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特開2023-273125-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミンを含む医薬製剤
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  • 特開-5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミンを含む医薬製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027312
(43)【公開日】2023-03-01
(54)【発明の名称】5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミンを含む医薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/675 20060101AFI20230221BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61K31/675
A61K9/32
A61K9/36
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/12
A61K9/20
【審査請求】有
【請求項の数】43
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022201704
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2019548708の分割
【原出願日】2018-03-06
(31)【優先権主張番号】62/468,696
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/491,179
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/569,954
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ダウンテル エス.ベルウィジス
(72)【発明者】
【氏名】サミル デサイ
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ ケー.シャーマ
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド ダブリュー.ロザムス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ ウィリアムソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニカ カートライト
(72)【発明者】
【氏名】パラグ ベド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を医薬活性成分として含む医薬組成物、特に経口投与に適する固体剤形を提供する。
【解決手段】(i)ブリガチニブを10~40重量%と、(ii)ラクトース一水和物を20~50重量%と、(iii)微結晶性セルロースを15~50重量%と、(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を0.5~5重量%と、(v)疎水性コロイダルシリカを0.2~2重量%と、(vi)ステアリン酸マグネシウムを0.2~3重量%と、を含む、医薬組成物であって、前記組成物がクロスカルメロースナトリウムを含まない、前記医薬組成物とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%と、
を含む医薬組成物。
【請求項2】
さらに、疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%含む、請求項1に記載の医薬
組成物。
【請求項3】
さらに、デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%含む、請求項1
または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%と、
(ii)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%と、
を含む医薬組成物。
【請求項5】
さらに、ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、微結晶性セルロースを約15
~約50重量%含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
さらに、デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%含む、請求項4
または請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%と、
(ii)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%と、
を含む医薬組成物。
【請求項8】
さらに、ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、微結晶性セルロースを約15
~約50重量%含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
さらに、疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%含む、請求項7または請求項
8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、前記医薬組成物の総重量に対して
約12~約35重量%、より好ましくは約15~約30重量%、最も好ましくは約18~
約25重量%の量で含む、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ブリガチニブが、遊離塩基型である、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成
物。
【請求項12】
ラクトース一水和物を、前記医薬組成物の総重量に対して約25~約45重量%、より
好ましくは約30~約40重量%、最も好ましくは約32~約38重量%の量で含む、先
行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
微結晶性セルロースを、前記医薬組成物の総重量に対して約20~約45重量%、より
好ましくは約25~約40重量%、より好ましくは約30~約40重量%、最も好ましく
は約32~約38重量%の量で含む、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
疎水性コロイダルシリカを約0.4~約2重量%、より好ましくは約0.6~約1.5
重量%、最も好ましくは約0.8~約1.2重量%の量で含む、先行請求項のいずれか1
項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1~約5重量%、より好ましくは約1.5~
約4.5重量%、より好ましくは約2~約4重量%の最適化された量で含む、先行請求項
のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
さらに、1つ以上の滑沢剤を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ステアリン酸マグネシウムを、任意に約0.2~約3重量%、約0.5~約2.5重量
%、約0.8~約2重量%または約1~約1.8重量%の量で含む、請求項16に記載の
医薬組成物。
【請求項18】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約2重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.2~約3重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約12~約35重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約25~約45重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約20~約45重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1~約5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.4~約1.8重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.5~約2.5重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約15~約30重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約30~約40重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約25~約40重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1.5~約4.5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.6~約1.5重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.8~約2重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約18~約25重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約32~約38重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約30~約38重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約2~約4重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.8~約1.2重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約1~約1.8重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)約20重量%と、
(ii)ラクトース一水和物約36~約39重量%と、
(iii)微結晶性セルロース約36~約39重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型約3重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカ約1重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウム約1.25重量%と、
からなる、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記ブリガチニブが、ブリガチニブ結晶多形A型を、ブリガチニブの総量に対して少な
くとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約
80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量
%または少なくとも約99重量%含む、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記ブリガチニブの粒径D50が、約5~約25μm、好ましくは約6~約25μm、
好ましくは約8~約22μm、より好ましくは約10~約20μmの範囲である、先行請
求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ブリガチニブの粒径D10が、少なくとも約0.5μm、より好ましくは少なくと
も約1μm、より好ましくは少なくとも約1.5μm、より好ましくは少なくとも約2μ
m、より好ましくは少なくとも約2.5μmであるが、約8μm以下である、先行請求項
のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記ブリガチニブの粒径D90が、約90μm以下、より好ましくは約60μm以下、
より好ましくは約55μm以下、より好ましくは約50μm以下、より好ましくは約45
μm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記ブリガチニブの粒径D50が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好ま
しくは8~10μmの範囲である、請求項1~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記ブリガチニブの粒径D10が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1.
5μm、より好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmまたは少なくと
も2.5μmである、請求項1~23及び27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記ブリガチニブの粒径D90が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、より
好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である、請求項1~23、27及
び28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
約25℃及び約60%の相対湿度で、少なくとも6カ月の保存安定性を有する、先行請
求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
約40℃及び約75%の相対湿度で、少なくとも8週間の保存安定性及び/または約6
0℃及び周囲湿度で、少なくとも8週間の保存安定性を有する、先行請求項のいずれか1
項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
固体経口剤形である、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
錠剤形態である、先行請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項で定義されているような医薬組成物を含むかまたはそれ
からなる錠剤核と、任意にコーティングとを含む医薬錠剤。
【請求項35】
前記錠剤核が、請求項18~22のいずれか1項で定義されているような医薬組成物か
らなる、請求項34に記載の医薬錠剤。
【請求項36】
前記錠剤核が、請求項22で定義されているような医薬組成物からなる、請求項35に
記載の医薬錠剤。
【請求項37】
ポリマーコーティング及び糖コーティングから選択したコーティングを含む、請求項3
4~36のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
【請求項38】
前記コーティングが、前記錠剤核約100重量%に対して約0.5~約10重量%、好
ましくは約1~約8重量%、好ましくは約2~約5重量%の量で存在する、請求項37に
記載の医薬錠剤。
【請求項39】
前記コーティングが、約20~約100μmの厚さで存在する、請求項37または請求
項38に記載の医薬錠剤。
【請求項40】
前記コーティングポリマーが、セルロースエーテルのようなセルロース誘導体、アクリ
ルポリマー、アクリルコポリマー、メタクリルポリマー、メタクリルコポリマー、ポリエ
チレングリコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択されている
、請求項37~39のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
【請求項41】
患者が前記錠剤を摂取後、前記薬剤物質ブリガチニブが即放されるように、前記錠剤コ
ーティングが選択されている、請求項37~40のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
【請求項42】
ブリガチニブを約5~約500mg、好ましくはブリガチニブを約10~約250mg
、より好ましくはブリガチニブを約20~約200mg含む、請求項34~41のいずれ
か1項に記載の医薬錠剤。
【請求項43】
ブリガチニブを約30mg、約90mgまたは約180mg含む、請求項42に記載の
医薬錠剤。
【請求項44】
ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれかによる医薬組成物を得るために
、ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、ラクトース一水和物、微結晶性セ
ルロース、疎水性コロイダルシリカ、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸
マグネシウムのうちの1つ以上と混和する工程と、
(ii)前記混和した医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程と、
を含む前記方法。
【請求項45】
前記ブリガチニブが、遊離塩基型である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
湿式造粒工程、乾式造粒工程及び湿式粉砕工程のうちの少なくとも1つを含まない、請
求項44または請求項45に記載の方法。
【請求項47】
工程(i)が、
(ia)ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカを混和し、スクリーン径が約400
~約800μmの範囲であるスクリーニングミルに、前記混和したブリガチニブ及び疎水
性コロイダルシリカの混合物を通す工程
を含む、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
(i)がさらに、
(ib)工程(ia)から得た前記混合物を、ラクトース一水和物、微結晶性セルロー
ス、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちの1つ以上と
混和する工程
を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
工程(ia)におけるブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの前記混合物を前記ス
クリーニングミルに2~50回、好ましくは5~20回、例えば10回通す、請求項47
または請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ブリガチニブの粒径D50が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好ま
しくは8~10μmの範囲である、請求項44~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記ブリガチニブの粒径D10が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1.
5μm、より好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmまたは少なくと
も2.5μmである、請求項44~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記ブリガチニブの粒径D90が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、より
好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である、請求項44~51のいず
れか1項に記載の方法。
【請求項53】
1-プロパノール及び酢酸エチルの混合物中のブリガチニブの溶液を70~90℃で形
成し、ブリガチニブの種結晶を加え、前記混合物を10~20℃/時の速度で0±5℃ま
で、最長で30時間冷却してから、ブリガチニブ結晶を結晶化母液から分離することによ
って、前記ブリガチニブを調製する、請求項50~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
工程(ii)で、回転式錠剤プレス機を用いて、前記医薬組成物を圧縮して、錠剤核を
形成する、請求項44~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
硬度が約10~約20kg重の範囲の錠剤が得られるように、工程(ii)における前
記圧縮パラメーターを選択する、請求項44~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
(iii)前記錠剤核にポリマーコーティングを施す工程
をさらに含む、請求項44~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記錠剤が、請求項34~43のいずれか1項に定義されているようなものである、請
求項44~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
ALKの阻害に応答する疾患または障害の治療方法であって、そのような治療の必要な
患者に、上で定義したような医薬組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項59】
ALKの阻害に応答する疾患または障害の治療方法であって、そのような治療の必要な
患者に、上で定義したような医薬組成物を投与することを含む前記方法で用いるための、
上で定義したような医薬組成物。
【請求項60】
請求項58に記載の方法、または請求項59に従って使用するための医薬組成物であっ
て、前記医薬組成物が、請求項34~43のいずれか1項に記載の錠剤の形態である前記
方法または前記医薬組成物。
【請求項61】
請求項58もしくは60に記載の方法、または請求項59もしくは60に従って使用す
るための医薬組成物であって、ALKの阻害に応答する前記疾患または障害が、非小細胞
肺癌のような、ALK+によって駆動されるがん、特に、ALK陽性非小細胞肺癌である
前記方法または前記医薬組成物。
【請求項62】
請求項58、60及び61のいずれか1項に記載の方法、または請求項59~61のい
ずれか1項に従って使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物を1日当たり、
約180mgのブリガチニブの単回用量として投与するか、または1日当たり、約90m
gのブリガチニブの単回用量として7日間の後、1日当たり、約180mgのブリガチニ
ブの単回用量として投与する前記方法または前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年3月8日に出願された米国特許仮出願第62/468,696号、
2017年4月27日に出願された同第62/491,179号及び2017年10月9
日に出願された同第62/569,954号に基づく優先権を主張するものであり、これ
らの仮出願の全体は、参照により、本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2
-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フ
ェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(「AP26113」及び「ブリガチニブ」とも
いう)を医薬活性成分として含む医薬組成物に関するものである。特には、本発明は、こ
の医薬組成物を含む錠剤及びその錠剤の調製方法に対するものである。本発明はさらに、
この医薬製剤の治療的使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ブリガチニブは、C2939ClNPという化学式を有し、584.09g/
モルの式量に相当する。その化学構造は、下に示されている。
【化1】
【0004】
ブリガチニブは、非小細胞肺癌(NSCLC)及びその他の疾患の治療に有用なマルチ
ターゲット型チロシンキナーゼ阻害剤である。ブリガチニブは、ALK(未分化リンパ腫
キナーゼ)の強力な阻害剤であり、ALKによって駆動されるNSCLCの成人患者の治
療用として、臨床開発段階にある。クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))は、A
LK陽性NSCLCの一次治療用のFDA承認薬であるが、Shaw et al.,N
ew Eng.J.Med.370:1 189-97 2014に示されているように
、「患者の大半は、初期にはクリゾチニブに応答するものの、耐性の発現により、12カ
月以内に再発している」。したがって、ブリガチニブは、ALK陽性がんのがん患者用の
新規かつ有効な療法剤である。
【0005】
ブリガチニブによって阻害されるALKまたはその他のタンパク質キナーゼが関与する
その他の疾患または状態の治療にも、ブリガチニブは有用である可能性がある。このよう
なキナーゼ及びそれと関連する障害または状態は、WO2009/143389に開示さ
れている。
【0006】
ブリガチニブは、WO2009/143389に開示されており、この特許は、参照に
より、本明細書に援用される。WO2009/143389の実施例122には、ブリガ
チニブの合成について記載されており、その生成物が灰白色固体として得られることが示
されている。ブリガチニブのいくつかの結晶多形が、WO2016/065028に記載
されており、この特許は、参照により、本明細書に援用される。
【0007】
ブリガチニブによる治療が必要な患者に、ブリガチニブの治療効果をもたらすことがで
きるように、ブリガチニブを医薬組成物、特に、経口投与に適する固体剤形に調合する必
要がある。とりわけ、ブリガチニブを含む最適化された医薬組成物を特定するのが難しい
点は、活性成分及び賦形剤の化学的安定性及び物理的安定性、混和した医薬組成物の均質
性、固体剤形の硬度及び強度とともに、有効な溶解特性及びバイオアベイラビリティ特性
を確保する必要がある点である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%及び
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%及び
(ii)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約5重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%及び
(ii)デンプングリコール酸ナトリウムを約0.5~約5重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%及び
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明はさらに、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%及び
(ii)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約5重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明はさらに、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%及び
(ii)デンプングリコール酸ナトリウムを約0.5~約5重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明は、上で定義した医薬組成物の固体経口剤形、特に錠剤も提供する。その錠剤は
、本発明の医薬組成物を含む錠剤核を含んでよく、例えば、錠剤をさらに嚥下しやすくす
るとともに、錠剤の外観を高めるために、その錠剤核には、コーティングが施されている
。本発明の錠剤核及びコーティング錠は、優れた物理的安定性、高い錠剤硬度及び高い核
強度、迅速な溶解、ならびに高いバイオアベイラビリティという望ましい特徴を同時に示
すことがわかっている。
【0015】
本発明はさらに、ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれかによる医薬組成物を得るために
、ブリガチニブを、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、疎水性コロイダルシリカ
、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちの1つ以上と混
和する工程、ならびに
(ii)混和したその医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程
を含む方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれかによる医薬組成物を得るために
、ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、ラクトース一水和物、微結晶性セ
ルロース、疎水性コロイダルシリカ、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸
マグネシウムのうちの1つ以上と混和する工程、ならびに
(ii)混和したその医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程
を含む方法を提供する。
【0017】
この方法は任意に、錠剤核をコーティングでコーティングすることをさらに含んでもよ
く、そのコーティングは、多糖、PVA(ポリビニルアルコール)及びアクリルのような
ポリマーコーティングから選択してよい。本発明のブリガチニブ含有組成物には、本発明
の方法に従って用いて、許容できない欠陥頻度の見られないブリガチニブ含有錠剤核を製
造できるというさらなる利点がある。
【0018】
本発明はさらに、ALKの阻害に応答する疾患または障害(非小細胞肺癌など)の治療
方法であって、そのような治療の必要な患者に、本明細書に記載されているような医薬組
成物を投与することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明はさらに、ALKの阻害に応答する疾患または障害(非小細胞肺癌など)の治療
方法であって、そのような治療の必要な患者に、医薬組成物を投与することを含む方法で
使用するために、本明細書に記載されているような医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ブリガチニブ及びコロイド状二酸化ケイ素を用いる代表的な共処理プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ブリガチニブを含む医薬製剤では、使用する賦形剤の選択に対する感受性が高く、並は
ずれていることがわかっている。本出願者による鋭意研究を受け、薬剤物質ブリガチニブ
の安定性、ならびに強度及び硬度が高レベルなブリガチニブ含有錠剤を製造できるかは、
選択する賦形剤に密接に依存することがわかっている。好適な賦形剤を特定したときでさ
えも、ブリガチニブは、比較的圧密特性が低いことがわかっているので、凝集性及び摩損
性の面で劣っている問題を回避できても、ブリガチニブを含む医薬組成物は、圧縮性域が
比較的狭い。ブリガチニブは、凝集性が高く、並はずれていることがあるので、最適な性
能を得るには、特殊な医薬製剤及び製造方法が必要であることも本発明者は発見した。
【0022】
これらの問題に対処するために、ブリガチニブを含む最適化された医薬組成物を本出願
者は開発した。
【0023】
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」という用語は、ヒトまたはその他の哺乳動物
対象への投与に適する、所定量の医薬活性成分及び1つ以上の製薬学的に許容可能な賦形
剤を含む組成物を指す。本発明の医薬組成物は好ましくは、その組成物の構成成分が粒子
(例えば、粉末または顆粒)形状で存在する乾燥組成物である。その組成物の構成成分は
典型的には、実質的に均質な組成物を形成するように、好適な形で混和する。本発明で特
定された賦形剤は、米国薬局方、国民医薬品集、欧州薬局方及び日本薬局方のうちの1つ
以上に定められているような、製薬用途用の仕様と好適に適合する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「賦形剤」という用語は、医薬活性成分以外の製薬学的に許
容可能な成分であって、患者への投与用に医薬活性成分を調合する目的で使用する成分を
指す。製薬業界で、固体剤形の調製用に一般的に用いられている賦形剤のカテゴリーとし
ては、充填剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、崩壊剤及び保存剤が挙げられる。各カテゴリ
ー内の賦形剤の選択、それらの量及びそれらと活性医薬成分との適合性の程度により、多
種多様な特性の、考え得る製剤の範囲が、非常に広くなる。
【0025】
第1の態様では、本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%及び
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0026】
第1の態様では、本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%及び
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0027】
ラクトース一水和物及び微結晶性セルロースは、本発明の医薬組成物において、充填剤
として使用されており、ラクトース一水和物及び微結晶性セルロースを充填剤として使用
すると(個別の場合及び組み合わせる場合の両方)、当該技術分野において利用可能であ
る他の充填剤と比べたときに、活性成分ブリガチニブの安定性が向上することがわかって
いる。
【0028】
本発明の第1の態様の医薬組成物は好ましくは、1つ以上の流動化剤を含む。より好ま
しくは、本発明の第1の態様の医薬組成物は、疎水性コロイダルシリカを含む。さらに好
ましくは、本発明の第1の態様の医薬組成物は、疎水性コロイダルシリカを約0.2~約
3重量%含む。疎水性コロイダルシリカは、本発明の組成物におけるブリガチニブの凝集
性を原因とする問題に対処するために、流動化剤として使用してよい。ブリガチニブ粒子
の流動性を効果的に高めるために、疎水性コロイダルシリカは好ましくは、ブリガチニブ
粒子の表面で接着性コーティングを形成して、その結果、凝集性または粘着性の低下した
外面を持つブリガチニブ表面をもたらし、その外面により、ブリガチニブ粒子を含む均質
な混和組成物の形成が容易になるとともに、圧縮による錠剤核の形成中に、医薬組成物が
臼壁に粘着することによる製剤時の問題が回避される。「接着性コーティング」とは、ブ
リガチニブ粒子に付着して、ブリガチニブ粒子の表面を少なくとも部分的に覆うコーティ
ングである。本明細書に記載されているように、薬剤物質ブリガチニブ及び疎水性コロイ
ダルシリカを混ぜ合わせる最適化された方法を用いて、本発明の組成物の性能をさらに高
めることができる。
【0029】
本発明の第1の態様の医薬組成物は好ましくは、1つ以上の崩壊剤を含む。崩壊剤は、
摂取後、消化管内の水分と接触すると膨張し、その結果、錠剤の崩壊及び活性成分ブリガ
チニブの放出を促す物質である。好ましい崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムA
型である。好ましくは、デンプングリコール酸ナトリウムA型は、本発明の医薬組成物の
約0.5~約5重量%の量で存在する。デンプングリコール酸ナトリウムA型を崩壊剤と
して使用すると、当該技術分野で利用可能である他の崩壊剤と比べたときに、活性成分ブ
リガチニブの安定性が向上することがわかっている。
【0030】
第2の態様では、本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%及び
(ii)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0031】
第2の態様では、本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%及び
(ii)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、疎水性コロイダルシリカは好ましくは、ブリガチニブ粒
子の表面で接着性コーティングを形成する。本明細書に記載されているように、薬剤物質
ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカを混ぜ合わせる最適化された方法を用いて、本
発明の組成物の性能をさらに高めることができる。
【0033】
本発明の第2の態様の医薬組成物は好ましくは、1つ以上の充填剤を含む。より好まし
くは、本発明の第2の態様の医薬組成物は、ラクトース一水和物及び微結晶性セルロース
のうちの1つ以上を含む。さらに好ましくは、本発明の第2の態様の医薬組成物は、ラク
トース一水和物を約20~約50重量%及び微結晶性セルロースを約15~約50重量%
含む。
【0034】
本発明の第2の態様の医薬組成物は好ましくは、1つ以上の崩壊剤を含む。より好まし
くは、本発明の第2の態様の医薬組成物は、デンプングリコール酸ナトリウムA型を含む
。さらに好ましくは、本発明の第2の態様の医薬組成物は、デンプングリコール酸ナトリ
ウムA型を約0.5~約5重量%含む。
【0035】
第3の態様では、本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%及び
(ii)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0036】
第3の態様では、本発明は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%及び
(ii)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%
含む医薬組成物を提供する。
【0037】
デンプングリコール酸ナトリウムA型を崩壊剤として使用すると、当該技術分野で利用
可能である他の崩壊剤と比べたときに、活性成分ブリガチニブの安定性が向上することが
わかっている。
【0038】
本発明の第3の態様の医薬組成物は好ましくは、1つ以上の充填剤を含む。より好まし
くは、本発明の第3の態様の医薬組成物は、ラクトース一水和物及び微結晶性セルロース
のうちの1つ以上を含む。さらに好ましくは、本発明の第3の態様の医薬組成物は、ラク
トース一水和物を約20~約50重量%及び微結晶性セルロースを約15~約50重量%
含む。
【0039】
本発明の第3の態様の医薬組成物は好ましくは、1つ以上の流動化剤を含む。より好ま
しくは、本発明の第3の態様の医薬組成物は、疎水性コロイダルシリカを含む。さらに好
ましくは、本発明の第3の態様の医薬組成物は、疎水性コロイダルシリカを約0.2~約
3重量%含み、その疎水性コロイダルシリカは好ましくは、ブリガチニブ粒子の表面で接
着性コーティングを形成する。本明細書に記載されているように、薬剤物質ブリガチニブ
及び疎水性コロイダルシリカを混ぜ合わせる最適化された方法を用いて、本発明の組成物
の性能をさらに高めることができる。
【0040】
本発明の医薬組成物は好ましくは、ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を
、その医薬組成物の総重量に対して約12~約35重量%、より好ましくは約15~約3
0重量%、最も好ましくは約18~約25重量%の最適化された量で含む。本発明で特定
された賦形剤のうちの特定の選択物とともに、上記の最適化された量でブリガチニブを用
いると、ブリガチニブ含有組成物の摩損性の問題に対する有効な解決策が得られることが
わかっている。
【0041】
本発明の医薬組成物は好ましくは、ラクトース一水和物を、その医薬組成物の総重量に
対して約25~約45重量%、より好ましくは約30~約40重量%、最も好ましくは約
32~約38重量%の最適化された量で含む。
【0042】
本発明の医薬組成物は好ましくは、微結晶性セルロースを、その医薬組成物の総重量に
対して約20~約45重量%、より好ましくは約25~約40重量%、より好ましくは約
30~約40重量%、最も好ましくは約32~約38重量%の最適化された量で含む。
【0043】
本発明の医薬組成物は好ましくは、疎水性コロイダルシリカを約0.4~約2重量%、
より好ましくは約0.6~約1.5重量%、最も好ましくは約0.8~約1.2重量%の
最適化された量で含む。上述のように、疎水性コロイダルシリカは好ましくは、ブリガチ
ニブ粒子の表面で接着性コーティングを形成する。疎水性コロイダルシリカの接着性コー
ティングを有するブリガチニブ粒子は、例えば、本発明の医薬組成物の他の構成成分を加
える前に、ブリガチニブ粒子を疎水性コロイダルシリカと混和することによって得てよい
【0044】
疎水性コロイダルシリカの接着性コーティングを有するブリガチニブ粒子は好ましくは
、ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカを混和し、スクリーン径が400~800μ
mの範囲であるスクリーニングミルに、混和したブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリ
カの混合物を通すことによって得る。ブリガチニブ表面を覆う疎水性コロイダルシリカの
最適化された分布、ならびに本発明の組成物中でのブリガチニブの最適化された流動性及
び最適化された分散性を得るために、ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの混合物
は好ましくは、スクリーニングミルに数回、好ましくは2~50回または5~20回、例
えば10回通す。
【0045】
本発明の医薬組成物は好ましくは、デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1~約5
重量%、より好ましくは約1.5~約4.5重量%、より好ましくは約2~約4重量%の
最適化された量で含む。
【0046】
本発明の第1の態様の医薬組成物は、その組成物を含む固体剤形、特に錠剤の製剤性を
高めるために、好ましくは1つ以上の滑沢剤をさらに含む。滑沢剤を用いると、錠剤核の
圧縮及び排出中に、医薬組成物が臼壁に粘着するのが回避される。好ましい滑沢剤は、ス
テアリン酸マグネシウムである。好適には、ステアリン酸マグネシウムは、約0.2~約
3重量%、例えば約0.5~約2.5重量%、約0.8~約2重量%または約1~約1.
8重量%の量で存在する。
【0047】
ブリガチニブは、ブリガチニブの遊離塩基型または製薬学的に許容可能な塩の形態であ
ってよい。本明細書で使用する場合、「製薬学的に許容可能な塩」という用語は、妥当な
医学的判断の正常な範囲内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答などを起こさずに、
ヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適するとともに、合理的な利益/リス
ク比と釣り合う塩を指す。アミンの製薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野において周
知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sc
iences,66:1-19(1977)において、製薬学的に許容可能な塩について
詳細に説明しており、この文献は、参照により本明細書に援用される。ブリガチニブの塩
は、ブリガチニブの単離及び精製中に、インサイチューで調製することも、または別個に
、ブリガチニブの遊離塩基を好適な酸と反応させることによって調製することもできる。
製薬学的に許容可能な非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過
塩素酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク
酸もしくはマロン酸のような有機酸と形成されるか、あるいは、イオン交換のように、当
該技術分野において用いられている他の方法を用いることによって形成される、アミノ基
の塩である。その他の製薬学的に許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、
アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、
ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプ
ロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル
酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸
塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオ
ン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸
塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイ
ン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニ
ルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン
酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウ
ンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0048】
好ましくは、ブリガチニブは、遊離塩基型である。別段の定めのない限り、本明細書で
、5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ
-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピ
リミジン-2,4-ジアミンまたはブリガチニブに言及する際には、ブリガチニブの遊離
塩基型を意味すると解釈するものとする。
【0049】
本発明による好ましい医薬組成物は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%、
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約2重量%、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.2~約3重量%
含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、この組成物は、完全に構成成分(i)~(vi)からなる。
【0051】
本発明によるさらに好ましい医薬組成物は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約12~約35重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約25~約45重量%、
(iii)微結晶性セルロースを約20~約45重量%、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1~約5重量%、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.4~約1.8重量%、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.5~約2.5重量%
含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、この組成物は、完全に構成成分(i)~(vi)からなる。
【0053】
本発明によるさらに好ましい医薬組成物は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約15~約30重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約30~約40重量%、
(iii)微結晶性セルロースを約25~約40重量%、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1.5~約4.5重量%、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.6~約1.5重量%、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.8~約2重量%
含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、この組成物は、完全に構成成分(i)~(vi)からなる。
【0055】
本発明によるさらに好ましい医薬組成物は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約18~約25重量%、
(ii)ラクトース一水和物を約32~約38重量%、
(iii)微結晶性セルロースを約30~約38重量%、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約2~約4重量%、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.8~約1.2重量%、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約1~約1.8重量%
含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、この組成物は、完全に構成成分(i)~(vi)からなる。
【0057】
本発明による特に好ましい医薬組成物は、
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)約20重量%、
(ii)ラクトース一水和物約37~約38重量%、
(iii)微結晶性セルロース約37~約38重量%、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型約3重量%、
(v)疎水性コロイダルシリカ約1重量%、
(vi)ステアリン酸マグネシウム約1.25重量%
からなる。
【0058】
本発明は、ブリガチニブの固体経口剤形を調製するための最適化されたブリガチニブ含
有医薬組成物を提供し、上で具体的に定めた賦形剤以外の追加の賦形剤を組み込むと、そ
の組成物の特性に対して、例えば、薬剤物質ブリガチニブの安定性、または本発明の医薬
組成物を含む固体経口剤形の製剤性に関して、有害な作用が及び得ることがわかるであろ
う。したがって、上で具体的に定めた賦形剤以外のいずれかの追加の賦形剤の量は好まし
くは、本発明の医薬組成物の約10重量%未満、より好ましくは組成物の約5重量%未満
、より好ましくは組成物の約2重量%未満、より好ましくは組成物の約1重量%未満、最
も好ましくは組成物の約0.5重量%未満である。最適には、本発明の医薬組成物は、示
されている割合で、上で具体的に定めたこれらの賦形剤のみからなっていてよい。好まし
くは、本発明の医薬組成物は、第二リン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウムま
たはラウリル硫酸ナトリウムを含まない。
【0059】
ブリガチニブは、WO2016/065028に詳細に記載されているように、A~K
型と称される多くの結晶多形で存在し得る。本発明の医薬組成物では、ブリガチニブは好
ましくは、ブリガチニブA型を含む。例えば、本発明の組成物は、ブリガチニブA型を、
ブリガチニブの総量に対して少なくとも約50重量%含むことができる。いくつかの実施
形態では、ブリガチニブは、ブリガチニブA型を、ブリガチニブの総量に対して少なくと
も約60重量%含んでよい。いくつかの実施形態では、ブリガチニブは、ブリガチニブA
型を少なくとも約70重量%含んでよい。いくつかの実施形態では、ブリガチニブは、ブ
リガチニブA型を少なくとも約80重量%含んでよい。いくつかの実施形態では、ブリガ
チニブは、ブリガチニブA型を少なくとも約90重量%含んでよい。いくつかの実施形態
では、ブリガチニブは、ブリガチニブA型を少なくとも約95重量%含んでよい。いくつ
かの実施形態では、ブリガチニブは、ブリガチニブA型を少なくとも約98重量%含んで
よい。いくつかの実施形態では、ブリガチニブは、ブリガチニブA型を少なくとも約99
重量%含んでよい。好適には、ブリガチニブは、完全にブリガチニブA型からなってもよ
い。
【0060】
ブリガチニブA型は、無水かつ非吸湿性であり、溶媒媒介転移もしくは固相間転移を介
して、または高温、高湿、機械的圧力もしくは粉砕に暴露されることによって、他の結晶
多形に変換されることはない。ブリガチニブA型の化学構造及び結晶構造は、NMR分光
法、質量分析法、X線粉末回折及び単結晶X線結晶構造解析を組み合わせたものによって
、明白に立証されている。確証的データは、元素解析及びFT-IR分光法によって得ら
れる。本発明の医薬組成物は、ブリガチニブA型を調合するのに特に適する。A型は、多
くの場合、板状の形態を有するA型粒子が原因で、凝集性が格別であり、並はずれている
からである。
【0061】
各実施形態を含め、本明細書全体を通じて、医薬組成物の総重量%は、約100%であ
る(コーティングを除く)。
【0062】
「約」という用語は、数値または範囲とともに用いられているときには、それらの数値
(複数可)の上下に境界を広げることによって、その値または範囲を修正する。概して、
「約」という用語は、本明細書では、示されている値よりも上下に、10%、5%または
1%の変動率で数値を修正するために使用されている。いくつかの実施形態では、「約」
という用語は、示されている値よりも上下に、10%の変動率で数値を修正するために使
用されている。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、示されている値よりも上
下に、5%の変動率で数値を修正するために使用されている。いくつかの実施形態では、
「約」という用語は、示されている値よりも上下に、1%の変動率で数値を修正するため
に使用されている。
【0063】
本発明によれば、本発明の医薬組成物を含む固体経口剤形の特性を最適化するために、
ブリガチニブの粒径を制御してよい。ブリガチニブの粒径D50が、約5~約25μm、
好ましくは約6~約25μm、好ましくは約8~約22μm、より好ましくは約10~約
20μmの範囲であるときに、本発明の医薬組成物を含む錠剤核の硬度の向上及び摩損性
の低減が得られることがわかっている。
【0064】
ブリガチニブ粒子の粒径D10は、好ましくは少なくとも0.5μm、より好ましくは
少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも約1.5μm、より好ましくは少なくとも
約2μm、より好ましくは少なくとも約2.5μmであるが、約8.0μm以下である。
【0065】
ブリガチニブ粒子の粒径D90は、好ましくは約90μm以下、より好ましくは約60
μm以下、より好ましくは約55μm以下、より好ましくは約50μm以下、より好まし
くは約45μm以下である。
【0066】
より詳細には、
(a)ブリガチニブの粒径D50が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好
ましくは8~10μmの範囲であり、及び/または
(b)ブリガチニブの粒径D10が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1
.5μm、より好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmもしくは少な
くとも2.5μmであり、及び/または
(c)ブリガチニブの粒径D90が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、よ
り好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下であるときに、
ブリガチニブの流動性の向上と、それによる、混和医薬組成物の均質性の向上、ならび
に本発明の医薬組成物を含む錠剤核の硬度の向上及び摩損性の低減が得られることがわか
っている。
【0067】
より好ましい実施形態では、ブリガチニブの粒径D50は、6~15μmの範囲であり
、粒径D10は、少なくとも1.5μmであり、粒径D90は、30μm以下である。
【0068】
特に好ましい実施形態では、ブリガチニブの粒径D50は、8~10μmの範囲であり
、粒径D10は、少なくとも1.8μmであり、粒径D90は、25μm以下である。
【0069】
「粒径」という用語は、本明細書で使用する場合、球相当直径(esd)、すなわち、
所定の粒子と同じ体積である球の直径を指す。「D50」及び「粒径D50」という用語
は、本明細書で使用する場合、体積基準中位粒径、すなわち、その粒径未満に、粒子集団
の約50体積%が入る粒径を指す。「D10」及び「粒径D10」という用語は、本明細
書で使用する場合、10パーセンタイルの体積基準中位粒径、すなわち、その粒径未満に
、粒子集団の約10体積%が入る粒径を指す。「D90」及び「粒径D90」という用語
は、本明細書で使用する場合、90パーセンタイルの体積基準中位粒径、すなわち、その
粒径未満に、粒子集団の約90体積%が入る粒径を指す。
【0070】
本明細書に報告されている粒径及び粒径分布は、常法のレーザー回折技法によって求め
ることができる。レーザー回折は、粒子が、その粒子の大きさによって変動する角度で光
を散乱させ、粒子の集まりが、粒径分布に相関し得る強度及び角度によって定義される散
乱光パターンを発生させるという原理に依存する。粒径分布を迅速かつ確実に求めるため
のものとして、数多くのレーザー回折装置が市販されている。別段の記載のない限り、本
明細書で指定または報告されている粒径分布測定値は、Beckman Coulter
LS 13 320 Laser Diffraction Particle Si
zerを用いて測定したものである。
【0071】
本発明の医薬組成物は好ましくは、約25℃及び約60%の相対湿度で、少なくとも6
カ月の保存安定性を有し、この保存安定性は、HPLCによって求めた場合に、ブリガチ
ニブ関連不純物の形成が、ブリガチニブの初期量に対して約2%重量以下、好ましくは1
重量%以下であることとして定義できる。好ましくは、本発明の医薬組成物は、約40℃
及び約75%の相対湿度で少なくとも8週間、及び/または約60℃及び周囲湿度で少な
くとも8週間の保存安定性を有する。
【0072】
本発明の医薬組成物は好ましくは、固体経口剤形である。固体経口剤形としては、錠剤
、丸剤、カプセル剤、散剤が挙げられる。好ましくは、本発明の固体経口剤形は、錠剤で
ある。
【0073】
第4の態様では、本発明は、上で定義したような医薬組成物及び任意にコーティングを
含むかまたはそれらからなる錠剤核を含む錠剤を提供する。
【0074】
好適なコーティングは、ポリマーコーティング及び糖コーティングから選択してよい。
コーティングは典型的には、重量を、錠剤核100重量%に対して約0.5~約10重量
%、好ましくは約1~約8重量%、好ましくは約2~約5重量%増加させるように施す。
典型的には、コーティング厚は、約20~約100μmの範囲である。コーティングは、
錠剤の特性を高めるか、またはコーティングプロセスを容易にするために、1つ以上の添
加剤、例えば、顔料、可塑剤及び界面活性剤を含んでよい。
【0075】
本発明による錠剤用のコーティングとして用いてよいポリマーの例としては、セルロー
スエーテルのようなセルロース誘導体、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、メタク
リルポリマー、メタクリルコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン
及びポリビニルアルコールが挙げられる。好適なコーティングポリマーの例としては、メ
チルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース酢酸塩コハク酸塩(HPMC AS)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース
フタル酸塩(HPMCP)が挙げられる。好ましいコーティングポリマーは、PVA、例
えば、Colorconから「Opadry」ブランドとして販売されている、PVAベ
ースのコーティングである。
【0076】
錠剤及びいずれかのコーティングは好ましくは、患者が錠剤を摂取後、薬剤物質ブリガ
チニブが即放されるように選択する。本明細書で使用する場合、「即放」という用語は、
当該技術分野におけるその従来の意味を有する。例えば、即放組成物は典型的には、治療
用化合物の大半を迅速に放出させ、例えば、経口摂取から例えば30分の期間内に、薬剤
物質ブリガチニブの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%また
は少なくとも約90%を放出させる。
【0077】
本発明の錠剤は好適には、1つ以上の識別マークを備えてよい。例えば、錠剤には、識
別マークがエンボス加工もしくはデボス加工されていてよく、または識別マーカーが、錠
剤の表面に印字されていてもよい。
【0078】
本発明の錠剤は好適には、ブリガチニブを約5~約500mg、好ましくはブリガチニ
ブを約10~約250mg、より好ましくはブリガチニブを約20~約200mg含んで
よい。例えば、本発明の錠剤は、ブリガチニブを約20mg、約30mg、約40mg、
約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約11
0mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約
170mg、約180mg、約190mgまたは約200mg含んでよい。好ましい実施
形態では、本発明の錠剤は、ブリガチニブを約30mg含んでよい。別の好ましい実施形
態では、本発明の錠剤は、ブリガチニブを約60mg含んでよい。別の好ましい実施形態
では、本発明の錠剤は、ブリガチニブを約90mg含んでよい。別の好ましい実施形態で
は、本発明の錠剤は、ブリガチニブを約180mg含んでよい。ブリガチニブの配合量は
、錠剤核の約30重量%未満、好ましくは錠剤核の約25重量%未満であってよい。いく
つかの実施形態では、ブリガチニブの配合量は、錠剤核の約20重量%であってよい。好
ましい実施形態では、本発明の錠剤は、錠剤核中に約20重量%のブリガチニブ配合量で
、ブリガチニブを約30mg、約90mgまたは約180mg含んでよい。ブリガチニブ
が製薬学的に許容可能な塩の形態である場合、上記の薬物配合量は、ブリガチニブの遊離
塩基の量に基づくものであり、その塩を形成するのに用いた酸の重量は考慮に入れない。
【0079】
本発明の錠剤は、円形またはひし形であってよい。ひし形の錠剤は、ブリガチニブをよ
り高用量(例えば、約20重量%のブリガチニブ配合量で、ブリガチニブを約90mgま
たは約180mg)含む錠剤に好ましい。ひし形の錠剤は、患者がより嚥下しやすくなり
得るからである。
【0080】
第5の態様では、本発明は、ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれかによる医薬組成物を得るために
、ブリガチニブを、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、疎水性コロイダルシリカ
、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちの1つ以上と混
和する工程、ならびに
(ii)混和したその医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程
を含む方法を提供する。
【0081】
第5の態様では、本発明は、ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれかによる医薬組成物を得るために
、ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、ラクトース一水和物、微結晶性セ
ルロース、疎水性コロイダルシリカ、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸
マグネシウムのうちの1つ以上と混和する工程、ならびに
(ii)混和したその医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程
を含む方法を提供する。
【0082】
驚くべきことに、本発明の医薬組成物に対して直接圧縮プロセスを行って、従来の湿式
造粒工程、乾式造粒工程または湿式粉砕の必要なしに、強度、硬度及び含量均一性に関し
て、所望の仕様を満たす錠剤を得ることができることがわかっている。したがって、本発
明によれば、上で定義した方法は好ましくは、湿式造粒、乾式造粒及び湿式粉砕のうちの
少なくとも1つを含まない。より好ましくは、本発明の方法は、湿式造粒、乾式造粒及び
湿式粉砕のいずれも含まない。
【0083】
工程(i)のブリガチニブは好ましくは、遊離塩基型である。
【0084】
好ましい実施形態では、本発明の方法の工程(i)は、
(ia)ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカを混和し、スクリーン径が約400
~約800μmの範囲であるスクリーニングミルに、混和したブリガチニブ及び疎水性コ
ロイダルシリカの混合物を通す工程
を含む。
【0085】
ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの混合物は好ましくは、スクリーニングミル
に数回、好ましくは2~50回、より好ましくは5~20回、例えば10回通す。
【0086】
本発明の方法に従って、ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの混合物を繰り返し
篩分することは、ブリガチニブ粒子の表面にわたって、疎水性コロイダルシリカを効果的
に分布させる重要な要因であることがわかっている。疎水性コロイダルシリカの接着性コ
ーティングを有するブリガチニブ粒子であって、本発明の反復篩分法によって形成したブ
リガチニブ粒子では、医薬活性成分を賦形剤と混和する従来の方法と比べたときに、ブリ
ガチニブ粒子の凝集が大幅に低減する。したがって、本発明の方法は、錠剤核の硬度の向
上及び摩損性の低減とともに、混和医薬組成物の均質性の向上をもたらす。
【0087】
(a)粒径D50が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好ましくは8~1
0μmの範囲であり、及び/または
(b)粒径D10が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1.5μm、より
好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmもしくは少なくとも2.5μ
であり、及び/または
(c)粒径D90が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、より好ましくは3
0μm以下、より好ましくは25μm以下である
ブリガチニブを用いて、工程(i)/(ia)を行うと、上記の特性がさらに改善する
【0088】
10、D50及びD90の値が、上に定められている好ましい範囲内であるブリガチ
ニブを得るために、本発明者は、新規な結晶化プロセスを開発した。好ましい実施形態で
は、工程(i)/(ia)で用いるブリガチニブは、1-プロパノール及び酢酸エチルの
混合物中のブリガチニブの溶液を70~90℃で形成し、ブリガチニブの種結晶を加え、
その混合物を10~20℃/時の速度で0±5℃まで、最長で30時間冷却してから、ブ
リガチニブ結晶を結晶化母液から分離することによって調製する。
【0089】
1-プロパノール及び酢酸エチルは好適には、5:1~1:1、例えば4:1~2:1
、好ましくは約3:1の体積比で使用する。
【0090】
ブリガチニブの種結晶は好ましくは、溶液中のブリガチニブの量に対して0.001~
0.01重量%の量で使用する。ブリガチニブの種結晶は、ブリガチニブ結晶多形A型の
結晶であってよい。
【0091】
1-プロパノール及び酢酸エチルの混合物は好適には、溶液中のブリガチニブ1重量部
に対して2~10重量部、より好ましくは3~7重量部、より好ましくは4~6重量部、
例えば5重量部の量で使用する。
【0092】
好ましい実施形態では、本発明の方法の工程(i)は、
(ib)工程(ia)から得た混合物を、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、
デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちの1つ以上と混和
する工程
を含む。
【0093】
回転式錠剤プレス機を用いて、医薬組成物を工程(ii)で圧縮して、錠剤核を形成し
てよい。回転式錠剤プレス機は、必要とされる錠剤サイズに適するツール及び打錠臼を備
え、及び/またはプレス機には、好適な識別マークがエンボス加工もしくはデボス加工さ
れていてよい。圧縮パラメーターは好適には、硬度が10~20kg重の範囲の錠剤が得
られるように選択する。
【0094】
本発明の方法に従って調製した錠剤は好適には、ブリガチニブを約5~約500mg、
好ましくはブリガチニブを約10~約250mg、より好ましくはブリガチニブを約20
~約200mg含んでよい。例えば、本発明の錠剤は、ブリガチニブを約20mg、約3
0mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、
約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150m
g、約160mg、約170mg、約180mg、約190mgまたは約200mg含ん
でよい。好ましい実施形態では、本発明に従って調製した錠剤は、ブリガチニブを約30
mg含んでよい。別の好ましい実施形態では、本発明に従って調製した錠剤は、ブリガチ
ニブを約60mg含んでよい。別の好ましい実施形態では、本発明に従って調製した錠剤
は、ブリガチニブを約90mg含んでよい。別の好ましい実施形態では、本発明に従って
調製した錠剤は、ブリガチニブを約180mg含んでよい。ブリガチニブの配合量は、錠
剤核の約30重量%未満、好ましくは約25重量%未満であってよい。いくつかの実施形
態では、ブリガチニブの配合量は、錠剤核の約20重量%であってよい。好ましい実施形
態では、本発明の錠剤は、錠剤核中に約20重量%のブリガチニブ配合量で、ブリガチニ
ブを約30mg、約90mgまたは約180mg含んでよい。ブリガチニブが製薬学的に
許容可能な塩の形態である場合、上記の薬物配合量は、ブリガチニブの遊離塩基の量に基
づくものであり、その塩を形成するのに用いた酸の重量は考慮に入れない。
【0095】
本発明の方法は任意に、
(iii)錠剤核にポリマーコーティングを施す工程
をさらに含んでよい。
【0096】
好適なポリマーコーティングの種類は、上に定義されている。ポリマーコーティングは
好適には、乾燥重量を、錠剤核約100重量%に対して約0.5~約10重量%、好まし
くは約1~約8重量%、好ましくは約2~約5重量%増加させるのに効果的な量で施す。
【0097】
工程(iii)における錠剤のコーティングは典型的には、バッチプロセスとして、回
転する多孔コーティングパンの中で行う。錠剤核の基材を攪拌し続けながら、コーティン
グポリマー及びいずれかの添加剤の液体溶液または懸濁液を錠剤核の上に噴霧する。乾い
たコーティングを均一な量で備える錠剤核をもたらすために、錠剤基材を通るように吸い
込まれる加熱気流によって、コーティング溶液/懸濁液を乾燥する。
【0098】
本発明は、本発明の第5の態様の方法によって得られる錠剤を提供する。
【0099】
本明細書に記載されている医薬組成物及び錠剤は、ALKの阻害に応答する疾患/障害
の治療、特には、がんの治療に用いてよい。
【0100】
したがって、本発明は、第6の態様では、ALKの阻害に応答する疾患または障害の治
療方法であって、そのような治療の必要な患者に、上で定義したような医薬組成物を投与
することを含む方法を提供する。好適には、その医薬組成物は、本発明の第4の態様によ
る錠剤の形態である。
【0101】
第7の態様では、本発明は、ALKの阻害に応答する疾患または障害の治療方法であっ
て、そのような治療の必要な患者に、上で定義したような医薬組成物を投与することを含
む方法で用いるための、上で定義したような医薬組成物を提供する。好適には、その医薬
組成物は、本発明の第4の態様による錠剤の形態である。
【0102】
いくつかの実施形態では、ALKの阻害に応答する疾患または障害は、非小細胞肺癌の
ように、ALK+によって駆動されるがん、特には、ALK陽性非小細胞肺癌である。そ
のALK陽性非小細胞肺癌は、局所進行または転移性ALK陽性非小細胞肺癌であってよ
い。
【0103】
本発明の医薬組成物は、その他のがんの治療にも有効である場合がある。このようなが
んとしては、乳癌、神経膠肉腫及び神経芽腫のような神経腫瘍、食道癌、横紋筋肉腫など
のような軟組織癌、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)として知られている非ホジキン
リンパ腫(NHL)のような各種型のリンパ腫、各種型の白血病、ならびにALKまたは
c-metによって媒介されるがんが挙げられるが、これらに限らない。
【0104】
いくつかの実施形態では、患者は以前に、クリゾチニブまたは別のチロシンキナーゼ阻
害剤による治療を受けたことがある。
【0105】
本発明の医薬組成物は、がん細胞の成長もしくは拡散、腫瘍の大きさもしくは数を抑制
するか、またはがんのレベル、病期、進行もしくは重症度に関して、測定可能ないくつか
のその他の効果を得るのに有効な量で、患者に投与する。正確な必要量は、患者の年齢及
び状態、疾患の重症度、ならびに本発明の医薬組成物とのその他の治療活性物質の併用を
含む要因によって決定し得る。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、1日当たり約1
80mgのブリガチニブの単回用量として、患者に投与してよい。別の実施形態では、本
発明の医薬組成物は、1日当たり約90mgのブリガチニブの単回用量として7日間の後
、1日当たり約180mgのブリガチニブの単回用量として、患者に投与してよい。
【0106】
本明細書に開示されているような医薬組成物は、ブリガチニブが唯一の活性医薬剤であ
る治療レジメンの一部として投与することも、または併用療法の一部として、1つ以上の
その他の治療剤と併用することもできる。併用療法の構成成分の1つとして投与するとき
には、投与する治療剤は、同時にまたは異なる時間(例えば、もう一方の治療剤の72時
間以内、48時間以内もしくは24時間以内)に順次に投与する別個の組成物として調合
できる。
【0107】
したがって、本明細書に開示されているような医薬組成物でのブリガチニブの投与は、
がんの予防または治療において、放射線療法または細胞増殖抑制剤、細胞毒性剤、その他
の抗がん剤及びがんの症状もしくはいずれかの薬物の副作用を改善するその他の薬物のよ
うに、当業者に知られている少なくとも1つの追加の治療剤と併せたものであることがで
きる。追加の治療剤の非限定的な例としては、免疫療法に適する薬剤(例えば、PD-1
阻害剤及びPDL-1阻害剤など)、血管新生阻害に適する薬剤(例えばベバシズマブな
ど)及び/または化学療法に適する薬剤が挙げられる。本発明の医薬組成物との併用療法
で用いてよい治療剤の包括的なリストは、WO2016/065028に見ることができ
る。
【0108】
本明細書に記載されている、本発明の各種の態様及び実施形態は、組み合わせることが
できる。
【0109】
さらなる態様では、本発明は、ラクトース一水和物が無水ラクトースに置き換えられて
いる以外は、上で定義したとおりである医薬組成物、方法及び用途を提供する。本発明の
これらの態様では、無水ラクトースは、ラクトース一水和物に関して上で定めた重量パー
セントと同じ重量パーセントで用いてよく、医薬組成物、方法及び用途のその他の特徴は
すべて、上で定義したものと変わらない。
【0110】
本発明はさらに、ブリガチニブの結晶化方法であって、1-プロパノール及び酢酸エチ
ルの混合物中のブリガチニブの溶液を70~90℃で形成し、ブリガチニブの種結晶を加
え、その混合物を10~20℃/時の速度で0±5℃まで、最長で30時間冷却してから
、ブリガチニブ結晶を結晶化母液から分離することを含む方法を提供する。
【0111】
本発明の方法によれば、1-プロパノール及び酢酸エチルは好ましくは、5:1~1:
1、例えば4:1~2:1、好ましくは約3:1の体積比で使用する。
【0112】
ブリガチニブの種結晶は好ましくは、溶液中のブリガチニブの量に対して0.001~
0.01重量%の量で使用する。ブリガチニブの種結晶は、ブリガチニブ結晶多形A型の
結晶であってよい。
【0113】
1-プロパノール及び酢酸エチルの混合物は好適には、溶液中のブリガチニブ1重量部
に対して2~10重量部、より好ましくは3~7重量部、より好ましくは4~6重量部、
例えば5重量部の量で使用する。
【0114】
本発明はさらに、上記の結晶化方法によって得られる結晶性ブリガチニブを提供する。
【0115】
好ましくは、本発明の結晶化方法に従って得られる結晶性ブリガチニブは、
(a)粒径D50が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好ましくは8~1
0μmの範囲であり、及び/または
(b)粒径D10が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1.5μm、より
好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmもしくは少なくとも2.5μ
mであり、及び/または
(c)粒径D90が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、より好ましくは3
0μm以下、より好ましくは25μm以下である。
【実施例0116】
実施例1-本発明による医薬組成物を含む錠剤の調製
以下では、本発明によるブリガチニブ含有錠剤を調製するための典型的なプロセスを説
明する。
【0117】
薬剤物質ブリガチニブ(20重量部、結晶多形A型、D50=9.6μm、D10=2
.7μm、D50=23.1μm)及び疎水性コロイダルシリカ(1重量部)を秤量し、
篩過してから、中間体容器ブレンダーに加えた。実質的に均質な混合物が得られるまで、
その混合物を混和した(典型的には、15rpmで125~375回転)。スクリーン径
が610μmのスクリーニングミルに、その混合物を10回通すことによって、混和混合
物の粉砕及び篩分を行った。
【0118】
ラクトース一水和物(37.37重量部)、微結晶性セルロース(37.38重量部)
及びデンプングリコール酸ナトリウム(A型、3重量部)を秤量し、篩過し、ブリガチニ
ブ及び疎水性コロイダルシリカの混和混合物に加え、実質的に均質な混合物が得られるま
で、さらに混和した(典型的には、15rpmで250~500回転)。
【0119】
ステアリン酸マグネシウム(1.25重量部)を秤量し、篩過し、混和ブリガチニブ混
合物に加え、再度混和して、ステアリン酸マグネシウムを分布させた(典型的には、15
rpmで75~175回転)。
【0120】
続いて、回転式錠剤プレス機を用いて、その混和混合物を圧縮して、薬剤物質ブリガチ
ニブを30mgまたは90mg含む錠剤核にした。プレス機は、圧縮した錠剤核の表面に
、識別マーク、例えば、エンボス加工またはデボス加工のマークを施すための、製品固有
のツールを備えてよい。
【0121】
30mgの錠剤では、目標とする個々の錠剤核重量及び平均錠剤核重量は150mgで
あり、圧縮パラメーターは、13kg重の目標硬度をもたらすように選択した。90mg
の錠剤では、目標とする個々の錠剤核重量及び平均錠剤核重量は450mgであり、圧縮
パラメーターは、16kg重の目標硬度をもたらすように選択した。
【0122】
製造期間中を通して、錠剤核試料の平均錠剤重量、個々の錠剤重量、硬度及び物理的欠
陥について試験した。
【0123】
メーカーの仕様書に従って、Opadry II白色フィルムコーティングシステム(
Colorcon(登録商標))を秤量し、水と混和した。回転する多孔コーティングパ
ンの中で、錠剤核の上にコーティング懸濁液を噴霧して、錠剤核100重量%に対して4
%という目標重量増加率を得た。目標コーティング重量増加率を確保するために、典型的
には、コーティングプロセス全体を通じて、コーティングパラメーターをモニタリングし
、コーティングプロセス全体を通じて、コーティング懸濁液を絶えず混合して、沈殿を予
防した。
【0124】
続いて、適切な包装システム、例えば、チャイルドレジスタントな蓋を備えるブリスタ
ーパックまたは瓶を用いて、完成した錠剤を包装した。
【0125】
実施例1に従って調製したブリガチニブ錠剤の組成が、下記の表1に示されている。
表1
【表1】
【0126】
実施例2-ブリガチニブの結晶化
実施例1に記載されている粒径分布及び結晶形態を有する薬剤物質ブリガチニブを得る
ために、下記の結晶化プロセスを開発した。ブリガチニブが溶解するまで、ブリガチニブ
(1重量部)、1-プロパノール(4.35重量部)及び水(0.77重量部)を55~
65℃で攪拌した。その溶液を0.25μmのろ過カートリッジに通してろ過してから、
ブリガチニブ1kg当たり5.4L前後の体積まで濃縮した。1-プロパノール6.0重
量部を加え、その溶液をブリガチニブ1kg当たり5.4Lの体積まで再度濃縮した。そ
の溶液の水含有率が0.5%(w/w)以下になるまで、1-プロパノールの追加及び溶
液の濃縮をさらに1回または2回繰り返した。
【0127】
続いて、その反応混合物を約90℃に加熱してから、酢酸エチル(1.33重量部)を
加えた。その混合物を約80℃まで冷却し、ブリガチニブA型の種結晶(0.005重量
部)を加えた。その結晶化混合物を約15℃/時の速度で0±5℃まで、30時間を超え
ない期間、冷却した。続いて、その固体をろ過し、冷酢酸エチルで洗浄してから、窒素下
で乾燥した後、恒量が得られるまで、55℃で乾燥した。結晶性ブリガチニブ生成物を収
率98%で得た(A型、D50=9.6μm、D10=2.7μm、D50=23.1μ
m)。
【0128】
実施例3-賦形剤安定性試験
各種賦形剤を伴うブリガチニブ活性薬剤物質の安定性を調べるために、一連の賦形剤適
合性試験を行った。試験を行った賦形剤の選択は、下記の表2に示されている。
表2
【表2】
API=医薬活性成分
【0129】
40メッシュスクリーンで予め篩分したステアリン酸マグネシウムを除き、適合性試験
で用いた賦形剤はいずれも、20メッシュスクリーンで予め篩分した。20mLのシンチ
レーションバイアル内で、薬剤物質ブリガチニブを賦形剤(複数可)と混ぜ合わせ、反転
ミキサーを用いて、10分混和することによって、ブリガチニブ及び賦形剤の二成分混合
物及び三成分混合物を調製した。試験した14個の異なる製剤の組成が、下記の表2に示
されている。これらの製剤は、乾燥状態及び湿潤状態の両方で試験した。乾燥試料は、調
製したままの状態で使用及びサンプリングした。湿潤試料は、表3に示されている量の蒸
留水でトリチュレーションした。
表3
【表3】
記載値は、各試験試料中の各構成成分のグラム単位での量を指す。
湿潤試料のみ。
【0130】
各ケースにおいて、40℃及び75%の相対湿度(RH)、ならびに60℃及び周囲湿
度の安定性チャンバーで、湿潤混和物及び乾燥混和物の入ったバイアルを8週間の期間で
試験した。試験開始時及び8週間の試験期間の終了時に、試料の外観、ブリガチニブアッ
セイ及び薬剤物質ブリガチニブの不純物について試験した。結果は、表4~9に示されて
いる。
表4-乾燥試料の外観
【表4】
表5-湿潤試料の外観
【表5】
表6-乾燥試料のブリガチニブアッセイ(ラベル表示量に対する割合(%))
【表6】
表7-湿潤試料のブリガチニブアッセイ(ラベル表示量に対する割合(%))
【表7】
表8-乾燥試料のブリガチニブ不純物(%)
【表8】
LOQ=定量限界未満、ND=不検出
表9-湿潤試料のブリガチニブ不純物(%)
【表9】
【0131】
これらの実験の結果によって、従来の充填剤である第二リン酸カルシウムの場合(製剤
3)と比べて、微結晶性セルロース及びラクトース一水和物の存在下(製剤1及び2)で
は、薬剤物質ブリガチニブの安定性が、有意に向上することが示されている。特に、湿潤
試料のケースでは、第二リン酸カルシウムの存在下で、外観の有意な劣化、ブリガチニブ
アッセイ値の低下及びブリガチニブ不純物の増加が見られる。
【0132】
従来のクロスカルメロースナトリウム崩壊剤を使用すると(製剤5)、デンプングリコ
ール酸ナトリウムを使用する場合(製剤4)と比べて、ブリガチニブ不純物の形成の有意
な増大も観察される。製剤10及び11によって示されたように、クロスカルメロースナ
トリウムの存在下でのブリガチニブの不安定性は、ラクトース一水和物充填剤の存在下で
増幅する。
【0133】
製剤13によって示されたように(例えば、製剤2と比べた場合)、従来の湿潤剤であ
るラウリル硫酸ナトリウムを含めると、特に湿潤試料において、ブリガチニブの安定性に
対して有害な作用が及ぶことを本発明者はさらに確認した。
【0134】
実施例4-ブリガチニブとコロイド状二酸化ケイ素との共処理
この実施例の試験の目的は、(ブリガチニブ及びコロイド状二酸化ケイ素を用いる)共
処理プロセスが、医薬組成物の粘着性による、製造上の問題に及ぼす作用を評価すること
であった。コーミルを用いて、薬物粉末コーティングを(イブプロフェンの)医薬活性成
分粉末に施すことは、Mullarney et al.,Powder Techno
logy,2011,212:397-402に報告されている。共粉砕サイクルの総数
及びシリカの配合が、(微結晶性セルロースの)凝集性賦形剤粉末の流動挙動に及ぼす作
用は、Chattoraj et al.,Journal of Pharmaceu
tical Sciences,2011,100(11):4943-4952で研究
されている。
【0135】
この実施例の試験は、図1に示されている代表的な共処理プロセスに従って、2つの異
なるロットのブリガチニブ(API)で行った。Aerosil R972(登録商標)
を実験用の疎水性グレードのコロイド状二酸化ケイ素として選択した。
【0136】
試験番号1
(第1のロットのブリガチニブを用いた)試験1の製剤が、表10に示されている。プ
ロセス過程のデータが、表11に示されている。
表10-ブリガチニブ錠剤(30mg製剤)
【表10】
表11-プロセス過程のデータ
【表11】
【0137】
オリフィス流量データによって、初期における26mmのオリフィス流量から、最後の
10回目のコーミル通過時における20mmまで、流動特性の改善が示されている。表1
2でわかるように、共処理操作による、量の損失がいくらか見られた。図1に示されてい
るように、製剤中の残存成分を重量によって調整して、共処理操作中の損失を相殺した。
表12-共処理における、事前混和物の実重量及び損失率(%)
【表12】
【0138】
試験番号2
(第2のロットのブリガチニブを用いた)試験2の製剤が、表13に示されている。プ
ロセス過程のデータは、表14に示されている。
表13-ブリガチニブ錠剤(30mg製剤)
【表13】
表14-プロセス過程のデータ
【表14】
【0139】
オリフィス流量データによって、流量特性の改善が示されている(4~9回目のコーミ
ル通過時には、16mm及び18mmの間で多少の変動があった)。表15に示されてい
るように、共処理操作により、ブリガチニブ/コロイド状二酸化ケイ素の約21%が喪失
した。
表15-共処理における、事前混和物の実重量及び損失率(%)
【表15】
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を10~40重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を20~50重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを15~50重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を0.5~5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを0.2~2重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを0.2~3重量%と、
を含む、医薬組成物であって、前記組成物がクロスカルメロースナトリウムを含まない、前記医薬組成物。
【請求項2】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を12~35重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を25~45重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを20~45重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を1~5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを0.4~1.8重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを0.5~2.5重量%と、
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を15~30重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を30~40重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを25~40重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を1.5~4.5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを0.6~1.5重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを0.8~2重量%と、
を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を18~25重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を32~38重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを30~38重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を2~4重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを0.8~1.2重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを1~1.8重量%と、
を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を20重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を36~39重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを36~39重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を3重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを1重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを1.25重量%と、
からなる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ブリガチニブが、遊離塩基型である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ブリガチニブが、ブリガチニブ結晶多形A型を、ブリガチニブの総量に対して99重量%以上含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ブリガチニブの粒径D50が、10~20μmの範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ブリガチニブの粒径D10が、2.5μm~8μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ブリガチニブの粒径D90が、45μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ブリガチニブの粒径D50が、8~10μmの範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ブリガチニブの粒径D10が、1μm以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ブリガチニブの粒径D90が、25μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
25℃及び60%の相対湿度で、6カ月以上の保存安定性を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
40℃及び75%の相対湿度で、8週間以上の保存安定性及び/または60℃及び周囲湿度で、8週間以上の保存安定性を有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
固体経口剤形である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
錠剤形態である、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項で定義されているような医薬組成物を含むかまたはそれからなる錠剤核を含む医薬錠剤。
【請求項19】
請求項1~5のいずれか1項で定義されているような医薬組成物からなる錠剤核を含む医薬錠剤。
【請求項20】
前記錠剤核が、請求項5で定義されているような医薬組成物からなる、請求項19に記載の医薬錠剤。
【請求項21】
ポリマーコーティング及び糖コーティングから選択したコーティングを含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
【請求項22】
前記コーティングが、前記錠剤核100重量%に対して0.5~10重量%の量で存在する、請求項21に記載の医薬錠剤。
【請求項23】
前記コーティングが、20~100μmの厚さで存在する、請求項22に記載の医薬錠剤。
【請求項24】
前記ポリマーコーティングが、セルロースエーテル、アクリルポリマー及びアクリルコポリマー、メタクリルポリマー及びメタクリルコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン並びにポリビニルアルコールから選択されている、請求項23に記載の医薬錠剤。
【請求項25】
患者が前記錠剤を摂取後、前記薬剤物質ブリガチニブが即放されるように、前記錠剤コーティングが選択されている、請求項24に記載の医薬錠剤。
【請求項26】
ブリガチニブを20~200mg含む、請求項25に記載の医薬錠剤。
【請求項27】
ブリガチニブを30mg、90mgまたは180mg含む、請求項26に記載の医薬錠剤。
【請求項28】
ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物を得るために、ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、疎水性コロイダルシリカ、デンプングリコール酸ナトリウムA型及びステアリン酸マグネシウムと混和する工程と、
(ii)前記混和した医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程と、
を含む前記方法。
【請求項29】
前記ブリガチニブが、遊離塩基型である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
工程(i)が、
(ia)ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカを混和し、スクリーン径が400~800μmの範囲であるスクリーニングミルに、前記混和したブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの混合物を通す工程
を含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
(i)がさらに、
(ib)工程(ia)から得た前記混合物を、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムA型及びステアリン酸マグネシウムのうちの1つ以上と混和する工程
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
工程(ia)におけるブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの前記混合物を前記スクリーニングミルに2~50回通す、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ブリガチニブの粒径D50が、8~10μmの範囲である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ブリガチニブの粒径D10が、2.5μm以上である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ブリガチニブの粒径D90が、25μm以下である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
1-プロパノール及び酢酸エチルの混合物中のブリガチニブの溶液を70~90℃で形成し、ブリガチニブの種結晶を加え、該混合物を10~20℃/時の速度で0±5℃まで、最長で30時間冷却してから、ブリガチニブ結晶を結晶化母液から分離することによって、前記ブリガチニブを調製する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
工程(ii)で、回転式錠剤プレス機を用いて、前記医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
硬度が10~20kg重の範囲の錠剤が得られるように、工程(ii)における前記圧縮パラメーターを選択する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
(iii)前記錠剤核にポリマーコーティングを施す工程
をさらに含む、請求項28~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
ALKの阻害に応答する疾患または障害を治療するための医薬の製造における、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用であって、前記疾患または障害がALK陽性非小細胞肺癌である、前記使用。
【請求項41】
5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を20重量%と、
ラクトース一水和物を37.37重量%と、
微結晶性セルロースを37.38重量%と、
デンプングリコール酸ナトリウムA型を3重量%と、
疎水性コロイダルシリカを1重量%と、
ステアリン酸マグネシウムを1.25重量%と、
を含む、錠剤核;及び
錠剤コーティング、を含む錠剤であって、
前記錠剤がクロスカルメロースナトリウムを含まない、前記錠剤。
【請求項42】
ブリガチニブを30mgと、
ラクトース一水和物を56.06mgと、
微結晶性セルロースを56.07mgと、
デンプングリコール酸ナトリウムA型を4.5mgと、
疎水性コロイダルシリカを1.5mgと、
ステアリン酸マグネシウムを1.87mgと、
を含む、請求項41に記載の錠剤。
【請求項43】
ブリガチニブを90mgと、
ラクトース一水和物を168.16mgと、
微結晶性セルロースを168.17mgと、
デンプングリコール酸ナトリウムA型を13.5mgと、
疎水性コロイダルシリカを4.5mgと、
ステアリン酸マグネシウムを5.62mgと、
を含む、請求項41に記載の錠剤。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0139
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0139】
オリフィス流量データによって、流量特性の改善が示されている(4~9回目のコーミ
ル通過時には、16mm及び18mmの間で多少の変動があった)。表15に示されてい
るように、共処理操作により、ブリガチニブ/コロイド状二酸化ケイ素の約21%が喪失
した。
表15-共処理における、事前混和物の実重量及び損失率(%)
【表15】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%と、
を含む医薬組成物。
(態様2)
さらに、疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%含む、態様1に記載の医薬組
成物。
(態様3)
さらに、デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%含む、態様1ま
たは態様2に記載の医薬組成物。
(態様4)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%と、
(ii)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%と、
を含む医薬組成物。
(態様5)
さらに、ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、微結晶性セルロースを約15
~約50重量%含む、態様4に記載の医薬組成物。
(態様6)
さらに、デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%含む、態様4ま
たは態様5に記載の医薬組成物。
(態様7)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)またはその製薬学的に許容可能な塩
を約10~約40重量%と、
(ii)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%と、
を含む医薬組成物。
(態様8)
さらに、ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、微結晶性セルロースを約15
~約50重量%含む、態様7に記載の医薬組成物。
(態様9)
さらに、疎水性コロイダルシリカを約0.2~約3重量%含む、態様7または態様8に
記載の医薬組成物。
(態様10)
ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、前記医薬組成物の総重量に対して
約12~約35重量%、より好ましくは約15~約30重量%、最も好ましくは約18~
約25重量%の量で含む、態様1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様11)
前記ブリガチニブが、遊離塩基型である、態様1~10のいずれか1項に記載の医薬組
成物。
(態様12)
ラクトース一水和物を、前記医薬組成物の総重量に対して約25~約45重量%、より
好ましくは約30~約40重量%、最も好ましくは約32~約38重量%の量で含む、態
様1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様13)
微結晶性セルロースを、前記医薬組成物の総重量に対して約20~約45重量%、より
好ましくは約25~約40重量%、より好ましくは約30~約40重量%、最も好ましく
は約32~約38重量%の量で含む、態様1~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様14)
疎水性コロイダルシリカを約0.4~約2重量%、より好ましくは約0.6~約1.5
重量%、最も好ましくは約0.8~約1.2重量%の量で含む、態様1~13のいずれか
1項に記載の医薬組成物。
(態様15)
デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1~約5重量%、より好ましくは約1.5~
約4.5重量%、より好ましくは約2~約4重量%の最適化された量で含む、態様1~1
4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様16)
さらに、1つ以上の滑沢剤を含む、態様1~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様17)
ステアリン酸マグネシウムを、任意に約0.2~約3重量%、約0.5~約2.5重量
%、約0.8~約2重量%または約1~約1.8重量%の量で含む、態様16に記載の医
薬組成物。
(態様18)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約10~約40重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約20~約50重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約15~約50重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約0.5~約5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.2~約2重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.2~約3重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、態様1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様19)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約12~約35重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約25~約45重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約20~約45重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1~約5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.4~約1.8重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.5~約2.5重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、態様18に記載の医薬組成物。
(態様20)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約15~約30重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約30~約40重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約25~約40重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約1.5~約4.5重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.6~約1.5重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約0.8~約2重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、態様19に記載の医薬組成物。
(態様21)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)を約18~約25重量%と、
(ii)ラクトース一水和物を約32~約38重量%と、
(iii)微結晶性セルロースを約30~約38重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型を約2~約4重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカを約0.8~約1.2重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウムを約1~約1.8重量%と、
を含むかまたはこれらからなる、態様20に記載の医薬組成物。
(態様22)
(i)5-クロロ-N4-[2-(ジメチルホスホリル)フェニル]-N2-{2-メ
トキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニ
ル}ピリミジン-2,4-ジアミン(ブリガチニブ)約20重量%と、
(ii)ラクトース一水和物約36~約39重量%と、
(iii)微結晶性セルロース約36~約39重量%と、
(iv)デンプングリコール酸ナトリウムA型約3重量%と、
(v)疎水性コロイダルシリカ約1重量%と、
(vi)ステアリン酸マグネシウム約1.25重量%と、
からなる、態様21に記載の医薬組成物。
(態様23)
前記ブリガチニブが、ブリガチニブ結晶多形A型を、ブリガチニブの総量に対して少な
くとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約
80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量
%または少なくとも約99重量%含む、態様1~22のいずれか1項に記載の医薬組成物

(態様24)
前記ブリガチニブの粒径D 50 が、約5~約25μm、好ましくは約6~約25μm、
好ましくは約8~約22μm、より好ましくは約10~約20μmの範囲である、態様1
~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様25)
前記ブリガチニブの粒径D 10 が、少なくとも約0.5μm、より好ましくは少なくと
も約1μm、より好ましくは少なくとも約1.5μm、より好ましくは少なくとも約2μ
m、より好ましくは少なくとも約2.5μmであるが、約8μm以下である、態様1~2
4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様26)
前記ブリガチニブの粒径D 90 が、約90μm以下、より好ましくは約60μm以下、
より好ましくは約55μm以下、より好ましくは約50μm以下、より好ましくは約45
μm以下である、態様1~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様27)
前記ブリガチニブの粒径D 50 が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好ま
しくは8~10μmの範囲である、態様1~23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様28)
前記ブリガチニブの粒径D 10 が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1.
5μm、より好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmまたは少なくと
も2.5μmである、態様1~23及び27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様29)
前記ブリガチニブの粒径D 90 が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、より
好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である、態様1~23、27及び
28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様30)
約25℃及び約60%の相対湿度で、少なくとも6カ月の保存安定性を有する、態様1
~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様31)
約40℃及び約75%の相対湿度で、少なくとも8週間の保存安定性及び/または約6
0℃及び周囲湿度で、少なくとも8週間の保存安定性を有する、態様1~30のいずれか
1項に記載の医薬組成物。
(態様32)
固体経口剤形である、態様1~31のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様33)
錠剤形態である、態様1~32のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様34)
態様1~33のいずれか1項で定義されているような医薬組成物を含むかまたはそれか
らなる錠剤核と、任意にコーティングとを含む医薬錠剤。
(態様35)
前記錠剤核が、態様18~22のいずれか1項で定義されているような医薬組成物から
なる、態様34に記載の医薬錠剤。
(態様36)
前記錠剤核が、態様22で定義されているような医薬組成物からなる、態様35に記載
の医薬錠剤。
(態様37)
ポリマーコーティング及び糖コーティングから選択したコーティングを含む、態様34
~36のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
(態様38)
前記コーティングが、前記錠剤核約100重量%に対して約0.5~約10重量%、好
ましくは約1~約8重量%、好ましくは約2~約5重量%の量で存在する、態様37に記
載の医薬錠剤。
(態様39)
前記コーティングが、約20~約100μmの厚さで存在する、態様37または態様3
8に記載の医薬錠剤。
(態様40)
前記コーティングポリマーが、セルロースエーテルのようなセルロース誘導体、アクリ
ルポリマー、アクリルコポリマー、メタクリルポリマー、メタクリルコポリマー、ポリエ
チレングリコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコールから選択されている
、態様37~39のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
(態様41)
患者が前記錠剤を摂取後、前記薬剤物質ブリガチニブが即放されるように、前記錠剤コ
ーティングが選択されている、態様37~40のいずれか1項に記載の医薬錠剤。
(態様42)
ブリガチニブを約5~約500mg、好ましくはブリガチニブを約10~約250mg
、より好ましくはブリガチニブを約20~約200mg含む、態様34~41のいずれか
1項に記載の医薬錠剤。
(態様43)
ブリガチニブを約30mg、約90mgまたは約180mg含む、態様42に記載の医
薬錠剤。
(態様44)
ブリガチニブを含む錠剤の調製方法であって、
(i)本発明の第1、第2または第3の態様のいずれかによる医薬組成物を得るために
、ブリガチニブまたはその製薬学的に許容可能な塩を、ラクトース一水和物、微結晶性セ
ルロース、疎水性コロイダルシリカ、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸
マグネシウムのうちの1つ以上と混和する工程と、
(ii)前記混和した医薬組成物を圧縮して、錠剤核を形成する工程と、
を含む前記方法。
(態様45)
前記ブリガチニブが、遊離塩基型である、態様44に記載の方法。
(態様46)
湿式造粒工程、乾式造粒工程及び湿式粉砕工程のうちの少なくとも1つを含まない、態
様44または態様45に記載の方法。
(態様47)
工程(i)が、
(ia)ブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカを混和し、スクリーン径が約400
~約800μmの範囲であるスクリーニングミルに、前記混和したブリガチニブ及び疎水
性コロイダルシリカの混合物を通す工程
を含む、態様44~46のいずれか1項に記載の方法。
(態様48)
(i)がさらに、
(ib)工程(ia)から得た前記混合物を、ラクトース一水和物、微結晶性セルロー
ス、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちの1つ以上と
混和する工程
を含む、態様47に記載の方法。
(態様49)
工程(ia)におけるブリガチニブ及び疎水性コロイダルシリカの前記混合物を前記ス
クリーニングミルに2~50回、好ましくは5~20回、例えば10回通す、態様47ま
たは態様48に記載の方法。
(態様50)
前記ブリガチニブの粒径D 50 が、5~25μm、好ましくは6~15μm、より好ま
しくは8~10μmの範囲である、態様44~49のいずれか1項に記載の方法。
(態様51)
前記ブリガチニブの粒径D 10 が、少なくとも1μm、より好ましくは少なくとも1.
5μm、より好ましくは少なくとも1.8μm、例えば少なくとも2μmまたは少なくと
も2.5μmである、態様44~50のいずれか1項に記載の方法。
(態様52)
前記ブリガチニブの粒径D 90 が、40μm以下、より好ましくは35μm以下、より
好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である、態様44~51のいずれ
か1項に記載の方法。
(態様53)
1-プロパノール及び酢酸エチルの混合物中のブリガチニブの溶液を70~90℃で形
成し、ブリガチニブの種結晶を加え、前記混合物を10~20℃/時の速度で0±5℃ま
で、最長で30時間冷却してから、ブリガチニブ結晶を結晶化母液から分離することによ
って、前記ブリガチニブを調製する、態様50~52のいずれか1項に記載の方法。
(態様54)
工程(ii)で、回転式錠剤プレス機を用いて、前記医薬組成物を圧縮して、錠剤核を
形成する、態様44~53のいずれか1項に記載の方法。
(態様55)
硬度が約10~約20kg重の範囲の錠剤が得られるように、工程(ii)における前
記圧縮パラメーターを選択する、態様44~54のいずれか1項に記載の方法。
(態様56)
(iii)前記錠剤核にポリマーコーティングを施す工程
をさらに含む、態様44~55のいずれか1項に記載の方法。
(態様57)
前記錠剤が、態様34~43のいずれか1項に定義されているようなものである、態様
44~56のいずれか1項に記載の方法。
(態様58)
ALKの阻害に応答する疾患または障害の治療方法であって、そのような治療の必要な
患者に、上で定義したような医薬組成物を投与することを含む前記方法。
(態様59)
ALKの阻害に応答する疾患または障害の治療方法であって、そのような治療の必要な
患者に、上で定義したような医薬組成物を投与することを含む前記方法で用いるための、
上で定義したような医薬組成物。
(態様60)
態様58に記載の方法、または態様59に従って使用するための医薬組成物であって、
前記医薬組成物が、態様34~43のいずれか1項に記載の錠剤の形態である前記方法ま
たは前記医薬組成物。
(態様61)
態様58もしくは60に記載の方法、または態様59もしくは60に従って使用するた
めの医薬組成物であって、ALKの阻害に応答する前記疾患または障害が、非小細胞肺癌
のような、ALK+によって駆動されるがん、特に、ALK陽性非小細胞肺癌である前記
方法または前記医薬組成物。
(態様62)
態様58、60及び61のいずれか1項に記載の方法、または態様59~61のいずれ
か1項に従って使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物を1日当たり、約1
80mgのブリガチニブの単回用量として投与するか、または1日当たり、約90mgの
ブリガチニブの単回用量として7日間の後、1日当たり、約180mgのブリガチニブの
単回用量として投与する前記方法または前記医薬組成物。
【外国語明細書】