(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000266
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16C 10/00 20190101AFI20221222BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20221222BHJP
B01D 7/02 20060101ALI20221222BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G16C10/00
G06N20/00
B01D7/02
B01J8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100981
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】今井 俊輔
【テーマコード(参考)】
4D076
4G070
【Fターム(参考)】
4D076AA01
4D076AA14
4D076AA21
4D076BD07
4D076CB02
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA17
4G070CB30
(57)【要約】
【課題】従来よりも容易に所定の空間内の状況を推定することができる情報処理方法を提供する。
【解決手段】 情報処理方法は、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間内の特定の領域に関する情報および流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報との入力を受け付け、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換し、所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と1次元情報とを、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における特定の領域における流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルに入力して、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に流動規定体を配置した場合の、所定の空間内の特定の領域における流動を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間について、前記所定の空間内の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力する情報処理装置による情報処理方法であって、
前記所定の空間における特定の領域に関する情報と、前記特定の領域と前記特定の領域に対する前記流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における前記特定の領域における前記流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを記憶する記憶ステップと、
前記所定の空間の状態を表す情報、前記特定の領域に関する情報および前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、前記特定の領域と前記流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する変換ステップと、
前記受付ステップにおいて受け付けた所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と前記1次元情報とを、前記学習モデルに入力して、前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に前記流動規定体を配置した場合の、前記所定の空間内の前記特定の領域における流動を推定する推定ステップと、
前記推定ステップによる推定に基づく前記所定の空間内の流動に関する情報を出力する出力ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記所定の空間における特定の領域と前記特定の領域に対する前記流動規定体との前記相対位置関係に関する情報として、前記特定の領域を基準として、前記特定の領域に対する前記流動規定体との相対位置関係を定めた情報を学習したモデルであり、
前記変換ステップは、前記特定の領域を基準とした、前記特定の領域と前記流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記学習モデルは、前記所定の空間における特定の領域と前記特定の領域に対する前記流動規定体との相対位置関係に関する情報として、前記特定の領域を基準として複数の小空間を定義し、複数の小空間に含まれる前記流動規定体の数を学習したモデルであり、
前記変換ステップは、前記所定の空間における特定の領域と前記特定の領域に対する前記流動規定体との相対位置関係に関する情報として、前記特定の領域を基準として複数の小空間を定義し、複数の小空間各々に含まれる前記流動規定体の数を示す1次元情報に変換する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記特定の領域に関する情報は、所定の空間における特定の領域の絶対的な位置の情報を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記所定の空間は、芯材の表面に、原料に基づく化合物を析出させる析出反応器の容器内の空間であり、該容器には原料を噴出させる噴出孔を有し、
前記特定の領域は、前記芯材表面の少なくとも一部であり、
前記流動規定体は、前記原料を噴出させる噴出孔である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記所定の空間内の流動に関する情報は、前記芯材の周囲において発生する熱流束に関する情報であることを特徴とする請求項5記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記所定の空間内の流動に関する情報は、前記芯材に析出する化合物の厚みに関する情報であることを特徴とする請求項5記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記所定の空間は、芯材の表面に、原料に基づく化合物を析出させる析出反応器の容器内の空間であり、
前記容器は前記原料を噴出させる噴出孔と、前記所定の空間内の気体を排出する排出孔とを備え、
前記特定の領域は、前記芯材表面の少なくとも一部であり、
前記流動規定体は、前記排出孔である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記所定の空間は、粉粒子が充填された容器内の空間であり、
該容器内に気体を供給することにより、粉粒体が流動するものとなり、
前記流動規定体は、
前記所定の空間内において、所定方向への流動を妨害する位置に設けられた妨害板、および前記気体を供給するノズルの供給口の少なくとも一方であり、
前記所定内の空間内に含まれる気泡は、前記妨害板との接触により分裂して径が小さくなるものであり、
前記所定の空間内の流動に関する情報は、前記特定の領域に含まれる少なくとも気泡の径および数のうちのいずれかに関する情報である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記所定の空間は、前記特定の領域として、粉粒子が充填された容器内の空間であり、
その空間内の温度を計測する測定点を有するものであり、
該粉粒体中に温度制御手段が配置され、該容器内に気体を供給することにより、粉粒体が流動するものとなり、
前記流動規定体は、温度調整するための前記温度制御手段、および前記気体を供給するノズルの供給口の少なくとも一方であり、
前記所定の空間内の流動に関する情報は、前記特定の領域における温度である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記所定の空間は、前記特定の領域として、その空間内の少なくとも温度および物質の濃度のうちのいずれかを計測する計測領域を有するものであり、
その空間内に、発熱・冷却手段、又は物質の発生・低減手段が配置されてもよく、
気体が流動するものであり、
前記流動規定体は、前記所定の空間に設けられた通気口或いは開口であるか、
前記流動規定体は、前記発熱・冷却手段が配置された場合には、前記通気口或いは開口、および前記発熱・冷却手段の少なくとも一方であるか、
前記流動規定体は、前記物質の発生・低減手段が配置された場合には、前記通気口或いは開口、および前記物質の発生・低減手段の少なくとも一方であり、
前記所定の空間内の流動に関する情報は、前記特定の領域の少なくとも温度および物質の濃度のうちのいずれかに関する情報である
ことを特徴とする請求項請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
所定の空間について、前記所定の空間内の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力する情報処理装置であって、
前記所定の空間における特定の領域と前記特定の領域に対する前記流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における前記特定の領域における前記流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを記憶する記憶部と、
前記所定の空間の状態を表す情報、前記特定の領域に関する情報および前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付ける受付部と、
前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、前記特定の領域と前記流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する変換部と、
前記受付部が受け付けた所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と前記1次元情報とを、前記学習モデルに入力して、前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に前記流動規定体を配置した場合の、前記所定の空間内の前記特定の領域における流動を推定する推定部と、
前記推定部による推定に基づく前記所定の空間内の流動に関する情報を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項13】
所定の空間について、前記所定の空間内の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力するコンピュータであって、前記所定の空間における特定の領域と前記特定の領域に対する前記流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における前記特定の領域における前記流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータに、
前記所定の空間の状態を表す情報、前記特定の領域に関する情報および前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付ける受付機能と、
前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、前記特定の領域と前記流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する変換機能と、
前記受付機能において受け付けた所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と前記1次元情報とを、前記学習モデルに入力して、前記流動規定体の前記所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に前記流動規定体を配置した場合の、前記所定の空間内の前記特定の領域における流動を推定する推定機能と、
前記推定機能による推定に基づく前記所定の空間内の流動に関する情報を出力する出力機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、及び、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所望の結果を得るために様々なシミュレーションを行ってから、実際の装置を作成することが行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるようなシリコンロッドを作成するにあたっては、そのロッドの配置やベルジャー内にガスを挿入するためのガスノズルの配置についてシミュレーションを行う必要がある。適当な配置にしないと、所望の結果が得られないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5859626号
【特許文献2】特開2003-335512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなシミュレーションを複数回行って、その中から最も望ましい結果が得られた条件を、実際の装置の条件とする手法では、複数回のシミュレーションに時間を要するという問題や、その複数のシミュレーションよりも、よりよい結果が得られる条件を残しているかもしれないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、複数回のシミュレーションを行うよりも短い時間で、かつ、なるべく最適解に近い条件を得ることができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、所定の空間について、所定の空間内の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力する情報処理装置による情報処理方法であって、所定の空間における特定の領域に関する情報と、特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における特定の領域における流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを記憶する記憶ステップと、所定の空間の状態を表す情報、特定の領域に関する情報および流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付ける受付ステップと、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する変換ステップと、受付ステップにおいて受け付けた所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と1次元情報とを、学習モデルに入力して、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に流動規定体を配置した場合の、所定の空間内の特定の領域における流動を推定する推定ステップと、推定ステップによる推定に基づく所定の空間内の流動に関する情報を出力する出力ステップと、を含む。
【0008】
上記情報処理方法において、学習モデルは、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報として、特定の領域を基準として、特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係を定めた情報を学習したモデルであり、変換ステップは、特定の領域を基準とした、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換することとしてもよい。
【0009】
上記情報処理方法において、学習モデルは、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報として、特定の領域を基準として複数の小空間を定義し、複数の小空間に含まれる流動規定体の数を学習したモデルであり、変換ステップは、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報として、特定の領域を基準として複数の小空間を定義し、複数の小空間各々に含まれる流動規定体の数を示す1次元情報に変換することとしてもよい。
【0010】
上記情報処理方法において、特定の領域に関する情報は、所定の空間における特定の領域の絶対的な位置の情報を含むこととしてもよい。
【0011】
上記情報処理方法において、所定の空間は、芯材の表面に、原料に基づく化合物を析出させる析出反応器の容器内の空間であり、該容器には原料を噴出させる噴出孔を有し、特定の領域は、芯材表面の少なくとも一部であり、流動規定体は、原料を噴出させる噴出孔であることとしてもよい。
【0012】
上記情報処理方法において、所定の空間内の流動に関する情報は、芯材の周囲において発生する熱流束に関する情報であることとしてもよい。
【0013】
上記情報処理方法において、所定の空間内の流動に関する情報は、芯材に析出する化合物の厚みに関する情報であることとしてもよい。
【0014】
上記情報処理方法において、所定の空間は、芯材の表面に、原料に基づく化合物を析出させる析出反応器の容器内の空間であり、容器は原料を噴出させる噴出孔と、所定の空間内の気体を排出する排出孔とを備え、特定の領域は、芯材表面の少なくとも一部であり、流動規定体は、排出孔であることとしてもよい。
【0015】
上記情報処理方法において、所定の空間は、粉粒子が充填された容器内の空間であり、該容器内に気体を供給することにより、粉粒体が流動するものとなり、流動規定体は、所定の空間内において、所定方向への流動を妨害する位置に設けられた妨害板、および気体を供給するノズルの供給口の少なくとも一方であり、所定内の空間内に含まれる気泡は、妨害板との接触により分裂して径が小さくなるものであり、所定の空間内の流動に関する情報は、特定の領域に含まれる少なくとも気泡の径および数のうちのいずれかに関する情報であることとしてもよい。
【0016】
上記情報処理方法において、所定の空間は、特定の領域として、粉粒子が充填された容器内の空間であり、その空間内の温度を計測する測定点を有するものであり、該粉粒体中に温度制御手段が配置され、該容器内に気体を供給することにより、粉粒体が流動するものとなり、流動規定体は、温度調整するための温度制御手段、および気体を供給するノズルの供給口の少なくとも一方であり、所定の空間内の流動に関する情報は、特定の領域における温度であることとしてもよい。
【0017】
上記情報処理方法において、所定の空間は、特定の領域として、その空間内の少なくとも温度および物質の濃度のうちのいずれかを計測する計測領域を有するものであり、その空間内に、発熱・冷却手段、又は物質の発生・低減手段が配置されてもよく、気体が流動するものであり、流動規定体は、所定の空間に設けられた通気口或いは開口であるか、流動規定体は、発熱・冷却手段が配置された場合には、通気口或いは開口、および発熱・冷却手段の少なくとも一方であるか、流動規定体は、物質の発生・低減手段が配置された場合には、通気口或いは開口、および物質の発生・低減手段の少なくとも一方であり、所定の空間内の流動に関する情報は、特定の領域の少なくとも温度および物質の濃度のうちのいずれかに関する情報であることとしてもよい。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、所定の空間について、所定の空間内の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力する情報処理装置であって、所定の空間における特定の領域の情報と、特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における特定の領域における流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを記憶する記憶部と、所定の空間の状態を表す情報、特定の領域に関する情報と、および流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付ける受付部と、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する変換部と、受付部が受け付けた所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と1次元情報とを、学習モデルに入力して、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に流動規定体を配置した場合の、所定の空間内の特定の領域における流動を推定する推定部と、推定部による推定に基づく所定の空間内の流動に関する情報を出力する出力部と、を備える。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信状況情報出力プログラムは、所定の空間について、所定の空間内の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力するコンピュータであって、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における特定の領域における流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータに、所定の空間の状態を表す情報、特定の領域に関する情報および流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付ける受付機能と、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報に基づいて、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換する変換機能と、受付機能において受け付けた所定の空間の状態を表す情報および特定の領域に関する情報と1次元情報とを、学習モデルに入力して、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に流動規定体を配置した場合の、所定の空間内の特定の領域における流動を推定する推定機能と、推定機能による推定に基づく所定の空間内の流動に関する情報を出力する出力機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、所定の空間の状態を表す情報、特定の領域に関する情報、および流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報の入力を受け付け、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する1次元情報に変換し、所定の空間の状態を表す情報と特定の領域に関する情報と1次元情報とを、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における特定の領域における流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルに入力して、流動規定体の所定の空間内における配置位置に関する情報で示される配置位置に流動規定体を配置した場合の、所定の空間内の特定の領域における流動を推定するし、所定の空間内の流動に関する情報を出力することができる。その結果、流動規定体の配置等を考案したユーザは、自身の考案した流動規定体の配置により、特定の領域と流動規定体との相対位置関係に基づいて、所定の空間の流動に関して所望の結果が得られるか否かをシミュレーションを行うことなく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2A】(a)、(b)は、所定の空間において測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係を2次元で説明する図である。
【
図2B】所定の空間において測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係を2次元で説明する他の例を示す図である。
【
図3】(a)、(b)は、所定の空間において測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係を3次元で説明する図である。
【
図4】情報処理装置による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図5】情報処理装置による流動の推定に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図6】実施例1に係る所定の空間を示す図であって、(a)は、ベルジャー装置の模式斜視図であり、(b)は、ベルジャー装置の模式側面図である。
【
図7A】(a)は、実施例1に係る所定の空間としてのベルジャー装置におけるシリコンロッドとガスノズルとの配置例を示す平面図である。(b)は、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係の一例を説明する図である。
【
図7B】(a)、(b)は、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係の他の例を説明する図である。
【
図8A】(a)は、実施例1に係る所定の空間としてのベルジャー装置におけるシリコンロッドとガスノズルとの配置例を示す平面図である。(b)は、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係の一例を説明する図である。
【
図8B】(a)、(b)は、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係の他の例を説明する図である。
【
図9】実施例1に係る情報処理装置による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図10】実施例1に係る情報処理装置による流動の推定に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図11】(a)、(b)は、実施例2に係る流動層反応装置の例であって、妨害板による気泡の細分化の例を示す図である。
【
図12】(a)、(b)は、実施例2に係る所定の空間において測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係の例を説明する図である。
【
図13】実施例2に係る情報処理装置による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図14】実施例2に係る情報処理装置による流動の推定に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図15】実施例3に係る所定の空間としての室内と、流動規定体としての出入口の例を模式的に示す図である。
【
図16】実施例3に係る所定の空間における測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係の例を説明する図である。
【
図17】実施例3に係る情報処理装置による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図18】実施例3に係る情報処理装置による流動の推定に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図19】実施例4に係る冷却装置を所定の空間としたときの、測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係の例を示す図である。
【
図20】実施例4に係る情報処理装置による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図21】実施例4に係る情報処理装置による流動の推定に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図22】実施例5に係る反応装置の例を模式的に示す図である。
【
図23】(a)実施例5に係る所定の空間における測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係の例を示す斜視図である。(b)実施例5に係る所定の空間における測定点と、測定点に対する流動規定体の相対位置関係の例を示す図であって、
図23(a)の正面図である。
【
図24】実施例5に係る情報処理装置による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【
図25】実施例5に係る情報処理装置による流動の推定に係る動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
以下、本発明に係る情報処理装置について図面を参照しながら説明する。まず、情報処理装置の大まかな説明を行い、その後に、情報処理装置についての具体的な使用例について説明する。
【0023】
<構成>
本実施形態に係る情報処理装置100は、入力された条件によって得られる結果を推定する処理を行うコンピュータシステムである。情報処理装置100は、所定の空間において、所定の空間内における気体、液体、熱等の流動を規定する流動規定体に関する情報を入出力する装置である。また、情報処理装置100は、上述の推定処理を実行するために必要となる学習モデルを生成するものであってもよい。
【0024】
図1は、情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。ここでは、情報処理装置100は、通信部120と、入力部130と、制御部140と、記憶部150と、出力部160と、を備える。通信部120と、入力部130と、制御部140と、記憶部150と、出力部160とは、接続線110により互いに通信可能に接続されていてよい。
【0025】
通信部120は、外部の装置と、ネットワークを介して通信する通信インターフェースである。通信部120は、外部の装置から受信したデータを制御部140に伝達する。また、通信部120は、制御部140からの指示に従って、指定されたデータを指定された外部の装置等に送信する。通信部120は、外部の装置から、例えば、所定の空間に関する情報や、所定の空間において流動の測定を行いたい箇所である測定点の位置情報や、流動規定体の位置を示す情報などを、受信して、制御部140に送信することとしてよい。
【0026】
入力部130は、情報処理装置100のユーザからの入力を受け付ける入力インターフェースである。入力部130は、一例として、キーボードやマウス、タッチパネル等により実現されてよいが、これらに限定するものではない。入力部130は、例えば、音声による入力を受け付けるものであってもよい。入力部130は、ユーザからの入力を受け付けた場合に、受け付けた入力内容を制御部140に伝達する。入力部130は、例えば、測定点の位置情報の入力を受け付けて制御部140に伝達してもよい。また、入力部130は、例えば、所定の空間内において流動を規定する流動規定体の配置に関する情報の入力を受け付けて制御部140に伝達してもよい。また、入力部130は、所定の空間に関する情報の入力を受け付けて制御部140に伝達してもよい。
【0027】
制御部140は、情報処理装置100の各部を制御するための機能を有するプロセッサである。制御部140は、記憶部150に記憶されている各種プログラムやデータを利用して、情報処理装置100が実行すべき処理、即ち、所定の空間内における気体、液体、個体、熱等の流動を推定する処理を実行する。
【0028】
制御部140は、この処理を実現するために、受付部141と変換部142と推定部143とを備える。また、制御部140は、学習部144を備えてもよい。
【0029】
受付部141は、通信部120または入力部130から伝達された情報を、学習モデル151に対して入力する情報の元となる情報として受け付ける。即ち、受付部141は、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間の特定の領域に関する情報および所定の空間に含まれる流動規定体の所定の空間内における配置に関する配置情報を受け付ける。また、受付部141は、流動を測定する箇所を示す測定点(特定の領域)に関する位置を示す位置情報を含む情報を受け付ける。
【0030】
ここで所定の空間について説明する。所定の空間は、ユーザがその空間内におけるもの(例えば、液体、気体、固体、熱等)の流動について認識したい空間のことである。所定の空間の形状は様々であり、平面、直方体、円柱、球、半球、の他、より複雑な形状をしていてもよい。また、所定の空間の状態を表す情報とは、所定の空間の形状、容積、流動を推定する際の温度、所定の空間に含まれる気体や液体の組成などの情報であってよく、これらのうちの一部または全部であってよく、さらには、これら以外の情報が含まれてもよい。所定の空間の状態を表す情報は、所定の空間における流動を推定するための条件を示す情報であるともいうことができる。また、所定の空間における特定の領域に関する情報とは、それぞれの特定の領域の特徴を表す情報であってよい。一例として、それぞれの特定の領域を比較した場合、特定の領域に関する情報は、ある特定の領域と他の特定の領域との一致点、類似点、および相違点を表すことのできる情報であってもよい。例えば、特定の領域の位置の情報、特定の領域の向き(方向)の情報、物質が存在する場合には、特定の領域にあるその物質の材質等の情報が、他の領域のそれらの情報と一致している点、類似している点、および相違している点を表すことのできる情報であってもよい。また、所定の空間の特定の領域に関する情報は、当該所定の空間において、特定の領域を設定し、その特定した領域の情報、例えば、所定の空間における流動規定体の絶対的な位置(普遍的な位置)の情報を含むこととしてもよい。また、ここでいう絶対的な位置とは、所定の空間を定義可能な座標系における位置座標の情報であってよい。
【0031】
受付部141は、受け付けた測定点の位置情報と、所定の空間内における流動規定体の配置に関する配置情報と、を変換部142に伝達する。
【0032】
変換部142は、伝達された測定点の位置情報と、流動規定体の配置に関する配置情報とに基づいて、測定点に対する流動規定体の相対位置関係を示す1次元情報に変換する。即ち、変換部142は、特定の領域たる測定点と、流動規定体と、の相対位置関係を示す1次元情報を生成し、推定部143に伝達する。
【0033】
ここで、所定の空間における特定の領域としての測定点と、当該測定点に対する流動規定体の相対位置関係と、その相対位置関係が示す1次元情報について
図2A、
図2B、
図3を参照しながら説明する。測定点と、流動規定体との相対位置関係とは、本実施形態においては、測定点から見た、流動規定体の方向と、流動規定体までの距離に関する情報であり、より詳細には、測定点から見て、おおよその各方向に、いくつの流動規定体が、どういう範囲内に存在するか、その分布を示す情報である。
【0034】
図2A(a)、(b)は、所定の空間200における測定点と流動規定体との配置例を示す図であって、測定点と、流動規定体との相対位置関係の1次元情報を説明するための図である。なお、
図2A(a)、(b)では、所定の空間200として長方形の場合を例示しているが、所定の空間200の形状は、長方形に限定するものではなく、どのような形状であってもよい。
【0035】
図2A(a)は、所定の空間200を平面で示し、所定の空間200内に、18個の流動規定体221x~238xが配されている例を示している。この所定の空間内において、ユーザが流動の状態を知りたい箇所となる測定点210xを、
図2A(a)に示す位置に指定したとする。ここで、特定の領域としての測定点210xに対する流動規定体221x~238xの相対位置関係とは、測定点210xから見て、各流動規定体221x~238xがどの方向に位置するかを示す情報であってよい。例えば、測定点210xから見て、流動規定体221xは、図面上、1時の方向にあると規定することができる。しかしながら、各流動規定体221x~238xそれぞれについて、測定点210xとの相対位置関係を定義して、学習モデルに入力するのは現実的ではない。そこで、本実施形態においては、測定点210xから見た、流動規定体221x~238xに対する相対位置関係を大まかな方向と、その定めた方向に対していくつの流動規定体が存在するかによって、測定点210xと流動規定体221x~238xとの相対位置関係を示す1次元情報として、定義することができる。
【0036】
例えば、
図2A(a)に示すように、各測定点を基準に、複数の方向を規定するために、図示するように破線で周囲を区切ったとする。この破線で所定の空間200を区切った領域を、本実施例においては、以降、小空間と定義する。そして、各測定点から見て時計回りに、破線で区切られた小空間X1~X8を定義する。なお、これらの小空間は各測定点から見た方向を規定するために仮想的に定めたものである。そして、例えば、測定点210xから見て流動規定体221xは、X1の方向にある(小空間X1に存在する)と規定することができる。同様に、測定点210xから見て、流動規定体222x、229x、237xの3つの流動規定体がX2の方向にある(小空間X2に存在する)と規定することができる。また、測定点210xから見て、X3の方向(小空間X3)には、流動規定体231x、232x、234x、235x、236x、238xの6つの流動規定体が存在すると規定することができる。
【0037】
これらのことから、測定点210xと、流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報は、測定点210xから見た各方向(小空間)X1~X8に存在する流動規定体の数として定義することができ、
図2A(a)の場合には、{X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8}={1、3、6、3、2、0、1、2}と規定することができる。
【0038】
また、
図2A(a)の測定点211xの場合、例えば、方向(小空間)X1には、流動規定体229x、237x、238xが存在し、方向(小空間)X2には、流動規定体231xが存在し、方向(小空間)X3には、流動規定体232xが存在することが理解できる。その他の方向についても、その方向に含まれる流動規定体の数を計数することで、測定点211xと、流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報は、{X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8}={3、1、1、0、2、2、6、3}と規定することができる。
【0039】
図2A(a)では、方向のみを相対位置関係として定める例を示している。しかし、
図2A(b)に示すように、更に、所定の範囲内、即ち、測定点からの距離も含めて相対位置関係として定めてもよい。
図2A(b)に示す流動規定体の分布、及び、測定点の位置自体は、
図2A(a)に示したものと同様である。
【0040】
図2A(b)に示す例では、各測定点に対して、複数の方向の定義は、
図2A(a)と同様である。一方で、各測定点に対して、各測定点から所定範囲内までを各領域として定めた例を示している。即ち、各測定点からの方向と距離で相対位置関係を定義する例を示しており、
図2A(b)の各測定点については、相対位置関係として、扇状の小空間X21~X28を、相対位置関係を定めるための領域として定義した例を示している。この場合、測定点210xについての、流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報は、{X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28}={1、1、0、2、1、0、1、2}と定義することができる。また、測定点211xについての流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報は、{X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、X28}={2、1、1、0、2、1、0、1}と定義することができる。
【0041】
一方、
図2Bに示す例では、各測定点に対して、方向については、
図2A(a)、(b)に示す例と同様に8つの方向を定義しているものの、各測定点からの距離については、更に2段階に定義した場合を示している。即ち、各測定点から見た流動規定体との相対位置関係を定義するために、小空間X31~X38、X41~X48の計16の小空間を定義したとする。この場合、測定点210xから見た流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報は、{X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X41、X42、X43、X44、X45、X46、X47、X48}={0、0、1、0、0、0、1、0、1、0、1、1、0、1、1、1}と定義することができる。また、測定点211xから見た流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報は、{X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X41、X42、X43、X44、X45、X46、X47、X48}={0、0、0、1、0、0、0、1、1、1、0、1、1、0、1、1}と定義することができる。
【0042】
なお、
図2A(a)、(b)、
図2Bに示したように、測定点から見た方向の定義は、図示のように8方向である必要はなく、方向として定義する小空間の間隔も均等でなくてもよい。また、測定点からの距離方向についても、
図2Bに示したように2段階だけでなく、3段階、4段階、…にわけてもよく、また、その距離についても、均等に定義する必要はなく、任意の距離で定義してよい。また、複数の小空間が重なり合うように定義してもよい。
【0043】
図3(a)、(b)は、所定の空間200を3次元で考えた場合の例を示している。なお、
図3(a)、(b)では、所定の空間200として、直方体の空間を示しているが、所定の空間200は、直方体の空間でなくともよい。
【0044】
図3(a)は、所定の空間200内に、測定点210yの周囲に、10個の流動規定体221y~230yが配されている例を示している。そして、測定点を基準に、図示の点線で示される面で区切った場合に、Y1~Y8の方向(小空間)を規定したとする。即ち、測定点から、Y1の方向、Y2の方向、…、Y8の方向というように8つの方向(小空間)を規定し、それぞれの方向(小空間)に含まれる流動規定体の個数を計数する。
図3(a)の例では、測定点210yに対して、方向(小空間)Y1に流動規定体221yが、方向(小空間)Y2に流動規定体222yと223yとが、方向(小空間)Y3に流動規定体224yと225yとが、方向(小空間)Y4に流動規定体226yが、方向(小空間)Y5に流動規定体228yと229yと230yとが、方向(小空間)Y6に流動規定体226yが、方向(小空間)Y7に流動規定体227yが存在する。また、方向(小空間)Y8には流動規定体は存在しない。したがって、
図3(a)の場合の測定点210yと、流動規定体との相対位置関係は、{Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8}={1、2、2、1、3、1、1、0}という1次元情報で表すことができる。
【0045】
図3(b)は、
図3(a)と測定点210yと、流動規定体221y~230yの配置を同じにして、方向(小空間)の規定の仕方を変更した例を示している。
図3(b)の例では、測定点を基準に、6つの方向(小空間)Y11~Y16を規定した例を示している。即ち、測定点の天地方向のY11、Y12、そして、周方向のY13~Y16の6つの方向(小空間)である。そして、
図3(b)の例では、方向Y11に流動規定体221、222y、229y、230yが、方向Y12に流動規定体226y、227yが、方向Y13に流動規定体228yが、方向Y14に流動規定体224yが、方向Y15に流動規定体224y、225yが存在し、方向Y16には流動規定体が存在しない。したがって、
図3(b)の場合、測定点210yと、流動規定体との相対位置関係は、{Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16}={4、2、1、1、2、0}という1次元情報で表すことができる。
【0046】
なお、
図3(a)、(b)の例では、測定点からの距離に応じて分けてはいないが、
図2Bと同様に、測定点からの距離に応じて相対位置関係を判別するための領域を区切ってもよい。
【0047】
なお、
図2A(a)、(b)、
図2B、
図3(a)、(b)に示した、測定点と流動規定体との相対位置関係は、あくまで一例である。
図2A、
図2B、
図3に示したように、所定の空間200内における測定点に対して、大まかな方向と、距離により、定義した方向と距離により規定される小空間に含まれる流動規定体の数を計数することで、各測定点と流動規定体との間の相対位置関係を厳密に定めることなく、処理が簡易な情報で定義することができる。したがって、換言すれば、変換部142は、所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報として、特定の領域を基準として複数の小空間を定義し、複数の小空間各々に含まれる流動規定体の数を示す1次元情報に変換する
【0048】
図1に戻って、推定部143は、受付部141が受け付けた情報(所定の空間の状態を表す情報および測定点に関する情報)や変換部142による変換により生成された測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報を、記憶部150に記憶されている学習モデル151に入力し、所定の空間200内の所望の測定点における流動規定体が設置される場所に応じて形成される所定の空間200内の測定点における流動(液体、気体、固体、熱などの流動、物質の反応などの変化)を推定する。
【0049】
学習部144は、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報と、その場合の所定の空間内における流動に関する情報と、を対応付けた情報を教師データとして、通信部120又は入力部130から受け付ける。この場合、学習部144は、受け付けた教師データを用いて、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報と、その場合の所定の空間内における流動に関する情報と、の関係を学習する。
【0050】
また、あるいは、学習部144は、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる測定点と流動規定体の配置位置を示す情報と、その場合の所定の空間内における流動に関する情報と、を通信部120又は入力部130から受け付ける。この場合、学習部144は、一端、所定の空間に含まれる測定点と流動規定体の配置位置を示す情報を、変換部142に、測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報に変換させた後に、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報と、その場合の所定の空間内における流動に関する情報と、の関係を学習する。
【0051】
学習部144は、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報と、その場合の所定の空間内における流動に関する情報と、の関係を学習し、学習モデル151を生成する。学習部144は、生成した学習モデル151を記憶部150に記憶させることとしてよい。
【0052】
また、学習部144は、既に記憶している学習モデル151と、学習モデル151に関連する新たな情報との入力を受け付けて、再学習を実行するものであってもよい。学習モデル151に関連する新たな情報とは、基本的には、学習済みの所定の空間の状態を表す情報、測定点に関する情報および測定点と流動規定体との相対位置関係と、その場合の所定の空間内における流動に関する情報と、を対応付けた新たな教師データのことである。
【0053】
記憶部150は、情報処理装置100が必要とする各種プログラム、データを記憶する記憶媒体である。記憶部150は、一例として、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現されてもよい。また、記憶部150は、制御部140が処理を実行する際の作業領域としてのROM、RAMとして利用されてよい。
【0054】
記憶部150は、学習モデル151を記憶している。この学習モデル151は、学習部144により生成された学習モデルであってもよいし、外部の装置により生成されたものであってもよい。学習モデル151は、所定の空間の状態を表す情報、測定点に関する情報および測定点と流動規定体との相対位置関係を示す情報(1次元情報)と、その場合における前記所定の空間内の流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルである。この学習モデルは、所定の空間における特定の領域(測定点)と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報として、特定の領域を基準として複数の小空間を定義し、複数の小空間に含まれる流動規定体の数を学習したモデルであるともいえる。
【0055】
出力部160は、制御部140により推定された流動に関する情報を出力する。出力部160による情報の出力は、通信部120を介して、外部の装置に送信するものであってもよいし、図示していないが、情報処理装置100に設置もしくは接続されたモニタに対して、画像や文字により出力するものであってもよいし、スピーカから音声により出力するものであってもよい。
【0056】
<動作例>
図4は、学習モデル151の生成処理の例を示すフローチャートである。ここでは、学習部144が生成する例を示すが、前述の通り学習モデル151は、他の装置が生成するものであってもよい。
【0057】
図4に示すように、学習部144は、通信部120又は入力部130から、所定の空間の状態を示す情報および所定の空間に含まれる流動規定体に関する情報の入力を受け付ける(ステップS401)。ここでいう流動規定体に関する情報は、所定の空間内における流動規定体の配置位置を示す情報であってよい。通信部120又は入力部130は、受け付けた情報を制御部140に伝達する。
【0058】
また、通信部120又は入力部130は、所定の空間内における特定の領域、即ち、測定点の位置を示す位置情報を含む、特定の領域(測定点)に関する情報の入力を受け付けて(ステップS402)、制御部140に伝達する。
【0059】
また、通信部120又は入力部130は、ステップS401において受け付けた所定の空間の状態を示す情報および所定の空間に含まれる流動規定体に関する情報により示される流動規定体の配置をした場合の、ステップS402において受け付けた特定の領域としての測定点における流動に関する情報の入力を受け付け(ステップS403)、制御部140に伝達する。
【0060】
変換部142は、ステップS401において受け付けた流動規定体に関する情報を、ステップS402において受け付けた測定点の位置情報に基づいて、測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS404)。なお、ステップS401において受けつける流動規定体に関する情報が、特定の領域としての測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報である場合には、ステップS402、S404の処理を省略することとしてもよい。
【0061】
学習部144は、ステップS401において受け付けた所定の空間の状態を表す情報、ステップS403において受け付けた測定点における流動に関する情報、ステップS404において変換された測定点と流動規定体との相対位置関係を示す1次元情報とに基づいて、(i)所定の空間の状態を示す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および特定の領域に対応する測定点と流動規定体との相対位置関係を示す情報(1次元情報)と、(ii)その場合における特定の領域(測定点)における流動に関する情報と、の関係を学習する(ステップS405)。
【0062】
学習部144は、ステップS401からステップS404にかけて生成される教師データ複数の、学習を行う。学習部144が学習に用いるアルゴリズムは既存の深層学習のためのアルゴリズムであってよい。
【0063】
学習部144は、ステップS404における学習に基づき学習モデル151を生成する。そして、学習部144は、学習モデル151を記憶部150に記憶させて(ステップS406)、処理を終了する。この処理により、推定処理に用いられる学習モデル151が生成され、情報処理装置100の記憶部150に記憶される。
【0064】
図5は、情報処理装置100による流動の推定処理に係る動作例を示すフローチャートである。
【0065】
制御部140の受付部141は、通信部120又は入力部130から、所定の空間の状態を表す情報および所定の空間に含まれる流動規定体に関する情報の入力を受け付ける(ステップS501)。ここで受け付ける情報は、その入力された情報に基づく所定の空間の状態および流動規定体の配置で処理を行った場合の流動がどうなるかをユーザが知りたいと考えている情報である。
【0066】
また、受付部141は、通信部120又は入力部130から所定の空間内における特定の領域としての測定点に関する位置を示す位置情報を含む情報を受け付ける(ステップS502)。
【0067】
制御部140の変換部142は、ステップS401において受け付けた流動規定体に関する情報を、ステップS502において受け付けた測定点に対する流動規定体の相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップ503)。
【0068】
推定部143は、受付部141が受け付けた、所定の空間の状態を表す情報およびステップS503において生成された1次元情報を、記憶部150に記憶されている学習モデル151に入力する(ステップS504)。前述の通り、学習モデル151は、所定の空間の状態を示す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)と流動規定体との相対位置関係を示す情報と、所定の空間内の流動に関する情報と、の関係を学習したモデルである。
【0069】
その結果、推定部143は、ステップS501で受け付けた流動規定体の配置の場合の、所定の空間内における流動を示す情報を取得する。そして、推定部143は、取得した情報を出力部160に出力させ(ステップS505)、処理を終了する。
【0070】
これにより、ユーザは、所定の空間の状態を表す情報および自身が考案した流動規定体の配置に関する情報及び特定の領域(測定点)に関する位置情報を含む情報を入力するだけで、その場合の所定の空間内における特定の領域(測定点)における流動に関する情報を得ることができる。したがって、得られた流動に関する情報から、入力した流動規定体の配置に関する情報が、ユーザにとって望ましいものであるかを特定することができる。また、得られた流動に関する情報から、より理想的な配置を逆算することも可能となる。
【0071】
また、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間における特定の領域と特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における所定の空間内の流動に関する情報との関係を学習した学習モデルを利用しているため、情報処理する対象によっては、流動規定体の配置だけでなく、所定の空間の状態も併せて最適化できる。つまり、学習モデルとして、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する情報と、所定の空間内の流動に関する情報と、の関係を学習した学習モデルを利用していることで、推定部143による推定処理の結果、得られた流動に関する情報が望ましいものになっているか否かによって、入力した所定の空間の状態を表す状態が適していたかどうかの判断の基準とすることができる。また、得られた流動に関する情報から、より理想的な所定の空間の状態を逆算することも可能となる。
【0072】
また、上記実施形態に示したように、学習モデルに対して入力する情報として、また、学習モデルを生成する際の教師データの一部として、流動規定体の配置に関する情報として、所定の空間に含まれる複数の小空間を定義した場合の各小空間に含まれる流動規定体に関する1次元情報を用いることで、情報処理装置100による推定機能の向上を図ることができる。1次元情報の詳細については、以降の実施例1~実施例5において更なる詳細を説明しているが、これは、所定の空間に含まれる流動規定体の配置に関する情報を変換した情報であるといえる。
【0073】
特に本実施形態においては、特定の領域(測定点)と、流動規定体との相対位置関係を利用することにより、見た目上は(同じ方向から見た場合には)、異なる配置になっている測定点と流動規定体との配置関係であっても、相似の関係、あるいは、1次元情報としては同じ情報になる場合もあることから、その場合には、測定点においては、同様の流動が発生すると推定することもできる。
【0074】
上述したように、各流動規定体の座標を単に示した情報では、各流動規定体と所定の空間内の特定の領域との相対的な位置関係など、複数の流動規定体の分布を直接的に表現するとデータ量が膨大になり、例え、表現できたとしても、学習モデルに対する入力データとしては煩雑になり、適切な推定を行うことができるように学習モデルのための学習を行える保証もなく、現実的ではない。
【0075】
これに対して、上記1次元情報は、複数の流動規定体の分布を、測定点から見た相対位置関係としての1次元の情報で表現することが可能であり、所定の空間における流動規定体の配置の特徴を効果的に表現することができる。そのため、本実施形態に示した情報処理装置100によれば、学習モデルが、所定の空間の状態を表す情報、所定の空間に含まれる特定の領域(測定点)に関する情報および所定の空間に含まれる特定の領域と流動規定体との相対位置関係に関する情報と、その場合における所定の空間内の流動に関する情報と、の関係を学習し易くし、学習によって獲得する推定機能を向上させることができる。要するに、本実施形態に係る情報処理装置100においては、2次元(あるいは3次元でもよい)の流動規定体の単純な位置座標という2次元(あるいは3次元)の情報を学習の対象とするよりも、特定の領域からみた、流動規定体の位置を各方向、各距離範囲に含まれる流動規定体の数という1次元で表現可能な1次元情報を学習の対象とすることで、情報処理装置にとって学習の内容を簡素化(単純化)することでより的確な学習を行うことができるようになり、その結果、推定結果の向上を図ることができた。
【0076】
以下、上記のような情報処理装置100による推定について具体例を用いて説明する。
【0077】
<実施例1>
実施例1においては、析出反応を行わせる析出反応器を例に説明する。即ち、ベルジャー装置において、シリコンロッドにシリコンを析出させる析出反応器を例にして説明する。なお、ここでは、シリコンロッドにシリコンを析出させる例を示しているが、析出反応器としては、芯体に、注入されたガスに基づく物質が析出するものであれば、その他の析出反応であってもよい。
【0078】
ベルジャー装置においては、ガスを流入させてシリコンロッドにシリコンを析出させるが、その場合に、全てのシリコンロッドの表面に、なるべく均一にシリコンが析出することが好ましい。
【0079】
図6(a)は、析出反応器としてのベルジャー装置の反応容器200aを模式的に示す斜視図である。また、
図6(b)は、ベルジャー装置の反応容器200aの模式的な側面断面図である。
図6に示されるように、ベルジャー装置の反応容器200a内には、反応容器内にて析出される物質に関連するガスを注入するためのガスノズル220aが設けられる。
図6の例では、ガスノズル220aを5つ配している例を示しているが、ガスノズル220aの数は適宜である。また、反応容器内には、物質が析出される芯体であるシリコンロッドが立設される。
図6の例では、シリコンロッドを4本、反応容器200a内に設けた例を示しているが、シリコンロッドの本数も適宜である。
【0080】
図7A、
図7Bは、実施例1における所定の空間に含まれる小空間の例、および、そこに配される流動規定体の配置例を示す図である。これらの図を用いて、それぞれの場合に、情報処理装置100の学習モデル151に対して入力される情報の入力フォーマットについて説明する。
図7A(a)には、一例として、所定の空間200a内に、4本のシリコンロッド210a~213aを配し、8個のガスノズル220a~227aを配した例を示している。
【0081】
図7A(b)に示す例では、各シリコンロッドからの距離を規定するために、図示の点線で区切り、小空間A1~A3を規定する。一例として、シリコンロッド210aから見て小空間A1には、2つのガスノズル225aおよびガスノズル227aが存在する。なお、特定の領域は、シリコンロッド全体であってもよいし、その表面の一部であってもよい。また、シリコンロッド210aから見て小空間A2には、ガスノズルが存在しない。同様に、シリコンロッド210aから見て小空間A3には、3つのガスノズル223a、224a、226aが存在する。
【0082】
なお、図示の例では、ガスノズル223aや224a、226aには、小空間を定めるための境界となる点線が重複しており、シリコンロッド210aから見ると、二つの小空間に跨っている状態になっている。例えば、ガスノズル223a、224aは、一部が小空間A2に、他の一部が小空間A3に含まれる状態になっている。また、ガスノズル226aは、一部が小空間A3に含まれ、他の一部が小空間A3外にある。このような場合には、流動規定体たるガスノズル223a、224a、226a各々が占有する面積の多い方の小空間に存在することとしてもよいし、ガスノズル223a、224a、226a各々が占有する面積の割合で係数することとしてよく、例えば、1つのガスノズル全体がその小空間に存在するとした場合の面積を1としたときの、小空間に含まれるガスノズルが占有する面積を、その小空間に存在する流動規定体の個数を示す数値として用いることとしてもよい。したがって、図示の場合、いずれか一方にのみ存在する態様で規定する場合には、小空間A1には、2つのガスノズルが存在し、小空間A2にはガスノズルは存在せず、小空間A3には、3つのガスノズルが存在するといえる。また、ガスノズルの面積で各小空間に含まれるガスノズルを規定する場合には、例えば、小空間A1には、2.0のガスノズルが存在すると規定することができ、小空間A2には、0.5(ガスノズル223a、224aの一部)のガスノズルが存在すると規定することができ、小空間A3には、1.9のガスノズルが存在すると規定することとしてもよい。
【0083】
したがって、
図7A(b)の場合には、シリコンロッド210aから見た流動規定体たるガスノズルとの相対位置関係を示す一次元情報は、{A1、A2、A3}={2、0、3}又は、{A1、A2、A3}={2.0、0.5、1.9}と規定することができる。いずれを一次元情報とするかは、学習モデル151を作成する際に用いた相対位置関係において、いずれの態様を用いたかによる。
【0084】
なお、
図7A(b)においては、ガスノズルからの方向については相対位置関係を定めない場合の例を示している。
【0085】
図7Bは、
図7Aとは異なる他の例の小空間を定義する方法を説明するための図である。
図7B(a)は、シリコンロッド210aから見た、ガスノズルとの相対位置関係を説明するための他の一例を示す図である。
【0086】
図7B(a)は、図示の点線で、各シリコンロッドからの方向と距離を規定(小空間を規定)して、相対位置関係を決定する例を示している。
図7B(a)においては、各シリコンロッドを基準に、4つの方向、3つの距離で相対位置関係を規定する場合の例を示しており、そのうちシリコンロッド210aに対する、小空間A11~A14、A21~A24、A31~A34の12の小空間を示している。
図8B(a)の例では、小空間A11と小空間A21および小空間A31とでは、方向は同じであるものの、シリコンロッド210aからの距離が異なる。小空間A12と小空間A22および小空間A32、…、小空間A14と小空間A24および小空間A34、も同様の関係になる。なお、
図7B(a)の例では、小空間を規定する方向は反応容器200aの中心点230aから見たシリコンロッド210aの向きを基準に定めており、小空間A11と小空間A21および小空間A31は反応容器200aの外側に位置し、小空間A13と小空間A23および小空間A33は反応容器200aの内側に位置する。
【0087】
図7B(a)に示したように、各シリコンロッドからの方向と距離に基づく相対位置関係を特定するための小空間を定義した場合には、
図7B(a)の例の場合、シリコンロッド210aから見たガスノズルの相対位置関係を示す1次元情報は、{A11、A12、A13、A14、A21、A22、A23、A24、A31、A32、A33、A34}={0、1、1、0、0、0、0、0、0、0、1、2}又は、{A11、A12、A13、A14、A21、A22、A23、A24、A31、A32、A33、A34}={0、1、1、0、0、0、0.25、0.25、0、0、0.75、1.15}と規定することができる。なお、
図7A、および
図7Bにおいては、反応容器の中心点230aから各シリコンロッドまでの距離が同じである場合の例を示しているが、中心点230aから各シリコンロッドまでの距離はそれぞれ異なっていてもよい。中心点230aから各シリコンロッドまでの距離がそれぞれ異なる場合には、それぞれの距離を示す変数を別に準備し、特定の領域と、流動規定体との、相対位置関係を示す1次元情報を求めてやればよい。このようにすることにより、特定の領域における情報、具体的には、特定の領域の絶対的な位置(普遍的な位置)の情報を提供できる。
【0088】
図7B(b)は、シリコンロッド211aおよび212a、213aから見たガスノズルの相対位置関係を説明するための一例を示す図である。
図7B(b)に示すように、シリコンロッド211aから見たガスノズルの相対位置関係を示す1次元情報は、{A1、A2、A3}={0、1、2}と規定することができる。同様に、シリコンロッド212aに対しては、{A1、A2、A3}={0、0、3}、シリコンロッド213aに対しては、{A1、A2、A3}={0、1、2}と規定することができる。
【0089】
図7A(b)および
図7B(b)の例では、4本のシリコンロッドそれぞれに対してガスノズルとの相対位置関係が得られる。即ち、4本のシリコンロッドそれぞれにおける流動に関する情報所定を調べることで、1つの空間の状態に対して、4通りの、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係に関する情報と、シリコンロッドにおける析出反応と、の関係を得ることができる。したがって、単なる流動規定体の所定の空間200内における配置位置とその際の析出反応を調べるよりも多くの情報を得ることができる。
【0090】
よって、特定の領域と、流動規定体との、相対位置関係を示す1次元情報を用いる場合には、単なる流動規定体の所定の空間200内における配置位置とその際の析出反応を教師データとして用いる場合よりも、少ない教師データ数で、推定のための学習モデル151を生成できるといえる。別の言い方をすれば、用意すべき教師データを少なくすることができる。
【0091】
図8A、
図8Bは、実施例1における所定の空間に含まれる小空間の例、および、そこに配される流動規定体の配置例を示す図であって、
図7A、
図7Bとは異なる例を示す図である。これらの図を用いて、それぞれの場合に、情報処理装置100の学習モデル151に対して入力される情報の入力フォーマットについて説明する。
【0092】
図8A(a)は、ベルジャー装置の反応容器200a内部の空間を、所定の空間として見立てて、特定の領域として、シリコンロッド210a(210b、210c、210d)を、流動規定体として、ガスノズル220a~229aを用いる場合の例を説明するための平面図である。
【0093】
図8A(b)は、特定の領域としてのシリコンロッドを基準に、流動規定体たるガスノズルとの相対位置関係を定める場合の一例を示している。
【0094】
図8A(b)に示す例では、各シリコンロッド213aから見た方向を規定するために、図示の点線で区切り、方向(小空間)A1~A8を規定する。一例として、シリコンロッド213aから見て方向(小空間)A1には、1つのガスノズル220aが存在する。なお、特定の領域は、シリコンロッド全体であってもよいし、その表面の一部であってもよい。また、シリコンロッド213aから見て方向(小空間)A2には、1つのガスノズル221aが存在する。同様に、シリコンロッド213aから見て方向(小空間)A3には、3つのガスノズル222a、223a、229aが存在する。
【0095】
なお、図示の例では、ガスノズル223aには、方向(小空間)を定めるための境界となる点線が重複しており、シリコンロッド213aから見ると、一部が方向(小空間)A3に、他の一部が方向(小空間)A4に含まれる状態になっている。このような場合には、流動規定体たるガスノズル223aが占有する面積の多い方の方角に存在することとしてもよいし、ガスノズル223a占有する面積の割合で係数することとしてよく、例えば、1つのガスノズル全体がその方向(小空間)に存在するとした場合の面積を1としたときの、小空間に含まれるガスノズルが占有する面積を、その方向(小空間)に存在する流動規定体の個数を示す数値として用いることとしてもよい。したがって、図示の場合、いずれか一方にのみ存在する態様で規定する場合には、方向(小空間)A3には、3つのガスノズルが存在するといえ、ガスノズルの面積で各方向(小空間)に含まれるガスノズルを規定する場合には、例えば、方向(小空間)A3には、2.6のガスノズルが存在すると規定することができる。同様に方向(小空間)A4には、ガスノズル224a、228aの2つのガスノズルが存在する、または、ガスノズル224a、228a、223aの2.4のガスノズルが存在すると規定することとしてもよい。また、方向(小空間)A5には、ガスノズル225aが、方向(小空間)A6には、ガスノズル226aが存在する。また、方向(小空間)A7には、ガスノズル227aが存在する、または、0.55のガスノズル227aが存在するといえる。また、方向(小空間)A8には、ガスノズルは存在しない、又は、0.45のガスノズル227aが存在するといえる。
【0096】
したがって、
図8A(b)の場合には、シリコンロッド213aから見た流動規定体たるガスノズルとの相対位置関係を示す一次元情報は、{A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8}={1、1、3、2、1、1、1、0}又は、{A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8}={1、1、2.6、2.4、1、1、0.55、0.45}と規定することができる。いずれを一次元情報とするかは、学習モデル151を作成する際に用いた相対位置関係において、いずれの態様を用いたかによる。
【0097】
なお、
図8A(b)においては、ガスノズルからの距離方向については相対位置関係を定めない場合の例を示している。
【0098】
図8Bは、
図8Aとは異なる他の例の小空間を定義する方法を説明するための図である。
図8B(a)は、シリコンロッド210aから見た、ガスノズルとの相対位置関係を説明するための一例を示す図である。
【0099】
図8B(a)は、図示の点線で、各シリコンロッドからの方向と距離を規定(小空間を規定)して、相対位置関係を決定する例を示している。
図8B(a)においては、シリコンロッド210aを基準に、8つの方向、2つの距離で相対位置関係を規定する場合の例を示しており、各シリコンロッドを基準に、小空間A11~A18、A21~A28の16の小空間を示している。
図8B(a)の例では、小空間A11と小空間A21とでは、方向は同じであるものの、シリコンロッド210aに対する小空間A12と小空間A22、小空間A13と小空間A23、…、小空間A18と小空間A28、も同様の関係になる。
【0100】
図8B(a)に示したように、各シリコンロッドからの方向と距離に基づく相対位置関係を特定するための小空間を定義した場合には、
図8B(a)の例の場合、シリコンロッド210aから見たガスノズルの相対位置関係を示す1次元情報は、{A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A21、A22、A23、A24、A25、A26、A27、A28}={0、0、0、0、0、0、0、0、0、1、0、0、1、0、0、0}又は、{A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A21、A22、A23、A24、A25、A26、A27、A28}={0、0、0、0、0、0、0、0、0.45、0.55、0、0、1、0、0、0}と規定することができる。
【0101】
図8B(b)は、シリコンロッド211aから見た、ガスノズルとの相対位置関係を説明するための一例を示す図である。
図8B(b)においては、シリコンロッド211aを基準に8つの方向で相対位置関係を規定する場合の例を示しており、図示のように小空間A1~A8を定義したとする。そうすると、シリコンロッド211aから見たガスノズルの相対位置関係を示す1次元情報は、{A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8}={1、1、3、2、1、1、1、0}と規定することができる。この1次元情報は、
図8A(b)に示したシリコンロッド210aに対するガスノズルの相対位置関係を示す1次元情報と同じである。つまり、シリコンロッド210aに対して、
図8A(b)に示すように小空間を定義し、ガスノズルが配置されたときの、析出反応の学習結果は、
図8B(b)のシリコンロッド211aに対して適用することができる。
【0102】
なお、
図8A、
図8Bに示した特定の領域たるシリコンロッドと、流動規定体たるガスノズルとの相対位置関係は一例であり、任意の方向と、任意の距離とで小空間として定義されてもよい。
【0103】
図9は、
図4のフローチャートを実施例1の場合に適用させた情報処理装置100による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【0104】
図9に示すように、情報処理装置100の制御部140の学習部144は、析出反応器の反応容器の大きさや容積、形状などの情報、シリコンロッドの配置などに関するロッド情報、ガスノズルの配置に関するノズル情報の入力を受け付ける(ステップS901)。
【0105】
学習部144は、受け付けた情報に基づいて、所定の条件下で析出反応を行った場合の、シリコンロッドにおける析出に関する情報を受け付ける(ステップS902)。ここで、析出に関する情報とは、反応容器内の熱流束、各シリコンロッド付近の熱流束、各シリコンロッド表面において析出したシリコンの厚みなどの情報であってよい。
【0106】
変換部142は、ステップS901において受け付けたガスノズルの配置に関するノズル情報を、シリコンロッドの配置に関するロッド情報に基づいて、析出反応器における特定の領域としてのシリコンロッドを基準とした流動規定体としてのガスノズルとの相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS903)。即ち、変換部142は、シリコンロッドから見た方向と距離を規定する小空間と、その小空間に含まれるガスノズルの個数とで表現できる1次元情報を生成する。
【0107】
学習部144は、ステップS903において生成された1次元情報、即ち、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係を、特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報とし、ステップS902において受け付けたシリコンロッドにおける析出に関する情報を、所定の空間200内の流動に関する情報として、それぞれの関係を学習する(ステップS904)。
【0108】
学習部144は、所定の空間の状態を表す情報、各シリコンロッドに関する情報(所定の空間内におけるシリコンロッドの位置を示す位置情報を含む情報)およびシリコンロッドから見たガスノズルの相対位置関係を示す情報と、シリコンロッドにおける析出に関する情報との関係を複数学習し、学習モデルを生成する。つまり、所定の空間の状態を表す情報およびシリコンロッドから見た方向と距離を規定する小空間に含まれるガスノズルの本数を表す情報と、シリコンロッドにおける析出に関する情報と、の組み合わせを教師データとした学習を行う。
【0109】
学習部144は、生成した学習モデル151を記憶部150に記憶し(ステップS905)、処理を終了する。
【0110】
図10は、記憶部150に記憶されている学習モデル151を用いて、析出に関する情報を得るための情報処理装置100による推定の動作例を示すフローチャートである。
【0111】
図10に示すように、制御部140の受付部141は、析出反応器内部の状態を示す情報および析出反応器に対してガスノズルを配置する配置情報を流動規定体の情報として受け付ける(ステップS1001)。受付部141は、例えば、入力部130に対してユーザから入力されたガスノズルの配置を示す配置情報を受け付ける。
【0112】
また、受付部141は、析出反応器に対して配置するシリコンロッドの配置位置などを示すロッド情報を、特定の領域の情報として受け付ける(ステップS1002)。
【0113】
制御部140の変換部142は、受付部141が受け付けたガスノズルの配置を示す配置情報を、受付部141が受け付けたロッド情報に示されるシリコンロッドの位置に基づき、シリコンロッドに対するガスノズルの相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS1003)。即ち、変換部142は、シリコンロッドから見た相対位置関係を決定するための方向と距離を規定する小空間を定義し、その小空間に含まれるガスノズルの個数を計数して、各小空間に含まれるガスノズルの本数を示す集合を、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係を示す1次元情報として生成する。なお、この時の、複数の小空間の定義は、学習モデル151を学習する際に用いた複数の小空間の定義と同一である。つまり、例えば、学習モデル151を作成する際に、
図7A(b)、
図7B(a)に示す小空間が用いられた場合には、推定部143による推定を行う段階においても、小空間A1~A3、A11~A14、A21~A24、A31~A34が用いられ、各小空間A1~A3、A11~A14、A21~A24、A31~A34に含まれるガスノズルの本数を計数する。
【0114】
推定部143は、所定の空間の状態を表す情報および小空間を識別する識別情報と、シリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係を示す1次元情報、即ち、小空間の識別情報と小空間に含まれるガスノズルの本数とを対応付けた1次元情報を、記憶部150から読みだした学習モデル151に入力する(ステップS1004)。学習モデル151に、当該1次元情報を入力することで、析出反応に関する情報を得ることができる。
【0115】
推定部143は、学習モデル151から得られた析出反応に関する情報として、シリコンロッド周辺の熱流束に関する情報を、出力部160から出力するよう指示して(ステップS1005)、処理を終了する。
【0116】
これにより、ユーザは、入力したガスノズルの配置が望ましい結果を得ることができる配置になっているかを、実際にシミュレーションを行うことなく、認識することができる。
【0117】
なお、学習部144が受け付ける、各小空間に含まれる流動規定体に関する情報は、各小空間に含まれるガスノズルの本数に代えて、各小空間に含まれるガスノズルから流入あるいは流出するガス流量の和を用いることとしてもよく、その両方(ガスノズルの本数と流入量の両方、ガスノズルの本数と流出量の両方、ガス流入量とガス流出量の両方、あるいは、その全部のいずれか)であってもよい。例えば、
図8B(b)の場合を例にすると、ガスノズル220a、221a、222a、223a、224a、225a、226a、227a、228a、229aから所定の空間内に流入するガス流量を、それぞれ、G0、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9であるとする。すると、ガスノズルから流入するガス流量の和に基づく1次元情報は、仮に各小空間に含まれるガスノズルの本数が上述したように{A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8}={1、1、3、2、1、1、1、0}であるとすると、{A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8}={G0、G1、G2+G3+G4、G5+G6、G7、G8、G9、0}と表現することができる。また、ガスノズルの本数とガス流入量とを用いる場合には、ガスノズルの本数に基づく相対位置関係を規定するための小空間を、仮に、AN1~AN8(
図8B(b)のA1~A8に相当)とし、ガスノズルにおけるガス流入量に基づく相対位置関係を規定するための小空間を、仮に、AG1~AG8(
図8B(b)のA1~A8に相当)とした場合には、{AN1、AN2、AN3、AN4、AN5、AN6、AN7、AN8、AG1、AG2、AG3、AG4、AG5、AG6、AG7、AG8}={1、1、3、2、1、1、1、0、G0、G1、G2+G3+G4、G5+G6、G7、G8、G9、0}と表現することもできる。
【0118】
なお、
図10においては、変換部142が各小空間に含まれるガスノズルの本数を計数して1次元情報を生成することとしているが、ステップS1001において、小空間を示す情報と、その小空間に含まれるガスノズルの本数を示す情報を受けることとしてもよく、その場合に、ステップS1002の処理を省略することができる。
【0119】
本実施例1によれば、析出反応器内の状態を表す情報、各シリコンロッドに関する情報およびガスノズルの配置又はシリコンロッドとガスノズルとの相対位置関係を示す情報すなわち小空間と小空間に含まれるガスノズルの本数を入力することで、析出反応に関する情報を得ることができる。
【0120】
なお、発明者らは、実施例1について、無作為に作成した情報(無作為に作成した所定の空間の状態を表す情報および小空間におけるガスノズルの配置に関する情報と、その時のシリコンロッド表面の対流熱流束に関する情報)を複数入力することで学習モデルを作成し、作成した学習モデルに対して異なる無作為な情報(無作為に作成した所定の空間の状態を表す情報および小空間におけるガスノズルの配置に関する)を入力することで得られる推定結果について評価を行った。即ち、学習モデルに対して入力した情報と同じ条件下で実験を行った結果と、学習モデルとの推定結果とを比較したところ、学習モデルによる推定結果の決定係数を0.7以上とすることができた。つまり、学習モデルによる推定結果の精度(正しさ)が7割以上であるとの結果を得ることができた。この決定係数については、学習させる数(教師データの数)を増やしたり、学習させる教師データの選別を行ったりすることで、更なる向上が見込める。
【0121】
なお、上記には無作為に作成した情報の例を記載したが、無作為ではなく、事前に指定した情報を同じように学習させることによっても、当然のことながら、同様の結果が得られる。
【0122】
一方で、発明者らは、シリコンロッドから見たガスノズルの相対位置関係を示す情報ではなく、xy座標で扱った場合の学習モデルについても作成し、評価を行ったところ、その決定係数は、0.4未満であった。つまり、所定の空間内における流動規定体を、その配置位置を示す座標で定義した学習モデルを用いるよりも、シリコンロッドから見たガスノズルの相対位置関係を学習した学習モデルを用いた方が、流動の予測性能が大きく向上するといえる。したがって、所定の空間内に流動規定体を配するような場合であって、流動を予測する態様においては、流動規定体の所定の空間内の位置座標を用いるよりも、推定結果の向上が見込めるものであり、これは、以降に示す実施例2~5においても同様である。
【0123】
<実施例2>
上記実施例1では、析出反応器における推定例を示している。本実施例2では、流動層反応装置において粉粒体にガスを混入させるにあたってこのガスの気泡をなるべく細分化する例を説明する。
【0124】
図11は、流動層反応装置を模式的に示す図である。流動層反応装置200bには、粉粒体が充填されるとともに、ガスが混入される。このガスの気泡は、なるべく小さく細分化されて混入されることが望ましい。しかし、気泡は装置内部を上昇するにつれ、合一し大きくなるため、妨害板によって再度細分化する必要がある。気泡1001は、妨害板222bに衝突することによって、細分化される。そのために、ガスの流入口(図面の矢印参照)から流入したガスがなるべく衝突して細分化されてその大きさがなるべく均一になるように妨害板222bを設けることが望ましい。
図11(a)に示すように、気泡1001が流動層反応装置の図面上層に向かうにつれて合一し大きくなる。しかし、その後に、
図11(b)に示すように妨害板222bに衝突した気泡1001は、再度小さくなる。
【0125】
実施例2においては、情報処理装置100は、この流動規定体たる妨害板222bの配置によって気泡の大きさ、あるいは、粒度を推定する。即ち、流動層反応装置200b内の所望の場所(測定点)において、気泡が所望の状態(測定点における気泡の粒度、あるいは、測定点を含む所定の範囲内における粉粒体に対する気泡の割合など)になっているか否かを推定する。
【0126】
図12は、実施例2における特定の領域から見た流動規定体との相対位置関係、即ち、測定点から見た妨害板222bの相対位置関係を規定するための小空間の定義例を示している。
図12(a)は、図中の点線に示すように、流動層反応装置200bを、流動層反応装置200b内における任意の測定点210bを基準に、測定点210bから見た方向(小空間)B1~B6を定義した例を示している。
図12(a)のように小空間を定義した場合には、方向(小空間)B1、B2、B4、B5、B6のそれぞれに1つずつ妨害板が配されていることになる。この場合、特定の領域たる測定点210bと、流動規定体たる妨害板との相対位置関係を示す1次元情報は、一例として、{B1、B2、B3、B4、B5、B6}={1、1、0、1、1、1}と表現することができる。
【0127】
また、
図12(b)は、測定点210bの位置を
図12(a)に示す位置から変更して、妨害板との相対位置関係を1次元情報として表現した場合にどのように表現されるかを説明するための図である。
【0128】
図12(b)に示すように、測定点210bの位置を決定した場合における、測定点210bを基準とした測定点210bから見た方向(小空間)B1~B6を定義した場合における測定点210と妨害板222bとの相対位置関係を示す1次元情報は、一例として、{B1、B2、B3、B4、B5、B6}={0、1、3、1、0、0}と表現することができる。
【0129】
図13は、
図4のフローチャートを実施例2の場合に適用させた情報処理装置100による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【0130】
図13に示すように、情報処理装置100の制御部140の学習部144は、流動層反応装置の大きさや容積、形状などの情報、ガス流入孔の配置位置の情報、妨害板の配置に関する配置情報の入力を受け付ける(ステップS1301)。
【0131】
学習部144は、受け付けた情報に基づいて、所定の条件下でガス流入孔からガスを流入させた場合の、流動層反応装置内における気泡変化に関する情報を受け付ける(ステップS1302)。ここで、気泡変化に関する情報とは、所望の測定位置における気泡の大きさや粒度などの情報であってよい。
【0132】
学習部144は、気泡の状態を測定する測定点の位置を示す情報を、特定の領域を示す情報として、入力を受け付ける(ステップS1303)。
【0133】
変換部142は、ステップS1301において受け付けた妨害板の位置の情報を、ステップS1303において受け付けた測定点の位置の情報に基づいて、析出反応器における特定の領域としての測定点を基準とした流動規定体としての妨害板との相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS1304)。即ち、変換部142は、測定点から見た方向と距離を規定する小空間と、その小空間に含まれる妨害板の個数とで表現できる1次元情報を生成する。
【0134】
学習部144は、ステップS1304において生成した1次元情報、即ち、測定点と妨害板との相対位置関係を示す情報を、特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報とし、ステップS1302において受け付けた測定点における気泡の状態に関する情報を、所定の空間内の流動に関する情報とし、それぞれの関係を学習する(ステップS1305)。学習部144は、流動層反応装置内の状態を表す情報、流動層反応装置内の測定点の位置を示す情報および測定点から見た妨害板の相対位置関係を規定するための各小空間に含まれる妨害板の数と、その場合の流動層反応装置の測定点における気泡の状態に関する情報との関係を教師データとして複数学習し、学習モデルを生成する。
【0135】
学習部144は、生成した学習モデル151を記憶部150に記憶し(ステップS1306)、処理を終了する。
【0136】
図14は、記憶部150に記憶されている学習モデル151を用いて、気泡の状態に関する情報を得るための情報処理装置100による推定の動作例を示すフローチャートである。
【0137】
図14に示すように、制御部140の受付部141は、流動層反応装置に対して妨害板を配置する配置情報を流動規定体の情報として受け付ける(ステップS1401)。受付部141は、例えば、入力部130に対してユーザから入力された妨害板の配置を示す配置情報を受け付ける。
【0138】
また、受付部141は、流動層反応装置における測定点の位置情報を、特定の領域の情報として受け付ける(ステップS1402)。
【0139】
制御部140の変換部142は、受付部141が受け付けた妨害板の配置を示す配置情報を、受付部141が受け付けた測定点の位置情報に基づき、測定点に対する妨害板の相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS1403)。即ち、変換部142は、測定点から見た相対位置関係を決定するための方向と距離を規定する小空間を定義し、その小空間に含まれる妨害板の個数を計数して、各小空間に含まれる妨害板の数を示す集合を、測定点と妨害板との相対位置関係を示す1次元情報として生成する。なお、この時の、複数の小空間の定義は、学習モデル151を学習する際に用いた複数の小空間の定義と同一である。
【0140】
推定部143は、所定の空間の状態を表す情報、流動層反応装置内の測定点の位置に関する情報および小空間を識別する識別情報と、測定点と妨害板との相対位置関係を示す1次元情報、即ち、小空間の識別情報と小空間に含まれる妨害板の個数とを対応付けた1次元情報を、記憶部150から読みだした学習モデル151に入力する(ステップS1404)。学習モデル151に、当該1次元情報を入力することで、測定点における気泡の状態に関する情報を得ることができる。
【0141】
推定部143は、学習モデル151から得られた気泡の状態に関する情報を、出力部160から出力するよう指示して(ステップS1404)、処理を終了する。
【0142】
実施例2に示したように、ユーザは、流動層反応装置において、自身が配置した妨害板の配置で、気泡が所望の大きさ、粒度になるかを認識することができる。また、得られた結果から逆算して、気泡が所望の状態になりそうな妨害板の配置を推定することができる。
【0143】
なお、学習部144が受け付ける、各小空間に含まれる流動規定体に関する情報は、各小空間に含まれる妨害板の数以外に、各小空間に含まれる妨害板の面積の和であってもよいし、両方でもよい。つまり、一例として、
図12(a)のように妨害板を配した場合であって、小空間B1、B2、B4、B5、B6に配されている妨害板の面積をそれぞれBA1、BA2、BA4、BA5、BA6とした場合には、妨害板の面積の和を用いる場合の学習モデルの教師データもしくは学習モデルに対して入力する情報は、{B1、B2、B3、B4、B5、B6}={BA1、BA2、0、BA4、BA5、BA6}と表現することができる。また、両方を用いる場合において、妨害板の数で小空間を規定する場合の小空間をBa、妨害板の面積で小空間を規定する場合の小空間をBbとしたときに、{Ba1、Ba2、Ba3、Ba4、Ba5、Ba6、Bb1、Bb2、Bb3、Bb4、Bb5、Bb6}={1、1、0、1、1、1、BA1、BA2、0、BA4、BA5、BA6}と表現することができる。なお、ここで、Ba1とBb1は小空間としては
図12(a)の小空間b1と同じ空間であり、その他の小空間も同様である。
【0144】
また、更には、所定の空間に対してガスを流入させる供給口もまた、測定点における気泡の径や粒度に対して影響を与えるので、
図12に示すガスの供給口(図面の矢印部分)の、測定点210bに対する相対位置関係を、測定点の妨害板に対する相対位置関係に代えて、あるいは、加えて、用いることとしてもよい。ガスの供給口についても、測定点を基準に規定した方向と距離に基づく小空間内に含まれる供給口の数、供給口からのガスの単位時間当たりの供給量などを、測定点に対する流動規定体(ガス供給口)の相対位置関係を示す1次元情報として、学習や推定を行うこととしてもよい。
【0145】
なお、本実施の形態においては、気泡の大きさ(径)や粒度を出力する情報(評価する情報)としているが、これは、所望の測定範囲内に含まれる気泡の数であってもよい。例えば、気泡の数が多いことで、所望の測定範囲内に含まれる気泡の径は小さくなっていることが認識できる。
【0146】
<実施例3>
本実施例3においては、所望の空間内の特定の場所における温度を推定する例を説明する。
【0147】
図15は、実施例3に係る所望の空間の例を示す図である。
図15は、一例として屋内において、発熱体1600を含み、換気口220c、221b、221c、221d、221eを含む例を示す平面図である。発熱体1600としては、例えば、何らかの処理により高温になる装置であってもよいし、何らかのヒーターなどであってもよい。発熱体1600としては、処理の都合上、ある一定の温度範囲を保つことが望ましいものもある関係から、所望の温度範囲を保つための条件が事前に知れることが望ましい。図中、換気口220c、221cは、外部の空気を取り込むための開口であり、換気口222c、223c、224cは、室内の空気を外部に排出するための換気扇である。
【0148】
本実施例3においては、発熱体1600のような温度変化がある物体において、換気口等を設けて換気を行うことで温度調節を行う場合の推定について説明する。
【0149】
図16は、実施例3に係る所望の空間であって、発熱体1600が設けられている部屋を模式的に示す斜視図である。また、
図16は、本実施例3における複数の小空間の規定例を説明するための図である。
【0150】
図16に示すように、部屋200cには、室内に発熱体1600が設けられている。この発熱体1600の温度が所定以上高くならないように、換気を行う。そのために、
図16に示す例では、部屋200cの図面上側の壁面には、換気口220c、221cが設けられ、図面下側の壁面には、2つの換気口222c、223cが設けられ、図面右側の壁面には、1つの換気口224cが設けられている。
図16のような配置の所定の空間200cにおける特定の領域と、流動規定体との相対位置関係を考える。
【0151】
一例として、図示の通り、発熱体1600上の測定点210cを特定の領域とし、測定点210cを基準に、図示の破線で、測定点210cから見た方向(小空間)を定め、小空間C1~C8を規定する。図示では、各方向を均等に配分している例を示しているが、上述の通り、各方向の角度幅は任意である。
【0152】
また、測定点は、温度を特定したい場所であればどこであってもよく、発熱体1600上である必要はなく、所定の空間200内の任意の場所であってよい。
【0153】
図16の例では、換気口220c~224cは、部屋200c内の空気の流れに関与し、外部の空気を取り込み、内部の空気を排出することから、発熱体1600による温度の上下動、所定の空間200c内の温度の上下動に関与することから、流動規定体として定めることができる。
【0154】
よって、
図16の例で言えば、測定点210cから見た流動規定体たる換気口220c~224cに対する相対位置関係として、各方向(小空間)に含まれる流動規定体の数の情報である、{C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8}={1、0、1、1、1、0、0、1}という1次元情報として表現することができる。また、換気口1402aが給気口(空気を取り入れる側(in))であり、換気口1402bが排気口(空気を排気する側(out))である場合には、それぞれの配置は別情報として扱うことができる。そのため、学習モデル151に入力する小空間として、外気を取り入れる側をinとし内気を排出する側をout規定することで、小空間に含まれる流動規定体の数の情報は、{C1_in、C2_in、C3_in、C4_in、C5_in、C6_in、C7_in、C8_in、C1_out、C2_out、C3_out、C4_out、C5_out、C6_out、C7_out、C8_out}={1、0、0、0、0、0、0、1、0、0、1、1、1、0、0、0}という1次元情報として表現することができる。
【0155】
また、所定の空間200c内における温度の上下動に寄与するという観点から、発熱体1600による発熱、あるいは、その発熱量も影響するという観点から、発熱体1600を流動規定体として規定することができる。よって、上述の1次元情報として、換気口とは別に測定点から見た発熱体との相対位置関係も、特定の領域と流動規定体との相対位置関係として1次元情報として学習や推定に用いることとしてもよい。
【0156】
図17は、
図4のフローチャートを実施例3の場合に適用させた情報処理装置100による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【0157】
図17に示すように、情報処理装置100の制御部140の学習部144は、発熱体1600が設けられている部屋の大きさや容積、形状などの情報、発熱体1600の位置の情報、換気口の配置に関する配置情報の入力を受け付ける(ステップS1701)。また、発熱体1600の位置の情報なども受け付けてもよい。
【0158】
制御部140の受付部141は、通信部120又は入力部130を介して、所定の空間内で、温度変化を測定する測定点の位置の情報を受け付ける(ステップS1702)。
【0159】
また、受付部141は、受け付けた情報に基づいて、所定の条件下で換気口220c~224cにより空気を流入及び/又は流出させた場合の、部屋内における温度変化に関する情報を受け付ける(ステップS1703)。ここで、温度変化に関する情報とは、所望の測定点における温度の情報であり、単位時間当たり(例えば、5秒単位、1分単位など、所望の時間間隔)の温度上昇または温度下降に関する情報であってもよい。
【0160】
変換部142は、ステップS1701において受け付けた換気口の配置に関する配置情報を、ステップS1702で受け付けた測定点に対する相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS1704)。即ち、指定された測定点を基準として、測定点からの方向と距離を規定する小空間に含まれる換気口の数を定義した情報である1次元情報を生成する。
図16の例では、各小空間C1~C8に含まれる換気口の数を示す情報を、特定の領域に対する流動規定体の相対位置関係を示す1次元情報として生成する。
【0161】
学習部144は、所定の空間に関する情報、所定の空間内の測定点の位置を示す情報および変換部142により変換して生成された測定点と流動規定体との相対位置関係を示す情報と、ステップS1703において受け付けた測定点における流動に関する情報としての測定点における温度変化の情報とを対応付けた情報と、の関係を学習する(ステップS1705)。ここでの所定の空間に関する情報は、部屋200cに関する情報であり、室内の容積、形状の他、発熱体1600の発熱量なども含まれてよい。
【0162】
即ち、学習部144は、所定の空間に関する情報、所定の空間内の測定点の位置を示す情報および特定の領域に対する流動規定体の相対位置関係を示す情報としての測定点を基準とした各方向、距離を規定する小空間に含まれる換気口の数(及び/又は、発熱体の数又は面積又は体積)と、部屋における温度変化に関する情報と、の関係を複数学習し、学習モデルを生成する。
【0163】
学習部144は、生成した学習モデル151を記憶部150に記憶し(ステップS1706)、処理を終了する。
【0164】
図18は、記憶部150に記憶されている学習モデル151を用いて、所望の場所における温度変化に関する情報を得るための情報処理装置100による推定の動作例を示すフローチャートである。
【0165】
図18に示すように、制御部140の受付部141は、所定の空間としての部屋200cに関する情報および部屋に対して換気口を配置する配置情報を流動規定体の情報として受け付ける(ステップS1801)。受付部141は、例えば、入力部130に対してユーザから入力された換気口の配置を示す配置情報を受け付ける。
【0166】
また、受付部141は、通信部120又は入力部130を介して、部屋200c内のユーザが温度変化を知りたい場所である測定点の位置情報の入力を受け付ける(ステップS1802)。
【0167】
変換部142は、ステップS1801において受け付けた換気口を配置する配置情報を、ステップS1802において受け付けた測定点に対する換気口の相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS1803)。即ち、変換部142は、測定点を基準として、測定点から見た各方向、距離を規定する複数の小空間を規定し、各小空間に含まれる換気口の数を規定した1次元情報を生成する。なお、この時の、複数の小空間の定義は、学習モデル151を学習する際に用いた複数の小空間と同一である。
【0168】
推定部143は、所定の空間に関する情報、所定の空間内の測定点の位置を示す情報および測定点と換気口との相対位置関係を示す1次元情報を、記憶部150から読みだした学習モデル151に入力する(ステップS1803)。学習モデル151に、当該1次元情報を入力することで、部屋内における所望の場所における温度変化に関する情報を得ることができる。
【0169】
推定部143は、学習モデル151から得られた温度変化に関する情報を、出力部160から出力するよう指示して(ステップS1804)、処理を終了する。温度変化に関する情報は、最終的に到達する部屋の温度であってもよいし、温度変化量などであってもよい。
【0170】
実施例3に示したように、ユーザは、部屋において、自身が配置した換気口の配置で、室内のある場所、例えば、発熱体1600において、所望の温度となるかを推定することができる。また、得られた結果から逆算して、室内の温度が所望の温度になりそうな換気口の配置を推定することができる。
【0171】
なお、学習部144が受け付ける、各小空間に含まれる流動規定体に関する情報は、各小空間に含まれる換気口の数以外に、各小空間に含まれる換気口の開口面積の和であってもよいし、両方でもよい。また、面積に代えて、単位時間当たりに各換気口が排出する気体の量を用いることとしてもよいし、換気口の数、面積の和とを組み合わせることとしてもよい。例えば、
図16(
図17)の換気口220c~224cの開口面積をそれぞれ、CA0,CA1、CA2、CA3、CA4とした場合であって、開口面積の和を用いる場合の1次元情報として、{C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8}={CA1、0、CA4、CA3、CA2、0、0、CA0}を用いることができる。また、
図16(
図17)の小空間C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8に対応する換気口の数を規定する場合の小空間をCa1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5、Ca6、Ca7、Ca8と規定し、開口面積の和を規定する場合の小空間をCb1、Cb2、Cb3、Cb4、Cb5、Cb6、Cb7、Cb8と規定した場合には、1次元情報は、{Ca1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5、Ca6、Ca7、Ca8、Cb1、Cb2、Cb3、Cb4、Cb5、Cb6、Cb7、Cb8}={1、0、1、1、1、0、0、1、CA1、0、CA4、CA3、CA2、0、0、CA0}と表現することができる。
【0172】
また、更には、換気口の配置とともに、又は、換気口の配置とは別に、測定点210cから見た発熱体1600cとの間の相対位置関係を1次元情報として用いることとしてもよい。仮に、
図16に示した例でいえば、単純に発熱体1600が小空間内に含まれれば1とするのであれば、測定点と流動規定体たる発熱体との相対位置関係を示す1次元情報{C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8}={1、1、1、1、1、1、1、1}と表現することができる。また、発熱体が小空間に含まれるか否かに代えて、発熱体の各小空間に含まれる面積(体積)、あるいは、発熱体の総面積(体積)に対する割合を用いることとしてもよい。また、更には、小空間に含まれる換気口の数と統合した1次元情報としてもよい。
【0173】
なお、
図17では、発熱体1600上の測定点210cの温度変化を推定することとしているが、前述の通り、これは、発熱体1600の表面温度であってもよいし、内部温度であってもよいし、更には、発熱体1600の特定の場所の温度であってもよい。また、あるいは、室内の特定の場所の温度を推定するものであってもよい。即ち、発熱体1600が存在することによって、場合によっては、室内が高温になり、中を通過する人間にとって不都合が生じる可能性がある。そこで、室内の人間が通る動線上の点の温度変化を推定するようにしてもよい。また、実施例3では、空冷を行う場合を示したが、部屋200cを水等により充填し、換気口220c~224cを通じて、水を入出させることによる温度調節を行うこととしてもよい。また、発熱体1600に代えて、温度を低下させる冷却体を用いることとしてもよい。この場合の換気は、所定の空間内の温度が低下しすぎないことを目的とするものであってもよい。
【0174】
<実施例4>
本実施例4においては、実施例3とは異なる温度の推定例を説明する。上記実施例3においては、換気口による温度調節(冷却)、発熱体による温度調節(加熱)を行う例を説明したが、本実施例4においては、冷却チューブにより直接冷却を行うような場合の温度変化の推定について説明する。
【0175】
図19は、所定の空間200dとして、冷却装置を模式的に示す平面図である。
図19に示すように、冷却装置(所定の空間200d)内を所定の温度以下とするべく、冷却チューブ222dを配し、内部に冷却材を充填する。その結果、冷却装置(所定の空間200d)内が冷却される。このとき、冷却チューブ222dの配置の仕方によって、冷却装置200d内の冷却のされ方が異なる(場所によって早く冷却されたり、冷却されるのが遅かったりする)。よって、冷却装置200d内の温度の流動を規定するものとして、冷却チューブ222dを流動規定体として定義することができる。
【0176】
そこで、本実施例4においては、冷却装置200d内を所定の空間として、冷却チューブ222dをどのように配置した場合に、所望の測定点(例えば、測定点210d)で、どのように冷却されるかを推定する。
【0177】
また、
図19は、実施例4における測定点と流動規定体との相対位置関係を定義するための小空間の定義例を示している。
図19は、冷却装置(所定の空間200d)を平面でみた場合に、測定点210dを基準に、4つの方向、2つの距離の範囲で相対位置関係を規定するための小空間を定義した例を示しており、小空間D1~D8を定義した例を示している。
図19のように小空間を定義した場合には、
図19の例では、小空間D5、D2、D6、D7に跨って、1つの冷却チューブ222d(図面右側の冷却チューブ)が、小空間D5、D8に跨って1つの冷却チューブ(図面左側の冷却チューブ)が配されることになる。したがって、この場合に、推定の際に学習モデル151に対して入力される流動規定体に関する情報は、一例として、小空間内に冷却チューブが存在するか否かに基づいて、{D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8}={1、0、1、1、2、1、1、1}という1次元情報で表現でき、入力とすることができる。各小空間D1~D8は、前述の通り、測定点210dを基準とした方向及び距離を規定しており、測定点と流動規定体たる冷却チューブとの相対位置関係を定めるものであるので、当該1次元情報は、測定点210dと、冷却チューブ222dとの間の相対位置関係を示す情報であるといえる。なお、ここでは、冷却チューブは1本が1つの小空間に含まれていれば1つと係数しているが、冷却チューブが小空間に占める割合や、冷却チューブの小空間内における面積や体積を数値化した値を、流動規定体の数として用いることとしてもよい。
【0178】
図20は、
図4のフローチャートを実施例4の場合に適用させた情報処理装置100による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【0179】
図20に示すように、情報処理装置100の制御部140の受付部141は、冷却装置の大きさや容積、形状などの情報、冷却チューブの配置に関する配置情報の入力を受け付ける(ステップS2001)。
【0180】
また、受付部141は、通信部120又は入力部130を介して、ユーザが温度変化を測定したい位置を示す測定点の位置情報の入力を受け付ける(ステップS2002)。
【0181】
さらに、受付部141は、所定の条件下で冷却チューブに冷却材を充填させた場合の、冷却装置内の測定点における温度変化に関する情報を受け付ける(ステップS2003)。ここで、温度変化に関する情報とは、所望の測定位置における温度の上昇・下降度合、変化後の温度などの情報であってよい。
【0182】
変換部142は、ステップS2001において受け付けた冷却チューブの配置を示す配置情報を、ステップS2002において受け付けた測定点を基準として、測定点に対する流動規定体たる冷却チューブの相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS2004)。即ち、変換部142は、ステップS2002において受け付けた測定点を基準として、一例として
図19に示すように、任意の方向、任意の距離に小空間を定義する。そして、定義した小空間それぞれに含まれる冷却チューブの個数(あるいは、その面積や体積)を計数して、1次元情報を生成する。ここでいう小空間とは、データとして冷却装置における小空間の範囲を決定することをいい、
図19の例では、冷却装置200dの天面を、測定点210dを基準に、点線で区切った各小空間D1~D8のことを指す。なお、小空間の定義例は
図19の例に限定するものではなく、任意の方向、距離で区切るように小空間を定義してよい。
【0183】
学習部144は、測定点と冷却チューブとの相対位置関係を、特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係に関する情報とし、冷却装置における測定点における温度変化に関する情報を所定の空間内の流動に関する情報として、それぞれの情報の関係を学習する(ステップS2005)。学習部144は、冷却装置に関する情報、冷却装置内の測定点の位置に関する情報および冷却装置内の測定点を基準として流動規定体たる冷却チューブとの相対位置関係を示す情報と、測定点における温度変化に関する情報との関係を複数学習し、学習モデルを生成する。
【0184】
学習部144は、生成した学習モデル151を記憶部150に記憶し(ステップS2006)、処理を終了する。
【0185】
図21は、記憶部150に記憶されている学習モデル151を用いて、冷却装置(所定の空間200d)内の測定点における温度変化に関する情報を得るための情報処理装置100による推定の動作例を示すフローチャートである。
【0186】
図21に示すように、制御部140の受付部141は、冷却装置に対して冷却チューブを配置する位置を示す配置情報を流動規定体の情報として受け付ける(ステップS2101)。受付部141は、例えば、入力部130に対してユーザから入力された冷却チューブの配置を示す配置情報を受け付ける。
【0187】
また、受付部141は、冷却装置の中の測定点の位置を示す位置情報を、特定の領域の情報として受け付ける(ステップS2102)。受付部141は、例えば、入力部130に対してユーザから入力された測定点の位置を示す位置情報を受け付ける。
【0188】
変換部142は、ステップS2101において受け付けた冷却チューブの配置情報を、ステップS2102において受け付けた測定点の位置を示す位置情報に基づいて、測定点に対する冷却チューブの相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS2103)。即ち、変換部142は、ステップS2102において受け付けた測定点の位置を基準とし、測定点を中心に、複数の方向、距離を規定し、複数の小空間を定義する。そして、各小空間に含まれる冷却チューブの数(含まれていれば1、含まれていなければ0とし、異なる冷却チューブが同じ小空間に複数含まれる場合には、小空間内の異なる冷却チューブの個数を計数し、小空間とその小空間に含まれる冷却チューブの個数を、測定点に対する冷却チューブの相対位置関係を示す1次元情報として生成する。なお、この時の、複数の小空間の定義は、学習モデル151を学習する際に用いた複数の小空間の定義と同一である。
【0189】
推定部143は、変換部142が生成した測定点と冷却チューブとの相対位置関係を示す1次元情報を、記憶部150から読みだした学習モデル151に入力する(ステップS2104)。学習モデル151に、当該1次元情報を入力することで、冷却装置内における所望の場所(測定点)における温度変化に関する情報を得ることができる。
【0190】
推定部143は、学習モデル151から得られた温度変化に関する情報を、出力部160から出力するよう指示して(ステップS2105)、処理を終了する。
【0191】
実施例4に示したように、ユーザは、冷却装置において、自身が配置した冷却チューブの配置で、冷却装置内が所望の温度になるか、所望の温度変化を見せるかなどを認識することができる。また、得られた結果から逆算して、温度が所望の状態になりそうな冷却チューブの配置を推定することができる。
【0192】
なお、学習部144が受け付ける、各小空間に含まれる流動規定体に関する情報は、各小空間に含まれる冷却チューブの数以外に、各小空間に含まれる冷却チューブの単位時間当たりの除熱量の和であってもよいし、両方でもよい。例えば、
図19の右側の冷却チューブにより、小空間内が単位時間内に冷却される除熱量(例えば、低減される温度であってもよいし、変化した熱量であってもよい)を、それぞれ、DA1、左側の冷却チューブによる除熱量をDA2と規定した場合に、1次元情報は、{D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8}={0、0、DA1、0、DA1+DA2、DA1、DA1、DA2}と表現することができる。また、冷却チューブの数と、除熱量双方を用いる場合に、冷却チューブの数に対応する小空間を、Da1、Da2、Da3、Da4、Da5、Da6、Da7、Da8と規定し、冷却チューブの除熱量に対応する小空間をDb1、Db2、Db3、Db4、Db5、Db6、Db7、Db8と規定した場合には、1次元情報は、{Da1、Da2、Da3、Da4、Da5、Da6、Da7、Da8、Db1、Db2、Db3、Db4、Db5、Db6、Db7、Db8}={0、0、1、0、2、1、1、1、0、0、DA1、0、DA1+DA2、DA1、DA1、DA2}と表現することができる。
【0193】
<実施例5>
本実施例5においては、実施例1と同様に、容器内での反応を推定する例であって、実施例1とは異なる例について説明する。
【0194】
図22は、ガスと物質とを反応させる所定の空間200eとしての反応装置を用いる例を示す模式斜視図である。反応装置は、析出反応装置であってもよい。例えば、反応装置の上部面2201に設けられた複数のガス流入孔221eから反応装置200e内にガスを挿入する。そして、対象物と反応させる。そして、反応装置200e内のガスは、下部面2105に設けられた排出孔222eから適宜排出される。このような態様において、ガスの流入孔221eや排出孔222eは、反応装置200e内における流動、即ち、ガスの流動あるいは対象物における反応を決定することから、流動規定体として定義することができる。
【0195】
図23は、実施例5における特定の領域と流動規定体との相対位置関係の定義例を説明するための図である。
図23(a)は、対象物上の測定点210eを基準とした流動規定体たるガス流入孔221e、排出孔222eとの相対位置関係を特定するために点線で示すように、方向(小空間)E1~E5を規定する。
図23(b)は、
図23(a)の所定の空間200eを表面から見た正面図である。この場合に、
図23(a)から、方向(小空間)E1には、2つのガス流入孔が、方向(小空間)E3には、2つのガス排出孔が、方向(小空間)E5には、5つのガス流入孔が存在する。したがって、この場合に、推定の際に学習モデル151に対して入力される流動規定体に関する情報は、一例として、{E1、E2、E3、E4、E5}={2、0、2、0、5}という1次元情報で表現でき、入力とすることができる。
【0196】
また、ガスの流入と排出とでは、互いに相反する性質を表現することになるので、ガスの流入を規定する場合の小空間を、Einとし、ガスの排出を規定する場合の小空間をEoutとすると、1次元情報は、{E1in、E2in、E3in、E4in、E5in、E1out、E2out、E3out、E4out、E5out}={2、0、0、0、5、0、0、2、0、0}という1次元情報で表現してもよい。
【0197】
図24は、
図4のフローチャートを実施例5の場合に適用させた情報処理装置100による学習モデルの生成に係る動作例を示すフローチャートである。
【0198】
図24に示すように、情報処理装置100の制御部140の学習部144は、反応容器の大きさや容積、形状などの情報、ガス流入孔(排出孔)の配置に関する配置情報の入力を受け付ける(ステップS2401)。
【0199】
また、学習部144は、反応容器内の対象物における測定点の位置を示す位置情報の入力を受け付ける(ステップS2402)。
【0200】
学習部144は、受け付けた情報に基づいて、所定の条件下でガス流入孔からガスを流入させた場合の、反応容器内の測定点における対象物における反応に関する情報を受け付ける(ステップS2403)。ここで、反応に関する情報とは、対象物において所望の反応が発生しているか否か、均等に反応が発生しているかなどの情報であってよい。また、反応が析出反応である場合には、析出の量(厚み)の情報であってもよい。また、反応により特定の物質を発生させる(あるいは消費する)場合には、当該特定の物質の所定範囲の空間内(測定点)における濃度であってもよい。
【0201】
変換部142は、ステップS2401において受け付けたガス流入孔(排出孔)の配置に関する配置情報を、ステップS2402において受け付けた測定点に対するガス流入孔の相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS2404)。即ち、学習部144は、反応容器の測定点を基準に、測定点から見た複数の方向、距離に応じた複数の小空間を定義する。そして、各小空間に含まれるガス流入孔(排出孔)の個数を計数して、1次元情報を生成する。ここでいう小空間の定義とは、データとして反応容器における小空間の範囲を決定することをいい、
図23の例では、所定の空間200eを点線で示す平面で区切った各領域のことを指す。
【0202】
学習部144は、測定点とガスの流入孔(排出孔)との相対位置関係を、特定の領域に対する流動規定体との相対位置関係情報とし、対象物の測定点における反応情報を流動に関する情報として、それぞれの関係を学習する(ステップS2405)。学習部144は、測定点とガスの流入孔(排出孔)との相対位置関係を示す情報と、反応容器内の測定点の位置に関する情報と、反応容器における反応に関する情報との関係を複数学習し、学習モデルを生成する。
【0203】
学習部144は、生成した学習モデル151を記憶部150に記憶し(ステップS2406)、処理を終了する。
【0204】
図25は、記憶部150に記憶されている学習モデル151を用いて、対象物(測定点)における反応に関する情報を得るための情報処理装置100による推定の動作例を示すフローチャートである。
【0205】
図25に示すように、制御部140の受付部141は、反応容器に対してガス流入孔(排出孔)を配置する配置情報を流動規定体の情報として受け付ける(ステップS2501)。受付部141は、例えば、入力部130に対してユーザから入力されたガス流入孔(排出孔)の配置を示す配置情報を受け付ける。
【0206】
また、受付部141は、反応容器内の対象物における測定点の位置に関する位置情報を、特定の領域の情報として受け付ける。
【0207】
変換部142は、ステップS2501において受け付けたガス流入孔(排出孔)の配置情報を、ステップS2502において受け付けた測定点に対するガス流入孔(排出孔)の相対位置関係を示す1次元情報に変換する(ステップS2503)即ち、変換部142は、測定点を基準として、複数の方向、距離を規定し、測定点との相対位置関係を定義するための複数の小空間を定義する。そして、定義した複数の小空間それぞれに含まれるガス流入孔(排出孔)の数を計数する。変換部142は、各小空間を示す識別情報と対応する小空間に含まれるガス流入孔(排出孔)の数を規定した1次元情報を、測定点とガス流入孔(排出孔)との相対位置関係を示す1次元情報として生成する。なお、この時の、複数の小空間の定義は、学習モデル151を学習する際に用いた複数の小空間と同一である。
【0208】
推定部143は、変換部142により生成された測定点とガス流入孔(排出孔)との相対位置関係を示す1次元情報を、記憶部150から読みだした学習モデル151に入力する(ステップS2503)。学習モデル151に、当該1次元情報を入力することで、反応容器内における所望の場所における対象物における反応に関する情報を得ることができる。
【0209】
推定部143は、学習モデル151から得られた対象物における反応に関する情報を、出力部160から出力するよう指示して(ステップS2504)、処理を終了する。
【0210】
実施例5に示したように、ユーザは、反応容器において、自身が配置したガス流入孔(排出孔)の配置で、所望の反応を生じるか否かを認識することができる。また、得られた結果から逆算して、対象物における反応が所望の状態になりそうなガス流入孔(排出孔)の配置を推定することができる。
【0211】
なお、学習部144が受け付ける、各小空間に含まれる流動規定体に関する情報は、各小空間に含まれるガス流入孔(排出孔)の数以外に、各小空間に含まれるガス流入孔(排出孔)から流入(排出)するガス量の和であってもよいし、両方でもよい。ここでいう両方とは、ガスの流入量と、排出量とのそれぞれを規定することであってよいし、ガス流入孔(排出孔)の数とガス流入量(排出量)とのそれぞれを規定することであってもよいし、これらの全てを規定することであってもよい。即ち、上記実施例5に示したガス流入孔(排出孔)の数に代えて、それぞれの小空間それぞれに含まれるガス流入孔(排出孔)から単位時間当たり(または所定時間長)に流入するガスの流入量の総和を、用いることとしてもよい。一例として、
図23を例に説明すると、仮に、小空間E1に含まれるガス流入孔から単位時間当たりに流入するガスの量がE1リットル、E2リットルであるとし、小空間E5に含まれるガス流入孔のそれぞれから、単位時間当たりに流入するガスの量がE3リットル、E4リットル、E5リットル、E6リットル、E7リットルであるとする。そうすると、この場合に、学習モデルに対して入力される1次元情報は、{E1、E2、E3、E4、E5}={E1+E2、0、0、0、E3+E4+E5+E6+E7}となる。このように、ガス流入孔(排出孔)の数ではなくガス流入量(排出量)によって、学習モデルを規定し、推定を行うこととしてもよい。ガス流入孔(排出孔)の数で学習モデルおよび入力する1次元情報を定義する場合は、各ガス流入孔(排出孔)から流入(排出)するガスの量がいずれの孔でも一定である場合に有効であるといえる。また、流入(排出)するガスの量で学習モデルおよび入力する1次元情報を定義する場合は、各ガス流入孔(排出孔)から流入(排出)するガスの量が一定でない場合に有効であるといえる。
【0212】
なお、上記実施形態における測定点は、ある一点である必要はなく、ユーザが所定の空間内の状態を知りたい、所定の範囲を示すものであってもよい。
【0213】
なお、本開示の各実施形態のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。記憶媒体は、HDDやSSDなどの任意の適切な記憶媒体、またはこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性の組合せでよい。なお、記憶媒体はこれらの例に限られず、プログラムを記憶可能であれば、どのようなデバイスまたは媒体であってもよい。
【0214】
なお、情報処理装置100は、例えば、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することによって、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現することができる。また、当該プログラムは、任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、情報処理装置100に提供されてもよい。情報処理装置100は、例えば、インターネット等を介してダウンロードしたプログラムを実行することにより、各実施形態に示す複数の機能部の機能を実現する。
【0215】
なお、当該プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective―C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0216】
情報処理装置100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、情報処理装置100の各機能部は、上記実施形態に示した機能を実現する1または複数の回路によって実現されてもよく、1の回路により複数の機能部の機能が実現されることとしてもよい。
【0217】
また、本開示の実施形態を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、各実施形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0218】
100 情報処理装置
110 接続線
120 通信部
130 入力部
140 制御部
141 受付部
142 変換部
143 推定部
144 学習部
150 記憶部
160 出力部