップS30に進み、EBR処理回数が設定回数を越えたか否かを判定する。設定回数を越えていれば、ステップS35に進み、パラメータ調整不可として、例えば表示部106にその旨を表示し、調整作業を終了する。
【0084】
ステップS30において、設定回数を越えていなければ、ステップS31に進み、乾燥時間を再設定して、ステップS32に進む。この再設定は、第1回目の一連の動作時におけるカット面の乱れ度合及び乾燥時間と、第2回目の一連の動作時におけるカット面の乱れ度合及び乾燥時間と、から求めた、カット面の乱れ度合及び乾燥時間の関係を示す実データA3に基づいて行う。
【0085】
ステップS32では、汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値であれば、ステップS34に進み、このときの洗浄時間を処理用のパラメータとして記憶し、洗浄時間の調整作業を終了する。一方、汚れ度合が許容値を越えていれば、ステップS33において、洗浄時間を再設定する。この再設定は、第1回目の一連の動作時における汚れ度合及び洗浄時間と、第2回目の一連の動作時における汚れ度合及び洗浄時間と、から求めた、汚れ度合及び洗浄時間の関係を示す実データに基づいて行う。
【0086】
次いで、例えばパラメータ調整用の他のウエハWに対して塗布モジュール2にて、塗布液の塗布、再設定された乾燥時間で乾燥処理、EBR処理、再設定された洗浄時間で裏面洗浄を行い、画像データを取得して、カット面の乱れ度合及び汚れ度合を求める(ステップS28)。こうして、EBR処理回数が設定回数を越えない間は、カット面の乱れ度合が許容値を越えていれば、乾燥時間を再設定し、再度塗布液の形成、乾燥、EBR処理を行った後、カット面の乱れ度合を求めて許容値か否かを判定する作業を繰り返す。また、EBR処理回数が設定回数を越えない間は、汚れ度合が許容値を越えていれば、洗浄時間を再設定し、再度塗布膜の形成、洗浄処理を行った後、汚れ度合を求めて許容値か否かを判定する作業を繰り返す。
【0087】
この実施形態によれば、塗布モジュール2にて処理された調整用ウエハを搬送機構11により撮像モジュール3に搬送し、この調整用ウエハの表面の撮像結果に基づいて求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定している。そして、許容値でなければ、求めたカット面の乱れ度合と、予め作成したカット面の乱れ度合と乾燥時間の関係を示す参考データに基づいて乾燥時間を再設定し、再度塗布モジュール2にて処理を行う。その後同様にしてカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して、許容値であれば再設定した乾燥時間を処理時のパラメータとして記憶部102に記憶しているので、乾燥時間を自動で調整でき、パラメータ調整を容易に行うことができる。
【0088】
さらに、第1回目の一連の動作、第2回目の一連の動作が終了して更に第3回目の一連の動作を行うときには、カット面の乱れ度合の再設定は参考データの代わりに実データを用いて行われるので、再設定されるパラメータの精度が高くなる。このため、パラメータ調整に要する時間が短縮され、よりパラメータ調整作業が容易となる。
【0089】
また、調整用ウエハの表面の撮像結果に基づいて求めた汚れ度合が許容値か否かを判定し、許容値でなければ、求めた汚れ度合と、予め作成した汚れ度合及び洗浄時間の関係を示す参考データに基づいて洗浄時間を再設定しているので、洗浄時間を自動で調整でき、パラメータ調整を容易に行うことができる。その他の効果は、第1の実施形態の効果と同様である。
【0090】
以上において、この実施形態では、カット面の乱れ度合に関するパラメータの調整のみを行うようにしてもよい。つまり、塗布モジュールにて処理された調整用のウエハについて、撮像モジュールにてウエハの表面を撮像し、撮像結果に基づいてカット面の乱れ度合のみを求め、求めたカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して、許容値でなければ参考データに基づいて乾燥時間を再設定する。そして、再度塗布モジュールにて塗布液の塗布、再設定された乾燥時間で乾燥、EBR処理を行ない、その後同様にしてカット面の乱れ度合が許容値か否かを判定して、許容値であれば、再設定した乾燥時間を製品ウエハの処理時のパラメータとして記憶部102に記憶するように制御部100を構成してもよい。
【0091】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、制御部100において画像データの解析を行っているが、塗布、現像装置1を制御する主制御部と、撮像モジュール3を制御する専用のコントローラと、を設け、画像データの解析はコントローラで行うようにしてもよい。この場合には、主制御部とコントローラとにより、本発明の制御部が構成される。また、上述の実施形態では、パラメータ調整用のウエハWを複数枚用意しているが、パラメータを再設定して、再度塗布モジュール2にて処理を行う場合には、一旦塗布モジュール2にて処理されたパラメータ調整用のウエハWの塗布膜を除去してから、再度塗布モジュール2にて処理を行うようにしてもよい。以上において、撮像モジュールは上述の例に限らず、ウエハ表面を撮像する撮像部を別個に設ける構成であってもよい。
【0092】
続いて、塗布、現像装置1の全体構成について、
図24の平面図及び
図25の縦断側面図を参照しながら説明する。塗布、現像装置1は、搬入出ブロックをなすキャリアブロックS1と、処理ブロックS2と、インターフェイスブロックS3と、を横方向に直線状に接続して構成されている。図中S4は露光装置である。キャリアブロックS1の載置台81に載置された搬送容器C内のウエハWは、搬送機構83により、開閉部82を介して処理ブロックS2との間で受け渡される。
【0093】
処理ブロックS2は、ウエハWに液処理を行う単位ブロックE1~E6を下方から順番に積層して構成されており、これらの単位ブロックE1~E6では互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。単位ブロックE1、E2が互いに同様に構成され、単位ブロックE3、E4が互いに同様に構成され、単位ブロックE5、E6が互いに同様に構成されている。
【0094】
上述の塗布モジュール2及び撮像モジュール3は、単位ブロックE3、E4に設けられている。
図24は、単位ブロックE3、E4の平面図であり、塗布モジュール3は、搬送機構F3の搬送路12の一方側に設けられており、搬送路12の他方側に設けられた棚ユニット71には、既述の塗布モジュール2や撮像モジュール3、加熱モジュール13が設けられている。
【0095】
単位ブロックE1,E2,E5,E6は、ウエハWに供給する薬液が異なることを除き、単位ブロックE3、E4と同様に構成される。単位ブロックE1、E2は、塗布モジュール2の代わりに、ウエハWに反射防止膜形成用の薬液を供給する反射防止膜形成モジュールを備えている。単位ブロックE5,E6は、塗布モジュール2の代わりに、ウエハWに薬液として現像液を供給してレジスト膜を現像する現像モジュールを備える。
図25では、各単位ブロックE1~E6の搬送機構をF1~F6として示している。
【0096】
処理ブロックS2におけるキャリアブロックS1側には、各単位ブロックE1~E6に跨って上下に伸びるタワー72と、タワー72に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構84とが設けられている。タワー72は互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、ウエハWが載置される受け渡しモジュールTRSを備えている。
【0097】
インターフェイスブロックS3は、単位ブロックE1~E6に跨って上下に伸びるタワー73、74、75を備えており、タワー73とタワー74に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構85と、タワー73とタワー75に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な搬送機構86と、タワー73と露光装置S4の間でウエハWの受け渡しを行うための搬送機構87と、が設けられている。
【0098】
タワー73は、受け渡しモジュールTRS、露光処理前の複数枚のウエハWを格納して滞留させるバッファモジュール、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、及びウエハWの温度調整を行う温度調整モジュールSCPLなどが互いに積層されて構成されているが、ここでは、バッファモジュール及び温度調整モジュールの図示は省略する。
図1では、搬送機構83及び搬送機構F3、F4の機能を兼用する搬送機構として、半導体ウエハ搬送機構11を描き、受け渡しモジュール等を省略している。
【0099】
この塗布、現像装置1及び露光装置S4からなるシステムにおいて、製品用のウエハWの搬送経路について簡単に説明する。ウエハWは、搬送容器Cから搬送機構83により、処理ブロックS2におけるタワー72の受け渡しモジュールTRS0に搬送され、ここからウエハWは、単位ブロックE1、E2に振り分けられて搬送される。
【0100】
振り分けられたウエハWは、受け渡しモジュールTRS1(TRS2)→反射防止膜形成モジュール→加熱モジュール→受け渡しモジュールTRS1(TRS2)の順に搬送され、続いて、搬送機構84により単位ブロックE3に対応する受け渡しモジュールTRS3と、単位ブロックE4に対応する受け渡しモジュールTRS4とに振り分けられる。
【0101】
このように受け渡しモジュールTRS3、TRS4に振り分けられたウエハWは、受け渡しモジュールTRS3(TRS4)から単位ブロックE3(E4)内を、塗布モジュール2及び加熱モジュール13にて順次処理された後、タワー73の受け渡しモジュールTRS31(TRS41)に搬送される。その後、ウエハWは、搬送機構85、87により、タワー74を介して露光装置S4へ搬入され、レジスト膜が露光される。
【0102】
露光後のウエハWは、搬送機構86、87によりタワー73、75間を搬送されて、単位ブロックE5、E6に対応するタワー73の受け渡しモジュールTRS51,TRS61に夫々搬送される。然る後、ウエハWは加熱モジュールに搬送されていわばポストエクスポージャーべーク(PEB)が行われる。続いて、ウエハWは、現像モジュールに搬送されて現像液が供給され、レジストパターンが形成される。その後、ウエハWはタワー72の受け渡しモジュールTRS5、TRS6に搬送された後、搬送機構83を介して搬送容器Cに戻される。
【符号の説明】
【0103】
1 塗布、現像装置
11 搬送機構
2 塗布モジュール
26 除去液ノズル
27 べベル洗浄ノズル
28 裏面洗浄ノズル
3 撮像モジュール
4 周縁撮像部
5 裏面撮像部
W 半導体ウエハ