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特開2023-33559情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム
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  • 特開-情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033559
(43)【公開日】2023-03-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、表示制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20230303BHJP
   G06F 3/038 20130101ALI20230303BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20230303BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06F3/038 310A
G06F3/0346 423
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006171
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2019046124の分割
【原出願日】2019-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 怜士
(57)【要約】
【課題】操作者による筆記メニュー等のメニューの操作性を向上することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、画面上における操作者の視線位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが離れている場合に、前記視線位置に前記メニューを近づける制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上における操作者の視線位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが離れている場合に、前記視線位置に前記メニューを近づける制御を行う制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューとの距離が閾値を超えていると、前記視線位置に前記メニューを前記閾値以下の距離に近づける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが一致する場合に前記メニューを拡大表示する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが一致する場合に前記メニューの説明を表示する、
請求項1乃至3の内の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記視線位置が前記画面の画面外になると前記メニューの表示位置を元の表示位置に戻す、
請求項1乃至4の内の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
操作者が操作する信号を送信する送信手段と、
前記送信手段により送信される前記信号を受信する受信手段と、
を有し、
前記送信手段により前記信号が送信された場合に、前記検出手段が前記視線の検出を開始する、
請求項1乃至5の内の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
画面のメニューの表示を制御する表示制御方法であって、
画面上における操作者の視線位置を検出するステップと、
前記検出された視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが離れている場合に、前記視線位置に前記メニューを近づける制御を行うステップと、
を含む表示制御方法。
【請求項8】
情報処理装置のコンピュータを、
画面上における操作者の視線位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが離れている場合に、前記視線位置に前記メニューを近づける制御を行う制御手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、表示制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子黒板において画面上に所定のペンで筆記やメニュー選択を行う場合に、筆記位置の周辺に一時的に編集モード画像を表示する技術が既に知られている。
【0003】
この技術では、画面上にペンを接触させて筆記を行うと、その筆記位置の周辺に一時的に編集モード画像が表示されるものであり、筆記者は筆記位置において編集モードの種類を確認することができるというものである(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のように筆記位置の周辺に一時的に編集モード画像を表示する技術は、筆記をしている間は筆記位置の周辺にメニューが表示されるが、筆記者が筆記を行おうとしても、筆記を開始していないと、メニューが表示されない。従って、筆記者は筆記を開始するまで編集モードの種類が分からないので、操作性の点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作者による筆記メニュー等のメニューの操作性を向上することが可能な情報処理装置、表示制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、画面上における操作者の視線位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記視線位置と、前記画面上のメニューの位置とが離れている場合に、前記視線位置に前記メニューを近づける制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作者によるメニューの操作性を向上することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る電子黒板の概略構成について説明する図である。
図2図2は、電子黒板のメニュー表示制御の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図3図3は、メニューの表示制御の一例を示すフロー図である。
図4図4は、画面内におけるメニューの表示状態の一例を示すメニュー領域の移動を示す概念図である。
図5図5は、画面内におけるメニューの表示状態の一例を示すメニュー領域のアイコン等の拡大表示を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、表示制御方法、及びプログラムの実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明に係る情報処理装置の一実施の形態として電子黒板の情報処理装置へ適用した場合の例を示すが、電子黒板の情報処理装置に限定されない。本発明に係る情報処理装置は、表示エリアが広い画面に画面情報を出力する情報処理装置や、その他、PC(Personal Computer)やタブレット端末などにも好適に適用できる。
【0010】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る電子黒板の概略構成について説明する図である。図1に示されているように、電子黒板2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、SSD(Solid State Drive)204、ネットワークI/F205、及び、外部機器接続I/F(Interface)206を備えている。
【0011】
CPU201はアプリケーションを実行して電子黒板2の動作全体を制御する。ROM202には主に起動時にCPU201が実行するプログラムが記憶されている。RAM203は、CPU201がアプリケーションを実行する際のワークエリアとなる。SSD204は、電子黒板用のアプリケーションやデータ等が記憶された不揮発メモリである。電子黒板用のアプリケーションには、視線検出とメニュー表示制御を行うプログラムなども含まれる。ネットワークI/F205は、ネットワークを介してサーバなどと通信する際に通信プロトコルに基づく処理を行う。なお、ネットワークは、LAN(Local Area Network)やインターネットなどである。
【0012】
外部機器接続I/F206は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。外部機器は、例えば、外付け機器(マイク240、スピーカ250など)である。また、例えば着脱可能な外部メモリを接続し、外部メモリに対する書き込み又は外部メモリからの読み出しを行う。外部メモリは、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ230やSDカードなどである。
【0013】
また、電子黒板2は、キャプチャデバイス211、GPU(Graphics Processing Unit)212、ディスプレイコントローラ213、接触センサ214、センサコントローラ215、電子ペンコントローラ216、視線検出用カメラコントローラ217、撮影カメラコントローラ218、近距離通信回路219、及び近距離通信回路219のアンテナ219a、電源スイッチ222及び選択スイッチ類223を備えている。
【0014】
キャプチャデバイス211は、外付けのPC270が表示装置に表示している映像を取り込む(キャプチャする)。GPU212は、ディスプレイ280の各ピクセルの画素値を演算する描画専用のプロセッサである。ディスプレイコントローラ213は、GPU212が作成した画像をディスプレイ280に出力する。
【0015】
センサコントローラ215は、接触センサ214から出力された信号に基づき、ペンや指などが接触した位置(画面上の位置)を検出する。接触位置の検出は、赤外線遮断方式で検出する。なお、赤外線遮断方式に限らず、静電容量の変化により接触位置を検出する静電容量方式や、対向する2つの抵抗膜の電圧変化によって接触位置を検出する抵抗膜方式や、電磁誘導方式など、適宜検出方式を選択してよい。
【0016】
電子ペンコントローラ216は、電子ペン290と通信する。例えば、電子ペンコントローラ216は、電子ペン290から姿勢や位置を示す情報を取得することで、電子ペンの使用状態や、電子ペン290が使用されている位置などを判断する。
【0017】
電子ペン290は、ジャイロセンサなどを備え、電子ペンコントローラ216と通信する。電子ペン290は、筆記者に持たれるなどして姿勢の変化を検知すると、その信号を電子ペンコントローラ216に送信する。例えば電子ペンコントローラ216と電子ペン290とは、それぞれ近距離無線通信等により通信を行う通信手段(送信手段と受信手段)を備え、電子ペン290で送信手段により姿勢変化を示す信号を送信し、電子ペンコントローラ216では、その信号を受信手段で受信し、姿勢変化があったことを検出する。
【0018】
視線検出用カメラコントローラ217はカメラ(視線検出用カメラ220)を制御し、その撮影画像から人の視線情報を取得する。視線検出は、例えば目頭を基準点、虹彩を動点にして視線検出する方法や、角膜反射を基準点、瞳孔を動点にして視線検出する方法などがある。前者の方法で視線検出する場合、視線検出用カメラ220として可視カメラを使用する。後者の方法で視線検出する場合、視線検出用カメラ220として赤外線の照射装置と赤外線カメラとを組み合わせて使用する。視線検出用カメラコントローラ217は、視線検出用カメラ220から出力されてくるフレーム画像から、上記の方法や、その他の公知の視線検出方法により、視線検出用カメラ220に対する人の視線の方向をリアルタイムに算出する。
【0019】
撮影カメラコントローラ218はカメラ(撮影カメラ210)を制御し、撮影画像を取得する。なお、撮影カメラ210と視線検出用カメラ220とは同期をとって撮影することが望ましい。また、撮影カメラ210と視線検出用カメラ220とを並べて配置し、同じ向き、同じ画角を範囲に撮影することにより、それぞれの座標空間の変換処理を省略することもできる。
【0020】
撮影カメラ210は、RGB等の可視光フィルタを設けたCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像センサを有し、所定のフレームレートで撮影範囲を撮影したフレーム画像を転送する。
【0021】
視線検出用カメラ220は、例えば赤外線カメラであれば、赤外線照射装置を有し、赤外線照射装置が照射した光の反射光を赤外線を通過させる赤外フィルタを介して撮像センサで受光し、所定のフレームレートで撮影範囲を撮影したフレーム画像を転送する。
【0022】
近距離通信回路219は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。電源スイッチ222は、電子黒板2の電源のON/OFFを切り換えるためのスイッチである。選択スイッチ類223は、例えば、ディスプレイ280の表示の明暗や色合い等を調整するためのスイッチ群である。CPU201等を電気的に接続するバスライン210は、アドレスバスやデータバス等である。
【0023】
(機能ブロック)
CPU201はSSD204などが記憶するアプリケーションを実行することにより、電子黒板2の各種機能を実現する。電子黒板2の各種機能には、入力受付や表示などの基本機能の他に、各種の編集機能などを有する。これら編集機能は、ディスプレイ280の表示画面の一部のメニュー領域にアイコンとしてまとめられ表示される。操作者は、そのメニュー領域のアイコンの中から機能を選択し、選択した機能で筆記を行うことができる。本実施の形態では、主に、その表示されるメニュー領域の表示制御を行う機能について説明する。なお、上記操作者のことを、筆記の例を示すため筆記者として説明する。
【0024】
図2は、電子黒板2のメニュー表示制御の機能ブロックの構成の一例を示す図である。図2には、メニュー表示制御を行う制御部10の機能として視線算出部11と、判定部12と、メニュー表示制御部13とを示している。
【0025】
視線算出部11は、ディスプレイ280の画面に設定した2次元座標平面のどの座標に視線が対応するかを算出する。予め条件を設定しておくことにより、視線算出部11は、視線検出用カメラコントローラ217からのリアルタイムの視線情報を利用することで、最低限の視線算出は行えるが、ここでは撮影カメラコントローラ218からのリアルタイムの撮影画像も利用し、より正確な視線算出を行う例を示す。
【0026】
例えば、視線算出部11は、視線検出用カメラコントローラ217からのリアルタイムの視線情報と、撮影カメラコントローラ218からのリアルタイムの撮影画像(フレーム画像)とに基づき、ディスプレイ280の画面上の筆記者の視線の位置(座標)を随時求める。具体的には、視線算出部11は、撮影カメラ210と視線検出用カメラ220の設置位置およびそれぞれの向きの情報が予め設定されているとする。視線算出部11は、撮影カメラ210の撮影画像から、ディスプレイ280の画面に対して垂線方向の筆記者の距離と、画面の2次元座標平面における顔(特に目)などの座標を画像解析して算出する。筆記者は、画像解析から特定してもよいし、ペンなどの信号を受信して筆記者を特定しもよい。また、筆記者の距離は予め固定としてもよいし、測距センサを設けて測定してもよい。
【0027】
視線算出部11は、視線検出用カメラ220の設置位置および向きの情報から、視線検出用カメラコントローラ217からの視線情報がディスプレイ280の画面に対するどの向きを表すか座標変換する。
【0028】
そして、視線算出部11は、座標変換後の視線の方向とディスプレイ280に対する筆記者の位置とから、ディスプレイ280の画面に設定した2次元座標平面上の視線の位置の中心座標(以下「視線の位置座標」とする)を求める。
【0029】
判定部12は、視線算出部11が筆記者の動きに合わせてリアルタイムに算出する筆記者の視線の位置座標と所定の比較対象領域とを比較し、筆記者の視線の位置座標と比較対象領域との位置関係について判定する。
【0030】
メニュー表示制御部13は、メニューの表示位置やアイコンの表示を制御する。
【0031】
ここで、視線算出部11は、視線検出用カメラコントローラ217や撮影カメラコントローラ218などを含めて「検出手段」に相当する。判定部12やメニュー表示制御部13は「制御手段」に相当する。
【0032】
(メニュー表示制御の方法)
次に、制御部10によるメニューの表示制御の方法について説明する。本実施の形態の電子黒板2は、起動後、電子黒板2の画面(ディスプレイ280の画面)の初期設定位置にメニューを表示し、筆記者の視線検出を開始する。筆記者は、電子黒板2の画面に筆記を行おうとする場合、まず電子ペン290をとり、画面の筆記しようとする位置に視線を合わせて、その筆記位置にペン先をあてて筆記を開始する。従って、筆記者の視線の先が画面内であれば、これから筆記を行おうとしている状態にあると予測することができる。電子黒板2の制御部10は、筆記者の視線を追従し、筆記者が筆記しようとする位置に応じてメニューを筆記者の筆記位置付近に移動する制御を行う。また、筆記者1の視線の先がメニュー内であれば筆記者の次の操作としてメニューボタンを選択すると予測することができる。従って、制御部10は、筆記者がメニューボタンを選択しようとメニュー内に視線を向けた場合に、視線を向けたメニューボタンのアイコンの拡大表示や、説明(機能名や補足説明等)表示を行う。また、筆記者が画面から視線を外す場合は、筆記やメニュー選択とは別の動作が行われると予測することができる。この場合、電子黒板2の制御部10は、メニューを元の位置に戻す制御を行うことで、画面を見やすくする。
【0033】
図3は、メニューの表示制御の一例を示すフロー図である。図4図5は、画面内におけるメニューの表示状態の一例を示す概念図である。図4にはメニュー領域の移動の概念図を示し、図5にはメニュー領域のアイコン等の拡大表示の概念図を示している。以下では、図3のメニューの表示制御のフローを、図4図5のメニューの表示状態を適宜参照しながら説明する。
【0034】
図3において、視線検出の開始後、制御部10は、筆記者の視線を検出したかを判定する(ステップS1)。本例では、制御部10は、視線検出用カメラコントローラ217により取得した視線情報と撮影カメラコントローラ218により取得した撮影画像を基に筆記者の視線を検出する。筆記者が撮影画像の外側にいたり、筆記者がカメラ(撮影カメラや視線検出用カメラ)側に顔を向けていなかったりすると、視線を検出することができない。また、撮影画像や視線情報の中に筆記者以外に不特定多数の人が含まれる場合もあり、その場合には、その複数の中から筆記者の視線を検出する。筆記者は、例えば電子ペンから送信される筆記者の位置を示す情報や、電子ペンを握っている人物の画像解析や、画像に映りこんでいる人物の大きさなどにより識別することができる。なお、筆記者の視線を検出することができない場合は(ステップS1:No)、その後も筆記者の視線検出を繰り返す。
【0035】
筆記者の視線を検出した場合(ステップS1:Yes)、制御部10は、続いて視線の位置が画面内のメニュー領域と一致するかを判定する(ステップS2)。
【0036】
図4に示すように、メニュー1000は、初期設定では、例えば画面2800(ディスプレイ280の画面)の右端など所定の位置に表示されている。メニュー1000の領域(メニュー領域)が例えば図4に示すメニュー領域1001のような矩形の領域であるとする。便宜的に説明のため、画面2800に対し、横軸をX軸とし、縦軸をY軸とすると、画面2800全体の範囲と、画面2800内の各画素位置はXY座標系で示すことができる。メニュー領域1001のX軸方向の範囲はX座標の範囲で示し、Y軸方向の範囲はY座標の範囲で表せる。
【0037】
ステップS1で筆記者の視線が検出されると、画面2800上における視線の位置1002(座標(Xn、Yn))が求まるため、制御部10は、その視線の位置1002(座標(Xn、Yn))とメニュー領域1001のXY座標範囲((Xp、Yp)~(Xq、Yq))とを比較する。これにより、制御部10は、求めた視線の位置1002とメニュー領域1001のXY座標範囲とが一致するかを判定することができる。ここで、視線の位置1002を示す座標と画面2800上の座標とは基準点が同じであるものとする。また、図4において視線の位置1002は説明のため円で示しているが、その中心座標(Xn、Yn)である。また、(Xn、Yn)、(Xp、Yp)~(Xq、Yq)は、任意の座標点をとり得る。
【0038】
視線とメニュー領域とが一致しない場合(ステップS2:No)、制御部10は、続いて視線の方向がディスプレイ内(つまりディスプレイ280の画面内)であるかを判定する(ステップS3)。画面2800の範囲はXY座標で示すことができるため、視線の位置1002が画面2800の範囲外にある場合に画面2800外ということになる。
【0039】
視線の方向が画面2800内の場合(ステップS3:Yes)、制御部10は、求めた視線の位置1002とメニュー領域1001のXY座標範囲とを比較し、距離が予め設定した閾値を超えているかを判定する(ステップS4)。
【0040】
視線の位置1002とメニュー領域1001との距離が閾値を超えて離れている場合(ステップS4:Yes)、制御部10は、視線の位置付近にメニューを移動させる(ステップS5)。
【0041】
制御部10は、図4に示すように、筆記者1の視線の位置1002から上記閾値であるマージンM1をとって矢印A1のようにメニュー領域1001を移動させる。この場合、制御部10は、メニュー領域1001の基準位置(例えば中心や角など、予め決めた基準位置)とメニュー領域1001の領域幅などを考慮してマージンM1を設定し、筆記者1の筆記の邪魔になることなく筆記の補助となる位置にメニュー領域1001を移動する。例えば、視線の位置1002や筆記する位置には重ならず、筆記者1が視線A2を大きく逸らさずに確認することができる位置(筆記位置付近)に移動する。図4のようにメニュー1000が初期位置にあって、筆記者1の筆記位置がメニュー1000から離れている場合に、このケースとなる。
【0042】
その後、制御部10は、ステップS1に戻り同様の処理を行う。筆記者1がマージンM1の範囲内で筆記を行えば、視線の位置1002とメニュー領域1001との距離は常に閾値以内(ステップS4:No)となるため、メニュー領域1001は、その位置に配置されたままとなる。一方、筆記者1がマージンM1の範囲を超えて筆記を行えば、視線の位置1002とメニュー領域1001との距離が再び閾値を超えるため、制御部10は、ステップS4で再びYesと判定し、メニュー領域1001を、マージンM1の距離になるように視線の位置1002に近づける。
【0043】
その後、筆記者1が編集のため、筆記位置の近くに移動してきたメニュー1000のアイコンに視線を向けたとする。制御部10は、視線の位置1002と各アイコンの位置とを比較し、視線の位置1002と何れかのアイコンの位置とが一致すると(ステップS2:Yes)、そのアイコンを拡大表示し、アイコンの機能などの説明を表示する(ステップS6)。
【0044】
図5に示すように、筆記者1の視線の位置1002がメニュー領域1001のアイコン1000-1~アイコン1000-3の何れかに一致すると、そのアイコンが拡大表示される。図5には、視線の位置1002が消しゴムのアイコン1000-1に一致した場合を示している。図5には、拡大されたアイコン1100にアイコンの説明も表示している。例えば、そこで、筆記者1が拡大されたアイコン1100(消しゴムのアイコン)を選択すると、その設定が、その後の筆記の機能に反映される。つまり、この例では消しゴム機能が反映され、画面に筆記した文字等を電子ペンで上からなぞると、文字等が消去される。
【0045】
その後は、制御部10は、ステップS1に戻り、例えばステップS2がNo判定となった場合は、拡大したアイコンや説明表示を元の表示状態に戻す。また、ステップS2がYes判定となった場合でも、筆記者1が視線を別のアイコンに移した場合は、拡大していたアイコンや説明表示を元の表示状態に戻し、視線を移動した先のアイコンを拡大表示し説明を表示する。
【0046】
なお、視線の方向が画面外になると(ステップS3:No)、制御部10は、メニュー1000を初期位置のメニュー領域1001に戻す(ステップS7)。例えば、筆記者が筆記を終え、振り返るなどして画面2800の外側に目を逸らしたり、離れたりする場合などがこのケースとなる。ステップS7の後、制御部10は、ステップS1に戻る。
【0047】
本実施の形態では、電子黒板2の起動後に視線検出を開始する例を示したが、筆記者が電子ペン290を使うときに、その電子ペン290側から電子黒板2に信号を送り、その信号を電子黒板2が受信してから視線検出を開始するようにしてもよい。その場合、電子ペンで筆記やメニュー操作をしない間は、視線検出を停止することができるので、メニュー表示制御に使用するデバイスの一部の電源をOFFするなどして電力消費を抑えることで省エネの効果を得る。
【0048】
本実施の形態の情報処理装置で実行するプログラムは、ROMに予め組み込んで提供してもよい。また、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0049】
(実施の形態の効果)
以上のように、本実施の形態に情報処理装置の一例として示した電子黒板では、筆記者などが筆記する筆記位置にメニューが自動的に移動され、メニューを選択する際にメニューアイコンが自動で拡大表示される。そのため、筆記者による筆記メニューの操作性が格段に向上する。特に、筆記者の視線検出によりメニューの移動や拡大などの表示制御を行うため、筆記者が初期位置など離れた位置に視線を逸らす前にメニューを見やすい位置に移動することができるため、操作性が格段に向上し、筆記にも専念できる。さらには、メニューからアイコンを選択する際、初期位置まで手を伸ばして選択する場合には画面を覆うことになるが、手元の近くで選択できるため、周りの人は画面が常に見やすい状態にすることができる。そして、筆記者が筆記やメニュー選択以外の別の動作を行う場合は、メニューが元の位置に戻るため、メニューで隠れる部分がなくなり画面全体が見やすくなる。
【符号の説明】
【0050】
2 電子黒板
10 制御部
11 視線算出部
12 判定部
13 メニュー表示制御部
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 SSD
205 ネットワークI/F
206 外部機器接続I/F
210 撮影カメラ
212 GPU
213 ディスプレイコントローラ
214 接触センサ
215 センサコントローラ
216 電子ペンコントローラ
217 視線検出用カメラコントローラ
218 撮影カメラコントローラ
220 視線検出用カメラ
222 電源スイッチ
223 選択スイッチ類
280 ディスプレイ
290 電子ペン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2017-034502号公報
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面の一部のメニュー領域にアイコン又はメニューを表示させる情報処理装置であって、
操作者の視線が前記表示画面の画面外になった場合、
前記操作者の視線の位置と前記表示画面上の前記アイコン又はメニューの位置とに基づいて、
前記メニュー領域の位置を前記操作者の視線の位置付近に移動させる制御手段を有する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記操作者の前記視線位置と、前記表示画面のアイコン又はメニューとの距離が閾値を超えていると、前記視線位置に前記メニューを前記閾値以下の距離に近づける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記操作者の前記視線位置と、前記表示画面のアイコン又はメニューの位置とが一致する場合に前記アイコン又はメニューを拡大表示する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記視線位置と、前記表示画面上のメニューの位置とが一致する場合に前記アイコン又はメニューの説明を表示する、
請求項1乃至3の内の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記操作者の視線の位置は、虹彩から視線検出する方法、又は角膜反射と瞳孔から視線検出する方法によって算出される、
請求項1乃至4の内の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示画面の一部のメニュー領域にアイコン又はメニューを表示させる情報処理装置の表示制御方法であって、
操作者の視線が前記表示画面の画面外になった場合、
前記操作者の視線の位置と前記表示画面上の前記アイコン又はメニューの位置とに基づいて、
前記メニュー領域の位置を前記操作者の視線の位置付近に移動させる、
表示制御方法。
【請求項7】
示画面の一部のメニュー領域にアイコン又はメニューを表示させる情報処理装置のコンピュータを、
操作者の視線が前記表示画面の画面外になった場合、
前記操作者の視線の位置と前記表示画面上の前記アイコン又はメニューの位置とに基づいて、
前記メニュー領域の位置を前記操作者の視線の位置付近に移動させる制御手段、
として機能させるプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、表示画面の一部のメニュー領域にアイコン又はメニューを表示させる情報処理装置であって、操作者の視線が前記表示画面の画面外になった場合、前記操作者の視線の位置と前記表示画面上の前記アイコン又はメニューの位置とに基づいて、前記メニュー領域の位置を前記操作者の視線の位置付近に移動させる制御手段を有する、ことを特徴とする。