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  • 特開-帯電防止表面保護フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030042
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】帯電防止表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20230228BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20230228BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230228BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20230228BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230228BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20230228BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
B32B27/00 M
B32B7/025
C09J7/38
C09J5/00
C09J133/00
B32B27/18 D
B32B27/30 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200363
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2021062791の分割
【原出願日】2015-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】新見 洋人
(72)【発明者】
【氏名】春日 充
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千恵
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 智美
(72)【発明者】
【氏名】木俣 絵美子
(72)【発明者】
【氏名】林 益史
(57)【要約】
【課題】被着体に対する汚染が少なく、且つ、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する帯電防止表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】透明性を有する樹脂からなる基材フィルム1の片面に、帯電防止剤を含有しない粘着剤層2と、帯電防止剤層3とが、この順に積層されてなり、帯電防止剤層3の上に、樹脂フィルムの片面に剥離剤を処理してなる剥離フィルム4が、剥離剤を処理した面を介して積層されてなり、帯電防止剤が、アルカリ金属塩、イオン性化合物からなる群から選択された1種であり、アルカリ金属塩が、リチウム塩であり、イオン性化合物が、陰イオンと陽イオンとから成り、陽イオンが、有機陽イオンであるアンモニウムイオンであり、帯電防止剤層3が、粘着剤層2の全面に渡り、印刷または塗布により形成されてなり、帯電防止剤層3の厚さが、0.01~0.3μmである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に、帯電防止剤を含有しない粘着剤層と、帯電防止剤層とが、この順に積層されてなり、
前記帯電防止剤層の上に、樹脂フィルムの片面に剥離剤を処理してなる剥離フィルムが、前記剥離剤を処理した面を介して積層されてなり、
前記帯電防止剤が、アルカリ金属塩、イオン性化合物からなる群から選択された1種であり、
前記アルカリ金属塩が、リチウム塩であり、
前記イオン性化合物が、陰イオンと陽イオンとから成り、前記陽イオンが、有機陽イオンであるアンモニウムイオンであり、
前記帯電防止剤層が、前記粘着剤層の全面に渡り、印刷または塗布により形成されてなり、前記帯電防止剤層の厚さが、0.01~0.3μmであることを特徴とする帯電防止表面保護フィルム。
【請求項2】
前記帯電防止剤を含有しない粘着剤層が、アクリル系粘着剤組成物を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止表面保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板、位相差板、ディスプレイ用のレンズフィルムなどの光学部品(以下、光学用フィルムと称する場合もある。)の表面に貼合される、帯電防止表面保護フィルムに関する。さらに詳細には、被着体に対する汚染が少なく、且つ、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する帯電防止表面保護フィルムを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
偏光板、位相差板、ディスプレイ用のレンズフィルム、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、タッチパネル用透明導電性フィルム等の光学用フィルム、及びそれを用いたディスプレイなどの光学製品を製造、搬送する際には、該光学用フィルムの表面に表面保護フィルムを貼合して、後工程における表面の汚れや傷付きを防止することがなされている。製品である光学用フィルムの外観検査は、表面保護フィルムを剥がして、再び、貼合する手間を省いて作業効率を高めるため、表面保護フィルムを光学用フィルムに貼合したまま行うこともある。
従来から、基材フィルムの片面に、粘着剤層を設けた表面保護フィルムが、光学製品の製造工程において、傷や汚れの付着を防止するために、一般的に使用されている。表面保護フィルムは、微粘着力の粘着剤層を介して光学用フィルムに貼合される。粘着剤層を微粘着力とするのは、使用済みの表面保護フィルムを光学用フィルムの表面から剥離して取り除くときに、容易に剥離でき、且つ、粘着剤が、被着体である製品の光学用フィルムに付着して残留しないようにする(いわゆる、糊残りの発生を防ぐ)ためである。
【0003】
近年、液晶ディスプレイパネルの生産工程において、光学用フィルムの上に貼合された表面保護フィルムを、剥離して取り除くときに発生する剥離帯電圧により、液晶ディスプレイパネルの表示画面を制御するための、ドライバーIC等の回路部品が破壊される現象や、液晶分子の配向が損傷する現象が、発生件数は少ないながらも起きている。
また、液晶ディスプレイパネルの消費電力を低減させるため、液晶材料の駆動電圧が低くなってきており、これに伴って、ドライバーICの破壊電圧も低くなっている。最近では、剥離帯電圧を+0.7kV~-0.7kVの範囲内にすることが求められてきている。
このため、表面保護フィルムを、被着体である光学用フィルムから剥離する時に、剥離帯電圧が高いことによる不具合を防止するため、剥離帯電圧を低く抑えるための、帯電防止剤を含む粘着剤層を用いた表面保護フィルムが、提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、水酸基含有アクリル系ポリマー、ポリイソシアネートからなる粘着剤を用いた、表面保護フィルムが開示されている。
また、特許文献2には、イオン性液体と酸価が1.0以下のアクリルポリマーからなる粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着シート類が開示されている。
また、特許文献3には、アクリルポリマー、ポリエーテルポリオール化合物、アニオン吸着性化合物により処理したアルカリ金属塩からなる粘着組成物、及びそれを用いた表面保護フィルムが開示されている。
また、特許文献4には、イオン性液体、アルカリ金属塩、ガラス転移温度0℃以下のポリマーからなる粘着剤組成物、及びそれを用いた表面保護フィルムが開示されている。
また、特許文献5,6には、表面保護フィルムの粘着剤層の中に、ポリエーテル変性シリコーンを混合することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-131957号公報
【特許文献2】特開2005-330464号公報
【特許文献3】特開2005-314476号公報
【特許文献4】特開2006-152235号公報
【特許文献5】特開2009-275128号公報
【特許文献6】特許第4537450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1~4では、粘着剤層の内部に帯電防止剤が添加されているが、粘着剤層の厚みが厚くなる程、また、被着体に貼合されてから時間が経過する程、表面保護フィルムの貼合された被着体に対して、粘着剤層から被着体へ移行する帯電防止剤の量が多くなる。また、LR(Low Reflective)偏光板やAG(Anti Glare)-LR偏光板などの光学用フィルムでは、光学用フィルムの表面が、シリコーン化合物やフッ素化合物などで防汚染処理されているため、このような光学用フィルムに使用する表面保護フィルムを、被着体である光学用フィルムから剥離する時の剥離帯電圧が高くなる。
【0007】
また、特許文献5,6に記載の、粘着剤層の中にポリエーテル変性シリコーンを混合した場合には、表面保護フィルムの粘着力を微調整することが難しい。また、粘着剤層内に、ポリエーテル変性シリコーンを混ぜているため、粘着剤組成物を基材フィルムの上に塗工・乾燥する条件が変化すると、表面保護フィルムの形成された粘着剤層の表面の特性が、微妙に変化する。さらに、光学用フィルムの表面を保護するという観点から、粘着剤層の厚さを極端に薄くすることができない。そのため、粘着剤層の厚みに応じて、粘着剤層内に混ぜるポリエーテル変性シリコーンの添加量を増やす必要があり、結果的に、被着体表面を汚染し易くなり、経時にて粘着力や被着体に対する汚染性が変化する。
【0008】
近年、3Dディスプレイ(立体視ディスプレイ)の普及に伴い、偏光板等の光学用フィルムの表面にFPR(Film Patterned Retarder)フィルムを貼合したものがある。偏光板等の光学用フィルムの表面に貼合されていた表面保護フィルムを剥がした後に、FPRフィルムが貼合される。しかし、偏光板等の光学用フィルムの表面が、表面保護フィルムに使用している粘着剤や帯電防止剤で汚染されていると、FPRフィルムが接着し難いという問題がある。このため、当該用途に用いる表面保護フィルムには、被着体に対する汚染の少ないものが求められている。
【0009】
一方、いくつかの液晶パネルメーカーにおいては、表面保護フィルムの被着体に対する汚染性の評価方法として、偏光板等の光学用フィルムに貼合されている表面保護フィルムを一度剥がし、気泡を混入させた状態で再貼合したものを所定条件で加熱処理し、その後、表面保護フィルムを剥がして被着体の表面を観察する方法が採用されている。このような評価方法では、被着体の表面汚染が微量であっても、気泡を混入させた部分と、表面保護フィルムの粘着剤が接していた部分とで、被着体の表面汚染の差があると、気泡の跡(気泡ジミと言うこともある)として残る。そのため、被着体の表面に対する汚染性の評価方法としては、非常に厳しい評価方法となる。近年、こうした厳しい評価方法による判定の結果でも、被着体の表面に対する汚染性に問題がない表面保護フィルムが求められている。しかし従来から提案されている、帯電防止剤を含有する粘着剤層を用いた表面保護フィルムでは、当該課題を解決するのが難しい状況にあった。
【0010】
このため、光学用フィルムに使用する表面保護フィルムであって、被着体に対する汚染が非常に少なく、かつ、被着体に対する汚染性が経時変化しないものが必要とされている。さらに、被着体から剥離する時の剥離帯電圧を、低く抑えた表面保護フィルムが求められている。
【0011】
本発明者らは、これらの課題を解決することについて、鋭意、検討を行なった。
被着体に対する汚染が少なく、且つ、帯電防止性能の経時変化も少なくするためには、被着体を汚染している原因と推測される帯電防止剤の添加量を減量させる必要がある。しかし、帯電防止剤の添加量を減量させた場合には、表面保護フィルムを被着体から剥離する時の、剥離帯電圧が高くなってしまう。本発明者らは、帯電防止剤の添加量の絶対量を増加させないで、表面保護フィルムを被着体から剥離する時の、剥離帯電圧を低く抑える方法について検討した。その結果、粘着剤組成物の中に、帯電防止剤を添加し混ぜて粘着剤層を形成するのではなく、粘着剤組成物を塗工・乾燥させて粘着剤層を積層した後に、粘着剤層の表面に、適量の帯電防止剤の成分を付与することにより、表面保護フィルムを、被着体である光学用フィルムから剥離する時の、剥離帯電圧を低く抑えられることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、被着体に対する汚染が少なく、且つ、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する帯電防止表面保護フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の帯電防止表面保護フィルムは、粘着剤組成物を塗工・乾燥して粘着剤層を積層した後に、その粘着剤層の表面に、帯電防止剤含有材料が存在する帯電防止剤層を形成する。そのことにより、被着体に対する汚染性を低く抑えた上、被着体である光学用フィルムから剥離する時の剥離帯電圧を低く抑えることを技術思想としている。
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明は、透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に、帯電防止剤を含有しない粘着剤層と、帯電防止剤層とが、この順に積層されてなり、前記帯電防止剤層の上に、樹脂フィルムの片面に剥離剤を処理してなる剥離フィルムが、前記剥離剤を処理した面を介して積層されてなり、前記帯電防止剤が、イオン性化合物を含み、前記帯電防止剤層が、前記粘着剤層の全面に渡り、印刷または塗布により形成されてなり、前記帯電防止剤層の厚さが、0.01~0.3μmであることを特徴とする帯電防止表面保護フィルムを提供する。
【0015】
また、前記帯電防止剤層が、アルカリ金属塩、イオン性化合物からなる群から選択された1種を含有することが好ましい。
【0016】
また、前記帯電防止剤を含有しない粘着剤層が、アクリル系粘着剤組成物を用いて形成されてなることが好ましい。
【0017】
また、前記帯電防止剤層の厚さが、0.01~0.3μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の帯電防止表面保護フィルムは、被着体に対する汚染が少なく、被着体に対する低汚染性が経時変化しない。また、本発明によれば、LR偏光板やAG-LR偏光板などの、被着体の表面が、シリコーン化合物やフッ素化合物などで防汚染処理してある光学用フィルムであっても、帯電防止表面保護フィルムを、被着体から剥離する時に発生する剥離帯電圧を低く抑えることができ、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する帯電防止表面保護フィルムを提供できる。
本発明の帯電防止表面保護フィルムによれば、光学用フィルムの表面を確実に保護することができることから、生産性の向上と歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の帯電防止表面保護フィルムの、概念断面図である。
図2】本発明の帯電防止表面保護フィルムから、剥離フィルムを剥がした状態を示す断面図である。
図3】本発明の帯電防止表面保護フィルムを、光学部品に貼合した実施例の1つを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の帯電防止表面保護フィルムの、概念断面図である。この帯電防止表面保護フィルム10は、透明な基材フィルム1の片面の表面に、帯電防止剤を含有していない粘着剤層2が形成されている。この粘着剤層2の表面には、帯電防止剤含有材料が存在する帯電防止剤層3が形成されており、さらに、帯電防止剤層3の表面には、剥離処理した剥離フィルム4が貼合されている。
【0021】
本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10に使用される基材フィルム1としては、透明性及び可撓性を有する樹脂からなる基材フィルムが用いられる。これにより、帯電防止表面保護フィルムを、被着体である光学部品に貼合した状態で、光学部品の外観検査を行うことができる。基材フィルム1として用いる透明性を有する樹脂フィルムは、好適には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムが用いられる。ポリエステルフィルムのほか、必要な強度を有し、かつ光学適性を有するものであれば、他の樹脂からなるフィルムも使用可能である。基材フィルム1は、無延伸フィルムであっても、一軸または二軸延伸されたフィルムであってもよい。また、延伸フィルムの延伸倍率や、延伸フィルムの結晶化に伴い形成される軸方向の配向角度を、特定の値に制御してもよい。
【0022】
本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10に使用される基材フィルム1の厚みは、特に限定はないが、例えば、12~100μm程度の厚みが好ましい。さらに、基材フィルム1が、20~50μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。
また、必要に応じて、基材フィルム1の、粘着剤層2が形成された面の反対側の面に、表面の汚れを防止する防汚層、帯電防止層、傷つき防止のハードコート層などを設けることができる。また、基材フィルム1の表面に、コロナ放電による表面改質、アンカーコート剤の塗付などの易接着処理を施してもよい。
【0023】
また、本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10に使用される粘着剤層2は、被着体の表面に接着して被着体を保護した後、被着体から簡単に剥がすことができ、かつ、被着体を汚染しにくい粘着剤であれば良く、特に限定されるものではない。しかし、光学用フィルムに貼合後の耐久性などを考慮すると、(メタ)アクリレート共重合体を架橋させてなるアクリル系粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成するのが好ましい。
【0024】
(メタ)アクリレート共重合体としては、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレートなどの主モノマーと、アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどのコモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N-メチロールメタクリルアミドなどの官能性モノマーを共重合した共重合体を挙げることができる。(メタ)アクリレート共重合体は、主モノマー及びコモノマーがすべて(メタ)アクリレートであってもよく、コモノマーとして、(メタ)アクリレート以外のモノマーを1種又は2種以上含んでもよい。
【0025】
また、(メタ)アクリレート共重合体に、ポリオキシアルキレン基を含有する化合物を共重合したり、混合してもよい。共重合可能なポリオキシアルキレン基を含有する化合物としては、ポリエチレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート、ポリプロピレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリプロピレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(400)メタクリレートなどが挙げられる。これらのポリオキシアルキレン基を含有するモノマーを、前記(メタ)アクリレート共重合体の主モノマーや官能性モノマーと共重合することにより、ポリオキシアルキレン基を含有する共重合体からなる粘着剤を得ることができる。
【0026】
(メタ)アクリレート共重合体に混合可能なポリオキシアルキレン基を含有する化合物としては、ポリオキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリレート共重合体が好ましく、ポリオキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリル系モノマーの重合物がより好ましい。例えば、ポリエチレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート、ポリプロピレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリプロピレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(400)メタクリレートなどの重合物が挙げられる。これらのポリオキシアルキレン基を含有する化合物を、前記(メタ)アクリレート共重合体と混合することにより、ポリオキシアルキレン基を含有する化合物が添加された粘着剤を得ることができる。
【0027】
粘着剤層2に添加する硬化剤としては、(メタ)アクリレート共重合体を架橋させる架橋剤として、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、金属キレート化合物などが挙げられる。また、粘着付与剤としては、ロジン系、クマロンインデン系、テルペン系、石油系、フェノール系などが挙げられる。
【0028】
本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10に使用される粘着剤層2の厚みは、特に限定はされないものの、例えば、5~40μm程度の厚みが好ましく、10~30μm程度の厚みがより好ましい。
【0029】
基材フィルム1の表面に、粘着剤層2を形成する方法としては、公知の方法で行えばよい。具体的には、リバースコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング、スロットダイコーティング、メイヤーバーコーティング、エアーナイフコーティングなどの、公知の塗工方法を使用することができる。
【0030】
また、本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10に使用される、帯電防止剤層3を形成するための帯電防止剤含有材料は、帯電防止剤単体や、帯電防止剤と各種樹脂との混合物などが挙げられる。
帯電防止剤としては、界面活性剤系、イオン性液体、アルカリ金属塩、金属酸化物、金属微粒子、導電性ポリマー、カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、透明性や(メタ)アクリル系ポリマーに対する親和性などから、界面活性剤系、イオン性化合物、アルカリ金属塩が好ましい。
また、帯電防止剤と各種樹脂の混合物に用いられる樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などが挙げられる。
【0031】
界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系、両性系などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン変性シリコーン類などが挙げられる。
【0032】
カチオン系界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩類などが挙げられる。
【0033】
アニオン系界面活性剤としては、モノアルキル硫酸塩類、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、モノアルキルリン酸塩類などが挙げられる。
【0034】
両性系界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられる。
【0035】
イオン性化合物とは、陰イオンと陽イオンとから成り、常温で液体であるイオン性液体と常温で固体であるイオン性固体がある。陽イオン部分としては、有機陽イオン又は無機陽イオン、例えば、イミダゾリウムイオンなどの環状アミジンイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン等が挙げられる。また、陰イオン部分としては、有機陰イオン又は無機陰イオン、例えば、C2n+1COO、C2n+1COO、NO 、C2n+1SO 、(C2n+1SO、(C2n+1SO、PO 3-、AlCl 、AlCl 、ClO 、BF 、PF 、AsF 、SbF 等が挙げられる。これらの式中、添え字のnは、0以上の整数である。n=0の場合には、HCOO、(FSO等が該当する。
【0036】
アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムからなる金属塩が挙げられる。具体的には、例えば、Li、Na、Kよりなるカチオンと、Cl、Br、I、BF 、PF 、SCN、ClO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CSO、(CFSOよりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。なかでも特に、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(FSON、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOCなどのリチウム塩が好ましく用いられる。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。イオン性物質の安定化のため、ポリオキシアルキレン構造を含有する化合物を添加しても良い。
【0037】
帯電防止剤層3の、乾燥後の塗布膜の厚さは、帯電防止剤の種類およびその帯電防止性、被着体汚染性を考慮して決めればよいが、0.3μm以下であることが好ましい。帯電防止剤層3の厚さが、0.3μmを超えると、表面保護フィルムを被着体に貼合した際に、粘着剤組成物の成分が帯電防止剤層を形成している樹脂の間から、表面保護フィルムと被着体との界面に表出するのが困難になり、粘着剤層2の粘着力が、所定の値に達しないため好ましくない。帯電防止剤層3の厚さは、例えば、0.01~0.3μmである。
【0038】
被着体から、帯電防止表面保護フィルム10(詳しくは、図2に示す剥離フィルムを剥がした帯電防止表面保護フィルム11)を剥がす時の操作性に優れることから、帯電防止表面保護フィルム10を、被着体の表面から剥離するときの剥離強度(粘着力)が、0.03~0.3N/25mm程度の、微粘着力であることが好ましい。
また、帯電防止表面保護フィルム10から、剥離フィルム4を剥がす時の操作性に優れることから、剥離フィルム4を、帯電防止剤層3から剥離するときの剥離力が、0.2N/50mm以下であることが好ましい。
【0039】
また、本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10において、粘着剤層2の表面に帯電防止剤層3を形成する方法は、特に限定されない。例えば、(1)上記の帯電防止剤含有材料を剥離フィルム4の剥離剤層に含有させて、剥離フィルム4を粘着剤層2に貼着させた時に粘着剤層2に転写する方法、(2)粘着剤層2の表面に、上記の帯電防止剤含有材料を印刷する方法、(3)粘着剤層2の表面に、上記の帯電防止剤含有材料を塗布する方法などが挙げられる。上記帯電防止剤含有材料の印刷や塗布については、均一に印刷・塗布しても良く、または、特定のパターンで印刷・塗布しても良い。帯電防止表面保護フィルムの被着体に対する粘着剤層の粘着力等を考慮して決めればよい。帯電防止剤含有材料の印刷や塗布の方法については、公知の方法で行えばよい。
【0040】
図1に示した、本発明に係わる帯電防止表面保護フィルム10に使用される剥離フィルム4に使用する樹脂は、特に限定されない。剥離フィルム4としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムの片面に、シリコーン系剥離剤、長鎖アルキル基含有樹脂、フッ素樹脂などの剥離剤を処理した剥離フィルムや、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フッ素樹脂など離型性を有する樹脂をフィルム化した剥離フィルムが例示される。
【0041】
剥離フィルムの厚みは、特に限定はないが、例えば、12~100μm程度の厚みが好ましく、20~50μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。
【0042】
図2は、本発明の帯電防止表面保護フィルムから、剥離フィルムを剥がした状態を示す断面図である。図2に示す剥離フィルムを剥がした帯電防止表面保護フィルム11では、粘着剤層2の表面に帯電防止剤層3が施されている。
【0043】
図3は、本発明の帯電防止表面保護フィルムを、光学部品に貼合した実施例を示す断面図である。
本発明の帯電防止表面保護フィルム10は、剥離処理した剥離フィルム4が剥がされて、帯電防止剤層3が表出した状態(図2の帯電防止表面保護フィルム11)で、その帯電防止剤層3を介して被着体である光学部品5に貼合される。
【0044】
すなわち、図3は、本発明の帯電防止表面保護フィルム10から、剥離フィルム4を剥がした状態の帯電防止表面保護フィルム11が貼合された、光学部品20を示している。光学部品としては、偏光板、位相差板、レンズフィルム、位相差板兼用の偏光板、レンズフィルム兼用の偏光板などの光学用フィルムが挙げられる。このような光学部品は、液晶表示パネルなどの液晶表示装置、各種計器類の、光学系装置等の構成部材として使用される。また、光学部品としては、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、タッチパネル用透明導電性フィルムなどの、光学用フィルムも挙げられる。特に、表面がシリコーン化合物やフッ素化合物などで防汚染処理してある、低反射処理偏光板(LR偏光板)やアンチグレア低反射処理偏光板(AG-LR偏光板)などの光学用フィルムの、防汚染処理した面に貼合される、帯電防止表面保護フィルムとして好適に使用することができる。
【0045】
本発明の帯電防止表面保護フィルム10から、剥離フィルム4を剥がした状態の帯電防止表面保護フィルム11を、被着体である光学部品(光学用フィルム)から剥離除去するとき、剥離帯電圧を充分に低く抑制することができる。そのため、ドライバーIC、TFT素子、ゲート線駆動回路などの回路部品を破壊する恐れがなく、液晶表示パネル等を製造する工程での生産効率を高め、生産工程の信頼性を保つことができる。
【実施例0046】
次に、実施例により、本発明をさらに説明する。
(実施例1)
(帯電防止表面保護フィルムの作製)
2-エチルヘキシルアクリレート80重量部、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート17重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート3重量部の共重合体からなる粘着剤の40%酢酸エチル溶液100重量部に対して、イソシアネート系硬化剤(東ソー社製コロネート(登録商標)HX)2重量部を撹拌・混合して粘着剤組成物を調合した。厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、調合した粘着剤組成物を、アプリケーターを用いて、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように塗布した。その後、100℃の熱風循環式オーブンにて3分間加熱乾燥し、粘着フィルムを得た。その後、粘着剤層の表面に、帯電防止剤としてリチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドの酢酸エチル溶液を、乾燥後の帯電防止剤層の厚さが0.1μmになるようにメイヤーバーNo.4を用いて塗布した後、100℃の熱風循環式オーブンにて2分間加熱乾燥し、粘着剤層の表面に帯電防止剤層を形成したサンプルを作成した。このサンプルの帯電防止剤層の表面に、剥離フィルム(三菱樹脂(株)製ダイヤホイルMRF38、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、シリコーン剥離剤を処理したもの)を貼合し、実施例1の帯電防止表面保護フィルムを得た。
【0047】
(実施例2)
2-エチルヘキシルアクリレート70重量部、ブチルアクリレート20重量部、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート7重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート2重量部の共重合体からなる粘着剤の40%酢酸エチル溶液100重量部に対して、イソシアネート系硬化剤(東ソー社製コロネート(登録商標)HX)1重量部を撹拌・混合して粘着剤を調合した。厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、調合した粘着剤を、アプリケーターを用いて、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように塗布した。その後、100℃の熱風循環式オーブンにて3分間加熱乾燥し、粘着フィルムを得た。その後、粘着剤面に、帯電防止剤としてリチウムビス(フルオロスルフォニル)イミドの酢酸エチル溶液を、乾燥後の帯電防止剤層の厚さが0.05μmになるようにメイヤーバーNo.4を用いて塗布した後、100℃の熱風循環式オーブンにて2分間加熱乾燥し、粘着剤層の表面に帯電防止剤層を形成したサンプルを作成した。このサンプルの帯電防止剤層の表面に、剥離フィルム(三菱樹脂(株)製ダイヤホイルMRF38、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に、シリコーン剥離剤を処理したもの)を貼合し、実施例2の帯電防止表面保護フィルムを得た。
【0048】
(実施例3)
実施例1の帯電防止剤層の乾燥後の厚さを0.3μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の帯電防止表面保護フィルムを得た。
【0049】
(実施例4)
実施例1の帯電防止剤を、トリ-n-ブチルメチルアンモニウム ビストリフルオロメタンスルホンイミド(スリーエムジャパン社製、品番:FC-4400)に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の帯電防止表面保護フィルムを得た。
【0050】
(比較例1)
粘着剤層の上に帯電防止剤層を積層する代わりに、実施例1の粘着剤組成物の中に、実施例1の帯電防止剤を固形分比率で100:1.5となるように混合した、帯電防止剤を混合した粘着剤組成物を、乾燥後の粘着剤層の厚さが20μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の帯電防止表面保護フィルムを得た。
【0051】
(比較例2)
帯電防止剤層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の表面保護フィルムを得た。
【0052】
(比較例3)
帯電防止剤層の乾燥後の厚さを0.5μmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の帯電防止表面保護フィルムを得た。
【0053】
以下、評価試験の方法および結果について示す。
〈剥離フィルムの剥離力の測定方法〉
帯電防止表面保護フィルムのサンプルを、幅50mm、長さ150mmに裁断する。23℃×50%RHの試験環境下、引張試験機を用いて300mm/分の剥離速度で180°の方向に、帯電防止剤層から剥離フィルムを剥離したときの強度を測定し、これを剥離フィルムの剥離力(N/50mm)とした。
【0054】
(帯電防止剤の表面の表面抵抗率の測定方法)
帯電防止表面保護フィルムのサンプルから剥離フィルムを剥離した後、帯電防止剤層の表面の表面抵抗率を、高抵抗抵抗率計(三菱化学アナリテック社製ハイレスタ(登録商標)-UP)を用いて、印加電圧100V、測定時間30秒の条件にて測定する。
【0055】
〈帯電防止表面保護フィルムの粘着力の測定方法〉
ガラス板の表面に、アンチグレア低反射処理偏光板(AG-LR偏光板)を、貼合機を用いて貼合した。その後、偏光板の表面に、幅25mmに裁断した帯電防止表面保護フィルムを貼合した後、23℃×50%RHの試験環境下に1日間保管した。その後、引張試験機を用いて300mm/分の剥離速度で180°の方向に、帯電防止表面保護フィルムを剥離したときの強度を測定し、これを粘着力(N/25mm)とした。
【0056】
〈帯電防止表面保護フィルムの剥離帯電圧の測定方法〉
ガラス板の表面に、アンチグレア低反射処理偏光板(AG-LR偏光板)を、貼合機を用いて貼合した。その後、偏光板の表面に、幅25mmに裁断した帯電防止表面保護フィルムを、帯電防止剤層を介して貼合した後、23℃×50%RHの試験環境下に1日間保管した。その後、高速剥離試験機(テスター産業製)を用いて毎分40mの剥離速度で帯電防止表面保護フィルムを剥離しながら、前記偏光板表面の表面電位を、表面電位計(キーエンス(株)製)を用いて10ms毎に測定したときの、表面電位の絶対値の最大値を、剥離帯電圧(kV)とした。
【0057】
〈帯電防止表面保護フィルムの表面汚染性の確認方法〉
ガラス板の表面に、アンチグレア低反射処理偏光板(AG-LR偏光板)を、貼合機を用いて貼合した。その後、偏光板の表面に、幅25mmに裁断した帯電防止表面保護フィルムを、帯電防止剤層を介して貼合した後、23℃×50%RHの試験環境下に3日および30日保管した。その後、帯電防止表面保護フィルムを剥がし、偏光板の表面の汚染性を目視にて観察した。表面汚染性の判定基準として、偏光板に汚染移行が無かった場合を(○)とし、偏光板に汚染移行が確認された場合を(×)とした。
【0058】
得られた実施例1~4及び比較例1~3の帯電防止表面保護フィルムについて、測定した測定結果を表1及び表2に示した。「LiTFSI」は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドを、「LiFSI」は、リチウムビス(フルオロスルフォニル)イミドを、「FC-4400」は、トリ-n-ブチルメチルアンモニウム ビストリフルオロメタンスルホンイミドを、それぞれ意味する。また、帯電防止剤層の表面の表面抵抗率の欄の「4.3E11」は、4.3×1011を意味し、「オーバーレンジ」は、表面抵抗率(Ω/□)が測定上限値(1.0×1013以上)を超えていて、測定不能であることを意味する。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1及び表2に示した測定結果から、以下のことが分かる。
本発明に係わる実施例1~4の帯電防止表面保護フィルムは、帯電防止剤層を介した貼合でも適度な粘着力があり、被着体の表面に対する汚染がなく、かつ、帯電防止表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧が低い。
一方、帯電防止剤を粘着剤層に均一に混合した比較例1の表面保護フィルムは、表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧が低く、良好であるが、30日保管した後の経時にて被着体に対する汚染性が悪化した。また、粘着剤層の表面に、帯電防止剤層を設けなかった比較例2の表面保護フィルムは、表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧が高くなった。さらに、帯電防止剤層の厚さを増やした比較例3は、表面保護フィルムを被着体から剥離した時の剥離帯電圧は低く、良好であるが、剥離した後の、被着体に対する汚染が多くなった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の帯電防止表面保護フィルムは、例えば、偏光板、位相差板、ディスプレイ用のレンズフィルム、などの光学用フィルム、その他、各種の光学部品等の生産工程などにおいて、該光学部品等の表面を保護するために用いることができる。特に、表面がシリコーン化合物やフッ素化合物などで防汚染処理してある、LR偏光板やAG-LR偏光板などの光学用フィルムの帯電防止表面保護フィルムとして使用する場合には、被着体から剥離する時に、静電気の発生量を少なくすることができる。
本発明の帯電防止表面保護フィルムは、被着体に対する汚染が少なく、さらには、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する。このことから、本発明の帯電防止表面保護フィルムは、各種の光学部品等の生産工程の歩留まりを向上させることができ、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0063】
1…基材フィルム、2…粘着剤層、3…帯電防止剤層、4…剥離フィルム、5…光学部品、10…帯電防止表面保護フィルム、11…剥離フィルムを剥がした帯電防止表面保護フィルム、20…帯電防止表面保護フィルムを貼合した光学部品。
図1
図2
図3