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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023035958
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】反応器システム用シールシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20230306BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022134925
(22)【出願日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】63/238,324
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・フィッツジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ロハン・レーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレード・ウィンクラー
(72)【発明者】
【氏名】アンキト・キムティー
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ロバート・ダン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030GA02
4K030KA08
4K030KA12
4K030KA45
5F045AA06
5F045AA15
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB14
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EE17
5F045EF05
5F045EF15
5F045EF17
5F045EK07
(57)【要約】
【課題】反応器システムを提供する。
【解決手段】反応チャンバーは、反応チャンバー内に囲まれた、反応チャンバーボリューム、反応チャンバーボリューム内に配置された基材を支持するように構成された、サセプタ、反応チャンバーボリューム内の、サセプタの上方の反応空間およびサセプタの下方の下部チャンバー空間、ならびに/または、反応空間および下部チャンバー空間を少なくとも部分的に流体的に分離させるシールシステムを備えうる。シールシステムは、サセプタを囲みかつサセプタに結合されたスペーサープレート、ならびに/または、前記スペーサープレートおよび前記サセプタに結合された、圧縮位置または伸張位置に向かうばね付勢を有するばねを備えてもよく、そのばね付勢によって、スペーサープレートとサセプタとの間の少なくとも部分的なシールの形成を促進して、反応チャンバー内でのサセプタの上および下への移動に伴い、反応空間と下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離がもたらされるようになる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバーであって、
前記反応チャンバー内に囲まれた反応チャンバーボリュームと、
前記反応チャンバーボリューム内に配置された基材を支持するように構成されたサセプタであって、前記サセプタが、前記反応チャンバー内で軸に沿って上および下に平行移動するように構成された、サセプタと、
前記反応チャンバーボリューム内の前記サセプタの上方の反応空間と、
前記反応チャンバーボリューム内の前記サセプタの下方の下部チャンバー空間と、
前記反応空間および前記下部チャンバー空間を少なくとも部分的に流体的に分離させるシールシステムであって、前記シールシステムが、
前記サセプタを囲むスペーサープレートであって、前記サセプタが、前記スペーサープレートに結合された、スペーサープレートと、
前記スペーサープレートおよび前記サセプタに結合された、圧縮位置または伸張位置に向かうばね付勢を有するばねであって、前記ばね付勢が、前記スペーサープレートと前記サセプタとの間の少なくとも部分的なシールの形成を促進して、前記反応チャンバー内での前記サセプタの上および下への移動に伴い、前記反応空間と前記下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離をもたらすようにする、ばねと、を備える、シールシステムと、を備える、反応チャンバー。
【請求項2】
前記シールシステムが、前記サセプタの周りに配置され、かつ前記サセプタと前記スペーサープレートとの間に配置された、流れ制御リングをさらに備え、前記ばねが前記流れ制御リングを介して前記サセプタに結合されるように、前記ばねが前記流れ制御リングと前記スペーサープレートとの間に配置されており、前記スペーサープレートと前記サセプタとの間の前記少なくとも部分的なシールが、前記流れ制御リングと前記スペーサープレートとの間の前記ばね付勢によって促進される、請求項1に記載の反応チャンバー。
【請求項3】
前記ばねが、前記流れ制御リングの上向き面と前記スペーサープレートの下向き面との間に配置された、請求項2に記載の反応チャンバー。
【請求項4】
前記ばねからの下向きの力が前記流れ制御リングに加えられるように、前記ばねが前記伸張位置に向かって付勢され、これにより、前記流れ制御リングと前記サセプタとの間に少なくとも部分的なシールが形成されるように、前記サセプタに対して下向きの力が生成され、前記反応空間と前記下部チャンバー空間との間の前記少なくとも部分的な流体分離を生成する、請求項3に記載の反応チャンバー。
【請求項5】
前記ばねが、前記ばねと前記スペーサープレートとの間に、およびばねと前記流れ制御リングとの間に、少なくとも部分的なシールを形成する、請求項2に記載の反応チャンバー。
【請求項6】
前記ばねが、前記スペーサープレートまたは前記流れ制御リングのうちの少なくとも一つに固定的に結合された、請求項5に記載の反応チャンバー。
【請求項7】
前記ばねが、前記サセプタを囲み、前記ばねが、少なくとも一つのカールを有する断面形状を含む、請求項2に記載の反応チャンバー。
【請求項8】
前記ばねの前記断面形状が、三つのカールを有するE字形状を含む、請求項7に記載の反応チャンバー。
【請求項9】
前記ばねが、前記サセプタの周りの第一の点に配置され、前記反応チャンバーが、前記ばねによってもたらされる前記サセプタへの力が複数の点で生じるように、前記サセプタの周りの第二の点に配置された第二のばねをさらに備える、請求項2に記載の反応チャンバー。
【請求項10】
前記反応空間内の前記サセプタの上方に配置されたガス分配デバイスをさらに備え、前記ばねが、前記反応空間と前記下部チャンバー空間との間の前記少なくとも部分的な流体分離をなおも維持しながら、前記サセプタと前記ガス分配デバイスとの間の距離の調整が最大9ミリメートルだけ調整することを可能にする、請求項2に記載の反応チャンバー。
【請求項11】
前記ばねが、金属または金属合金のうちの少なくとも一つを含む、請求項2に記載の反応チャンバー。
【請求項12】
前記ばねが、ステンレス鋼またはニッケル合金のうちの少なくとも一つを含む、請求項11に記載の反応チャンバー。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の反応チャンバーを備える、反応器システム。
【請求項14】
前記下部チャンバー空間と流体連通している真空源をさらに備える、請求項13に記載の反応器システム。
【請求項15】
反応チャンバー内のサセプタを、第一の位置から第二の位置に上向きに平行移動させる工程と、
前記サセプタの前記移動工程に応答して、前記サセプタとスペーサープレートとの間に結合されたばねに力をかける工程であって、前記ばねが、圧縮位置または伸張位置に向かうばね付勢を有する、工程と、
前記反応チャンバー内の、前記サセプタの上方の反応空間と前記サセプタの下方の下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離が存在するように、前記ばねに前記力をかける工程に応答して、前記サセプタの前記移動工程中に前記スペーサープレートと前記サセプタとの間に少なくとも部分的なシールを維持する工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記ばね付勢によって前記サセプタへの下向きの力をもたらすことによって、前記反応空間と前記下部チャンバー空間との間の前記少なくとも部分的な流体分離を促進する工程、をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ばねに加えられる前記力が、圧縮力を含み、前記ばね付勢が、前記伸張位置に向かう、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応チャンバーが、前記サセプタと前記スペーサープレートとの間に配置された流れ制御リングをさらに備え、前記ばねが、前記ばねが前記流れ制御リングを介して前記サセプタに結合されるように、前記流れ制御リングと前記スペーサープレートとの間に配置された、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記サセプタを移動させる工程に応答して、前記流れ制御リングの上向き面を前記スペーサープレートの下向き面に近づけて移動させる工程であって、前記ばねに加えられる前記力が、前記流れ制御リングの前記上向き面と前記スペーサープレートの前記下向き面との間の圧縮力である、工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サセプタを移動させる工程中に、前記ばねと前記スペーサープレートとの間の、および前記ばねと前記流れ制御リングとの間の少なくとも部分的なシールを維持する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、半導体処理または反応器システムに関し、特に反応器システムに、およびその中に含まれる構成要素に関するものであり、当該構成要素は、反応チャンバー内の上部ボリュームと下部ボリュームとの間のシールを可能にする。
【背景技術】
【0002】
反応チャンバーは、電子デバイスの形成中の様々なプロセスに使用されうる。例えば、反応チャンバーは、様々な材料層を半導体基材、エッチング材料、および/またはクリーニング表面上に堆積するために使用されてもよい。基材は、反応チャンバー内のサセプタ上に配置されうる。基材およびサセプタの両方は、所望の基材温度設定点まで加熱されてもよい。例示的なプロセスでは、一つ以上の反応物質ガスが、加熱された基材の上を通過し、基材表面上に材料の薄膜の堆積を引き起こしてもよい。
【0003】
反応チャンバーは、例えばサセプタによって分離された二つの空間またはボリュームを備えてもよい。処理は、二つのチャンバーのうちの、反応空間またはチャンバー(例えば、下部チャンバーの垂直上方に配置された、上部チャンバー)内で実行されてもよい。サセプタによって分離された二つのチャンバーを備える反応器システムの動作中、汚染物質は、望ましくないことに、反応空間から他のチャンバーに(例えば、上部チャンバーから下部チャンバーに)移動する恐れがある。したがって、反応チャンバー内の二つのボリューム間にシールを提供するための(例えば、二つのチャンバーを少なくとも部分的に流体的に分離するための)システムおよび方法が望ましい場合がある。
【0004】
関連技術に関わる問題および解決策のいずれの説明も、単に本開示の背景を提供する目的で本開示に含まれていて、本発明がなされた時に、その説明のいずれかまたはすべてが知られていたことを認めるものと考えられるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、概念の選択を単純化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、以下の本開示の例示的な実施形態の詳細な説明において、さらに詳細に説明される。この概要は、特許請求の範囲に記載される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0006】
いくつかの実施形態では、反応器システムが提供される。本明細書に開示される反応器システムは、反応器システムの反応チャンバー内の二つのチャンバー間またはボリューム間の少なくとも部分的なシールを促進しうる。
【0007】
様々な実施形態において、反応器システムは、反応チャンバー、および/または反応チャンバー(もしくはその中の下部チャンバー空間)と流体連通している真空源を備えうる。反応チャンバーは、反応チャンバー内に囲まれた、反応チャンバーボリューム、反応チャンバーボリューム内に配置された基材を支持するように構成されたサセプタであって、当該サセプタが、反応チャンバー内で軸に沿って上および下に平行移動するように構成された、サセプタ、反応チャンバーボリューム内のサセプタの上方の、反応空間、反応チャンバーボリューム内のサセプタの下方の、下部チャンバー空間、ならびに/または、反応空間および下部チャンバー空間を少なくとも部分的に流体的に分離させるシールシステムを備えうる。様々な実施形態において、シールシステムは、サセプタを囲むスペーサープレートであって、サセプタが、当該スペーサープレートに結合された、スペーサープレート、ならびに/または、スペーサープレートおよびサセプタに結合されたばねであって、当該ばねが、圧縮位置もしくは伸張位置に向かうばね付勢を、スペーサープレートとサセプタとの間の少なくとも部分的なシールを作り出すことをばね付勢が促進するように有し、反応空間と下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離を、サセプタが反応チャンバー内で上および下に移動するときにもたらす、ばねを備えうる。
【0008】
様々な実施形態において、シールシステムは、サセプタの周りに配置されかつサセプタとスペーサープレートとの間に配置された、流れ制御リングをさらに備えうる。ばねは、ばねが流れ制御リングを介してサセプタに結合されるように、流れ制御リングとスペーサープレートとの間に配置されていてもよい。スペーサープレートとサセプタとの間の少なくとも部分的なシールは、流れ制御リングとスペーサープレートとの間のばね付勢によって促進されうる。様々な実施形態において、ばねは、流れ制御リングの上向き面とスペーサープレートの下向き面との間に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねからの下向きの力が流れ制御リングにかかるように、ばねは伸張位置に向かって付勢されてもよく、これにより、流れ制御リングとサセプタとの間に少なくとも部分的なシールが形成されるように、サセプタへの下向きの力が生成され、反応空間と下部チャンバー空間との間に少なくとも部分的な流体分離を生成する。様々な実施形態において、ばねは、ばねとスペーサープレートとの間に、およびばねと流れ制御リングとの間に、少なくとも部分的なシールを形成してもよい。様々な実施形態において、ばねは、スペーサープレートまたは流れ制御リングのうちの少なくとも一つに固定的に結合されていてもよい。
【0009】
様々な実施形態において、ばねは、サセプタを囲んでもよい。ばねは、少なくとも一つのカールを有する断面形状を含んでもよい。様々な実施形態において、ばねの断面形状は、三つのカールを有するE字形状を含んでもよい。様々な実施形態において、ばねは、サセプタの周りの第一の点に配置されてもよく、反応チャンバーは、ばねによってもたらされるサセプタへの力が複数の点に生じるように、サセプタの周りの第二の点に配置される第二のばねをさらに備える。
【0010】
様々な実施形態において、反応チャンバーは、反応空間内のサセプタの上方に配置されたガス分配デバイスをさらに備えてもよく、ばねは、反応空間と下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離をなおも維持しながら、サセプタとガス分配デバイスとの間の距離を最大9ミリメートルだけ調整できるようにする。
【0011】
様々な実施形態において、ばねは、金属または金属合金(例えば、ステンレス鋼および/もしくはニッケル合金)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0012】
様々な実施形態において、方法は、反応チャンバー内のサセプタを、第一の位置から第二の位置に上向きに平行移動させる工程、サセプタを移動させる工程に応答して、サセプタとスペーサープレートとの間に結合されたばねに力をかける工程であって、ばねが圧縮位置もしくは伸張位置に向かうばね付勢を有する工程、および/または、反応チャンバー内の、サセプタの上方の反応空間とサセプタの下方の下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離が存在するように、ばねに力をかける工程に応答してサセプタを移動させる工程中にスペーサープレートとサセプタとの間に少なくとも部分的なシールを維持する工程を含んでもよい。様々な実施形態において、方法は、ばね付勢によってサセプタへの下向きの力をかける工程をさらに含んでもよく、これが、反応空間と下部チャンバー空間との間の少なくとも部分的な流体分離を促進する。様々な実施形態において、ばねに加えられる力は、圧縮力を含んでもよく、ばね付勢は、伸張位置に向かうものでありうる。様々な実施形態において、反応チャンバーは、サセプタとスペーサープレートとの間に配置された流れ制御リングをさらに備えてもよく、ばねが流れ制御リングを介してサセプタに結合されるように、ばねは流れ制御リングとスペーサープレートとの間に配置される。
【0013】
様々な実施形態において、方法は、サセプタを移動させることに応答して、流れ制御リングの上向き面をスペーサープレートの下向き面に近づけて移動させる工程をさらに含んでもよく、ばねに加えられる力は、流れ制御リングの上向き面とスペーサープレートの下向き面との間の圧縮力である。様々な実施形態において、方法は、サセプタを移動させる工程中に、ばねとスペーサープレートとの間の、およびばねと流れ制御リングとの間の少なくとも部分的なシールを維持する工程をさらに含んでもよい。
【0014】
先行技術を超えて達成される本開示および利点を要約する目的のために、本開示のある特定の目的および利点を、本明細書で上記に記述してきた。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本開示の任意の特定の実施形態によって達成される場合があるとは限らないことが理解されるべきである。それ故に、例えば、本明細書で教示または示唆される場合があるような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示または示唆されるような1つの利点または利点の群を達成または最適化する様態で、本明細書で開示された実施形態が実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0015】
これらの実施形態のすべてが、本開示の範囲内であることが意図される。これらの実施形態および他の実施形態は、以下の添付の図面を参照するある特定の実施形態の以下の「発明を実施するための形態」から当業者に容易に明らかとなることになり、本開示は考察されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書は、本開示の実施形態と見なされるものを具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する特許請求の範囲で結論付ける一方で、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある特定の実施例の記述から、より容易に確かめられる場合がある。図面全体を通して同様の要素番号が付けられている要素は、同じであることが意図されている。
【0017】
図1図1は、様々な実施形態による、例示的な反応器システムの概略図である。
図2A図2Aは、様々な実施形態による、サセプタが下部位置に配置された例示的な反応チャンバーの概略図である。
図2B図2Bは、様々な実施形態による、サセプタが上昇位置に配置された例示的な反応チャンバーの概略図である。
図3図3は、様々な実施形態による、反応チャンバーの一部分の概略図である。
図4図4Aおよび図4Bは、様々な実施形態による、反応チャンバーの一部分の概略図である。
図5図5は、様々な実施形態による、反応チャンバー内にシールを提供するためのばねを示す図である。
図6図6は、様々な実施形態による、反応チャンバー内にシールを提供するための別のばねを示す図である。
図7図7は、様々な実施形態による、反応チャンバー内にシールを維持するための方法を示す図である。
【0018】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されていて、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本開示の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等なものを超えて本開示が拡張することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、本開示の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0020】
本明細書に提示される例示は、任意の特定の材料、装置、構造、またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態を記載するために使用される、単なる表現である。
【0021】
本明細書で使用される「基材」という用語は、形成するために使用されてもよい、またはデバイス、回路、もしくはフィルムがその上に形成されてもよい、任意の下地材料または材料を指す場合がある。
【0022】
本明細書で使用される「原子層堆積」(ALD)という用語は、堆積サイクル、好ましくは複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバー内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。典型的に、各サイクル中に前駆体は、堆積表面(例えば、基材表面または以前に堆積された下地表面(以前のALDサイクルからの材料など))に化学吸着され、追加的な前駆体と容易に反応しない(すなわち自己限定的な反応)単分子層または準単分子層を形成する。その後、必要な場合、化学吸着された前駆体を堆積表面上で所望の材料へと変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)がその後プロセスチャンバーの中へと導入されてもよい。典型的には、この反応物質は前駆体とさらに反応することができる。さらに、化学吸着された前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバーから除去し、かつ/または過剰な反応物質および/もしくは反応副産物をプロセスチャンバーから除去するために、各サイクル中にパージ工程も利用されてもよい。さらに、本明細書で使用される「原子層堆積」という用語はまた、「化学蒸着原子層堆積」、「原子層エピタキシー」(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス源MBE、または有機金属MBE、ならびに前駆体組成物、反応性ガス、およびパージ(例えば不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシーなどの、関連する用語によって示されるプロセスを含むことを意味する。
【0023】
本明細書で使用される「化学蒸着」(CVD)という用語は、基材を1つ以上の揮発性前駆体に曝露し、この前駆体が基材表面上で反応および/または分解して所望の堆積を生成する、任意のプロセスを指す場合がある。
【0024】
本明細書で使用される場合、「膜」および「薄膜」という用語は、本明細書に開示された方法によって堆積された、任意の連続的または非連続的な構造および材料を指す場合がある。例えば、「膜」および「薄膜」としては、2D材料、ナノロッド、ナノチューブ、もしくはナノ粒子、またはさらには部分的もしくは完全な分子層、または部分的もしくは完全な原子層、または原子および/もしくは分子のクラスタを挙げることができる。「膜」および「薄膜」は、ピンホールを有するが、それでも少なくとも部分的に連続的な材料または層を含む場合がある。
【0025】
本明細書で使用される「汚染物」という用語は、反応チャンバー内に配置された基材の純度に影響を与え得る、反応チャンバー内に配置された任意の望ましくない材料を指しうる。「汚染物質」という用語は、反応器システムもしくは反応チャンバーまたはその任意の部分内に配置された、望まれていない堆積物、金属および非金属粒子、不純物、ならびに廃棄物を指し得るが、これらに限定されない。
【0026】
ALD、CVD、および/または同類のものに使用される反応器システムは、基材表面への材料の堆積およびエッチングを含む、様々な用途に使用されうる。様々な実施形態において、図1を参照すると、反応器システム50は、反応チャンバー4と、処理中に基材30を保持するためのサセプタ6と、一つ以上の反応物質を基材30の表面に分配するための流体分配システム8(例えば、シャワーヘッド)と、ライン16~20および/またはバルブもしくはコントローラー22~26を介して反応チャンバー4に流体結合された、一つ以上の反応物質源10、12、ならびに/またはキャリアおよび/もしくはパージガス源14とを備えうる。システム50はまた、反応チャンバー4に流体結合された真空源28を備えうる。シール部材29は、反応チャンバー4内のボリュームの部分を分離(例えば、流体的に少なくとも部分的に分離)してもよい。
【0027】
図2Aおよび図2Bを参照すると、本開示の実施形態は、反応器100内の基材を処理するために利用され得る、反応器システムおよび方法を含みうる。様々な実施形態において、反応器100は、基材を処理するための反応チャンバー110を備えてもよい。様々な実施形態において、反応チャンバー110は、一つ以上の基材を処理するように構成され得る反応空間112(すなわち、上部チャンバー)、および/または下部チャンバー空間114(すなわち、下部チャンバー)を備えてもよい。下部チャンバー空間114は、反応チャンバーからの基材の装填および取り出しのために、ならびに/または下部チャンバー空間114と反応空間112との間に圧力差を提供するために構成されうる。
【0028】
様々な実施形態において、基材150およびサセプタ130は、互いに対して移動可能であってもよい。例えば、様々な実施形態において、リフトピン139は、基材150がサセプタ130から分離することを可能にし、および基材150がサセプタ130と接触して配置される(すなわち、サセプタ130によって支持される)ことを可能にするように、構成されうる。様々な実施形態において、サセプタ130は、例えばサセプタエレベーター104によって、サセプタ130が基材150に対して移動するように、上または下に移動することができる。様々な実施形態において、リフトピン139は、例えば、基材150が130サセプタに対して移動するように、リフトピンエレベーター/プラットフォーム202によって、上または下に移動することができる。様々な実施形態において、サセプタ130および/またはリフトピン139は、他方が移動している間、静止していてもよい。様々な実施形態において、サセプタ130および/またはリフトピン139は、他方に対して移動するように構成されてもよい。
【0029】
様々な実施形態において、サセプタ130は、装填位置103から処理位置106へ移動してもよく、したがって、基材150を反応空間112内に移動させてもよい。基材150は、その後、反応チャンバー内で処理されうる。
【0030】
様々な実施形態において、反応空間112および下部チャンバー空間114は、反応チャンバー110内に配置されたサセプタ130によって分離されうる。様々な実施形態において、反応空間112および下部チャンバー空間114は、実質的に流体的に分離していてもよく、または互いから隔離されてもよい。例えば、サセプタ130は、サセプタ130と、サセプタ130のサセプタ外側表面132に近接して配置された反応チャンバー110のチャンバー側壁111との間で、少なくとも部分的なシールを作り出すこと(すなわち、少なくとも流体の流れを制限すること)によって、反応空間112と下部チャンバー空間114とを流体的に分離しうる。すなわち、サセプタ130とチャンバー側壁111との間の空間108は、サセプタ130とチャンバー側壁111との間に流体移動がほとんどまたは全くないように、最小化または排除されうる。
【0031】
様々な実施形態において、サセプタ130とチャンバー側壁111との間の流体の流れを防止または低減するために、一つ以上のシール部材(例えば、シール部材129)は、サセプタ130(例えば、サセプタ外側表面132から)、および/または反応チャンバー110のチャンバー側壁111に、他方に結合してもよく、サセプタ130とチャンバー側壁111との間で少なくとも部分的なシールを形成する(すなわち、流体の流れを制限または防止する)。シール部材129は、ダイヤフラムであってもよい。下部チャンバー空間114からの反応空間112の少なくとも部分的なシールは、基材150の処理において利用される前駆体ガスおよび/または他の流体が、反応チャンバー110の下部チャンバー空間114に入り込む、および/または接触するのを防止または低減するために望ましい場合がある。例えば、反応空間内の基材を処理するために利用される前駆体ガスは、下部チャンバー空間114と接触して望ましくない堆積物/汚染物質/粒子を生成し、これが次いで反応空間112に再導入され、それによって反応空間内に配置された基材に汚染源を提供し得る、腐食性堆積前駆体を含む可能性がある。
【0032】
様々な実施形態において、反応空間と下部チャンバー空間との間にシールを作り出すために、反応チャンバーは、サセプタとチャンバー側壁との間に配置されたシールシステムを備えてもよい。例えば、反応チャンバー130内のシールシステムは、反応空間112と下部チャンバー空間114との間に少なくとも部分的なシールを作り出すための、サセプタ130とチャンバー側壁111との間に配置されたシール部材129を備えてもよい。
【0033】
様々な実施形態において、反応チャンバー内のシールシステムは、スペーサープレートを備えてもよく、そのスペーサープレートの少なくとも一部分は、チャンバー側壁から反応チャンバーボリューム内へ突出してもよい。様々な実施形態において、スペーサープレートは、反応チャンバー内のサセプタを囲んでもよい。スペーサープレートは、(例えば、反応チャンバーが処理位置(例えば、上昇位置)内に移動するかまたは配置されることに応答して)サセプタと結合してもよい。様々な実施形態において、スペーサープレートは、おそらく、(例えば、サセプタが上昇位置または処理位置にある時、)サセプタと接触し、および/またはサセプタに直接結合させられる。例えば、スペーサープレートの下向き面(例えば、図3の面374)は、サセプタの上向き面(例えば、図3の上向き面336)と結合および/または接触してもよい。様々な実施形態において、スペーサープレートと係合し得るサセプタの上向き面は、基材支持面であってもよい。
【0034】
様々な実施形態において、反応チャンバー内のシールシステムは、スペーサープレートとサセプタとの間に配置されたばねを備えてもよい。様々な実施形態において、ばねは、スペーサープレートの下向き面とサセプタの上向き面との間に配置されてもよい。例えば、ばねは、サセプタの上向き面と係合する、スペーサープレートの下向き面の間に少なくとも部分的に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねは、スペーサープレートの下向き面と、ばねの少なくとも一部が中に配置される、サセプタにある陥凹部の上向き面との間に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねは、ばねの少なくとも一部分が中に配置される、スペーサープレートの陥凹部の下向き面と、サセプタの上向き面との間に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねは、スペーサープレートにある陥凹部の下向き面と、サセプタにある陥凹部の上向き面との間に配置されてもよい。
【0035】
様々な実施形態において、シールシステムは、サセプタとスペーサープレートとの間に配置された流れ制御リングを備えてもよい。流れ制御リングは、サセプタの周りに配置されてもよく、反応チャンバー内の流体の流れを制御するように構成されてもよい。例えば、図1のシール部材129は、流れ制御リングであってもよい。したがって、サセプタは、流れ制御リングを介して、スペーサープレートに結合されおよび/またはスペーサープレートと係合されてもよい。反応空間および下部チャンバー空間は、サセプタ、流れ制御リング、および/またはスペーサープレートによって、(流体的におよび/または物理的に)分離されてもよい。例えば、図3に示すように、流れ制御リング390は、スペーサープレート370とサセプタ330との間に配置されてもよい。流れ制御リング390は、スペーサープレート370の下向き面374と係合する(すなわち、これに結合および/または接触する)、上向き面394を備えてもよい。流れ制御リング390は、サセプタ330の上向き面336と係合する(すなわち、これに結合および/または接触する)、下向き面392を備えてもよい。様々な実施形態において、流れ制御リングが係合する、サセプタの上向き面は、基材支持面であってもよい。同様に、図4Aおよび図4Bに示すように、流れ制御リング490は、スペーサープレート470とサセプタ430との間に配置されてもよい。流れ制御リング490は、スペーサープレート470の下向き面474と係合する(すなわち、これに結合および/または接触する)、上向き面494を備えてもよい。流れ制御リング490は、サセプタ430の上向き面436と係合する(すなわち、これに結合および/または接触する)、下向き面492を備えてもよい。様々な実施形態において、流れ制御リングの少なくとも一部は、流れ制御リングがスペーサープレートの下方に平行移動できないように、スペーサープレートの上方に配置されてもよい。
【0036】
様々な実施形態において、ばねは、反応チャンバー用のシールシステム内で、スペーサープレートと流れ制御リングとの間に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねは、スペーサープレートの下向き面と流れ制御リングの上向き面との間に配置されてもよい。例えば、図4Aおよび図4Bを参照すると、ばね440は、流れ制御リング490の上向き面494と係合する、スペーサープレート470の下向き面474の間に少なくとも部分的に配置されてもよい。様々な実施形態において、図3を参照すると、ばねは、スペーサープレート370の下向き面374と、ばね340の少なくとも一部が中に配置される、流れ制御リング390の陥凹部395の上向き面397との間に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねは、ばねの少なくとも一部が中に配置される、スペーサープレートの陥凹部の下向き面と、流れ制御リングの上向き面との間に配置されてもよい。様々な実施形態において、ばねは、スペーサープレートの陥凹部の下向き面と、流れ制御リングの陥凹部の上向き面との間に配置されてもよい。
【0037】
様々な実施形態において、反応チャンバーのシールシステムにばねを含むことにより、反応空間の高さの範囲にわたって反応チャンバーボリューム内の反応空間と下部チャンバー空間とを流体的に分離するシールを形成することが可能になりうる。すなわち、サセプタは、反応チャンバーボリューム(例えば、流体分配システム)の頂部からの距離の範囲で、処理位置(または上昇位置)にあってもよく、一方、反応チャンバーシールシステムの他の構成要素(例えば、スペーサープレートおよび/または流れ制御リング)とのシールをなおも形成する。
【0038】
動作中、図7に示す方法700を参照すると、サセプタは、第一の位置(例えば、下部位置または装填位置)から第二の位置(例えば、上昇位置または処理位置)へ平行移動してもよい(工程702)。下部位置では、サセプタは、反応チャンバーのシールシステムの他のどの構成要素(例えば、スペーサープレートおよび/または流れ制御リング)とも接触していなくてもよい。したがって、反応チャンバーボリューム内の下部チャンバー空間および反応空間は、流体連通していてもよい。シールシステムのばねは、弛緩位置にあってもよい(例えば、非圧縮または伸張位置に向かって付勢されたばねについては、そのようなばねは、非圧縮またはより少なく圧縮された位置にあってもよい)。サセプタは、図3および図4A図4Bに示すx軸に沿って、上昇位置(例えば、処理位置)に向かって平行移動してもよい。サセプタの処理位置は、基材の処理中に、サセプタが配置される(例えば、反応チャンバーの頂部または流体分配システムからの所望の距離の)位置であってもよい。平行移動の間、サセプタの上向き面は、スペーサープレートおよび/または流れ制御リングの下向き面などの、シールシステムの下向き面と係合および/または結合してもよい。
【0039】
サセプタがスペーサープレートおよび/または流れ制御リングと係合するのに応答して、シールシステムのばねに力が加えられてもよく(工程704)、当該ばねは、その付勢に逆らって移動(例えば、圧縮)されてもよい。したがって、ばねは、構成要素に力をかけることができ、それらの間にばねは配置されている。例えば、ばねは、スペーサープレートに上向きの力をかけ、流れ制御リングおよび/またはサセプタに下向きの力をかけてもよい。流れ制御リングに対して圧縮されたばね(その付勢に逆らって圧縮されている)からの下向きの力は、流れ制御リングをサセプタに押し込みうる。したがって、流れ制御リングを介して少なくとも部分的なシールがスペーサープレートとサセプタとの間に形成されうる(工程706)(すなわち、少なくとも部分的なシールが流れ制御リングとサセプタとの間に直接形成されうる)。こうした少なくとも部分的なシールは、サセプタが処理位置に到達して配置されるのに応答して、および基材処理全体にわたって、維持されてもよい。様々な実施形態において、少なくとも部分的なシールが、ばねとばねが結合される構成要素との間に維持されてもよい(工程708)(例えば、ばねとスペーサープレートとの間に、および/またはばねと流れ制御リングとの間に、少なくとも部分的なシールを維持しつつ)。したがって、反応チャンバーボリュームでは、下部チャンバー空間は、下部チャンバー空間から少なくとも部分的に流体的に隔離されてもよい。
【0040】
図3を参照すると、動作中、サセプタ330は、下部位置から上昇位置までx軸に沿って平行移動してもよい。サセプタ330は、下部位置では、流れ制御リング390と接触していなくてもよい。サセプタ330が流れ制御リング390と接触および/または係合すると、ばね340は、弛緩位置から圧縮位置に圧縮されうる。ばね340は、非圧縮またはより少なく圧縮された位置に向かって付勢されてもよい。スペーサープレート395、および/またはチャンバー側壁311から突出する当該スペーサープレート395の一部は、実質的に静止していてもよい(すなわち、スペーサープレート390およびその部分は、ばね340による力に応答して移動しない)。ばね340の圧縮に応答して、ばね340は、スペーサープレート370の下向き面374に上向きの力を及ぼし得る、および/または流れ制御リング390の上向き面397に下向きの力を及ぼしうる。応答して、流れ制御リング390は、サセプタ330の上向き面336に下向きの力を及ぼしうる。上向き面336は、サセプタ外側表面332から突出するサセプタ突出部334に含まれてもよい。様々な実施形態において、ばねおよび/または流れ制御リングから下向きの力を受けるサセプタの上向き面は、サセプタの基材支持面上に含まれてもよい。サセプタ330への流れ制御リング390の下向きの力によって、流れ制御リング390とサセプタ330との間に少なくとも部分的なシールが形成されうる。したがって、反応空間312および下部チャンバー空間314は、少なくとも部分的に流体的に分離された状態でありうる。
【0041】
図4Aおよび図4Bを参照すると、動作中、サセプタ430は、下部位置から上昇位置まで、その後x軸に沿って平行移動してもよい。サセプタ430は、下部位置では、流れ制御リング490と接触していなくてもよい。サセプタ430が流れ制御リング490と接触および/または係合すると、ばね440は、弛緩位置440Aから圧縮位置440Bに圧縮されうる。ばね440は、非圧縮またはより少なく圧縮された位置に向かって付勢されてもよい。スペーサープレート490、および/またはチャンバー側壁411から突出する当該スペーサープレート490の一部は、実質的に静止していてもよい(すなわち、スペーサープレート490およびその一部は、ばね440による力に応答して移動しない)。ばね440の圧縮に応答して、ばね440は、スペーサープレート470の下向き面474に上向きの力を及ぼし得る、および/または流れ制御リング490の上向き面494に下向きの力を及ぼしうる。応答して、流れ制御リング490は、サセプタ430の上向き面436に下向きの力を及ぼしうる。様々な実施形態において、サセプタの上向き面は、サセプタの基材支持面上に含まれてもよい。サセプタ430への流れ制御リング490の下向きの力によって、流れ制御リング490とサセプタ430との間に少なくとも部分的なシールが形成されうる。したがって、反応空間412および下部チャンバー空間414は、少なくとも部分的に流体的に分離された状態でありうる。
【0042】
様々な実施形態において、ばねは、構成要素の間に少なくとも部分的なシールを形成してもよく、その構成要素にばねは結合される。例えば、図3を参照すると、ばね340は、スペーサープレート370と流れ制御リング390との間に少なくとも部分的なシールを形成しうる。こうした少なくとも部分的なシールは、スペーサープレート370へのばね340の上向きの力、および流れ制御リング390へのばね340の下向きの力が、ばね340とスペーサープレート370および/または流れ制御リング390との間に少なくとも部分的なシールを形成するように、非圧縮またはより少なく圧縮された位置に向かうばね340の付勢によって生成されてもよい。別の実施例として、図4Aおよび図4Bを参照すると、ばね440は、スペーサープレート470と流れ制御リング490との間に少なくとも部分的なシールを形成してもよい。こうした少なくとも部分的なシールは、スペーサープレート470へのばね440の上向きの力、および流れ制御リング490へのばね440の下向きの力が、ばね440とスペーサープレート470および/または流れ制御リング490との間に少なくとも部分的なシールを形成するように、非圧縮またはより少なく圧縮された位置440Aに向かうばね440の付勢によって生成されてもよい。
【0043】
様々な実施形態において、反応チャンバー内のシールシステムのばねは、構成要素に結合され(例えば、溶接、接着剤、またはこれに類するものを介して固定的に結合され)てもよく、それらの構成要素の間にばねは配置されている。例えば、スペーサープレートとサセプタとの間に配置された反応チャンバー内のシールシステムのばねは、スペーサープレートおよび/またはサセプタに結合されてもよい。別の実施例として、スペーサープレートと流れ制御リングとの間に配置された反応チャンバー内のシールシステムのばねは、スペーサープレートおよび/または流れ制御リングに結合されてもよい。
【0044】
反応チャンバー内の、サセプタとスペーサープレートおよび/または流れ制御リングとの間の少なくとも部分的なシールは、サセプタ位置の範囲にわたって(すなわち、反応チャンバーの頂部または流体分配システムからのサセプタの距離の範囲にわたって)実現されてもよい。ばねは、サセプタとスペーサープレートおよび/または流れ制御リングとの間の、サセプタの最も上方の位置(すなわち、サセプタと反応チャンバーの頂部または流体分配システムとの間で反応空間が最も短くなるような、サセプタの位置)よりも低い位置での係合を可能にする。したがって、サセプタがスペーサープレートおよび/または流れ制御リングと係合される任意の位置での、ばねによるサセプタへの下向きの力原因は、ばねの圧縮の範囲にわたって、スペーサープレートおよび/または流れ制御リングとサセプタとの間の少なくとも部分的なシールをもたらす。
【0045】
様々な実施形態において、ばねは、反応チャンバー内でサセプタを囲む形状を含んでもよい。例えば、図3のばね340は、完全にサセプタ330の周りにわたってもよい。様々な実施形態において、反応チャンバー内にシールを形成するサセプタへの力が、サセプタの周りの複数の点に発生しうるように、ばねは、サセプタの周りの一つ以上の点に配置されてもよい。
【0046】
様々な実施形態において、ばねは、少なくとも一つのカールを含む、断面形状を含んでもよい。例えば、図3のばね340は、第一の端342と第二の端346との間に三つのカール344を有する、E字形状の断面形状を含んでもよい。ばねは、ばねの所望の高さおよび反応チャンバー内の構成要素の所望の柔軟性に応じて、任意の適切な数のカールを含んでもよい。例えば、ばね600は、三つを超えるカール644を含んでもよい。
【0047】
ばねのない実施形態では、反応チャンバーの構成要素は、部品の形状または位置の何らかの変化のための余地がほとんどまたは全くないように、精密に製造されて互いに組み合せられなければならない(例えば、表面は、特定の方向へ角度が付けられなければならない)。これにより、製造にかかる時間およびコスト、ならびに誤り(例えば、構成要素が正しく互いにフィットしない、反応空間と下部チャンバー空間との間にシールを形成しない、下部チャンバー空間内への汚染物質の流入を引き起こすなど)の潜在性が増大する。さらに、反応空間の高さ(例えば、上部サセプタ表面(すなわち、基材支持面)から流体分配システムまでの距離)は、構成要素間の適合およびそれによって提供されるシールを損なうことなく、そのような距離の調整ができないように固定されうる。一方、反応チャンバーシールシステムにおけるばねの存在によって、構成要素が互いに係合してそれらの間にシールを形成し、反応空間を下部チャンバー空間から少なくとも部分的に流体的に分離するための、構成要素の設計、製造、および/または位置は、より低い精度でもよくなる。例えば、サセプタは、わずかに傾いていてもよく、サセプタは、それでも、スペーサープレートおよび/または流れ制御リングと十分に係合しうる。さらに、反応空間の高さ(すなわち、サセプタと流体分配システムとの間の距離)は、下部チャンバー空間からの反応空間の間のシールをなおも維持しながら、調整可能でありうる。したがって、反応空間の高さは、行われるプロセス、および基材と流体分配システムとの間の所望の空間に応じて、調整されうる。
【0048】
様々な実施形態において、(図3に示すように)E字形状を含むばねについては、反応空間の高さは、最大約1ミリメートルの調整可能性を有しうる(すなわち、反応空間の高さは、実行されるプロセスに応じて最大1ミリメートル変化できる)。様々な実施形態において、コイルばねを含むばね(例えば、図4Aおよび図4Bにおけるばね440)については、またはより多くの偏向の可能性もしくは間隔を有するばねについては、反応空間の高さは、最大約9ミリメートルの調整可能性を有し得る(例えば、反応空間の高さは、6~15ミリメートルの範囲であり得る)。
【0049】
様々な実施形態において、反応チャンバー内のシールシステム内のばねは、金属または金属合金(例えば、ステンレス鋼またはニッケル合金)などの、任意の適切な材料を含んでもよい。シールシステム内で使用される、以前のシール部材、例えばポリマー材料を含むOリングは、(例えば、300℃を超える)比較的低めの温度で固着、変形、または分解しうる。別の以前のシール部材であるダイヤフラムには、製造におけるより多くの欠陥と、より高い温度における変形と、反応チャンバーボリューム内の下部チャンバーと上部チャンバーとの間の不十分なシールをもたらした他の問題とを有しうる。金属材料を含むばねは、製造における欠陥がより少ないこと、処理中の粒子生成がより少ないこと、より大きいスプリングバックおよび降伏強さ(ばねのカールまたは渦巻きの数を調整することによって、調整され得る)、構成要素間の少なくとも部分的なシールを実現するために必要な偏向が最小であること(反応チャンバー内における説明された柔軟性および調整可能性ならびに反応空間の高さを可能にする)、より高い温度性能(例えば、場合によっては800℃を超える)、ならびに、特定の堆積プロセスのための偏向の必要性に基づいて異なる断面形状を有するばねリングを容易に作製できること、の利点を有しうる。
【0050】
様々な実施形態において、反応器または反応チャンバーは、ばねに近接した出口を有する反応チャンバーボリュームと流体連通しているパージチャネルを備えてもよい。例えば、図4Aおよび図4Bを参照すると、反応チャンバーは、反応チャンバーボリュームと(例えば、反応空間412と)流体接続しているパージチャネル420を備えてもよい。パージチャネル420は、パージガス(例えば、窒素ガス、ヘリウム、アルゴンまたはこれに類するものなどの不活性であるかまたは反応性がより低いガス)を含み得る、パージガス源414(例えば、図1のパージガス源14に類似する)に流体結合されていてもよい。パージチャネル420は、チャンバー側壁および/またはスペーサープレート470を通して配置されてもよい。したがって、パージチャネル420は、ばね440に近接した反応チャンバー内への出口を備えてもよい。堆積プロセスにおける堆積工程の前、後、および/または途中に、パージガスは、パージガス源414から、パージチャネル420を通って、ばね440に近接する反応チャンバー内に流れてもよい(例えば、堆積工程間、または反応チャンバーへの反応物質導入を伴う工程間に)。(例えば、ばね440の近くの)こうしたパージは、ばね440への望ましくない堆積のリスクを軽減するように構成されうる。
【0051】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそのように限定されないことが理解されるべきである。例えば、反応器システムは様々な特定の構成に関連して説明されているが、本開示は必ずしもこれらの実施例に限定されない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法の様々な修正、変形、および強化を行うことができる。
【0052】
本開示の主題は、本明細書に開示される様々な、システム、構成要素、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物を含む。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】