(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032906
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】保持機構、ペンホルダ及び電子情報表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20230302BHJP
B43L 1/00 20060101ALI20230302BHJP
F16B 47/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G06F1/16 312T
B43L1/00 Z
F16B47/00 S
G06F1/16 312Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139275
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小助川 莉沙
(72)【発明者】
【氏名】三川 晃尚
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA02
3J038CA09
3J038CA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子ペンを備える電子情報表示装置において、電子ペンを抜き差しすることで装置の設置面への吸着と吸着解除が可能な保持機構を提供する。
【解決手段】電子情報表示装置を設置面に固定させるための吸着機構100であって、引抜部材(電子ペン2)を挿抜方向に挿抜可能に収納する収納部110、112と、収納部110の内部を引抜部材の移動に伴って挿抜方向に移動可能な可動部120と、可動部と収納部との間に、可動部と収納部110とに密着する弾性部130と、収納部110の可動部より、挿抜方向の引抜部材に対して奥側の内部空間と内部が通じ、電子情報表示装置の設置面の側に設けられ、設置面を吸着する吸着部140と、を備える。可動部120は、引抜部材が挿入されると、引抜部材を保持位置で保持し、引抜部材が抜去されると、引抜部材から分離し、保持位置より挿抜方向の手前側の固定位置にとどまる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子情報表示装置を設置面に固定させるための吸着機構であって、
引抜部材を挿抜方向に挿抜可能に収納する収納部と、
前記収納部の内部を前記引抜部材の移動に伴って前記挿抜方向に移動可能な可動部と、
前記可動部と前記収納部との間に、前記可動部と前記収納部とに密着する弾性部と、
前記収納部の前記可動部より前記挿抜方向の前記引抜部材に対して奥側の内部空間と内部が通じ、前記電子情報表示装置の前記設置面の側に設けられ、前記設置面を吸着する吸着部と、
を備え、
前記可動部は、前記引抜部材が挿入されると、前記引抜部材を保持位置で保持し、
前記可動部は、前記引抜部材が抜去されると、前記引抜部材から分離し、前記保持位置より前記挿抜方向の手前側の固定位置にとどまる、
吸着機構。
【請求項2】
前記弾性部は、Oリングである、
請求項1に記載の吸着機構。
【請求項3】
前記可動部は、円筒形状である、
請求項2に記載の吸着機構。
【請求項4】
前記可動部は、複数の回転部を備え、
前記複数の回転部のそれぞれは、前記引抜部材を保持する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸着機構。
【請求項5】
前記回転部は、前記引抜部材を所定の位置まで引き抜くと、所定の角度回転し、前記収納部の内面と接触して所定の位置で固定される、
請求項4に記載の吸着機構。
【請求項6】
前記回転部は、トーションばねによって生成される力によって回転する、
請求項4又は請求項5のいずれかに記載の吸着機構。
【請求項7】
前記トーションばねの一端は前記可動部に、もう一端は前記回転部に押し付けられている、
請求項6に記載の吸着機構。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の吸着機構を備え、
前記引抜部材が、電子ペンである、
ペンホルダ。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の吸着機構を備える、
電子情報表示装置。
【請求項10】
請求項8に記載のペンホルダを備える、
電子情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保持機構、ペンホルダ及び電子情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペン及び操作者の指の少なくともいずれかと画像表示部との接触を検知し、電子ペン及び操作者の指の少なくともいずれかの先端と画像表示部表面とが接触したとき、文字や図形を手書き入力することができる電子情報表示装置が知られている。また、電子情報表示装置に、電子ペンを収納したり、磁力によって電子ペンを画像表示部に保持したりする技術が知られている。
【0003】
また、表示装置を一定の場所に固定しておきたいとき、吸盤を固定させたい場所に押し付けて動かないよう固定しておくことができる技術がある。特許文献1には、携帯型パーソナルコンピュータ(表示装置)を設置面に固定する目的で、表示装置を開くことに連動して、底部に備えられた吸盤が表示装置本体を設置面に吸着する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、今までの電子情報表示装置は、平置きにして筆記する際、軽量であるがゆえに、他の閲覧者の手や腕が装置に接触したり、平置きした机等の角度が傾いていたりした際に容易に滑ったり動いたりすることで筆記しづらいという問題があった。また、電子情報表示装置背面に吸盤がついていたとしても、机に吸着させるためには電子情報表示装置自体を上から押す必要があり、押し付ける力によって電子情報表示装置自体を破損させてしまう可能性があった。
【0005】
本開示は、電子ペンを備える電子情報表示装置において、電子ペンを抜き差しすることにより、電子情報表示装置の設置面への吸着と吸着解除が可能な保持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、電子情報表示装置を設置面に固定させるための吸着機構であって、引抜部材を挿抜方向に挿抜可能に収納する収納部と、前記収納部の内部を前記引抜部材の移動に伴って前記挿抜方向に移動可能な可動部と、前記可動部と前記収納部との間に、前記可動部と前記収納部とに密着する弾性部と、前記収納部の前記可動部より前記挿抜方向の前記引抜部材に対して奥側の内部空間と内部が通じ、前記電子情報表示装置の前記設置面の側に設けられ、前記設置面を吸着する吸着部と、を備え、前記可動部は、前記引抜部材が挿入されると、前記引抜部材を保持位置で保持し、前記可動部は、前記引抜部材が抜去されると、前記引抜部材から分離し、前記保持位置より前記挿抜方向の手前側の固定位置にとどまる吸着機構である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の保持機構によれば、電子ペンを抜き差しすることにより、電子情報表示装置の設置面への吸着と吸着解除ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電子情報表示装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電子情報表示装置の正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電子情報表示装置の側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺と、実際の縮尺とが異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
【0011】
<電子情報表示装置1>
最初に、本実施形態に係る電子情報表示装置1について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子情報表示装置1の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電子情報表示装置1の正面図である。
図3は、本実施形態に係る電子情報表示装置1の側面図である。
【0012】
図には、説明の便宜のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想三次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される場合がある。ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、電子情報表示装置1等の姿勢について限定するものではない。
【0013】
本開示では、特に説明しない限り、X軸方向は電子情報表示装置1の画面11Aに平行な方向であって、画面11Aの短手方向とする。また、Y軸方向は電子情報表示装置1の画面11Aに平行な方向であって、画面11Aの長手方向とする。いいかえると、X軸方向及びY軸方向に平行なXY平面は電子情報表示装置1の画面11Aと平行な面である。Z軸は、X軸及びY軸に垂直な方向とする。
【0014】
電子情報表示装置1は、表示部11と、筐体12と、を備える。表示部11は、画面11Aに情報を表示するとともに、画面11Aから専用の電子ペン2により情報が入力される。筐体12は、表示部11を保持するともに、内部に、表示部11を駆動するため回路等を保持する。また、筐体12は、後述する吸着機構100を保持する。
【0015】
図1から
図3に示すように、本実施形態に係る電子情報表示装置1は、パーソナルコンピュータ等の画面を表示するだけでなく、専用の電子ペン2を用いることで画面11Aに自由に文字や図形を筆記することができる。本実施形態に係る電子情報表示装置1は、
図1から
図3に示すように、薄型であることを特徴としている。また、本実施形態に係る電子情報表示装置1は、軽量であることも特徴としている。
【0016】
本実施形態に係る電子情報表示装置1は、可搬性に優れたディスプレイ製品である。また、本実施形態に係る電子情報表示装置1は、屋外での利用も視野に入れている。さらに、本実施形態に係る電子情報表示装置1を机の上に平置きにして、複数人で閲覧したり書き込みしたりすることが可能である。
【0017】
本実施形態に係る電子情報表示装置1は、筐体12に吸着機構100を備える。また、電子情報表示装置1は、筐体12の画面11Aに対して反対側に、吸着機構100を構成する吸着部140を備える。また、電子情報表示装置1は、筐体12の画面11Aに対して反対側に、吸盤240を備える。
【0018】
<吸着機構100>
本実施形態に係る電子情報表示装置1は、電子情報表示装置1を設置面に固定させるための吸着機構100を備える。吸着機構100は、電子ペン2を引き抜く動作によって設置面を吸着する。また、吸着機構100は、電子ペン2を収納する動作によって設置面との吸着を解除する。さらに、吸着機構100は、電子ペン2を保持するペンホルダとして機能する。
【0019】
吸着機構100の詳細について説明する。
図4から
図10のそれぞれは、本実施形態に係る電子情報表示装置の保持機構の詳細を説明する図である。
図4及び
図5は、吸着機構100が電子ペン2を収納している状態を示す図である。
図6は、吸着機構100の吸着部140の詳細を示す図である。
図7及び
図8は、吸着機構100から電子ペン2が離脱する過程を示す図である。
図9及び
図10は、吸着機構100から電子ペン2が離脱した状態を示す図である。
【0020】
吸着機構100は、収納部110と、可動部120と、弾性部130と、吸着部140と、を備える。吸着機構100は、収納部110に挿抜方向(電子ペン2を抜き挿しする方向)、すなわち、X軸方向、に電子ペン2を挿抜可能となっている。
図4、
図5及び
図6を用いて吸着機構100の詳細について説明する。
【0021】
[収納部110]
収納部110は、電子ペン2及び可動部120を収納する。収納部110には、第2収納部112の挿入口112hから電子ペン2が挿入され、抜去される。収納部110は、第1収納部111と、第2収納部112と、第3収納部113と、を備える。
【0022】
(第1収納部111)
第1収納部111は、可動部120を収納する。また、第1収納部111は、吸着部140を保持する。第1収納部111は、内側が可動部120の外形に対向する形状を有する。後述するように、可動部120は、円筒形状を有する。したがって、第1収納部111は、円筒形状を有する。
【0023】
第1収納部111は、可動部120に対して挿抜方向の挿入する向きの側(挿抜方向の奥側)、すなわち、X軸方向の-X側、に内部空間SP1を有する。第1収納部111と可動部120との間は、弾性部130により内部空間SP1内の空気が、可動部120に対して挿抜方向の抜去する向きの側、すなわち、X軸方向の+X側、に通らないようになっている。
【0024】
第1収納部111は、挿抜方向の挿入する向きの側、すなわち、X軸方向の-X側、に位置する貫通孔111hに吸着部140を保持する。吸着部140は、吸着部140の内部空間SP2(
図6参照)と通じる貫通孔140hを有する。貫通孔140hにより、第1収納部111の内部空間SP1は、吸着部140の内部空間SP2とつながる。
【0025】
第1収納部111の内部空間SP1は、吸着部140の内部空間SP2とつながることにより、第1収納部111の内部空間SP1と、吸着部140の内部空間SP2との間で空気のやり取りが可能である。電子ペン2を+X向きに引く抜くことで、内部空間SP1及び内部空間SP2の内の空気量は一定のまま、内部空間SP1及び内部空間SP2の容積を大きくすることができる。したがって、吸着部140の内部空間SP2の内部が負圧になり、設置面に吸着する。
【0026】
(第2収納部112)
第2収納部112は、電子ペン2を収納する。第2収納部112は、内側が電子ペン2の外形に対向する形状を有する。電子ペン2は、円筒形状を有する。したがって、第2収納部112は、円筒形状を有する。
【0027】
第2収納部112は、挿入口112hを有する。挿入口112hは、筐体12から外部に露出する。そして、挿入口112hから電子ペン2が挿抜される。
【0028】
(第3収納部113)
第3収納部113は、電子ペン2が抜去されたときに、可動部120の回転部122a及び回転部122bを保持する。第3収納部113は、円筒形状を有する。
【0029】
[可動部120]
可動部120は、電子ペン2の先端2aを保持する。また、可動部120は、電子ペン2の挿抜方向への移動に伴って、第1収納部111を挿抜方向、すなわち、X軸方向、に移動可能となっている。
【0030】
可動部120は、本体部121と、回転部122a及び回転部122bと、を有する。なお、図においては、回転部122a及び回転部122bの2個の回転部を示しているが、回転部は2個に限らない。例えば、回転部は1個でもよいし、3個以上でもよい。いいかえると、可動部120は、1個または複数の回転部を備える。
【0031】
本体部121は、抜去方向の挿入する向きの側に底を有する円筒形状である。本体部121の内部には、電子ペン2の先端2aが挿入される。
【0032】
回転部122a及び回転部122bのそれぞれは、本体部121の挿抜方向の抜去側、すなわち、X軸方向の+X側に回転可能に連結する。回転部122a及び回転部122bのそれぞれは、本体部121にそれぞれトーションばね123a及びトーションばね123bを介して連結する。いいかえると、トーションばね123aの一端は本体部121に、他端(もう一端)は回転部122aに押しつけられている。また、トーションばね123bの一端は本体部121に、他端(もう一端)は回転部122bに押しつけられている。
【0033】
回転部122aは、外側に第1弾性部124aと、内側に第2弾性部125aと、を備える。回転部122bは、外側に第1弾性部124bと、内側に第2弾性部125bと、を備える。
【0034】
回転部122aの第1弾性部124a及び回転部122bの第1弾性部124bのそれぞれは、電子ペン2が抜去されると、第3収納部113の内面113S(
図10参照)に密着する。
【0035】
回転部122aの第2弾性部125aと回転部122bの第2弾性部125bとは、間に電子ペン2を挟み込む。回転部122aの第2弾性部125aと回転部122bの第2弾性部125bとは、間に電子ペン2を挟み込むことにより、可動部120は、電子ペン2を保持する。
【0036】
[弾性部130]
弾性部130は、第1収納部111と可動部120との間の気密を保つ。弾性部130は、例えば、Oリングである。弾性部130は、第1収納部111及び可動部120のそれぞれに密着する。弾性部130は、第1収納部111及び可動部120のそれぞれに密着することにより、弾性部130は、第1収納部111と可動部120との間に空気が流通することを抑える。
【0037】
[吸着部140]
吸着部140は、電子情報表示装置1の設置面を吸着する。
図6は、吸着部140の詳細を示す図である。吸着部140は、例えば、ゴム、エラストマ等の柔軟な弾性材料により形成される。吸着部140は、皿部141と、円筒部142と、を有する。吸着部140は、皿部141と円筒部142との間で通じる内部空間SP2を有する。内部空間SP2は、貫通孔140hを介して、第1収納部111の内部空間SP1と通じる。
【0038】
<吸着機構100の動作>
電子ペン2が吸着機構100に挿抜されるときの、吸着機構100の可動部120の動作について説明する。なお、吸着機構100が電子ペン2を収納している状態を収納状態という。また、吸着機構100から電子ペン2が離脱している状態を離脱状態という。収納状態から離脱状態又は離脱状態から収納状態の過程の状態を中間状態という。
【0039】
(収納状態)
図4及び
図5は、吸着機構100が電子ペン2を収納している状態(収納状態)を示す図である。第1収納部111の内部に可動部120が設けられる。弾性部130は、可動部120の本体部121と、第1収納部111との間に位置する。弾性部130は、可動部120の本体部121及び第1収納部111の内面111Sのそれぞれに密着する。
【0040】
可動部120は、回転部122a及び回転部122bを備える。本体部121と回転部122aとは、自由角度が180度のトーションばね123aにより連結される。トーションばね123aは、回転部122aを外側、すなわち、
図5において-Y側に押しつける。また、本体部121と回転部122bとは、自由角度が180度のトーションばね123bにより連結される。トーションばね123bは、回転部122bを外側、すなわち、
図5において+Y側に押しつける。
【0041】
なお、
図5において、トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれは、角度が0度である。
【0042】
図5において、トーションばね123a及びトーションばね123bは、それぞれ回転部122a及び回転部122bを外側に開こうとする。しかしながら、第1収納部111の内面111Sに、回転部122aの先端部122a1及び回転部122bの先端部122b1の先端の円弧部分が接触する。したがって、トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれは、角度が0度の状態が維持される。また、回転部122aの第2弾性部125a及び回転部122bの第2弾性部125bのそれぞれが電子ペン2の先端2aに押し付けられることで、可動部120は電子ペン2を保持する。電子ペン2が挿入されて、可動部120が電子ペン2を保持する位置を保持位置という。
【0043】
(中間状態)
次に、収納状態と離脱状態との間の中間状態について説明する。ここでは、
図4及び
図5に示す収納状態から電子ペン2を引き抜く途中の状態(中間状態)について説明する。
図7及び
図8は、吸着機構100から電子ペン2が離脱する過程を示す図である。
【0044】
図4の状態から、電子ペン2を引き抜いて
図7の状態に遷移すると、第3収納部113において内部の空間が広くなる。すると、第1収納部111の内面111Sによって抑えられていた、回転部122a及び回転部122bのそれぞれが外側に開く。回転部122a及び回転部122bのそれぞれが外側に開くと、電子ペン2は、回転部122aの第2弾性部125a及び回転部122bの第2弾性部125bのそれぞれにより保持されなくなる。いいかえると、可動部120は、電子ペン2から分離する。
【0045】
また、電子ペン2を引き抜くことにともない、可動部120に取り付けられた弾性部130は、第1収納部111に密着しながら移動する。したがって、第1収納部111の内部空間SP1内の空気量が一定のまま容積が大きくなる。そして、第1収納部111の内部空間SP1に通じる吸着部140の内部空間SP2内が負圧になる。上述のように、電子ペン2を引き抜くという動作で、吸着部140によって電子情報表示装置1を設置面に吸着できる。
【0046】
(離脱状態)
次に、離脱状態について説明する。離脱状態は、
図7及び
図8の状態から、更に電子ペン2を引き抜いた状態である。
図9及び
図10は、吸着機構100から電子ペン2が離脱した状態(離脱状態)を示す図である。
【0047】
図9及び
図10に示すように、更に電子ペン2を引き抜くと、トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれの角度は90度になる。トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれの自由角度は180度であるため、更に外側に開こうとする力が働く。
【0048】
しかしながら、第3収納部113の内面113Sに、回転部122aの第1弾性部124a及び回転部122bの第1弾性部124bのそれぞれが接触する。したがって、所定の位置まで電子ペン2を引き抜くと、トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれは所定の角度回転し維持される。
【0049】
例えば、トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれは90度回転して維持される。そして、トーションばね123a及びトーションばね123bのそれぞれは所定の角度、例えば、90度の状態が維持されることにより、可動部120の位置が所定の位置(固定位置)に固定される。当該固定位置は保持位置に対して、X軸方向の+X側、すなわち、挿抜方向の手前側、に位置する。可動部120の位置が所定の位置(固定位置)に固定されることにより、吸着部140の内部空間SP2の圧力が元に戻るのを防止できる。
【0050】
なお、上述の説明では、電子ペン2を引き抜く場合について説明したが、電子情報表示装置1の使用後に、電子ペン2を挿入することにより、吸着部140の吸着を解除できる。すなわち、電子ペン2を挿入することにより、可動部120を電子ペン2によって押して、可動部120を挿入方向に移動させることにより、吸着部140の内部空間SP2の圧力を元に戻して、吸着部140の吸着を解除できる。
【0051】
<作用・効果>
本実施形態に係る吸着機構100によれば、電子ペン2の挿抜によって、電子情報表示装置1を設置面に固定できる。また、本実施形態に係る吸着機構100によれば、電子情報表示装置1の内部に、電子ペン2を収納できる。本実施形態に係る吸着機構100によれば、電子情報表示装置1を机等に平置きしたとき、電子情報表示装置1が机等に吸着することで、電子ペンによる筆記時も容易に滑ったり動いたりすることを防止できる。また、電子ペンによる筆記時に電子情報表示装置1を固定することにより、筆記性を向上できる。さらに、ペンを抜き差しするという簡易的な動作で、吸着と吸着解除を切り替えることができる。
【0052】
電子情報表示装置1を傾いた机等に設置したときも、ペンを引き抜くという簡易的な動作によって当該表示装置が設置面に吸着し、筆記時に当該表示装置が動いたり滑ったりすることがなくなり、ストレスなく筆記できる。
【0053】
電子情報表示装置1を机等の設置面の上に平置きにして筆記する場合、軽量であるがゆえに、他の閲覧者の手や腕が電子情報表示装置1に接触したり、平置きした設置面等の角度が傾いていたりしていた際に、容易に滑ったり動いたりする場合があった。また、従来は、設置面に接触する面に吸盤を設けて上から押し付けることで固定していた。また、従来は、特許文献1に記載のように使用時に画面を開く動作で吸盤を押し付けていた。しかしながら、電子情報表示装置1は薄型であるがゆえに、上から押し付けることで破損する可能性があった。また、設置面に置いたとき、上の面全体が表示面であるため、開いたり閉じたりする機構は存在しないことから特許文献1に記載の機構を適用できなかった。
【0054】
本実施形態に係る吸着機構100によれば、電子情報表示装置1に電子ペン2を挿抜することにより、電子情報表示装置1の設置面への吸着及び吸着解除を実現できる。
【0055】
また、本実施形態に係る吸着機構100は、弾性部130として例えばOリングを備えることから、可動部120を第1収納部111に密着させながら移動できる。可動部120を第1収納部111に密着させながら移動することにより、吸着部140の内部空間SP2内の空気量が一定のまま容積を増やして吸盤内を負圧にできる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る吸着機構100によれば、可動部120を円筒形状にすることにより、第1収納部111の内面111Sに弾性部130を密着させやすくできる。
【0057】
さらにまた、本実施形態に係る吸着機構100によれば、可動部120が回転部122a及び回転部122bを備えることにより、可動部120が電子ペン2をより確実に保持できる。さらに、可動部120が回転部122a及び回転部122bを備えることにより、電子ペン2が離脱した後も、可動部120が固定され、吸着部140の内部空間SP2内の圧力を保つことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る吸着機構100によれば、回転部122a及び回転部122bのそれぞれが、それぞれトーションばね123a及びトーションばね123bによって生成される力によって回転する。回転部122a及び回転部122bのそれぞれが、それぞれトーションばね123a及びトーションばね123bによって生成される力によって回転することにより、回転部122a及び回転部122bのそれぞれを収納部110の内面に押しつけることができる。
【0059】
回転部122a及び回転部122bのそれぞれを収納部110の内面に押しつけることにより、可動部120が移動することを防止して、吸着部140の内部空間SP2内の圧力が元に戻るのを抑え、吸着部140の内部空間SP2内の圧力を保つことができる。回転部122a及び回転部122bのそれぞれが、それぞれトーションばね123a及びトーションばね123bによって生成される力によって回転することにより、バネの巻き込み、巻き戻りに追従して可動部120を動かすことができる。
【0060】
なお、上記各実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0061】
例えば、本実施形態に係る吸着機構100は、電子ペン2を用いて、可動部120を移動させていたが、可動部120を移動させるのは電子ペン2に限らず、収納部110に収納可能な引抜部材であればよい。
【符号の説明】
【0062】
1 電子情報表示装置
2 電子ペン
2a 先端
11 表示部
11A 画面
12 筐体
100 吸着機構
110 収納部
111 第1収納部
111h 貫通孔
111S 内面
112 第2収納部
112h 挿入口
113 第3収納部
113S 内面
120 可動部
121 本体部
122a、122b 回転部
122a1、122b1 先端部
124a、124b 第1弾性部
125a、125b 第2弾性部
130 弾性部
140 吸着部
140h 貫通孔
141 皿部
142 円筒部
240 吸盤
SP1、SP2 内部空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】