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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034275
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20230306BHJP
   G02B 21/02 20060101ALI20230306BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230306BHJP
   G01B 9/02 20220101ALI20230306BHJP
   G02B 21/00 20060101ALN20230306BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G02B21/02
G02B7/02 C
G01B9/02
G02B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140439
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110002963
【氏名又は名称】弁理士法人MTS国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】本橋 研
【テーマコード(参考)】
2F064
2H043
2H044
2H052
2H087
【Fターム(参考)】
2F064EE01
2F064GG44
2F064KK04
2H043AB02
2H043AB09
2H043AB10
2H043AB32
2H043AB37
2H044AC00
2H052AA04
2H052AB01
2H087KA09
2H087LA01
2H087RA42
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、光学部品の光軸方向の位置を固定する際に、光学部品に光軸方向の力が加わるのを防いで光軸方向の変位を抑え、精密な位置決めを可能とする。
【解決手段】光学装置の光学部品(30)を光軸方向の位置を調整して固定するための光学部品(30)の位置調整固定装置を備えた光学装置において、前記位置調整固定装置が、前記光学部品(30)の側面に形成された、光軸方向に長い長穴34と、前記光学部品(30)の固定対象(22、80)に取付けられる、前記長穴34に沿って移動可能な固定具50と、該固定具50に形成された、すり割り52で分割された非貫通のねじ穴54と、該ねじ穴54と螺合し、ねじ込まれた時に前記すり割り52を押し広げて、前記固定具50の外側面を前記長穴34の内側面に圧接させる固定ねじ60と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置の光学部品を光軸方向の位置を調整して固定するための光学部品の位置調整固定装置を備えた光学装置において、
前記位置調整固定装置が、
前記光学部品の側面に形成された、光軸方向に長い長穴と、
前記光学部品の固定対象に取付けられる、前記長穴に沿って移動可能な固定具と、
該固定具に形成された、すり割りで分割された非貫通のねじ穴と、
該ねじ穴と螺合し、ねじ込まれた時に前記すり割りを押し広げて、前記固定具の外側面を前記長穴の内側面に圧接させる固定ねじと、
を備えたことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記固定具に、前記非貫通のねじ穴と並んで、該固定具を前記光学部品の固定対象に取付けるための取付ねじ用貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記固定具が、前記光学部品の周方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光学装置が、前記固定対象である対物レンズの光軸と、前記光学部品である干渉ユニットに含まれる参照ミラーの光軸が同軸上にあるミロー型の白色干渉計であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記光学装置が、前記固定対象である対物レンズの光軸と、前記光学部品である干渉ユニットに含まれる参照ミラーの光軸が直交するマイケルソン型の白色干渉計であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に係り、特に、画像測定機や測定顕微鏡などに用いられるミロー型やマイケルソン型の白色干渉計に用いるのに好適な、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1にミロー型白色干渉計の主要な構成を例示する如く、特許文献1~5等に記載された、白色光干渉計光学ヘッド10による非接触表面形状測定では、白色光源12から照射した光を、ビームスプリッタ16やハーフミラー18により、参照ミラー20への参照光と、測定ワークW等の測定対象面への測定光に分割して、それぞれから反射してきた光の光路差により発生させた干渉縞画像を、受光素子アレイを含むカメラ26で観測し、前記干渉縞の強度に基づいて測定ワークWなどの凹凸形状を測定するようにしている。図において、14はコリメートレンズ、22は干渉対物レンズ(以下、単に対物レンズと称する)、24は結像レンズ、30は、参照ミラー20の位置を上下に調整して干渉縞を発生させるための干渉ユニットである。
【0003】
前記白色光干渉計光学ヘッド10を測定ワークWの表面に対して垂直方向に走査すると、参照光と測定光の光路差が0となる位置を中心に干渉縞が発生する。この干渉縞の強度のピーク位置を、カメラ26の受光素子で検出することにより、測定ワークWの3次元表面形状(以下単に3次元形状とも称する)を得ることができる。
【0004】
又、白色干渉計には、図1に示したような、対物レンズ22の光軸と参照ミラー20の光軸が同軸にあるミロー型だけでなく、前記特許文献5や特許文献6等に記載された、後出図6(A)に示す如く、対物レンズ22の光軸と参照ミラー20の光軸が直交するマイケルソン型もある。
【0005】
このような白色干渉計においては、測定ワークWの表面に焦点が合った段階で、距離h1とh2を等しくして、参照ミラー20に焦点を結ぶように、干渉ユニット30の位置を光軸方向に調整して対物レンズ本体に固定する必要がある。
【0006】
そのため、特許文献7~12等で様々な調整固定方法が提案されているが、いずれも構成が複雑であった。
【0007】
そこで、例えば図2に示す如く、干渉ユニット30の光軸に垂直な方向に対し、外側に向かって羽根32を複数枚設けて、その羽根32を上下(図2では左右)から挟み込むように光軸方向の上下から、調整リング42と固定リング44で固定することが考えられる。即ち、対物レンズ22の鏡筒23の外枠40の外側及び、調整リング42と固定リング44の内側にタップを加工し、調整リング42を回して、参照ミラー20を上下(図2では左右)させ、固定リング44と調整リング42で羽根32を挟み込むことにより、干渉ユニット30を固定することが考えられる。図において、46はばねである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6508764号公報
【特許文献2】特開2021-9128号公報
【特許文献3】特許第6461609号公報
【特許文献4】特開2012-93166号公報
【特許文献5】特開2012-88180号公報
【特許文献6】特開2020-154167号公報
【特許文献7】特開2009-53339号公報
【特許文献8】特開2011-85655号公報
【特許文献9】特許第3342321号公報
【特許文献10】特許第4201693号公報
【特許文献11】実用新案登録第2569571号公報
【特許文献12】特開2013-104998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、干渉ユニット30の位置決め精度は、白色干渉計では大変精密さが要求されるので、図2のように羽根32の上下方向から調整リング42を回動させ、精密に位置決めしたい光軸方向に力を加えて固定する方法では、固定時に干渉ユニット30が光軸方向に動いてしまい、調整・固定が非常に困難であった。このような問題は、白色干渉計以外の光学装置においても光学部品を精密に固定する必要がある場合に生じる。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、簡単な構成で、光学部品の光軸方向の位置を固定する際に、光学部品に光軸方向の力が加わるのを防ぎ、光軸方向の変位を抑えて、精密な位置決めを可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光学装置の光学部品を光軸方向の位置を調整して固定するための光学部品の位置調整固定装置を備えた光学装置において、前記位置調整固定装置が、前記光学部品の側面に形成された、光軸方向に長い長穴と、前記光学部品の固定対象に取付けられる、前記長穴に沿って移動可能な固定具と、該固定具に形成された、すり割りで分割された非貫通のねじ穴と、該ねじ穴と螺合し、ねじ込まれた時に前記すり割りを押し広げて、前記固定具の外側面を前記長穴の内側面に圧接させるねじと、を備えたことを特徴とする光学装置を提供するものである。
【0012】
ここで、前記固定具に、前記非貫通のねじ穴と並んで、該固定具を前記光学部品の固定対象に取付けるための取付ねじ用貫通穴を形成することができる。
【0013】
又、前記固定具を、前記光学部品の周方向に複数設けることができる。
【0014】
又、前記光学装置を、前記固定対象である対物レンズの光軸と、前記光学部品である干渉ユニットに含まれる参照ミラーの光軸が同軸上にあるミロー型の白色干渉計とすることができる。
【0015】
又、前記光学装置を、前記固定対象である対物レンズの光軸と、前記光学部品である干渉ユニットに含まれる参照ミラーの光軸が直交するマイケルソン型の白色干渉計とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構成で、光学部品の光軸方向の位置を固定する際に、光学部品に加わる力が光軸に垂直な方向となるので、光軸方向の変位を抑えて、精密な位置決めをすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のミロー型白色干渉計の光学ヘッドを模式的に示す光路図
図2】従来の干渉ユニット固定方法の一例を示す(A)縦断面図及び(B)B-B線に沿う横断面図
図3】ミロー型白色干渉計に適用した本発明の第1実施形態における干渉ユニットの固定部分を示す縦断面図
図4】実施形態で用いる固定具であるキーの構成を示す(A)平面図、及び(B)B-B線に沿う横断面図
図5】実施形態で干渉ユニットを固定している様子を示す平面図
図6】マイケルソン型白色干渉計に適用した本発明の第2実施形態における干渉ユニットの固定部分を示す(A)縦断面図及び(B)参照光路部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0019】
本発明の第1実施形態は、本発明をミロー型白色干渉計の干渉ユニットの位置調整固定装置に適用したもので、図3乃至図5に示す如く、測定対象の表面で反射された測定光と干渉させるための参照光を発生させる参照ミラー20が固定された光学部品である干渉ユニット30の位置を、前記参照ミラー20の光軸方向(図の左右方向)に調整して固定対象である対物レンズ22の鏡筒23に固定するための白色干渉計の干渉ユニット位置調整固定装置において、前記干渉ユニット30の側面に形成された、前記参照ミラー20の光軸方向に長い長穴34と、前記干渉ユニット30の固定対象である対物レンズ22の鏡筒23に取付けられる、前記長穴34に沿って移動可能な固定具である、図4(A)に示すような、2つの穴を有する長円筒状のキー50と、該キー50に形成された、すり割り52で分割された、図4(B)に示すような非貫通のねじ穴54と、該ねじ穴54と螺合して、ねじ込まれた時に前記すり割り52を押し広げて、前記キー50の外側面を前記長穴34の内側面に圧接させる固定ねじ60と、を備えている。
【0020】
前記キー50には、図4に詳細に示す如く、前記固定ねじ60用の非貫通のねじ穴54と並んで、該キー50を対物レンズ22の鏡筒23に取付けるための取付ねじ70用貫通穴56が形成されている。
【0021】
図において、41は、干渉ユニット30の外側に配設される、回動自在な調整リングであって、この調整リング41の内面と干渉ユニット30の外面にタップが加工されており、調整リング41を回転させると干渉ユニット30が上下(図3の左右)に移動するようにされている。この際、キー50は、図5に示す如く、長穴34と共に、干渉ユニット30が矢印Aで示す上下に移動したときに、その光軸を中心とした、矢印Rで示す周方向の回転ずれを防止する。更に、長穴34の光軸方向の寸法Lにより、干渉ユニット30を上下する時の調整ストロークを決めている。即ち、干渉ユニット30を光軸の上方向(図5の左方向)に過大に移動すると対物レンズ22の本体に衝突してしまう。又、逆に対物レンズ22と反対の下方向(図5の右方向)に移動しすぎると脱落してしまうが、長穴34で干渉ユニット30の調整ストロークを限定しておくことで、そのようなことを防止することができる。
【0022】
干渉ユニット30の位置を調整して固定する際には、前記キー50を取付ねじ70で対物レンズ22の鏡筒23に取付けた後、干渉ユニット30を図の左右方向に移動させ、干渉縞が目的の位置に現れたら、固定ねじ60を締め込んで、キー50のすり割り52を図5の上下に広げ、その外側面を干渉ユニット30の長穴34の内側面に押し付けることにより、干渉ユニット30を対物レンズ22の鏡筒23に固定する。この際、干渉ユニット30に参照ミラー20光軸方向(図3の左右方向)の力が加わることがないので、参照ミラー20が光軸方向に変位することなく、高精度に固定できる。
【0023】
前記キー50は、干渉ユニット30の周方向に複数設けることにより、固定を、より確実にすることができる。
【0024】
次に図6を参照して、マイケルソン型白色干渉計の干渉ユニットの位置調整固定装置に適用した本発明の第2実施形態を説明する。
【0025】
本実施形態は、図6(A)に示すような、対物レンズ22の光軸と参照ミラー20の光軸が直交するマイケルソン型白色干渉計において、干渉ユニット30の保持具80に、第1実施形態と同様の調整リング41、及び、キー50、固定ねじ60、取付ねじ70を備えた干渉ユニット30を保持するようにしたものである。
【0026】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に干渉ユニット30を光軸方向(図6の左右)に移動して必要な位置に来た時点で、固定ねじ60を締めこむことにより、キー50を広げて干渉ユニット30の長穴34に圧接し、干渉ユニット30を固定することができる。
【0027】
なお、マイケルソン型白色干渉計においては、光軸方向の位置調整機構だけでなく、傾きの調整機構も必要である。
【0028】
前記実施形態においては、本発明が、ミロー型及びマイケルソン型の白色干渉計に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、レーザ干渉計等の他の干渉計や、光学装置一般に適用できる。
【0029】
又、固定具の形状や、固定具を取付ける方法も、キー50や取付ねじ70に限定されない。
【0030】
更に、対物レンズ等の固定対象と干渉ユニット等の光学部品も別体である必要はなく、固定対象に光学部品が組み込まれている場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
20…参照ミラー
22…対物レンズ(固定対象)
30…干渉ユニット(光学部品)
34…長穴
41…調整リング
50…キー(固定具)
52…すり割り
54…非貫通ねじ穴
56…貫通穴
60…固定ねじ
70…取付ねじ
W…測定ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6