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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035563
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B65G47/14 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142519
(22)【出願日】2021-09-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 高効率な資源循環システムを構築するためのリサイクル技術の研究開発事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】片桐 淳
(72)【発明者】
【氏名】古屋仲 茂樹
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080AA52
3F080AA55
3F080BA05
3F080BC07
3F080BC08
3F080CB03
3F080CB11
3F080CE11
3F080CF01
3F080CF22
3F080DA15
(57)【要約】
【課題】積み重なった状態である被供給物を、積み重なっていない状態で供給対象に供給することができる供給装置を提供する。
【解決手段】被供給物が投入されるトレイ100と、トレイ100を振動させる振動部と、を備え、トレイ100は、水平面に沿うように配置され、水平面の第1方向に沿う棒状突起111pを備える底部111と、水平面に直交する垂直面に沿うように配置される段差部112と、を第1方向に直交し、水平面に沿う第2方向に交互に複数備える階段部110と、階段部110における第1方向の両端部に配置され、底部111と段差部112との両方に直交する一対の側板120と、底部111の鉛直上方に、第1方向に沿って配置される分散柱130と、を備え、被供給物Wは、階段部110において最も上に位置する底部111に投入され、階段部110において最も下に位置する底部111から供給対象に供給される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不定形物体である被供給物を供給対象に供給する供給装置であって、
前記被供給物が投入されるトレイと、
前記トレイを振動させる振動部と、
を備え、
前記トレイは、
水平面に沿うように配置され、前記水平面の第1方向に沿う棒状突起を備える底部と、前記水平面に直交する垂直面に沿うように配置される段差部と、を前記第1方向に直交し、前記水平面に沿う第2方向に交互に複数備える階段部と、
前記階段部における前記第1方向の両端部に配置され、前記底部と前記段差部との両方に直交する一対の側板と、
前記底部の鉛直上方に、前記第1方向に沿って配置される分散柱と、
を備え、
前記被供給物は、前記階段部において最も上に位置する前記底部に投入され、前記階段部において最も下に位置する前記底部から前記供給対象に供給される、
供給装置。
【請求項2】
前記水平面に直交する鉛直方向における前記底部と前記分散柱との間の大きさは、第2正方向に位置する底部ほど小さい、
請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記振動部は、前記トレイを前記水平面に直交する鉛直方向から前記第2正方向に向けて傾いた振動方向に振動させる、
請求項2に記載の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現状の廃製品のリサイクル工程では、手作業によって廃製品を一台ずつ選り分けてから解体し、モジュール部品(筐体の一部、バッテリー、カメラモジュール、プリント基板、ならびに、ICチップなどプリント基板上の部品など)を取り出し、分類する作業が行われている。
【0003】
モジュール部品を自動で識別して分類するためには、解体後の多量のモジュール部品群を、ベルトコンベヤ上に重なることなく分散して配列することが好ましい。これにより、搬送中のモジュール部品をカメラ撮影することで、画像処理によって自動的に識別して選別することが可能になる為である。
【0004】
この自動識別が難しい要因の一つとして、モジュール部品が、多種多様なサイズ、形状からなること、および、部品形状が特異な、薄い板形状をしたものが多いことが上げられる。これらの被供給物は、供給時に一旦積み重なってしまうと、振動のみによって、その安定した堆積構造を分散することが困難になるという問題がある。
【0005】
従来の代表的な分散供給技術として、供給装置を用いる方法がある。
特許文献1は、振動による果菜分散装置である。収穫された果菜が搬送される過程において、重なり合うことがある。これらを振動によって果菜をコンベヤ上に分散させ、整列コンベヤに供給する。
特許文献2は、ホタテ稚貝の分散供給装置である。当該装置は振動篩を用いる。篩の目(穴)のサイズを稚貝の大きさに応じて設定することで、篩から落下したホタテ稚貝を分散供給する。
特許文献3は、錠剤を分散し、単列供給するシステムである。振動搬送される錠剤を、そのサイズに応じて設定する複数の柱状部材により、搬送と直交する方向に分散させ、整列用シュートへ供給する装置である。
【0006】
特許文献4の廃棄物処理装置は、コンベヤ上の搬送物を3Dセンサや可視光カメラの情報から識別し、ロボットアームで分別回収するシステムである。
特許文献5もロボットアームを用いたロボット制御装置であるが、対象物の識別、特定プロセスがない点で特許文献4と相違する。バラ積みされたワークを取り出す際、予め決められた位置でロボットアームをワークに向けて移動させてゆき、アームに搭載した反力センサの情報に基づき、ワークとの接触を判定し、把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-210102号公報
【特許文献2】特開2020-054964号公報
【特許文献3】特開2003-206018号公報
【特許文献4】特開2020-199444号公報
【特許文献5】特開2020-203361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の装置は、丸みを帯びた形状の果菜を対象としている。このため、装置の振動により積み重ねは容易に解消する。一方、モジュール部品のように薄い板状の被供給物は、配向性があり、極めて安定的な積層構造を構成し、振動での分散は容易ではない。
特許文献2に記載の装置は、丸形で厚みがある稚貝を対象としている。当該装置において、稚貝は、篩から落下する際に全方位に等方的に跳ね返る。従って分散させやすい。これに対して、モジュール部品は、大きさが様々で、一般的な篩で落下させられない。また、モジュール部品は板形状のため、落下時の跳ね返りによって重なりを解消することが難しい。
特許文献3に記載のシステムは、錠剤等、サイズ・形状が揃った物品を想定している。このため、多種多様なサイズ・形状を有するモジュール部品の分散供給には利用できない。
【0009】
上述のように、前記の従来技術は、トマトやホタテ貝、錠剤などサイズや形状が一定もしくは僅かな違いしかない被供給物を対象としている。これら対象物は各々異なるものの、厚みがあり、全体的には丸みがあり、一塊である共通の特徴を持つ。こうした粒子形状的特徴を持つ材料は、例えば、岩や砂など地盤材料、小麦粉や塩など食品、石炭や鉄鉱石などの鉱物資源など、様々な産業領域での対象物である。
【0010】
こうした従来技術が対象としてきた被供給物は、その形状的特徴により、被供給物同士は主に点接触する。そのため、振動などの外力を与えることで、鉛直上下方向の接触構造は不安定化させることができる。すなわち、鉛直上下方向に被供給物群が重なっている場合でも、振動を与えるだけで、容易にその重なりを除去できる。
【0011】
これに対し、本発明の対象物は、廃製品を解体して生じる筐体の一部、バッテリー、カメラモジュール、プリント基板、ならびに、ICチップなどプリント基板上の部品などであり、薄い板状という形状的特徴を持つ。こうした形状の被供給物が鉛直上下方向に重なる場合、主に面接触する。接触面全体で摩擦力が働くため、力学的に極めて安定的な状態となることから、振動外力のみで、この重なりを除去することは容易ではない。
【0012】
特許文献4に記載の装置の上流側では、バルクで搬送されてくる廃棄物を分散させるため、羽根付きのロッドを回転させ、重なりを除外する機構を用いている。ただし、モジュール部品は厚みが数mmの極めて薄い板形状のものが多い。そのため、この機構を利用すると、コンベヤと回転羽根とのクリアランスを相当小さくしなければならない。その場合、コンベヤと羽根の干渉を生じることから、モジュール部品への適用は難しい。
一般的なピッキングロボットでは、センサ群で対象物の位置や形状、大きさを特定し、把持機構でピックアップするため、精密な搬送が可能な反面、処理速度が遅い。
【0013】
特許文献5に記載の制御装置は、モジュール部品群を個別に取り出すことに応用することができると考えられる。ただし、個々の部品を一つずつ取り出すため、処理速度は遅い。複数台で同時処理することで、ある程度高速化できるものの、非常にコスト高となる。
以上のように、従来の分散技術だけでなく、ピッキングロボット装置でも、モジュール部品等の不定形状の被供給物W群の積み重なりを解消しつつ、分散して、高速に搬送コンベヤ上に配置させることには課題がある。
【0014】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、積み重なった状態である被供給物を、積み重なっていない状態で供給対象に供給することができる供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る供給装置は、不定形物体である被供給物を供給対象に供給する供給装置であって、前記被供給物が投入されるトレイと、前記トレイを振動させる振動部と、を備え、前記トレイは、水平面に沿うように配置され、前記水平面の第1方向に沿う棒状突起を備える底部と、前記水平面に直交する垂直面に沿うように配置される段差部と、を前記第1方向に直交し、前記水平面に沿う第2方向に交互に複数備える階段部と、前記階段部における前記第1方向の両端部に配置され、前記底部と前記段差部との両方に直交する一対の側板と、前記底部の鉛直上方に、前記第1方向に沿って配置される分散柱と、を備え、前記被供給物は、前記階段部において最も上に位置する前記底部に投入され、前記階段部において最も下に位置する前記底部から前記供給対象に供給される。
【0016】
この発明によれば、階段部の底部は第1方向に沿う棒状突起を備え、底部の鉛直上方には第1方向に沿って分散柱が配置される。また、被供給物は、階段部において最も上に位置する底部に投入され、階段部において最も下に位置する底部から供給対象に供給される。よって、トレイに供給された被供給物は、第2方向において階段部の段差部を落下しながら進む。このとき、被供給物は、底部の棒状突起を乗り越えたり、底部と分散柱との間を通り抜けたりしながら第2方向に進む。これにより、トレイの中で積み重なっている被供給物を分散させることができる。従って、被供給物を積み重なっていない状態で供給対象に供給することができる。
【0017】
また、前記鉛直方向における前記底部と前記分散柱との間の大きさは、第2正方向に位置する底部ほど小さくてもよい。
【0018】
この発明によれば、鉛直方向における底部と分散柱との間の大きさは、第2正方向に位置する底部ほど小さい。トレイの内部に投入された直後の被供給物が通過する空間を比較的大きくすることで、第2正方向への搬送を効率的に行うことができる。また、底部と分散柱と間の大きさを第2正方向に進むにつれて段階的に小さくすることで、より確実に被供給物を分散することができる。このように被供給物の分散を段階的に行うことで、より効率的に被供給物を分散して供給することができる。
【0019】
また、前記振動部は、前記トレイを前記水平面に直交する鉛直方向から前記第2正方向に向けて傾いた振動方向に振動させてもよい。
【0020】
この発明によれば、振動部は、トレイを鉛直方向から第2正方向に向けて傾いた振動方向に振動させる。振動部によってトレイを振動させることで、トレイの内部の被供給物の移動を促進することができる。また、振動方向が鉛直方向から第2正方向に向けて傾いていることで、トレイを鉛直方向に振動させるよりも効率的に被供給物を第2正方向に運搬することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、積み重なった状態である被供給物を、積み重なっていない状態で供給対象に供給することができる供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の供給装置の概要図である。
図2】本発明のトレイの斜視図である。
図3】トレイから供給された被供給物が供給対象の上で重なった状態を示す図である。
図4】トレイから供給された被供給物が供給対象の上で分散した状態を示す図である。
図5】被供給物が棒状突起により分散する第1例の第1状態である。
図6】被供給物が棒状突起により分散する第1例の第2状態である。
図7】被供給物が棒状突起により分散する第1例の第3状態である。
図8】棒状突起により分散した被供給物が分散柱の下を通る過程の第1状態である。
図9】棒状突起により分散した被供給物が分散柱の下を通る過程の第2状態である。
図10】棒状突起により分散した被供給物が分散柱の下を通る過程の第3状態である。
図11】被供給物が底部と分散柱の間で詰まっている状態である。
図12】被供給物が段差部を落下して分散する過程を示す図である。
図13】被供給物がトレイの上で積み重なっている状態である。
図14】被供給物が棒状突起により分散する第2例の第1状態である。
図15】被供給物が棒状突起により分散する第2例の第2状態である。
図16】被供給物が棒状突起により分散する第2例の第3状態である。
図17】被供給物が分散柱の下を通る過程の第1状態である。
図18】被供給物が分散柱の下を通る過程の第2状態である。
図19】被供給物が分散柱の下を通る過程の第3状態である。
図20】トレイの第2正方向の端の底部に、分散柱がない場合の例である。
図21】トレイの第2正方向の端の底部に、棒状突起がない場合の例である。
図22】トレイを複数並べた場合を示す例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る供給装置1を説明する。
本実施形態に係る供給装置1は、スマートフォン、デジタルカメラなどの廃小型電気製品(廃製品)に含まれる各種金属のリサイクル工程を自動化する際、廃製品の解体後に得られる各種モジュール部品を自動認識して選別する装置の供給機構として利用可能である。
すなわち、ホッパー等の貯留槽内から供給され、乱雑に積まれた、サイズや形状が様々な被供給物W群を、1台の装置により、後続の画像処理による認識装置で正確な識別をするため、鉛直方向の積み重なり及び水平方向の接触を除外しつつ、供給対象Bの上に分散させる。
【0024】
図1に示すように、供給装置1は、トレイ100と、振動部200と、を備える。供給装置1は、トレイ100を振動部200と連結し、振動部200によってトレイ100に特定の条件(振動振幅、振動周波数、振動角度)に係る振動を付与する。このことで、不図示の貯蔵設備から供給される被供給物Wを適宜分散しながら供給対象Bに供給する。本実施形態において、被供給物Wは、廃製品をはじめとする不定形状の被供給物Wである。供給対象Bは、例えば、ベルトコンベアである。また、供給装置1によって分散された被供給物Wの全面に洗浄液を塗布するような洗浄装置であってもよい。
【0025】
トレイ100には、被供給物Wが投入される。図2に示すように、トレイ100は、階段部110と、側板120と、背板140と、分散柱130と、を備える。側板120は、階段部110の第1方向の両端部に配置される。第1方向は、水平面に沿う。
以下、図1に示すように、階段部110に対して側板120が設けられる第1方向において、一方の側への方向を第1正方向X1、第1正方向X1に対向する方向を第1負方向X2と呼称する。
第1方向に直交する方向であって、水平面に沿う方向を第2方向と呼称する。第2方向において、階段部110を被供給物Wが移動する方向(搬送方向)を第2正方向Y1、第2正方向Y1に対向する方向を第2負方向Y2と呼称する。
第1方向及び第2方向に直交する方向、すなわち鉛直方向を第3方向と呼称する。第3方向において、鉛直上方を第3正方向Z1、鉛直下方を第3負方向Z2と呼称する。
【0026】
階段部110は、底部111と、段差部112と、を第2方向に交互に複数備える。
底部111は、水平面に沿うように配置される。本実施形態において、底部111の第1方向の寸法は、300mmである。底部111の第2方向の寸法は、120mmである。底部111は平面状の部位であるが、図2に示すように、水平面の第1方向に沿う棒状突起111pを備える。本実施形態において、棒状突起111pは、底部111において半円柱状に形成されている。ここで言う半円柱状とは、円柱を、円柱の軸線を含む平面で切断した形状のことを意味する。本実施形態において、棒状突起111pは、少なくとも10mm以下の半径を有し、5mmであることが好ましい。棒状突起111pは底部111に一体に形成されていてもよいし、別部材を後から接着等によって取り付けてもよい。
【0027】
棒状突起111pは、階段部110の各段における底部111にそれぞれ1箇所ずつ備えられている。なお、第2正方向Y1の端に位置する底部111、すなわち階段部110において最も下に位置する底部111は、図2に示すように、4か所の棒状突起111pを備える。
棒状突起111pは、底部111に積み重なった被供給物Wを、図3及び図4に示すように、トレイ100の内部において適宜分散させる役割を有する。底部111における棒状突起111pの具体的な位置や分散の態様については後述する。
【0028】
段差部112は、水平面に直交する垂直面に沿うように配置される。段差部112は、底部111における第2方向の端部に配置される。本実施形態において、段差部112の第3方向の寸法は、40mmである。
図2に示すように、階段部110は、底部111と段差部112とが第2方向において交互に複数備えられて構成される。このことで、階段状の形状を備える。本実施形態において、段差部112は4か所に設けられる。つまり、トレイ100の備える階段状の段数は4である。
前記階段状は、第2正方向Y1に向かって下るように構成される。つまり、底部111は、第2負方向Y2の端に位置する底部111が最も高い位置に設けられ、第2正方向Y1の端に位置する底部111が最も低い位置に設けられる。
【0029】
側板120は、階段部110における第1方向の両端部に一対に配置される。側板120は、第3負方向Z2から第3正方向Z1に向かって立ち上がっている。側板120は、底部111と段差部112との両方に直交するように配置される。また、側板120は、階段部110の備える全ての底部111及び段差部112と接する。側板120の上端は、第2負方向Y2の端に位置する底部111よりも高い位置に設けられる。これにより、トレイ100に投入された被供給物Wが第1方向からトレイ100の外にあふれ出ることを防ぐ。
【0030】
分散柱130は、底部111の上方に配置されている。図1に示すように、分散柱130は1つの底板に対して1箇所設けられている。なお、第2正方向Y1の端に位置する底部111、すなわち階段部110において最も下に位置する底部111においては、3か所の分散柱130を備える。
【0031】
図1に示すように、分散柱130は、底部111の鉛直上方に、第1方向に沿って配置される。本実施形態において、分散柱130は円柱状である。前記円柱状の外径は、被供給物Wの厚さよりも大きいことが好ましい。分散柱の表面は、平坦であってもよい。あるいは、被供給物との摩擦を増やすために、前記円柱状の表面に溝が設けられていてもよい。また、前記円柱状の表面がブラシ状であってもよい。また、前記円柱状の表面に突出する棒状の部材を複数備えていてもよい。
【0032】
分散柱130は、底部111に設けられた棒状突起111pに対して、第2正方向Y1に25mm離れた位置に設けられる。また、第3方向における底部111と分散柱130との間、すなわち被供給物Wが通過する領域の寸法は、7mm~20mmである。なお、第3方向における底部111と分散柱130との間の寸法は、第2方向に位置する底部111ほど小さい。また、本実施形態において、分散柱130は、鉛直上下方向に適宜移動し、任意の位置に固定して使用できる。
【0033】
階段部110において最も下に位置する底部111においては、4つの棒状突起111pと3つの分散柱130とが、それぞれ互い違いになるように配置されている。なお、互い違いに配置された棒状突起111pの半円柱状の中心軸と分散柱130の中心軸との距離は、第2方向において25mmである。
更に、分散柱130は、ばね等を介し、第2方向、第3方向、もしくは、それらの中間(斜め)方向に自由移動できる機構、または、分散柱130の長手方向の軸まわりに自由回転できる機構を備えていても良い。
【0034】
分散柱130が設けられることにより、被供給物Wが階段部110を下るように第2正方向Y1に向かって移動するとき、被供給物Wは、底部111と分散柱130との間を通り抜ける。これにより、トレイ100の内部に積み重なった被供給物Wが適宜分散される。被供給物Wの分散の具体的な態様については後述する。
【0035】
背板140は、底板の第2負方向Y2の端から第3正方向Z1に立ち上がっている。背板140は、第1方向に一対に配置された側板120の第2負方向Y2の端部同士の間を封止している。これにより、トレイ100に投入された被供給物Wが第2負方向Y2からトレイ100の外にあふれ出ることを防ぐ。
【0036】
上述のように、トレイ100の第1方向の両端及び第2負方向Y2の端には、それぞれ側板120及び背板140が配置されている。これに対し、図2に示すように、トレイ100の第2正方向Y1の端は開口している。また、図1に示すように、被供給物Wは、第2負方向Y2の端に位置する底部111に投入され、第2正方向Y1に向かって階段部110を下るように移動する。よって、トレイ100の内部を第2正方向Y1の端まで移動した被供給物Wは、前記開口から排出される。以下、トレイ100における被供給物Wが投入される第2負方向Y2の端について、投入口100Iと呼称することがある。また、トレイ100における第2正方向Y1の端の開口を、排出口100Oと呼称することがある。
【0037】
トレイ100から排出された被供給物Wは、図3および図4に示すように、前記開口の付近に配置された供給対象Bに供給される。つまり、被供給物Wは、トレイ100における投入口100I、すなわち階段部110において最も上に位置する底部111に投入される。その後、被供給物Wは、トレイ100における排出口100O、すなわち階段部110において最も下に位置する底部111から供給対象Bに供給される。
【0038】
振動部200は、トレイ100を振動させる。具体的には、振動部200は、トレイ100を水平面に直交する鉛直方向から第2方向に向けて傾いた振動方向に振動させる。以下、図1に示すように、第2方向と振動方向との間の角度を振動角θと呼称する。振動方向については、振動角θによって記載する。本実施形態において、振動角θは、従来の供給装置1で広く用いられる25度とする。
【0039】
振動部200は、公知の構成である。振動部200は、例えば、不図示のモータ及びギアボックスを備える。モータは、ギアボックスを駆動する、ギアボックスは、底板が水平面に沿うようにトレイ100を支持する。上記構成により、振動部200はトレイ100を振動させる。
【0040】
次に、上述のように構成された供給装置1による被供給物Wの分散の態様について説明する。
図1に示すように、被供給物Wは、投入口100Iからトレイ100に投入される。トレイ100に供給された被供給物Wは、振動部200によるトレイ100の振動によって階段部110を第2正方向Y1に移動する。具体的には、振動に伴う駆動力により、被供給物Wが振動方向に投げ出される。このような周期的な振動を継続させることで、被供給物Wは排出口100Oに向かって移動していく。
【0041】
このとき、トレイ100による被供給物Wの分散が十分に行われないと、図3のように、供給対象Bの上で被供給物Wが重なり合った状態となる。トレイ100による被供給物Wの分散が充分に行われると、図4に示すように、被供給物Wが重なることなく供給対象Bの上に排出される。
図1に示す振動角θは、上述のように25°とする。また、振動振幅は1.0~10.0mm、振動周波数は10~80Hz以下を、供給対象Bであるベルトコンベア速度は0.5m/s以下を想定する。
【0042】
本実施形態において、被供給物Wは、上述のようにスマートフォン、デジタルカメラなどの廃小型電気製品(廃製品)である。これらの廃製品には薄い板状の形状をしたものが含まれる。このような被供給物Wは、上述の工程によって分散しつつも、上下に重なったままの状態で搬送される。
【0043】
複数の重なり合った被供給物Wのうち、下に位置する被供給物Wは階段部110の底部111に位置する棒状突起111pに衝突する。これにより、上側に重なった被供給物Wを分離する。棒状突起111pによって被供給物Wの重なりを分離する際の運動の様子を、図5図6図7の順に時刻歴で示している。2つの被供給物Wのうち、下に位置する被供給物Wは、棒状突起111pに衝突し、その反力で搬送が止められる。これに対して、上に位置する被供給物Wは第2正方向Y1への移動を継続する。その結果、上に重なっている被供給物Wとの重なりが分離できる。
【0044】
3つの被供給物Wが重なり合っている場合、前記の要領で最も下の被供給物Wを分離した後、残る2つの被供給物Wが重なったまま第2正方向Y1に搬送される。この重なりを分離するのが、分散柱130の役割である。
この分離メカニズムを、図8図9図10を用いて説明する。図8図9図10は、3つの被供給物Wの振動搬送時の時刻歴の挙動を示したものである。棒状突起111pにより、最も下に位置する被供給物Wが、上に重なる2つの被供給物Wと分離する。残る2つの被供給物Wは、トレイ100の振動により斜め上に投げ出される。投げ出された2つの被供給物Wは、段差部112を介して1つ下の底部111に落下する前に、分散柱130に接触(衝突)する。これにより、分散柱130が被供給物Wを打ち落とす様な効果が生じ、重なりが分離される。
【0045】
また、分散柱130には、その鉛直位置を調整することにより、階段部110の各部位における被供給物Wの搬送供給量を調整する効果もある。底部111と分散柱130との間の寸法を調整できることで、被供給物Wが押し寄せて、複数の被供給物W同士が引っ掛かり、図11のように閉塞する現象を防止することができる。
【0046】
被供給物Wが4つ重なっていた場合、棒状突起111pにより、まず、最も下の被供給物Wとそれ以外の3つが分離される。その後、上に位置する3つの被供給物Wが分散柱130に衝突する。この際、分散柱130は、単に上述のように被供給物Wを打ち落とす効果を与えるだけではない。
【0047】
分散柱130の有する円柱状の外径は、上述のように被供給物Wの厚みより大きくしている。このため、複数の被供給物Wが分散柱130に衝突した際、それぞれの被供給物Wが接する分散柱130の表面の角度が異なる。これにより、被供給物Wの位置に応じて、被供給物Wごとに衝突後の速度差を生じさせ、被供給物Wの重なりをずらすことができる。
【0048】
4つ以上に被供給物Wが重なっていても、上述の速度差を生じさせる効果は発揮される。こうして、少しずつ被供給物Wが重なる位置をずらしつつ、階段部110の備える複数の棒状突起111p及び分散柱130による上述の各効果を同時に生じさせることにより、階段部110を被供給物Wが移動する過程において、トレイ100の内部で被供給物Wが閉塞することなく分離することを可能とする。
すなわち、トレイ100に分散柱130と棒状突起111pの両方を設置することにより、複数の被供給物Wが折り重なって搬送される際の重なりを分散する効果が発揮される。
【0049】
階段部110を第2正方向Y1に移動してきた被供給物Wは、第2正方向Y1の端に位置する段差部112から落下する際に再び重なることがある。また、複数の被供給物Wが重なったまま分散されずに階段部110を搬送されてくる場合もある。
これらの重なりを解消し、供給対象Bに分散して配置するために、階段部110において最も下に位置する底部111、すなわち第2正方向Y1の端に位置する底部111には、複数の分散柱130及び棒状突起111pを、第2方向における位置をずらして、互い違いに配置している。
【0050】
図12は、分散柱130、及び棒状突起111pを配置した際の、複数の被供給物Wの搬送挙動の概念図である。なお、本実施形態の場合、第2正方向Y1に向かって、排出口100Oに近いほど、各分散柱130と底部111との隙間が狭くなっている。
階段部110を第2正方向Y1に移動してきた段階で、被供給物Wの供給量は多くもなく、少なくもない。被供給物Wの数量は適度に調整され、また、一定の程度分散して供給されてくる。このため、第2正方向Y1の端の底部111まで移動した後は、主に、被供給物W間の重なりを分離できれば、目的を達成できる。
【0051】
図12の構成により、上述した棒状突起111p及び分散柱130によって被供給物Wを分散する効果が発揮され、重なりを分離することができる。
また、分散柱130と底部111との隙間は、排出口100Oに近づくにつれて狭めることにより、振動による投げ出しで被供給物Wが再び重なることを予防する。
こうして、図1のトレイ100を用いた供給装置1により、不定形状の被供給物Wが重なることなく、分散して供給対象Bに供給することができる。
【0052】
次に、上記構成による分散の効果について、下記のように検証する。
分散状態を評価するためには、部品群の3次元位置ベクトル、部品同士の接触点数など、通常の実験や計測装置では測定できない物理量を評価することが望まれる。
しかし、実験では、被供給物W群の重なりや接触状態、コンベヤ上の位置分布など分散状態の評価に不可欠な情報を正確に得ることは難しい。
本実施形態では、被供給物Wの3D形状およびサイズを反映した粒子群の動力学的運動挙動のシミュレーション(個別要素法:DEM)によって、個々の部品群の接触点数や位置の定量的な評価を行った。
【0053】
表1には、実施例に対する比較例として、階段部110、分散柱130、棒状突起111p、第2正方向Y1の端の底部111の分散柱130、第2正方向Y1の端の底部111の棒状突起111pの5つの形状構成要素に関して、それら形状構成要素の有り(〇)/なし(×)を変更した、5つの比較例である。
【0054】
【表1】
【0055】
(比較例1)
表1の通り、比較例1は、階段部110のみを備えたトレイ100を備えた場合である。ここで、階段部110のみとは、トレイ100において分散柱130及び底部111の棒状突起111pを備えないという意味である。
なお、従来の供給装置1は、粉体等、固体集合物を定量、定常搬送する事を目的とし、ストレート型(樋型)のトレイ100を使用するのが一般的である。そのため、定常搬送できれば、被供給物Wの分散性や重なり合いは許容されている。
ストレート型のトレイ100単体では不定形状の被供給物Wの分散供給は実現不可能である。従来技術では、分散させるために、図22に示すように複数の供給装置1を多段配置することがある。この場合はスペース、および、コストが大きくなる点がデメリットである。
【0056】
比較例1は、1つの装置内で、供給装置1の多段化効果を凝縮したものである。
図13には、比較例1のトレイ100を用いた供給装置1における不定形状の被供給物W群の運動の様子を示す。被供給物Wについて、モジュール部品のように薄い板状の被供給物Wを多数含む場合、図13のような状態となる。すなわち、単に階段から落下させるだけでは、分散はするものの、基本的には重なりが保持されたまま搬送されてしまう。このため、不定形状の被供給物Wの分散供給はできない。
【0057】
(比較例2)
表1の通り、比較例2は、図2の形状から、階段部110における第2正方向Y1の端以外の分散柱130を除いた場合である。
比較例2において、階段部110のある底部111における、3つ被供給物Wが重なって搬送される際の時刻歴の様子を、図14図15図16に示す。棒状突起111pによって、最も下に位置する被供給物Wと、それ以外の2つの被供給物Wは分離できる。
【0058】
しかし、上記2つの被供給物Wは、重なったまま搬送される。被供給物Wが連続的に供給される場合、不定形状の被供給物Wが大量に搬送されることから、図14図15図16のように、3つではなく、それ以上に積み重なった被供給物W群が同時搬送される事がある。
【0059】
この解決のために、底部111の棒状突起111pを増やすことも想定される。しかし、棒状突起111pを複数配置する場合、一定の間隔が必要である。なぜなら、第2正方向Y1への移動中に底部111に位置する被供給物Wが棒状突起111pの側面に衝突することで、被供給物Wが分散する効果が生じるというメカニズムであるからである。
【0060】
つまり、底部111に複数の棒状突起111pが配置された場合、被供給物Wは複数の棒状突起111p同士の上にまたがるように位置する。これにより、被供給物Wが底部111の上に位置せず、常に棒状突起111pに衝突する。この結果、トレイ100の内部において、被供給物Wはランダムに飛び跳ねるようにして搬送されていく。そのため、被供給物Wの重なりが分離されることもあるが、再度重なり合うことも多い。
トレイ100への被供給物Wの供給量が多くなる場合、複数の底部111における分散の効果が期待できるとしても、多数の被供給物Wは重なったまま搬送されてしまう。このため、不定形状の被供給物Wの分散供給はできない。
【0061】
(比較例3)
表1の通り、比較例3は、図2の形状から、階段部110における第2正方向Y1の端以外の底部111の棒状突起111pを除いた場合である。
比較例3において、ある底部111における、3つ被供給物Wが重なって搬送される際の時刻歴の様子を、図17図18図19に示す。
搬送されてくる被供給物Wは、最も上に位置する被供給物Wは、分散柱130による効果で、下2つの被供給物Wから分離できる場合がある。
しかし、下2つの被供給物Wは、そのまま重なって移動する。また、場合によっては、最も上の被供給物Wが分散柱130と上から2番目の被供給物Wとの間に引っ掛かることで、下2つの被供給物Wも付随して詰まってしまう。よって被供給物Wの搬送工程において閉塞を生じ、供給停止を生じることもあり、不定形状の被供給物Wの分散供給はできない。
【0062】
(比較例4)
表1の通り、比較例4は、図2の形状から、第2正方向Y1の端の分散柱130を除いた場合である。
図20は、比較例4における、不定形状の被供給物Wの搬送の様子である。
前記の通り、棒状突起111pによる効果で、重なりの分離が可能である。ただし、振動条件によっては、2つの棒状突起111pの間で、各々の棒状突起111pに反発した周期的な前後運動を繰り返し、被供給物Wが正常に第2正方向Y1に移動しないことがある。
上記の現象が頻繁に生じる場合、トレイ100の振動振幅を大きくするなど振動条件の調整により、被供給物Wは棒状突起111pを乗り越えることができる。しかし、棒状突起111pを乗り越えた後に再び被供給物W同士が重なり合うことがあるため、不定形状の被供給物Wの分散供給はできない。
【0063】
(比較例5)
表1の通り、比較例5は、図2の形状から、階段部110における第2正方向Y1の端の底部111の棒状突起111pを除いた場合である。図21は、比較例5における、不定形状の被供給物Wの移動の様子である。被供給物Wの重なりが少ない場合には、比較例5の構成で、分散供給が可能である。しかし、底部111の棒状突起111pによる重なりの分離効果はないため、重なったまま移動した被供給物Wはそのままコンベヤに搬送される。
重なり合う被供給物Wの大きさによっては、底部111と分散柱130との隙間に挟まり込み、閉塞を生じ、後続品の供給を停止させることがある。このため、不定形状の被供給物Wの分散供給はできない。
【0064】
以上から、図2に示すトレイ100を搭載した供給装置1を、振幅1~10mm以下、振動周波数10~80Hz以下で調整して運転することで、廃製品解体後に生じるモジュール部品のような不定形状の被供給物Wを、1台の装置で、後続の画像処理を利用した被供給物認識装置の効率的な動作に最適な分散状態になるように、重なり合うことなく、供給対象Bに分散して供給する分散供給装置を実現できる。
【0065】
本発明は、モジュール部品のような薄い板状の不定形状の被供給物W群だけでなく、人工知能(AI)や機械学習アルゴリズムを用いた画像識別装置の前処理において広く利用することが可能である。例えば、果菜など農作物、魚介類など水産物、災害廃棄物や建設廃材、自動車シュレッダーダストなど固体状の廃棄物、砕石や鉱石など固体物などの分散供給に対しても効果を発揮することが期待できる。
また、被供給物Wは不定形物体に限らず、例えば、ワーク等をはじめとする一定の形状の複数の物体を搬送するために用いてもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る供給装置1によれば、階段部110の底部111は第1方向に沿う棒状突起111pを備え、底部111の鉛直上方には第1方向に沿って分散柱130が配置される。また、被供給物Wは、階段部110において最も上に位置する底部111に投入され、階段部110において最も下に位置する底部111から供給対象Bに供給される。よって、トレイ100に供給された被供給物Wは、第2方向において階段部110の段差部112を落下しながら進む。このとき、被供給物Wは、底部111の棒状突起111pを乗り越えたり、底部111と分散柱130との間を通り抜けたりしながら第2方向に進む。これにより、トレイ100の中で積み重なっている被供給物Wを分散させることができる。従って、被供給物Wを積み重なっていない状態で供給対象Bに供給することができる。
【0067】
また、鉛直方向における底部111と分散柱130との間の大きさは、第2正方向Y1に位置する底部111ほど小さい。トレイ100の内部に投入された直後の被供給物Wが通過する空間を比較的大きくすることで、第2正方向Y1への搬送を効率的に行うことができる。また、底部111と分散柱130と間の大きさを第2正方向Y1に進むにつれて段階的に小さくすることで、より確実に被供給物Wを分散することができる。このように被供給物Wの分散を段階的に行うことで、より効率的に被供給物Wを分散して供給することができる。
【0068】
また、振動部200は、トレイ100を鉛直方向から第2正方向Y1に向けて傾いた振動方向に振動させる。振動部200によってトレイ100を振動させることで、トレイ100の内部の被供給物Wの移動を促進することができる。また、振動方向が鉛直方向から第2正方向Y1に向けて傾いていることで、トレイ100を鉛直方向に振動させるよりも効率的に被供給物Wを第2正方向Y1に運搬することができる。
【0069】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態において記載したトレイ100の各構成の寸法についてはあくまで一例である。すなわち、トレイ100の各構成の寸法については、被供給物Wの大きさや、供給装置1を使用する現場における被供給物Wの供給量等に合わせて適宜決定してよい。
【0070】
階段部110に複数備えられた底部111及び段差部112の各寸法は、それぞれ異なっていてもよい。
底部111は水平面に沿って配置されると説明したが、これに限らない。例えば、底部111の第1方向において両端部の高さが異なるように傾いていてもよい。また、第2方向に複数設けられ互いに隣り合う底部111の傾きの方向が互い違いに設けられていてもよい。
トレイ100の階段部110が備える階段状の段数も、4段に限らない。少なくとも1つの段差部112を備えていれば、2段であってもよいし、その他任意の段数であってもよい。
【0071】
トレイ100の形状につき底部111を水平面、段差部112を垂直面に沿って位置すると説明したが、上述の形状を備えるトレイ100は振動部200に対して傾けて配置してもよい。あるいは、振動角θに加えて、トレイ100の角度を適宜調整可能としてもよい。
【0072】
棒状突起111pは第1方向に沿って設けられると説明したが、底部111に沿っていれば第1方向に対して角度を有していてもよい。また、棒状突起111pの第1方向の両端は底部111の第1方向の両端と重なっていなくてもよい。つまり、棒状突起111pは底部111において第1方向の全体に設けられていなくてもよい。
棒状突起に併せて、あるいは棒状突起に代えて、底部に段差部と異なる微小な段差を設けていてもよい。
振動部200をモータ及びギアボックスを備える構成として説明したが、これに代えて、エアー駆動式としても良い。
【0073】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 供給装置
100 トレイ
110 階段部
111 底部
111p 棒状突起
112 段差部
120 側板
130 分散柱
200 振動部
B 供給対象
W 被供給物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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