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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002982
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】測距装置および測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221228BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20221228BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20221228BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S17/86
G01S17/89
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103874
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】天田 琢
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA03
2F112BA09
2F112CA12
2F112DA02
2F112DA25
2F112EA03
2F112FA35
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD02
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA20
5J084BA34
5J084BA38
5J084BB02
5J084CA07
5J084CA65
5J084CA67
5J084DA05
5J084EA07
(57)【要約】
【課題】限られた装置の大きさで、測距精度を高める。
【解決手段】計測対象の範囲に光を照射する複数の投光部と、前記計測対象の範囲にある対象物で反射された光を受光する複数の受光部と、前記複数の投光部が投光するタイミングと、前記複数の受光部が受光するタイミングとに基づいて、前記対象物の距離を算出する測距制御部と、を備え、前記複数の受光部の数は、前記複数の投光部の数より多い。
【選択図】図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象の範囲に光を照射する複数の投光部と、
前記計測対象の範囲にある対象物で反射された光を受光する複数の受光部と、
前記複数の投光部が投光するタイミングと、前記複数の受光部が受光するタイミングとに基づいて、前記対象物の距離を算出する測距制御部と、
を備え、
前記複数の受光部の数は、前記複数の投光部の数より多い、
ことを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記複数の受光部のそれぞれの画角は、前記複数の投光部のそれぞれの照射範囲より狭い、
ことを特徴とする請求項1に記載の測距装置。
【請求項3】
前記複数の受光部の内、少なくとも一つの受光部の光軸は、他の少なくとも二つの受光部の光軸に対して垂直であり、
前記複数の投光部の光軸は、前記少なくとも一つの受光部の光軸に対して垂直である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の測距装置。
【請求項4】
前記計測対象の範囲を撮像する複数の撮像部を備える、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項5】
前記計測対象の範囲を撮像する複数の撮像部を備え、
前記複数の撮像部の数は、前記複数の受光部の数より少なく、
前記複数の撮像部の光軸は、前記少なくとも一つの受光部の光軸に対して垂直である、
ことを特徴とする請求項3に記載の測距装置。
【請求項6】
前記複数の受光部の内、少なくとも一つの受光部の光軸は、他の少なくとも二つの受光部の光軸に対して垂直であり、
前記複数の投光部は、前記少なくとも一つの受光部と前記他の少なくとも二つの受光部との間に配置される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の測距装置。
【請求項7】
前記計測対象の範囲を撮像する複数の撮像部を備え、
前記複数の撮像部の数は、前記複数の受光部の数より少なく、
前記複数の撮像部は、前記少なくとも一つの受光部と前記他の少なくとも二つの受光部との間に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載の測距装置。
【請求項8】
前記複数の受光部のそれぞれは、少なくとも二つの投光部からの前記光を受光する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項9】
前記計測対象の範囲は、前記複数の投光部で光を照射できる全天球の範囲である、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の測距装置。
【請求項10】
計測対象の範囲に光を照射する複数の投光部を有する投光ユニットと、
前記計測対象の範囲にある対象物で反射された光を受光する複数の受光部を有する受光ユニットと、
前記複数の投光部が投光するタイミングと、前記複数の受光部が受光するタイミングとに基づいて、前記対象物の距離を算出する測距制御部と、
を備え、
前記複数の受光部の数は、前記複数の投光部の数より多い、
ことを特徴とする測距システム。
【請求項11】
前記計測対象の範囲を撮像する複数の撮像部を有する撮像ユニットを備える、
ことを特徴とする請求項10に記載の測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測距装置および測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置から被写体までの測距の手法の一つに、TOF(Time Of Flight)方式と呼ばれる、被写体に向けて測距光を照射し、その反射光の時間差から距離を算出する方法がある。これは、所定の照射パターンにより強度変調された赤外光による測距光を被写体に向けて照射した後、被写体によって反射された測距光を赤外線用の撮像素子で受光し、照射パターンにより照射から受光までの時間差を画素ごとに検出、距離を算出するものである。算出された距離値は画素ごとにビットマップ状に集められ、「距離画像」として保存される。このような方式の距離画像生成装置(測距装置)をTOFカメラと呼ぶ。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のセンサやカメラを用いて全方位の3次元情報を一度に取得する全天球撮像装置である測距装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、測距精度に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、限られた装置の大きさで、測距精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、計測対象の範囲に光を照射する複数の投光部と、前記計測対象の範囲にある対象物で反射された光を受光する複数の受光部と、前記複数の投光部が投光するタイミングと、前記複数の受光部が受光するタイミングとに基づいて、前記対象物の距離を算出する測距制御部と、を備え、前記複数の受光部の数は、前記複数の投光部の数より多い、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、受光部の数を投光部の数より多くすることで、限られた装置の大きさで、投光部の投射する光の強度を高め、受光部の焦点距離を長くし、測距精度を高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1-1】図1-1は、第1の実施の形態にかかる撮像装置の構成を示す外観斜視図である。
図1-2】図1-2は、撮像装置の内部構成を示す斜視図である。
図1-3】図1-3は、撮像装置のシャッタボタン付近を拡大して示す斜視図である。
図2図2は、内部壁の一例を示す図である。
図3図3は、電池ケースの一例を示す図である。
図4図4は、シャッタボタンの断面を示す図である。
図5図5は、シャッタボタン付近の構成を示す図である。
図6図6は、シャッタボタン付近の断面を示す図である。
図7-1】図7-1は、VCSEL投光ユニットを示す斜視図である。
図7-2】図7-2は、VCSEL光学系の断面を示す図である。
図7-3】図7-3は、VCSEL投光ユニットの配置例を示す図である。
図8図8は、CMOS受光ユニットの断面を示す図である。
図9-1】図9-1は、2つのCMOS受光ユニットのCMOS基板による接続を示す図である。
図9-2】図9-2は、CMOS基板の配置を示す図である。
図10図10は、CMOS受光ユニットおよびVCSEL投光ユニットの配置例を示す図である。
図11-1】図11-1は、TOF受光ユニットを示す外観斜視図である。
図11-2】図11-2は、TOF受光ユニットの内部構成を示す斜視図である。
図11-3】図11-3は、TOF受光ユニットの内部構成を一部切欠いて示す図である。
図12-1】図12-1は、TOF光学系のそれぞれの配置関係を示す図である。
図12-2】図12-2は、TOF光学系のそれぞれの配置関係を示す図である。
図13図13は、VCSEL投光ユニットとTOF受光ユニットとを示す平面図である。
図14図14は、VCSEL光学系とTOF光学系との位置関係を示す図である。
図15図15は、VCSEL光学系とTOF光学系との位置関係の比較例を示す図である。
図16図16は、VCSEL光学系の画角を示す図である。
図17図17は、撮像装置のハードウェア構成の例を示すブロック図である。
図18図18は、撮像装置の機能を説明するための機能ブロック図である。
図19図19は、第2の実施の形態にかかる撮像装置の光学系の部分を拡大して示す図である。
図20図20は、VCSEL光学系の画角を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、測距装置および測距システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
ここで、図1-1は第1の実施の形態にかかる撮像装置100の構成を示す外観斜視図、図1-2は撮像装置100の内部構成を示す斜視図、図1-3は撮像装置100のシャッタボタン62付近を拡大して示す斜視図である。撮像装置100は、TOF(Time Of Flight)方式の測距装置として機能する。
【0011】
図1-1ないし図1-3に示すように、撮像装置100は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)投光ユニット21と、TOF受光ユニット61と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)受光ユニット30と、基板(CMOS基板35、VCSEL基板22F及び22B、メイン基板41)と、ファン38と、を備える。
【0012】
VCSEL投光ユニット21は、被写体までの測距を目的として、測定対象となる物体に向けて測距光(赤外光等)を照射する。VCSEL投光ユニット21は、詳細は後述するが、2個のVCSEL投光ユニット21(VCSEL投光ユニット21F及び21B)で構成される(図5参照)。
【0013】
TOF受光ユニット61は、VCSEL投光ユニット21により測距光を照射された物体からの反射光(散乱光)を受光し、3次元点群データを取得する。
【0014】
CMOS受光ユニット30は、CMOSセンサ33(図8参照)により2次元画像を取得する。
【0015】
基板(CMOS基板35、VCSEL基板22F及び22B、メイン基板41)は、VCSEL投光ユニット21とTOF受光ユニット61とCMOS受光ユニット30とを駆動/制御するための基板である。基板(CMOS基板35、VCSEL基板22F及び22B、メイン基板41)は、VCSEL投光ユニット21、TOF受光ユニット61、CMOS受光ユニット30のそれぞれとケーブル、FPC、FFC等で接続される。
【0016】
ファン38は、撮像装置100の内部に設けられ、強制対流を発生させて撮像装置100の内部を冷却する。
【0017】
ここで、撮像装置100が備える複数の基板(CMOS基板35、VCSEL基板22F及び22B、メイン基板41)の配列について説明する。
【0018】
図1-2に示すように、CMOS基板35は、2枚のVCSEL基板22F及び22Bの間に挟まれるように(Z軸方向に並んで)配列されている。さらに、撮像装置100の全体の制御/駆動用のメイン基板41も上記3枚の基板と平行な状態で配列されている。メイン基板41は、VCSEL基板22Bよりも外側(-Z側;後カバー12に近い側)に配置される。
【0019】
このように構成することにより、撮像装置100の内部におけるスペースを無駄にすることなく、合計4枚の基板(VCSEL基板22F及び22B、CMOS基板35、メイン基板41)を撮像装置100の内部に収納することができる。その結果、4枚の基板(VCSEL基板22F及び22B、CMOS基板35、メイン基板41)の配列方向(Z軸方向)のサイズを小型化することができる。また、4枚の基板(VCSEL基板22F及び22B、CMOS基板35、メイン基板41)が互いに平行になるように配置されているので、撮像装置100の内部における自然対流や、ファン38による強制対流を妨げることなく、基板に沿った気流が発生することになり、装置内部の温度偏差の発生を低減することができる。さらに、後述するカバー部材に設けられた通気口からの空気の流入/流出やカバー部材から外部の空気への放熱(熱伝達)による排熱効率が向上するため、装置内部の温度上昇の発生を低減することができる。
【0020】
また、図1-1ないし図1-3に示すように、撮像装置100は、電池18a,18bを収納する電池ケース68a,68b(図3参照)、シャッタボタン62、操作スイッチユニット17を備える。
【0021】
シャッタボタン62は、CMOS受光ユニット30の撮影タイミングを決定するためにユーザが操作するボタンである。
【0022】
操作スイッチユニット17は、撮像装置100の電源ON/OFFの切替や、動作モードを切り替えるためにユーザが操作するスイッチである。
【0023】
さらに、図1-1ないし図1-3に示すように、撮像装置100は、上記各部品を保持するためのカバー部材(前カバー11、後ろカバー12、左カバー13、右カバー14、電池カバー15a,15b、底板16、内部壁10(図2参照)等)を備える。
【0024】
図1-1に示すように、撮像装置100は、撮影時に手振れの発生を防止するために、三脚等に固定するためのねじ穴19を底板16(-X側)に備える。ねじ穴19に三脚等を固定された撮像装置100は、ユーザが撮像装置100を把持して撮影するよりも、安定した画像を得ることができる。また、撮像装置100を三脚等に固定した場合には、リモート操作とすることが更に有効である。
【0025】
ここで、撮像装置100のカバー部材の一部である内部壁10について説明する。図2は、内部壁10の一例を示す図である。
【0026】
図2に示すように、内部壁10は、前カバー11と後カバー12とを接続する。従来のようなカバー部材(外装)だけではモノコック構造のため剛性が低下しやすいが、本実施形態の撮像装置100においては、前カバー11と後カバー12とを内部壁10で接続することにより、高剛性化を図ることが可能となる。
【0027】
次に、電池ケース68a,68bについて説明する。図3は、電池ケース68a,68bの一例を示す図である。
【0028】
図3に示すように、撮像装置100は、その内部に電池18a及び18bを内蔵する。そのため、撮像装置100は、持ち運びや撮影作業の負担を軽減することが可能である。撮像装置100は、内部壁10の両面(+Y側及び-Y側の面)に電池ケース68a及び68bを実装した電池回路基板67を固定する。電池ケース68a及び68bは、電池18a及び18bを収納する。
【0029】
撮像装置100は、図1-1に示す電池カバー15a,15bを取り外すことにより、電池18a及び18bをY軸方向に着脱することができるので、電池18a及び18bの交換作業を容易にすることができる。
【0030】
なお、撮像装置100は、図示しない電源コードを利用して駆動するようにしてもよい。なお、電源コードは着脱可能とすることが望ましい。これにより、撮像装置100の本体に電池を内蔵する必要がなくなるため、撮像装置100の軽量化や撮影時間の長時間化を実現することができる。
【0031】
また、電源コードを利用して撮像装置100を駆動する場合、電源コードの差込口をシャッタボタン62よりも底部(底板16)側(-X側)に配備することが望ましい。これにより、電源コードよりもユーザの手指の方が先に光線がけられることになり、シャッタボタン62を押下するユーザの手指等による死角よりも、電源コードによる死角を小さくすることができる。
【0032】
ここで、シャッタボタン62について説明する。ここで、図4はシャッタボタン62の断面を示す図である。
【0033】
図4に示すように、撮像装置100は、メイン基板41における-Z側の面にスイッチ69を備える。また、撮像装置100は、スイッチ69と同軸上であって後カバー12に、シャッタボタン62を備える。このような構成により、シャッタボタン62でスイッチ69を直接押下することが可能になるので、部品点数の削減、及び、構造の簡易化を実現することができる。また、シャッタボタン62でスイッチ69を直接押下することが可能になるので、スイッチ69を確実に反応させることが可能となる。なお、シャッタボタン62とスイッチ69との位置が離れている場合には、中間部材を介して両者を接続しても構わない。
【0034】
図4に示すように、撮像装置100は、メイン基板41とシャッタボタン62との間に、スプリング部材63を備える。スプリング部材63は、ユーザがシャッタボタン62を押下した後の開放の際に、シャッタボタン62を所定の位置まで押し戻すための部品である。
【0035】
次に、シャッタボタン62の配置について説明する。ここで、図5はシャッタボタン62付近の構成を示す図である。
【0036】
図5に示すように、撮像装置100は、各種のカバー部材(本実施形態では、後カバー12)による死角が発生する領域に、シャッタボタン62を備える。
【0037】
具体的には、図5に示すX-Z断面においては、VCSEL投光ユニット21Fからの出射光の最周辺の画角(下側;-X側)はθaであり、実質的にθa=90°程度まで確保可能である。一方、VCSEL投光ユニット21Bからの出射光については、メイン基板41を収納した後カバー12の一部が-Z側に突き出した形状を呈している。そのため、最周辺の画角はθbとなるため、θb<θaとなる。そのため、図5に示すように、後カバー12における矢印Vで示す付近にシャッタボタン62を配置した場合には、最周辺の画角θbの光線(出射光線B)がユーザの手指でけられることがない。しかし、反対側(前カバー11側)にシャッタボタン62を配備した場合には、θa(≒90°)の光線(出射光線A)がユーザの手指でけられてしまい、画角が狭くなり、好ましくない。
【0038】
また、シャッタボタン62は、TOF受光ユニット61と電池18a,18bとの間に配置する。このようにシャッタボタン62をTOF受光ユニット61と電池18a,18bとの間に配置することにより、電池18a,18bが収納されている部分(重心に近い箇所)を把持することになるため、疲労を軽減することや手振れを防止することが可能となる。
【0039】
なお、撮像装置100の後カバー12に備えたシャッタボタン62の押下/解除により撮影タイミングを決定するのではなく、有線や無線でリモート操作する構成としてもよい。このようなリモート操作可能な構成にした場合、撮像装置100は、手振れ防止効果を向上することができる。
【0040】
ここで、図6はシャッタボタン62付近の断面を示す図である。図6に示すように、撮像装置100は、メイン基板41における-Z側の面に、撮像装置100の作動状態を表するための複数のLED素子65(図6では5個)を備える。また、撮像装置100は、後カバー12に、LED素子65の出射光軸と同軸になるように開口部64を備える。このような構成とすることで、撮像装置100は、LED素子65からの出射光を効率的に開口部64から外部に出射させることができる。
【0041】
なお、撮像装置100は、LED素子65と開口部64との間を導光板や光ファイバ等で接続するようにしてもよい。これにより、撮像装置100は、光利用効率を向上させることができる。また、撮像装置100は、開口部64にレンズ系や拡散板を備えることにより、LED素子65からの出射光について、さらに視認性を向上させることができる。
【0042】
次に、VCSEL投光ユニット21について説明する。ここで、図7-1はVCSEL投光ユニット21を示す斜視図、図7-2はVCSEL光学系23の断面を示す図、図7-3はVCSEL投光ユニット21の配置例を示す図である。
【0043】
図7-1ないし図7-3に示すように、VCSEL投光ユニット21は、VCSEL基板22と、VCSELパッケージ24と、レンズセル26とを備える。
【0044】
VCSELパッケージ24は、VCSEL(面発光レーザ)を発光点25とする光源である。レンズセル26は、複数のレンズから構成されるVCSEL光学系23を収納する。
【0045】
VCSEL基板22(VCSEL基板22F,22B)は、VCSELパッケージ24をはんだにより固定する。さらに、VCSEL基板22は、VCSEL光学系23(すなわち、レンズセル26)を、上記発光点25と所定の精度で位置合わせた状態でのねじ締結や接着等の工法で固定する。
【0046】
VCSEL基板22(VCSEL基板22F、22B)は、VCSELパッケージ24を駆動するための駆動回路を搭載する。VCSEL基板22の駆動回路は、光源であるVCSELパッケージ24から射出する光の強度を高めるために大きな電流が流れることから、発熱する。そこで、VCSEL基板22は、駆動回路の発熱を小さくするために許容電流の大きい駆動回路を搭載し、かつ、放熱部材(例えばヒートシンク)を搭載する。そのため、VCSEL基板22は、他の基板(CMOS基板35など)と比べて大きくする。このような構成にすることにより、撮像装置100は、VCSEL基板22が過熱しづらくなるので、VCSEL投光ユニット21から強い強度の光を投射することができる。
【0047】
図7-3に示すように、VCSEL投光ユニット21(VCSEL投光ユニット21F及び21B)は、VCSEL光学系23の出射光軸がZ軸方向に平行な方向に配置され、かつ、2個のVCSEL投光ユニット21(VCSEL投光ユニット21F及び21B)は互いに逆向きに配置されている。
【0048】
VCSEL光学系23は、魚眼レンズの機能を有している。VCSEL光学系23は、周囲の部品等で光線がけられない状況では、複数の投光部である2個のVCSEL投光ユニット21F及び21Bにて計測対象の範囲としての全天球(4π[sr])の領域を照射する。
【0049】
ここで計測対象の範囲とは、撮像装置100を中心としたときの全天球(4π[sr])領域のうち、複数の投光部である2個のVCSEL投光ユニット21F及び21Bで光を照射できる領域である。前述の通り、計測の対象範囲は、VCSEL投光ユニット21F及び21Bの周囲の部品等で光線がけられない状況の場合において全天球(4π[sr])に対応する。一方、VCSEL投光ユニット21F及び21Bの周囲の部品で光線がけられる場合、計測対象の範囲は、全天球の領域のうち投光部の周囲の部品でけられずに投光できる範囲となる。
【0050】
撮像装置100は、VCSEL投光ユニット21F及び21Bを、前カバー11及び後カバー12に対するねじ66a(図10参照)の締結によりそれぞれ固定する。ねじ締結の際、VCSEL投光ユニット21F及び21Bのレンズセル26にそれぞれ設けられた位置決め部が、前カバー11及び後カバー12側の位置決め部に対応させて位置決めされる。これにより、前カバー11に対するVCSEL投光ユニット21Fの位置合わせ精度、及び、後カバー12に対するVCSEL投光ユニット21Bの位置合わせ精度を維持することができる。
【0051】
このような構成により、撮像装置100の構成部品の加工誤差(寸法誤差や形状誤差)、組立ばらつきの影響により、VCSEL投光ユニット21F及び21Bからの出射光が前カバー11及び後カバー12等でけられる量(光量)がばらつくことを抑制することができる。その結果、撮像装置100は、出射光の照度分布が劣化することを回避することができる。
【0052】
なお、VCSEL基板22F及び22Bは、後述する図10に示すように互いに平行に配置される。VCSEL基板22F及び22Bは、VCSEL投光ユニット21F及び21Bから強い強度の光を射出することによる過熱を低減するために大きくする必要がある。このように、基板の大きさが大きくなるVCSEL基板22F及び22Bを平行に配置することで、VCSEL基板22F及び22Bは互いに干渉することが無く撮像装置100を小型化できる。また、VCSEL基板22F及び22Bは、対象の計測範囲である全天球に投射できる最小限の数量で構成されるので、撮像装置100を小型化できる。
【0053】
次に、CMOS受光ユニット30について説明する。ここで、図8はCMOS受光ユニット30の断面を示す図である。
【0054】
図8に示すように、CMOS受光ユニット30は、CMOS光学系31と、CMOSセンサ基板32と、レンズホルダ34とを備える。
【0055】
CMOS光学系31は、複数のレンズ及プリズム等から構成される。CMOSセンサ基板32は、CMOSセンサ33を実装する。レンズホルダ34は、CMOS光学系31及びCMOSセンサ基板32を一体的に保持する。CMOS基板32は、レンズホルダ34の保持部34aに対して、接着等の工法により固定される。
【0056】
撮像装置100は、外部の照明やVCSEL投光ユニット21から出射されて外部の物体で反射した散乱光を、図8の矢印に示すように、CMOS光学系31に入射させてCMOSセンサ33で受光する。外部の照明に白色光の光源を用いた場合、CMOSセンサ33は外部の物体で反射した散乱光の強度に応じた輝度画像やRGB画像を撮像することができる。VCSEL投稿ユニット21が出射した光が物体で反射した散乱光をCMOS光学系31に入射させた場合、CMOSセンサ33はVCSEL投光ユニット21の出射した光の波長での輝度画像を撮像することができる。
【0057】
ここで、図9-1は2つのCMOS受光ユニット30のCMOS基板35による接続を示す図、図9-2はCMOS基板35の配置を示す図である。
【0058】
図9-1に示すように、撮像装置100は、CMOS光学系31の光軸を、Y軸方向に平行な方向に配置する。また、撮像装置100は、複数の撮像部である2つのCMOS光学系31(CMOS受光ユニット30R,30L)を、互いに逆向きに配置する。撮像装置100は、CMOS受光ユニット30R,30LのCMOSセンサ基板32を、共通(1個)のCMOS基板35にFPC等のケーブルにて接続する。
【0059】
なお、図9-2に示すように、撮像装置100は、CMOS基板35を、左カバー13にねじ締結されたブラケット部材36L、図示しない右カバー14にねじ締結されたブラケット部材36R、及び、内部壁10に締結されたブラケット部材36Cの上に、スペーサ部材37を介してねじ締結する。
【0060】
CMOS光学系31は、魚眼レンズの機能を有している。CMOS光学系31は、周囲の部品等で光線がけられない状況では、2個のCMOS受光ユニット30R及び30Lにて全天球(4π[sr])の領域からの散乱光を受光することが可能である。
【0061】
次に、CMOS受光ユニット30の配置について説明する。ここで、図10はCMOS受光ユニット30およびVCSEL投光ユニット21の配置例を示す図である。
【0062】
図1-2および図10に示すように、撮像装置100は、CMOS受光ユニット30(レンズホルダ34)の一部(又は、全体)を2枚のVCSEL基板22F及び22Bの間に配置する。これにより、撮像装置100は、CMOS光学系31の入射光軸方向(Y軸方向)のサイズを小型化することができる。
【0063】
図10に示すように、撮像装置100は、CMOS受光ユニット30R及び30Lを、右カバー14及び左カバー13に対するねじ66bの締結によりそれぞれ固定する。ねじ締結の際、CMOS受光ユニット30R及び30Lのレンズホルダ34にそれぞれ設けられた位置決め部が、右カバー14及び左カバー13側の位置決め部に対応させて位置決めされる。これにより、右カバー14に対するCMOS受光ユニット30Rの位置合わせ精度、及び、左カバー13に対するCMOS受光ユニット30Lの位置合わせ精度を維持することができる。
【0064】
次に、TOF受光ユニット61について説明する。ここで、図11-1はTOF受光ユニット61を示す外観斜視図、図11-2はTOF受光ユニット61の内部構成を示す斜視図、図11-3はTOF受光ユニット61の内部構成を一部切欠いて示す図である。
【0065】
図11-1ないし図11-3に示すように、TOF受光ユニット61は、4眼構成である。TOF受光ユニット61は、測定対象の範囲(全天球)を受光する複数の受光部であるTOF光学系71(71A,71B,71C,71D)と、TOFセンサ基板74と、中継基板77と、ホルダ部材78とを備える。
【0066】
TOFセンサ基板74は、TOFセンサ76を実装する。
【0067】
中継基板77は、TOFセンサ基板74とメイン基板41の中継部となる。
【0068】
ホルダ部材78は、TOF光学系71(71A,71B,71C,71D)と、TOFセンサ基板74とを一体的に保持する。
【0069】
なお、TOFセンサ基板74と中継基板77、及び、中継基板77とメイン基板41は、FPC等のケーブルにて接続される。
【0070】
図11-1ないし図11-3に示すように、撮像装置100は、TOF受光ユニット61を一体構造にしたので、工場での組立/調整の設備の簡略化、組立/調整時間の短縮化、一体構造での品質保証等を行うことができる。また、撮像装置100は、TOF受光ユニット61を一体構造とすることにより、1機種だけではなく、複数の機種に搭載することが可能となるため、低コスト化も可能となる。
【0071】
撮像装置100は、VCSEL投光ユニット21から出射されて外部の物体で反射した光(散乱光)を、TOF光学系71を経由して、TOFセンサ基板74上に実装されたTOFセンサ76で受光する。
【0072】
ここで、図12-1および図12-2はTOF光学系71のそれぞれの配置関係を示す図である。
【0073】
図12-1および図12-2に示すように、TOF光学系71Aは、その入射光軸が上方(+X)を向くように配置されている。TOF光学系71B、71C、71Dの入射光軸は水平方向を向いており、TOF受光系71Bの入射光軸は右方(+Y)を向いている。TOF光学系71C、71Dは、TOF光学系71Bに対し、X軸回りに120°回転した角度で配置されている。
【0074】
垂直方向に配置されたTOF光学系71Aの画角(垂直方向;X-Y断面及びX-Z断面)は65°である。水平方向に配置された(右向きの)TOF光学系71Bの画角は、垂直方向(X-Y断面)で85°、水平方向(Y-Z断面)で65°である。TOF光学系71C、71DもTOF光学系71Bと同様である。このような配置により、撮像装置100は、下側の画角85°以上の領域を除いて、全方向の物体からの反射光(散乱光)を4眼構成のTOF受光ユニット61にて受光することが可能である。
【0075】
TOF光学系71(TOF光学系71A、71B、71C、71D)の画角は、VCSEL光学系23の画角より狭くなるように構成されるので、TOF光学系71の焦点距離は長くなる。そのため、TOF光学系71は、TOFセンサ76の単位画素の受光光量に関連する、単位画角あたりの受光光量を大きくすることができる。それにより、TOF光学系71は、遠方の対象物や反射率の低い対象物で反射された光の受光光量を大きくすることができる。
【0076】
次に、VCSEL投光ユニット21とTOF受光ユニット61との相対位置関係について説明する。ここで、図13はVCSEL投光ユニット21とTOF受光ユニット61とを示す平面図、図14はVCSEL光学系23とTOF光学系71との位置関係を示す図、図15はVCSEL光学系23とTOF光学系71との位置関係の比較例を示す図である。図14は、図13に示す本実施形態の撮像装置100の構成の平面図から、VCSEL投光ユニット21及びTOF受光ユニット61における最も外側のレンズのみを抽出したものである。また、本実施形態の比較例の構成を図15に示す。
【0077】
図15に示す比較例は、TOF光学系71B、71C、71DをX軸回りに30°回転させた場合の配置に示したものである。図15に示す比較例は、VCSEL光学系23FとTOF光学系71Dが同じ向き(+Z向き)になるように配置されている。そのため、図15に示す比較例の配置の撮像装置は、+Z側に配備されたVCSEL光学系23Fから出射されて物体で反射された散乱光の光量の大部分を、TOF光学系71Dにおいて受光する。
【0078】
また、図15に示す比較例の配置の撮像装置は、-Z側に配備されたVCSEL光学系23Bから出射されて物体で反射された散乱光の光量の半分を、TOF光学系71Bで受光し、残りをTOF光学系71Cで受光する。その結果、図15に示す比較例の配置の撮像装置は、3個のTOF受光ユニット71B、71C、71Dが受光する光量に大きな偏差を生じやすくなり(光量比は概ね、71B:71C:71D=0.5:0.5:1)、検出精度の低下を招きやすくなる。
【0079】
これに対して、図14に示すように、撮像装置100は、VCSEL光学系23F、23BをX-Y平面に対して対称に配置し、かつ、TOF光学系71B、71C、71DをX-Y平面に対して対称に配置する。そのため、撮像装置100は、図15に示す比較例と比較すると、3個のTOF光学系71B、71C、71Dにおいて受光する光量の偏差(3個のTOF光学系間の偏差)を小さくすることができる。結果として、撮像装置100は、検出精度をより高くすることが可能となる。
【0080】
次に、VCSEL光学系23の画角について説明する。図16は、VCSEL光学系23の画角を示す図である。
【0081】
図16に示すように、撮像装置100は、TOF受光ユニット61におけるTOF光学系71Aを上側(+X側)から1段目に配置し、TOF光学系71B、71C、71Dを2段目に配置する。撮像装置100は、3段目にVCSEL光学系23F、23B、及び、CMOS光学系31R、31Lを配置する。
【0082】
図16は、VCSEL光学系23F、及び、TOF光学系71A及び71Bの垂直断面(Z-X断面)における最周辺の画角の光線を模式的に図示したものである。図16においては、説明が煩雑になることを回避するために、TOF光学系71B、71C、71DをX軸回りに回転させて、TOF光学系71Bの入射光軸がZ軸と平行になるようにした。なお、下記説明においては、TOF光学系71A~71D、及び、171A~171Dは、図12-2に示す光学系よりも広画角化設計されている(最大画角:90°)ものとする。
【0083】
図16に示すように、撮像装置100は、+Z側のVCSEL光学系23Fの上側の照射可能範囲の最周辺の画角はθvcsel2>90°なので、背面側(-Z側)のVCSEL光学系23Bによる投光(照射光)と合わせて、VCSEL投光ユニット21の照射可能範囲は半天球の領域(2π[sr])を網羅することができる。
【0084】
TOF受光ユニット61の上側の受光可能範囲は、上向きのTOF光学系71Aの受光可能範囲(画角θtof1)、及び、水平向きのTOF光学系71B(及び、71C、71D)の受光可能範囲(画角θtof2)から、半天球の領域を網羅することができる。従って、撮像装置100は、上側の半天球の撮影可能範囲を網羅的に撮影することが可能である。なお、CMOS受光ユニット30による「撮影可能範囲」は、「VCSEL投光ユニット21による照射可能範囲」と「CMOS受光ユニット30による受光可能範囲」が重なり合う領域である。
【0085】
次に、撮像装置100のハードウェア構成について説明する。なお、ここでは撮像装置100から被写体までの測距にかかるハードウェア構成について説明する。
【0086】
図17は、撮像装置100のハードウェア構成の例を示すブロック図である。図17において、撮像装置100は、VCSEL投光ユニット21、TOF受光ユニット61、CMOS受光ユニット30に加えて、測距制御部230を具備する。
【0087】
測距制御部230は、VCSEL投光ユニット21、TOF受光ユニット61、CMOS受光ユニット30と接続され、カバー部材内に内蔵される。測距制御部230は、CPU(Central Processing Unit)231、ROM(Read Only Memory)232、RAM(Random Access Memory)233、SSD(Solid State Drive)234、光源駆動回路235、センサI/F(Interface)236、入出力I/F237、RGBセンサI/F240を有する。これらは、システムバス242で相互に電気的に接続されている。
【0088】
CPU231は、ROM232やSSD234等の記憶装置からプログラムやデータをRAM233上に読み出し、処理を実行することで、測距制御部230全体の制御や後述する機能を実現する。なお、CPU231の有する機能の一部、又は全部を、ASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の電子回路により実現させてもよい。
【0089】
ROM232は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することが可能な不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM232には、撮像装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定等のプログラムやデータが格納されている。
【0090】
RAM233は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。
【0091】
SSD234は、測距制御部230による処理を実行するプログラムや各種データが記憶された不揮発性メモリである。なお、SSDはHDD(Hard Disk Drive)等であっても良い。
【0092】
光源駆動回路235は、VCSEL投光ユニット21に電気的に接続され、CPU231等から入力した制御信号に応じてVCSEL投光ユニット21に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。光源駆動回路235は、制御信号に応じて、VCSEL投光ユニット21に含まれる複数の発光部を発光駆動させる。駆動信号として矩形波や正弦波、又は所定の波形形状の電圧波形を用いることができる。なお、光源駆動回路235は、電圧波形の周波数を変化させて、駆動信号の周波数を変調することができる。
【0093】
センサI/F236は、TOF受光ユニット61に電気的に接続され、TOF受光ユニット61の出力する位相信号を入力するインターフェースである。入出力I/F237は、PC(Personal Computer)等の外部装置と接続するためのインターフェースである。
【0094】
RGBセンサI/F240は、CMOS受光ユニット30に電気的に接続され、CMOS受光ユニット30の出力するRGB信号を入力するインターフェースである。
【0095】
図18は、撮像装置100の機能を説明するための機能ブロック図である。図18において、撮像装置100の機能として、測距制御部230を具備する。
【0096】
測距制御部230は、発光制御部238、受光処理部239、RGB画像処理部241を具備する。測距制御部230は、発光制御部238を介したVCSEL投光ユニット21による発光と、受光処理部239を介したTOF受光ユニット61による受光と、RGB画像処理部241を介したCMOS受光ユニット30による受光を同期させて制御することで、同じタイミングでの距離画像とRGB画像を取得することができる。
【0097】
発光制御部238は、撮像装置100の機能として、駆動信号出力部238aを少なくとも有する。
【0098】
駆動信号出力部238aは、駆動信号をVCSEL投光ユニット21に出力し、同時発光させる。また、駆動信号出力部238aは、所定の電圧波形、及び所定の発光周波数で駆動信号を出力することで、VCSEL投光ユニット21による発光を時間変調(時間的制御)することができる。本実施形態では、一例として、MHz(メガヘルツ)程度の周波数で矩形波、又は正弦波の駆動信号を所定のタイミングでVCSEL投光ユニット21に出力する。
【0099】
受光処理部239は、撮像装置100の機能として、位相信号入力部239a、距離画像取得部239b、格納部239c、距離画像結合部239dを少なくとも有する。
【0100】
位相信号入力部239aは、センサI/F236等により実現され、TOF受光ユニット61が出力する位相信号を入力する。位相信号入力部239aは、TOF受光ユニット61における二次元に配列された画素毎の位相信号を入力することができる。また、位相信号入力部239aは、入力した位相信号を距離画像取得部239bに出力する。なお、本実施形態では、位相信号入力部239aにTOF受光ユニット61が接続されている。このため、TOF光学系71(71A,71B,71C,71D)に対応する4セット分の位相信号が出力されることになる。
【0101】
距離画像取得部239bは、位相信号入力部239aから入力したTOF受光ユニット61の画素毎の位相信号に基づいて、撮像装置100から対象物までの距離画像データを取得する。ここで、距離画像とは、画素毎に取得した距離データを画素の位置に応じて二次元に配列させて生成された画像であり、例えば、距離を画素の輝度に変換して生成された画像である。距離画像取得部239bは、取得した4つの距離画像データを格納部239cに出力する。
【0102】
格納部239cは、RAM233等により実現され、距離画像取得部239bから入力した距離画像データを一時格納する。
【0103】
距離画像結合部239dは、格納部239cで一時格納された4つの距離画像データを読み出し、これらを結合して1つの全天球距離画像データを生成する。
【0104】
なお、距離画像結合部239dは、CPU231が制御プログラムを実行することにより実現される。しかしながら、当該例に限定されず、距離画像結合部239dの一部又は全部を、同様の各機能を実行するように設計された専用のハードウェア、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)等の半導体集積回路や従来の回路モジュール等によって実現するようにしてもよい。
【0105】
RGB画像処理部241は、RGB画像入力部241a、RGB画像格納部241b、RGB画像結合部241cを有している。
【0106】
RGB画像入力部241aは、CMOS受光ユニット30が出力するRGB画像を入力する。例えば、RGB画像入力部241aは、CMOS受光ユニット30における二次元に配列された画素毎のRGB信号を入力することができる。RGB画像入力部241aは、入力したFRGB画像をRGB画像格納部241bに出力する(本実施形態では、RGB画像処理部241に2つのCMOS受光ユニット30R及び30Lが接続されているため、2つのRGB画像を出力する)。なお、RGB画像入力部241aは、RGBセンサI/F240等により実現される。
【0107】
RGB画像格納部241bは、RAM233等により実現され、RGB画像入力部241aから入力したRGB画像データを一時格納する。
【0108】
RGB画像結合部241cは、RGB画像格納部241bで一時格納された2つのRGB画像データを読み出し、これらを結合して1つの全天球RGB画像データを生成する。なお、RGB画像結合部241cは、CPU231が制御プログラムを実行することにより実現される。しかしながら、当該例に限定されず、RGB画像結合部241cの一部又は全部を、同様の各機能を実行するように設計された専用のハードウェア、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の半導体集積回路や従来の回路モジュール等によって実現するようにしてもよい。
【0109】
なお、上述では、図18に示した構成が撮像装置100に内蔵されるものとして説明しているが、これはこの例に限定されない。例えば、図18に示した構成を、撮像装置100と接続可能な外部の情報処理装置に持たせてもよい。
【0110】
このように本実施形態によれば、投光部(VCSEL投光ユニット21F,21B)の数を受光部(TOF光学系71A,71B,71C,71D)の数より少なくして計測対象の範囲をカバーするようにしたので、投光部の光源をより大きくして照射する光の強度を高めることができるため、遠方物や低反射物であっても十分な受光量を得ることができ、測定精度を高めることができる。また、本実施形態によれば、受光部の数を投光部の数より多くして計測対象の範囲をカバーするようにしたので、一つの受光部の画角を狭く設定することができるため、受光部の焦点距離を長くすることができ受光部のレンズのF値を大きくとることができ、遠方物の測距精度を高めることができる。すなわち、本実施形態によれば、受光部の数を投光部の数より多くすることで、限られた装置の大きさで、投光部の投射する光の強度を高め、受光部の焦点距離を長くし、測距精度を高めることができる。
【0111】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0112】
第2の実施の形態は、TOF受光ユニットを上下二段に分割し、両者の間にVCSEL投光ユニット及びCMOS受光ユニットを配置する構成とした点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0113】
ところで、図16に示したように、撮像装置100は、VCSEL投光ユニット21の出射光による上側の半天球(2π[sr])の照射可能範囲を確保するためには、VCSEL光学系23Fの最外側のレンズの位置をTOF光学系71Bの最外側のレンズの位置よりも、右側(+Z側)になるように配置する必要がある。その結果、必然的にE1>D1となり、撮像装置100のZ軸方向の寸法が大きくなりやすい。
【0114】
また、図16に示したように、撮像装置100は、TOF光学系71Bの下側の画角θtof3の入射光線を、VCSEL光学系23Fでけられないようにする必要がある。そのため、θtof3≦60°程度となり、死角Aが大きくなりやすい。その結果、VCSEL光学系23Fの下側の画角(照射可能範囲)をθvcsel2>90°とした場合でも、TOF光学系71Bの下側の死角Aにより撮影可能範囲が規定されてしまう。従って、撮像装置100は、下側の半天球を網羅した撮影をすることができない場合がある。
【0115】
ここで、図19は第2の実施の形態にかかる撮像装置200の光学系の部分を拡大して示す図である。
【0116】
図19に示すように、本実施形態の撮像装置200においては、TOF受光ユニットを上下二段に分割し、両者の間にVCSEL投光ユニット(VCSEL光学系23F、23B)及びCMOS受光ユニット(CMOS光学系31R、31L)を配置する構成とした。より詳細には、撮像装置200は、TOF光学系71Aを1段目に配置し、TOF光学系71B、71C、71Dを3段目に配置し、両者の間(2段目)にVCSEL光学系23F、23B、及び、CMOS光学系31R、31Lを配置する。
【0117】
撮像装置200は、VCSEL光学系23F、23Bを出射されて外部の物体で反射した光(散乱光)を、TOF光学系71A~71Dを介して、各々TOFセンサ基板74A~74D上に実装されたTOFセンサで受光する。
【0118】
図20は、VCSEL光学系123の画角を示す図である。図20は、VCSEL光学系23F、及び、TOF光学系71A及び71Bの垂直断面(Z-X断面)における最周辺の画角の光線を模式的に図示したものである。図20においては、TOF光学系71B、71C、71DをX軸回りに回転させて、TOF光学系71Bの入射光軸がZ軸と平行になるようにした。
【0119】
図20に示すように、撮像装置200は、VCSEL投光ユニット(VCSEL光学系23F、23B)の上側の照射可能範囲について、最周辺の画角Ωvcsel2を90°より大きくすることにより、半天球(2π[sr])の領域を確保することができる。また、撮像装置200は、TOF光学系71B(及び、71C、71D)の上側の受光可能範囲(画角Ωtof2)、及び、TOF光学系171Aの受光可能範囲(画角Ωtof1)により、TOF受光ユニット全体の上側の受光可能範囲として、半天球の領域(2π[sr])を網羅することができる。従って、撮像装置200は、上側の半天球の撮影可能範囲を網羅的に撮影することが可能である。
【0120】
なお、本実施形態の撮像装置200においては、VCSEL光学系23F(2段目)の上側(1段目)にはTOF光学系71Aしか配置されていない。そのため、第1の実施形態の撮像装置100とは異なり、D2=E2とすることが可能であり、Z軸方向の寸法を拡大する必要がなく、小型化可能である。
【0121】
また、図20に示すように、撮像装置200は、VCSEL光学系23Fの下側の最周辺の画角Ωvcsel2を、TOF受光系71Bでけられない程度にまで広げることができる(Ωvcsel2≦85°程度)。
【0122】
一方、撮像装置200は、TOF受光ユニットの受光可能範囲を、TOF光学系71Bの下側の受光可能範囲(画角Ωtof3)により、Z-X断面にて90°まで確保可能である。従って、撮像装置200は、TOF光学系71C及び71Dの受光可能範囲を含めることにより、下側の半天球の撮影可能範囲をほぼ網羅的に撮影することが可能である。
【0123】
このように本実施形態によれば、撮影可能範囲をほぼ網羅的に撮影することができる。
【0124】
なお、各実施形態においては、複数の投光部であるVCSEL投光ユニット21F,21Bと、複数の受光部であるTOF光学系71(71A,71B,71C,71D)と、複数の撮像部であるCMOS受光ユニット30R,30Lと、測距演算を行う測距制御部230と、を一体に備えた測距装置(撮像装置100,200)について説明したが、これに限るものではない。例えば、複数の投光部であるVCSEL投光ユニット21F,21Bを有する投光ユニットと、複数の受光部であるTOF光学系71(71A,71B,71C,71D)を有するTOF受光ユニットと、複数の撮像部であるCMOS受光ユニット30R,30Lを有するCMOS撮像ユニットと、測距演算を行う測距制御部230とのように別体の装置としてそれぞれ構成し、これらの装置をネットワーク等で相互に接続した測距システムを適用してもよい。
【0125】
なお、上述の各実施形態は、本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形による実施が可能である。
【符号の説明】
【0126】
21F,21B 投光部
30R,30L 撮像部
71A,71B,71C,71D 受光部
100,200 測距装置
230 測距制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開2019-159284号公報
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20