(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035497
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20230306BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 C
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142399
(22)【出願日】2021-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 富大
【テーマコード(参考)】
5F045
【Fターム(参考)】
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB33
5F045AC02
5F045AC03
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045BB08
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB06
5F045EB08
5F045EC05
5F045EE19
5F045EF05
5F045EH18
5F045EJ03
5F045EJ04
5F045EJ05
5F045EJ10
5F045EK07
5F045GB05
5F045GB15
(57)【要約】
【課題】ダウンタイムを短縮して、装置の稼働率を向上させる。
【解決手段】基板支持部に基板を支持した状態で、基板を第一温度まで加熱すると共に、基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給工程と、処理ガス供給工程の後に、処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、処理容器に備えられ、第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、第一温度よりも低い第二温度まで降温する降温工程と、降温工程の後、処理容器内にクリーニングガスを供給して、低温部をクリーニングするクリーニング工程と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給工程と、
前記処理ガス供給工程の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する降温工程と、
前記降温工程の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングするクリーニング工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記クリーニング工程の後、
前記基板が支持されていない状態で、前記処理容器内を昇温させる昇温工程を有する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記冷媒流路には真空ポンプが接続され、
前記昇温工程では、前記真空ポンプを稼働させて、前記冷媒流路を真空引きする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記昇温工程では、前記冷媒流路の内側に設けられた加熱部を制御する請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部を内包する処理容器と、
前記処理容器に備えられ、第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部と、
前記処理容器に備えられ、前記低温部を冷却する冷媒流路と、
前記処理容器に備えられた加熱部と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、
前記冷媒流路に不活性ガス又は空気を供給する冷媒ガス供給部と、
前記加熱部と前記処理ガス供給部と前記クリーニングガス供給部と前記冷媒ガス供給部と、を制御して、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を前記第一温度まで加熱すると共に、前記処理容器内に処理ガスを供給する処理と、
前記処理ガスを供給する処理の後に、前記冷媒流路に不活性ガス又は空気を所定時間供給し、前記低温部を前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する処理と、
前記降温する処理の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングする処理と、
を行うよう制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項6】
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する手順と、
前記処理ガスを供給する手順の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する手順と、
前記低温部を降温する手順の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、処理容器内の基板に対して処理ガスを供給し、基板上の膜を処理することがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した構成の基板処理装置において、膜処理を行うと、処理容器内に堆積物が付着することがある。そのため、膜処理を行った後、処理容器内へクリーニングガスを供給し、処理容器内に付着した堆積物を除去するクリーニング処理が行われることがある。
【0005】
ところが、高温で膜処理を行った後に、高温のままクリーニング処理を行うと、不具合を起こす箇所がある。このため、膜処理後のクリーニング処理を行う前に、処理容器内を所望の温度に下げる必要がある。そうすると、ダウンタイムが長くなり、装置の稼働率に影響が出てしまう。
【0006】
本開示は、ダウンタイムを短縮して、装置の稼働率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給工程と、
前記処理ガス供給工程の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する降温工程と、
前記降温工程の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングするクリーニング工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ダウンタイムを短縮して、装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の処理容器の概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る基板処理装置の制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る基板処理工程の概要を示すフロー図である。
【
図5】
図4の基板処理工程における成膜工程の詳細を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)基板処理装置の構成
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。
【0011】
図1は半導体デバイスの製造方法を実施するための枚葉式基板処理装置(以下単に、基板処理装置10という)の上面断面図である。本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置10の搬送装置は、真空側と大気側とに分かれている。また、基板処理装置10では、基板としてのウエハ200を搬送するキャリヤとして、FOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドという。)100が使用されている。
【0012】
(真空側の構成)
図1に示されているように、基板処理装置10は、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る第1搬送室103を備えている。第1搬送室103の筐体101は平面視が例えば五角形であり、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0013】
第1搬送室103内には、ウエハ200を移載する第1基板移載機112が設けられている。
【0014】
筐体101の五枚の側壁のうち前側(
図1中の下方側)に位置する側壁には、予備室(ロードロック室)122,123がそれぞれゲートバルブ126,127を介して連結されている。予備室122,123は、ウエハ200を搬入する機能とウエハ200を搬出する機能とを併用可能に構成され、それぞれ負圧に耐え得る構造で構成されている。
【0015】
第1搬送室103の筐体101の五枚の側壁のうち後ろ側(背面側、
図1中の上方側)に位置する四枚の側壁には、ウエハ200に所望の処理を行う処理モジュールPM1~PM4となる処理容器202a~202dがゲートバルブ70a,70b,70c,70dを介してそれぞれ隣接して連結されている。
【0016】
(大気側の構成)
予備室122,123の前側には、大気圧下の状態でウエハ200を搬送することができる第2搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第2搬送室121には、ウエハ200を移載する第2基板移載機124が設けられている。
【0017】
第2搬送室121の左側にはノッチ合わせ装置106が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置106は、オリエンテーションフラット合わせ装置であってもよい。
【0018】
第2搬送室121の筐体125の前側には、ウエハ200を第2搬送室121に対して搬入搬出するための基板搬入出口134と、ポッドオープナ108と、が設けられている。基板搬入出口134を挟んでポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側には、ロードポート(IOステージ)105が設けられている。ポッドオープナ108は、ポッド100のキャップ100aを開閉すると共に基板搬入出口134を閉塞可能なクロージャを備えている。ロードポート105に載置されたポッド100のキャップ100aを開閉することにより、ポッド100に対するウエハ200の出し入れを可能にする。また、ポッド100は図示しない工程内搬送装置(OHTなど)によって、ロードポート105に対して、供給および排出されるようになっている。
【0019】
(2)処理モジュールの構成
次に、各処理モジュールPM1~PM4における処理容器202a~202dの構成について説明する。
【0020】
各処理モジュールPM1~PM4は、枚葉式の基板処理装置として機能するものであり、それぞれが処理容器202a~202dを備えて構成されている。各処理容器202a~202dは、いずれの処理モジュールPM1~PM4においても同様に構成され、処理容器202として具体的な構成を説明する。
【0021】
図2は、基板処理装置10の処理容器202の概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
【0022】
(処理容器)
処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。処理容器202は、例えば石英またはセラミックス等の非金属材料で形成された上部容器2021と、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)等の金属材料により形成された下部容器2022とで構成されている。処理容器202内には、上方側(後述する基板載置台212よりも上方の空間)に、ウエハ200を処理する処理空間(処理室)201が形成されており、その下方側で下部容器2022に囲まれた空間に搬送空間203が形成されている。
【0023】
下部容器2022の底部には、リフトピン207が複数設けられている。
【0024】
処理容器202の一部である下部容器2022の側面(側壁)には、ゲートバルブ205(前述の70a~70dに相当)に隣接した基板搬入出口206が設けられている。ウエハ200は、基板搬入出口206を介して、搬送空間203に搬入されるように構成されている。ゲートバルブ205の周囲には密閉部材であるOリング209aが設けられている。ゲートバルブ205は、基板搬入出口206を開閉する弁体205aと、弁体205aを支持するシャフト205bにより構成されている。言い換えると、基板搬入出口206には、弁体205a及びシャフト205bを備えたゲートバルブ205が隣接されている。シャフト205b及び弁体205aを昇降させることにより、基板搬入出口206は開閉されるよう構成されている。
【0025】
また、処理容器202の一部である上部容器2021の側面(側壁)には、処理容器202の外部から、処理容器202の内部である処理空間201が視認できるビューポート300が設けられている。ビューポート300の周囲には密閉部材であるOリング209bが設けられている。なお、ビューポート300は、処理空間201内を視認(確認)することができればよく、例えば上部容器2021の上壁に設けられてもよい。
【0026】
(基板載置台)
処理空間201内には、ウエハ200を支持する基板支持部(サセプタ)210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ基板載置台212と、基板載置台212に内包された加熱部としてのヒータ213と、を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0027】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、下部容器2022の底部を貫通しており、さらに処理容器202の外部で昇降部218に接続されている。
【0028】
昇降部218を作動させてシャフト217および基板載置台212を昇降させることにより、基板載置台212は、載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、これにより処理空間201内は気密に保持されている。
【0029】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、載置面211が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送位置)となるように下降し、ウエハ200の処理時には、ウエハ200が処理空間201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
【0030】
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は載置面211の上面から埋没して、載置面211がウエハ200を下方から支持するように構成されている。
【0031】
(シャワーヘッド)
処理空間201の上部(ガス供給方向上流側)には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230は、例えば上部容器2021に設けられた穴2021aに挿入される。
【0032】
シャワーヘッドの蓋231は、例えば導電性および熱伝導性のある金属で形成されている。蓋231と上部容器2021との間にはブロック233が設けられ、そのブロック233が蓋231と上部容器2021との間を絶縁し、かつ、断熱している。また、蓋231とブロック233の間には、密閉部材であるOリング209cが設けられている。
【0033】
また、シャワーヘッドの蓋231には、第一分散機構としてのガス供給管241が挿入される貫通孔231aが設けられている。貫通孔231aに挿入されるガス供給管241は、シャワーヘッド230内に形成された空間であるシャワーヘッドバッファ室232内に供給するガスを分散させるためのもので、シャワーヘッド230内に挿入される先端部241aと、蓋231に固定されるフランジ241bと、を有する。先端部241aは、例えば円柱状に構成されており、その円柱側面には分散孔が設けられている。そして、後述するガス供給部(供給系)から供給されるガスは、先端部241aに設けられた分散孔を介して、シャワーヘッドバッファ室232内に供給される。
【0034】
さらに、シャワーヘッド230は、後述するガス供給部(供給系)から供給されるガスを分散させるための第二分散機構としての分散板234を備えている。この分散板234の上流側がシャワーヘッドバッファ室232であり、下流側が処理空間201である。分散板234には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散板234は、載置面211と対向するように、その載置面211の上方側に配置されている。したがって、シャワーヘッドバッファ室232は、分散板234に設けられた複数の貫通孔234aを介して、処理空間201と連通することになる。また、蓋231と分散板234の間には、密閉部材であるOリング209dが設けられている。
【0035】
シャワーヘッドバッファ室232には、ガス供給管241が挿入される貫通孔231aを有する。
【0036】
(ガス供給系)
シャワーヘッド230の蓋231に設けられた貫通孔231aに挿入されるガス供給管241には、共通ガス供給管242が接続されている。ガス供給管241と共通ガス供給管242は、管の内部で連通している。そして、共通ガス供給管242から供給されるガスは、ガス供給管241、貫通孔231aを通じて、シャワーヘッド230内に供給される。
【0037】
共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243a、第二ガス供給管244a、第三ガス供給管245aが接続されている。このうち、第二ガス供給管244aは、リモートプラズマユニット244eを介して共通ガス供給管242に接続されてもよい。なお
図2においては、第二ガス供給管244aはリモートプラズマユニット244eを介して共通ガス供給管242に接続されているが、リモートプラズマユニット244eを設けない場合は、第二ガス供給管244aと共通ガス供給管242とを直接接続するよう構成する。
【0038】
第一ガス供給管243aを含む第一ガス供給系243からは主に第一元素含有ガスが供給され、第二ガス供給管244aを含む第二ガス供給系244からは主に第二元素含有ガスが供給される。第三ガス供給管245aを含む第三ガス供給系245からは、ウエハ200を処理する際には主に不活性ガスが供給され、シャワーヘッド230内や処理空間201内をクリーニングする際はクリーニングガスが主に供給される。
【0039】
(第一ガス供給系)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、第一ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、および、開閉弁であるバルブ243dが設けられている。そして、第一ガス供給管243aからは、第一元素を含有するガス(以下、「第一元素含有ガス」という。)が、第一ガス供給源243b、MFC243c、バルブ243d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0040】
第一元素含有ガスは、処理ガスの一つであり、原料ガスとして作用するものである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一元素含有ガスは、例えばシリコン含有ガスである。なお、第一元素含有ガスは、常温常圧で固体、液体および気体のいずれであってもよい。第一元素含有ガスが常温常圧で液体の場合は、第一ガス供給源243bとMFC243cとの間に、図示しない気化器を設ければよい。ここでは、第一元素含有ガスを気体として説明する。
【0041】
第一ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、第一不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第一不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源246b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)246c、および、開閉弁であるバルブ246dが設けられている。そして、第一不活性ガス供給管246aからは、不活性ガスが、不活性ガス供給源246b、MFC246c、バルブ246d、第一ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0042】
ここで、不活性ガスは、第一元素含有ガスのキャリアガスとして作用するもので、第一元素とは反応しないガスを用いることが好ましい。具体的には、例えば、窒素(N2)ガスを用いることができる。なお、不活性ガスとしては、N2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0043】
主に、第一ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、第一ガス供給系(「シリコン含有ガス供給系」ともいう)243が構成される。また、主に、第一不活性ガス供給管246a、MFC246cおよびバルブ246dにより、第一不活性ガス供給系が構成される。なお、第一ガス供給系243は、第一ガス供給源243b、第一不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、第一不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源236b、第一ガス供給管243aを含めて考えてもよい。このような第一ガス供給系243は、処理ガスの一つである原料ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系(「処理ガス供給部」ともいう)の一つに該当することになる。
【0044】
(第二ガス供給系)
第二ガス供給管244aには、下流にリモートプラズマユニット244eが設けられている。上流には、上流方向から順に、第二ガス供給源244b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)244c、および、開閉弁であるバルブ244dが設けられている。そして、第二ガス供給管244aからは、第二元素を含有するガス(以下、「第二元素含有ガス」という。)が、第二ガス供給源244b、MFC244c、バルブ244d、リモートプラズマユニット244e、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0045】
第二元素含有ガスをプラズマ状態としてウエハ200上に供給する場合、リモートプラズマユニット244eを稼働させ、第二元素含有ガスをプラズマ状態とする。
【0046】
第二元素含有ガスは、処理ガスの一つであり、反応ガスまたは改質ガスとして作用するものである。ここで、第二元素含有ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本実施形態では、第二元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスであるとする。具体的には、窒素含有ガスとして、アンモニア(NH3)ガスが用いられる。
【0047】
第二ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、第二不活性ガス供給管247aの下流端が接続されている。第二不活性ガス供給管247aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)247c、および、開閉弁であるバルブ247dが設けられている。そして、第二不活性ガス供給管247aからは、不活性ガスが、不活性ガス供給源247b、MFC247c、バルブ247d、第二ガス供給管244a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0048】
ここで、不活性ガスは、基板処理工程ではキャリアガスまたは希釈ガスとして作用する。具体的には、例えばN2ガスを用いることができるが、N2ガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることもできる。
【0049】
主に、第二ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、第二ガス供給系244(「窒素含有ガス供給系」ともいう)が構成される。また、主に、第二不活性ガス供給管247a、MFC247cおよびバルブ247dにより、第二不活性ガス供給系が構成される。なお、第二ガス供給系244は、第二ガス供給源244b、リモートプラズマユニット244e、第二不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、第二不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源247b、第二ガス供給管244a、リモートプラズマユニット244eを含めて考えてもよい。このような第二ガス供給系244は、処理ガスの一つである反応ガスまたは改質ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系(「処理ガス供給部」ともいう)の一つに該当することになる。
【0050】
(第三ガス供給系)
第三ガス供給管245aには、上流方向から順に、第三ガス供給源245b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)245c、および、開閉弁であるバルブ245dが設けられている。そして、第三ガス供給管245aからは、クリーニングガスが、第三ガス供給源245b、MFC245c、バルブ245d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0051】
第三ガス供給管245aのバルブ245dよりも下流側には、第三不活性ガス供給管248aの下流端が接続されている。第三不活性ガス供給管248aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源248b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)248c、および、開閉弁であるバルブ248dが設けられている。そして、第三不活性ガス供給管248aからは、不活性ガスが、不活性ガス供給源248b、MFC248c、バルブ248d、第三ガス供給管245a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0052】
成膜工程において、不活性ガスが、不活性ガス供給源248b、MFC248c、バルブ248d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給され、処理容器202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。このような不活性ガスとしては、例えばN2ガスを用いることができるが、N2ガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることもできる。
【0053】
クリーニング工程において、クリーニングガスが、第三ガス供給源245b、MFC245c、バルブ245d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給され、処理容器202やシャワーヘッド230内に留まった堆積物をクリーニングするガスとして作用する。このようなクリーニングガスとしては、例えば三フッ化窒素(NF3)ガスや三フッ化塩素(ClF3)ガスを用いることができる。
【0054】
主に、第三ガス供給管245a、MFC245c、バルブ245dにより、第三ガス供給系245(「クリーニングガス供給系、クリーニングガス供給部」ともいう)が構成される。また、第三ガス供給系245は、第三ガス供給源245bを含めて考えてもよい。また、主に、第三不活性ガス供給管248a、MFC248cおよびバルブ248dにより、第三不活性ガス供給系が構成される。また、第三不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源248b、第三ガス供給管245aを含めて考えてもよい。また、第三ガス供給系245は、第三不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。
【0055】
(ガス排気系)
処理容器202の雰囲気を排気する排気系は、処理容器202に接続された排気管263を有する。具体的には、処理空間201に接続される排気管263を有する。
【0056】
排気管263は、処理空間201の側方に接続される。排気管263には、処理空間201内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)276が設けられている。APC276は、開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ500からの指示に応じて排気管263のコンダクタンスを調整する。また、排気管263において、APC276の上流側と下流側には、それぞれに開閉弁であるバルブ275,277が設けられている。
【0057】
さらに、排気管263のバルブ277の下流側には、真空ポンプ278が設けられている。真空ポンプ278は、排気管263を介して、処理空間201の雰囲気を真空排気するよう構成されている。
【0058】
(3)冷却機構の実装形態
次に、処理容器202に設けられる冷却機構について、具体的な態様を説明する。
【0059】
まず、冷却機構を設ける理由を説明する。
ウエハ200上に膜を形成する成膜工程においては、ウエハ200を高温状態にすることが望ましい。高温状態にすることで処理空間201に供給されるガスのエネルギーやウエハ200上での反応状態が、低温(例えば室温)状態に比べて高くなるためである。一方、クリーニング工程については、処理容器202内を、成膜工程における温度と比較して低温にすることが望ましい。
【0060】
具体的には、例えばシャワーヘッド230や基板載置台212を支持するシャフト217等のSUS等の金属材料で構成された部材には、腐食対策としてフッ化ニッケルコーティング等のコーティングがなされている。また、後述する基板搬入出口206やゲートバルブ205でも同様に、腐食対策としてフッ化ニッケルコーティングが施される場合がある。高温状態のフッ化ニッケルコーティングにNF3ガスやClF3ガス等のクリーニングガスを供給すると、クリーニングガスとフッ化ニッケルコーティングとが反応し、コーティングを剥がしてしまう場合がある。これらがパーティクルとなり膜の汚染につながる恐れがある。
【0061】
また、シャワーヘッド230がプラズマ生成用の電極を兼ねる場合、コーティングが剥がれてまばらであると、コーティングのある箇所とコーティングの無い箇所とでプラズマ生成状態が異なるためプラズマ生成がまばらになる。その結果、ウエハ上に均一に膜を形成することが出来なくなる恐れがある。また、コーティングが剥がれてコーティングが無い部分に電力が集中し、異常放電が発生する可能性がある。また、処理ガスによって金属材料の腐食が進み、更にパーティクルが発生する恐れがある。また、コーティングがウエハ200と平行する面でまばらな場合、ウエハ面内でプラズマ量が不均一となってしまう。シャワーヘッド230の貫通孔234aの中で垂直方向にまばらな場合、それぞれの貫通孔234aでプラズマ生成量が異なってしまう。
【0062】
以上の理由から、高温状態で成膜工程を行った後であって、クリーニング工程を行う前に、高温状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる箇所を冷却して低温状態に維持することが望ましい。ここで、高温状態で処理を行うと不具合を生じる箇所を低温部と称する。
【0063】
そこで、処理ガスにより腐食される材質で構成され、処理ガスと接する領域には腐食防止用コーティングが施されたシャワーヘッド230やシャフト217等の低温部を冷却する降温工程を行う。
【0064】
続いて、シャワーヘッド230やシャフト217等の低温部を冷却する冷却機構の具体的構成について、
図2を用いて説明する。
【0065】
シャワーヘッド230の蓋231の周囲であって、Oリング209c,209dの近傍には、配管部316が埋設される。具体的には、配管部316は、後述するヒータ416とOリング209c、ヒータ416とOリング209dの間に設けられる。また、基板載置台212の周囲であって、ヒータ213の外周には、配管部317が埋設される。また、基板載置台212を支持するシャフト217の内部には、軸方向に延びる配管部318が埋設される。
【0066】
配管部318は往路、復路を有し、それぞれは配管部317に接続される。往路側には、後述する供給管310と同様の冷媒供給管が接続され、往路に冷媒を供給可能な構成としている。また、復路には後述する排出管311と同様の冷媒排出管が接続される。冷媒供給管から供給される冷媒は、配管部318の往路、配管部317に供給され、配管部318の復路を介して、冷媒排出管に排出される。
【0067】
また、下部容器2022の側面(側壁)の、基板搬入出口206の周囲上方であって、Oリング209aと後述するヒータ422の間には、配管部322が埋設される。また、基板搬入出口206の周囲下方であって、Oリング209aと後述するヒータ419の間には、配管部319が埋設される。すなわち、下部容器2022の側面(側壁)に周方向に配管部319,322が配置され、配管部319,322の内周側にヒータ419,422がそれぞれ配置されている。また、ゲートバルブ205の弁体205aを支持するシャフト205bの内部には、軸方向に延びる配管部321が埋設される。また、ビューポート300の周囲であって、Oリング209bと後述するヒータ420の間には、配管部320が埋設される。
【0068】
配管部316,317,318,319,320,321,322には、それぞれ冷却媒体が供給される。すなわち、配管部316,317,318,319,320,321,322は、冷媒流路として用いられる。配管部316,317,318,319,320,321,322は、アルミニウム(Al)等といった熱伝導率が高い金属配管材によって構成される。
【0069】
なお、この冷却媒体は、後述する第一温度においても冷却する性質を維持可能な媒体である。例えば、不活性ガス又は空気等のガス状の冷却媒体である。従って、第一温度でウエハ200を処理した後に筐体をすぐに冷却することが可能となる。比較例として、例えば液体状の冷却媒体(例えばガルテン)が存在するが、後述する第一温度(800℃)では沸騰してしまい、冷却性能が劣化してしまうという問題がある。これに対して、不活性ガス又は空気等のガス状の冷却媒体であれば、第一温度でも冷却性能を維持できるので、高温の状態の筐体を冷却可能であり、したがってダウンタイムを短くすることができる。
【0070】
蓋231の周囲であって、配管部316の内側には、加熱部としてのヒータ416が埋設される。また、配管部317の内側に、ヒータ213が配置される。また、基板搬入出口206の周囲下方であって、配管部319の内側(処理容器202内側)には、加熱部としてのヒータ419が埋設される。また、基板搬入出口206の周囲上方であって、配管部322の内側(処理容器202内側)には、加熱部としてのヒータ422が埋設される。また、ビューポート300の周囲であって、配管部320の内側(処理容器202内側)には、加熱部としてのヒータ420が埋設される。
【0071】
配管部316,317,318,319,320,321,322は、それぞれ別の配管を介して接続されている。配管部319の上流端には、冷却媒体を供給する供給管310が接続され、配管部322の下流端には、冷却媒体を排出する排出管311が接続されている。すなわち、配管部316,319,320,321,322は、供給管310、排出管311に連通している。つまり、配管部316,319,320,321,322を接続して構成された冷媒流路の上流端に冷却媒体を供給する供給管310が接続され、冷媒流路の下流端に冷却媒体を処理容器202外へ排出する排出管311が接続されている。このように供給配管と排気配管とを共通化することにより、部品点数を少なくして、コストを低減させることができる。なお、他の配管部に供給管310と排出管311をそれぞれ接続してもよく、配管部316~322を接続して構成された冷媒流路の上流端に冷却媒体を供給する供給管310が接続され、冷媒流路の下流端に冷却媒体を処理容器202外へ排出する排出管311が接続されていればよい。
【0072】
供給管310には、上流側から冷媒ガス供給部310aと開閉弁であるバルブ310bが設けられている。冷媒ガス供給部310aは、冷媒流路に冷却媒体を供給する。すなわち、供給管310は、冷媒流路に冷却媒体を供給する供給配管として用いられる。また、排出管311には、開閉弁であるバルブ311bが設けられ、下流端に真空ポンプ311cが接続されている。すなわち、冷媒流路には真空ポンプ311cが接続されている。また、排出管311のバルブ311bの上流側には、分岐路である配管312が接続されている。配管312には、バルブ312bが設けられている。すなわち、排出管311は、冷媒流路内の冷却媒体を処理容器202外へ排出又は真空引きする排気配管として用いられる。
【0073】
このようにシャワーヘッド230やシャフト217等の低温部を所定温度以下に冷却することにより、成膜温度である第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部に対する熱影響を低減することができる。
【0074】
また、降温工程においては、処理容器202の壁面、シャワーヘッド230、基板載置台212、シャフト217,205b内等に配置された冷媒流路に冷却媒体を供給し、昇温工程においては、これらの冷媒流路が真空引きされ、冷媒流路の内側に配置されたヒータ416,419,420,422を用いることで、降温時間及び昇温時間が短縮され、装置の稼働率が改善される。
【0075】
また、このようにOリング209a~209d等の近傍に冷媒流路を配置することにより、Oリングの劣化を抑制することができる。このため、Oリング209a~209dも低温部と称することができる。また、基板搬入出口206近傍やビューポート300近傍の処理容器202の壁面も低温部と称することができる。
【0076】
また、配管部316,317,318,319,320,321,322の近傍には、配管部316,317,318,319,320,321,322の近傍の温度を検出する温度センサ516,517,518,519,520,521がそれぞれ設けられている。
【0077】
(4)コントローラの構成
次に、制御部(制御手段)としてのコントローラ500の構成について説明する。
【0078】
制御部(制御手段)としてのコントローラ500は、後述の基板処理工程を行うように、上述の各部を制御する。
【0079】
図3に示すように、コントローラ500は、CPU(Central Processing Unit)500a、RAM(Random Access Memory)500b、記憶装置500c、I/Oポート500dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM500b、記憶装置500c、I/Oポート500dは、内部バス500eを介して、CPU500aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ500には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置501やディスプレイ等の表示装置472が接続されている。
【0080】
記憶装置500cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置500c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ500に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM500bは、CPU500aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0081】
I/Oポート500dは、上述のヒータ213,416,419,420,422、MFC243c,244c,245c,246c,247c,248c、バルブ243d,244d,245d,246d,247d,248d,275,277,310b,311b,312b、APC276、真空ポンプ278,311c、ゲートバルブ205、昇降部218、第1基板移載機112、第2基板移載機124、温度センサ516,517,518,519,520,521等に接続されている。
【0082】
CPU500aは、記憶装置500cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置501からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置500cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU500aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、ヒータ213によるウエハ200の加熱・冷却動作、APC276による圧力調整動作、MFC243c,244c,245c,246c,247c,248cとバルブ243d,244d,245d,246d,247d,248dによる処理ガスの流量調整動作、昇降部218による基板支持部210の上下回転動作、温度センサ516,517,518,519,520,521、バルブ310b,311b,312b、真空ポンプ311cによる冷却媒体の冷媒流路への供給排出動作、真空排気動作、ヒータ416,419,420,422による処理容器202内の昇温・降温動作等を制御するように構成されている。
【0083】
なお、コントローラ500は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)123を用意し、係る外部記憶装置123を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ500を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置123を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置123を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置500cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置500c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0084】
(5)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の処理容器202を用いてウエハ200上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ500により制御される。
【0085】
ここでは、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)として例えばヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)を気化させて得られるシリコン含有ガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてNH3ガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上に薄膜として窒化シリコン(SiN)膜を形成する例について説明する。
【0086】
図4は、本開示の一実施形態に係る基板処理工程の概要を示すフロー図である。
【0087】
(昇温工程:S10)
本工程では、基板支持部210にウエハ200が支持されていない状態で、処理容器202内を昇温させる。
【0088】
ここで、処理容器202の外側は、高温にならないよう、安全に配慮する必要がある。このため、昇温工程(S10)では、コントローラ500は、配管部316,319,320,321,322内を真空状態にしたまま、ヒータ416,419,420,422,213の電源をオンとする。また、バルブ310b,312bを閉状態、バルブ311bを開状態としたまま、真空ポンプ311cを稼働させて、配管部316,319,320,321,322内を真空引きする。すなわち、冷媒流路を真空引きして昇温工程(S10)を行う。このため、冷媒流路は真空断熱部として用いられ、処理容器202内の熱を処理容器202外に放出されないようにすることができる。また、成膜温度である第一温度までの昇温速度を短くすることができる。また、各ヒータはOリングの内側にあるため、冷媒流路はヒータからの熱伝導を低減することが可能となり、そのためOリングの劣化を抑制できる。
【0089】
このとき、昇温工程(S10)における載置面211とシャワーヘッド230との距離は、後述する成膜工程(S12)における載置面211とシャワーヘッド230との距離よりも離間させる。これにより、基板支持部210に設けられたヒータ213による影響を少なくして、ヒータ213による熱から、シャワーヘッド230の温度の上昇を抑制することができる。
【0090】
(基板搬入載置・加熱工程:S11)
処理容器202においては、先ず、基板載置台212をウエハ200の搬送位置(搬送ポジション)まで下降させることにより、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ205を開いて搬送空間203を第1搬送室103と連通させる。そして、この第1搬送室103か第1基板移載機112を用いてウエハ200を搬送空間203に搬入し、リフトピン207上にウエハ200を移載する。これにより、ウエハ200は、基板載置台212の表面から突出したリフトピン207上に水平姿勢で支持される。
【0091】
処理容器202内にウエハ200を搬入したら、第1基板移載機112を処理容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ205を閉じて処理容器202内を密閉する。その後、基板載置台212を上昇させることにより、基板載置台212に設けられた載置面211上にウエハ200を載置させ、さらに基板載置台212を上昇させることにより、前述した処理空間201内の処理位置(基板処理ポジション)までウエハ200を上昇させる。
【0092】
ウエハ200が搬送空間203に搬入された後、処理空間201内の処理位置まで上昇すると、バルブ277とバルブ275を開き、処理空間201とAPC276の間を連通させるとともに、APC276と真空ポンプ278の間を連通させる。APC276は、排気管263のコンダクタンスを調整することで、真空ポンプ278による処理空間201の排気流量を制御し、処理空間201を所定の圧力(例えば10-5~10-1Paの高真空)に維持する。
【0093】
このようにして、基板搬入載置・加熱工程(S11)では、処理空間201内を所定の圧力となるように制御するとともに、ウエハ200の表面温度が、ウエハ200を処理する温度であり第一温度である例えば700℃~1000℃、具体的には800℃~900℃となるようにヒータ213を制御する。ここで、第一温度とは、後述する成膜工程(S12)において、例えばSiN膜を形成可能な温度である。なお、本開示における「700~1000℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「700~1000℃」とは「700℃以上1000℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0094】
(成膜工程:S12)
次に、成膜工程(S12)を行う。以下、
図5を参照し、成膜工程(S12)について詳細に説明する。なお、成膜工程(S12)は、異なる処理ガスを交互に供給する工程を繰り返すサイクリック処理である。
【0095】
また、成膜工程は、基板支持部210にウエハ200を支持した状態で、ウエハ200を第一温度まで加熱すると共に、基板支持部210を内包した処理容器202内に処理ガスを供給するため、処理ガス供給工程とも呼ぶ。
【0096】
なお、本工程では、処理ガスにより腐食される材質で構成されるシャワーヘッド230は、処理ガスと接する領域に腐食防止用コーティングが施された状態である。また、シャフト217等の低温部は、シャワーヘッド230と同様に、腐食防止用コーティングが施された状態である。
【0097】
ここで、成膜工程(S12)において、コントローラ500は、バルブ310b,312bを閉状態とし、バルブ311bを開状態として、真空ポンプ311cを稼働させて、配管部316,319,320,321,322内を真空引きする。すなわち、冷媒流路を真空引きして成膜工程(S12)を行う。このため、冷媒流路は真空断熱部として用いられ、処理容器202内の熱が処理容器202外への放出を抑制できる。なお、このときウエハ200の温度を第一温度に維持できる状態であれば、ヒータ416,419,420,422の電源をオフしてもよい。
【0098】
(第一の処理ガス供給工程:S20)
成膜工程(S12)では、先ず、第一の処理ガス供給工程(S20)を行う。第一の処理ガス供給工程(S20)において、第一の処理ガスとして第一元素含有ガスであるシリコン含有ガスを供給する際は、バルブ243dを開くとともに、シリコン含有ガスの流量が所定流量となるように、MFC243cを調整する。これにより、処理空間201内へのシリコン含有ガスの供給が開始される。なお、シリコン含有ガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。このとき、第三ガス供給系のバルブ248dを開き、第三ガス供給管245aからN2ガスを供給する。また、第一不活性ガス供給系からN2ガスを流してもよい。また、この工程に先立ち、第三ガス供給管245aからN2ガスの供給を開始していてもよい。
【0099】
処理空間201に供給されたシリコン含有ガスは、ウエハ200上に供給される。そして、ウエハ200の表面には、シリコン含有ガスがウエハ200の上に接触することによって「第一元素含有層」としてのシリコン含有層が形成される。
【0100】
シリコン含有層は、例えば、処理容器202内の圧力、シリコン含有ガスの流量、基板支持部(サセプタ)210の温度、処理空間201の通過にかかる時間等に応じて、所定の厚さおよび所定の分布で形成される。なお、ウエハ200上には、予め所定の膜が形成されていてもよい。また、ウエハ200または所定の膜には、予め所定のパターンが形成されていてもよい。
【0101】
シリコン含有ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ243dを閉じ、シリコン含有ガスの供給を停止する。シリコン含有ガスの供給時間は、例えば2~20秒である。
【0102】
このような第一の処理ガス供給工程(S20)では、バルブ275およびバルブ277が開状態とされ、APC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。
【0103】
(パージ工程:S21)
シリコン含有ガスの供給を停止した後は、第三ガス供給管245aからN2ガスを供給し、処理空間201のパージを行う。
このとき、バルブ275およびバルブ277は開状態とされてAPC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。これにより、第一の処理ガス供給工程(S20)でウエハ200に結合できなかったシリコン含有ガスは、真空ポンプ278により、排気管263を介して処理空間201から除去される。
【0104】
パージ工程(S21)では、ウエハ200、処理空間201、シャワーヘッドバッファ室232での残留シリコン含有ガスを排除するために、大量のパージガスを供給して排気効率を高める。
【0105】
パージが終了すると、バルブ277およびバルブ275を開状態とした状態でAPC276による圧力制御を再開する。このときも、第三ガス供給管245aからのN2ガスの供給は継続され、シャワーヘッド230および処理空間201のパージが継続される。
【0106】
(第二の処理ガス供給工程:S22)
シャワーヘッドバッファ室232および処理空間201のパージが完了したら、続いて、第二の処理ガス供給工程(S22)を行う。第二の処理ガス供給工程(S22)では、バルブ244dを開けて、シャワーヘッド230を介して、処理空間201内へ第二の処理ガスとして第二元素含有ガスであるNH3ガスの供給を開始する。このとき、NH3ガスの流量が所定流量となるように、MFC244cを調整する。NH3ガスの供給流量は、例えば1000~10000sccmである。また、第二の処理ガス供給工程(S22)においても、第三ガス供給系のバルブ248dは開状態とされ、第三ガス供給管245aからN2ガスが供給される。このようにすることで、NH3ガスが第三ガス供給系に侵入することを防ぐ。
【0107】
NH3ガスは、シャワーヘッド230を介して、処理空間201内に供給される。供給されたNH3ガスは、ウエハ200上のシリコン含有層と反応する。そして、既に形成されているシリコン含有層がNH3ガスによって改質される。これにより、ウエハ200上には、例えばシリコン元素および窒素元素を含有する層であるSiN層が形成されることになる。
【0108】
NH3ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ244dを閉じ、NH3ガスの供給を停止する。NH3ガスの供給時間は、例えば2~20秒である。
【0109】
このような第二の処理ガス供給工程(S22)では、第一の処理ガス供給工程(S20)と同様に、バルブ275およびバルブ277が開状態とされ、APC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。
【0110】
(パージ工程:S23)
NH3ガスの供給を停止した後は、上述したパージ工程(S21)と同様のパージ工程(S23)を実行する。パージ工程(S23)における各部の動作は、上述したパージ工程(S21)と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0111】
(判定工程:S24)
以上の第一の処理ガス供給工程(S20)、パージ工程(S21)、第二の処理ガス供給工程(S22)、パージ工程(S23)を1サイクルとして、コントローラ500は、このサイクルを所定回数(nサイクル)実施したか否かを判定する(S24)。サイクルを所定回数実施すると、ウエハ200上には、所望膜厚のSiN層が形成される。
【0112】
以上の各工程(S20~S24)からなる成膜工程(S12)の後は、基板搬出工程(S13)を実行する。
【0113】
(基板搬出工程:S13)
基板搬出工程(S13)では、上述した基板搬入載置・加熱工程(S11)と逆の手順にて、処理済みのウエハ200を処理容器202の外へ搬出する。
【0114】
(判定工程:S14)
以上の基板搬入載置・加熱工程(S11)、成膜工程(S12)、基板搬出工程(S13)を1サイクルとして、コントローラ500は、このサイクルを所定回数(mサイクル)実施したか否かを判定する(S14)。そして、所定回数(mサイクル)実施していない場合には、ステップS11へ戻り、基板搬入載置・加熱工程(S11)と同様の手順にて、次に待機している未処理のウエハ200を処理容器202内に搬入する。その後、搬入されたウエハ200に対しては、成膜工程(S12)が実行されることになる。そして、所定回数(mサイクル)実施した場合には、次の降温工程(S15)を実行する。ここで、上述したサイクルを所定回数(mサイクル)実施すると、処理容器202内の壁面等には、所望膜厚のSiN層が形成される。
【0115】
(降温工程:S15)
降温工程(S15)では、基板支持部210にウエハ200を支持していない状態で、配管部316、317,318,319,320,321,322内に冷却媒体を所定時間供給する。すなわち、冷媒流路に冷却媒体を所定時間供給し、シャワーヘッド230やシャフト217等の低温部や処理容器202内を所定温度まで降温する。
【0116】
つまり、降温工程では、成膜工程の後に、処理容器202に備えられた冷媒流路に冷却媒体を所定時間供給する。これにより、シャワーヘッド230やシャフト217等の低温部を、第一温度よりも低く、コーティングが劣化しない温度である第二温度まで降温させる。
【0117】
ここで、降温工程(S15)では、コントローラ500は、ヒータ213,416,419,420,422の電源をオフとしたまま、バルブ310b,312bを開状態とし、バルブ311bを閉状態として、冷媒ガス供給部310aから冷却媒体を供給する。冷媒ガス供給部310aから供給された冷却媒体は、供給管310、バルブ310b、配管部319,316,320,321,322、排出管311、配管312、バルブ312bを介して基板処理装置10の外へ排出される。すなわち、降温工程では、冷媒ガス供給部310aから冷媒流路に冷却媒体を供給して、配管部319,316,317,318,320,321,322近傍を冷却する。このとき、温度センサ516~521により検出された温度情報に基づいて、処理容器202内が第二温度まで降温したら、バルブ310b,312bを閉状態とし、冷媒流路への冷却媒体の供給排出動作を停止する。これにより、クリーニング温度である第二温度までの降温速度を短くすることができる。
【0118】
このとき、降温工程(S15)における載置面211とシャワーヘッド230との距離は、上述した成膜工程(S12)における載置面211とシャワーヘッド230との距離よりも離間させてもよい。これにより、基板支持部210に設けられたヒータ213による影響を少なくして、ヒータ213による熱または基板載置台212に蓄積した熱から、シャワーヘッド230の温度の上昇を抑制することができる。
【0119】
(クリーニング工程:S16)
クリーニング工程(S16)では、処理容器202内にクリーニングガスを供給する。すなわち、基板支持部210にウエハ200が支持されていない状態で、処理容器202内にクリーニングガスを供給して、クリーニングする。このとき、例えば処理空間201中の温度を100~500℃の間、具体的には300℃~500℃の間とする。
【0120】
具体的には、第三ガス供給管245aからクリーニングガスを供給し、シャワーヘッド230内や処理容器202内のクリーニングを行う。すなわち、クリーニング工程(S16)において、バルブ245dを開くとともに、クリーニングガスの流量が所定流量となるように、MFC245cを調整する。これにより、処理容器202内へのクリーニングガスの供給が開始される。このとき、バルブ275およびバルブ277は開状態とされてAPC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。これにより、シャワーヘッド230内や基板支持部210や処理容器202の内壁等に堆積された堆積物が、真空ポンプ278により、排気管263を介して処理空間201から除去される。
【0121】
すなわち、クリーニング工程では、降温工程の後、基板支持部210にウエハ200が支持されていない状態で、処理容器202内にクリーニングガスを供給して、シャワーヘッド230内やシャフト217や処理容器202の内壁等をクリーニングする。
【0122】
ここで、クリーニング工程(S16)では、コントローラ500は、ヒータ416,419,420,422の電源をオフとしたまま、バルブ310b,312bを閉状態とし、バルブ311bを開状態として、真空ポンプ311cを稼働させて、配管部316,319,320,321,322内を真空引きする。すなわち、冷媒流路を真空引きしてクリーニング工程(S16)を行う。このため、冷媒流路は真空断熱部として用いられる。
【0123】
(判定工程:S17)
クリーニング工程(S16)の後、判定工程S17を行う。ここでは、次に処理するウエハ200が存在すれば昇温工程S10に移行し、次に処理するウエハ200が存在しなければ、終了するよう判定する。
【0124】
[他の実施形態]
以上に、本開示の一実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0125】
例えば、上述した実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理において、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)としてシリコン含有ガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてNH3ガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上にSiN膜を形成する場合を例に挙げたが、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、シリコン含有ガスやNH3ガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本開示を適用することが可能である。具体的には、第一元素としては、Siではなく、例えばTi、Zr、Hf等、種々の元素であってもよい。また、第二元素としては、Nではなく、例えばO等であってもよい。
【0126】
また、上述した実施形態では、配管部316~322を接続して構成された冷媒流路の上流端に冷却媒体を供給する供給管310が接続され、冷媒流路の下流端に冷却媒体を処理容器202外へ排出する排出管311が接続される場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、配管部316~322のそれぞれの上流端に、冷却媒体を供給する供給管310が接続され、配管部316~322のそれぞれの下流端に、冷却媒体を排出する排出管311が接続されるようにしてもよい。これにより、冷却時間を短縮したり、それぞれの冷媒流路の近傍において冷却と昇温を制御したりすることができる。
【0127】
また、上述した実施形態では、配管部316~322を接続して構成された冷媒流路の上流端に冷却媒体を供給する供給管310が接続され、冷媒流路の下流端に冷却媒体を処理容器202外へ排出する排出管311が接続される場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、冷媒流路に冷却装置を設けて、冷却媒体を処理容器202外へ排出しないで、冷却媒体を冷却しながら循環させるようにしてもよい。
【0128】
また、上述した実施形態では、成膜工程において、ヒータ416,419,420,422の電源をオフの状態にして行う場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、成膜工程において、ヒータ416,419,420,422の電源をオンの状態にして行ってもよい。これにより、基板支持部210の周囲から処理容器202内を加熱することができる。
【0129】
また、上述した実施形態では、成膜工程において、冷媒流路を真空引きして真空断熱部として用いる場合を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではなく、成膜工程において、ゲートバルブ205のシャフト205bに設けられた冷媒流路には、冷却媒体を供給して冷却するようにしてもよい。
【0130】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0131】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給工程と、
前記処理ガス供給工程の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する降温工程と、
前記降温工程の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングするクリーニング工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0132】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
前記クリーニング工程の後、
前記基板が支持されていない状態で、前記処理容器内を昇温させる昇温工程を有する。
【0133】
(付記3)
付記2に記載の方法であって、
前記冷媒流路には真空ポンプが接続され、
前記昇温工程では、前記真空ポンプを稼働させて、前記冷媒流路を真空引きする。
【0134】
(付記4)
付記2に記載の方法であって、
前記昇温工程では、前記冷媒流路の内側に設けられた加熱部を制御する。
【0135】
(付記5)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記低温部は、前記処理ガスにより腐食される材質で構成され、前記処理ガスと接する領域には腐食防止用コーティングが施され、
前記処理ガス供給工程では、前記コーティングが施された状態で前記処理ガスを供給し、
前記降温工程では、前記コーティングが劣化しない温度まで前記低温部を降温させる。
【0136】
(付記6)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記低温部は、シャワーヘッドであり、前記冷媒流路は前記シャワーヘッドの周囲に設けられる。
【0137】
(付記7)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記低温部は前記基板支持部を支持するシャフトであり、前記冷媒流路は、前記シャフトの内部に設けられる。
【0138】
(付記8)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記処理容器には基板搬入出口が設けられ、
前記基板搬入出口には、弁体及びシャフトを備えたゲートバルブが隣接され、
前記低温部は、前記基板搬入出口近傍である。
【0139】
(付記9)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記処理容器には、前記処理容器の外部から前記処理容器の内部が視認できるビューポートが設けられ、
前記低温部は前記ビューポート近傍である。
【0140】
(付記10)
付記1又は2に記載の方法であって、
前記低温部は、Oリングである。
【0141】
(付記11)
付記1に記載の方法であって、
前記基板支持部にはヒータが内包され、
前記降温工程における前記基板支持部と前記低温部との距離は、前記処理ガス供給工程における前記距離よりも離間させる。
【0142】
(付記12)
付記2に記載の方法であって、
前記基板支持部にはヒータが内包され、
前記昇温工程における前記基板支持部と前記低温部との距離は、前記処理ガス供給工程における前記距離よりも離間させる。
【0143】
(付記13)
本開示の他の態様によれば、
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部を内包する処理容器と、
前記処理容器に備えられ、第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部と、
前記処理容器に備えられ、前記低温部を冷却する冷媒流路と、
前記処理容器に備えられた加熱部と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、
前記冷媒流路に不活性ガス又は空気を供給する冷媒ガス供給部と、
前記加熱部と前記処理ガス供給部と前記クリーニングガス供給部と前記冷媒ガス供給部と、を制御して、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を前記第一温度まで加熱すると共に、前記処理容器内に処理ガスを供給する処理と、
前記処理ガスを供給する処理の後に、前記冷媒流路に不活性ガス又は空気を所定時間供給し、前記低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する処理と、
前記降温する処理の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングする処理と、
を行うよう制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0144】
(付記14)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する手順と、
前記処理ガスを供給する手順の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する手順と、
前記低温部を降温する手順の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【符号の説明】
【0145】
10 基板処理装置
202 処理容器
500 コントローラ(制御部)
【手続補正書】
【提出日】2022-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給工程と、
前記処理ガス供給工程の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する降温工程と、
前記降温工程の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングするクリーニング工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記冷媒流路に供給される不活性ガスは、前記第一温度において冷却性能を維持可能なガスである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記冷媒流路にはバルブが設けられ、前記第二温度に到達したら前記バルブを閉とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記冷媒流路には真空ポンプが接続され、
前記処理ガス供給工程では、前記真空ポンプを稼働させて、前記冷媒流路を真空引きする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記冷媒流路には真空ポンプが接続され、
前記クリーニング工程では、前記真空ポンプを稼働させて、前記冷媒流路を真空引きする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記クリーニング工程の後、
前記基板が支持されていない状態で、前記処理容器内を昇温させる昇温工程を有する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記冷媒流路には真空ポンプが接続され、
前記昇温工程では、前記真空ポンプを稼働させて、前記冷媒流路を真空引きする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記昇温工程では、前記冷媒流路の内側に設けられた加熱部を制御する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記基板支持部にはヒータが内包され、
前記昇温工程における前記基板支持部と前記低温部との距離は、前記処理ガス供給工程における前記距離よりも離間させる請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記低温部は、前記処理ガスにより腐食される材質で構成され、前記処理ガスと接する領域には腐食防止用コーティングが施され、
前記処理ガス供給工程では、前記コーティングが施された状態で前記処理ガスを供給し、
前記降温工程では、前記コーティングが劣化しない温度まで前記低温部を降温させる
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記低温部は、シャワーヘッドであり、前記冷媒流路は前記シャワーヘッドの周囲に設けられる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記低温部は、前記処理ガスにより腐食される材質で構成されると共に、前記基板と平行する面に腐食防止用コーティングが施されたシャワーヘッドであり、
前記処理ガス供給工程では、前記コーティングが施された状態で前記処理ガスを供給し、
前記降温工程では、前記コーティングが劣化しない温度まで前記低温部を降温させる
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記低温部は、前記処理ガスにより腐食される材質で構成されると共に、貫通孔に腐食防止用コーティングが施されたシャワーヘッドであり、
前記処理ガス供給工程では、前記コーティングが施された状態で前記処理ガスを供給し、
前記降温工程では、前記コーティングが劣化しない温度まで前記低温部を降温させる
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記低温部は前記基板支持部を支持するシャフトであり、前記冷媒流路は、前記シャフトの内部に設けられる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記処理容器には基板搬入出口が設けられ、
前記基板搬入出口には、弁体及びシャフトを備えたゲートバルブが隣接され、
前記低温部は、前記基板搬入出口近傍である
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記処理容器には、前記処理容器の外部から前記処理容器の内部が視認できるビューポートが設けられ、
前記低温部は前記ビューポート近傍である請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記低温部は、Oリングであり、前記冷媒流路は前記Oリングの周囲に設けられる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記冷媒流路は、Oリングとヒータとの間に設けられる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記基板支持部にはヒータが内包され、
前記降温工程における前記基板支持部と前記低温部との距離は、前記処理ガス供給工程における前記距離よりも離間させる請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部を内包する処理容器と、
前記処理容器に備えられ、第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部と、
前記処理容器に備えられ、前記低温部を冷却する冷媒流路と、
前記処理容器に備えられた加熱部と、
前記処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
前記処理容器内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給部と、
前記冷媒流路に不活性ガス又は空気を供給する冷媒ガス供給部と、
前記加熱部と前記処理ガス供給部と前記クリーニングガス供給部と前記冷媒ガス供給部と、を制御して、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を前記第一温度まで加熱すると共に、前記処理容器内に処理ガスを供給する処理と、
前記処理ガスを供給する処理の後に、前記冷媒流路に不活性ガス又は空気を所定時間供給し、前記低温部を前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する処理と、
前記降温する処理の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングする処理と、
を行うよう制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項21】
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する手順と、
前記処理ガスを供給する手順の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する手順と、
前記低温部を降温する手順の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングする手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項22】
基板支持部に基板を支持した状態で、前記基板を第一温度まで加熱すると共に、前記基板支持部を内包した処理容器内に処理ガスを供給する処理ガス供給工程と、
前記処理ガス供給工程の後に、前記処理容器に備えられた冷媒流路に不活性ガス若しくは空気を所定時間供給することにより、前記処理容器に備えられ、前記第一温度の状態でクリーニングガスを供給すると不具合を生じる低温部を、前記第一温度よりも低い第二温度まで降温する降温工程と、
前記降温工程の後、前記処理容器内にクリーニングガスを供給して、前記低温部をクリーニングするクリーニング工程と、
を有する基板処理方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、プログラム及び基板処理方法に関する。