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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023027832
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
   G12B 9/04 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
G12B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133133
(22)【出願日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 義久
【テーマコード(参考)】
2F078
【Fターム(参考)】
2F078EA16
2F078EA17
2F078EA26
2F078EB02
2F078EC12
2F078EC14
2F078EC18
2F078EC26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】メモリースロットを形成する収容部を覆う蓋体を提供する。
【解決手段】メモリースロットを形成する収容部を覆う蓋体100は、収容部に軸支される軸体10と、軸体10にスライド可能に係止される外カバー20と、を備える。軸体10は、主軸11Aを有する軸ベース11と、主軸11Aと同軸となる進退方向Xに沿って進退可能に軸ベース11に支持される可動軸12と、を有する。可動軸12は、収容部に軸支される位置まで進む進状態と、収容部に軸支されない位置まで退く退状態との間で進退する軸突起12Pを有する。外カバー20は、退状態において軸突起12Pを係止する係止突起20Pを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリースロットを形成する収容部を覆う蓋体であって、
前記収容部に軸支される軸体と、前記軸体にスライド可能に係止される外カバーと、を備え、
前記軸体は、主軸を有する軸ベースと、前記主軸と同軸となる進退方向に沿って進退可能に前記軸ベースに支持される可動軸と、を有し、
前記可動軸は、前記収容部に軸支される位置まで進む進状態と、前記収容部に軸支されない位置まで退く退状態との間で進退する軸突起を有し、
前記外カバーは、前記退状態において前記軸突起を係止する係止突起を有する
蓋体。
【請求項2】
前記可動軸は、前記軸突起を移動させるための操作子を有する
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記可動軸は、前記蓋体を回動させるねじりモーメントを付勢するコイルばねを有し、
前記コイルばねは、前記可動軸を前記退状態から前記進状態に向けて付勢可能に前記軸ベースに支持される
請求項1又は請求項2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記可動軸は、前記進退方向に沿う軸ロック溝を有し、
前記軸ベースは、前記軸ロック溝に係止されるロック片を有し、
前記ロック片は、前記軸ロック溝に向けて付勢されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蓋体。
【請求項5】
前記軸ロック溝は、前記進状態において前記ロック片が係止されるロック部と、前記退状態において前記ロック片が係止されるロック解除部と、前記ロック部と前記ロック解除部との間において前記ロック部及び前記ロック解除部と比べて浅い溝底で形成された抵抗部と、を有する
請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記抵抗部の溝底は、前記ロック部に向かうに連れて緩やかに深くなるロック部側テーパ部を有する
請求項5に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットが形成された収容部を覆う蓋体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-26872号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、メモリースロットを形成する収容部を覆う蓋体であって、前記収容部に軸支される軸体と、前記軸体にスライド可能に係止される外カバーと、を備え、前記軸体は、主軸を有する軸ベースと、前記主軸と同軸となる進退方向に沿って進退可能に前記軸ベースに支持される可動軸と、を有し、前記可動軸は、前記収容部に軸支される位置まで進む進状態と、前記収容部に軸支されない位置まで退く退状態との間で進退する軸突起を有し、前記外カバーは、前記退状態において前記軸突起を係止する係止突起を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】筐体に設けられた実施形態に係る蓋体の側面図である。
図2】筐体に設けられた実施形態に係る蓋体の正面図である。
図3】収容部と蓋体の爪との係合を解除した状態における蓋体の正面図である。
図4】蓋体を回動して開いた開状態における収容部の正面図である。
図5】蓋体を回動して開いた開状態において、可動軸が筐体に軸支されている進状態の説明図である。
図6】内カバーの図示を省略された進状態における蓋体の説明図である。
図7】蓋体を回動して開いた開状態において、可動軸が筐体から軸支解除されている退状態の説明図である。
図8】内カバーの図示を省略された退状態における蓋体の説明図である。
図9】蓋体を収容部から外した状態の説明図である。
図10】蓋体の分解斜視図である。
図11】内カバーの図示を省略された進状態における軸ロック溝とロック片との関係を示す説明図である。
図12】内カバーの図示を省略された退状態における軸ロック溝とロック片との関係を示す説明図である。
図13】進状態におけるコイルばねの他端の位置を示す詳細斜視図である。
図14】退状態におけるコイルばねの他端の位置を示す詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、筐体Cに設けられた実施形態に係る蓋体100の側面図である。図2は、筐体Cに設けられた実施形態に係る蓋体100の正面図である。図3は、収容部C2と蓋体100の爪との係合を解除した状態における蓋体100の正面図である。図4は、蓋体100を回動して開いた開状態における収容部C2の正面図である。図5は、蓋体100を回動して開いた開状態において、可動軸12が筐体Cに軸支されている進状態の説明図である。図6は、内カバーの図示を省略された進状態における蓋体100の説明図である。図7は、蓋体100を回動して開いた開状態において、可動軸12が筐体Cから軸支解除されている退状態の説明図である。図8は、内カバーの図示を省略された退状態における蓋体100の説明図である。図9は、蓋体100を収容部C2から外した状態の説明図である。図10は、蓋体100の分解斜視図である。
なお、蓋体100が筐体Cの収容部C2を覆って閉じた閉状態(図1及び図2参照)において、蓋体100における露出している面を表側面といい、閉状態において収容部C2に対向する面を裏側面という場合がある。
【0007】
(蓋体)
図1及び図2に示すように、実施形態に係る蓋体100は、例えば、カメラ等の電子機器の筐体Cに設けられる。図3及び図4に示すように、蓋体100は、筐体Cに設けられるメモリースロットC1を形成する収容部C2を覆うものである。そして、メモリースロットC1には、適宜、ケーブル端子C4を設けたメモリーカードC3等が挿抜自在となっている。
【0008】
図9に示すように、蓋体100は、収容部C2に軸支される軸体10と、軸体10にスライド可能に係止される外カバー20と、を備えている。収容部C2は、軸体10の主軸11A及び可動軸12に対応する位置に、軸体10の主軸11A及び可動軸12を嵌めて係止する軸孔C5を有している。
【0009】
図6に示すように、軸体10は、主軸11Aを有する軸ベース11と、主軸11Aと同軸となる進退方向Xに沿って進退可能に軸ベース11に支持される可動軸12と、を有している。なお、軸体10は、図10に示すように、外カバー20との間に軸ベース11及び可動軸12を挟んだ状態で軸ベース11に取り付けられる内カバー30を有していてよい。内カバー30は、可動軸12を含む可動部分を、外部からの接触から保護している。なお、主軸11Aも、進退可能に軸ベース11に支持される可動軸であってよい。主軸11Aは、例えば、可動軸12と同様の構造であってもよい。
【0010】
(軸ベース)
軸ベース11は、図6に示すように、外カバー20の形状に沿う板状体である。軸ベース11の表側面は、主軸11Aを含む部分を除いて外カバー20に覆われている。軸ベース11の裏側面は、適宜、内カバー30に覆われてよい。
軸ベース11は、上部に、筐体Cの収容部C2に形成された軸孔C5に係止可能な主軸11Aを有している。
【0011】
軸ベース11は、下部に、筐体Cの収容部C2に形成された軸孔C5に係止可能な可動軸12を有している。
軸ベース11は、可動軸12を進退方向に移動自在に支持する環状の支持部17を有している。
【0012】
軸ベース11は、外カバー20に対する軸ベース11のスライド範囲を規制するスライド孔11Sを有している。スライド孔11Sは、スライド方向Yに沿う長軸を有する長孔である。ここでは、軸ベース11は、3箇所にスライド孔11Sを有している。そして、スライド孔11Sは、外カバー20に形成されたスライドピン22に貫通された状態で係止している。これにより、軸ベース11は、外カバー20に対してスライド可能に保持されている。
【0013】
軸ベース11は、スライドロック位置16A、スライド解除位置16B及び開閉解除位置16Cを有する略L字形状のスライドロック溝16を有している。そして、外カバー20は、スライドロック溝16に係止されるスライドロックピン23を有している。これにより、スライドロックピン23がスライドロック位置16Aにある状態から、スライドロックピン23をスライド解除位置16Bまで移動することにより、外カバー20をスライド方向Yに沿ってスライドさせることができる状態にできる。また、スライドロックピン23がスライド解除位置16Bから開閉解除位置16Cまで移動することにより、蓋体100を主軸11A及び可動軸12の周りに回動させて開閉することができる。
【0014】
(可動軸)
可動軸12は、進退方向Xに沿って延びる棒状体である。可動軸12の一端は、収容部C2の軸孔C5に嵌る大きさの形状(例えば、円柱形状)を有している。
【0015】
(軸突起)
ここで、図6及び図8に示すように、可動軸12は、収容部C2に軸支される位置まで進む進状態(図5及び図6参照)と、収容部C2に軸支されない位置まで退く退状態(図7及び図8参照)との間で進退する軸突起12Pを有している。なお、軸突起12Pは、可動軸12と一体となっており、可動軸12が進退方向に進退するに従い、同じように進退する。軸突起12Pは、可動軸12の軸芯に対して交差する方向に延びている。軸突起12Pの延びる方向は、操作子13の延びる方向に対して略垂直な方向である。
そして、外カバー20は、退状態において軸突起12Pを係止する係止突起20Pを有している。係止突起20Pは、軸ベース11を貫通して、外カバー20から離れる方向(表側面から裏側面に向けて)に延びている。これにより、ユーザが蓋体100を外そうとして、可動軸12を主軸11Aに近づける方向に引き込んで進状態から退状態にした場合、可動軸12の軸突起12Pが外カバー20の係止突起20Pに対してスライド方向Yに重なる位置(図7及び図8参照)まで移動し、外カバー20の係止突起20Pに係止される。すると、可動軸12を伴う軸ベース11は、外カバー20に対して、相対的に、進退方向Xと交差するスライド方向Yへの移動を規制される。したがって、蓋体100が筐体Cから外れた状態において、外カバー20と軸体10とが相対的に不意にスライドしないようにできる。よって、蓋体100を、再び、可動軸12を収容部C2に嵌めた状態にしてから、蓋体100を回動させることができ、収容部C2を覆って閉じた閉状態にすることができる。
【0016】
(操作子)
図4から図10に示すように、可動軸12は、軸突起12Pを移動させるための操作子13を有してよい。可動軸12の操作子13を含む部分は、軸体10が内カバー30で覆われている状態でも露出している。操作子13は、可動軸12の軸芯に対して交差する方向であって、外カバー20から離れる方向に延びている。操作子13の延びる方向は、軸突起12Pの延びる方向に対して略垂直な方向である。これにより、ユーザが操作子13に直接的に触れて力を作用させることで、コイルばね14の圧縮力に抗して、可動軸12を退状態まで移動させることができる。
【0017】
(コイルばね)
可動軸12は、蓋体100を回動させるねじりモーメントを付勢するコイルばね14を有している。コイルばね14は、可動軸12に巻き付けられている。
コイルばね14は、可動軸12を退状態から進状態に向けて付勢可能に軸ベース11に支持されている。これにより、ユーザにより可動軸12が退状態に移動させられて、可動軸12が軸孔C5から外れて蓋体100が筐体Cから外された状態になった際に、自動的に進状態に戻すことができる。
詳細には、コイルばね14の一端は、軸ベース11に係止されている。また、コイルばね14の他端14Cは、筐体Cの収容部C2に形成された溝に係止されている。そして、コイルばね14は、蓋体100を閉じた状態(図1から図3参照)において、ねじられることによって生じる回転モーメントにより、その反力となるねじりモーメントで蓋体100を開いた状態(図4及び図5参照)まで回動するように付勢している。これにより、閉状態における収容部C2と蓋体100とのロック(不図示)を解除するだけで、蓋体100を自動的に回動させて開くことができ、蓋体100を不意に揺動させることなく、完全に開いた状態に維持できる。
また、コイルばね14は、可動軸12を退状態から進状態になるように付勢している。したがって、コイルばね14は、ユーザが可動軸12を退状態にするために可動軸12に作用させた力を取り除くと、圧縮力により、可動軸12を進状態に戻すように作用する。このように、コイルばね14は、圧縮ばねとねじりばねの機能を兼ねている。これにより、蓋体100をコンパクトな構造にできる。また、ユーザは、筐体Cから蓋体100を簡単に着脱できる。
【0018】
(軸ロック溝及びロック片)
次に、可動軸12に形成された軸ロック溝18と軸ベース11に形成されたロック片11Lとの関係を説明する。
図11は、内カバー30の図示を省略された進状態における軸ロック溝18とロック片11Lとの関係を示す説明図である。図12は、内カバーの図示を省略された退状態における軸ロック溝18とロック片11Lとの関係を示す説明図である。
図11及び図12に示すように、可動軸12は、進退方向に沿う軸ロック溝18を有している。そして、軸ベース11は、軸ロック溝18に係止されるロック片11Lを有している。ここで、ロック片11Lは、軸ロック溝18に向けて付勢されている。これにより、軸ベース11に対して、可動軸12を回転させないようにできる。また、軸ロック溝18は、可動軸12に設けられているので、可動軸12の一端に可動軸12の軸芯から外方に延びる軸突起12Pがあっても、可動軸12の他端からコイルばね14を挿入して組み立てることができる。
【0019】
ロック片11Lは、モールド成形によって軸ベース11の一部として軸ベース11と一体的に形成されている。ロック片11Lは、ばねにより、軸ロック溝18に向けて付勢されている。ロック片11Lは、モールド成形によって軸ベース11の一部として軸ベース11と一体的に形成された板ばね11Bによって軸ロック溝18に向けて付勢されていてもよい。板ばね11Bは、スライド方向Yに交差する方向に延びており、両端を軸ベース11に支持された弾性梁として作用する。ロック片11L又は板ばね11Bは、コイルばね11Dによって補助的に軸ロック溝18に向けて付勢されていてもよい。これにより、ロック片11Lを蓋体100における限られたスペースに配置でき、スライド方向Yに沿う短い距離でロック片11Lを軸ロック溝18に向けて付勢できる。
【0020】
また、軸ロック溝18は、図11に示すような進状態においてロック片11Lが係止されるロック部181と、図12に示すような退状態においてロック片11Lが係止されるロック解除部182と、ロック部181とロック解除部182との間において、ロック部181及びロック解除部182と比べて浅い溝底で形成された抵抗部183と、を有している。これにより、軸ロック溝18にロック片11Lが嵌った状態で、抵抗部183とロック片11Lとが進退方向Xで重なり、互いに係合して移動を規制し合うので、可動軸12を、図11に示す進状態における位置と、図12に示す退状態における位置のそれぞれの位置で保持できる。
【0021】
抵抗部183の溝底は、ロック部181に向かうに連れて緩やかに深くなるロック部側テーパ部183Tを有している。これにより、可動軸12を図11に示すような進状態から図12に示すような退状態に移動する際に、ロック片11Lが抵抗部183を乗り越える際の抵抗を小さくできる。したがって、ユーザが、可動軸12を退状態に移動しやすくできる。
【0022】
(ガイド壁)
図13は、進状態におけるコイルばね14の他端14Cの位置を示す詳細斜視図である。図14は、退状態におけるコイルばね14の他端14Cの位置を示す詳細斜視図である。
図13及び図14に示すように、軸体10の軸ベース11は、可動軸12に隣接する端部に、進退方向Xに沿って下方から上方に行くに従って外カバー20から離れる方向に盛り上がるガイド壁19を有している。これにより、蓋体100を取り付けるために可動軸12を上方に押し上げる際に、コイルばね14の他端14Cを、ガイド壁19に接触させながら可動軸12の軸芯を中心に回転させることができる。よって、コイルばね14の他端14Cを、収容部C2に形成された溝に係止できる適切な位置まで移動させることができる。
【0023】
(作用)
次に、実施形態に係る蓋体100の作用について、蓋体100を開閉する動作に沿って説明する。
(S1)図1及び図2に示すように、蓋体100は、筐体Cの収容部C2を覆っている。この状態で、蓋体100の軸ベース11の主軸11A及び可動軸12は、収容部C2の軸孔C5に嵌って軸支されている。この際、図2に示すように、蓋体100の外カバー20は、前述のスライドロックピン23とともに移動するスライドロックスイッチ23Sがスライドロック位置16Aにあり、軸ベース11に対してスライド方向Yに沿ってスライドできないようになっている。
【0024】
(S2)次に、図3に示すように、蓋体100を外す際、まず、スライドロックスイッチ23Sを、進退方向Xに沿って下方に移動させる。すると、外カバー20と軸体10とのスライド方向の係合が外れる。
続いて、図3に示すように、外カバー20をスライド方向(左向き)に移動させる。すると、筐体Cの収容部C2に係止されていた外カバー20の爪25(図4から図7参照)の係止が外れる。また、同時に、外カバー20の右端が、回動時に収容部C2に干渉しなくなる。これにより、蓋体100が、軸孔C5に軸支された主軸11A及び可動軸12を中心に回動できるようになる。
【0025】
(S3)すると、蓋体100は、開いた状態になるように、コイルばね14(図6参照)によって回転モーメントが付勢されているので、図4及び図5に示すように、蓋体100が回動し、適宜、ケーブル端子C4を設けたメモリーカードC3等が挿入されたメモリースロットC1が露出する。
【0026】
(S4)ここで、図7に示すように、ユーザによって、操作子13が上方に押し上げられると、可動軸12が上方に移動して、軸孔C5から外れる。これにより、図9に示すように、収容部C2から蓋体100を外すことができる。よって、メモリースロットC1にケーブル等が接続された状態であっても、蓋体100に障害物が接触することによる蓋体100の破損を防ぐことができるとともに、ユーザによる筐体Cを把持する場所の自由度を制限しないようにできる。
【0027】
(S5)また、図8に示すように、操作し13が上方に押し上げられると、可動軸12に形成された軸突起12Pが、外カバー20に形成された係止突起20Pに対して、スライド方向Yにみて重なる位置まで移動する。これにより、軸ベース11に支持された可動軸12は、外カバー20に対して、スライド方向に移動できなくなる。このため、蓋体100が筐体Cから取り外された状態では、外カバー20を、軸ベース11に対して、自由にスライドさせないようにできる。したがって、蓋体100を回動させて閉じることができないが、このように蓋体100が外された状態においてスライドさせないようにすることによって、蓋体100を筐体Cに取り付ける際に、蓋体100を簡単に取り付けることができ、蓋体100を回動させて閉じることができる。
【0028】
(S6)筐体Cから取り外された蓋体100を筐体Cに取り付けて元に戻すには、上述の取り外す手順と逆の手順で蓋体100を操作すればよい。
蓋体100を取り外した状態では、可動軸12は、図8に示すように、進退方向Xに沿って上方に退いた退状態なっている。
【0029】
(S7)可動軸12を退状態として、蓋体100の主軸11Aを収容部C2における上方の軸孔C5に嵌める。そして、可動軸12の軸方向を、下方の軸孔C5の位置に合わせる(図7参照)。
【0030】
(S8)続いて、操作子13を下方に押し下げることにより、可動軸12を押し下げて蓋体100の下端から下方に突出させ、可動軸12を軸孔C5に嵌める(図5参照)。操作子13を押し下げることにより、可動軸12は進状態になり、軸突起12Pと係止突起20Pとの係合が外れて、軸体10と外カバー20とがスライド方向Yに沿ってスライド可能になる。
【0031】
(S9)蓋体100を回動して、蓋体100の裏側面を収容部C2に対向させる(図3参照)。
【0032】
(S10)蓋体100の外カバー20をスライド方向Yに沿ってスライドさせる(図2参照)。
【0033】
(S11)ユーザにより、スライドロックスイッチ23Sを上方に押し上げて、蓋体100を閉じた状態でロックする(図2参照)。
このようにして、筐体Cから蓋体100を取り外したり、取り付けたりできる。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0035】
(1)上記実施形態において、メモリースロットC1を形成する収容部C2を覆う蓋体100は、収容部C2に軸支される軸体10と、軸体10にスライド可能に係止される外カバー20と、を備えている。軸体10は、主軸11Aを有する軸ベース11と、主軸11Aと同軸となる進退方向Xに沿って進退可能に軸ベース11に支持される可動軸12と、を有している。可動軸12は、収容部C2に軸支される位置まで進む進状態と、収容部C2に軸支されない位置まで退く退状態との間で進退する軸突起12Pを有している。外カバー20は、退状態において軸突起12Pを係止する係止突起20Pを有している。
【0036】
このような構成の蓋体100は、ユーザが蓋体100を外そうとして、可動軸12を主軸11Aに近づける方向に引き込んで進状態から退状態にした場合、可動軸12の軸突起12Pが外カバー20の係止突起20Pに対してスライド方向Yに重なる位置(図7及び図8参照)まで移動し、係止突起20Pに係止される。すると、可動軸12を伴う軸ベース11は、外カバー20に対して、相対的に、進退方向Xと交差するスライド方向Yへの移動を規制される。したがって、蓋体100が筐体Cから外れた状態において、外カバー20と軸体10とが相対的に不意にスライドしないようにできる。よって、蓋体100を、再び、可動軸12を収容部C2に嵌めた状態にしてから、蓋体100を回動させることができ、収容部C2を覆って閉じた閉状態にすることができる。
【0037】
(2)また、上記実施形態において、可動軸12は、軸突起12Pを移動させるための操作子13を有する。
【0038】
(3)また、上記実施形態において、可動軸12は、蓋体100を回動させるねじりモーメントを付勢するコイルばね14を有する。コイルばね14は、可動軸12を退状態から進状態に向けて付勢可能に軸ベース11に支持される。
【0039】
(4)また、上記実施形態において、可動軸12は、進退方向Xに沿う軸ロック溝18を有し、軸ベース11は、軸ロック溝18に係止されるロック片11Lを有し、ロック片11Lは、軸ロック溝18に向けて付勢されている。
【0040】
(5)また、上記実施形態において、軸ロック溝18は、進状態においてロック片11Lが係止されるロック部181と、退状態においてロック片11Lが係止されるロック解除部182と、ロック部181とロック解除部182との間においてロック部181及びロック解除部182と比べて浅い溝底で形成された抵抗部183と、を有する。
【0041】
(6)また、上記実施形態において、抵抗部183の溝底は、ロック部181に向かうに連れて緩やかに深くなるロック部側テーパ部183Tを有する。
【符号の説明】
【0042】
10…軸体
11…軸ベース
11A…主軸
11L…ロック片
11S…スライド孔
12…可動軸
12P…軸突起
13…操作子
16…スライドロック溝
16A…スライドロック位置
16B…スライド解除位置
16C…開閉解除位置
17…支持部
18…軸ロック溝
19…ガイド壁
20…外カバー
20P…係止突起
22…スライドピン
23…スライドロックピン
23S…スライドロックスイッチ
25…爪
30…内カバー
100…蓋体
181…ロック部
182…ロック解除部
183…抵抗部
183T…ロック部側テーパ部
C…筐体
C1…メモリースロット
C2…収容部
C3…メモリーカード
C4…ケーブル端子
C5…軸孔
X…進退方向
Y…スライド方向
図1
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