IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図1
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図2
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図3
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図4
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図5
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図6
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図7
  • 特開-表示装置及び表示装置の制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035202
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20230306BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230306BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230306BHJP
   G02F 1/167 20190101ALN20230306BHJP
【FI】
G09G3/20 612G
G09G3/20 611Z
H02J7/02 J
H02J7/00 302C
G02F1/167
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141855
(22)【出願日】2021-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 弘章
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
5G503
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB43
2K101BC02
2K101BD61
2K101EC72
2K101EC92
2K101EE02
2K101EJ22
5C080AA13
5C080DD09
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK08
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA04
5G503CB11
5G503DA13
5G503DA19
5G503DB02
5G503EA01
(57)【要約】
【課題】意図しない動作の停止を防止することを目的とする。
【解決手段】表示装置は、電気泳動方式を用いた表示部と、複数のバッテリーと、表示部に表示される画像データに基づく負荷状況に応じて、複数のバッテリーに供給する充電電流を制御する充電制御部と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動方式を用いた表示部と、
複数のバッテリーと、
前記表示部に表示させる画像データに基づく負荷状況に応じて、前記複数のバッテリーに供給する充電電流を制御する充電制御部と、を有する表示装置。
【請求項2】
前記表示部に次に表示させる画像データを受け付けたとき、前記表示部に表示されている画像データと、前記次に表示させる画像データとを比較して、前記負荷状況を判定する負荷状況判定部を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示されている画像データに含まれる各画素と、前記次に表示させる画像データに含まれる各画素との階調レベルの差異を算出する差異算出部を有し、
前記負荷状況判定部は、前記階調レベルの差異に基づき前記負荷状況を判定する、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記充電制御部は、
前記負荷状況判定部により、前記階調レベルの差異がしきい値以上と判定された場合に、前記複数のバッテリーに対する前記充電電流の供給を停止する、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記充電制御部は、
前記負荷状況判定部により、前記階調レベルの差異が前記しきい値未満と判定された場に、前記複数のバッテリーのうち少なくとも一つのバッテリーに対し、第一の充電電流を供給する、請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記充電制御部は、
前記次に表示させる前記画像データを受け付けるまで、前記複数のバッテリーのそれぞれに対し、前記第一の充電電流よりも大きい第二の充電電流を供給する、請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
複数のバッテリーを有する表示装置の制御方法であって、前記表示装置が、
電気泳動方式を用いた表示部に表示させる画像データに基づく負荷状況に応じて、前記複数のバッテリーに供給する充電電流を制御する、表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、複数のバッテリーを有する電子装置が知られている。このような電子装置の一例としては、電気泳動素子を用いた表示装置が開示されている(特許文献1、2、3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような、電気泳動素子を用いた表示装置は、通常ACアダプターから電流が供給され動作している。しかしながら、表示装置の消費電流とバッテリーへの充電電流の合計が、ACアダプターの供給可能な電源電流を上回ってしまうと、表示装置の利用者の意図に反して動作が停止する恐れがある。
【0004】
開示の技術は、意図しない動作の停止を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術の一態様によれば、表示装置は、電気泳動方式を用いた表示部と、複数のバッテリーと、前記表示部に表示される画像データに基づく負荷状況に応じて、前記複数のバッテリーに供給する充電電流を制御する充電制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、意図しない動作の停止を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る表示装置のハードウエア構成の一例を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る表示装置の機能構成の一例を示す概略図である。
図3】第1実施形態に係る電気泳動素子の基本原理を説明するための図である。
図4】第1実施形態に係る表示装置の消費電力を説明するための図である。
図5】第1実施形態に係る表示装置の各状態における電流及び電圧を示すグラフである。
図6】第1実施形態に係る表示装置の通常充電と急速充電について説明する図である。
図7】第1実施形態に係る表示装置の処理を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る表示装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0009】
図1は、第1実施形態に係る表示装置のハードウエア構成の一例を示す概略図である。
【0010】
第1実施例に係る表示装置100は、電気泳動方式を用いた電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic Display:EPD)を含む電子ペーパー121と、EPDコントローラとを有する。電子ペーパーは表示部の一例である。表示装置100は、タッチパネル131を有する。タッチパネル131は、タッチパネルコントローラ132とタッチセンサ133とを有する。
【0011】
表示装置100は、バッテリー141及びバッテリーコントローラ142と、バッテリー151及びバッテリーコントローラ152とを有する。バッテリー141、151として、リチウムイオンバッテリーを用いてもよい。表示装置100は、タッチペン171と、交流(Alternating Current:AC)電源から直流電圧を生成すると共に電源電流を供給するACアダプター161とを有する。なお、電源電流は、ACアダプター161が供給する電流を意味し、以下、電流と省略することもある。
【0012】
さらに、表示装置100は、中央演算装置(Central Processing Unit:CPU)112と、不揮発性のフラッシュメモリ113と、揮発性のランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)114とを有する。表示装置100は、加速度センサ115と、無線モジュール116と、温度センサ117と、バス181とを有する。
【0013】
電子ペーパー121は、書き込み処理及び消去処理を実行するときには電力を必要とする。電子ペーパー121は、一旦表示された画像を無給電にて保持する。つまり、電子ペーパー121は、画像を書き換えるときのみ電力を消費し、画像の維持には電力を消費しない。
【0014】
CPU112は、メインメモリであるRAM114をワークエリアとして使用し、フラッシュメモリ113に格納されたプログラムを読み出して実行する。
【0015】
温度センサ117は、電子ペーパー121の温度を測定するセンサである。温度センサ117は、電子ペーパー121のコントラスト調整用に設けられている。電子ペーパー121のコントラストは、EPDの粘度および特性が温度によって変化するため調整が必要とされることがある。なお、コントラストは、画像の明るい部分と暗い部分との明度の差である。
【0016】
バス181は、上述した各ハードウエアと接続され、各ハードウエア間のデータの送受信及び制御等に使用される。
【0017】
次に、第1実施形態に係る表示装置100の機能構成の一例を、図2を用いて説明する
本実施形態の表示装置100は、データ記憶部214と、差異算出部215と、ネットワーク通信部216と、負荷状況判定部217と、表示制御部222と、接触検出部231と、充電制御部242とを有する。
【0018】
表示制御部222は、EPDコントローラ122を介して電子ペーパー121を制御する。データ記憶部214は、例えばRAM114により実現されるものであり、電子ペーパー121に表示させる画像のデータを格納する。
【0019】
ネットワーク通信部216は、無線モジュール116を介してネットワークとの通信を実行する。
【0020】
接触検出部231は、タッチセンサ133を介して手書き入力を検出する。手書き入力とは、例えば、電子ペーパー121に対する筆記及び削除の操作を含む。なお筆記は、タッチパネル131を介してタッチペン171によって実行されてもよい。
【0021】
充電制御部242は、バッテリーコントローラ142及びバッテリーコントローラ152を介してバッテリー141及びバッテリー151の充電電流を制御する。充電電流は、ACアダプター161から供給される。
【0022】
差異算出部215は、RAM114を介して、電子ペーパー121に現在表示されている画像を示す画像データと、次に電子ペーパー121に表示される画像データとの間の階調レベルの差異を算出する。この階調レベルの差異が、負荷状況となる。つまり、負荷状況は、電子ペーパー121に表示される画像データに応じて変化するものである。
【0023】
負荷状況判定部217は、階調レベルの差異しきい値以上か否か判定する。負荷状況判定部217は、フラッシュメモリ113からしきい値を読み出す。
【0024】
充電制御部242は、負荷状況に応じて、複数のバッテリー141及びバッテリー151に供給する充電電流を制御する。なお、詳細については、図7及び図8を用いて、後述する。
【0025】
このようにして充電制御部242は、バッテリー141及びバッテリー151を、高い充電状態に保つことができる。
【0026】
なお、図2に記載された各機能部は、CPU112が、フラッシュメモリ113等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0027】
ここで、第1実施形態に係る電気泳動方式を用いた電気泳動素子の基本原理について、図3を用いて説明する。
【0028】
図3に示すように、透明電極303が対向して設けられた一対の透明フィルム301に、透明なマイクロカプセル302が挟持されている。各マイクロカプセル302内には、負に帯電した黒色粒子304と、正に帯電した白色粒子305とが含まれる。なお、黒色粒子304は、青色粒子であってもよい。
【0029】
黒色粒子304と、白色粒子305は、色彩粒子を実現する。これらの色彩粒子を電気泳動させて、白と黒とからなる画像を表示する。電気泳動は、透明電極303により電圧が印加されて色彩粒子を泳動することで実現される。
【0030】
透明電極303は、ITO(Indium-Tin-Oxide)などの透明電極が使用される。
【0031】
次に、第1実施形態に係る表示装置の消費電力について、図4を用いて説明する。
【0032】
図4(a)に示す一例では、電子ペーパー121に現在表示中の黒色の画像から、次に白色の画像に書き換えすることを想定している。この書き換えは、電子ペーパー121の全画素が、階調レベルが"0"の状態から"15"の状態に書き換わることを意味する。ここで、階調レベルは、2進数4ビットで表現されるものとする。したがって、階調レベルは、"0"から"15"までの16階調レベルで表現される。
【0033】
各階調レベルは、図3に示す黒色粒子304及び白色粒子305を電気泳動させることによって表現される。階調レベルが"0"の状態は、黒色のため、すべての黒色粒子304が電子ペーパー121の表面側に移動している状態である。これに対して、階調レベルが"15"の状態は、白色のため、すべての白色粒子305が電子ペーパー121の表面側に移動している状態である。したがって、全画素を階調レベル"0"から"15"に変更することは、黒色粒子304と白色粒子305とを総入れ替えすることを意味する。そのため、消費電力が大きくなる傾向がある。
【0034】
次に、図4(b)に示す他の例では、電子ペーパー121に現在表中の灰色の画像から、白色の画像に書き換えすることを想定している。これは、電子ペーパー121の全画素が、階調レベルが"8"の状態から階調レベルが"15"の状態に書き換わることを意味する。
【0035】
この場合、階調レベルが"8"の状態は、黒色粒子304及び白色粒子305がそれぞれ半分、電子ペーパー121の表面側に存在する状態である。そのため、表現側に存在する白色粒子305を動かす必要はない。したがって、画像の書き換えは、残った半数の白色粒子305を表面側の黒色粒子304と入れ替えることで実行される。すなわち、半数の粒子を電気泳動させるだけで済む。そのため、上述した階調レベル"0"から階調レベル"15"に書き換える場合の半分程度の消費電力で実行することができる。
【0036】
このことは、画像書き換え時の消費電力が、各画素の階調レベルの差異を電子ペーパー121の画素数分合計することによって決定されることを意味している。
【0037】
次に、図4(c)にさらに別の一例を示す。ここでは、現在表示中の画像から画像Aと画像Bに書き換えることを想定している。画像Aは、単調な画像の例として、例えば階調レベル"0"の画像を示している。画像Bは、複雑な画像の例として、例えばチェッカーパターンの画像を示している。ここでチェッカーパターンは、階調レベル"0"の画素と隣り合う画素の階調レベルが"15"となるように構成されたパターンを示す。
【0038】
このような場合、複雑な画像である画像Bに書き換える方が、消費電力は高くなりがちである。
【0039】
ただし、前述の通り、消費電力は現在表示中の画像との各画素の階調レベルの差異の合計により求まる。そのため、画像Bが複雑な画像であったとしても、現在表示中の画像とほぼ同一の場合には、消費電力は小さくなる。
【0040】
次に、第1実施形態に係る表示装置の各状態における電流及び電圧の関係を、図5の各グラフを用いて説明する。なお、各グラフは、バッテリーの充電が行われていない状況下での電流及び電圧の関係を示している。
【0041】
図5(a)は、画像の書き換えがないときの、電流及び電圧の経時変化を示すグラフである。なお、画像の書き換えがないとは、表示部に現在表示中の画像が変更されないことを示す。他のグラフにも共通するが、縦軸はACアダプター161から出力されている電流及び電圧を示し、横軸は時間の経過を示す。
【0042】
ここでは画像の書き換えが無いため、電圧は5[V]、電流は100[mA]程度から1[A]の間で安定している。画像の書き換えがない状態での消費電力は、表示装置100が動作するために最低限必要とする電力と言うことができる。
【0043】
図5(b)は、手書き入力により画像の一部が書き換えられるときの、電流及び電圧の経時変化を示すグラフである。
【0044】
ここでは、画像の一部を書き換えるために、図5(a)よりも電流値が大きくなっている。一例としては、電流値は、100[mA]から2[A]の間にある。また、電圧は5[V]で安定している。
【0045】
この場合、表示される画像データに基づく負荷状況は、低い状況である。その理由は、書き換える画像は、電子ペーパー121に現在表示されている画像の一部のみのためである。表示される画像データは、現在表示中の画像の次に表示部に表示される画像を示すデータである。なお、表示される画像データは、手書き入力による画像データによって生成されていてもよい。
【0046】
図5(c)は、表示される画像データを受け付けたときの、電流及び電圧の経時変化を示す第一のグラフである。また、表示される画像データは、現在表示中の画像の画像データとは、少なくとも一部が異なるデータである。
【0047】
ここでは、表示される画像データに基づいて全画面の画像書き換えが行われる。ただし、表示される画像データに基づく負荷状況が、中程度の状態について説明する。ここで、中程度は、図5(b)で示す低負荷状況と、後述の図5(d)で示す高負荷状況との間を意味する。
【0048】
図5(c)では、画像の書き換えが画面全体に及ぶため、図5(b)よりも大きな電流が消費されている。一例としては、電流値は、100[mA]から2.5[A]の間にある。また、電圧は、5[V]で安定している。
【0049】
図5(d)は、表示される画像データを受け付けたときの、電流及び電圧の経時変化を示す第二のグラフである。
【0050】
ここでは、表示される画像データによって全画面の画像書き換えが行われる。以下に、表示される画像データに基づく負荷状況が高い状態について説明する。負荷状況が高い状態とは、表示される画像データと表示されている画像データとの階調レベルの差異が大きいことを示す。
【0051】
ここでは、階調レベルの差異が大きいため、図5(c)よりも大きな電流が消費されている。一例としては、電流の最大値が4.2[A]まで上昇している。このとき、図5(a)から(c)では、5[V]で安定していた電圧が低下している。電圧は、一例として、4.8[V]まで低下する。この電圧の低下は、ACアダプター161が供給することのできる最大の電流の値に近づいているために起こっていると考えられる。
【0052】
図6は、第1実施形態に係る表示装置の通常充電と急速充電とについて説明する図である。
【0053】
図6(a)は、縦軸をバッテリーの充電量[%]とし、横軸を経過時間[分]としたグラフである。
【0054】
急速充電の場合は、バッテリーに2[A]の充電電流が供給される。一例として、急速充電の場合には、30%未満の充電量のバッテリーは、90分後に90%以上の充電量となる。したがって、短時間でバッテリーの充電量を増加させたい場合には、急速充電が好ましい。
【0055】
通常充電の場合は、バッテリーに1[A]の充電電流が供給される。一例として、通常充電の場合には、30%未満の充電量のバッテリーは、120分後に90%以上の充電量となる。したがって、少ない電流量でバッテリーの充電量を増加させたい場合には、通常充電が好ましい。
【0056】
このように、急速充電と通常充電とは、電流量と充電時間とにおいて一得一失となる。また、通常充電時にACアダプター161からバッテリー141と、バッテリー151に供給される充電電流を第1の充電電流とし、急速充電時にバッテリー141と、バッテリー151に供給される充電電流を第2の充電電流とした場合、第2の充電電流は、第1の充電電流よりも大きい。
【0057】
次に、ACアダプター161が、バッテリー141と、バッテリー151と、システム101と、にそれぞれ供給する電流について説明する。システム101は、バッテリー141及びバッテリー151を除き、表示装置を動作させるために必要なハードウエアをまとめたものとする。また、ACアダプター161は、最大5[A]の電流を供給する能力を有するものとする。
【0058】
図6(b)は、ACアダプター161が、システム101に1[A]の電流を供給しているブロック図である。この時、ACアダプター161が供給できる残りの電流は、5[A]-1[A]=4[A]となる。したがって、ACアダプター161には、バッテリー141、151をともに急速充電する余力がある。
【0059】
図6(c)は、ACアダプター161が、システム101に3[A]の電流を供給しているブロック図である。この時、ACアダプター161が供給できる残りの電流は、5[A]-3[A]=2[A]となる。したがって、ACアダプター161には、バッテリー141、151をともに通常充電する余力がある。
【0060】
したがって、システム101の負荷状況に応じて急速充電、通常充電等を切り替えることが好ましい。
【0061】
次に、表示装置100の処理のフローについて、以下、図7を用いて説明する。図7は、第1実施形態に係る表示装置の処理を示すフローチャートである。
【0062】
表示装置100は、電源が入れられることにより起動する(ステップS701)。
【0063】
続いて、充電制御部242は、バッテリー141、151をそれぞれ急速充電する(ステップS702)。電源が入れられた直後は、図5(a)で示した画像の書き換えのない状況に相当する。すなわち、表示される画像データに基づく負荷状況は、最低の状態である。このとき、ACアダプター161が供給できる電流の最大値まで4[A]程度の余裕がある。負荷状況が最低の状態であるため、この余裕は最大となる。そのため、充電制御部242は、バッテリー141、151に対して2[A]の第2の充電電流を供給する。この充電電流は、ACアダプター161から供給される。
【0064】
続いて、接触検出部231は、手書き入力を検出したかどうかを判定する(ステップS703)。
【0065】
手書き入力が検出されると、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151の内、一方を急速充電、他方を通常充電する(ステップS704)。図5(b)で説明したように、表示される画像データに基づく負荷状況が低い状況を示している。このとき、ACアダプター161が供給できる電流の最大値までは、3[A]程度の余裕がある。この余裕は、ステップS702で説明した画像の書き換えのない状況の余裕より少ない。そのため、充電制御部242は、バッテリー141、151の一方に対して2[A]の第2の充電電流を、他方に対して1[A]の第1の充電電流を供給する。
【0066】
手書き入力が検出されないとき、表示制御部222は、表示される画像のデータを受け付けたかどうか判定する(ステップS705)。
【0067】
表示制御部222は、表示される画像のデータを受け付けていない場合には、ステップS702に戻る。
【0068】
表示される画像データを受け付けている場合には、差異算出部215は、現在表示中の画像データと表示される画像データとを比較する。この比較は、差異算出部215が各画素の階調レベルの差異の値を算出することによって実行される(ステップS706)。例えば、一画面が1920×1080ドットで実現されている場合、2,073,600ドットの各画素について階調レベルの差異を算出する。
【0069】
以下では、階調レベルの差異の値として、現在表示されている画像データの各画素の階調レベルの平均値と、次に表示される画像データの各画素の階調レベルの平均値との差異を用いて説明する。なお、階調レベルの差異の値は、現在表示されている画像データの各画素の階調レベルの合計値と、次に表示される画像データの各画素の階調レベルの合計値との差分であってもよい。
【0070】
例えば、図4(a)の場合、階調レベルの差異の平均値は、(1920×1080×16)/(1920×1080)=16となる。なお、分子で使用した16は、階調レベル"15"と"0"との階調レベルの差異を示す。また、図4(b)の場合、階調レベルの差異の平均値は、(1920×1080×8)/(1920×1080)=8となる。なお、分子で使用した8は、階調レベル"15"と"8"との階調レベルの差異を示す。
【0071】
続いて、負荷状況判定部217は、階調レベルの差異の値がしきい値以上であるか否か判定する(ステップS707)。ここでは、しきい値の一例として、「10」を使用する。
【0072】
階調レベルの差異の値が、しきい値未満のとき、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151の両方を通常充電する(ステップS708)。図5(c)で説明したように、表示される画像データに基づく負荷状況が中程度の状況を示している。このとき、ACアダプター161が供給できる電流の最大値までは、2.5[A]程度の余裕がある。この余裕は、ステップS704で説明した表示される画像データに基づく負荷状況が低い状況の余裕よりも少ない。
【0073】
上述の通り、図5(c)では、階調レベルの差異の平均値は、8と算出されている。したがって、充電制御部242は、階調レベルの差異の値がしきい値未満と判定する。そのため、充電制御部242は、バッテリー141、151の両方に1[A]の第1の充電電流を供給する。
【0074】
階調レベルの差異の値が、しきい値以上のとき、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151のいずれも充電しない(ステップS709)。言い換えれば、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151のそれぞれに対して充電電流の供給を停止する。この状況は、図5(d)で示したように、表示される画像データに基づく負荷状況が最も大きい状況である。このとき、ACアダプター161が供給できる電流の最大値までは、1[A]未満の余裕しかない。負荷状況が最大のため、この余裕は最小となる。
【0075】
上述の通り、図5(d)では、階調レベルの差異の平均値は、16と算出されている。したがって、充電制御部242は、階調レベルの差異の値がしきい値以上と判定する。そのため、充電制御部242は、バッテリー141、151に対して充電電流を供給しない。
【0076】
続いて、表示制御部222は、表示される画像データに基づき表示画像の書き換えが終了したか否か判定する(ステップS710)。なお、表示画像の書き換えが終了していない場合には、ステップS710を繰り返し実行する。
【0077】
画像の書き換えが終了した場合には、表示装置100は、電源が切られたか否か、判定する(ステップS711)。電源が切られた場合には、処理を終了する。電源が切られていない場合に荷は、ステップS702に戻る。
【0078】
このように、本実施形態では、次に表示される画像データを受け付けたときに、次に表示される画像データと、電子ペーパー121に現在表示されている画像データとを比較して、表示装置100の負荷状況を判定する。そして、判定された負荷状況に応じて、複数のバッテリーに供給される充電電流を制御する。言い換えれば、本実施形態の表示装置100は、次に表示される画像データを表示させたときの表示装置100の負荷状況を予測し、予測結果に応じて、複数のバッテリーに供給される充電電流を制御する。
【0079】
したがって、本実施形態によれば、表示装置100の処理による消費電流と、充電電流との合計が、ACアダプター等の電源から供給される電源電流を超えることを防止できる。このため、本実施形態によれば、表示装置100は、表示装置100の利用者の意図に反して動作が停止することを防止できる。
【0080】
また、本実施形態では、複数のバッテリーに対して、負荷状況に応じた充電を制御している。そのため、本実施形態によれば、複数のバッテリーの充電量を高い状態に維持することができる。充電量が高い状態は、バッテリーが満充電もしくは満充電に近い状態であることを意味する。したがって、本実施形態では、例えば、災害時等、ACアダプターからの電流が供給されない場合であっても、充電量の高い複数のバッテリーを用いて、長時間使用することが可能な表示装置を提供することができる。
【0081】
(第2実施形態)
以下に、図面を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、階調レベルの差異のしきい値を複数設けた点が第1実施形態と相違する。以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の機能構成を有するものには、第1実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0082】
図8は、第2実施形態に係る表示装置の処理を示すフローチャートである。なお、第2実施形態の表示装置の処理としては、ステップS701からステップS706と、ステップS710と、ステップS711とは第1実施形態と同じため説明を省略する。
【0083】
本実施形態では、ステップS707、ステップS708及びステップS709の代わりに、以下のステップS801からS805を実行する。
【0084】
ステップS706で、階調レベルの差異の算出が実行されたことに続いて、充電制御部242は、階調レベルの差異の値と第1のしきい値との比較を実行する(ステップS801)。
【0085】
階調レベルの差異の値が第1のしきい値未満のとき、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151を通常充電する(ステップS802)。その後、ステップS710に進む。
【0086】
階調レベルの差異の値が第1のしきい値以上のとき、充電制御部242は、階調レベルの差異の値を第2のしきい値と比較する(ステップS803)。第2のしきい値は、第1のしきい値よりも大きな値にて設定される。
【0087】
階調レベルの差異の値が第2のしきい値未満のとき、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151のいずれか一方のみを通常充電する(ステップS804)。すなわち、他方は、充電されない。
【0088】
階調レベルの差異の値が第2のしきい値以上のとき、充電制御部242は、2つのバッテリー141、151のいずれも充電しない(ステップS805)。
【0089】
以上の通り、本実施形態による表示装置では、しきい値を複数設けることによって、第1実施形態よりも負荷状況を細かく分けている。そして負荷状況を細かく分けたことにより充電電流を細かく制御することができるため、第1実施形態よりも長時間バッテリーに対する充電時間を確保することができる。
【0090】
なお、実施形態の表示装置では、バッテリーが2つのものについて説明したが、必要に応じて数を変更してもよい。
【0091】
なお、実施形態の表示装置の機能を実現させるプログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0092】
さらに、上述した表示装置を、ネットワークを介してコンピュータまたは他の表示装置と接続した画像処理システムに適用してもよい。
【0093】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0094】
121 電子ペーパー
141 バッテリー
151 バッテリー
161 ACアダプター
215 差異算出部
217 負荷状況判定部
242 充電制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2003-319570号公報
【特許文献2】特開2011-61990号公報
【特許文献3】特開2020-161146号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8