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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037606
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】アンモニア合成システム
(51)【国際特許分類】
   C01C 1/04 20060101AFI20230308BHJP
   B01J 23/74 20060101ALI20230308BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C01C1/04 G
B01J23/74 M
B01J23/46 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138318
(22)【出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021143732
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022101705
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100195659
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 能宏
(72)【発明者】
【氏名】菊川 将嗣
(72)【発明者】
【氏名】山崎 清
(72)【発明者】
【氏名】青木 正和
(72)【発明者】
【氏名】馬場 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 満
(72)【発明者】
【氏名】今川 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】高木 英行
(72)【発明者】
【氏名】西 政康
(72)【発明者】
【氏名】難波 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】眞中 雄一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰倫
(72)【発明者】
【氏名】石川 茉莉江
(72)【発明者】
【氏名】松本 秀行
(72)【発明者】
【氏名】大川原 真一
(72)【発明者】
【氏名】アントニー バズニ ハムザ
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA04
4G169BC66
4G169BC70
4G169CB82
4G169DA05
(57)【要約】
【課題】水素と窒素からアンモニアを合成する触媒における合成能力を向上させる。
【解決手段】反応後のガスを再利用する循環設備を備えたアンモニア製造プラントで用いられるアンモニア合成システムは、水素と窒素とからアンモニアを合成する複数の触媒が直列に配列された触媒群と、触媒群を構成する各触媒の間で得られた中間生成ガスに対して、水素と窒素との少なくとも一方を含む分割ガスを供給するガス供給部と、中間生成ガスの組成を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応後のガスを再利用する循環設備を備えたアンモニア製造プラントで用いられるアンモニア合成システムであって、
水素と窒素とからアンモニアを合成する複数の触媒が直列に配列された触媒群と、
前記触媒群を構成する各前記触媒の間で得られた中間生成ガスに対して、水素と窒素との少なくとも一方を含む分割ガスを供給するガス供給部と、
前記中間生成ガスの組成を制御する制御部と、
を備える、アンモニア合成システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアンモニア合成システムであって、
前記ガス供給部から供給される前記分割ガスは、窒素または水素である、アンモニア合成システム。
【請求項3】
請求項1に記載のアンモニア合成システムであって、
前記分割ガスは、水素と窒素とを含み、
前記制御部は、前記分割ガスにおける窒素に対する水素のガス比を、2.5未満とし、または3よりも大きくする、アンモニア合成システム。
【請求項4】
請求項3に記載のアンモニア合成システムであって、
前記制御部は、前記分割ガスにおける窒素に対する水素のガス比を1未満とする、アンモニア合成システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記触媒群に供給されるガスと、前記触媒群から排出されるガスと、前記中間生成ガスのガスとの少なくとも1つのガス組成を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記ガス組成を用いて、前記中間生成ガスの組成を制御する、アンモニア合成システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアンモニア合成システムであって、
前記触媒群を形成する各触媒は、異なる種類の触媒である、アンモニア合成システム。
【請求項7】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記ガス供給部から供給される前記分割ガスを加熱する加熱器を備える、アンモニア合成システム。
【請求項8】
請求項1に記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記触媒群を収容する反応器であって、前記触媒群による反応に用いられる原料ガスを、前記触媒群と反応させず、かつ、前記触媒群との間で熱交換しつつ前記触媒群へと供給する熱交換流路を内部に有する反応器を備える、アンモニア合成システム。
【請求項9】
請求項8に記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記熱交換流路に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する供給配管を備え、
前記反応器は、
内部に前記触媒群を収容する内側配管と、
前記内側配管を覆う外側配管と、を有し、
前記熱交換流路は、前記内側配管と前記外側配管との間の空間であり、
前記供給配管から供給された前記原料ガスは、前記熱交換流路を介して、前記内側配管において直列に配列された前記触媒群のうち一方の端に配置されている前記触媒へと供給される、アンモニア合成システム。
【請求項10】
請求項8に記載のアンモニア合成システムであって、
前記触媒群には、第1触媒と第2触媒とが含まれ、
前記熱交換流路のうち前記第1触媒の側の部分に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する第1供給配管と、
前記熱交換流路のうち前記第2触媒の側の部分に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する第2供給配管と、
前記第2触媒から前記第1触媒へ向かう方向の側の前記外側配管の部分に接続され、前記触媒群による反応を経た反応後ガスを排出する第1排出配管と、
前記第1触媒から前記第2触媒へ向かう方向の側の前記外側配管の部分に接続され、前記触媒群による反応を経た反応後ガスを排出する第2排出配管と、
前記原料ガスが前記熱交換流路に供給されたのち前記反応後ガスとして排出される経路を、前記原料ガスが前記第1供給配管から前記熱交換流路を介して前記第2触媒へ供給されたのち前記第1触媒を経て前記反応後ガスとして前記第1排出配管から排出される第1経路と、前記原料ガスが前記第2供給配管から前記熱交換流路を介して前記第1触媒へ供給されたのち前記第2触媒を経て前記反応後ガスとして前記第2排出配管から排出される第2経路と、の間で切り替える経路切替部と、を備える、アンモニア合成システム。
【請求項11】
請求項8に記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記触媒群には、第1触媒と第2触媒とが含まれ、
前記熱交換流路は、前記触媒群との間で熱交換が可能な2つ以上の熱交換区間を有し、
2つ以上の前記熱交換区間には、
2つ以上の前記熱交換区間のうち最も上流側に配置されて前記第1触媒との間で熱交換が可能な第1熱交換区間と、
2つ以上の前記熱交換区間のうち上流側から下流側へ向かう方向において前記第1熱交換区間の次に配置されて前記第2触媒との間で熱交換が可能な第2熱交換区間と、が含まれ、
前記原料ガスを前記第1熱交換区間に導入する第1導入配管と、
前記第1熱交換区間よりも下流側から前記原料ガスを前記第2熱交換区間に導入する第2導入配管と、
前記第2熱交換区間よりも下流側から前記原料ガスを前記熱交換流路に導入する下流側導入配管と、
前記第1導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、前記第2導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、前記下流側導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、を調整する流量調整部と、を備える、アンモニア合成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア合成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
直列に配置された複数の触媒を含む反応手段により、窒素(N2)と水素(H2)とからアンモニアを合成するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載されたシステムでは、アンモニア製造プラントからパージされるパージガスを使用して、複数の触媒間で得られる中間生成ガスを冷却している。特許文献2には、触媒を収容している反応器内の温度制御についての技術が開示されている。特許文献3に開示されたアンモニア合成の技術では、アンモニア合成反応の前段でH2を生成する天然ガス改質器へ酸素に富んだガスが導入され、アンモニア合成反応の合成ループ中へN2が供給される。これにより、改質およびアンモニア合成反応に有利な組成で反応が進む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-203603号公報
【特許文献2】特開2006-131493号公報
【特許文献3】特開平09-165215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンモニア合成によく利用されるFe触媒およびRu触媒では、H2の吸着によりN2の吸着が阻害される(H2被毒)。そのため、N2に対するH2のガス比(H2/N2比)が3以下の状態でアンモニアが合成される。また、Ru触媒では、Fe触媒よりもH2被毒が強いため、H2/N2比がより小さくなることが好ましい。
【0005】
アンモニア合成では、H2/N2比が3である化学量論比により反応が進行する。そのため、ガス中のH2/N2比が3未満の状態で反応が進行すると、反応後のH2/N2比は、反応前よりも小さくなる。特許文献1に記載された複数の触媒が直列に配置されたアンモニア合成システムでは、ガスのH2/N2比が3未満であるため、各触媒における最適なH2/N2比を維持できず、触媒の能力を十分に発揮できない。さらに、直列に配置された各触媒の種類が異なる場合には、各触媒に最適なH2/N2比が存在するため、触媒の能力を発揮するために各触媒に供給されるガスのH2/N2比の制御が必要になる。この点、特許文献1~3には、H2/N2比の制御について何ら考慮されていない。
【0006】
本発明は、水素と窒素からアンモニアを合成する触媒における合成能力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、反応後のガスを再利用する循環設備を備えたアンモニア製造プラントで用いられるアンモニア合成システムが提供される。このアンモニア合成システムは、水素と窒素とからアンモニアを合成する複数の触媒が直列に配列された触媒群と、前記触媒群を構成する各前記触媒の間で得られた中間生成ガスに対して、水素と窒素との少なくとも一方を含む分割ガスを供給するガス供給部と、前記中間生成ガスの組成を制御する制御部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、ガス供給部から供給される一部の原料ガスが分割ガスとして中間生成ガスに供給されることにより、上流側に配置された触媒に供給されるガスのガス組成と、中間生成ガスが供給される下流側に配置された触媒に供給されるガスのガス組成と、が制御される。各触媒に供給されるガスのガス組成、直列に配置された各触媒の種類に応じて、各触媒の能力を発揮できるガス組成に調整されることにより、アンモニアを合成する際のプロセス効率が向上する。すなわち、本態様のアンモニア合成システムによれば、水素(H2)と窒素(N2)とからアンモニア(NH3)を合成する触媒群の合成能力を向上させることができる。また、触媒の劣化により、触媒の合成能力を発揮させるための最適なガス組成が変化した場合であっても、分割ガスが調整されて各触媒に供給されるガスのガス組成が制御されることにより、各触媒の合成能力が向上する。
【0010】
(2)上記態様のアンモニア合成システムにおいて、前記ガス供給部から供給される前記分割ガスは、窒素または水素であってもよい。
この構成によれば、中間生成ガスに供給される分割ガスがN2とH2とを含む混合ガスでないため、中間生成ガスのガス組成を調整しやすい。
【0011】
(3)上記態様のアンモニア合成システムにおいて、前記分割ガスは、水素と窒素とを含み、前記制御部は、前記分割ガスにおける窒素に対する水素のガス比を、2.5未満とし、または3よりも大きくしてもよい。
この構成によれば、分割ガスのガス組成が調整されることにより、中間生成ガスのガス組成を、中間生成ガスからアンモニアを合成する触媒に応じた最適なガス組成に調整できる。
【0012】
(4)上記態様のアンモニア合成システムにおいて、前記制御部は、前記分割ガスにおける窒素に対する水素のガス比を1未満としてもよい。
この構成によれば、分割ガスのガス比が調整されることにより、中間生成ガスのガス組成を、中間生成ガスからアンモニアを合成する触媒に応じた最適なガス組成に調整できる。
【0013】
(5)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、さらに、前記触媒群に供給されるガスと、前記触媒群から排出されるガスと、前記中間生成ガスのガスとの少なくとも1つのガス組成を検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部により検出された前記ガス組成を用いて、前記中間生成ガスの組成を制御してもよい。
この構成によれば、検出されたガス組成が用いられて、中間生成ガスに供給するN2の流量が制御される。この結果、中間生成ガスのガス組成がより正確に調整され、触媒群が有する各触媒の合成能力が向上する。
【0014】
(6)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、前記触媒群を形成する各触媒は、異なる種類の触媒であってもよい。
直列に配置された複数の触媒の種類が異なれば、各触媒の合成能力を発揮させるための最適なガス組成も異なる。この構成によれば、各触媒が同じ種類の触媒により形成されたシステムよりも、各触媒に対する最適なガス組成が異なる。そのため、分割ガスの種類や流量制御に応じて各触媒が異なるように選択されることで、触媒群としての合成能力が向上する。
【0015】
(7)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、さらに、前記ガス供給部から供給される前記分割ガスを加熱する加熱器を備えていてもよい。
この構成によれば、分割ガスの温度を制御することにより、中間生成ガスの温度が適切ではない状態で中間生成ガスが供給される触媒におけるアンモニア合成が平衡に到達することが抑制される。すなわち、本構成では、中間生成ガスのガス組成が調整されることに加えて、分割ガスの温度を制御することによって中間生成ガスの温度が調整される。これにより、中間生成ガスが供給される触媒のアンモニア合成が平衡に到達することを抑制し、合成能力をさらに向上させることができる。
【0016】
(8)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、さらに、前記触媒群を収容する反応器であって、前記触媒群による反応に用いられる原料ガスを、前記触媒群と反応させず、かつ、前記触媒群との間で熱交換しつつ前記触媒群へと供給する熱交換流路を内部に有する反応器を備えていてもよい。
アンモニアの合成反応は発熱反応であることから、触媒群を構成する触媒の各々の温度は高くなる傾向にある。この構成によれば、そのような触媒群との熱交換により原料ガスを昇温してから、その原料ガスを触媒群によるアンモニアの合成反応に用いることができる。したがって、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのを抑制することができる。また、合成反応により発生した熱を原料ガスの昇温に再利用していることから、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。
【0017】
(9)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、さらに、前記熱交換流路に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する供給配管を備え、前記反応器は、内部に前記触媒群を収容する内側配管と、前記内側配管を覆う外側配管と、を有し、前記熱交換流路は、前記内側配管と前記外側配管との間の空間であり、前記供給配管から供給された前記原料ガスは、前記熱交換流路を介して、前記内側配管において直列に配列された前記触媒群のうち一方の端に配置されている前記触媒へと供給されてもよい。
この構成によれば、原料ガスは、熱交換流路を流通する間に内側配管により隔てられた触媒群との熱交換により昇温されてから、触媒群の一方の端に配置されている触媒へ供給されて、アンモニアの合成反応に用いられる。したがって、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのを抑制することができる。また、合成反応により発生した熱を原料ガスの昇温に再利用していることから、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。
【0018】
(10)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、前記触媒群には、第1触媒と第2触媒とが含まれ、前記熱交換流路のうち前記第1触媒の側の部分に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する第1供給配管と、前記熱交換流路のうち前記第2触媒の側の部分に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する第2供給配管と、前記第2触媒から前記第1触媒へ向かう方向の側の前記外側配管の部分に接続され、前記触媒群による反応を経た反応後ガスを排出する第1排出配管と、前記第1触媒から前記第2触媒へ向かう方向の側の前記外側配管の部分に接続され、前記触媒群による反応を経た反応後ガスを排出する第2排出配管と、前記原料ガスが前記熱交換流路に供給されたのち前記反応後ガスとして排出される経路を、前記原料ガスが前記第1供給配管から前記熱交換流路を介して前記第2触媒へ供給されたのち前記第1触媒を経て前記反応後ガスとして前記第1排出配管から排出される第1経路と、前記原料ガスが前記第2供給配管から前記熱交換流路を介して前記第1触媒へ供給されたのち前記第2触媒を経て前記反応後ガスとして前記第2排出配管から排出される第2経路と、の間で切り替える経路切替部と、を備えていてもよい。
第1触媒と第2触媒とのうち第1触媒を上流側としてアンモニア合成を継続した場合(第2経路を介した触媒群への原料ガス供給を継続した場合)、第2触媒よりも第1触媒において多くのアンモニアが合成されることから、第1触媒の方が第2触媒よりも大きい昇温速度で昇温されて高温になる。その結果、アンモニアの合成反応は高温時に平衡的制約を受けることから、第1触媒によるアンモニアの合成反応が阻害される可能性が高まる。一方、本構成によれば、アンモニア合成を実行する際の経路を第1経路と第2経路との間で切り替え可能であることから、定期的に第1経路と第2経路とを切り替えて、第1触媒と第2触媒とのうち上流側に配置される触媒を入れ替えることによって、一方の触媒におけるアンモニアの合成反応の進行が高温時の平衡的制約により阻害されるのを抑制することができる。その結果、アンモニア合成システムにおいて、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。また、合成反応により発生した熱を原料ガスの昇温に再利用していることから、このような観点からも、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。また、原料ガスは、熱交換流路を流通する間に触媒群との熱交換により昇温されてから、触媒群によるアンモニアの合成反応に用いられるため、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのを抑制することもできる。
【0019】
(11)上記形態のアンモニア合成システムにおいて、さらに、前記触媒群には、第1触媒と第2触媒とが含まれ、前記熱交換流路は、前記触媒群との間で熱交換が可能な2つ以上の熱交換区間を有し、2つ以上の前記熱交換区間には、2つ以上の前記熱交換区間のうち最も上流側に配置されて前記第1触媒との間で熱交換が可能な第1熱交換区間と、2つ以上の前記熱交換区間のうち上流側から下流側へ向かう方向において前記第1熱交換区間の次に配置されて前記第2触媒との間で熱交換が可能な第2熱交換区間と、が含まれ、前記原料ガスを前記第1熱交換区間に導入する第1導入配管と、前記第1熱交換区間よりも下流側から前記原料ガスを前記第2熱交換区間に導入する第2導入配管と、前記第2熱交換区間よりも下流側から前記原料ガスを前記熱交換流路に導入する下流側導入配管と、前記第1導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、前記第2導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、前記下流側導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、を調整する流量調整部と、を備え、前記第1導入配管、前記第2導入配管および前記下流側配管から導入された前記原料ガスは、前記熱交換流路を介して、直列に配列された前記触媒群のうち一方の端に配置されている前記触媒へと供給されてもよい。
この構成によれば、第1触媒の温度が目標温度よりも高い場合には、第1導入配管から導入される原料ガスの流量を増やして原料ガスと第1触媒との熱交換を促進し、第2触媒の温度が目標温度よりも高い場合には、第2導入配管から導入される原料ガスの流量を増やして原料ガスと第2触媒との熱交換を促進することによって、各触媒によるアンモニアの合成反応の進行が高温時の平衡的制約により阻害されるのを抑制することができる。また、第1触媒の温度が目標温度よりも低い場合には、第1導入配管から導入される原料ガスの流量を減らして原料ガスと第1触媒との熱交換を抑制し、第2触媒の温度が目標温度よりも低い場合には、第2導入配管から導入される原料ガスの流量を減らして原料ガスと第2触媒との熱交換を抑制することによって、各触媒が原料ガスとの熱交換によって降温されるのを抑制することができる。また、熱交換流路のうち第2熱交換区間よりも下流側に他の熱交換区間が存在しない場合には、下流側導入配管から導入される原料ガスの流量を増やすことによって、原料ガスとの熱交換による各触媒の降温を抑制しつつ各触媒によるアンモニアの合成反応が促進されることから、各触媒の昇温を促進することもできる。このように、第1導入配管、第2導入配管および下流側導入配管の各々から導入される原料ガスの流量を調整して各触媒の温度を調整することによって、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、アンモニア合成システム、アンモニア製造プラント、アンモニア製造装置、これらを備える装置およびシステム、アンモニアの製造方法、アンモニアの合成方法、これら装置や方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、およびコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態におけるアンモニア合成システムの概略ブロック図である。
図2】ガス組成と触媒の触媒活性との関係についての説明図である。
図3】第1実施例のアンモニア合成システムのプロセス効率についての説明図である。
図4】第1実施例のアンモニア合成システムのプロセス効率についての説明図である。
図5】第2実施例のアンモニア合成システムのプロセス効率についての説明図である。
図6】第2実施例のアンモニア合成システムのプロセス効率についての説明図である。
図7】第3実施例のアンモニア合成システムの概略ブロック図である。
図8】第3実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図9】第3実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図10】第4実施例のアンモニア合成システムの概略ブロック図である。
図11】第4実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図12】第4実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図13】第4実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図14】第4実施例の反応器の一部を透過視した斜視図である。
図15】別の実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図16】第5実施例のアンモニア合成システムの概略ブロック図である。
図17】第5実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図18】第5実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図19】第6実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図20】第6実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図21】第7実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図22】第7実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図23】第8実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
図24】第8実施例の反応器の内部構造を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
1.アンモニア合成システムの構成:
図1は、本発明の実施形態におけるアンモニア合成システム100の概略ブロック図である。図1に示されるアンモニア合成システム100では、アンモニア(NH3)の原料ガスである窒素(N2)の全部が第1触媒11に供給されずに、一部のN2が分割ガスGSPとして、第1触媒11から排出される中間生成ガスに供給される。これにより、第1触媒11に供給される反応ガスのN2と、第2触媒12に供給される中間生成ガスとのそれぞれに対する水素(H2)のガス比Rg(=H2/N2比)が、第1触媒11および第2触媒12を形成する触媒の種類に応じて最適に調整される。
【0023】
本実施形態のアンモニア合成システム100は、反応後のガスを再利用する循環設備を備えたアンモニア製造プラントで用いられるシステムである。図1に示されるように、アンモニア合成システム100は、アンモニアを合成する反応器(触媒群)10と、原料ガスを供給するガス供給部25と、供給されたガスの一部を分割するガス分割器20と、分割制御部30と、気液分離器40と、NH3を貯蓄するタンク50と、ガスセンサ(検出部)60と、第1混合器71および第2混合器72と、ガスを圧縮する第1圧縮機81および第2圧縮機82と、熱交換器91と、冷却器92と、加熱器93,94と、を備えている。
【0024】
ガス供給部25は、アンモニアの原料ガスであるN2とH2とを供給する。ガス供給部25は、図示されていないN2を貯蔵しているN2タンクと、H2とを貯蔵しているH2タンクと、を備えている。ガス供給部25は、N2をガス分割器20に供給し、H2を第1混合器71に供給する。第1混合器71に供給されるH2の原料H2ガスGH2の流量は、図示されない調整弁により調整されている。
【0025】
ガス分割器20は、第1混合器71と反応器10とのそれぞれにガスの流量を調整して供給するマスフローコントローラ(Mass Flow Controller)である。分割制御部30は、後述するガスセンサ60により検出されたガス組成を用いて、ガス分割器20を制御する。ガス分割器20は、分割制御部30の制御により第1混合器71に供給される原料H2ガスGH2の流量に応じて、第1混合器71に供給するN2の原料N2ガスGN2の流量と、後述する中間生成ガスに供給するN2の分割ガスGSPの流量とのそれぞれを制御する。換言すると、ガス供給部25は、ガス分割器20を介して、中間生成ガスに対して分割ガスを供給している。なお、ガス分割器20と分割制御部30とは、制御部に相当する。
【0026】
本実施形態では、ガス分割器20がN2の一部を分割ガスGSPとして中間生成ガスに供給しているが、他の実施形態では、N2の代わりにH2の一部が分割ガスGSPとして中間生成ガスに供給されてもよい。または、ガス分割器20は、H2とN2とを含む混合ガスの一部を分割ガスGSPとして中間生成ガスに供給してもよい。
【0027】
第1混合器71は、ガス供給部25から供給されたH2と、ガス分割器20から供給されたN2とを混合する。第1圧縮機81は、第1混合器71により混合されたN2とH2とを含む原料ガスを圧縮し、圧縮した原料ガスを第2混合器72へと供給する。第2混合器72には、第1圧縮機81からの原料ガスに加えて、気液分離器40から供給されるリサイクルガスGCYが供給される。リサイクルガスGCYは、反応器10の反応後ガスからNH3を取り除いた後のガスである。リサイクルガスGCYには、未反応のH2,N2や気液分離器40により取り除かれなかったNH3が含まれている。
【0028】
熱交換器91は、第2混合器72から供給された原料ガスと、反応器10から排出された反応後ガスとの間で熱交換を行う。下記式(1)で示されるアンモニアの合成は、発熱反応である。そのため、熱交換器91は、反応器10から排出された反応後ガスの熱を用いて、第2混合器72から供給された原料ガスを加熱する。熱交換器91により加熱された原料ガスは、加熱器94によりさらに加熱される。原料ガスは、熱交換器91と加熱器94とによって加熱されることにより、アンモニア合成反応に適した温度まで昇温する。
【数1】
【0029】
反応器10は、H2とN2とからアンモニアを合成する第1触媒11および第2触媒12を備えている。図1に示されるように、第1触媒11と、第2触媒12とは、反応器10内において、空間SPを介して直列に配列されている。第1触媒11および第2触媒12としては、原料ガスからNH3を合成するFe触媒やRu触媒といった、アンモニアを合成する周知の触媒を採用できる。第1触媒11は、加熱器94を介して熱交換器91から供給された原料ガスからNH3を合成する。第1触媒11を通過して空間SPに流入する中間生成ガスには、第1触媒11により合成されたNH3に加え、未反応のH2およびN2が含まれている。図1に示されるように、中間生成ガスに対して、ガス分割器20からN2の分割ガスGSPが供給される。分割ガスGSPは、反応器10内の中間生成ガスに供給される前に、加熱器93により加熱される。
【0030】
第2触媒12は、供給された中間生成ガスからNH3を合成する。反応器10から排出された反応後ガスは、熱交換器91の熱交換により冷却されて、冷却器92によりさらに冷却される。気液分離器40は、反応後ガスに含まれるNH3を冷却により液化して、液体のNH3をタンク50に貯蔵する。気液分離器40により反応後ガスからNH3が分離されたリサイクルガスGCYは、第2圧縮機82に圧縮された後に、第2混合器72へと供給される。
【0031】
本実施形態のガスセンサ60は、図1に示されるように、リサイクルガスGCYのガス組成と、熱交換器91から反応器10へと供給される原料ガスのガス組成と、中間生成ガスのガス組成と、反応器10から排出される反応後ガスのガス組成との少なくとも1つを検出する。分割制御部30は、ガスセンサ60により取得された各種ガスのガス組成を取得する。分割制御部30は、取得したガス組成を用いて、中間生成ガスのガス組成を制御する。本実施形態の分割制御部30は、ガス供給部25から供給されるN2のうち、ガス分割器20を用いて、第1混合器71に供給する原料N2ガスGN2と、中間生成ガスに供給する分割ガスGSPとの割合を調整することにより、反応器10へと供給される原料ガスを調整する。
【0032】
2.プロセス効率の評価:
第1触媒11および第2触媒12の触媒の種類に応じて、アンモニアを合成する場合の最適なガス組成が異なる。そのため、第1触媒11と第2触媒12とのそれぞれに流入するガスのガス組成が最適化されることにより、下記式(2)で示されるアンモニア合成システム100のプロセス効率EPが向上する。
【数2】
【0033】
図2は、ガス組成と触媒の触媒活性との関係についての説明図である。図2には、Ru系触媒とFe系触媒とのそれぞれについて、供給されるガスのガス組成に応じて変化する触媒活性ARu,AFeが示されている。図2の横軸には、ガス組成の1つであるN2に対するH2の割合であるガス比Rgが示されている。図2に示される触媒活性ARuから、Ru系触媒が最も活性するガス比Rgは、1.1前後である。一方で、触媒活性AFeから、Fe系触媒が最も活性するガス比Rgは、約1.3~3.0までである。厳密には、触媒活性AFeは、ガス比Rgが約1.3からピークとなる約2.0まで緩やかに上昇し、その後に緩やかに下降している。このように、触媒の種類に応じて各触媒が活性するガス比Rgが異なるため、プロセス効率EPを向上させるために、触媒に供給するガスのガス組成が制御されることが好ましい。
【0034】
図3および図4は、第1実施例のアンモニア合成システム100Aのプロセス効率EPについての説明図である。第1実施例のアンモニア合成システム100Aでは、実施形態のアンモニア合成システム100における第1触媒11としてFe系触媒が採用され、第2触媒12としてRu系触媒が採用されている。第1実施例では、ガス供給部25からガス比Rgが2.5の原料ガスが供給される場合に、分割ガスGSPを変化させた際の各プロセス効率EPを評価した。具体的には、ガス供給部25から供給される原料ガスのうち中間生成ガスに供給される分割ガスGSPが、H2の20%である場合と、混合ガスの20%である場合と、N2の20%である場合と、分割ガスGSP自体がない場合との4種類のプロセス効率EPについて評価した。なお、4種類のいずれの場合でも、アンモニア合成システム100Aに供給される原料ガスの総流量は同じである。
【0035】
図3には、評価されたプロセス効率EPの棒グラフが示されている。図4には、評価されたプロセス効率EPに加えて、第1触媒11と第2触媒12とのそれぞれの出口温度と、第1触媒11と第2触媒12とのそれぞれに供給されるガスのガス比Rgと、が表で示されている。なお、第1実施例の分割ガスGSPは、加熱器93により150℃まで加熱される。
【0036】
図3および図4に示されるように、中間生成ガスに分割ガスGSPが供給された3種類のプロセス効率EPは、分割ガスGSPがない場合のプロセス効率EP(58.26)よりも高くなった。分割ガスGSPが供給された3種類のプロセス効率EPのうち、N2が分割ガスGSPとして供給された場合のプロセス効率EPは、59.26であり、最も高い。この場合の第2触媒12に供給されるガスのガス比Rgは、1.08であり、他の3種類のガス比とほぼ同じである。一方で、第1触媒11に供給されるガスのガス比Rgは、1.45であり、他の3種類のガス比Rgよりも高い。図2を参照すると、Fe系触媒の触媒活性は、ガス比Rgが約2.0の場合にピークである。そのため、分割ガスGSPとしてN2が供給された場合のガス比Rgは、他の場合よりもよりガス比Rgが2.0に近く、第1触媒11の合成効率が向上したと考えられる。
【0037】
図5および図6は、第2実施例のアンモニア合成システム100Bのプロセス効率EPについての説明図である。第2実施例のアンモニア合成システム100Bでは、実施形態のアンモニア合成システム100における第1触媒11および第2触媒12としてRu系触媒が採用されている。第2実施例では、ガス供給部25からガス比Rgが2.7の原料ガスが供給される場合に、分割ガスGSPを変化させた際の各プロセス効率EPを評価した。具体的には、ガス供給部25から供給される原料ガスのうち中間生成ガスに供給される分割ガスGSPが、H2の20%である場合と、混合ガスの20%である場合と、N2の20%である場合と、分割ガスGSP自体がない場合との4種類のプロセス効率EPについて評価した。なお、第1実施例と同じように、4種類のいずれの場合でも、アンモニア合成システム100Bに供給される原料ガスの総流量は同じである。図5には、図3に対応する第2実施例のプロセス効率EPの棒グラフが示されている。図6には、図4に対応する第2実施例の表が示されている。第2実施例の分割ガスGSPは、第1実施例と同じように、加熱器93により150℃まで加熱される。
【0038】
図5および図6に示されるように、中間生成ガスに分割ガスGSPが供給された3種類のプロセス効率EPは、分割ガスGSPがない場合のプロセス効率EP(58.35)よりも高くなった。分割ガスGSPが供給された3種類のプロセス効率EPのうち、H2が分割ガスGSPとして供給された場合のプロセス効率EPは、58.86であり、最も高い。この場合の第2触媒12に供給されるガスのガス比Rgは、約1.60であり、他の3種類のガス比とほぼ同じである。一方で、第1触媒11に供給されるガスのガス比Rgは、1.63であり、他の3種類のガス比Rgよりも低い。図2を参照すると、Ru系触媒の触媒活性のピークは、ガス比Rgが約1.1のときである。そのため、分割ガスGSPとしてN2が供給された場合のガス比Rgは、他の場合よりもガス比Rgが1.1に近く、第1触媒11の合成効率が向上したと考えられる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のアンモニア合成システム100では、直列に配列された第1触媒11および第2触媒12を収容する反応器10へと、ガス供給部25からアンモニアの原料であるN2とH2とが供給される。分割制御部30により、ガス分割器20を介して、ガス供給部25から、第1触媒11と第2触媒12との間で得られた中間生成ガスに対して、分割ガスGSPが供給される。原料ガスから供給される一部のガスが分割ガスGSPとして中間生成ガスに供給されることにより、第1触媒11に供給されるガスのガス組成と、第2触媒12に供給される中間生成ガスのガス組成とが制御される。各触媒11,12に供給されるガス比Rgが、第1触媒11および第2触媒12の種類に応じて、各触媒11,12の能力を発揮できるガス比に調整されることにより、図3ないし図6に示されるように、アンモニア合成システム100A,100Bのプロセス効率EPが向上する。すなわち、アンモニア合成システム100によれば、H2とN2とからNH3を合成する反応器10の合成能力を向上させることができる。また、各触媒11,12の劣化により、各触媒11,12の合成能力を発揮させるための最適なガス比Rgが変化した場合であっても、分割ガスGSPが調整されて各触媒11,12に供給されるガスのガス比Rgが制御されることにより、各触媒11,12の合成能力が向上する。
【0040】
また、本実施形態のアンモニア合成システム100では、ガス供給部25から中間生成ガスに供給される分割ガスGSPは、N2である。中間生成ガスに供給される分割ガスGSPがN2とH2とを含む混合ガスでないため、分割制御部30は、中間生成ガスのガス組成を調整しやすい。
【0041】
また、本実施形態のアンモニア合成システム100は、中間生成ガスのガス組成等を検出するガスセンサ60を備えている。分割制御部30は、検出されたガス組成を用いて、中間生成ガスに供給するN2の流量を制御する。この結果、中間生成ガスのガス組成がより正確に調整され、各触媒11,12の合成能力が向上する。
【0042】
また、第1実施例のアンモニア合成システム100Aでは、第1触媒11がFe系触媒であり、第2触媒12がFe系触媒とは異なるRu系触媒である。第1触媒11と第2触媒12とを形成する触媒の種類が異なれば、各触媒11,12の合成能力を発揮させるための最適なガス比Rgも異なる。すなわち、第1実施例のアンモニア合成システム100Aでは、第1触媒11と第2触媒12とが同じ種類の触媒により形成されたシステムよりも、各触媒11,12に対する最適なガス比Rgが異なる。そのため、分割ガスGSPの種類や流量制御に応じて各触媒11,12が異なるように選択されることで、反応器10としての合成能力が向上する。
【0043】
また、本実施形態のアンモニア合成システム100では、加熱器93が、反応器10内の中間生成ガスに供給される分割ガスGSPを加熱する。これにより、中間生成ガスの温度が適切ではなく、第2触媒12のアンモニア合成が平衡に到達することが抑制される。すなわち、本実施形態のアンモニア合成システム100では、中間生成ガスのガス組成が調整されることに加えて、分割ガスGSPの温度が調整されることによって中間生成ガスの温度が調整される。これにより、第2触媒12のアンモニア合成が平衡に到達することを抑制し、第2触媒12での合成能力をさらに向上させることができる。
【0044】
図7は、第3実施例のアンモニア合成システム100Cの概略ブロック図である。第3実施例のアンモニア合成システム100Cは、図1に図示したアンモニア合成システム100と比べて、主に、熱交換器91を備えていない点と、反応器10とは異なる反応器10cを備えている点と、が異なる。
【0045】
図8,9は、反応器10cの内部構造を示した断面図である。図8には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。このXYZ軸は、図8以降の各図においても共通する。図8に示す断面は、反応器10cのXZ断面にあたる。図9(A)(B)に示す断面は、それぞれ図8に示すF9A―F9A断面およびF9B―F9B断面における反応器10cのYZ断面にあたる。図8,9に示された各矢印は、反応器10c内におけるガスの流れを示している。
【0046】
図8に示すように、反応器10cは、触媒群である第1触媒11および第2触媒12を収容する。第1触媒11および第2触媒12は、直列に配列された状態で反応器10c内に収容されている。反応器10cは、図8に示すように、内側配管13と、外側配管15と、を有する。内側配管13は、円筒形状を成し、内部に触媒群を収容する。詳細には、内側配管13のうち-X軸方向側の部分である第1収容部分13Lにより第1触媒11は収容されているとともに、+X軸方向側の部分である第2収容部分13Rにより第2触媒12は収容されている。内側配管を覆う外側配管15は、半球部分15L,15Rと、円筒部分15Mと、から構成されている。半球部分15L,15Rは、それぞれ-X軸方向側、+X軸方向側から円筒部分15Mに接続している。円筒部分15Mは、内側配管13を覆う。円筒部分15Mには、第1収容部分13Lに対向する第1対向部分15MLと、第2収容部分13Rに対向する第2対向部分15MRと、が含まれる。反応器10cにおいて、内側配管13と外側配管15との間の空間は、熱交換流路HF1にあたる。すなわち、反応器10cは、熱交換流路HF1を内部に有する。
【0047】
供給配管16は、第2混合器72(図7参照)と反応器10cとを接続し、第2混合器72から原料ガスを内側配管13と外側配管15との間に供給する。原料ガスを加熱する加熱器94(図7参照)は、供給配管16に設けられている。第3実施例では、供給配管16は、第2対向部分15MRのうち+X軸方向側の端部から、内側配管13と外側配管15との間に原料ガスを供給する。
【0048】
供給配管16から供給された原料ガスは、熱交換流路HF1を流通する。熱交換流路HF1は、触媒群による反応に用いられる原料ガスを触媒群と反応させず、かつ、触媒群との間で熱交換しつつ触媒群へと供給する流路である。換言すれば、原料ガスは、熱交換流路HF1を介して、内側配管13により隔てられた触媒群の周囲に原料ガスを流通させて触媒群と原料ガスとの間で熱交換を行ったのち、その原料ガスを内側配管13において直列に配列された触媒群のうち一方の端に配置されている第1触媒11へと供給される。例えば、触媒群のうち第2触媒12と原料ガスとの熱交換は、図9(A)に示すように、第2収容部分13Rにより隔てられた第2触媒12の周囲に原料ガスを流通させることによって行われる。第1触媒11と原料ガスとの熱交換についても同様である。このように、反応器10cにおいて、原料ガスは、熱交換流路HF1のうち第1収容部分13Lおよび第2収容部分13Rと、第1対向部分15MLおよび第2対向部分15MRとによって画定された部分を流通したのち、半球部分15Lによって画定された部分を流通して、第1触媒11に供給される。なお、熱交換流路HF1のうち第2収容部分13Rの+X軸方向側の端部と第2対向部分15MRの+X軸方向側の端部とは、YZ平面に沿って伸びた接続壁14で接続されていることにより、閉塞されている。
【0049】
第1触媒11に供給された原料ガスは、アンモニアの合成反応に供されながら第1触媒11を通過して、中間生成ガスとして空間SPに流入する。空間SPに流入した中間生成ガスに対しては、ガス分割器20(図7参照)から分割ガスGSPが供給配管17を介して供給される(図9(B)参照)。供給配管17は、ガス分割器20と反応器10cとを接続し、ガス分割器20から原料ガスを空間SPに供給する。分割ガスGSPを加熱する加熱器93(図7参照)は、供給配管17に設けられている。中間生成ガスは分割ガスGSPと混合されたのち、アンモニアの合成反応に供されながら第2触媒12を通過して、反応後ガスとして反応器10cから排出配管18を介して排出される。排出配管18は、半球部分15Rと冷却器92(図7参照)とを接続し、反応器10cから冷却器92に向けて反応後ガスを排出する。
【0050】
アンモニアの合成反応は発熱反応であることから、触媒群を構成する触媒の各々の温度は高くなる傾向にある。第3実施例のアンモニア合成システム100Cによれば、そのような触媒群との熱交換により原料ガスを昇温してから、その原料ガスを触媒群によるアンモニアの合成反応に用いることができる。したがって、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのを抑制することができる。また、合成反応により発生した熱を原料ガスの昇温に再利用していることから、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。特に、第1触媒11や第2触媒12におけるFeやRu等の担持量が比較的多いことにより、アンモニアの合成反応に伴う発熱で多くの熱量が発生しやすい場合には、その熱量を再利用できることから、第3実施例のアンモニア合成システム100Cで示した構造は有効である。
【0051】
また、第3実施例のアンモニア合成システム100Cでは、具体的に、原料ガスは、熱交換流路HF1を流通する間に内側配管13により隔てられた触媒群との熱交換により昇温されてから、第1触媒11へ供給されて、アンモニアの合成反応に用いられる。このような構成により、合成反応における反応速度が小さくなるのを抑制し、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させている。
【0052】
図10は、第4実施例のアンモニア合成システム100Dの概略ブロック図である。第4実施例のアンモニア合成システム100Dは、図7に図示したアンモニア合成システム100Cと比べて、主に、反応器10cとは異なる反応器10dを備えている点が異なる。反応器10dは、熱交換流路HF1とは異なる構造の熱交換流路HF2(不図示)を内部に有する。なお、熱交換流路HF2は、触媒群による反応に用いられる原料ガスを触媒群と反応させず、かつ、触媒群との間で熱交換しつつ触媒群へと供給する流路であるとともに、内側配管13と外側配管15との間の空間であることは、熱交換流路HF1と同様である。後述する図11~14に示される流路HFa,HFb,HFcは、熱交換流路HF2の一部である。
【0053】
図11~13は、反応器10dの内部構造を示した説明図である。図11には、反応器10dのXZ断面が示されている。詳細には、図11には、反応器10dのうち後述する第2供給配管16Rおよび供給配管17を通るXZ断面が示されている。図12(A)(B)(C)には、それぞれ図11に示すF12A―F12A断面、F12B―F12B断面およびF12C―F12C断面における反応器10dのYZ断面が示されている。図13には、+Z軸方向側から透過視した反応器10dの内部構造が示されている。図11~13(図12(C)を除く)に示された各矢印は、反応器10dのうち後述する第2経路を流通するガスの向きを示している。なお、図12(B)に示された矢印は、-X軸方向側(図面手前側)に流通するガスの向きを示している。
【0054】
反応器10dは、図11に示すように、第1供給配管16Lと、第2供給配管16Rと、第1排出配管18Lと、第2排出配管18Rと、を備えている。第1供給配管16Lおよび第2供給配管16Rの各々は、第2混合器72(図10参照)と反応器10dとを接続している。詳細には、第2混合器72(図10参照)に接続している1本の配管から分岐した第1供給配管16Lおよび第2供給配管16Rの各々が、反応器10dに接続している。この1本の配管に対して、原料ガスを加熱する加熱器94(図10参照)は設けられている。第1供給配管16Lは、熱交換流路HF2のうち第1触媒11の側の部分に接続され、原料ガスを熱交換流路HF2(不図示)に供給する。詳細には、第1供給配管16Lは、第1対向部分15MLのうち-X軸方向側の端部に接続されている。第2供給配管16Rは、熱交換流路HF2のうち第2触媒12の側の部分に接続され、原料ガスを熱交換流路HF2に供給する。詳細には、第2供給配管16Rは、第2対向部分15MRのうち+X軸方向側の端部に接続され、原料ガスを後述の流路HFaに供給する。
【0055】
第1排出配管18Lは、第2触媒12から第1触媒11へ向かう方向(図11では-X軸方向)の側の外側配管15の部分(半球部分15L)に接続され、触媒群による反応を経た反応後ガスを反応器10dの外部に排出する。第2排出配管18Rは、第1触媒11から第2触媒12へ向かう方向(図11では+X軸方向)の側の外側配管15の部分(半球部分15R)に接続され、触媒群による反応を経た反応後ガスを反応器10dの外部に排出する。第1排出配管18Lおよび第2排出配管18Rの各々は、半球部分15L,15Rと冷却器92(図10参照)とを接続し、反応器10dから冷却器92に向けて反応後ガスを排出する。
【0056】
第1供給配管16L、第2供給配管16R、第1排出配管18Lおよび第2排出配管18Rには、それぞれ弁B1,弁A1,弁B2,弁A2が設けられている。弁B1,弁A1,弁B2,弁A2は、それら弁が設けられた配管内の気体の流通を遮断可能な遮断弁である。
【0057】
反応器10dにおいて、原料ガスが熱交換流路HF2に供給されたのち反応後ガスとして反応器10dの外部に排出される経路には、第1経路と第2経路とが含まれる。第2経路は、弁A1および弁A2が開弁し、且つ、弁B1および弁B2が閉弁している場合にガスが流通する経路である。上述したように、図11~13(図12(C)を除く)に示された各矢印は、第2経路を流通するガスの向きを示している。図11に示されるように、第2経路は、原料ガスが第2供給配管16Rから熱交換流路HF2(後述する流路HFa,HFb,HFcを含む)を介して第1触媒11へ供給されたのち第2触媒12を経て反応後ガスとして第2排出配管18Rから排出される経路である。
【0058】
図14は、反応器10dの一部を透過視した斜視図が示されている。図14に示す反応器10dの一部とは、図11に示した反応器10dから半球部分15L,Rおよび第1,2排出配管18L,Rを除いた部分のことである。図14では、反応器10d内における第2経路の配置を見やすくするために、第1経路の配置部分にはハッチングを施すとともに透過視された反応器10dの内部構造の一部のみを図示している。
【0059】
第2経路を介して原料ガスが第2供給配管16Rから第1触媒11に到る過程を詳細に説明する。この過程において、原料ガスは、熱交換流路HF2のうち、流路HFa,HFb,HFcを流通する。流路HFaは、図11,12(A),13,14に示すように、第2収容部分13Rおよび第2対向部分15MRによって画定され、第2触媒12の周囲を囲む円筒形状の流路である。流路HFbは、図11,12(B),13,14に示すように、主に第1収容部分13Lおよび第1対向部分15MLによって画定され、第1触媒11の+Z軸方向側においてX軸方向に沿って伸びる細筒形状の流路である。流路HFbを画定する構造には、第1収容部分13Lおよび第1対向部分15MLの他に、図12(B),13,14に示すように、第1収容部分13Lと第1対向部分15MLとの間を接続している接続壁14C,14CBが含まれる。図13,14に示すように、接続壁14Cは、内側配管13のX軸方向における全体にわたって外側配管15と接続しており、接続壁14CBは、内側配管13のうちX軸方向における中央から-X軸方向側にわたって外側配管15と接続している。流路HFcは、図11,13に示すように、半球部分15Lによって画定された半球形状の流路である。第2経路において、第2供給配管16Rから送られてきた原料ガスは、流路HFa,HFb,HFcを経由して、第1触媒11に到る。
【0060】
図11に示すように、第1触媒11に供給された原料ガスは、第3実施例と同様に、アンモニアの合成反応に供されながら第1触媒11を通過して、中間生成ガスとして空間SPに流入する。空間SPに流入した中間生成ガスに対しては、ガス分割器20(図7参照)から分割ガスGSPが供給配管17を介して供給される。第4実施例においては、分割ガスGSPは、図12(C)に示すように、供給配管17から空間SPの周囲を囲む円筒形状の流路SFを経由して空間SPに供給される。空間SPにおいて、中間生成ガスは分割ガスGSPと混合されたのち、アンモニアの合成反応に供されながら第2触媒12を通過して、反応後ガスとして反応器10dから第2排出配管18Rを介して排出される。
【0061】
一方、第1経路は、弁A1および弁A2が閉弁し、且つ、弁B1および弁B2が開弁している場合にガスが流通する経路である。第1経路は、反応器10dにおいて第2経路と対称的に配置され(図13図14のハッチングを施された部分を参照)、原料ガスが第1供給配管16Lから熱交換流路HF2を介して第2触媒12へ供給されたのち第1触媒11を経て反応後ガスとして第1排出配管18Lから排出される経路である。第1経路を介して原料ガスが第1供給配管16Lから第2触媒12に到る際には、熱交換流路HF2のうち、第1触媒11の周囲を囲む円筒形状の流路(第2経路に含まれる流路HFaに相当)、第2触媒12の+Z軸方向側においてX軸方向に沿って伸びる細筒形状の流路(第2経路に含まれる流路HFbに相当)、半球部分15Rによって画定された半球形状の流路(第2経路に含まれる流路HFcに相当)を経由する。上述したように、弁B1,弁A1,弁B2,弁A2の開閉状態に応じて、原料ガスが熱交換流路HF2に供給されたのち反応後ガスとして反応器10dの外部に排出される経路は、第1経路と第2経路との間で切り替えられることから、弁B1,弁A1,弁B2,弁A2はそれぞれ経路切替部にあたる。
【0062】
第1経路と第2経路との経路切替は、図示しない経路制御部によって制御される。経路制御部は、第1触媒11および第2触媒12を通過した直後のガス温度である出ガス温度および経路切替後の経過時間に基づいて、経路切替を指示する。例えば、第1触媒11の出ガス温度と第2触媒12の出ガス温度との温度差が50℃以上であり、且つ、最後に経路切替を実行してから30分以上経過していることを契機として、経路切替を再実行する。温度差が50℃以上であるということは、例えば、第2経路による第1触媒11への原料ガス供給が継続して、第2触媒12よりも上流側の第1触媒11において多くのアンモニアが合成されることにより、第1触媒11の方が第2触媒12よりも大きい昇温速度で昇温されて高温になったことを示している。温度差が50℃以上より更に大きくなると、第1触媒11において高温時の平衡的制約によりアンモニアの合成反応が阻害される可能性が高まることから、原料ガス供給を行う方向を第1経路に切り替えるのが好ましい。なお、温度差の基準とするガスの温度は、出ガス温度ではなく、第1触媒11および第2触媒12の内部温度であってもよい。
【0063】
上述したように、第1触媒11と第2触媒12とのうち第1触媒11を上流側としてアンモニア合成を継続した場合(第2経路を介した触媒群への原料ガス供給を継続した場合)、第2触媒12よりも第1触媒11において多くのアンモニアが合成されることから、第1触媒11の方が第2触媒12よりも大きい昇温速度で昇温されて高温になる。その結果、アンモニアの合成反応は高温時に平衡的制約を受けることから、第1触媒11によるアンモニアの合成反応が阻害される可能性が高まる。一方、第4実施例のアンモニア合成システム100Dによれば、アンモニア合成を実行する際の経路を第1経路と第2経路との間で切り替え可能であることから、定期的に第1経路と第2経路とを切り替えて、第1触媒11と第2触媒12とのうち上流側に配置される触媒を入れ替えることによって、一方の触媒におけるアンモニアの合成反応の進行が高温時の平衡的制約により阻害されるのを抑制することができる。その結果、アンモニア合成システム100Dにおいて、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。特に、第1触媒11や第2触媒12におけるFeやRu等の担持量が比較的多いことにより、アンモニアの合成反応に伴う発熱で多くの熱量が発生しやすい場合には、第4実施例のアンモニア合成システム100Dで示した経路の切り替えは有効である。また、合成反応により発生した熱を原料ガスの昇温に再利用していることから、このような観点からも、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。また、原料ガスは、熱交換流路HF2を流通する間に触媒群との熱交換により昇温されてから、触媒群によるアンモニアの合成反応に用いられるため、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのを抑制することもできる。
【0064】
図16は、第5実施例のアンモニア合成システム100Eの概略ブロック図である。第5実施例のアンモニア合成システム100Eは、図7に図示した第3実施例のアンモニア合成システム100Cと比べて、主に、ガス分割器95および分割制御部96を備えている点と、反応器10cとは異なる反応器10eを備えている点が異なる。反応器10eは、熱交換流路HF1,2とは異なる構造の熱交換流路HF3(不図示)を内部に有する。なお、熱交換流路HF3は、熱交換流路HF1,2と同様に、触媒群による反応に用いられる原料ガスを触媒群と反応させず、かつ、触媒群との間で熱交換しつつ触媒群へと供給する流路である。後述する図17に示される第1熱交換区間EX1,第2熱交換区間EX2,最下流区間EXTは、それぞれ熱交換流路HF3の一部である。
【0065】
図17は、反応器10eの内部構造を示した説明図である。図17には、反応器10eのXZ断面が示されている。図18(A)~(D)には、それぞれ図17に示すF18A~D―F18A~D断面における反応器10eのYZ断面が示されている。図18の右下に図示されたXYZ軸は、図18(A)~(D)の各図において共有されている。図17,18に示された各矢印は、反応器10e内におけるガスの流れを示している。
【0066】
図17に示すように、反応器10eは、第3,4実施例の反応器10c、dと同様に(図8,11参照)、内側配管13と、外側配管15と、を有するとともに、触媒群である第1触媒11および第2触媒12を収容する。すなわち、第5実施例の触媒群には、第1触媒11と第2触媒12とが含まれる。第1触媒11および第2触媒12は、上述の実施例と同様に、直列に配列された状態で反応器10e内に収容されているが、本実施例では、第1触媒11は、内側配管13のうち第2収容部分13Rに収容されているとともに、第2触媒12は、内側配管13のうち第1収容部分13Lに収容されている。
【0067】
反応器10eにおいて、内側配管13と外側配管15との間の空間は、熱交換流路HF3にあたる。すなわち、反応器10eは、熱交換流路HF3を内部に有する。熱交換流路HF3は、触媒群との間で熱交換が可能な2つの熱交換区間として、図17に示すように、第1熱交換区間EX1と、第2熱交換区間EX2と、を有する。
【0068】
第1熱交換区間EX1は、2つの熱交換区間のうち最も上流側に配置されて第1触媒11との間で熱交換が可能な区間である。第1熱交換区間EX1は、第2収容部分13Rと、第2対向部分15MRとによって画定された区間である。一方、第2熱交換区間EX2は、2つの熱交換区間のうち上流側から下流側へ向かう方向において第1熱交換区間EX1の次に配置されて第2触媒12との間で熱交換が可能な区間である。第2熱交換区間EX2は、第1収容部分13Lと、第1対向部分15MLとによって画定された区間である。
【0069】
また、反応器10eは、図17に示すように、第1導入配管16e1と、第2導入配管16e2と、下流側導入配管16eTと、を備えている。第1導入配管16e1、第2導入配管16e2および下流側導入配管16eTの各々は、ガス分割器95(図16参照)と反応器10eとを接続している。詳細には、ガス分割器95(図16参照)に接続している1本の配管から分岐した第1導入配管16e1、第2導入配管16e2および下流側導入配管16eTの各々が、反応器10eに接続している。第1導入配管16e1、第2導入配管16e2および下流側導入配管16eTの各々は、ガス分割器95から供給される原料ガスを、反応器10e内に導入する配管である。
【0070】
第1導入配管16e1は、図17に示すように、第2対向部分15MRのうち+X軸方向側の端部に接続され、原料ガスを第1熱交換区間EX1に導入する。第1導入配管16e1から導入された原料ガスは、図17図18(A)に示すように、第2収容部分13Rの周囲を流通しつつ-X軸方向側に向かう(第1熱交換区間EX1内を流通する)際に、第1触媒11と熱交換を行う。なお、本実施例においても、図17に示すように、第2収容部分13Rの+X軸方向側の端部と第2対向部分15MRの+X軸方向側の端部とは、YZ平面に沿って伸びた接続壁14で接続されていることにより、閉塞されている。
【0071】
第2導入配管16e2は、円筒部分15MのうちX軸方向における中央付近に接続され、第1熱交換区間EX1よりも下流側から原料ガスを第2熱交換区間EX2に導入する。第2導入配管16e2から導入された原料ガスは、図17図18(B)に示すように、内側配管13(のうちX軸方向における中央付近)の周囲を流通しつつ-X軸方向側に向かう(第2熱交換区間EX2内を流通する)際に、第2触媒12と熱交換を行う。
【0072】
下流側導入配管16eTは、第1対向部分15MLのうち-X軸方向側の端部に接続され、第2熱交換区間EX2よりも下流側から原料ガスを熱交換流路HF3に導入する。下流側導入配管16eTから導入された原料ガスは、図17図18(D)に示すように、第1収容部分13Lの周囲を流通しつつ最下流区間EXT(半球部分15Lによって画定された区間)に向かう。
【0073】
ガス分割器95は、加熱器94によって加熱された原料ガスの流量を調整して、第1導入配管16e1、第2導入配管16e2および下流側導入配管16eTの各々に供給するマスフローコントローラ(Mass Flow Controller)である。分割制御部96は、図示しない温度センサによって取得される第1触媒11の温度および第2触媒12の温度を用いて、ガス分割器95を制御する。分割制御部96による具体的な制御は後述する。ガス分割器95と分割制御部96とは、流量調整部に相当する。ここでいう流量調整部は、第1導入配管16e1から導入される原料ガスの流量と、第2導入配管16e2から導入される原料ガスの流量と、下流側導入配管16eTから導入される原料ガスの流量と、を調整する機能を備えた構成のことである。
【0074】
第1触媒11の温度が目標温度(予め設定された所望の温度)よりも高い場合、分割制御部96は、第1導入配管16e1から導入される原料ガスの流量(第1導入量)を増やすようガス分割器95を制御する。また、このとき、分割制御部96は、第2導入配管16e2から導入される原料ガスの流量(第2導入量)と下流側導入配管16eTから導入される原料ガスの流量(下流側導入量)とのうち少なくとも一方を減らすようガス分割器95を制御する。一方、第1触媒11の温度が目標温度よりも低い場合、分割制御部96は、第1導入量を減らしつつ、第2導入量と下流側導入量とのうち少なくとも一方を増やすようガス分割器95を制御する。
【0075】
第2触媒12の温度が目標温度よりも高い場合、分割制御部96は、第2導入量を増やしつつ、第1導入量と下流側導入量とのうち少なくとも一方を減らすようガス分割器95を制御する。一方、第2触媒12の温度が目標温度よりも低い場合、分割制御部96は、第2導入量を減らしつつ、第1導入量と下流側導入量とのうち少なくとも一方を増やすようガス分割器95を制御する。上述してきた、第1触媒11の温度に応じた第1導入量の増減およびそれに伴う第2導入量と下流側導入量とのうちの少なくとも一方の増減と、第2触媒12の温度に応じた第2導入量の増減およびそれに伴う第1導入量と下流側導入量とのうちの少なくとも一方の増減と、は、並行して実行されてもよい。
【0076】
第1導入配管16e1、第2導入配管16e2および下流側導入配管16eTから反応器10e内に導入された原料ガスは、最下流区間EXTに到達したのち、アンモニアの合成反応に供されながら第2触媒12を通過して、中間生成ガスとして空間SPに流入する。空間SPに流入した中間生成ガスに対しては、ガス分割器20(図16参照)から分割ガスGSPが供給配管17を介して供給される(図18(C)参照)。中間生成ガスは分割ガスGSPと混合されたのち、アンモニアの合成反応に供されながら第1触媒11を通過して、反応後ガスとして反応器10eから排出配管18を介して排出される。排出配管18は、半球部分15Rと冷却器92(図16参照)とを接続し、反応器10eから冷却器92に向けて反応後ガスを排出する。
【0077】
以上説明した第5実施例のアンモニア合成システム100Eによれば、第1触媒11の温度が目標温度よりも高い場合には、第1導入配管16e1から導入される原料ガスの流量を増やして原料ガスと第1触媒11との熱交換を促進し、第2触媒12の温度が目標温度よりも高い場合には、第2導入配管16e2から導入される原料ガスの流量を増やして原料ガスと第2触媒12との熱交換を促進することによって、各触媒によるアンモニアの合成反応の進行が高温時の平衡的制約により阻害されるのを抑制することができる。また、第1触媒11の温度が目標温度よりも低い場合には、第1導入配管16e1から導入される原料ガスの流量を減らして原料ガスと第1触媒11との熱交換を抑制し、第2触媒12の温度が目標温度よりも低い場合には、第2導入配管16e2から導入される原料ガスの流量を減らして原料ガスと第2触媒12との熱交換を抑制することによって、各触媒が原料ガスとの熱交換によって降温されるのを抑制することができる。また、第5実施例のアンモニア合成システム100Eでは、熱交換流路HF3のうち第2熱交換区間EX2よりも下流側に他の熱交換区間が存在しないため、下流側導入配管16eTから導入される原料ガスの流量を増やすことによって、原料ガスとの熱交換による第1,2触媒11,12の降温を抑制しつつ第1,2触媒11,12によるアンモニアの合成反応が促進されることから、各触媒の昇温を促進することもできる。このように、第1導入配管16e1、第2導入配管16e2および下流側導入配管16eTの各々から導入される原料ガスの流量を調整して第1,2触媒11,12の温度を調整することによって、アンモニア合成におけるプロセス効率を向上させることができる。
【0078】
図19は、第6実施例のアンモニア合成システム100Fが備える反応器10fの内部構造を示した説明図である。図20(A)~(D)には、それぞれ図19に示すF20A~D―F20A~D断面における反応器10fのYZ断面が示されている。図20の右下に図示されたXYZ軸は、図20(A)~(D)の各図において共有されている。第6実施例のアンモニア合成システム100Fは、図17に図示した第5実施例のアンモニア合成システム100Eと比べて、反応器10eとは異なる反応器10fを備えている点が異なる。反応器10fは、上述の熱交換流路HF1~3とは異なる構造の熱交換流路HF4(不図示)を内部に有する。後述する図19に示される第1熱交換区間EX1f,第2熱交換区間EX2f,最下流区間EXTは、それぞれ熱交換流路HF4の一部である。
【0079】
反応器10fは、図19に示すように、内側配管13fと、外側配管15と、を有する。内側配管13fは、円筒形状を成し、外周面を触媒群に覆われている。詳細には、内側配管13fのうち+X軸方向側の部分である第2円筒部分13fRの外周面は第1触媒11に覆われているとともに、-X軸方向側の部分である第1円筒部分13fLの外周面は第2触媒12に覆われている。すなわち、第6実施例において、第1触媒11の形状および第2触媒の形状は、環状である。
【0080】
外側配管15は、円筒形状を成し、内側配管13fを覆うとともに、内部に触媒群を収容する。詳細には、外側配管15のうち第2対向部分15MR(第6実施例では第2円筒部分13fRと対向)の内側に第1触媒11は収容されているとともに、第1対向部分15ML(第6実施例では第1円筒部分13fLと対向)の内側に第2触媒12は収容されている。
【0081】
また、内側配管13fは、内部に熱交換流路HF4の一部である、第1熱交換区間EX1fと、第2熱交換区間EX2fと、を有する。第1熱交換区間EX1fは、第2円筒部分13fRによって画定された区間である。一方、第2熱交換区間EX2fは、第1円筒部分13fLによって画定された区間である。
【0082】
また、反応器10fは、図19に示すように、第1導入配管16f1と、第2導入配管16f2と、下流側導入配管16fTと、を備えている。第1導入配管16f1は、第2円筒部分13fRのうち+X軸方向側の端部に接続されている。第1導入配管16f1から導入された原料ガスは、図19図20(A)に示すように、第2円筒部分13fRの内部を-X軸方向側に向かう(第1熱交換区間EX1f内を流通する)際に、第1触媒11と熱交換を行う。
【0083】
第2導入配管16f2は、内側配管13fのうちX軸方向における中央付近に接続されている。第2導入配管16f2から導入された原料ガスは、図19図20(B)に示すように、内側配管13fのうちX軸方向における中央付近から-X軸方向側に向かって第1円筒部分13fLの内部を流通する(第2熱交換区間EX2f内を流通する)際に、第2触媒12と熱交換を行う。
【0084】
下流側導入配管16fTは、第1円筒部分13fLのうち-X軸方向側の端部に接続されている。下流側導入配管16fTから導入された原料ガスは、図19図20(D)に示すように、第1円筒部分13fLから-X軸方向に向かって流通したのち最下流区間EXT(半球部分15Lによって画定された区間)に到る。
【0085】
第1導入配管16f1、第2導入配管16f2および下流側導入配管16fTから反応器10f内に導入された原料ガスは、最下流区間EXTに到達してから、第2触媒12、空間SP、第1触媒11をアンモニアの合成反応に供されながら通過したのち、排出配管18から排出される。なお、空間SPを通過する際には、原料ガスは、供給配管17を介して供給される分割ガスGSPと混合される(図20(C)参照)。以上説明した第6実施例のアンモニア合成システム100Fによれば、第5実施例と同様の効果を奏することができる。
【0086】
図21は、第7実施例のアンモニア合成システム100Gが備える反応器10gの内部構造を示した説明図である。図22(A)~(E)には、それぞれ図21に示すF22A~D―F22A~E断面における反応器10gのYZ断面が示されている。図22の右下に図示されたXYZ軸は、図22(A)~(E)の各図において共有されている。第7実施例のアンモニア合成システム100Gは、図19,20に図示した第6実施例のアンモニア合成システム100Fと比べて、反応器10fとは異なる反応器10gを備えている点が異なる。反応器10gは、上述の熱交換流路HF1~4とは異なる構造の熱交換流路HF5(不図示)を内部に有する。後述する図21に示される第1~4熱交換区間EX1g~4g,最下流区間EXTは、それぞれ熱交換流路HF5の一部である。
【0087】
反応器10gは、図21に示すように、中央配管5gと、内側配管13gと、外側配管15と、を有する。中央配管5gは、円筒形状を成し、外周面を触媒群に覆われている。詳細には、中央配管5gのうち-X軸方向側の部分である第1中央筒部分5gLの外周面は第1触媒11に覆われているとともに、+X軸方向側の部分である第2中央筒部分5gRの外周面は第2触媒12に覆われている。すなわち、第7実施例において、第1触媒11の形状および第2触媒の形状は、環状である。
【0088】
内側配管13gは、円筒形状を成し、中央配管5gを覆うとともに、内部に触媒群を収容する。詳細には、内側配管13gのうち-X軸方向側の部分である第1収容部分13gLにより第1触媒11は収容されているとともに、+X軸方向側の部分である第2収容部分13gRにより第2触媒12は収容されている。外側配管15は、円筒形状を成し、内側配管13gを覆っている。
【0089】
反応器10gにおいて、内側配管13gと外側配管15との間の空間は、熱交換流路HF5の一部にあたる。当該空間には、第1熱交換区間EX1gと、第2熱交換区間EX2gと、が含まれる。第1熱交換区間EX1gは、第1収容部分13gLと、第1対向部分15ML(第7実施例では第1収容部分13gLと対向)とによって画定された区間である。一方、第2熱交換区間EX2は、第2収容部分13gRと、第2対向部分15MR(第7実施例では第2収容部分13gRと対向)とによって画定された区間である。
【0090】
また、反応器10gは、図21に示すように、第1導入配管16g1と、第2導入配管16g2と、下流側導入配管16gTと、を備えている。第1導入配管16g1は、第1対向部分15MLのうち-X軸方向側の端部に接続されている。第1導入配管16g1から導入された原料ガスは、図21図22(A)に示すように、第1収容部分13gLの周囲を流通しつつ+X軸方向側に向かう(第1熱交換区間EX1内を流通する)際に、第1触媒11と熱交換を行う。なお、本実施例においては、第1収容部分13gLの-X軸方向側の端部と第1対向部分15MLの-X軸方向側の端部とは、YZ平面に沿って伸びた接続壁14gで接続されていることにより、閉塞されている。
【0091】
第2導入配管16g2は、外側配管15のうちX軸方向における中央付近に接続されている。第2導入配管16g2から導入された原料ガスは、図21図22(C)に示すように、第2収容部分13gRの周囲を流通しつつ+X軸方向側に向かう(第2熱交換区間EX2内を流通する)際に、第2触媒12と熱交換を行う。
【0092】
下流側導入配管16gTは、第2対向部分15MRのうち+X軸方向側の端部に接続されている。下流側導入配管16gTから導入された原料ガスは、図21図22(D)に示すように、第2対向部分15MRから+X軸方向および-Z軸方向に向かう。
【0093】
また、中央配管5gは、内部に熱交換流路HF5の一部である、第3熱交換区間EX3gと、第4熱交換区間EX4gと、を有する。第3熱交換区間EX3gは、第2中央筒部分5gRによって画定された区間である。すなわち、第3熱交換区間EX3gは、第2触媒12に覆われていることから、第2触媒12との間で熱交換が可能な区間である。一方、第4熱交換区間EX4gは、第1中央筒部分5gLによって画定された区間である。すなわち、第4熱交換区間EX4gは、第1触媒11に覆われていることから、第1触媒11との間で熱交換が可能な区間である。すなわち、反応器10gは、4つの熱交換区間を有することから、第1熱交換区間EX1gは、4つの熱交換区間のうち最も上流側に配置された熱交換区間であり、第2熱交換区間EX2gは、4つの熱交換区間のうち上流側から下流側に向かう方向において第1熱交換区間EX1gの次に配置された熱交換区間である。
【0094】
接続配管9gは、図21に示すように、第2熱交換区間EX2gと第3熱交換区間EX3gとを接続する接続区間CNを画定している配管である(図22(E)も参照)。
【0095】
第1導入配管16g1、第2導入配管16g2および下流側導入配管16gTから反応器10g内に導入された原料ガスは、接続区間CN、第3熱交換区間EX3gおよび第4熱交換区間EX4gを経由して、最下流区間EXTに到達する。さらに、原料ガスは、第1触媒11、空間SP、第2触媒12をアンモニアの合成反応に供されながら通過したのち、排出配管18から排出される。なお、空間SPを通過する際には、原料ガスは、供給配管17を介して供給される分割ガスGSPと混合される(図22(B)参照)。
【0096】
以上説明した第7実施例のアンモニア合成システム100Gによれば、第5,6実施例と同様の効果を奏することができる。また、第7実施例のアンモニア合成システム100Gにおいて、原料ガスは、第1,2熱交換区間EX1g,2gを流通して第1,2触媒11,12と熱交換したのち、第3,4熱交換区間EX3g,4gを流通して第1,2触媒11,12と再度熱交換することができる。したがって、原料ガスは、4つの熱交換区間を流通する間に触媒群との熱交換により昇温されてから、触媒群によるアンモニアの合成反応に用いられるため、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのをより一層抑制することもできる。
【0097】
図23は、第8実施例のアンモニア合成システム100Hが備える反応器10hの内部構造を示した説明図である。図24(A)~(E)には、それぞれ図23に示すF24A~E―F22A~E断面における反応器10hのYZ断面が示されている。図24の右下に図示されたXYZ軸は、図24(A)~(E)の各図において共有されている。第8実施例のアンモニア合成システム100Hは、図21,22に図示した第7実施例のアンモニア合成システム100Gと比べて、反応器10gとは異なる反応器10hを備えている点が異なる。反応器10hは、上述の熱交換流路HF1~5とは異なる構造の熱交換流路HF6(不図示)を内部に有する。後述する図23に示される第1~4熱交換区間EX1f~4f,最下流区間EXTは、それぞれ熱交換流路HF6の一部である。
【0098】
反応器10hは、第7実施例の反応器10gと同様に(図21参照)、中央配管5gと、内側配管13gと、外側配管15と、を有する。また、反応器10hについて、第1触媒11の形状および第2触媒の形状が環状であること、第1触媒11が第1中央筒部分5gLの外周面を覆うとともに第1収容部分13gLに収容されていること、および、第2触媒12が第2中央筒部分5gRの外周面を覆うとともに第2収容部分13gRに収容されていること、も第7実施例の反応器10gと同様である(図21参照)。
【0099】
反応器10hにおいて、中央配管5gは、内部に熱交換流路HF6の一部である、第1熱交換区間EX1hと、第2熱交換区間EX2hと、を有する。第1熱交換区間EX1hは、第1中央筒部分5gLによって画定された区間である。すなわち、第1熱交換区間EX1hは、第1触媒11に覆われていることから、第1触媒11との間で熱交換が可能な区間である。一方、第2熱交換区間EX2hは、第2中央筒部分5gRによって画定された区間である。すなわち、第2熱交換区間EX2hは、第2触媒12に覆われていることから、第2触媒12との間で熱交換が可能な区間である。
【0100】
また、反応器10hは、図23に示すように、第1導入配管16h1と、第2導入配管16h2と、下流側導入配管16hTと、を備えている。第1導入配管16h1は、第1中央筒部分5gLのうち-X軸方向側の端部に接続されている。第1導入配管16g1から導入された原料ガスは、図23図24(A)に示すように、第1中央筒部分5gLの内部を+X軸方向側に向かう(第1熱交換区間EX1h内を流通する)際に、第1触媒11と熱交換を行う。
【0101】
第2導入配管16h2は、中央配管5gのうちX軸方向における中央付近に接続されている。第2導入配管16h2から導入された原料ガスは、図23図24(C)に示すように、中央配管5gのうちX軸方向における中央付近から+X軸方向側に向かって第2中央筒部分5gRの内部を流通する(第2熱交換区間EX2h内を流通する)際に、第2触媒12と熱交換を行う。
【0102】
下流側導入配管16hTは、第2対向部分15MRのうち+X軸方向側の端部に接続されている。下流側導入配管16hTから導入された原料ガスは、図23図24(D)に示すように、第2収容部分13gRおよび第1収容部分13gLの周囲を流通しつつ最下流区間EXTに向かう。
【0103】
また、反応器10hにおいて、内側配管13gと外側配管15との間の空間は、熱交換流路HF6の一部にあたる。当該空間には、第3熱交換区間EX3hと、第4熱交換区間EX4hと、が含まれる。第3熱交換区間EX3hは、第2収容部分13gRと、第2対向部分15MRとによって画定された区間である。すなわち、第3熱交換区間EX3hは、第2触媒12を覆う位置の区間にあたることから、第2触媒12との間で熱交換が可能な区間である。一方、第4熱交換区間EX4hは、第1収容部分13gLと、第1対向部分15MLとによって画定された区間である。すなわち、第4熱交換区間EX4hは、第1触媒11を覆う位置の区間にあたることから、第1触媒11との間で熱交換が可能な区間である。すなわち、反応器10hは、反応器10g(図21参照)と同様に、4つの熱交換区間を有することから、第1熱交換区間EX1hは、4つの熱交換区間のうち最も上流側に配置された熱交換区間であり、第2熱交換区間EX2hは、4つの熱交換区間のうち上流側から下流側に向かう方向において第1熱交換区間EX1hの次に配置された熱交換区間である。
【0104】
反応器10hにおいて、接続配管9gが画定している接続区間CNは、図23に示すように、第2熱交換区間EX2hと第3熱交換区間EX3hとを接続している(図24(E)も参照)。
【0105】
第1導入配管16h1、第2導入配管16h2および下流側導入配管16hTから反応器10h内に導入された原料ガスは、第3熱交換区間EX3hおよび第4熱交換区間EX4hを経由して、最下流区間EXTに到達する。さらに、原料ガスは、第1触媒11、空間SP、第2触媒12をアンモニアの合成反応に供されながら通過したのち、排出配管18から排出される。なお、空間SPを通過する際には、原料ガスは、供給配管17を介して供給される分割ガスGSPと混合される(図24(B)参照)。
【0106】
以上説明した第8実施例のアンモニア合成システム100Hによれば、第5~7実施例と同様の効果を奏することができる。また、第8実施例のアンモニア合成システム100Hにおいては、第7実施例と同様に、原料ガスは、第1,2熱交換区間EX1g,2gを流通して第1,2触媒11,12と熱交換したのち、第3,4熱交換区間EX3g,4gを流通して第1,2触媒11,12と再度熱交換することができる。したがって、原料ガスは、第7実施例と同様に、4つの熱交換区間を流通する間に触媒群との熱交換により昇温されてから、触媒群によるアンモニアの合成反応に用いられるため、触媒群に供給される原料ガスの温度が低いことによって合成反応における反応速度が小さくなるのをより一層抑制することもできる。
【0107】
<実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0108】
上記実施形態のアンモニア合成システム100は一例であって、アンモニア合成システム100の構成および制御等については種々変形可能である。例えば、アンモニア合成システム100は、気液分離器40およびタンク50を備えておらず、アンモニア合成システム100に接続している別のシステムが気液分離器40等を備えていてもよい。アンモニア合成システム100は、第1混合器71および第2混合器72を備えてなくてもよく、流路を形成する配管内で各種ガスが混合されてもよい。アンモニア合成システム100は加熱器93,94を備えなくてもよく、分割ガスGSPは加熱されずに中間生成ガスに混合されてもよい。
【0109】
上記実施形態のガスセンサ60は、リサイクルガスGCYのガス組成と、熱交換器91から反応器10へと供給される原料ガスのガス組成と、中間生成ガスのガス組成と、反応器10から排出される反応後ガスのガス組成と、の少なくとも1つを検出すればよい。また、アンモニア合成システム100は、必ずしもガスセンサ60を備えていなくてもよい。
【0110】
上記実施形態の反応器10は、直列に配列された2つ触媒である第1触媒11および第2触媒12を備えていたが、3つ以上の触媒を備えていてもよい。この場合に、少なくとも2つの触媒間で得られた中間生成ガスに対して、N2とH2との少なくとも一方を含む分割ガスGSPが、ガス供給部25から供給されればよい。
【0111】
図3および図4に示される第1実施例のアンモニア合成システム100Aでは、N2が分割ガスGSPとして供給された場合のプロセス効率EPが最も高い。換言すると、第1実施例では、分割ガスGSPに含まれるN2の濃度が高いほど、プロセス効率EPが向上する。そのため、第1実施例の分割ガスGSPのガス比Rgは、小さいことが好ましく、具体的には、2.5未満が好ましい。一方で、図5および図6に示される第2実施例のアンモニア合成システム100Bでは、H2が分割ガスGSPとして供給された場合のプロセス効率EPが最も高い。換言すると、第2実施例では、分割ガスGSPに含まれるH2の濃度が高いほど、プロセス効率EPが向上する。そのため、第2実施例の分割ガスGSPのガス比は、大きいことが好ましく、具体的には、3よりも大きいことが好ましい。すなわち、ガス供給部25から中間生成ガスに対して供給される分割ガスGSPのガス比Rgは、2.5未満または3よりも大きいことが好ましい。さらに、分割ガスGSPのガス比Rgは、1未満または3よりも大きいことが好ましい。このように、分割ガスGSPのガス比Rgが調整されることにより、中間生成ガスのガス組成を、第2触媒12に応じた最適なガス組成に調整できる。
【0112】
上記実施形態の反応器10c(図8)、反応器10d(図11)における熱交換流路HF1や熱交換流路HF2は一例であって、熱交換流路の構造は変形可能である。例えば、熱交換流路は、図15に示すような構造であってもよい。図15に示す反応器10jは、反応器10d(図11)と比べて、流路HFbの代わりに流路HFBを備える点が異なる。流路HFBは、外側配管15の外部において第2対向部分15MRと半球部分15Lとを接続する配管19Rによって画定されている。反応器10jでは、第2経路を介して原料ガスが第2供給配管16Rから第1触媒11に到る際、原料ガスは、流路HFa,HFB,HFcを経由して、第1触媒11に到る。このとき、原料ガスは、内側配管13により隔てられた第2触媒12との熱交換により昇温されてから、第1触媒11とは熱交換することなく、第1触媒11へ供給されてアンモニアの合成反応に用いられる。一方、配管19Lは、外側配管15の外部において第1対向部分15MLと半球部分15Rとを接続する配管である。配管19Lは、配管19Rとは対照的に配置され、第1経路を介して原料ガスが第1供給配管16Lから第2触媒12に到る際に経由される流路を画定する配管である。
【0113】
上記実施形態の反応器10d(図11)では、第1供給配管16Lおよび第2供給配管16Rは、ともに同じ方向の側(図11では+Z軸方向の側)から外側配管15に接続していたが、これに限られない。例えば、第1供給配管16Lおよび第2供給配管16Rの各々は、互いに異なる方向の側(例えば、+Z軸方向の側と-Z軸方向の側)から外側配管15に接続していてもよい。このような場合であっても、反応器内において、第1経路と第2経路とは対称的に配置されている限り、第4実施例と同様の効果を奏することができる。
【0114】
上述の反応器10e~hにおいて、熱交換流路HF3~6は、2つもしくは4つの熱交換区間を有していたが、第1,2熱交換区間に原料ガスを導入する第1,2導入配管を備えている限り、熱交換流路は、2つ以上の任意の数の熱交換区間を有していてもよい。
【0115】
上述の反応器10e~hにおいて、触媒群には、第1触媒11と第2触媒12とが含まれていたが、これに限られない。例えば、触媒群には、さらに、第3触媒や第4触媒が含まれていてもよい。また、このような場合、熱交換流路には、第3触媒との間で熱交換が可能な第3熱交換区間や第4触媒との間で熱交換が可能な第4熱交換区間が含まれていてもよく、それら第3,4熱交換区間に原料ガスを導入する第3,4導入配管をさらに備えていてもよい。
【0116】
上述の反応器10e~hにおいて、各導入配管から導入される原料ガスの流量は、ガス分割器95によって調整されていたが、これに限られない。例えば、ガス分割器95に代えて、各導入配管に弁が設けられていてもよい。そして、分割制御部96は、第1触媒11の温度および第2触媒12の温度に応じて、それら弁の開度を調整することによって各導入配管から導入される原料ガスの流量が調整されてもよい。
【0117】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【0118】
本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
反応後のガスを再利用する循環設備を備えたアンモニア製造プラントで用いられるアンモニア合成システムであって、
水素と窒素とからアンモニアを合成する複数の触媒が直列に配列された触媒群と、
前記触媒群を構成する各前記触媒の間で得られた中間生成ガスに対して、水素と窒素との少なくとも一方を含む分割ガスを供給するガス供給部と、
前記中間生成ガスの組成を制御する制御部と、
を備える、アンモニア合成システム。
[適用例2]
適用例1に記載のアンモニア合成システムであって、
前記ガス供給部から供給される前記分割ガスは、窒素または水素である、アンモニア合成システム。
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載のアンモニア合成システムであって、
前記分割ガスは、水素と窒素とを含み、
前記制御部は、前記分割ガスにおける窒素に対する水素のガス比を、2.5未満とし、または3よりも大きくする、アンモニア合成システム。
[適用例4]
適用例1から適用例3までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、
前記制御部は、前記分割ガスにおける窒素に対する水素のガス比を1未満とする、アンモニア合成システム。
[適用例5]
適用例1から適用例4までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記触媒群に供給されるガスと、前記触媒群から排出されるガスと、前記中間生成ガスのガスとの少なくとも1つのガス組成を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記ガス組成を用いて、前記中間生成ガスの組成を制御する、アンモニア合成システム。
[適用例6]
適用例1から適用例5までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、
前記触媒群を形成する各触媒は、異なる種類の触媒である、アンモニア合成システム。
[適用例7]
適用例1から適用例6までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記ガス供給部から供給される前記分割ガスを加熱する加熱器を備える、アンモニア合成システム。
[適用例8]
適用例1から適用例7までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記触媒群を収容する反応器であって、前記触媒群による反応に用いられる原料ガスを、前記触媒群と反応させず、かつ、前記触媒群との間で熱交換しつつ前記触媒群へと供給する熱交換流路を内部に有する反応器を備える、アンモニア合成システム。
[適用例9]
適用例1から適用例8までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記熱交換流路に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する供給配管を備え、
前記反応器は、
内部に前記触媒群を収容する内側配管と、
前記内側配管を覆う外側配管と、を有し、
前記熱交換流路は、前記内側配管と前記外側配管との間の空間であり、
前記供給配管から供給された前記原料ガスは、前記熱交換流路を介して、前記内側配管において直列に配列された前記触媒群のうち一方の端に配置されている前記触媒へと供給される、アンモニア合成システム。
[適用例10]
適用例1から適用例9までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、
前記触媒群には、第1触媒と第2触媒とが含まれ、
前記熱交換流路のうち前記第1触媒の側の部分に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する第1供給配管と、
前記熱交換流路のうち前記第2触媒の側の部分に接続され、前記原料ガスを前記熱交換流路に供給する第2供給配管と、
前記第2触媒から前記第1触媒へ向かう方向の側の前記外側配管の部分に接続され、前記触媒群による反応を経た反応後ガスを排出する第1排出配管と、
前記第1触媒から前記第2触媒へ向かう方向の側の前記外側配管の部分に接続され、前記触媒群による反応を経た反応後ガスを排出する第2排出配管と、
前記原料ガスが前記熱交換流路に供給されたのち前記反応後ガスとして排出される経路を、前記原料ガスが前記第1供給配管から前記熱交換流路を介して前記第2触媒へ供給されたのち前記第1触媒を経て前記反応後ガスとして前記第1排出配管から排出される第1経路と、前記原料ガスが前記第2供給配管から前記熱交換流路を介して前記第1触媒へ供給されたのち前記第2触媒を経て前記反応後ガスとして前記第2排出配管から排出される第2経路と、の間で切り替える経路切替部と、を備える、アンモニア合成システム。
[適用例11]
適用例1から適用例10までのいずれかに記載のアンモニア合成システムであって、さらに、
前記触媒群には、第1触媒と第2触媒とが含まれ、
前記熱交換流路は、前記触媒群との間で熱交換が可能な2つ以上の熱交換区間を有し、
2つ以上の前記熱交換区間には、
2つ以上の前記熱交換区間のうち最も上流側に配置されて前記第1触媒との間で熱交換が可能な第1熱交換区間と、
2つ以上の前記熱交換区間のうち上流側から下流側へ向かう方向において前記第1熱交換区間の次に配置されて前記第2触媒との間で熱交換が可能な第2熱交換区間と、が含まれ、
前記原料ガスを前記第1熱交換区間に導入する第1導入配管と、
前記第1熱交換区間よりも下流側から前記原料ガスを前記第2熱交換区間に導入する第2導入配管と、
前記第2熱交換区間よりも下流側から前記原料ガスを前記熱交換流路に導入する下流側導入配管と、
前記第1導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、前記第2導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、前記下流側導入配管から導入される前記原料ガスの流量と、を調整する流量調整部と、を備える、アンモニア合成システム。
【符号の説明】
【0119】
5g…中央配管
5gL…第1中央筒部分
5gR…第2中央筒部分
9g…接続配管
10…反応器(触媒群)
10c~h,10j…反応器
11…第1触媒
12…第2触媒
13,13f,13g…内側配管
13L…第1収容部分
13R…第2収容部分
13fL…第1円筒部分
13fR…第2円筒部分
13gL…第1収容部分
13gR…第2収容部分
14,14C,14CB,14g…接続壁
15…外側配管
15L,15R…半球部分
15M…円筒部分
15ML…第1対向部分
15MR…第2対向部分
16…供給配管
16L…第1供給配管
16R…第2供給配管
16e1,16f1,16g1,16h1…第1導入配管
16e2,16f2,16g2,16h2…第2導入配管
16eT,16fT,16gT,16hT…下流側導入配管
17…供給配管
18…排出配管
18L…第1排出配管
18R…第2排出配管
19L…配管
19R…配管
20…ガス分割器(制御部)
25…ガス供給部
30…分割制御部(制御部)
40…気液分離器
50…タンク
60…ガスセンサ(検出部)
71…第1混合器
72…第2混合器
81…第1圧縮機
82…第2圧縮機
91…熱交換器
92…冷却器
93,94…加熱器
95…ガス分割器
96…分割制御部
100,100A~H…アンモニア合成システム
Fe…Fe系触媒の触媒活性
Ru…Ru系触媒の触媒活性
EP…プロセス効率
CY…リサイクルガス
H2…原料H2ガス
N2…原料N2ガス
SP…分割ガス
Rg…ガス比
SP…空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24