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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036534
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/08 20060101AFI20230307BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20230307BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C08L83/08
C08L91/00
C08K5/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123039
(22)【出願日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2021143095
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021168967
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入學 武
(72)【発明者】
【氏名】中澤 宏一
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE05X
4J002CP06W
4J002CP09W
4J002EF026
4J002EF036
4J002EF046
4J002EF056
4J002FD206
4J002FD20X
4J002GH02
4J002GJ01
(57)【要約】
【課題】 非プロトン性溶媒に溶解し、シランカップリング剤や繊維処理剤として用いた場合、アルコールの発生を抑えつつ、かつ疎水性の有機材料および疎水性の無機材料に対する相溶性を向上することができる、均一で透明な、アミノ基とシラノール基を有するオルガノポリシロキサン組成物を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1)で示されるパウダー状のシリコーンレジン、カルボン酸化合物またはカルボン酸化合物を含む天然油および非プロトン性溶媒のみからなる透明なオルガノポリシロキサン組成物。
(式中、R1は、それぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい、置換または非置換の炭素数1~20の2価炭化水素基を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aは、2~70の整数を表す。)
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるパウダー状のシリコーンレジン、カルボン酸化合物またはカルボン酸化合物を含む天然油および非プロトン性溶媒のみからなる透明なオルガノポリシロキサン組成物。
【化1】
(式中、R1は、それぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい、置換または非置換の炭素数1~20の2価炭化水素基を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aは、2~70の整数を表す。)
【請求項2】
前記シリコーンレジンの乾式レーザー回析法による平均粒子径が、体積基準メジアン径で1~200μmである請求項1記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記シリコーンレジンが、スプレードライ粒子である請求項1または2記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
前記カルボン酸化合物が、炭素数1~11の飽和モノカルボン酸化合物および炭素数3~22の不飽和モノカルボン酸化物から選ばれる1種または2種以上である請求項1~3のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
前記非プロトン性溶媒が、飽和脂肪族炭化水素系溶媒、不飽和脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒およびケトン系溶媒から選ばれる1種または2種以上である請求項1~4のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加水分解性シリル基と有機基とを有する有機ケイ素化合物は、加水分解性シリル基の加水分解によって生成するシラノール基が、無機材料表面の水酸基と共有結合を形成し、さらに有機基が有機材料と反応するため、通常では結びつきにくい有機材料と無機材料とを結びつけることを可能にする。これにより、有機無機複合材料に、耐熱性、耐水性、耐候性、機械的強度の向上、密着性、分散性、疎水性、防錆性等の特性を付与することができる。
これらの特性を利用し、上記有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤、樹脂添加剤、表面処理剤、繊維処理剤、接着剤、塗料添加剤、高分子変性剤等の幅広い分野および用途に用いられる。
【0003】
上記有機ケイ素化合物の中でも、アミノ基を有するアミノシラン化合物は、アミノ基が種々の有機材料および無機材料に対して高い反応性を示すことから、有機無機複合材料の密着性を高めることができる。
このようなアミノシラン化合物としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(特許文献1)が挙げられる。また、このアミノシラン化合物を加水分解させたオルガノポリシロキサン組成物としては、例えば、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー(特許文献2)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-17578号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0068897号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のアルコキシシリル基を有するアミノシラン化合物は、アルコキシシリル基の加水分解によって相当量のアルコールが発生する。近年、地球温暖化や健康問題等に関係の深い環境問題において、揮発性有機化合物(VOC)の削減が大きなテーマとして挙げられており、上記アミノシラン化合物は、アルコールの発生量が多く、環境への負荷が懸念される。
【0006】
この点、特許文献2記載のアミノ基とシラノール基を有するオルガノポリシロキサン組成物は、アルコキシシリル基を有するアミノシラン化合物を加水分解して生成するシラノール縮合物であり、加水分解後、発生したアルコールを除去することができるため、上記アミノシラン化合物のアルコールの発生量を削減する方法の一つとして有用である。
また、このオルガノポリシロキサン組成物は、複数のシラノール基を有するシラノール縮合物であるため、基材表面の水酸基に対して優れた反応性を有するという利点もある。すなわち、上記アミノシラン化合物の加水分解反応では、シラノール基同士が縮合することにより、直鎖状、分岐鎖状、環状、三次元網目状構造のシラノール縮合物が生成する。シラノール基同士の縮合は、シラノール基とアミノ基の相互作用によって平衡に到達するため、上記シラノール縮合物には複数のシラノール基が縮合しない状態で存在する。これにより、複数のシラノール基が基材表面の複数の水酸基と反応することが可能になるため、有機無機複合材料との密着性が向上する。
【0007】
しかし、特許文献2記載のアミノ基とシラノール基を有するオルガノポリシロキサン組成物は、発生したアルコールを除去することができるものの、相溶性を示す溶媒が水または低級アルコール等のプロトン性溶媒に限定されるため、非プロトン性溶媒を用いる場合、均一で透明な溶液を調製することができない。すなわち、上記オルガノポリシロキサン組成物に含まれるシラノール縮合物は、複数のシラノール基に由来して親水性を示すため、非プロトン性溶媒に対して相溶性が低い固体(結晶状物)または液体(オイル状物)として析出または分離する。これらの固体または液体を含む不均一で不透明な溶液の場合、種々の有機材料および無機材料と十分に接触できなくなるため、基材表面の水酸基との反応性が低下する。また、水または低級アルコール等のプロトン性溶媒を含む溶液の場合、疎水性の有機材料および疎水性の無機材料に対する相溶性が低いため、これらを配合する用途において適用できないものであった。
【0008】
したがって、非プロトン性溶媒に対する溶解性を有し、シランカップリング剤や繊維処理剤として用いた場合に、アルコールの発生を抑えつつ、疎水性の有機材料および疎水性の無機材料に対する相溶性を向上することができる、均一で透明な、アミノ基とシラノール基を有するオルガノポリシロキサン組成物の開発が望まれている。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、非プロトン性溶媒に溶解し、シランカップリング剤や繊維処理剤として用いた場合、アルコールの発生を抑えつつ、かつ疎水性の有機材料および疎水性の無機材料に対する相溶性を向上することができる、均一で透明な、アミノ基とシラノール基を有するオルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討を重ねた結果、アミノ基とシラノール基を有するパウダー状のシリコーンレジンが、カルボン酸化合物との相互作用により、非プロトン性溶媒に溶解するため、固体の析出または液体の分離が生じない均一で透明な溶液(組成物)を形成すること、並びにこの組成物をシランカップリング剤や繊維処理剤として用いた場合、アルコールが発生せず、かつ疎水性の有機材料および疎水性の無機材料に対する相溶性が向上することを見出し、発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)で示されるパウダー状のシリコーンレジン、カルボン酸化合物またはカルボン酸化合物を含む天然油および非プロトン性溶媒のみからなる透明なオルガノポリシロキサン組成物、
【化1】
(式中、R1は、それぞれ独立してヘテロ原子を含んでいてもよい、置換または非置換の炭素数1~20の2価炭化水素基を表し、R2は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、aは、2~70の整数を表す。)
2. 前記シリコーンレジンの乾式レーザー回析法による平均粒子径が、体積基準メジアン径で1~200μmである1のオルガノポリシロキサン組成物、
3. 前記シリコーンレジンが、スプレードライ粒子である1または2のオルガノポリシロキサン組成物、
4. 前記カルボン酸化合物が、炭素数1~11の飽和モノカルボン酸化合物および炭素数3~22の不飽和モノカルボン酸化物から選ばれる1種または2種以上である1~3のいずれかのオルガノポリシロキサン組成物、
5. 前記非プロトン性溶媒が、飽和脂肪族炭化水素系溶媒、不飽和脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒およびケトン系溶媒から選ばれる1種または2種以上である1~4のいずれかのオルガノポリシロキサン組成物
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、固体の析出または液体の分離が生じない均一で透明な溶液として調製することができる。
また、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、疎水性の有機材料および疎水性の無機材料に対して高い相溶性を示すため、シランカップリング剤や繊維処理剤として用いた場合、有機無機複合材料との密着性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、下記一般式(1)で示されるパウダー状のシリコーンレジン(以下、「シリコーンレジン(1)」という。)、カルボン酸化合物またはカルボン酸化合物を含む天然油および非プロトン性溶媒のみからなるものである。
【0014】
【化2】
【0015】
一般式(1)において、R1は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~8の置換または非置換の2価炭化水素基を表す。
上記R1の2価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン、ペンタデカメチレン、ヘキサデカメチレン、ヘプタデカメチレン、オクタデカメチレン、ノナデカメチレン、イコサメチレン基等の直鎖状アルキレン基;イソプロピレン、イソブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、イソペンチレン、イソヘキシレン、イソヘプチレン、イソオクチレン、イソノニレン、イソデシレン、イソウンデシレン、イソドデシレン、イソトリデシレン、イソテトラデシレン、イソペンタデシレン、イソヘキサデシレン、イソヘプタデシレン、イソオクタデシレン、イソノナデシレン、イソイコシレン基等の分岐鎖状アルキレン基;シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン、シクロノニレン、シクロデシレン、シクロウンデシレン、シクロドデシレン、シクロトリデシレン、シクロテトラデシレン、シクロペンタデシレン、シクロヘキサデシレン、シクロヘプタデシレン、シクロオクタデシレン、シクロノナデシレン、シクロイコシレン等の環状アルキレン基;エテニレン、プロペニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタデセニレン、ノナデセニレン、イコセニレン基等のアルケニレン基;フェニレン、ナフチレン基等のアリーレン基;メチレンフェニレン、メチレンフェニレンメチレン基等のアラルキレン基が挙げられる。また、R1のヘテロ原子を含む2価炭化水素基は、アルキレンアミノアルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンチオアルキレン基等が挙げられ、これらのアルキレン基としては、それぞれ独立して、上記直鎖状、分岐鎖状、環状アルキレン基で例示した基と同様の基が挙げられる。
【0016】
なお、これらの2価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、(イソ)プロポキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニル、トリル、キシリル基等のアリール基;ベンジル、フェネチル基等のアラルキル基;シアノ基、アミノ基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アシル基、スルフィド基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0017】
これらの中でも、R1としては、非置換の、炭素数1~8の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキレン基;アルケニレン基;アリーレン基;アラルキレン基;アルキレンアミノアルキレン基;アルキレンオキシアルキレン基;アルキレンチオアルキレン基が好ましく、特に前駆原料の入手容易性の観点から、非置換の、炭素数1~6の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基;アルキレンアミノアルキレン基がより好ましく、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、イソプロピレン基、メチレンアミノメチレン基、メチレンアミノジメチレン基、メチレンアミノトリメチレン基、ジメチレンアミノメチレン基、ジメチレンアミノジメチレン基、ジメチレンアミノトリメチレン基、トリメチレンアミノメチレン基、トリメチレンアミノジメチレン基、トリメチレンアミノトリメチレン基がより一層好ましい。
【0018】
一般式(1)において、R2は、それぞれ独立して水素原子、メチル基またはエチル基を表すが、水素原子またはメチル基が好ましく、特に前駆原料の入手容易性の観点から、水素原子が好ましい。
【0019】
一般式(1)において、aは、2~70の整数であるが、特に非プロトン性溶媒との相溶性の観点から、好ましくは2~60、より好ましくは2~50、より一層好ましくは2~40である。
一般式(1)において、aは、2~70の整数であるが、特に非プロトン性溶媒との相溶性の観点から、好ましくは2~60、より好ましくは2~50、より一層好ましくは2~40、更に好ましくは5~40、更に一層好ましくは15~40、特に好ましくは20~40である。
なお、シリコーンレジン(1)のアミン価を測定することにより、一般式(1)におけるaの範囲がわかる。ここで、アミン価は、試料中の有機アミンの量を示す値であり、電位差滴定法にて、試料1g中に含まれる有機アミンのアミノ基を中和するのに要する酸と等量の水酸化カリウム(KOH)のmgを測定することにより算出する。
【0020】
シリコーンレジン(1)の具体例としては、1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー等の一級アミノ基を有するシリコーンレジン;N-メチル-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-メチル-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-メチル-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-メチル-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー等の二級アミノ基を有するシリコーンレジン;N,N-ジメチル-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N,N-ジメチル-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N,N-ジメチル-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N,N-ジメチル-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー等の三級アミノ基を有するシリコーンレジン;N-(1-アミノメチル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー等のジアミノ基を有するシリコーンレジン等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、特にシランカップリング剤や繊維処理剤として用いる場合、基材表面の複数の水酸基と反応して有機材料との密着性を高める観点から、1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(1-アミノメチル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(2-アミノイソプロピル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-1-アミノメチルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエチルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノイソプロピルシラントリオールホモポリマー、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが好ましい。
【0022】
本発明で用いるシリコーンレジン(1)は、パウダー状の固体である。
シリコーンレジン(1)の粒子形状は、球状、多面体状、紡錘状、針状、板状等いずれの形状でもよいが、取扱の容易性の観点から、球状が好ましい。なお、本発明において、球状とは、粒子の形状が、真球だけを意味するものではなく、楕円体も含むことを意味する。なお、粒子の形状は、粒子を光学顕微鏡や電子顕微鏡等にて観察することにより確認する。
【0023】
シリコーンレジン(1)の平均粒子径は、カルボン酸化合物との相互作用の促進性の観点から、好ましくは1~200μm、より好ましくは10~150μm、より一層好ましくは30~100μmである。
なお、平均粒子径は、乾式レーザー回析法により測定された体積基準メジアン径(D50)を意味する。体積基準メジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置マスターサイザー3000(Malvern社製)を用いて、Fraunhofer回折理論により、乾式法にて、分散圧2bar、散乱強度2~10%の条件で、体積基準の累積粒度分布曲線の50%累積値に相当する径を測定することにより算出する。
【0024】
シリコーンレジン(1)のゆるめ嵩密度は、カルボン酸化合物との相互作用の促進性の観点から、好ましくは0.2~0.9g/mL、より好ましくは0.25~0.9g/mL、より一層好ましくは0.3~0.9g/mLである。
なお、嵩密度は、予め質量を測定してある100mlの容器にパウダー状のシリコーンレジンをあふれるまで入れ(このとき測定容器に振動を加えたり、試料を圧縮したりしない)、容器の上端面から盛り上がった粉末を、すり切り板を使ってすり切り、内容量の質量を測定し、1mL当たりの質量を計算することにより算出する。
【0025】
上記シリコーンレジン(1)は、通常、下記一般式(2)で示されるアルコキシシリル基を有するアミノシラン化合物を加水分解して製造する。
【0026】
【化3】
【0027】
一般式(2)において、R1およびR2は、上記で例示した置換基と同様のものが挙げられる。R3は、それぞれ独立して炭素数1~10、好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~2の置換または非置換の1価炭化水素基を表す。
上記R3の1価炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル基等の直鎖状アルキル基;sec-プロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、sec-ヘキシル、tert-ヘキシル、sec-ヘプチル、tert-ヘプチル、sec-オクチル、tert-オクチル、sec-ノニル、tert-ノニル、sec-デシル、tert-デシル基等の分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル、アリル、ブテニル、メタリル基等のアルケニル基;フェニル、トリル、キシリル基等のアリール基;ベンジル、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0028】
なお、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部は、その他の置換基で置換されていてもよく、この置換基の具体例としては、R1の2価炭化水素基の水素原子の一部または全部がその他の置換基で置換されていてもよい場合の置換基と同様の置換基が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
【0029】
これらの中でも、R3としては、非置換の炭素数1~6の直鎖状アルキル基が好ましく、特に入手容易性の観点から、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0030】
アルコキシシリル基を有するアミノシラン化合物の具体例としては、1-アミノメチルトリメトキシシラン、1-アミノメチルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルトリエトキシシラン、2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等の一級アミノ基を有するトリアルコキシシラン化合物;N-メチル-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-メチル-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-メチル-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-メチル-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-メチル-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等の二級アミノ基を有するトリアルコキシシラン化合物;N,N-ジメチル-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N,N-ジメチル-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N,N-ジメチル-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ジメチル-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ジメチル-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジメチル-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N,N-ジメチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジメチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等の三級アミノ基を有するトリアルコキシシラン化合物;N-(1-アミノメチル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のジアミノ基を有するトリアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、特にシランカップリング剤や繊維処理剤として用いる場合、基材表面の複数の水酸基と反応して有機材料との密着性を高める観点から、1-アミノメチルトリメトキシシラン、1-アミノメチルトリエトキシシラン、2-アミノエチルトリメトキシシラン、2-アミノエチルトリエトキシシラン、2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(1-アミノメチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノイソプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-1-アミノメチルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-1-アミノメチルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエチルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエチルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノイソプロピルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノイソプロピルトリエトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0032】
アルコキシシリル基を有するアミノシラン化合物の加水分解では、アルコキシシリル基に対応して相当量のアルコールが発生する。また、加水分解に用いられる水の添加量によって、水を含む場合がある。
上述のとおり、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、シリコーンレジン(1)が、非プロトン性溶媒中に溶解した均一で透明な溶液であるため、非プロトン性溶媒との相溶性の観点から、シリコーンレジン(1)は、加水分解液からアルコールおよび水を除去したものが好ましい。
【0033】
加水分解液からアルコールおよび水を除去する方法としては、特に制限はなく、遠心分離、加熱乾燥、クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、抽出、デカンテーション、分液、濾過等の除去方法を採用することができる。これらの中でも、生産性の観点から、加熱乾燥が好ましい。
【0034】
また、パウダー状のシリコーンレジンの製造方法の具体例としては、静置した加水分解液を加熱して粉砕する方法、加水分解液を加熱して撹拌流動させる方法、スプレードライヤーのような高温気流中に加水分解液を噴霧し、分散させるスプレードライ法(噴霧乾燥法)、流動熱媒体を利用する方法等が挙げられる。
【0035】
スプレードライ法とは、固体と溶媒とを含む溶液を小さな液滴に分解(噴霧)し、乾燥室中で高温気流と接触させて瞬間的に溶媒を蒸発させることにより、パウダー状の固体(粒子)を得る造粒方法である。
溶媒が蒸発するための駆動力は、一般的に液滴を乾燥する温度にて、溶媒の分圧を溶媒の蒸気圧に比べて低くすることで得られる。好ましい態様としては、液滴を高温乾燥ガスと混合する方法、溶媒除去装置内での圧力を不完全真空に維持する方法等が挙げられる。
【0036】
上記溶液は、広範囲の流量、温度において乾燥室に噴霧することができる。また、スプレー時に加圧する場合、広範囲の圧力においてスプレーすることが可能である。一般に、液滴の比表面積の増加に伴って、溶媒の蒸発速度が増加する。
このため、噴霧される液滴径は、好ましくは500μm未満、より好ましくは400μm未満、より一層好ましくは5~200μmである。また、そのような噴霧を可能にする流量、温度、圧力が好ましい。
溶液供給流量は、好ましくは1~500kg/h、より好ましくは5~100kg/h、より一層好ましくは10~50kg/hである。
乾燥室入口温度は、好ましくは100~250℃、より好ましくは110~220℃、より一層好ましくは120~200℃である。
乾燥室出口温度は、好ましくは0~100℃、より好ましくは0~95℃、より一層好ましくは0~90℃である。
溶液供給圧力は、好ましくは100~50,000kPa、より好ましくは200~10,000kPa、より一層好ましくは300~5,000kPaである。
【0037】
パウダー状のシリコーンレジンの製造方法として、真空乾燥機等を用いて、静置した加水分解液を加熱して粉砕する方法を採用した場合、溶媒および水分が残存するため、シランカップリング剤や繊維処理剤として用いた場合、有機無機複合材料との密着性が低下する。
これに対し、スプレードライ法では、噴霧された粒子の比表面積が極めて大きくなることから、効率的に溶媒および水分が蒸発し、除去される。これにより、他の方法でパウダー化させるよりも、溶媒および水分の含有量が少なくなるめ、スプレードライ法により製造されたパウダー状のシリコーンレジンは、有機無機複合材料との密着性が優れるという利点がある。したがって、溶媒および水分等の含有量制御、平均粒子径、嵩密度等の物性制御の観点から、本発明で用いるシリコーンレジンは、スプレードライ法で得られるスプレードライ粒子が好ましい。
【0038】
オルガノポリシロキサン組成物中におけるシリコーンレジン(1)の含有量は、シランカップリング剤や繊維処理剤として用いる場合、基材表面の複数の水酸基と反応して密着性を高める量であれば特に限定されないが、生産性の観点から、オルガノポリシロキサン組成物に対して、好ましくは0.001~99質量%、より好ましくは0.01~50質量%、より一層好ましくは0.1~10質量%である。
【0039】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物に用いられるカルボン酸化合物は、特に限定されるものではないが、炭素数1~11の飽和モノカルボン酸化合物および炭素数3~22の不飽和モノカルボン酸化物から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
それらの具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸等の炭素数1~11の飽和モノカルボン酸化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、ヘキサデカテトラエン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、ヘプタデセン酸、ヘプタデカジエン酸、ヘプタデカトリエン酸、ヘプタデカテトラエン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、オクタデカテトラエン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデセン酸、ノナデカジエン酸、ノナデカトリエン酸、ノナデカテトラエン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、ドコセン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサヘキサエン酸、エルカ酸等の炭素数3~22の不飽和モノカルボン酸化合物等が挙げられ、これらのカルボン酸化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合してもよい。
【0040】
また、本発明のオルガノポリシロキサン組成物には、これらのカルボン酸化合物を含む天然油を用いてもよい。
天然油の具体例としては、アーモンド油、アストロカリウムムルムル種子脂、アボカド油、アマナズナ種子油、アマニ油、アルガニアスピノザ核油、アンズ核油、オリーブ果実油、カカオ脂、カニナバラ果実油、カノラ油、キョウニン油、ククイナッツ油、クロフサスグリ種子油、コーン油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ザクロ種子油、サフラワー油、シア脂、スクレロカリアビレア種子油、ダイズ油、チャ種子油、月見草油、ツバキ種子油、テオブロマグランジフロルム種子脂、パーム核脂肪酸、パーム核油、パーム油、馬油、ハイブリッドサフラワー油、ハイブリッドヒマワリ油、ピーナッツ油、ピスタシオ種子油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ種子油、ホホバ種子油、マカデミア種子油、マンゴー種子油、メドウフォーム油、モクロウ、モモ核油、ヤシ脂肪酸、ヤシ油、ラッカセイ油、ルリジサ種子油、ローズヒップ油、ワサビノキ種子油等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、特に入手容易性の観点から、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘキサデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、ヘキサデカテトラエン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、ヘプタデセン酸、ヘプタデカジエン酸、ヘプタデカトリエン酸、ヘプタデカテトラエン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカトリエン酸、オクタデカテトラエン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデセン酸、ノナデカジエン酸、ノナデカトリエン酸、ノナデカテトラエン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、ドコセン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサヘキサエン酸、エルカ酸が好ましく、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、オレイン酸、リシノレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸がより好ましい。
【0042】
上記カルボン酸化合物は、シリコーンレジン(1)と相互作用する。具体的には、カルボン酸化合物のカルボキシル基が、シリコーンレジン(1)のアミノ基と反応して塩またはアミド結合を形成する一方、シラノール基とも反応してエステル結合を形成する。塩、アミド結合またはエステル結合を形成したシリコーンレジン(1)は、カルボン酸化合物の炭化水素基によって疎水性が向上するため、非プロトン性溶媒に対する相溶性が向上する。
上述のとおり、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、シリコーンレジン(1)が、非プロトン性溶媒中に溶解した均一で透明な溶液であるため、非プロトン性溶媒との相溶性の観点から、カルボン酸化合物としては、架橋構造を形成しないモノカルボン酸化合物を用いることが好ましい。また、シリコーンレジン(1)との相互作用の促進性の観点から、非プロトン性溶媒と相溶する液状のモノカルボン酸化合物を用いることが好ましい。
【0043】
オルガノポリシロキサン組成物中におけるカルボン酸化合物の含有量は、オルガノポリシロキサン組成物が均一で透明な溶液になる量であれば特に限定されないが、生産性の観点から、オルガノポリシロキサン組成物に対して、好ましくは0.001~99質量%、より好ましくは0.01~50質量%、より一層好ましくは0.1~10質量%である。
【0044】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物に用いられる非プロトン性溶媒の具体例としては、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、オクタデカン、イソオクタデカン、エイコサン、イソエイコサン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクアラン等の飽和脂肪族炭化水素系溶媒;ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、エイコセン、スクアレン等の不飽和脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、スチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合してもよい。
【0045】
これらの中でも、特に疎水性の有機材料および疎水性の無機材料との相溶性の観点から、飽和脂肪族炭化水素系溶媒、不飽和脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒およびケトン系溶媒から選ばれる1種または2種以上が好ましく、飽和脂肪族炭化水素系溶媒および芳香族炭化水素系溶媒から選ばれる1種または2種以上がより好ましい。
【0046】
オルガノポリシロキサン組成物中における非プロトン性溶媒の含有量は、オルガノポリシロキサン組成物が均一で透明な溶液になる量であれば特に限定されないが、生産性の観点から、オルガノポリシロキサン組成物に対して、好ましくは1~99質量%、より好ましくは10~90質量%、より一層好ましくは20~80質量%である。
【0047】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、シリコーンレジン(1)、カルボン酸化合物またはそれを含む天然油および非プロトン性溶媒のみからなるものであり、固体の析出または液体の分離が生じない均一で透明な溶液を形成する。
【0048】
オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、シリコーンレジン(1)が非プロトン性溶媒に溶解する限り特に制限はなく、シリコーンレジン(1)をカルボン酸化合物と非プロトン性溶媒を含む溶液に添加する方法、シリコーンレジン(1)とカルボン酸化合物を含む溶液を非プロトン性溶媒に添加する方法、シリコーンレジン(1)と非プロトン性溶媒を含む溶液をカルボン酸化合物に添加する方法、カルボン酸化合物をシリコーンレジン(1)と非プロトン性溶媒を含む溶液に添加する方法、カルボン酸化合物と非プロトン性溶媒を含む溶液をシリコーンレジン(1)に添加する方法、非プロトン性溶媒をシリコーンレジン(1)とカルボン酸化合物を含む溶液に添加する方法、シリコーンレジン(1)とカルボン酸化合物および非プロトン性溶媒を同時に混合する方法のいずれでもよいが、生産性の観点から、シリコーンレジン(1)とカルボン酸化合物および非プロトン性溶媒を同時に混合する方法が好ましい。
【0049】
混合温度は、生産性の観点から、好ましくは20~100℃、より好ましくは20~60℃、より一層好ましくは20~40℃である。
混合時間は、生産性の観点から、好ましくは1~72時間、より好ましくは1~48時間、より一層好ましくは1~24時間であるが、上記調製温度との関係において、適宜設定すればよい。
【0050】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、上述のとおり、シリコーンレジン(1)、カルボン酸化合物またはそれを含む天然油および非プロトン性溶媒の3成分からなる均一で透明な組成物であり、当該オルガノポリシロキサン組成物は、その他の添加剤を加えて種々の用途に用いることができる。
この場合、その他の添加剤を加えた組成物は、本発明のオルガノポリシロキサン組成物と同様に均一で透明なものでも、その他の添加剤を加えた結果、不均一で不透明となっても、固体の析出または液体の分離が生じてもよい。
【0051】
その他の添加剤としては、通常の化粧料に使用される固体、半固体または液状の油剤、水、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、粉体、制汗剤、紫外線吸収剤、紫外線吸収散乱剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物、毛髪用固形化剤等が挙げられる。
以下に添加剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0052】
固体、半固体または液状の油剤としては、炭化水素油、高級アルコール、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、フッ素系油剤等が挙げられる。
【0053】
炭化水素油としては、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、(ブチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー、流動パラフィン、流動イソパラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0054】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2-デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0055】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0056】
グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、テトラキストリメチルシロキシシラン、メチルフェニルポリシロキサン,メチルヘキシルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖或いは分岐状のオルガノポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;アミノ変性オルガノポリシロキサン、ピロリドン変性オルガノポリシロキサン、ピロリドンカルボン酸変性オルガノポリシロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴムおよびシリコーンガムやゴムの環状オルガノポリシロキサン溶液;ステアロキシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン;高級脂肪酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0057】
アルコール類としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ソルビトール、マルトース等の糖アルコール等;コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0058】
水溶性高分子としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリロイルジメチルタウリン塩コポリマー等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等他の合成水溶性高分子;ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
【0059】
皮膜形成剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸アルキル等のラテックス類;デキストリン、アルキルセルロースやニトロセルロース等のセルロース誘導体;トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン等のシリコーン化多糖化合物;(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー等のアクリル-シリコーン系グラフト共重合体;トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂;シリコーン変性ポリノルボルネン、フッ素変性シリコーン樹脂等のシリコーン系樹脂;フッ素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリマーエマルジョン樹脂、テルペン系樹脂、ポリブテン、ポリイソプレン、アルキド樹脂、ポリビニルピロリドン変性ポリマー、ロジン変性樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。
【0060】
界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸およびその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合物塩、アルカンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、ホルマリン縮合系スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルおよびアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N-アシル乳酸塩、N-アシルサルコシン塩、N-アシルアミノ酸系活性剤等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩、イミダゾリウム塩等のカチオン性界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、直鎖状或いは分岐状ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖状または分岐状ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖状または分岐状のポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖状または分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等の非イオン性界面活性剤;ベタイン、ホスファチジルコリン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、アミドアミン型等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0061】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン;N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体;デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2-エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル;モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体等が挙げられる。
有機変性粘土鉱物としては、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等が挙げられる。
【0062】
粉体としては、通常の化粧料に使用されるものが挙げられ、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素、天然色素等から選ばれる粉体が挙げられる。
無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等が挙げられる。
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
【0063】
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられる。
金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられる。
天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
【0064】
これらの粉体は、粉体を複合化したものや、一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができ、加水分解性シリル基やケイ素原子に直接結合した水素原子を有するアルキル基で処理したもの、加水分解性シリル基やケイ素原子に直接結合した水素原子を有する直鎖状および/または分岐状のオルガノポリシロキサン、加水分解性シリル基やケイ素原子に直接結合した水素原子を有し長鎖アルキルで共変性された直鎖状および/または分岐状オルガノポリシロキサン、加水分解性シリル基やケイ素原子に直接結合した水素原子を有しポリオキシアルキレンで共変性された直鎖状および/または分岐状オルガノポリシロキサン、加水分解性シリル基やケイ素原子に直接結合した水素原子を有するアクリル-シリコーン系共重合体等も必要に応じて1種または2種以上用いることができる。
【0065】
制汗剤としては、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、ジルコニルヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等が挙げられる。
【0066】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸メチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリメチルシクロヘキシル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤;4-t-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;フェニルベンズイミダゾールスルフォン酸、トリアジン誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収散乱剤としては、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムおよびそれらの複合体等、紫外線を吸収散乱する粉体が挙げられ、これらの紫外線を吸収散乱する粉体をあらかじめ油剤に分散させた分散物を用いることもできる。
【0067】
保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、卵黄レシチン、大豆レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファジチルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質等が挙げられる。
【0068】
防腐剤・抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、イミダゾリジニルウレア、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ポリリジン、感光素、銀、植物エキス等が挙げられる。
【0069】
香料としては、天然香料および合成香料が挙げられる。
天然香料としては、花、葉、材、果皮等から分離した植物性香料、ムスク、シベット等の動物性香料が挙げられる。
合成香料としては、モノテルペン等の炭化水素類;脂肪族アルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂環式ケトン等のケトン類;テルペン系エステル等のエステル類;ラクトン類、フェノール類、オキサイド類、含チッソ化合物類、アセタール類等が挙げられる。
【0070】
塩類としては、無機塩、有機酸塩、アミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
無機塩としては、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。
有機酸塩としては、酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩が挙げられる。
アミン塩およびアミノ酸塩としては、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩や、さらには、製剤処方の中で使用される酸-アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0071】
酸化防止剤としては、カロチノイド、アスコルビン酸およびその塩、ステアリン酸アスコルビル、トコフェノール、酢酸トコフェノール、トコフェロール、p-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、フェルラ酸、チオタウリン、ヒポタウリン、亜硫酸塩、エリソルビン酸およびその塩、クロロゲン酸、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、カンフェロール、ミリセチン、ケルセチン等が挙げられる。
【0072】
pH調整剤としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
清涼剤としては、L-メントール、カンフル、乳酸メンチル等が挙げられる。
抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸およびその塩、グリチルレチン酸およびグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0073】
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤;ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤;肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0074】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のビタミンE類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、ビタミンH、ビタミンP、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等が挙げられる。
【0075】
アミノ酸類としては、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
核酸としては、デオキシリボ核酸等が挙げられる。
ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
包接化合物としては、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0076】
毛髪用固形化剤としては、両性、アニオン性、カチオン性、非イオン性の各高分子化合物が挙げられ、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体等のポリビニルピロリドン系高分子化合物、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体等の酸性ビニルエーテル系高分子化合物、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体等の酸性ポリ酢酸ビニル系高分子、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレート/アルキルアクリルアミド共重合体等の酸性アクリル系高分子化合物、N-メタクリロイルエチル-N、N-ジメチルアンモニウム・α-N-メチルカルボキシベタイン/アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレート/アクリル酸オクチルアミド共重合体等の両性アクリル系高分子化合物等が挙げられる。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0077】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物を用いて、基材のシランカップリング処理または繊維処理を行うことにより、処理後の有機無機複合材料の密着性を向上することができる。以下に、本発明のオルガノポリシロキサン組成物を用いた基材の処理方法について説明する。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物を用いて基材の処理を行う方法としては、特に制限はなく、基材にオルガノポリシロキサン組成物を塗布する方法、不活性ガスにてオルガノポリシロキサン組成物を同伴させ、この同伴ガスに基材を接触させる方法、基材と共にオルガノポリシロキサン組成物を直接ミキサーやミルで混合する方法等が挙げられる。これらの中でも、簡便性の観点から、オルガノポリシロキサン組成物を塗布する方法が好ましい。
オルガノポリシロキサン組成物を塗布する方法としては、例えば、刷毛塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤーバー法、ブレード法、ロールコーティング法、ディッピング法等が挙げられる。
【0078】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物を、基材に塗布、接触または混合して処理する際の条件は、シリコーンレジン(1)のシラノール基が、基材表面の水酸基と反応する条件であれば特に制限されない。
処理温度は、生産性の観点から、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~50℃、より一層好ましくは20~30℃である。
処理時間は、生産性の観点から、好ましくは1分~10時間、より好ましくは1分~5時間、より一層好ましくは1分~2時間であるが、上記処理温度との関係において、適宜設定すればよい。
【0079】
処理が施される基材は、無機材料と有機材料のどちらでもよい。
無機材料としては、ガラス板、ガラス繊維、珪藻土、珪酸カルシウム、シリカ、シリコン、タルク、マイカ等のケイ素化合物;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム等の金属酸化物;塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化チタン、塩化鉄、塩化マグネシウム等の金属塩化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。これらの中でも、オルガノポリシロキサン組成物のシラノール基との反応性の観点から、特にケイ素化合物、金属酸化物が好ましい。
有機材料としては、ゴム、紙、セルロース等の天然高分子;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の合成高分子;油脂、界面活性剤、液晶等が挙げられる。これらの中でも、オルガノポリシロキサン組成物のアミノ基との反応性の観点から、特に天然高分子、合成高分子が好ましい。
【0080】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物を用いて基材の処理を行った後は、洗浄、乾燥等の通常の方法により余剰のオルガノポリシロキサン組成物を除去できる。なお、洗浄と乾燥による後処理は、単独で行っても、組み合わせて行ってもよい。
【実施例0081】
以下、合成例、実施例、比較例および応用例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、重量平均粒子径は、乾式レーザー回析法により測定された体積基準メジアン径(D90)である。体積基準メジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置マスターサイザー3000(Malvern社製)を用いて、乾式法にてFraunhofer回折理論により、乾式法にて、分散圧2bar、散乱強度2~10%の条件で、体積基準の累積粒度分布曲線の50%累積値に相当する径を測定した。
また、ガラス繊維エポキシ樹脂複合材料の界面せん断強度τ[MPa]は、複合界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を用いて、マイクロドロップレット法により、ガラス繊維の直径をD[μm]、エポキシ樹脂硬化物に埋め込まれた部分のガラス繊維の長さをL[μm]、エポキシ樹脂硬化物をガラス繊維軸方向に引き抜く際の荷重をF[mN]とし、τ=F/πDLの式によって算出した。
【0082】
[1]スプレードライ法によるパウダー状のシリコーンレジンの合成
[合成例1]パウダー状の3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーの合成
3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーの30質量%水溶液を、スプレードライ法を用い(溶液供給流量11kg/h、乾燥室入口温度140℃、乾燥室出口温度85℃、溶液供給圧力100kPa)、水溶液から水を除去し、パウダー状の3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーを得た。
得られたパウダー状の3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーを電位差滴定法にて滴定することにより、アミン価は480.7KOHmg/gであることが確認された。また、乾式レーザー回析法にて測定することにより、平均粒子径は40.6μmであり、ゆるめ嵩密度は0.263g/mLであることが確認された。
【0083】
[2]オルガノポリシロキサン組成物の調製
[実施例1]
非プロトン性溶媒であるトルエン100質量部に対し、室温下、合成例1で調製したパウダー状の3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー1質量部、カルボン酸化合物である酪酸10質量部を添加し、室温で24時間撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0084】
[実施例2]
非プロトン性溶媒をイソドデカン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0085】
[実施例3]
非プロトン性溶媒をイソヘキサデカン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0086】
[実施例4]
非プロトン性溶媒をスクアラン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0087】
[実施例5]
非プロトン性溶媒をテトラデセン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0088】
[実施例6]
非プロトン性溶媒をスクアレン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0089】
[実施例7]
非プロトン性溶媒をアセトン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な褐色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0090】
[実施例8]
非プロトン性溶媒をテトラヒドロフラン100質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0091】
[実施例9]
カルボン酸化合物をカプロン酸10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0092】
[実施例10]
カルボン酸化合物をカプリル酸10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0093】
[実施例11]
カルボン酸化合物をウンデシル酸10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0094】
[実施例12]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0095】
[実施例13]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0096】
[実施例14]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0097】
[実施例15]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例4と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0098】
[実施例16]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例5と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0099】
[実施例17]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例6と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0100】
[実施例18]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例7と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0101】
[実施例19]
カルボン酸化合物をオレイン酸10質量部に変更した以外は、実施例8と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0102】
[実施例20]
カルボン酸化合物をリノール酸10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0103】
[実施例21]
カルボン酸化合物をリノレン酸10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌した。撹拌中、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーが溶解し、均一な淡黄色透明液体のオルガノポリシロキサン組成物が得られた。
【0104】
[比較例1]
カルボン酸化合物を用いない以外は、実施例1と同様にして撹拌したが、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーは溶解しなかった。
【0105】
[比較例2]
合成例1で調製したパウダー状の3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー1質量部を、真空乾燥機と粉砕機を用いて調製した塊状の3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマー1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして撹拌したが、3-アミノプロピルシラントリオールホモポリマーは溶解しなかった。
【0106】
[応用例1]
[1]オルガノポリシロキサン組成物による繊維処理
実施例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物の溶液に、ガラス繊維(長さ約300mm、直径約23μm)を25℃で30分浸漬して繊維処理を行った後、ガラス繊維を溶液から引き揚げ、70℃で2時間乾燥して後処理を行った。
[2]ガラス繊維エポキシ樹脂複合材料の成形
上記で得られたオルガノポリシロキサン処理ガラス繊維に、エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製:JER828)と、硬化剤(東京化成工業(株)製:トリエチレンテトラミン)より構成されるエポキシ樹脂組成物の直径約100μmの液滴を、液滴同士が接触しないように付着させた後、一段階目は80℃で1.5時間、二段階目は100℃で2時間熱硬化してガラス繊維エポキシ樹脂複合材料を成形した。
【0107】
[応用例2]
オルガノポリシロキサン組成物を実施例2の溶液に変更した以外は、応用例1と同様にして繊維処理および複合材料の成形を行った。
【0108】
[応用例3]
オルガノポリシロキサン組成物を実施例12の溶液に変更した以外は、応用例1と同様にして繊維処理および複合材料の成形を行った。
【0109】
[比較応用例1]
オルガノポリシロキサン組成物による繊維処理を施さないガラス繊維(長さ約300mm、直径約23μm)を用い、応用例1[2]と同様にしてガラス繊維エポキシ樹脂複合材料を成形した。
【0110】
[性能評価]
複合界面特性評価装置HM410(東栄産業(株)製)を用いて、上記応用例1~3および比較応用例1で成形したガラス繊維エポキシ樹脂複合材料について、マイクロドロップレット法により、界面せん断強度τ[MPa]を測定した。数値が大きい程、ガラス繊維エポキシ樹脂複合材料の密着性が優れる。結果を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
表1に示されるように、応用例1~3で得られたガラス繊維エポキシ樹脂複合材料では、パウダー状のシリコーンレジンに含まれる複数のシラノール基が、ガラス繊維表面の複数の水酸基と反応し、さらにアミノ基がエポキシ樹脂と反応するため、ガラス繊維エポキシ樹脂複合材料との密着性が向上することがわかる。