(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023029470
(43)【公開日】2023-03-03
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/52 20230101AFI20230224BHJP
H04N 23/51 20230101ALI20230224BHJP
H04N 23/45 20230101ALI20230224BHJP
G03B 17/55 20210101ALI20230224BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230224BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20230224BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/51
H04N23/45
G03B17/55
G03B15/00 W
G03B37/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209432
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2018185096の分割
【原出願日】2018-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】築山 大亮
(57)【要約】
【課題】筐体の像の映り込みを抑制しつつ、冷却効率の向上を図ること。
【解決手段】撮像装置は、吸気口と排気口とを有する筐体と、前記筐体内に配置された第1撮像素子と、前記筐体内に前記第1撮像素子よりも前記吸気口から離れて配置された第2撮像素子と、前記筐体内の前記第1撮像素子と前記第2撮像素子との間に配置されて前記第1撮像素子および前記第2撮像素子からの電気信号に基づいて画像処理を実行し、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子よりも発熱量が大きい画像処理部と、前記第1撮像素子または前記第2撮像素子のいずれか一方と前記画像処理部との間に配置され、前記吸気口から吸気し前記排気口から排気する冷却ファンと、を備え、前記冷却ファンは、前記第1撮像素子、前記第2撮像素子、および前記画像処理部よりも前記排気口に近い前記筐体内の位置に配置され、前記吸気口から吸気し前記排気口から排気する。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口とを有する筐体と、
前記筐体内に配置された第1撮像素子と、
前記筐体内に前記第1撮像素子よりも前記吸気口から離れて配置された第2撮像素子と、
前記筐体内の前記第1撮像素子と前記第2撮像素子との間に配置されて前記第1撮像素子および前記第2撮像素子からの電気信号に基づいて画像処理を実行し、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子よりも発熱量が大きい画像処理部と、
前記第1撮像素子または前記第2撮像素子のいずれか一方と前記画像処理部との間に配置され、前記吸気口から吸気し前記排気口から排気する冷却ファンと、を備え、
前記冷却ファンは、前記第1撮像素子、前記第2撮像素子、および前記画像処理部よりも前記排気口に近い前記筐体内の位置に配置され、前記吸気口から吸気し前記排気口から排気する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全天球型撮像装置は、広角レンズとこの広角レンズによる像を撮像する撮像センサとによる撮像光学系を複数有する。全天球型撮像装置は、各撮像光学系により撮像された像を合成して4πステラジアンの立体角内の像を得る(たとえば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の全天球型撮像装置では、撮像センサなどの熱源を放熱させる構成は考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本願において開示される撮像装置は、吸気口と排気口とを有する筐体と、前記筐体内に配置された第1撮像素子と、前記筐体内に前記第1撮像素子よりも前記吸気口から離れて配置された第2撮像素子と、前記筐体内の前記第1撮像素子と前記第2撮像素子との間に配置されて前記第1撮像素子および前記第2撮像素子からの電気信号に基づいて画像処理を実行し、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子よりも発熱量が大きい画像処理部と、前記第1撮像素子または前記第2撮像素子のいずれか一方と前記画像処理部との間に配置され、前記吸気口から吸気し前記排気口から排気する冷却ファンと、を備え、前記冷却ファンは、前記第1撮像素子、前記第2撮像素子、および前記画像処理部よりも前記排気口に近い前記筐体内の位置に配置され、前記吸気口から吸気し前記排気口から排気する。
【0006】
本願において開示される撮像装置は、吸気口から排気口に向けて空気が流れる流路が形成された撮像装置であって、第1撮像素子と、第2撮像素子と、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理部と、前記第1撮像素子で発生した熱を伝導する第1伝熱部材と、前記第2撮像素子で発生した熱を伝導する第2伝熱部材と、前記画像処理部で発生した熱を伝導する第3伝熱部材と、を有し、前記第1伝熱部材および前記第2伝熱部材の少なくとも一部は、前記第3伝熱部材が前記流路の空気に接する箇所から前記排気口までの区間と異なる箇所で、前記流路の空気に接する。
【0007】
本願において開示される撮像装置は、吸気口から排気口に向けて空気が流れる流路が形成された撮像装置であって、第1撮像素子と、第2撮像素子と、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理部と、前記第1撮像素子で発生した熱を伝導する第1伝熱部材と、前記第2撮像素子で発生した熱を伝導する第2伝熱部材と、前記画像処理部で発生した熱を伝導する第3伝熱部材と、を有し、前記流路は、前記吸気口から前記排気口までに少なくとも第1流路と前記第1流路と異なる第2流路とに分岐し、前記第1伝熱部材と前記第2伝熱部材との少なくとも一方は、前記流路が分岐した点から前記第1流路を含む前記排気口までの流路の空気に接し、前記第3伝熱部材は、前記流路が分岐した点から前記第2流路を含む前記排気口までの流路の空気に接する。
【0008】
本願において開示される撮像装置は、吸気口から排気口に向けて空気が流れる流路が形成された撮像装置であって、第1撮像素子と、第2撮像素子と、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理部と、前記第1撮像素子で発生した熱を伝導する第1伝熱部材と、前記第2撮像素子で発生した熱を伝導する第2伝熱部材と、前記画像処理部で発生した熱を伝導する第3伝熱部材と、を有し、前記第1伝熱部材と前記第2伝熱部材との少なくとも一方は、第1吸気口から第1流路を含む前記排気口までの流路の空気に接し、前記第3伝熱部材は、第2吸気口から前記第1流路と異なる第2流路を含む前記排気口までの流路の空気に接する。
【0009】
本願において開示される撮像装置は、吸気口と排気口とを有する筐体と、前記筐体内に配置された第1撮像素子と、前記筐体内に配置された第2撮像素子と、前記筐体内に配置され、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子の出力信号を信号処理する画像処理部と、を有し、前記第1撮像素子、前記第2撮像素子および前記画像処理部のそれぞれで発生した熱は、前記吸気口から前記排気口に向けて流路を流れる空気に伝わって放熱され、前記第1撮像素子および前記第2撮像素子で発生した熱は、前記流路の、前記画像処理部で発生した熱が伝わった空気が流れる区間とは異なる区間の空気に伝わる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1にかかる撮像装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1にかかる撮像装置の底面図である。
【
図3】
図3は、実施例1にかかる撮像装置の側断面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施例1にかかる撮像装置内の空気の流れの一例を示す側断面図である。
【
図4B】
図4Bは、実施例1にかかる撮像装置内の空気の流れの他の例を示す側断面図である。
【
図5】
図5は、実施例2にかかる撮像装置の側断面図である。
【
図6】
図6は、実施例2にかかる撮像装置内の空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0011】
<撮像装置の外観>
図1は、実施例1にかかる撮像装置の斜視図であり、
図2は、実施例1にかかる撮像装置の底面図である。
図1において(A)は正面斜視図であり、(B)は背面斜視図である。撮像装置100は、筐体101を有する。筐体101の正面板部101Aには、広角レンズ102Aと吸気口103が設けられる。
【0012】
筐体101の背面板部101Bには、広角レンズ102Bが設けられる。筐体101の底面板部101Cには、排気口200が設けられる。吸気口103および排気口200にはスリットが形成され、スリットの間を空気が通過する。なお、符号101Dは上面板部である。
【0013】
広角レンズ102Aは、筐体101から表出するように筐体101に設けられる。広角レンズ102Aは、筐体101外からの光を入射して撮像素子に出射する。広角レンズ102Bは、広角レンズ102Aが表出する方向とは反対方向に筐体101から表出するように筐体101に設けられる。広角レンズ102Bは、筐体101外からの光を入射して撮像素子に出射する。
【0014】
広角レンズ102A,102Bの少なくとも一方は、180度以上の画角を有する。撮像装置100は、2つの撮像素子を互いに逆向きとなるように配置し、各撮像素子の前段に広角レンズ102Aおよび広角レンズ102Bを配置することで、4πステラジアンの立体角で被写体を撮像する。
【0015】
2つの撮像素子で得られた画像データを合成すると、全天球画像(4πステラジアンの立体角内の画像)の画像データが生成される。なお、広角レンズ102A,102Bは、被写体を撮像する範囲が4πステラジアンの立体角分必要ない場合には、2つとも180未満の画角を有するものでもよい。
【0016】
<撮像装置100の側断面>
図3は、実施例1にかかる撮像装置100の側断面図である。撮像装置100は、筐体101内に、冷却ファン300と、撮像素子301A,301Bと、伝熱パッド302A,302Bと、放熱シート303A,303Bと、ヒートシンク304A,304Bと、回路基板305と、回路群306と、伝熱パッド307と、放熱板308と、充電池309と、電池ケース310と、を有する。撮像素子301A,301Bと回路群306とが熱源である。Xは、広角レンズ102A,102Bに共通の光軸である。背面板部101Bから正面板部101Aに向かう方向を+Xとし、正面板部101Aから背面板部101Bに向かう方向を-Xとする。
【0017】
冷却ファン300は、たとえば、ブロワーファンであり、筐体101内を冷却する。ブロワーファンは、その回転軸300cに直交する両面から吸気し、回転方向の1つの側面から排気する構造である。冷却ファン300は、ファン300aと収納ケース300bとを有する。
【0018】
ファン300aは、収納ケース300bに収納される。収納ケース300bに収納されたファン300aは、その回転軸300cが光軸Xと平行となる。収納ケース300bは、ファン300aを収納する。収納ケース300bは、光軸Xに直交する方向の平面に開口300cA,300cBを有し、排気口200に対向する側面に、開口300cCを有する。
【0019】
開口300cCは、排気口200に接続され、冷却ファン300内部の空気を排気口200に通過させる。冷却ファン300は、図示しないフレキシブル配線基板により、回路基板305を介して回路群306に接続される。冷却ファン300は、回路群306の駆動制御によりファン300aを回転させ、筐体101内の空気を開口300cA,300cBから吸入し、開口300cCから排気口200を介して、筐体101外に排出する。
【0020】
撮像素子301Aは、吸気口103の近傍に配置される。撮像素子301Aは、撮像素子301Bと回路群306よりも吸気口103に近い位置に配置される。撮像素子301Aは、広角レンズ102Aよりも撮像装置100の内側に配置され、広角レンズ102Aで集光される光を受光し、電気信号に変換する。撮像素子301Aは、図示しないフレキシブル配線基板により、回路基板305を介して回路群306に接続される。
【0021】
撮像素子301Aは、伝熱パッド302Aを介して放熱シート303Aに固定される。放熱シート303Aの周囲には、ヒートシンク304Aが設けられる。したがって、撮像素子301Aから発生した熱は、伝熱パッド302A、放熱シート303A、ヒートシンク304Aを介して筐体101の内部空間の空気に伝わる。撮像素子301Aから発生する熱を伝導する伝熱パッド302A、放熱シート303A、およびヒートシンク304Aを第1伝熱部材と称す。
【0022】
撮像素子301Bは、撮像素子301Aよりも吸気口103から離れ、かつ、撮像素子301Aから所定間隔離れた筐体101内の位置に配置される。撮像素子301Bは、広角レンズ102Bよりも撮像装置100の内側に配置され、広角レンズ102Bで集光される光を受光し、電気信号に変換する。撮像素子301Bは、図示しないフレキシブル配線基板により、回路基板305を介して回路群306に接続される。
【0023】
撮像素子301Bは、伝熱パッド302Bを介して放熱シート303Bに固定される。放熱シート303Bの周囲には、ヒートシンク304Bが設けられる。したがって、撮像素子301Bから発生した熱は、伝熱パッド302B、放熱シート303B、ヒートシンク304Bを介して筐体101の内部空間の空気に伝わる。撮像素子301Bから発生する熱を伝導する伝熱パッド302B、放熱シート303B、およびヒートシンク304Bを第2伝熱部材と称す。
【0024】
なお、撮像素子301A,301Bは、たとえば、XYアドレス方式の固体撮像素子(たとえば、CMOS(Complementary Metal‐Oxide Semiconductor)センサ)であってもよく、順次走査方式の固体撮像素子(たとえば、CCD(Charge Coupled Device))であってもよい。
【0025】
撮像素子301A,301Bの受光面には、複数の受光素子(画素)がマトリクス状に配列されている。そして、撮像素子301A,301Bの画素には、それぞれが異なる色成分の光を透過させる複数種類のカラーフィルタが所定の色配列(たとえば、ベイヤ配列)に従って配置される。そのため、撮像素子301A,301Bの各画素は、カラーフィルタでの色分解によって各色成分に対応するアナログの電気信号を回路群306に出力する。なお、本実施例では、回路群306の発熱量よりも小さい発熱量の撮像素子301A,301Bが採用される。また、撮像素子301A,301Bの発熱量は異なってもよい。
【0026】
撮像素子301A,301Bは各々、AFE(Analog Front End)を有する。AFEは、撮像素子301A,301Bからのアナログの電気信号に対して信号処理を施すアナログフロントエンド回路である。AFEは、電気信号のゲイン調整、アナログ信号処理(相関二重サンプリング、黒レベル補正など)、A/D変換処理、デジタル信号処理(欠陥画素補正など)を順次実行してRAW画像データを生成し、回路群306に出力する。
【0027】
回路基板305は、その基板面が光軸Xと直交するように、充電池309と冷却ファン300との間に設けられる。回路基板305には、回路群306が実装される。回路群306は、たとえば、プロセッサ、メモリ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのLSIを含む。
【0028】
プロセッサは、撮像装置100を統括制御する。プロセッサは、プログラムを実行する。メモリは、プロセッサが実行するプログラム、あらかじめ用意されたデータ、および、プロセッサやLSIの実行処理で得られたデータを格納する。
【0029】
LSIは、撮像素子301A,301Bからの電気信号を用いた画像処理や圧縮伸張処理など、特定の処理を実行する。この特定の処理は、プロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することで実現してもよい。LSIやソフトウェアで画像処理を実行するLSIや画像処理のプログラムを実行するプロセッサを画像処理部と称す。画像処理部は、2つの撮像素子301A,301Bの各々で得られた画像データを合成することにより、全天球画像(4πステラジアンの立体角内の画像)の画像データを生成する。このように、回路群306はさまざまな処理を実行するため、回路群306の発熱量は、撮像素子301A,301Bよりも大きい。
【0030】
回路群306は、伝熱パッド307を介して放熱板308に固定される。放熱板308は、略C字形状であり、その一端が伝熱パッド307に接続され、他端が電池ケース310に固定される。したがって、回路群306から発生した熱は、伝熱パッド307、放熱板308を介して筐体101の内部空間の空気に伝わる。回路群306から発生する熱を伝導する伝熱パッド307および放熱板308を第3伝熱部材と称す。
【0031】
充電池309は、撮像素子301Aと回路群306との間に設けられる。充電池309は、図示しないフレキシブル配線基板により、回路基板305を介して、撮像素子301A,301B、回路群306、および冷却ファン300に電源供給する。
【0032】
電池ケース310は、箱部310aと蓋部310bとを有する。箱部310aは、充電池309を収納する。蓋部310bは、充電池309が収納された箱部310aの開口を封止する。蓋部310bの一端縁には、壁板320が設けられる。壁板320は、X方向に延在する。壁板320の一端辺は、蓋部310bの一端縁に当接する。壁板320の他端辺は、冷却ファン300に当接せず、冷却ファン300との間に間隙を作る。壁板320は、蓋部310bと一体形成された略L字形状の板状部材でもよい。
【0033】
撮像装置100では、-X方向に向かって、広角レンズ102A、撮像素子301A、充電池309、回路群306、冷却ファン300、撮像素子301B、広角レンズ102Bの順に、これらがX軸上に配列されている。広角レンズ102Aおよび撮像素子301Aの組み合わせと広角レンズ102Bおよび撮像素子301Bの組み合わせとを背中合わせで逆方向に配置したような撮像装置100は、4πステラジアンの立体角で被写体を撮像する。
【0034】
したがって、撮像装置100内部に冷却ファン300など新規な機構を追加する場合、当該新規な機構を収納するために筐体101を拡充する必要がある。たとえば、筐体101の光軸X方向の厚みを変えないまま、筐体101を光軸Xに直交する方向(たとえば、底面板部101C側)に長尺にした場合、筐体101の拡充した部分の像が映りこんでしまう。
【0035】
このため、冷却ファン300、回路群306および回路基板305、ならびに、充電池309は、光軸X上で、かつ、撮像素子301A,301Bの間に配置するのが好ましい。このように配置することにより、筐体101の像の映り込みを抑制することができる。
【0036】
また、冷却効率を上げるため、冷却ファン300は、熱源の近傍に配置する必要があるが、筐体101内には、冷却すべき熱源として、撮像素子301A,301Bと回路群306の3つの熱源がある。冷却ファン300は、開口300cA,300cBから吸気する両面吸気型であるため、開口300cA,300cBの各近傍に2つの熱源を配置した場合、残余の1つの熱源を筐体101内のどこに配置するかが問題となる。
【0037】
筐体101内を流れる空気は、吸気口103から冷却ファン300に吸気されて、排気口200から排気される。そのため、たとえば、冷却ファン300の開口300cA,300cBの各近傍にそれぞれ撮像素子301A,301Bを配置し、吸気口103近傍の上流側に最も発熱量が大きい回路群306が配置したとする。
【0038】
この場合、冷却ファン300が吸気すると、回路群306で温められた空気が撮像素子301A,301Bに接するため冷却できない。このため、自身の発熱量よりも大きい発熱量で温められた空気が接しないように、撮像素子301A,301Bおよび回路群306を配置する必要がある。
【0039】
このため、回路群306よりも吸気口103に近い位置に撮像素子301Aが配置される。そして、撮像素子301A,301Bの少なくとも一方よりも冷却ファン300の開口300cAに近い位置に回路群306が配置される。これにより、開口300cB近傍に撮像素子301Bが配置された配列構造となる。
【0040】
このように、回路群306は、二つの撮像素子301Aおよび301Bのうちの一方の撮像素子301Aよりも冷却ファン300に近い位置に配置される。これにより、吸気口103から吸気された空気で撮像素子301Aを冷却することができ、撮像素子301Aの冷却効率の向上を図ることができる。
【0041】
また、冷却ファン300で吸気される空気は、撮像素子301Aで温められており、この撮像素301Aで温められた空気が、撮像素子301Bや回路群306に当たることとなる。しかし、撮像素子301Bは撮像素子301Aと同じ発熱量であり、回路群306は撮像素子301Aの発熱量よりも大きい。
【0042】
したがって、撮像素子301Aで温められた空気を回路群306および撮像素子301Bに当てても、回路群306および撮像素子301Bが温められることはなく、十分冷却可能である。またこのような配列をX軸上にすることで、広角レンズ102A,102Bが配置されていない、筐体101のY軸方向およびZ軸方向の厚みを抑えることができるため、筐体101の像の映り込みの抑制を図ることができる。
【0043】
なお、撮像素子301A、301B、冷却ファン300および回路群306の配置は、上述の配置に限らない。回路群306が、2つの撮像素子301Aおよび撮像素子301Bのうちの少なくとも一方の撮像素子301よりも冷却ファン300に近い位置に配置されればよい。
【0044】
図4Aは、実施例1にかかる撮像装置100内の空気の流れの一例を示す側断面図である。
図4A中、黒い太矢印は、空気の流れおよび筐体101内に形成された流路を示す。冷却ファン300の駆動によりファン300aが回転することで、筐体101外の空気が吸気口103から筐体101内に吸入される。
【0045】
吸気口103から吸入された空気は、筐体101とヒートシンク304Aの間隙、放熱シート303Aと電池ケース310との間隙を通過する。放熱シート303Aおよびヒートシンク304Aには撮像素子301Aからの熱が伝達されているため、これにより、撮像素子301Aが冷却される。
【0046】
吸気口103から吸入された空気は、分岐して(1)筐体101とヒートシンク304Aにより形成された間隙(流路)を通過する。また、吸気口103から吸入された空気は、(2)広角レンズ102Aとヒートシンク304Aとにより形成される間隙(流路)を通過し、放熱シート303Aと電池ケース310との間隙(流路)を通過する。放熱シート303Aおよびヒートシンク304Aには撮像素子301Aからの熱が伝達されている。吸気口103から吸入された空気がこれらの間隙(流路)に流れることにより、放熱シート303Aおよびヒートシンク304Aに接して撮像素子301Aが冷却される。
【0047】
筐体101とヒートシンク304Aの間隙を通過した空気は、分岐して、(3)回路基板305と放熱板308との間隙(流路)を通過する。回路基板305と放熱板308との間隙(流路)を通過した空気は、壁板320により冷却ファン側300へ導かれる。(4)また、筐体101とヒートシンク304Aの間隙を通過した空気は、放熱板308と筐体101の間に形成された間隙を通り、(5)放熱板308と冷却ファン300との間隙(流路)を通過する。回路基板305や放熱板308には回路群306からの熱が伝達されており、これらの空気により回路群306が冷却される。
【0048】
また、放熱シート303Aと電池ケース310の間を通過した空気は、(6)上面板部101Dの内壁面と電池ケース310および壁板320とにより形成された流路を流れる。そして、この空気は分岐して、一方は壁板320と収納ケース300bとの間隙を通過し、放熱板308と冷却ファン300との間隙(流路)を通過する。
【0049】
この空気によっても、回路群306が冷却される。また、分岐した他方の空気は、冷却ファン300とヒートシンク304Bおよび放熱シート303Bとの間隙も通過する。放熱シート303Bおよびヒートシンク304Bには撮像素子301Bからの熱が伝達されているため、これにより、撮像素子301Bが冷却される。
【0050】
冷却ファン300の開口300aC,300bC近傍で温められた空気は、開口300bC,300cCから収納ケース300b内に吸引され、開口300cCから排気口200を介して筐体101外に排出される。これにより、回路群306および撮像素子301Bの冷却効率が向上する。このように冷却効率が向上することにより、発熱が原因となる画像データへのノイズの影響を低減することができる。
【0051】
図4Bは、実施例1にかかる撮像装置100内の空気の流れの他の例を示す側断面図である。
図4Bの撮像装置100は、
図4Aの撮像装置100に対し、壁板330および吸気口340を追加した構成である。
図4Aと同一構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
壁板330は、上面板部101Dの内壁面と冷却ファン300の収納ケース300bとの間を封止するように設けられる。具体的には、たとえば、壁板330は、冷却ファン300の収納ケース300bとともに、筐体101の内部空間を、壁板330から+X方向側の空間と、壁板330から-X方向側の空間とに区分けする。これにより、壁板330の+X方向側の空間からの空気は、壁板330の-X方向側への空間に流出しない。
【0053】
たとえば、放熱シート303Aおよびヒートシンク304Aを通過し、上面板部101Dの内壁面と電池ケース310および壁板320との間の空間を通過した空気は、壁板330により、壁板320と冷却ファン300の収納ケース300bとの間隙から流入する。この流入した空気は、冷却ファン300の開口300aCから冷却ファン300に吸気される。これにより、撮像素子301Aを冷却することができる。
【0054】
また、吸気口340は、撮像装置100の上面板部101Dに設けられ、撮像装置100外と撮像装置100内の壁板330から-X方向側の空間とを繋がっており、吸気口340からの空気を撮像装置100内に通す。吸気口340から流入した空気は、放熱シート303Bおよびヒートシンク304Bを通過する。放熱シート303Bおよびヒートシンク304Bには撮像素子301Bからの熱が伝達されているため、これにより、撮像素子301Bが冷却される。
【0055】
このように、
図4Aおよび
図4Bでは、第1伝熱部材および第2伝熱部材の少なくとも一部は、第3伝熱部材が吸気口から排気口に向けて空気が流れる流路の空気に接する箇所から排気口までの区間と異なる箇所で、当該流路の空気に接することになる。
【0056】
なお、
図4Aおよび
図4Bにおいて、吸気口103から排気口200までの空気の流路については、撮像素子301A→撮像素子301Bおよび回路群306の順に冷却する空気の流れであれば、吸気口103および排気口200の配置および個数は、
図1および
図2に限定されない。たとえば、空気が流れる流路で見ると、回路群306が冷却ファン300に最も近ければよい。
【0057】
また、
図4Aおよび
図4Bにおいて、充電池309、回路基板305および回路群306、ならびに冷却ファン300を撮像素子301A,301Bの間に配列したが、撮像素子301A,301Bの間であれば、充電池309、回路基板305および回路群306、ならびに冷却ファン300は、それらの長手方向が光軸Xに沿って延在するように配置してもよい。
実施例2について説明する。実施例1では、冷却ファンとしてブロワーファンを用いた例について説明した。実施例2では、冷却ファンとしてシロッコファンを用いた例について説明する。なお、実施例2では、実施例2の特徴部分を中心に説明するため、実施例1と同一内容については同一符号を付し、その説明を省略する。
冷却ファン500は、たとえば、シロッコファンであり、筐体101内を冷却する。シロッコファンは、その回転軸500cに直交する1つの表面から吸気し、回転方向の1つの側面から排気する構造である。冷却ファン500は、ファン500aと収納ケース500bとを有する。
ファン500aは、収納ケース500bに収納される。ファン500aは、その回転軸500cが光軸Xと平行となるように、収納ケース500b内に配置される。収納ケース500bは、ファン500aを収納する。収納ケース500bは、光軸Xに略直交する一方の平面に開口500cBを有し、排気口200側の側面に、開口500cCを有する。開口500cBは放熱板308と対向し、開口500cCは冷却ファン500内部の空気を排気口200に通過させる。光軸Xに略直交する他方の平面は、支持部材501に対向する。
冷却ファン500は、図示しないフレキシブル配線基板により、回路基板305を介して回路群306に接続される。冷却ファン500は、回路群306の駆動制御によりファン500aを回転させ、筐体101内の空気を開口500cBから吸入し、開口500cCから排気口200を介して、筐体101外に排出する。
支持部材501は、略L字形状であり、放熱板308を固定支持する。また、支持部材501は、筐体101の底面板部101Cに排気口200の近傍で固定され、吸気口103から排気口200へ空気が漏洩しないよう遮蔽する。これにより、支持部材501は、放熱シート303Aおよび筐体101内壁面とともに吸気口103から吸入される空気の流路の一部を形成し、撮像素子301Bに空気を案内する。
吸気口103から吸入された空気は、ヒートシンク304Aと広角レンズ102Aとにより形成された間隙(流路)を通過し、放熱シート303Aと支持部材501との間隙を通過する。放熱シート303Aおよびヒートシンク304Aには撮像素子301Aからの熱が伝達されているため、これにより、撮像素子301Aが冷却される。
支持部材501と上面板部101Dの内壁面で案内された空気は、ヒートシンク304Bに接し、放熱シート303Bと電池ケース310との間隙、ヒートシンク304Bと電池ケース310との間隙、および、電池ケース310と筐体101の底面板部101Cの内壁面との間隙を通過する。放熱シート303Bおよびヒートシンク304Bには撮像素子301Bからの熱が伝達されているため、これにより、撮像素子301Bが冷却される。このあと、空気は、放熱板308、回路基板305および回路群306を冷却する。
回路基板305および回路群306を冷却した空気は、開口500cBから収納ケース500bに吸入され、開口500cCから排気口200を介して筐体101外に排出される。以上のように、放熱板308、回路基板305および回路群306を冷却した空気が排気口200へ流れる間には、他の撮像素子301A(放熱シート303A)および301B(放熱シート303B)が存在しない。このような構成により、回路群306および撮像素子301Bの冷却効率が向上する。このように冷却効率が向上することにより、発熱が原因となる画像データへのノイズの影響を低減することができる。
また、充電池309、回路基板305および回路群306、ならびに冷却ファン500を撮像素子301A,301Bの間に配列したが、撮像素子301A,301Bの間であれば、充電池309、回路基板305および回路群306、ならびに冷却ファン500は、それらの長手方向が光軸Xに沿って延在するように配置してもよい。
また、上述した実施例では、撮像装置100には冷却ファン300,500が内蔵されている構成について説明したが、冷却ファン300,500は内蔵されていなくてもよい。たとえば、実施例1および2で説明したような吸気型の外付けファンを排気口付近に取り付ける構成としてもよい。このようにすると、取り付けた外付けファンが吸気をすると。吸気口から空気が取り込まれ、実施例1および実施例2と同様に熱源を冷やすことができる。
なお、本発明は上記の内容に限定されるものではなく、これらを任意に組み合わせたものであってもよい。また、本発明の技術的思想の範囲で考えられるその他の態様も本発明の範囲に含まれる。