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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027653
(43)【公開日】2023-03-02
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021132908
(22)【出願日】2021-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】末次 由里
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EB08
2C056EB40
2C056EC07
2C056EC69
2C056EE18
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA37
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】画像品質の低下を抑制可能な液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体吐出装置は、記録媒体に第1液体を付与する第1ヘッドと、第2液体を吐出する第2ヘッドと、前記第1液体と同じ色の第3液体を吐出する第3ヘッドと、前記記録媒体における前記第1液体の付与状態を検知した検知信号を出力する検知部と、前記第1ヘッドと前記検知部とを前記記録媒体に対して相対移動させる第1移動機構と、前記第2ヘッドと前記第3ヘッドとを前記記録媒体に対して相対移動させる第2移動機構と、前記検知部による前記検知信号に基づき、前記第3ヘッドによる吐出を制御する制御部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に第1液体を付与する第1ヘッドと、
第2液体を吐出する第2ヘッドと、
前記第1液体と同じ色の第3液体を吐出する第3ヘッドと、
前記記録媒体における前記第1液体の付与状態を検知した検知信号を出力する検知部と、
前記第1ヘッドと前記検知部とを前記記録媒体に対して相対移動させる第1移動機構と、
前記第2ヘッドと前記第3ヘッドとを前記記録媒体に対して相対移動させる第2移動機構と、
前記検知部による前記検知信号に基づき、前記第3ヘッドによる吐出を制御する制御部と、を有する液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1液体は白色の液体であり、
前記第2液体は白色以外の色の液体であり、
前記第3液体は白色の液体である請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1移動機構及び前記第2移動機構は、前記第1ヘッド、前記検知部、前記第2ヘッド及び前記第3ヘッドを、所定の移動方向に沿って移動させ、
前記第1移動機構及び前記第2移動機構に対し、前記所定の移動方向と直交する方向に沿って前記記録媒体を相対移動させる副走査移動機構を有し、
前記第2移動機構は、前記所定の移動方向と直交する方向における前記第1移動機構の下流側に設けられている請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
複数の前記第3ヘッドを有し、
前記第1移動機構は、所定の移動方向に沿って前記第1ヘッドを移動させ、
前記第2移動機構は、前記所定の移動方向に沿って前記第2ヘッド及び前記第3ヘッドを移動させ、
前記第3ヘッドは、前記所定の移動方向における前記第2ヘッドの上流側及び下流側の両側に配置されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、
第1ヘッドにより、記録媒体に第1液体を付与し、
第2ヘッドにより、第2液体を吐出し、
第3ヘッドにより、前記第1液体と同じ色の第3液体を吐出し、
検知部により、前記記録媒体における前記第1液体の付与状態を検知した検知信号を出力し、
第1移動機構により、前記第1ヘッドと前記検知部とを前記記録媒体に対して相対移動させ、
第2移動機構により、前記第2ヘッドと前記第3ヘッドとを前記記録媒体に対して相対移動させ、
制御部により、前記検知部による前記検知信号に基づき、前記第3ヘッドによる吐出を制御する液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出装置において、白色以外の記録媒体に下地用の液体(第1液体)として白色の液体を付与した後、記録媒体に付与された第1液体上に白色以外の色の液体(第2液体)を吐出することにより、画像を形成するものが知られている。
【0003】
また、液体を吐出するヘッドが備える複数のノズルのうち、吐出不良が発生した吐出不良ノズルに対してクリーニング処理を施すために、二次元イメージセンサによる撮像画像から吐出不良ノズルを検出する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体に第1液体を付与する液体吐出装置では、第1液体が付与されていない領域があると、第2液体により形成した画像の品質が低下する場合がある。特許文献1の構成では、記録媒体における第1液体の付与状態を検知しないため、上記の画像品質の低下を抑制することはできない。
【0005】
本発明は、画像品質の低下を抑制可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、記録媒体に第1液体を付与する第1ヘッドと、第2液体を吐出する第2ヘッドと、前記第1液体と同じ色の第3液体を吐出する第3ヘッドと、前記記録媒体における前記第1液体の付与状態を検知した検知信号を出力する検知部と、前記第1ヘッドと前記検知部とを前記記録媒体に対して相対移動させる第1移動機構と、前記第2ヘッドと前記第3ヘッドとを前記記録媒体に対して相対移動させる第2移動機構と、前記検知部による前記検知信号に基づき、前記第3ヘッドによる吐出を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像品質の低下を抑制可能な液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る液体吐出装置の構成例を説明する図である。
図2】実施形態に係る液体吐出装置の全体構成例の斜視図である。
図3】実施形態に係る液体吐出装置の全体構成例の上面図である。
図4】実施形態に係る液体吐出装置の全体構成例の正面図である。
図5】実施形態に係るキャリッジ周辺の拡大上面図である。
図6】実施形態に係るイメージセンサの構成例の正面図である。
図7】実施形態に係るイメージセンサの構成例のブロック図である。
図8】実施形態に係る制御部の機能構成例のブロック図である。
図9】第1実施形態に係る液体吐出装置の動作例を示すフロー図である。
図10】第2実施形態に係る液体吐出装置の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下に示す図でX軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合があるが、X軸に沿うX方向は、実施形態に係る液体吐出装置が備えるキャリッジの移動方向である主走査方向を示し、Y軸に沿うY方向は記録媒体の移動方向である副走査方向を示し、Z軸に沿うZ方向は、主走査方向及び副走査方向の両方に直交する方向を示すものとする。
【0011】
またX方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記する。またZ方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。但し、これらのことは、液体吐出装置の使用時における向きを制限するものではなく、液体吐出装置の向きは任意である。
【0012】
[第1実施形態]
<液体吐出装置100の構成例>
実施形態に係る液体吐出装置100は、インク(液体)を吐出することにより、Tシャツ等の布地(記録媒体)に画像を形成する液体吐出方式の画像形成装置である。また液体吐出装置100は、インクを吐出するヘッドが移動する、いわゆるシリアル方式のインクジェットプリンタである。
【0013】
図1は、液体吐出装置100の構成を説明する図である。図1に示すように、液体吐出装置100は、第1キャリッジ1と、第2キャリッジ2と、第1ヘッド3と、第2ヘッド4と、第3ヘッド5と、イメージセンサ6と、制御部7と、を有する。
【0014】
液体吐出装置100は、第1ヘッド3により黒色の布地Gに白色インクを付与して形成した下地領域Gaにおいて、白色インクの付与状態をイメージセンサ6により検知する。液体吐出装置100は、第1ヘッド3に含まれるノズルの吐出不良等により下地領域Gaに白色インクが付与されていない抜け領域(以下、「抜け領域」という)が検知された場合には、第3ヘッド5により白色インクを吐出して抜け領域を補修する。この抜け領域は付与状態の一例に対応する。液体吐出装置100は、抜け領域が補修された下地領域Ga上に第2ヘッド4によりインクを吐出することによって、布地Gに高品質な画像を形成できる。以下、液体吐出装置100が有する各構成部について説明する。
【0015】
第1キャリッジ1は、第1ヘッド3とイメージセンサ6とを布地Gに対して相対移動させる第1移動機構の一例である。第1キャリッジ1は、第1ヘッド3とイメージセンサ6とを第1キャリッジ1上に固定し、実線白抜き矢印で示した移動方向10に沿って移動することにより、第1ヘッド3とイメージセンサ6とを一体に主走査方向に往復移動させる。
【0016】
第2キャリッジ2は、第2ヘッド4と第3ヘッド5とを布地Gに対して相対移動させる第2移動機構の一例である。第2キャリッジ2は、第2ヘッド4と第3ヘッド5とを第2キャリッジ2上に固定し、実線白抜き矢印で示した移動方向20に沿って移動することにより、第2ヘッド4と第3ヘッド5とを一体に主走査方向に往復移動させる。
【0017】
液体吐出装置100は、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2を主走査方向に、また布地Gを副走査方向に、それぞれ移動させながら、各ヘッドからインクを吐出することにより布地G上に2次元画像を形成する。破線白抜き矢印で示した移動方向30は、布地Gを移動させる方向に対応する。
【0018】
第1ヘッド3は、複数のノズルを含み、該ノズルから白色インクを吐出することにより、黒色の布地Gに白色インクを付与する。第1ヘッド3により布地Gに付与された白色インクは、布地Gに画像を形成するための下地領域Gaを形成する。
【0019】
例えば布地Gに色ムラ等があると、布地Gに直接インクを吐出して画像を形成すると、形成された画像において所望の色やコントラストが得られず、画像品質が低下する場合がある。液体吐出装置100は、画像形成に先立って形成した下地領域Gaの上に画像を形成することにより、布地Gにおける色ムラ等を下地領域Gaによって吸収し、布地Gに形成する画像の品質低下を抑制する。
【0020】
第1ヘッド3は、ヘッド3W1、3W2、3W3及び3W4の4個のヘッドを含み、各ヘッドから白色インクを吐出する。第1ヘッド3に含まれるヘッドの個数は4個に限定されるものではなく、任意の個数であってもよい。なお、第1ヘッド3は、ヘッド3W1、3W2、3W3及び3W4の総称表記である。
【0021】
第1ヘッド3が付与する白色インクは第1液体の一例である。布地Gは、黒色に限定されるものではなく、他の色であってもよい。第1液体の色も白色に限定されるものではなく、布地の色に合わせて適宜変更可能である。視認性等の観点では、第1液体の色は、布地Gの色とは異なるものであることが好ましい。
【0022】
本実施形態では、第1ヘッド3が複数のノズルからインクを吐出する構成を例示するが、これに限定されるものではない。例えば第1ヘッド3は、単ノズルからインクを吐出してもよいし、塗布等の液体吐出以外の方式により布地Gにインクを付与してもよい。但し、第1キャリッジ1と第2キャリッジ2の構成部品を共通化する観点では、下地用のインクを付与するための構成部として、液体吐出方式のヘッドを用いることが好ましい。
【0023】
第2ヘッド4は、ヘッド4C、4M、4Y及び4Kからなる4個のヘッドを含み、各ヘッドからシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のインクを吐出する。第2ヘッド4により吐出された各色のインクは、布地Gに付与された下地領域Ga上に着弾してカラー画像を形成する。なお、以下において、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色インクをカラーインクと総称する場合がある。
【0024】
第2ヘッド4に含まれるヘッドの個数は4個に限定されるものではなく、任意の個数であってもよい。第2ヘッド4は、ヘッド4C、4M、4Y及び4Kの総称表記である。シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のインクは、それぞれ第2液体の一例であるが、第2液体の色はこれらに限定されるものではなく、ゴールドやグリーン等の他の色であってもよいし、3色以下の色数であってもよい。また1つの色のインクを複数のヘッドが吐出する構成であってもよい。
【0025】
第3ヘッド5は、白色インクを吐出する。液体吐出装置100は、第1ヘッド3から吐出された白色インクにより下地領域Gaを形成するが、第1ヘッド3に含まれるノズルのうちに吐出不良ノズルがあると、布地Gに白色インクが付与されず、下地領域Gaに抜け領域が生じる場合がある。この吐出不良には、インクが吐出されない不吐出や、所望の方向に吐出されない吐出曲がり等が含まれる。
【0026】
液体吐出装置100は、下地領域Gaにおける抜け領域に、同じ色である白色インクを第3ヘッド5から吐出して付与することにより、下地領域Gaにおける抜け領域を補修することができる。
【0027】
本実施形態では、第3ヘッド5は1個のヘッドからなるが、これに限定されるものではなく、任意の個数であってもよい。また、第3ヘッド5が吐出する白色インクは第3液体の一例であるが、第3液体の色は、白色に限定されるものではなく、第1液体と同じ色であれば、他の色であってもよい。
【0028】
イメージセンサ6は、布地Gにおける白色インクの付与状態を検知した検知信号を出力する検知部の一例である。
【0029】
制御部7は、液体吐出装置100全体の動作を制御する。本実施形態では特に、制御部7は、イメージセンサ6が出力する検知信号に基づき、第3ヘッド5による吐出を制御する。
【0030】
<液体吐出装置100の全体構成>
図2から図4は、液体吐出装置100の全体構成を例示する図である。図1は斜視図、図2は上面図、図3は正面図である。図5は、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2の周辺を拡大して示す上面図である。
【0031】
液体吐出装置100は、主走査モータ11により主走査タイミングベルト12を駆動させることにより、主ガイドロッド13及び副ガイドロッド14に沿ってX方向に第1キャリッジ1を移動させる。液体吐出装置100は、第1キャリッジ1が移動する際に、第1キャリッジ1の位置を検出するために、周期的にスリットが形成又は印刷されたエンコーダーシート15を第1キャリッジ1上のエンコーダ15aにより読み取る。液体吐出装置100は、読取結果に応じてタイミングを合わせて第1ヘッド3からインクを吐出することにより、布地Gに下地領域Gaを形成する。
【0032】
液体吐出装置100は、主走査モータ21により主走査タイミングベルト22を駆動させることにより、主ガイドロッド23及び副ガイドロッド24に沿ってX方向に第2キャリッジ2を移動させる。液体吐出装置100は、第2キャリッジ2が移動する際に、第2キャリッジ2の位置を検出するために、周期的にスリットが形成又は印刷されたエンコーダーシート25を第2キャリッジ2上のエンコーダ25aにより読み取る。液体吐出装置100は、読取結果に応じてタイミングを合わせて第2ヘッド4からインクを吐出することにより、下地領域Gaに画像を形成する。
【0033】
第1キャリッジ及び第2キャリッジ2上に搭載されている各ヘッドは、それぞれ2列の副走査方向に並んだノズル列を有している。液体吐出装置100は、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2内のヘッドの直上に、吐出に使用されるインクを一時的に貯留しておくためのヘッドタンクを備えている。ヘッドタンクは、インク供給チューブを通じ、インク供給ポンプを介してインクカートリッジ8と接続されており、必要に応じてインクカートリッジ8からインクの補給を受ける。
【0034】
布地Gはプラテン31上に載置される。プラテン31は、プラテン昇降機構32の上に搭載されており、Z方向に沿って位置を調整可能である。またプラテン昇降機構32は副走査スライダ33上に搭載されている。
【0035】
副走査スライダ33は副走査ガイドレール34に沿って副走査タイミングベルト35、副走査駆動機構及び制御部7により制御され、副走査方向に移動可能となっている。副走査スライダ33は、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2の移動方向であるX方向と直交するY方向に沿って、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2に対し、布地Gを相対移動させる副走査移動機構の一例である。
【0036】
制御部7は、液体吐出装置100に設けられたコントローラボードである。
【0037】
布地Gへの画像形成は次のような手順で行われる。まず、液体吐出装置100のユーザが布地Gをプラテン31上に載置する。その後、ユーザによる操作部36への操作に応じて、液体吐出装置100は、プラテン31を-Y方向側に完全に引き込む動作を行う。この引き込みの際に、液体吐出装置100は、プラテン31上の布地Gが第1ヘッド3及び第2ヘッド4等に衝突するか否かを高さ検出センサ37により検出する。布地Gが第1ヘッド3及び第2ヘッド4等に衝突する場合には、液体吐出装置100は、プラテン31の引き込みをその場で停止する。もしくは液体吐出装置100は、+Y方向側における布地Gの初期位置までプラテン31を戻す。プラテン31の-Y方向側への引き込みが問題なく完了した場合には、液体吐出装置100は、布地Gに形成する画像の元となる画像データの受信を待機する状態となる。
【0038】
液体吐出装置100は、上記の待機状態において、PC(Personal Computer)等から印刷データを受信すると、画像形成動作を開始する。また、予め制御部7に画像データが蓄積されている場合には、液体吐出装置100は、ユーザが操作部36を介して、蓄積されている画像データを選択することにより、画像形成動作を開始する。
【0039】
液体吐出装置100は、画像形成が開始されると、まずプラテン31を画像形成開始位置まで移動させる。その後、液体吐出装置100は、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2を+X方向又は-X方向へ1回移動させながら白色インク及びカラーインクを吐出することにより画像形成を行う。この1回の移動が完了するタイミングに合わせ、液体吐出装置100は、次の画像形成のために、プラテン31を+Y方向側に適切な移動量分移動させる(改行処理)。
【0040】
プラテン31の移動完了を待って、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2が+X方向又は-X方向へ1回移動しながら白色インク及びカラーインクを吐出して画像形成を行う。この第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2のX方向への移動と、その後のプラテン31のY方向への移動を繰り返し行うことにより、布地Gの所望の領域に2次元の画像を形成できる。画像形成が完了すると、液体吐出装置100は、プラテン31を+Y方向側の初期位置に戻し、画像形成が完了する。
【0041】
液体吐出装置100は、画像形成途中において空気に触れることによって乾燥し、粘度が上がったインクを捨て吐出(空吐出)する第1空吐出受け16を、第1キャリッジ1の-X方向側に備えている。また液体吐出装置100は、画像形成途中において空気に触れることによって乾燥し、粘度が上がったインクを捨て吐出する第2空吐出受け26を、第2キャリッジ2の-X方向側に備えている。
【0042】
液体吐出装置100は、所定のタイミングにおける制御部7からの指示に従って、第1空吐出受け16及び第2空吐出受け26に、粘度が上がったインクを捨て吐出する。
【0043】
液体吐出装置100は、第1キャリッジ1の+X方向側に、第1ヘッド3の機能の維持回復機構である第1維持機構17を備えている。また液体吐出装置100は、第2キャリッジ2の+X方向側に、第2ヘッド4及び第3ヘッド5の機能の維持回復機構である第2維持機構27を備えている。
【0044】
第1維持機構17は、液体吐出装置100の非稼働(非画像形成)時にヘッドを乾燥から保護するために、保湿キャップ18a及び吸引キャップ18bを備えている。
【0045】
保湿キャップ18aは、ヘッドにおけるノズルが設けられたノズル面を覆い、ノズル面を乾燥から保護する。吸引キャップ18bは、保湿キャップの機能に加え、吸引キャップ18bに接続された吸引ポンプにより、ヘッドから主に増粘したインクを吸引することによって、ヘッドを適切な状態に回復させる機能を備えている。液体吐出装置100は、吸引ポンプにより吸引されたインクを、廃液チューブを経由し、廃液ボトルに排出する。
【0046】
また、第1維持機構17は、吸引後のノズル面に残った余分なインクを清掃しノズル状態を回復するためのワイパ19を備えている。液体吐出装置100は、ヘッド吸引後にワイパ19によりノズル面を拭くことにより、余分なインクを掻き落とし、第1ヘッド3に含まれるノズルに、インクと大気との界面であるメニスカスを正常に形成する。
【0047】
第2維持機構27も同様に、保湿キャップ、吸引キャップ及びワイパを備えており、これらを用いて第2ヘッド4及び第3ヘッド5それぞれに含まれているノズルにメニスカスを正常に形成する。
【0048】
図5に示すように、第1キャリッジ1と第2キャリッジ2は、Y方向に沿って並んで設けられている。第1キャリッジ1は、X方向に沿って移動することにより、第1ヘッド3及びイメージセンサ6を主走査方向に相対移動させる。第2キャリッジ2は、X方向に沿って移動することにより、第2ヘッド4及び第3ヘッド5を主走査方向に相対移動させる。
【0049】
<イメージセンサ6の構成例>
図6及び図7は、イメージセンサ6の構成の一例を示す図であり、図6は正面図、図7はイメージセンサ6における画像処理部65の機能構成を含むブロック図である。
【0050】
図6及び図7に示すように、イメージセンサ6は、撮像素子61と、光源62と、電気素子実装基板63と、筐体64と、画像処理部65と、データ記憶用メモリ66と、インターフェース部67と、を有する。
【0051】
液体吐出装置100は、第1キャリッジ1によりイメージセンサ6をX方向に移動させながら、筐体64に設けられてた開口部64aを通して光源62からの光を布地Gに照射しつつ、撮像素子61によりY方向に沿ったライン画像を撮像する。イメージセンサ6は、撮像されたライン画像に対し、画像処理部65により所定の処理を実行後、処理後のライン画像を検知信号として、上位CPU70を介して制御部7に出力する。
【0052】
液体吐出装置100は、撮像されたライン画像を結合することによって、布地Gの2次元画像を取得できる。液体吐出装置100は、第1ヘッド3により下地領域Gaを形成しつつ、特に布地Gに形成途中である下地領域Gaの2次元画像を取得する。
【0053】
撮像素子61は、受光した光の強度に応じた電圧信号を出力する複数の画素が、Y方向に沿ってライン状に並んだ1次元撮像素子である。1次元撮像素子には、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、フォトダイオードアレイ等を適用可能である。但し、撮像素子は1次元撮像素子に限るものではなく、2次元撮像素子であってもよい。
【0054】
光源62は、撮像素子61により受光する光の光強度を確保するために、布地Gに光を照射する。光源62による照射光がなくても必要な受光強度が得られる場合には、イメージセンサ6は、光源62を備えなくてもよい。光源62には、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の小型の光源を適用することが好ましい。
【0055】
電気素子実装基板63は、撮像素子61、光源62、画像処理部65、データ記憶用メモリ66及びインターフェース部67等の電気素子が実装され、それぞれが動作可能に配線された基板である。
【0056】
筐体64は、撮像素子61、光源62及び電気素子実装基板63等を収容する箱状部材である。筐体64は、布地Gに向き合う底面部に開口部64aを備えている。筐体64内に設けられた光源62は、開口部64aを通して布地Gに光を照射する。筐体64は、布地Gとの間において間隙dの隙間を持って配置され、間隙dを保ったまま布地G上を移動可能である。
【0057】
間隙dは、出来るだけ小さい方が好ましいが、布地Gの平面性も考慮し、筐体が布地Gと接触しないように定められる。間隙dは、例えば1[mm]から2[mm]程度である。但し、浮き上がりが発生しやすい布地Gである場合には、イメージセンサ6と布地Gとが接触しないように、間隙dを大きくすることもできる。
【0058】
画像処理部65は、AD(Analog/Digital)変換部651と、シェーディング補正部652と、ガンマ補正部653と、画像フォーマット変換部654と、を有する。AD変換部651は、撮像素子61により出力されたアナログ電圧信号をデジタル電圧信号に変換する。シェーディング補正部652は、撮像された画像における光量ムラを補正する画像処理を行う。ガンマ補正部653は撮像素子61のガンマ特性(リニアリティ特性)を補正する画像処理を行う。画像フォーマット変換部654は、撮像された画像を、上位CPU(Central Processing Unit)70において処理可能なフォーマットに変換する。
【0059】
画像処理部65は、上記各機能を電気回路で実現できる他、一部の機能をソフトウェア(CPU)によって実現することもできる。また複数の回路又は複数のソフトウェアによってこれらの機能が実現されてもよい。
【0060】
データ記憶用メモリ66は、画像処理部65による処理を実行するために、撮像された画像のデータを一時記憶するメモリである。インターフェース部67は、画像処理部65と上位CPU70とを通信可能にするインターフェースである。
【0061】
<制御部7の機能構成例>
図8は、制御部7の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部7は、撮像データ演算部71と、画像データバッファ部72と、画像データ制御部73と、吐出ノズルテーブル選択部74と、解像度情報制御部75と、吐出ノズルテーブル格納部76と、画像データ出力部77と、を有する。制御部7は、こられの機能を電気回路で実現できる他、一部の機能をソフトウェア(CPU)によって実現することもできる。また複数の回路又は複数のソフトウェアによってこれらの機能が実現されてもよい。
【0062】
撮像データ演算部71は、イメージセンサ6により撮像されたライン画像データを受信し、該ライン画像データを結合して得られる2次元画像を画像処理することにより、下地領域Gaにおける抜け領域を検出する。撮像データ演算部71は、検出した抜け領域の場所及び大きさに応じて、抜け領域を補修するために第3ヘッド5から白色インクが吐出される1つ又は複数のノズルを決定し、決定したノズル情報を画像データ制御部73に出力する。
【0063】
画像データバッファ部72は、PC9によりレンダリング後に送信された画像データを格納している。PC9により画像形成指示が出されると、画像形成指示は、画像データバッファ部72を介して画像データ制御部73へ送信される。
【0064】
吐出ノズルテーブル格納部76は、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2によるX方向への移動ごとにおいて吐出するノズルを示すテーブルを格納する。このテーブルは、解像度情報制御部75により読み出された第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2のX方向への移動数に応じて、吐出ノズルテーブル選択部74によって読み出され、画像データ制御部73に送信される。
【0065】
画像データ制御部73は、画像データバッファ部72及び吐出ノズルテーブル選択部74から受信した情報に基づき、第1ヘッド3、第2ヘッド4及び第3ヘッド5それぞれに送信する画像データを生成する。
【0066】
制御部7は、抜け領域が検出された場合には、第3ヘッド5のうち、抜け領域を補修するために吐出するノズルを指定する情報を、吐出ノズルテーブル格納部76を介して画像データ出力部77から第3ヘッド5に送信する。第3ヘッド5は、理想的には吐出をしないことを想定して設けられているが、下地領域Gaにおいて抜け領域が検知された場合には、指定されたノズルから白色インクを吐出して抜け領域を補修する。
【0067】
下地領域Gaにおいて抜け領域が検出されなかった場合には、制御部7は、第3ヘッド5における各ノズル内のインクを微駆動させるための駆動波形を送信する。微駆動とは、吐出を行わないノズル内のインクが乾燥しないように、ノズル内のインクを振動させるための駆動である。この場合には、第3ヘッド5は、ノズルからインクを吐出せず、振動によりノズル内のインクを動かすことによりインク乾燥を抑制する。
【0068】
液体吐出装置100は、下地領域Gaにおける抜け領域の補修が終了後に、第2ヘッド4によりカラーインクを吐出し、下地領域Ga上にカラー画像を形成する。
【0069】
<液体吐出装置100の動作例>
図9は、液体吐出装置100の動作の一例を示すフローチャートである。液体吐出装置100は、操作部36を介したユーザによる画像形成開始の操作入力受付、又はPC9からの画像形成開始の指示入力等に応答して、図9に示す布地Gへのカラー画像の形成動作を開始する。
【0070】
まず、ステップS91において、液体吐出装置100は、下地領域Gaを形成するために、第1ヘッド3により布地Gに白色インクを吐出する。
【0071】
続いて、ステップS92において、液体吐出装置100は、下地領域Gaにおける抜け領域を検知するために、イメージセンサ6により布地Gに形成されている下地領域Gaを撮像し、撮像したライン画像を検知信号として制御部7に出力する。
【0072】
続いて、ステップS93において、液体吐出装置100は、イメージセンサ6から入力したライン画像に基づいて、下地領域Gaに抜け領域があるか否かを判定する。
【0073】
ステップS93において、抜け領域があると判定された場合には(ステップS93、Yes)、ステップS94において、液体吐出装置100は、抜け領域を補修するために、第3ヘッド5により白色インクを吐出する。その後、液体吐出装置100は、動作をステップS95に移行する。一方、ステップS93において、抜け領域がないと判定された場合には(ステップS93、No)、液体吐出装置100は、動作をステップS95に移行する。
【0074】
続いて、ステップS95において、液体吐出装置100は、下地領域Gaの形成を終了するか否かを判定する。この判定は、例えば画像データに応じて布地Gにおける予め定められた領域全体に対して、白色インクを吐出したか否かに基づき判定できる。
【0075】
ステップS95において、下地領域Gaの形成を終了しないと判定された場合には(ステップS95、No)、液体吐出装置100は、ステップS91以降の動作を再度行う。一方、下地領域Gaの形成を終了すると判定された場合には(ステップS95、Yes)、ステップS96において、液体吐出装置100は、下地領域Ga上にカラー画像を形成するために、カラーインクを吐出する。
【0076】
続いて、ステップS97において、液体吐出装置100は、画像形成を終了するか否かを判定する。この判定は、例えば画像データに応じて布地Gにおける予め定められた領域全体に対して、カラーインクを吐出したか否かに基づき判定できる。
【0077】
ステップS97において、画像形成を終了しないと判定された場合には(ステップS97、No)、液体吐出装置100は、ステップS96以降の動作を再度行う。一方、画像形成を終了すると判定された場合には(ステップS97、Yes)、液体吐出装置100は、布地Gへのカラー画像の形成を終了する。
【0078】
このようにして、液体吐出装置100は、布地Gにカラー画像を形成することができる。
【0079】
図9の例では、下地領域Gaを形成しながら抜け領域を順次検知し、且つ抜け領域があった場合には抜け領域を順次補修する動作を例示したが、これに限定されるものではない。液体吐出装置100は、下地領域Gaを形成しながら抜け領域を順次検知し、下地領域Ga全体の形成が終了した後に、抜け領域を補修するようにしてもよい。或いは、液体吐出装置100は、下地領域Ga全体の形成が終了した後に抜け領域を検知し、下地領域Ga全体に対して抜け領域の検知が終了した後に、抜け領域を補修するようにしてもよい。
【0080】
また図9の例では、下地領域Gaの形成を終了後に、下地領域Ga上にカラー画像を形成する動作を例示したが、液体吐出装置100は、下地領域Gaを形成しながら、形成済みの下地領域Gaに順次カラー画像を形成してもよい。
【0081】
<液体吐出装置100の作用効果>
以上説明したように、液体吐出装置100は、布地G(記録媒体)に白色インク(第1液体)を付与する第1ヘッド3と、カラーインク(第2液体)を吐出する第2ヘッド4と、白色インク(第1液体と同じ色の第3液体)を吐出する第3ヘッド5と、を有する。また液体吐出装置100は、布地Gにおける白色インクの付与状態を検知した検知信号を出力するイメージセンサ6(検知部)と、第1ヘッド3とイメージセンサ6とを布地Gに対して相対移動させる第1キャリッジ1(第1移動機構)と、を有する。また、液体吐出装置100は、第2ヘッド4と第3ヘッド5とを布地Gに対して相対移動させる第2キャリッジ2(第2移動機構)と、イメージセンサ6による検知信号に基づき、第3ヘッド5による吐出を制御する制御部7と、を有する。
【0082】
第1ヘッド3により布地Gに白色インクを付与して形成した下地領域Gaにおいて、抜け領域が検知された場合に、第3ヘッド5により白色インクを吐出してこの抜け領域を補修する。補修によって、抜け領域がない下地領域Ga上にカラー画像を形成できるため、液体吐出装置100は、布地Gに高品質な画像を形成することができる。そして、画像品質の低下を抑制可能な液体吐出装置を提供することができる。
【0083】
また本実施形態では、記第1液体は白色の液体であり、第2液体は白色以外の色の液体であり、第3液体は白色の液体である。下地領域Gaの形成に白色インクを用いると、布地Gの色ムラを好適に吸収でき、高品質な画像を形成可能になる一方、下地領域Gaに抜け領域があると、抜け領域が目立ちやすくなる。白色インクにより形成した下地領域Gaにおける抜け領域を補修することにより、抜け領域がない白色の下地領域Ga上に、高品質な画像を形成可能になる。
【0084】
また本実施形態では、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2は、第1ヘッド3、イメージセンサ6、第2ヘッド4及び第3ヘッド5を、X方向に沿って移動させる。液体吐出装置100は、X方向と直交するY方向に沿って、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2に対し、布地Gを相対移動させる副走査スライダ33(副走査移動機構)を有する。第2キャリッジ2は、Y方向における第1キャリッジ1の下流側に設けられている。この構成により、第1ヘッド3により下地領域Gaを形成しながら、Y方向における第1ヘッド3の下流側において、形成された下地領域Gaにカラー画像を順次形成することができる。下地領域Ga全体の形成が完了するまでカラー画像の形成開始を待たなくてもよいため、液体吐出装置100は、より短時間に布地Gに画像を形成することができる。
【0085】
第3ヘッド5は、画像形成時における第2キャリッジ2の移動方向において、第2ヘッド4の下流側に設けられていることが好ましい。例えば、第2キャリッジ2は-X方向に移動している時にカラーインクを吐出して画像を形成する場合には、第3ヘッド5は-X方向における第2ヘッド4の下流側に設けられていることが好ましい。この構成により、画像形成時において第2ヘッド4による吐出の前に下地領域Gaを補修できるため、下地領域Gaを補修しながらカラー画像を順次形成することができる。
【0086】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る液体吐出装置100aについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0087】
図10は、液体吐出装置100aの構成の一例を説明する図である。液体吐出装置100aは、第3ヘッド5a及び第3ヘッド5bの2つの第3ヘッドを有する。第1キャリッジ1は、X方向に沿って第1ヘッド3を移動させ、第2キャリッジ2は、X方向に沿って第2ヘッド4及び第3ヘッド5を移動させる。第3ヘッド5a及び第3ヘッド5bは、X方向における第2ヘッド4の上流側及び下流側の両側に配置されている。
【0088】
液体吐出装置100aは、第2ヘッド4が+X方向に移動している時と-X方向に移動している時の両方においてカラー画像を形成する、いわゆる双方向印刷を行う。
【0089】
第2ヘッド4が+X方向に移動しながらカラー画像を形成する場合には、第3ヘッド5bが白色インクを吐出して、下地領域Gaにおける抜け領域の補修を行う。一方、第2ヘッド4が-X方向に移動しながらカラー画像を形成する場合には、第3ヘッド5aが白色インクを吐出して、下地領域Gaにおける抜け領域の補修を行う。
【0090】
この構成により、液体吐出装置100aは、双方向印刷を行う際に、第2キャリッジ2が画像形成時に移動する方向における第2ヘッド4の下流側において、抜け領域を補修しながらカラー画像を順次形成可能になる。下地領域Ga全体における抜け領域の検知が完了するまでカラー画像の形成開始を待たなくてよいため、より短時間に布地Gに画像を形成することができる。なお、これ以外の効果は第1実施形態と同様である。
【0091】
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0092】
上述した実施形態では、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2それぞれが移動することにより、第1ヘッド3とイメージセンサ6とを布地Gに対して相対移動させ、また第2ヘッド4と第3ヘッド5とを布地Gに対して相対移動させる構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。第1キャリッジ1又は第2キャリッジ2は移動せず、布地Gが移動することにより、第1ヘッド3とイメージセンサ6とを布地Gに対して相対移動させ、また第2ヘッド4と第3ヘッド5とを布地Gに対して相対移動させることもできる。また、第1キャリッジ1及び第2キャリッジ2を共通の部材にして一体で移動させてもよい。すなわち、第1移動機構及び第2移動機構を共通の機構にしてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、液体吐出装置として主としてインクジェットプリンタを例として説明したが、これに限られるものではない。この液体吐出装置は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0094】
液体吐出装置として、例えば、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0095】
また、液体吐出装置は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0096】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0097】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0098】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0099】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0100】
また、液体吐出装置は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置等が含まれる。
【0101】
また、液体吐出装置としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0102】
また実施形態の用語において、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0103】
実施形態は、液体吐出方法を含む。例えば、液体吐出方法は、液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、第1ヘッドにより、記録媒体に第1液体を付与し、第2ヘッドにより、第2液体を吐出し、第3ヘッドにより、前記第1液体と同じ色の第3液体を吐出し、検知部により、前記記録媒体における前記第1液体の付与状態を検知した検知信号を出力し、第1移動機構により、前記第1ヘッドと前記検知部とを前記記録媒体に対して相対移動させ、第2移動機構により、前記第2ヘッドと前記第3ヘッドとを前記記録媒体に対して相対移動させ、制御部により、前記検知部による前記検知信号に基づき、前記第3ヘッドによる吐出を制御する。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置100と同様の効果を得ることができる。
【0104】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0105】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0106】
1 第1キャリッジ(第1移動機構の一例)
2 第2キャリッジ(第2移動機構の一例)
3 第1ヘッド
4 第2ヘッド
5、5a、5b 第3ヘッド
6 イメージセンサ(検知部の一例)
61 撮像素子
62 光源
63 電気素子実装基板
64 筐体
65 画像処理部
66 データ記憶用メモリ
67 インターフェース部
7 制御部
8 インクカートリッジ
70 上位CPU
71 撮像データ演算部
72 画像データバッファ部
73 画像データ制御部
74 吐出ノズルテーブル選択部
75 解像度情報制御部
76 吐出ノズルテーブル格納部
77 画像データ出力部
9 PC
10、20、30 移動方向(所定の移動方向の一例)
31 プラテン
33 副走査スライダ(副走査移動機構の一例)
100、100a 液体吐出装置
G 布地(記録媒体の一例)
Ga 下地領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2019‐162861号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10