IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧 ▶ 学校法人神奈川大学の特許一覧

特開2023-27526感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法
<>
  • 特開-感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法 図1
  • 特開-感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法 図2
  • 特開-感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027526
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/38 20060101AFI20230222BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20230222BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230222BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20230222BHJP
   H10K 71/60 20230101ALI20230222BHJP
   C07C 323/16 20060101ALI20230222BHJP
   C07C 329/06 20060101ALI20230222BHJP
   C08F 20/38 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
G03F7/38 511
H01L21/288 E
H01L29/78 617J
H01L29/78 616K
H01L29/28 250H
H01L29/28 370
C07C323/16
C07C329/06
C08F20/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132671
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】川上 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山口 和夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 倫子
【テーマコード(参考)】
2H196
4H006
4J100
4M104
5F110
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196AA28
2H196EA02
2H196GA60
2H196HA27
4H006AA03
4H006AB46
4H006AB99
4H006AC30
4H006AC41
4H006AC51
4H006AC60
4H006BA51
4H006BA69
4H006BE02
4H006BE23
4J100AL08P
4J100BA05P
4J100BA41P
4J100BA51P
4J100BC43P
4J100CA01
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA03
4J100FA28
4J100FA30
4J100JA15
4J100JA37
4J100JA38
4J100JA46
4M104AA08
4M104AA09
4M104AA10
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB07
4M104BB08
4M104BB09
4M104DD22
4M104DD28
4M104DD47
4M104DD53
4M104EE02
4M104EE09
4M104EE18
4M104FF13
4M104GG08
4M104GG14
5F110AA16
5F110CC01
5F110CC03
5F110CC05
5F110CC07
5F110DD12
5F110DD25
5F110EE02
5F110EE06
5F110EE42
5F110EE47
5F110FF01
5F110GG05
5F110HK02
5F110HK06
5F110HK32
5F110HK41
5F110NN02
5F110NN27
5F110QQ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物又は式(1)から誘導される高分子化合物を含む、感光性表面処理剤。[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、n1は0又は1であり、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。]

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物又は下記式(1)から誘導される高分子化合物を含む、感光性表面処理剤。
【化1】
[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、n1は0又は1であり、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。]
【請求項2】
前記Yが下記式(Y1)で表される、請求項1に記載の感光性表面処理剤。
【化2】
[式(Y1)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、n2、n3はそれぞれ独立に0又は1である。*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項3】
前記Yが下記式(Y2)で表される、請求項1又は2に記載の感光性表面処理剤。
【化3】
[式(Y2)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項4】
前記Yが下記式(Y3)で表される、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【化4】
[式(Y3)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項5】
前記Yが下記式(Y3-2)で表される、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【化5】
[式(Y3-2)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項6】
前記Yが下記式(Y4)で表される、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【化6】
[式(Y4)中、Ya01は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項7】
前記Yが下記式(Y5)で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【化7】
[式(Y5)中、Ya01は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項8】
前記Yが下記式(Y5-2)で表される、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【化8】
[式(Y5-2)中、Ya01は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【請求項9】
前記式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物は、下記式(1)-1で表される高分子化合物である、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【化9】
[式(1)-1中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、n1、n2、n3はそれぞれ独立に0又は1であり、mは自然数である。]
【請求項10】
前記式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物は、主鎖の末端の少なくとも1つに、下記式(1x)で表される置換基が結合している、請求項9に記載の感光性表面処理剤。
【化10】
[*は式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物の主鎖の末端との結合箇所を意味する。]
【請求項11】
前記式(1)から誘導される高分子化合物の数平均分子量が、300~100,000である、請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【請求項12】
シクロペンタノンを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤を含む積層体。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤を含むトランジスタ。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤を基板上に塗布し、感光性樹脂膜を成膜する工程と、
前記感光性樹脂膜に所定のパターンの光を照射する工程と、
前記所定のパターン光の照射領域の少なくとも一部の領域に対して無電解めっきを行う工程と、を備える、パターン形成方法。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤を基板上に塗布し、感光性樹脂膜を成膜する工程と、
前記感光性樹脂膜に所定のパターンの光を照射する工程と、
前記所定のパターン光の照射領域の少なくとも一部の領域に無電解めっき用触媒を配置し、無電解めっきを行う工程と、を備える、パターン形成方法。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の感光性表面処理剤を基板上に塗布し、感光性樹脂膜を成膜する工程と、
前記感光性樹脂膜に所定のパターンの光を照射して、露光領域にチオール発生領域を形成する工程と、
前記チオール発生領域に無電解めっき用触媒を配置し、無電解めっきを行う工程と、を備える、パターン形成方法。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか1項に記載のパターン形成方法により、ソース電極、ドレイン電極、またはゲート電極のうちいずれか1以上の電極を形成する工程を含む、トランジスタの製造方法。
【請求項19】
下記式(1)で表される化合物又は下記式(1)から誘導される高分子化合物を含む、トランジスタ。
【化11】
[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、n1は0又は1であり、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。]
【請求項20】
前記化合物又は高分子化合物は、少なくとも一部のニトロベンジル基が脱離してチオール基が発生した部分を有する、請求項19に記載のトランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性表面処理剤、積層体、トランジスタ、パターン形成方法及びトランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子、集積回路、有機ELディスプレイ用デバイス等の微細デバイス等の製造において、基板上に、表面特性の異なるパターンを形成し、その表面特性の違いを利用して微細デバイスを作成する方法が提案されている。
【0003】
基板上の表面特性の違いを利用したパターン形成方法としては、たとえば、基板の一部に化学的に活性な置換基を発生させた領域を形成する方法がある。この方法により基板の一部に金属材料、有機材料又は無機材料を密着させることができる。
【0004】
基板上に金属材料を密着させ、金属膜を形成する技術として無電解めっき処理がある。例えば特許文献1は、無電解めっき処理による微細な配線を形成する技術を開示している。具体的には、特許文献1は、触媒活性化層とフォトレジストを用い、一面にめっきした状態からエッチング、またはリフトオフによる光パターニングを行うことを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-2201号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、下記式(1)で表される化合物又は下記式(1)から誘導される高分子化合物を含む、感光性表面処理剤である。
【0007】
【化1】
【0008】
[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、n1は0又は1であり、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。]
【0009】
本発明のその他の態様は、下記式(1)で表される化合物又は下記式(1)から誘導される高分子化合物を含む、トランジスタである。
【0010】
【化2】
【0011】
[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、n1は0又は1であり、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。]
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のパターン形成方法を説明するための模式図である。
図2】本実施形態のトランジスタの製造方法を説明するための模式図である。
図3】本実施形態の感光性表面処理剤を用いてめっき処理を行った基板の全体写真図及び光学顕微鏡写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<感光性表面処理剤>
本実施形態の感光性表面処理剤は、下記式(1)で表される化合物又は下記式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物を含む。
【0014】
【化3】
[式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、n1は0又は1であり、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。]
【0015】
≪式(1)で表される化合物≫
式(1)で表される化合物を含む感光性表面処理剤を基板上に塗布し光を照射すると、ニトロベンジル基が脱離して、Yが基板に密着すると同時に基板表面にチオール基(-SH)が発生する。チオール基が発生した部分には、金属材料、有機材料又は無機材料を密着させることができる。
【0016】
本実施形態の感光性表面処理剤によれば、基板表面に形成したチオール発生部に金属材料を配置することにより、フォトレジスト工程、現像工程、エッチング工程を用いることなく、基板表面に、ライン幅が5μm以下の金属パターンを形成することができる。
【0017】
(R
式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である。炭素数1~5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基が挙げられ、中でもメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0018】
(R及びR
及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基である。炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、メチル基が又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0019】
炭素数1~13のフルオロアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘプチル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられ、炭素数4~10のパーフルオロアルキル基が含まれるものが好ましく、炭素数6のパーフルオロアルキル基が含まれるノニル基がより好ましい。
【0020】
(R
式(1)中、Rは、水素原子又はニトロ基である。
【0021】
(n1)
式(1)中、n1は0又は1である。
【0022】
(Y)
式(1)中、Yは、重合性基含有基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。
「重合性基」とは、重合性基を有する化合物がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。
【0023】
重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。
【0024】
「重合性基含有基」は、重合性基を含む基である。重合性基含有基は、重合性基のみから構成される基でもよく、重合性基と重合性基以外の他の基とから構成される基でもよい。
【0025】
Yとしては、下記式(Y1)が挙げられる。
【0026】
【化4】
[式(Y1)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、n2、n3はそれぞれ独立に0又は1である。*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0027】
(Ya01
式(Y1)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基である。
Ya01は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。炭素数1~10の直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
【0028】
炭素数1~10の分岐鎖状のアルキレン基としては、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0029】
(Ya02
式(Y1)中、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基である。
Ya02としては、具体的には、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0030】
(Ra01
式(Y1)中、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。
直鎖状のアルキル基としては、炭素原子数3~18の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数5~15がより好ましく、炭素原子数6~12がさらに好ましい。
【0031】
分岐状のアルキル基としては、炭素原子数3~20の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。分岐状のアルキル基は、炭素原子数3~18が好ましく、炭素原子数3~15がより好ましい。
【0032】
式(Y1)中、n2、n3はそれぞれ独立に0又は1である。*は硫黄元素との結合箇所を意味する。
【0033】
Yとしては、下記式(Y2)が挙げられる。
【0034】
【化5】
[式(Y2)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0035】
式(Y2)中Ya01、Ra01に関する説明は前記同様である。
【0036】
Yとしては、下記式(Y3)が挙げられる。
【0037】
【化6】
[式(Y3)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0038】
式(Y3)中Ya01に関する説明は前記同様である。
【0039】
Yとしては、下記式(Y3-2)が挙げられる。
【0040】
【化7】
[式(Y3-2)中、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0041】
式(Y3-2)中Ya01に関する説明は前記同様である。
【0042】
Yとしては、下記式(Y4)が挙げられる。
【0043】
【化8】
[式(Y4)中、Ya03は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、Ra01は、重合性基又は炭素数1~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0044】
式(Y4)中Ya02、Ra01に関する説明は前記同様である。
【0045】
式(Y4)中Ya03は、エーテル結合(-O-)を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基である。Ya03は、炭素数1~10のアルキレン基又は、エーテル結合(-O-)と炭素数1~10のアルキレン基との組み合わせから構成される基が好ましい。
【0046】
Yとしては、下記式(Y5)が挙げられる。
【0047】
【化9】
[式(Y5)中、Ya03は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0048】
式(Y5)中Ya02、Ya03に関する説明は前記同様である。
【0049】
Yとしては、下記式(Y5-2)が挙げられる。
【0050】
【化10】
[式(Y5-2)中、Ya03は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、*は硫黄元素との結合箇所を意味する。]
【0051】
式(Y5-2)中Ya03に関する説明は前記同様である。
【0052】
式(1)で表される化合物の具体例を以下に記載する。
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】
【化15】
【0058】
≪式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物≫
式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物は、式(1)で表される化合物の重合性基が主鎖に変換された高分子化合物である。
「重合性基が主鎖に変換された」とは、重合性基中の多重結合が開裂して主鎖を形成していることをいう。例えば、エチレン性二重結合を有するモノマーの場合、エチレン性二重結合が開裂して、炭素原子間の単結合が主鎖を形成していることを意味する。
【0059】
式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物は、具体的には下記式(1)-1で表される。
【0060】
【化16】
[式(1)-1中、Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~13のフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子又はニトロ基であり、Ya01は、炭素数1~10のアルキレン基、Ya02は、炭素数6~15の芳香環から2個の水素原子を除いた基、n1、n2、n3はそれぞれ独立に0又は1であり、mは自然数である。]
【0061】
式(1)-1中、R、R、R、R、Ya01、Ya02、n1、n2、n3に関する説明は前記同様であり、mは自然数である。
【0062】
式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物は、主鎖の末端の少なくとも1つに、下記式(1x)で表される置換基が結合していることが好ましい。下記式(1x)中、*は式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物の主鎖の末端との結合箇所を意味する。
【0063】
【化17】
【0064】
式(1)-1で表される高分子化合物の、主鎖の末端に上記式(1x)で表される置換基が結合している高分子化合物を下記に例示する。
【0065】
【化18】
【0066】
式(1)-1で表される高分子化合物の他の具体例を以下に記載する。
【0067】
【化19】
【0068】
式(1)で表される化合物から誘導される高分子化合物の数平均分子量は、300~100,000であることが好ましい。
【0069】
本発明の一態様において、感光性表面処理剤は上記式(1)で表される化合物からなる。
本発明の一態様において、感光性表面処理剤は上記式(1)-1で表される高分子化合物からなる。
【0070】
本発明の一態様において、感光性表面処理剤は上記式(1)で表される化合物と、上記式(1)-1で表される高分子化合物とからなる。
【0071】
本発明の一態様において、感光性表面処理剤は溶剤を含んでいてもよい。感光性表面処理剤が含んでいてもよい溶剤としては、例えばシクロペンタノン、シクロヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)又はシクロヘキサノン等が挙げられ、なかでもシクロペンタノンが好ましい。
【0072】
<化合物の製造方法>
式(1)で表される化合物は、以下の方法により製造できる。
以下の製造方法の説明において、式中の各符号に関する説明は前記同様である。
【0073】
[製造方法1]
下記式(M1)で表されるアルコール体と、塩化メタクリロイル又は塩化メタアクリロイルとを反応させることにより、式(1)で表される化合物が製造される。
【0074】
【化20】
【0075】
製造例1の具体例1を以下に示す。
【0076】
【化21】
【0077】
製造例1の具体例2を以下に示す。
【0078】
【化22】
【0079】
製造例1の具体例3を以下に示す。
【0080】
【化23】
【0081】
製造例1の具体例4を以下に示す。
【0082】
【化24】
【0083】
[製造方法2]
下記式(M2)で表されるアルコール体と、スクシンイミジルカーボネートを反応させ、中間体(M2)-1を得る。
【0084】
【化25】
【0085】
中間体(M2)-1に1-オクタンチオールを反応させることにより、式(1)-Aで表される化合物が得られる。このとき、1-オクタンチオールに代えて、例えば1-ブタンチオール(炭素数4)、1-ヘキサンチオール(炭素数6)、1-ヘキサデカンチオール(炭素数16)、1-ドコサンチオール(炭素数22)を反応させてもよい。
【0086】
【化26】
【0087】
[製造方法3]
下記式(M3)で表されるアルコール体と、トリフェニルホスフィンと四臭化炭素とを反応させ、中間体(M3)-1を得る。このとき、下記式(M3)で表されるアルコール体と三臭化リンとを反応させ、中間体(M3)-1を得てもよい。
【0088】
【化27】
【0089】
中間体(M3)-1に1-オクタンチオールを反応させることにより、式(1)-Bで表される化合物が得られる。このとき、1-オクタンチオールに代えて、例えば1-ブタンチオール(炭素数4)、1-ヘキサンチオール(炭素数6)、1-ヘキサデカンチオール(炭素数16)、1-ドコサンチオール(炭素数22)を反応させてもよい。
【0090】
【化28】
【0091】
<パターン形成方法>
本実施形態のパターン形成方法は、前記本実施形態の感光性表面処理剤を基板上に塗布し、感光性樹脂膜を成膜する工程と、感光性樹脂膜に所定のパターンの光を照射して、露光領域にチオール発生領域を形成する工程と、チオール発生領域に無電解めっき用触媒を配置し、無電解めっきを行う工程と、を備える。
以下、各工程について図面を参照して説明する。
【0092】
図1(a)に示すように、基板11の上に前記本実施形態の感光性表面処理剤10aを塗布する。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ロールコート法、刷毛塗り等の塗布方法使用できる。また、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷法により塗布してもよい。
【0093】
なお、本工程においては、図1(a)に示すように、例えば熱や減圧等によって溶剤を乾燥させる処理を加えてもよい。
【0094】
これにより、図1(b)に示すように基板11の上に感光性表面処理剤層10が形成される。
【0095】
次に、図1(c)に示すように、所定のパターンの露光領域を有するフォトマスク13を用意する。露光方法としては、フォトマスクを用いる手段に限られず、レンズやミラーなどの光学系を用いたプロジェクション露光、空間光変調素子、レーザービームなどを用いたマスクレス露光等の手段を用いることができる。なお、フォトマスク13は、感光性表面処理剤層10と接触するよう設けてもよいし、非接触となるよう設けてもよい。
【0096】
その後、図1(c)に示すように、フォトマスク13を介して感光性表面処理剤層10にUV光を照射する。これにより、フォトマスク13の露光領域において感光性表面処理剤層10が露光される。
【0097】
その結果、図1(d)に示すように、露光部にはチオール発生部14が、未露光部にはチオール未発生部12が形成される。
【0098】
UV光は例えば、波長が365nmのi線が挙げられる。また、その露光量や露光時間は、必ずしも完全に脱保護が進行する必要はなく、一部のチオール基が発生する程度でよい。
【0099】
次に、図1(e)に示すように、表面に無電解めっき用触媒を付与し、触媒層15を形成する。無電解めっき用触媒は、無電解めっき用のめっき液に含まれる金属イオンを還元する触媒であり、銀やパラジウムが挙げられる。
【0100】
チオール発生部14の表面にはチオール基が露出している。チオール基は、上述の無電解めっき用触媒を捕捉・還元することが可能である。そのため、チオール発生部14上のみに無電解用めっき用触媒が捕捉され、触媒層15が形成される。また、無電解めっき用触媒はチオール基が担持可能なものを用いることができる。
【0101】
図1(f)に示すように、無電解めっき処理を行い、めっき層16を形成する。なお、めっき層16の材料としては、ニッケル-リン(NiP)や、銅(Cu)が挙げられる。
【0102】
本工程では、基板11を無電解めっき浴に浸漬して触媒表面に金属イオンを還元し、めっき層16を析出させる。その際、チオール発生部14表面には十分な量の触媒を担持する触媒層15が形成されているため、チオール発生部14上にのみ選択的にめっき層16を析出させることができる。
【0103】
以上の工程により、前記本実施形態の感光性表面処理剤を用いて所定の基板に配線パターンを形成することが可能である。
【0104】
<トランジスタの製造方法>
さらに、上記<パターン形成方法>で得られためっき層16をゲート電極とするトランジスタの製造方法について図2を用いて説明する。
【0105】
図2(a)に示すように、上述したパターン形成方法により形成した無電解めっきパターンのめっき層16とチオール未発生部12とを覆うように、公知の方法により絶縁体層17を形成する。絶縁体層17は、例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、シリコーン樹脂等の1つ以上の樹脂を有機溶媒に溶解させた塗布液を用い、当該塗布液を塗布することにより形成してもよい。絶縁体層17を形成する領域に対応して開口部が設けられたマスクを介して塗膜に紫外線を照射することで、絶縁体層17を所望のパターンに形成することが可能である。なお、絶縁体層17を形成する前に、チオール未発生部12を必要に応じて除去してもよい。
【0106】
図2(b)に示すように、上述した無電解めっきパターン形成方法と同様にして絶縁体層17上に感光性表面処理剤層10を形成し、ソース電極及びドレイン電極が形成される部分にチオール発生部14を形成する。
【0107】
図2(c)に示すように、上述したパターン形成方法と同様にして、チオール発生部14上に無電解めっき用触媒を担持させ、触媒層15を形成した後、無電解めっきを行うことによりめっき層18(ソース電極)及びめっき層19(ドレイン電極)を形成する。なお、めっき層18及び19の材料としてもニッケル-リン(NiP)や、銅(Cu)が挙げられるが、めっき層16(ゲート電極)と異なる材料で形成してもよく、ニッケル-リン(NiP)や、銅(Cu)の表面に異なる金属、例えば無電解金めっきを行うことで、金(Au)を析出させてもよい
【0108】
図2(d)に示すように、めっき層18(ソース電極)及びめっき層19(ドレイン電極)の間に半導体層21を形成する。
【0109】
半導体層21は、例えば、TIPSペンタセン(6,13-Bis(triisopropylsilylethynyl)pentacene)のような有機溶媒に可溶な有機半導体材料を当該有機溶媒に溶解させた溶液を作製し、めっき層18(ソース電極)及びめっき層19(ドレイン電極)の間に塗布、乾燥させることにより形成してもよい。
【0110】
また、半導体層21は、上記溶液にPS(ポリスチレン)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの絶縁性ポリマーを1種類以上添加し、当該絶縁性ポリマーを含む溶液を塗布、乾燥することにより形成してもよい。
【0111】
このようにして半導体層21を形成すると、半導体層21の下方(絶縁体層17側)に絶縁性ポリマーが集中して形成される。有機半導体と絶縁体層との界面にチオール基などの極性基が存在する場合、トランジスタ特性の低下を生じる傾向にあるが、上述の絶縁性ポリマーを介して有機半導体を設ける構成とすることにより、トランジスタ特性の低下を抑制することができる。以上のようにして、トランジスタを製造することが可能である。
【0112】
上記のような方法によれば、UV露光工程において別途化学的なレジスト等を設ける必要がなく、フォトマスクのみによる簡素な工程とすることができる。従って当然ながら、レジスト層を除去する工程についても必要としない。また、チオール基の触媒還元能により、通常必要となる触媒の活性化処理工程も省略することができ、大幅な低コスト化と時間短縮を実現しながら、高精細なパターニングが可能となる。また、ディップコート法を用いることができるため、ロール・ツー・ロール工程でも非常に相性良く利用することができる。
【0113】
なお、トランジスタの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トップコンタクト・ボトムゲート型、トップコンタクト・トップゲート型、ボトムコンタクト・トップゲート型のトランジスタも同様にして製造してもよい。
【0114】
<積層体>
本実施形態は、前記本実施形態の感光性表面処理剤を含む積層体である。
本実施形態の積層体は、基板と金属パターンとが積層された積層体であって、パターンが形成されていない未露光部に感光性表面処理剤を含む。
【0115】
<トランジスタ>
本実施形態は、前記本実施形態の感光性表面処理剤を含むトランジスタである。
本実施形態の積層体は、基板と金属パターンとが積層された積層体を有するトランジスタであって、パターンが形成されていない未露光部に感光性表面処理剤を含む。
【実施例0116】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0117】
<実施例1:感光性チオール発生モノマーの合成>
下記に記載する方法により、下記式(M)で表される2-((4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)チオ)エタン-1-オール(NBS-OH)を合成した。
【0118】
【化29】
【0119】
5Lの4つ口フラスコにアルゴン下で1-(ブロモメチル)-4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンゼン(120.0g,435mmol,1.0eq.,シグマアルドリッチ製)とアセトニトリル(2.4L,富士フイルム和光純薬製)を加え、撹拌した。
【0120】
ここに炭酸セシウム(170.0g,0.522mmol,1.2eq.,富士フイルム和光純薬製)を加えた後、さらにメルカプトエタノール(40.8g,522mmol,1.2eq.,東京化成工業製)を15分で滴下した後、バス50℃で21時間反応した。
【0121】
水(2.4L)を加え、10分撹拌した後、減圧濃縮(40℃/20mmHg)し、アセトニトリルのみ留去した。残渣を15Lポリ容器に移し、酢酸エチル(4.8L)で抽出し、さらに水層から酢酸エチル(2.4L)で抽出した。酢酸エチル層を合わせ、水(2.4L)で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤除去後、減圧濃縮(40℃/20mmHg)し、茶褐色固体を得た。得られた粗体のシリカゲルカラム精製し、NBS-OHを92.4g(78.3%)得た。
【0122】
1H-NMR(日本電子株式会社、300MHz)の測定結果を以下に示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ2.11(1H,t),2.73(2H,t),3.76(2H,m),3.80(3H,s),3.99(3H,s),4.15(2H,s),6.94(1H,s),7.36(1H,s)
【0123】
下記に記載する方法により、下記式(11)で表される2-((4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)チオ)エチルメタクリレート(NBS-MEMA)を合成した。
【0124】
【化30】
【0125】
1Lの4つ口フラスコにアルゴン下でNBS-OH、THF(dry)(400mL,富士フイルム和光純薬製)を加え、溶解した。ここにトリエチルアミン(11.1g,110mmol,1.5eq.,富士フイルム和光純薬製)を加え、氷水で冷却した後、塩化メタクリロイル(10.7g,102mmol,1.4eq.,富士フイルム和光純薬製)を30分で滴下した後、終夜撹拌した(氷浴は外さず、自然に室温まで戻るようにした)。
【0126】
反応器に氷水(400g)を注ぎ、5分撹拌した後、分液ロートに移し、酢酸エチル(800mL)で抽出した。次に酢酸エチル層を5%重曹水(400mL)で2回、市水(400mL)で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
【0127】
乾燥剤除去後、減圧濃縮(40℃/20mmHg)し、黄色固体を31g得た。得られた粗体のシリカゲルカラム精製し、NBS-MEMAを16.9g(67.6%)得た。
【0128】
1H-NMR(日本電子株式会社、300MHz)の測定結果を以下に示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ1.94(2H,s),2.76(2H,t),3.95(3H,s),4.00(3H,s),4.16(2H,s),4.31(2H,t),5.59(1H,s),6.11(1H,s),7.27(1H,s), 7.66(1H,s)
【0129】
下記に記載する方法により、下記式(12)で表されるポリ2-((4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル)チオ)エチルメタクリレート(P-NBS-MEMA)を合成した。
【0130】
【化31】
【0131】
100mLのナスフラスコにアルゴン下でNBS-MEMA(15.0g,43.9mmol,1.0eq.)、脱気処理したDMF(30ml,富士フイルム和光純薬製)を加え、溶解した。ここにAIBN(0.4g,2.2mmol,0.05eq.,富士フイルム和光純薬製)を加えた後、30分でバス温65℃まで昇温し、同温で24時間加熱撹拌した。
【0132】
反応液を放冷後メタノール(600mL)に滴下し、30分間撹拌した。析出した固体をろ取し、メタノール(100mL)で3回かけ洗いを行った。固体をクロロホルム(150mL)に再溶解した後、メタノール(1.5L)に滴下ロートを使用して30分で滴下した。
【0133】
滴下終了後、15分撹拌した後、ろ取し、メタノール(100mL)で3回かけ洗いを行った。得られた固体を減圧乾燥(60℃/<1mmHg,16h)し、目的のP-NBS-MEMAを13.3g得た。
【0134】
1H-NMR(日本電子株式会社、300MHz)およびGPC(東ソー株式会社、HLC-8420GPC、shodex KF-805L×2)の測定結果を以下に示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ0.90-1.37(m),1.87-1.94(m),2.73(2H,m),3.90-4.10(10H,m),6.93(1H,s), 7.56(1H,s)
GPC:MW:69770, Mn:32392, PDI:2.154
【0135】
<実施例2>
[めっき配線の作製]
式(12)で表される高分子化合物(P-NBS-MEMA)を含む表面処理剤を用いて基板上に成膜し、めっき配線を作製した。
【0136】
実施例1で合成した式(12)で表される高分子化合物(P-NBS-MEMA)にシクロペンタノンを加え、0.2質量%に調整し、感光性表面処理剤1を得た。
【0137】
感光性表面処理剤1を、PEN基板(帝人株式会社製、テオネックスQ65HA)上にスピンコート(ミカサ株式会社製、MS-A150)1000rpm)にて塗布した。その後、100℃で10分乾燥させ、感光性表面処理剤層を成膜した。
【0138】
次に、感光性表面処理剤層を全面成膜した基板にフォトマスクを介して、波長365nm光を1000mJ/cm露光して、感光性表面処理剤層を感光させ、露光部にはチオール発生部を、未露光部にはチオール未発生部を形成した。
【0139】
次いで、無電解めっき用の触媒コロイド溶液(メルプレート アクチベーター7331、メルテックス社製)に、室温にて10分間浸漬し、チオール発生部に触媒(Pd)を付着させた。表面を水洗した後、無電解めっき液(メルプレートNI-867、メルテックス社製)に、73℃で1分間浸漬し、触媒上にニッケルリンを析出させて微細めっき配線を作製した。
【0140】
[めっき配線及び溶解性の評価]
図3に実施例でめっき配線処理を行った、PEN基板の全体写真と、光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-7000)像を示す。
【0141】
図3から、100℃以下の低温プロセスにおいても、レジストを用いることなく細部に至るまで高精細の良好なめっき配線が形成されていることが、目視及び顕微鏡によって確認できた。また、各層における剥離及び溶解は一切見られなかった。
【0142】
さらに、実施例1で合成した式(12)で表される高分子化合物(P-NBS-MEMA)はシクロペンタノンに容易に溶解し、継時的変化も見られなかった。
【0143】
以上の結果から、感光性表面処理剤1によれば、光照射のみで任意の位置に選択的にチオールをパターニングすることが可能であり、めっきを用いた金属膜の積層後も十分な密着性を得られた。配線形成用フィルムの製造や運搬、またそれを用いた電子材料などの製造工程において管理の簡素化、コストの低減などが期待できる。
【0144】
また、平滑基板に対し低温プロセスにおいてもレジストを用いることなく高精細な無電解めっき配線を施すことが可能であることが分かった。これにより例えば、多くの薬剤を使用する下地処理、レジスト現像、レジスト剥離工程や、エネルギーを必要とするPEBをはじめとする各工程での加熱工程が省略可能であり経済面、環境保全面で効果が期待できる。またDUVよりも基板への負荷の少ない波長の光(365nm)を適用できる点も、RtoR(ロール・ツー・ロール)への適用が期待されるフィルム上での加工に好適な技術である。
【0145】
さらに、本実施例を用いれば、安価に透明電極を作製できることが期待できる。これらを繰返し実施する電子デバイスなど多層配線形成を考えると、レジストフリープロセスによる効果は極めて大きいものである。また本発明により化学物質使用量の低減、短段階のデバイス製造プロセスを実現できれば量産性・経済性の向上効果だけではなく、製造装置開発及び維持に関る負担軽減を図ることができる。また、本発明によりもたらされる有機薄膜は2~10nm程度の極薄膜でも機能しており、極めて環境負荷が小さい。
【0146】
<実施例3>
(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzaldehydeの合成)
500mLナスフラスコに3,4-ジメトキシベンズアルデヒド(50.1g,301mmol)を入れて酢酸(120mL)に溶解し、氷浴上で発煙硝酸(57mL,930mmol)をゆっくり滴下し、0℃で2時間撹拌した。
反応溶液を冷水(800mL)に注ぎ、吸引ろ過し、純水、ヘキサンで順次洗浄した。徐冷法にて再結晶(エタノール)し、黄色結晶35.2g(166mmol,55%)を得た。
【0147】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 4.03 (3H, s), 4.04 (3H, s), 7.43 (1H, s), 7.62 (1H, s), 10.5 (1H, s).
【0148】
【化32】
【0149】
(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl alcoholの合成)
500mLナスフラスコに4,5-dimethoxy-2-nitrobenzaldehyde(14.1g,66.8mmol)を入れてテトラヒドロフラン(200mL)、メタノール(100mL)に溶解し、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウム(3.79g,100mmol)を少量ずつ添加後、0℃で30分間撹拌し、更に室温で90分間撹拌した。
濃縮後、酢酸エチル(100mL×3)、純水(200mL)、2N塩酸(25mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL×2)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、黄色固体13.8g(64.7mmol,97%)を得た。
【0150】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 2.61 (1H, br s), 3.97 (3H, s), 4.01 (3H, s), 4.97 (2H, s), 7.18 (1H, s), 7.72 (1H, s).
【0151】
【化33】
【0152】
((4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)methyl(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)carbonateの合成)
100mL二口ナスフラスコに4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl alcohol(1.00g,4.69mmol)を入れてドライアセトニトリル(25mL)に溶解し、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)(2.40g,9.37mmol)、トリエチルアミン(2.0mL,14.4mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌した。
濃縮後、酢酸エチル(60mL×4)、純水(60mL)、2N塩酸(10mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)にて精製し、黄色粉体1.89g(3.55mmol,76%)を得た。
【0153】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 2.86 (4H, s), 3.98 (3H, s), 4.07 (3H, s), 5.80 (2H, s), 7.05 (1H, s), 7.78 (1H, s).
【0154】
【化34】
【0155】
(S-octyl O-[(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)methyl] carbonateの合成)
10mL二口試験管に(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)methyl(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)carbonate(0.10g,0.28mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(4mL)に溶解し、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.14g,1.14mmol)、1-オクタンチオール(0.19mL,1.12mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。
濃縮後、酢酸エチル(50mL×3)、純水(50mL)、2N塩酸(3mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、黄色固体0.06g(0.15mmol,52%)を得た。
【0156】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.88 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.19-1.44 (10H, m), 1.66 (2H, quint, J = 7.5 Hz), 2.90 (2H, t, J = 7.4 Hz), 3.96 (3H, s), 3.99 (3H, s), 5.67 (2H, s) , 7.01 (1H, s), 7.74 (1H, s).
【0157】
【化35】
【0158】
<実施例4>
(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl bromideの合成)
30mL二口ナスフラスコに4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl alcohol(0.50g,2.34mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、トリフェニルホスフィン(0.927g,3.53mmol)、四臭化炭素(1.16g,3.50mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。
ろ過後、ろ液を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、黄色粉体0.48g(1.74mmol,74%)を得た。
【0159】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 3.97 (3H, s), 4.00 (3H, s), 4.88 (2H, s) , 6.95 (1H, s), 7.68 (1H, s).
【0160】
【化36】
【0161】
(4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl octyl sulfideの合成)
100mL二口ナスフラスコにドライアセトニトリル(30mL)、炭酸カリウム(0.57g,4.14mmol)、1-オクタンチオール(0.61g,4.14mmol)を入れ、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。4,5-dimethoxy-2-nitrobenzyl bromide(0.80g,2.90mmol)を加え、窒素雰囲気下、5時間還流した。
濃縮後、クロロホルム(70mL×3)、純水(100mL)、2N塩酸(4mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)にて精製し、黄色粉体0.56g(1.65mmol,56%)を得た。
【0162】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.88 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.19-1.40 (10H, m), 1.49-1.61 (2H, m), 2.49 (2H, t, J = 7.5 Hz), 3.94 (3H, s), 3.98 (3H, s), 4.10 (2H, s) , 6.96 (1H, s), 7.62 (1H, s).
【0163】
【化37】
【0164】
<実施例5>
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethanoneの合成)
500mLナスフラスコに3,4-ジメトキシアセトフェノン(50.1g,278mmol)を入れて酢酸(200mL)に溶解し、氷浴上で発煙硝酸(47.6mL,1128mmol)をゆっくり滴下し、0℃で90分間撹拌した。反応溶液を冷水(1500mL)に注ぎ、吸引ろ過し、純水、ヘキサンで順次洗浄した。徐冷法にて再結晶(エタノール)し、黄色結晶42.3g(188mmol,68%)を得た。
【0165】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 2.51 (3H, s), 3.99 (3H, s), 4.02 (3H, s), 6.76 (1H, s), 7.62 (1H, s).
【0166】
【化38】
【0167】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethanolの合成)
300mLナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethanone(8.78g,39.0mmol)を入れてテトラヒドロフラン(100mL)、メタノール(50mL)に溶解し、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウム(2.06g,58.5mmol)を少量ずつ添加後、0℃で30分間撹拌し、更に室温で2時間撹拌した。
濃縮後、ジクロロメタン(100mL×3)、純水(100mL)、2N塩酸(30mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、黄色固体8.28g(36.4mmol,96%)を得た。
【0168】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.57 (3H, d, J = 6.3 Hz), 2.26 (1H, d, J = 3.7 Hz), 3.95 (3H, s), 4.01 (3H, s), 4.97 (1H, qd, J = 6.3, 3.7 Hz), 7.31 (1H, s), 7.58 (1H, s).
【0169】
【化39】
【0170】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethyl (2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl) carbonateの合成)
100mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethanol(1.00g,4.43mmol)を入れてドライアセトニトリル(15mL)に溶解し、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)(1.71g,6.68mmol)、トリエチルアミン(1.8mL,13.0mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌した。
濃縮後、クロロホルム(80mL×4)、純水(100mL)、2N塩酸(10mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、黄色粉体0.69g(1.87mmol,43%)を得た。
【0171】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.77 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.80 (4H, s), 3.96 (3H, s), 4.07 (3H, s), 6.51 (1H, q, J = 6.4 Hz), 7.08 (1H, s), 7.65 (1H, s).
【0172】
【化40】
【0173】
(S-octyl O-[1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethyl] carbonateの合成)
20mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethyl(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)carbonate(0.37g,1.00mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.25g,4.01mmol)、1-オクタンチオール(0.68mL,3.92mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。
濃縮後、クロロホルム(20mL×3)、純水(50mL)、2N塩酸(5mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、黄色固体0.18g(0.45mmol,45%)を得た。
【0174】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.87 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.27-1.39 (10H, m), 1.43-1.62 (2H, m), 1.65 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.74-2.87 (2H, m), 3.94 (3H, s), 3.99 (3H, s), 6.58 (1H, q, J = 6.4 Hz), 7.02 (1H, s), 7.61 (1H, s).
【0175】
【化41】
【0176】
<実施例6>
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethyl bromideの合成)
200mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethanol(10.1g,44.4mmol)を入れてドライジクロロメタン(300mL)に溶解し、窒素雰囲気下、氷浴下でドライジクロロメタン(50mL)に溶解した三臭化リン(15.2g,56.2mmol)をゆっくり滴下し、0℃で1時間撹拌した。
純水(150mL)を加えて有機層を回収し、水層を塩化メチレン(100mL×2)で抽出、有機層を合わせて飽和食塩水(150mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、黄色粘体8.94g(30.8mmol,70%)を得た。
【0177】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 2.07 (3H, d, J = 6.9 Hz), 3.95 (3H, s), 4.02 (3H, s), 6.04 (1H, q, J = 6.9 Hz) 7.28 (1H, s), 7.46 (1H, s).
【0178】
【化42】
【0179】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethyl octyl sulfideの合成)
100mL二口ナスフラスコにドライアセトニトリル(30mL)、炭酸カリウム(0.52g,4.07mmol)、1-オクタンチオール(0.71mL,4.07mmol)を入れ、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)ethyl bromide(0.84g,2.91mmol)を加え、窒素雰囲気下、4時間還流した。
濃縮後、クロロホルム(70mL×3)、純水(100mL)、2N塩酸(4mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、黄色粉体0.58g(1.65mmol,57%)を得た。
【0180】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.87 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.14-1.37 (10H, m), 1.39-1.51 (2H, m), 1.57 (3H, d, J = 7.0 Hz), 2.21-2.32 (1H, m), 2.32-2.43 (1H, m), 3.94 (3H, s), 3.99 (3H, s), 4.85 (1H, q, J = 7.0 Hz), 7.35 (1H, s), 7.41 (1H, s).
【0181】
【化43】
【0182】
<実施例7>
(1-(3,4-dimethoxyphenyl)-2-methyl-1-propanoneの合成)
500mLナスフラスコに1,2-ジメトキシベンゼン(64.8mL,508mmol)、イソ酪酸無水物(93.0mL,576mmol)を入れてヨウ素(7.72g,30.4mmol)を添加し、室温で2時間半撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄後、酢酸エチル(100mL×3)、純水(150mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、褐色粘体73.1g(351mmol,69%)を得た。
【0183】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.22 (6H, d, J = 6.9 Hz), 3.56 (1H, sept, J = 6.9 Hz), 3.94 (3H, s), 3.95 (3H, s), 6.90 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.55 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.60 (1H, dd, J = 8.5, 2.0 Hz).
【0184】
【化44】
【0185】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methyl-1-propanoneの合成)
200mLナスフラスコに1-(3,4-dimethoxyphenyl)-2-methyl-1-propanone(13.6g,65.1mmol)を入れて酢酸(32.5mL)に溶解し、氷浴上で発煙硝酸(10.8mL,260mmol)をゆっくり滴下し、0℃で2時間撹拌した。
反応溶液を冷水(800mL)に注ぎ、吸引ろ過し、純水、ヘキサンで順次洗浄した。徐冷法にて再結晶(エタノール)し、黄色結晶9.56g(37.8mmol,58%)を得た。
【0186】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.22 (6H, d, J = 7.0 Hz), 2.91 (1H, sept, J = 7.0 Hz), 3.98 (3H, s), 3.99 (3H, s), 6.69 (1H, s), 7.66 (1H, s).
【0187】
【化45】
【0188】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropanolの合成)
300mLナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methyl-1-propanone(10.2g,40.4mmol)を入れてテトラヒドロフラン(80mL)、メタノール(40mL)に溶解し、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウム(2.32g,61.3mmol)を少量ずつ添加後、0℃で30分間撹拌し、更に室温で2時間撹拌した。
濃縮後、ジクロロメタン(100mL×3)、純水(100mL)、2N塩酸(35mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(150mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、黄色固体10.2g(40.0mmol,99%)を得た。
【0189】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.96 (6H, d, J = 6.8 Hz), 1.97-2.11 (1H, m), 2.18 (1H, br s), 3.95 (3H, s), 3.99 (3H, s), 5.27 (1H, br d, J =3.6 Hz), 7.21 (1H, s), 7.57 (1H, s).
【0190】
【化46】
【0191】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropyl(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)carbonateの合成)
50mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropanol(4.3g,16.8mmol)を入れてドライアセトニトリル(30mL)に溶解し、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)(8.92g,34.8mmol)、トリエチルアミン(4.7mL,33.9mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌した。
濃縮後、クロロホルム(50mL×4)、純水(50mL)、2N塩酸(10mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、黄色粉体0.52g(4.24mmol,64%)を得た。
【0192】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.04 (3H, d, J = 6.9 Hz), 1.10 (3H, d, J = 6.9 Hz), 2.23-2.31 (1H, m), 2.79 (4H, s), 3.95 (3H, s), 4.06 (3H, s), 6.41 (1H, d, J = 5.0 Hz), 6.97 (1H, s), 7.67 (1H, s).
【0193】
【化47】
【0194】
(S-octyl O-(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropyl)carbonateの合成)
10mL二口試験管に1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropyl (2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl) carbonate(98.5mg,0.25mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(64.3mg,0.53mmol)、1-オクタンチオール(0.087mL,0.50mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で24時間撹拌した。
濃縮後、酢酸エチル(60mL×3)、純水(60mL)、2N塩酸(2mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、黄色固体43.6mg(0.10mmol,41%)を得た。
【0195】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.87 (3H, t, J = 6.6 Hz), 1.00 (3H, d, J = 6.9 Hz), 1.02 (3H, d, J = 6.9 Hz), 1.18-1.39 (10H, m), 1.53-1.63 (2H, m), 2.12-2.24 (1H, m), 2.74-2.86 (2H, m), 3.95 (3H, s), 3.97 (3H, s), 6.47 (1H, d, J = 5.5 Hz), 6.92 (1H, s), 7.63 (1H, s).
【0196】
【化48】
【0197】
<実施例8>
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropyl bromideの合成)
500mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropanol(3.17g,12.4mmol)を入れてドライベンゼン(250mL)に溶解し、ピリジン(0.5mL,6.20mmol)を添加し、窒素雰囲気下、氷浴下でドライベンゼン(100mL)に溶解した三臭化リン(1.80mL,19.0mmol)をゆっくり滴下し、0℃で2時間撹拌した。
純水(10mL)を加えて濃縮後、酢酸エチル(100mL×3)、純水(150mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(150mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、黄色粘体2.05g(6.44mmol,52%)を得た。
【0198】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.94 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.22 (3H, d, J = 6.6 Hz), 2.23-2.35 (1H, m), 3.95 (3H, s), 3.99 (3H, s), 5.73 (1H, d, J = 8.0 Hz) , 7.22 (1H, s), 7.45 (1H, s).
【0199】
【化49】
【0200】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropyl octyl sulfideの合成)
50mL二口ナスフラスコにドライアセトニトリル(10mL)、炭酸カリウム(73.0mg,0.53mmol)、1-オクタンチオール(0.10mL,0.58mmol)を入れ、窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-methylpropyl bromide (0.11g,0.35mmol)を加え、窒素雰囲気下、4時間還流した。
濃縮後、クロロホルム(30mL×3)、純水(100mL)、2N塩酸(2mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、黄色粉体12.5mg(0.03mmol,9%)を得た。
【0201】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.87 (3H, t, J = 6.7 Hz), 0.89 (3H, d, J = 6.6 Hz), 1.11 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.14-1.36 (10H, m), 1.39-1.50 (2H, m), 1.94-2.07 (1H, m), 2.16-2.26 (1H, m), 2.29-2.40 (1H, m), 3.94 (3H, s), 3.98 (3H, s), 4.60 (1H, d, J = 8.1 Hz), 7.32 (1H, s), 7.38 (1H, s).
【0202】
【化50】
【0203】
<実施例9>
(1-(3,4-dimethoxyphenyl)-2,2-dimethyl-1-propanoneの合成)
200mLナスフラスコに1,2-ジメトキシベンゼン(27.7mL,217mmol)、ピバル酸無水物(44.0mL,217mmol)を入れてヨウ素(3.30g,13.0mmol)を添加し、室温で20時間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄後、酢酸エチル(100mL×3)、純水(150mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(150mL×2)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、褐色粘体31.5g(142mmol,65%)を得た。
【0204】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.39 (9H, s), 3.92 (3H, s), 3.94 (3H, s), 6.85 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.42 (1H, d, J = 2.0 Hz), 7.55 (1H, dd, J = 8.6, 2.0 Hz).
【0205】
【化51】
【0206】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethyl-1-propanoneの合成)
200mLナスフラスコに1-(3,4-dimethoxyphenyl)-2,2-dimethyl-1-propanone(16.3g,73.3mmol)を入れて酢酸(25mL)に溶解し、氷浴上で発煙硝酸(45mL,1067mmol)をゆっくり滴下し、0℃で2時間撹拌した。反応溶液を冷水(1500mL)に注ぎ、吸引ろ過し、純水、ヘキサンで順次洗浄した。徐冷法にて再結晶(エタノール)し、黄色結晶5.64g(21.1mmol,29%)を得た。
【0207】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.26 (9H, s), 3.98 (3H, s), 3.99 (3H, s), 6.59 (1H, s), 7.70 (1H, s).
【0208】
【化52】
【0209】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethylpropanolの合成)
300mLナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethyl-1-propanone(5.64g,21.1mmol)を入れてテトラヒドロフラン(140mL)、メタノール(84mL)に溶解し、氷浴上で水素化ホウ素ナトリウム(2.00g,52.8mmol)を少量ずつ添加後、0℃で30分間撹拌し、更に室温で2時間撹拌した。
濃縮後、酢酸エチル(100mL×4)、純水(150mL)、2N塩酸(35mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(150mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮し、黄色固体5.58g(20.7mmol,98%)を得た。
【0210】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.90 (9H, s), 2.05 (1H, d, J = 3.6 Hz), 3.94 (3H, s), 3.97 (3H, s), 5.63 (1H, d, J =3.3 Hz), 7.24 (1H, s), 7.45 (1H, s).
【0211】
【化53】
【0212】
(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethylpropyl(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)carbonateの合成)
100mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethylpropanol(1.00g,3.72mmol)を入れてドライアセトニトリル(15mL)に溶解し、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)(1.44g,5.63mmol)、トリエチルアミン(1.56mL,11.5mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌した。
濃縮後、クロロホルム(80mL×4)、純水(100mL)、2N塩酸(10mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、黄色粉体0.65g(1.59mmol,43%)を得た。
【0213】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 1.02 (9H, s), 2.79 (4H, s), 3.95 (3H, s), 4.04 (3H, s), 6.71 (1H, s), 6.98 (1H, s), 7.60 (1H, s).
【0214】
【化54】
【0215】
(S-octyl O-(1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethylpropyl)carbonateの合成)
20mL二口ナスフラスコに1-(4,5-dimethoxy-2-nitrophenyl)-2,2-dimethylpropyl(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)carbonate(0.31g,0.73mmol)を入れてドライテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.37mg,2.92mmol)、1-オクタンチオール(0.51mL,2.92mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で20時間撹拌した。
濃縮後、クロロホルム(10mL×3)、純水(30mL)、2N塩酸(6mL)を加えて抽出、有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=8:1)にて精製し、黄色固体0.18g(0.41mmol,56%)を得た。
【0216】
1H-NMR(日本電子株式会社、400MHz)の測定結果及び反応式を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3/TMS, 400 MHz): δ 0.87 (3H, t, J = 6.8 Hz), 0.97 (9H, s), 1.17-1.39 (10H, m), 1.52-1.63 (2H, m), 2.73-2.88 (2H, m), 3.94 (3H, s), 3.95 (3H, s), 6.77 (1H, s), 6.92 (1H, s), 7.57 (1H, s).
【0217】
【化55】
【0218】
実施例3~9で製造した化合物を、それぞれアセトニトリルに溶解して0.1mM溶液を調製した。超高圧水銀灯で365nmバンドパスフィルタ及び水フィルタを介して、波長365nm、照度25mW/cmの光を0,5,10,15,20,25及び30秒間照射し、それぞれHPLC測定した。
【0219】
HPLC測定より得られた原料のピーク面積(S:光照射前の面積、S:光照射t秒後の面積)を下記の式に代入して、原料の減少率から光分解速度定数k(s-1)を求めた。その結果を表1に示す。
【0220】
【数1】
【0221】
【表1】
【0222】
実施例3~9で製造した化合物は、いずれも光分解速度定数が0を超え、光分解したことが確認できた。実施例3~9で製造した化合物は、光照射するといずれもチオールを生成するため、実施例2と同様に任意の位置に選択的にチオールをパターニングすることが可能である。
【0223】
実施例3~9の化合物において、ベンジル位に置換基Rを導入すると無置換(R=H)よりも光分解速度が向上することが確認できた。同Rで比較すると、チオカーボナートよりもスルフィドのほうが速く光分解した。ベンジル位にメチル基(Me)をもつスルフィドが最速である知見を得た。
【符号の説明】
【0224】
11:基板、10a:感光性表面処理剤、10:感光性表面処理剤層、13:フォトマスク、14:チオール発生部、12:チオール未発生部、15:触媒層、16:めっき層、17:絶縁体層、18:めっき層(ソース電極)、19:めっき層(ドレイン電極)、21:半導体層
図1
図2
図3