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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036799
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】撮像素子、および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20230307BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205123
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2019510046の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2017068452
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中西 奏太
(72)【発明者】
【氏名】船水 航
(72)【発明者】
【氏名】壽圓 正博
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フォトダイオードで生成された電荷を読み出す際の変換利得の低下を防止する撮像素子及び撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子は、第1方向に設けられ、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と第2光電変換部と、第1方向に設けられ、光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と第4光電変換部と、第1光電変換部で生成された電荷および第3光電変換部で生成された電荷の少なくとも1方を蓄積する第1蓄積部と、第2光電変換部で生成された電荷および第4光電変換部で生成された電荷の少なくとも1方を蓄積する第2蓄積部と、第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第1出力部と、第2蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第2出力部と、第1方向と交差する第2方向に配線され、第1出力部から信号が出力される第1信号線と、第2方向に配線され、第2出力部から信号が出力される第2信号線と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に設けられ、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と第2光電変換部と、
前記第1方向に設けられ、光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と第4光電変換部と、
前記第1光電変換部で生成された電荷および前記第3光電変換部で生成された電荷の少なくとも1方を蓄積する第1蓄積部と、
前記第2光電変換部で生成された電荷および前記第4光電変換部で生成された電荷の少なくとも1方を蓄積する第2蓄積部と、
前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第1出力部と、
前記第2蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第2出力部と、
前記第1方向と交差する第2方向に配線され、前記第1出力部から信号が出力される第1信号線と、
前記第2方向に配線され、前記第2出力部から信号が出力される第2信号線と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部と前記第3光電変換部とは、前記第2方向に設けられ、
前記第2光電変換部と前記第4光電変換部とは、前記第2方向に設けられる撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部は、前記第2方向において、前記第1光電変換部と前記第3光電変換部との間に設けられ、
前記第2蓄積部は、前記第2方向において、前記第2光電変換部と前記第4光電変換部との間に設けられる撮像素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部は、前記第1光電変換部と前記第3光電変換部とで共有され、
前記第2蓄積部は、前記第2光電変換部と前記第4光電変換部とで共有される撮像素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で生成された電荷を前記第1蓄積部に転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で生成された電荷を前記第2蓄積部に転送する第2転送部と、
前記第3光電変換部で生成された電荷を前記第1蓄積部に転送する第3転送部と、
前記第4光電変換部で生成された電荷を前記第2蓄積部に転送する第4転送部と、
を備える撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記第1転送部と前記第3転送部とは、前記第2方向に設けられ、
前記第2転送部と前記第4転送部とは、前記第2方向に設けられる撮像素子。
【請求項7】
請求項5または6に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部は、前記第2方向において、前記第1転送部と前記第3転送部との間に設けられ、
前記第2蓄積部は、前記第2方向において、前記第2転送部と前記第4転送部との間に設けられる撮像素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第3光電変換部と前記第4光電変換部とで生成された電荷を蓄積する第3蓄積部を備える撮像素子。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像素子において、
前記第3蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第3出力部を備え、
前記第2信号線は、前記第3出力部から信号が出力される撮像素子。
【請求項10】
請求項8または9に記載の撮像素子において、
前記第3光電変換部で生成された電荷と前記第4光電変換部で生成された電荷とを前記第3蓄積部に転送する第5転送部を備える撮像素子。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは、第1マイクロレンズを透過した光を光電変換部し、
前記第3光電変換部と前記第4光電変換部とは、第2マイクロレンズを透過した光を光電変換部する撮像素子。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子から出力された信号に基づいて画像データを生成する生成部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1および第2の光電変換部を有する画素から、第1および第2の光電変換部による第1および第2の信号を個別に読み出したり、第1および第2の信号を加算して読み出すことができる撮像素子が知られている(特許文献1参照)。従来技術では、個別読み出しの場合には、第1および第2の光電変換部の電荷は、第1および第2のFDに個別に転送されていた。また、加算読み出しの場合には、第1および第2の光電変換部の電荷は、電気的に接続された第1および第2のFDに転送されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2013-90160号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、第1方向に設けられ、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と第2光電変換部と、前記第1方向に設けられ、光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と第4光電変換部と、前記第1光電変換部で生成された電荷および前記第3光電変換部で生成された電荷の少なくとも1方を蓄積する第1蓄積部と、前記第2光電変換部で生成された電荷および前記第4光電変換部で生成された電荷の少なくとも1方を蓄積する第2蓄積部と、前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第1出力部と、前記第2蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第2出力部と、前記第1方向と交差する第2方向に配線され、前記第1出力部から信号が出力される第1信号線と、前記第2方向に配線され、前記第2出力部から信号が出力される第2信号線と、を備える。
本発明の第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様による撮像素子と、前記撮像素子から出力された信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態によるカメラを例示するブロック図である。
図2】撮像素子の概略構成を例示する図である。
図3】撮像素子の画素配置を説明する回路図である。
図4図3のM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図5図4の画素のレイアウトを説明する図である。
図6】撮像素子に供給される各種制御信号を説明する図である。
図7】a系列およびb系列の信号を例示する図である。
図8】第1の実施の形態の変形例1においてM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図9】撮像素子に供給される各種制御信号を説明する図である。
図10】第1の実施の形態の変形例2においてM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図11図10の画素のレイアウトを説明する図である。
図12】撮像素子に供給される各種制御信号を説明する図である。
図13】第2の実施の形態においてM列に並ぶ画素を説明する回路図である。
図14図13の画素のレイアウトを説明する図である。
図15】第2の実施の形態の変形例2において、M列に並ぶ画素のうち、N+1行目の画素と、N+2行目の画素20Gと、N+3行目の画素20Rとに注目した図である。
図16】第2の実施の形態の変形例2の撮像素子に供給される各種制御信号を説明する図である。
図17図17(a)は、第3の実施の形態による撮像素子の画素の回路を説明する図である。図17(b)は、図17(a)のうちの光電変換部の領域Uを拡大した図である。
図18】第3の実施の形態の撮像素子に供給される各種制御信号を説明する図である。
図19】第3の実施の形態の撮像素子に対し、焦点調節用の読み出し時に供給される各種制御信号を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態による固体撮像素子3(以降、撮像素子3と称する)を用いた焦点検出装置を搭載するデジタルカメラ1(以降、カメラ1と称する)を例示するブロック図である。
第1の実施の形態において、一眼レフタイプやミラーレスタイプ等のレンズ交換式のカメラ1を例に説明するが、レンズ交換式のカメラでなくてもよい。例えば、レンズ一体型のカメラ、あるいはスマートフォン等の携帯端末に搭載されるカメラのような撮像装置として構成してもよい。また、静止画に限らず、動画を撮像するビデオカメラ、モバイルカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
【0007】
<カメラの構成>
カメラ1には、撮像光学系として撮影レンズ2が装着される。撮影レンズ2は、フォーカシングレンズや絞りを有する。撮影レンズ2が有するフォーカシングレンズや絞りは、マイクロプロセッサ9から指示を受けたレンズ制御部2aによって制御される。撮影レンズ2は、撮像素子3の撮像面に光学像(被写体像)を結像させる。撮影レンズ2は、結像光学系とも称する。
【0008】
撮像素子3は、複数の画素を有する。後述するように、複数の画素は、入射した光を光電変換して電荷を生成する2つの光電変換部をそれぞれ有する。複数の画素は、撮影レンズ2を透過した光をそれぞれ光電変換する。複数の画素は、光電変換により生成された電荷に基づいて信号をそれぞれ出力する。撮像素子3は、マイクロプロセッサ9から指示を受けた撮像制御部4によって制御される。撮像素子3が有する複数の画素から出力される信号は、信号処理部5、およびA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦記憶される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、メモリ7、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(焦点検出処理部)10、記録部11、画像圧縮部12および画像処理部13などが接続される。
なお、撮像素子3が、信号処理部5と、A/D変換部6と、メモリ7との一部または全部を含む構成にしてもよい。撮像素子3は、信号処理部5およびA/D変換部6およびメモリ7のうち少なくとも1つと複数の画素とが積層される構成であってもよい。
【0009】
マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aから操作信号が入力される。マイクロプロセッサ9は、操作部9aからの操作信号に基づいて各ブロックへ指示を送り、カメラ1を制御する。
【0010】
焦点演算部10は、撮像素子3が有する画素からの信号に基づき、瞳分割型の位相差検出方式によって撮影レンズ2による焦点調節状態を算出する。焦点演算部10は、後述する画素20が有する第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2で生成される電荷に基づく信号に基づいて、撮影レンズ2による像が撮像素子3の撮像面上に合焦するためのフォーカスレンズの合焦位置を算出する。具体的には、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した複数の光束による像の像ズレ量を検出し、検出した像ズレ量に基づいてデフォーカス量を算出する。デフォーカス量は、撮影レンズ2による像が結像する結像面と撮像素子3の撮像面とのずれ量である。位相差検出方式によるデフォーカス量の演算は公知であるため、詳細な説明は省略する。焦点演算部10は、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までのフォーカスレンズの移動量を算出する。
マイクロプロセッサ9は、レンズ制御部2aへフォーカシングレンズの移動を指示するとともに、算出したフォーカスレンズの移動量を送る。これにより、焦点調節が自動で行われる。焦点演算部10、マイクロプロセッサ9およびレンズ制御部2aは、焦点調節部として動作する。
【0011】
画像処理部13は、メモリ7に記憶された撮像素子3からの信号に対して所定の画像処理を行って画像データを生成する。画像処理部13は、画像生成部として動作する。画像圧縮部12は、画像処理後の画像データを所定形式でデータ圧縮する。記録部11は、圧縮後の画像データを所定のファイル形式で記録媒体11aに記録したり、記録媒体11aに記録されている画像データを読み出したりする。記録媒体11aは、記録部11に対して着脱自在のメモリカードなどで構成される。
【0012】
また、画像処理部13は、画像を表示部14に表示させるための画像データを生成する。表示部14は、画像処理部13で生成された画像データに基づく画像を表示する。表示部14が表示する画像には、記録媒体11aに記録されている画像データに基づく再生画像(静止画、動画)や、撮像素子3によって所定の間隔(例えば60fps)で取得されるモニタ用画像(ライブビュー画像とも称される)が含まれる。
【0013】
<撮像素子の概要>
図2は、撮像素子3の概略構成を例示する図である。撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、各画素20からの信号を出力するための周辺回路とを有する。一般に、画像を構成する最小単位が「画素」と称されるが、本実施の形態では、画像を構成する最小単位の信号を生成する構成を「画素」と称する。
撮像領域31は、画素20がマトリクス状に配置されている領域を示す。図2の例では、撮像領域31として水平に4行×垂直に4列の16画素分の範囲を例示しているが、実際の画素数は図2に例示するものよりはるかに多い。
【0014】
図3は、撮像素子3の画素配置を例示する図である。画素20には、マイクロレンズMLと不図示のカラーフィルタとが設けられる。カラーフィルタは、一画素20につき、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタのいずれか一つが設けられる。Rのカラーフィルタは、主に赤色の波長域の光を透過する。また、Gのカラーフィルタは、主に緑色の波長域の光を透過する。さらに、Bのカラーフィルタは、主に青色の波長域の光を透過する。Gのカラーフィルタは、Rのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。Bのカラーフィルタは、Gのカラーフィルタよりも波長が短い波長域の光を透過する。これにより、各画素20は、配置されたカラーフィルタによって異なる分光特性を有する。
【0015】
撮像素子3には、RおよびGのカラーフィルタを有する画素20(以下、それぞれ画素20R、画素20Gと称する)が交互に配置される画素行と、GおよびBのカラーフィルタを有する画素20(以下、それぞれ画素20G、画素20Bと称する)が交互に配置される画素行とが、二次元状に繰り返し配置される。第1の実施の形態では、画素20R、画素20G、および画素20Bが、ベイヤー配列に従って配置される。
なお、以降の説明において、R、G、Bを付さずに画素20と称する場合は、画素20R、画素20G、および画素20Bを全て含むものとする。
【0016】
各画素20には、それぞれ2つの光電変換部が設けられる。一般に、1画素当たり2つの光電変換部が設けられる場合、2つの光電変換部が水平方向、すなわち行方向に並ぶ場合(水平分割とも称される)と、2つの光電変換部が垂直方向、すなわち列方向に並ぶ場合(垂直分割とも称される)とが存在する。第1の実施の形態では、撮像領域31の全域にわたって水平分割の画素20が配される。ただし、所定の領域には、水平分割の画素20に代えて垂直分割の画素20を配してもよい。各画素20は、周辺回路からの制御信号にしたがって2つの光電変換部で光電変換を行い、光電変換で生成された電荷に基づく信号を出力する。
【0017】
図3では、各画素20の2つの光電変換部のうちの一方をハッチングして示す。ハッチングされた光電変換部は、この光電変換部で生成された電荷に基づいて後述する第1信号が生成されることを示す。また、ハッチングされない光電変換部は、この光電変換部で生成された電荷に基づいて、後述する第2信号が生成されることを示す。
各画素20は、周辺回路からの制御信号にしたがって2つの光電変換部で光電変換を行い、光電変換信号を出力する。
【0018】
再び図2を用いて説明する。周辺回路は、例えば、垂直走査回路21と、水平走査回路22と、これらと接続されている制御信号線23、24と、画素20からの信号を受け取る第1~第3の垂直信号線25a、25b、25cと、第1~第3の垂直信号線25a、25b、25cに接続される定電流源26と、相関二重サンプリング回路(CDS回路)27と、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28と、出力アンプ29等により構成される。本実施の形態では、列方向に配置された複数の画素20からなる1画素列に対し、3本の垂直信号線、すなわち第1~第3の垂直信号線25a、25b、25cが設けられている。
【0019】
垂直走査回路21および水平走査回路22は、撮像制御部4からの指示により所定の制御信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される制御信号によって駆動され、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を第1~第3の垂直信号線25a、25b、25cに出力する。画素20から出力された信号は、CDS回路27にてノイズ除去が施され、水平走査回路22からの制御信号によって水平信号線28および出力アンプ29を介して外部へ出力される。
【0020】
<1画素2PD構成>
図4は、図3においてM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rとを説明する回路図である。各画素20は、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタの内側(背後)に光電変換部として2つのフォトダイオードPD-1およびPD-2を有する。すなわち、各画素20は、画素20の左側に配置された第1のフォトダイオードPD-1と、画素20の右側に配置された第2のフォトダイオードPD-2とを有する。
したがって、各画素20の第1のフォトダイオードPD-1には、撮影レンズ2の瞳の第1の領域を通過した光束が入射し、第2のフォトダイオードPD-2には、撮影レンズ2の瞳の第2の領域を通過した光束が入射する。
【0021】
本実施の形態では、例えば、第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2と、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2で生成された電荷に基づく信号を読み出す読み出し部とを含めて「画素」と呼ぶ。読み出し部は、後述する転送トランジスタ、FD領域、増幅トランジスタ、および選択トランジスタを含む例を説明するが、読み出し部の範囲は、必ずしも本例の通りでなくてもよい。
【0022】
各画素20において、上述のように、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2には、それぞれ撮影レンズ2の瞳の異なる領域、すなわち第1および第2の領域を通過した光が入射される。第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2は、それぞれ入射光を光電変換して電荷を生成する。第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷は、第1の転送トランジスタTx-1を介して第1のFD(フローティング拡散)領域FD1へ転送される。
【0023】
第1のFD領域FD1は、受け取った電荷を蓄積し、電圧に変換する。第1のFD領域FD1の電位に応じた信号は、第1の増幅トランジスタAMP1によって増幅される。第1のFD領域FD1および第1の増幅トランジスタAMP1は、第1信号生成部として動作する。そして、行を選択する第1の選択トランジスタSEL1によって選択された行の信号として、第1の垂直信号線25a(出力部)を介して読み出される。第1のリセットトランジスタRST1は、第1のFD領域FD1の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0024】
第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷は、第2の転送トランジスタTx-2を介して第2のFD領域FD2へ転送される。第2のFD領域FD2は、受け取った電荷を蓄積し、電圧に変換する。第2のFD領域FD2の電位に応じた信号は、第2の増幅トランジスタAMP2によって増幅される。第2のFD領域FD2および第2の増幅トランジスタAMP2は、第2信号生成部として動作する。そして、行を選択する第2の選択トランジスタSEL2によって選択された行の信号として、第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出される。第2のリセットトランジスタRST2は、第2のFD領域FD2の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0025】
本実施の形態による撮像素子3は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷および第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を、第3の転送トランジスタ部Tx-3を介してまとめて第3のFD領域FD3へ転送することもできる。第3の転送トランジスタ部Tx-3は、第1のフォトダイオードPD-1の電荷を第3のFD領域FD3へ転送する転送トランジスタTx-3aと、第2のフォトダイオードPD-2の電荷を第3のFD領域FD3へ転送する転送トランジスタTx-3bとを有する。
第3のFD領域FD3は、第1のフォトダイオードPD-1およびPD-2からの電荷を蓄積し、電圧に変換する。第3のFD領域FD3の電位に応じた信号は、第3の増幅トランジスタAMP3によって増幅される。第3のFD領域FD3および第3の増幅トランジスタAMP3は、第3信号生成部として動作する。そして、行を選択する第3の選択トランジスタSEL3によって選択された行の信号として、第3の垂直信号線25c(出力部)を介して読み出される。第3のリセットトランジスタRST3は、第3のFD領域FD3の電位をリセットするリセット部として動作する。
【0026】
第1の実施の形態では、例えば、水平分割された画素20の左側に配置された第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷に基づく信号(第1信号と称する)と、画素20の右側に配置された第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷に基づく信号(第2信号と称する)と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく信号(第3信号と称する)とが、それぞれ異なる第1~第3の垂直信号線25a、25b、25cを介して読み出される。
【0027】
<制御信号>
画素20において、第1の転送トランジスタTx-1は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷を第1のFD領域FD1へ転送する場合に、第1の制御信号φTx1によってオンされる。第2の転送トランジスタTx-2は、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を第2のFD領域FD2へ転送する場合に、第2の制御信号φTx2によってオンされる。第3の転送トランジスタ部Tx-3は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷とをまとめて第3のFD領域FD3へ転送する場合に、第3の制御信号φTx3によってオンされる。すなわち、第3の転送トランジスタ部Tx-3の各転送トランジスタTx-3a、Tx-3bは、第3の制御信号φTx3によって同時にオンされる。
【0028】
行選択用の第1の選択トランジスタSEL1は、第1信号を第1の垂直信号線25a(出力部)に出力させる場合に、第1の制御信号φSEL1によってオンされる。行選択用の第2の選択トランジスタSEL2は、第2信号を第2の垂直信号線25b(出力部)に出力させる場合に、第2の制御信号φSEL2によってオンされる。行選択用の第3の選択トランジスタSEL3は、第3信号を第3の垂直信号線25c(出力部)に出力させる場合に、第3の制御信号φSEL3によってオンされる。
【0029】
第1のリセットトランジスタRST1は、第1のFD領域FD1の電位をリセットさせる場合に、第1の制御信号φRST1によってオンされる。第2のリセットトランジスタRST2は、第2のFD領域FD2の電位をリセットさせる場合に、第2の制御信号φRST2によってオンされる。第3のリセットトランジスタRST3は、第3のFD領域FD3の電位をリセットさせる場合に、第3の制御信号φRST3によってオンされる。
【0030】
図5は、図4の回路図に対応する画素20Gおよび20Rのレイアウトを説明する模式図である。なお、第1~第3の制御信号φTx1~φTx3、第1~第3の制御信号φRST1~φRST3、および第1~第3の制御信号φSEL1~φSEL3の配線については、図示を省略している。
図5において、第1および第2のFD領域FD1、FD2が画素20の左右に並ぶように、第1のFD領域FD1は第1のフォトダイオードPD-1の一端側に配置され、第2のFD領域FD2は第2のフォトダイオードPD-2の一端側に配置される。第3のFD領域FD3は、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2の他端側に配置される。また、画素20の左右に配置された第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2の面積は、略同じである。また、本実施の形態において、第1のFD領域FD1における静電容量(以後、単に容量と称する)と関係性が強い第1の転送トランジスタTx-1のゲート酸化膜の面積および第1のFD領域FD1の面積は、第2のFD領域FD2における容量と関係性が強い第2の転送トランジスタTx-2のゲート酸化膜の面積および第2のFD領域FD1の面積とそれぞれ略同じである。
【0031】
さらにまた、本実施の形態において、第3のFD領域FD3における容量と関係性が強い第3の転送トランジスタ部Tx-3のゲート酸化膜の面積および第3のFD領域FD3の面積は、それぞれ上記の第1の転送トランジスタTx-1のゲート酸化膜の面積および第1のFD領域FD1の面積と、または、第2の転送トランジスタTx-2のゲート酸化膜の面積および第2のFD領域FD2の面積と略同じである。
こうして、上述した3組の転送トランジスタおよびFD領域は、それぞれ同じプロセスを経て形成されるため、3組のFD領域FD1~FD3における容量は略等しくなっている。
【0032】
上述したように、画素20における第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2の面積を略同じに構成しているので、入射した光の単位光量あたりに生成される電荷量(光電変換効率)が略等しくなる。例えば、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2に同じ光量の光が入射する場合は、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2によってそれぞれ生成される電荷量Qは略等しくなる。したがって、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2から第1のFD領域FD1、第2のFD領域FD2にそれぞれ転送される電荷量Qが略等しくなる。また、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2に異なる光量の光が入射する場合は、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2それぞれに入射した光量に基づいて異なる電荷量がそれぞれ生成される。したがって、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2それぞれで生成された異なる電荷量が、第1のFD領域FD1、第2のFD領域FD2にそれぞれ転送される。
また、電位差V=Q/Cが成立することから、第1のFD領域FD1の容量Cと第2のFD領域FD2の容量Cとを略同じにしたことにより、単位電荷量あたりに変換される電圧(信号)への変換効率(信号生成効率)が略等しくなる。例えば、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2によって略等しい電荷量Qがそれぞれ生成された場合は、第1信号生成部と第2信号生成部とで生成される信号の大きさは、略等しいものとなる。また、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2によって異なる電荷量がそれぞれ生成された場合は、第1信号生成部と第2信号生成部とで異なる電荷量に基づく信号がそれぞれ生成される。すなわち、第1信号生成部と第2信号生成部とで、信号生成効率が略同じとなり、信号生成効率のばらつきが抑えられる。第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2の光電変換効率が略等しく、第1信号生成部と第2信号生成部との信号生成効率が略等しいことは、光電変換時の変換利得が略等しいことを意味する。
【0033】
本実施の形態ではさらに、第3信号生成部における第3のFD領域FD3の容量Cも、第1信号生成部における第1のFD領域FD1の容量C(第2信号生成部における第2のFD領域FD2の容量C)と略同じにしたので、第3信号生成部と、第1信号生成部(第2信号生成部)とにおいても信号生成効率が略同じとなり、信号生成効率のばらつきが抑えられている。
第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2の光電変換効率が略等しく、第3信号生成部と第1信号生成部との間の信号生成効率が略等しいことは、第1信号生成部~第3信号生成部の光電変換時の変換利得が略等しいことを意味する。
したがって、例えば、上述のように第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2に同じ光量の光が入射する場合は、第3信号生成部で生成される信号の大きさは、第1信号生成部で生成される信号(第2信号生成部で生成される信号)の略2倍になる。
【0034】
一般に、FD領域の面積が広くなると容量が大きくなり、信号生成効率が低下(換言すると、変換利得が低下)する。しかしながら、本実施の形態では、第3の転送トランジスタ部Tx-3のゲート酸化膜の面積と第3のFD領域FD3の面積を、それぞれ第1の転送トランジスタTx-1のゲート酸化膜の面積と第1のFD領域FD1の面積と略同じにしたことによって、第3信号生成部の変換利得が第1信号生成部の変換利得と略等しい。また、第1信号生成部の変換利得は、第2信号生成部の変換利得とも略等しい。
以上のことから、第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2によって生成された電荷に基づく信号を加算して読み出す場合の変換利得が、第1のフォトダイオードPD-1または第2のフォトダイオードPD-2によって生成された電荷に基づく信号を個別に読み出す場合に比べて低下することを防止することができる。
【0035】
<タイムチャートの説明>
図6は、撮像素子3に供給される各種制御信号を説明するタイムチャートである。焦点調節を行うため、第1信号と第2信号とを個別に読み出す期間(図6の焦点調節用の読み出し期間)において、Hレベルの第1および第2の制御信号φSEL1およびφSEL2のそれぞれが、第1の選択トランジスタSEL1および第2の選択トランジスタSEL2に同時に供給される。これにより、第1信号を出力させる第1の選択トランジスタSEL1、第2信号を出力させる第2の選択トランジスタSEL2が同時にオンする。また、第1の制御信号φRST1としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第1のリセットトランジスタRST1がオンして第1のFD領域FD1の電位がリセットされる。同様に、第2の制御信号φRST2としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第2のリセットトランジスタRST2がオンして第2のFD領域FD2の電位がリセットされる。破線t1で示す時点で、それぞれリセットレベルの第1信号および第2信号が、第1および第2の垂直信号線25aおよび25bを介して読み出される。
【0036】
続いて、第1の制御信号φTx1としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第1の転送トランジスタTx-1がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷が第1のFD領域FD1へ転送される。第1の制御信号φTx1の供給と同時に、第2の制御信号φTx2としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第2の転送トランジスタTx-2がオンして第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷が第2のFD領域FD2へ転送される。これにより、破線t2で示す時点で、それぞれシグナルレベルの第1信号および第2信号が、第1および第2の垂直信号線25aおよび25bを介して読み出される。
【0037】
画像データを生成するため、第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2によって生成された電荷に基づく信号を加算して読み出しを行う期間(図6の画像用の読み出し期間)において、Hレベルの第3の制御信号φSEL3が第3の選択トランジスタSEL3に供給される。これにより、第3信号を出力させる第3の選択トランジスタSEL3がオンする。また、第3の制御信号φRST3としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第3のリセットトランジスタRST3がオンして第3のFD領域FD3の電位がリセットされる。破線t3で示す時点で、リセットレベルの第3信号が、第3の垂直信号線25cを介して読み出される。
【0038】
続いて、第3の制御信号φTx3としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第3の転送トランジスタ部Tx-3がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷が第3のFD領域FD3に転送される。これにより、破線t4で示す時点で、シグナルレベルの第3信号が第3の垂直信号線25cを介して読み出される。
【0039】
<焦点調節>
本実施の形態のカメラ1は、焦点検出に用いる一対の焦点検出信号を、例えば、フォーカスエリアに含まれる画素行から読み出された、画素20Gの第1信号と第2信号とに基づいて生成する。フォーカスエリアは、焦点演算部10が位相差情報としての像ズレ量を検出するエリアであり、焦点検出エリア、測距点、オートフォーカス(AF)ポイントとも称される。
【0040】
マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦の半押し操作がされたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、撮像制御部4に焦点調節用の撮像を指示する。焦点調節用の撮像では、撮像素子3の読み出し対象となる画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から焦点調節用の読み出しを行うための制御信号を供給して焦点調節用の読み出しを行う。焦点調節用の読み出しは、画素行の各画素20Gに第1の制御信号φTx1等を供給して画素20Gの第1のフォトダイオードPD-1から第1信号を読み出すとともに、各画素20Gに第2の制御信号φTx2等を供給して画素20Gの第2のフォトダイオードPD-2から第2信号を読み出すことをいう。
【0041】
焦点調節用の読み出しにより、第1および第2の制御信号φTx1、φTx2が供給された画素行の各画素20Gから読み出された第1信号と第2信号とがメモリ7に記憶される。メモリ7に記憶された複数の第1信号A1,A2,…,An(a系列の信号と称する)と、メモリ7に記憶された複数の第2信号B1,B2,…,Bn(b系列の信号と称する)とは、撮影レンズ2の瞳の異なる領域を通過した複数の光束による像の強度分布を表す。
【0042】
図7は、複数の第1信号からなるa系列の信号と、複数の第2信号からなるb系列の信号とを例示する図である。図7において、n個のa系列の信号をハッチング処理した丸で表す。また、n個のb系列の信号を白丸で表す。画素20Gからのa系列の信号およびb系列の信号は、それぞれ図3の1列おきに読み出される。図7の縦の破線は、画素列に対応する。
焦点演算部10は、上記a系列の信号とb系列の信号とに基づき、像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって複数の像の像ズレ量を算出し、像ズレ量に所定の変換係数を乗算することによってデフォーカス量を算出する。
【0043】
次に、マイクロプロセッサ9は、焦点演算部10によって算出されたデフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値を超えている場合は合焦していないと判断し、レンズ制御部2aへレンズ移動指示を送る。レンズ制御部2aは、デフォーカス量を許容値以内に納める位置(焦点位置)へフォーカシングレンズを移動させる。一方、マイクロプロセッサ9は、デフォーカス量が許容値以内であれば合焦していると判断し、レンズ移動指示を送らない。
【0044】
また、表示部14にモニタ用画像を表示しながら焦点調節を行う場合には、撮像制御部4は、撮像素子3に焦点調節用の読み出しと、後述する画像用の読み出しとを、例えば画素行の1行ごとに交互に行わせることができる。この場合、マイクロプロセッサ9は、例えば、焦点調節用の読み出しの対象とする画素行から焦点調節用の読み出しが行われた後、メモリ7に記憶されたa系列の信号およびb系列の信号に基づく像ズレ検出演算処理を開始させる。
【0045】
一方、画像用の読み出しでは、撮像素子3の読み出し対象となる画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から画像用の読み出しを行うための制御信号を供給して画像用の読み出しを行う。画像用の読み出しは、画素行の各画素20Gに制御信号φTx3等を供給して第3信号を読み出すことをいう。第3信号は、上述したように、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく画像データを生成するための信号である。画像処理部13は、画像用の読み出しによってメモリ7に記憶された第3信号に対して所定の画像処理を行うことにより、表示部14にモニタ用画像を表示させるための画像データを生成する。
このように、カメラ1が焦点調節を行いながらモニタ用画像の表示を行う場合、撮像制御部4は、上述の焦点調節用の読み出しと画像用の読み出しとを繰り返し行わせる。
【0046】
なお、上述したカメラ1では、フォーカスエリアに含まれる画素行から読み出された、画素20Gの第1信号と第2信号とに基づいて焦点調節に用いる画像データを生成した。焦点調節に用いる画像データは、画素20Gによる第1信号と第2信号とに限らず、画素20Rによる第1信号と第2信号とに基づいて生成してもよく、画素20Bによる第1信号と第2信号とに基づいて生成してもよい。
【0047】
<画像データの生成>
本実施の形態のカメラ1は、被写体像に関する画像データを、撮像領域31(図2)の各画素20から読み出された第3信号に基づいて生成する。マイクロプロセッサ9は、例えば、レリーズ釦の全押し操作がされたことを示す操作信号が操作部9aから入力されると、撮像制御部4に記録用の撮像を指示する。記録用の撮像では、撮像素子3の各画素行に対し、垂直走査回路21および水平走査回路22から制御信号を供給し、画像用の読み出しを行う。具体的には、画素行の各画素20に第3の制御信号φTx3等を供給して画素20から第3信号を読み出す。
【0048】
これにより、画像用の読み出しによって各画素20から読み出された第3信号がメモリ7に記憶される。画像処理部13は、メモリ7に記憶された第3信号に対し、階調処理や色補間処理などを施して、記録用の画像データを生成する。
【0049】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3には、マイクロレンズMLを透過した光を光電変換して電荷を生成する第1のフォトダイオードPD-1と、マイクロレンズMLを透過した光を光電変換して電荷を生成する第2のフォトダイオードPD-2と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷を蓄積する第1のFD領域FD1と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を蓄積する第2のFD領域FD2と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷および第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を蓄積する第3のFD領域FD3と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷を第1のFD領域FD1に転送する第1の転送トランジスタTx-1と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を第2のFD領域FD2に転送する第2の転送トランジスタTx-2と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷および第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を第3のFD領域FD3に転送する第3の転送トランジスタ部Tx-3と、を有する画素20が複数設けられる。
これにより、各画素20から、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷に基づく第1信号と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷に基づく第2信号とを、適切に、個別に読み出したりまとめて読み出したりすることができる。
【0050】
(2)上記(1)の第3のFD領域FD3は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷および第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷で生成された電荷を合わせた電荷を蓄積するので、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2で生成された電荷の和に基づく第3信号を、一つの信号として読み出すことができる。
【0051】
(3)上記(1)の第1のFD領域FD1の容量と、第2のFD領域FD2の容量との差が予め定めた値より小さく、かつ、第1のFD領域FD1または第2のFD領域FD2の容量と、第3のFD領域FD3の容量との差が予め定めた値より小さくした。これにより、上述した3組のFD領域FD1~FD3における容量は略等しくなり、上述した第1~第3信号生成部における光電変換時の変換利得を略等しくすることが可能になる。変換利得を略等しくすることで、生成される信号に基づく焦点調節の精度が悪くなることを抑えられる。また、生成される画像データに基づく画像の画質が低下することを抑えられる。
【0052】
(4)上述した撮像素子3において、画素20は、第1のFD領域FD1に蓄積された電荷に基づく第1信号を出力する第1の垂直信号線25aと、第2のFD領域FD2に蓄積された電荷に基づく第2信号を出力する第2の垂直信号線25bと、第3のFD領域FD3に蓄積された電荷に基づく第3信号を出力する第3の垂直信号線25cとを有するので、上述した第1~第3信号生成部による第1信号~第3信号を個別に読み出すことができる。
【0053】
(5)上記(4)の撮像素子3において、複数の画素20のうち少なくとも1つは、第1のFD領域FD1に蓄積された電荷に基づく第1信号を第1の垂直信号線25aから出力するとともに、第2のFD領域FD2に蓄積された電荷に基づく第2信号を第2の垂直信号線25bから出力し、複数の画素20のうち少なくとも1つは、第3のFD領域FD3に蓄積された電荷に基づく第3信号を第3の垂直信号線25cから出力する。これにより、例えば画素行ごとに、焦点調節用の読み出しと画像用の読み出しとを行わせることができる。
【0054】
(6)上記(4)または(5)の撮像素子3において、第1の垂直信号線25aから出力される、第1信号生成部による第1信号の生成効率と、第2の垂直信号線25bから出力される、第2信号生成部による第2信号の生成効率との差が予め定めた値より小さく、かつ、第1信号生成部による第1信号の生成効率または第2信号生成部による第2信号の生成効率と、第3の垂直信号線25cから出力される、第3信号生成部による第3信号の生成効率との差が予め定めた値より小さくした。これにより、上述した第1~第3信号生成部における光電変換時の変換利得を略等しくすることができる。変換利得を略等しくすることで、生成される信号に基づく焦点調節の精度が悪くなることを抑えられる。また、生成される画像データに基づく画像の画質が低下することを抑えられる。
【0055】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施の形態と組み合わせることも可能である。
(第1の実施の形態の変形例1)
第1の実施の形態の変形例1では、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく第3信号を、第1の垂直信号線25aまたは第2の垂直信号線25bを介して読み出す。
図8は、第1の実施の形態の変形例1において、図3のM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rとを説明する回路図である。第1の実施の形態の図4と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
図8において、行を選択する第3の選択トランジスタSEL3によって選択された行の第3信号が、第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出される点で、第3の垂直信号線25c(出力部)を介して読み出される第1の実施の形態(図4)と相違する。第3信号を第2信号と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出すことで、配線を減らすことができる。これにより、第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2の面積を大きくすることができる。これにより、撮像素子3の開口率を高めることができる。
なお、第1の実施の形態の変形例1では、第3信号を第2信号と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出す例を説明するが、第3信号を第1信号と同じ第1の垂直信号線25a(出力部)を介して読み出す構成にしてもよい。
【0057】
あるいは、同じ画素列において、例えば奇数行では、第3信号を第2信号と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出し、偶数行では、第3信号を第1信号と同じ第1の垂直信号線25a(出力部)を介して読み出す構成にしてもよい。例えば、画素行ごとに出力部を異ならせることで、偶数行の画素と奇数行の画素とから同時に第3信号を読み出すことができる。さらに、第1の垂直信号線25a(出力部)と第2の垂直信号線25b(出力部)とにおいて、接続される第3の選択トランジスタSEL3の数の偏りを抑えられる。これにより、第1の垂直信号線25a(出力部)の寄生容量と第2の垂直信号線25b(出力部)の寄生容量とが偏って、寄生容量が大きい方の垂直信号線で読み出し速度が低下することを防止できる。
具体例をあげると、隣り合う一方の画素20は、第3のFD領域FD3に蓄積された電荷に基づく第3信号を第2の垂直信号線25bに出力し、隣り合う他方の画素20は、第3のFD領域FD3に蓄積された電荷に基づく信号を第1の垂直信号線25aに出力する。
【0058】
<タイムチャートの説明>
図9は、第1の実施の形態の変形例1の撮像素子3に供給される各種制御信号を説明するタイムチャートである。第1の実施の形態(図6)と同様に、焦点調節用の読み出しを行う期間において、Hレベルの第1および第2の制御信号φSEL1およびφSEL2それぞれが、第1の選択トランジスタSEL1および第2の選択トランジスタSEL2に供給される。これにより、第1信号を出力させる第1の選択トランジスタSEL1、および第2信号を出力させる第2の選択トランジスタSEL2がオンする。また、第1の制御信号φRST1としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第1のリセットトランジスタRST1がオンして第1のFD領域FD1の電位がリセットされる。同様に、第2の制御信号φRST2としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第2のリセットトランジスタRST2がオンして第2のFD領域FD2の電位がリセットされる。破線t1で示す時点で、それぞれリセットレベルの第1信号および第2信号が第1および第2の垂直信号線25aおよび25bを介して読み出される。
【0059】
続いて、第1の制御信号φTx1としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第1の転送トランジスタTx-1がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷が第1のFD領域FD1へ転送される。同様に、第2の制御信号φTx2としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第2の転送トランジスタTx-2がオンして第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷が第2のFD領域FD2へ転送される。これにより、破線t2で示す時点で、それぞれシグナルレベルの第1信号および第2信号が第1および第2の垂直信号線25a、25bを介して読み出される。
以上の焦点調節用の読み出し動作は、図6に示した焦点調節用の読み出し動作と同一である。
【0060】
画像用の読み出しを行う期間において、Hレベルの第3の制御信号φSEL3が供給されることにより、第3信号を出力させる第3の選択トランジスタSEL3がオンする。また、第3の制御信号φRST3としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第3のリセットトランジスタRST3がオンして第3のFD領域FD3の電位がリセットされる。破線t3で示す時点で、リセットレベルの第3信号が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
【0061】
続いて、第3の制御信号φTx3としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第3の転送トランジスタ部Tx-3がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷が第3のFD領域FD3へ転送される。これにより、破線t4で示す時点で、シグナルレベルの第3信号が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
このように、第3信号を第2信号と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出すことができる。
【0062】
以上説明した第1の実施の形態の変形例1によれば、次の作用効果が得られる。すなわち、撮像素子3において、第3の垂直信号線25cを、第1または第2の垂直信号線25aまたは25bと共通にしたので、配線を減らすことができる。これにより、撮像素子3の開口率を高めることができる。
【0063】
(第1の実施の形態の変形例2)
第1の実施の形態の変形例2では、図10に示すように、第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とを電気的に接続/接断するトランジスタSWを設ける。第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく信号の読み出しを、二つの方法で行うためである。一つ目の読み出し方法は、トランジスタSWをオフしておき、第1の実施の形態の変形例1(図8)と同様に、第3の選択トランジスタSEL3、第3の転送トランジスタ部Tx-3をオンさせて、第3信号を第2の垂直信号線25bから読み出す方法である。二つ目の読み出し方法は、トランジスタSWをオンしておき、第2の選択トランジスタSEL2と、第1および第2の転送トランジスタTx-1およびTx-2とをオンさせて、第1信号と第2信号との和を第2の垂直信号線25bから読み出す方法である。もちろん、上記の二つ目の読み出し方法として、トランジスタSWをオンして、第1の選択トランジスタSEL1と、第1および第2の転送トランジスタTx-1およびTx-2とをオンさせて、第1信号と第2信号との和を第1の垂直信号線25aから読み出すこともできる。
図10は、第1の実施の形態の変形例2において、図3のM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rとを説明する回路図である。第1の実施の形態の変形例1(図8)と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
上述したように、第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とを電気的に接断するトランジスタSWを配置した点が、第1の実施の形態の変形例(図8)と相違する。図11は、図10の回路図に対応する画素20Gおよび20Rのレイアウトを説明する模式図である。なお、トランジスタSWのオンとオフを切り替える制御信号φSW、第1~第3の制御信号φTx1~φTx3、第1~第3の制御信号φRST1~φRST3、および第1~第3の制御信号φSEL1~φSEL3の配線については、図示を省略している。
【0065】
図11において、トランジスタSWがオンされている状態では、第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とが電気的につながり、FD領域の面積が2倍以上に広がる。このため、トランジスタSWがオンした場合のFD領域(第1のFD領域FD1+第2のFD領域FD2)における容量は、第1のFD領域FD1の容量(または第2のFD領域FD2、または第3のFD領域FD3の容量)の2倍以上になる。これにより、トランジスタSWがオンした場合のFD領域(第1のFD領域FD1+第2のFD領域FD2)による信号生成部の変換利得は、第3のFD領域FD3による第3信号生成部の変換利得より低下する(例えば1/2以下)。
これに対し、トランジスタSWがオフされている状態では、第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とが電気的に分離される。この状態では、第1の実施の形態の変形例1(図8)と同様の作用効果が得られる。
【0066】
以上のことから、第1の実施の形態の変形例2においては、撮影状況によって上記一つ目の読み出し方法と二つ目の読み出し方法と切り替える。例えば、周囲が暗い環境または暗い被写体を撮影するとき、トランジスタSWをオフして上記一つ目の読み出し方法に切り替える。これにより、高い変換利得に基づいた高いレベルの第3信号を読み出すことができる。これにより、暗い環境または暗い被写体を撮影したときでも明るい画像が得られる。
一方、周囲が明る過ぎる環境または明るい被写体を撮影するとき、トランジスタSWをオンして上記二つ目の読み出し方法に切り替える。これにより、一つ目の読み出し方法の変換利得よりも低い変換利得に基づき信号レベルを抑えた第3信号を読み出すことができる。これにより、明る過ぎる環境または明るい被写体を撮影したときでも適度な明るさの画像が得られる。
したがって、例えば、被写体像の明るさを、撮像素子3の出力に基づき、または別途設けた被写体輝度検出用センサの出力に基づき検出して、上記一つ目の読み出し方法と上記二つ目の読み出し方法とを切り換えることができる。具体的には、撮像素子3の出力または被写体輝度検出用センサの出力が閾値未満である場合には、上記一つ目の読み出し方法を使用し、撮像素子3の出力または被写体輝度検出用センサの出力が閾値以上である場合には、上記二つ目の読み出し方法を使用することができる。
【0067】
<タイムチャートの説明>
図12は、第1の実施の形態の変形例2において、上記二つ目の読み出し方法の場合に撮像素子3に供給される制御信号を説明するタイムチャートである。焦点調節用の読み出しを行う期間においては、第1の実施の形態の変形例1(図9)と同様であるので説明を省略する。画像用の読み出しを行う期間において、Hレベルの制御信号φSWが供給されることにより、トランジスタSWがオンして第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とが電気的につながる。また、Hレベルの第2の制御信号φSEL2が供給されることにより、第1信号と第2信号との和を出力させる第2の選択トランジスタSEL2がオンする。そして、第1および第2の制御信号φRST1およびφRST2としてそれぞれHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第1および第2のリセットトランジスタRST1およびRST2がオンして第1のFD領域FD1、第2のFD領域FD2の電位がそれぞれリセットされる。破線t3で示す時点で、リセットレベルの第1信号と第2信号との和が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
【0068】
続いて、第1および第2の制御信号φTx1およびφTx2としてHレベルの転送パルスがそれぞれ供給されることにより、第1および第2の転送トランジスタTx-1およびTx-2がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷がそれぞれ第1のFD領域FD1、第2のFD領域FD2へ転送される。これにより、破線t4で示す時点で、シグナルレベルの第1信号と第2信号との和が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
このように、第1信号と第2信号との和を、第2信号を個別に読み出す場合と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出すことができる。
【0069】
以上説明した第1の実施の形態の変形例2によれば、第1の実施の形態における作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3において、第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とを電気的に接続可能なトランジスタSWを設けたので、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく信号の読み出しを、二つの方法で行うことができる。
【0070】
(2)撮像装置としてのカメラ1は、上記(1)の撮像素子3と、トランジスタSWにより接続された第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とに蓄積された電荷、および、第3のFD領域FD3に蓄積された電荷の少なくとも一方に基づいて画像データを生成する画像処理部13とを備えるので、例えば、上記二つの方法で行う信号の読み出しにおいて信号生成部の変換利得を異ならせることによって、異なる明るさの画像を生成することが可能になる。
【0071】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、列方向に隣り合う画素20の間で、信号の読み出し部を共有する。
なお、第2の実施の形態におけるカメラ1は、第1の実施の形態と同様に、レンズ交換式であってもなくてもよい。また、スマートフォンやビデオカメラ等の撮像装置として構成してもよい。
図13は、第2の実施の形態において、図3のM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20、すなわち、例えばN行目の画素20Gと、N+1行目の画素20Rと、N+2行目の画素20Gと、N+3行目の画素20Rとを説明する回路図である。第1の実施の形態(図4)と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
上述したように、第2の実施の形態は、列方向に隣り合う画素20の間で読み出し部のうちのFD領域、増幅トランジスタ、リセットトランジスタおよび選択トランジスタを共有する点が、第1の実施の形態(図4)と相違する。
【0073】
具体的には、列方向に隣り合うN行目の画素20GとN+1行目の画素20Rとが、画素20Rに含まれる、第1および第2のFD領域FD1およびFD2と、第1および第2の増幅トランジスタAMP1およびAMP2と、第1および第2のリセットトランジスタRST1およびRST2と、第1および第2の選択トランジスタSEL1およびSEL2とを共有する。
なお、列方向に隣り合うN行目の画素20GとN+1行目の画素20Rとが共有する第1および第2のFD領域と第1および第2の増幅トランジスタと第1および第2のリセットトランジスタと第1および第2の選択トランジスタとは、その全部またはその一部を、N行目の画素20GとN+1行目の画素20Rとの間に設けてもよい。さらに、上記の一部を画素20Gに設けてもよい。
【0074】
また、列方向に隣り合うN+1行目の画素20RとN+2行目の画素20Gとが、画素20Gに含まれる、第3のFD領域FD3と、第3の増幅トランジスタAMP3と、第3のリセットトランジスタRST3と、第3の選択トランジスタSEL3とを共有する。
なお、列方向に隣り合うN+1行目の画素20RとN+2行目の画素20Gとが共有する第3のFD領域と第3の増幅トランジスタと第3のリセットトランジスタと第3の選択トランジスタは、その全部またはその一部を、N+1行目の画素20RとN+2行目の画素20Gとの間に設けてもよい。さらに、上記の一部を画素20Rに設けてもよい。
【0075】
同様に、上記N行目の画素20Gは、上記N+1行目の画素20Rと反対側に隣り合う不図示のN-1行目の画素20Rに含まれる、第3のFD領域FD3(不図示)と、第3の増幅トランジスタAMP3(不図示)と、第3のリセットトランジスタRST3(不図示)と、第3の選択トランジスタSEL3(不図示)とを共有する。
【0076】
このように、列方向に隣り合う2つの画素20は、第1および第2のFD領域FD1およびFD2と、第1および第2の増幅トランジスタAMP1およびAMP2と、第1および第2のリセットトランジスタRST1およびRST2と、第1および第2の選択トランジスタSEL1およびSEL2とを、列方向に隣り合う一方の画素20との間で共有する。さらに、列方向に隣り合う2つの画素20は、第3のFD領域FD3と、第3の増幅トランジスタAMP3と、第3のリセットトランジスタRST3と、第3の選択トランジスタSEL3とを、上記列方向に隣り合う他方の画素20との間で共有する。
【0077】
図14は、図13の回路図に対応する画素20Gおよび20Rのレイアウトを説明する模式図である。なお、第1~第3の制御信号φTx1~φTx3、第1~第3の制御信号φRST1~φRST3、および第1~第3の制御信号φSEL1~φSEL3の配線については、図示を省略している。
【0078】
図14の例によれば、列方向に隣り合う画素20の間で第1~第3の増幅トランジスタAMP1~AMP3、第1~第3のリセットトランジスタRST1~RST3、および第1~第3の選択トランジスタSEL1~SEL3を共有するので、共有しない第1の実施の形態(図5)に比べて、二画素につき9個のトランジスタのスペースを削減できる。すなわち、図5の例では一画素につき12個のトランジスタ(二画素につき24個)を有するところ、図14の例では画素20Gに6個、画素20Rに9個(二画素で15個)でよいので、実装効率を高めることができる。
【0079】
また、いずれの画素20においても、第1のFD領域FD1における容量と関係性が強い第1の転送トランジスタTx-1のゲート酸化膜の面積および第1のFD領域FD1の面積は、第2のFD領域FD2における容量と関係性が強い第2の転送トランジスタTx-2のゲート酸化膜の面積および第2のFD領域FD1の面積と略同じである。
【0080】
さらに、いずれの画素20においても、第3のFD領域FD3における容量と関係性が強い第3の転送トランジスタTx-3のゲート酸化膜の面積および第3のFD領域FD3の面積は、上記の第1の転送トランジスタTx-1のゲート酸化膜の面積および第1のFD領域FD1、または、第2の転送トランジスタTx-2のゲート酸化膜の面積および第2のFD領域FD2の面積と略同じである。
こうして、上述した3組の転送トランジスタおよびFD領域は、それぞれ同じプロセスを経て形成されるため、3組のFD領域FD1~FD3における容量は略等しい。
【0081】
画素20における第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2の面積を略同じに構成しているので、入射した光の単位光量あたりに生成される電荷量(光電変換効率)が略等しくなる。例えば、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2に同じ光量の光が入射する場合は、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2によってそれぞれ生成される電荷量Qは略等しくなる。したがって、第1および第2のフォトダイオードPD-1、PD-2から第1のFD領域FD1、第2のFD領域FD2にそれぞれ転送される電荷量Qが略等しい。上述したように、第1のFD領域FD1、第2のFD領域FD2の容量Cを略同じにしたことにより、第1信号生成部と第2信号生成部とで生成される信号の大きさが略等しいものとなる。したがって、第1信号生成部と第2信号生成部との光電変換時の変換利得が略等しくなる。
【0082】
また、第3信号生成部における第3のFD領域FD3の容量Cも、第1信号生成部における第1のFD領域FD1の容量C(第2信号生成部における第2のFD領域FD2の容量C)と略同じにしたので、第3信号生成部と、第1信号生成部(第2信号生成部)とにおいても、光電変換時の変換利得が略等しくなる。したがって、上述のように第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2に同じ光量の光が入射する場合は、第3信号生成部で生成される信号の大きさは、第1信号生成部で生成される信号(第2信号生成部で生成される信号)の略2倍になる。
以上説明したように、第1のフォトダイオードPD-1および第2のフォトダイオードPD-2によって生成された電荷に基づく信号をまとめて読み出す場合の変換利得が、第1のフォトダイオードPD-1または第2のフォトダイオードPD-2によって生成された電荷に基づく信号を個別に読み出す場合に比べて低下することを防止することができる。
【0083】
第2の実施の形態において、撮像素子3に供給される各種制御信号は、図9に例示したタイムチャートと同様のタイミングでよい。
【0084】
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態において説明した作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
撮像素子3の画素20R(N+1行:図14)において、第1のFD領域FD1と第2のFD領域FD2とは、例えば列方向に隣り合う一方の画素20G(N行)との間で共有され、第3のFD領域FD3は列方向に隣り合う他方の画素20G(N+2行)との間で共有されるようにした。これにより、共有しない第1の実施の形態(図5)に比べて、二画素につき9個のトランジスタのスペースを削減できる。すなわち、図5の例では一画素につき12個のトランジスタ(二画素につき24個)を有するところ、図14の例では画素20Gに6個、画素20Rに9個(二画素で15個)でよいので、実装効率を高めることができる。
【0085】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施の形態と組み合わせることも可能である。
(第2の実施の形態の変形例1)
第2の実施の形態の変形例1では、列方向に隣り合う二画素の間で、第1~第3のFD領域FD1~FD3と、第1~第3の増幅トランジスタAMP1~AMP3と、第1~第3のリセットトランジスタRST1~RST3と、第1~第3の選択トランジスタSEL1~SEL3とを共有する。
回路図およびレイアウトを説明する模式図は省略するが、第2の実施の形態の場合と同様に、共有しない第1の実施の形態(図5)に比べて、二画素につき9個のトランジスタのスペースを削減できる。すなわち、第1の実施の形態では二画素につき24個のトランジスタを有するところ、第2の実施の形態の変形例1では、第2の実施の形態と同様に、列方向に隣り合う二画素につき15個でよいので、実装効率を高めることができる。
【0086】
(第2の実施の形態の変形例2)
第2の実施の形態の変形例2では、図13に例示した回路図の撮像素子3に対し、図9と異なるタイミングで制御信号を供給する読み出し動作を説明する。図15は、第2の実施の形態の変形例2において、図3のM列に並ぶ(垂直方向に並ぶ)画素20のうち、N+1行目の画素20Rと、N+2行目の画素20Gと、N+3行目の画素20Rとに注目した図である。図15では、N+2行目の画素20GとN+3行目の画素20Rとの間で共用する読み出し部の回路と、N+1行目の画素20RとN+2行目の画素20Gとの間で共用する読み出し部の回路とを記載し、他の読み出し部の回路の記載を省略している。
【0087】
また、後述する制御信号のタイミングの説明をわかりやすくするために、N+3行目の画素20RとN+2行目の画素20Gとの間で共用する2つのFD領域の符号を、それぞれFD1およびFD2とする。そして、N+3行目の画素20Rに含まれる、第1および第2のフォトダイオードの符号を、PD-5およびPD-6とする。また、第1のフォトダイオードPD-5で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-6で生成された電荷を、それぞれFD領域FD1、FD領域FD2へ転送する第1および第2の転送トランジスタの符号を、Tx-7およびTx-8とする。
【0088】
次に、N+2行目の画素20GとN+1行目の画素20Rとの間で共用するFD領域の符号を、FD3とする。N+2行目の画素20Gに含まれる、第1および第2のフォトダイオードの符号を、PD-1およびPD-2とする。また、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を、それぞれFD領域FD1、FD領域FD2へ転送する第1および第2の転送トランジスタの符号を、Tx-1およびTx-2とする。さらにまた、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷を、それぞれFD領域FD3へ転送する第3の転送トランジスタ部の符号を、Tx-3とする。
【0089】
次に、N+1行目の画素20RとN行目の画素20Gとの間で共用する2つのFD領域の符号を、それぞれFD4およびFD5とする。N+1行目の画素20Rに含まれる、第1および第2のフォトダイオードの符号をPD-3およびPD-4とする。また、第1および第2のフォトダイオードPD-3およびPD-4で生成された電荷を、FD領域FD3へ転送する第3の転送トランジスタ部の符号を、Tx4とする。
【0090】
さらにまた、第1のフォトダイオードPD-3で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-4で生成された電荷を、それぞれFD領域FD4、FD領域FD5へ転送する第1および第2の転送トランジスタの符号を、Tx-5およびTx-6とする。
【0091】
<タイムチャートの説明>
図16は、第2の実施の形態の変形例2の撮像素子3に供給される各種制御信号を説明するタイムチャートである。焦点調節用の読み出しを行う期間において、N+3行目の画素20Rに含まれる、第1および第2のフォトダイオードPD-5およびPD-6からの読み出し動作を説明する。
【0092】
Hレベルの第1および第2の制御信号φSEL1およびφSEL2が供給されることにより、第1信号を出力させる第1の選択トランジスタSEL1、および、第2信号を出力させる第2の選択トランジスタSEL2がオンする。また、第1の制御信号φRST1としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第1のリセットトランジスタRST1がオンしてFD領域FD1の電位がリセットされる。同様に、第2の制御信号φRST2としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第2のリセットトランジスタRST2がオンしてFD領域FD2の電位がリセットされる。破線t1で示す時点で、それぞれリセットレベルの第1信号および第2信号が、第1および第2の垂直信号線25aおよび25bを介して読み出される。
【0093】
続いて、制御信号φTx7としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第1の転送トランジスタTx-7がオンして第1のフォトダイオードPD-5で生成された電荷がFD領域FD1へ転送される。同様に、制御信号φTx8としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第2の転送トランジスタTx-8がオンして第2のフォトダイオードPD-6で生成された電荷がFD領域FD2へ転送される。これにより、破線t2で示す時点で、それぞれシグナルレベルの第1信号および第2信号が、第1および第2の垂直信号線25a、25bを介して読み出される。
【0094】
次に、N+2行目の画素20Gに含まれる、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2からの読み出し動作を説明する。
Hレベルの第1および第2の制御信号φSEL1およびφSEL2が供給されることにより、第1信号を出力させる第1の選択トランジスタSEL1、および、第2信号を出力させる第2の選択トランジスタSEL2がオンする。また、第1の制御信号φRST1としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第1のリセットトランジスタRST1がオンしてFD領域FD1の電位がリセットされる。同様に、第2の制御信号φRST2としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第2のリセットトランジスタRST2がオンしてFD領域FD2の電位がリセットされる。破線t3で示す時点で、それぞれリセットレベルの第1信号および第2信号が、第1および第2の垂直信号線25aおよび25bを介して読み出される。
【0095】
続いて、制御信号φTx1としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第1の転送トランジスタTx-1がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷がFD領域FD1へ転送される。同様に、制御信号φTx2としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第2の転送トランジスタTx-2がオンして第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷がFD領域FD2へ転送される。これにより、破線t4で示す時点で、それぞれシグナルレベルの第1信号および第2信号が、第1および第2の垂直信号線25a、25bを介して読み出される。
【0096】
画像用の読み出しを行う期間において、N+2行目の画素20Gに含まれる、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2からの読み出し動作を説明する。
Hレベルの制御信号φSEL3が供給されることにより、第3信号を出力させる第3の選択トランジスタSEL3がオンする。また、第3の制御信号φRST3としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第3のリセットトランジスタRST3がオンしてFD領域FD3の電位がリセットされる。破線t5で示す時点で、リセットレベルの第3信号が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
【0097】
続いて、制御信号φTx3としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第3の転送トランジスタ部Tx-3がオンして第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷がFD領域FD3へ転送される。これにより、破線t6で示す時点で、シグナルレベルの第3信号が、第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
このように、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2による第3信号を、第2信号と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出すことができる。
【0098】
次に、N+1行目の画素20Rに含まれる、第1および第2のフォトダイオードPD-3およびPD-4からの読み出し動作を説明する。
Hレベルの制御信号φSEL3が供給されることにより、第3信号を出力させる第3の選択トランジスタSEL3がオンする。また、第3の制御信号φRST3としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第3のリセットトランジスタRST3がオンしてFD領域FD3の電位がリセットされる。破線t7で示す時点で、リセットレベルの第3信号が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
【0099】
続いて、制御信号φTx4としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第3の転送トランジスタ部Tx-4がオンして第1のフォトダイオードPD-3で生成された電荷、および、第2のフォトダイオードPD-4で生成された電荷がFD領域FD3へ転送される。これにより、破線t8で示す時点で、シグナルレベルの第3信号が第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
このように、第1および第2のフォトダイオードPD-3およびPD-4による第3信号を、第2信号と同じ第2の垂直信号線25b(出力部)を介して読み出すことができる。
【0100】
第2の実施の形態の変形例2によれば、焦点調節用の読み出しを行う場合、1行ずつの読み出しを行うことができる。また、画像用の読み出しを行う場合も、1行ずつの読み出しを行うことができる。これにより、焦点調節用の読み出しと画像用の読み出しとを行ごとに任意に切り替えながら、信号の読み出しを行うことが可能である。
【0101】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、1画素4PD構成について説明する。1画素4PD構成とは、各画素20において、マイクロレンズMLおよびカラーフィルタの内側(背後)に光電変換部として4つのフォトダイオードPD-1、PD-2、PD-3、PD-4を有する構成をいう。すなわち、各画素20は、例えば、画素位置の右上に配置された第1のフォトダイオードPD-1と、画素位置の左上に配置された第2のフォトダイオードPD-2と、画素位置の右下に配置された第3のフォトダイオードPD-3と、画素位置の左下に配置された第4のフォトダイオードPD-4とを有する。
【0102】
これにより、各画素20の第1のフォトダイオードPD-1には、撮影レンズ2の瞳の第1の領域を通過した光束が入射し、第2のフォトダイオードPD-2には、撮影レンズ2の瞳の第2の領域を通過した光束が入射し、第3のフォトダイオードPD-3には、撮影レンズ2の瞳の第3の領域を通過した光束が入射し、第4のフォトダイオードPD-4には、撮影レンズ2の瞳の第4の領域を通過した光束が入射する。
【0103】
一般に、第1および第2の実施の形態のように、撮影レンズ2の瞳の領域を水平方向(行方向)に分割すると、被写体の縦方向の模様に対して焦点検出を行う場合に好適になる。これに対し、撮影レンズ2の瞳の領域を垂直方向(列方向)に分割すると、被写体の横方向の模様に対して焦点検出を行う場合に好適となる。第3の実施の形態では、1画素4PD構成にすることで、被写体の模様の方向にかかわらず焦点検出を行うことを可能にする。以下に、1画素4PD構成の画素20を有する撮像素子3について詳細に説明する。
【0104】
図17(a)は、第3の実施の形態による撮像素子3の画素20の回路を説明する図である。図17(b)は、図17(a)のうちの光電変換部の領域Uを拡大した図である。領域Uには、画素位置の右上に配置された第1のフォトダイオードPD-1と、画素位置の左上に配置された第2のフォトダイオードPD-2と、画素位置の右下に配置された第3のフォトダイオードPD-3と、画素位置の左下に配置された第4のフォトダイオードPD-4とを有する。
【0105】
<制御信号>
領域Uにおいて、第1の転送トランジスタTx-1は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷をFD領域FD1へ転送する場合に、第1の制御信号φTx1によってオンされる。第2の転送トランジスタTx-2は、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷をFD領域FD2へ転送する場合に、第2の制御信号φTx2によってオンされる。第5の転送トランジスタ部Tx-5は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷とをまとめてFD領域FD5へ転送する場合に、第5の制御信号φTx5によってオンされる。すなわち、第5の転送トランジスタ部Tx-5の各転送トランジスタTx-5a、Tx-5b(不図示)は、第5の制御信号φTx5によって同時にオンされる。
【0106】
また、領域Uにおいて、第3の転送トランジスタTx-3は、第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷をFD領域FD3へ転送する場合に、第3の制御信号φTx3によってオンされる。第4の転送トランジスタTx-4は、第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷をFD領域FD4へ転送する場合に、第4の制御信号φTx4によってオンされる。第6の転送トランジスタ部Tx-6は、第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷と第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷とをまとめてFD領域FD6へ転送する場合に、第6の制御信号φTx6によってオンされる。すなわち、第6の転送トランジスタ部Tx-6の各転送トランジスタTx-6a、Tx-6b(不図示)は、第6の制御信号φTx6によって同時にオンされる。
【0107】
さらにまた、領域Uにおいて、第7の転送トランジスタ部Tx-7は、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷とをまとめてFD領域FD7へ転送する場合に、第7の制御信号φTx7によってオンされる。すなわち、第7の転送トランジスタ部Tx-7の各転送トランジスタTx-7a、Tx-7b(不図示)は、第7の制御信号φTx7によって同時にオンされる。
【0108】
そしてさらに、領域Uにおいて、第8の転送トランジスタ部Tx-8は、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷と第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷とをまとめてFD領域FD8へ転送する場合に、第8の制御信号φTx8によってオンされる。すなわち、第8の転送トランジスタ部Tx-8の各転送トランジスタTx-8a、Tx-8b(不図示)は、第8の制御信号φTx8によって同時にオンされる。
【0109】
第3の実施の形態では、撮像素子3の1画素列に対し、4本の垂直信号線、すなわち第1~第4の垂直信号線25a、25b、25c、25dが設けられている。第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷に基づく信号と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷との和に基づく信号とが、第1の垂直信号線25aを介して読み出される。
【0110】
また、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷に基づく信号と、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく信号とが、第2の垂直信号線25bを介して読み出される。
【0111】
さらに、第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷に基づく信号と、第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷と第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷との和に基づく信号とが、第3の垂直信号線25cを介して読み出される。
【0112】
さらにまた、第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷に基づく信号と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷と第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷との和に基づく信号とが、第4の垂直信号線25dを介して読み出される。
【0113】
上述した画素20によって撮影レンズ2の瞳の領域を水平方向(行方向)に分割する場合は、例えば、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷との和に基づく信号と、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷と第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷との和に基づく信号と、を読み出す。すなわち、FD領域7とFD領域8とでそれぞれ加算された信号を読み出す。
【0114】
また、上述した画素20によって撮影レンズ2の瞳の領域を垂直方向(列方向)に分割する場合は、例えば、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷と第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷との和に基づく信号と、第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷と第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷との和に基づく信号と、を読み出す。すなわち、FD領域5とFD領域6とでそれぞれ加算された信号を読み出す。
【0115】
<タイムチャートの説明>
図18は、第3の実施の形態の撮像素子3に供給される各種制御信号を説明するタイムチャートである。図18を参照して、図17(a)、図17(b)に示す画素20の第1~第4のフォトダイオードPD-1~PD-4で生成された電荷に基づく信号を、それぞれ個別に読み出す場合の読み出し動作を説明する。第3の実施の形態では、上述したように撮像素子3の1画素列に対して4本の垂直信号線(第1~第4の垂直信号線25a、25b、25c、25d)が設けられている。これにより、第1~第4のフォトダイオードPD-1~PD-4で生成された電荷に基づく信号は、以下に説明するように同じタイミングで並行して読み出すことができる。
なお、図18において、第1~第4の垂直信号線25a、25b、25c、25dの信号波形の図示は省略する。
【0116】
Hレベルの第1~第4の制御信号φSEL1~φSEL4がそれぞれ垂直走査回路21から供給されることにより、第1のフォトダイオードPD-1で生成された電荷に基づく信号を出力させる第1の選択トランジスタSEL1、第2のフォトダイオードPD-2で生成された電荷に基づく信号を出力させる第2の選択トランジスタSEL2、第3のフォトダイオードPD-3で生成された電荷に基づく信号を出力させる第3の選択トランジスタSEL3、第4のフォトダイオードPD-4で生成された電荷に基づく信号を出力させる第4の選択トランジスタSEL4が、それぞれオンする。
【0117】
また、第1の制御信号φRST1としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第1のリセットトランジスタRST1がオンしてFD領域FD1の電位がリセットされる。同様に、第2~第4の制御信号φRST2~φRST4としてHレベルのリセットパルスがそれぞれ供給されることにより、第2~第4のリセットトランジスタRST2~RST4がそれぞれオンしてFD領域FD2~FD4の電位がそれぞれリセットされる。これにより、破線t1で示す時点で、リセットレベルの信号が第1~第4の垂直信号線25a~25dを介してそれぞれ読み出される。
【0118】
続いて、制御信号φTx1~φTx4としてHレベルの転送パルスが第1~第4の転送トランジスタTx-1~Tx-4へそれぞれ供給されることにより、第1~第4の転送トランジスタTx-1~Tx-4がそれぞれオンする。これにより、第1~第4のフォトダイオードPD-1~PD-4でそれぞれ生成された電荷が、FD領域FD1~FD4へそれぞれ転送される。以上により、破線t2で示す時点で、シグナルレベルの信号が第1~第4の垂直信号線25a~25dを介してそれぞれ読み出される。
【0119】
次に、垂直方向に位相差検出するための焦点調節用の読み出しと、水平方向に位相差検出するための焦点調節用の読み出しとを行う場合の読み出し動作を説明する。図19は、第3の実施の形態の撮像素子3に対し、焦点調節用の読み出し時に供給される各種制御信号を説明するタイムチャートである。
なお、図19において、第1~第4の垂直信号線25a、25b、25c、25dの信号波形の図示は省略する。
【0120】
<垂直方向の分割>
上述したように、垂直方向に分割する場合は、FD領域5とFD領域6とでそれぞれ加算された信号を読み出す。Hレベルの第5および第6の制御信号φSEL5およびφSEL6がそれぞれ垂直走査回路21から供給されることにより、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号を出力させる第5の選択トランジスタSEL5、および、第3のおよび第4のフォトダイオードPD-3およびPD-4でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号を出力させる第6の選択トランジスタSEL6が、それぞれオンする。
【0121】
また、第5の制御信号φRST5としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第5のリセットトランジスタRST5がオンしてFD領域FD5の電位がリセットされる。同様に、第6の制御信号φRST6としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第6のリセットトランジスタRST6がオンしてFD領域FD6の電位がリセットされる。これにより、破線t1で示す時点で、リセットレベルの信号が第1および第3の垂直信号線25bおよび25cを介してそれぞれ読み出される。
【0122】
続いて、第5の制御信号φTx5としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第5の転送トランジスタ部Tx-5がオンする。これにより、第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2でそれぞれ生成された電荷が、FD領域FD5へ転送される。第5の制御信号φTx5の供給と同時に、第6の制御信号φTx6としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第6の転送トランジスタ部Tx-6がオンする。これにより、第3および第4のフォトダイオードPD-3およびPD-4でそれぞれ生成された電荷が、FD領域FD6へ転送される。以上により、破線t2で示す時点で、シグナルレベルの和の信号(第1および第2のフォトダイオードPD-1およびPD-2でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号、第3および第4のフォトダイオードPD-3およびPD-4でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号)が第2および第3の垂直信号線25bおよび25cを介してそれぞれ読み出される。
【0123】
<水平方向の分割>
上述したように、水平方向に分割する場合は、FD領域7とFD領域8とでそれぞれ加算された信号を読み出す。Hレベルの第7および第8の制御信号φSEL7およびφSEL8がそれぞれ垂直走査回路21から供給されることにより、第1および第3のフォトダイオードPD-1およびPD-3でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号を出力させる第7の選択トランジスタSEL7、および、第2のおよび第4のフォトダイオードPD-2およびPD-4でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号を出力させる第8の選択トランジスタSEL6が、それぞれオンする。
【0124】
また、第7の制御信号φRST7としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第7のリセットトランジスタRST7がオンしてFD領域FD7の電位がリセットされる。同様に、第8の制御信号φRST8としてHレベルのリセットパルスが供給されることにより、第8のリセットトランジスタRST8がオンしてFD領域FD8の電位がリセットされる。これにより、破線t3で示す時点で、それぞれリセットレベルの信号が、第1および第4の垂直信号線25aおよび25dを介して読み出される。
【0125】
続いて、第7の制御信号φTx7としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第7の転送トランジスタ部Tx-7がオンする。これにより、第1および第3のフォトダイオードPD-1およびPD-3でそれぞれ生成された電荷が、FD領域FD7へ転送される。第7の制御信号φTx7の供給と同時に、第8の制御信号φTx8としてHレベルの転送パルスが供給されることにより、第8の転送トランジスタ部Tx-8がオンする。これにより、第2および第4のフォトダイオードPD-2およびPD-4でそれぞれ生成された電荷が、FD領域FD8へ転送される。以上により、破線t4で示す時点で、シグナルレベルの和の信号(第1および第3のフォトダイオードPD-1およびPD-3でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号、第2および第4のフォトダイオードPD-2およびPD-4でそれぞれ生成された電荷の和に基づく信号)が、第1および第4の垂直信号線25aおよび25dを介して読み出される。
【0126】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0127】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2017年第68452号(2017年3月30日出願)
【符号の説明】
【0128】
1…カメラ
2…撮像光学系
3…撮像素子
9…マイクロプロセッサ
10…焦点演算部
13…画像処理部
20、20G、20R、20B…画素
21…垂直走査回路
22…水平走査回路
23、24…制御信号線
25a、25b、25c、25d…垂直信号線
AMP1~AMP8…増幅トランジスタ
FD1~FD8…FD領域
PD-1~PD-4…フォトダイオード
SEL1~SEL8…選択トランジスタ
Tx-1、Tx-2、Tx-3、Tx-4…転送トランジスタ
Tx-3~Tx-8…転送トランジスタ部
図1
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