(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029000
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20230224BHJP
G06F 1/3231 20190101ALI20230224BHJP
G06F 1/329 20190101ALI20230224BHJP
G06F 1/3212 20190101ALI20230224BHJP
【FI】
G09G5/00 550B
G06F1/3231
G06F1/329
G06F1/3212
G09G5/00 550C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135042
(22)【出願日】2021-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】袴谷 未来
【テーマコード(参考)】
5B011
5C182
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011EA05
5B011GG14
5B011KK01
5B011KK04
5B011LL00
5C182AA03
5C182AA24
5C182AB02
5C182AB08
5C182AC02
5C182AC03
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA28
5C182BA37
5C182BA46
5C182BA65
5C182CA02
5C182CA32
5C182CA55
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB47
5C182CC21
5C182CC24
5C182DA41
5C182DA65
5C182DA66
(57)【要約】
【課題】画面の書き換えによる消費電力を低減することを目的とする。
【解決手段】所定期間毎に画面の書き換え処理を行う表示装置であって、前記画面に対する手書き入力を検出する接触検出部と、前記接触検出部が前記手書き入力を検出した場合に、前記書き換え処理を、前記所定期間よりも長い設定時間毎に実行する表示制御部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間毎に画面の書き換え処理を行う表示装置であって、
前記画面に対する手書き入力を検出する接触検出部と、
前記接触検出部が前記手書き入力を検出した場合に、前記書き換え処理を、前記所定期間よりも長い設定時間毎に実行する表示制御部と、を有する表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記表示装置の状態が所定の条件を満たす場合に前記書き換え処理を停止させ、前記書き換え処理の停止中に、前記接触検出部が前記手書き入力を検出した場合に、前記書き換え処理を前記設定時間毎に実行する、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
温度センサをさらに有し、
前記所定の条件は、
前記温度センサにより検出された温度が所定温度以下となる状態である、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、バッテリーをさらに有し、
前記所定の条件は、
前記バッテリーの残量が所定の容量以下となる状態である、請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、所定期間に入力された前記手書き入力の検出回数を計数し、前記計数された回数に応じて前記設定時間を変更する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の表示装置。
【請求項6】
所定期間毎に画面の書き換え処理を行う表示装置の制御方法であって、
前記画面に対する手書き入力を検出する接触検出部により、前記手書き入力が検出された場合に、前記書き換え処理を、前記所定期間よりも長い設定時間毎に実行する、表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、画面の表示を書き換えるときのみ電力を消費し、表示の維持には電力を消費しない電気泳動表示装置が知られている。電気泳動表示装置の一例として、例えば、低温環境における消費電力を抑えた電気泳動表示装置が開示されている(特許文献1、2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の電気泳動表示装置では、例えば、画面の表示を切り換えた場合に、切り換え前に画面に表示されていた画像が残像として残ることがある。そのため、従来の電気泳動表示装置は、定期的に画面を書き換えることで残像を消去しているが、書き換えの回数が増加するほど、消費電力が増大する。
【0004】
開示の技術は、画面の書き換えによる消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術の一態様によれば、所定期間毎に画面の書き換え処理を行う表示装置であって、前記画面に対する手書き入力を検出する接触検出部と、前記接触検出部が前記手書き入力を検出した場合に、前記書き換え処理を、前記所定期間よりも長い設定時間毎に実行する表示制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、画面の書き換えによる消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置のハードウエア構成の一例を示す概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る表示装置の機能構成の一例を示す概略図である。
【
図3】第1実施形態に係る電子ペーパーの画面について説明する図である。
【
図4】第1実施形態の表示装置の処理を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態の表示装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0009】
図1は、第1実施形態に係る、表示装置のハードウエア構成の一例を示す概略図である。
【0010】
図1に示された表示装置100は、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)110と、電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic Display:EPD)を含む電子ペーパー120と、を有する。なお、電子ペーパー120は、表示部の一例である。表示装置100は、EPDコントローラ121と、バッテリー130と、直流電圧変換器を含む直流-直流(Direct Current-Direct Current:DCDC)コンバータ131とを有する。バッテリー130は、例えば、リチウムイオンバッテリーであってよい。表示装置100は、揮発性のランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)140と、不揮発性のフラッシュメモリ150と、温度センサ170とを有する。
【0011】
図1に示された表示装置100は、加速度センサ161と、接触センサ162と、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)との無線通信のための無線モジュール180とを有する。表示装置100は、各種スイッチ及び発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含む操作部材190を有する。
【0012】
電子ペーパー120は、書き込み処理及び消去処理を実行するときには電力を必要とする。電子ペーパー120は、一旦表示された画像を無給電にて保持する。つまり、電子ペーパー120は、表示を書き換えるときのみ電力を消費し、表示の維持には電力を消費しない。なお、電子ペーパー120は、EPD以外に、液晶、又は電子粉流体など種々の方式により実現されてもよい。
【0013】
CPU110は、メインメモリであるRAM140をワークエリアとして使用し、フラッシュメモリ150に格納されたプログラムを読み出して実行する。接触センサ162は、電子ペーパー120にペンまたはユーザの手が接触したことを検出するセンサである。温度センサ170は、電子ペーパー120の温度を測定するセンサである。温度センサ170は、電子ペーパー120のコントラスト調整用に設けられている。電子ペーパー120のコントラストは、EPDの粘度および特性が温度によって変化するため調整が必要とされることがある。なお、コントラストは、画像の明るい部分と暗い部分との明度の差である。
【0014】
図2は、第1実施形態に係る、表示装置の機能構成の一例を示す概略図である。
【0015】
本実施形態の表示装置100は、表示制御部221と、電源制御部231と、データ記憶部240とを有する。さらに、表示装置100は、設置向き検出部261、接触検出部262と、温度監視部270と、ネットワーク通信部280とを有する。
【0016】
表示制御部221は、EPDコントローラ121を介して電子ペーパー120を制御する。電源制御部231は、DCDCコンバータ131を介してバッテリー130を制御する。データ記憶部240は、例えば、RAM140により実現されるものであり、電子ペーパー120に表示させるデータを格納する。設置向き検出部261は、加速度センサ161を介して表示装置100が設置されている向きを検出する。
【0017】
入力受付部である接触検出部262は、接触センサ162を介して手書き入力の受け付けを検出する。手書き入力とは、例えば、電子ペーパー120に対する筆記や削除等の操作を含む。温度監視部270は、温度センサ170を介して電子ペーパー120の温度を監視する。ネットワーク通信部280は、無線モジュール180を介してネットワークとの通信を実行する。
【0018】
なお、
図2に記載された各機能部は、CPU110が、フラッシュメモリ150等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0019】
図3は、第1実施形態に係る電子ペーパーの画面について説明する図である。
図3に示された電子ペーパー120の画面300は、手書き入力領域310と、メニューボタン表示領域320と、ズームパンウィンドウ表示領域330と、ページ数表示領域340と、ページナビゲーション表示領域350と、情報表示領域360とを有する。
【0020】
手書き入力領域310は、ペン入力等による手書き入力が可能な領域である。メニューボタン表示領域320は、ペンの種類の変更及び色の変更を行うための複数のアイコンを表示する領域である。
【0021】
メニューボタン表示領域320は、アンドゥ及びリドゥのアイコンを表示させる領域である。アンドゥは、直前に行った操作または処理を取り消し元の状態に戻す処理である。リドゥは、アンドゥによって取り消した操作または処理を再び実行する処理である。メニューボタン表示領域320は、さらに、画面を切り換えるためのアイコンと、削除のアイコンを表示する領域である。
【0022】
ズームパンウィンドウ表示領域330は、画面の拡大または縮小の処理を行うアイコンを表示する領域である。ページ数表示領域340は、現在表示中の画面のページ数及び総ページ数を表示する領域である。ページナビゲーション表示領域350は、ページに対するナビゲーションを表示する領域である。情報表示領域360は、年月日を表示する領域である年月日表示領域361と、時刻を表示する領域である時刻表示領域362とを有する。
【0023】
本実施形態では、例えば、画面300の書き換えを行ったときに、画面300に残る残像を消去する。なお、残像は、画面300の書き換えの際に、白から白に書き換えられる画素の白色の反射率と、黒から白に書き換えられる画素の白色の反射率が異なることで発生する。
【0024】
具体的には、表示装置100は、表示制御部221により、所定期間毎に、白色と黒色とを反転させる白黒反転処理を行うことで、画面300の表示の書き換え処理を実行している。つまり、画面300の書き換え処理は、画面300に表示されている画像の全画素を一旦白又は黒の一方に書き換える処理である。一例として、表示制御部221は、所定期間を1分間として、書き換え処理を行ってもよい。
【0025】
さらに、本実施形態では、表示装置100の状態が所定の条件を満たす場合に、画面300の書き換え処理を停止させる。また、本実施形態では、表示装置100の状態が所定の条件を満たす場合において、手書き入力が検出されると、所定期間よりも長い設定時間毎に画面300の書き換え処理を実行する。
【0026】
本実施形態では、これにより、書き換え処理を実行する頻度を低減する。具体的には、例えば、表示装置100は、温度センサ170により検出された温度が所定温度以下の場合、かつ、手書き入力が行われた場合にのみ、所定期間よりも長い設定時間毎に書き換え処理を行うことで、書き換え処理を実行する頻度を低減させる。
【0027】
この場合、所定の条件とは、表示装置100の温度センサ170により検出された温度が所定温度以下である状態である。
【0028】
本実施形態では、書き換え処理の頻度を低減させることで、消費電力の低減に貢献する。
【0029】
次に、画面300の書き換え処理の頻度を低減するフローについて、以下、
図4を用いて説明する。
図4は、第1実施形態の表示装置の処理を示すフローチャートである。
【0030】
表示装置100は、操作部材190を介して電源が入れられることにより、起動する。そして、表示制御部221は、フローチャート400に示す処理の実行を開始する。
【0031】
表示装置100が起動すると、温度監視部270は、温度センサ170からの温度センサ情報を読み取る(ステップS401)。
【0032】
続いて、表示制御部221は、温度監視部270が読み取った温度センサ情報が示す温度と、フラッシュメモリ150にあらかじめ保存された設定温度とを比較する。そして、表示制御部221は、温度センサ情報が示す温度が設定温度以下であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0033】
ステップS402において、温度センサ情報が示す温度が設定温度よりも高い場合、表示装置100は、後述するステップS408に進む。
【0034】
ステップS402において。温度センサ情報が示す温度が設定温度以下である場合、表示制御部221は、所定期間毎に行っている画面300の書き換え処理を停止させる(ステップS403)。
【0035】
続いて、表示制御部221は、タイマーによる時間の計測をスタートさせる(ステップS404)。タイマーは、書き換え処理を停止させてから、手書き入力を検出するまでの時間を計測するものであり、表示装置100に内蔵されていてもよい。
【0036】
続いて、表示制御部221は、接触検出部262により、手書き入力を検出したか否かを判定する(ステップS405)。すなわち、書き換え処理の停止中に、手書き入力を検出したか判定する。表示制御部221は、手書き入力の受け付けが接触検出部262によって検出されるまで繰り返してこの判定を実行する。したがって、接触検出部262が手書き入力の受け付けを検出しなければ、書き換え処理は実行されない。
【0037】
ステップS405において、手書き入力が検出された場合、表示制御部221は、第1の設定時間をフラッシュメモリ150から読み出す。そして、表示制御部221は、タイマーの示す時間が第1の設定時間以上であるかどうかを判定する(ステップS406)。
【0038】
本実施形態の第1の設定時間は、画面300の書き換え処理を停止させてから、次に画面300の書き換え処理の実行を開始するまでの時間である。言い換えれば、第1の設定時間は、書き換え処理の実行を中断する時間である。したがって、第1の設定時間は、書き換え処理の中断時間とも言える。なお、第1の設定時間は、所定期間よりも長い時間である。また、第1の設定時間は、例えば、5分間であってもよい。
【0039】
ステップS406において、タイマーの示す時間が第1の設定時間未満の場合は、ステップS405に戻る。
【0040】
ステップS406において、タイマーの示す時間が第1の設定時間以上を示す場合、表示制御部221は、画面300の書き換え処理を実行する(ステップS407)。
【0041】
ここで、ステップS406の処理の一変形例について説明する。変形例では、タイマーの示す時間が第1の設定時間未満の場合に、ステップS405に戻らずに、タイマーの示す時間が第1の設定時間となるまで待機してもよい。この場合、ステップS406において、表示制御部221は、タイマーの示す時間が第1の設定時間以上を示すまでステップS406を繰り返し実行する。そして、タイマーの示す時間が第1の設定時間以上を示したとき、次のステップS407に進む。
【0042】
ステップS407に続いて、表示制御部221は、電源が切られたか否かを判定する(ステップS408)。ステップS408において、電源が切られた場合には、表示装置100は、処理を終了する。ステップS408において、電源が切られていない場合には、表示装置100は、ステップS401に戻る。
【0043】
このように、表示制御部221は、温度センサ情報が示す温度が、所定温度以下であるときに、所定期間毎の書き換え処理の実行を停止する。その後、表示制御部221は、手書き入力の受け付けを検出するまで画面の書き換え処理を実行しない。そして、表示制御部221は、手書き入力の受け付けを検出した後、画面の書き換え処理を実行する。この書き換え処理は、書き換え処理の停止から第1の設定時間以上が経過した後に実行される。
【0044】
したがって、第1実施形態の表示装置は、消費電力が高くなる低温環境において、書き換え処理の頻度を低下させ、表示装置の消費電力を低減することができる。
【0045】
なお、第1実施形態では、第1の設定時間を5分間として説明したが、第1の設定時間は、温度センサ170によって検出される温度に応じて、段階的に所定期間を変更するものであってもよい。その理由は、バッテリー130の残容量が温度に依存して低下するためである。したがって、第1の設定時間は、所定温度以下である温度範囲を複数の範囲に分割し、それぞれの範囲について、個別に第1の設定時間(書き換え処理の中断時間)を設定してもよい。それぞれの範囲における第1の設定時間は、バッテリーの温度特性等に合わせて、適宜変更できることが好ましい。
【0046】
一例として、温度センサ170によって検出される温度が、0度未満から-5度以上であれば、第1の設定時間を2分間とし、温度センサ170によって検出される温度が-5度未満から-10度以上であれば、第1の設定時間を3分間としてもよい。また、温度センサ170によって検出される温度が、-10度以下であれば、第1の設定時間を5分間というように設定してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、このような温度範囲と第1の設定時間との関係を示すテーブル等をあらかじめ作成しておいてもよい。このテーブルをフラッシュメモリ150に保存しておくことにより、表示制御部221は、ステップS406で使用する第1の設定時間を温度に応じて適宜変更することができる。また、温度範囲と第1の設定時間との関係は、関数等によって定義されていてもよい。
【0048】
(第2実施形態)
以下に、
図5を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、表示装置100の状態を示す所定の条件に、バッテリー130の残容量を追加する点が、第1の実施形態と相違する。よって、以下の第2の実施形態の説明では、第1の実施形態との相違点を説明し、第1の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第1の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0049】
図5は、第2実施形態の表示装置の処理を示すフローチャートである。
【0050】
図5のステップS501からステップS508までの処理は、ステップS502において、温度センサ情報が示す温度が設定温度よりも高い場合に、後述するステップS509に進む以外は、
図4のステップS401からステップS408までの処理と同様である。したがって、
図5のステップS501からステップS508までの処理の説明は省略する。
【0051】
ステップS502において、温度センサ情報が示す温度が設定温度よりも高い場合、表示制御部221は、電源制御部231を介してバッテリー130の残容量が所定容量以下であるかどうかを判定する(ステップS509)。一例として、表示制御部221は、バッテリー130の残量が30%以下であるかどうかを判定し、30%以下でない場合には、ステップS408に進む。バッテリーの残量が30%以下の場合には、次のステップに進む。
【0052】
ステップS509において、バッテリー130の残容量が所定容量以下である場合、表示制御部221は、所定期間毎に行っている画面300の書き換え処理を停止させる(ステップS510)。
【0053】
つまり、本実施形態では、所定の条件に、温度センサ170が検出した温度が所定温度以下であることに加え、表示装置100のバッテリー130の残容量が所定容量以下であることが追加される。
【0054】
図5のステップS510からステップS514までの処理は、ステップS512において、読み出される設定時間が第2の設定時間となる以外は、
図4のステップS403からステップS407までの処理と同様である。したがって、
図5のステップS510からステップS514までの処理の説明は省略する。
【0055】
ここで、第2の設定時間について説明する。第2の設定時間は、第1の設定時間と同様に、画面300の書き換え処理が停止されてから、次に画面300の書き換え処理の実行が開始されるまでの時間である。つまり、第2の設定時間も、書き換え処理が中断されている時間である。第2の設定時間は、所定期間よりも長い時間である。なお、第2の設定時間は、ステップS406で使用する第1の設定時間と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
このように、第2実施形態は、温度が所定温度以下の場合には第1実施形態と同じフローを実行する。さらに、第2実施形態は、温度が所定温度より高い場合であっても、バッテリーの残容量に応じて画面の書き換え処理の頻度を低下させている。したがって、第2実施形態においても、消費電力を低減することができる。
【0057】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、温度範囲と第2の設定時間との関係を示すテーブルをあらかじめ作成しておいてもよい。このテーブルをフラッシュメモリ150に保存しておくことにより、表示装置は、ステップS506で使用する第2の設定時間を温度に応じて適宜変更することができる。また、温度範囲と第2の設定時間との関係は、関数等によって定義されていてもよい。
【0058】
続いて、ステップS505の変形例について説明する。
【0059】
第1の変形例では、表示制御部221は、ペン入力等による手書き入力の受け付け回数を計数する。計数される回数は、画面300の書き換え処理が停止されてから、所定期間の間に検出された手書き入力の受け付け回数である。表示制御部221は、所定期間の間に計数された手書き入力の受け付け回数と、あらかじめ定められた所定値とを比較する。なお、手書き入力の受け付け回数とは、言い換えれば、接触検出部262により手書き入力が検出された検出回数である。
【0060】
そして、表示制御部221は、計数された手書き入力の受け付け回数が所定値になったことに応じて、第1の設定時間を、現在設定されている設定時間よりも短い設定時間に設定し直す。言い換えれば、表示制御部221は、第1の設定時間を、現在設定されている設定時間よりも短い設定時間に変更する。ただし、変更後の第1の設定時間は、所定期間よりも長い。
【0061】
例えば、ステップS504において、第1の設定時間が5分間に設定された後、ステップS505において、第1の設定時間が経過するまでの間に、所定回数以上の手書き入力の受け付けが検出されたとする。この場合、表示制御部221は、第1の設定時間を5分間から3分間に設定し直す。なお、第1の設定時間が経過するまでの間に手書き入力の受け付け回数が所定値になった状態とは、画面300に残像が複数発生している可能性のある状態である。
【0062】
変形例では、このような制御によって、短期間に手書き入力の受け付けが複数回検出された場合には、残像を消去するための画面300の書き換え処理を短い間隔で実行することができる。したがって、画面300に残像が残ったままの状態となることを抑制できる。
【0063】
なお、上述した変形例は、第1の実施形態にも適用することができる。
【0064】
上述した実施形態において、画面全体の書き換え処理の頻度を変更するものについて説明したが、以下のように画面に対して部分的に表示を書き換え処理の頻度を変更するものであってもよい。
【0065】
図3を参照して説明する。例えば、時刻表示領域362に対して、表示制御部221は、常時、所定期間毎に書き換え処理を実行する。すなわち、温度、バッテリー残量にかかわらず常に所定期間毎に画面の一部の領域に対して、白黒反転処理を実行する。このとき、表示制御部221は、手書き入力領域310に対しては、上述した第1又は第2の実施形態で説明した処理を実行する。
【0066】
このように、本実施形態では、刻々と変化する時刻のような情報については、所定期間毎に特定の領域の書き換え処理を実行することによって、その情報をユーザに知らせることができる。手書き入力領域310の書き換え処理は、手書き入力の受け付けたときにのみ、実行される。このとき参照される第1及び第2の設定時間は、上述したように、所定期間よりも長い。したがって、手書き入力領域310の書き換え処理の頻度を低減することができ、消費電力を低減することができる。
【0067】
上述した実施形態は、スマートフォンやノートPCのようにバックライトからの発熱がなく、また負荷が小さいためCPUからの発熱もほとんどない電子ペーパーを用いた表示装置に好適である。電子ペーパーを用いた表示装置は、発熱が無いため外気とほぼ同じ温度で動作することになる。そのため、冬の野外または冷凍庫の中など低温環境では、バッテリーの容量が小さくなってしまう。さらに、低温環境では、この表示装置は、電子ペーパーを構成する素子の粘度が高くなり書き換えに時間がかかるため、消費電力が大きくなる傾向がある。
【0068】
このような電子ペーパーに厳しい低温環境において、第1及び第2実施形態の表示装置は、画面の書き換え処理のタイミングを手書き入力の受け付けに応じて変更している。すなわち、第1及び第2の実施形態の表示装置は、手書き入力が無いとき、画面の書き換え処理を行うことが無い。そのため、消費電力を低減することができる。
【0069】
さらに、第1及び第2実施形態の表示装置は、手書き入力の受け付けが検出されたとき、第1又は第2の設定時間毎に画面の書き換え処理を実行する。したがって、第1及び第2実施形態の表示装置は手書き入力が行われていないときの画面の書き換え処理の頻度を低減することができ、消費電力を低減することができる。
【0070】
さらに、第2実施形態の表示装置は、バッテリーの残量に応じて、画面の書き換え処理の頻度を低下させることができ、消費電力を低減することができる。
【0071】
なお、上述の各実施形態では、バッテリーとしてリチウムイオンバッテリーを用いて説明したが、充電可能なバッテリー又は充電できない電池を使用する表示装置にも好適である。
【0072】
なお、各実施形態の表示装置の機能を実現させるプログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0073】
さらに、上述した表示装置を、ネットワークを介してコンピュータまたは他の電子黒板と接続した画像処理システムに適用してもよい。
【0074】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0075】
100 表示装置
110 CPU
120 電子ペーパー
130 バッテリー
150 フラッシュメモリ
170 温度センサ
221 表示制御部
300 画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2007-286602号公報
【特許文献2】特開2011-13466号公報