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特開2023-31300ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
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  • 特開-ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031300
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/10 20060101AFI20230301BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230301BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20230301BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
C08G61/10
G03F7/26 511
G03F7/11 503
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132296
(22)【出願日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0111064
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】金 惠 廷
(72)【発明者】
【氏名】金 修 熙
(72)【発明者】
【氏名】金 有 那
(72)【発明者】
【氏名】朴 亨 錫
(72)【発明者】
【氏名】尹 熙 燦
(72)【発明者】
【氏名】李 在 哲
(72)【発明者】
【氏名】李 種 和
(72)【発明者】
【氏名】鄭 スルギ
(72)【発明者】
【氏名】蔡 閏 珠
(72)【発明者】
【氏名】黄 元 宗
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
4J032
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196KA02
2H196KA19
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA10
2H197GA01
2H197HA03
2H225AM79N
2H225AN39N
2H225CA12
4J032CA02
4J032CA12
4J032CB03
4J032CC01
4J032CD07
4J032CE03
4J032CE22
4J032CG01
4J032CG06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶媒に対する溶解性に優れてハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物、ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、およびハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される構造単位と下記化学式2で表される構造単位とを含む重合体、および溶媒を含む、ハードマスク組成物。


【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される構造単位と下記化学式2で表される構造単位とを含む重合体、および溶媒を含むハードマスク組成物:
【化1】

前記化学式1中、
Aは、1つ以上のベンゼン環を含む連結基であって、2つ以上のベンゼン環を含む場合、2つ以上のベンゼン環は縮合環を形成するか、または2つ以上のベンゼン環が単結合、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~30のアリール基である)、-C(=O)-、-(CH-(CR-(CH-(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数3~10のシクロアルキル基であり、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、ただしm+n+oは1以上である)、もしくはこれらの組み合わせによって連結されている連結基であり、
Bは、1つ以上のヒドロキシ基または1つ以上の炭素数1~10のアルコキシ基で置換された炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
~Xは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
y1~y4は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
*は、連結地点である:
【化2】

前記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~15の飽和脂肪族炭化水素基、または置換もしくは非置換の2価の炭素数2~15の不飽和脂肪族炭化水素基であり、
Mは、-O-、-S-、-SO-、または-C(=O)-であり、
およびZは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
k、l、およびqは、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
pは、0または1であり、
*は、連結地点である。
【請求項2】
前記化学式1中のAは、下記グループ1から選択される少なくとも1種の基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化3】

前記グループ1中、
は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~30のアリール基であり、
*は、連結地点である。
【請求項3】
前記化学式1中のBは、下記グループ2から選択される少なくとも1つの基が、1つ以上のヒドロキシ基または1つ以上の炭素数1~10のアルコキシ基で置換された基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化4】
【請求項4】
前記化学式2中、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
Mは、-O-であり、
およびZは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基であり、
kおよびlは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、
pおよびqは、それぞれ0または1である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のAは、下記グループ1-1から選択される少なくとも1種の基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化5】
【請求項6】
前記化学式1中のBは、下記グループ2-1から選択される少なくとも1種の基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化6】

上記グループ2-1中、
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または炭素数2~10のアルキニル基である。
【請求項7】
前記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~下記化学式1-11で表される構造単位のうちの少なくとも1種である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

前記化学式1-1~化学式1-11中、
R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または炭素数2~10のアルキニル基であり、
~Xは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
y1~y4は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
*は、連結地点である。
【請求項8】
前記化学式2で表される構造単位は、下記化学式2-1または下記化学式2-2で表される構造単位である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【化11】
【請求項9】
前記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記重合体は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、ガンマ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項13】
基板の上に材料層を形成する段階、
前記材料層の上に請求項1~11のいずれか1項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、
前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、ならびに
前記材料層の露出された部分をエッチングする段階、
を含む、パターン形成方法。
【請求項14】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項13に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、該ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および該ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体産業は、数百ナノメートル大きさのパターンから数~数十ナノメートル大きさのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像を行って、フォトレジストパターンを形成した後、このフォトレジストパターンをマスクにして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
最近、形成しようとするパターンの大きさが減少することによって、前述の典型的なリソグラフィック技法のみでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成しにくいという現象がある。これに対して、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間に、ハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を形成して、微細パターンを形成する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0134063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、溶媒に対する溶解性に優れてハードマスク層に効果的に適用することができるハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物を使用したパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位と下記化学式2で表される構造単位とを含む重合体、および溶媒を含む。
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1中、
Aは、1つ以上のベンゼン環を含む連結基であって、2つ以上のベンゼン環を含む場合、2つ以上のベンゼン環は縮合環を形成するか、または2つ以上のベンゼン環が単結合、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~30のアリール基である)、-C(=O)-、-(CH-(CR-(CH-(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数3~10のシクロアルキル基であり、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、ただしm+n+oは1以上である)、もしくはこれらの組み合わせによって連結されている連結基であり、
Bは、1つ以上のヒドロキシ基または1つ以上の炭素数1~10のアルコキシ基で置換された炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
~Xは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
y1~y4は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
*は、連結地点である:
【0012】
【化2】
【0013】
上記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~15の飽和脂肪族炭化水素基、または置換もしくは非置換の2価の炭素数2~15の不飽和脂肪族炭化水素基であり、
Mは、-O-、-S-、-SO-、または-C(=O)-であり、
およびZは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
k、l、およびqは、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
pは、0または1であり、
*は、連結地点である。
【0014】
上記化学式1中のAは、下記グループ1から選択される少なくとも1種の基であってもよい。
【0015】
【化3】
【0016】
上記グループ1中、
は、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~30のアリール基であり、
*は、連結地点である。
【0017】
上記化学式1中のBは、下記グループ2から選択される少なくとも1つの基が、1つ以上のヒドロキシ基または炭素数1~10のアルコキシ基で置換されたものであってもよい。
【0018】
【化4】
【0019】
上記化学式2中、LおよびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、Mは-O-であり、ZおよびZは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基であり、kおよびlは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、pおよびqは、それぞれ独立して、0または1であってもよい。
【0020】
上記化学式1中のAは、下記グループ1-1から選択される少なくとも1種の基であってもよい。
【0021】
【化5】
【0022】
上記化学式1中のBは、下記グループ2-1から選択される少なくとも1種の基であってもよい。
【0023】
【化6】
【0024】
上記グループ2-1中、
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または炭素数2~10のアルキニル基である。
【0025】
上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~下記化学式1-11で表される構造単位のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
上記化学式1-1~化学式1-11中、
R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または炭素数2~10のアルキニル基であり、
~Xは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
y1~y4は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
*は、連結地点である。
【0031】
上記化学式2で表される構造単位は、下記化学式2-1または下記化学式2-2で表される構造単位であってもよい。
【0032】
【化11】
【0033】
上記重合体の重量平均分子量は、1,000g/mol~200,000g/molであってもよい。
【0034】
上記重合体は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれてもよい。
【0035】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、ガンマ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0036】
他の実施形態によれば、本発明は、前述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0037】
また、他の実施形態によれば、本発明は、基板の上に材料層を形成する段階、前記材料層の上に前述のハードマスク組成物を塗布する段階、前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、前記フォトレジストパターンを用いて前記ハードマスク層を選択的に除去し前記材料層の一部を露出する段階、および前記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含む、パターン形成方法を提供する。
【0038】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によるハードマスク組成物は、溶媒に対する溶解性に優れ、ハードマスク層に効果的に適用することができる。
【0040】
また、本発明によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、優れたギャップフィル特性、平坦化特性、および耐エッチング性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】ギャップフィル特性および平坦化特性の評価方法を説明するために、ハードマスク層の断面を概略的に示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0043】
本明細書で別途の定義がない限り、‘置換された’とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基またはその塩の基、スルホン酸基またはその塩の基、リン酸基またはその塩の基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数2~20のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、およびこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたことを意味する。
【0044】
また、置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシ基もしくはその塩の基、スルホン酸基もしくはその塩の基、リン酸基もしくはその塩の基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数7~30のアリールアルキル基、炭素数9~30のアリルアリール基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~20のヘテロアルキル基、炭素数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~15のシクロアルケニル基、炭素数6~15のシクロアルキニル基、または炭素数2~30のヘテロ環基のうちの隣接した2つの置換基が結合して環を形成することもできる。例えば、置換された炭素数6~30のアリール基は、隣接した他の置換された炭素数6~30のアリール基と結合して、置換または非置換のフルオレン環を形成することができる。
【0045】
本明細書で別途の定義がない限り、“ヘテロ”とは、N(窒素原子)、O(酸素原子)、S(硫黄原子)、Se(セレン原子)、およびP(リン原子)から選択されるヘテロ原子を1つ~3つ含有していることを意味する。
【0046】
本明細書で別途の定義がない限り、“飽和脂肪族炭化水素基”は、炭素間の結合が全て単結合からなる官能基、例えば、アルキル基、またはアルキレン基を含む。
【0047】
本明細書で別途の定義がない限り、“不飽和脂肪族炭化水素基”は、炭素間の結合が1つ以上の不飽和結合、例えば、二重結合や三重結合を含む官能基、例えば、アルケニル基、アルキニル基、アルケニレン基、またはアルキニレン基を含む。
【0048】
本明細書で別途の定義がない限り、“芳香族炭化水素基”は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有するグループを意味し、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態と、芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に結合した非芳香族縮合環を含む。より具体的に、置換または非置換の芳香族炭化水素基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクアテルフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合された形態であってもよいが、これらに制限されない。
【0049】
本明細書で“アリール基(aryl group)”は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有するグループを意味し、広くは、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態、および芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に結合された非芳香族縮合環も含む。アリール基は、単環ノサイクリック、多環、または縮合した多環(すなわち、炭素原子の隣接した対を共有する環)の官能基を含む。
【0050】
本明細書で特別な言及がない限り、“組み合わせ”とは混合または共重合を意味する。
また、本明細書で、重合体は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)を全て含むことができる。
【0051】
本明細書で特に言及しない限り、“重量平均分子量”は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社の1200series ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を用いて測定(カラムはShodex社製LF-804、標準試料はShodex社製ポリスチレンを使用する)したものである。
【0052】
半導体産業において、チップの大きさを減少させる要求が絶え間なく続いている傾向にあり、これに対応するために、リソグラフィ技術においてパターニングされるレジストの線幅が数十ナノメートルのサイズを有しなければならない。よって、レジストパターンの線幅に耐えられる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有しない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を設ける技術がある。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じて、フォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たすので、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えられるように、耐エッチング性が要求される。
【0053】
一方、既存のハードマスク層は化学的または物理的蒸着方法で形成されているが、これは、設備規模が大きく、工程単価が高く経済性が落ちる問題がある。これに対して、最近、スピン-コーティング法でハードマスク層を形成することが開発された。スピン-コーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性にさらに優れることになり得る。しかし、前述のハードマスク層に要求される耐エッチング性は、多少低下する傾向を示す。
【0054】
最近、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素の含有量を増大させる研究が活発に行われている。しかし、ハードマスク組成物の炭素含有量を増大させるほど、組成物の溶媒に対する溶解度が低下して、スピン-コーティング法が適用しにくくなることがある。したがって、ハードマスク組成物は、耐エッチング性を改善しながら、溶媒に対する溶解度も低下しないことが要求される。
【0055】
本発明者らは、このような問題を解決して、ギャップフィル特性および平坦化特性に優れながらも耐エッチング性が低下しないハードマスクを形成するためのハードマスク組成物を製造するために、鋭意検討した。これと同時に、ハードマスク組成物が溶媒に対して適切な溶解度を有することができるように鋭意検討した。その結果、ハードマスク組成物に含まれる重合体が、芳香族炭化水素環を含んで組成物内の炭素含有量を増加させることによって、これから形成されるハードマスク層の耐エッチング性を改善しつつ、重合体が第四級炭素を含むことによって、溶媒への溶解性が改善されるようにした。また、ハードマスク組成物に含まれる重合体は、流動性を有する連結基と共に含むことによって、組成物のコーティング工程中の流動性が改善されて、それから製造されたハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性に優れるのを確認して本発明を完成させるに至った。
【0056】
具体的には、本発明によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される構造単位と下記化学式2で表される構造単位とを含む重合体、および溶媒を含む。
【0057】
【化12】
【0058】
上記化学式1中、
Aは、1つ以上のベンゼン環を含む連結基であって、2つ以上のベンゼン環を含む場合、2つ以上のベンゼン環は縮合環を形成するか、または2つ以上のベンゼン環が単結合、-O-、-S-、-NR-(ここで、Rは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~30のアリール基である)、-C(=O)-、-(CH-(CR-(CH-(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、または炭素数3~10のシクロアルキル基であり、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~10の整数であり、ただしm+n+oは1以上である)、もしくはこれらの組み合わせによって連結されている連結基であり、
Bは、1つ以上のヒドロキシ基または炭素数1~10のアルコキシ基で置換された炭素数6~30の芳香族炭化水素環であり、
~Xは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
y1~y4は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
*は、連結地点である:
【0059】
【化13】
【0060】
上記化学式2中、
およびLは、それぞれ独立して、単結合、置換もしくは非置換の2価の炭素数1~15の飽和脂肪族炭化水素基、または置換もしくは非置換の2価の炭素数2~15の不飽和脂肪族炭化水素基であり、
Mは、-O-、-S-、-SO-、または-C(=O)-であり、
およびZは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、
k、l、およびqは、それぞれ独立して、0~4の整数であり、
pは、0または1であり、
*は、連結地点である。
【0061】
上記のように、本発明の重合体は、上記化学式1で表される構造単位と上記化学式2で表される構造単位との両方に芳香族炭化水素環を含むことによって、組成物内の炭素含有量を増大させることができる。また、上記化学式2で表される構造単位を含むことによって、重合体の柔軟性が増加する。柔軟な構造は、重合体の自由体積を増加させて、これを含む組成物の溶解度を向上させるだけでなく、ガラス転移温度(Tg)を低下させることによって、ベークの工程時にリフロー(reflow)を増加させ、このような組成物から形成されたハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性を向上させることができる。
【0062】
また、本発明の重合体は、上記化学式1で表される構造単位1つ当たり2つのフルオレンを含んでおり、重合体内の炭素含有量を増加させながらも、同時に第四級炭素を含むことによって、重合体を含むハードマスク組成物から形成されたハードマスク層が、高い耐エッチング性を有しながらも溶媒への溶解性を向上させることができる。また、上記化学式1中のAおよびBの芳香族炭化水素環は、重合体内の他の芳香族炭化水素環とパイ-パイスタッキング(π-π stacking)などの相互作用を起こして、これを含む組成物から形成されたハードマスク層の平坦化特性を強化することができる。
【0063】
上記化学式1で表される構造単位は、後述の合成例から分かるように、フルオレノンと上記化学式1中のAに該当する環を含む有機金属試薬を、グリニャール反応(Grignard reaction)させた後、得られた生成物に上記化学式1中のBに該当する芳香族炭化水素化合物を追加で反応させて得ることができる。しかしながら、製造方法はこれに限定されない。
【0064】
上記化学式1中のAは、下記グループ1から選択される少なくとも1つの基であってもよい。下記グループ1中、Rは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~30のアリール基であり、*は連結地点である。
【0065】
【化14】
【0066】
他の実施形態で、上記化学式1中のAは、下記グループ1-1から選択される少なくとも1種の基であってもよいが、これらに制限されない。
【0067】
【化15】
【0068】
上記化学式1中のBは、下記グループ2から選択される少なくとも1種の基が、1つ以上のヒドロキシ基または1つ以上の炭素数1~10のアルコキシ基で置換されてもよい。
【0069】
【化16】
【0070】
上記化学式1中のBが、1つ以上のヒドロキシ基または1つ以上の炭素数1~10のアルコキシ基で置換されることによって、これを含む重合体に柔軟性を付与することができる。
【0071】
他の実施形態で、上記化学式1中のBは、下記グループ2-1から選択される少なくとも1種の基であってもよいが、これらに制限されない。
【0072】
【化17】
【0073】
上記グループ2-1中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または炭素数2~10のアルキニル基である。
【0074】
一例として、上記化学式1で表される構造単位は、下記化学式1-1~下記化学式1-11で表される構造単位のうちの少なくとも1種であり得る。
【0075】
【化18】
【0076】
【化19】
【0077】
【化20】
【0078】
【化21】
【0079】
上記化学式1-1~化学式1-11中、
R’およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、または炭素数2~10のアルキニル基である。R’およびR”は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0080】
一例として、R’またはR”が置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である場合、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、またはオクチル基であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、またはヘキシル基であってもよく、これらに制限されない。
【0081】
一例として、R’またはR”が置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基である場合、1つ以上の二重結合を含む構造であってもよく、例えば、ビニル基、プロフェニル基、ブテニル基、ペンテニル基、またはヘキセニル基であってもよく、これらに制限されない。
【0082】
一例として、R’またはR”が置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基である場合、1つ以上の三重結合を含む構造であってもよく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、またはヘキシニル基であってもよく、これらに制限されない。
【0083】
上記化学式1-1~化学式1-11中、X~Xは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のヘテロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数2~30のヘテロ芳香族炭化水素基であり、y1~y4は、それぞれ独立して、0~4の整数であり、*は、連結地点である。
【0084】
上記化学式2中のLおよびLは、それぞれ独立して、単結合、または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、Mは-O-であり、ZおよびZは、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和脂肪族炭化水素基であり、pおよびqはそれぞれ0または1であり、kおよびlは、それぞれ独立して、0~2の整数であってもよい。
【0085】
一実施形態で、上記化学式2で表される基は、下記化学式2-1または下記化学式2-2で表される基であってもよく、これらに制限されない。
【0086】
【化22】
【0087】
上記重合体は、1,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量を有することができる。例えば、1,000g/mol~150,000g/mol、例えば、1,000g/mol~100,000g/mol、例えば、1,200g/mol~50,000g/mol、例えば、1,200g/mol~10,000g/molの重量平均分子量を有することができ、これらに制限されない。上記範囲の重量平均分子量を有することによって、重合体を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0088】
なお、上記重合体は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0089】
本発明に係る重合体は、ハードマスク組成物の総質量を基準にして、0.1質量%~30質量%の含有量で含まれてもよい。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1.5質量%~25質量%、例えば、2質量%~20質量%であってもよく、これらに制限されない。上記範囲であれば、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化程度などを容易に調節することができる。
【0090】
本発明によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができ、溶媒の具体例としては、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、ガンマ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、メチルピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができ、これらに制限されない。溶媒は、上記重合体に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に限定されない。
【0091】
ハードマスク組成物は、追加的に、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0092】
界面活性剤の例としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩などが挙げられるが、これらに制限されない。
【0093】
架橋剤の例としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの架橋形成置換基を有する架橋剤であって、例えば、メトキシメチル化グリコルリル、ブトキシメチル化グリコルリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0094】
また、架橋剤としては、耐熱性の高い架橋剤を使用することができる。耐熱性の高い架橋剤としては、分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0095】
熱酸発生剤の例としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物、および/または2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他に有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0096】
他の実施形態によれば、上述のハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0097】
以下、上述のハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0098】
本発明によるパターン形成方法は、基板の上に材料層を形成する段階、上記材料層の上に上述の重合体および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階、上記フォトレジストパターンを用いて上記ハードマスク層を選択的に除去し上記材料層の一部を露出する段階、ならびに上記材料層の露出された部分をエッチングする段階を含む。
【0099】
基板は、例えば、シリコンウェーハ、ガラス基板、または高分子基板であってもよい。
【0100】
材料層は最終的にパターンしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であってもよい。材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成することができる。
【0101】
ハードマスク組成物は上述の通りであり、溶液形態に製造されて、スピン-オンコーティング法で塗布することができる。この際、組成物の塗布厚さは、特に限定されないが、例えば、50~200,000Åの厚さで塗布できる。
【0102】
ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で、10秒~1時間行うことができる。
【0103】
一例として、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0104】
一実施形態で、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0105】
一実施形態で、ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、100℃~400℃で、10秒~1時間行われる1次熱処理段階を含み、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~800℃で、10秒~1時間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、1次および2次熱処理段階は、空気雰囲気下、窒素雰囲気下、または酸素濃度1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0106】
ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を、200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続の工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えられる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0107】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、紫外光/可視光(UV/Vis)硬化段階、および/または近赤外光(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0108】
一実施形態で、ハードマスク層を形成する段階は、上記の1次熱処理段階、2次熱処理段階、UV/Vis硬化段階、およびnear IR硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0109】
一実施形態で、ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。シリコン含有薄膜層は、例えば、SiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiなどの物質から形成することができる。
【0110】
一実施形態で、フォトレジスト層を形成する段階の前に、シリコン含有薄膜層の上部またはハードマスク層の上部に、底反射防止層(bottom anti-reflective coating、BARC)をさらに形成することもできる。
【0111】
一実施形態で、フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光、または極端紫外線(EUV)などを使用して行うことができる。また、露光後、100~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0112】
一実施形態で、材料層の露出された部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができる。エッチングガスは、例えば、N/O、CHF、CF、Cl、BCl、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0113】
エッチングされた材料層は、複数のパターンに形成することができ、複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど多様であって、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンに適用できる。
【実施例0114】
以下、実施例を通じて、上述の本発明の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0115】
合成例1~3:単量体の合成
(合成例1)
下記反応式1に示すように、フルオレノン 2モル当量とp-ジブロモベンゼン 1モル当量とを混合して、1,4-ビス(9-ヒドロキシ-9-フルオレニル)ベンゼンを製造した後、ここに2モル当量のフェノールを追加で反応させて、下記化学式X1で表される単量体1を得た。
【0116】
【化23】
【0117】
(合成例2)
フルオレノン 2モル当量と4,4’-ジブロモビフェニル 1モル当量とを混合して、9-[4-[4-(9-ヒドロキシ-1,2-ジヒドロフルオレン-9-イル)フェニル]フェニル]フルオレン-9-オールを製造した後、ここに2モル当量のフェノールを追加し反応させて、下記化学式X2で表される単量体2を得た。
【0118】
【化24】
【0119】
(合成例3)
フルオレノン 2モル当量とビス-(4-ブロモフェニル)エーテル 1モル当量とを混合して製造された生成物に、2-ナフトール(2-Naphtol) 2モル当量を追加で反応させて、下記化学式X3で表される単量体3を得た。
【0120】
【化25】
【0121】
(合成例4~8:重合体の合成)
(合成例4)
合成例1で製造された化学式X1で表される単量体 1モル、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン 1モル、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)250gを添加して溶液を準備した。この溶液にジエチルスルファート 10mmolを添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完結した後、メタノールに沈殿させて、モノマーおよび低分子量体を除去して、下記化学式1-1aで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:6,540g/mol)。
【0122】
【化26】
【0123】
(合成例5)
合成例1で得られた単量体の代わりに、合成例2で得られた上記化学式X2で表される単量体を使用したことを除いては、合成例4と同様の方法で、下記化学式1-2aで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:4,318g/mol)。
【0124】
【化27】
【0125】
(合成例6)
合成例2で製造された上記化学式X2で表される単量体 1モル、4,4’-ビスメトキシメチルジフェニルエーテル 1モル、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)250gを添加して溶液を準備した。この溶液に、ジエチルスルファート(5mmol)を添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完結した後、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して、下記化学式1-2bで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,950g/mol)。
【0126】
【化28】
【0127】
(合成例7)
合成例1で得られた単量体の代わりに、合成例3で得られた上記化学式X3で表される単量体を使用したことを除いては、合成例4と同様の方法で、下記化学式1-7aで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,381g/mol)。
【0128】
【化29】
【0129】
(合成例8)
合成例3で製造された化学式X3で表される単量体 1モル、4,4'-ビスメトキシメチルジフェニルエーテル 1モル、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50gを添加して溶液を準備した。この溶液に、ジエチルスルファート 5mmolを添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完結した後、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して、下記化学式1-7bで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:3,127g/mol)。
【0130】
【化30】
【0131】
(比較合成例1)
合成例1で製造された化学式X1で表される単量体 1モル、パラホルムアルデヒド 1モル、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)250gを添加して溶液を準備した。この溶液に、ジエチルスルファート 7mmolを添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完結した後、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して、下記化学式aで表される構造単位を含む重合体(Mw:8,900g/mol)を得た。
【0132】
【化31】
【0133】
(比較合成例2)
合成例2で製造された化学式X2で表される単量体 1モル、パラホルムアルデヒド 1モル、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)250gを添加して溶液を準備した。この溶液に、ジエチルスルファート 7mmolを添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完結した後、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して、下記化学式bで表される構造単位を含む重合体(Mw:13,200g/mol)を得た。
【0134】
【化32】
【0135】
(比較合成例3)
フラスコに9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン 50.0g(0.143mol)、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン 23.7g(0.143mol)、および溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50gを添加して溶液を準備した。この溶液に、ジエチルスルファート1.10g(7.13mmol)を添加した後、100℃で24時間攪拌した。重合が完結した後、メタノールに沈殿させてモノマーおよび低分子量体を除去して、下記化学式cで表される構造単位を含む重合体を得た(Mw:33,500g/mol)。
【0136】
【化33】
【0137】
実施例および比較例:ハードマスク組成物の製造
(実施例1)
合成例4で得られた化合物 3.3gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30gに溶かした後、これを0.1μmのテフロンフィルターでろ過してハードマスク組成物を製造した。
【0138】
(実施例2)
合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例5で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0139】
(実施例3)
合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例6で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0140】
(実施例4)
合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例7で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0141】
(実施例5)
合成例4で得られた化合物の代わりに、合成例8で得られた重合体を使用したことを除いては。実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0142】
(比較例1)
合成例4で得られた化合物の代わりに、比較合成例1で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0143】
(比較例2)
合成例4で得られた化合物の代わりに、比較合成例2で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0144】
(比較例3)
合成例4で得られた化合物の代わりに、比較合成例3で得られた重合体を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法でハードマスク組成物を製造した。
【0145】
評価1:ギャップフィル特性および平坦化特性評価
図1は、ギャップフィル特性および平坦化特性の評価方法を説明するために、ハードマスク層の断面を概略的に示す参考図である。実施例1~5および比較例1~3によるハードマスク組成物を、溶質に対する溶媒の質量比を3対97に調整して、それぞれシリコンパターンウェーハの上に塗布し、ベーク工程を経て厚さ1,100Åの有機膜を形成した。ギャップフィル特性は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用してパターン断面を観察して、ボイド(void)の発生の有無で判別した。平坦化特性(段差測定)は、走査電子顕微鏡(SEM)イメージ上のペリ(peri)領域とセル(cell)領域との厚さを測定して観察した。段差の値は、図1に示す(h0-h4)の計算値である。その結果は、下記表1の通りである。
【0146】
【表1】
【0147】
上記表1を参照すれば、実施例1~5によるハードマスク組成物から形成された有機膜は。比較例1~2によるハードマスク組成物から形成された有機膜よりも、優れた平坦化特性およびギャップフィル特性を有することが分かる。
【0148】
評価2:耐エッチング性評価
実施例1~5および比較例1~3による固形分濃度15質量%のハードマスク組成物を、シリコンウェーハの上にスピン-オンコーティング法で塗布した後、ホットプレートの上で、400℃で2分間熱処理して、4,000Åの厚さで薄膜を形成した。K-MAC社製の薄膜厚さ測定器で薄膜の厚さを測定した。次に、薄膜に対して、CHF/CF混合気体およびN/O混合気体を使用してそれぞれ100秒間および60秒間乾式エッチングした。その後、薄膜の厚さを測定し、乾式エッチング前後の有機膜の厚さの差とエッチング時間とから、下記計算式1によってエッチング率(bulk etch rate、BER)を計算した。計算結果は下記表2の通りである。
【0149】
【数1】
【0150】
【表2】
【0151】
上記表2を参照すれば、実施例1~5によるハードマスク組成物から形成された薄膜は、比較例1~3によるハードマスク組成物から形成された薄膜と比較して、エッチング率が類似するか低いことが分かる。このことから、実施例1~5によるハードマスク組成物は、比較例1~3によるハードマスク組成物と比較して、耐エッチング性が類似した水準であるか高いことが分かる。
【0152】
評価3:溶解度評価
実施例1~5および比較例1~3によるハードマスク組成物を、低温(3℃以下)で3ヶ月間保管して析出量を観察した。
【0153】
溶液を肉眼で見て、固形分が析出されない場合、溶解度が優れる。溶液内で固形分が析出された場合は有、析出されない場合は無と記載した。
【0154】
【表3】
【0155】
上記表3を参照すれば、実施例1~5の組成物は、比較例1~3の組成物よりも向上した溶解度を示すことを確認することができた。
図1