(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003775
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】導光部材および表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230110BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105053
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 駿
(72)【発明者】
【氏名】中村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】須藤 芳文
(72)【発明者】
【氏名】門馬 進
(72)【発明者】
【氏名】平野 成伸
(72)【発明者】
【氏名】片野 泰男
(72)【発明者】
【氏名】亀山 健司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 規和
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 愛乃
(72)【発明者】
【氏名】牧 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山田 正道
(72)【発明者】
【氏名】筒井 猛壮
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA04
2H199CA06
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA48
2H199CA53
2H199CA54
2H199CA56
2H199CA81
(57)【要約】
【課題】画像光を発散させて射出する導光部材および表示装置を提供すること。
【解決手段】導光部材300は、導光された画像光を外部に射出する光線射出部304と、画像光を光線射出部304に向けて反射して光線射出部304から射出させる第1面305と、を備え、第1面305は、画像光が導光される方向において複数配置されており、複数の第1面305のうち、画像光が導光される方向における下流側に配置される下流側第1面305Fは、画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側第1面305B、305Dに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光された画像光を外部に射出する界面と、
前記画像光を前記界面に向けて反射して前記界面から射出させる反射面と、
を備え、
前記反射面は、前記画像光が導光される方向において複数配置されており、
前記複数の反射面のうち、前記画像光が導光される方向における下流側に配置される下流側反射面は、前記画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側反射面に対して、前記画像光が導光される方向における下流側で前記界面との距離が大きくなる方向に傾斜する導光部材。
【請求項2】
前記下流側反射面は、前記画像光が導光される方向における上流側に隣り合って配置される前記上流側反射面に対して、前記画像光が導光される方向における下流側で前記界面との距離が大きくなる方向に傾斜する請求項1記載の導光部材。
【請求項3】
前記下流側反射面が、前記上流側反射面に対して傾斜する角度は、0.002度より大きく、0.210度より小さい請求項2記載の導光部材。
【請求項4】
前記複数の反射面のそれぞれは、凸形状に形成される請求項1~3の何れか記載の導光部材。
【請求項5】
前記複数の反射面のそれぞれは、曲面形状に形成される請求項4記載の導光部材。
【請求項6】
前記複数の反射面のそれぞれの曲率半径は、800mmより大きく10000mmより小さい請求項5記載の導光部材。
【請求項7】
隣り合う2つの前記反射面の間に、前記界面に平行に対向する対向面を有する、請求項1~6の何れか記載の導光部材。
【請求項8】
前記複数の反射面が配置される方向における前記対向面の両端部を結ぶ距離が、0.1mmより長く3mmより小さい、請求項7記載の導光部材。
【請求項9】
前記複数の反射面が配置される方向における前記反射面の両端部を結ぶ距離が、0.1mmより長く1mmより小さい、請求項1~8の何れか記載の導光部材。
【請求項10】
前記複数の反射面の数は、10から25の範囲内である、請求項1~9の何れか記載の導光部材。
【請求項11】
前記下流側反射面に入射する入射光と、前記上流側反射面に入射する入射光は、ほぼ平行である請求項1~10の何れか記載の導光部材。
【請求項12】
請求項1~10の何れか記載の導光部材と、
前記画像光を射出する画像表示素子と、
前記画像光を前記導光部材に入射させる入射光学系と、を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、画像光を内部に取り込む光入射部と、対向して延びる第1及び第2の全反射面を有し、光入射部から取り込まれた画像光を第1及び第2の全反射面での全反射により導く導光部と、導光部を経て入射する画像光を光路の折り曲げによって外部へ取出し可能にする画像取出部を有する光射出部とを備え、画像取出部は、導光部によって導光された画像光を反射するため第2の全反射面を基準として導光部の導光方向に関する奥側で導光部の内側に向かって傾斜するように延びる複数の第1要素面と、第1要素面に対して鈍角をなして延びる複数の第2要素面とを交互に配置してなる、導光板を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、入射光を発散させて射出する導光部材および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1は、導光された画像光を外部に射出する界面と、画像光を界面に向けて反射して界面から射出させる反射面と、を備え、反射面は、画像光が導光される方向において複数配置されており、複数の反射面のうち、画像光が導光される方向における下流側に配置される下流側反射面は、画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側反射面に対して、画像光が導光される方向における下流側で界面との距離が大きくなる方向に傾斜する導光部材。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、入射光を発散させて射出する導光部材および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る導光部材300とそれを用いた虚像表示装置1000の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る導光部材300内を伝搬した光が出射する様子を示した図である。
【
図3】本実施形態に係る導光部材300内を伝搬する光を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の説明図である。
【
図5】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の詳細説明図である。
【
図6】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の変形例の説明図である。
【
図7】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の第2の変形例の説明図である。
【
図8】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の第3の変形例の説明図である。
【
図9】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の第4の変形例の説明図である。
【
図10】本実施形態に係る導光部材300のパラメータの説明図である。
【
図11】本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303のパラメータの説明図である。
【
図12】本実施形態に係る虚像表示装置1000の光学系レイアウトを示す図である。
【
図13】本実施形態に係る虚像表示装置1000におけるスポットダイアグラムの説明図である。
【
図14】本実施形態に係る虚像表示装置1000の点Aにおけるスポットダイアグラムをシミュレーションした図である。
【
図15】本実施形態に係る虚像表示装置1000の点Bにおけるスポットダイアグラムをシミュレーションした図である。
【
図16】本実施形態に係る虚像表示装置1000の点Cにおけるスポットダイアグラムをシミュレーションした図である。
【
図17】本実施形態に係る虚像表示装置1000の点Dにおけるスポットダイアグラムをシミュレーションした図である。
【
図18】本実施形態に係る虚像表示装置1000の点Eにおけるスポットダイアグラムをシミュレーションした図である。
【
図19】本実施形態に係る虚像表示装置1000の各種例の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る導光部材300とそれを用いた虚像表示装置1000の一例を示す図である。虚像表示装置1000は、表示装置の一例であり、表示画像の画像光を射出して出力する画像表示素子100と、画像表示素子100からの画像光をコリメートして射出する光学系200と、導光部材300とを虚像表示光学系として備える。
【0009】
画像表示素子100は、導光部材300を通じて表示する虚像の基となる表示画像の画像光を出力するデバイスである。画像表示素子100は、有機LED(OLED:Organic Light Emitting Diode)や透過型液晶表示素子が好適であるが、他にも種々の表示方式のものが適用できる。例えば、画像表示素子100として、DMD(Digital Micromirror Device)が適用可能である。また、画像表示素子100として、TFT(Thin Film Transistor)やLCOS(Liquid Crystal On Silicon)が適用可能である。さらに、画像表示素子100として、MEMS(Micro Electro MechanicalSystems)が適用可能である。画像表示素子100としてOLEDアレイを例にとると、画像表示領域(画素配列領域)のサイズは、例えば「3mm×4mm」であり、画素数は1万画素程度である。
【0010】
画像表示素子100は、光源を必要とするLCOSやDMDなどを用いた場合、照明光を射出して画像表示素子100の画像表示面を照明するための光源を備える。光源は、種々のものが適用でき、例えばLED(Light Emitting Diode)、半導体レーザ(Laser Diode:LD)、放電ランプなどを用いることができる。
【0011】
光学系200は、入射光学系の一例であり、複数の光学レンズや絞りなどから構成され、画像表示素子100から出力される画像光を平行光として射出して導光部材300に入射させる。
【0012】
導光部材300は、光線入射部301、導光部302、画像取り出し部303、および光線射出部304を備える。光線射出部304は、導光された画像光を反射するとともに、外部に射出する界面(境界面)の一例である。
【0013】
図1は、水平方向の虚像表示に対応する画像表示素子100の中心の光路図を示している。画像表示素子100の中心から出た画像光は、コリメート光学系の機能を有する光学系200によって画像表示素子100の位置情報を角度情報に変換し、光線入射部301から導光部材300の中に入射する。
【0014】
そして導光部材300内に入った光は、導光光束となり、導光部302の平行に対向する面で全反射を繰り返しながら伝搬する。
【0015】
そして、画像取り出し部303に光があたると光線射出部304から光が射出され、ユーザの目に光が入る。ユーザは、導光部材300の光線射出部304を通して前方を覗くことで、網膜に「虚像の共役像」として結像し、画像光の虚像を視認することができる。すなわち、ユーザは、画像表示素子10と導光部材300との間にある光学系200の作用により、導光部材300を介して画像表示素子10を観察することになる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る導光部材300内を伝搬した光が出射する様子を示した図である。
【0017】
図2に示すように、画像取り出し部303は、少なくとも第1面305と第2面306をそれぞれ複数備える。
【0018】
第1面305は、画像光が導光される方向において、光線射出部304との距離が小さくなるように傾斜する第1の傾斜面の一例であり、画像光を光線射出部304に向けて反射して光線射出部304から射出させる反射面の一例である。第2面306は、互いに隣り合う2つの第1面305の間に配置され、光線射出部304に平行であって、光線射出部304に対向する対向面の一例である。第1面305は、画像光が導光される方向において、複数配置されている。
【0019】
導光部302で全反射を繰り返しながら伝搬した光は、第1面305にあたると、光線射出部304から射出され目に届くようになる。また、第2面306を設けることで、第1面305にあたるまで導光部材300の奥の方に進むことができ、導光部材300の奥の方でも光を光線射出部304の方に導くことができる。そうすることで、導光部材300が薄くても広角表示な可能な虚像表示装置1000を実現することができる。
【0020】
図3は、本実施形態に係る導光部材300内を伝搬する光を示す図である。
【0021】
図3は、導光部材300の導光部302の上面308、下面309で全反射で伝搬する光のうち、光線射出部304に対して、最も反射角が小さい角度θ1で伝搬する光201と最も大きい角度θ2で伝搬する光202を示しており、
図3の紙面内における画像表示素子100の両端の画素からの光をそれぞれ示している。すなわち、θ1を小さくするほど、およびθ2を大きくするほど、視野角を広くすることができる。
【0022】
図4は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の説明図である。
【0023】
導光部材300から射出される画像光により虚像を視認させる場合、光学系200から射出される光束の発散角度を調整することにより、虚像距離を調整することが考えられる。
【0024】
しかしながら、光学系200から発散光束を射出する場合、導光部材300内で発散光束を伝搬させることに起因して、虚像が二重に観察される画素ずれ等の問題が生じることがあった。
【0025】
一方、光学系200から平行光束を射出する場合、導光部材300から平行光束が射出されるため、虚像距離が無限遠となっていた。
【0026】
そこで本実施形態は、導光部材300に入射する入射光に対する、導光部材300から射出される画像光の発散角度を調整することにより、虚像距離を調整するものである。
【0027】
一例として、光学系200から射出される光束が平行光の場合でも、導光部材300から射出される画像光を発散光とすることにより、虚像距離を有限にするものである。
【0028】
図4に示す画像取り出し部303には、画像光が導光される方向において、複数の第1面305A~305F、および複数の第2面306A~306Fが配置されている。そして、第2面306B~306Fは、複数の第1面305A~305Fのうち隣り合う2つの第1面305の間にそれぞれ配置されている。
【0029】
ここで、複数の第1面305のうち、画像光が導光される方向における下流側に配置される下流側第1面305Fは、画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側第1面305Dに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜している。
【0030】
これにより、上流側第1面305Dで反射して光線射出部304から射出する射出光(点線)と、下流側第1面305Fで反射して光線射出部304から射出する射出光(実線)のなす角度を、上流側第1面305Dに入射する入射光と、下流側第1面305Fに入射する入射光のなす角度よりも大きくすることができる。
【0031】
同様に、第1面305Dは、画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側第1面305Bに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜している。
【0032】
すなわち、下流側の第1面305B~305Eのそれぞれは、上流側第1面305Aに対して画像光が導光される方向における下流側に配置されるほど、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する傾斜角度が大きくなるように形成される。
【0033】
なお、第1面305A~305Eの傾斜角度は、全て異なっていなくてもよく、例えば、第1面305Bと305Dの間に配置される第1面305Cは、第1面305Bおよび305Dの何れか一方と平行になるように形成されても良い。
【0034】
また、
図4に示す画像取り出し部303では、上流側第1面305B、305Dに入射する入射光と、下流側第1面305Fに入射する入射光が平行である。これにより、非平行の入射光を導光することに起因する色ズレ等の問題が生じること無く、導光部材300により、上流側第1面305B、305Dで反射して光線射出部304から射出する射出光と、下流側第1面305Fで反射して光線射出部304から射出する射出光を発散光にすることができる。
【0035】
さらに、下流側第1面305Fは、画像光が導光される方向における上流側に隣り合って配置される上流側第1面305Eに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する。
【0036】
これにより、隣り合って配置される上流側第1面305Eと、下流側第1面305Fでそれぞれ反射して光線射出部304から射出するそれぞれの射出光のなす角度を、上流側第1面305Eと、下流側第1面305Fに入射するそれぞれの入射光のなす角度よりも大きくすることができる。
【0037】
ここで、下流側第1面305Fが、上流側第1面305Eに対して傾斜する角度は、0.002度より大きく、0.210度より小さい。
【0038】
これにより、隣り合って配置される上流側第1面305Eと、下流側第1面305Fでそれぞれ反射して光線射出部304から射出する2つの射出光により、虚像距離を0.3~2m程度にできる。
【0039】
下流側第1面305Fが、上流側第1面305Eに対して傾斜する角度が、上限値である0.210度を超えると,虚像距離が近くなりすぎてユーザが虚像にピントを合わせにくくなる。一方、下流側第1面305Fが、上流側第1面305Eに対して傾斜する角度が、下限値である0.002度に満たないと、虚像距離がほぼ無限遠となる。これに対して、本実施形態では、虚像距離を有限にしつつ、ユーザが虚像にピントを合わせやすい。
【0040】
隣り合う2つの第1面305E、305Fの間に、光線射出部304に平行に対向する第2面306Fを有する。
【0041】
これにより、2つの第1面305E、305Fのそれぞれで反射して光線射出部304から射出する2つの発散光により、広画角でありながら、瞳を拡大できてアイボックスを確保できる。また、導光部材300の奥側の第1面305までより多くの光を到達させることができる。
【0042】
図5は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の詳細説明図である。
【0043】
図5(a)は、Y-Z平面における画像取り出し部303を示す図であり、
図4と同様である。
図5(b)は、X-Z平面における画像取り出し部303を示す図である。
【0044】
図5において、X-Z平面は光線射出部304に平行な面であり、Z方向は画像光が導光される方向かつ複数の第1面305A~305Eが配置される方向であり、Y方向はX-Z平面および光線射出部304に垂直な方向である。
図5(b)に示すように、複数の第1面305A~305EのそれぞれのX-Z平面に平行な断面における形状は、画像光が導光されるZ方向において上流側(-Z側)に凸形状に形成される。
【0045】
これにより、複数の第1面305A~305Eのそれぞれに入射する入射光をX方向に発散させて反射し光線射出部304から射出することができるため、複数の第1面305A~305Eのそれぞれに入射する入射光が平行光束である場合でも、複数の第1面305A~305Eのそれぞれで反射して光線射出部304から射出する射出光により、虚像距離を有限にすることができる.
【0046】
本実施形態では、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの形状は、X-Z面に平行な断面で曲線形状となるような曲面形状に形成されるが、他の形態として、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの形状は、X-Z面に平行な断面で複数の直線で形成される形状となるような多面体形状に形成されても良い。
【0047】
複数の第1面305A~305Eのそれぞれの曲率半径は、800mmより大きく10000mmより小さい。これにより、複数の第1面305A~305Eのそれぞれで反射して光線射出部304から射出する発散光により、虚像距離を0.3~2m程度にできる。
【0048】
複数の第1面305A~305Eのそれぞれの曲率半径が、上限値である10000mmを超えると、虚像距離がほぼ無限遠となる。一方、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの曲率半径が、下限値である800mmに満たないと、虚像距離が近くなりすぎてユーザが虚像にピントを合わせにくくなる。これに対して、本実施形態では、虚像距離を有限にしつつ、ユーザが虚像にピントを合わせやすい。
【0049】
図6は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の変形例の説明図である。
【0050】
図6(a)は、
図4および
図5に示した画像取り出し部303の拡大図であり、
図6(b)は、変形例に係る画像取り出し部303の拡大図である。
【0051】
図6(b)では
図6(a)に対して新たに第1面305と異なる方向に傾斜する第3面307が設けられている。第3面307は、第1面305と第2面306の間に設けられ、画像光が導光される方向において、光線射出部304との距離が大きくなるように傾斜する第2の傾斜面の一例である。
【0052】
図6(a)、(b)の実線と点線で示した光は、画像表示素子100の同じ画素から出た光であり、コリメート光学系の機能を有する光学系200によって同じ角度で導光部材300内を伝搬する。
【0053】
このとき、
図6(a)の点線で示した光は第2面306で反射した後に第1面305に直接あたり光線射出部304の方向に進むのに対し、
図6(b)では、第3面307を設けることで、第2面306で反射した後に第1面305に直接光があたるのを防ぐことができる。
【0054】
その結果として、導光部材300内を全反射で伝搬する光のうち、導光部材300の下面で全反射した光のみを第1面305にあてることができる。
【0055】
そのようにすることで、
図6(b)に示す変形例では、第3面307を形成するために成形の難易度は上がるが。
図6(a)において、導光部材300の上面、下面で全反射した光の両方向の光が第1面305にあたることで発生していた迷光を防ぐことができる。
【0056】
図7は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の第2の変形例の説明図である。
【0057】
図7(a)は、
図6(b)に示した変形例に係る画像取り出し部303の詳細説明図であり、
図7(b)は、第2の変形例に係る画像取り出し部303の詳細説明図である。
【0058】
図7(a)に示した変形例に係る画像取り出し部303には、画像光が導光される方向において、第2面306A、第3面307A、第1面305A、第2面306B、第3面307B、第1面305B、および第2面306Cが、順番に配置されている。
【0059】
一方、
図7(b)に示した第2の変形例に係る画像取り出し部303には、画像光が導光される方向において、第2面306A、第1面305A、第3面307A、第2面306B、第1面305B、第3面307B、および第2面306Cが、順番に配置されている。
【0060】
図7(a)に示した変形例に係る画像取り出し部303では、画像光が導光される方向において下流側に配置される第2面306B、第3面307B、第1面305Bは、画像光が導光される方向において上流側に配置される第2面306A、第3面307A、第1面305Aよりも、光線射出部304に近く配置される。
【0061】
一方、
図7(b)に示した第2の変形例に係る画像取り出し部303では、画像光が導光される方向において下流側に配置される第2面306B、第1面305B、第3面307Bと、画像光が導光される方向において上流側に配置される第2面306A、第1面305A、第3面307Aは、光線射出部304からの距離が同じである。
【0062】
図7(b)に示した第2の変形例に係る導光部材300は、
図7(a)に示した変形例に係る導光部材300よりも、重量化するが、成形が容易になる。
【0063】
図8は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の第3の変形例の説明図である。
【0064】
図8に示す第3の変形例に係る画像取り出し部303では、
図7(a)に示した変形例に係る画像取り出し部303と同様に、画像光が導光される方向において、第2面306A、第1面305A、第3面307A、第2面306B、第1面305B、第3面307B、および第2面306Cが、順番に配置されている。
【0065】
図7(a)に示した変形例に係る画像取り出し部303では、画像光が導光される方向において下流側に配置される第2面306B、第3面307B、第1面305Bは、画像光が導光される方向において上流側に配置される第2面306A、第3面307A、第1面305Aよりも、光線射出部304に近く配置される。
【0066】
一方、
図8に示した第3の変形例に係る画像取り出し部303では、画像光が導光される方向において下流側に配置される第2面306B、第3面307B、第1面305Bと、画像光が導光される方向において上流側に配置される第2面306A、第3面307A、第1面305Aは、光線射出部304からの距離が同じである。
【0067】
図8に示した第3の変形例に係る導光部材300も、
図7(a)に示した変形例に係る導光部材300よりも、重量化するが、成形が容易になる。
【0068】
図9は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303の第4の変形例の説明図である。
【0069】
図9に示す第4の変形例に係る画像取り出し部303には、第2面306は配置されておらず、画像光が導光される方向において、第3面307A、第1面305A、第3面307B、第1面305B、第3面307C、および第1面305Cが、順番に配置されている。
【0070】
図9に示す第4の変形例に係る導光部材300では、アイボックスや画角は小さくなるが、目に入射する各画角の光線強度むらは小さくなる。
【0071】
図10は、本実施形態に係る導光部材300のパラメータの説明図である。
図11は、本実施形態に係る導光部材300における画像取り出し部303のパラメータの説明図である。
【0072】
■性能
・アイボックス:2.5mm以上
・アイレリーフ:15mm
・対角画角:40度
・虚像距離:300mm
【0073】
導光部材300には、平行平面の部材310が接合されており、導光部材300と部材310の界面はハーフミラーから成る。
■部材310
・厚さhd:0.6mm
■導光部材300
・肉厚wd:最厚部2.5mm
・導光部材幅ww:50mm
・第1面305の幅l:0.2mm
・第1面305の数num:24
・第2面306の幅w:0.6mm
・屈折率:1.493612 (PMMA)
・反射面曲率半径R:800mm
・24個の第1面305の第2面306に対する角度は表1に示す通りに設定した
【0074】
【0075】
複数の第1面305の数numは、10から25の範囲内である。上限値である25個を超えると、導光部材300を通して外を見る際に第1面305が邪魔になる。下限値である10個に満たないと、水平方向のアイボックスが狭くなり、視野角も狭くなる。本実施形態では、導光部材300を通して外を見やすくしつつ、水平方向のアイボックスが広くなり、視野角も広くなる。
【0076】
複数の第1面305A~305Dが配置される方向における対向面の両端部を結ぶ距離Wは、0.1mmより長く3mmより小さい。これにより、広画角でありながら、アイボックスを確保できる。
【0077】
目の大きさを3mmとして、上限値である3mmを超えると、目に届かない画角の光が発生し、下限値である0.1mmに満たないと、平面の幅が小さくなりすぎ、広画角でありながらアイボックスを大きくすることが困難になる。本実施形態では、光量を確保しつつ、広画角でありながらアイボックスを大きくすることができる。
【0078】
複数の第1面305A~305Dが配置される方向における第1面305Bの両端部を結ぶ距離lは、0.1mmより長く1mmより小さい。
【0079】
上限値である1mmを超えると、導光部材300を通して外を見る際に第1面305が邪魔になる。下限値である0.1mmに満たないと、回折限界により解像度が低くなる。本実施形態では、導光部材300を通して外を見やすくしつつ、解像度を高くすることができる。
【0080】
図12は、本実施形態に係る虚像表示装置1000の光学系レイアウトを示す図である。
図12の光学系200は、画像表示素子100から出た光の中間像を一度作った後に略コリメータ光を生成し、導光部材300に光を入射させている。このように一旦中間像を作ることで、重量のある画像表示素子100を後方に配置できるため、虚像表示装置1000をメガネ型とした場合に、前方重量を低減でき、着け心地の良いメガネ型虚像表示装置を実現できる。
【0081】
もちろん、中間像をつくらず、
図1で示したように画像表示素子100から略コリメータ光を生成する光学系200で直接導光部材300に光を入射させても良い。
図12の導光部材300は
図10で示した形状をしており平行平面の部材310が接合されている。
図12では画像表示素子100の両端から出た光が光学系200を介して導光部材300に入射した後に目に入る様子を示している。
【0082】
図13は、本実施形態に係る虚像表示装置1000におけるスポットダイアグラムの説明図である。
【0083】
図13に示すように、スポットダイアグラムを計算した位置は、点A(0,0)、点B(2.3,0)、点C(-2.3,0)、点D(0,1.5)、点E(0,-1.5)である。
【0084】
図14~
図18は、本実施形態に係る虚像表示装置1000の点A~点Eにおけるスポットダイアグラムをシミュレーションした図である。
【0085】
図19は、本実施形態に係る虚像表示装置1000の各種例の使用状態を示す図である。
図19(a)、(b)及び(c)は、導光部材300を眼鏡型の虚像表示装置すなわちHMDに適用した場合を例示する。
【0086】
図19(a)に示す例は、一つの導光部材300を両眼用のHMDに適用した場合であり、導光部材300の光線入射部301と、光線入射部301から入射した画像光を導光部材300内部に導光するミラー350を虚像観察者すなわちユーザの右側に配置している。導光部材300は、ユーザの耳に掛けられるツルとしての役割を担うフレーム部500に固定される。
図26ではフレーム部を簡略化して表しているが、フレーム部500は、導光部材300の両端側のみならず、上側縁や下側縁を覆う形状とすることができる。
【0087】
他方、
図19(b)及び(c)に示す例は、一つの導光部材300を小型化してHMDに適用した場合である。
図19(b)に示す例は、両眼用のHMDとして二つの導光部材300をユーザの左右各々の目の位置に対応させて配置した場合であり、各導光部材300の光入射部8は、左右外側に配置される。また、
図19(c)は単眼用のHMDとして一つの導光部材300をユーザの左右どちらかの目の位置に対応させて配置した場合である。
【0088】
なお、
図19では虚像光学系や光源の図示を省略したが、これらはフレーム部500に取り付けることができる。すなわち、
図19(a)及び(c)に示す例では光源52、画像表示素子100及び光学系200を右目側のフレーム部に、
図19(b)に示す例ではこれらを左右両方のフレーム部に取り付ければよい。
【0089】
図19に示す例では、導光部材300を眼鏡型のHMDに適用した場合について説明した。また、上述した各実施形態の導光部材300は、他の種類のHMDにも適用可能であり、さらには、ヘッドアップディスプレイ(HUD)にも適用できる。各実施形態の導光部材は、特に、微小デバイスにより光変調された光束によって形成される原画像を虚像表示するのに適している。
【0090】
前述したように、導光部材300を眼鏡のようにして人の顔に装着できるようにすることができる。そして、画像表示素子などの画像光を、コリメートして光線入射部301から入射すると、既に述べたとおり、画像表示素子などの画像を虚像として観察することができる。導光部材300は透明体であるため、上記画像とともに周囲の情景を観察することができる。
【0091】
導光部材300の厚みは1mm~4mm程度であり、材質は樹脂であることが望ましく、そのように構成すると十分に軽くなり、ユーザの鼻への負担が小さく、使いやすい。
【0092】
●まとめ●
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る導光部材300は、導光された画像光を外部に射出する界面(境界面)の一例である光線射出部304と、画像光を光線射出部304に向けて反射して光線射出部304から射出させる反射面の一例である第1面305と、を備え、第1面305は、画像光が導光される方向において複数配置されており、複数の第1面305のうち、画像光が導光される方向における下流側に配置される下流側第1面305Fは、画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側第1面305B、305Dに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する。
【0093】
これにより、上流側第1面305B、305Dで反射して光線射出部304から射出する射出光と、下流側第1面305Fで反射して光線射出部304から射出する射出光のなす角度を、上流側第1面305B、305Dに入射する入射光と、下流側第1面305Fに入射する入射光のなす角度よりも大きくすることができる。
【0094】
下流側の第1面305B~305Eのそれぞれは、上流側第1面305Aに対して画像光が導光される方向における下流側に配置されるほど、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する傾斜角度が大きくなるように形成される。
【0095】
他の形態として、第1面305A~305Eの傾斜角度は、全て異なっていなくてもよく、例えば、第1面305Bと305Dの間に配置される第1面305Cは、第1面305Bおよび305Dの何れか一方と平行になるように形成されても良い。
【0096】
また、上流側第1面305B、305Dに入射する入射光と、下流側第1面305Fに入射する入射光が平行の場合、非平行の入射光を導光することに起因する色ズレ等の問題が生じること無く、導光部材300により、上流側第1面305B、305Dで反射して光線射出部304から射出する射出光と、下流側第1面305Fで反射して光線射出部304から射出する射出光を発散光にすることができる。
【0097】
下流側第1面305Fは、画像光が導光される方向における上流側に隣り合って配置される上流側第1面305Eに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する。
【0098】
これにより、隣り合って配置される上流側第1面305Eと、下流側第1面305Fでそれぞれ反射して光線射出部304から射出するそれぞれの射出光のなす角度を、上流側第1面305Eと、下流側第1面305Fに入射するそれぞれの入射光のなす角度よりも大きくすることができる。
【0099】
下流側第1面305Fが、上流側第1面305Eに対して傾斜する角度は、0.002度より大きく、0.210度より小さい。
【0100】
これにより、隣り合って配置される上流側第1面305Eと、下流側第1面305Fでそれぞれ反射して光線射出部304から射出する2つの射出光により虚像を形成する場合には、虚像距離を0.3~2m程度にできる。
【0101】
下流側第1面305Fが、上流側第1面305Eに対して傾斜する角度が、上限値である0.210度を超えると,虚像距離が近くなりすぎてユーザが虚像にピントを合わせにくくなる。一方、下流側第1面305Fが、上流側第1面305Eに対して傾斜する角度が、下限値である0.002度に満たないと、虚像距離がほぼ無限遠となる。これに対して、本実施形態では、虚像距離を有限にしつつ、ユーザが虚像にピントを合わせやすい。
【0102】
複数の第1面305A~305Eのそれぞれは、凸形状に形成される。一例として、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの光線射出部304(X-Z面)に平行な断面における形状は、画像光の導光方向であるZ方向において、画像光の導光方向の上流側に凸形状に形成される。
【0103】
これにより、複数の第1面305A~305Eのそれぞれに入射する入射光を一例としてX方向に発散させて光線射出部304から射出することができる。複数の第1面305A~305Eのそれぞれで反射して光線射出部304から射出する射出光により、複数の第1面305A~305Eのそれぞれ毎に虚像を形成する場合には、虚像距離を有限にすることができる.
【0104】
複数の第1面305A~305Eのそれぞれは、曲面形状に形成される。一例として、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの形状は、X-Z面に平行な断面で曲線形状となるような曲面形状に形成される。他の形態として、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの形状は、X-Z面に平行な断面で複数の直線で形成される形状となるような多面体形状に形成されても良い。
【0105】
複数の第1面305A~305Eのそれぞれの曲率半径は、800mmより大きく10000mmより小さい。
【0106】
これにより、複数の第1面305A~305Eのそれぞれで反射して光線射出部304から射出する発散光により、複数の第1面305A~305Eのそれぞれ毎に虚像を形成する場合には、虚像距離を0.3~2m程度にできる。
【0107】
複数の第1面305A~305Eのそれぞれの曲率半径が、上限値である10000mmを超えると、虚像距離がほぼ無限遠となる。一方、複数の第1面305A~305Eのそれぞれの曲率半径が、下限値である800mmに満たないと、虚像距離が近くなりすぎてユーザが虚像にピントを合わせにくくなる。これに対して、本実施形態では、虚像距離を有限にしつつ、ユーザが虚像にピントを合わせやすい。
【0108】
隣り合う2つの第1面305E、305Fの間に、光線射出部304に平行に対向する第2面306Fを有する。
【0109】
これにより、2つの第1面305E、305Fのそれぞれで反射して光線射出部304から射出する2つの発散光により虚像を形成する場合には、広画角でありながら、瞳を拡大できてアイボックスを確保できる。また、導光部材300の奥側の第1面305までより多くの光を到達させることができる。
【0110】
複数の第1面305A~305Dが配置される方向における対向面の両端部を結ぶ距離Wは、0.1mmより長く3mmより小さい。これにより、広画角でありながら、アイボックスを確保できる。
【0111】
目の大きさを3mmとして、上限値である3mmを超えると、目に届かない画角の光が発生し、下限値である0.1mmに満たないと、平面の幅が小さくなりすぎ、広画角でありながらアイボックスを大きくすることが困難になる。これに対して、本実施形態では、光量を確保しつつ、広画角でありながらアイボックスを大きくすることができる。
【0112】
複数の第1面305A~305Dが配置される方向における第1面305Bの両端部を結ぶ距離lが、0.1mmより長く1mmより小さい。
【0113】
上限値である1mmを超えると、導光部材300を通して外を見る際に第1面305が邪魔になる。下限値である0.1mmに満たないと、回折限界により解像度が低くなる。これに対して、本実施形態では、導光部材300を通して外を見やすくしつつ、解像度を高くすることができる。
【0114】
複数の第1面305の数numは、10から25の範囲内である。上限値である25個を超えると、導光部材300を通して外を見る際に第1面305が邪魔になる。下限値である10個に満たないと、水平方向のアイボックスが狭くなり、視野角も狭くなる。これに対して、本実施形態では、導光部材300を通して外を見やすくしつつ、水平方向のアイボックスが広くなり、視野角も広くなる。
【0115】
下流側第1面305に入射する入射光と、上流側第1面305に入射する入射光は、ほぼ平行である。これにより、上流側第1面305と下流側第1面305に入射する平行光を、発散光として射出することができる。
【0116】
本発明の一実施形態に係る表示装置の一例である虚像表示装置1000は、導光部材300と、画像光を射出する画像表示素子100と、画像光を導光部材に入射させる入射光学系の一例である光学系200と、を備え、導光部材300は、導光された画像光を外部に射出する光線射出部304と、画像光を光線射出部304に向けて反射して光線射出部304から射出させる第1面305と、を備え、記第1面305は、画像光が導光される方向において複数配置されており、記複数の第1面305のうち、画像光が導光される方向における下流側に配置される下流側第1面305Fは、画像光が導光される方向における上流側に配置される上流側第1面305B、305Dに対して、画像光が導光される方向における下流側で光線射出部304との距離が大きくなる方向に傾斜する。
【0117】
これにより、導光部材300は、上流側第1面305B、305Dで反射して光線射出部304から射出する射出光と、下流側第1面305Fで反射して光線射出部304から射出する射出光のなす角度を、上流側第1面305B、305Dに入射する入射光と、下流側第1面305Fに入射する入射光のなす角度よりも大きくすることにより、虚像距離を短くすることができる。
【0118】
また、光学系200から導光部材300に入射する入射光が平行の場合、非平行の入射光を導光することに起因して、虚像が二重に観察される画素ずれ等の問題が生じることが無く、導光部材300により、上流側第1面305B、305Dで反射して光線射出部304から射出する射出光と、下流側第1面305Fで反射して光線射出部304から射出する射出光を発散光にして、虚像距離を有限にすることができる。
【符号の説明】
【0119】
100 画像表示素子
200 入射光学系(光学系)
201 光線射出部304に対する反射角θの最小値θ1で伝搬する光
202 光線射出部304に対する反射角θの最大値θ2で伝搬する光
300 導光部材
301 光線入射部
302 導光部
303 画像取り出し部
304 光線射出部(界面、境界面)
305 第1面(反射面、第1の傾斜面)
306 第2面(対向面)
307 第3面(第2の傾斜面)
310 平行平面の部材
1000 虚像表示装置(表示装置)