IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-基板処理装置 図1
  • 特開-基板処理装置 図2
  • 特開-基板処理装置 図3
  • 特開-基板処理装置 図4
  • 特開-基板処理装置 図5
  • 特開-基板処理装置 図6
  • 特開-基板処理装置 図7
  • 特開-基板処理装置 図8
  • 特開-基板処理装置 図9
  • 特開-基板処理装置 図10
  • 特開-基板処理装置 図11
  • 特開-基板処理装置 図12
  • 特開-基板処理装置 図13
  • 特開-基板処理装置 図14
  • 特開-基板処理装置 図15
  • 特開-基板処理装置 図16
  • 特開-基板処理装置 図17
  • 特開-基板処理装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034298
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20230306BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140463
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】野沢 秀二
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA24
4K030EA04
4K030EA11
4K030GA02
4K030KA02
4K030KA12
4K030KA41
4K030LA02
5F045AA08
5F045AB39
5F045AC07
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB02
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EB06
5F045EE20
5F045EF05
5F045EF15
5F045EF20
5F045EH13
5F045EJ03
5F045EK07
(57)【要約】
【課題】基板に対する処理の均一性を向上させることができる。
【解決手段】基板処理装置は、処理容器と、ステージと、天板と、駆動部と、排気口と、制御装置とを備える。ステージは、処理容器内に設けられ、基板が載せられる。天板は、処理容器内におけるステージに対向する位置に設けられている。駆動部は、ステージを昇降させる。排気口は、処理容器の側壁に設けられており、処理容器内のガスを排気する。制御装置は、駆動部を制御し、ステージの周縁部と、処理容器内における周縁部に対向する位置に配置された対向部材との間の間隔を制御することにより、ステージと天板との間の処理空間と、排気口との間の空間のコンダクタンスを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、基板が載せられるステージと、
前記処理容器内における前記ステージに対向する位置に設けられた天板と、
前記ステージを昇降させる駆動部と、
前記処理容器の側壁に設けられており、前記処理容器内のガスを排気する排気口と、
前記駆動部を制御し、前記ステージの周縁部と、前記処理容器内における前記周縁部に対向する位置に配置された対向部材との間の間隔を制御することにより、前記ステージと前記天板との間の処理空間と、前記排気口との間の空間のコンダクタンスを制御する制御装置と
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記周縁部は、
前記基板が載せられる前記ステージの領域を囲むように前記ステージの上面の周縁に環状に配置され、前記ステージから前記天板へ向かう方向に沿って突出する第1の突条を有し、
前記第1の突条の側面と、前記対向部材の側面との間には、予め定められた間隔の隙間が形成されており、
前記制御装置は、
前記駆動部を制御し、前記ステージから前記天板へ向かう方向に交差する方向から見た場合に前記第1の突条の側面と前記対向部材の側面とが重なる領域の大きさを制御することにより、前記ステージと前記天板との間の処理空間と、前記排気口との間の空間のコンダクタンスを制御する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記対向部材の側面に対向する前記第1の突条の側面には、螺旋状の溝が形成されている請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記対向部材は、
前記天板から前記ステージへ向かう方向から見た場合に前記ステージの前記周縁部を囲むように前記天板の下面に環状に配置され、前記天板から前記ステージへ向かう方向に沿って突出する第2の突条を有し、
前記制御装置は、
前記駆動部を制御し、前記天板から前記ステージへ向かう方向に交差する方向から見た場合に前記第1の突条の側面と前記第2の突条の側面とが重なる領域の大きさを制御することにより、前記ステージと前記天板との間の処理空間と、前記排気口との間の空間のコンダクタンスを制御する請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記対向部材は、
前記天板から前記ステージへ向かう方向から見た場合に前記ステージの前記周縁部を囲むように前記天板の下面に環状に配置され、前記天板から前記ステージへ向かう方向に沿って突出する第2の突条を有し、
前記第2の突条の側面と、前記周縁部の側面との間には、予め定められた間隔の隙間が形成されており、
前記制御装置は、
前記駆動部を制御し、前記天板から前記ステージへ向かう方向に交差する方向から見た場合に前記第2の突条の側面と前記周縁部の側面とが重なる領域の大きさを制御することにより、前記ステージと前記天板との間の処理空間と、前記排気口との間の空間のコンダクタンスを制御する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記周縁部の側面に対向する前記第2の突条の側面には、螺旋状の溝が形成されている請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記周縁部は、前記ステージの周縁に載せられた環状の部材であり、
前記周縁部の側壁には、前記ステージ側とは反対側に突出する第1の突出部が設けられており、
前記処理容器の内側の側壁には、前記処理容器の内側に突出する第2の突出部が設けられており、
前記制御装置は、
前記処理容器のクリーニングが行われる際に、前記駆動部により前記ステージを下降させ、前記第1の突出部を前記第2の突出部に載せることにより、前記ステージと前記周縁部とを離間させた後に、前記処理容器のクリーニングを実行する請求項1から6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記天板には、処理ガスを通過させる複数の吐出口が形成されている請求項1から7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記天板は、第1のモノマーを含む第1の処理ガスと、第2のモノマーを含む第2の処理ガスとを、それぞれ異なる前記吐出口から前記処理容器内に供給することにより、前記ステージ上に載せられた前記基板に、前記第1のモノマーおよび前記第2のモノマーの重合体の膜を形成する請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記第1のモノマーは、イソシアネートであり、
前記第2のモノマーは、アミンであり、
前記基板に形成される重合体には尿素結合が含まれる請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記第1のモノマーは、カルボン酸無水物であり、
前記第2のモノマーは、アミンであり、
前記基板に形成される重合体にはイミド結合が含まれる請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記第1のモノマーは、エポキシドであり、
前記第2のモノマーは、アミンであり、
前記基板に形成される重合体には2-アミノエタノール結合が含まれる請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1のモノマーは、イソシアネートであり、
前記第2のモノマーは、アルコールであり、
前記基板に形成される重合体にはウレタン結合が含まれる請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第1のモノマーは、ハロゲン化アシルであり、
前記第2のモノマーは、アミンであり、
前記基板に形成される重合体にはアミド結合が含まれる請求項9に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の種々の側面および実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2種類のモノマーを含むガスを、被処理基板が収容された処理容器内に供給し、2種類のモノマーの重合反応により被処理基板に有機膜を成膜する技術が知られている。例えば、芳香族アルキル、脂環状、または脂肪族のジイソシアネートモノマーと、芳香族アルキル、脂環状、または脂肪族のジアミンモノマーとの真空蒸着重合反応により、被処理基板に重合膜を成膜する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/129925号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板に対する処理の均一性を向上させることができる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、基板処理装置であって、処理容器と、ステージと、天板と、駆動部と、排気口と、制御装置とを備える。ステージは、処理容器内に設けられ、基板が載せられる。天板は、処理容器内におけるステージに対向する位置に設けられている。駆動部は、ステージを昇降させる。排気口は、処理容器の側壁に設けられており、処理容器内のガスを排気する。制御装置は、駆動部を制御し、ステージの周縁部と、処理容器内における周縁部に対向する位置に配置された対向部材との間の間隔を制御することにより、ステージと天板との間の処理空間と、排気口との間の空間のコンダクタンスを制御する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の種々の側面および実施形態によれば、基板に対する処理の均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置の一例を示す概略断面図である。
図2図2は、ステージの周縁付近の構造の一例を示す図である。
図3図3は、ステージの周縁付近の構造の他の例を示す図である。
図4図4は、ステージの周縁付近の構造の他の例を示す図である。
図5図5は、ステージの周縁付近の構造の他の例を示す図である。
図6図6は、ステージの周縁付近の寸法とコンダクタンスの関係の一例を示す図である。
図7図7は、ステージの周縁付近の構造の他の例を示す図である。
図8図8は、絶縁部材の構造の他の例を示す断面図である。
図9図9は、絶縁部材の構造の他の例を示す断面図である。
図10図10は、絶縁部材の突出部の側面の構造の他の例を示す図である。
図11図11は、xy平面に沿う方向において、絶縁部材の突出部と、カバー部材の突出部とが重なる領域の一例を示す図である。
図12図12は、基板の周方向における排気量の偏りの一例を示す図である。
図13図13は、xy平面に沿う方向において、絶縁部材の突出部と、カバー部材の突出部とが重なる領域の一例を示す図である。
図14図14は、基板の周方向における排気量の偏りの一例を示す図である。
図15図15は、ステージの周縁付近の構造の他の例を示す図である。
図16図16は、クリーニングの際のステージおよびカバー部材の位置の一例を示す図である。
図17図17は、絶縁部材の突出部と、カバー部材の突出部との位置関係の一例を示す図である。
図18図18は、カバー部材の突出部の形状の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示される基板処理装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、開示される基板処理装置が限定されるものではない。
【0009】
ところで、処理容器内に供給されたガスが基板全体に均等に行き渡るようにすることは、基板の処理の均一性を高める重要な要素の一つである。そのため、基板が収容される処理容器の側壁に、基板の周囲を囲むようにスリット状の排気口を設け、その排気口から処理容器内のガスを排気することにより、処理容器内のガスが処理容器内で偏在しないようにガスを均等に排気する試みが行われる場合がある。
【0010】
しかし、排気口からのガスの排気量が多い場合には、排気ポンプに近い位置の排気口の方が、排気ポンプから遠い位置の排気口よりもガスの排気量が多くなり、ガスの均等排気が難しい。そのため、スリット状の排気口の開口を細くし、排気口のコンダクタンスを下げることにより、排気口からのガスの排気量を下げることが考えられる。しかし、製造誤差、組付け誤差、熱膨張等により、排気口の開口の大きさが設計値からずれる場合がある。排気口の開口の大きさが僅かに変化するだけで、排気口からのガスの排気量が大きく変化するため、排気口の開口の大きさを設計値通りの大きさにすることは難しい。
【0011】
そこで、本開示は、基板に対する処理の均一性を向上させることができる技術を提供する。
【0012】
[基板処理装置10の構成]
図1は、本開示の一実施形態における基板処理装置10の一例を示す概略断面図である。基板処理装置10は、装置本体200と、装置本体200を制御する制御装置100とを備える。装置本体200は、処理容器209を有する。処理容器209は、下部容器201、排気ダクト202、支持構造体210、およびシャワーヘッド230を有する。
【0013】
下部容器201は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。排気ダクト202は、下部容器201の上部の周縁に設けられている。また、排気ダクト202の上には、環状の絶縁部材204が配置されている。シャワーヘッド230は、下部容器201の上方に設けられており、絶縁部材204に支持されている。シャワーヘッド230は、天板の一例である。下部容器201の略中央には、基板Wを載置する支持構造体210が設けられている。以下では、下部容器201、排気ダクト202、支持構造体210、およびシャワーヘッド230で囲まれた処理容器209内の空間を処理空間SPと定義する。
【0014】
下部容器201の側壁には、基板Wの搬入および搬出を行うための開口部205が形成されている。開口部205は、ゲートバルブGによって開閉される。排気ダクト202は、縦断面が中空の角型形状であり、下部容器201の上部の周縁に沿って環状に延在している。排気ダクト202には、排気ダクト202の延在方向に沿ってスリット状の排気口203が形成されている。排気口203は、支持構造体210に載せられた基板Wの周縁に沿って、基板Wの領域の外側に配置され、処理空間SP内のガスを排気する。
【0015】
排気ダクト202には、排気管206の一端が接続されている。排気管206の他端は、APC(Auto Pressure Controller)バルブ等の圧力調整バルブ207を介して真空ポンプ等を有する排気装置208に接続されている。圧力調整バルブ207は、制御装置100によって制御され、処理空間SP内の圧力を予め設定された圧力に制御する。
【0016】
排気ダクト202の側壁およびシャワーヘッド230の上面には図示しないヒータが設けられており、排気ダクト202およびシャワーヘッド230は、例えば200℃以上の温度となるように加熱される。これにより、排気ダクト202およびシャワーヘッド230への反応副生成物(いわゆるデポ)の付着を抑制することができる。なお、排気管206、圧力調整バルブ207、および排気装置208においても、ヒータが設けられ、デポが付着しにくい温度に加熱されてもよい。
【0017】
支持構造体210は、ステージ211および支持部212を有する。ステージ211は、例えばアルミニウム等の金属により構成され、上面に基板Wが載せられる。シャワーヘッド230は、ステージ211に対応する位置に設けられている。基板Wが載せられるステージ211の領域の外側には、環状のカバー部材217が設けられている。支持部212は、例えばアルミニウム等の金属により筒状に構成され、ステージ211を下方から支持する。
【0018】
ステージ211には、ヒータ214が埋め込まれている。ヒータ214は、供給された電力に応じてステージ211上に載せられた基板Wを加熱する。ヒータ214に供給される電力は、制御装置100によって制御される。
【0019】
また、ステージ211内には、冷媒が流通する流路215が形成されている。流路215には、配管216aおよび配管216bを介して、図示しないチラーユニットが接続されている。チラーユニットによって予め定められた温度に調整された冷媒が配管216aを介して流路215に供給され、流路215内を循環した冷媒が、配管216bを介してチラーユニットに戻される。流路215内を循環する冷媒によりステージ211が冷却される。チラーユニットは、制御装置100によって制御される。
【0020】
支持部212は、下部容器201の底部に形成された開口部を貫通するように下部容器201内に配置されている。支持部212は、昇降機構240の駆動により上下に昇降する。基板Wが搬入される際には、昇降機構240の駆動により支持構造体210が下降し、ゲートバルブGが開けられる。そして、開口部205を介して基板Wが下部容器201内に搬入され、ステージ211上に載せられる。そして、ゲートバルブGが閉じられ、昇降機構240の駆動により支持構造体210が上昇し、基板Wへの成膜処理が実行される。また、基板Wが搬出される際には、昇降機構240の駆動により支持構造体210が下降し、ゲートバルブGが開けられる。そして、開口部205を介してステージ211上から基板Wが搬出される。
【0021】
シャワーヘッド230は、拡散室231aおよび拡散室231bを有する。拡散室231aおよび拡散室231bは互いに連通していない。拡散室231aおよび拡散室231bには、ガス供給部220が接続されている。具体的には、拡散室231aには、配管225aを介して、バルブ224a、MFC(Mass Flow Controller)223a、気化器222a、および原料供給源221aが接続されている。原料供給源221aは、第1のモノマーの一例であるイソシアネートの供給源である。気化器222aは、原料供給源221aから供給されたイソシアネートの液体を気化させる。MFC223aは、気化器222aによって気化されたイソシアネートの蒸気の流量を制御する。バルブ224aは、イソシアネートの蒸気の配管225aへの供給および供給停止を制御する。
【0022】
拡散室231bには、配管225bを介して、バルブ224b、MFC223b、気化器222b、および原料供給源221bが接続されている。原料供給源221bは、第2のモノマーの一例であるアミンの供給源である。気化器222bは、原料供給源221bから供給されたアミンの液体を気化させる。MFC223bは、気化器222bによって気化されたアミンの蒸気の流量を制御する。バルブ224bは、アミンの蒸気の配管225bへの供給および供給停止を制御する。
【0023】
また、シャワーヘッド230には、配管225aおよび配管225bを介して、バルブ224c、MFC223c、およびクリーニングガス供給源221cが接続されている。クリーニングガス供給源221cは、例えば酸素原子またはフッ素原子を含む分子を含有するクリーニングガスの供給源である。MFC223cは、クリーニングガス供給源221cから供給されたクリーニングガスの流量を制御する。バルブ224cは、クリーニングガスの配管225aおよび配管225bへの供給および供給停止を制御する。
【0024】
拡散室231aは、複数の吐出口232aを介して処理空間SPと連通しており、拡散室231bは、複数の吐出口232bを介して処理空間SPと連通している。配管225aを介して拡散室231a内に供給されたイソシアネートの蒸気およびクリーニングガスは、拡散室231a内を拡散し、吐出口232aを介して処理空間SP内にシャワー状に吐出される。また、配管225bを介して拡散室231b内に供給されたアミンの蒸気よびクリーニングガスは、拡散室231b内を拡散し、吐出口232bを介して処理空間SP内にシャワー状に吐出される。イソシアネートおよびアミンの蒸気は、吐出口232aおよび吐出口232bを介して処理空間SP内に吐出された後、処理空間SP内において混合され、ステージ211に載せられた基板Wの表面に尿素結合を有する重合体の膜を形成する。
【0025】
例えば、第1のモノマーとしてジイソシアネート、第2のモノマーとしてジアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、直鎖のポリ尿素を生成させることができる。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)および1,12-ジアミノドデカン(DAD)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,12-ジアミノドデカン(DAD)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)および1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(H6XDA)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)およびm-キシリレンジアミン(XDA)の組み合わせである。ジイソシアネートおよびジアミンの組み合わせは、例えば、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)およびベンジルアミン(BA)の組み合わせである。
【0026】
例えば、第1のモノマーとしてジイソシアネート、第2のモノマーとしてトリアミン(例えば、第1級アミン)またはテトラアミン(例えば、第2級アミン)を用いることで、架橋性ポリ尿素を生成させることができる。また、第1のモノマーとしてモノイソシアネート、第2のモノマーとしてジアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、尿素結合を有するトリマーを生成させることができる。また、第1のモノマーとしてモノイソシアネート、第2のモノマーとしてモノアミン(例えば、第1級アミン)を用いることで、尿素結合を有するダイマーを生成させることができる。
【0027】
シャワーヘッド230には、整合器261を介して、プラズマ発生用のRF(Radio Frequency)電力を供給するRF電源260が接続されている。シャワーヘッド230は、ステージ211に対してカソード電極として機能する。処理空間SP内のクリーニングにおいて、シャワーヘッド230を介してガス供給部220から処理空間SP内にクリーニングガスが供給され、整合器261を介してRF電源260から処理空間SP内にRF電力が供給される。これにより、処理空間SP内においてクリーニングガスがプラズマ化され、プラズマに含まれる活性種により、処理空間SP内のクリーニングが行われる。
【0028】
制御装置100は、メモリ、プロセッサ、および入出力インターフェイスを備える。メモリには、制御プログラムおよび処理レシピ等が格納される。プロセッサは、制御プログラムをメモリから読み出して実行し、メモリに格納されたレシピ等に基づいて、入出力インターフェイスを介して装置本体200の各部を制御する。
【0029】
[ステージ211の周縁付近の構造]
図2は、ステージ211の周縁付近の構造の一例を示す図である。基板Wが載せられるステージ211の領域の外側には、環状のカバー部材217が設けられている。本実施形態において、カバー部材217は、ステージ211の周縁から、ステージ211からシャワーヘッド230へ向かう方向に突出している。昇降機構240の駆動によりステージ211が上昇すると、カバー部材217の上面Bの距離L1の範囲において、カバー部材217の上面Bと絶縁部材204の下面Aとの間の距離h1が小さくなる。これにより、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスが小さくなる。本実施形態において、基板Wの成膜処理の際、距離L1は例えば20mmであり、距離h1は例えば10mmに設定される。
【0030】
ここで、排気口203の開口の幅を調整することにより、排気口203からのガスの排気量を調整するとすれば、製造誤差、組付け誤差、熱膨張等により、排気口203の開口の大きさが設計値からずれる場合がある。排気口203の開口の大きさが僅かに変化するだけで、排気口203からのガスの排気量が大きく変化する場合がある。そのため、排気口203の開口の大きさを設計値通りの大きさに精度よく調整することは難しい。
【0031】
これに対し、本実施形態では、昇降機構240の駆動によりカバー部材217の上面Bと絶縁部材204の下面Aとの間のコンダクタンスを精度よく調整することができる。これにより、排気口203からのガスの排気量を低く抑えることができ、基板Wの周方向において、ガスの排気量の偏りを抑制することができる。
【0032】
また、排気口203の開口の幅が固定的に調整されてしまうと、処理容器209内のガスの入れ替え時等において、ガスの排気量を多くすることが難しい。これにより、処理容器209内のガスの入れ替えに時間がかかり、処理のスループットの向上が難しくなる。これに対し、本実施形態では、昇降機構240の駆動によりステージ211を下降させることで、カバー部材217の上面Bと絶縁部材204の下面Aとの間のコンダクタンスを容易に大きくすることができる。これにより、処理容器209内のガスの入れ替えに要する時間を削減することができ、処理のスループットを向上させることができる。
【0033】
なお、本実施形態において、カバー部材217とステージ211とは別々の部材として構成されるが、他の形態として、カバー部材217は、ステージ211の一部として、ステージ211と一体に構成されてもよい。カバー部材217は、周縁部の一例である。絶縁部材204は、対向部材の一例である。
【0034】
以上、一実施形態について説明した。上記したように、本実施形態における基板処理装置10は、処理容器209と、ステージ211と、シャワーヘッド230と、昇降機構240と、排気口203と、制御装置100とを備える。ステージ211は、処理容器209内に設けられ、基板Wが載せられる。シャワーヘッド230は、処理容器209内におけるステージ211に対向する位置に設けられている。昇降機構240は、ステージを昇降させる。排気口203は、処理容器209の側壁に設けられており、処理容器209内のガスを排気する。制御装置100は、昇降機構240を制御し、ステージ211のカバー部材217と、処理容器209内におけるカバー部材217に対向する位置に配置された絶縁部材204との間の間隔を制御する。これにより、制御装置100は、ステージ211とシャワーヘッド230との間の処理空間SPと、排気口203との間の空間のコンダクタンスを制御する。これにより、基板Wに対する処理の均一性を向上させることができる。
【0035】
また、上記した実施形態において、シャワーヘッド230には、処理ガスを通過させる複数の吐出口232aおよび232bが形成されている。これにより、処理容器209内において処理ガスの分布の偏りを抑制することができる。
【0036】
また、上記した実施形態において、シャワーヘッド230は、第1のモノマーを含む第1の処理ガスと、第2のモノマーを含む第2の処理ガスとを、それぞれ異なる吐出口232aおよび232bから処理容器209内に供給することにより、ステージ211上に載せられた基板Wに、第1のモノマーおよび第2のモノマーの重合体の膜を形成する。また、第1のモノマーは例えばイソシアネートであり、第2のモノマーは例えばアミンであり、基板Wに形成される重合体には尿素結合が含まれる。基板Wに形成される重合体の膜厚は、基板W上における第1のモノマーのガスおよび第2のモノマーのガスの分布の影響を受ける。本実施形態では、第1のモノマーのガスおよび第2のモノマーのガスの分布の偏りが抑制されるため、膜質および膜厚の偏りがより少ない尿素結合を有する重合体の膜を形成することができる。
【0037】
[その他]
なお、本願に開示された技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0038】
例えば、図2の例では、ステージ211の周縁に、ステージ211からシャワーヘッド230へ向かう方向に突出するカバー部材217が設けられているが、開示の技術はこれに限られない。例えば図3に示されるように、ステージ211の周縁に対向する部分の絶縁部材204(図3の突条部204a)が、シャワーヘッド230からステージ211へ向かう方向に環状に突出していてもよい。図3の例では、ステージ211の周縁にカバー部材217は設けられていない。このような構成においても、昇降機構240の駆動により、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスを調整することができる。
【0039】
あるいは、例えば図4に示されるように、ステージ211の周縁にカバー部材217が設けられると共に、カバー部材217に対向する部分の絶縁部材204(図4の突条部204a)が、カバー部材217へ向かう方向に環状に突出していてもよい。このような構成においても、昇降機構240の駆動により、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスを調整することができる。
【0040】
また、例えば図5に示されるように、絶縁部材204の下面Aには、シャワーヘッド230からステージ211へ向かう方向に環状に突出する突条部204aが設けられていてもよい。突条部204aは、第2の突条の一例である。突条部204aは、図5のz方向において、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとの間が予め定められた距離h2となる位置に設けられている。そして、昇降機構240の駆動により、図5のxy平面に沿う方向から見た場合に、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとが重なる領域の大きさが制御される。突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとが重なる領域におけるz方向の距離をL2と定義する。本実施形態において、基板Wの成膜処理において、距離h2は例えば2mmであり、距離L2は例えば5mm~50mmである。
【0041】
昇降機構240の駆動により、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとが重なる領域を大きくすると、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとの間の空間のコンダクタンスが小さくなる。一方、昇降機構240の駆動により、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとが重なる領域を小さくすると、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとの間の空間のコンダクタンスが大きくなる。そのため、このような構成においても、昇降機構240の駆動により、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスを調整することができる。
【0042】
図6は、ステージ211の周縁付近の寸法とコンダクタンスの関係の一例を示す図である。図6では、図5に例示された構成において、距離L2は距離L1より長く、距離h1は距離h2の2倍以上長いことを前提としている。また、図6において「無し」とは、突条部204aが設けられていない場合を表している。図6の縦軸は、下記の式(1)により算出された値である。
【数1】
上記した(1)式において、Cはコンダクタンス、μは流体粘度、Pは圧力、bは定数である。
【0043】
図6を参照すると、距離L2が10mm以上の範囲では、いずれの距離h2においても、距離L2の増加に伴ってCμ/Pの値がほぼ線形に増加している。一方、距離L2が10mm未満の範囲では、突条部204aが設けられていない方が、突条部204aが設けられている方よりも、Cμ/Pの値の変化が大きくなっている。つまり、距離L2が10mm未満の範囲では、カバー部材217の上面Bと絶縁部材204の下面Aとの間のコンダクタンスの影響が大きくなり、カバー部材217の側面Cと突条部204aの側面Dとの間のコンダクタンスの変化の影響が小さくなっている。従って、距離L2が10mm以上の範囲において、昇降機構240の駆動により、距離L2および距離h2を制御することで、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスをより精度よく調整することができる。
【0044】
また、図5では、昇降機構240の駆動により、突条部204aの側面Dとカバー部材217の側面Cとが重なる領域の大きさが制御されるが、開示の技術はこれに限られない。例えば図7に示されるように、カバー部材217には、ステージ211からシャワーヘッド230へ向かう方向に環状に突出する突条部217aが設けられてもよい。突条部217aは、第1の突条の一例である。また、絶縁部材204の下面には、シャワーヘッド230からステージ211へ向かう方向に環状に突出する突条部204aが設けられていてもよい。そして、昇降機構240の駆動により、図7のxy平面に沿う方向から見た場合に、突条部204aの側面と突条部217aの側面とが重なる領域の大きさが制御される。このような構成においても、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスを調整することができる。
【0045】
また、図7の例では、突条部204aの側面とカバー部材217の側面とが重なる領域の大きさが制御されるが、例えば図8に示されるように、シャワーヘッド230の側面とカバー部材217の側面とが重なる領域の大きさが制御されてもよい。このような構成においても、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスを調整することができる。
【0046】
また、図5の例において、カバー部材217側の突条部204aの側面は平坦であるが、開示の技術はこれに限られない。他の例として、カバー部材217側の突条部204aの側面には、例えば図9に示されるように、螺旋状の溝204bが形成されていてもよい。カバー部材217側の突条部204aの側面に沿う方向において突条部204aの側面を展開すると、例えば図10のようになる。
【0047】
そして、昇降機構240の駆動によりカバー部材217が上昇し、例えば図11に示されるように、カバー部材217と突条部204aとの重なりのz方向における範囲がR1となった場合を考える。この場合、カバー部材217の上端におけるxy平面に沿う方向の断面(図11におけるA-A断面)において、溝204bの範囲はR2である。カバー部材217と突条部204aとが重なっている場合、処理空間SP内のガスは、カバー部材217の側面と突条部204aの側面との間の隙間に加えて、カバー部材217の上端における範囲R2の溝204bからも排気される。
【0048】
従って、基板Wの周方向において、例えば図12に示されるように、範囲R2の溝204bの部分の排気量が多くなる。図12には、図11のA-A断面が示されている。また、図12では、排気量の大きさが矢印の太さで表されている。
【0049】
また、昇降機構240の駆動によりカバー部材217がさらに上昇し、例えば図13に示されるように、カバー部材217と突条部204aとの重なりのz方向における範囲がR3となった場合を考える。この場合、カバー部材217の上端におけるxy平面に沿う方向の断面(図13におけるA-A断面)において、溝204bの範囲はR4である。従って、基板Wの周方向において、例えば図14に示されるように、範囲R4の溝204bの部分の排気量が多くなる。図14には、図13のA-A断面が示されている。また、図14では、排気量の大きさが矢印の太さで表されている。
【0050】
このように、カバー部材217側の突条部204aの側面に、螺旋状の溝204bが形成されることにより、処理空間SPと排気口203との間のコンダクタンスだけでなく、基板Wの周方向における排気量を調整することができる。排気量が少ない場所の排気量を増やし、排気量が多い場所の排気量を減らすように、基板Wの周方向における排気量を調整することにより、基板Wの周方向における排気量の偏りを抑制することができる。
【0051】
なお、図9図14の例では、図5に例示された構成において、カバー部材217側の突条部204aの側面に螺旋状の204bが形成されるが、図7に例示された構成において、突条部204a側の突条部217aの側面に螺旋状の溝204bが形成されてもよい。また、図8に例示された構成において、シャワーヘッド230側の突条部217aの側面に螺旋状の204bが形成されてもよい。また、図5に例示された構成において、突条部204a側のカバー部材217の側面に螺旋状の溝204bが形成されてもよい。また、図7に例示された構成において、突条部217a側の突条部204aの側面に螺旋状の溝204bが形成されてもよい。また、図8に例示された構成において、突条部217a側のシャワーヘッド230の側面に螺旋状の溝204bが形成されてもよい。
【0052】
また、図2に例示されたカバー部材217の側面には、例えば図15に示されるように、ステージ211側とは反対側に突出する突出部217bが設けられ、下部容器201の内側の側面には、処理容器209の内側に突出する突出部201aが設けられてもよい。突出部217bは第1の突出部の一例であり、突出部201aは第2の突出部の一例である。制御装置100は、処理容器209のクリーニングが行われる際に、昇降機構240によりステージ211を下降させ、突出部217bを突出部201aに載せる。これにより、例えば図16に示されるように、ステージ211とカバー部材217とを離間させた後に、処理容器209のクリーニングを実行する。これにより、基板Wの成膜の際にカバー部材217とステージ211との間に入り込んだ反応副生成物(いわゆるデポ)をクリーニングにより効率よく除去することができる。
【0053】
また、図7に例示されたカバー部材217において、例えば図17(a)に示されるように、カバー部材217の中心O’と、突条部204aの中心Oとを一致させると、突条部204aと突条部217aとの間の幅がほぼ均等になる。これにより、基板Wの周方向において、排気量をほぼ均等にすることができる。
【0054】
一方、例えば図17(b)に示されるように、カバー部材217の中心O’と、突条部204aの中心Oとが意図的に一致しないようにカバー部材217をステージ211に配置すると、突条部204aと突条部217aとの間の幅が不均一になる。これにより、基板Wの周方向において、突条部204aと突条部217aとの間の幅が比較的広い部分と、比較的狭い部分とが発生する。カバー部材217の中心O’が突条部204aの中心Oからずれるようにカバー部材217をステージ211に配置することにより、例えば図17(b)に示されるように、基板Wの周方向において、排気量の偏りを意図的に発生させることができる。ステージ211に対するカバー部材217の位置は、例えばカバー部材217を搬送する搬送ロボット等によりカバー部材217がステージ211上に載せられる際に調整することができる。これにより、排気量が少ない場所の排気量を増やし、排気量が多い場所の排気量を減らすように、基板Wの周方向における排気量を調整することができ、基板Wの周方向における排気量の偏りを抑制することができる。
【0055】
また、図7に例示されたカバー部材217における突条部217aの高さはほぼ一定であるが、開示の技術はこれに限られない。突条部217aは、例えば図18に示されるように、周方向の位置に応じて異なる高さであってもよい。例えば、排気量を増やしたい方向における突条部217aの高さが低く、排気量を減らしたい方向における突条部217aの高さが高くなるような向きでカバー部材217をステージ211に配置する。これにより、基板Wの周方向において、排気量の偏りを意図的に発生させることができる。ステージ211に対するカバー部材217の向きは、例えばカバー部材217を搬送する搬送ロボット等によりカバー部材217がステージ211上に載せられる際に調整される。これにより、排気量が少ない場所の排気量を増やし、排気量が多い場所の排気量を減らすように、基板Wの周方向における排気量を調整することができ、基板Wの周方向における排気量の偏りを抑制することができる。
【0056】
また、図9図14の例示された構成と、図17に例示された構成と、図18に例示された構成とは、組み合わせて用いられてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態では、第1のモノマーとしてイソシアネート、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面に尿素結合(-NH-CO-NH-)を有する重合体の膜が形成されたが、開示の技術はこれに限られない。例えば、第1のモノマーとしてエポキシド、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面に2-アミノエタノール結合(-NH-CH2-CH(OH)-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。あるいは、第1のモノマーとしてイソシアネート、第2のモノマーとしてアルコールを用いて、基板Wの表面にウレタン結合(-NH-CO-O-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。あるいは、第1のモノマーとしてハロゲン化アシル、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面にアミド結合(-NH-CO-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。あるいは、第1のモノマーとしてカルボン酸無水物、第2のモノマーとしてアミンを用いて、基板Wの表面にイミド結合(-CO-N(-)-CO-)を有する重合体の膜が形成されてもよい。
【0058】
基板Wの表面にイミド結合を有する重合体の膜が形成される場合、第1のモノマーとしては、例えばピロメリト酸二無水物(PMDA)、第2のモノマーとしては、例えば4,4’-オキシジアニリン(44ODA)、または、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)を用いることができる。
【0059】
また、上記した実施形態では、基板処理装置10として、成膜を行う装置を例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。処理容器209内のガスの分布が基板Wに対する処理の品質に影響を及ぼす装置であれば、成膜を行う装置以外に、エッチングを行う装置や、基板Wの改質を行う装置等にも開示の技術を適用することができる。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
G ゲートバルブ
W 基板
10 基板処理装置
100 制御装置
200 装置本体
201 下部容器
201a 突出部
202 排気ダクト
203 排気口
204 絶縁部材
204a 突条部
204b 溝
205 開口部
206 排気管
207 圧力調整バルブ
208 排気装置
209 処理容器
210 支持構造体
211 ステージ
212 支持部
214 ヒータ
215 流路
216 配管
217 カバー部材
217a 突条部
217b 突出部
220 ガス供給部
221a 原料供給源
221b 原料供給源
221c クリーニングガス供給源
222 気化器
223 MFC
224 バルブ
225 配管
230 シャワーヘッド
231 拡散室
232 吐出口
240 昇降機構
260 RF電源
261 整合器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18