IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本放送協会の特許一覧

<>
  • 特開-三次元映像表示装置 図1
  • 特開-三次元映像表示装置 図2
  • 特開-三次元映像表示装置 図3
  • 特開-三次元映像表示装置 図4
  • 特開-三次元映像表示装置 図5
  • 特開-三次元映像表示装置 図6
  • 特開-三次元映像表示装置 図7
  • 特開-三次元映像表示装置 図8
  • 特開-三次元映像表示装置 図9
  • 特開-三次元映像表示装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034402
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】三次元映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/33 20200101AFI20230306BHJP
   G03B 35/24 20210101ALI20230306BHJP
   H04N 13/349 20180101ALI20230306BHJP
   H04N 13/363 20180101ALI20230306BHJP
   H04N 13/354 20180101ALI20230306BHJP
【FI】
G02B30/33
G03B35/24
H04N13/349
H04N13/363
H04N13/354
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140631
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】大村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡市 直人
(72)【発明者】
【氏名】加納 正規
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久幸
(72)【発明者】
【氏名】洗井 淳
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AA24
2H059AA35
2H059AB13
2H199BA17
2H199BA29
2H199BA49
2H199BB08
2H199BB30
2H199BB43
2H199BB59
5C061AA06
5C061AA23
5C061AB14
5C061AB18
(57)【要約】
【課題】従来よりも薄型な三次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】三次元映像表示装置1は、異なる位置の複数の視点映像で構成された多視点映像を表示する背面透過型の多視点映像表示部11と、多視点映像表示部11に表示する多視点映像の個々の視点映像を背面から照射する位置に配置された複数の点光源で構成された点光源アレイ部12と、多視点映像表示部11で表示された多視点映像を背面照射されて前面に拡散することで三次元映像を表示する拡散スクリーン13と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元映像を表示する三次元映像表示装置であって、
異なる視点位置の複数の視点映像で構成された多視点映像を表示する背面透過型の多視点映像表示部と、
前記多視点映像表示部の背面に配置され、前記多視点映像表示部が表示する多視点映像の個々の視点映像を背面から照射する複数の点光源で構成された点光源アレイ部と、
前記多視点映像表示部で表示された多視点映像の個々の視点映像を背面から重畳して照射され、前面に拡散することで前記三次元映像を表示する拡散スクリーンと、
を備えることを特徴とする三次元映像表示装置。
【請求項2】
前記点光源は、対応する視点映像の全体を照射する配光角を有することを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示装置。
【請求項3】
前記多視点映像を構成するそれぞれの視点映像は、前記拡散スクリーンを部分的に照射する映像であって、
前記点光源アレイ部は、前記多視点映像を構成する視点映像全体で前記拡散スクリーンの表示領域全体を照射することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元映像表示装置。
【請求項4】
前記多視点映像を構成するそれぞれの視点映像は、前記拡散スクリーンの表示領域全体を照射する映像であって、
前記点光源アレイ部を構成する点光源は、対応する前記視点映像全体を照射するとともに、光軸が偏心し、前記光軸が前記拡散スクリーンの中心を通過する位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三次元映像表示装置。
【請求項5】
前記多視点映像表示部は、時間方向に視点位置の異なる多視点映像を、所定時間で切り替えて表示し、
前記点光源アレイ部は、前記所定時間で切り替わって表示される多視点映像の個々の視点映像に対応する点光源を点灯し、それ以外の点光源を消灯することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の三次元映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元映像を表示する三次元映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dメガネを用いた二眼式をはじめとして、多様な三次元映像表示方法が提案されている。特に、表示デバイスから多視点映像を拡散スクリーンに背面から重畳照射することで高密度な光線群を再生する三次元映像表示方式は、特殊なメガネが不要で、水平・垂直に視差を有する自然な三次元映像を表示することができる(特許文献1,2参照)。
この三次元映像表示方式を実現する装置として、例えば、特許文献1には、図10に示すように、多視点映像Iを表示する多視点映像表示部(表示デバイス)30と、背面から照射された光を拡散する拡散スクリーン31との間に、複数の結像レンズILで構成された結像レンズアレイ32とアパーチャアレイ33とを配置して、三次元映像Tを表示する三次元映像表示装置100が記載されている。なお、図10中の構成以外に付した符号は、本発明との比較を行うために使用するものであって、説明については後記する。
特許文献1に記載の三次元映像表示装置は、結像レンズアレイとアパーチャアレイとによって、不要光を除去して光線の直進性を高めて、三次元映像Tの表示を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-60711号公報
【特許文献2】特開2017-62295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の三次元映像表示装置は、表示デバイスから多視点映像を拡散スクリーンに背面から重畳照射するため、表示デバイスと拡散スクリーンとの間に結像光学系を配置したうえで、一定以上の照射距離を確保する必要がある。
そのため、従来の三次元映像表示装置は、構造上、奥行きサイズが大きくなってしまうため、薄型化への工夫が求められていた。
本発明は、このような要望に鑑みてなされたもので、従来よりも薄型な三次元映像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る三次元映像表示装置は、三次元映像を表示する三次元映像表示装置であって、多視点映像表示部と、点光源アレイ部と、拡散スクリーンと、を備える構成とした。
【0006】
かかる構成において、三次元映像表示装置は、背面透過型の多視点映像表示部によって、異なる視点位置の複数の視点映像で構成された多視点映像を表示する。
そして、三次元映像表示装置は、点光源アレイ部によって、多視点映像表示部に表示する多視点映像の個々の視点映像を背面から照射する。この点光源アレイ部は、個々の視点映像を背面から照射する位置に点光源が配置されている。
これによって、多視点映像の個々の視点映像は、拡散スクリーンに照射される。
【0007】
そして、三次元映像表示装置は、拡散スクリーンによって、当該拡散スクリーンの背面に重畳照射された多視点映像の個々の視点映像を、進行方向を保ったまま前面に拡散し、連続的な輝度分布の光線群とすることで、三次元映像を表示する。
これによって、三次元映像表示装置は、従来のような結像光学系を用いずに、多視点映像の個々の視点映像を重畳して拡散スクリーンに照射して三次元映像を表示することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、結像光学系を用いないため結像レンズの焦点距離を確保する必要がなく、従来よりも薄型の装置で、従来と同等の品質の三次元映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る三次元映像表示装置の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る三次元映像表示装置の構成を示す構成図である。
図3図2の多視点映像表示部が表示する多視点映像を説明するための説明図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る三次元映像表示装置の構成を示す構成図である。
図5図4の多視点映像表示部が表示する多視点映像を説明するための説明図である。
図6】フレームごとの点光源の点灯位置を説明するための説明図であって、(a)は奇数フレーム表示時、(b)は偶数フレーム表示時の点灯位置を示す。
図7】点光源アレイの発光状態を説明するための説明図であって、(a)は奇数フレーム表示時、(b)は偶数フレーム表示時の発光状態を示す。
図8】点光源アレイの発光状態を説明するための説明図であって、(a)は奇数フレーム表示時、(b)は偶数フレーム表示時の発光状態を示す。
図9】点光源アレイの発光状態を説明するための説明図であって、(a)は(4n+1)フレーム表示時、(b)は(4n+2)フレーム表示時、(c)は(4n+3)フレーム表示時、(d)は(4n+4)フレーム表示時の発光状態を示す。
図10】従来の三次元映像表示装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態:三次元映像表示装置>
まず、図1図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る三次元映像表示装置1について説明する。
【0011】
三次元映像表示装置1は、三次元映像を表示するものである。この三次元映像表示装置1は、水平方向および垂直方向に視差を有する三次元映像Tを表示する。
図1に示すように、三次元映像表示装置1は、主に表示部10を備え、表示部10を制御する制御部20をさらに備える。特に、表示部10は、図2に示すように、多視点映像表示部11と、点光源アレイ部12と、拡散スクリーン13と、を備える。
【0012】
多視点映像表示部11は、水平方向および垂直方向の異なる視点位置の複数の視点映像iで構成された多視点映像Iを表示するものである。
この多視点映像表示部11は、点光源アレイ部12から光を背面照射されることで映像を表示する背面透過型ディスプレイである。多視点映像表示部11は、透過型の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)で構成することができる。
【0013】
なお、多視点映像表示部11が表示する個々の視点映像iは、後記する拡散スクリーン13の表示領域R全体を照射する映像ではなく、拡散スクリーン13を部分的に照射する映像である。また、多視点映像表示部11は、個々の視点映像iが重複して拡散スクリーン13の表示領域R全体を照射する。
【0014】
図2では、多視点映像表示部11は、水平方向(x方向)に複数の視点映像iを表示する図となっているが、垂直方向(y方向)においても同様に複数の視点映像iを表示する。すなわち、多視点映像表示部11は、視点映像iを、水平方向およぶ垂直方向に二次元に配列して多視点映像Iを表示する。
【0015】
この多視点映像表示部11が表示する多視点映像Iは、例えば、図3に示すように、水平方向(x方向)および垂直方向(y方向)に複数配列したカメラCで構成される多視点カメラMCでオブジェクトOを撮影した映像である。
なお、多視点映像Iは、実空間を撮影したものに限定されず、CG等によって生成した映像でもよい。その場合、図3に示したカメラCを仮想カメラとして、CG空間を仮想的に撮影することで、多視点映像Iを生成すればよい。
【0016】
点光源アレイ部12は、多視点映像表示部11の背面に配置され、多視点映像表示部11が表示する多視点映像Iの個々の視点映像iを背面から照射するもの(バックライト)である。この点光源アレイ部12は、複数の点光源L(点光源群)で構成される。個々の点光源Lは、高輝度で微細な光源であって、例えば、マイクロLED(LED:Light Emitting Diode)、エレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)光源等である。この点光源Lは、発光面積が多視点映像表示部11の1画素のサイズ以下の微小な光源であることが望ましい。また、点光源Lの配光角は、多視点映像表示部11の個々の視点映像iを十分照射できる角度とする。
この点光源アレイ部12の個々の点光源Lは、多視点映像表示部11に表示される多視点映像Iの個々の視点映像iの表示位置に対向する位置に二次元配列して配置されている。
【0017】
拡散スクリーン13は、多視点映像表示部11で表示された多視点映像Iの個々の視点映像iを背面から重畳して照射され、多視点映像Iの光を、進行方向を保ったまま拡散させるものである。拡散スクリーン13は、一般的な拡散板で構成することができる。例えば、スクリーン表面を微小なレンズ構造としたものや、スクリーンに微小な開口アレイを形成したものを、拡散スクリーン13とすることができる。
【0018】
この拡散スクリーン13は、多視点映像Iの光である離散的な入射光線を拡散し、光線間を補間することで、連続的な輝度分布の光線群とする。
拡散スクリーン13の拡散角は、入射する離散的な光線の角度間隔とすることが望ましい。この角度間隔は、隣接する点光源Lと、拡散スクリーン13の中心Pとを結んだ光線の角度間隔θである。
【0019】
なお、角度間隔θは、点光源Lの位置に応じて厳密には異なる値となる。そこで、拡散スクリーン13の拡散角は、角度間隔θが取り得る最大値とすればよい。具体的には、点光源Lの設置間隔をp、点光源アレイ部12から拡散スクリーン13までの距離をDとしたとき、拡散スクリーン13の拡散角は、以下の式(1)に示すθの最大値、max(θ)とすればよい。
【0020】
【数1】
【0021】
制御部20は、表示部10に対して電力を供給し、多視点映像Iを出力するものである。
例えば、制御部20は、外部電源(不図示)を介して、表示部10の点光源アレイ部12の個々の点光源Lに電力を供給し、発光させる。また、制御部20は、通信回線、ネットワークを介して入力される多視点映像Iを多視点映像表示部11に出力し、多視点映像Iを表示させる。なお、制御部20は、表示部10の光が通過する領域の外、例えば、点光源アレイ部12の背面に配置される。
【0022】
以上説明したように、三次元映像表示装置1は、従来のような結像光学系を用いず、点光源によって、多視点映像Iを三次元映像Tとして観察者Mに視認させることができる。これによって、三次元映像表示装置1は、従来よりも奥行きサイズを小さくすることができる。
【0023】
[三次元映像表示装置の動作]
次に、図2を参照(適宜図1参照)して三次元映像表示装置1の動作について説明する。
図示を省略した電源の投入に伴い、制御部20は、点光源アレイ部12のそれぞれの点光源Lに電力を供給し、発光させる。
さらに、制御部20は、多視点映像表示部11に多視点映像Iを表示する。
【0024】
多視点映像表示部11は、背面から視点映像iに対応した点光源Lによって照射されることで、表示した個々の視点映像iを、拡散スクリーン13に拡大照射する。
ここで、多視点映像表示部11は、拡散スクリーン13に視点映像iの少なくとも2枚以上を重畳して照射することで、観察者Mに異なる視点位置の映像を視認させることが可能になる。
【0025】
さらに、拡散スクリーン13は、背面照射された多視点映像Iを拡散することで、多視点映像Iの光である離散的な光線を拡散して光線間を補間する。これによって、三次元映像表示装置1は、観察者Mに対して、連続的な輝度分布でなめらかな三次元映像Tを視認させることができる。
【0026】
[従来装置との比較]
次に、装置の奥行きサイズについて、三次元映像表示装置1(図2)と、従来の三次元映像表示装置100(図10)とを比較する。
図2に示すように、三次元映像表示装置1の点光源アレイ部12と多視点映像表示部11との距離をd、多視点映像表示部11と拡散スクリーン13との距離をdとする。
【0027】
ここで、多視点映像Iで三次元映像Tを表示するには、拡散スクリーン13上の周辺部を除くすべての領域で2枚以上重畳照射される必要があるため、多視点映像表示部11と拡散スクリーン13との距離dは、d>dとする必要がある。そのため、三次元映像表示装置1の奥行きサイズDは、以下の式(2)で表される。
【0028】
【数2】
【0029】
また、点光源Lの設置間隔、すなわち視点映像iの表示間隔をpとしたとき、三次元映像表示装置1の視域角φは、以下の式(3)で表される。
【0030】
【数3】
【0031】
一方、図10に示すように、従来の三次元映像表示装置100の多視点映像表示部30と結像レンズアレイ32との距離をd、結像レンズアレイ32とアパーチャアレイ33との距離である結像レンズILの焦点距離をf、アパーチャアレイ33と拡散スクリーン31との距離をdとする。
【0032】
ここで、距離dは、多視点映像表示部30と結像レンズアレイ32とを密接配置することで距離を“0”にすることが可能である。しかし、焦点距離fは正の固定値であり短くすることはできない。また、多視点映像Iで三次元映像Tを表示するには、拡散スクリーン31上の周辺部を除くすべての領域で2枚以上重畳照射される必要があるため、アパーチャアレイ33と拡散スクリーン31との距離dは、d>2fとする必要がある。そのため、三次元映像表示装置100の奥行きサイズDは、以下の式(4)で表される。
【0033】
【数4】
【0034】
また、結像レンズILの設置間隔、すなわち視点映像iの表示間隔をpとしたとき、三次元映像表示装置100の視域角φは、以下の式(5)で表される。
【0035】
【数5】
【0036】
ここで、三次元映像表示装置1と三次元映像表示装置100とで、幾何光学的に等価な三次元映像を表示することを考えると、その条件は、視域角φ=φ、視点映像の表示間隔p=pとなる。そこで、これらを式(2),(3),(5)に代入して整理すると、三次元映像表示装置1の奥行きサイズDは、D>2fとなる。
一方、式(4)より、三次元映像表示装置100の奥行きサイズDは、D>3fである。
【0037】
このように、三次元映像表示装置1は、従来の三次元映像表示装置100と比べて、結像レンズがないため、焦点距離を確保する必要がなく、奥行きサイズを最大で2/3に短くすることができる。これによって、三次元映像表示装置1は、従来の三次元映像表示装置よりも薄型な装置構成とすることができ、家庭用の三次元映像表示装置を実現することができる。
【0038】
<第2実施形態:三次元映像表示装置>
次に、図1図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る三次元映像表示装置1Bについて説明する。
【0039】
三次元映像表示装置1Bは、三次元映像を表示するものである。この三次元映像表示装置1Bは、水平方向および垂直方向に視差を有する三次元映像Tを表示する。三次元映像表示装置1Bは、三次元映像表示装置1(図2)と比べて、多視点映像Iの個々の視点映像iを拡散スクリーン13の中心に向けて照射する点が異なる。これによって、三次元映像表示装置1Bは、視域角を拡大させることができる。
【0040】
図1に示すように、三次元映像表示装置1Bは、主に表示部10Bを備え、表示部10Bを制御する制御部20をさらに備える。特に、表示部10Bは、図4に示すように、多視点映像表示部11と、点光源アレイ部12Bと、拡散スクリーン13と、を備える。
多視点映像表示部11および拡散スクリーン13は、図2で説明した三次元映像表示装置1と同じ構成であるため説明を省略する。
ただし、多視点映像表示部11に表示する多視点映像Iの個々の視点映像iは、拡散スクリーン13の同一領域である予め定めた表示領域R全体を照射する映像である。
【0041】
この多視点映像Iは、例えば、図5に示すように、複数配列したカメラCで構成される多視点カメラMCで、個々のカメラCをオブジェクトOの方向に向けて撮影した映像である。
なお、多視点映像Iは、実空間を撮影したものに限定されず、CG等によって生成した映像でもよい。その場合、図5に示したカメラCを仮想カメラとして、CG空間を仮想的に撮影することで、多視点映像Iを生成すればよい。
【0042】
点光源アレイ部12Bは、多視点映像表示部11の背面に配置され、多視点映像表示部11が表示する多視点映像Iの個々の視点映像iを背面から照射するもの(バックライト)である。この点光源アレイ部12Bは、複数の点光源L(点光源群)で構成される。
【0043】
点光源Lは、点光源アレイ部12(図2)の点光源Lと同様、高輝度で微細な光源であって、マイクロLED等である。
個々の点光源Lは、多視点映像表示部11に表示される多視点映像Iの個々の視点映像iの表示位置の中心Pと、拡散スクリーン13の中心P(0,0,0)とを結ぶ線上に配置され、光軸が、拡散スクリーン13の中心Pを通過するように偏心している。
ここで、多視点映像表示部11と拡散スクリーン13との距離をd、三次元映像表示装置1Bの奥行きサイズをDとする。
この場合、点光源Lの中心Pは、以下の式(6)で定めることができる。
【0044】
【数6】
【0045】
制御部20は、表示部10Bに対して電力を供給し、多視点映像Iを出力するもので、図2で説明した制御部20と同じものである。
ただし、制御部20が表示部10Bに出力する多視点映像Iは、前記した通り、個々の視点映像iが拡散スクリーン13の表示領域全体を照射する映像である。
【0046】
このように、三次元映像表示装置1Bは、特許文献2に記載の従来の三次元映像表示装置と比べて、結像光学系がないため、結像レンズの焦点距離を確保する必要がなく、奥行きサイズを短くすることができる。
【0047】
<第3実施形態:三次元映像表示装置>
次に、図1図6を参照して、本発明の第3実施形態に係る三次元映像表示装置1Cについて説明する。
【0048】
三次元映像表示装置1Cは、三次元映像を表示するものである。この三次元映像表示装置1Cは、水平方向および垂直方向に視差を有する三次元映像Tを表示する。三次元映像表示装置1Cは、三次元映像表示装置1(図2)と比べて、所定時間で時系列に表示する多視点映像Iの位置を切り替えることで視点数を増加させる。
【0049】
三次元映像表示装置1(図2)は、点光源Lを常に点灯させるとともに、対応する多視点映像Iの位置を固定して、三次元映像Tを表示している。
一方、三次元映像表示装置1C(図6)は、時系列に点光源Lを点灯/消灯させ、点灯する点光源Lに対応する位置に視点映像iを表示させることで、疑似的に視点数を増加させる。
図1に示すように、三次元映像表示装置1Cは、主に表示部10Cを備え、表示部10Cを制御する制御部20Cをさらに備える。
【0050】
表示部10Cは、図2で説明した三次元映像表示装置1の表示部10と同じ構成である。ただし、表示部10Cは、図6に示すように奇数フレームと偶数フレームとで、点灯/消灯する点光源Lを切り替えるとともに、多視点映像Iを構成する視点映像iの表示位置を切り替える。
【0051】
表示部10Cの拡散スクリーン13の拡散角は、点灯する点光源L1と拡散スクリーン13の中心Pとを結んだ線分と、点光源L1に隣接する消灯する点光源L2と拡散スクリーン13の中心Pとを結んだ線分の角度間隔θである。
なお、角度間隔θは、点光源Lの位置に応じて厳密には異なる値となる。そこで、拡散スクリーン13の拡散角は、角度間隔θが取り得る最大値とすればよい。具体的には、点光源Lの設置間隔をp、点光源アレイ部12から拡散スクリーン13までの距離をDとしたとき、拡散スクリーン13の拡散角は、以下の式(7)に示すθの最大値、max(θ)とすればよい。
【0052】
【数7】
【0053】
制御部20Cは、表示部10Cに対して電力を供給し、多視点映像Iを出力するものである。
制御部20Cは、例えば、図7に示すように、点灯する点光源L,L1と、消灯する点光源L,L2とを、図7(a)に示す奇数フレームと図7(b)に示す偶数フレームとで交互に切り替えるように、点光源アレイ部12に対して電力の供給を制御する。
【0054】
図7の例では、制御部20Cは、水平方向および垂直方向でそれぞれ点光源Lの点灯および消灯が交互に異なるように制御する。
さらに、制御部20Cは、点光源Lの点灯/消灯に同期して、点灯する点光源Lが照射する位置に、対応する視点映像iが位置するように多視点映像Iを多視点映像表示部11に表示する。なお、多視点映像Iは個々の視点映像iで視点位置が異なり、奇数フレームで表示する多視点映像Iと偶数フレームで表示する多視点映像Iとで、さらに、視点位置が異なる。
【0055】
このように、三次元映像表示装置1Cは、三次元映像表示装置1と同様、従来の三次元映像表示装置と比べて、奥行きサイズを短くすることができるとともに、疑似的に視点数を増加させて奥行き再現性や解像度の高い三次元映像を表示することができる。
【0056】
なお、図7の例では、点光源Lの配列を正方配列としたが、図8に示すように点光源Lをデルタ配列(俵積み配列)としてもよい。図8の例では、点光源L1の位置から水平方向および垂直方向にそれぞれ点光源L1間の1/2だけずらして、点光源L2を配置している。
【0057】
また、ここでは、時間方向に点光源Lの発光/消灯を切り替えて2分割多重で多視点映像Iを表示する例を示した。しかし、この多重数は“2”に限定されない。
例えば、図9に示すように、水平方向および垂直方向の2×2の4個の点光源Lx4ごとに、時間方向に1つ点光源Lの発光、他の3つの点光源Lの消灯を、順次発光位置を切り替えることで、4分割多重で多視点映像Iを表示してもよい。この場合も、制御部20Cは、点灯する点光源Lが照射する位置に、対応する視点映像iが位置するように多視点映像Iを多視点映像表示部11に表示する。
なお、ここでは、発光する点光源Lの位置と、表示する多視点映像Iの位置とを、フレームごとに切り替えることとした。しかし、この切り替えは、1フレームではなく、複数フレームごとに行ってもよい。
【0058】
また、ここでは、三次元映像表示装置1Cは、三次元映像表示装置1(図2)と同様、個々の視点映像iが拡散スクリーン13を部分的に照射する映像とした。しかし、三次元映像表示装置1Cは、三次元映像表示装置1B(図4)と同様、個々の視点映像iが拡散スクリーン13の表示領域全体を照射する映像としてもよい。その場合、点光源アレイ部12の点光源Lは、三次元映像表示装置1B(図4)と同様、光軸が拡散スクリーン13の中心Pを通過するように配置すればよい。
【0059】
このように、時間方向に多視点映像Iの表示位置を多重化して表示することで、三次元映像表示装置1Cは、視点数を増やすことができ、奥行き再現性や解像度の高い三次元映像を表示することができる。
また、三次元映像表示装置1Cは、三次元映像表示装置1(図2)と同様、結像光学系がないため、従来の三次元映像表示装置よりも薄型な装置構成とすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1,1B,1C 三次元映像表示装置
10,10B,10C 表示部
11 多視点映像表示部
12,12B 点光源アレイ部
13 拡散スクリーン
20,20C 制御部
L 点光源
I 多視点映像
i 視点映像
T 三次元映像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10