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特開2023-32646基板処理装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032646
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】基板処理装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230302BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20230302BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H02P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138905
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】太田 厳之
【テーマコード(参考)】
5F131
5H501
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA02
5F131BA04
5F131BA22
5F131BA23
5F131BA24
5F131CA62
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA37
5F131DA42
5F131DA43
5F131DB02
5F131DB03
5F131DB54
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
5F131EA04
5F131EA14
5F131EA17
5F131EA23
5F131EB75
5F131EC02
5F131EC05
5F131FA35
5F131GA13
5F131HA29
5F131JA16
5F131JA22
5F131JA23
5F131JA26
5F131JA27
5F131JA28
5F131JA32
5F131KA02
5F131KA40
5F131KA52
5F131KA72
5F131KB12
5F131KB32
5H501AA22
5H501BB03
5H501FF05
5H501GG01
5H501HA07
5H501LL07
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL36
5H501MM02
5H501PP02
(57)【要約】
【課題】サーボモータにより制御される搬送装置の消費電力を削減できる技術を提供する。
【解決手段】対象物を搬送する搬送装置を備える技術であって、搬送装置は、(a)モータと、(b)モータの駆動回路と、(c)モータの出力軸の回転角度を検出するエンコーダと、(d)モータの出力軸の運動を対象物に伝達させる駆動系と、(e)対象物と連動する駆動系の所定部位が、所定位置に来たことを検知する原点センサと、(f)駆動回路を含み、エンコーダと原点センサの検出に基づいて、対象物の現在位置を記録し、対象物が目標位置となるよう制御するサーボアンプと、(g)少なくとも前記駆動回路をオフしている間、前記エンコーダの検出に基づいて前記所定部位の絶対位置を取得する絶対位置保持部と、(h)前記サーボアンプと双方向通信可能に構成され、前記駆動回路がオンになったときに、前記絶対位置保持部に記録された現在位置を前記所定部位の現在位置として、サーボ制御を再開させる節電コントローラと、を備える技術が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を搬送する搬送装置を備える基板処理装置であって、
前記搬送装置は、
(a)モータと、
(b)前記モータの駆動回路と、
(c)前記モータの出力軸の回転角度を検出するエンコーダと、
(d)前記モータの出力軸の運動を前記対象物に伝達させる駆動系と、
(e)前記対象物と連動する前記駆動系の所定部位が、所定位置に来たことを検知する原点センサと、
(f)前記駆動回路を含み、前記エンコーダと前記原点センサの検出に基づいて、前記対象物の現在位置を記録し、前記対象物が目標位置となるよう制御するサーボアンプと、
(g)少なくとも前記駆動回路をオフしている間、前記エンコーダの検出に基づいて前記所定部位の絶対位置を取得する絶対位置保持部と、
(h)前記サーボアンプと双方向通信可能に構成され、前記駆動回路がオンになったときに、前記絶対位置保持部に記録された現在位置を前記所定部位の現在位置として、サーボ制御を再開させる節電コントローラと、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記(a)乃至前記(g)のセットを複数備え、
前記節電コントローラは、前記搬送装置が所定の状態にあるときに複数の前記駆動回路の内の指定された一つ以上をオフにし、その他の駆動回路をオンにし、前記駆動回路がオフにされた前記モータの出力軸又は前記対象物は動きが規制されていない状態となっている、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記節電コントローラは、節電状態からの復帰から、新たな目標位置を前記サーボアンプに与えるまでの間、前記対象物が現在位置で静止するように前記サーボアンプを制御する、基板処理装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記節電コントローラは、節電状態に入る前に前記搬送装置がホームポジションとなるように、前記サーボアンプを制御する、基板処理装置。
【請求項5】
半導体装置の製造方法であって、対象物を搬送する搬送装置は、モータと、前記モータの駆動回路と、前記モータの出力軸の回転角度を検出するエンコーダと、前記モータの出力軸の運動を前記対象物に伝達させる駆動系と、前記対象物と連動する前記駆動系の所定部位が、所定位置に来たことを検知する原点センサと、前記エンコーダと前記原点センサの検出に基づいて、前記対象物の現在位置を記録し、前記対象物が目標位置となるよう制御するサーボアンプと、少なくとも前記駆動回路をオフしている間、前記エンコーダの検出に基づいて前記所定部位の絶対位置を取得する絶対位置保持部と、前記サーボアンプと双方向通信可能に構成され、前記駆動回路がオンになったときに、前記絶対位置保持部に記録された現在位置を前記所定部位の現在位置として、サーボ制御を再開させる節電コントローラを備え、
前記搬送装置に前記対象物であるウエハを、前記駆動回路をオンとして、ボートに装填する工程と、
前記駆動回路をオフとして、前記ボートを処理炉に装入し基板を処理する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程における基板処理では、例えば、複数枚の基板(半導体シリコンウエハ)を一括して処理する縦型基板処理装置が使用されている。この種の基板処理装置では、密閉式の基板収容器であるポッドを搬送するポッド搬送装置や、ポッド内の基板をボート(基板保持具)へ搬送するウエハ搬送装置(移載機)が設置されている。ポッド搬送装置は、サーボモータの制御により、ポッドを保持して昇降可能、進退可能、および横行可能に構成されている。また、ウエハ搬送装置は、ウエハを保持する所要枚数のウエハ載置プレートを具備している。ウエハ載置プレートは、サーボモータの制御により、水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、および垂直方向に昇降可能に構成されている。基板処理装置に採用されるモータの制御方法が特開2000-152676号公報に提案されている。このような複数のサーボモータを含む搬送装置の消費電力が大きくなることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-152676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、サーボモータにより制御される搬送装置の消費電力を削減できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
対象物を搬送する搬送装置を備える技術であって、
前記搬送装置は、
(a)モータと、
(b)前記モータの駆動回路と、
(c)前記モータの出力軸の回転角度を検出するエンコーダと、
(d)前記モータの出力軸の運動を前記対象物に伝達させる駆動系と、
(e)前記対象物と連動する前記駆動系の所定部位が、所定位置に来たことを検知する原点センサと、
(f)前記駆動回路を含み、前記エンコーダと前記原点センサの検出に基づいて、前記対象物の現在位置を記録し、前記対象物が目標位置となるよう制御するサーボアンプと、
(g)少なくとも前記駆動回路をオフしている間、前記エンコーダの検出に基づいて前記所定部位の絶対位置を取得する絶対位置保持部と、
(h)前記サーボアンプと双方向通信可能に構成され、前記駆動回路がオンになったときに、前記絶対位置保持部に記録された現在位置を前記所定部位の現在位置として、サーボ制御を再開させる節電コントローラと、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、サーボモータにより制御される搬送装置の消費電力を削減できる。前記節電コントローラは、駆動回路を再びオンしたときに、位置決め制御やモーション制御などのサーボ制御を、記録した現在位置から開始できるので、前記搬送装置の消費電力を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の斜透視図である。
図2】本開示の実施形態で好適に用いられるウエハ搬送機構の概略斜視図である。
図3】本開示の実施形態で好適に用いられるウエハ搬送機構を制御するモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】本開示の実施形態で好適に用いられるサーボアンプの概略構成を示すブロック図である。
図5】本開示の実施形態で好適に用いられるサーボモータの駆動系の概略構成を説明する構成図である。
図6】本開示の実施形態で好適に用いられるサーボモータの動作タイミングを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0009】
(実施態様)
(基板処理装置の概要)
本実施形態で説明する基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を処理室に収容した状態で当該基板をヒータによって加熱して処理を施すものである。さらに詳しくは、複数の基板を鉛直方向に所定の間隔で積層した状態で同時に処理を行う縦型の基板処理装置である。
【0010】
基板処理装置が処理対象とする基板としては、例えば、半導体装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。また、基板処理装置が行う処理としては、例えば、酸化処理、拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)反応による成膜処理等が挙げられる。
【0011】
(基板処理装置の概略構成)
次に、本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の斜透視図である。
【0012】
(装置全体)
図1に示されるように、基板処理装置1は筐体13を備え、筐体13の正面壁14の下部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口(不図示)が開設され、該正面メンテナンス口は正面メンテナンス扉16によって開閉される。
【0013】
筐体13の正面壁14にはポッド搬入搬出口17が筐体13の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口17はフロントシャッタ18によって開閉され、ポッド搬入搬出口17の正面前方側にはロードポート19が設置されており、ロードポート19は載置されたポッド21を位置合せするように構成されている。
【0014】
ポッド21は密閉式の基板収容器であり、図示しない工程内搬送装置によってロードポート19上に搬入され、又、該ロードポート19上から搬出されるようになっている。
【0015】
筐体13内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚22が設置されており、回転式ポッド棚22は複数個のポッド21を格納するように構成されている。又、正面メンテナンス口内であり、ロードポート19の下方には予備ポッド棚23が設置されており、予備ポッド棚23は複数個のポッド21を格納するように構成されている。
【0016】
回転式ポッド棚22は垂直に立設されて間欠回転される支柱(不図示)と、該支柱に上中下段の各位置において放射状に支持された複数段の棚板(不図示)とを備えている。棚板はポッド21を複数個載置した状態で格納するように構成されている。
【0017】
回転式ポッド棚22の下方には、ポッドオープナ26が設けられ、ポッドオープナ26はポッド21を載置し、ポッド21の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0018】
ロードポート19と回転式ポッド棚22、ポッドオープナ26との間には、ポッド搬送装置27が設置されている。又、ポッド搬送装置27は、ポッド21を保持して昇降可能、進退可能、横行可能となっており、ロードポート19、回転式ポッド棚22、ポッドオープナ26との間でポッド21を搬送するように構成されている。ポッド搬送装置27は、ポッド21を昇降(上下方向に搬送)可能にするサーボモータと、ポッド21を進退(前後方向に搬送)可能するサーボモータと、横行(左右方向に搬送)可能にするサーボモータと、各サーボモータを制御する3つのサーボアンプなどを有している。
【0019】
筐体13内の前後方向の後方寄りに於ける下部には、サブ筐体28が後端に亘って設けられている。サブ筐体28の正面壁29にはウエハ(基板)31をサブ筐体28内に対して搬入搬出する為のウエハ搬入搬出口32が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口32に対してポッドオープナ26がそれぞれ設けられている。
【0020】
ポッドオープナ26はポッド21を載置する載置台33と、ポッド21の蓋を開閉する開閉機構34とを備えている。ポッドオープナ26は載置台33に載置されたポッド21の蓋を開閉機構34によって開閉することにより、ポッド21のウエハ出入口を開閉するように構成されている。
【0021】
サブ筐体28はポッド搬送装置27や回転式ポッド棚22が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室(ローディングエリア)35を構成している。移載室35の前側領域にはウエハ搬送機構(以後、移載機ともいう)36が設置されており、移載機36は、ウエハ31を保持する所要枚数(図示では5枚)のウエハ載置プレート(基板支持部)37を具備し、ウエハ載置プレート37は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又垂直方向に昇降可能となっている。移載機36はボート(基板保持具)38に対してウエハ31を装填及び払出しするように構成されている。移載機36は、ウエハ載置プレート37を水平方向に直動可能にするサーボモータと、ウエハ載置プレート37を水平方向に回転可能するサーボモータと、ウエハ載置プレート37を垂直方向に昇降可能にするサーボモータと、各サーボモータを制御する3つのサーボアンプなどを有している。ウエハ載置プレート37はツィーザとも呼ばれ、例えば、5枚の載置プレートにより構成することができる。
【0022】
移載室35の上方には、スカベンジャ(不図示)を挟んでヒータ室(不図示)が設けられ、その中に縦型の処理炉12が設置される。処理炉12は内部に処理室を形成し、処理室の下寄りの炉口部はスカベンジャ内に位置する。炉口部の下端は開口しており、炉口シャッタ(不図示)により開閉されるようになっている。
【0023】
サブ筐体28の側面にはボート38を昇降させる為のボートエレベータ42が設置されている。ボートエレベータ42の昇降台に連結されたアーム(不図示)には蓋体としてのシールキャップ44が水平に取付けられており、シールキャップ44はボート38を垂直に支持し、ボート38を処理炉12に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。ボート38は、複数枚(例えば、50枚~175枚程度)のウエハ31をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持するように構成されている。
【0024】
ボートエレベータ42側と対向した位置にはクリーンユニット(図示せず)が配設され、該クリーンユニットは、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエアを供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。移載機36とクリーンユニットとの間には、ウエハ31の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0025】
クリーンユニットから吹出されたクリーンエアは、ノッチ合せ装置、移載機36、ボート38に流通された後に、一部は局所排気ダクト(又は共通排気ダクト)等により吸込まれて、排気ダクトを通じて筐体13の外部に排気され、他の一部はクリーンユニットによって再び移載室35内に吹出されるように構成されている。
【0026】
次に、基板処理装置1の作動について説明する。
【0027】
ポッド21がロードポート19に供給されると、ポッド搬入搬出口17がフロントシャッタ18によって開放される。ロードポート19上の移載対象物であるポッド21はポッド搬送装置27によって筐体13の内部へポッド搬入搬出口17を通して搬入され、回転式ポッド棚22の指定された棚板へ載置される。ポッド21は回転式ポッド棚22で一時的に保管された後、ポッド搬送装置27により棚板からいずれか一方のポッドオープナ26に搬送されて載置台33に移載されるか、もしくはロードポート19から直接載置台33に移載される。
【0028】
載置台33に載置されたポッド21はその開口側端面がサブ筐体28の正面壁29に於けるウエハ搬入搬出口32の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構34によって取外され、ウエハ出入口が開放される。
【0029】
ポッド21がポッドオープナ26によって開放されると、移載機36は移載対象物であるウエハ31をポッド21から取出し、ボート38に装填(チャージング)する。ボート38にウエハ31を受渡した移載機36はポッド21に戻り、次のウエハ31をボート38に装填する。
【0030】
予め指定された枚数のウエハ31がボート38に装填されると炉口シャッタによって閉じられていた処理炉12の炉口部が炉口シャッタによって開放される。続いて、ボート38はボートエレベータ42によって上昇され、処理炉12に搬入(ローディング)される。
【0031】
ローディング後は、処理炉12にてウエハ31に任意の処理が実施される。処理後は、上述の手順と逆の手順により、ウエハ31及びポッド21が筐体13の外部へと搬出される。
【0032】
(ウエハ搬送機構(移載機)の構成例)
図2は、本開示の実施形態で好適に用いられるウエハ搬送機構の概略斜視図である。図2を用いて、ウエハ搬送機構(移載機)の構成例を説明する図である。
【0033】
移載機36は、上下方向(Z軸方向)に沿って設けられた支柱360と、Z軸方向駆動部361と、Y軸回転駆動部362と、X軸方向駆動部363と、V軸方向駆動部364と、を有する。各駆動部361-364は、駆動系と言い換えることができる。移載機36の移載対象物は、ウエハ31である。
【0034】
Z軸方向駆動部361は、ウエハ載置プレート37を上下方向(Z軸方向、垂直方向)に移動させるため、支柱360に上下(Z軸方向)に移動可能に設けられている。Z軸方向駆動部361は、例えば、エンコーダが備えられたサーボモータ327を支柱360内に設けて、サーボモータ327の出力軸の回転制御により、Z軸方向に上下に移動可能にされている。
【0035】
Y軸回転駆動部362は、ウエハ載置プレート37を水平方向に時計回り又は反時計回りに回転移動(Y軸方向に回転)させるため、Z軸方向駆動部361の上面にY軸方向に回転可能に設けられている。Y軸回転駆動部362は、たとえば、エンコーダが備えられたサーボモータ328をZ軸方向駆動部361内に設けて、サーボモータ328の出力軸の回転制御により、Y軸方向に時計回り又は反時計回り回転可能にされている。
【0036】
X軸方向駆動部363は、ウエハ載置プレート37を水平方向(X軸方向)に前後に移動させるために、Y軸回転駆動部362の上面に前後(X軸方向)に移動可能に設けられている。X軸方向駆動部363は、例えば、エンコーダが備えられたサーボモータ427をY軸回転駆動部362内に設けて、サーボモータ427の出力軸の回転制御により、X軸方向に前後に移動可能にされている。
【0037】
V軸方向駆動部364は、X軸方向駆動部363に設けられており、5枚のウエハ載置プレート37の間隔をZ軸方向に調整可能に構成されている。V軸方向駆動部364は、例えば、エンコーダが備えられたサーボモータ428をX軸方向駆動部363内に設けて、サーボモータ428の出力軸の回転制御により、5枚のウエハ載置プレート37の間隔をZ軸方向に調整可能にされている。
【0038】
これにより、移載機36は対象物であるウエハ31をポッド21から取出し、ボート38に装填(チャージング)する。そして、処理炉12にてウエハ31に任意の処理が実施された後、移載機36はウエハ31をボート38から取出し(ディスチャージ)、ポッド21に装填する。
【0039】
サーボモータ327,328,427,428のおのおのに設けられたエンコーダは、例えば、サーボモータ327,328,427,428の出力軸の回転位置(回転角度)を検出し、回転位置(回転角度)の検出結果を電気信号として、図3で説明するサーボアンプ(325,326)に出力するように構成されている。この種のエンコーダはロータリー(回転)エンコーダとも呼ばれる。
【0040】
(モータ制御装置の構成例)
図3は、本開示の実施形態で好適に用いられるウエハ搬送機構を制御するモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。図3には、代表例として、ウエハ搬送機構(移載機)36に設けられたサーボモータ327,328をサーボアンプ325,326により制御するモータ制御装置300の構成例を示す。図示しないが、移載機36に設けられたサーボモータ427,428を制御する2つのサーボアンプを、図3に示すモータ制御装置300に追加することにより、サーボモータ427,428をモータ制御装置300により制御することが可能である。
【0041】
図3に示すように、モータ制御装置300は、ウエハ搬送機構36の各駆動部(361-364)を含む基板処理装置1全体を統括的に制御する主制御部311と、主制御部311に接続された主操作部312と、主制御部311に接続された節電(上位)コントローラ313と、を有する。
【0042】
節電コントローラ313は、主制御部311に接続されたデータ送受信部314と、データ送受信部314に接続されるCPU(Central Processing Unit)315と、CPU315にそれぞれ接続される干渉計算部316、及び搬送経路作成部317、I/Oデータ入出力部318、第1記憶装置部319、例えばROM(Read Only Memory)、第2記憶装置部320、例えばRAM(Random Access Memory)と、搬送経路作成部317に接続される動作制御部321と、を有している。節電コントローラ313はシーケンサ―によって実現される。
【0043】
干渉計算部316と搬送経路作成部317とは接続され、干渉計算部316と搬送経路作成部317間でデータの送受信が可能となっている。又、第1記憶装置部319には主操作部312から主制御部311、データ送受信部314、CPU315を介してウエハの搬送パターン等が設定されたシステムパラメータファイル(図示せず)が格納され、第2記憶装置部320には駆動部(361-364)の現在位置のデータが保存されている。
【0044】
前記動作制御部321は、モーションユニット322と、モーションユニット322に接続されるI/Oデータ制御部323及び絶対位置保持部324とを有している。モーションユニット322は、ウエハ搬送機構36の各駆動部を滑らかに動かすための補間や速度制御を提供するものであり、駆動時には各駆動部のあるべき位置(角度)に対応する、後述するパルスモータ(サーボモータとも言う)327,328の回転量を時系列に算出し、位置指令を生成する。
【0045】
モーションユニット322には所要台数(図示では2台)のサーボアンプ325,326が双方向インターフェースにより接続され、各サーボアンプ325,326には駆動部(361、362)を駆動するパルスモータ327,328と、各パルスモータ327,328に機械的に連結されたエンコーダ329,330とがそれぞれ接続されている。モーションユニット322は、生成した位置指令をコマンド、A相/B相パルス等の形式で、サーボアンプ325,326に伝達する。位置指令は通常、現在位置に対する相対位置(移動量)を指定する。サーボアンプ325,326は、対応するエンコーダ329,330が示す位置が位置指令に一致するように、フィードバック制御(サーボ制御)を行う。
【0046】
絶対位置保持部324は、サーボオフ状態(後述)を含む常時、エンコーダ329,330からのパルスの計数を継続し、各駆動部の絶対位置を保持する。絶対位置保持部324はたとえば、パルスモータ327,328の動作中、停止中を判断する判断部と、モータ動作処理制御手段と、判断部からの指令でエンコーダ329,330からのモータ停止中のパルスの発生の有無を監視するパルス監視手段と、を有している。判断部はサーボアンプ325,326と電気的に接続されており、サーボアンプ325,326から状態を示すコマンドやエンコーダ329,330からの位置情報(パルス)を受入れ可能となっている。絶対位置保持部324は、より好ましくは、バッテリーによって電源がバックアップされ、節電コントローラ313やサーボアンプが非通電状態でも、エンコーダ329,330からのパルスを、回転数の制限なく計数できるようになっている。絶対位置保持部324のモータ動作処理制御手段は、現在位置認識処理部、目標位置認識処理部、出力パルス数算出処理部、パルス出力処理部、動作中現在位置算出処理部、位置検出値取込み処理部等を有しうる。絶対位置保持部324のパルス監視手段は停止中位置検出値認識処理部と位置検出値取込み処理部とから構成されている。なおモーションユニット322や絶対位置保持部324の機能の一部又は全部は、各サーボアンプ325,326内に設けることもできる。
【0047】
動作制御部321のI/Oデータ制御部323にはI/Oデータ入出力部318が接続され、I/Oデータ入出力部318にはパルスモータ427,428の出力軸をロックする為のソレノイド331及びソレノイド331や、それらの動作を確認する為のセンサ332が接続されている。
【0048】
以下、作用を説明する。
【0049】
主制御部311は、基板処理のレシピを実行中にウエハ搬送が必要になった場合、動作要求を所要の動作要求信号としてデータ送受信部314を介してCPU315に送出する。この動作要求信号は例えば、ボート38のあるスロットから、ポッドオープナ26上のポッド21のあるスロットへ払い出す、といった内容のものである。CPU315は動作要求信号に基づき第1記憶装置部319よりシステムパラメータファイルに設定されたウエハ搬送パターンを読込み、移載機36が周囲の機構や移載機36自身と衝突することなくウエハ搬送すること可能か否かを干渉計算部316に解析させる。また干渉計算の結果に基づいて、無駄な動きの少ない或いは最短時間を実現するウエハ搬送の為の経路を搬送経路作成部317に作成させる。なお、干渉計算部316と経路作成部317は協調動作してもよく、或いは、予め干渉が生じないように計算されたウエハ搬送パターンを記憶しておき、それをそのまま経路として決定しても良い。
【0050】
搬送経路作成部317で作成された経路は制御信号として搬送経路作成部317より動作制御部321へ送出される。制御信号はモーションユニット322に入力され、モーションユニット322はシーケンスプログラム及びパラメータに従って、位置指令をサーボアンプ325,326及び絶対位置保持部324の判断部に、制御信号をI/Oデータ入出力部318に、それぞれ送出する。モーションユニット322は、絶対位置で表現される経路から、相対位置で表現される位置指令を生成して送出するが、絶対位置保持部324には絶対位置のまま送出してもよい。
【0051】
I/Oデータ制御部323に送出された制御信号はI/Oデータ入出力部318を介してソレノイド331及びセンサ332に送出され、制御信号によりソレノイド331は所要の動作を行い、センサ332はソレノイド331の動作状態を検出する。
【0052】
パルスモータ327,328は駆動部(361-364)を駆動させ、エンコーダ329,330はパルスモータ327,328の回転量に応じた数のパルスを発生する。
【0053】
パルス数はサーボアンプ325,326及び絶対位置保持部324の位置検出値取込み処理部にフィードバックされ、サーボアンプ325,326がフィードバック制御されると共に、絶対位置保持部324の位置検出値取込み処理部にフィードバックされたパルス数により絶対位置保持部324の動作中現在位置算出処理部は駆動部(361-364)の現在位置のデータ(パルスのカウント値)を更新する。この現在位置は、サーボアンプ325,326が内部に有してエンコーダ329のパルスをカウントしている内部カウンタの値とは独立したものであっても良いし、内部カウンタそのものでも良い。内部カウンタの値をサーボアンプ325,326から取得するコマンドが利用可能である。
【0054】
駆動部(361-364)が目標位置に到達すると、サーボアンプ325,326は絶対位置保持部324の判断部へ動作完了報告信号を返送し、絶対位置保持部324の判断部は、パルスモータ327,328が目標位置に到達したと判断する。動作完了報告信号はI/Oデータ制御部323で制御された後、搬送経路作成部317、CPU315等にも伝達されうる。モーションユニット322等が送出した一連の位置指令若しくは最後に速度が0になる位置指令に対応する動作完了報告信号を受信した場合、判断部はパルスモータ327,328が停止したと判断し、最後の位置指令に対応する駆動部(361-364)の絶対位置のデータを、CPU315を介して第2記憶装置部320に保存する。
【0055】
絶対位置保持部324の判断部はまた、サーボアンプ325,326に対する機械原点復帰(後述)を実行するコマンドまたは位置指令を検知すると、絶対位置保持部324の原点保存部に、対応するサーボアンプがその指令の実行を完了したときに動作中現在位置算出処理部が保持する現在位置のデータを、原点値として保持させるか或いは現在位置を0にリセットさせる。絶対位置保持部324の絶対位置保存部は、ソレノイド331で回転軸を固定された駆動部(361-364)の現在位置のデータをCPU315、搬送経路作成部317を介して第2記憶装置部320に書き込み、固定を解除するときに必要に応じて読込み、動作中現在位置算出処理部の現在位置を復元する。絶対位置保持部324の判断部は、サーボアンプ325,326が現在の絶対位置を失ったと判断したときに、動作中現在位置算出処理部が保持している現在位置と、原点保存部が保持している原点値との差から、当該サーボアンプに現在位置を修正するコマンドを、CPU315の指示に基づき送出することができる。
【0056】
絶対位置保持部324の目標位置認識処理部は、駆動部(361-364)の目標位置のデータを位置指令より取得する。絶対位置保持部324の出力パルス数算出処理部は駆動部(361-364)の目標位置のデータと現在位置のデータから両データの偏差を求め、偏差パルス数を演算する。この偏差は、サーボアンプ325,326がサーボオン状態で、フィードバック制御が収束していれば、本来は0となり、サーボアンプ325,326が絶対位置を失った場合に非0となり得る。
【0057】
絶対位置保持部324のパルス出力処理部は、サーボオフ状態からサーボオン状態に復帰するときに、CPU315の指示があった場合、偏差パルス数だけ逆に移動する位置指令、若しくはパルス列をサーボアンプ325,326に出力し、サーボオフ状態中にずれた駆動部を正しい位置に戻す。この位置指令において速度又はトルクは、通常よりも小さく抑えられうる。或いは、搬送経路作成部317又はモーションユニット322が、サーボオン状態への復帰後の最初の経路又は位置指令を生成するときに、絶対位置保持部324が保持する現在位置を開始位置とする経路等を生成する。つまりサーボオフ後にずれた現在位置から、次の目標位置に向けて、各駆動部を駆動させる。その後、サーボアンプ325,326から動作完了報告信号を受信すると、絶対位置保持部324は、直前の位置指令による目標位置のデータの更新を取り消すなどして、現在位置のデータを目標位置のデータに一致させる処理をし、偏差パルス数を0にリセットする。
【0058】
絶対位置保持部324は、パルスモータ327,328の停止中若しくはサーボオフ状態のときのみ、エンコーダ329,330からのパルスの計数し、絶対位置を更新するものでもよい。その場合、パルスモータ327,328の停止の判断に基づき、モータ制御部324の判断部からモータ制御部324のパルス監視手段にパルス監視指令が発せられ、パルス監視手段のロックが解除されパルス監視手段はエンコーダ329,330からのパルスの発生の有無を所定周期で監視する。エンコーダ329,330からのパルスの発生の有無の判断はエンコーダ329,330からモータ制御部324の位置検出値取込み処理部を介してモータ制御部324の停止中位置検出値認識処理部にパルスが入力されたかどうかにより行い、パルスが入力された場合には、パルスモータ327,328が外力等により動かされたたと判断し、異常信号を発する。
【0059】
尚、上記実施の形態に於いて、エンコーダがリニアエンコーダで、モータがリニアモータであってもよく、又、モータはサーボモータ等他のアクチュエータであってもよい。
【0060】
更に、エンコーダ329,330のパルスの発生の有無の監視は間欠的ではなく、サーボアンプ325,326へのパルス列の出力停止中、継続して行ってもよい。
【0061】
(サーボアンプの構成例)
次に、図4を用いて、代表例としてサーボアンプ325の構成例を説明する。サーボアンプ326およびサーボモータ427,428を制御する2つのサーボアンプも、図4と同様な構成とすることができる。図4は、本開示の実施形態で好適に用いられるサーボアンプの概略構成を示すブロック図である。
【0062】
サーボアンプ325は、サーボモータ327のU相、V相、W相に接続されたインバータ(IVT)と、インバータに接地電位を供給する接地電位線GLと、インバータIVTに接地電位より高い電源電位を供給する電源電位線VLと、接地電位線GLと電源電位線VLとに間に接続された平滑コンデンサCとを有する。図示されないが、接地電位線GLと電源電位線VLには、例えば、200Vの三相交流電源または100Vの単層交流電源を直流電源へ変換する交流直流変換回路(コンバータ)が接続されている。
【0063】
インバータIVTは、U相を駆動する第1および第2パワー半導体素子Tr1,Tr2と、V相を駆動する第3および第4パワー半導体素子Tr3,Tr4と、W相を駆動する第5および第6パワー半導体素子Tr5,Tr6と、を有する。各パワー半導体素子(Tr1-Tr6)は、この例では、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)により構成されている。
【0064】
サーボアンプ325は、ゲート駆動回路401と、サーボコントローラ402と、を有する。ゲート駆動回路401は、サーボコントローラ402からのゲート信号に基づいて、インバータIVTの各パワー半導体素子(Tr1-Tr6)をオン及びオフするゲート駆動信号の供給および停止を行う。インバータIVTはサーボモータ327の駆動回路と言うこともできる。
【0065】
サーボコントローラ402は、受信した位置指令とエンコーダ329の検出値に基づいて、パルスモータが適切な速度で指定された位置に動くように、ゲート信号を出力する。またサーボコントローラ402は、電源電位線VLの電圧検出、各パワー半導体素子(Tr1-Tr6)の過電流検出、U相、V相やW相の電流検出などを行う機能を有し、位置制御を行いながら速度制御および電流(トルク)制御を実施する。サーボコントローラ402は、例えば、電源電位線VLの電圧検出の値や各パワー半導体素子(Tr1-Tr6)の過電流検出の値などに基づいてブレーキ制御などを行うことができる。また、サーボコントローラ402は、U相、V相やW相の電流から算出されるトルク値に基づいて、速度を落としたりゲート信号の幅を短くするトルクリミット制御などを行うことができる。
【0066】
サーボアンプ325のサーボコントローラ402は、節電コントローラ313のモータ制御部324と双方向通信可能に構成されている。動作制御部321は、サーボコントローラ402へ、位置指令、サーボオン、サーボオフ、機械原点復帰、始動(正転始動・逆転始動)などの指示(コマンド)の送信を行い、サーボコントローラ402から動作完了報告信号、故障情報などの受信を行うことができる。
【0067】
サーボコントローラ402が、例えば、コマンド或いはロジック信号によってイサーボオンの指示を受けると、サーボアンプ325はサーボオン状態となる。サーボオン状態では、ベース駆動回路401へ電源が供給され、サーボモータ327の駆動回路はオン状態にされ、サーボアンプ325はサーボモータ327を運転可能な状態となる。言い換えると、サーボ制御のフィードバックループが閉じた状態である。
【0068】
一方、サーボコントローラ402が、例えば、ロウレベルのようなサーボオンの解除の指示(つまり、サーボオフの指示)を受けると、サーボアンプ325はサーボオフ状態となる。サーボオフ状態では、ベース駆動回路401への電源が遮断され、或いはベース駆動回路401への全てのゲート信号の出力が禁止され、サーボモータ327の駆動回路はオフ状態にされる。言い換えると、サーボ制御のフィードバックループが開いた状態である。このため、サーボモータ327はフリーラン状態になる。サーボオフ状態では、サーボアンプ325およびサーボモータ327は、電流が流れない状態とされているので、低消費電力な状態にされる。サーボオフ状態は、節電状態ということができる。
【0069】
節電コントローラ313は、サーボモータ327の駆動回路をオフ状態にしている間、サーボアンプ325にエンコーダ329から出力される現在位置の記録を続けさせるように、サーボアンプ325に指示を行うことができる。節電コントローラ313は、また、サーボモータ327の駆動回路がオン状態になったときに、サーボアンプ325に記録された現在位置を現在位置として、サーボモータ327のサーボ制御を再開させるように、サーボアンプ325に指示を行うことができる。節電コントローラ313は、図示しないが、サーボモータ328とサーボアンプ326、および、サーボモータ427,428とサーボモータ427,428に対応して設けられた各サーボアンプも、上記と同様な指示を行う。
【0070】
節電コントローラ313は、サーボモータ327の駆動回路をオフ状態にしている節電状態からの復帰(サーボモータ327の駆動回路がオン状態)から、新たな目標位置(コマンド)をサーボアンプ325のサーボコントローラ402に与えるまでの間、対象物(ここでは、Z軸方向駆動部361)が現在位置で静止するようにサーボアンプ325を制御する。
【0071】
次に、図5を用いて、サーボモータの駆動系の概略構成を説明する。図5は、本開示の実施形態で好適に用いられるサーボモータの駆動系の概略構成を説明する構成図である。図5は、代表的な例として、サーボモータ327とZ軸方向駆動部361と間の構成例を示している。
【0072】
サーボモータ327の出力軸500には、ねじ機構部501が固定部材502によって取り付けられている。ねじ機構部501には、Z軸方向駆動部361に取り付けられた固定部材505が、出力時に対して回転可能に取り付けられている。固定部材505は回転運動を直線運動に変換するボールねじ等を有する。サーボモータ327の出力軸500を回転させると、出力軸500の回転運動がねじ機構部501に伝達され、ねじ機構部501が回転する。ねじ機構部501の回転運動がZ軸方向駆動部361に伝達され、Z軸方向駆動部361はZ軸方向に沿って移動可能にされている。
【0073】
図5において、機械原点(位置決めの基準点)となるホームポジションの位置PHMにフォトマイクロセンサ、近接センサ等の機械原点センサ(HMS)507が設置される。機械原点センサ507は、対象物と連動する駆動系であるZ軸方向駆動部361の所定部位(例えば、固定部材505の中央部)が、所定位置に来たことを検知することが可能である。サーボアンプ325は機械原点センサ507の検知を受信することができるように構成されている。そのため、サーボアンプ325の機械原点復帰運転510では、Z軸方向駆動部361が位置P1であった場合に、Z軸方向駆動部361が機械原点の位置PHMへ移動して機械原点へ復帰することができる。
【0074】
サーボアンプ325は、エンコーダ329の検出値と機械原点センサ507の検出値とに基づいて、対象物(ウエハ31)またはZ軸方向駆動部361の現在位置を記録または取得し、対象物(ウエハ31)またはZ軸方向駆動部361が目標位置となるよう制御するものである。節電コントローラ313は、サーボモータ327の駆動回路をオフ状態にしている節電状態に入る前に、Z軸方向駆動部361がホームポジションの位置PHMとなるように、サーボアンプ325を制御する。なお、移載機36のY軸回転駆動部362、X軸方向駆動部363およびV軸方向駆動部364とサーボモータ328,427,428との間も、図5に示すように、ねじ機構部や歯車機構部と機械原点センサとが設けられており、同様に、節電コントローラ313は、サーボモータ(328,427,428)の駆動回路をオフ状態にしている節電状態に入る前に、各駆動部(362,363,364)がホームポジションの位置PHMとなるように、サーボアンプ(326)およびサーボモータ427,428を制御する2つのサーボアンプを制御する。
【0075】
これにより、節電状態に入る前に、各駆動部361,362,363,364を、1つの軸が動いただけでは干渉(各駆動部361,362,363,364などの相互の可動機構との衝突)が起こりにくいホームポジションの位置に戻すことで、ウエハ搬送機構(移載機)36の干渉のリスクを低減することができる。これは節電コントローラ313が干渉計算部316を備えない場合に有効である。
【0076】
(サーボモータの構成例)
図3の構成例では、現在位置を節電(上位)コントローラ313に記憶する構成例を説明したが、これに限定されない。現在位置はサーボモータに設けられたエンコーダ内に記憶してもよい。
【0077】
エンコーダを備えるサーボモータ327,328、427,428のおのおのは、絶対位置検出システムを採用するのが好ましいい。絶対位置検出システムを採用するサーボモータは、節電コントローラ313の電源のオン・オフに関係なく、常時対象物(ここでは、各駆動部361-364)の絶対位置を検出しバッテリバックアップによりエンコーダ内に絶対位置を記憶することができる。このため、ウエハ搬送機構36の据付け時に、一度、各駆動部(361-364)の機械原点のセットを行えば、その後の電源投入時の原点復帰の必要がなく、停電や故障の場合でも復旧が容易に行えるという効果を有する。また、絶対位置データをエンコーダ内に設けたスーパーコンデンサによりバックアップする場合は、ケーブルを着脱したときやケーブルが断線したときでも所定時間内であれば、絶対位置データを保持できる。
【0078】
これにより、サーボアンプ325がサーボオフ状態からサーボオン状態へと変化して、駆動回路が再びオン状態とされたとき、エンコーダ内に保持された絶対位置データを現在位置として、原点復帰することなく、サーボモータ327,328、427,428の動作を開始できるという効果がある。
【0079】
次に、図6を用いて、半導体装置の製造方法におけるサーボモータの動作タイミングを説明する。図6は、本開示の実施形態で好適に用いられるサーボモータの動作タイミングを示す説明図である。図6は、半導体装置の製造方法としての半導体製造装置1の成膜レシピとウエハ搬送機構(移載機)36のサーボモータの動作タイミングとの関係を示す。サーボモータの動作タイミングは、比較例に係るサーボモータの動作タイミング6Bと実施形態に係るサーボモータの動作タイミング6Aとを示している。
【0080】
半導体製造装置1の成膜レシピは、ステップS1~ステップS8を含む。
【0081】
ステップS1は、移載機36でボート38に対してウエハ31を装填する工程(Charge)である。ステップS1は、この例では、20分の作業時間である。
【0082】
ステップS2は、ボート38を処理炉12に装入する工程(Load)である。ステップS2は、この例では、9分の作業時間である。
【0083】
ステップS3は、処理炉12の温度を所定の処理温度へ上昇させる工程(Temp.Up)である。ステップS3は、この例では、40分の作業時間である。
【0084】
ステップS4は、ウエハ31の上に所望の膜を成膜する工程(Deposition)である。ステップS4は、この例では、60分の作業時間である。
【0085】
ステップS5は、処理炉12の温度を所定の温度まで低下させる工程(Temp.Down)である。ステップS5は、この例では、90分の作業時間である。
【0086】
ステップS6は、ボート38を処理炉12から取り出す工程(Unload)である。ステップS6は、この例では、9分の作業時間である。
【0087】
ステップS7は、ウエハ31を所定の温度まで冷却する工程(Wafer Cooling)である。ステップS7は、この例では、20分の作業時間である。
【0088】
ステップS8は、移載機36でボート38からウエハ31を取り出す工程(Discharge)である。ステップS8は、この例では、20分の作業時間である。
【0089】
まず、比較例に係るサーボモータの動作タイミング6Bを説明する。比較例に係るサーボモータの動作タイミング6Bでは、移載機36が稼働するのはステップS1、S8の時間(40分)であるが、ステップS1からステップS8のすべての時間(268分)において、ウエハ搬送機構(移載機)36のサーボモータ327,328、427,428がサーボオン(Servo On)の状態とされている。したがって、サーボモータ327,328、427,428は、ステップS2~S7の時間(228分)の間、無駄な電力を消費していることになる。
【0090】
一方、実施形態に係るサーボモータの動作タイミング6Aでは、移載機36が稼働するステップS1、S8の時間(40分)において、サーボモータ327,328、427,428がサーボオン(Servo On)の状態とされている。サーボモータ327,328、427,428は節電コントローラ313の指令によって、サーボオフ(Servo Off)の状態からサーボオン(Servo On)の状態へ切り替えられて、ステップS1が移載機36により実行される。ステップS8の後、サーボモータ327,328、427,428は、節電コントローラ313の指令によって、サーボオフ(Servo Off)の状態にされる。
【0091】
移載機36が稼働しないステップS2~S7の時間(228分)の間、サーボモータ327,328、427,428は、サーボオフ(Servo Off)の状態とされている。したがって、サーボモータ327,328、427,428は、ステップS2~S7の間、無駄な電力を消費しないので、移載機36のサーボモータ327,328、427,428は低消費電力で動作することになる。
【0092】
サーボオフ中は、絶対位置検出システムを採用するエンコーダ内に回転位置などの絶対位置を記録する。サーボオン時に、原点復帰することなく、エンコーダに記憶した絶対位置を現在位置としてサーボモータ(327,328、427,428)を再スタート(再起動)することができる。これにより、サーボモータにより制御される搬送装置の消費電力を削減できる技術が提供できる。搬送装置は、例えば、図1の基板処理装置1では、移載機36やポッド搬送装置27であり、移載対象物はウエハ31やポッド21である。
【0093】
(メンテナンス方法)
次に、移載機36のメンテナンス方法について説明する。移載機36は節電コントローラ313の制御に基づいてウエハ31の搬送処理を行う。この搬送処理を詳述するとつぎの通りである。
【0094】
まず、移載機36がポット21に納められたウエハ31をウエハ載置プレート(ツィーザ)37で掬い上げた後、移載機36がボート38側へ移動するとともにツィーザ37をボート38に対向させ、ボート38のウエハ挿填用溝(不図示)にウエハ31を装填する。そして、ボート38に装填したウエハ31に所定の処理が施された後、移載機36がボート38に挿填されているウエハ31をツィーザ37で掬い上げ、移載機36がポット21側へ移動するとともに回転してツィーザ37をポット21に対向させ、ポット21のウエハ挿填用溝(不図示)にウエハ31を装填する。
【0095】
ここで、上記のような搬送処理においては、ウエハ31をウエハ挿填用溝に正確に挿填する必要がある。すなわち、ボート38への挿填を例にとると、ボート38の柱部に設けたウエハ挿填用溝に対して、ツィーザ37によってウエハ31を、前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)、上下方向(Z軸方向)で正確に位置決めして挿填する必要がある(図2参照)。このため、実際の搬送処理(実プロセス)に先立って、移載機36の動作をティーチングし、実プロセスにおける搬送処理では、移載機36によってウエハ31が正確に位置決めしてウエハ挿填用溝に挿填されるようにしている。つまり、移載機36のZ軸方向駆動部361、Y軸回転駆動部362、X軸方向駆動部363およびV軸方向駆動部364を動作させるサーボモータ327,328,427,428の動作をティーチングにより、節電コントローラ313へ記憶させる。
【0096】
上記のようなティーチングを行う際、ウエハ31の代わりに所定の治具を使用したり、各駆動部を直接手動で動かしたりする場合がある。その場合、作業員は主操作部312を操作して、基板処理装置1をメンテナンス状態のような所定の状態に設定する。続けて、主操作部312を操作して、サーボモータ327,328,427,428の内、オフすべきものを指定する。この指定は直接的なものでも、作業名を指定する間接的なものでも良い。節電コントローラ313は、基板処理装置1が所定の状態(メンテナンス状態)にあり、上位指定を受け取ったときに、サーボモータ327,328,427,428を制御する複数のサーボアンプ(325,326等)内の複数の駆動回路の内の指定された一つ以上の駆動回路をオフにし、その他の駆動回路をオンにする。この時、駆動回路がオフ(サーボオフの状態)にされたサーボモータの出力軸又は対象物は動きが規制されていない状態となっており、作業員が動かして所望の位置に移動させることができる。これらの作業を終えたのち、オフにされた駆動回路を再びオンし、残りのティーチングの工程を続行する。
【0097】
或いは、ティーチング対象のサーボサーボモータの駆動回路のみオンし、ティーチング対象外のサーボサーボモータの駆動回路をオフしてティーチングを実施することができる。軸方向駆動部361、Y軸回転駆動部362、X軸方向駆動部363およびV軸方向駆動部364において、例えば、Z軸方向駆動部361を制御するサーボモータ327をティーチング対象とする場合、サーボモータ327を制御するサーボアンプ325をサーボオンの状態とし,ティーチング対象外のサーボモータ328,427,428を制御するサーボアンプ(326等)をサーボオフの状態にする。これにより、ティーチング対象外の駆動部に対して作業員が誤って移動コマンドを発行しても、その駆動部は稼働しないので、作業員に衝突することが避けられる。
【0098】
の時、駆動回路がオフ(サーボオフの状態)にされたサーボモータの出力軸又は対象物は動きが規制されていない状態となっている。これは、ティーチングに限らず、作業員が基板処理装置1内に入って行う作業において、操作ミス等により作業員に衝突する可能性のある駆動部がある場合にも有効である。そのような作業には従来、駆動部の運動を機械的に規制する固定治具を使用していたが、十分な強度を得るため治具の設置や取り外しに時間を要していた。本例によれば、固定治具が不要となり、固定治具の外し忘れも無くなる。
【0099】
以上、本開示者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0100】
1:基板処理装置
36:移載機
313:節電(上位)コントローラ
325,326:サーボアンプ
327,328,427,428:サーボモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6