(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026971
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】低糖質パンミックス
(51)【国際特許分類】
A21D 2/08 20060101AFI20230221BHJP
A21D 13/062 20170101ALI20230221BHJP
【FI】
A21D2/08
A21D13/062
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132450
(22)【出願日】2021-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂井 未悠
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 馨子
(72)【発明者】
【氏名】重松 亨
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DG02
4B032DG08
4B032DK15
4B032DK17
4B032DK22
(57)【要約】
【課題】良好な外観及び食感を有する低糖質パンを製造することができるパンミックスの提供。
【解決手段】穀粉5~35質量%、小麦蛋白質15~30質量%、架橋澱粉30~60質量%及び増粘多糖類0.5~5質量%を含有する、低糖質パンミックス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉5~35質量%、小麦蛋白質15~30質量%、架橋澱粉30~60質量%及び増粘多糖類0.5~5質量%を含有する、低糖質パンミックス。
【請求項2】
前記増粘多糖類が、微生物由来増粘多糖類と、植物由来増粘多糖類又は海藻由来増粘多糖類とを含む、請求項1記載のパンミックス。
【請求項3】
前記架橋澱粉がリン酸架橋澱粉である、請求項1又は2記載のパンミックス。
【請求項4】
前記穀粉が小麦粉を含む、請求項1~3のいずれか1項記載のパンミックス。
【請求項5】
ストレート法で製造される低糖質パンのためのパンミックスである、請求項1~4のいずれか1項記載のパンミックス。
【請求項6】
ホームベーカリー装置で製造される低糖質パンのためのパンミックスである、請求項1~5のいずれか1項記載のパンミックス。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項記載の低糖質パンミックスを用いてストレート法によりパンを製造することを含む、低糖質パンの製造方法。
【請求項8】
ホームベーカリー装置でパンを製造することを含む、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低糖質パンミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
パンの主原料である小麦粉は糖質を多く含む。糖質は、主要な栄養素の1つであるが、過剰な糖質の摂取は体脂肪増加の原因となり、糖尿病等のリスクを増加させる。近年、糖質を制限する療法やダイエット法等が数多く提唱されており、日常の食生活に糖質制限が積極的に採り入れられている。そのため、糖質制限に適した低糖質なパンに対するニーズが高まっている。
【0003】
主原料の小麦粉を、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、イヌリン等の食物繊維に置き換えた低糖質パンが提供されている。しかしながら、食物繊維を多く含有するパンは、低糖質である一方で、食感、食味等が低下するという問題や、膨らみにくくなることで外観が悪くなるという問題がある。そこで、これらの問題を解決するための製パン法が開発されている。特許文献1には、難消化性澱粉を40質量%以上含む食品用素材と、グルテン及び大豆由来食品用素材とを特定の配合比で含む製パン用組成物、ならびに、これを用いて食味、食感、比容積が改善された低糖質パンを製造できることが記載されている。特許文献2には、膨潤抑制澱粉及び膨潤非抑制澱粉を配合してなるベーカリー食品用小麦粉代替物により、膨潤抑制澱粉を含み食物繊維含量が高いベーカリー食品における製パン性、味及び食感を改善することが記載されている。特許文献3には、澱粉と増粘多糖類と食物繊維とを含有する、低蛋白質、低塩で、かつ改善された食感を有するパンが記載されている。
【0004】
パンは、ベーカリーや工場で大量に製造されるほか、家庭内でも少量が製造されることがある。家庭内でパンを簡便に製造するために、数名分程度の少量のパンをほぼ全自動で製造することができるホームベーカリー装置が市販されている。パンの製造方法には、大きく分けてストレート法と中種法がある。中種法は、まず原料の一部で生地を製造し発酵させた後、これに残りの原料を加えて再度生地を製造して発酵させ、焼成する方法である。中種法は、柔らかくしっとりとした高品質のパンを製造することができるが、手間と時間がかかるため、家庭内ではほとんど行われず、主に工場でのパン製造に用いられている。一方、ストレート法は、パン原料を全て混捏して生地を製造し、これを発酵させ焼成する方法であり、原料の風味を活かしたパンが製造できる。ストレート法はより簡便に短時間で完了できるため、家庭内でのパン製造やホームベーカリー装置ではストレート法が主に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-23048号公報
【特許文献2】特開2008-99629号公報
【特許文献3】特開平11-155467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ホームベーカリー装置に適用可能なストレート法で製造しても、良好な外観及び食感を有する低糖質パンを製造することができるパンミックスを提供することを課題とする。
【0007】
本発明者らは、原料穀粉の一部を置き換える食物繊維素材として架橋澱粉を使用することで、食物繊維素材を含むパンとしては比較的食感の良い低糖質パンを、ホームベーカリー装置を用いてストレート法にて簡便に製造できることを見出した。その一方で、本発明者らは、架橋澱粉を用いた低糖質パンをストレート法で製造すると、通常のパンに比較して、ボリュームが小さくなりふんわりとした食感や口当たり、口溶けに劣るという課題がなお存在することを見出した。この課題を解決すべくさらに検討した結果、本発明者らは、穀粉、架橋澱粉、小麦蛋白質、及び増粘多糖類を所定量で含有するパンミックスを用いることで、ストレート法により簡便に、外観及び食感の良好な低糖質パンを製造できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、穀粉5~30質量%、小麦蛋白質15~30質量%、架橋澱粉30~60質量%及び増粘多糖類0.5~5質量%を含有する、低糖質パンミックスを提供する。
また本発明は、前記低糖質パンミックスを用いてストレート法によりパンを製造することを含む、低糖質パンの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ストレート法による簡便な手順で、例えばホームベーカリー装置を用いて、通常のパンに比較して低糖質であり、食感が良く、かつボリュームのある良好な外観を有するパンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の低糖質パンミックス(以下、「本発明のパンミックス」ともいう)は、穀粉、小麦蛋白質、架橋澱粉、及び増粘多糖類を含有する。
【0011】
本発明のパンミックスで用いる穀粉としては、通常のパン製造に用いられるものを用いることができ、例えば、強力粉、準強力粉、超強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉等の小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉などが挙げられる。これらの穀粉は、いずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、強力粉、準強力粉及び米粉からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。本発明のパンミックスにおける該穀粉の含有量は、該パンミックスの全質量中、好ましくは5~35質量%、より好ましくは8~30質量%、さらに好ましくは12~25質量%である。該パンミックスにおける該穀粉の含有量が5質量%未満であると、得られたパンが、ボリュームが充分に向上せず、ふんわり感や口当たり、口溶けに劣る食感になることがあり、一方で30質量%を超えると、得られたパンが、糖質量が充分低減されなくなりかつ食感に劣ることがある。
【0012】
穀粉として小麦粉と米粉を組み合わせて用いると、パンにもちもちとした食感が加わることで、口当たりが向上するため好ましい。より好ましくは、強力粉及び準強力粉からなる群より選択される1種以上の小麦粉と、米粉を組み合わせる。小麦粉と米粉を組み合わせる場合のそれらの質量比は、小麦粉:米粉が50:50~90:10であると好ましく、60:40~80:20であるとより好ましい。
【0013】
本発明のパンミックスで用いる小麦蛋白質は、小麦に含まれる蛋白質であるグリアジン、グルテニン、グルテンに代表される蛋白質であり、好ましくはグルテンである。本発明で用いる小麦蛋白質は市販品を利用してもよく、又は小麦粉から精製することができる。ただし、本発明のパンミックスで用いる小麦蛋白質は、前記穀粉として使用される小麦粉に含有される蛋白質を含まない、すなわち該小麦粉と別途に添加される成分である。本発明のパンミックスにおける該小麦蛋白質の含有量は、該パンミックスの全質量中、好ましくは15~30質量%、より好ましくは18~28質量%、さらに好ましくは20~26質量%である。該パンミックスにおける該小麦蛋白質の含有量が15質量%未満又は30質量%を超えると、得られたパンが、ボリュームが充分に向上せず、ふんわり感や口当たり、口溶けに劣る食感になることがある。また該小麦蛋白質の含有量が30質量%を超えると、得られたパンに小麦蛋白質の臭みが生じたり、食感が硬くなったりすることがある。
【0014】
本発明のパンミックスで用いる架橋澱粉は、原料澱粉に架橋処理を行い、澱粉分子の水酸基間に架橋結合を付与したものである。架橋構造を有することで、澱粉は膨潤しにくくなり、結果として消化酵素に耐性を有するようになる。このような架橋澱粉は、摂取しても消化されにくいため、それを含む食品は低糖質である。本発明で用いる架橋澱粉の例としては、リン酸架橋澱粉、アジピン酸架橋澱粉などが挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、リン酸架橋澱粉が好ましい。好ましくは、本発明で用いる架橋澱粉は、食物繊維含量が40質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。本明細書における架橋澱粉の食物繊維含量とは、プロスキー変法により定量される値をいう。
【0015】
該架橋澱粉の原料澱粉は、一般に食用に用いられる澱粉であればよく、例えば、コ-ンスターチ、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉などが挙げられる。該原料澱粉は、未加工の澱粉であってもよく、架橋処理以外の加工処理を行った加工澱粉であってもよい。該加工澱粉の加工処理としては、酸化、エステル化、エーテル化などが挙げられる。好ましくは、該加工澱粉は、アセチル澱粉又はヒドロキシプロピル澱粉である。
【0016】
本発明のパンミックスにおける該架橋澱粉の含有量は、該パンミックスの全質量中、好ましくは30~60質量%、より好ましくは36~57質量%、さらに好ましくは42~53質量%である。該パンミックスにおける該架橋澱粉の含有量が30質量%未満であると、得られたパンが、糖質量が充分低減されずかつ食感に劣ることがあり、一方で60質量%を超えると、得られたパンが、ボリュームが充分に向上せず、ふんわり感や口当たり、口溶けに劣る食感になることがある。
【0017】
本発明のパンミックスで用いる増粘多糖類は、水に分散させると粘性又はゲル化性を有する性質を持った水溶性の多糖類である。該増粘多糖類としては、キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、カードラン等の微生物由来増粘多糖類;タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、グルコマンナン等の植物由来増粘多糖類;アガロース、カラギーナン等の海藻由来増粘多糖類、などが挙げられる。これらの増粘多糖類は、いずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、微生物由来増粘多糖類及び植物由来増粘多糖類からなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。微生物由来増粘多糖類としては、キサンタンガムが好ましく、植物由来増粘多糖類としてはタマリンドガム及びグアーガムが好ましく、海藻由来増粘多糖類としてはアガロースが好ましい。
【0018】
該増粘多糖類として、微生物由来増粘多糖類と植物由来増粘多糖類とを組み合わせて用いると、得られるパンのボリュームと食感がより向上するため好ましい。より好ましくはキサンタンガムと、タマリンドガム又はグアーガムとの組み合わせ、さらに好ましくはキサンタンガム、タマリンドガム及びグアーガムの3種の組み合わせが用いられる。これらを組み合わせる場合の微生物由来増粘多糖類と植物由来増粘多糖類との質量比は、微生物由来増粘多糖類:植物由来増粘多糖類が2:1~1:5であると好ましく、1:1~1:3であるとより好ましい。
【0019】
本発明のパンミックスにおける増粘多糖類の含有量は、該パンミックスの全質量中、好ましくは0.5~5質量%、より好ましくは0.8~4質量%、さらに好ましくは1.2~3質量%である。該パンミックスにおける該増粘多糖類の含有量が0.5質量%未満又は5質量%を超えると、得られたパンが、ボリュームが充分に向上せず、ふんわり感や口当たり、口溶けに劣る食感になることがある。
【0020】
本発明のパンミックスは、前述の原料(穀粉、小麦蛋白質、架橋澱粉及び増粘多糖類)に加えて、さらに乳化剤を含有してもよい。該パンミックスが乳化剤を含有することで、得られたパンのボリュームが増し、かつ食感がより向上する。該乳化剤は、食用に供することができるものであればよく、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの乳化剤は、いずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、レシチン及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選択される1種以上を用いることが好ましい。該パンミックスにおける該乳化剤の含有量は、該パンミックスの全質量中、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.9質量%、さらに好ましくは0.05~0.8質量%である。
【0021】
本発明のパンミックスは、パンの製造に通常用いられるその他の原料、例えば、架橋澱粉以外の未加工澱粉又は加工澱粉、糖類、粉末油脂、粉乳、色素、香料、食塩、膨張剤、小麦蛋白質以外の蛋白質、卵粉、増粘多糖類以外の増粘剤、卵殻カルシウム、酵素、呈味剤、香辛料等を、所望されるパンの品質等に応じて適宜含有してもよい。該パンミックスにおける当該その他の原料の含有量は、該パンミックスの全質量中、好ましくは0~30質量%程度、さらに好ましくは0~20質量%程度である。好ましくは、当該その他の原料に含まれる澱粉は、未加工澱粉である。好ましくは、本発明のパンミックスは、大豆由来食品用素材、例えば大豆粉、豆乳粉、おから、大豆蛋白を含まない。
【0022】
本発明のパンミックスは、前述した各原料を混合することによって製造することができる。本発明のパンミックスの形態は特に限定されないが、好ましくは、常温常圧下で粉末又は顆粒状である。本発明のパンミックスは、必要に応じて一定の分量で包装容器に充填して、保管されてもよい。
【0023】
本発明のパンミックスは、パンの原料粉として使用することができる。本明細書において、パンとは、生地を発酵させたものを加熱(例えば、焼成、蒸し、揚げ等)して得られる食品をいう。パンとしては、例えば、食パン(角型食パン、イギリスパン等)、ロールパン、菓子パン(あんパン、クリームパン等)や総菜パン(カレーパン等)、フランスパン、クロワッサン、デニッシュ、ピザ、イーストドーナツ、中華パンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明のパンミックスを用いてパンを製造する場合、本発明のパンミックスは、通常のパンミックスと同様に用いることができる。すなわち、本発明のパンミックスを原料粉として用いて、通常の製パン方法に従ってパンを製造することができる。代表的な製パン方法としては、ストレート法及び中種法が挙げられるが、本発明のパンミックスは、ストレート法による低糖質パンの製造のために好適に使用される。したがって、好ましい実施形態において、本発明のパンミックスは、ストレート法で製造される低糖質パンのためのパンミックスである。また好ましい実施形態において、本発明のパンミックスを用いてパンを製造する場合、本発明のパンミックスを原料粉として用いて、ストレート法により、低糖質パンが製造される。
【0025】
ストレート法においては、本発明のパンミックス、イースト、水分を含む全ての原料をまとめて混捏してパン生地を製造し、これを発酵させ、次いで焼成することでパンが製造される。該水分の一部として全卵を加えると、パンのふんわりとした食感が高まり、また卵に由来するコクのある風味がパンに付与されるため、好ましい。パン生地の製造の際に本発明のパンミックスに添加する水分の量は、該パンミックス100g当たり、好ましくは40~80g、より好ましくは50~75gであり、全卵を用いる場合は、該水分の10~30質量%を全卵液に置き換えて使用することができる。
【0026】
また、本発明のパンミックスは、一般的にストレート法を利用するものである、家庭用のホームベーカリー装置での低糖質パンの製造のために好適に使用される。したがって、別の好ましい実施形態において、本発明のパンミックスは、ホームベーカリー装置で製造される低糖質パンのためのパンミックスである。また好ましい実施形態において、本発明のパンミックスを用いてパンを製造する場合、本発明のパンミックスを原料粉として用いて、ホームベーカリー装置を用いて、低糖質パンが製造される。ホームベーカリー装置としては、市販されているものを特に制限なく使用することができる。
【0027】
本発明のパンミックスによれば、簡便な製パン方法であるストレート法を用いて、低糖質でありながら、食感及び外観の良好なパンを製造することができる。例えば、本発明のパンミックスを用いることで、ホームベーカリー装置を用いて、家庭内でも簡便に食感及び外観の良好な低糖質パンを製造することができる。
【実施例0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
〔試験例1〕
下記表1~7に示す原料を適宜混合及び攪拌してパンミックスを調製した。架橋澱粉としては、リン酸架橋澱粉(食物繊維84質量%含有)又はヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(食物繊維40質量%含有)を用いた。
製造したパンミックスを用いて、ホームベーカリー装置(SD-BM103;パナソニック製)を用いて下記手順にて低糖質パンを製造し、評価した。参考例として、表1に示す小麦粉を主原料とする組成のパンミックスを調製し、これを用いて同様の手順でパンを製造、評価した。
(製パン手順)
室温約20℃で、パンミックス300gとバター10gをパンケースに投入し、最後に15℃の水180gを投入した。別途、イースト容器にドライイースト2.8gをセットし、食パンコース(焼き色:標準)にてパンを製造した。
(評価)
・焼きあがったパンをパンケースから取り出し、パンの高さを測定し、下記の評価基準で外観を評価した。各パンミックスについて10個のパンを製造し、外観を評価し(n=10)、評点の平均値を求めた。結果を表1~7に示す。
・製造したパンを2分割し、10名の専門パネラーにより、下記の評価基準で食感を評価し、評点の平均値を求めた。結果を表1~7に示す。
【0030】
<評価基準>
(外観)
5点:参考例に対して95%以上の高さがあり、上部はきれいな山形で、非常に良好。
4点:参考例に対して80%以上95%未満の高さがあり、上部はきれいな山形で、良好。
3点:参考例に対して60%以上80%未満の高さがあり、上部にやや変形があるが、概ね満足できる。
2点:参考例に対して60%未満の高さしかなく、上部に大きな変形があり、不良。
1点:焼成前の生地からやや膨らんだ程度であり、極めて不良。
(食感)
5点:ふんわりとした食感が非常にあり、口当たりと口溶けもよく、極めて良好。
4点:ふんわりとした食感があり、口当たりと口溶け感があり、良好。
3点:ふんわりとした食感はやや感じられるが、口当たりと口溶けがやや劣り、概ね良好。
2点:ふんわりとした食感が劣り、口当たりと口溶けも劣り、不良。
1点:ふんわりとした食感、口当たり、口溶けとも大きく劣り、極めて不良。
【0031】
【0032】
表1に示すとおり、小麦粉を主原料とする参考例のパンは、外観及び食感がいずれも5点の高評価であった。一方、穀粉を全て澱粉で置き換えた比較例1では、評価はいずれも1点で極めて低評価であった。これに対し、穀粉、グルテン、架橋澱粉及び増粘多糖類を含有する製造例1-1及び1-2は、架橋澱粉を含み穀粉量が低減されたために低糖質であるにもかかわらず、外観及び食感がいずれも高評価であった。架橋澱粉を含むが、穀粉、グルテン又は増粘多糖類のいずれかを含まない比較例1-2~1-5では、外観及び食感とも評価が低かった。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】