(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029250
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】ダイヤモンド基板製造方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/04 20060101AFI20230224BHJP
C30B 33/04 20060101ALI20230224BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230224BHJP
B23K 26/53 20140101ALI20230224BHJP
【FI】
C30B29/04 V
C30B33/04
H01L21/304 611Z
B23K26/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121767
(22)【出願日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2021134412
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】池野 順一
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】松尾 利香
(72)【発明者】
【氏名】野口 仁
【テーマコード(参考)】
4E168
4G077
5F057
【Fターム(参考)】
4E168AE01
4E168CB07
4E168CB08
4E168DA40
4E168DA46
4E168DA47
4E168HA01
4E168JA11
4G077AA02
4G077AB02
4G077BA03
4G077FG14
4G077FH08
4G077HA12
5F057AA01
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5F057BB01
5F057CA02
5F057CA14
5F057DA20
5F057DA22
5F057DA31
5F057FA12
5F057FA13
(57)【要約】
【課題】主表面が{100}面の単結晶ダイヤモンドから主表面が{100}面の新たなダイヤモンド基板を創製するダイヤモンド基板製造方法を提供する。
【解決手段】ダイヤモンド基板製造方法は、レーザ光Bを集光するレーザ集光部190を単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aに対向するように配置する工程と、レーザ集光部190を用い、所定の照射条件で、ブロック10の主表面10aに向けてレーザ光Bを照射してブロック10の内部にレーザ光Bを集光しつつレーザ集光部190とブロック10とを三次元状に相対的に移動させることによりブロック10の主表面10aから所定の深さに単結晶ダイヤモンドの{111}面に沿って劈開を生じさせ、{111}面の劈開を連結する工程とを含んでいる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、
前記レーザ集光部から前記ブロックの主表面にレーザ光を照射して前記ブロックの内部にレーザ光を集光しつつ前記レーザ集光部と前記ブロックとを<110>方向に二次元状に相対的に移動させることにより前記ブロックの主表面から所定の深さに単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる走査ラインを形成する第1の工程と、
前記レーザ集光部と前記ブロックとを三次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を{111}面に沿って所定量移動させる第2の工程と、
を含み、前記第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせるダイヤモンド基板製造方法。
【請求項2】
前記{111}面において対向する位置にある{111}面に劈開面を形成し、この劈開面を連結させた連続劈開面により前記ブロックからダイヤモンド基板を剥離して分離する請求項1に記載のダイヤモンド基板製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程は、前記単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる一つの走査ラインを形成する請求項1又は2に記載のダイヤモンド基板製造方法。
【請求項4】
前記第1の工程は、前記単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる複数の走査ラインを形成する請求項1又は2に記載のダイヤモンド基板製造方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の工程は、前記主表面の全面にわたり所定の深さに改質層を形成する請求項1又は2に記載のダイヤモンド基板製造方法。
【請求項6】
レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、
前記レーザ集光部から前記ブロックの主表面にレーザ光を照射して前記ブロックの内部にレーザ光を集光するように、前記レーザ集光部及び前記ブロックを二次元状に相対的に移動させるとともに、レーザ光の焦点を深さ方向に移動させ、前記主表面から第1の深さから[211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成し、前記走査ラインが前記第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると前記第2の深さから前記第1の深さまで[-211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成することを含む走査ラインを形成する第1の工程と、
前記レーザ集光部と前記ブロックとを二次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を[01-1]方向に所定量移動させる第2の工程と、
を含み、前記第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせるダイヤモンド基板製造方法。
【請求項7】
レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、
前記レーザ集光部から前記ブロックの主表面にレーザ光を照射して前記ブロックの内部にレーザ光を集光するように、前記レーザ集光部及び前記ブロックを二次元状に相対的に移動させるとともに、レーザ光の焦点を深さ方向に移動させ、前記ブロックにおいて、前記主表面の第1の位置における第1の深さから[211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成し、前記走査ラインが前記主表面の第2の位置において前記第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると、前記主表面において前記第2の位置について前記第1の位置とは対称な第3の位置における前記第1の深さから[2-1-1]方向に前記第2の位置における前記第2の深さまで加工痕からなる走査ラインを形成することを含む走査ラインを形成する第1の工程と、
前記レーザ集光部と前記ブロックとを二次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を[01-1]方向に所定量移動させる第2の工程と、
を含み、前記第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせるダイヤモンド基板製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤモンド基板製造方法に関し、詳しくは、レーザ光を用いて単結晶ダイヤモンドを加工してダイヤモンド基板を製造するダイヤモンド基板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーデバイスに適した半導体材料として、シリコン(Si)に代わって炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)が提供されてきたが、ダイヤモンド半導体はこれら半導体材料と比べて高絶縁破壊電界、高い電力制御指数及び熱伝導率が最も高いということから次世代の材料として注目され、実用化に向けて研究や開発が進んでいる。またダイヤモンド中の窒素-空孔センタ(NVセンタ)は室温で高感度な磁気検出が可能であるため、磁気センサへの応用が期待されていてこの研究も行われている(特許文献1を参照)。
【0003】
これら半導体への応用が期待される単結晶ダイヤモンドは高温高圧法(HPHT法)やホモエピキャシタル成長により合成されるが、これらの合成法では半導体プロセスに利用するための単結晶ダイヤモンドのバルク基板の大面積化が困難とされている。そこで、単結晶酸化マグネシウム(MgO)を下地結晶として単結晶ダイヤモンドをヘテロエピキャシタル成長させる気相合成法(CVD法)が大面積化に優位性があるとして適用されてきている。
【0004】
ダイヤモンド基板は、ダイヤモンド単結晶のインゴットやインゴットをさらに一定の長さに切断したブロックをダイヤモンドを研粒としたワイヤーソーで一定の厚さにスライスして製造されている。ワイヤーソーのワイヤーは例えば少なくとも数十μmのような径を有しているため、ダイヤモンド単結晶のインゴットやブロックをダイヤモンド基板にスライスする際に、切断面に沿った一定の幅の部分は研削の切り代として失われていた。
【0005】
またレーザ光を利用してダイヤモンドインゴットからダイヤモンド基板を製造するダイヤモンド基板製造方法が開示されている(特許文献2を参照)。この方法は、ダイヤモンドインゴットの主表面から所定の深さにレーザ光を集光して照射し、2次元状に走査することにより結晶構造が改質された改質層を形成し、この改質層でダイヤモンド基板を剥離するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-59069号公報
【特許文献2】特開2020-50563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ダイヤモンド単結晶は{111}面に沿って劈開が進みやすいという性質があり主表面を{100}面とするダイヤモンドインゴットやブロックにレーザ光を二次元状に走査すると劈開面である{111}面に改質層が進展し{100}面ではなく{111}面で劈開が発生しやすいことから所望とする{100}面を主表面とするダイヤモンド基板の創製が困難である。
【0008】
この発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、主表面が{100}面である単結晶ダイヤモンドから主表面が{100}面であるダイヤモンド基板を製造する単結晶ダイヤモンド基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、この出願に係るダイヤモンド基板の製造方法は、レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、レーザ集光部からブロックの主表面にレーザ光を照射してブロックの内部にレーザ光を集光しつつレーザ集光部とブロックとを<110>方向に二次元状に相対的に移動させることによりブロックの主表面から所定の深さに単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる走査ラインを形成する第1の工程と、レーザ集光部とブロックとを三次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を{111}面に沿って所定量移動させる第2の工程と、含み、これら第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせる。
【0010】
換言すると、主表面が{100}面である単結晶ダイヤモンドからの主表面から所定の深さにレーザ光を集光して照射し、レーザ光を{111}面に沿った方向を含む三次元上の所定の方向に走査して加工痕からなる走査ラインを形成し、走査ラインが並列されて結晶構造が改質された改質層を形成し{111}面に劈開を生じさせ、この{111}面の劈開面を連結させることによって主表面が{100}面であるダイヤモンド基板を剥離する。なお、主表面は(100)面に限らず{100}面であれば同様に適用することができる。
【0011】
{111}面において対向する位置にある{111}面に劈開面を形成し、この劈開面を連結させた連続劈開面によりブロックからダイヤモンド基板を剥離して分離してもよい。
【0012】
第1の工程は、単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる一つの走査ラインを形成してもよい。
【0013】
第1の工程は、単結晶ダイヤモンドの(100)面に沿って加工痕からなる複数の走査ラインを形成してもよい。
【0014】
第1及び第2の工程は、主表面の全面にわたり所定の深さに改質層を形成してもよい。
【0015】
この出願に係るダイヤモンド基板の製造方法は、レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、レーザ集光部からブロックの主表面にレーザ光を照射してブロックの内部にレーザ光を集光するように、レーザ集光部及びブロックを二次元状に相対的に移動させるとともに、レーザ光の焦点を深さ方向に移動させ、主表面から第1の深さから[211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成し、走査ラインが第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると第2の深さから第1の深さまで[-211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成することを含む走査ラインを形成する第1の工程と、レーザ集光部とブロックとを二次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を[01-1]方向に所定量移動させる第2の工程と、を含み、第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせてもよい。
【0016】
換言すると、主表面が{100}面である単結晶ダイヤモンドにレーザ光を主表面に向けて照射する位置を主表面に沿って所定の方向に向けて移動しつつ、レーザ光の焦点が主表面から所定の深さの範囲において{111}面によって形成される山谷の斜面に沿って移動するように、レーザ光の焦点を主表面から深さ方向にW形状に移動させることによって加工痕からなる走査ラインを形成し、この走査ラインが並列されて結晶構造が改質された改質層を形成して{111}面に劈開を生じさせ、この{111}面の劈開面を連結させることによって主表面が{100}面であるダイヤモンド基板を剥離する。なお、主表面は(100)面に限らず{100}面であれば同様に適用することができる。
【0017】
この出願に係るダイヤモンド基板の製造方法は、レーザ光を集光するレーザ集光部を主表面が(100)面である単結晶ダイヤモンドのブロックの主表面に対向するように配置する工程と、レーザ集光部からブロックの主表面にレーザ光を照射してブロックの内部にレーザ光を集光するように、レーザ集光部及びブロックを二次元状に相対的に移動させるとともに、レーザ光の焦点を深さ方向に移動させ、ブロックにおいて、主表面の第1の位置における第1の深さから[211]方向に加工痕からなる走査ラインを形成し、走査ラインが主表面の第2の位置において第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると、主表面において第2の位置について第1の位置とは対称な第3の位置における第1の深さから[2-1-1]方向に第2の位置における第2の深さまで加工痕からなる走査ラインを形成することを含む走査ラインを形成する第1の工程と、レーザ集光部とブロックとを二次元状に相対的に移動させることによりレーザ光の焦点を[01-1]方向に所定量移動させる第2の工程と、を含み、第1及び第2の工程を繰り返して{111}面の劈開を生じさせてもよい。
【0018】
換言すると、主表面が{100}面である単結晶ダイヤモンドにレーザ光を主表面に向けて照射する位置を主表面に沿って所定の方向に向けて移動しつつ、レーザ光の焦点が主表面から所定の深さの範囲において{111}面によって形成される山谷の斜面に沿って常に谷から山への向きで移動するように、レーザ光の焦点を主表面から深さ方向にW形状に移動させることによって加工痕からなる走査ラインを形成し、この走査ラインが並列されて結晶構造が改質された改質層を形成して{111}面に劈開を生じさせ、この{111}面の劈開面を連結させることによって主表面が{100}面であるダイヤモンド基板を剥離する。なお、主表面は(100)面に限らず{100}面であれば同様に適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、{100}面を主表面とする単結晶ダイヤモンドのバルク結晶及びHTHP法により得られた単結晶ダイヤモンドインゴットやブロックから加工ロスを少なく{100}基板を作成することができ、ひいてはダイヤモンド基板を製造する際の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】加工装置の概略的な構成を示す斜視図である。
【
図2】単結晶ダイヤモンド(100)面の{111}面を説明する模式図である。
【
図3】単結晶ダイヤモンド{111}面に沿って主表面に向かう結晶方位を説明する模式図である。
【
図4】第1のレーザ光走査方法を説明する模式図である。
【
図5】第1のレーザ光走査方法をさらに説明する模式図である。
【
図6】{111}面の加工痕による劈開面がW形状に連結した状態を示す模式図である。
【
図7】第2のレーザ光走査方法を説明する模式図である。
【
図8】第3のレーザ光走査方法を説明する模式図である。
【
図9】第4のレーザ光走査方法を説明する模式図である。
【
図10】単結晶ダイヤモンドのブロックの側面への溝の形成を説明する模式図である。
【
図11】実験例により得られた{111}面の劈開により剥離・分離された単結晶ダイヤモンドのブロックの試験片を示す顕微鏡写真である。
【
図12】第1のレーザ光走査方法による単結晶ダイヤモンドのブロックへの改質層の状態の顕微鏡写真である。
【
図13】第1のレーザ光走査方法により単結晶ダイヤモンドのブロックを剥離・分離した顕微鏡写真である。
【
図14】第2のレーザ光走査方法による単結晶ダイヤモンドのブロックへの改質層の形成方法を説明する顕微鏡写真である。
【
図15】第2のレーザ光走査方法による単結晶ダイヤモンドブロックの劈開面の顕微鏡写真である。
【
図16】第4のレーザ光走査方法による単結晶ダイヤモンドのブロックの赤外線顕微鏡写真である。
【
図17】第4のレーザ光走査方法による単結晶ダイヤモンドのブロックの劈開面の形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0022】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
図1は、加工装置100の概略的な構成を示す斜視図である。加工装置100は、単結晶ダイヤモンドのブロック10を載置するステージ110と、ステージ110が水平面内のXY方向に移動可能なように支持するステージ支持部120と、単結晶ダイヤモンドのブロック10を固定する固定具130とを有している。固定具130には、粘着層、機械的なチャック、静電チャック、真空チャックなどが適用可能である。
【0024】
ステージ110上には、加工対象物として単結晶ダイヤモンドのインゴットを所定の長さに切断した矩形状の外周を有する板状のブロック10が、主表面であるオフ角が0°の(100)面を上面の主表面10aとして固定されている。加工対象物の形状はこれに限らず、同様に主表面10aを(100)面とするものであれば、例えば単結晶ダイヤモンドのインゴットや円盤状のウエハであってもよく、単結晶ダイヤモンドのバルク結晶であってもよい。
【0025】
また、加工装置100は、パルスレーザ光を発生するレーザ光源160と、対物レンズ170及び収差調整部180を含むレーザ集光部190とを有し、レーザ光源160から発したレーザ光Bをレーザ集光部190を介して単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aの(100)面に向けて照射する。
【0026】
図2は、(100)面を主表面とする単結晶ダイヤモンドのブロック10の結晶構造を上面の主表面10aから見た場合の{111}面の配置を説明する模式図である。
図2(a)は単結晶ダイヤモンドのブロック10の上面図であり、
図2(b)は
図2(a)の単結晶ダイヤモンドのブロック10を切断線IIB-IIBで切断した断面図である。図中には、[110]及び[01-1]の方位もそれぞれ示してある。
図2(a)に示すように(100)面を底面とする四角錐に(111)、(1-11)、(1-1-1)、(11-1)の4つの{111}面が存在する。さらに
図2(b)に示すようにこの{111}面は(100)面に対して角度55°を有している。なお、本明細書において使用できる文字に制限があるため、便宜上、ミラー指数の表示において数字に附される上線は数字の前の負号「-」で代えることにする。以下でも同様である。
【0027】
ここで、ダイヤモンドの結晶において炭素原子は、炭素原子を中心とする正四面体の四方の頂点の方向に延びたsp3混成軌道の腕で隣接する炭素元素と互いに共有結合している。隣接する四方の炭素原子と共有結合した炭素原子は、ダイヤモンド構造と称される体心立方格子を形成する。ダイヤモンド構造において、炭素原子は隣接する四方の炭素原子と共有結合を形成しているため、単結晶ダイヤモンドは非常に硬いことが知られている。しかしながら、炭素原子は<111>方向には隣接する1個の炭素原子とsp3混成軌道の一本の腕のみによって共有結合している。したがって、<111>方向と直交する(111)面方向にはこの一本の腕の共有結合を切断するだけで比較的容易に切り離すことができ、この(111)面が劈開面となる。
【0028】
図3は、(100)面を主表面とする単結晶ダイヤモンド{111}面に沿って主表面に向かう結晶方位を説明する模式図である。
図3(a)は単結晶ダイヤモンドのブロック10の上面図であり、
図3(b)は
図3(a)の単結晶ダイヤモンドのブロック10を切断線IIIB-IIIBで切断した断面図である。
図3(a)は、4つの(111)、(1-11)、(1-1-1)、(11-1)面に沿って四角錐の底面方向、すなわちオフ角0°の単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10a側に向かう結晶方位を示したもので(111)面に沿う[2-1-1]方向、(1-11)面に沿う[21-1]方向、(1-1-1)面に沿う[211]方向、(11-1)面に沿う[2-11]方向がそれぞれ図示されている。すなわち
図3(b)に示すように{111}面に沿って単結晶ダイヤモンドのブロック10の表面に向かう結晶方位は<211>となる。これを整理して示すと表1のようになる。
【0029】
【0030】
[第1のレーザ光走査方法]
図4及び
図5は第1のレーザ光Bの走査方法におけるレーザ光Bの走査方向を説明する図である。
図4は単結晶ダイヤモンドのブロック10の一つの劈開面に沿ったレーザ光の走査を示し、
図5は単結晶ダイヤモンドのブロック10の複数の劈開面に沿ったレーザ光の走査を示している。
図1の加工装置100のステージ110上に載置された主表面のオフ角が0°の(100)面を主表面10aとする単結晶ダイヤモンドのブロック10は、レーザ集光部190から照射されたレーザ光Bが単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aの所定の位置に向けて照射されるように、レーザ集光部190に対して相対的に{111}面に沿って三次元状に移動される
レーザ光Bの走査ライン41は、先ず<110>方向にドットピッチdpで走査され、次にラインピッチdの間隔で{111}面に沿って<211>方向にレーザ光Bの焦点を移動させ<110>方向に新たな走査ライン41を形成する。このような走査ライン41の形成を繰り返すことで単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部の{111}面に沿って改質層20を連続して形成していくことで{111}面の劈開を生じさせることができる。
【0031】
上記したレーザ光Bの走査方法によると、具体的には単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部において、レーザ光Bは主表面10aから所定の深さで集光され、グラファイトの加工痕と、この加工痕の周囲に{111}面に沿って広がるクラックが形成される。グラファイトの加工痕は、レーザ光源160から発したパルスレーザのレーザ光Bが、劈開面の{111}面に沿って形成されたクラックによって反射され、ダイヤモンドが熱分解されて形成される。ここでパルスレーザはいわゆるピコ秒パルスレーザもしくはフェムト秒パルスレーザが好ましく、パルス幅、すなわちパルス持続時間が100ps以下であるレーザをいう。
【0032】
図4及び5に示す第1のレーザ光走査方法を
図3と関係においてさらに詳述する。走査ライン41を[011]方向及び[0-1-1]方向にレーザ光Bを走査して走査ライン41を形成する場合、走査ライン41を[21-1]方向に形成していくと(1-11)面に沿って走査ライン41が形成され、走査ラインを[2-11]方向に形成していくと(11-1)面に沿った走査ライン41が形成される。その結果(1-11)面及び(11-1)面にレーザ光Bの照射による加工痕によって(1-11)面及び(11-1)面に劈開が生じる。なお、
図3では図示されていないが(1-11)面及び(11-1)面と連なる{111}面に連続的に走査ライン41は形成されることは明らかである。一方、(1-11)面及び(111)面においてもそれぞれの結晶面に沿う結晶方位にレーザ光Bを走査することで同様に(1-1-1)面及び(111)面に沿った走査ライン41を形成し(1-1-1)面及び(111)面に劈開を生じさせることができる。
【0033】
図6は、{111}面の加工痕による劈開面がW形状に連結した状態を示す模式図である。上記により{111}面に形成された劈開について、
図2の{111}面を示す四角錐構造において対向する面、すなわち(1-11)面と(11-1)面、(1-1-1)面と(111)面の組み合わせにより、断面構造がそれぞれ向かい合う面の劈開が連結した模式的にW形状で表わされる劈開面が連なった{111}面に沿った劈開面51を形成することができる。この場合、各{111}面に沿った走査ライン41が所定の周期pを有する山谷構造を有し、その山部及び谷部が一致するように走査ライン41の走査を調整することが好ましい。この山谷構造が単結晶ダイヤモンドのブロック10の面方向に連続的に形成されることで、{111}面の劈開を利用して単結晶ダイヤモンドのブロック10を分離、剥離することが可能となり、(100)面を主表面とするあらたなダイヤモンドを創製することができる。
【0034】
走査ライン41の形成においてドットピッチdp及びラインピッチdはレーザ光Bの走査により形成される加工痕から{111}面の劈開の進展を調整するために適宜設定する。前記パルスレーザによるレーザ光Bを利用する場合、ドットピッチdpは1μm~10μm、ラインピッチdは1μm~20μmの範囲が好ましく、さらにはドットピッチdpが1μm~5μm、ラインピッチ5μm~15μmの範囲から選定することが好ましい。
【0035】
ラインピッチdp及びラインピッチdがこの範囲より小さい場合は加工痕からの劈開が進みすぎてしまい、一方この範囲を超えると加工痕同士の劈開がつながらない。また走査ライン41の走査回数は加工領域Dを考慮して設定される。この加工領域Dをできるだけ小さくすることにより加工ロスを低減することができる。
【0036】
[第2のレーザ光走査方法]
図7は第2のレーザ光Bの走査方法におけるレーザ光Bの走査方向を説明する単結晶ダイヤモンドのブロック10の斜視図である。
図1の加工装置100のステージ110上に載置された主表面のオフ角が0°の(100)面を主表面10aとする単結晶ダイヤモンドのブロック10は、レーザ集光部190から照射されたレーザ光Bが単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aの所定の位置に向けて照射されるように、レーザ集光部190に対して相対的に{111}面に沿って三次元状に移動される。
【0037】
レーザ光Bの走査ライン41は、先ず<110>方向にドットピッチdpで走査され、次にラインピッチd0の間隔で(100)面に沿って複数の走査ライン41を形成する。その後{111}面に沿って<211>方向にレーザ光Bの焦点を移動させ<110>方向にラインピッチdの間隔で同様に複数の新たな走査ライン41を形成する。このような走査ライン41の形成を繰り返すことで単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部の{111}面に沿って改質層20を連続して形成していくことで{111}面の劈開を生じさせることができる。
【0038】
[第3のレーザ光走査方法]
図8は第3のレーザ光Bの走査方法におけるレーザ光Bの走査方向を説明する単結晶ダイヤモンドのブロック10の斜視図である。
図1の加工装置100のステージ110上に載置された主表面10aのオフ角が0°の(100)面を主表面10aとする単結晶ダイヤモンドのブロック10は、レーザ集光部190と単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aとの間隔が一定に維持されるように二次元状に相対的に移動され、レーザ集光部190から照射されたレーザ光Bは単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aに向けて照射される。レーザ集光部190から照射されたレーザ光Bは、{111}面に沿って集光されるように、レーザ光Bの焦点はレーザ光Bが照射する単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aの位置に応じて深さ方向に移動される。
【0039】
レーザ光Bの走査ライン41は、主表面10aから第1の深さから(1-11)面に沿って[21-1]方向にドットピッチdpでレーザ光Bを集光するように走査され、レーザ光Bの集光点が第1の深さよりも浅い第2の深さに達すると、(11-1)面に沿って今度は[-21-1]方向に同様にレーザ光が走査され、レーザ光の集光点が第1の深さに達すると、再び(1-11)面に沿って[21-1]方向にレーザ光が走査される。このような走査を繰り返すことにより、主表面10aに沿って[01-1]方向に向かう走査ライン41が形成される。次に、[011]方向にラインピッチdの間隔でレーザ光Bの焦点を移動させ[01-1]方向に新たな走査ライン41を形成する。このような走査ライン41の形成を繰り返すことで単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部の{111}面に沿って改質層20を連続して形成していくことで{111}面の劈開を生じさせることができる。
【0040】
上記したレーザ光Bの走査方法によると、具体的には単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部において、レーザ光Bは主表面10aから所定の深さで集光され、グラファイトの加工痕と、この加工痕の周囲に{111}面に沿って広がるクラックが形成される。グラファイトの加工痕は、レーザ光源160から発したパルスレーザのレーザ光Bが、劈開面の{111}面に沿って形成されたクラックによって反射され、ダイヤモンドが熱分解されて形成される。
【0041】
図8に示した第3のレーザ光走査方法を
図3と関係においてさらに詳述する。[01-1]方向にレーザ光Bを走査して走査ライン41を形成する場合、走査ライン41を[21-1]方向に形成していくと(1-11)面に沿って走査ライン41が形成され、走査ラインを[-21-1]方向に形成していくと(11-1)面に沿った走査ライン41が形成される。その結果(1-11)面及び(11-1)面にレーザ光Bの照射による加工痕によって(1-11)面及び(11-1)面に劈開が生じる。なお、
図3では図示されていないが(1-11)面及び(11-1)面と連なる{111}面に連続的に走査ライン41は形成されることは明らかである。一方、(111)面及び(1-1-1)面においてもそれぞれの結晶面に沿う結晶方位にレーザ光Bを走査することで同様に(111)面及び(1-1-1)面に沿った走査ライン41を形成し(111)面及び(1-1-1)面に劈開を生じさせることができる。
【0042】
[第4のレーザ光走査方法]
図9は第4のレーザ光Bの走査方法におけるレーザ光Bの走査方向を説明する単結晶ダイヤモンドのブロック10の斜視図である。
図1の加工装置100のステージ110上に載置された主表面10aのオフ角が0°の(100)面を主表面10aとする単結晶ダイヤモンドのブロック10は、レーザ集光部190と単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aとの間隔が一定に維持されるように二次元状に相対的に移動され、レーザ集光部190から照射されたレーザ光Bは単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aに向けて照射される。レーザ集光部190から照射されたレーザ光Bは、{111}面に沿って集光されるように、レーザ光Bの焦点はレーザ光Bが照射する単結晶ダイヤモンドのブロック10の主表面10aの位置に応じて深さ方向に移動される。
【0043】
レーザ光Bの走査ライン41は、主表面10aから第1の深さから(1-11)面に沿って[21-1]方向にドットピッチdpでレーザ光Bを集光するように、レーザ光Bの集光点が第1の深さよりも浅い第2の深さに達するまで走査され、走査ライン41の第1区間41aが形成される。続いて、第2の深さから(11-1)面に沿って今度は[-21-1]方向に同様にレーザ光Bの集光点が第1の深さに達するまで走査され、走査ライン41の第2区間41bが形成される。走査ライン41は、第1区間41a及び第2区間41bのいずれにおいても{111}面で形成される山谷構造に沿って上っている。このような第1区間41a及び第2区間41bの形成を交互に繰り返すことにより、主表面10aに沿って[01-1]方向に向かう走査ライン41が形成される。次に、[011]方向にラインピッチdの間隔でレーザ光Bの焦点を移動させ[01-1]方向に新たな走査ライン41を形成する。このような走査ライン41の形成を繰り返すことで単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部の{111}面に沿って改質層20を連続して形成していくことで{111}面の劈開を生じさせることができる。
【0044】
上記したレーザ光Bの走査方法によると、具体的には単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部において、レーザ光Bは主表面10aから所定の深さで集光され、グラファイトの加工痕と、この加工痕の周囲に{111}面に沿って広がるクラックが形成される。グラファイトの加工痕は、レーザ光源160から発したパルスレーザのレーザ光Bが、劈開面の{111}面に沿って形成されたクラックによって反射され、ダイヤモンドが熱分解されて形成される。
【0045】
図9に示した第4のレーザ光走査方法を
図3と関係においてさらに詳述する。[01-1]方向にレーザ光Bを走査して走査ライン41を形成する場合、走査ライン41を[21-1]方向に形成していくと(1-11)面に沿って走査ライン41の第1区間41aが形成され、走査ラインを[-21-1]方向に形成していくと(11-1)面に沿った走査ライン41の第2区間41bが形成される。その結果(1-11)面及び(11-1)面にレーザ光Bの照射による加工痕によって(1-11)面及び(11-1)面に劈開が生じる。なお、
図3では図示されていないが(1-11)面及び(11-1)面と連なる{111}面に連続的に走査ライン41は形成されることは明らかである。一方、(111)面及び(1-1-1)面においてもそれぞれの結晶面に沿う結晶方位にレーザ光Bを走査することで同様に(111)面及び(1-1-1)面に沿った走査ライン41を形成し(111)面及び(1-1-1)面に劈開を生じさせることができる。
【0046】
図10は単結晶ダイヤモンドのブロック10の側面への溝の形成を説明する図である。前述の第1から第4のレーザ光走査方法を適用することで、単結晶ダイヤモンドのブロック10にレーザ光Bを照射してブロック10内に主表面10aの全面にわたり改質層20が形成される。その後で、ブロック10の側面に達した改質層20に沿ってレーザ光Bを照射して溝を形成することができる。ブロック10の側面Bにレーザ光が照射できるように、ブロック10に改質層20を形成する工程の後で、ブロック10の側面がレーザ集光部190と対向するように、
図1に示した加工装置100のステージ110でブロック10の方向を転換してからレーザ光Bを照射してもよい。ブロック10の側面の全周にわたって側面に達する改質層20に沿って溝を形成することにより、改質層20に自発的な剥離が発生することがあり、自発的な剥離が発生しないときにも溝にナイフエッジを押し当てることで改質層20に剥離を発生させることができる。
【0047】
[実験例]
図11に本実施の形態の加工原理を表わす実験例の結果を示す。
図11(a)は上面からの顕微鏡写真であり、
図11(b)は
図11(a)における矢印Aの方向で観察した顕微鏡写真である。実験例は表2の加工条件により以下の手順にて実験を行った。
【0048】
【0049】
レーザ光Bの焦点を厚さ700μmの単結晶ダイヤモンドのブロック10の底面に合わせ、[011]方向にレーザ光Bを走査した。次に(1-11)面に沿うように[2-11]方向にレーザ光Bの焦点を約6μmのラインピッチで移動し、再度[011]方向にレーザ光Bを走査した。このとき[2-11]方向へのレーザ光Bの焦点の移動は(100)面に対して55°の角度で移動した。この走査を単結晶ダイヤモンドのブロック10の表面まで行った。次に再度レーザ光Bの焦点を単結晶ダイヤモンドのブロック10の底面に合わせ、(1-11)面と対向する(11-1)面の加工を行う。[011]方向にレーザ光Bを走査し加工ラインを形成し、次に(11-1)に沿うように[2-11]方向にレーザ光Bの焦点を移動した。上記と同様に[011]方向にレーザ光を走査することにより(11-1)面に劈開を生じさせた。この結果、
図11に示すように劈開面での剥離が可能であることがわかる。なお、本実験例でのレーザ光Bの走査方向に限らず、<110>方向と<211>方向のレーザ光Bの走査を適宜組み合わせることでも同様な結果が得られる。
【0050】
[実施例]
【実施例0051】
本実施の形態における第1のレーザ光B走査方法による実施例1について説明する。加工条件を表3に示す。
【0052】
【0053】
図12に示すように単結晶ダイヤモンドのブロック10を用いて表3の加工条件にてレーザ光Bを走査した。単結晶ダイヤモンドのブロック10は、縦横0.5×0.5mm、厚さ500μmの直方体形状であった。
図12(a)は単結晶ダイヤモンドのブロック10の{111}方向に沿った劈開面の断面の顕微鏡写真であり、
図12(b)は
図12(a)の断面を説明する模式図である。
図12(a)中の矢印は、レーザ光Bの走査方向である。
【0054】
図13はレーザ加工後の単結晶ダイヤモンドのブロック10の内部に対向する{111}面の劈開面が山谷構造を有して形成されていることを示す顕微鏡写真である。
図13(a)は単結晶ダイヤモンドのブロック10を上面から観察した顕微鏡写真であり、
図13(b)は
図13を説明する模式図である。
図13(b)の劈開面51に示すように、
図13(a)の劈開面は山谷構造を有している。
【0055】
図14に劈開面で分離、剥離した試料の顕微鏡写真を示す。
実施例2ではラインピッチd0=1μmで(100)面に5本のレーザ光B走査ラインを形成し、その最後の走査ラインから(11-1)面に沿ってレーザ光Bの集光点を10μm移動し、再度d0=1μmの間隔で(100)面に5本の走査ラインを形成する。この移動と走査を繰り返し20段に相当する加工領域を形成した。次に対向する(11-1)面に同様にレーザ光B走査ラインからなる加工領域を形成した。