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特開2023-32362磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、当該磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、当該磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032362
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、当該磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、当該磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスク
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/10 20060101AFI20230302BHJP
   C22F 1/04 20060101ALI20230302BHJP
   C22C 18/04 20060101ALI20230302BHJP
   G11B 5/73 20060101ALI20230302BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20230302BHJP
   C22F 1/053 20060101ALI20230302BHJP
   C22F 1/16 20060101ALI20230302BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
C22C21/10
C22F1/04 L
C22C18/04
G11B5/73
G11B5/84 Z
C22F1/053
C22F1/16 B
C22F1/00 661D
C22F1/00 661Z
C22F1/00 630A
C22F1/00 613
C22F1/00 623
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 691Z
C22F1/00 681
C22F1/00 683
C22F1/00 682
C22F1/00 694B
C22F1/00 685Z
C22F1/00 694A
C22F1/00 694
C22F1/00 630J
C22F1/00 630K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138444
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155572
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 恵視
(72)【発明者】
【氏名】北脇高太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本遼
(72)【発明者】
【氏名】畠山英之
(72)【発明者】
【氏名】国分勇磨
【テーマコード(参考)】
5D006
5D112
【Fターム(参考)】
5D006CB04
5D006CB06
5D006CB07
5D006FA00
5D112AA02
5D112AA24
5D112BA06
5D112BA09
5D112GB02
5D112GB04
(57)【要約】
【課題】良好な強度を有し、かつ低コストの磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、このアルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、この磁気ディスク用アルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供する。
【解決手段】Zn:22.0~55.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、導電率が34.0%IACS以上であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク、ならびに、アルミニウム合金板を円環状に打ち抜いたディスクブランクを、200~290℃の温度で0.1~10時間加熱保持する加圧焼鈍工程を含むことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Zn:22.0~55.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、導電率が34.0%IACS以上であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク。
【請求項2】
前記アルミニウム合金が、Fe:0.50mass%以下、Mn:0.50mass%以下、Cu:0.40mass%以下、Cr:0.40mass%以下及びSi:0.50mass%以下からなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有する、請求項1に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板であって、耐力が150MPa以上であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、無電解Ni-Pめっき処理層と、当該無電解Ni-Pめっき処理層の上の磁性体層とを有することを特徴とする磁気ディスク。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法であって、アルミニウム合金板を円環状に打ち抜いたディスクブランクを、200~290℃の温度で0.1~10時間加熱保持する加圧焼鈍工程を含むことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法。
【請求項6】
前記加圧焼鈍工程における圧力が1.0~3.0MPaである、請求項5に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な強度を有し、かつ低コストの磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、このアルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、このアルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と省略する)は、コンピュータや映像記録装置等の電子機器における記憶装置として多用されている。HDDには、データを記録するための磁気ディスクが組み込まれている。磁気ディスクは、アルミニウム合金からなり円環状を呈する磁気ディスク用アルミニウム合金基板と、この表面を覆うNi-Pめっき処理層と、Ni-Pめっき処理層上に積層された磁性体層とを有している。
【0003】
ところで、近年においては、マルチメディア等のニーズから、HDD等の磁気ディスク装置に対する大容量化及び高密度化の要求が高まっている。更なる大容量化のため、記憶装置に搭載される磁気ディスクの枚数は増加傾向にあり、それに伴って磁気ディスクの薄肉化も要求されている。
【0004】
しかしながら、磁気ディスク用アルミニウム合金基板を薄肉化すると強度が低下してしまう問題がある。強度が低下すると、基板が変形し難い程度を示す変形抵抗が低下してしまうため、基板には強度の向上が求められている。
【0005】
このような実情から、近年では高い強度を有する磁気ディスク用アルミニウム合金基板が強く望まれ、検討がなされている。例えば、特許文献1では、アルミニウム合金基板の強度向上に寄与するMg等の元素を多く含有させて、強度を向上させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-153011号公報
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるMg等の含有量を増加して強度を向上させる方法では、めっき性に悪影響を与えるMg-Si系化合物の生成を抑制するため、不可避的不純物であるSiの含有量が少ない高純度のアルミニウム地金を原料として使用する必要があり、コストの面で実現できていない問題が残った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、良好な強度を有し、かつ低コストの磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、このアルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、このアルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、アルミニウム合金の添加元素の含有量と導電率を制御することにより、良好な強度を有する磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクが低コストで得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は請求項1において、Zn:22.0~55.0mass%を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなり、導電率が34.0%IACS以上であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクとした。
【0011】
本発明は請求項2では請求項1において、前記アルミニウム合金が、Fe:0.50mass%以下、Mn:0.50mass%以下、Cu:0.40mass%以下、Cr:0.40mass%以下及びSi:0.50mass%以下からなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有するものとした。
【0012】
本発明は請求項3において、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板であって、耐力が150MPa以上であることを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金基板とした。
【0013】
本発明は請求項4において、請求項3に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、無電解Ni-Pめっき処理層と、当該無電解Ni-Pめっき処理層の上の磁性体層とを有することを特徴とする磁気ディスクとした。
【0014】
本発明は請求項5において、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法であって、アルミニウム合金板を円環状に打ち抜いたディスクブランクを、200~290℃の温度で0.1~10時間加熱保持する加圧焼鈍工程を含むことを特徴とする磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法とした。
【0015】
本発明は請求項6では請求項5において、前記加圧焼鈍工程における圧力が1.0~3.0MPaであるものとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、添加元素の含有量と導電率を制御することによって得られる良好な強度と低コストの磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、このアルミニウム合金ディスクブランクを用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、このアルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
A.磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク(以下、「アルミニウム合金ディスクブランク」又は「ディスクブランク」と記す場合がある)について説明する。アルミニウム合金ディスクブランクは、所定の合金組成のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金板を作製し、これを円環状に打ち抜いて加圧焼鈍を行ったものである。次いで、ディスクブランクに切削加工及び研削加工を順次施し、更に必要に応じて歪取り熱処理を行ってアルミニウム合金基板(以下、「アルミニウム合金基板」又は「基板」と記す場合がある)が得られる。
【0018】
アルミニウム合金ディスクブランクのアルミニウム合金は、必須元素としてZn:22.0~55.0mass%(以下、単に「%」と記す)を含有する。また、任意元素として、Fe:0.50%以下、Mn:0.50%以下、Cu:0.40%以下、Cr:0.40%以下及びSi:0.50%以下からなる群から選択される1種又は2種以上を更に含有する。アルミニウム合金は、上記の必須元素と任意元素と、残部Al及び不可避的不純物からなる。このようなアルミニウム合金からなるアルミニウム合金ディスクブランクは、導電率が34.0%IACS以上の特性を有する。
【0019】
アルミニウム合金のZn含有量が22.0~55.0%であることにより、ディスクブランクの強度が向上し、変形抵抗が優れたものとすることができる。また、MgではなくZnを必須元素に用いるため、Mg-Si系化合物の生成を抑制でき、高純度地金を使用する必要がない。更に、導電率が34.0%IACS以上であることにより、磁気ディスク製造における熱処理によっても安定して高い強度、すなわち、150MPa以上の耐力を維持することができる。以上の結果、高強度と低コストを両立させることができる。
【0020】
A-1.アルミニウム合金の合金組成
アルミニウム合金ディスクブランクに用いるアルミニウム合金の組成及びその限定理由について、以下に詳細に説明する。
【0021】
Zn:22.0~55.0%
Znはアルミニウム合金に必須元素として含有され、固溶ZnやZn粒子として存在し、共にアルミニウム合金基板の強度を向上させる効果を発揮する。また、アルミニウム合金基板のジンケート処理時のジンケート皮膜を均一に、薄く、かつ、緻密に付着させるので、ジンケート処理工程の次工程であるめっき工程において、無電解Ni-Pからなるめっき表面の平滑性を向上させる。
【0022】
しかしながら、Zn含有量が22.0%未満ではアルミニウム合金基板の強度が不十分となり、切削や研削の加工時やHDD落下時等に変形してしまう。一方、Zn含有量が55.0%を超えると、強度が高くなり過ぎるため、圧延時等に割れが発生して製造を行うことができなくなる。更に、原料であるZn地金を多く添加する必要があるため、原料コストが増加する。従って、本発明のアルミニウム合金ディスクブランクでは、アルミニウム合金のZn含有量は22.0~55.0%と規定する。なお、Zn含有量は、強度とコストとの兼合いから、好ましくは28.0~53.0%であり、より好ましくは31.0~53.0%である。
【0023】
アルミニウム合金は、Znに加えて、Fe、Mn、Cu、Cr及びSiからなる群から選択される1種又は2種以上の元素を任意元素として更に含有していてもよい。以下では、各任意元素について詳細に説明する。
【0024】
Fe:0.50%以下
アルミニウム合金は、任意元素としてFeを含有していてもよい。Feは、主として第二相粒子(Al-Fe系金属間化合物等)として、他の一部はマトリックスに固溶して存在し、共にアルミニウム合金基板の強度等を向上させる効果を発揮する。アルミニウム合金中のFe含有量が0.50%を超えると、粗大なAl-Fe系金属間化合物粒子が多数生成する。粗大なAl-Fe系金属間化合物は、アルミニウムマトリックスに比べて硬度が高いため、削り難く、研削加工時の研削レート低下の原因となり、生産コストの増大を招く。また、このような粗大なAl-Fe系金属間化合物粒子が、エッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時において脱落して大きな窪みが発生し、めっきピット発生によるめっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離を発生させる。更に、圧延工程における加工性の低下も招く。更にまた、アルミニウム合金基板の密度が大きくなるため省エネ性が低下する。そのため、アルミニウム合金中のFe含有量は、0.50%以下であり、好ましくは0.30%以下であり、より好ましくは0.10%以下である。Fe含有量の下限値は特に設定するものではないが、Feは通常不可避的不純物として原料中に存在するため、この場合は0.001%程度が下限となる。なお、Fe含有量は0%(0.000%)であってもよい。
【0025】
Mn:0.50%以下
アルミニウム合金は、任意元素としてMnを含有していてもよい。Mnは、主として第二相粒子(Al-Mn系金属間化合物等)として、他の一部はマトリックスに固溶して存在し、共にアルミニウム合金基板の強度等を向上させる効果を発揮する。アルミニウム合金中のMn含有量が0.50%を超えると、粗大なAl-Mn系金属間化合物粒子が多数生成する。粗大なAl-Mn系金属間化合物は、アルミニウムマトリックスに比べて硬度が高いため、削り難く、研削加工時の研削レート低下の原因となり、生産コストの増大を招く。また、このような粗大なAl-Mn系金属間化合物粒子が、エッチング時、ジンケート処理時、切削加工時や研削加工時において脱落して大きな窪みが発生し、めっきピット発生によるめっき表面の平滑性の低下及びめっき剥離を発生させる。更に、圧延工程における加工性の低下も招く。更にまた、アルミニウム合金基板の密度が大きくなるため省エネ性が低下する。そのため、アルミニウム合金中のMn含有量は、0.50%以下であり、好ましくは0.30%以下である。Mnの下限値は特に設定するものではなく、0%であってもよい。
【0026】
Cu:0.40%以下
アルミニウム合金中には、任意成分として0.40%以下のCuが含まれていてもよい。Cuは、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行う際に、アルミニウム合金からのAlの溶出を抑制する作用を有する。Cu含有量を0.40%以下にすることにより、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行う際に、アルミニウム合金基板の表面に、緻密で厚みが薄く、かつ厚みのバラつきが小さいZn皮膜を付着させることができる。そして、このようなZn皮膜を形成することにより、後工程である無電解Ni-Pめっき処理によって平滑な無電解Ni-Pめっき処理層を形成することができる。
【0027】
しかしながら、Cuの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金基板の耐食性が低下し、局所的にAlが溶出し易い領域が形成される。そのため、磁気ディスクの製造過程においてジンケート処理を行う際に、アルミニウム合金基板の表面においてAlの溶解量にムラが発生し、Zn皮膜の厚みのバラつきが大きくなり易い。その結果、無電解Ni-Pめっき処理層とアルミニウム合金基板との密着性の低下や無電解Ni-Pめっき処理層の平滑性の低下を招く。
【0028】
アルミニウム合金中のCuの含有量を0.40%以下、好ましくは0.30%以下とすることにより、めっきピットの形成を抑制し、無電解Ni-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。なお、Cu含有量の下限値については、0.003%とするのが好ましく、0.010%とするのがより好ましい。Cu含有量は0%(0.000%)であってもよい。
【0029】
Cr:0.40%以下
アルミニウム合金中は、任意成分として0.40%以下のCrを含有していてもよい。Crの一部は、鋳造時に生じる微細な金属間化合物としてアルミニウム合金ディスクブランク中に分散している。鋳造時に金属間化合物を形成しなかったCrはAlマトリクス中に固溶し、固溶強化によってアルミニウム合金基板の強度を向上させる作用を有する。
【0030】
また、Crは、切削性及び研削性をより高めるとともに再結晶組織をより微細化する作用を有する。その結果、アルミニウム合金基板と無電解Ni-Pめっき処理層との密着性をより高め、めっきピットの発生を抑制する。
【0031】
しかしながら、アルミニウム合金中のCrの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金ディスクブランク中に粗大なAl-Cr系金属間化合物が形成され易くなる。このような粗大なAl-Cr系金属間化合物がアルミニウム合金基板の表面から脱落した場合、後工程の無電解Ni-Pめっき処理においてめっきピットが形成され易くなる。
【0032】
アルミニウム合金中のCr含有量を0.40%以下、好ましくは0.30%以下とすることにより、めっきピットの形成を抑制し、平滑な無電解Ni-Pめっき処理層を形成するとともに、アルミニウム合金基板の強度をより向上させることができる。Cr含有量の下限値については特に設定するものではなく、0%であってもよい。
【0033】
Si:0.50%以下
アルミニウム合金は、任意成分として0.50%以下のSiを含有していてもよい。Siは、アルミニウム合金にFeが含有される場合に、Feとの間にAl-Fe-Si系金属間化合物を形成する。
【0034】
このようなAl-Fe-Si系金属間化合物がアルミニウム合金基板の表面から脱落した場合、後工程である無電解Ni-Pめっき処理においてめっきピットが形成され易くなる。アルミニウム合金中のSi含有量を0.50%以下、好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.01%以下とすることにより、アルミニウム合金基板中に存在する上記金属間化合物量をより低減することができる。その結果、めっきピットの形成を抑制し、無電解Ni-Pめっき処理層の平滑性をより高めることができる。
【0035】
上記金属間化合物によるめっきピットの発生を抑制するためには、Siの含有量をより少なくすることが好ましい。しかしながら、Siは、一般的な純度の地金はもとより、Alの純度が99.9%以上である高純度の地金にも含まれている。そのため、Siを殆ど含有しないアルミニウム合金ディスクブランクを作製しようとすると、鋳造時にこれらの元素を除去するための特殊な処理を行う必要があり、アルミニウム合金ディスクブランクの製造コストの増大を招くことになる。
【0036】
特に、アルミニウム合金中のSi含有量が0.01%以下のものを用いることにより、これを除去するための特殊な処理を行うことなくアルミニウム合金ディスクブランクを作製することができる。その結果、アルミニウム合金ディスクブランクの製造コストの増大を回避しつつ、その平滑性をより高めることができる。また、アルミニウム合金中のSi含有量が0.01%を超えても0.50%以下であれば、より純度の低い地金を用いてアルミニウム合金ディスクブランクを作製することができる。これにより、上記金属間化合物の生成を抑制しつつ、アルミニウム合金ディスクブランクの材料コストをより低減することができる。
【0037】
その他の元素
アルミニウム合金には、上述した必須成分及び任意成分以外の不可避的不純物となる元素が含まれていてもよい。これらの元素としては、Mg、Ni、Zr、Ti、B、Gaなどが挙げられ、各元素について0.10%以下、合計で0.30%以下であれば本発明の作用効果を損なわない。
【0038】
また、上述のように本発明においては、Fe、Siを任意成分として積極的に添加することもできるが、積極的に添加せず不可避的不純物として含有される場合もある。SiとFeは、一般的な純度の地金はもとより、Alの純度が99.9%以上である高純度の地金にも不可避的不純物として含まれる。そして、このように不可避的不純物として含まれる場合も任意成分の場合と同様に、Fe含有量については、0.50%以下、好ましくは0.30%以下、より好ましくは0.10%以下であれば、また、Siについては、0.50%以下、好ましくは0.10%以下、より好ましくは0.01%以下であれば、本発明の作用効果は損なわれない。
【0039】
A-2.アルミニウム合金ディスクブランクの導電率:34.0%IACS以上
アルミニウム合金ディスクブランクの導電率は、その値が大きいほど、金属元素の固容量が少なくなることが知られている。上記アルミニウム合金ディスクブランクの導電率を34.0%IACS以上とすることにより、特にZnの固容量が少なくなり、後工程であるディスクブランクの歪取り熱処理工程、ならびに、磁気ディスクの製造工程において磁性体を付着させるスパッタリング工程や保護層形成のCVD工程等の熱処理工程によって、若干の低下はみられるものの大幅に強度が低下することはなく、安定して高強度を維持することができるものである。つまり、ディスクブランクの状態で例え高強度を有していても導電率が低くZnの固溶量が多いものは、上記の歪取り熱処理後のディスクブランクの状態、ならびに、スパッタリングやCVDなどの熱処理後のアルミニウム合金基板の状態において、固溶Znが析出することで強度が大幅に低下してしまう。そこで、アルミニウム合金ディスクブランクの状態において、高強度を維持しつつ導電率を高くしておくことで、後工程の熱処理によってもZnの析出を抑制し、その結果、強度の若干の低下はあるものの基準となる高強度を維持することができるものである。
【0040】
アルミニウム合金ディスクブランクの導電率が34.0%IACS未満の場合にはZnの固容量が多く、上述のように、後工程である磁気ディスクの製造工程における熱処理によってZnが析出することで強度が低下する。そのため導電率は34.0%IACS以上とする。この導電率は、好ましくは、36.0%IACS以上、より好ましくは38.0%IACS以上である。導電率の上限は特に設定するものではないが、本発明の合金組成や製造方法に拠れば50.0%IACS程度である。
【0041】
導電率の測定には例えば、導電率計(GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社製「AutoSigma 3000」)を用いることができる。導電率の測定は、25℃の環境下において、渦電流法により厚さが1mm以上2mm以下の試験材に対して行う。
【0042】
A-3.耐力:150MPa以上
本発明においては、高強度の観点から、アルミニウム合金基板の耐力が150MPa以上であることが好ましい。この耐力が150MPa未満の場合、切削や研削の加工時のディスクブランクやHDD落下時のアルミニウム合金基板が変形してしまう虞がある。そのため、耐力は150MPa以上が好ましく、180MPa以上がより好ましく、200MPa以上が最も好ましい。耐力の上限は特に設定するものではないが、本発明の合金組成や製造方法に拠れば300MPa程度である。ここで、アルミニウム合金基板の耐力とは、切削・研削の加工後のディスクブランクに歪取り熱処理を施した状態の耐力、ならびに、磁気ディスクの製造工程において磁性体を付着させるスパッタリング工程や保護層形成のCVD工程等の熱処理工程を施した状態の耐力を云う。
【0043】
A-4.アルミニウム合金板の製造方法
(1)鋳造工程
所定の合金組成のアルミニウム材の原料を溶解し、溶湯を溶製してからこれを鋳造して鋳塊を作製する。鋳造としては、半連続鋳造(DC鋳造)法や金型鋳造法、連続鋳造(CC鋳造)法が用いられる。DC鋳造法においては、スパウトを通して注がれた溶湯が、ボトムブロックと、水冷されたモールドの壁、ならびに、インゴット(鋳塊)の外周部に直接吐出される冷却水で熱を奪われ、凝固し、鋳塊として下方に引き出される。金型鋳造法においては、鋳鉄等で作られた中空の金型に注がれた溶湯が、金型の壁に熱を奪われ、凝固し、鋳塊が出来上がる。CC鋳造法では、一対のロール(又は、ベルトキャスタ、ブロックキャスタ)の間に鋳造ノズルを通して溶湯を供給し、ロールからの抜熱で薄板を直接鋳造する。
【0044】
このような鋳造工程において、溶湯中の溶存ガスを低減する脱ガス処理及び溶湯中の固形物を除去するろ過処理をインラインで行うことが好ましい。
【0045】
脱ガス処理としては、例えば、SNIF(Spinning Nozzle Inert Flotation)プロセスと呼ばれる処理方法やAlpurプロセスと呼ばれる処理方法等を採用することができる。これらのプロセスにおいては、羽根付き回転体により溶湯を高速で攪拌しながらアルゴンガスやアルゴンと塩素との混合ガス等のプロセスガスを吹き込み、溶湯中にプロセスガスの微細な気泡を形成する。これにより、溶湯中に溶存した水素ガスや介在物を短時間で除去することができる。脱ガス処理には、インライン式の脱ガス装置を使用することができる。
【0046】
ろ過処理としては、例えば、ケークろ過方式やろ材ろ過方式などを採用することができる。また、ろ過処理には、例えば、セラミックチューブフィルター、セラミックフォームフィルター、アルミナボールフィルタ-などのフィルターを使用することができる。
【0047】
(2)均質化処理工程
鋳塊を作製した後に熱間圧延を行うまでの間に、必要に応じて鋳塊の面削を行い、均質化処理を行ってもよい。均質化処理における保持温度は、例えば300~450℃の範囲から適宜設定することができる。また、均質化処理における保持時間は、例えば1~60時間の範囲から適宜設定することができる。
【0048】
(3)熱間圧延工程
次に、鋳塊に熱間圧延を行い、熱間圧延板を作製する。熱間圧延の圧延条件は特に限定されるものではないが、例えば、開始温度を300~450℃の範囲とし、終了温度を260~380℃の範囲として熱間圧延を行うことができる。
【0049】
(4)冷間圧延工程
熱間圧延を行った後、得られた熱間圧延板に1パス以上の冷間圧延を行うことにより、冷間圧延板を得ることができる。冷間圧延の圧延条件は特に限定されることはなく、所望するアルミニウム合金板の厚み及び強度に応じて適宜設定すればよい。例えば、冷間圧延における総圧下率は20~95%とすることができる。また、冷間圧延板の厚みは、例えば、0.2~1.9mmの範囲から適宜設定することができる。
【0050】
(5)焼鈍工程
上記態様の製造方法においては、冷間圧延における1パス目の前及びパス間のうち少なくとも一方において、必要に応じて焼鈍処理を行ってもよい。焼鈍処理は、バッチ式熱処理炉を用いて行ってもよいし、連続式熱処理炉を用いて行ってもよい。バッチ式熱処理炉を用いる場合、焼鈍時の保持温度を250~430℃、保持時間を0.1~10時間の範囲とすることが好ましい。また、連続式熱処理炉を用いる場合、炉内の滞在時間を60秒以内、炉内の温度を350~450℃とすることが好ましい。このような条件で焼鈍処理を行うことにより、冷間圧延時の加工性を回復させることができる。
以上の工程によって、アルミニウム合金板が作製される。
【0051】
A-3.アルミニウム合金ディスクブランクの製造方法
上記のアルミニウム合金板からアルミニウム合金ディスクブランクを作製するに当たっては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、アルミニウム合金板に打ち抜き加工を行って円環状を呈するブランクを作製する。その後、ブランクを厚み方向の両側から加圧しながら加熱して加圧焼鈍を行うことにより、アルミニウム合金ディスクブランクを作製するものである。この加圧焼鈍によって歪みを低減させ、平坦度を向上させる。後述のような条件で加圧焼鈍を行うことにより、固溶Zn等の析出によってディスクブランクの導電率を増加させることができる。これにより、切削・研削加工後の歪取り熱処理や、磁気ディスクの製造工程における熱処理によって強度の低下が生起しても、150MPa以上の耐力を維持することが可能になる。
【0052】
加圧焼鈍における保持温度は、200~290℃とすることが好ましく、220~280℃とすることがより好ましい。加圧焼鈍における保持時間は0.1~10時間の範囲とすることが好ましい。焼鈍時の圧力は、例えば1.0~3.0MPaの範囲から適宜選択することができる。
【0053】
保持温度が200℃未満の場合、保持時間が0.1時間未満の場合、圧延時に導入された歪を完全に除去することが困難で、その後の熱処理で平坦度が悪化する虞がある。一方、保持温度が290℃を超える場合は、Znが固溶して導電率が低下し、強度の安定性が不十分となる虞がある。また、保持時間が10時間を超える場合、効果が飽和し、コストも増加する虞がある。
【0054】
加圧焼鈍を行った後、ディスクブランクに切削加工及び研削加工を順次行い、次いで、200~290℃で0.1~10.0時間の条件で、加工時の歪を除去する歪取り熱処理を必要に応じて行う。これらの加工工程によって、所望の形状を有するアルミニウム合金基板とする。
【0055】
B.磁気ディスク
B-1.磁気ディスクの構成
上記アルミニウム合金基板を備えた磁気ディスクは、例えば、以下の構成を有する。即ち、磁気ディスクは、アルミニウム合金基板と、このアルミニウム合金基板表面を覆う無電解Ni-Pめっき処理層と、この無電解Ni-Pめっき処理層上に積層された磁性体層とを有する。なお、無電解Ni-Pめっき処理層は、無電解めっき処理により形成した無電解Ni-Pめっき処理層であることが好ましい。
【0056】
磁気ディスクは、更に、ダイヤモンドライクカーボンなどの炭素系材料からなり、磁性体層上に積層された保護層と、潤滑油からなり、保護層上に塗布された潤滑層とを有していてもよい。
【0057】
B-2.磁気ディスクの製造方法
アルミニウム合金基板から磁気ディスクを製造するに当たっては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、アルミニウム合金基板に脱脂洗浄を行いアルミニウム合金基板の表面に付着した加工油等の油分を除去する。脱脂洗浄の後、必要に応じて、酸を用いてアルミニウム合金基板にエッチングを施してもよい。エッチングを行った場合には、エッチング後に、エッチングによって生じたスマットをアルミニウム合金基板から除去するデスマット処理を行なうことが好ましい。これらの処理における処理条件は、処理液の種類に応じて適宜設定することができる。
【0058】
これらのめっき前処理を行った後に、アルミニウム合金基板の表面にZn皮膜を形成するジンケート処理を行う。ジンケート処理においては、AlをZnに置換する亜鉛置換めっきを行うことにより、Zn皮膜を形成することができる。ジンケート処理としては、1回目の亜鉛置換めっきを行った後に、アルミニウム合金基板の表面に形成されたZn皮膜を一旦剥離し、再度亜鉛置換めっきを行ってZn皮膜を形成する、いわゆるダブルジンケート法を採用するのが好ましい。ダブルジンケート法によれば、1回目の亜鉛置換めっきのみによって形成されるZn皮膜に比べて、より緻密なZn皮膜をアルミニウム合金基板表面に形成することができる。その結果、後工程の無電解Ni-Pめっき処理において無電解Ni-Pめっき処理層の欠陥を低減することができる。
【0059】
ジンケート処理によってアルミニウム合金基板の表面にZn皮膜を形成した後に、90℃前後にて無電解Ni-Pめっき処理を行うことにより、Zn皮膜を無電解Ni-Pめっき処理層によって置換することができる。そして、無電解Ni-Pめっき処理においてこのようなZn皮膜を無電解Ni-Pめっき処理層によって置換することにより、めっきピットが少なく平滑な無電解Ni-Pめっき処理層を形成することができる。
【0060】
無電解Ni-Pめっき処理層の厚さを厚くすると、めっきピットが少なくなる傾向があり、平滑な無電解Ni-Pめっき処理層を形成することができる。従って、めっき厚は7μm以上が好ましく、より好ましくは18μm以上であり、更に好ましくは25μm以上である。なお、実用上、めっき厚の上限値は40μm程度である。
【0061】
無電解Ni-Pめっき処理の後に、無電解Ni-Pめっき処理層を研磨することにより、無電解Ni-Pめっき処理層の表面の平滑性を更に高めることができる。
【0062】
無電解Ni-Pめっき処理の後に(研磨処理も含めて)、無電解Ni-Pめっき処理層上に、スパッタリングによって磁性体を付着させて磁性体層を形成する。磁性体層は、単一の層から構成されていてもよく、又は、互いに異なる組成を有する複数の層から構成されていてもよい。スパッタリングを行った後に、CVDによって磁性体層上に炭素系材料からなる保護層を形成する。次いで、保護層上に潤滑油を塗布して潤滑層を形成する。以上により、磁気ディスクを得ることができる。
【実施例0063】
アルミニウム合金板及びその製造方法、ならびに、このアルミニウム合金板から作製するアルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法の例について説明する。
【0064】
これらのアルミニウム合金板及びその製造方法、ならびに、このアルミニウム合金板から作製するアルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法の具体的な態様は、以下に示す実施例の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で実施例から適宜構成を変更することができる。
【0065】
(1)アルミニウム合金板の作製
以下の方法により、本実施例において評価に使用するアルミニウム合金板を作製した。まず、溶解炉において、表1に示す合金組成を有する溶湯を調製した。なお、表1において、「-」は測定限界値未満を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
次に、溶解炉内の溶湯を移し、表2に示すように金型鋳造方法で鋳塊を作製した。次いで、鋳塊の表面を面削し、鋳塊表面に存在する偏析層を除去した。面削を行った後に鋳塊を表2に示す条件で均質化処理を行った。次いで、表2に示す条件で熱間圧延を実施して厚さ3mmの熱間圧延板を得た。更に、表2に示すように熱間圧延板を総圧化率75%で冷間圧延を実施し、厚さ0.75mmの冷間圧延板を得た。
【0068】
【表2】
【0069】
(2)アルミニウム合金ディスクブランクの作製
上記アルミニウム合金板に打ち抜き加工を施し、外径98mm、内径24mmの円環状を呈するブランクを得た。次いで、得られたブランクを厚み方向の両側から加圧しつつ、表2に示す温度で3時間保持して加圧焼鈍を実施してアルミニウム合金ディスクブランクを得た。
【0070】
なお、加圧焼鈍後の各ディスクブランクの外周端面及び内周端面に切削加工を施し、外径97mmで内径25mmの形状に加工した。その後、各アルミニウム合金ディスクブランクの板面に、研削量が10μmとなるように研削加工を施して、アルミニウム合金基板を作製した。
【0071】
・導電率の測定
上記アルミニウム合金ディスクブランクを測定試料に用いて、導電率(%IACS)を測定した。測定には、導電率計(GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ株式会社製「AutoSigma 3000」)を用いて、渦電流法によって25℃の環境下において測定した。なお、測定試料の板厚が1mm未満の場合は、これらを2枚以上重ねて厚さが1mm以上2mm以下となるようにして導電率を測定した。導電率の評価は、34.0%IACS以上の場合を合格(A)、それ未満を不合格(B)とした。結果を表2に示す。
【0072】
耐力の測定
加圧焼鈍処理を行ったディスクブランクに対して、ならびに、これらディスクブランクに磁気ディスクの製造工程で実施される熱処理を模擬して表3に示す加圧焼鈍後熱処理を実施したものに対して耐力の測定を行った。測定は、JIS Z2241に準拠し、圧延方向に沿ってJIS5号試験片を採取してn=1にて測定した。強度の評価は、耐力が150MPa以上の場合を合格(A)、150MPa未満を不合格(B)とした。
【0073】
【表3】
【0074】
表3に示すように、実施例1~6では、加圧焼鈍後の耐力が合格(A)であり、34.0%IACS以上の導電率を示した。その結果、加圧焼鈍後熱処理を施しても耐力低下が抑制されて耐力が合格(A)を維持していた。
【0075】
一方、比較例1~4では、合金組成及び導電率のいずれかが本発明の規定から外れていた。その結果、加圧焼鈍後熱処理を施した後の耐力低下が著しく耐力が不合格(B)となった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明により、特定の合金組成をと導電率を有することで、良好な強度を有する磁気ディスク用アルミニウム合金ディスクブランク及びその製造方法、このアルミニウム合金ディスクブランクを用いたアルミニウム合金基板、ならびに、このアルミニウム合金基板を用いた磁気ディスクを提供できる。